JP2013220960A - 多孔質セラミックス焼結体 - Google Patents

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晃宏 奥谷
Yutaka Hayashi
豊 林
Kosuke Togashi
宏介 富樫
Akihisa Kaneda
明久 金田
Tsuyoshi Ota
剛志 大田
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Abstract

【課題】諸特性を備え、高い強度の多孔質セラミックス焼結体を提供する。
【解決手段】炭素繊維を含む原料を焼結したことよりなる。曲げ強度が3N/mm以上であることが好ましい。
【選択図】なし

Description

本発明は多孔質セラミックス焼結体に関する。
一般に、多孔質セラミックス焼結体は、耐火断熱材料、水質浄化材料、調湿材料、揮発性有機化合物(VOC)吸着材料等に用いられているものである。
近年、多孔質セラミックス焼結体は、多孔質に由来する吸音性、断熱性、保水性、透水性、不燃性等の諸特性を生かし、例えば、ビル等の建築物の壁材や屋上材、道路や駐車場の路盤材への利用が検討されている。
このような多孔質セラミックス焼結体の構造としては、独立気泡型、格子構造型、アグリゲート型、微小な亀裂孔隙を有するもの、連続貫通気孔を有するもの等が挙げられ、用途に応じて選択される。
例えば、珪藻土、スラグ、粘土の成形体を焼結した多孔質セラミックス焼結体が提案されている(例えば、特許文献1)。この多孔質セラミックス焼結体は、珪藻土由来のマクロ気孔と、人工的に生成されたミリメートルサイズのトンネル構造孔隙とが相互に連結された二元構造を有するため、耐火性、吸音性に優れると共に、水が浸透しやすくかつ保水性に優れている。
特開2005−239467号公報
しかしながら、特許文献1の技術では、耐火性、吸音性の向上が図れるものの、建築材料に必要な強度が不足しているという問題があった。建築材料としての多孔質セラミックス焼結体には、諸特性を維持しつつ、十分な強度、特に十分な曲げ強度を備えることが求められる。
そこで、本発明は、諸特性を備え、高い強度の多孔質セラミックス焼結体を目的とする。
本発明の多孔質セラミックス焼結体は、炭素繊維を含む原料を焼結したことを特徴とする。
曲げ強度が3N/mm以上であることが好ましい。
本発明の多孔質セラミックス焼結体によれば、諸特性を損なうことなく、強度の向上が図れる。
(多孔質セラミックス焼結体)
本発明の多孔質セラミックス焼結体は、炭素繊維を含む原料を焼結したものである。
多孔質セラミックス焼結体に形成されている気孔の大きさは、用途を勘案して決定でき、例えば、孔径1〜1000μmのマイクロメートルオーダーの気孔であってもよいし、孔径1mm超300mm以下のミリメートルオーダーの気孔であってもよい。気孔の孔径は、原料の種類や、焼成条件を組み合わせることにより調節できる。気孔の孔径とは、気孔の長径を指す。ミリメートルオーダーの気孔の孔径は、多孔質セラミックス焼結体をその厚さ方向に沿ってカットし、スケールを用いて測定される値である。マイクロメートルオーダーの気孔の孔径は、多孔質セラミックス焼結体をその厚さ方向に沿ってカットし、電子顕微鏡を用いて測定される値である。
多孔質セラミックス焼結体の気孔は、それぞれ独立したものであってもよいし、相互に連通した連通孔であってもよい。多孔質セラミックス焼結体は、断熱性、吸音性、保水性、透水性又は通気性の向上の観点から、連通孔を有することが好ましい。かかる連通孔は、多孔質セラミックス焼結体を貫通して形成されたものであることがより好ましい。
多孔質セラミックス焼結体における気孔の体積の割合(気孔率)は、特に限定されないが、例えば、飽和含水率が好ましくは20〜80質量%、より好ましくは30〜70質量%となるようなものとされる。上記範囲内であれば、多孔質セラミックス焼結体の強度をより向上できると共に、用途に応じた諸特性を向上できる。
さらに、[多孔質セラミックス焼結体の質量(g)]/[多孔質セラミックス焼結体の体積(cm)]で表される比重は、好ましくは0.6〜2g/cm、より好ましくは0.6〜1.5g/cm、さらに好ましくは0.6〜1.1g/cm、さらに好ましくは0.65〜0.85g/cmである。上記範囲内であれば、多孔質セラミックス焼結体の強度をより向上できると共に、用途に応じた諸特性を向上できる。
多孔質セラミックス焼結体の形状は、用途等を勘案して決定することができ、例えば、平板状の板状物、円柱状又は角柱状等の柱状物、粒状の粒状物等が挙げられる。中でも、壁材、床材、路盤材等の建築材料として好適な板状物において、本発明の効果が顕著である。
多孔質セラミックス焼結体の大きさは、用途や施工方法等を勘案して決定でき、例えば、板状物であれば、長さ5〜200cm×幅5〜200cm×厚さ1〜10cmとされる。
多孔質セラミックス焼結体の曲げ強度は、3N/mm以上が好ましく、4N/mm以上がより好ましく、5N/mm以上がさらに好ましい。上記下限値以上であれば、建築材料に求められる強度を得られる。
<炭素繊維>
本発明の炭素繊維は、後述する珪藻土、粘土類、フィラー等と共に焼結されるものであり、多孔質セラミックス焼結体に取り込まれることで、多孔質セラミックス焼結体の強度を向上させることができる。
炭素繊維としては、ポリアクリロニトリル(PAN)系、ピッチ系、レーヨン及びセルロース系等の種々の炭素繊維を用いることができる。
炭素繊維の長さは、多孔質セラミックス焼結体の形状等を勘案して決定でき、板状物であれば、例えば、1mm〜10cmが好ましく、5〜25mmがより好ましい。上記下限値未満であると、多孔質セラミックス焼結体の強度が不十分になるおそれがあり、上記上限値超であると、生産性が損なわれたり、多孔質セラミックス焼結体の外観が損なわれたりするおそれがある。
炭素繊維の太さは、多孔質セラミックス焼結体の形状等を勘案して決定でき、板状物であれば、例えば、1〜1000μmが好ましく、5〜100μmがより好ましい。上記下限値未満であると、多孔質セラミックス焼結体の強度が不十分になるおそれがあり、上記上限値超であると、生産性が損なわれたり、多孔質セラミックス焼結体の外観が損なわれたりするおそれがある。
強度向上の観点から、炭素繊維は、1000〜100000本程度束ねられた繊維束として用いられることが好ましい。
また、環境面への配慮から、炭素繊維としては、炭素繊維の製造工程で生じる規格外品、炭素繊維の産業廃棄物や廃材品等の廃棄物を有効活用するのが好ましい。
<任意成分>
本発明の多孔質セラミックス焼結体の原料には、必要に応じて、珪藻土、粘土類、スラグ、有機汚泥、フィラー(ただし、炭素繊維を除く)、流動化剤、吸着剤、抗菌剤、顔料、消臭剤等の任意成分を用いることができる。
≪珪藻土≫
本発明に用いられる珪藻土は、珪藻の遺骸からなる堆積物であり、マイクロメートルオーダーの気孔を有する多孔質である。珪藻土を用いることで、珪藻土に由来する微細な気孔を多孔質セラミックス焼結体に形成できる。
珪藻土は、特に限定されず、従来、耐火断煉瓦、濾過材等に使用されていたものと同様のものを用いることができる。例えば、狭雑している粘土鉱物(モンモリロナイト等)や石英、長石等を分別精製する必要はなく、これらの含有率を認識した上で、混合物への配合量を調整することができる。
珪藻土の含水率は特に限定されず、例えば、自然乾燥状態での含水率が20〜60質量%が好ましく、30〜50質量%がより好ましく、35〜45質量%がさらに好ましい。
上記範囲内であれば、含水率を認識しながら、混合の際に狭雑物中の粗粒子分を除去して使用することで、成形性が良好な混合物を得られるためである。
含水率は、乾燥減量方式である下記仕様の赤外線水分計を用い、試料を乾燥(200℃、12分)し、下記(1)式により求めた値である。
<仕様>
測定方式:乾燥減量法(加熱乾燥・質量測定方式)
最小表示:含水率;0.1質量%
測定範囲:含水率;0.0〜100質量%
乾燥温度:0〜200℃
測定精度:試料質量5g以上で、含水率±0.1質量%
熱源:赤外線ランプ;185W
含水率(質量%)=[(m−m)/(m−m)]×100 ・・・(1)
:乾燥前の容器の質量と乾燥前の試料の質量との合計質量(g)
:乾燥後の容器の質量と乾燥後の試料の質量との合計質量(g)
:乾燥後の容器の質量(g)
≪粘土類≫
本発明における粘土類は、一般的に窯業原料として用いられる粘土状の性状を示す鉱物材料であり、珪藻土以外のものである。
粘土類は、セラミックス焼結体に用いられる公知のものを用いることができ、石英、長石、粘土系等の鉱物組成で構成され、構成鉱物はカオリナイトを主とし、ハロイサイト、モンモリロナイト、イライト、ベントナイト、パイロフィライトを含むものが好ましい。中でも、焼結時のクラックの進展を抑え、多孔質セラミックス焼結体の破壊を防ぐ観点から粒子径が500μm以上の石英の粗粒を含むものがより好ましい。前記石英の粗粒は、粒子径が5mm以下であることが好ましい。このような粘土類としては、例えば、蛙目粘土等が挙げられる。粘土類は、1種単独で又は2種以上を適宜組み合わせて配合できる。
≪スラグ≫
スラグは、特に限定されず、例えば、金属精錬時に発生する高炉スラグ、都市ゴミの溶融時に発生する都市ゴミ溶融スラグ、下水汚泥の溶融時に発生する下水汚泥溶融スラグ、ダクタイル鋳鉄等の鋳鉄時に発生する鋳鉄スラグ等のガラス質スラグ等が挙げられ、中でも、鋳鉄スラグがより好ましい。スラグを用いることで、例えば、多孔質セラミックス焼結体の長さ方向又は幅方向の長さよりも、多孔質セラミックス焼結体の厚さ方向の長さが短い形状のミリメートルオーダーの気孔を形成し、透水係数(水を通す速度)を向上させたり、保水性を高めることができる。特に、鋳鉄スラグを用いると、組成が安定しているため安定した発泡状態が得られると共に、発泡率が最大で3倍程度になる。
≪有機汚泥≫
有機汚泥は、主成分として有機物を含有する汚泥である。有機汚泥は、任意のものを用いることができ、下水や工場等の排水処理に由来する活性汚泥が特に好ましい。活性汚泥は、活性汚泥法を用いた排水処理設備から、凝集及び脱水工程を経て排出される。このような有機汚泥を用いることで、マイクロメートルオーダーの気孔及びさらに小さなナノメートルオーダーの気孔を形成できる。さらに、廃棄物の位置付けであった排水処理由来の活性汚泥を原料として再度利用することができる。
有機汚泥の含水率は、例えば、60〜90質量%が好ましく、65〜85質量%がより好ましい。上記範囲内であれば、後述の混合工程で均質な混合物が得られると共に、成形工程においても良好な成形性を維持できるためである。
有機汚泥の有機物の含有量は特に限定されないが、例えば、有機汚泥の固形分中の有機物の含有量(有機物含有量)として70質量%以上が好ましく、80質量%以上がより好ましい。前記有機物含有量は上限値として100質量%であってもよい。前記有機物含有量が多いほど、マイクロメートルオーダーの気孔の形成が容易となるためである。有機物含有量は、乾燥後の汚泥をJIS M8812−1993に準じ、炭化温度700℃で灰分(質量%)を測定し、下記(2)式により求まる値である。
有機物含有量(質量%)=100(質量%)−灰分(質量%) ・・・(2)
有機汚泥の平均粒子径は、多孔質セラミックス焼結体の用途に応じて決定でき、好ましくは1〜5μm、より好ましくは1〜3μmとされる。平均粒子径は、粒度分布測定装置(LA−920、株式会社堀場製作所製)により測定される体積基準のメディアン径(体積50%径)である。
≪フィラー≫
本発明のフィラーは、炭素繊維を除くものであり、例えば、溶融温度が900℃以上の高融点ガラスの粒子、バサルト繊維及びロックウール等が挙げられる。例えば、高融点ガラスをフィラーとして含む原料を焼結すると、高融点ガラスは、部分的に溶融し、フィラー同士で融着したり、後述する粘土類や珪藻土等のバインダーとして機能したりし、多孔質セラミックス焼結体の強度をより向上することができる。あるいは、バサルト繊維又はロックウールは、多孔質セラミックス焼結体に取り込まれることで、多孔質セラミックス焼結体の強度をより向上させることができる。
フィラーの中でも、高融点ガラスの粒子が好ましい。高融点ガラスの粒子を用いることで、多孔質セラミックス焼結体の強度をより向上でき、良好な成形性が得られる。
[高融点ガラスの粒子]
高融点ガラスは、溶融温度900℃以上のものであり、好ましくは溶融温度1000℃以上、より好ましくは溶融温度1200℃以上のものである。上記下限値以上であれば、高融点ガラスの粒子は、後述する焼成工程において部分的に溶融し、高融点ガラスの粒子同士で融着したり、粘土類や珪藻土類等のバインダーとして機能できる。加えて、溶融温度が高いほど、多孔質セラミックス焼結体の強度を向上できる。また、高融点ガラスの溶融温度は、1800℃以下が好ましく、1600℃以下がより好ましい。上記上限値超であると、焼結した際に、高融点ガラスの粒子が溶融しにくく、多孔質セラミックス焼結体の強度を十分に向上できないおそれがある。
高融点ガラスの材質は、特に限定されないが、無アルカリガラス、アルミノケイ酸ガラス、ホウケイ酸ガラス、石英ガラスが好ましく、中でも、ホウケイ酸ガラスが好ましい。
このような材質であれば、多孔質セラミックス焼結体の強度を十分に向上できる。
無アルカリガラスは、実質的にナトリウム、カリウム、リチウム等のアルカリ金属元素を含有しないガラスである。実質的に含有しないとは、ガラス組成中のアルカリ金属元素の含有量が酸化物換算で0.1質量%以下を意味する。
アルミノケイ酸ガラスは、アルミニウムと珪素とを主成分とする酸化物ガラスである。
ホウケイ酸ガラスは、ホウ素と珪素とを主成分とする酸化物ガラスである。
石英ガラスは、石英から作製されるガラスで、酸化珪素の純度が高いものをいう。
このような高融点ガラスとしては、AN100(商品名、無アルカリホウケイ酸ガラス、旭硝子株式会社製)等が挙げられる。
高融点ガラスは、例えば、液晶テレビ等の液晶ディスプレイ、プラズマディスプレイ等のパネル、EL用カバーガラス、CCDに代表される固体撮像素子用のカバーガラス、ハンドパスフィルター等の光学フィルター用ガラス、チップ・オン・ガラス用途のガラス基板用ガラス、フラスコやビーカー等の各種製品に用いられている。
高融点ガラスの粒子には、上記の製品の製造工程で排出される廃ガラスや、廃棄された液晶テレビ等から回収されるパネルを用いることができる。
液晶テレビ等のフラットディスプレイ用のパネルは、大型化等に伴い、フラットディスプレイの製造時に、多量の廃ガラスを発生する。フラットディスプレイ用のパネルの廃ガラスを高融点ガラスの粒子とすることで、廃棄物を削減できる。このため、環境負荷を低減する観点から、フラットディスプレイ用のパネルの廃ガラスを高融点ガラスの粒子として用いることが好ましい。加えて、フラットディスプレイ用のパネルの廃ガラスは、ガラス組成物の純度が高いため、特段の精製をすることなく、安定した品質の高融点ガラスとして利用できる。
高融点ガラスの粒子の粒子径は、特に限定されないが、0.3〜5mmが好ましい。粒子径が0.3mm未満であると、多孔質セラミックス焼結体は、気孔率が低下したり、比重が増加したりする。気孔率の低下によって、吸水性、保水性、断熱性が損なわれたり、比重の増加によって、多孔質セラミックス焼結体の重量が著しく増加したりするおそれがある。粒子径が5mm超であると、成形性が低下したり、成形時に押出し口の金具が破損したりするおそれがある。
高融点ガラスの粒子径は、多孔質セラミックス焼結体の生産性とさらなる強度の向上の観点から、0.4mm超2.0mm以下がより好ましい。0.6mm超1.2mm以下がさらに好ましい。
[バサルト繊維]
バサルト繊維は、天然に存在するバサルト(玄武岩)を射出して製造される繊維である。
バサルト繊維の長さは、多孔質セラミックス焼結体の形状等を勘案して決定でき、板状物であれば、例えば、1mm〜10cmが好ましく、5〜25mmがより好ましい。上記下限値未満であると、多孔質セラミックス焼結体の強度のさらなる向上を図れないおそれがあり、上記上限値超であると、生産性が損なわれたり、多孔質セラミックス焼結体の外観が損なわれたりするおそれがある。
バサルト繊維の太さは、多孔質セラミックス焼結体の形状等を勘案して決定でき、板状物であれば、例えば、1〜1000μmが好ましく、5〜100μmがより好ましい。上記下限値未満であると、多孔質セラミックス焼結体の強度のさらなる向上を図れないおそれがあり、上記上限値超であると、生産性が損なわれたり、多孔質セラミックス焼結体の外観が損なわれたりするおそれがある。また、強度向上の観点から、バサルト繊維は、炭素繊維と同様に1000〜100000本程度束ねられた繊維束として用いられることが好ましい。
[ロックウール]
ロックウールは、玄武岩、鉄炉スラグ等に石灰等を混合し、高温で溶融し生成される人造鉱物繊維である。
ロックウールの長さは、多孔質セラミックス焼結体の形状等を勘案して決定でき、板状物であれば、例えば、1mm〜10cmが好ましく、5〜25mmがより好ましい。上記下限値未満であると、多孔質セラミックス焼結体の強度のさらなる向上を図れないおそれがあり、上記上限値超であると、生産性が損なわれたり、多孔質セラミックス焼結体の外観が損なわれるおそれがある。
ロックウールの太さは、多孔質セラミックス焼結体の形状等を勘案して決定でき、板状物であれば、例えば、1〜100μmが好ましく、3〜30μmがより好ましい。上記下限値未満であると、多孔質セラミックス焼結体の強度のさらなる向上を図れないおそれがあり、上記上限値超であると、生産性が損なわれたり、多孔質セラミックス焼結体の外観が損なわれるおそれがある。
流動化剤としては、従来公知のものを用いることができ、例えば、マイティ2000WH(商品名、花王株式会社製)等のナフタリン系の流動化剤、メルメントF−10(商品名、昭和電工株式会社製)等のメラミン系の流動化剤、ダーレックススーパー100pH(商品名、グレースケミカルズ株式会社製)等のポリカルボン酸系の流動化剤等が挙げられる。
抗菌剤としては、従来公知の抗菌剤を用いることができ、銀、銅、亜鉛等が挙げられる。
吸着剤としては、従来公知のものを用いることができ、例えば、ゼオライト、アパタイト等の吸着剤が挙げられる。
消臭剤としては、従来公知のものを用いることができ、例えば、塩化アンモニウム、塩化亜鉛等が挙げられる。
(多孔質セラミックス焼結体の製造方法)
本発明の多孔質セラミックス焼結体の製造方法は、炭素繊維を含む原料を混合して混合物を得る混合工程と、前記混合物を成形し成形体を得る成形工程と、前記成形体を焼成する焼成工程とを有する。
<混合工程>
混合工程は、炭素繊維及び必要に応じて任意成分を原料とし、前記原料を混合して、混合物を得る工程である。任意成分として珪藻土、粘土類、スラグ、有機汚泥又はフィラーを混合物に配合することが好ましい。
混合物中の炭素繊維の含有量は、多孔質セラミックス焼結体に求める強度等を勘案して決定できる。混合物中の炭素繊維の含有量は、0.01〜10質量%が好ましく、0.1〜5質量%がより好ましい。上記下限値未満では、多孔質セラミックス焼結体の強度を十分に向上できないおそれがあり、上記上限値超では、混合工程の作業性が低下したり、焼成工程での形状安定性が損なわれるおそれがある。
さらに、混合物中の炭素繊維の含有量は、粘土類及び珪藻土等、多孔質セラミックス焼結体の骨格を形成する原料100質量部に対し、0.01〜20質量部が好ましく、0.01〜10質量部がより好ましく、0.05〜5質量部がさらに好ましく、0.1〜2質量部が特に好ましい。上記下限値未満では、多孔質セラミックス焼結体の強度を十分に向上できないおそれがあり、上記上限値超では、成形性が損なわれるおそれがある。
多孔質セラミックス焼結体は、混合物中の珪藻土の含有量が多いほど、マイクロメートルオーダーの気孔が多数形成されて、高い気孔率となり、諸特性が向上するものの、強度が低下するおそれがある。特に、原料にスラグを用いた場合、気孔率が高まり、多孔質セラミックス焼結体の強度が著しく低下するおそれがある。このため、原料として珪藻土とスラグとを併用する場合、混合物中の珪藻土の含有量は、炭素繊維及びフィラー以外の原料の合計100質量部中、1〜40質量部が好ましく、1〜20質量部がより好ましく、1〜15質量部がさらに好ましい。
混合物中の粘土類の含有量は、多孔質セラミックス焼結体に求める強度や用途等を勘案して決定でき、例えば、炭素繊維及びフィラー以外の原料の合計100質量部中、10〜60質量部が好ましく、20〜40質量部がより好ましい。上記範囲内であれば混合物の成形性を損なわず、かつ円滑に成形できると共に、多孔質セラミックス焼結体の強度を十分なものにできる。
混合物中のスラグの含有量は、多孔質セラミックス焼結体の用途等を勘案して決定でき、例えば、炭素繊維及びフィラー以外の原料の合計100質量部中、5〜80質量部が好ましく、40〜70質量部がより好ましい。上記範囲内であれば、混合物の成形性を損なわず、かつ円滑に成形できると共に、多孔質セラミックス焼結体の気孔率又は比重を好適な範囲とすることができる。
多孔質セラミックス焼結体は、混合物中の有機汚泥の含有量が多いほど、マイクロメートルオーダーの気孔が多数形成されて、高い気孔率となり、諸特性が向上するものの、強度が低下するおそれがある。特に、原料にスラグを用いた場合、気孔率が高まり、多孔質セラミックス焼結体の強度が著しく低下するおそれがある。このため、原料として有機汚泥とスラグとを併用する場合、混合物中の有機汚泥の含有量は、炭素繊維及びフィラー以外の原料の合計100質量部中、1〜60質量部が好ましく、1〜30質量部がより好ましく、1〜20質量部がさらに好ましい。
混合物中のフィラーの含有量は、フィラーの種類等を勘案して決定される。
例えば、フィラーとして高融点ガラスの粒子を用いる場合、炭素繊維との合計量が、炭素繊維及びフィラー以外の原料の合計100質量部に対し、10〜80質量部が好ましく、15〜50質量部がより好ましい。上記下限値未満では、多孔質セラミックス焼結体の強度を十分に向上できないおそれがあり、上記上限値超であると、成形性が損なわれるおそれがある。
また、フィラーとして、バサルト繊維やロックウールを用いる場合、混合物中のバサルト繊維やロックウールの含有量は、粘土類及び珪藻土等、多孔質セラミックス焼結体の骨格を形成する原料100質量部に対し、0.01〜20質量部が好ましく、0.01〜10質量部がより好ましく、0.05〜5質量部がさらに好ましく、0.1〜2質量部が特に好ましい。上記下限値未満では、多孔質セラミックス焼結体の強度を十分に向上できないおそれがあり、上記上限値超では、成形性が損なわれるおそれがある。
混合物の含水率は特に限定されないが、例えば、25〜45質量%が好ましく、25〜30質量%がより好ましい。上記範囲内であれば、混合物は適度な可塑性と流動性を有し、良好な成形性を維持できるためである。混合物の含水率を調整するために、混合物に水を添加してもよい。
混合工程における各成分の混合順序は、特に限定されず、例えば、炭素繊維と任意成分とを一度に混合装置へ投入し、混合する方法が挙げられる(一段混合方式)。また、例えば、炭素繊維と珪藻土と有機汚泥と必要に応じてフィラーとを混合して一次混合物を得(第一の混合操作)、前記一次混合物と粘土類とスラグとを混合して混合物を得てもよい(第二の混合操作)(以上、二段混合方式)。有機汚泥は、粘土類に比べて流動性が高いため、混合時に珪藻土の気孔へ優先して進入すると推測される。このような混合物を成形し焼成することで、珪藻土の気孔に充填された有機汚泥の有機物が揮発し、有機汚泥が充填された分に応じて珪藻土の気孔が維持されると考えられる。
第二の混合操作では、珪藻土をさらに添加してもよい。
混合工程に用いる混合装置は特に限定されず、公知の混合装置を用いることができる。
例えば、混合装置としては、ミックスマラー(東新工業株式会社製)等の混練機や、ニーダー(株式会社モリヤマ製)、混合機(日陶科学株式会社製)等が挙げられる。
混合工程における混合時間は、各原料の含有量や、混合物の流動性等を勘案して決定することができ、混合物が可塑状態となるような混合時間を決定することが好ましい。混合時間は、例えば、15〜45分間とすることが好ましく、25〜35分間とすることがより好ましい。
混合工程における温度は特に限定されず、各原料の配合比や含水率等を勘案して決定することができ、例えば、5〜85℃が好ましく、40〜80℃がより好ましく、50〜60℃がさらに好ましい。
<成形工程>
成形工程は、混合工程で得られた混合物を任意の形状に成形する工程である。
成形方法は、公知の成形方法を用いることができ、混合物の性状や多孔質セラミックス焼結体の形状を勘案して決定することができる。成形方法は、例えば、板状の多孔質セラミックス焼結体を製造する場合、成形機を用いて任意の板状の成形体を得る方法、混合物を任意の形状の型に充填し成形体を得る方法、あるいは混合物を延伸又は圧延した後、任意の寸法に切断する方法等が挙げられる。
成形機としては、真空土練成形機、平板プレス成形機、平板押出し成形機等が挙げられ、中でも、真空土練成形機が好ましい。真空土練成形機を用いて成形体中の空気を除去することで、多孔質セラミックス焼結体中の気孔率を制御できる。
スラグを含む混合物を平板押出し機又は押し出し式真空土練機で成形すると、押出し方向にスラグが配向した成形体となる。この成形体を焼成することで、多孔質セラミックス焼結体の長さ方向又は幅方向の長さよりも、多孔質セラミックス焼結体の厚さ方向の長さが短い形状のミリメートルオーダーの層状の気孔が、多孔質セラミックス焼結体の厚さ方向に重なって形成される。
あるいは、混合物を成形機で押し出し、これを圧延する等、成形時に混合物を圧延又は圧縮することで、スラグが延伸方向に配向した成形体が得られ、この成形体を焼成することで、層状の気孔が、多孔質セラミックス焼結体の厚さ方向に重なって形成される。
また、例えば、柱状又は粒状の多孔質セラミックス焼結体を製造するために、柱状又は粒状の成形体を得る場合、成形装置としては、一次スクリュー押出式成形機、円盤型ダイス水平押出式成形機等が挙げられ、中でも、生産性、成形性の観点より円盤型ダイス水平押出式成形機を用いることが好ましい。
<焼成工程>
焼成工程は、成形工程で得られた成形体を乾燥し(乾燥操作)、乾燥した成形体を焼成し(焼成操作)、炭素繊維又は珪藻土もしくは粘土類等の任意成分を焼結して多孔質セラミックス焼結体を得る工程である。
≪乾燥操作≫
乾燥操作は、特に限定されず、公知の方法を用いることができる。例えば、成形体を自然乾燥してもよいし、50〜220℃の熱風乾燥炉で任意の時間処理することで乾燥してもよい。乾燥した成形体の含水率は、特に限定されないが、例えば、5質量%未満が好ましく、1質量%未満がより好ましい。乾燥した成形体の含水率は、下限値として0質量%であってもよい。
≪焼成操作≫
焼成の方法は、特に限定されず、公知の方法を用いることができる。例えば、ローラーハースキルン等の連続式焼結炉、シャトルキルン等の回分式焼結炉を用い、任意の温度で焼成する方法が挙げられる。中でも、焼成には、生産性の観点から連続式焼結炉を用いることが好ましい。
焼成温度(到達温度)は、炭素繊維の種類、原料の配合割合等を勘案して決定できる。例えば、原料に炭素繊維、珪藻土、粘土類、スラグ、有機汚泥が含まれる場合、珪藻土又は粘土類が焼結され、かつ有機汚泥に含まれる有機物が熱分解により揮発して減量し、かつスラグが膨張する条件を満たす温度が焼成温度とされる。例えば、焼成温度は、900〜1250℃が好ましく、1050〜1200℃がより好ましい。有機物の多くは、700℃前後より分解が始まり、950℃において有機汚泥特有の臭いは、臭気成分が熱分解され解消されると共に、有機汚泥中の有機物の大部分が揮発して減量する。また、スラグの多くは800〜850℃で結晶化により膨張する。有機物の減量、スラグの膨張により、気孔が形成される。
焼成温度が1250℃を超えると、多孔質セラミッス焼結体の組織全体のガラス化が進み、焼成中に成形体が破損したり、気孔が閉塞するおそれがある。
焼成工程では、焼成温度に達するまでに、成形体からまず水分が蒸発し、その後活性汚泥の有機物が熱分解を経て揮発する。この過程で、温度上昇(ヒートカーブ、温度勾配)を適性に調整することにより、急激な水分の蒸発又は急激な有機物の揮発を抑え、成形体の粉砕(爆破)を防止できる。加えて、焼成温度に達した後の急激な冷却により、多孔質セラミックス焼結体に割れや粉砕等の破損が生じることがある。このような現象は、特に連続式焼結炉において顕著に現れる。このため、焼成工程には、温度勾配を設けることが好ましい。
温度勾配は、焼成装置の規模等を勘案して決定することができる。例えば、焼成部の有効長が15mの連続式焼結炉を用いて焼成する場合、連続式焼結炉の入口及び出口を常温(20℃±15℃)とし、連続式焼結炉の中央部における焼成温度を900〜1250℃とし、成形体の連続式焼結炉内の通過速度を3〜4mm/sec.とし、以下の温度勾配条件とすることが好ましい。
温度勾配は、連続式焼結炉を均等な距離の10のゾーンに区分し、連続式焼結炉の温度勾配を入口側より0.4〜0.6℃/sec.、0.1〜0.2℃/sec.、0.3〜0.4℃/sec.、0.4〜0.6℃/sec.、0.7〜1.0℃/sec.、0.004〜0.005℃/sec.、−0.4〜−0.2℃/sec.、−0.8〜−0.5℃/sec.、−0.4〜−0.3℃/sec.、−0.3〜−0.1℃/sec.とすることが好ましい。
焼成時間は、焼成温度や混合物の含水率等を勘案して決定することができ、例えば、焼成炉における滞留時間が、好ましくは10〜120分間、より好ましくは30〜90分間である。また、焼成工程中の焼成温度(到達温度)での滞留時間は1〜120分間、好ましくは3〜60分間、さらに好ましくは4〜10分間である。上記範囲内であれば、多孔質セラミックス焼結体の破損を防止しつつ、良好に焼成できる。
また、上述の実施形態では、混合物に珪藻土が配合されているが、本発明はこれに限定されず、混合物に珪藻土が配合されていなくてもよい。珪藻土を配合しないことで、珪藻土由来の気孔は減少するが、有機汚泥由来のナノメートルオーダーの気孔が増加するため、良好な多孔質セラミックス焼結体が得られる。
また、上述の実施形態では、混合物にフィラーが配合されているが、本発明はこれに限定されず、混合物にフィラーが配合されていなくてもよい。
焼成して得られた多孔質セラミックス焼結体は、そのままで、あるいは任意の大きさ、形状に切断されて、任意の用途に用いられる。また、多孔質セラミックス焼結体の吸水速度の向上のため、又は多孔質セラミックス焼結体の角や表面が欠けることを防ぐため、多孔質セラミックス焼結体の表面をグラインダー等で1mm程度削ってもよい。
以上説明したように、炭素繊維を含む原料を焼結することで、諸特性を維持したまま、高い強度の多孔質セラミックス焼結体を得られる。
このため、本発明の多孔質セラミックス焼結体は、壁材、屋根材、床材、路盤材等の建築材料に好適である。
以下、実施例を示して本発明を詳細に説明するが、本発明は以下の記載によって限定されるものではない。
(使用原料)
<炭素繊維>
炭素繊維として、PAN系炭素繊維(トレカ(商標)糸 T700SC−12000、太さ7μm、東レ株式会社製)を繊維長10mmに切断したものを用いた。
<有機汚泥>
有機汚泥としては、染色工場(小松精練株式会社)の活性汚泥法による排水処理設備から凝集・脱水工程を経て排出された活性汚泥を用いた。この活性汚泥の有機物含有量(対固形分)は83質量%、含水率は85質量%であった。
<粘土類>
粘土類としては、蛙目粘土(岐阜県産又は愛知県産)を用いた。
<珪藻土>
珪藻土としては、能登地区産の耐火煉瓦の原料で、含水率が5質量%の粉末状の珪藻土を用いた。
<スラグ>
発泡剤として、鋳鉄スラグを用いた。この鋳鉄スラグは、SiO、Al、CaO、Fe、FeO、MgO、MnO、KO、NaOを主成分とするダクタイル鋳鉄スラグである。
(測定方法)
本実施例における物性値は、以下の方法により測定されたものである。
<かさ比重>
多孔質セラミックス焼結体を、おおよそ、15cm(タテ)×15cm(ヨコ)に切除したものを試験片として用い、ノギスを用いてタテ、ヨコ、厚さを測定することにより試験片の体積(cm)を求めた。さらに、その試験片の質量(g)を測定し、下記(3)式によりかさ比重を求めた。
かさ比重(g/cm)=[多孔質セラミックス焼結体の質量(g)]/[多孔質セラミックス焼結体の体積(cm)] ・・・(3)
<飽和含水率>
かさ比重を測定したサンプル(N=5)を水に60分間浸漬した後、表面を上にして水からサンプルを傾けずに取り出し(傾けた際にサンプルから水が流れ出すことを防ぐため)、サンプルの表面に付着している余剰水分を布で拭き、直ちに質量を測定(飽和状態質量)し、下記(4)式により求めた。
飽和含水率(質量%)=[(飽和状態質量−絶乾状態質量)/絶乾状態質量]×100・・・(4)
<曲げ強度>(3点曲げ強度)
≪厚さ方向の曲げ強度≫
JIS R5201に準拠して、各例の多孔質セラミックス焼結体の板状物の厚さ方向に荷重を掛けて曲げ強度を測定した。
≪幅方向の曲げ強度≫
各例の多孔質セラミックス焼結体を幅4cmにスライスして試料とした。この試料の切断面に対して荷重を掛けた以外は、≪厚さ方向の曲げ強度≫と同様にして幅方向の曲げ強度を測定した。
<気孔同士の連通の有無の確認>
多孔質セラミックス焼結体における気孔同士の連通の有無の確認は、得られた多孔質セラミックス焼結体を水に浸漬し、充分に吸水させた後に切断し、その断面を観察することで確認した。多孔質セラミックス焼結体の内部に、満遍なく水分が分布・保水されている場合、気孔同士が連通していると判断した(表中、「○」と記載)。多孔質セラミックス焼結体の内部に水分が行き渡っていない場合には、個々の気孔又は孔隙が独立しており、気孔同士が連通していない又は連通が不充分であると判断した。
<気孔の観察>
ミリメートルオーダーの気孔は目視で観察した。マイクロメートルオーダー及びナノメートルオーダーの気孔は、電子顕微鏡(走査型電子顕微鏡:SEMEDX Type H形:株式会社日立サイエンスシステムズ)を用いて観察した。
<pF値別水分量の測定>
各例の多孔質セラミックス焼結体の板状物について、中央部及び四角の近傍部を直径42mm×厚み40mmの略円柱形にくり抜き、飽和含水状態にしたものを試料柱(5個)とし、この試料柱を専用のロータ治具に装着した。遠心分離機(型式:50B−5、株式会社佐久間製作所製)に装着されたロータ(土壌用pF測定用15B−R8)に、試料柱が装着されたロータ治具を装着し、650rpm、30分間で遠心処理をした。この際、試料柱から分離された水量をpF値1.5以下の水分量とした。次いで、試料柱を1540rpm、30分間遠心処理し、試料柱から分離された水量をpF値1.5超2.7以下の水分量とし、試料柱に残存した水量をpF値2.7超の水分量とした。
<熱伝導率の測定>
各例の多孔質セラミックス焼結体の板状物を長さ、幅、及び厚さ方向にスライスして長さ20cm×幅20cm×厚み21.6mmの試験体を作製し、この試験体を用い、JIS A1412−2−1999に準拠して測定した。
(実施例1)
表1に示す配合に従い、スラグと有機汚泥と粘土類と炭素繊維と水とをミックスマラー(新東工業株式会社製)で混合し、可塑状態の混合物を得た(混合工程)。次いで、得られた混合物を真空土練成形機(高浜工業株式会社製)を用い、押し出し成形し、幅60cm、厚み2cmの帯状の一次成形体を得た。この一次成形体を任意のピッチと幅で切断して、厚み2cmの略正方形の平板状の成形体を得た(成形工程)。
得られた成形体を熱風乾燥機で乾燥(180℃、0.5時間)し、含水率1質量%以下とした後、連続式焼結炉を用いて、焼成温度1050℃、焼成温度での滞留時間7分間の焼成条件にて焼成した(焼成工程)。連続式焼結炉としては、ローラーハースキルン(焼結炉の有効長:全長15m、焼結炉を各1.5mのゾーン1〜10に分割)を用いた。
焼成後、焼結した成形体の4つの側面に沿って側端を切除し、幅50cm×長さ50cm×厚み4cmの多孔質セラミックス焼結体の板状物を得た。
得られた多孔質セラミックス焼結体の板状物を測定用にさらに切除して試験片を作成し、その試験片を用いて飽和含水率、曲げ強度、気孔同士の連通孔、pF値別水分量、熱伝導率を測定し、その結果を表1に示す。
加えて、実施例1の多孔質セラミックス焼結体における気孔を観察したところ、板状物の断面では、孔径が1〜30mmのミリメートルオーダーの気孔が層状に形成されたものが確認された。気孔の厚みは1〜2mm程度であった。また、電子顕微鏡にて観察したところ、マイクロメートルオーダーの気孔が観察された。
(比較例1)
炭素繊維を配合しなかった以外は、実施例1と同様にして多孔質セラミックス焼結体の板状物を得た。得られた多孔質セラミックス焼結体の板状物を測定用にさらに切除して試験片を作成し、その試験片を用いて飽和含水率、曲げ強度、気孔同士の連通孔、pF値別水分量、熱伝導率を測定し、その結果を表1に示す。
加えて、比較例1の多孔質セラミックス焼結体における気孔を観察したところ、板状物の断面では、孔径が1〜30mmのミリメートルオーダーの気孔が層状に形成されたものが確認された。気孔の厚みは1〜2mm程度であった。また、電子顕微鏡にて観察したところ、マイクロメートルオーダーの気孔が観察された。
Figure 2013220960
表1に示す通り、実施例1及び比較例1は、いずれも連通孔が形成さており、飽和含水率が44質量%以上であった。加えて、実施例1及び比較例1は、植物の根が吸収可能とされるpF値2.7以下の水分量が全体の66質量%以上となっており、特に植物の成長にとって好ましく有効とされるpF値1.5〜2.7の水分量は16質量%以上となっていた。実施例1及び比較例1は共に、高い飽和含水率により多くの水を多孔質セラミックス焼結体に有し、その水は植物の育成に適した状態となっており、植物の育成性にも優れている。さらに、実施例1及び比較例1は共に、熱伝導率が低いものであった。
即ち、実施例1と比較例1とは、多孔質セラミックス焼結体としての諸特性を備えていた。
ここで、本発明を適用した実施例1は、厚さ方向の曲げ強度が6.0N/mm、幅方向の曲げ強度が6.1N/mmであった。これに対し、比較例1は、厚さ方向の曲げ強度が2.9N/mm、幅方向の曲げ強度が2.9N/mmであった。
以上の結果から、本発明を適用した多孔質セラミックス焼結体は、多孔質セラミックス焼結体としての諸特性を備え、かつ高い強度を備えることが判った。
なお、目視観察においては、実施例1の気孔は、比較例1の気孔に比べて全体的に小さいものであった。
(実施例2)
実施例1と同様にして、長さ30cm×幅30cm×厚み4cmの多孔質セラミックス焼結体の板状物を得た。この板状物を水に60分間浸漬した後、−10℃の冷凍室内で12時間保管した。保管後の多孔質セラミックス焼結体の板状物を目視で観察した。
(比較例2)
長さ30cm×幅30cm×厚み4cmのコンクリート板を水に60分間浸漬した後、−10℃の冷凍室内で12時間保管した。保管後のコンクリート板を目視で観察した。
保管後の実施例2の多孔質セラミックス焼結体には、表面に氷が見られず、亀裂等の破損が見られなかった。
一方、保管後の比較例2のコンクリート板には、破損が見られないものの、表面に氷が見られた。
一般に、多孔質セラミックス焼結体は、含まれている水が凍結すると、水の膨張等により破損しやすくなるが、実施例2の多孔質セラミックス焼結体は、−10℃で12時間保管しても、破損が見られなかった。
以上の結果から、本発明を適用した多孔質セラミックス焼結体は、表面に氷を生じにくく、かつ水が凍結する温度環境下でも破損しない、十分な強度を備えることが判った。

Claims (2)

  1. 炭素繊維を含む原料を焼結したことを特徴とする多孔質セラミックス焼結体。
  2. 曲げ強度が3N/mm以上であることを特徴する請求項1に記載の多孔質セラミックス焼結体。
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