JP6055419B2 - 多孔質セラミックス及びその製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、多孔質セラミックス及びその製造方法に関する。
本願は、2011年11月30日に、日本に出願された特願2011−262017号に基づき優先権を主張し、その内容をここに援用する。
一般に、多孔質セラミックスは、耐火断熱材料、水質浄化材料、調湿材料、揮発性有機化合物(VOC)吸着材料等に用いられている。このような多孔質セラミックスの構造としては、独立気泡型、格子構造型、アグリゲート型、微小な亀裂孔隙を有するもの、連続貫通気孔を有するもの等が挙げられ、用途に応じて選択される。
格子構造型の多孔質セラミックスとしては、発泡ウレタン樹脂の気孔内へセラミックス組成物を注入充填した後、樹脂成分を分解し、焼結されたものが知られている。
アグリゲート型の多孔質セラミックスとしては、組成物中の素粒子の骨材の間隙を気孔としたものが知られている。
独立気孔型の多孔質セラミックスとしては、焼成工程において、組成物中の高温分解揮発成分により気孔を生成させたものが知られている。
微小な亀裂孔隙を有する多孔質セラミックスとしては、加熱時に収縮する粘土類等の原料と、加熱時に膨張するスラグ類とを混合した組成物を焼結し得られるものが知られている。
また、連続貫通気孔を有する多孔質セラミックスとしては、含水組成物内に、金属アルミニウムにアルカリ溶液を加えて水素を発生させ、これを焼結して得られるものが知られている。
近年、多孔質セラミックスは、舗装道路の路面材、建築物の屋上材や壁材、緑化基盤等の建築材料としても利用されている。建築材料として用いられる多孔質セラミックスには、水が浸透しやすく(透水性が高い)、かつ適度な保水性を有することが必要とされる。
このような多孔質セラミックスとして、例えば、珪藻土と粘土と有機汚泥とを混合し、焼結した多孔質セラミックス焼結体が提案されている(例えば、特許文献1)。特許文献1の発明によれば、珪藻土の気孔に粘土が入り込むのを防いで維持した珪藻土由来のマイクロメートルオーダーの気孔と、人工的に形成されたミリメートルオーダーの気孔とにより、透水性及び保水性を高めることが図られている。
国際公開第2010/106724号
しかしながら、従来の多孔質セラミックスは、そのまま建築材料として用いられると、経時的に透水性が低くなるという問題があった。透水性が低くなる原因としては、砂や埃等の微粒子が多孔質セラミックスの表面の気孔を埋めてしまうためと考えられるが、屋外で用いられる路面材、屋上材や壁材、土壌に埋設されて使用される緑化基盤等から微粒子を取り除くことは困難である。
そこで、本発明は、長期間にわたって、透水性の低下を抑制できる多孔質セラミックスを目的とする。
本発明の多孔質セラミックスの一態様は、粘土を含む混合物を成形し、焼結して多孔質セラミックス焼結体を得、前記多孔質セラミックス焼結体の表面に研削加工を施してなることを特徴とする。すなわち、本発明の多孔質セラミックスの一態様は、粘土を含む混合物を成形し、焼結した多孔質セラミックス焼結体において、前記多孔質セラミックス焼結体の表面部分が研削加工により取り除かれたことを特徴とする。前記混合物は、発泡剤を含むことが好ましい。
本発明の多孔質セラミックスの製造方法の一態様は、粘土を含む混合物を成形し、焼結して多孔質セラミックス焼結体を得、前記多孔質セラミックス焼結体の表面に研削加工を施すことを特徴とする。前記混合物は、発泡剤を含むことが好ましい。
本発明の多孔質セラミックスによれば、長期間にわたって、透水性の低下を抑制できる。
多孔質セラミックスの平面視写真である。 多孔質セラミックスの斜視写真である。 実施例1及び比較例1の透水速度の推移を示すグラフである。
(多孔質セラミックス)
本発明の多孔質セラミックスの一態様は、粘土を含む混合物を成形し、焼結して多孔質セラミックス焼結体を得、前記多孔質セラミックス焼結体の表面に研削加工を施したものである。
多孔質セラミックスは、内部に気孔が形成されたものである。
多孔質セラミックスに形成されている気孔の大きさは、用途を勘案して決定でき、例えば、孔径10〜1000nmのナノメートルオーダーの気孔であってもよいし、孔径1μm超1000μm以下のマイクロメートルオーダーの気孔であってもよいし、孔径1mm超300mm以下のミリメートルオーダーの気孔であってもよいし、これらの気孔が混在していてもよい。気孔の孔径とは、気孔の長辺方向の長さをいい、以下、単に孔径という場合には、気孔の長径を指す。気孔の孔径は、原料の種類や、焼成条件を組み合わせることにより調節できる。ミリメートルオーダーの気孔の孔径は、多孔質セラミックスを切断し、スケールを用いて測定される値である。ナノメートルオーダー及びマイクロメートルオーダーの気孔の孔径は、多孔質セラミックスを切断し、電子顕微鏡を用いて測定される値である。
多孔質セラミックスに形成されている気孔は、それぞれ独立したものであってもよいし、相互に連通した連通孔であってもよい。多孔質セラミックスは、断熱性、吸音性、保水性、透水性又は通気性の向上の観点から、連通孔を有することが好ましい。かかる連通孔は、多孔質セラミックスを貫通して形成されたものであることがより好ましい。
多孔質セラミックスにおける気孔の体積の割合(気孔率)は、用途に応じて決定され、例えば、[(気孔の体積)/(多孔質セラミックスの体積)]×100で表される気孔率が、好ましくは20〜85体積%、より好ましくは40〜80体積%、さらに好ましくは60〜70体積%とされる。気孔率が上記下限値以上であれば、透水性、保水性、防音性、断熱性等の諸特性をより高められ、上記上限値以下であれば、多孔質セラミックスの強度をより高められる。
多孔質セラミックスの飽和含水率は、例えば、20%以上が好ましく、30%以上がより好ましく、40%以上がさらに好ましい。上限は高い程よいが、高すぎると用途によっては強度が不足することもあるため、100%以下が好ましく、80%以下がより好ましい。飽和含水率が20%未満であると、気孔率が高いものであっても、保水性が低くなる傾向にあり、緑化基盤や保水した水を気化させて生じる冷却効果(温度上昇の抑制)等を目的とする用途(例えば、路面材、天井材、壁材等)としては、十分な効果が得られないおそれがある。
多孔質セラミックスは、[絶乾状態の多孔質セラミックスの質量(g)]/[多孔質セラミックスの体積(cm)]で表される比重が、好ましくは0.4〜1.3g/cm、より好ましくは0.45〜1.1g/cm、さらに好ましくは0.55〜0.85g/cmとされる。比重が上記下限値以上であれば、多孔質セラミックスの強度をより高められ、上記上限値以下であれば、諸特性をより高められる。
多孔質セラミックスの形状は、用途等を勘案して決定することができ、例えば、平板状の板状物、円柱状又は角柱状(ブロック状)等の柱状物等が挙げられる。中でも、路面材、天井材、壁材等の建築材料として好適な板状物や角柱状物において、本発明の効果が顕著である。
多孔質セラミックスの大きさは、用途等を勘案して決定でき、例えば、板状物であれば、長さ5〜100cm×幅5〜100cm×厚み1〜10cmとされる。
(製造方法)
本発明の多孔質セラミックスの製造方法の一態様は、粘土を含む混合物を得る工程(混合工程)と、混合物を成形して成形体を得る工程(成形工程)と、成形体を焼結して多孔質セラミックス焼結体を得る工程(焼成工程)と、多孔質セラミックス焼結体の表面に研削加工を施す工程(研削工程)とを備えるものである。
<混合工程>
混合工程は、粘土と、必要に応じて任意成分とを混合し、混合物を得る工程である。
≪粘土≫
粘土は、一般に窯業原料として用いられる粘土状の性状を示す鉱物材料である。ただし、本発明の一態様における粘土には、珪藻土が含まれない。
粘土としては、従来、セラミックス焼結体に用いられる公知のものを用いることができ、例えば、石英、長石、粘土系等の鉱物組成で構成され、構成鉱物としては、カオリナイトを主とし、ハロイサイト、モンモリロナイト、イライトを含むものが好ましい。中でも、焼結時のクラックの進展を抑え、多孔質セラミックスの破損を防ぐ観点から粒子径が500μm以上の石英の粗粒を含むものがより好ましい。前記石英の粗粒は、粒子径が5mm以下であることが好ましい。このような粘土としては、例えば、蛙目粘土等が挙げられる。粘土は、1種単独で又は2種以上を適宜組み合わせて配合される。
混合物中の粘土の配合量は、多孔質セラミックスの用途等を勘案して適宜決定され、例えば、好ましくは5〜60質量%、より好ましくは10〜50質量%とされる。上記下限値未満では、多孔質セラミックスが脆くなるおそれがあり、上記上限値超では、成形性が損なわれるおそれがある。
≪任意成分≫
任意成分としては、発泡剤、有機汚泥、珪藻土、フィラー、各種添加剤等が挙げられ、中でも、発泡剤、有機汚泥が好ましく、発泡剤がより好ましい。任意成分として発泡剤や有機汚泥を用いることで、多孔質セラミックスの気孔率を高め、多孔質セラミックスの諸特性をより発揮しやすくできる。
発泡剤は、焼成時に発泡するものであり、例えば、炭酸カルシウム、炭化ケイ素、炭酸マグネシウム、スラグ等の公知のセラミックス用の発泡剤を用いることができる。これら発泡剤の中でも、スラグが好ましい。
スラグとしては特に限定されず、例えば、金属精錬時に発生する高炉スラグ、都市ゴミの溶融時に発生する都市ゴミ溶融スラグ、下水汚泥の溶融時に発生する下水汚泥溶融スラグ、ダクタイル鋳鉄等の鋳鉄時に発生する鋳鉄スラグ等のガラス質スラグ等が挙げられる。これらの中でも、鋳鉄スラグがより好ましい。鋳鉄スラグは、組成が安定しているため安定した発泡状態が得られると共に、他のスラグに比べ1.5〜2倍程度の発泡率である。鋳鉄スラグを用いることで、多孔質セラミックスにミリメートルオーダーの大きな気孔を形成できる。
混合物中の発泡剤の配合量は、多孔質セラミックスの用途等を勘案して適宜決定され、例えば、好ましくは10〜80質量%、より好ましくは30〜70質量%とされる。上記下限値未満では、気孔率が低くなりすぎて、多孔質セラミックスの諸特性が十分に発揮されないおそれがあり、上記上限値超では、成形性が損なわれるおそれがある。
有機汚泥は、主成分として有機物を含有する汚泥である。有機汚泥を用いることで、多孔質セラミックスにナノメートルオーダーからマイクロメートルオーダーの気孔が形成される。有機汚泥としては特に限定されないが、下水や工場等の排水処理に由来する活性汚泥が好ましい。活性汚泥は、活性汚泥法を用いた排水処理設備から、凝集及び脱水工程を経て排出されて得られる。このような有機汚泥を用いることで、所望する気孔を容易に形成することができる。さらに、廃棄物の位置付けであった排水処理由来の活性汚泥を原料としてリサイクルすることができる。
有機汚泥の含水率は、好ましくは60〜90質量%、より好ましくは65〜85質量%である。上記範囲内であれば、混合工程で均質な混合物が得られると共に、連続成形においても良好な成形性を維持できる。
有機汚泥の有機物の含有量は特に限定されないが、例えば、有機汚泥の固形分中の有機物の含有量(有機物含有量)として70質量%以上が好ましく、80質量%以上がより好ましい。有機汚泥の固形分中の有機物の含有量は、上限値として、100質量%でもよい。有機物含有量が多いほど、気孔の形成が容易となる。有機物含有量は、乾燥後の汚泥をJIS M8812−1993に準じ、炭化温度700℃で灰分(質量%)を測定し、下記(1)式により求められる値である。
有機物含有量(質量%)=100(質量%)−灰分(質量%) ・・・(1)
混合物中の有機汚泥の配合量は、多孔質セラミックスの用途等を勘案して適宜決定され、例えば、好ましくは1〜60質量%、より好ましくは3〜40質量%とされる。上記範囲内であれば、混合物は適度な流動性と可塑性とを備え、成形性を高められる。加えて、連通孔を形成しやすくなり、多孔質セラミックスの諸特性を高められる。
珪藻土は、珪藻の遺骸からなる堆積物であり、マイクロメートルオーダーの気孔を有する多孔質である。
珪藻土は、特に限定されず、従来、耐火煉瓦、濾過材等に使用されていたものと同様のものを用いることができる。例えば、狭雑している粘土鉱物(モンモリロナイト等)や石英、長石等を分別精製する必要はなく、これらの含有率を認識した上で、混合物への配合量を調整することができる。また、珪藻土は、珪藻土を用いて製造された瓦、七輪等が粉砕されたものであってもよい。
珪藻土の含水率は特に限定されず、例えば、自然乾燥状態での含水率が20〜60質量%が好ましく、30〜50質量%が好ましく、35〜45質量%がさらに好ましい。上記範囲内であれば、含水率を認識しながら、混合の際に狭雑物中の粗粒子分を除去して使用することで、成形性が良好な混合物を得られるためである。
含水率は、乾燥減量方式である下記仕様の赤外線水分計を用い試料を乾燥(200℃、12分間)し、下記(2)式により求めた値である。
<仕様>
測定方式:乾燥減量法(加熱乾燥による質量測定方式)
最小表示:含水率;0.1質量%
測定範囲:含水率;0.0〜100質量%
乾燥温度:0〜200℃
測定精度:試料質量5g以上で、含水率±0.1質量%
熱源:赤外線ランプ;185W
含水率(質量%)=[(m−m)/(m−m)]×100 ・・・(2) m:乾燥前の容器の質量と乾燥前の試料の質量との合計質量(g) m:乾燥後の容器の質量と乾燥後の試料の質量との合計質量(g) m:乾燥後の容器の質量(g)
混合物中の珪藻土の配合量は、多孔質セラミックスに求める気孔率等を勘案して、適宜決定され、例えば、55質量%以下とされる。混合物中の珪藻土の配合量は、0〜40質量部が好ましく、0〜20質量部がより好ましく、0〜15質量部がさらに好ましい。
珪藻土を含む混合物の成形体を焼成すると、200℃前後にて体積変化が起こり、焼成時又は焼成後の冷却時に割れや表面欠損が生じるおそれある。このため、混合物には、珪藻土を配合しないことが好ましい。「珪藻土を配合しない」とは、混合物全体に対して、珪藻土の配合量が、0〜1質量%であり、0〜0.1質量%が好ましく、0〜0.01質量%がより好ましい。
フィラーとしては、例えば、溶融温度が900℃以上の高融点ガラスの粒子、炭素繊維、ロックウール等が挙げられる。例えば、高融点ガラスの粒子をフィラーとして含む混合物を焼結すると、高融点ガラスの粒子は、部分的に溶融し、高融点ガラスの粒子同士で融着したり、粘土や珪藻土等のバインダーとして機能し、多孔質セラミックスの強度を高められる。炭素繊維やロックウールは、多孔質セラミックスに取り込まれることで、多孔質セラミックスの強度を高められる。
フィラーの中でも、高融点ガラスの粒子が好ましい。高融点ガラスの粒子を用いることで、多孔質セラミックスの強度をより高められ、特に多孔質セラミックスの曲げ強度を高められる。
高融点ガラスは、溶融温度900℃以上のものであり、好ましくは溶融温度1000℃以上、より好ましくは溶融温度1200℃以上のものである。上記下限値以上であれば、高融点ガラスの粒子は、後述する焼成工程において部分的に溶融し、高融点ガラスの粒子同士で融着したり、粘土や珪藻土等のバインダーとして機能できる。加えて、溶融温度が高いほど、多孔質セラミックスの強度を高められる。また、高融点ガラスの溶融温度は、1800℃以下が好ましく、1600℃以下がより好ましい。上記上限値超であると、焼成工程において、高融点ガラスの粒子が溶融しにくく、多孔質セラミックスの強度を十分に高められないおそれがある。
高融点ガラスの材質は、特に限定されないが、無アルカリガラス、アルミノケイ酸ガラス、ホウケイ酸ガラス、石英ガラスが好ましく、中でも、ホウケイ酸ガラスが好ましい。
このような材質であれば、多孔質セラミックスの強度を十分に高められる。
無アルカリガラスは、実質的にナトリウム、カリウム、リチウム等のアルカリ金属元素を含有しないガラスである。実質的に含有しないとは、ガラス組成中のアルカリ金属元素の含有量が酸化物換算で0.1質量%以下を意味する。ガラス組成中のアルカリ金属元素の含有量は、酸化物換算で、0〜0.1質量%が好ましく、0〜0.01質量%がより好ましい。
アルミノケイ酸ガラスは、アルミニウムと珪素とを主成分とする酸化物ガラスである。
ホウケイ酸ガラスは、ホウ素と珪素とを主成分とする酸化物ガラスである。
石英ガラスは、石英から作製されるガラスで、酸化珪素の純度が高いものをいう。
このような高融点ガラスとしては、AN100(商品名、無アルカリホウケイ酸ガラス、旭硝子株式会社製)等が挙げられる。
高融点ガラスは、例えば、液晶テレビ等の液晶ディスプレイ、プラズマディスプレイ等のパネル、EL用カバーガラス、CCDに代表される固体撮像素子用のカバーガラス、ハンドパスフィルター等の光学フィルター用ガラス、チップ・オン・ガラス用途のガラス基板用ガラス、フラスコやビーカー等の各種製品に用いられている。
高融点ガラスの粒子には、上記の製品の製造工程で排出される廃ガラスや、廃棄された液晶テレビ等から回収されるパネルを用いることができる。
液晶テレビ等のフラットディスプレイ用のパネルは、大型化等に伴い、フラットディスプレイの製造時に、多量の廃ガラスを発生する。フラットディスプレイ用のパネルの廃ガラスを高融点ガラスの粒子とすることで、廃棄物を削減できる。このため、環境負荷を低減する観点から、フラットディスプレイ用のパネルの廃ガラスを高融点ガラスの粒子として用いることが好ましい。加えて、フラットディスプレイ用のパネルの廃ガラスは、ガラス組成物の純度が高いため、特段の精製をすることなく、安定した品質の高融点ガラスとして利用できる。
高融点ガラスの粒子の粒子径は、特に限定されないが、0.3〜5mmが好ましい。粒子径が0.3mm未満であると、多孔質セラミックスは、気孔率が低下したり、比重が増加したりする。気孔率の低下によって、諸特性が損なわれたり、比重の増加によって、多孔質セラミックスの質量が著しく増加するおそれがある。粒子径が5mm超であると、後述する成形工程において成形性が損なわれるおそれがある。
高融点ガラスの粒子径は、多孔質セラミックスの生産性とさらなる強度の向上の観点から、0.6mm超1.2mm以下がより好ましい。
炭素繊維としては、ポリアクリロニトリル(PAN)系、ピッチ系、レーヨン又はセルロース系等の種々の炭素繊維を用いることができる。
炭素繊維の長さは、多孔質セラミックスの形状等を勘案して決定でき、板状物であれば、例えば、1mm〜10cmが好ましく、5〜25mmがより好ましい。上記下限値未満であると、多孔質セラミックスの強度を十分に高められないおそれがあり、上記上限値超であると、生産性が損なわれたり、多孔質セラミックスの外観が損なわれるおそれがある。
炭素繊維の太さは、多孔質セラミックスの形状等を勘案して決定でき、板状物であれば、例えば、1〜1000μmが好ましく、5〜100μmがより好ましい。上記下限値未満であると、多孔質セラミックスの強度を十分に高められないおそれがあり、上記上限値超であると、生産性が損なわれたり、多孔質セラミックスの外観が損なわれるおそれがある。
ロックウールは、玄武岩、鉄炉スラグ等に石灰等を混合し、高温で溶融し生成される人造鉱物繊維である。
ロックウールの長さは、多孔質セラミックスの形状等を勘案して決定でき、板状物であれば、例えば、1mm〜10cmが好ましく、5〜25mmがより好ましい。上記下限値未満であると、多孔質セラミックスの強度を十分に高められないおそれがあり、上記上限値超であると、生産性が損なわれたり、多孔質セラミックスの外観が損なわれるおそれがある。
ロックウールの太さは、多孔質セラミックスの形状等を勘案して決定でき、板状物であれば、例えば、1〜100μmが好ましく、3〜30μmがより好ましい。上記下限値未満であると、多孔質セラミックスの強度を十分に高められないおそれがあり、上記上限値超であると、生産性が損なわれたり、多孔質セラミックスの外観が損なわれるおそれがある。
混合物中のフィラーの配合量は、フィラーの種類や多孔質セラミックスの用途等を勘案して適宜決定され、例えば、5〜35質量%とされる。上記下限値未満では、フィラーを配合した効果が得られにくく、上記上限値超では、気孔率や飽和含水率が低下し、諸特性を十分に発揮できないおそれがある。
混合物中のフィラーの配合量は、多孔質セラミックス焼結体に求める強度等を勘案して決定でき、例えば、フィラーとして高融点ガラスの粒子を用いる場合、フィラー以外の原料の合計100質量部に対し、10〜40質量部が好ましく、15〜40質量部がより好ましい。上記下限値未満であると、多孔質セラミックス焼結体の強度を十分に向上できないおそれがあり、上記上限値超であると、成形性が損なわれるおそれがある。
また、混合物中のフィラーの配合量は、例えば、フィラーとして炭素繊維などの繊維状フィラーを用いる場合、原料100質量部に対し、0.01〜20質量部が好ましく、0.01〜10質量部がより好ましく、0.05〜5質量部がさらに好ましく、0.1〜2質量部が特に好ましい。上記下限値未満では、多孔質セラミックス焼結体の強度を十分に向上できないおそれがあり、上記上限値超では、成形性が損なわれるおそれがある。
添加剤としては、例えば、マイティ2000WH(商品名、花王株式会社製)等のナフタリン系の流動化剤、メルメントF−10(商品名、昭和電工株式会社製)等のメラミン系の流動化剤、ダーレックススーパー100pH(商品名、グレースケミカルズ株式会社製)等のポリカルボン酸系の流動化剤等;銀、銅、亜鉛等の抗菌剤;ゼオライト、アパタイト等の吸着剤、金属アルミニウム等が挙げられる。
また、有機汚泥から悪臭が生じる場合には、消臭剤を配合するとよい。消臭剤としては、例えば、塩化アンモニウム、塩化亜鉛等が挙げられる。このような成分の消臭剤を用いた場合には硫化水素等の臭いの成分を中和し、無臭化することができる。
添加剤の配合量は、本発明の目的を損なわない範囲で、添加剤の目的とする効果を勘案し添加すればよい。例えば、塩化アンモニウム、塩化亜鉛を消臭剤として用いた場合には、有機汚泥に対し0.05〜5質量%とし、混合物中に0.005〜1質量%とすることが好ましい。
これらの任意成分は、1種単独で用いられてもよいし、2種以上が組み合わされて用いられてもよい。
混合物の組成は、多孔質セラミックスの用途等を勘案して決定でき、例えば、粘土と珪藻土との混合物、粘土と、発泡剤及び有機汚泥の少なくとも一方との混合物、粘土と、珪藻土と、発泡剤及び有機汚泥の少なくとも一方との混合物、ならびにこれらとフィラーとの混合物等が挙げられる。
混合物の含水率は、特に限定されないが、例えば、25〜45質量%が好ましく、25〜30質量%がより好ましい。上記範囲内であれば、混合物は適度な流動性と可塑性とを備え、成形性がより良好になる。
混合工程における混合方法は特に限定されず、例えば、粘土と、必要に応じて任意成分とを混合装置に投入し、これを混合する方法が挙げられる。
各原料の投入順序は、組成に応じて適宜決定され、例えば、各原料を混合装置に一括で仕込み、混合してもよい。また、例えば、珪藻土を配合する場合、珪藻土と有機汚泥とを混合し、次いで、粘土他の原料を混合装置に順じ投入し、混合してもよい。
混合装置としては、特に限定されず、従来公知の混合装置を用いることができ、例えば、ミックスマラー(新東工業株式会社製)等の混練機や、ニーダー(株式会社モリヤマ製)、混合機(日陶科学株式会社製)等が挙げられる。
混合工程における混合時間は、各原料の配合比等を勘案して、混合物が可塑状態となるような時間とされ、例えば、15〜45分間とされる。
混合工程における温度条件は、各原料の配合比等を勘案して適宜決定され、例えば、10〜80℃とされる。
<成形工程>
成形工程は、混合工程で得られた混合物を任意の形状に成形する工程である。
成形方法は、多孔質セラミックスの形状に応じて適宜決定され、例えば、成形装置を用いて任意の形状の成形体を連続的に得る方法、混合物を任意の形状の型に充填し成形体を得る方法、混合物を延伸又は圧延し、これを任意の形状に切断して成形体を得る方法が挙げられる。
成形装置は、所望する多孔質セラミックスの形状に応じて決定することができる。
例えば、板状又は角柱状の多孔質セラミックスを得る場合、真空土練成形機、平板プレス成形機及び平板押出成形機等が挙げられ、中でも真空土練成形機が好ましい。真空土練成形機を用いて成形体中の空気を除去することで、気孔を良好に制御できる。
成形体の大きさは、所望する多孔質セラミックスの大きさを勘案して決定できる。
<焼成工程>
焼成工程は、成形工程で得られた成形体を焼成して多孔質セラミックス焼結体を得る工程である。
焼成工程は、例えば、成形体を乾燥し(乾燥操作)、乾燥した成形体を焼成し(焼成操作)、粘土を焼結して多孔質セラミックス焼結体を得る方法が挙げられる。
≪乾燥操作≫
乾燥操作は、特に限定されず、公知の方法を用いることができる。例えば、成形体を自然乾燥してもよいし、50〜220℃の熱風乾燥炉で任意の時間処理することで乾燥してもよい。乾燥した成形体の含水率は、特に限定されないが、例えば、5質量%未満が好ましく、1質量%未満がより好ましい。乾燥後の成形体の含水率の下限値は、特に限定されず、0質量%であってもよい。
≪焼成操作≫
焼成の方法は特に限定されず、公知の方法を用いることができる。例えば、ローラーハースキルン等の連続式焼結炉、シャトルキルン等の回分式焼結炉を用い、任意の温度で焼成する方法が挙げられる。中でも、焼成には、生産性の観点から連続式焼結炉を用いることが好ましい。
混合物に有機汚泥等を配合し、焼成時に臭いが発生する場合、焼成装置には、脱臭装置を取り付けるとよい。脱臭装置としては、スクラバー脱臭装置やオゾン脱臭装置や光触媒等を用いた触媒脱臭装置等を挙げることができる。
焼成温度(到達温度)は、任意成分の種類や原料の配合割合等を勘案して決定される。
例えば、組成例としてフィラー、珪藻土、粘土、スラグ、有機汚泥が含まれる場合、焼成温度は、フィラーが部分的に溶融し、珪藻土又は粘土が焼結され、有機汚泥に含まれる有機物が熱分解により揮発して減量し、スラグが膨張する条件とされる。前記組成例の成形体を焼成する場合の焼成温度は、例えば、950〜1200℃が好ましく、1000〜1100℃がより好ましい。有機物の多くは、700℃前後より分解が始まり、950℃において有機汚泥特有の臭いは、臭気成分が熱分解され解消されると共に、有機汚泥中の有機物の大部分が揮発して減量する。また、スラグの多くは800〜950℃で結晶化により膨張する。有機物の減量、スラグの膨張により、気孔が形成される。
加えて、フィラーは、その溶融温度以上で部分的に溶融し、フィラー同士が融着したり、珪藻土又は粘土へ融着してバインダーとして機能する。こうしてフィラー同士が融着したり、フィラーがバインダーとして機能することで、多孔質セラミックスは、その骨格が補強され、諸特性を維持したまま、強度が向上したものとなる。
焼成温度が1200℃を超えると、多孔質セラミッス焼結体の組織全体のガラス化が進み、焼成中に成形体が破損したり、気孔が閉塞するおそれがある。
焼成操作では、焼成温度に達するまでの間に、まず成形体から水分が蒸発し、発泡剤が発泡し、その後有機汚泥の有機物が熱分解して減量する。この過程で、焼成温度に達するまでの温度上昇(ヒートカーブ、温度勾配)を適切に調整することにより、急激な水分の蒸発又は急激な有機物の揮発を抑え、成形体の破損を防止できる。
また、焼成温度に達した後の急激な冷却の際にも、多孔質セラミックス焼結体に割れや粉砕等の破損が生じることがあるが、焼成操作での温度勾配を調整することにより、冷却の際の破損を防ぐことができる。
焼成時間は、焼成温度や混合物の含水率等を勘案して決定することができ、焼成温度になっている状態の滞留時間が、好ましくは4〜10分間、より好ましくは6.5〜7.5分間である。滞留時間が上記範囲内であれば、多孔質セラミックス焼結体の破損を防止しつつ、良好に焼結できる。
<研削工程>
研削工程は、焼成工程で得られた多孔質セラミックス焼結体の表面に研削加工を施す工程である。本工程を経ることで、得られる多孔質セラミックスは、長期間にわたって、透水性の低下が抑制される。
研削加工を施す方法としては、例えば、バーチカルミーリングマシーンPVシリーズ(アミテック株式会社製)等の切削機、グラインダー、サンドペーパー等で、多孔質セラミックス焼結体の表面を研削する方法が挙げられる。
研削加工を施す面は、多孔質セラミックスの用途及び用法等を勘案して決定できる。
例えば、板状の多孔質セラミックスを製造する場合、板状の多孔質セラミックス焼結体の厚さ方向の両面又は一方の面に研削加工を施すことが好ましい。通常、板状の多孔質セラミックスは、建築材料として用いられる場合、厚さ方向の一方の面が屋外に望むように施工される。研削加工が施された面は、長期間にわたって透水性の低下が抑制されるため、研削加工された面が屋外に望む面とされる。
研削加工の程度は、多孔質セラミックス焼結体の性状や大きさ等を勘案して決定され、例えば、多孔質セラミックス焼結体の表面から0.5〜5mm程度の深さとされる。上記下限値未満では、研削加工を施した効果が得られにくく、上記上限値超では、得られる多孔質セラミックスの強度が低くなるおそれがある。
上述の通り、本発明によれば、多孔質セラミックス焼結体の表面に研削加工が施されることで、長期間にわたって透水性の低下を抑制できる。
表面に研削加工が施されることで、透水性の低下を抑制できる理由は不明であるが、以下のように推測される。多孔質セラミックス焼結体の表面は、焼成操作において温度が速く上昇し、ガラス化等によって、気孔が閉塞されたり、開孔径が小さかったり、内部に形成された気孔に連通していない気孔が多くなっていると推測される。このような多孔質セラミックス焼結体を建築材料として用いると、表面に形成された気孔は、侵入した微粒子により短期間に閉塞されると考えられる。
このため、微粒子により閉塞されやすい構造の表層が除去されることで、多孔質セラミックスは長期間にわたって透水性を維持できると考えられる。
以下、実施例を示して本発明を詳細に説明するが、本発明は以下の記載によって限定されるものではない。
(使用原料)
実施例に用いた原料は、次の通りである。
<有機汚泥>
有機汚泥としては、染色工場(小松精練株式会社)の活性汚泥法による排水処理設備から凝集及び脱水工程を経て排出された活性汚泥を用いた。この活性汚泥の有機物含有量(対固形分)は83質量%、含水率は85質量%であった。
<粘土>
粘土としては、蛙目粘土(岐阜県産又は愛知県産)を用いた。
<スラグ>
発泡剤として、鋳鉄スラグを用いた。この鋳鉄スラグは、SiO、Al、CaO、Fe、FeO、MgO、MnO、KO、NaOを主成分とするダクタイル鋳鉄スラグである。
(実施例1)
表1に示す組成でスラグ、有機汚泥、粘土及び水をミックスマラー(新東工業株式会社製)で混合し、可塑状態の混合物を得た(混合工程)。
次いで、得られた混合物を真空土練成形機(高浜工業株式会社製)で押し出し成形し、幅60cm、厚み2cmの帯状の一次成形体を得た。この一次成形体を任意のピッチと幅で切断して、厚み2cmの略正方形の平板状の成形体を得た(成形工程)。
得られた成形体を熱風乾燥機で乾燥(180℃、0.5時間)し、含水率1質量%以下とした後、連続式焼結炉を用いて、焼成温度1050℃、焼成温度での滞留時間7分間の焼成条件にて焼成した(焼成工程)。連続式焼結炉としては、ローラーハースキルン(焼結炉の有効長:全長15m、焼結炉を各1.5mのゾーン1〜10に分割)を用いた。
焼成後、多孔質セラミックス焼結体の4つの側面に沿って側端を切除して、幅15cm×長さ15cm×厚み3.5cmの多孔質セラミックス焼結体とした。
得られた多孔質セラミックス焼結体の厚さ方向の一方の面の全体に、グラインダーで研削加工を施して、多孔質セラミックスを得た。研削加工においては、表面から2mmの深さまで研削した。
得られた多孔質セラミックスについて、比重、飽和含水率及び透水速度を測定し、その結果を表1に示す。
(比較例1)
多孔質セラミックス焼結体に研削加工を施さなかった以外は、実施例1と同様にして多孔質セラミックスを得た。得られた多孔質セラミックスについて、比重、飽和含水率及び透水速度を測定し、その結果を表1に示す。
(測定方法)
<比重>
ノギスを用いて、各例の多孔質セラミックスの長さ、幅、厚みを測定して体積(cm)を求め、その多孔質セラミックスの絶乾状態の質量(g)を測定した。[絶乾状態の多孔質セラミックスの質量(g)]/[多孔質セラミックスの体積(cm)]の式より、比重を求めた。
<飽和含水率>
比重を測定した多孔質セラミックス(N=5)を水に60分間浸漬した後、表面を上にして、多孔質セラミックスを傾けずに水から取り出し(傾けた際に多孔質セラミックスから水が流れ出すことを防ぐため)、多孔質セラミックスの表面に付着している余剰水分を布で拭き、直ちに質量を測定(飽和状態質量)し、下記(3)式により求めた。
飽和含水率(質量%)=[(飽和状態質量−絶乾状態質量)/絶乾状態質量]×100・・・(3)
<透水速度>
各例の多孔質セラミックスの表面(実施例1については、研削加工が施された面)にφ50mmの塩化ビニル製の円筒を立て、これを防水パテ(浴室パテ、トーヨーマテラン株式会社製)で固定した。多孔質セラミックスを水に60分間浸漬した後、水から取り出して、バット内においた。円筒内に水200mLを注ぎ入れ、注ぎ入れた水の水位が50mL分下がる時間を測定した(初期の透水時間)。
円筒内の水200mLの全てが多孔質セラミックスに浸透した後、粘土(平均粒径4μm)0.01gを水100mLに懸濁した粘土懸濁液を円筒内に注ぎ入れ、粘土懸濁液の全量が多孔質セラミックスに浸透するまで静置した(劣化処理)。本試験に用いた粘土は、黄砂と同等の粒径であり、円筒で囲われた領域に対する粘土0.01gは、1年間の黄砂降下量(5g/m)に相当する。即ち、粘土懸濁液100mLを浸透させた多孔質セラミックスは、1年間、屋外で使用されたモデルである(表中、1年経過相当と記載)。
次いで、新たに水200mLを円筒内に注ぎ入れ、注ぎ入れた水の水位が50mL分下がる時間を測定した(1年経過相当の透水時間)。
この後、劣化処理と、水200mLを円筒内に注ぎ入れ透水時間を測定する作業とを繰り返した。測定した透水時間に基づき、下記(4)式で透水速度を求め、それらの結果を表1に示す。
透水速度(mL/秒)=50mL÷透水時間(秒) ・・・(4)

図1は、研削処理を施した面(研削面)10と、研削処理を施していない面(非研削面)20とを形成した多孔質セラミックス1の平面視写真であり、図2は、多孔質セラミックス1の斜視写真である。図1〜2において、符号2は、研削面10と非研削面20との境界を示す。
図1〜2に示すように、研削面10は、非研削面20に比べて大きい凹凸が形成されたものであった。
図3は、透水速度を縦軸に取り、経過相当年数を横軸に取り、実施例1及び比較例1の透水速度の推移を示したグラフである。
表1及び図3に示すように、本発明を適用した実施例1は、研削加工を施していない比較例1に比べ、初期から10年経過相当にわたって、速い透水速度であった。
加えて、実施例1は、10年経過相当における透水速度が、初期の透水速度の83.4%であったのに対し、比較例1は、10年経過相当における透水速度が、初期の透水速度の18.1%であった。
以上の結果から、本発明を適用した多孔質セラミックスは、長期間にわたって、透水性の低下を抑制できることが判った。
本発明の多孔質セラミックスによれば、長期間にわたって、透水性の低下を抑制できるため、産業上極めて有用である。
1多孔質セラミックス

Claims (10)

  1. 粘土を含む混合物の焼結体である多孔質セラミックス焼結体であって、
    前記多孔質セラミックス焼結体は、孔径が10〜1000nmのナノメートルオーダーの気孔と、孔径が1〜1000μmのマイクロメートルオーダーの気孔と、孔径が1〜300mmのミリメートルオーダーの気孔とを有し、
    前記多孔質セラミックス焼結体の表面部分が研削面であり、
    前記混合物は、発泡剤を含み、
    前記発泡剤は、スラグを含むことを特徴とする多孔質セラミックス。
  2. 前記混合物は、スラグを10〜80重量%含むことを特徴とする請求項に記載の多孔質セラミックス。
  3. 前記多孔質セラミックスは、飽和含水率が20%以上であることを特徴とする請求項1又は2に記載の多孔質セラミックス。
  4. 粘土を含む混合物を成形し、焼結して孔径が10〜1000nmのナノメートルオーダーの気孔と、孔径が1〜1000μmのマイクロメートルオーダーの気孔と、孔径が1〜300mmのミリメートルオーダーの気孔とを有する多孔質セラミックス焼結体を得、前記多孔質セラミックス焼結体の表面に研削加工を施す多孔質セラミックスの製造方法であって、
    前記混合物は、発泡剤を含み、
    前記発泡剤は、スラグを含むことを特徴とする多孔質セラミックスの製造方法。
  5. 前記多孔質セラミックス焼結体の表面に研削加工を施し、0.5〜5mmの深さで取り除くことを特徴とする請求項に記載の多孔質セラミックスの製造方法。
  6. 前記スラグは、鋳鉄スラグであることを特徴とする請求項4又は5に記載の多孔質セラミックスの製造方法。
  7. 前記混合物は、スラグを10〜80重量%含むことを特徴とする請求項4〜6のいずれか1に記載の多孔質セラミックスの製造方法。
  8. 前記混合物は、有機汚泥を含むことを特徴とする請求項4〜7のいずれか1に記載の多孔質セラミックスの製造方法。
  9. 前記混合物は、前記有機汚泥を40質量%以下含むことを特徴とする請求項に記載の多孔質セラミックスの製造方法。
  10. 前記焼結時の焼成温度が、950〜1200℃である請求項4〜9のいずれか1に記載の多孔質セラミックスの製造方法。
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