JP5715518B2 - 排ガス浄化用触媒 - Google Patents

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本発明は、排ガス浄化用触媒、詳しくは、内燃機関などから排出される排気ガスを浄化するための排ガス用浄化触媒に関する。
自動車などの内燃機関から排出される排気ガスには、炭化水素(HC)、一酸化炭素(CO)、窒素酸化物(NO)などが含まれており、これらを浄化するための排ガス浄化用触媒が知られている。
これらを浄化するための触媒として、活性成分である貴金属元素(Rh(ロジウム)、Pd(パラジウム)、Pt(白金)など)が、セリア系複合酸化物、ジルコニア系複合酸化物、ペロブスカイト複合酸化物またはアルミナなどの耐熱性酸化物に、担持または固溶している排ガス浄化用触媒が種々知られている。
具体的には、例えば、ロジウムを含む第1耐熱性複合酸化物を含有する上層と、白金および/またはパラジウムを含む第2耐熱性複合酸化物を含有し、ロジウムを含有しない下層とを備える排ガス浄化用触媒が、提案されている(例えば、特許文献1参照。)。
特開2010−69380号公報
しかるに、このような触媒に含まれるRh(ロジウム)、Pd(パラジウム)、Pt(白金)などの貴金属は高価であるところ、特許文献1に記載される触媒担体において、十分な排ガス浄化性能を発現させるためには、多くの貴金属を必要とし、コスト面に劣るという不具合がある。
本発明の目的は、貴金属の使用量を低減するとともに、ガス浄化性能を有効に発現させることができる排ガス浄化用触媒を提供することにある。
上記目的を達成するために、本発明の排ガス浄化用触媒は、空燃比(A/F)が14.6をまたぐストイキバーン領域において排出される排ガスを浄化するための排ガス浄化用触媒であって、銅を含有するとともに、貴金属を含有しない第1浄化部材と、前記第1浄化部材に隣接配置され、貴金属を含有する第2浄化部材とを含むことを特徴としている。
また、本発明の排ガス浄化用触媒では、前記第1浄化部材および前記第2浄化部材が、排ガスの通過方向に沿って隣接され、前記第1浄化部材が、前記第2浄化部材に対して、排ガスの通過方向下流側に配置されることが好適である。
また、本発明の排ガス浄化用触媒では、前記第1浄化部材は、アルミナに担持されている銅を含むことが好適である。
本発明の排ガス浄化用触媒は、銅を含有するとともに、貴金属を含有しない第1浄化部材と、貴金属を含有する第2浄化部材とを備えているので、空燃比(A/F)が14.6をまたぐストイキバーン領域において排出される排ガスを効率よく浄化することができるとともに、貴金属の使用量を低減することができる。
本発明の排ガス浄化用触媒の一実施形態を模式的に表わす概略図である。 実施例1の排ガス浄化用触媒の排ガス浄化率を示す。 実施例2の排ガス浄化用触媒の排ガス浄化率を示す。 比較例1の排ガス浄化用触媒の排ガス浄化率を示す。
図1は、本発明の排ガス浄化用触媒の一実施形態を模式的に表わす概略図である。
図1において、排ガス浄化用触媒1は、貴金属を含有しない第1浄化部材2と、第1浄化部材2に隣接配置され、貴金属を含有する第2浄化部材3とを含んでいる。
第1浄化部材2は、第1触媒担体4と、その第1触媒担体4の表面にコート層(図示せず)として担持される、銅を含有するとともに貴金属を含有しない複合酸化物とを備えている。
第1触媒担体4としては、特に限定されず、例えば、コージェライトなどからなるハニカム状のモノリス担体など、公知の担体が挙げられる。
銅を含有するとともに、貴金属を含有しない複合酸化物としては、例えば、銅を含有するとともに貴金属を含有しないペロブスカイト型複合酸化物、銅を含有するとともに貴金属を含有しないスピネル型複合酸化物、銅を含有するとともに貴金属を含有しないジルコニア系複合酸化物、銅を含有するとともに貴金属を含有しないセリア系複合酸化物、銅を含有するとともに貴金属を含有しないアルミナなどが挙げられる。
銅を担持するとともに貴金属を含有しないペロブスカイト型複合酸化物は、下記一般式(1)で示される。
Cu/ABO (1)
(式中、Aは、希土類元素およびアルカリ土類金属から選ばれる少なくとも1種の元素を示し、Bは、貴金属を除く遷移元素およびAlから選ばれる少なくとも1種の元素を示す。)
一般式(1)において、Aで示される希土類元素としては、例えば、Sc(スカンジウム)、Y(イットリウム)、La(ランタン)、Ce(セリウム)、Pr(プラセオジム)、Nd(ネオジム)、Pm(プロメチウム)、Sm(サマリウム)、Eu(ユーロピウム)、Gd(ガドリニウム)、Tb(テルビウム)、Dy(ジスプロシウム)、Ho(ホルミウム)、Er(エルビウム)、Tm(ツリウム)、Yb(イッテルビウム)、Lu(ルテチウム)などが挙げられる。
また、Aで示されるアルカリ土類金属としては、例えば、Be(ベリリウム)、Mg(マグネシウム)、Ca(カルシウム)、Sr(ストロンチウム)、Ba(バリウム)、Ra(ラジウム)などが挙げられる。これらは、単独で用いてもよく、また、2種以上併用してもよい。
一般式(1)において、Bで示される貴金属を除く遷移元素およびAlとしては、例えば、周期律表(IUPAC Periodic Table of the Elements(version date 19 February 2010)に従う。以下同じ。)において、原子番号21(Sc)〜原子番号30(Zn)、原子番号39(Y)〜原子番号48(Cd)、および、原子番号57(La)〜原子番号80(Hg)の各元素(ただし、貴金属(原子番号44〜47および76〜78)を除く)、Alが挙げられ、好ましくは、Ti(チタン)、Cr(クロム)、Mn(マンガン)、Fe(鉄)、Co(コバルト)、Ni(ニッケル)、Cu(銅)、Zn(亜鉛)およびAl(アルミニウム)が挙げられる。これらは、単独で用いてもよく、また、2種以上併用してもよい。
このような銅を担持するとともに貴金属を含有しないペロブスカイト型複合酸化物は、例えば、特開2004−243305号の段落番号〔0039〕〜〔0059〕の記載に準拠して、複合酸化物を調製するための適宜の方法、例えば、共沈法、クエン酸錯体法、アルコキシド法などの製造方法によってペロブスカイト型複合酸化物を製造し、そのペロブスカイト型複合酸化物に、特開2004−243305号の段落番号〔0063〕の記載に準拠して、銅を担持することによって、製造することができる。
このようにして得られるペロブスカイト型複合酸化物の銅の担持量は、例えば、ペロブスカイト型複合酸化物100質量部に対して、通常20質量部以下であり、好ましくは、0.2〜10質量部である。
一方、銅を組成として含有するとともに貴金属を含有しないペロブスカイト型複合酸化物は、下記一般式(2)で示される。
ABCuO (2)
(式中、Aは、希土類元素およびアルカリ土類金属から選ばれる少なくとも1種の元素を示し、Bは、貴金属を除く遷移元素およびAlから選ばれる少なくとも1種の元素を示す。)
一般式(2)において、AおよびBは、それぞれ、上記一般式(1)におけるAおよびB(ただし、Cuを除く)と同意義を示す。
このような銅を組成として含有するとともに貴金属を含有しないペロブスカイト型複合酸化物は、例えば、上記したように、特開2004−243305号の段落番号〔0039〕〜〔0059〕の記載に準拠して、製造することができる。
なお、この銅を組成として含有するとともに貴金属を含有しないペロブスカイト型複合酸化物に、さらに、上記のように銅を担持させることもできる。
このようにして得られるペロブスカイト型複合酸化物の銅の含有量(担持された銅と、組成として含有された銅との合計量)は、例えば、ペロブスカイト型複合酸化物100質量部に対して、通常20質量部以下であり、好ましくは、0.2〜5質量部である。
銅を担持するとともに貴金属を含有しないスピネル型複合酸化物は、下記一般式(3)で示される。
Cu/MO・nAl (3)
(式中、Mは、Mg、Fe、CoおよびNiから選択される少なくとも1種の元素を示し、nは、0.08〜5を示す。)
一般式(3)において、Mは、Mg(マグネシウム)、Fe(鉄)、Co(コバルト)およびNi(ニッケル)から選択される少なくとも1種の元素を示している。これらの元素は、単独でもよく、また、2種類以上併用もできる。
また、一般式(3)において、nは、0.08〜5を示し、好ましくは、0.16〜5を示す。
なお、nが1であれば、上記式(3)に記載の複合酸化物は、定比性(化学量論組成、ストイキオメトリ)のスピネル型結晶相を有する複合酸化物(以下、定比性スピネル型複合酸化物と称する。)として形成される。
これに対して、nが1未満、または、1を超過する場合には、上記式(3)に記載の複合酸化物は、主な結晶相としてスピネル型結晶相を有するとともに、他の結晶相、例えば、マグネトプランバイト型結晶相、アルミナ型結晶相などを混合相などとして有する、不定比性(非化学量論組成、ノンストイキオメトリ)のスピネル型結晶相を有する複合酸化物(以下、不定比性スピネル型複合酸化物と称する。)として形成される。
このような銅を担持するとともに貴金属を含有しないは、例えば、特開2011−45840号の段落番号〔0014〕〜〔0021〕の記載に準拠して、複合酸化物を調製するための適宜の方法、例えば、共沈法、クエン酸錯体法、アルコキシド法などによってスピネル型複合酸化物を製造し、そのスピネル型複合酸化物に、上記したペロブスカイト型複合酸化物の銅の担持方法と同様の方法によって銅を担持することによって、製造することができる。
このようにして得られるスピネル型複合酸化物の銅の担持量は、例えば、スピネル型複合酸化物100質量部に対して、通常20質量部以下であり、好ましくは、0.2〜10質量部である。
一方、銅を組成として含有するとともに貴金属を含有しないスピネル型複合酸化物は、下記一般式(4)で示される。
(M1−xCu)O・nAl (4)
(式中、Mは、Mg、Fe、CoおよびNiから選択される少なくとも1種の元素を示し、xは、0<x≦1の原子割合を示し、nは、0.08〜5を示す。)
一般式(4)において、Mおよびnは、それぞれ、上記一般式(3)におけるMおよびnと同意義を示す。
また、一般式(4)において、xは0<x≦1のCuの原子割合を示す。
また、x=1である。その場合、スピネル型複合酸化物は、例えば、下記一般式(4’)で表わされる、いわゆる銅スピネルである。
CuO・nAl (4’)
一方、Mの原子割合は、1−x、つまり、1からCuの原子割合(0<x≦1)を差し引いた残余の原子割合となる。すなわち、上記一般式(1)において、Mは、任意成分であり、含まれていてもよいし、含まれていなくてもよい。
このような銅を組成として含有するとともに貴金属を含有しないスピネル型複合酸化物は、例えば、上記したように、特開2011−45840号の段落番号〔0014〕〜〔0021〕の記載に準拠して、製造することができる。
なお、この銅を組成として含有するとともに貴金属を含有しないスピネル型複合酸化物に、さらに、上記のように銅を担持させることもできる。
このようにして得られるスピネル型複合酸化物の銅の含有量(担持された銅と、組成として含有された銅との合計量)は、例えば、スピネル型複合酸化物100質量部に対して、通常20質量部以下であり、好ましくは、0.2〜5質量部である。
銅を担持するとともに貴金属を含有しないジルコニア系複合酸化物は、下記一般式(5)で示される。
Cu/Zr1−(a+b)Ce2−c (5)
(式中、Lは、アルカリ土類金属および/または希土類元素(ただし、Ceを除く。)を示し、aは、Ceの原子割合を示し、bは、Lの原子割合を示し、1−(a+b)は、Zrの原子割合を示し、cは、酸素欠陥量を示す。)
一般式(5)において、Lで示されるアルカリ土類金属としては、一般式(1)で示したアルカリ土類金属が挙げられる。また、Lで示される希土類元素としては、一般式(1)で示した希土類金属が挙げられる(ただし、Ceを除く。)。これらアルカリ土類金属および希土類元素は、単独で用いてもよく、また、2種以上併用してもよい。
また、aで示されるCeの原子割合は、0.1〜0.65の範囲であり、好ましくは、0.1〜0.5の範囲である。
また、bで示されるLの原子割合は0〜0.55の範囲である(すなわち、Rは必須成分ではなく任意的に含まれる任意成分であり、含まれる場合には、0.55以下の原子割合である)。0.55を超えると、相分離や他の複合酸化物相を生成する場合がある。
また、1−(a+b)で示されるZrの原子割合は、0.35〜0.9の範囲であり、好ましくは、0.5〜0.9の範囲である。
さらに、cは酸素欠陥量を示し、これは、Zr、CeおよびLの酸化物が通常形成する蛍石型の結晶格子において、その結晶格子にできる空孔の割合を意味する。
このようなジルコニア系複合酸化物は、特に制限されることなく、例えば、特開2004−243305号の段落番号〔0090〕〜〔0102〕の記載に準拠して、複合酸化物を調製するための適宜の方法、例えば、共沈法、クエン酸錯体法、アルコキシド法などの製造方法によってジルコニア系複合酸化物を製造し、そのジルコニア系複合酸化物に、特開2004−243305号の段落番号〔0122〕、〔0125〕の記載に準拠して、銅を担持することによって、製造することができる。
このようにして得られるジルコニア系複合酸化物の銅の担持量は、例えば、ジルコニア系複合酸化物100質量部に対して、通常20質量部以下であり、好ましくは、0.2〜10質量部である。
一方、銅を組成として含有するとともに貴金属を含有しないジルコニア系複合酸化物は、下記一般式(6)で示される。
Zr1−(d+e+f)CeCu2−g (6)
(式中、Lは、アルカリ土類金属および/または希土類元素(ただし、Ceを除く。)を示し、dは、Ceの原子割合を示し、eは、Lの原子割合を示し、fは、Cuの原子割合を示し、1−(d+e+f)は、Zrの原子割合を示し、gは、酸素欠陥量を示す。)
一般式(6)において、Lは、上記一般式(5)におけるLと同意義を示す。
dで示されるCeの原子割合は、0.1〜0.65の範囲であり、好ましくは、0.1〜0.5の範囲である。
また、eで示されるLの原子割合は0〜0.55の範囲である(すなわち、Rは必須成分ではなく任意的に含まれる任意成分であり、含まれる場合には、0.55以下の原子割合である)。0.55を超えると、相分離や他の複合酸化物相を生成する場合がある。
また、fで示されるCuの原子割合は、0.001〜0.3の範囲であり、好ましくは、0.001〜0.2の範囲である。
また、1−(d+e+f)で示されるZrの原子割合は、0.35〜0.9の範囲であり、好ましくは、0.5〜0.9の範囲である。
さらに、gは酸素欠陥量を示し、これは、Zr、Ce、LおよびCuの酸化物が通常形成する蛍石型の結晶格子において、その結晶格子にできる空孔の割合を意味する。
このような銅を組成として含有するとともに貴金属を含有しないジルコニア系複合酸化物は、例えば、上記したように、特開2004−243305号の段落番号〔0090〕〜〔0102〕の記載に準拠して得られたジルコニア系複合酸化物に、銅を含む塩の溶液(硝酸塩水溶液、ジニトロジアンミン硝酸溶液、塩化物水溶液など)を含浸させ、必要により乾燥させた後、例えば、350〜1000℃で1〜12時間焼成することにより、得ることができる。
なお、この銅を組成として含有するとともに貴金属を含有しないジルコニア系複合酸化物に、さらに、上記のように銅を担持させることもできる。
このようにして得られるジルコニア系複合酸化物の銅の含有量(担持された銅と、組成として含有された銅との合計量)は、例えば、ジルコニア系複合酸化物100質量部に対して、通常0.01〜5質量部であり、好ましくは、0.02〜2質量部である。
銅を担持するとともに貴金属を含有しないセリア系複合酸化物は、下記一般式(7)で示される。
Cu/Ce1-(h+i)Zr2-j (7)
(式中、Lは、アルカリ土類金属および/または希土類元素(ただし、Ceを除く。)を示し、hは、Zrの原子割合を示し、iは、Lの原子割合を示し、1−(h+i)は、Ceの原子割合を示し、jは、酸素欠陥量を示す。)
一般式(7)において、Lで示されるアルカリ土類金属としては、一般式(1)で示したアルカリ土類金属が挙げられる。また、Lで示される希土類元素としては、一般式(1)で示した希土類金属が挙げられる(ただし、Ceを除く。)。これらアルカリ土類金属および希土類元素は、単独で用いてもよく、また、2種以上併用してもよい。
また、hで示されるZrの原子割合は、ジルコニア系複合酸化物のZrの原子割合よりも少なく、0.2〜0.7の範囲であり、好ましくは、0.2〜0.5の範囲である。
また、iで示されるLの原子割合は0〜0.2の範囲である(すなわち、Lは必須成分ではなく任意的に含まれる任意成分であり、含まれる場合には、0.2以下の原子割合である)。0.2を超えると、相分離や他の複合酸化物相を生成する場合がある。
また、1−(h+i)で示されるCeの原子割合は、ジルコニア系複合酸化物のCeの原子割合よりも多く、0.3〜0.8の範囲であり、好ましくは、0.3〜0.6の範囲である。
さらに、jは酸素欠陥量を示し、これは、Ce、ZrおよびLの酸化物が通常形成する蛍石型の結晶格子において、その結晶格子にできる空孔の割合を意味する。
このようなセリア系複合酸化物は、上記したジルコニア系複合酸化物の製造方法と同様の製造方法によって製造されたセリア系複合酸化物に、上記したジルコニア系複合酸化物の担持方法と同様の方法によって銅を担持することによって、製造することができる。
このようにして得られるセリア系複合酸化物の銅の担持量は、例えば、セリア系複合酸化物100質量部に対して、通常20質量部以下であり、好ましくは、0.2〜10質量部である。
一方、銅を組成として含有するとともに貴金属を含有しないセリア系複合酸化物は、下記一般式(8)で示される。
Ce1−(k+l+m)ZrCu2−n (8)
(式中、Lは、アルカリ土類金属および/または希土類元素(ただし、Ceを除く。)を示し、kは、Zrの原子割合を示し、lは、Lの原子割合を示し、mは、Cuの原子割合を示し、1−(k+l+m)は、Ceの原子割合を示し、nは、酸素欠陥量を示す。)
一般式(8)において、Lは、上記一般式(7)におけるLと同意義を示す。
kで示されるZrの原子割合は、ジルコニア系複合酸化物のZrの原子割合よりも少なく、0.2〜0.7の範囲であり、好ましくは、0.2〜0.5の範囲である。
また、lで示されるLの原子割合は0〜0.2の範囲である(すなわち、Lは必須成分ではなく任意的に含まれる任意成分であり、含まれる場合には、0.2以下の原子割合である)。0.2を超えると、相分離や他の複合酸化物相を生成する場合がある。
また、mで示されるCuの原子割合は、0.001〜0.3の範囲であり、好ましくは、0.001〜0.2の範囲である。
また、1−(k+l+m)で示されるCeの原子割合は、ジルコニア系複合酸化物のCeの原子割合よりも多く、0.3〜0.8の範囲であり、好ましくは、0.3〜0.6の範囲である。
さらに、nは酸素欠陥量を示し、これは、Ce、Zr、LおよびCuの酸化物が通常形成する蛍石型の結晶格子において、その結晶格子にできる空孔の割合を意味する。
このような銅を組成として含有するとともに貴金属を含有しないセリア系複合酸化物は、例えば、上記した銅を組成として含有するとともに貴金属を含有しないジルコニア系複合酸化物の製造方法と同様の製造方法によって、製造することができる。
なお、この銅を組成として含有するとともに貴金属を含有しないセリア系複合酸化物に、さらに、上記のように銅を担持させることもできる。
このようにして得られるセリア系複合酸化物の銅の含有量(担持された銅と、組成として含有された銅との合計量)は、例えば、セリア系複合酸化物100質量部に対して、通常0.01〜5質量部であり、好ましくは、0.02〜2質量部である。
銅を担持するとともに貴金属を含有しないアルミナは、例えば、アルミナに、特開2004−243305号の段落番号〔0122〕、〔0126〕の記載に準拠して、銅を担持することによって、製造することができる。
アルミナとしては、例えば、αアルミナ、θアルミナ、γアルミナなどが挙げられる。
αアルミナは、結晶相としてα相を有し、例えば、AKP−53(商品名、高純度アルミナ、住友化学社製)などが挙げられる。このようなαアルミナは、例えば、アルコキシド法、ゾルゲル法、共沈法などの方法によって得ることができる。
θアルミナは、結晶相としてθ相を有し、αアルミナに遷移するまでの中間(遷移)アルミナの一種であって、例えば、SPHERALITE 531P(商品名、γアルミナ、プロキャタリゼ社製)などが挙げられる。このようなθアルミナは、例えば、市販の活性アルミナ(γアルミナ)を、大気中にて、900〜1100℃で、1〜10時間熱処理することによって得ることができる。
γアルミナは、結晶相としてγ相を有し、特に限定されず、例えば、排ガス浄化用触媒などに用いられている公知のものが挙げられる。
また、アルミナとして、Laおよび/またはBaが含まれる上記アルミナを用いることもできる。Laおよび/またはBaを含むアルミナは、特開2004−243305号の段落番号〔0073〕の記載に準拠して、製造することができる。
アルミナの銅の担持量は、例えば、アルミナ100質量部に対して、通常20質量部以下であり、好ましくは、0.2〜10質量部である。
これら銅を含有するとともに、貴金属を含有しない複合酸化物は、単独使用または2種類以上併用することができる。
銅を含有するとともに、貴金属を含有しない複合酸化物として、好ましくは、銅を担持するとともに貴金属を含有しないアルミナが挙げられる。
第1浄化部材2が銅を担持するとともに貴金属を含有しないアルミナを含んでいれば(換言すると、第1浄化部材2がアルミナに担持されている銅を含んでいれば)、銅のOSC(酸素吸蔵放出能)が働くことで、リーン側まで高いNOx浄化性能を維持することができる。
また、銅を含有するとともに、貴金属を含有しない複合酸化物として、より好ましくは、銅を担持するとともに貴金属を含有しないアルミナと、銅を含有するとともに貴金属を含有しないセリア系複合酸化物との併用が挙げられる。
第1浄化部材2において、銅を担持するとともに貴金属を含有しないアルミナと、銅を含有するとともに貴金属を含有しないセリア系複合酸化物とを併用すれば、銅だけでなく、セリア系複合酸化物のOSCも働くことで、リーン側でのNOx浄化率をより高く維持することができる。
また、第1浄化部材2は、さらに、必要により、アルミナや複合酸化物(例えば、ペロブスカイト型複合酸化物、蛍石型複合酸化物など)などの公知の耐熱性酸化物や、例えば、Ba、Ca、Sr、Mg、Laの硫酸塩、炭酸塩、硝酸塩および/または酢酸塩などの塩を、適宜の割合で含有することができる。
このような場合において、耐熱性酸化物や塩は、例えば、銅を含有するとともに、貴金属を含有しない複合酸化物とともに、公知の方法により、第1触媒担体4に担持される。
第1触媒担体4に対するコート層(銅を担持するとともに貴金属を含有しない複合酸化物、および、必要により耐熱性酸化物、塩などを含む)の担持量は、特に制限されないが、例えば、第1触媒担体4 1Lあたり、例えば、50〜300g、好ましくは、100〜250gであり、また、銅の担持量が、第1触媒担体4 1Lあたり、例えば、0.1〜60g、好ましくは、5〜30gである。
また、このような第1浄化部材2において、コート層は、詳しくは図示しないが、例えば、第1触媒担体4上に、表面に形成される外側層と、その外側層の内側に形成される内側層とを有する多層(例えば、2層〜4層、好ましくは、2層)として形成することができる。
第1浄化部材2のコート層を多層として形成する場合において、内側層は、上記と同様に、各成分を含むスラリーを触媒担体上にコーティングし、乾燥後、焼成すればよい。また、外側層は、触媒担体上に形成された内側層上に、上記と同様に、各成分を含むスラリーをコーティングし、乾燥後、焼成すればよい。
第1浄化部材2のコート層を多層として形成する場合には、銅を含有するとともに貴金属を含有しない複合酸化物は、2つ以上の層に含まれていてもよく、いずれの層に含ませるかは、その目的および用途によって適宜決定される。このような場合において、銅を含有するとともに貴金属を含有しない複合酸化物を含まない層は、例えば、上記した公知の耐熱性酸化物や、塩から形成される。
また、第2浄化部材3は、例えば、第2触媒担体5と、その第2触媒担体5の表面にコート層(図示せず)として担持される、貴金属を含有する複合酸化物とを備えている。
第2触媒担体5としては、第1触媒担体4と同様の担体、例えば、コージェライトなどからなるハニカム状のモノリス担体など、公知の担体が挙げられる。
貴金属を含有する複合酸化物としては、例えば、貴金属を含有するペロブスカイト型複合酸化物、貴金属を含有するスピネル型複合酸化物、貴金属を含有するジルコニア系複合酸化物、貴金属を含有するセリア系複合酸化物、貴金属を含有するアルミナなどが挙げられる。
貴金属が担持されたペロブスカイト型複合酸化物は、下記一般式(9)で示される。
N/ABO (9)
(式中、Aは、希土類元素およびアルカリ土類金属から選ばれる少なくとも1種の元素を示し、Bは、貴金属を除く遷移元素およびAlから選ばれる少なくとも1種の元素を示し、Nは、貴金属を示す。)
一般式(9)において、Nで示される貴金属としては、例えば、Ru(ルテニウム)、Rh(ロジウム)、Pd(パラジウム)、Ag(銀)、Os(オスミウム)、Ir(イリジウム)、Pt(白金)などが挙げられる。好ましくは、Rh、Pd、Ptが挙げられる。これらは、単独で用いてもよく、また、2種以上併用してもよい。
また、一般式(9)において、AおよびBは、それぞれ、上記一般式(1)におけるAおよびBと同意義を示す。
このような貴金属が担持されたペロブスカイト型複合酸化物は、例えば、上記の方法により製造されたペロブスカイト型複合酸化物に、特開2004−243305号の段落番号〔0063〕の記載に準拠して、貴金属を担持することによって、製造することができる。
このようにして得られるペロブスカイト型複合酸化物の貴金属の担持量は、例えば、ペロブスカイト型複合酸化物100質量部に対して、通常20質量部以下であり、好ましくは、0.2〜5質量部である。
一方、貴金属が組成として含有されたペロブスカイト型複合酸化物は、下記一般式(10)で示される。
ABNO (10)
(式中、Aは、希土類元素およびアルカリ土類金属から選ばれる少なくとも1種の元素を示し、Bは、貴金属を除く遷移元素およびAlから選ばれる少なくとも1種の元素を示し、Nは、貴金属を示す。)
一般式(10)において、AおよびBは、それぞれ、上記一般式(1)におけるAおよびBと同意義を示す。
また、一般式(10)において、Nは、上記一般式(9)におけるNと同意義を示す。
このような貴金属が組成として含有されたペロブスカイト型複合酸化物は、例えば、上記したように、特開2004−243305号の段落番号〔0039〕〜〔0059〕の記載に準拠して、製造することができる。
なお、この貴金属が組成として含有されたペロブスカイト型複合酸化物に、さらに、上記のように貴金属を担持させることもできる。
このようにして得られるペロブスカイト型複合酸化物の貴金属の含有量(担持された貴金属と、組成として含有された貴金属との合計量)は、例えば、ペロブスカイト型複合酸化物100質量部に対して、通常20質量部以下であり、好ましくは、0.2〜5質量部である。
貴金属が担持されたスピネル型複合酸化物は、下記一般式(11)で示される。
N/MO・nAl (11)
(式中、Mは、Mg、Fe、CoおよびNiから選択される少なくとも1種の元素を示し、Nは、貴金属を示し、nは、0.08〜5を示す。)
一般式(11)において、Mおよびnは、それぞれ、上記一般式(3)におけるMおよびnと同意義を示す。
また、一般式(11)において、Nは、上記式(9)におけるNと同意義を示す。
このような貴金属が担持されたスピネル型複合酸化物は、例えば、特開2011−45840号の段落番号〔0014〕〜〔0021〕の記載に準拠して、複合酸化物を調製するための適宜の方法、例えば、共沈法、クエン酸錯体法、アルコキシド法などによって製造されたスピネル型複合酸化物に、上記したペロブスカイト型複合酸化物の貴金属の担持方法と同様の方法によって貴金属を担持することによって、製造することができる。
このようにして得られるスピネル型複合酸化物の貴金属の担持量は、例えば、スピネル型複合酸化物100質量部に対して、通常20質量部以下であり、好ましくは、0.2〜5質量部である。
一方、貴金属が組成として含有されたスピネル型複合酸化物は、下記一般式(12)で示される。
(M1−x)O・nAl (12)
(式中、Mは、Mg、Fe、CoおよびNiから選択される少なくとも1種の元素を示し、Nは、貴金属を示し、xは、0<x≦1の原子割合を示し、nは、0.08〜5を示す。)
一般式(12)において、Mおよびnは、それぞれ、上記一般式(3)におけるMおよびnと同意義を示す。
また、一般式(12)において、Nは、上記式(9)におけるNと同意義を示す。
このような貴金属が組成として含有されたスピネル型複合酸化物は、例えば、上記したように、特開2011−45840号の段落番号〔0014〕〜〔0021〕の記載に準拠して、製造することができる。
なお、この貴金属が組成として含有されたスピネル型複合酸化物に、さらに、上記のように貴金属を担持させることもできる。
このようにして得られるスピネル型複合酸化物の貴金属の含有量(担持された貴金属と、組成として含有された貴金属との合計量)は、例えば、スピネル型複合酸化物100質量部に対して、通常20質量部以下であり、好ましくは、0.2〜5質量部である。
貴金属が担持されたジルコニア系複合酸化物は、下記一般式(13)で示される。
N/Zr1−(a+b)Ce2−c (13)
(式中、Lは、アルカリ土類金属および/または希土類元素(ただし、Ceを除く。)を示し、Nは、貴金属を示し、aは、Ceの原子割合を示し、bは、Lの原子割合を示し、1−(a+b)は、Zrの原子割合を示し、cは、酸素欠陥量を示す。)
一般式(13)において、L、a、bおよびcは、それぞれ、上記一般式(5)におけるL、a、bおよびcと同意義を示す。
また、一般式(13)において、Nは、上記式(9)におけるNと同意義を示す。
このような、貴金属が担持されたジルコニア系複合酸化物は、例えば、上記の方法により製造されたジルコニア系複合酸化物に、特開2004−243305号の段落番号〔0122〕、〔0125〕の記載に準拠して、貴金属を担持することによって、製造することができる。
このようにして得られるジルコニア系複合酸化物の貴金属の担持量は、例えば、ジルコニア系複合酸化物100質量部に対して、通常0.01〜5質量部であり、好ましくは、0.02〜2質量部である。
一方、貴金属が組成として含有されたジルコニア系複合酸化物は、下記一般式(14)で示される。
Zr1−(d+e+f)Ce2−g (14)
一般式(14)において、L、d、e、fおよびgは、それぞれ、上記一般式(6)におけるL、d、e、fおよびgと同意義を示す。
また、一般式(14)において、Nは、上記式(9)におけるNと同意義を示す。
(式中、Lは、アルカリ土類金属および/または希土類元素(ただし、Ceを除く。)を示し、Nは、貴金属を示し、dは、Ceの原子割合を示し、eは、Lの原子割合を示し、fは、Nの原子割合を示し、1−(d+e+f)は、Zrの原子割合を示し、gは、酸素欠陥量を示す。)
このような貴金属が組成として含有されたジルコニア系複合酸化物は、例えば、上記したように、特開2004−243305号の段落番号〔0090〕〜〔0102〕の記載に準拠して得られたジルコニア系複合酸化物に、貴金属を含む塩の溶液(硝酸塩水溶液、ジニトロジアンミン硝酸溶液、塩化物水溶液など)を含浸させ、必要により乾燥させた後、例えば、350〜1000℃で1〜12時間焼成することにより、得ることができる。
なお、この貴金属が組成として含有されたジルコニア系複合酸化物に、さらに、上記のように貴金属を担持させることもできる。
このようにして得られるジルコニア系複合酸化物の貴金属の含有量(担持された貴金属と、組成として含有された貴金属との合計量)は、例えば、ジルコニア系複合酸化物100質量部に対して、通常0.01〜5質量部であり、好ましくは、0.02〜2質量部である。
貴金属が担持されたセリア系複合酸化物は、下記一般式(15)で示される。
N/Ce1-(h+i)Zr2-j (15)
(式中、Lは、アルカリ土類金属および/または希土類元素(ただし、Ceを除く。)を示し、Nは、貴金属を示し、hは、Zrの原子割合を示し、iは、Lの原子割合を示し、1−(h+i)は、Ceの原子割合を示し、jは、酸素欠陥量を示す。)
一般式(15)において、L、h、iおよびjは、それぞれ、上記一般式(7)におけるL、h、iおよびjと同意義を示す。
また、一般式(15)において、Nは、上記式(9)におけるNと同意義を示す。
このような、貴金属が担持されたセリア系複合酸化物は、例えば、上記の方法により製造されたセリア系複合酸化物に、上記したジルコニア系複合酸化物の担持方法と同様の方法によって貴金属を担持することによって、製造することができる。
このようにして得られるセリア系複合酸化物の貴金属の担持量は、例えば、セリア系複合酸化物100質量部に対して、通常0.01〜5質量部であり、好ましくは、0.02〜2質量部である。
一方、貴金属が組成として含有されたセリア系複合酸化物は、下記一般式(16)で示される。
Ce1−(k+l+m)Zr2−n (16)
(式中、Lは、アルカリ土類金属および/または希土類元素(ただし、Ceを除く。)を示し、Nは、貴金属を示し、kは、Zrの原子割合を示し、lは、Lの原子割合を示し、mは、Nの原子割合を示し、1−(k+l+m)は、Ceの原子割合を示し、nは、酸素欠陥量を示す。)
一般式(15)において、L、k、l、mおよびnは、それぞれ、上記一般式(8)におけるL、k、l、mおよびnと同意義を示す。
また、一般式(15)において、Nは、上記式(9)におけるNと同意義を示す。
このような貴金属が組成として含有されたセリア系複合酸化物は、例えば、上記した貴金属が組成として含有されたジルコニア系複合酸化物の製造方法と同様の製造方法によって、製造することができる。
なお、この貴金属が組成として含有されたセリア系複合酸化物に、さらに、上記のように貴金属を担持させることもできる。
このようにして得られるセリア系複合酸化物の貴金属の含有量(担持された貴金属と、組成として含有された貴金属との合計量)は、例えば、セリア系複合酸化物100質量部に対して、通常0.01〜5質量部であり、好ましくは、0.02〜2質量部である。
貴金属が担持されたアルミナは、例えば、上記したアルミナに、特開2004−243305号の段落番号〔0122〕、〔0126〕の記載に準拠して、貴金属を担持することによって、製造することができる。
アルミナの貴金属の担持量は、例えば、アルミナ100質量部に対して、通常0.01〜5質量部であり、好ましくは、0.02〜2質量部である。
これら貴金属を含有する複合酸化物は、単独使用または2種類以上併用することができる。
また、第2浄化部材3は、さらに、必要により、アルミナや複合酸化物(例えば、ペロブスカイト型複合酸化物、蛍石型複合酸化物など)などの公知の耐熱性酸化物や、例えば、Ba、Ca、Sr、Mg、Laの硫酸塩、炭酸塩、硝酸塩および/または酢酸塩を、適宜の割合で含有することができる。
このような場合において、耐熱性酸化物や塩は、例えば、貴金属を含有する複合酸化物とともに、公知の方法により、第2触媒担体5に担持される。
第2触媒担体5に対するコート層(貴金属を含有する複合酸化物、および、必要により耐熱性酸化物、塩などを含む)の担持量は、特に制限されないが、例えば、第2触媒担体5 1Lあたり、例えば、50〜300g、好ましくは、100〜200gであり、また、貴金属の担持量が、第2触媒担体5 1Lあたり、例えば、0.05〜10g、好ましくは、0.1〜2gである。
また、このような第2浄化部材3において、コート層は、詳しくは図示しないが、例えば、第2触媒担体5上に、表面に形成される外側層と、その外側層の内側に形成される内側層とを有する多層(例えば、2層〜4層、好ましくは、2層)として形成することができる。
第2浄化部材3のコート層を多層として形成する場合において、内側層は、上記と同様に、各成分を含むスラリーを触媒担体上にコーティングし、乾燥後、焼成すればよい。また、外側層は、触媒担体上に形成された内側層上に、上記と同様に、各成分を含むスラリーをコーティングし、乾燥後、焼成すればよい。
第2浄化部材3のコート層を多層として形成する場合には、貴金属を含有する複合酸化物は、2つ以上の層に含まれていてもよく、いずれの層に含ませるかは、その目的および用途によって適宜決定される。このような場合において、貴金属を含有する複合酸化物を含まない層は、例えば、上記した公知の耐熱性酸化物や、塩から形成される。
そして、排ガス浄化用触媒1は、上記第1浄化部材2および上記第2浄化部材3が、互いに隣接配置、好ましくは、図1に示されるように、排ガスの通過方向に沿って隣接配置されることにより、形成される。
排ガス浄化用触媒1において、第1浄化部材2に含まれる銅を含有するとともに貴金属を含有しない複合酸化物と、第2浄化部材3に含まれる貴金属を含有する複合酸化物との含有割合は、銅を含有するとともに貴金属を含有しない複合酸化物100質量部に対して、貴金属を含有する複合酸化物が、例えば、10〜500質量部、好ましくは、30〜300質量部である。
また、このような排ガス浄化用触媒1では、好ましくは、図1に示されるように、第1浄化部材2が、第2浄化部材3に対して、排ガスの通過方向下流側に配置される。
第1浄化部材2が、第2浄化部材3に対して、排ガスの通過方向下流側に配置されていれば、とりわけ、炭化水素(HC)および窒素酸化物(NO)の浄化性能を有効に発現させることができる。
なお、このような排ガス浄化用触媒1では、詳しくは図示しないが、必要により、第1浄化部材2を、第2浄化部材3に対して、排ガスの通過方向上流側に配置することもできる。
このようにして得られる排ガス浄化用触媒1は、空燃比(A/F)が14.6をまたぐストイキバーン領域、具体的には、ガソリンエンジンにおけるストイキバーン領域(ストイキオメトリ領域:空燃比(A/F)が14.6をまたぐ領域、具体的には、A/F=14.5〜14.7)において排出される排ガスを浄化するために用いられる。
そして、このような排ガス浄化用触媒1は、銅を含有するとともに、貴金属を含有しない第1浄化部材2と、貴金属を含有する第2浄化部材3とを備えているので、貴金属の使用量を半減させた場合にも、貴金属の使用量を半減させない場合と同等またはそれ以上の効率で、空燃比(A/F)が14.6をまたぐストイキバーン領域において排出される排ガスを浄化することができる。
次に、本発明を製造例、実施例および比較例に基づいて説明するが、本発明は下記の実施例によって限定されるものではない。
<複合酸化物の製造>
製造例1(Cu/θ−Alの製造)
θアルミナに、硝酸銅水溶液を含浸させ、乾燥後、電気炉にて、600℃で3時間熱処理(焼成)することにより、Cu担持θアルミナ(Pd/θ−Al)粉末を得た。
この粉末のCu担持量は、粉末50gに対して、Cu5gの割合であった。
製造例2(Cu/Ce0.30Zr0.50La0.050.05Oxideの製造)
セリウムメトキシプロピレート[Ce(OCH(CH)CHOCH]をCe換算で0.030molと、ジルコニウムメトキシプロピレート[Zr(OCH(CH)CHOCH]をZr換算で0.050molと、ランタンメトキシプロピレート[La(OCH(CH)CHOCH]をLa換算で0.005molと、イットリウムメトキシプロピレート[Y(OCH(CH)CHOCH]をY換算で0.005molと、トルエン200mLとを配合して、撹拌溶解することにより、混合アルコキシド溶液を調製した。さらに、この混合アルコキシド溶液に、脱イオン水80mLを滴下して、加水分解した。
次いで、加水分解された溶液から、トルエンおよび脱イオン水を留去し、乾固させて、前駆体を得た。さらに、この前駆体を、60℃で24時間通風乾燥させた後、電気炉にて、450℃で3時間熱処理(焼成)することにより、Ce0.30Zr0.50La0.050.05Oxideで示されるセリア系複合酸化物の粉末を得た。
次いで、得られた粉末45gに、硝酸銅水溶液(Cu換算で5g)を含浸させ、乾燥後、電気炉にて、800℃で3時間熱処理(焼成)することにより、Cu担持Ce0.30Zr0.50La0.050.05Oxide(Cu(10質量%)/Ce0.30Zr0.50La0.050.05Oxide)の粉末を得た。
この粉末のCu担持量は、粉末50gに対して、Cu5gの割合であった。
製造例3(Pd/θ−Alの製造)
θアルミナに、硝酸パラジウム水溶液を含浸させ、乾燥後、電気炉にて、600℃で3時間熱処理(焼成)することにより、Pd担持θアルミナ(Pd/θ−Al)粉末を得た。
この粉末のPd担持量は、粉末50gに対して、Pd0.5gの割合であった。
製造例4(Pd/Ce0.30Zr0.50La0.050.05Oxideの製造)
セリウムメトキシプロピレート[Ce(OCH(CH)CHOCH]をCe換算で0.030molと、ジルコニウムメトキシプロピレート[Zr(OCH(CH)CHOCH]をZr換算で0.050molと、ランタンメトキシプロピレート[La(OCH(CH)CHOCH]をLa換算で0.005molと、イットリウムメトキシプロピレート[Y(OCH(CH)CHOCH]をY換算で0.005molと、トルエン200mLとを配合して、撹拌溶解することにより、混合アルコキシド溶液を調製した。さらに、この混合アルコキシド溶液に、脱イオン水80mLを滴下して、加水分解した。
次いで、加水分解された溶液から、トルエンおよび脱イオン水を留去し、乾固させて、前駆体を得た。さらに、この前駆体を、60℃で24時間通風乾燥させた後、電気炉にて、450℃で3時間熱処理(焼成)することにより、Ce0.30Zr0.50La0.050.05Oxideで示されるセリア系複合酸化物の粉末を得た。
次いで、得られた粉末49gに、硝酸パラジウム水溶液(Pd換算で1g)を含浸させ、乾燥後、電気炉にて、800℃で3時間熱処理(焼成)することにより、Pd担持Ce0.30Zr0.50La0.050.05Oxide(Pd(2.0質量%)/Ce0.30Zr0.50La0.050.05Oxide)の粉末を得た。
この粉末のPd担持量は、粉末50gに対して、Pd1gの割合であった。
製造例5(Rh/Zr0.84Ce0.13La0.01Nd0.02Oxideの製造)
ジルコニウムメトキシプロピレートをZr換算で0.084molと、セリウムメトキシプロピレートをCe換算で0.013molと、ランタンメトキシプロピレート[La(OCH(CH)CHOCH]をLa換算で0.001molと、ネオジムメトキシプロピレート[Nd(OCH(CH)CHOCH]をNd換算で0.002molと、トルエン200mLとを配合して、撹拌溶解することにより、混合アルコキシド溶液を調製した。さらに、この混合アルコキシド溶液に、脱イオン水80mLを滴下して、加水分解した。
次いで、加水分解された溶液から、トルエンおよび脱イオン水を留去し、乾固させて、前駆体を得た。さらに、この前駆体を、60℃で24時間通風乾燥させた後、電気炉にて、450℃で3時間熱処理(焼成)することにより、Zr0.84Ce0.13La0.01Nd0.02Oxideで示されるジルコニア系複合酸化物の粉末を得た。
次いで、得られた粉末39.8gに、硝酸ロジウム水溶液(Rh換算で0.2g)を含浸させ、乾燥後、電気炉にて、800℃で3時間熱処理(焼成)することにより、Rh担持Zr0.84Ce0.13La0.01Nd0.02Oxide(Rh/Zr0.84Ce0.13La0.01Nd0.02Oxide)の粉末を得た。
この粉末のRh担持量は、粉末40gに対して、Rh0.2gの割合であった。
<第1浄化部材および第2浄化部材の製造>
製造例6(第1浄化部材の形成)
製造例2で得られたCu/Ce0.30Zr0.50La0.050.05Oxide、および、θ−Alを、ボールミルにて混合および粉砕し、これに蒸留水を加えてスラリーを調製した。このスラリーを、モノリス担体の各セルの内表面にコーティングして、乾燥させた後、600℃で3時間焼成することにより、内側層を形成した。
上記内側層は、モノリス担体1Lあたり、Cu/Ce0.30Zr0.50La0.050.05Oxideを100g(Cu担持量10g)および、θ―Alを30g、それぞれ担持するように形成した。
次いで、θ−Al、および、製造例1で得られたCu/θ−Al、の粉末をボールミルにて混合および粉砕し、これに蒸留水を加えてスラリーを調製した。このスラリーを、上記モノリス担体の内側層の表面全体に、後述する試験における排ガスの通過方向と直交する方向にコーティングして、乾燥させた後、600℃で3時間焼成することにより、外側層を形成した。
上記外側層は、モノリス担体1Lあたり、Cu/θ−Alを100g担持するように形成した。
これにより、2層コートからなる第1浄化部材を備えるモノリス担体(内径93mm×45L)を得た。第1浄化部材全体でのCuの担持量は、それぞれ、20g/Lであった。
製造例7(第2浄化部材の製造)
製造例3で得られたPd/θ−Al、製造例4で得られたPd/Ce0.30Zr0.50La0.050.05Oxideの粉末、および、BaSOを、ボールミルにて混合および粉砕し、これに蒸留水を加えてスラリーを調製した。このスラリーを、モノリス担体の各セルの内表面にコーティングして、乾燥させた後、600℃で3時間焼成することにより、内側層を形成した。
上記内側層は、モノリス担体1Lあたり、Pd/θ−Alを50g(Pd担持量0.5g)、Pd/Ce0.30Zr0.50La0.050.05Oxideを50g(Pt担持量1.0g)、および、BaSOを20g、それぞれ担持するように形成した。
次いで、θ−Al、および、製造例8で得られたRh/Zr0.84Ce0.13La0.01Nd0.02Oxideを、ボールミルにて混合および粉砕し、これに蒸留水を加えてスラリーを調製した。このスラリーを、上記モノリス担体の内側層の表面全体に、後述する試験における排ガスの通過方向と直交する方向にコーティングして、乾燥させた後、600℃で3時間焼成することにより、外側層を形成した。
上記外側層は、モノリス担体1Lあたり、θ−Alを40g、および、Rh/Zr0.84Ce0.13La0.01Nd0.02Oxideを40g(Rh担持量0.2g)、それぞれ担持するように形成した。
これにより、2層コートからなる第2浄化部材を備えるモノリス担体(内径93mm×45L)を得た。第2浄化部材全体でのRhおよびPdの担持量は、それぞれ、0.20g/L、および、1.50g/Lであった。
<排ガス浄化用触媒の製造>
実施例1
製造例6で得られた第1浄化部材を備えるモノリス担体と、製造例7で得られた第2浄化部材を備えるモノリス担体とを、第1浄化部材が、第2浄化部材に対して排ガスの通過方向下流側に配置されるように隣接配置し、第1浄化部材および第2浄化部材を備える排ガス浄化用触媒を作製した。
実施例2
製造例6で得られた第1浄化部材を備えるモノリス担体と、製造例7で得られた第2浄化部材を備えるモノリス担体とを、第1浄化部材が、第2浄化部材に対して排ガスの通過方向上流側に配置されるように隣接配置し、第1浄化部材および第2浄化部材を備える排ガス浄化用触媒を作製した。
比較例1
製造例7で得られた第2浄化部材を2つ隣接配置し、2つの第2浄化部材を備える一方、第1浄化部材を備えていない排ガス浄化用触媒を作製した。
各実施例および比較例における排ガス浄化用触媒の浄化部材構成を、表1に示す。
Figure 0005715518
性能評価
各実施例および比較例で得られた各排ガス浄化用触媒(モノリス状触媒)を排気管に取り付けた、直列3気筒、排気量0.660Lのガソリンエンジンを、低慣性動力計(明電舎製)により、導入ガスの空燃比(A/F)が、13.5から15.5まで120秒で変化するように運転した。そして、排出された炭化水素(HC)、一酸化炭素(CO)および窒素酸化物(NO)を排ガス分析装置(HORIBA社製)で測定し、その浄化率を算出した。実施例1の排ガス浄化用触媒の排ガス浄化率を図2に、実施例2の排ガス浄化用触媒の排ガス浄化率を図3に、比較例1の排ガス浄化用触媒の排ガス浄化率を図4にそれぞれ示す。
(考察)
銅を含有するとともに貴金属を含有しない第1浄化部材と、貴金属を含有する第2浄化部材とを備える各実施例の排ガス浄化用触媒は、第2浄化部材のみを備える比較例1の排ガス浄化用触媒に比べ、貴金属の使用量を低減することができた。
また、このような貴金属の使用量が低減された各実施例の排ガス浄化用触媒であっても、図2〜4が参照されるように、空燃比(A/F)が14.6をまたぐストイキバーン領域(空燃比(A/F)が14.5〜14.7の範囲)において、第2浄化部材のみを備える(貴金属の使用量が低減されていない)比較例1の排ガス浄化用触媒と同様に、優れたガス浄化性能を有効に発現させることができた。
すなわち、貴金属の使用量を半減させた各実施例の排ガス浄化用触媒を用いても、貴金属の使用量を半減させていない比較例1の排ガス浄化用触媒と同等またはそれ以上の効率で、空燃比(A/F)が14.6をまたぐストイキバーン領域において排出される排ガスを浄化することができた。
とりわけ、第1浄化部材が第2浄化部材に対して、排ガスの通過方向下流側に配置される実施例1の排ガス浄化用触媒は、第1浄化部材が第2浄化部材に対して、排ガスの通過方向上流側に配置される実施例2の排ガス浄化用触媒に比べて、ストイキバーン領域からリーンバーン領域(ストイキバーン領域よりも燃料が希薄な領域であって、例えば、空燃比(A/F)が14.7を超過する領域)にまで広く、ガス浄化性能に優れていた。
1 排ガス浄化用触媒
2 第1浄化部材
3 第2浄化部材
4 第1触媒担体
5 第2触媒担体

Claims (2)

  1. 空燃比(A/F)が14.6をまたぐストイキバーン領域において排出される排ガスを浄化するための排ガス浄化用触媒であって、
    銅を含有するとともに、貴金属を含有しない第1浄化部材と、
    前記第1浄化部材に隣接配置され、貴金属を含有する第2浄化部材と
    を含み、
    前記第1浄化部材は、表面に形成される外側層と、前記外側層の内側に形成される内側層とを備え、
    前記外側層は、銅を担持するとともに貴金属を含有しないアルミナを含有し、
    前記内側層は、銅を担持するとともに貴金属を含有しないセリア系複合酸化物を含有する
    ことを特徴とする、排ガス浄化用触媒。
  2. 前記第1浄化部材および前記第2浄化部材が、排ガスの通過方向に沿って隣接され、
    前記第1浄化部材が、前記第2浄化部材に対して、排ガスの通過方向下流側に配置されることを特徴とする、請求項1に記載の排ガス浄化用触媒。
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