JP6358648B2 - 排水構造 - Google Patents

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Description

本発明は、ビルなどの建築物に形成される排水構造に関するものである。
ビルなどのコンクリート製建築物の屋上、ベランダ、バルコニー等には、アスファルト、モルタルなどを用いた防水層が設けられ、また、雨水などの漏水を防止するために排水溝や排水管が設置されることがある。
前記防水層は、水との接触、直射日光、及び湿潤と乾燥による体積の膨張及び収縮により劣化する問題を有していた。防水層が劣化すると、雨水を階下に漏水させることがあった。
近年、夏期において、ゲリラ豪雨とも称される集中豪雨がしばしば起こるようになっている。集中豪雨が起こると、既設の排水設備では排水しきれずに、屋上やベランダに水たまりを生じさせ、屋上やベランダを冠水させて水没させることもある。屋上等が冠水して防水層の防水能力を超えると、防水層に水が侵入して、防水層が劣化しやすくなると共に階下への漏水のリスクが高くなる。
屋上等に設けられた防水層が劣化した際には、防水層を改修することがあるが、その際には、排水溝や排水管も同時に改修することが多い。屋上の排水溝や排水管は、建築物に埋設されて設置されることが多いため、屋上の防水層改修工事の際に、排水溝や排水管を取り外すことは困難である。また、取り外すことができたとしても、既設の建築物に新規の排水溝や排水管を設置するためには時間と手間を要する。したがって、現状では既設の排水溝や排水管の内径より小さな外径を有する排水管を既設の排水溝や排水管の中に挿入して改修されている。
このような改修では、屋上等の排水能力が低下するため、集中豪雨が起こると、屋上がより冠水しやすくなり、階下への漏水のリスクがより高くなった。
そこで、防水層の劣化を防ぐために、防水層を有する床の上に、空隙を介して、連続気泡を有するセラミックス板材を設置することが知られている(特許文献1)。
特開2006−336428号公報
しかしながら、床との間に空隙を介してセラミックス板材を設置した場合には、屋上やベランダの全面に敷設する必要があった。すなわち、屋上やベランダの全面にセラミックス板材を設置しない部分に降った雨は、直接、屋上又はベランダに落下し、その後、セラミックス板材の下の空隙を通過して、直ちに排水口に流れ込む。そのため、排水能力が超える可能性があった。
また、床との間に空隙を介してセラミックス板材を設置した場合には、強い風でセラミックス板材がめくれて、所定の位置からずれてしまうことがあった。
さらに、床とセラミックス板材の間に空隙を有すると、セラミックス板材の上で人が作業した際やセラミックス板材に硬いものを落した際に、セラミックス板材に衝撃が加えられて割れることがあった。また、前記空隙に、鳥やネズミの巣が形成されたり、苔や草が生えたり、ゴミが溜るなどして、衛生上やメンテナンス上の問題を生じることがあった。
以上のことから、本発明では、防水層の劣化を抑制でき、集中豪雨が起こっても屋上等の冠水を抑制でき、強風時においても位置ずれしにくく、衛生性及びメンテナンス性にも優れた排水構造を提供することを目的とする。
本発明は、以下の態様を有する。
[1]防水層を有すると共に排水口及び排水溝の少なくとも一方からなる排水用開口部が形成された床と、該床の上に敷設された、連通孔を有する多孔質セラミックス板状物とを備え、前記多孔質セラミックス板状物は、前記床の、前記排水用開口部の近傍に、前記床との間に空隙が形成されないように配置されている、排水構造。
[2]前記多孔質セラミックス板状物の飽和含水率が20%以上である、[1]に記載の排水構造。
[3]前記多孔質セラミックス板状物の内部には、該多孔質セラミックス板状物の面方向に対して平行な扁平孔が複数形成され、前記多孔質セラミックス板状物は、前記扁平孔が前記床の表面に対し平行になるように敷設されている、[1]又は[2]に記載の排水構造。
[4]前記多孔質セラミックス板状物の表層が研削されている、[1]〜[3]のいずれかに記載の排水構造。
[5]前記多孔質セラミックス板状物が、前記排水用開口部を覆っている、[1]〜[4]のいずれかに記載の排水構造。
本発明の排水構造は、防水層の劣化を抑制でき、集中豪雨が起こっても屋上等の冠水を抑制でき、強風時においても位置ずれしにくく、衛生性及びメンテナンス性にも優れる。
本発明の排水構造の一例を示す上面図であり、多孔質セラミックス板状物が排水口を覆わず、排水口の近傍に敷設された例の図である。 図1のI−I’断面図である。 本発明の排水構造の一例を示す上面図であり、多孔質セラミックス板状物が排水口を覆うと共に排水口の近傍に敷設された例の図である。 図3のII−II’断面図である。 本発明の排水構造の一例を示す上面図であり、多孔質セラミックス板状物が、壁の隅部の近傍に形成された排水口の近傍に敷設された例の図である。 図5のIII−III’断面図である。 本発明の排水構造の一例を示す上面図であり、多孔質セラミックス板状物が、排水溝の近傍に敷設された例の図である。 図7のIV−IV’断面図である。 本発明の排水構造を適用した一例であり、多層住宅におけるベランダの排水構造を示す断面図である。 本発明の排水構造を適用した他の例であり、多層住宅におけるベランダの排水構造を示す断面図である。 本発明の排水構造を適用した他の例であり、多層住宅におけるベランダの排水構造を示す上面図である。
本発明の排水構造は、床と、該床の上に敷設された多孔質セラミックス板状物とを備える。
本発明における床は、防水層を有する。防水層は、該防水層よりも下の建築物本体内部への漏水を防止するものである。防水層を形成する材料としては、アスファルト、モルタル、コンクリート、ゴム、合成樹脂など公知のものを用いることができる。
防水層が形成される建築物本体は、屋上、ベランダ、バルコニー等を備えるものである。建築物本体としては特に制限されず、ビル(オフィスビル、商業ビル)、マンション、戸建て等が挙げられる。また、建築物本体は、コンクリート製、鉄骨製、木製等のいずれであっても構わないが、コンクリート製建築物の排水設備の改修は困難であり、本発明の効果が特に発揮される。
本発明における床は、防水層の上又は下に形成されたコンクリート層、モルタル層及び樹脂シート等の他の層を有してもよい。
本発明における床が屋外にある場合、雨天時には雨が落下するようになっている。床が屋内にある場合でも、床に水が流れる場合には、本発明を適用することは可能である。
また、床には、排水口及び排水溝の少なくとも一方からなる排水用開口部が形成されている。
床に形成される排水口は排水管の上端である。排水管としては特に制限されず、金属製の管、プラスチック製の管、コンクリート製の管等を使用することができる。
排水溝としては、断面U字状の溝等、上部が開放された溝が挙げられる。排水溝は蓋で覆われても構わない。排水溝の材質は特に限定されず、コンクリート製、合成樹脂製、金属製等のいずれであってもよい。
多孔質セラミックス板状物は、多孔質であることで、捕水性を有している。
本発明においては、多孔質セラミックス板状物は、床の、排水用開口部の近傍に敷設されている。ここで、「排水用開口部の近傍」とは、排水口又は排水溝の縁から100cm以内の領域のことである。「排水用開口部の近傍」は、好ましくは、排水口又は排水溝の縁から50cm以内の領域であり、よりが好ましくは、10cm以内の領域である。
排水用開口部の近傍に多孔質セラミックス板状物が敷設されていれば、多孔質セラミックス板状物は排水用開口部を囲うように配置されてもよいし、床の上に、壁等の、水を堰き止めることが可能な構造物が立設されている場合には、該構造物と多孔質セラミックス板状物とが排水用開口部を囲うように多孔質セラミックス板状物が配置されてもよい。
また、多孔質セラミックス板状物は、床の全面に敷設されてもよいし、床の一部の面に敷設されてもよい。捕水性がより高くなる点では、床の全面に多孔質セラミックス板状物が敷設されることが好ましい。
さらに、多孔質セラミックス板状物は排水用開口部を覆ってもよいし、覆わなくてもよい。
本発明の排水構造は、例えば、図1及び図2に示すように、平面視で正方形の多孔質セラミックス板状物10が、床20の防水層21の表面に複数枚敷設されてもよい。本例における多孔質セラミックス板状物10は、排水口Hの近傍に敷設され、排水口Hを囲むように配置されている。本例においては、多孔質セラミックス板状物10に降った雨水は、多孔質セラミックス板状物10の内部を、多孔質セラミックス板状物10の面方向に沿って流れ、やがて排水口Hに達して排水管Cに流れ込む。
図1及び図2の例では、多孔質セラミックス板状物10が排水口Hを覆っていない。多孔質セラミックス板状物10が排水口Hを覆わない場合には、排水口Hへの雨水の流れ込みが円滑になる。
図1及び図2の例においては、排水口Hと同形状の孔を形成した多孔質セラミックス板状物10を作製し、その多孔質セラミックス板状物10の孔が排水口Hに重なるように、多孔質セラミックス板状物10を配置しても構わない。
また、図3及び図4に示すように、多孔質セラミックス板状物10が防水層21の表面に敷設され、排水口Hを覆って、排水口Hの近傍に配置されてもよい。多孔質セラミックス板状物10が排水口Hを覆うと、捕水性をより向上させることができる。多孔質セラミックス板状物10が排水口Hを覆っても、多孔質セラミックス板状物10に降った雨水を、多孔質セラミックス板状物10の内部に、多孔質セラミックス板状物10の面方向に沿って流して排水口Hまで誘導し、排水管Cに流し込むことは可能である。
図3及び図4の例においては、捕水性がより高くなることから、排水口Hを覆う多孔質セラミックス板状物10の周囲にも多孔質セラミックス板状物10を配置することが好ましい。
図5及び図6に示すように、排水口Hが、直交する壁25,25の隅部の近傍に形成されている場合には、排水口Hの近傍に多孔質セラミックス板状物10が敷設され、壁25,25と多孔質セラミックス板状物10とが排水口Hを囲むように、多孔質セラミックス板状物が配置されてもよい。本例では、多孔質セラミックス板状物10が排水口Hを覆っていない。
この例においても、雨水は多孔質セラミックス板状物10の内部を通り、排水口Hに達して排水管Cに流れ込む。
図5,6の例においては、排水口Hを多孔質セラミックス板状物10が覆っても構わない。
また、図7及び図8に示すように、壁25に沿って排水溝Bが形成され、排水溝Bの底面且つ直交する壁25,25の隅部の近傍に排水口Hが形成されている場合には、多孔質セラミックス板状物10は、防水層21の表面の、排水溝Bの近傍に敷設される。この例では、雨水は多孔質セラミックス板状物10の内部を通って排水溝Bに流れ込み、排水溝Bを流れて排水口Hに達して排水管Cに流れ込む。
図7,8の例においては、排水溝Bを多孔質セラミックス板状物10が覆っても構わないし、排水溝Bの内部にも多孔質セラミックス板状物が配置されても構わない。
また、本発明では、多孔質セラミックス板状物10は、床20との間に空隙が形成されないように敷設される。すなわち、多孔質セラミックス板状物10は、スペーサーや架台などを挟まずに床20の表面に敷設される。なお、床表面の微小な凹凸及び防水層のつなぎ部分の凹凸に起因して、多孔質セラミックス板状物と床との間で生じる微小な空隙は、本発明における空隙ではない。また、排水溝又は排水管の排水口を多孔質セラミックス板状物で覆った場合、排水溝及び排水管の底面と、多孔質セラミックス板状物との間に形成される空隙も、本発明における空隙ではない。また、排水溝又は排水口を多孔質セラミックス板状物で覆った場合、排水溝又は排水口とその周囲とに形成される傾斜あるいは凹部と、多孔質セラミックス板状物との間に形成される空隙も、本発明における空隙ではない。
床の表面に対し、多孔質セラミックス板状物は、本発明の目的を逸脱しない範囲で、ボルトやフレーム等の固定具で固定してもよいし、接着剤等で貼り付けられてもよい。また、多孔質セラミックス板状物は、接着剤等を用いずに、床の表面に敷設されるのみでもよい。
上記のように、多孔質セラミックス板状物が、排水用開口部の近傍に敷設された際には、短時間で大量の雨が降っても、多孔質セラミックス板状物の孔の中に雨水を留めておくことができる。そのため、短時間に大量の雨水が排水用開口部に流入することを抑制でき、また、排水用開口部への雨水の流入を遅らせることができ、床の冠水を抑制できる。また、雨水が多孔質セラミックス板状物の内部に含まれることで、防水層に大量の雨水が接触することを抑制でき、雨水による防水層の劣化を防止できる。
また、多孔質セラミックス板状物を床の表面に敷設することにより、防水層が直射日光に当たらないようにでき、紫外線による防水層の劣化を防止できる。また、防水層が埋設されている場合でも、多孔質セラミックス板状物で屋上等の表面が覆われていることにより、防水層を含めた屋上の温度上昇を抑制でき、体積の膨張及び収縮による防水層の劣化を抑えることができる。
多孔質セラミックス板状物の敷設は、床の表面に置いて敷き詰めればよいから、作業が簡便であり、安価に且つ容易に行うことができる。
また、多孔質セラミックス板状物と床との間に空隙が形成されていないことで、多孔質セラミックス板状物の上で人が作業したり、硬いものを落とすなどして衝撃が加えられても、多孔質セラミックス板状物が割れにくくなっている。
また、多孔質セラミックス板状物と床との間に空隙が形成されていないことで、強風時においても多孔質セラミックス板状物が風でめくれることを防止でき、位置ずれしにくい。
さらに、多孔質セラミックス板状物と床との間に空隙が形成されないことで、多孔質セラミックス板状物と床との間に鳥やネズミの巣が形成されることはないし、苔や草が生えることを抑制でき、ゴミが溜まることもない。したがって、衛生性及びメンテナンス性に優れる。
上記のように、床の表面に多孔質セラミックス板状物を敷設した際、敷設した全多孔質セラミックス板状物を一体物とみなした場合、その一体物の最外周で且つ排水用開口部に近接しない部分の側面を、多孔質セラミックス板状物の厚み方向の透水速度と同等もしくはそれよりも透水速度が遅いもので覆うことが好ましい。前記側面を多孔質セラミックス板状物の厚み方向の透水速度と同等もしくはそれよりも透水速度が遅いもので覆うと、多孔質セラミックス板状物の厚み方向に水が浸透しにくい性質や、床に水が浸透しにくい性質も利用することで、多孔質セラミックス板状物における雨水の捕水性をより高くできる。そのため、排水構造全体での捕水性がより高くなるため、床の冠水をより防止できる。
多孔質セラミックス板状物の厚み方向の透水速度と同等もしくはそれよりも透水速度が遅いものとしては、壁、仕切り板、コーキング材等を用いることができる。さらには、後述するように多孔質セラミックス板状物の内部に扁平孔が形成されている場合には、多孔質セラミックス板状物を、その厚さ方向が前記側面に対して垂直になるように配置することにより、仕切り板として利用することができる。その場合、必要に応じて、多孔質セラミックス板状物を任意の形状に切断して使用してもよい。
仕切り板は、合成樹脂製、金属製、コンクリート製、木製のいずれであってもよい。
また、仕切り板の配置によっては、仕切り板に堰板の役割を持たせ、複数の多孔質セラミックス板状物の内部を通る雨水の流れを排水用開口部に誘導することも可能である。すなわち、仕切り板の設置によって、複数の多孔質セラミックス板状物の内部に、排水溝のような流路を形成することができる。
(多孔質セラミックス板状物の構造及び物性)
本発明における多孔質セラミックス板状物は、連通した孔が形成された多孔質セラミックス板状物である。
以下に、好ましい多孔質セラミックス板状物について説明するが、多孔質セラミックス板状物は、以下のものに限定されるものではない。
多孔質セラミックス板状物の形状は、板状であれば特に限定されないが、平面視において、正方形、長方形、三角形、五角形、六角形等の多角形であることが好ましい。多角形であると、隣接する多孔質セラミックス板状物の辺同士を突き合わせて、側面同士を密着させることができる。また、隣接する多孔質セラミックス板状物の断面同士を合わせることができれば、多孔質セラミックス板状物の辺が凹凸状や波状などであっても構わない。
多孔質セラミックス板状物の大きさは、特に限定されるものではないが、平面視で四角形の場合、タテ方向5cm〜200cm、ヨコ方向5cm〜200cm程度である。
また、多孔質セラミックス板状物は、その一部が、円形状や多角形状等、任意の形状にくり抜かれても構わない。
多孔質セラミックス板状物の側面は、多孔質セラミックス板状物の厚さ方向に沿って切断されたものでもよいし、そぎ継ぎ可能になるように斜めに切断されたものでもよい。あるいは、段継ぎができるように、多孔質セラミックス板状物の縁の一部が切断除去されて凹部と凸部が形成され、隣接する多孔質セラミックス板状物の断面同士が係合するものでもよい。なかでも、多孔質セラミックス板状物の側面は、多孔質セラミックス板状物の厚さ方向に沿って切断されて側面(切断面)が平面とされていることが好ましい。
このように切断した多孔質セラミックス板状物を敷設する際には、多孔質セラミックス板状物の切断面同士を接触させて並べればよい。多孔質セラミックス板状物の切断面同士を接触させて並べて敷設した場合には、隣接する多孔質セラミックス板状物に水を容易に拡散させることができる。
従来、多孔質セラミックス板状物の切断面に凹部と凸部を形成させて、隣接する多孔質セラミックス板状物同士を段継ぎやそぎ継ぎなどにしないと、隣接した多孔質セラミックス板状物には水があまり拡散してないと思われた。しかし、本発明者らが検討したところ、垂直な切断面同士を接触させて多孔質セラミックス板状物を敷設しても、隣接する多孔質セラミックス板状物に拡散しやすいことがわかった。
そのため、垂直な切断面同士を接触させて多孔質セラミックス板状物を敷設した場合には屋上等の冠水を抑制しつつ、多孔質セラミックス板状物の製造コストを安くすることができ、敷設作業も容易である。したがって、従来に比べて改修工事を容易で安価に行うことができる。
多孔質セラミックス板状物の厚みは、集中豪雨時に排水の時間差を容易に設けることができる点では、厚いことが好ましい。具体的には、降水量、多孔質セラミックス板状物の敷設面積、排水管の直径等にもよるが、多孔質セラミックス板状物の厚みは、1cm以上が好ましく、2cm以上がより好ましく、3cm以上がさらに好ましく、5cm以上が特に好ましい。
多孔質セラミックス板状物の厚さの上限は特に限定されないが、コストやベランダ等の強度の観点からは、30cm以下であることが好ましく、10cm以下であることがより好ましい。
多孔質セラミックス板状物の厚みは、複数枚の多孔質セラミックス板状物の積層によって調整してもよい。例えば、多孔質セラミックス板状物の1枚の厚みが3cmであって、敷設時の多孔質セラミックス板状物の厚みを6cmにしたい場合には、厚さ3cmの多孔質セラミックス板状物を2枚重ねればよい。
また、多孔質セラミックス板状物の厚みは、同一の床面上であっても場所により異なってもよい。例えば、排水口に近い程、多孔質セラミックス板状物を厚くしてもよい。
また、多孔質セラミックス板状物は、その表層が研削されていることが好ましい。研削の程度は、多孔質セラミックス板状物の表層を0.5〜5mm削ることが好ましい。研削された面を露出させた場合には、透水性が向上すると共に、埃等の付着による経時的な透水性の低下を抑制することができる。
研削された面を床に接触させた場合には、床上の雨水を速やかに吸い上げ、床に浸透する水分量を抑制することができる。
多孔質セラミックス板状物の一方の面のみを研削し、研削された面を露出させた場合には、多孔質セラミックス板状物の厚み方向(垂直方向)への透水性を抑え、多孔質セラミックス板状物の面方向(水平方向)の透水性を向上させることができる。厚み方向の透水性を抑え、面方向の透水性が高い場合には、捕水性がより高くなるから、好ましい。
多孔質セラミックス板状物は、ミリメートルオーダーの孔を少なくとも有するとよい。また、多孔質セラミックス板状物は、ミリメートルオーダーの孔以外に、マイクロメートルオーダーの孔、ナノメートルオーダーの孔を有してもよい。
ミリメートルオーダーの孔は、孔径1mm超1000mm以下の孔である。ミリメートルオーダーの孔の孔径は、1mm超100mm以下が好ましい。
マイクロメートルオーダーの孔は、孔径1μm超1000μm以下の孔である。
多孔質セラミックス板状物には、孔径1〜1000nmのナノメートルオーダーの孔が形成されていることが好ましい。さらにナノメートルオーダーの孔が形成されていることで、多孔質セラミックス板状物の捕水性をより高められる。
孔の孔径は、原料の組成や焼成条件を組み合わせることにより調節される。
なお、孔の孔径とは、孔の長径を指す。ミリメートルオーダーの孔の孔径は、多孔質セラミックス板状物を厚さ方向に対して垂直な面で切断し、その切断面に形成された横長の孔の長軸の孔径をスケールで測定した値である。ナノメートルオーダー及びマイクロメートルオーダーの孔の孔径は、断面に形成された開口部の孔径を電子顕微鏡で測定した値である。
多孔質セラミックス板状物は、少なくとも一部の孔同士が連通している。連通する孔は、ミリメートルオーダーの孔同士でもよいし、マイクロメートルオーダーの孔同士でもよいし、ミリメートルオーダーの孔とマイクロメートルオーダーの孔とが連通していてもよい。また、ナノメートルオーダーの孔を有する場合は、ナノメートルオーダーの孔と、ミリメートルオーダーの孔およびマイクロメーターオーダーの孔のそれぞれと連通していてもよいし、ナノメートルオーダーの孔同士が連通していてもよい。孔同士が連通していることで、多孔質セラミックス板状物は、大量の水を捕水することができ、飽和含水量を増加させることができる。そのため、短時間に大量の雨が降っても、多孔質セラミックス板状物に降った雨を一時的に留め、排水溝や排水口に徐々に流すことできる。
多孔質セラミックス板状物の内部には、多孔質セラミックス板状物の面方向に対して平行な扁平孔が複数形成されていることが好ましい。特に、ミリメートルオーダーの孔が扁平孔であることがより好ましい。
ここで、「扁平孔」とは、多孔質セラミックス板状物の面方向において様々とりえる孔の径のうち最も長い径が、その径と直交する多孔質セラミックス板状物の厚み方向の径に対して長い孔のことである。例えば、扁平孔は、多孔質セラミックス板状物の面方向において最も長い径がそれと直交する多孔質セラミックス板状物の厚み方向の径に対して1.5倍以上の孔である。
また、通常、多孔質セラミックス板状物の厚さ方向には、扁平孔が複数形成されている。また、隣接する扁平孔同士は連通している。
上記のように多孔質セラミックス板状物の内部に扁平孔が形成されている場合、多孔質セラミックス板状物は、扁平孔が床の表面に対して平行になるように敷設されることが好ましい。
扁平孔が床表面に対して平行になるように多孔質セラミックス板状物が敷設された場合には、多孔質セラミックス板状物に落下した雨水が、扁平孔の長径方向、すなわち多孔質セラミックス板状物の面方向に拡散しやすい。そのため、多孔質セラミックス板状物の厚み方向への雨水の浸透を抑制することができ、排水溝又は排水口に雨水が流れ込むタイミングの時間差をより長くすることができる。したがって、短時間に大量の雨が降った場合にも、雨水が短時間に排水溝又は排水口に流れ込むことをより抑制でき、冠水をより防止することができる。
また、多孔質セラミックス板状物が捕水している際には、夏などの高温時に水を少しずつ放出し、気化するため、蒸発潜熱による冷却効果を発揮することができる。
上記の効果は、扁平孔がミリメートルオーダーである場合にとりわけ発揮される。
多孔質セラミックス板状物は、飽和含水率が20%以上であることが好ましい。ここで、飽和含水率は、下記方法により求められる。
すなわち、多孔質セラミックス板状物の表面を上に配置した状態で、水に60分間浸漬する。次いで、多孔質セラミックス板状物の側面から水が流出しないよう、多孔質セラミックス板状物を傾けずに水中から取り出し、表面の水滴を除去する程度に布に接触させた後、直ちに質量(飽和含水状態質量)を測定する。そして、下記(1)式により飽和含水率を求める。
飽和含水率(質量%)=[(飽和含水状態質量−絶乾質量)/絶乾質量]×100・・・(1)
多孔質セラミックス板状物の飽和含水率が20%以上であれば、多孔質セラミックス板状物の捕水性がより高くなり、雨水が短時間に大量に排水溝や排水口に流入することをより抑制できる。
また、多孔質セラミックス板状物の飽和含水率は、30%以上であることがより好ましく、40%以上であることがさらに好ましい。飽和含水率の上限は高い程よいが、高すぎると強度が不足することもあるため、100%以下であることが好ましく、60%以下がより好ましく、50%以下がさらに好ましい。
多孔質セラミックス板状物における孔の体積割合は特に限定されないが、(孔の体積)/(多孔質セラミックス板状物の体積)で表される孔率が、好ましくは90体積%以下、より好ましくは40〜80体積%、さらにより好ましくは60〜70体積%である。孔率が上記範囲内であれば、多孔質セラミックス板状物の強度が維持されると共に、多孔質セラミックス板状物に求められる機能を充分に付与できる。
多孔質セラミックス板状物の曲げ強度は、2.5N/mm〜20N/mmが好ましい。この範囲であれば、屋上等に敷設した場合においても、割れなどの発生を抑制しつつ、大量の水を捕水することができる。
なお、曲げ強度の測定はJIS A5371 B−1.5.1に準拠して測定したものである。
多孔質セラミックス板状物のかさ比重は、好ましくは0.4〜1.3g/cm、より好ましくは0.4〜1.0g/cm、さらにより好ましくは0.55〜0.85g/cmである。ここで、かさ比重は、[多孔質セラミックス板状物の質量(g)]/[多孔質セラミックス板状物の体積(cm)]より求められる。
かさ比重が上記範囲内であれば、多孔質セラミックス板状物の強度が維持されると共に、多孔質セラミックス板状物に求められる機能を充分に付与できる。なお、かさ比重が低いほど、多孔質セラミックス板状物は孔が多く形成されていると推測できる。
多孔質セラミックス板状物の透水性は、多孔質セラミックス板状物の表面から厚み方向に沿った透水速度に比べ、多孔質セラミックス板状物の表面に沿った方向(面方向)の透水速度が速いこと好ましい。
透水速度の測定方法は、ドイツ国のForschungsgesellschaft Landschaftsentwicklung Landschaftsbau e.V.−FLL:「Guidelines for the Planning,Construction and Maintenance of Green Roofing−Green Roofing Guideline」10.2.6 Water Permeability等が挙げられる。
本発明の好ましい多孔質セラミックス板状物である、後述する焼結体Aの一例では、Water Permeability Kf mod.で、板状物の厚み方向が3.2mm/min.面方向が24.6mm/min.となる(ただし、多孔質セラミックス板状物の表面に水を付与した場合の値である。)。すなわち、多孔質セラミックス板状物の表面から厚み方向に沿った透水速度に比べ、多孔質セラミックス板状物の面方向の透水速度が速いものとなる。
上記の飽和含水率、孔の体積割合、かさ比重、透水性にするためには、多孔質セラミックス板状物を後述する焼結体Aとすればよい。ただし、用いる発泡剤と粘土類と有機汚泥の種類に応じて配合割合を適宜調整する必要はある。
(多孔質セラミックス板状物の形成成分)
多孔質セラミックス板状物は、発泡剤と粘土類と有機汚泥とを含む混合物が成形され、焼結されて得られた多孔質セラミックス焼結体(以下、「焼結体A」という。)が好ましい。焼結体Aは、連通孔(前述の複数の孔同士が連通した孔)が形成されやすく、捕水性がより高くなる上に、透水性がより高くなる。
多孔質セラミックス板状物が前記焼結体Aである場合、連通孔は、発泡剤に由来する孔同士が相互に連通した孔でもよいし、有機汚泥に由来する孔同士が連通した孔でもよいし、発泡剤に由来する孔と有機汚泥に由来する孔が相互に連通した孔でもよい。これらの中でも、捕水性、透水性がより高くなることから、発泡剤に由来する孔と有機汚泥に由来する孔とが相互に連通していることが好ましい。すなわち、焼成時に発泡剤が発泡して形成された第1の孔と、焼成時に前記有機汚泥が減量して形成された第2の孔とが形成され、これら孔が連通していることが好ましい。孔同士が連通していることで、多孔質セラミックス板状物は、飽和含水率が向上し、激しい雨をより大量に捕水できるようになり、透水性もより向上する。
第1の孔は、ミリメートルオーダーの孔が主であり、第2の孔は、マイクロメートルオーダーまたはそれ以下(ナノメートルオーダー)の孔が主である。
<発泡剤>
多孔質セラミックス板状物が前記焼結体Aである場合の発泡剤は、焼成時に発泡するものであり、例えば、炭酸カルシウム、炭化ケイ素、炭酸マグネシウム、スラグ等の公知のセラミックス用の発泡剤を用いることができる。これら発泡剤の中でも、スラグが好ましい。
スラグとしては特に限定されず、例えば、金属精錬時に発生する高炉スラグ、都市ゴミの溶融時に発生する都市ゴミ溶融スラグ、下水汚泥の溶融時に発生する下水汚泥溶融スラグ、ダクタイル鋳鉄等の鋳鉄時に発生する鋳鉄スラグ等のガラス質スラグ等が挙げられる。これらの中でも、鋳鉄スラグがより好ましい。鋳鉄スラグは、組成が安定しているため安定した発泡状態が得られると共に、他のスラグに比べ1.5〜2倍程度の発泡率であり、これを用いることで、ミリメートルオーダーの大きな孔を形成することができる。
また、鋳鉄スラグは、SiO、Al、CaO、Fe、FeO、MgO、MnO、KO、NaOなどの成分を含む。
配合物中のスラグの配合量は、混合物の成形性を勘案して決定することができ、例えば、80質量%以下が好ましく、20〜75質量%がより好ましく、30〜65質量%がさらに好ましい。上記範囲内であれば、混合物の成形性を損なわず、かつ円滑に成形できると共に、多孔質セラミックス板状物の見かけ密度、飽和含水率を好適な範囲にすることができる。
<粘土類>
粘土類は、一般的に窯業原料として用いられる粘土状の性状を示す鉱物材料である。
具体的には、粘土類は、セラミックス板状物に用いられる公知のものを用いることができ、石英、長石、粘土系等の鉱物組成で構成されるが、構成鉱物はカオリナイトを主とし、ハロイサイト、モンモリロナイト、イライト、ベントナイト、パイロフィライトを含むものが好ましい。中でも、焼結時のクラックの進展を抑え、多孔質セラミックス板状物の破壊を防ぐ観点から粒子径が500μm以上の石英の粗粒を含むものがより好ましい。このような粘土類としては、例えば、蛙目粘土等が挙げられる。粘土類は、1種単独で又は2種以上を適宜組み合わせて配合される。
<有機汚泥>
有機汚泥は、主成分として有機物を含有する汚泥である。有機汚泥としては特に制限されないが、下水や工場等の排水処理に由来する活性汚泥が好ましい。活性汚泥は、活性汚泥法を用いた排水処理設備から、凝集・脱水工程を経て排出されて得られる。このような有機汚泥を用いることで、所望する孔を容易に形成することができる。さらに、廃棄物の位置付けであった排水処理由来の活性汚泥を原料としてリサイクルすることができる。このような有機汚泥を用いることで、マイクロメートルオーダーの孔を効率的に形成でき、さらに、ナノメートルオーダーの孔を形成できる。ナノメートルオーダーの孔が形成されることで、多孔質セラミックス焼結体の見かけ密度を小さく、飽和含水率をより高めることができ、水との接触機会を増加させることができる。さらに、廃棄物の位置付けであった排水処理由来の活性汚泥を原料として利用することができる。
有機汚泥の含水率は、好ましくは5〜90質量%、より好ましくは60〜90質量%、さらにより好ましくは65〜85質量%である。上記範囲内であれば、後述の混合工程で均質な混合物が得られると共に、連続成形においても良好な成形性を維持できる。
有機汚泥の有機物の含有量は特に限定されないが、例えば、有機汚泥の固形分中の有機物の含有量(有機物含有量)として70質量%以上が好ましく、80質量%以上がより好ましい。前記有機物含有量が多いほど、孔の形成が容易となる。なお、有機物含有量は、乾燥後の汚泥をJIS M8812−1993に準じ、炭化温度700℃で灰分(質量%)を測定し、下記(2)式により求められる値である。
有機物含有量(質量%)=100(質量%)−灰分(質量%) ・・・(2)
有機汚泥の平均粒子径は、好ましくは1〜5μm、より好ましくは1〜3μmとされる。有機汚泥は、焼成により焼失し、その部分に孔を形成するため、平均粒子径が小さいほど、マイクロメートルオーダーの孔を容易に形成でき、さらに、ナノメートルオーダーの孔を形成できる。なお、平均粒子径は、粒度分布測定装置(LA−920、株式会社堀場製作所製)により測定される体積基準のメディアン径(体積50%径)である。
<任意成分>
焼結体Aには、本発明の目的を阻害しない範囲で、任意成分を配合してもよい。任意成分としては、例えば、マイティ2000WH(商品名、花王株式会社製)等のナフタリン系の流動化剤、メルメントF−10(商品名、昭和電工株式会社製)等のメラミン系の流動化剤、ダーレックススーパー100pH(商品名、グレースケミカルズ株式会社製)等のポリカルボン酸系の流動化剤等;銀、銅、亜鉛等の抗菌剤;ゼオライト、アパタイト等の吸着剤、活性炭素繊維、金属アルミニウム等が挙げられる。
また、有機汚泥から悪臭が生じる場合には、消臭剤を配合するとよい。消臭剤としては、具体的には、塩化アンモニウム、塩化亜鉛などが挙げられる。このような成分の消臭剤を用いた場合には硫化水素等の臭いの成分を中和、無臭化することができる。
任意成分の配合量は、本発明の目的を脱しない範囲で、任意成分添加の目的とする効果を勘案し添加すればよい。例えば、塩化アンモニウム、塩化亜鉛を消臭剤として用いた場合には、有機汚泥に対し0.05〜5質量%とし、混合物全体で0.005質量%〜1質量%とすることが好ましい。
<珪藻土>
焼結体Aには、必要に応じて、珪藻土が含まれてもよい。
珪藻土は、珪藻の遺骸からなる堆積物であり、マイクロメートルオーダーの孔を有する多孔質である。
珪藻土は、特に限定されず、従来、耐火断煉瓦、濾過材等に使用されていたものと同様のものを用いることができる。例えば、狭雑している粘土鉱物(モンモリロナイトなど)や石英、長石などを分別精製する必要はなく、これらの含有率を認識した上で、混合物への配合量を調整することができる。
珪藻土の含水率は特に限定されず、例えば、自然乾燥状態での含水率が20〜60質量%が好ましく、30〜50質量%が好ましく、35〜45質量%がさらに好ましい。上記範囲内であれば、含水率を認識しながら、混合の際に狭雑物中の粗粒子分を除去して使用することで、成形性が良好な混合物を得られるためである。
なお、含水率は、乾燥減量方式である下記仕様の赤外線水分計を用い試料を乾燥(200℃、12分)し、下記(3)式により求めた値である。
測定方式:乾燥減量法(加熱乾燥・質量測定方式)
最小表示:含水量;0.1質量%
測定範囲:含水量;0.0〜100質量%
乾燥温度:0〜200℃
測定精度:試料質量5g以上で、含水量±0.1質量%
熱源:赤外線ランプ;185W
含水率(質量%)=[(m−m)/(m−m)]×100 ・・・(3)
:乾燥前の容器の質量と乾燥前の試料の質量との合計質量(g)
:乾燥後の容器の質量と乾燥後の試料の質量との合計質量(g)
:乾燥後の容器の質量(g)
<無機物の粒子・繊維>
多孔質セラミックス板状物の強度、特に曲げ強度を向上させたい場合には、無機物の粒子・繊維、フライアッシュ、クリンカーアッシュを混合物に配合することが好ましい。無機物の粒子・繊維としては、高融点ガラスの粒子、炭素繊維、バサルト繊維、ロックウールからなる群から選ばれる少なくとも1つが好ましく、強度の向上の観点からは高融点ガラスの粒子が特に好ましい。
[高融点ガラスの粒子]
高融点ガラスは、溶融温度900℃以上のものであり、好ましくは溶融温度1000℃以上、より好ましくは溶融温度1200℃以上のものである。溶融温度が前記下限値以上であれば、高融点ガラスの粒子は、後述する焼成工程において部分的に溶融し、高融点ガラスの粒子同士で融着したり、粘土類のバインダーとして機能できる。加えて、溶融温度が高いほど、多孔質セラミックス板状物の強度を向上できる。また、高融点ガラスの溶融温度は、1800℃以下が好ましく、1600℃以下がより好ましい。前記上限値超であると、焼結した際に、高融点ガラスの粒子が溶融しにくく、多孔質セラミックス板状物の強度を充分に向上できないおそれがある。
高融点ガラスの材質は、特に限定されないが、無アルカリガラス、アルミノケイ酸ガラス、ホウケイ酸ガラス、石英ガラスが好ましく、中でも、ホウケイ酸ガラスが好ましい。このような材質であれば、多孔質セラミックス板状物の強度を充分に向上できる。
無アルカリガラスは、実質的にナトリウム、カリウム、リチウム等のアルカリ金属元素を含有しないガラスである。実質的に含有しないとは、ガラス組成中のアルカリ金属元素の含有量が酸化物換算で0.1質量%以下を意味する。
アルミノケイ酸ガラスは、アルミニウムと珪素とを主成分とする酸化物ガラスである。
ホウケイ酸ガラスは、ホウ素と珪素とを主成分とする酸化物ガラスである。
石英ガラスは、石英から作製されるガラスで、酸化珪素の純度が高いものいう。
高融点ガラスの市販品としては、AN100(商品名、無アルカリホウケイ酸ガラス、旭硝子株式会社製)等が挙げられる。
高融点ガラスは、例えば、液晶テレビ等の液晶ディスプレイ、プラズマディスプレイ等のパネル、EL用カバーガラス、CCDに代表される固体撮像素子用のカバーガラス、ハンドパスフィルター等の光学フィルター用ガラス、チップ・オン・ガラス用途のガラス基板用ガラス、フラスコやビーカー等の各種製品に用いられている。
そのため、高融点ガラスの粒子は、上記の製品の製造工程で排出される廃ガラスや、廃棄された液晶テレビ等から回収されるパネルから得ることができる。
特に、液晶テレビ等のフラットディスプレイ用のパネルは、大型化等に伴い、フラットディスプレイの製造時に多量の廃ガラスを発生する。フラットディスプレイ用のパネルの廃ガラスを高融点ガラスの粒子とすることで、廃棄物を削減できる。このため、環境負荷を低減する観点から、フラットディスプレイ用のパネルの廃ガラスを高融点ガラスの粒子として用いることが好ましい。加えて、フラットディスプレイ用のパネルの廃ガラスは、ガラス組成物の純度が高いため、特段の精製をすることなく、安定した品質の高融点ガラスとして利用できる。
高融点ガラスの粒子の粒子径は、特に限定されないが、0.1〜5mmが好ましい。粒子径が0.1mm未満であると、多孔質セラミックス焼成体における孔の形成が不充分になるおそれがある。孔の形成が不充分であると、ガス中に含まれる不要物質の除去性能、多孔質セラミックス焼成体の耐久性が低下することがある。
粒子径が5mm超であると、成形性が低下したり、成形時に押出し口の金具が破損するおそれがある。
高融点ガラスの粒子径は、多孔質セラミックス板状物の生産性とさらなる強度の向上の観点から、0.6mm超1.2mm以下がより好ましい。
なお、高融点ガラスの粒子径は、篩い分けにより測定された値である。
[炭素繊維]
炭素繊維としては、ポリアクリロニトリル(PAN)系、ピッチ系、レーヨン及びセルロース系等の種々の炭素繊維を用いることができる。
炭素繊維の長さは、1mm〜10cmが好ましく、5〜25mmがより好ましい。前記下限値未満であると、強度が不充分になるおそれがあり、前記上限値超であると、生産性が損なわれたり、多孔質セラミックス板状物の外観が損なわれたりするおそれがある。
炭素繊維の太さは、1〜1000μmが好ましく、5〜100μmがより好ましい。前記下限値未満であると、多孔質セラミックス板状物の強度が不充分になるおそれがあり、前記上限値超であると、生産性が損なわれたり、多孔質セラミックス板状物の外観が損なわれたりするおそれがある。
[バサルト繊維]
バサルト繊維は、天然に存在するバサルト(玄武岩)を溶融・紡糸して製造される繊維である。
バサルト繊維の長さは、1mm〜10cmが好ましく、5〜25mmがより好ましい。前記下限値未満であると、強度が不充分になるおそれがあり、前記上限値超であると、生産性が損なわれたり、外観が損なわれたりするおそれがある。
バサルト繊維の太さは、1〜1000μmが好ましく、5〜100μmがより好ましい。前記下限値未満であると、強度が不充分になるおそれがあり、前記上限値超であると、生産性が損なわれたり、外観が損なわれたりするおそれがある。また、炭素繊維も同様であるが、これらの繊維を1000〜100000本程度束ねた繊維束として用いることが強度向上の観点から好ましい。
[ロックウール]
ロックウールは、玄武岩、鉄炉スラグ等に石灰等を混合し、高温で溶融し紡糸して製造される人造鉱物繊維である。
ロックウールの長さは、1mm〜10cmが好ましく、5〜25mmがより好ましい。前記下限値未満であると、強度が不充分になるおそれがあり、前記上限値超であると、生産性が損なわれたり、外観が損なわれるおそれがある。
ロックウールの太さは、1〜100μmが好ましく、3〜30μmがより好ましい。前記下限値未満であると、強度が不充分になるおそれがあり、前記上限値超であると、生産性が損なわれたり、外観が損なわれるおそれがある。
[フライアッシュ]
フライアッシュは、火力発電所等で石炭を燃焼させた際に生成する灰であって、燃焼ガスと共に吹き上げられる程度の大きさの粒子である。フライアッシュとしては品質安定の観点からコンクリート用フライアッシュとしてJIS A6201に規定されているものが好ましく、JIS A6201に規定されたI種、II種、III種、IV種のいずれでもよい。
[クリンカーアッシュ]
クリンカーアッシュは火力発電所等で石炭を燃焼させた時に発生する石灰岩のうち、ボイラの底部に落下した石灰岩の塊を回収し、脱水・粉砕した灰のことである。
<焼結体Aの製造方法>
以下に、焼結体Aの板状物の製造方法について説明する。焼結体Aの板状物の製造方法は、混合工程と成形工程と焼成工程とを有する。
[混合工程]
混合工程は、発泡剤、粘土類及び有機汚泥を混合することにより混合物を得る工程である。
混合物としては、例えば、発泡剤と粘土とを含むものが好ましく、発泡剤、有機汚泥及び粘土を含むものがより好ましい。発泡剤と粘土を用いることで大きなミリメートルオーダーの孔やマイクロメートルオーダーの孔を形成することができる。さらに、有機汚泥を用いることでより多くのマイクロメートルオーダーの孔と、さらに小さなナノメートルオーダーの孔を形成することができる。このような混合物を焼成して得られた多孔質セラミックス焼成体は、相互の孔が連通したものとなる。
混合工程における各成分の混合方法は特に限定されず、例えば、発泡剤、粘土類及び有機汚泥を一度に混合装置へ投入し、混合する方法が挙げられる。
混合物における発泡剤の配合量は、10〜80質量%が好ましく、30〜70質量%がより好ましく、40〜60質量%がさらに好ましい。発泡剤の配合量が上記範囲内であれば混合物の成形性を損なわず、円滑に成形できると共に、多孔質セラミックス板状物の孔率、かさ比重、飽和含水率を容易に好適な範囲とすることができる。
混合物における粘土類の配合量は、成形性を勘案して決定することができ、5〜60質量%が好ましく、8〜50質量%がより好ましく、1〜40質量%がさらに好ましい。粘土類の配合量が上記範囲内であれば混合物の成形性を損なわず、かつ円滑に成形できると共に、得られる多孔質セラミックス板状物の強度を充分に確保できる。
混合物における有機汚泥の配合量は、成形性を勘案して決定することができ、1〜60質量%が好ましく、5〜40質量%がより好ましく、5〜30質量%がさらに好ましい。有機汚泥の配合量が上記範囲内であれば、混合物は適度な流動性と可塑性とを備え、成形性が高くなり、成形装置を閉塞させることなく円滑に成形できる。また、孔同士を連通させやすくなり、所望する孔率や飽和含水率の多孔質セラミックス板状物を容易に得ることができる。
混合物の含水率は特に限定されないが、25〜45質量%が好ましく、25〜30質量%がより好ましい。上記範囲内であれば、混合物は適度な可塑性と流動性を有し、良好な成形性が維持できる。
混合物に任意成分を配合する場合、任意成分の配合量は、本発明の目的を阻害しない範囲とされ、例えば、混合物全体の0.001〜10質量%の範囲にすることが好ましい。
加えて、混合工程において、有機汚泥が好適な配合比で配合されている場合には、有機汚泥に含まれる水により混合工程にて水を添加しなくてもよいし、混合物の流動性の調整等を目的として、適宜、水を配合してもよい。
なお、他の成分として高融点ガラス粒子を配合する場合には、高融点ガラス粒子の配合量は5〜35質量%の範囲にすることが好ましい。35質量%を超えて、高融点ガラス粒子を配合すると孔率や飽和含水率が低下するおそれがある。また、5質量%を下回ると強度の向上効果が得られないおそれがある。
混合工程に用いる混合装置は特に限定されず、公知の混合装置を用いることができる。例えば、混合装置としては、ミックスマラー(新東工業株式会社製)等の混練機や、ニーダー(株式会社モリヤマ製)、混合機(日陶科学株式会社製)等が挙げられる。
混合工程における混合時間は、発泡剤、粘土類と有機汚泥との配合比や、混合物の流動性等を勘案して決定することができ、混合物が可塑状態となるような混合時間を決定することが好ましい。混合時間は、15〜45分の範囲とすることが好ましく、25〜35分の範囲とすることがより好ましい。
混合工程における温度は特に限定されず、発泡剤と粘土類と有機汚泥の配合比や含水量等を勘案して決定することができ、10〜80℃の範囲とすることが好ましく、50〜60℃の範囲とすることがより好ましい。
[成形工程]
成形工程は、混合工程で得られた混合物を板状に成形する工程である。
成形方法は、公知の成形方法を用いることができ、混合物の性状や多孔質セラミックス板状物の形状を勘案して決定することができる。成形方法は、例えば、成形装置を用いて板状の成形体を連続的に得る方法、混合物を板状のキャビティを有する型に充填し成形体を得る方法、あるいは、混合物を延伸した後、板状に切断する方法、混合物を円筒状に連続的に押出し、切開し、圧延した後、切断する等が挙げられる。中でも、生産効率向上の観点から、成形装置を用いて成形体を連続的に得る方法が好ましい。また、成形工程にて混合物を押し出し及び/又は延伸及び/または圧延することにより発泡剤が配向されるなどして焼成体Aに扁平な孔を形成しやすくなる。
成形装置としては、真空土練成形機、平板プレス成形機、平板押出し成形機等を使用することができ、中でも真空土練成形機が好ましい。真空土練成形機を用いて成形体中の空気を除去することで、孔の制御が安定する。
成形体の大きさは特に制限はされないが、例えば、タテ5cm〜2m×ヨコ5cm〜2m×厚さ1cm〜10cmの範囲とすることが好ましい。上記範囲の下限から外れる場合には、生産性が低下するおそれがある。上限を超える場合には、焼結が不充分となり、移送時等に多孔質セラミックス板状物が破損するおそれがある。
[焼成工程]
焼成工程は、成形工程で得られた成形体を焼成し、粘土類を焼結して多孔質セラミックスの板状物を得る工程である。
焼成前には、成形体を乾燥することが好ましい。乾燥操作は、特に限定されず、公知の方法を用いることができる。例えば、成形体を自然乾燥させてもよいし、50〜220℃の熱風乾燥炉で任意の時間処理することで乾燥してもよい。乾燥後の成形体の含水率は、特に限定されないが、3質量%未満が好ましく、1質量%未満がより好ましい。乾燥後の成形体の含水率は、下限として0質量%であってもよい。
焼成の方法は特に限定されず、公知の方法を用いることができる。例えば、ローラーハースキルン等の連続式焼結炉、シャトルキルン等の回分式焼結炉を用い、任意の温度で焼成する方法が挙げられる。中でも、焼成には、生産性の観点から連続式焼結炉を用いることが好ましい。
また、焼成時に臭いが発生する場合、焼成装置には、脱臭装置を取り付けるとよい。脱臭装置としては、スクラバー脱臭装置やオゾン脱臭装置や光触媒などを用いた触媒脱臭装置などを挙げることができる。
焼成温度(到達温度)は、発泡剤と粘土類と有機汚泥との配合比や有機汚泥の成分等を勘案して設定される。例えば、発泡剤が発泡、膨張し、粘土類を焼結し、かつ、有機汚泥に含まれる有機物が熱分解により揮発して減量する温度に設定される。具体的には、焼成温度は、950〜1200℃であり、1000〜1100℃が好ましい。有機物の多くは、700℃前後より分解が始まり、950℃において臭気成分は熱分解されるため、950℃以上にすることで、有機汚泥特有の臭いを解消できると共に、有機汚泥中の有機物の大部分を揮発させて減量することができる。発泡剤として鋳鉄スラグを用いた場合には、800〜950程度にて結晶化、膨張する。
焼成温度が1200℃を超えると、多孔質セラミックス板状物の組織全体のガラス化が進み、成形体が破損したり、孔が閉塞するおそれがある。
焼成工程では、焼成温度に達するまでの間に、まず成形体から水分が蒸発し、発泡剤が発泡し、その後有機汚泥の有機物が熱分解して減量する。その際の焼成温度に達するまでの温度上昇(ヒートカーブ、温度勾配)は適切に調整することが好ましい。
連続式焼結炉においては、投入時における成形体の含水率が3質量%を超えると、焼成工程での含有水分の急激な気化により、成形体が破裂もしくは爆砕することがあり、また、有機物の急激な揮発に伴う破損も発生するおそれがある。しかし、温度勾配を調整して急激な水分の蒸発又は急激な有機物の減量を抑えれば、上記のような成形体の破裂や破損を防ぐことができる。
また、焼成温度に達した後の急激な冷却の際にも、多孔質セラミックス板状物に割れや粉砕等の破損が生じることがあるが、焼成工程での温度勾配を調整することにより、冷却の際の破損を防ぐことができる。
また、温度勾配は、焼成装置の規模等を勘案するとよい。焼成装置の規模に応じて適切な温度勾配を設ければ、孔率を高くし、あるいは孔同士を連通させて、多孔質セラミックス板状物の捕水性、飽和含水率、透水性、強度等をより向上させる。
ことができる。
焼成時間は、焼成温度や混合物の含水率等を勘案して決定することができ、焼成温度になっている状態の滞留時間が、好ましくは1〜120分間、より好ましくは3〜60分間、さらに好ましくは4〜10分間である。滞留時間が上記範囲内であれば、多孔質セラミックス板状物の破損を防止しつつ、良好に焼結できる。
焼成し、冷却した後、任意の大きさに多孔質セラミックス板状物を切断すればよい。
(排水構造の適用例)
本発明の排水構造は、主に屋上に適用されるが、ベランダやバルコニー等にも適用できる。
上記排水構造を、多層住宅の各階に設置されたベランダに適用する場合、各階のベランダに降った雨水は、その上の階のベランダに降った雨水と合流し、下の階に向うように排水される。ベランダへの適用例は本発明の排水構造の主な適用例ではないが、水の流れが複雑であるため、以下に説明する。
すなわち、本例では、多層住宅の各階に設置されたベランダの天面に防水層が形成されて床が設けられ、該床の表面に多孔質セラミックス板状物が敷設されている。
なお、本実施形態において、床の周囲には、柵、塀、壁あるいはサッシ等の構造物が設けられてもよい。
図9に第1例を示す。第1例においては、各ベランダ22,23の内部に排水路が形成され、排水路32の一端には、上の階から延びる鉛直排水管31が接続され、排水路の他端には、下の階に向って延びる鉛直排水管31が接続されている。ベランダ22,23の床20,20には、各鉛直排水管31の排水口Hが形成されている。
このような排水構造では、上の階のベランダ22に降った雨水が鉛直排水管31に流れ込み、さらにその上の階に降って排水路32を通ってきた雨水と合流し、鉛直排水管31を通って下の階のベランダ22内の排水路32に送られる。下階のベランダ22に降った雨水は鉛直排水管31に流れ込み、排水路32を通ってきた雨水と合流し、鉛直排水管31を通って、さらに下の階のベランダ内の排水路に送られる。これを繰り返して、雨水は、順次、下の階に移動して排水される。
本例では、ベランダ22,23の防水層21の表面に多孔質セラミックス板状物10が敷設されている。多孔質セラミックス板状物10は、鉛直排水管31の排水口Hを覆うように、且つ、防水層21との間に空隙が形成されないように配置されている。
本例では、防水層21の表面に多孔質セラミックス板状物10が敷設されていることによって、雨水を一時的に多孔質セラミックス板状物10の内部に留めることができる。そのため、短時間に大量の雨が降った場合でも、短時間に大量の雨水が鉛直排水管31や排水路32に流れ込むことを抑制でき、ベランダ22,23の冠水を抑制できる。
また、防水層21の表面に多孔質セラミックス板状物10が敷設されていることで、太陽光が防水層21に直接照射されない。また、多孔質セラミックス板状物10は、多孔質によって断熱性を有するため、温度の上昇又は低下によるベランダ22,23の本体や防水層21の体積膨張等を抑制できる。したがって、多孔質セラミックス板状物10の敷設によって、防水層21の劣化を抑制することができる。
なお、上記の排水構造において、多孔質セラミックス板状物10が防水層21の表面に敷設されていない場合には、太陽光や温度変化によって防水層21が劣化することに加え、排水路32内に水が滞留して排水路32を劣化させることがあった。排水路32の劣化により排水路32からベランダ22,23内に水が浸透してしまい、防水層21の劣化を助長するという問題を有していた。また、排水路32内の水の流れが弱いため、苔やゴミなどが排水路内に蓄積しやすく、それによって排水路32の劣化が促進されるため、防水層21はさらに劣化しやすい状態になる。
また、鉛直排水管31及び排水路32が劣化した際には、改修がおこなわれるが、その改修では、鉛直排水管31及び排水路32の内径よりも細い外径の管を挿入する方法が採られる。この改修では、鉛直方向から水平方向に管を通す工事となるため、施工が困難である。また、改修後、鉛直排水管31及び排水路32の口径が細くなるため、集中豪雨の際には、雨量が排水能力を超えやすく、ベランダ22,23が冠水しやすくなる。また、口径が細くなったことにより、鉛直排水管31及び排水路32が詰まりやすくなる。
排水路32が劣化した際に、排水路32を改修せずに、ベランダ22,23の床20に新たに排水溝を形成することもあるが、外観が悪く、しかも、集中豪雨の際のベランダ冠水の対策にはならない。
図10,11に第2例を示す。第2例においても、各階のベランダの防水層の表面に多孔質セラミックス板状物が、排水口を覆うように、且つ、防水層との間に空隙が形成されないように配置されている。
また、第2例においても、各ベランダ22,23の内部に排水路32が形成されている。各排水路32は、ベランダ内に水平に形成された水平排水路32aと、該水平排水路32aの一端に接続され、当該階のベランダの床面から延びる鉛直排水路32bとからなっている。水平排水路32aの他端は、下の階に向って延びる鉛直排水管31に接続されている。ベランダ22,23の床20,20には、各鉛直排水管31の排水口Hが形成されている。各鉛直排水管31の下端は、ベランダ22,23の内部に入り込まずに、防水層21の表面の上方に配置されている。
このような排水構造では、ベランダ22上の多孔質セラミックス板状物10に排出された雨水が、ベランダ22に降った雨水と共に鉛直排水管31に流れ込む。また、ベランダ22上の多孔質セラミックス板状物10に排出された雨水の一部、ベランダ22に降った雨水の一部は、ベランダ22内の排水路32を流れ、下の階に向う鉛直排水管31内を通る雨水に合流する。ベランダ22から下に向う鉛直排水管31を通った雨水はベランダ23上の多孔質セラミックス板状物10に向って排出される。
ベランダ23上の多孔質セラミックス板状物10に排出された雨水は、ベランダ23に降った雨水と共に鉛直排水管31に流れ込む。また、ベランダ23上の多孔質セラミックス板状物10に排出された雨水の一部、ベランダ23に降った雨水の一部は、ベランダ23内の排水路32を流れ、下の階に向う鉛直排水管31内を通る雨水に合流する。
これを繰り返して、雨水は、順次、下の階に移動して排水される。
本例では、一部の多孔質セラミックス板状物同士の間に仕切り板を配置して、雨水の流路を形成している。
すなわち、図11に示すように、上の階から延びる鉛直排水管31から多孔質セラミックス板状物10に流れ出た雨水が、壁25に沿って、下階に延びる鉛直排水管31の排水口Hに向って流れる流路Rを形成するように、仕切り板40を設けている。この仕切り板40により、鉛直排水管31から流れ出た雨水がベランダ全体に広がることを防ぎ、速やかに鉛直排水管31の排水口Hに送ることができる。
なお、仕切り板40によってベランダを2つの領域に区分してしまうと、排水口Hが形成されていない領域では、降った雨の行き場がなくなる。そのため、排水口H上の多孔質セラミックス板状物10と、流路Rではない多孔質セラミックス板状物10との間には仕切り板40を配置しない。これにより、当該階のベランダに降った雨を、下階に延びる鉛直排水管の排水口Hに向って移動させることができる。
排水口H上の多孔質セラミックス板状物10と、流路Rではない多孔質セラミックス板状物10との間には、仕切り板40と同じ幅に多孔質セラミックス板状物10を切断した多孔質セラミックス切断物50を配置すればよい。ただし、多孔質セラミックス切断物50は、その内部の孔を通して排水口Hに向って水が流れるように配置される。
本例においても、防水層の表面に多孔質セラミックス板状物が敷設されているため、太陽光が防水層に直接照射されない。また、多孔質セラミックス板状物は、多孔質によって断熱性を有するため、温度の上昇又は低下によるベランダの床材や防水層の体積膨張等を抑制できる。したがって、多孔質セラミックス板状物の敷設によって、防水層の劣化を抑制することができる。
また、防水層の表面に多孔質セラミックス板状物が敷設されていることによって、雨水を一時的に多孔質セラミックス板状物の内部に留めることができる。そのため、短時間に大量の雨が降った場合でも、短時間に大量の雨水が排水管や排水路に流れ込むことを抑制でき、ベランダの冠水を抑制できる。
また、多孔質セラミックス板状物が捕水している際には、夏などの高温時に水を少しずつ放出し、気化するため、蒸発潜熱による冷却効果を発揮することができる。
上記第1例及び第2例のいずれにおいても、多孔質セラミックス板状物の内部に多孔質セラミックス板状物の面方向に対して平行な扁平孔が形成されている場合には、該扁平孔が、ベランダの防水層表面に対して平行になるように多孔質セラミックス板状物を敷設することが好ましい。このように多孔質セラミックス板状物を敷設した場合には、雨水を防水層の面方向に拡散させて、排水管に容易に誘導できる。さらに、多孔質セラミックス板状物の捕水性がさらに高くなるため、ベランダの冠水をより防止できる。
なお、上記第1例及び第2例において、防水層21が形成されるのは床20の最表のみでなくてもよく、例えば、各ベランダ22,23の排水路32より下の部分にも防水層が形成されてもよい。
また、防水層21が床20の最表に形成されている必要はなく、防水層21の上にコンクリート層やモルタル層等が形成されてもよい。
10 多孔質セラミックス板状物
20 床
21 防水層
25 壁
B 排水溝
H 排水口

Claims (10)

  1. 防水層を有すると共に排水口及び排水溝の少なくとも一方からなる排水用開口部が形成された床と、該床の上に敷設された、連通孔を有する多孔質セラミックス板状物とを備え、
    前記多孔質セラミックス板状物は、前記床の、前記排水用開口部の近傍に、前記床との間に空隙が形成されないように配置され
    前記多孔質セラミックス板状物の内部には、該多孔質セラミックス板状物の面方向に対して平行な孔径1mm超1000mm以下の扁平孔が複数形成され、
    前記多孔質セラミックス板状物は、前記扁平孔が前記床の表面に対して平行になるように前記床の上に敷設されている、排水構造。
  2. 前記多孔質セラミックス板状物の飽和含水率が20%以上である、請求項1に記載の排水構造。
  3. 前記多孔質セラミックス板状物の表層が研削されている、請求項1又は2に記載の排水構造。
  4. 前記多孔質セラミックス板状物が、前記排水用開口部を覆っている、請求項1〜のいずれか一項に記載の排水構造。
  5. 前記多孔質セラミックス板状物は、該多孔質セラミックス板状物の表面から厚み方向に沿った透水速度に比べて、該多孔質セラミックス板状物の表面に沿った方向の透水速度が速い、請求項1〜4のいずれか1項に記載の排水構造。
  6. 床の表面に敷設した全多孔質セラミックス板状物を一体物とした際、その一体物の最外周の少なくとも一部の側面が、多孔質セラミックス板状物の厚み方向の透水速度と同等もしくはそれよりも透水速度が遅いもので覆われている、請求項1〜5のいずれか1項に記載の排水構造。
  7. 前記多孔質セラミックス板状物の厚み方向の透水速度と同等もしくはそれよりも透水速度が遅いものが、厚さ方向が前記側面に対して垂直になるように配置された多孔質セラミックス板状物である、請求項6に記載の排水構造。
  8. 一部の多孔質セラミックス板状物同士の間に仕切り板が配置されている、請求項1〜7のいずれか1項に記載の排水構造。
  9. 前記仕切り板が、前記床の上に敷設された多孔質セラミックス板状物の側面に対して、厚さ方向が垂直になるように配置された多孔質セラミックス板状物である、請求項8に記載の排水構造。
  10. 前記多孔質セラミックス板状物の曲げ強度が2.5N/mm 〜20N/mm である、請求項1〜9のいずれか1項に記載の排水構造。
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