JP6393950B2 - 人工芝用充填材およびそれを用いた人工芝 - Google Patents

人工芝用充填材およびそれを用いた人工芝 Download PDF

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Description

本発明は、人工芝用充填材またそれを用いた人工芝に関するものである。
運動競技場として、天然芝を植えた競技場が知られているが、芝刈りや水や肥料の散布、病害虫の対策など多額のメンテナンス費用が掛かっており、また、雨が降ると粘土質の運動競技場に比べればよいものの、芝の間や表面に大量の水が溜まるなど水はけの問題もあった。
そこで、メンテナンスが容易で天候の影響が受けにくい運動競技場として人工芝を用いたものが普及してきている。
そしてこのような運動競技場用に用いられている人工芝は、人工芝を形成するパイルの間に充填材として、目砂やゴムチップを用い、パイルの直立を支えると共に天然芝の感触に近づけたものが知られている。
さらに、人工芝の性能を高めるために充填材に求められる性能として、人工芝の表面の温度上昇を抑制する性能や雨が降った場合に人工芝の表面から素早く雨を吸収、透過する性能が望まれている。
そこで、人工芝の充填材に保水性を付与し、水の気化熱により人工芝の温度上昇を抑制する多孔質セラミックスからなる充填材が知られている。(特許文献1)
特開2007−327216号公報
特許文献1に記載の多孔質セラミックスでは、半径が0.3μm〜4μmの細孔を全細孔容積の90%以上を占める細孔分布を有し、充填材として珪砂を用いた場合に比べ、吸水、保水性に優れ、人工芝の表面温度の上昇を防ぐことが記載されている。
しかしながら、特許文献1に記載の多孔質セラミックスでは、砂の粒度を小さくして砂粒の間に保水するものではないため、必要以上の水を排水することは記載されているものの、排水性、特に短時間に大量の雨が降ったときの排水性については検討されていない。
また、水との親和性が十分ではなく、一度乾燥してしまうと、初期の吸水性が低下してしまうというおそれがあった。
そこで、本発明は、上記の課題を解決し、保水性に優れ、人工芝の表面温度の上昇を防ぎ、かつ、排水性にも優れる人工芝用充填材およびそれを用いた芝生を提供することを課題としている。
上記課題を解決するために、本発明にかかる人工芝用充填材およびそれを用いた芝生は以下の構成を有する。
(1)本発明の人工芝用充填材は、多孔質セラミックスを構成材料として含有する粒状物を含み保水率が15%以上、飽和透水係数が0.1cm/s以上である。
(2)前記粒状物の粒子径が0.1mm超5mm以下であることを特徴とする前記(1)記載の人工芝用充填材。
(3)前記多孔質セラミックスは、カルシウム成分を10質量%以上含むことを特徴とする前記(1)または(2)に記載の人工芝用充填材。
(4)前記(1)〜(3)のいずれかの人工芝用充填材を敷設した人工芝。
本発明の人工芝用充填材は、優れた保水性と透水性を有している。従って、本発明の人工芝用充填材を人工芝に用いれば、人工芝の表面温度の上昇を抑制し、かつ、雨が降った場合にも速やかに水を排出し、水たまりなどの発生を抑止し、より運動に適した環境を提供することができる。
以下、本発明の一実施形態に係る人工芝用充填材について説明をおこなう。
(多孔質セラミックスの粒状物)
本実施形態の人工芝用充填材は、多孔質セラミックスを構成素材として含有する粒状物(以下、粒状物ともいう)を含むものである。粒状物は保水率が15%以上、飽和透水係数が0.1cm/s以上であるとよい。
本実施形態の人工芝用充填材に用いられる粒状物は、多孔質セラミックスを構成材料として含有する。好ましくは、実質的に多孔質セラミックスからなる粒状物であるとよい。ここで多孔質セラミックスとは、セラミックスすなわち金属やケイ素の酸化物の焼成体で、多孔質すなわち気孔(孔)を多数有するものである。具体的には、セラミックスは、粘土を主な成分とする混合物を焼成して得られたものである。セラミックスの気孔は、例えば後述する多孔質セラミックスの粒状物の製造方法における焼成の際に自然に、または発泡剤等の添加物の作用によって生ずる。
本実施形態の好ましい形態での多孔質セラミックスは、後述する製造方法で製造された結果として、粘土、発泡剤、有機汚泥の混合物が焼成された成分を有し、後述する製造方法で述べるような各種の任意成分、すなわち各種の繊維やガラス等を含有していてもよい。
気孔の好ましい態様については後述するが、多孔質セラミックスの粒状物は多孔質であることで、気孔に水分を吸収することができ、粒状物また人工芝用充填材の全体体積に対して前記水分率(体積水分率)が15%以上であるという本実施形態の人工芝用充填材の性質に寄与している。
本実施形態において、粒状物とは、人工芝のパイルへの充填のしやすさや競技者の運動のしやすさの観点からは、粒子径が5mm以下であるとよい。好ましくは2.5mm以下がよい。下限は特に限定されないが、多孔質セラミックスに形成されている気孔の活用の観点、透水性や充填材の粉立ち抑制の観点より0.1mm超以上が好ましく、さらに好ましくは0.25mm超、さらにより好ましくは0.5mm超が好ましい。
粒子径は篩分けにより測定される値であり、例えば1mm超5mm以下の粒状物とは、目開き5mmの篩を通過し、目開き1mmの篩を通過できないものを意味する。
また、本実施形態の粒状物は、保水率(体積水分率)が15%以上であるとよい。より好ましくは20%以上、さらに好ましくは30%以上であるとよい。ここで保水率、または含水率は、本実施形態では水に浸した際の粒状物の全体体積に対する体積水分率を指す。保水率の測定は従来知られた乾熱法、加熱減量法または電気抵抗法等を用いて行うことができる。本実施形態では、例えば粒状物を水中に30分以上、好ましくは1時間以上浸漬して飽和含水状態とし、その粒状物を試料として乾熱法を用いて測定することができる。
粒状物の保水率が、15%以上であれば、太陽の光が降り注ぐ状態であっても、粒状物に含まれる水分が徐々に気化し、人工芝の表面の温度上昇を抑制することができる。また、多孔質セラミックスにナノメートルオーダー、マイクロメートルオーダーの気孔を多数有し、これらが連通していることにより、さらに長時間、人工芝の表面の温度上昇を抑制することができる。従って、試合中に頻繁に水撒きを行わなくともよく、水撒きの回数が減らすことができ、頻繁な水撒きによる競技者の集中力を切らすといった問題も抑制される。また、人工芝の管理も容易である。
粒状物の保水率の上限は特に限定されないが、95%程度が上限である。粒状物の強度の観点、また、透水性の観点からは85%以下が好ましい。
また、本実施形態の粒状物の飽和透水係数が0.1cm/s以上であるとよい。より好ましくは、0.5cm/s以上、さらに好ましくは1.0cm/sがよい。粒状物の飽和透水係数が0.1cm/s以上であれば、人工芝に降った雨を速く排出し、水たまりなどの発生を抑制し、競技環境の低下を抑制することができる。
本実施形態の粒状物は、大きな保水率を有していながら、かつ、大きな飽和透水係数を有するため、人工芝の表面温度の上昇を抑えながら、かつ、透水性に優れるため雨が降っても水たまりなどの発生を抑えることができる。
また、本実施形態の粒状物に含有される多孔質セラミックスは、カルシウム成分を10質量%以上含むとよい。カルシウム成分を10質量%以上含むことにより、粒状物の水に対する親水性が向上し、雨が降り始めたときにすぐに雨を吸収し、敷設した人工芝用充填材の表面で水滴が発生することを抑制する。
透水性に優れる粒状物であっても、粒状物の表面が乾いている状態では、水を吸いにくくなる現象がみられることがあり、雨の降りはじめに人工芝用充填材の表面で水滴が発生することがあるが、粒状物の構成材料として含まれる多孔質セラミックスがカルシウム成分を10質量%以上含むことにより、このような現象の発生を抑制することができる。
また、水が多孔質セラミックスに形成されている小さな孔の中まで入り込みやすくなり、保水率が向上し、かつ、多孔質セラミックスの内部、また、小さな孔にまで水が入り込むことにより、長時間にわたり徐々に水を蒸発させることができる。
カルシウム成分の測定は、ガラスビード法による蛍光X線分析法(JIS R2216)に準拠し測定することができ、CaOの質量%であらわされる。
粒状物の構成材料として含有する多孔質セラミックスに形成されている気孔の大きさは、例えば、孔径10〜1000nmのナノメートルオーダーの気孔であってもよいし、孔径1μm超1000μm以下のマイクロメートルオーダーの気孔であってもよいし、孔径1mm超のミリメートルオーダーの気孔であってもよいし、これらの気孔が混在していてもよい。特に孔径が大きな気孔と小さな気孔が混在しているとよい。例えばミリメートルオーダーの気孔とマイクロメートルオーダーの気孔とナノメートルオーダーの気孔が混在することにより、多孔質セラミックス内に多くの空隙を形成し、保水量が向上し、かつ、水を長時間にわたり気化させることができる。
なお、気孔の孔径の上限はその多孔質セラミックの長辺の長さが上限となる。多孔質セラミックスの粒子径が1mm未満の場合には、多孔質セラミックにはミリメートルオーダーの気孔は存在しないが、マイクロメートルオーダーの気孔とナノメートルオーダーの気孔を有するため、大きな気孔率を有しており、大きな保水率を有する。
気孔の孔径は、原料の種類や、焼成条件を組み合わせることにより調節できる。なお、気孔の孔径の測定は、ミリメートルオーダー以上の大型の気孔ならば目視とスケールでおおよその値を測定してもよい。また、大型およびマイクロメートルオーダー以下の小型の気孔は顕微鏡観察等を行った画像データから縮尺に従って画像処理を行う等で測定することができる。本実施形態では、ミリメートルオーダーの気孔の孔径は、多孔質セラミックスを切断し、スケールを用いて気孔の長径を測定した値としている。ナノメートルオーダーおよびマイクロメートルオーダーの気孔の孔径は、多孔質セラミックスを切断し、電子顕微鏡を用いて気孔の長径を測定した値である。
多孔質セラミックスに形成されている気孔は、それぞれ独立したものであってもよいし、相互に連通した連通孔であってもよいが、得られる粒状物の保水率の観点から連通したものが好ましい。また、相互に連通していることにより、同一の保水率のものに比べ、長時間にわたり水を蒸発し続けることができるとの観点から相互に連通した気孔であるとよい。
本実施形態の粒状物は、本実施形態の目的を逸脱しない範囲で、珪砂、破砕くず、セラミックス、陶磁器くずの粉砕物、ガラス玉、廃ガラス粉砕物、下水汚泥溶融スラグ、ゴミ溶融スラグ、鋼鉄スラグなどのスラグ類、ゴムチップ、プラスチックチップなどと配合し粒状物としてもよい。
(人工芝用充填材)
本実施形態の人工芝用充填材は、多孔質セラミックスを構成材料として含有する粒状物を含み保水率が15%以上、飽和透水係数が0.1cm/s以上である。好ましくは、人工芝用充填材は、本実施の形態の粒状物からなる人工芝用充填材であるとよい。また、本実施形態の人工芝用充填は、本実施形態の目的を逸脱しない範囲で、粒状物ではない粘土質物質や繊維状物質、糊状物質を含んでいてもよい。
本実施形態の人工芝用充填は、保水率(体積水分率)が15%以上である。より好ましくは20%以上、さらに好ましくは30%以上であるとよい。ここで保水率は、前記の粒状物と同様に、本実施形態では水に浸した際の人工芝用充填材の全体体積に対する体積水分率を指す。保水率の測定は従来知られた乾熱法、加熱減量法または電気抵抗法等を用いて行うことができる。本実施形態では、例えば人工芝用充填材を水中に30分以上、好ましくは1時間以上浸漬して飽和含水状態とし、その人工芝用充填材を試料として乾熱法を用いて測定することができる。
人工芝用充填材の保水率が、15%以上であれば、太陽の光が降り注ぐ状態であっても、人工芝用充填材に含まれる水分が徐々に気化し、人工芝の表面の温度上昇を抑制することができる。また、含有する多孔質セラミックスにナノメートルオーダー、マイクロメートルオーダーの気孔を多数有し、これらが連通していることにより、さらに長時間、人工芝の表面の温度上昇を抑制することができる。従って、試合中に頻繁に水撒きを行わなくともよく、水撒きの回数が減らすことができ、頻繁な水撒きによる競技者の集中力を切らすといった問題も抑制される。また、人工芝の管理も容易である。
上限は特に限定されないが、人工芝用充填材の保水率は95%程度が上限である。人工芝用充填材に含まれる多孔質セラミックスの強度の観点、また、透水性の観点からは85%以下が好ましい。
本実施形態の人工芝用充填材の飽和透水係数が0.1cm/s以上である。好ましくは、0.5cm/s以上、さらに好ましくは1.0cm/sがよい。粒状物の飽和透水係数が0.1cm/s以上であれば、人工芝に降った雨を速く排出し、水たまりなどの発生を抑制し、競技環境の低下を抑制することができる。
本実施形態の人工芝用充填材は、大きな保水率を有していながら、かつ、大きな飽和透水係数を有するため、人工芝の表面温度の上昇を抑えながら、かつ、透水性に優れるため雨が降っても水たまりなどの発生を抑えることができる。
本実施形態の人工芝用充填材を用いると、長期にわたり人工芝用充填材に含まれる本実施形態の粒状物に含まれた水が気化することにより、長期にわたり人工芝の表面温度の上昇を抑制することができる。また、透水性に優れているため水はけもよく、雨が降っても水たまりなどの発生を抑制し、優れた競技環境を提供することができる。
<人工芝>
本実施形態の人工芝は、本発明の人工芝用充填材を敷設したものである。人工芝は、公知の基材にパイルを植設してある公知のものを用いることができ、パイルの間に本実施形態の人工芝用充填材を充填することにより敷設させたものである。
パイルの長さは特に限定されるものではないが、本実施形態の人工芝用充填材による長時間わたる温度上昇抑制効果の観点からは2cm以上が好ましい。
本発明の人工芝のパイルの間に充填された本実施形態の人工芝用充填材の敷設で形成される層の上層や下層に珪砂、破砕くず、セラミックス、陶磁器くずの粉砕物、ガラス玉、廃ガラス粉砕物、下水汚泥溶融スラグ、ゴミ溶融スラグ、鋼鉄スラグなどのスラグ類、ゴムチップ、プラスチックチップなどからなる層を形成してもよい。また、上層を珪砂、中層を本実施形態の人工芝用充填材、下層を珪砂とした3層またはそれ以上の層状構造としてもよい。
雨が降り始めた初期に素早く水を吸収するとの観点からは、上層に本実施形態の人工芝用充填材を用いるとよい。
また、長時間にわたり温度上昇を抑制するとの観点からは、本実施形態の人工芝用充填材の上層に珪砂の層を設けるとよい。
また、人工芝用充填材として、本実施形態の人工芝用充填材のみの層からなる構成であると、素早く水を吸収する吸水性、排水性、温度上昇抑制の観点より好ましい。
なお、本実施形態の人工芝用充填材が敷設された層の厚みは1cm以上であると温度上昇抑制の観点から好ましい。
<多孔質セラミックスの製造方法>
多孔質セラミックスの製造方法は、例えば、後述の原料を混合して混合物(以下、単に混合物ということがある)とし(混合工程)、この混合物を成形して成形体とし(成形工程)、この成形体を焼成して多孔質セラミックスを得る(焼成工程)方法等が挙げられる。
混合工程は、各種の原料、好ましくは粘土を含むものを混合して混合物を得る工程である。
混合物としては、例えば、発泡剤、有機汚泥、および珪藻土からなる群から選択される少なくとも1種と、粘土とを原料として含むものが好ましく、発泡剤および粘土を含むものがより好ましく、さらに発泡剤、有機汚泥および粘土を含むものがより好ましい。発泡剤を用いることで成形体を膨張させ、気孔率の大きな多孔質セラミックスの粒状物、また、成形体の状態にもよるがミリメートルオーダーの気孔を形成することができ、珪藻土を用いることで多孔質セラミックスの粒状物にマイクロメートルオーダーの気孔を形成することができる。また、有機汚泥を用いることで多孔質セラミックスの粒状物にマイクロメートルオーダーの気孔と、さらに小さなナノメートルオーダーの気孔を形成することができる。
発泡剤は、焼成時に発泡するものであり、例えば、炭酸カルシウム、炭化ケイ素、炭酸マグネシウム、またはスラグ等の公知のセラミックス用の発泡剤を用いることができる。これら発泡剤の中でも、ダクタイル鋳鉄等の鋳鉄時に発生する鋳鉄スラグ等のガラス質スラグ等が挙げられ、中でも、カルシウム成分が多く、また、組成が安定しているため安定した発泡状態が得られると共に、他のスラグに比べ1.5〜2倍程度の発泡率である鋳鉄スラグがより好ましい。特に、カルシウム成分の多い塩基性スラグが好ましい。
前記混合物中のスラグの配合量は、混合物の成形性を勘案して決定することができ、例えば、前記混合物の全体質量に対して80質量%以下が好ましく、20〜70質量%がより好ましく、30〜60質量%がさらに好ましい。上記範囲内であれば、混合物の成形性を損なわず、かつ円滑に成形できると共に、多孔質セラミックスの保水率、飽和透水係数を好適な範囲にすることができる。
有機汚泥は、主成分として有機物を含有する汚泥である。有機汚泥は、任意のものを用いることができ、下水や工場等の排水処理に由来する活性汚泥が特に好ましい。活性汚泥は、活性汚泥法を用いた排水処理設備から、凝集および脱水工程を経て排出される。このような有機汚泥を用いることで、マイクロメートルオーダーの気孔を効率的に形成でき、さらに、ナノメートルオーダーの気孔を形成できる。ナノメートルオーダーの気孔が形成されることで、保水性に優れ、また、長期にわたり人工芝の温度上昇を抑制する多孔質セラミックスが得られる。さらに、廃棄物の位置付けであった排水処理由来の活性汚泥を原料として再度利用することができる。
有機汚泥の含水率は、例えば、有機汚泥の全体質量に対して水が1〜90質量%であることが好ましく、60〜90質量%であることがより好ましく、65〜85質量%がさらに好ましい。上記範囲内であれば、均質な混合物が得られると共に、良好な成形性を維持しやすい。
有機汚泥の含水率は、「産業廃棄物に含まれる金属等の検定方法」、公布日:昭和48年02月17日、環境庁告示13号、第一の表の備考の規定に準じて行われる。具体的には、有機性廃棄物の含水率は、下記(1)式により求められる。
有機性廃棄物の含水率(質量%)=(乾燥前の質量(g)−絶乾状態質量(g))/乾燥前の質量(g)×100 ・・・(1)
有機汚泥中の有機物の含有量は、特に限定されないが、例えば、有機汚泥の固形分中の有機物の含有量(有機物含有量)として70質量%以上が好ましく、80質量%以上がより好ましい。有機汚泥中の有機物の最大含有量は目安として100質量%である。前記有機物含有量が多いほど、マイクロメートルオーダーの気孔を容易に形成でき、さらに、ナノメートルオーダーの気孔を形成できる。なお、有機物含有量は、例えば乾燥後の汚泥をJIS M8812−1993に準じた測定法による値を用いることができる。具体的には、炭化温度700℃で灰分(質量%)を測定し、下記(2)式により求まる値である。
有機物含有量(質量%)=100(質量%)−灰分(質量%) ・・・(2)
有機汚泥の平均粒子径は、好ましくは1〜5μm、より好ましくは1〜3μmとされる。有機汚泥は、焼成により焼失し、その部分に気孔を形成するため、平均粒子径が小さいほど、マイクロメートルオーダーの気孔を容易に形成でき、さらに、ナノメートルオーダーの気孔を形成できる。なお、平均粒子径としては、本実施形態では例えば体積基準のメディアン径を測定して求まる値である。具体的には、粒度分布測定装置(LA−920、株式会社堀場製作所製)により測定される体積基準のメディアン径(体積50%径)等を用いることができる。
前記混合物中の有機汚泥の含有量は、混合物の成形性等を勘案して決定することができ、例えば、前記混合物の全体質量に対して、混合物に配合するときの有機汚泥の状態での質量(水を含む有機汚泥は水も含んだ質量)で1〜60質量%が好ましく、5〜30質量%がより好ましく、5〜20質量%がさらに好ましい。前記混合物中の有機汚泥の含有量が前記範囲内であれば混合物は適度な流動性と可塑性とを備え、成形性が向上し、成形装置を閉塞することなく円滑に成形できる。
珪藻土は、珪藻の遺骸からなる堆積物であり、マイクロメートルオーダーの気孔を有する多孔質である。珪藻土を用いることで、珪藻土に由来する微細な気孔を多孔質セラミックスに形成できる。
珪藻土としては、特に限定されず、従来、耐火断熱煉瓦、濾過材等に使用されていたものと同様のもの等を用いることができる。例えば、珪藻土に狭雑している粘土鉱物(モンモリロナイト等)、石英、および長石等を分別精製する必要はなく、これらの含有率を認識した上で、混合物への配合量を調整することができる。また、珪藻土を用いて製造され廃棄された耐火断熱煉瓦、濾過材またはコンロなどを粉砕して珪藻土として用いることもでき、廃棄物削減の観点から好ましい。
珪藻土の含水率は特に限定されず、例えば、自然乾燥状態での含水率が珪藻土の全体質量に対して20〜60質量%が好ましく、30〜50質量%がより好ましく、35〜45質量%がさらに好ましい。
珪藻土の含水率が前記範囲内であれば、含水率を認識しながら、混合の際に狭雑物中の粗粒子分を除去して使用することで、成形性が良好な混合物を得られるためである。
なお、珪藻土中の含水率は、珪藻土の乾燥減量法またはカールフィッシャー法等の従来知られた方法により測定できるが、本実施形態では、乾燥減量法(乾燥減量方式)のための下記仕様の赤外線水分計を用い、試料を乾燥(200℃、12分)し、下記(3)式により求めた値を用いることができる。
<仕様>
測定方式:乾燥減量法(加熱乾燥・質量測定方式)、
最小表示:含水率;0.1質量%、
測定範囲:含水率;0.0〜100質量%、
乾燥温度:0〜200℃、
測定精度:試料質量5g以上で、含水率±0.1質量%、
熱源:赤外線ランプ;185W
含水率(質量%)=[(m−m)/(m−m)]×100 ・・・(3)
:乾燥前の容器の質量と乾燥前の試料の質量との合計質量(g)、
:乾燥後の容器の質量と乾燥後の試料の質量との合計質量(g)、
:乾燥後の容器の質量(g)
混合物中の珪藻土の含有量は、多孔質セラミックスに求める保水率や強度等を勘案して決定でき、例えば、1〜55質量%が好ましく、1〜45質量%がより好ましい。珪藻土の含有量が上記55質量%以下であれば、混合物の成形性が良好であり、45質量%以下であればさらに良好である。珪藻土の含有量が上記1質量%以上であれば、所望の保水率の多孔質セラミックスや、所望の強度の多孔質セラミックスを得られやすい。
本実施形態における粘土は、一般的に窯業原料として用いられる粘土状の性状を示す鉱物材料であり、珪藻土以外のものである。
粘土は、従来、セラミックスに用いられる公知のものを用いることができ、石英、長石、またはその他の粘土系素材等の鉱物組成で構成され、構成鉱物はカオリナイトを主とし、ハロイサイト、モンモリロナイト、イライト、ベントナイトまたはパイロフィライトを含むものが好ましい。中でも、焼結時のクラックの伸展を抑え、多孔質セラミックスの破壊を防ぐ観点から目安として粒子径が500μm以上の石英の粗粒を含むものがより好ましい。また、前記石英の粗粒の粒子径は、目安として5mm以下が好ましい。このような粘土としては、例えば、蛙目粘土等が挙げられる。粘土は、1種単独でまたは2種以上を適宜組み合わせて配合できる。
混合物中の粘土の含有量は、多孔質セラミックスに求める強度や成形性等を勘案して決定でき、例えば、5〜60質量%が好ましく、5〜50質量%がより好ましく、10〜40質量%がさらに好ましい。上記範囲内であれば混合物の成形性を損なわず、かつ円滑に成形できると共に、多孔質セラミックスの強度を十分なものにできる。
混合物は、本実施形態の効果を阻害しない範囲で、任意成分を含有してもよい。任意成分としては、例えば、マイティ(商品名、花王株式会社製)シリーズ等のナフタリン系の流動化剤、メルメントF−10(商品名、昭和電工株式会社製)等のメラミン系の流動化剤、ダーレックススーパー100pH(商品名、グレースケミカルズ株式会社製)等のポリカルボン酸系の流動化剤、銀、銅もしくは亜鉛等の抗菌剤、塩化アンモニウムもしくは塩化亜鉛等の消臭剤、ゼオライトもしくはアパタイト等の吸着剤、長さが1mm〜5cmの炭素繊維、バサルト繊維もしくはロックウール等の強度向上剤、または、金属アルミニウム等が挙げられる。
混合物に任意成分を配合する場合、任意成分の配合量は、例えば、5〜10質量%の範囲で決定することが好ましい。
また、混合物の流動性の調整等を目的として、適宜、水を配合してもよいが、有機汚泥が好適な配合比で配合されている場合には、混合工程にて水を添加しなくてもよい。
また、水分が多い場合には、粘土の含有量を増やすと好ましい。また、他にはガラスや瓦などの破砕物を含んでいるとよい。特に粘度の含有量を増やしたり、瓦の破砕物を配合することにより、過剰な水分を吸収し、配合物の流動性を調整し、成形性を向上させることができる。また、ガラスを用いる場合には、好ましくは、溶融温度が900℃以上、2000℃以下の高融点ガラスの粒子状フィラーがより好ましい。高融点ガラスの粒子を用いることで、多孔質セラミックスに形成される気孔を維持しながら水分調整が可能である。また、高融点ガラスは強度向上材としても用いることができる。
高融点ガラスの材質は、特に限定されないが、無アルカリガラス、アルミノケイ酸ガラス、ホウケイ酸ガラスまたは石英ガラスが好ましく、中でも、ホウケイ酸ガラスが好ましい。
また、瓦も廃棄物として出されたものをもちいることができる。瓦は融点が高いため、一般的なものは特別な配慮をおこなわなくとも用いることができる。また、瓦は水分の吸収量も多いため、有機汚泥中の水分が特に多い場合には、瓦を配合するとよい。
高融点ガラスや瓦の粒子の粒子径は、0.1〜3mmが好ましい。粒子径が0.1mm未満であると、多孔質セラミックスにおける気孔の形成が不十分になるおそれがある。気孔の形成が不十分であると、保水性が低下するおそれがある。
粒子径が3mm超であると、目的とする粒子径、保水率、飽和透水係数の多孔質セラミックスが得られないおそれがある。
混合物中の高融点ガラスや瓦の粒子の含有量は、本実施形態の目的を逸脱しない範囲で配合物の目的とする流動性にあわせて適宜選択すればよいが、高融点ガラスや瓦以外の原料の合計100質量部に対し、5〜40質量部が好ましく、10〜30質量部がより好ましい。
混合工程に用いられる混合装置は特に限定されず、公知の混合装置を用いることができる。混合装置としては、例えば、ミックスマラー(東新工業株式会社製)等の混練機や、ニーダー(株式会社モリヤマ製)または混合機(日陶科学株式会社製)等が挙げられる。
成形工程は、混合工程で得られた混合物を任意の形状に成形する工程である。
成形方法は、公知の成形方法を用いることができ、混合物の性状や所望する成形体の形状を勘案して決定することができる。成形方法は、例えば、成形機を用いて、押し出し成形し、ペレットなどを含めた板状、粒状または柱状等の成形体を得る方法、混合物を任意の形状の型枠に充填して成形体を得る方法、あるいは、混合物を押し出し、延伸または圧延した後、任意の寸法に切断する方法等が挙げられる。
成形機としては、真空土練成形機、平板プレス成形機および平板押出し成形機等が挙げられ、中でも、真空土練成形機が好ましい。
焼成工程は、成形工程で得られた成形体を乾燥し(乾燥操作)、乾燥した成形体を焼成し(焼成操作)、珪藻土または粘土等を焼結してセラミックスを得る工程である。
乾燥操作は、必要に応じ行えばよく、公知の方法を用いることができる。焼成して得られる多孔質セラミックスの保水率、生産性の観点からは乾燥工程を行わないことが好ましく、成形性の観点からは乾燥操作を行った方が好ましい。乾燥操作は、例えば、成形体を常温(例えば、目安として20〜30℃前後)で自然乾燥してもよいし、50〜220℃の熱風乾燥炉で任意の時間処理して乾燥してもよい。乾燥後の成形体の含水率は、特に限定されないが、成形性の観点からは、例えば、5質量%未満が好ましく、1質量%未満がより好ましい。
成形体の含水率は、有機汚泥の含水率と同様に、「産業廃棄物に含まれる金属等の検定方法」、公布日:昭和48年02月17日、環境庁告示13号、第一の表の備考の規定に準じて行われる。
焼成操作は特に限定されず、公知の方法を用いることができる。例えば、ローラーハースキルン等の連続式焼結炉、または、シャトルキルン等の回分式焼結炉を用い、任意の温度で焼成する方法が挙げられる。中でも、焼成操作には、生産性の観点から連続式焼結炉を用いることが好ましい。
焼成温度(最高到達温度)は、混合物の性状等に応じて決定でき、例えば、850℃〜1200℃とされる。よりこの好ましくは、900℃以上1150℃以下がよい。焼成温度が上記下限値以上であれば、有機汚泥由来の臭気成分が熱分解され解消されると共に、有機汚泥中の有機物の大部分が揮発して減量する。上記上限値超であると、セラミックスの組織全体のガラス化が進み、気孔が閉塞するおそれがある。
焼成工程の後、必要に応じて、任意の大きさに多孔質セラミックスを破砕する破砕工程も設けることができる。破砕工程では、焼成工程で得られた多孔質セラミックスをハンマーミル、二軸回転式破砕、ジェットミル、ボールミル、またはエッジランナーミル等で破砕、粉砕(破砕操作)し、多孔質セラミックスの粒状物を得ることができる。得られた粒状物は必要に応じ任意の粒子径、好ましくは上述したような、粒子径として好ましい径になるように篩分けする(篩分操作)。なお、破砕操作の条件設定にて、所望する範囲の粒子径の粒状のセラミックスが得られる場合などには、必ずしも篩分操作を行う必要はない。
以下、実施例を示して本実施形態を詳細に説明するが、本実施形態は以下の記載によって限定されるものではない。
(使用原料)
実施例に用いた原料は、次の通りである。
<有機汚泥>
有機汚泥としては、染色工場(小松精練株式会社)の活性汚泥法による排水処理設備から凝集・脱水工程を経て排出された活性汚泥を用いた。この活性汚泥の有機物含有量(対固形分)は83質量%、含水率は85質量%であった。
<粘土>
粘土としては、蛙目粘土(岐阜県)を用いた。
<スラグ>
発泡剤として、鋳鉄スラグを用いた。この鋳鉄スラグは、SiO、Al、CaO、Fe、FeO、MgO、MnO、KOおよびNaOを主成分とするダクタイル鋳鉄スラグである。
<珪藻土>
珪藻土には、能登地区産の耐火煉瓦の原料で、含水率が珪藻土の全体質量に対して5重量%の粉末状の珪藻土を用いた。
<瓦>
住宅用の瓦として使用された後、廃棄されたものを粉砕した粒子径0.1mm〜1.2mmのものを用いた。
また、本実施形態の物性値は以下の方法により測定を行った。
<保水率(体積水分率)>
「土壌標準分析・測定法」(博友社)に記載の水分(乾熱法)に準じて測定をおこない、体積水分率(%)を保水率(%)とした。なお、水中に1時間浸漬した後の飽和含水状態の粒状物を試料として用いた。
<飽和透水係数>
「土壌標準分析・測定法」(博友社)に記載の飽和透水係数 変水位法に準じて測定をおこなった。
<pH>
「土壌標準分析・測定法」(博友社)に記載のpH測定法(pH(HO)を、ガラス電極法で測定する測定法)に準じて測定をおこなった。
<気孔同士の連通の有無の確認>
多孔質セラミックスにおける気孔同士の連通の有無の確認は、得られた多孔質セラミックスの大粒子を水に浸漬し、充分に吸水させた後に潰し、その潰れたものを観察することで確認した。多孔質セラミックスを潰したものに、満遍なく水分が分布されている場合、気孔同士が連通していると判断した(「○」と表示)。多孔質セラミックスを潰したものに水分が行き渡っていない場合には、個々の気孔または孔隙が独立しており、気孔同士が連通していないまたは連通が不充分であると判断した(「×」と表示)。なお、多孔質セラミックスの基板状のものは、基盤の状態で確認をおこなった。
<カルシウム成分の測定>
カルシウム成分の測定は、ガラスビード法による蛍光X線分析法(JIS R2216)に準拠し測定し、粒状物中のCaOの状態での質量%をカルシウム成分の含有量とした。
(実施例1)
表1に示す組成でスラグ、有機汚泥、粘土および珪藻土をミックスマラー(新東工業株式会社製)で混合し、可塑状態の混合物を得た(混合工程)。
次いで、得られた混合物を真空土練成形機(高浜工業株式会社製)で押し出し、圧延成形し、幅60cm、厚み2cmの帯状の一次成形体を得た。この一次成形体を任意のピッチと幅で切断して、厚み2cmの略正方形の平板状の成形体を得た(成形工程)。
得られた成形体を熱風乾燥機で乾燥(180℃、0.5時間)し、含水率1質量%以下とした後、連続式焼結炉を用いて、焼成温度1050℃、焼成温度での滞留時間7分間の焼成条件にて焼成した(焼成工程)。連続式焼結炉としては、ローラーハースキルン(焼結炉の有効長:全長15m、焼結炉を各1.5mのゾーン1〜10に分割)を用いた。得られた多孔質セラミックスの板状物は、ミリメートルオーダーの気孔とマイクロメートルオーダーの気孔とナノメートルオーダーの気孔が混在しまたこれらが連通しているものであった、各種物性値は表1に記載した。
焼成後、得られた多孔質セラミックスの板状物をハンマーミルで粉砕した。次に篩を用い、0.1mm超0.5mm以下(以下、小粒子という)、0.5mm超2.5mm以下(以下、中粒子という)、2.5mm超5mm以下(以下、大粒子という)に分け多孔質セラミックスの粒状物からなる人工芝用充填材を得た。
そして、小粒子、中粒子および大粒子の保水率等を測定し、表1に記載した。
測定の結果、実施例1の人工芝用充填材においては、透水速度が速く、特に大粒子、中粒子については目盛り管内の水面が上部線から下部線まで降下するのに要した時間が測定できなかった。大粒子及び中粒子の飽和透水係数は、10cm/sを超えていると推測される。
また、乾いた実施例1の人工芝用充填材大粒子、中粒子、小粒子の夫々に水を静かに一滴滴下したところいずれも瞬時に水を吸い込むものであった。
<温度上昇差1>
底に穴を開けた内径がたて40cm×よこ36cm×高さ8cmの発泡スチロール製の容器に、パイルの長さが75mmの人工芝を敷き、その人工芝のパイルの間に実施例1の中粒子と粒子径が約2mmのゴムチップを容積比1:1で配合したものを人工芝用充填材として充填させ、人工芝用充填材を厚さ55mmで敷設した人工芝を得た。
また、実施例1の人工芝用充填材に変え、比較例1として珪砂4号と珪砂5号と粒子径が約2mmゴムチップを容積比1:1:2で配合したものを人工芝用充填材として用い、同様に厚さ55mmで敷設した人工芝を用意した。
次に、これらの上からジョウロで水を十分与え、1時間放置し、十分に水を切った後、30℃の恒温室で各容器の上(35cm)から500Wのレフランプ(デイライト用)を用いて2時間光を照射し、人工芝用充填材が充填されている箇所の内部の温度、敷設されている人工芝用充填材の表面温度、人工芝のパイル間(人工芝用充填材が充填されていない空間)の温度をそれぞれ10分毎に測定し、経過時間毎のそれぞれの位置での実施例1と比較例1の温度差(温度差=比較例1の温度(℃)−実施例1の温度(℃))を求めた。
なお、温度測定は熱電対を用い、人工芝のパイル間に設置した熱電対の上には、約1cmの高さの箇所にアルミ箔の傘を設け直接光があたらないようにした。
その結果、実施例1の人工芝用充填材を用いたものは比較例1の人工芝用充填材を用いたものに比べ、最大温度差において、人工芝用充填材が充填されている箇所の内部の温度差6.2℃、敷設されている人工芝用充填材の表面温度差3.0℃、人工芝のパイル間の温度差8.0℃と大きな温度差が確認され、優れた温度上昇抑制効果が確認された。
(実施例2)
多孔質セラミックスを得るための混合物の組成を表1に記載したものとし、成形工程では真空土練成形機で混合物を直径1.5cmの円柱状に押し出したものを長さ3cmに切断し円柱状の成形体を得、また、焼成工程では成形体の含水率を低下させるための乾燥操作を省略した以外は実施例1と同様にし、多孔質セラミックスの粒状物からなる人工芝用充填材を得た。そして、小粒子、中粒子および大粒子の夫々の保水率等を測定し、表1に記載した。
測定の結果、実施例2の人工芝用充填材においては透水速度が速く、特に大粒子、中粒子については目盛り管内の水面が上部線から下部線まで降下するのに要した時間が測定できなかった。大粒子と中粒子の飽和透水係数は、10cm/sを超えていると推測される。
また、乾いた実施例2の人工芝用充填材大粒子、中粒子、小粒子の夫々に水を静かに一滴滴下したところいずれも瞬時に水を吸い込むものであった。
<温度上昇差2>
底に穴を開けた内径がたて40cm×よこ36cm×高さ3cmの発泡スチロール製の容器に珪砂4号と珪砂5号を容積比で1:1に配合したものを厚さ3mm敷き詰め、その上に実施例2の中粒子の人工芝用充填材を厚さ12mmで敷き詰め、さらにその上に珪砂4号を8mm敷き詰めた。また、比較例2として同様の容器に珪砂を23mmの厚さに敷き詰めたものを用意した。
次に、これらに、その上からジョウロで水を十分与え、1時間放置し、十分に水を切った後、30℃の恒温室にて各容器の上(35cm)から500Wのレフランプ(デイライト用)を用いて光を3時間照射し、それぞれの表面温度を測定し、実施例2と比較例2の温度差(温度差=比較例2の温度(℃)−実施例2の温度(℃))を求めた。
なお、温度測定は熱電対を用い、その熱電対の上、約1cmの箇所にアルミ箔の傘を設け、直接光があたらないようにした。
その結果、実施例2は、光を照射し、3時間経過後の人工芝用充填材の表面温度で2.0℃温度が低く、優れた温度上昇抑制効果が確認された。
(実施例3)
多孔質セラミックスを得るための混合物の組成を表1に記載したものとし、成形工程では真空土練成形機で混合物を直径1.5cmの円柱状に押し出したものを長さ3cmに切断し円柱状の成形体を得、また、焼成工程では成形体の含水率を低下させるための乾燥操作を省略した以外は実施例1と同様にし、多孔質セラミックスの粒状物からなる人工芝用充填材を得た。そして、小粒子、中粒子および大粒子の保水率等を測定し、表1に記載した。
実施例3の人工芝用充填材においては、透水速度が速く、特に大粒子、中粒子については目盛り管内の水面が上部線から下部線まで降下するのに要した時間が測定できなかった。大粒子、中粒子の飽和透水係数は、10cm/sを超えていると推測される。
また、乾いた実施例3の人工芝用充填材大粒子、中粒子、小粒子の夫々に水を静かに一滴滴下したところいずれも瞬時に水を吸い込むものであった。
<温度上昇差3>
底に穴を開けた内径がたて40cm×よこ36cm×高さ3cmの発泡スチロール製の容器に、一度湿らせた後、30℃の恒温室に1週間放置して乾燥させた実施例3の中粒子の人工芝用充填材を厚さ23mmで敷き詰めた。また、同様の容器に、一度湿らせた後、30℃の恒温室に1週間放置して乾燥させた珪砂4号と珪砂5号を容積比1:1で配合したものを比較例3として、23mmの厚さに敷き詰めたものを用意した。
次に、引き続き30℃の恒温室で、各容器の上(35cm)から500Wのレフランプ(デイライト用)を用いて光を5時間照射し、それぞれの表面温度を測定し、実施例3と比較例3の温度差(温度差=比較例3の温度(43.4℃)−実施例3の温度(37.9℃))を求めた。
なお、温度測定は熱電対を用い、その熱電対の上、約1cmの箇所にアルミ箔の傘を設け、直接光があたらないようにした。
その結果、実施例3は、光を照射し、5時間経過後の人工芝用充填材の表面温度で5.5℃温度が低く、優れた温度上昇抑制効果が確認された。
本実施例の粒状物からなる人工芝用充填材は、一見乾いているようにみえても、内部に水を含み、長期にわたり優れた人工芝の温度上昇抑制効果があると考えられる。
Figure 0006393950
本発明の人工芝用充填材を人工芝に用いれば、人工芝の表面温度の上昇を抑制し、かつ、雨が降った場合にも速やかに水を排出し、水たまりなどの発生を抑止し、より運動に適した環境を提供することができる。

Claims (3)

  1. 多孔質セラミックスを構成材料として含有する粒状物を含み
    前記多孔質セラミックスは、カルシウム成分を10質量%以上含み、
    保水率が15%以上、飽和透水係数が0.1cm/s以上である人工芝用充填材。
  2. 前記粒状物の粒子径が0.1mm超5mm以下であることを特徴とする請求項1記載の人工芝用充填材。
  3. 請求項1〜のいずれかの人工芝用充填を敷設した人工芝。
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