JP6059233B2 - 難燃性熱可塑性樹脂組成物 - Google Patents

難燃性熱可塑性樹脂組成物 Download PDF

Info

Publication number
JP6059233B2
JP6059233B2 JP2014532952A JP2014532952A JP6059233B2 JP 6059233 B2 JP6059233 B2 JP 6059233B2 JP 2014532952 A JP2014532952 A JP 2014532952A JP 2014532952 A JP2014532952 A JP 2014532952A JP 6059233 B2 JP6059233 B2 JP 6059233B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
thermoplastic resin
resin composition
thermoplastic
fluororesin
flame retardant
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Active
Application number
JP2014532952A
Other languages
English (en)
Other versions
JPWO2014034493A1 (ja
Inventor
六田 充輝
充輝 六田
達樹 明石
達樹 明石
有希 足立
有希 足立
増田 晴久
晴久 増田
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Daikin Industries Ltd
Daicel Evonik Ltd
Original Assignee
Daikin Industries Ltd
Daicel Evonik Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Daikin Industries Ltd, Daicel Evonik Ltd filed Critical Daikin Industries Ltd
Publication of JPWO2014034493A1 publication Critical patent/JPWO2014034493A1/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP6059233B2 publication Critical patent/JP6059233B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Classifications

    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C08ORGANIC MACROMOLECULAR COMPOUNDS; THEIR PREPARATION OR CHEMICAL WORKING-UP; COMPOSITIONS BASED THEREON
    • C08LCOMPOSITIONS OF MACROMOLECULAR COMPOUNDS
    • C08L61/00Compositions of condensation polymers of aldehydes or ketones; Compositions of derivatives of such polymers
    • C08L61/04Condensation polymers of aldehydes or ketones with phenols only
    • C08L61/16Condensation polymers of aldehydes or ketones with phenols only of ketones with phenols
    • BPERFORMING OPERATIONS; TRANSPORTING
    • B29WORKING OF PLASTICS; WORKING OF SUBSTANCES IN A PLASTIC STATE IN GENERAL
    • B29CSHAPING OR JOINING OF PLASTICS; SHAPING OF MATERIAL IN A PLASTIC STATE, NOT OTHERWISE PROVIDED FOR; AFTER-TREATMENT OF THE SHAPED PRODUCTS, e.g. REPAIRING
    • B29C69/00Combinations of shaping techniques not provided for in a single one of main groups B29C39/00 - B29C67/00, e.g. associations of moulding and joining techniques; Apparatus therefore
    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C08ORGANIC MACROMOLECULAR COMPOUNDS; THEIR PREPARATION OR CHEMICAL WORKING-UP; COMPOSITIONS BASED THEREON
    • C08LCOMPOSITIONS OF MACROMOLECULAR COMPOUNDS
    • C08L71/00Compositions of polyethers obtained by reactions forming an ether link in the main chain; Compositions of derivatives of such polymers
    • BPERFORMING OPERATIONS; TRANSPORTING
    • B29WORKING OF PLASTICS; WORKING OF SUBSTANCES IN A PLASTIC STATE IN GENERAL
    • B29LINDEXING SCHEME ASSOCIATED WITH SUBCLASS B29C, RELATING TO PARTICULAR ARTICLES
    • B29L2031/00Other particular articles
    • B29L2031/772Articles characterised by their shape and not otherwise provided for
    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C08ORGANIC MACROMOLECULAR COMPOUNDS; THEIR PREPARATION OR CHEMICAL WORKING-UP; COMPOSITIONS BASED THEREON
    • C08GMACROMOLECULAR COMPOUNDS OBTAINED OTHERWISE THAN BY REACTIONS ONLY INVOLVING UNSATURATED CARBON-TO-CARBON BONDS
    • C08G2650/00Macromolecular compounds obtained by reactions forming an ether link in the main chain of the macromolecule
    • C08G2650/28Macromolecular compounds obtained by reactions forming an ether link in the main chain of the macromolecule characterised by the polymer type
    • C08G2650/38Macromolecular compounds obtained by reactions forming an ether link in the main chain of the macromolecule characterised by the polymer type containing oxygen in addition to the ether group
    • C08G2650/40Macromolecular compounds obtained by reactions forming an ether link in the main chain of the macromolecule characterised by the polymer type containing oxygen in addition to the ether group containing ketone groups, e.g. polyarylethylketones, PEEK or PEK
    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C08ORGANIC MACROMOLECULAR COMPOUNDS; THEIR PREPARATION OR CHEMICAL WORKING-UP; COMPOSITIONS BASED THEREON
    • C08LCOMPOSITIONS OF MACROMOLECULAR COMPOUNDS
    • C08L2201/00Properties
    • C08L2201/02Flame or fire retardant/resistant
    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C08ORGANIC MACROMOLECULAR COMPOUNDS; THEIR PREPARATION OR CHEMICAL WORKING-UP; COMPOSITIONS BASED THEREON
    • C08LCOMPOSITIONS OF MACROMOLECULAR COMPOUNDS
    • C08L2207/00Properties characterising the ingredient of the composition
    • C08L2207/04Thermoplastic elastomer

Description

本発明は、薄肉成形しても高い難燃性を有する熱可塑性樹脂組成物(例えば、芳香族ポリエーテルケトン系樹脂組成物)及びその成形体に関する。
弱電分野などで利用される薄肉成形品は、ハンダ付けによる耐熱性や剛性、衝撃や応力に対する強度などに加えて、高い難燃性が要求される。ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)などの芳香族ポリエーテルケトン樹脂は、耐熱性及び機械的特性に優れたスーパーエンジニアリングプラスチックとして知られており、酸素指数が高く、難燃性も高い材料であるが、全く燃焼しないわけではなく、薄肉成形品では激しい酸化分解が起こり、未だ難燃性が不十分である。
なお、WO2012/005133号公報(特許文献1)には、摺動性及び耐衝撃性の改善を目的として、芳香族ポリエーテルケトン樹脂及びフッ素樹脂を含み、フッ素樹脂がテトラフルオロエチレンとパーフルオロエチレン性不飽和化合物との共重合体であり、芳香族ポリエーテルケトン樹脂とフッ素樹脂との質量比が95:5〜50:50であり、フッ素樹脂が芳香族ポリエーテルケトン樹脂中に粒子状に分散しており、フッ素樹脂の平均分散粒子径が3μm以下である樹脂組成物が開示されている。この文献の実施例では、芳香族ポリエーテルケトン樹脂とフッ素樹脂とを質量比80:20〜60:40で用い、厚み3mmの成形体を作製した例が記載されている。
特開2006−274073号公報(特許文献2)には、フィルムなどの薄い成形体の外観が良好で摺動性、耐溶剤性、耐熱性を高めるため、ポリエーテルエーテルケトンなどのポリアリールケトン樹脂70〜99質量%、及びマイクロパウダーの形態のフッ素樹脂30〜1質量%とを含有し、樹脂組成物中に分散したフッ素樹脂の平均粒子径が0.1〜30μmである樹脂組成物が記載されている。この文献には、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)が特に好ましいと記載され、実施例では10〜20重量%ものPTFEが使用されている。
しかし、これらの文献には、前記樹脂組成物の難燃性について何ら記載されていない。
WO2012/005133号公報(請求の範囲、実施例) 特開2006−274073号公報(特許請求の範囲、段落[0005][0014]、実施例)
従って、本発明の目的は、薄肉成形しても高い難燃性を有する熱可塑性樹脂組成物及びその成形体を提供することにある。
本発明の他の目的は、曲げ弾性、非金属腐食性に優れた熱可塑性樹脂組成物及びその成形体を提供することにある。
本発明のさらに他の目的は、離型性、成形品の表面性(又は表面平滑性)に優れた熱可塑性樹脂組成物及びその成形体を提供することにある。
本発明者らは、前記課題を達成するため、先ず、芳香族ポリエーテルケトン樹脂で形成した成形品を、アンダーライターズラボラトリーズ社のサブジェクト94(UL94)に準拠した燃焼試験に供し、その燃焼挙動を詳しく観察した。芳香族ポリエーテルケトン樹脂で形成した薄肉成形品は、一回目の着火では燃焼時間が比較的短く、成形品の表面に炭化層が形成されるものの、その炭化層は不均一であった。そして、一回目の着火で成形品内部の温度がかなり上昇しているため、二回目の着火では成形品内部で樹脂が分解してガスとなり、このガスが、不均一な炭化層の脆弱部、又は炭化層が形成されていない部分から流出し、空気中の酸素と反応して燃焼するためか、難燃性が不足することが判明した。
通常の樹脂の難燃性を改善するため、臭素系難燃剤、リン系難燃剤などの各種難燃剤を添加することが行われている。しかし、芳香族ポリエーテルケトン樹脂の場合はプロセス温度(例えば、溶融温度)が高いため、難燃剤を添加しても溶融混練中に難燃剤が分解し、難燃性を改善できなかった。
また、難燃剤は、樹脂が燃えながらドリップして延焼するのを防ぐため、ドリップ防止剤と併用する場合がある。しかし、ドリップ防止剤は、難燃剤と併用する形態でなければ、その効果が発現されない。そして、前記のように、芳香族ポリエーテルケトン樹脂には、難燃剤を添加することが事実上不可能であるため、ドリップ防止剤を単独で添加する発想はなかった。
なお、本発明者らは、芳香族ポリエーテルケトン樹脂に敢えてドリップ防止剤としてのポリテトラフルオロエチレン(PTFE)を単独で添加することを試みた。しかし、上記樹脂中にPTFEが粗大なフィブリル形状で分散することにより、成形品の表面粗さが大きくなり、一回目の着火により不均一な炭化層が形成されるためか、難燃性を改善できなかった。
そこで、本発明者らは、さらに鋭意検討を加えた結果、アリーレン基とエーテル基とカルボニル基とで構成された繰り返し単位を含む熱可塑性樹脂(芳香族ポリエーテルケトン樹脂)に、溶融成形可能な熱可塑性フッ素樹脂を少量添加すると、上記熱可塑性樹脂中に熱可塑性フッ素樹脂を微小サイズで分散でき、一回目の着火による炭化層を均一に形成できるためか、薄肉成形しても極めて高い難燃性が得られることを見いだし、本発明を完成した。
すなわち、本発明の難燃性熱可塑性樹脂組成物は、厚み1.5mm以下の薄肉部を有する薄肉成形体を形成するために適しており、アリーレン基とエーテル基とカルボニル基とで構成された繰り返し単位を含む熱可塑性樹脂(A)と、熱可塑性フッ素樹脂(B)とを含んでいる。熱可塑性樹脂(A)と熱可塑性フッ素樹脂(B)との重量割合は、前者/後者=80/20〜99/1(例えば、95/5〜99/1、好ましくは96/4〜98/2)である。熱可塑性フッ素樹脂(B)が熱可塑性樹脂(A)中に粒子状に分散し、分散相を形成している。分散相(熱可塑性フッ素樹脂(B)相)の平均粒子径は3μm以下(例えば、0.1〜0.7μm程度)、好ましくは0.6μm以下であってもよい。
熱可塑性樹脂(A)は、下記式(a1)〜(a3)のいずれかで表される繰り返し単位を含む熱可塑性樹脂であってもよい。
[−Ar−O−Ar−C(=O)−] (a1)
[−Ar−O−Ar−C(=O)−Ar−C(=O)−] (a2)
[−Ar−O−Ar−O−Ar−C(=O)−] (a3)
[式中、Arは2価の芳香族炭化水素環基(フェニレン基、ビフェニレン基など)を表す]
熱可塑性フッ素樹脂(B)は、ラジカル重合性パーフルオロ系単量体の共重合体、例えば、テトラフルオロエチレンとヘキサフルオロプロピレン及びパーフルオロ(C1−3アルキルビニルエーテル)から選択された少なくとも一種との共重合体であってもよい。温度390℃、剪断速度60s−1において、熱可塑性樹脂(A)と熱可塑性フッ素樹脂(B)との溶融粘度比は、前者/後者=0.3/1〜6/1であってもよい。
難燃性熱可塑性樹脂組成物は、薄肉成形しても難燃性に優れており、厚み0.8mmの試験片を、UL94に準拠した垂直燃焼試験に供したとき、一回目及び二回目の着火時間の合計が10秒以下であってもよい。
なお、本発明は、上記難燃性熱可塑性樹脂組成物で形成された薄肉成形体も包含する。さらに、本発明は、前記難燃性熱可塑性樹脂組成物を溶融混練して、熱可塑性樹脂(A)中に熱可塑性フッ素樹脂(B)を平均粒子径が3μm以下の粒子状に分散させ、厚み1.5mm以下の薄肉部を有する薄肉成形体を成形することにより、この成形体の難燃性を向上させる方法も包含する。
本発明では、特定の芳香族熱可塑性樹脂中に熱可塑性フッ素樹脂を微粒子状に分散させているため、薄肉成形しても高い難燃性を安定して発揮できる。また、本発明では、熱可塑性フッ素樹脂を少量添加するだけで難燃性を大きく向上でき、非金属腐食性、成形品の曲げ弾性、離型性、表面性(又は表面平滑性)のバランスにも優れている。
本発明の難燃性熱可塑性樹脂組成物は、複数の芳香環が特定のリンカーを介して連結した構造を有する熱可塑性樹脂(A)と、熱可塑性フッ素樹脂(B)とを含んでいる。このような樹脂組成物は極めて難燃性が高く、薄肉成形体を形成する用途に適している。
(A)熱可塑性樹脂
熱可塑性樹脂(A)は、アリーレン基とエーテル基[−O−]とカルボニル基[−C(=O)−]とで構成された繰り返し単位を含んでいる限り特に制限されず、例えば、下記式(a1)〜(a5)のいずれかで表される繰り返し単位を含んでいる。
[−Ar−O−Ar−C(=O)−] (a1)
[−Ar−O−Ar−C(=O)−Ar−C(=O)−] (a2)
[ −Ar−O−Ar−O−Ar−C(=O)−] (a3)
[−Ar−O−Ar−C(=O)−Ar−O−Ar−C(=O)−Ar−C(=O)−] (a4)
[−Ar−O−Ar−O−Ar−C(=O)−Ar−C(=O)−] (a5)
(式中、Arは置換基を有していてもよい2価の芳香族炭化水素環基を表す)
Arで表される2価の芳香族炭化水素環基としては、例えば、フェニレン基(o−、m−又はp−フェニレン基など)、ナフチレン基などのC6−10アリーレン基、ビフェニレン基(2,2’−ビフェニレン基、3,3’−ビフェニレン基、4,4’−ビフェニレン基など)などのビC6−10アリーレン基、o−、m−又はp−ターフェニレン基などのターC6−10アリーレン基などが例示できる。これらの芳香族炭化水素環基は、置換基、例えば、ハロゲン原子、アルキル基(メチル基などの直鎖状又は分岐鎖状C1−4アルキル基など)、ハロアルキル基、ヒドロキシル基、アルコキシ基(メトキシ基などの直鎖状又は分岐鎖状C1−4アルコキシ基など)、メルカプト基、アルキルチオ基、カルボキシル基、スルホ基、アミノ基、N−置換アミノ基、シアノ基などを有していてもよい。なお、繰り返し単位(a1)〜(a5)において、各Arの種類は、互いに同一であってもよく、異なっていてもよい。
好ましいArは、フェニレン基(例えば、p−フェニレン基)、ビフェニレン基(例えば、4,4’−ビフェニレン基)である。
繰り返し単位(a1)を有する樹脂としては、ポリエーテルケトン(例えば、Victrex社製「PEEK-HT」)などが例示できる。繰り返し単位(a2)を有する樹脂としては、ポリエーテルケトンケトン(例えば、Arkema+Oxford Performance Material社製「PEKK」)などが例示できる。繰り返し単位(a3)を有する樹脂としては、ポリエーテルエーテルケトン(例えば、Victrex社製「VICTREX PEEK」、Evonik社製「Vestakeep(登録商標)」、ダイセル・エボニック社製「Vestakeep-J」、Solvay Advanced Polymers社製「Ketaspire(登録商標)」)、ポリエーテル−ジフェニル−エーテル−フェニル−ケトン−フェニル(例えば、Solvay Advanced Polymers社製「Kadel(登録商標)」)などが例示できる。繰り返し単位(a4)を有する樹脂としては、ポリエーテルケトンエーテルケトンケトン(例えば、Victrex社製「VICTREX ST」)などが例示できる。繰り返し単位(a5)を有する樹脂としては、ポリエーテルエーテルケトンケトンなどが例示できる。
アリーレン基とエーテル基とカルボニル基とで構成された繰り返し単位において、エーテルセグメント(E)とケトンセグメント(K)との割合は、例えば、前者/後者(E/K)=0.5/1〜2/1、好ましくは1/1〜2/1程度である。エーテルセグメントは分子鎖に柔軟性を付与し、ケトンセグメントは分子鎖に剛直性を付与するため、エーテルセグメントが多いほど結晶化速度は速く、最終的に到達可能な結晶化度も高くなり、ケトンセグメントが多いほどガラス転移温度及び融点が高くなる傾向にある。
これらの熱可塑性樹脂(A)は、単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。これらの熱可塑性樹脂(A)のうち、繰り返し単位(a1)〜(a3)のいずれかを有する芳香族ポリエーテルケトン樹脂、特に、ガラス転移温度及び融点の高さと、結晶化速度の速さとのバランスに優れる点から、繰り返し単位(a3)を有する芳香族ポリエーテルケトン樹脂(例えば、ポリエーテルエーテルケトン)が好ましい。
熱可塑性樹脂(A)の数平均分子量は、溶融混練や成形加工が可能である限り、特に制限されず、例えば、ゲルパーミエーションクロマトグラフィ(GPC)において、ポリスチレン換算で、5,000以上(例えば、5,000〜1,000,000)、好ましくは8,000以上(例えば、10,000〜500,000)、さらに好ましくは15,000以上(例えば、20,000〜100,000)であってもよい。
熱可塑性樹脂(A)のガラス転移温度(Tg)は、耐熱性などの点から、例えば、100℃以上、好ましくは120〜200℃、さらに好ましくは140〜180℃程度であってもよい。また、熱可塑性樹脂(A)の融点は、耐熱性などの点から、例えば、300℃以上、好ましくは310〜400℃、さらに好ましくは320〜380℃程度であってもよい。ガラス転移温度及び融点は示差走査熱量分析(DSC)により測定できる。
温度400℃(又は温度390℃)、剪断速度60s−1における熱可塑性樹脂(A)の溶融粘度をVaとするとき、Vaは、例えば、50〜4000Pa・s、好ましくは100〜3000Pa・s、さらに好ましくは150〜2500Pa・s、特に200〜2000Pa・s程度であってもよい。溶融粘度が低すぎると、熱可塑性フッ素樹脂(B)が粒子状に安定して分散できず、溶融粘度が高すぎると、コンパウンド時(例えば、溶融混練時)の発熱が大きくなる。溶融粘度は、慣用の装置、例えば、キャピラリーレオメーターを用いて測定できる。
熱可塑性樹脂(A)は、慣用の方法、例えば、芳香族ジオール成分と芳香族ジハライド成分とを縮合させる方法、芳香族モノハライドモノオール成分を自己縮合させる方法などの求核置換反応により合成してもよい。
芳香族ジオール成分としては、ジヒドロキシベンゼン(ハイドロキノンなど)、ジヒドロキシベンゾフェノン(4,4’−ジヒドロキシベンゾフェノンなど)などが例示できる。芳香族ジハライド成分としては、ジハロベンゾフェノン(4,4’−ジフルオロベンゾフェノン、4,4’−ジクロロベンゾフェノンなど)などが例示できる。芳香族モノハライドモノオール成分としては、ハロ−ヒドロキシベンゾフェノン(4−フルオロ−4’−ヒドロキシベンゾフェノンなど)などが例示できる。
縮合反応は、塩基及び/又は溶媒の存在下で行ってもよい。塩基としては、アルカリ金属塩、例えば、(無水)炭酸カリウムなどのアルカリ金属炭酸塩などが例示できる。溶媒としては、高沸点溶媒、例えば、ジフェニルスルホン、スルホランなどが例示できる。反応温度は、例えば、150〜400℃、好ましくは200〜350℃程度であってもよい。
なお、反応生成物は、慣用の分離手段、例えば、濾過、濃縮、晶析、クロマトグラフィーなどにより分離精製できる。また、反応生成物は、必要により洗浄し、乾燥してもよい。洗浄溶媒としては、水、アルコール類(メタノール、エタノールなど)、ケトン類(アセトンなど)、これらの混合溶媒などが例示できる。さらに、固形状の反応生成物は、粒度を調整するため、粉砕してもよく、分級してもよい。
反応生成物の末端基(ハロゲン原子など)は、結晶化温度の調整などの点から、例えば、アルカリスルホネート基(リチウムスルホネート基、ナトリウムスルホネート基、カリウムスルホネート基など)などで修飾されていてもよい。
(B)熱可塑性フッ素樹脂
熱可塑性フッ素樹脂(B)は、通常、火種及び融液の落下(ドリップ)を抑制するために用いられるが、本発明では、意外にも前記熱可塑性樹脂(A)との組み合わせにおいて少量で難燃性を大きく向上させる機能を有する。
熱可塑性フッ素樹脂(B)としては、溶融成形可能であれば特に制限されず、例えば、ラジカル重合性フッ素含有単量体の単独又は共重合体などが例示できる。ただし、熱可塑性フッ素樹脂(B)は溶融成形できないテトラフルオロエチレンの単独重合体(PTFE)を含まない。ラジカル重合性フッ素含有単量体としては、例えば、フッ素含有オレフィン系単量体(例えば、ビニルフルオライド、ビニリデンフルオライド、クロロトリフルオロエチレン、テトラフルオロエチレン、ヘキサフルオロプロピレンなどのモノ乃至パーフルオロC2−4オレフィンなど)、フッ素含有ビニルエーテル系単量体(例えば、パーフルオロ(メチルビニルエーテル)、パーフルオロ(エチルビニルエーテル)、パーフルオロ(プロピルビニルエーテル)などのモノ乃至パーフルオロ(C1−5アルキルビニルエーテル)など)、フッ素含有ジオキソール系単量体(例えば、2,2−ビス(トリフルオロメチル)−4,5−ジフルオロ−1,3−ジオキソールなど)などが挙げられる。これらのラジカル重合性フッ素含有単量体は、単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。これらのラジカル重合性フッ素含有単量体のうち、ラジカル重合性パーフルオロ系単量体、例えば、パーフルオロオレフィン系単量体(例えば、テトラフルオロエチレンなどのパーフルオロC2−3オレフィンなど)、パーフルオロビニルエーテル系単量体(例えば、パーフルオロ(プロピルビニルエーテル)などのパーフルオロ(C1−4アルキルビニルエーテル)など)が好ましい。特に、少なくともパーフルオロC2−3オレフィン(テトラフルオロエチレンなど)を含むラジカル重合性フッ素含有単量体が好ましい。
共重合性単量体としては、上記ラジカル重合性フッ素含有単量体に対応し、フッ素原子を含まないラジカル重合性単量体、例えば、フッ素非含有オレフィン系単量体(エチレン、プロピレンなどのC2−4オレフィン;臭化C2−4オレフィンなど)などが例示できる。共重合性単量体の割合は、ラジカル重合性フッ素含有単量体100重量部に対して、30重量部以下、好ましくは20重量部以下、さらに好ましくは10重量部以下(例えば、0.01〜1重量部)程度であってもよい。
代表的な熱可塑性フッ素樹脂(B)としては、ラジカル重合性パーフルオロ系単量体(テトラフルオロエチレンなど)の共重合体[例えば、テトラフルオロエチレンと他のラジカル重合性パーフルオロ系単量体(ヘキサフルオロプロピレン、パーフルオロ(C1−3アルキルビニルエーテル)など)との共重合体]、例えば、テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体、テトラフルオロエチレン−パーフルオロ(プロピルビニルエーテル)共重合体、テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン−パーフルオロ(プロピルビニルエーテル)共重合体などが例示できる。なお、テトラフルオロエチレンと共重合性単量体(他のラジカル重合性パーフルオロ系単量体など)との割合(重量比)は、前者/後者=80/20〜99/1、好ましくは85/15〜99/1、さらに好ましくは90/10〜99/1(例えば、93/7〜99/1)程度であってもよく、通常、80/20〜98/2(例えば、85/15〜95/5)程度である。テトラフルオロエチレンの割合が多すぎても、共重合性単量体の割合が多すぎても、熱可塑性フッ素樹脂(B)を微粒子状に分散するのが困難になり、難燃性が低下する場合がある。
これらの熱可塑性フッ素樹脂(B)は、単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。熱可塑性フッ素樹脂(B)のうち、熱可塑性樹脂(A)中に分散させたとき平均粒子径及び最大粒子径の双方を低減でき、難燃性を大きく向上できる点から、テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン系共重合体が好ましい。
なお、熱可塑性フッ素樹脂(B)の表面には、表面処理(例えば、プラズマ処理、フッ素ガス処理、アンモニア処理など)を施してもよい。
熱可塑性フッ素樹脂(B)の融点は特に制限されず、成形性の点から、熱可塑性樹脂(A)の溶融温度以下で溶融することが好ましく、例えば、400℃以下(例えば、200〜380℃)、好ましくは230〜350℃(例えば、250〜300℃)程度であってもよい。
温度390℃、剪断速度60s−1における熱可塑性フッ素樹脂(B)の溶融粘度をVbとするとき、熱可塑性樹脂(A)と熱可塑性フッ素樹脂(B)との溶融粘度比は、例えば、Va/Vb=0.05/1〜10/1、好ましくは0.1/1〜8/1、さらに好ましくは0.2/1〜7/1、特に0.3/1〜6/1(例えば、0.3/1〜5/1)程度である。
本発明では、熱可塑性フッ素樹脂(B)の添加量(使用量)が少量であっても、高い難燃性を示す。特に、薄肉成形品であっても高い難燃性を示す。熱可塑性樹脂(A)と熱可塑性フッ素樹脂(B)との割合(重量比)は、前者/後者=80/20〜99/1(例えば、85/15〜99/1)の範囲から選択できる。熱可塑性フッ素樹脂(B)の割合が多すぎると、曲げ弾性率が低下したり、射出成形などの際にフッ酸の発生などが懸念され、金属腐食性が増大する。
難燃性、曲げ弾性、非金属腐食性などのバランスの点から、熱可塑性樹脂(A)と熱可塑性フッ素樹脂(B)との割合(重量比)は、例えば、90/10〜99/1、好ましくは92/8〜99/1、さらに好ましくは95/5〜99/1(例えば、95.5/4.5〜99/1)程度であってもよく、96/4〜98.5/1.5(例えば、96/4〜98/2程度)であってもよい。なお、熱可塑性樹脂(A)100重量部に対する熱可塑性フッ素樹脂(B)の割合は、1〜5重量部(例えば、1.5〜4.5重量部)程度であってもよい。
熱可塑性樹脂組成物は、本発明の効果を阻害しない限り、他の樹脂及び/又は添加剤を含んでいてもよい。樹脂としては、例えば、ポリアリレート、ポリフェニレンエーテル、変性ポリフェニレンエーテル(ポリエーテルニトリルなど)、ポリフェニレンスルフィド、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリケトンスルフィド、ポリベンゾイミダゾール、ポリエーテルイミド、ポリアミドイミドなどが例示できる。添加剤としては、例えば、安定剤(耐熱安定剤、耐光安定剤など)、フィラー[例えば、ガラス繊維、ガラスパウダー、カーボン繊維、カーボンパウダー、カーボンナノチューブ、金属酸化物(酸化アルミニウム、酸化亜鉛など)、金属窒化物(窒化アルミニウム、窒化ホウ素など)などの無機フィラー]、可塑剤、滑剤、着色剤などが例示できる。これらの樹脂及び添加剤は、それぞれ、単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。なお、本発明では、フィラーを配合しなくても、高い難燃性を安定して得ることができ、ウェルドの有無に対する引張強度の影響を低減でき、成形性を向上させることができる。
熱可塑性樹脂組成物の溶融粘度は、温度400℃(又は温度390℃)、剪断速度60s−1において、例えば、50〜4000Pa・s、好ましくは100〜3000Pa・s、さらに好ましくは150〜2500Pa・s程度であってもよい。
(相分離構造)
熱可塑性樹脂組成物は、相分離構造を有しており、連続相を構成する熱可塑性樹脂(A)中に、分散相を構成する熱可塑性フッ素樹脂(B)が粒子状に分散している。分散相は、等方形状であってもよく、異方形状であってもよい。
分散相(熱可塑性フッ素樹脂(B)相)の平均粒子径は、例えば、3μm以下(例えば、2μm以下)、好ましくは1μm以下(例えば、0.1〜0.7μm)、さらに好ましくは0.6μm以下(例えば、0.2〜0.6μm程度)であってもよく、0.05〜0.8μm程度であってもよい。また、分散相(熱可塑性フッ素樹脂(B)相)の平均粒子径は、0.7μm以下、例えば、0.5μm以下(例えば、0.01〜0.5μm程度)、好ましくは0.4μm以下、さらに好ましくは0.3μm以下であってもよい。分散相の最大粒子径は、例えば、4μm以下、好ましくは3μm以下(例えば、2μm以下)、さらに好ましくは1μm以下(例えば、0.8μm以下)であってもよい。このように、本発明では、分散相を微粒子化でき、連続相中に分散相を均一に分散できるため、高い難燃性を安定して発揮することができる。分散相の粒子径は、熱可塑性樹脂組成物で形成されたシートを慣用の装置[透過型電子顕微鏡(TEM)、走査型電子顕微鏡(SEM)、レーザー顕微鏡、原子間力顕微鏡(AFM)など]により顕微鏡観察を行い、得られた画像を光学解析装置において二値化処理することにより測定することができる。
熱可塑性樹脂組成物は、曲げ弾性に優れており、曲げ弾性率は、ASTM D790に準じて、例えば、3000〜5000MPa、好ましくは3100〜4500MPa、さらに好ましくは3200〜4000MPa程度であってもよい。
また、熱可塑性樹脂組成物(又はその成形体)は、薄肉成形しても難燃性に優れており、厚み0.8mmの試験片を、UL94に準拠した垂直燃焼試験に供したとき、一回目及び二回目の着火時間の合計は、15秒以下、好ましくは12秒以下、さらに好ましくは10秒以下(例えば、8秒以下)であってもよい。
さらに、熱可塑性樹脂組成物は、非金属腐食性に優れており、樹脂の加工装置(射出成形機やその金型、押出機など)の腐食を有効に防止できる。
熱可塑性樹脂組成物の製造方法は、熱可塑性樹脂(A)中に熱可塑性フッ素樹脂(B)を微粒子状に分散できる限り特に制限されない。熱可塑性樹脂組成物は、通常、各成分を溶融混練することにより調製できる。より具体的には、各成分を、必要により混合機(タンブラー、V型ブレンダー、ヘンシェルミキサー、ナウタミキサー、リボンミキサー、メカノケミカル装置、押出混合機など)で予備混合した後、種々の溶融混練機(例えば、ニーダー、一軸又は二軸押出し機など)で溶融混練する場合が多い。溶融混練により、熱可塑性樹脂(A)中に熱可塑性フッ素樹脂(B)が所定の平均粒子径で粒子状に分散した分散相を形成できる。溶融混練温度は、熱可塑性樹脂(A)及び熱可塑性フッ素樹脂(B)の融点以上であればよく、例えば、300〜450℃、好ましくは350〜400℃程度であってもよい。攪拌速度(回転速度)は、例えば、150〜500rpm、好ましくは200〜400rpm(例えば、250〜350rpm)程度であってもよい。溶融混練物は、慣用のペレット化手段(ペレタイザーなど)により、ペレット化してもよい。
本発明の成形体は、前記熱可塑性樹脂組成物で形成されている限り特に制限されず、成形体の形状は、例えば、フィルム状又はシート状などの二次元的形状であってもよく、棒状、パイプ状、板状などの三次元的形状などであってもよい。
本発明では、薄肉成形体であっても、極めて高い難燃性が得られる。薄肉成形体としては、代表的には、厚み1.5mm以下、好ましくは1.4mm以下、さらに好ましくは1mm以下(例えば、0.1〜1mm程度)の薄肉部を有する成形体(薄肉シートなど)などが挙げられる。薄肉部の厚みは、0.3〜1.3mm、好ましくは0.5〜1.2mm、さらに好ましくは0.7〜1mm程度であってもよい。
成形体は、慣用の方法、例えば、押出成形、射出成形、プレス成形などにより形成される。射出成形において、シリンダー温度は溶融混練温度と同等の範囲から選択できる。また、金型温度は、例えば、80〜250℃、好ましくは90〜220℃、さらに好ましくは100〜200℃程度であってもよい。本発明では、離型性に優れるため、成形サイクルを短縮化できる。
以下に、実施例に基づいて本発明をより詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例によって限定されるものではない。なお、比較例及び実施例の難燃性樹脂組成物の原料、各物性の評価方法は以下の通りである。
[原料]
PEEK:ダイセル・エボニック(株)製、ベスタキープ−J ZV7403、ポリエーテルエーテルケトン
FEP:テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン系共重合体(組成重量比;テトラフルオロエチレン/ヘキサフルオロプロピレン/パーフルオロ(プロピルビニルエーテル)=87.5/11.5/1.0、MFR;27g/10分)
PFA:テトラフルオロエチレン−パーフルオロアルキルビニルエーテル系共重合体(組成重量比;テトラフルオロエチレン/パーフルオロ(プロピルビニルエーテル)=94.5/5.5、MFR;23g/10分)
[曲げ弾性率]
曲げ弾性率は、ASTM D790に準じて測定した。
[分散相の平均粒径]
比較例又は実施例の樹脂組成物で形成したプレスシートを、ウルトラミクロトーム(ライカ社製、ULTRACUT S)の試料ホルダーに固定し、チャンバー内を液体窒素で−80℃に冷却し、厚み90nmの薄切片を切り出した。得られた薄切片を、20%エタノール溶液を付着させた白金リングにて回収し、銅製シートメッシュ(応研商事社製、200A)に付着させた。透過型電子顕微鏡(日立製作所社製、H7100FA)を用いて、銅製シートメッシュに付着した薄切片を観察してネガフィルムを作製し、このネガフィルムをスキャナー(EPSON社製、GT−9400UF)にて電子画像化し、光学解析装置(ニレコ社製、LUZEX AP)を用いて電子像の二値化処理を行い、分散相の平均粒径を算出した。
[垂直燃焼試験]
比較例又は実施例の樹脂組成物で形成した射出成形品を用いて、UL94Vに準じて測定した。
[金属腐食試験]
シャーレの中央部にステンレス(SUS316)製の金属円板(φ50mm、厚み2mm)を積層した積層体を2組用意し、これらの積層体を、金属円板が内側になるように対向させて、2枚の金属円板の間に、比較例又は実施例の樹脂組成物で形成した1cmのペレットを挟んで試験体を作製した。この試験体を、オーブン内にて390℃、42時間加熱し、金属の腐食を以下の基準により評価した。
4…ペレットを置いた部分が全く変色せず、凹凸も生成していない
3…ペレットを置いた部分が一部変色しているものの、凹凸は生成していない
2…ペレットを置いた部分が一部変色し、凹凸が生成している
1…ペレットを置いた部分が全て変色し、凹凸が生成している。
[金型離型性]
垂直燃焼試験用の試験片(0.8mm厚)について成形を行い、金型を開いて突き出しピンによってイジェクトした時に、試験片が移動側又は稼動側に残った場合を離型不良、残らずイジェクトできた場合を離型良として、10回の成形のうちの離型不良の回数により金型離型性を評価した。
比較例1及び実施例1〜11並びに参考例1〜6
JSW社製 TEX44αIIを用いて、PEEKとFEP又はPEEKとPFAを表3〜5に示す割合(重量比)でドライブレンドした後、表1〜2に示す条件で溶融混練し、樹脂組成物を調製した。この樹脂組成物をペレタイザーによりペレット化し、ペレットを作製した。また、前記樹脂組成物を熱プレス機により380℃及び5MPaの条件下でプレスし、厚み1.4mmのプレスシートを作製した。さらに、前記樹脂組成物を射出成形し、厚み0.8mmの射出成形品を作製した。結果を表3〜5に示す。
Figure 0006059233
Figure 0006059233
Figure 0006059233
Figure 0006059233
Figure 0006059233
表3〜5から明らかなように、比較例に比べ、実施例では、難燃性に優れており、曲げ弾性率が高く、耐腐食性、金型離型性にも優れている。
本発明の熱可塑性樹脂組成物及びその成形体は、薄肉成形しても高い難燃性を有するため、家庭電化用品、オフィスオートメーション(OA)機器、モバイル機器などの構成部材として好適に利用できる。また、本発明の熱可塑性樹脂組成物及びその成形体は、薄肉であっても曲げ弾性率が高く、割れにくいため、スマートフォン、パーソナルコンピュータ(ノート型、タブレット型など)、電子ブックリーダー、デジタルカメラなどの薄型スイッチなどとして好適に利用できる。さらに、本発明の熱可塑性樹脂組成物及びその成形体は、パッキン(弱電分野で使用されるパッキンなど)、結束バンド(飛行機内で使用される結束バンドなど)などとしても好適に利用できる。

Claims (9)

  1. 厚み1.5mm以下の薄肉部を有する薄肉成形体を形成するための難燃性熱可塑性樹脂組成物であって、
    アリーレン基とエーテル基とカルボニル基とで構成された繰り返し単位を含む熱可塑性樹脂(A)と、熱可塑性フッ素樹脂(B)とを含んでおり、
    熱可塑性フッ素樹脂(B)が、テトラフルオロエチレンと、ヘキサフルオロプロピレン及びパーフルオロ(C 1−3 アルキルビニルエーテル)から選択された少なくとも一種との共重合体であり、
    熱可塑性樹脂(A)と熱可塑性フッ素樹脂(B)との重量割合が、前者/後者=95/5〜99/1であり、
    熱可塑性フッ素樹脂(B)が熱可塑性樹脂(A)中に粒子状に分散し、分散相を形成しており、分散相の平均粒子径が0.01〜0.8μmである難燃性熱可塑性樹脂組成物。
  2. 熱可塑性樹脂(A)と熱可塑性フッ素樹脂(B)との重量割合が、前者/後者=96/4〜98/2である請求項1記載の難燃性熱可塑性樹脂組成物。
  3. 熱可塑性フッ素樹脂(B)の分散相の平均粒子径が0.01〜0.7μmである請求項1又は2記載の難燃性熱可塑性樹脂組成物。
  4. 熱可塑性樹脂(A)が、下記式(a1)〜(a3)のいずれかで表される繰り返し単位を含む熱可塑性樹脂である請求項1〜のいずれかに記載の難燃性熱可塑性樹脂組成物。
    [−Ar−O−Ar−C(=O)−] (a1)
    [−Ar−O−Ar−C(=O)−Ar−C(=O)−](a2)
    [−Ar−O−Ar−O−Ar−C(=O)−] (a3)
    (式中、Arは2価の芳香族炭化水素環基を表す)
  5. 熱可塑性フッ素樹脂(B)が、ラジカル重合性パーフルオロ系単量体の共重合体である請求項1〜のいずれかに記載の難燃性熱可塑性樹脂組成物。
  6. 温度390℃、剪断速度60s−1において、熱可塑性樹脂(A)と熱可塑性フッ素樹脂(B)との溶融粘度比が、前者/後者=0.3/1〜6/1である請求項1〜のいずれかに記載の難燃性熱可塑性樹脂組成物。
  7. 厚み0.8mmの試験片を、UL94に準拠した垂直燃焼試験に供したとき、一回目及び二回目の着火時間の合計が10秒以下である請求項1〜のいずれかに記載の難燃性熱可塑性樹脂組成物。
  8. 請求項1〜のいずれかに記載の難燃性熱可塑性樹脂組成物で形成された薄肉成形体。
  9. 請求項1〜のいずれかに記載の難燃性熱可塑性樹脂組成物を溶融混練して、熱可塑性樹脂(A)中に熱可塑性フッ素樹脂(B)を平均粒子径が0.01〜0.8μmの粒子状に分散させ、厚み1.5mm以下の薄肉部を有する薄肉成形体を成形することにより、この薄肉成形体の難燃性を向上させる方法。
JP2014532952A 2012-08-31 2013-08-21 難燃性熱可塑性樹脂組成物 Active JP6059233B2 (ja)

Applications Claiming Priority (3)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2012191084 2012-08-31
JP2012191084 2012-08-31
PCT/JP2013/072295 WO2014034493A1 (ja) 2012-08-31 2013-08-21 難燃性熱可塑性樹脂組成物

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JPWO2014034493A1 JPWO2014034493A1 (ja) 2016-08-08
JP6059233B2 true JP6059233B2 (ja) 2017-01-11

Family

ID=50183308

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2014532952A Active JP6059233B2 (ja) 2012-08-31 2013-08-21 難燃性熱可塑性樹脂組成物

Country Status (7)

Country Link
US (1) US9382414B2 (ja)
EP (1) EP2891683B1 (ja)
JP (1) JP6059233B2 (ja)
KR (1) KR101777930B1 (ja)
CN (1) CN104603202B (ja)
TW (1) TWI576392B (ja)
WO (1) WO2014034493A1 (ja)

Families Citing this family (11)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US20170301430A1 (en) 2014-10-10 2017-10-19 Daikin Industries, Ltd. Resin composition and moulded article
CN104530640B (zh) * 2014-12-26 2017-01-04 立昌科技(赣州)有限公司 一种塑胶材料及其制备方法
WO2017188280A1 (ja) * 2016-04-28 2017-11-02 旭硝子株式会社 含フッ素共重合体組成物、その製造方法、および成形体
JP6547014B1 (ja) * 2018-01-23 2019-07-17 ダイキン工業株式会社 造形用粉末
DE112019001954T5 (de) * 2018-04-13 2021-01-21 AGC Inc. Harzzusammensetzung, Formprodukt und dessen Verwendung
CN115210315A (zh) * 2020-03-10 2022-10-18 大金工业株式会社 树脂组合物、成型品和成型品的制造方法
EP4215585A1 (en) * 2020-09-30 2023-07-26 Daikin Industries, Ltd. Insulated electrical wire and resin composition
CN112795136A (zh) * 2020-12-17 2021-05-14 浙江歌瑞新材料有限公司 一种轻质航空用阻燃捆扎带及制备工艺
WO2022181849A1 (ja) * 2021-02-26 2022-09-01 ダイキン工業株式会社 含フッ素共重合体
EP4299636A1 (en) * 2021-02-26 2024-01-03 Daikin Industries, Ltd. Fluorine-containing copolymer
FR3127496A1 (fr) * 2021-09-28 2023-03-31 Arkema France Poudre à base de polyaryléthercétone(s) pour la fabrication d’objets ductiles.

Family Cites Families (11)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
DE69612210T2 (de) * 1995-11-09 2001-11-08 Daikin Ind Ltd Feines polytetrafluorethylenpulver, seine herstellung und verwendungen
TW559835B (en) 2000-12-08 2003-11-01 Sekisui Chemical Co Ltd Material for insulating substrate
JP3863771B2 (ja) * 2000-12-08 2006-12-27 積水化学工業株式会社 絶縁基板用材料、プリント基板、積層板、樹脂付き銅箔、銅張積層板、ポリイミドフィルム、tab用フィルム及びプリプレグ
JP2003082123A (ja) * 2001-09-14 2003-03-19 Du Pont Toray Co Ltd ポリアリールケトンフィルムおよびそれを用いた可撓性印刷回路基板
JP2006231761A (ja) * 2005-02-25 2006-09-07 Nagoya Oil Chem Co Ltd プラスチックダンボール
JP2006274073A (ja) 2005-03-29 2006-10-12 Mitsubishi Plastics Ind Ltd 樹脂組成物、その樹脂成形体、及び樹脂組成物の製造方法
JP2008169363A (ja) * 2006-12-15 2008-07-24 Toray Ind Inc 難燃性樹脂組成物
JP2010135280A (ja) * 2008-10-28 2010-06-17 Jsr Corp プロトン伝導膜およびその製造方法、膜−電極接合体、固体高分子型燃料電池
CN101880436B (zh) * 2010-07-05 2012-05-30 清华大学 树脂组合物及其模塑品
CN103958608B (zh) * 2011-12-13 2016-08-17 大金工业株式会社 树脂组合物和成型品
JP5975042B2 (ja) 2011-12-14 2016-08-23 ダイキン工業株式会社 絶縁電線

Also Published As

Publication number Publication date
US20150259525A1 (en) 2015-09-17
EP2891683A4 (en) 2015-12-30
KR101777930B1 (ko) 2017-09-12
TW201418364A (zh) 2014-05-16
WO2014034493A1 (ja) 2014-03-06
CN104603202A (zh) 2015-05-06
TWI576392B (zh) 2017-04-01
EP2891683B1 (en) 2020-05-20
CN104603202B (zh) 2017-10-27
US9382414B2 (en) 2016-07-05
KR20150052126A (ko) 2015-05-13
EP2891683A1 (en) 2015-07-08
JPWO2014034493A1 (ja) 2016-08-08

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP6059233B2 (ja) 難燃性熱可塑性樹脂組成物
TWI359839B (en) Flame retardant polycarbonate resin composition
JP6278282B2 (ja) 含フッ素エラストマー組成物、その製造方法、成形体、架橋物、及び被覆電線
TW200734402A (en) High-performance poly(aryl ether sulfone) composition
JP3937184B2 (ja) 含フッ素樹脂組成物
KR20150143692A (ko) 내광성 수지 조성물 및 그의 성형체
WO2006109568A1 (ja) 芳香族ポリカーボネート樹脂組成物及びそれを用いた成形体
CN105324438B (zh) 耐光性提高剂
JPWO2011013645A1 (ja) ポリカーボネート樹脂組成物及びその成形品
JP5654744B2 (ja) ポリカーボネート樹脂組成物
US20230016062A1 (en) Resin composition, molded article, and method for producing molded article
JP5721743B2 (ja) 硬化性組成物
JP5616612B2 (ja) ポリカーボネート樹脂組成物
CA2722471C (en) Fire resistant, high flow poly(aryl ether sulfone) composition
JP2011111560A (ja) ポリカーボネート樹脂組成物
JP2008050488A (ja) 樹脂組成物及びこれを成形してなる成形体
JPH03263460A (ja) 耐衝撃性樹脂組成物

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20160512

A871 Explanation of circumstances concerning accelerated examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A871

Effective date: 20160810

A975 Report on accelerated examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971005

Effective date: 20160830

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20160906

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20161020

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20161115

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20161208

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 6059233

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

S533 Written request for registration of change of name

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313533

R350 Written notification of registration of transfer

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250