JP2016082882A - プランター及びそれを用いた植物の育成方法 - Google Patents

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Akihiro Okutani
晃宏 奥谷
宏介 富樫
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宏介 富樫
剛志 大田
Tsuyoshi Ota
剛志 大田
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Abstract

【課題】高温環境下であっても植物の育成に適したプランター及びそれを用いた植物の育成方法の提供。
【解決手段】上方に開口し、内部に用土が収納される容器10で構成されるプランター1であって、前記容器10の少なくとも一部に、飽和含水率が20%以上であり、かつ連通した複数の気孔を有する多孔質セラミックスが用いられ、前記気孔は、孔径がミリメートルオーダーかつ扁平状であり、平行に形成された気孔を複数含むプランター1及びそれを用いた植物の育成方法。
【選択図】図1

Description

本発明は、プランター及びそれを用いた植物の育成方法に関する。
ベランダ、玄関、歩道、公園などでプランターを用いて花、野菜、木などの植物を植え、花や緑のある空間を演出したり、家庭菜園等が行われたりしている。また、近年では、ビニールハウスなどの温室でもプランターを用いてトマトなどの野菜が大量に生産されている。
近年、地球温暖化現象が進行して、気温が以前より上昇し、植物の育成に悪影響を与えていることが知られている。特にコンクリートやアスファルトなどで舗装された屋上やベランダ、舗道ではさらに気温が上昇しやすく、これらの上に設置したプランターに植えられた植物はさらに厳しい環境にさらされており、植物の育成に悪影響を与えている。
これまでに、土壌の温度の上昇が、植物に対して根腐れ等の大きな影響を与えるとして、内壁に発泡スチロールなどの断熱材を設けたプランターが提案されている。(例えば特許文献1参照)。
実用新案登録第3041837号公報
しかしながら、内壁に発泡スチロールを備えたプランターでは、植物の育成に対し、近年の厳しい温度環境においては充分な効果が得られなかった。
そこで、本発明は、高温環境下であっても植物の育成に適したプランター及びそれを用いた植物の育成方法を提供することを目的とする。
本発明は、以下の態様を有する。
[1] 上方に開口し、内部に用土が収納される容器で構成されるプランターであって、前記容器の少なくとも一部に、飽和含水率が20%以上であり、かつ連通した複数の気孔を有する多孔質セラミックスが用いられ、前記気孔は、孔径がミリメートルオーダーかつ扁平状であり、平行に形成された気孔を複数含む、プランター。
[2] 前記気孔は、孔径がナノメートルオーダーの気孔と、孔径がマイクロメートルオーダーの気孔と、孔径がミリメートルオーダーの気孔とを含む、[1]に記載のプランター。
[3] 前記容器の深さが5cm以上である、[1]または[2]に記載のプランター。
[4] 前記容器が、両端が開口している中空状の胴部と、該胴部の一端を閉塞する底部とからなり、該底部に前記多孔質セラミックスが用いられている、[1]〜[3]のいずれか1つに記載のプランター。
[5] 前記容器が、両端が開口している中空状の胴部と、該胴部の一端を閉塞する底部とからなり、該胴部の少なくとも一部に前記多孔質セラミックスが用いられている、[1]〜[4]のいずれか1つに記載のプランター。
[6] 前記胴部の全面及び底部に前記多孔質セラミックスが用いられている、[4]または[5]に記載のプランター。
[7] 前記容器が球体の上部を切り取った形状であり、該容器の球面の少なくとも一部に前記多孔質セラミックスが用いられている、[1]〜[3]のいずれか1つに記載のプランター。
[8] 前記容器の球面の全面に前記多孔質セラミックスが用いられている、[7]に記載のプランター。
[9] [1]〜[8]のいずれか1つに記載のプランターに用土を入れて植物を栽培する、植物の育成方法。
本発明によれば、高温環境下であっても植物の育成に適したプランター及びそれを用いた植物の育成方法を提供できる。
本発明のプランターの一実施形態を示す斜視図である。 本発明に用いる多孔質セラミックスの板状物の一例を示す斜視図である。 本発明のプランターの他の実施形態を示す斜視図である。 本発明のプランターの他の実施形態を示す斜視図である。
「プランター」
本発明のプランターは、上方に開口し、内部に用土が収納される容器で構成され、容器の少なくとも一部に、後述する多孔質セラミックスが用いられる。
以下、本発明のプランターの一実施形態について、図1、2を参照して説明を行う。なお、図1、2及び後述する図3、4において、説明の便宜上、寸法比は実際のものと異なったものである。また、図2及び後述する図3、4において、図1と同じ構成要素には同一の符号を付して、その説明を省略する。
<第一の実施形態>
図1に示すプランター1は、4つの多孔質セラミックスの板状物11で構成された、両端が開口している中空状の胴部10aと、1つの多孔質セラミックスの板状物11で構成された、胴部10aの一端を閉塞する底部10bとからなる容器10で構成されている。
多孔質セラミックスの板状物11同士は、接着剤、ボルトなどで接合されていてもよいし、金属製等のフレームなどにはめ込んで接合されていてもよい。
この例の容器10の形状は、胴部10aの他端が開口した直方体であり、該胴部10aの他端が上方(鉛直方向上向き)を向いている。
容器10の大きさは特に限定されるものではないが、容器10の深さ(胴部10aの一端から他端までの長さ)Dは、容器10内に収納される用土の温度上昇をより抑制しやすく、しかも植物の成長を阻害しにくい観点から、5cm以上であるとよく、より好ましくは10cm以上であり、さらに好ましくは20cm以上である。容器10の深さDの上限は特に限定されず、植物の種類によっても異なるが、おおよそ1m以下である。
また、容器10の開口部の大きさ(タテLやヨコWの長さ)についても、プランター1の設置場所や植物の種類などにより任意に設定すればよいが、植物の育成性の観点から内径でタテL、ヨコWとも1cm以上であることが好ましい。タテL、ヨコWの上限は、用土の温度上昇抑制効果や水の排水効果がより高まる観点から、タテL及びヨコWの少なくとも一辺が1m以下であることが好ましく、より好ましくは70cm以下であり、さらに好ましくは50cm以下である。タテL及びヨコWの一方の内径が上記の上限値以下であれば、他の一辺の上限は特に限定されず1m以上であってもよく、例えば100m以上であってもよい。
(多孔質セラミックス)
図1に示す容器10に用いられる多孔質セラミックスは、表裏一対の第一の面11aと第二の面11bとを有する板状物である。以下、第一の面及び第二の面を総称して、「板状物の表面」ともいう。
多孔質セラミックスは、飽和含水率が20%以上であり、かつ連通した複数の気孔(図示略)を有する。
気孔は、孔径がミリメートルオーダーかつ扁平状であり、平行に形成された気孔を複数含む。以下、扁平状の気孔を「扁平孔」という。
ここで、「孔径がミリメートルオーダー」とは、孔径が1mm以上1000mm未満のものをいう。また、「孔径がミリメートルオーダーの扁平孔」とは、多孔質セラミックスの板状物11を厚さ方向に対し垂直に切断し、当該断面から目視で確認できる、孔径がミリメートルオーダーの扁平な気孔をいう。
また、「平行に形成された気孔」とは、複数の扁平孔が互いに平行になるように形成されていることを意味する。ここで、「平行」とは、正確に平行を維持するもののみを意味するのではなく、例えば図2に示すように、複数の扁平孔hが多孔質セラミックスの板状物11の厚さ方向(図2中のz方向)に並んでいればよい。
また、扁平孔hは、孔径(長径)の向きが多孔質セラミックスの板状物11の表面に対して平行(図2中のx方向およびy方向)となるように形成されている。
平行に形成されている扁平孔h同士は、互いに連通していてもよいし、後述する他の大きさの気孔を介して連通していてもよい。
多孔質セラミックスが連通した複数の気孔を有し、該気孔が、互いに平行で、多孔質セラミックスの板状物11の表面に対しても平行に形成されたミリメートルオーダーの扁平孔を複数含むことで、植物に雨や灌水により水を与える際に、大量に水を与えても、透水性(排水性)に優れ、過剰な水をプランター1内から排水し、根腐れを抑制することができる。また、このような構成の多孔質セラミックスは保水性にも優れるため、外気温が高くなると多孔質セラミックス内の水を気化させることで、容器10内に収納された用土の温度上昇を抑制することができる。さらに、用土中の水分を多孔質セラミックスが吸収し気化させることもできるため、プラスチック製や素焼き製のプランターに比べ、より温度上昇を抑制する効果を発揮できる。
本発明に用いる多孔質セラミックスが透水性及び保水性に優れる理由は以下のように考えられる。
多孔質セラミックス中の気孔同士が連通していることで、水の通りが高まり、透水性に優れるものと考えられる。加えて、気孔同士が連通していると、多孔質セラミックスの保水量が高まるので、保水性にも優れるものと考えられる。しかも、気孔が、互いに平行で、多孔質セラミックスの板状物11の表面に対しても平行に形成されたミリメートルオーダーの扁平孔を複数含むため、水が多孔質セラミックスの板状物11の厚さ方向へ拡散する速度よりも、面方向へ拡散する速度の方が速い。そのため、多孔質セラミックスの板状物11の内部で水が面方向に充分に拡散しやすい。また、厚さ方向よりも面方向の方が水の拡散距離が長いため、水の保持時間が長くなる。よって、保水性が高まるものと考えられる。
なお、気孔が平行に形成されたミリメートルオーダーの扁平孔を含まない場合は、透水性及び保水性の少なくとも一方の性能が低下しやすくなる傾向にある。
また、多孔質セラミックスが上記の構成を有していることより、水の排水性に優れていることから、容器10の胴部10aや底部10bに水抜き用の穴を設ける必要がない。そのため、プランター1の強度が高く、生産性にも優れる。また、水抜き用の穴を設ける必要がないため、プランター1からの用土の流出も抑制することができる。また、プランター1内の用土全体から過剰な水を多孔質セラミックスが吸収し、除去できるため、冬季などで外部の気温が低下した場合であっても、用土の凍結を抑制することができる。
ミリメートルオーダーの扁平孔の孔径は、5mm以上が好ましく、より好ましくは10mm以上である。ミリメートルオーダーの扁平孔の孔径が5mm以上であれば、多孔質セラミックスの透水性及び保水性がより向上する。
また、ミリメートルオーダーの扁平孔の短径は5mm未満が好ましく、より好ましくは3mm以下である。ミリメートルオーダーの扁平孔の短径が5mm未満であれば、多孔質セラミックスの強度を維持しながら、より優れた保水性を発現できる。
ミリメートルオーダーの扁平孔には、直線的に扁平にした気孔はもちろんのこと、屈曲した扁平状の気孔も含まれる。
多孔質セラミックスに形成されている気孔は、孔径の向きが多孔質セラミックスの板状物11の表面に対して平行となるように形成されていない、ミリメートルオーダーの扁平孔を含んでいてもよい。
また、多孔質セラミックスに形成されている気孔は、ミリメートルオーダーの扁平孔以外にも、孔径が1nm以上1000nm未満のナノメートルオーダーの気孔、孔径が1μm以上1000μm未満のマイクロメートルオーダーの気孔、孔径が1mm以上1000mm未満のミリメートルオーダーの気孔を含んでいてもよい。特に、保水性及び透水性がより向上する観点から、ミリメートルオーダーの扁平孔を含むミリメートルオーダーの気孔と、マイクロメートルオーダーの気孔と、ナノメートルオーダーの気孔が混在していることが好ましい。また、多孔質セラミックスの保水量が増加すると共に、水の気化を適度に抑制し、長期にわたって空気の冷却性能を発揮できることから、これらの気孔の少なくとも一部が連通していることが好ましい。
また、1つのミリメートルオーダーの扁平孔によって、多孔質セラミックスの板状物11が第一の面11aから第二の面11bまで直接貫通されるのではなく、複数のミリメートルオーダーの扁平孔や気孔、マイクロメートルオーダーの気孔やナノメートルオーダーの気孔を介して、多孔質セラミックスの板状物11が第一の面11aから第二の面11bまで連通していることが好ましい。このような構成となることで、保水性、長期にわたる用土の温度上昇の抑制、用土の流出防止性がより向上する。
気孔の孔径は、原料の種類や、焼成条件を組み合わせることにより調節できる。
なお、気孔の孔径とは、気孔の長径を指す。ミリメートルオーダーの気孔の孔径は、多孔質セラミックスの板状物を厚さ方向に対し垂直に切断し、スケールを用いて気孔の長径を測定した値である。ナノメートルオーダー及びマイクロメートルオーダーの気孔の孔径は、多孔質セラミックスの板状物を切断し、電子顕微鏡を用いて気孔の長径を測定した値である。
多孔質セラミックスの飽和含水率が20質量%以上であり、好ましくは30質量%以上であり、より好ましくは40質量%以上である。飽和含水率が20質量%以上であれば、用土の温度上昇を抑制する効果を長期にわたり維持できる。
また、本発明に用いる多孔質セラミックスは、飽和含水率が20質量%以上であり、かつ気孔が連通しているので、独立気孔の多孔質セラミックスに比べ、用土の温度上昇をより抑制し、また、長期に温度上昇をより抑制することができる。
一方、多孔質セラミックスの飽和含水率は100質量%以下であることが好ましい。飽和含水率が100質量%を超えると、プランターとして用いる場合に、強度が不足するおそれがある。
ここで、飽和含水率は、多孔質セラミックスの板状物を水に60分間浸漬し、該板状物の横から水がこぼれないように板状物の面が水平方向になるように水から取り出し、表面の水滴を除去する程度に布に接触させた後、質量(飽和状態質量)を測定し、下記式(1)により求められる値である。なお、下記式(1)中の「絶乾状態質量」とは、多孔質セラミックスの板状物を120℃で24時間乾燥した後の質量のことである。
飽和含水率(質量%)=[(飽和状態質量−絶乾状態質量)/絶乾状態質量]×100 ・・・(1)
多孔質セラミックスの飽和含水率を調整する方法としては、例えば、後述する製造方法において配合する成分やその比率を調整する方法、焼成温度を調整する方法などが挙げられる。
多孔質セラミックスの板状物11の表面には、研削加工が施されていることが好ましい。研削加工が施されていない多孔質セラミックスの板状物11の表面においては、気孔の開口部が気孔の本来の開口径よりも狭くなっていたり、ガラス化し、さらに閉塞したりしていることがある。研削加工が施されていると、ガラス化部分を削除し、また、狭くなっていた気孔の開口部を拡げることができる。そのため、多孔質セラミックスの板状物11の表面の透水速度が向上し、素早く水を吸収すると共に、素早く排水することができる。
(多孔質セラミックスの製造方法)
多孔質セラミックスの製造方法としては、例えば、原料を混合して混合物(以下、単に「混合物」ということがある。)とし(混合工程)、混合物を成形して板状等の成形体とし(成形工程)、成形体を焼成して多孔質セラミックスを得る(焼成工程)方法などが挙げられる。
混合工程は、粘土を含む原料を混合して混合物を得る工程である。
混合物としては、例えば、スラグ、有機汚泥、珪藻土、フィラーからなる群から選択される少なくとも1種と、粘土とを含むものが好ましく、スラグ、有機汚泥及び粘土を含むものがより好ましい。スラグを用いることで大きなミリメートルオーダーの気孔を形成することができ、珪藻土を用いることでマイクロメートルオーダーの気孔を形成することができる。また、有機汚泥を用いることでマイクロメートルオーダーの気孔と、さらに小さな気孔を形成することができる。飽和含水率などの保水能の向上とミリメートルオーダーの扁平孔を形成する観点からは、スラグと粘土とを含むものが好ましく、長期にわたり用土の温度上昇を抑制する観点からは、スラグと有機汚泥と粘土とを含むもの、もしくはスラグと珪藻土と粘土とを含むものが好ましく、強度の向上と飽和含水率などの保水能の向上の観点からは、有機汚泥と珪藻土と粘土とを含むものが好ましい。保水能の向上と扁平孔の形成とをよりバランスよくするためには、スラグ、有機汚泥、珪藻土及び粘土を含むものが好ましい。このような混合物を焼成して得られた多孔質セラミックスは、多くの連通した気孔を有するものとなる。
スラグとしては特に限定されず、例えば、金属精錬時に発生する高炉スラグ、都市ゴミの溶融時に発生する都市ゴミ溶融スラグ、下水汚泥の溶融時に発生する下水汚泥溶融スラグ、ダクタイル鋳鉄等の鋳鉄時に発生する鋳鉄スラグ等のガラス質スラグなどが挙げられる。中でも、組成が安定しているため安定した発泡状態が得られると共に、他のスラグに比べ1.5〜2倍程度の発泡率である鋳鉄スラグがより好ましい。また、鋳鉄スラグを用いると、ミリメートルオーダーの扁平孔を複数平行に形成することが容易になり、多孔質セラミックスの透水性、保水性、用土の温度上昇を抑制する効果が高まる。
混合物中のスラグの配合量は、混合物の成形性を勘案して決定することができ、例えば、80質量%以下が好ましく、30〜70質量%がより好ましく、40〜60質量%がさらに好ましい。スラグの配合量が上記範囲内であれば、混合物の成形性を損なわず、かつ円滑に成形できると共に、多孔質セラミックスの保水性や透水性のバランスを好適なものとすることができる。
スラグの代わりに、炭酸カルシウム、炭化ケイ素、炭酸マグネシウムなどの焼成時に発泡する発泡物を用いてもよいし、スラグと併用してもよい。
有機汚泥は、主成分として有機物を含有する汚泥である。有機汚泥としては任意のものを用いることができ、下水や工場等の排水処理に由来する活性汚泥が特に好ましい。活性汚泥は、活性汚泥法を用いた排水処理設備から、凝集・脱水工程、また、必要に応じ乾燥工程を経て排出される。このような有機汚泥を用いることで、マイクロメートルオーダーの気孔を効率的に形成でき、さらに、ナノメートルオーダーの気孔を形成できる。ナノメートルオーダーの気孔が形成されることで、保水性をより高めるとともに、保水持続性も発現しやすくなり、水の揮発を程よく抑えることができる。よって、外気温が高くなると多孔質セラミックス内の水を気化させることで、用土の温度上昇を長期間抑制することができる。さらに、廃棄物の位置付けであった排水処理由来の活性汚泥を原料として再度利用することができる。
有機汚泥の含水率は、例えば、1〜90質量%が好ましく、5〜90質量%がより好ましく、65〜85質量%がさらにより好ましい。有機汚泥の含水率が上記範囲内であれば、均質な混合物が得られると共に、良好な成形性を維持しやすい。
有機汚泥の含水率は、「産業廃棄物に含まれる金属等の検定方法」、公布日:昭和48年02月17日、環境庁告示13号、第一の表の備考の規定に準じて行われる。
有機汚泥中の有機物の含有量は特に限定されないが、例えば、有機汚泥の固形分中の有機物の含有量(有機物含有量)として70質量%以上が好ましく、80質量%以上がより好ましい。前記有機物含有量が多いほど、マイクロメートルオーダーの気孔を容易に形成でき、さらに、ナノメートルオーダーの気孔を形成できる。なお、有機物含有量は、乾燥後の汚泥をJIS M8812−1993に準じ、炭化温度700℃で灰分(質量%)を測定し、下記式(2)により求められる値である。
有機物含有量(質量%)=100(質量%)−灰分(質量%) ・・・(2)
有機汚泥の平均粒子径は、好ましくは1〜5μm、より好ましくは1〜3μmとされる。有機汚泥は、焼成により焼失し、その部分に気孔を形成するため、平均粒子径が小さいほど、マイクロメートルオーダーの気孔を容易に形成でき、さらに、ナノメートルオーダーの気孔を形成できる。なお、平均粒子径は、粒度分布測定装置(例えば、株式会社堀場製作所製の「LA−920」)により測定される体積基準のメディアン径(体積50%径)である。
混合物中の有機汚泥の含有量(汚泥に含まれている水の質量も含む)は、混合物の成形性等を勘案して決定することができ、例えば、1〜60質量%が好ましく、5〜30質量%がより好ましく、5〜20質量%がさらに好ましい。有機汚泥の含有量が上記範囲内であれば混合物は適度な流動性と可塑性とを備え、成形性が向上し、成形装置を閉塞することなく円滑に成形できる。
珪藻土は、珪藻の遺骸からなる堆積物であり、マイクロメートルオーダーの気孔を有する多孔質である。珪藻土を用いることで、珪藻土に由来する微細な気孔を多孔質セラミックスに形成できる。
珪藻土としては特に限定されず、従来、耐火断熱煉瓦、濾過材等に使用されていたものと同様のものを用いることができる。例えば、狭雑している粘土鉱物(モンモリロナイト等)や石英、長石等を分別精製する必要はなく、これらの含有率を認識した上で、混合物への配合量を調整することができる。また、珪藻土を用いて製造され廃棄された耐火断熱煉瓦、濾過材、コンロなどを粉砕して用いると、廃棄物を削減できるため、好ましい。
珪藻土の含水率は特に限定されず、例えば、自然乾燥状態での含水率が20〜60質量%が好ましく、30〜50質量%がより好ましく、35〜45質量%がさらに好ましい。珪藻土の含水率が上記範囲内であれば、含水率を認識しながら、混合の際に狭雑物中の粗粒子分を除去して使用することで、成形性が良好な混合物が得られる。
なお、含水率は、乾燥減量方式である下記仕様の赤外線水分計を用い、試料を乾燥(200℃、12分)し、下記式(3)により求めた値である。
赤外線水分計の仕様:
・測定方式:乾燥減量法(加熱乾燥・質量測定方式)、
・最小表示:含水率;0.1質量%、
・測定範囲:含水率;0.0〜100質量%、
・乾燥温度:0〜200℃、
・測定精度:試料質量5g以上で、含水率±0.1質量%、
・熱源:赤外線ランプ;185W
含水率(質量%)=[(m−m)/(m−m)]×100 ・・・(3)
:乾燥前の容器の質量と乾燥前の試料の質量との合計質量(g)、
:乾燥後の容器の質量と乾燥後の試料の質量との合計質量(g)、
:乾燥後の容器の質量(g)
混合物中の珪藻土の含有量は、多孔質セラミックスに求める飽和含水率や強度等を勘案して決定でき、例えば、55質量%以下が好ましく、1〜45質量%がより好ましい。珪藻土の含有量が、上記上限値以下であれば混合物の成形性が良好であり、上記下限値以上であれば所望の飽和含水率の多孔質セラミックスや、所望の強度の多孔質セラミックスが得られやすい。
本発明における粘土は、一般的に窯業原料として用いられる粘土状の性状を示す鉱物材料であり、珪藻土以外のものである。
粘土としては、セラミックスに用いられる公知のものを用いることができ、石英、長石、粘土系等の鉱物組成で構成されており、その構成鉱物はカオリナイトを主とし、ハロイサイト、モンモリロナイト、イライト、ベントナイト、パイロフィライトを含むものが好ましい。中でも、焼結時のクラックの進展を抑え、多孔質セラミックスの破壊を防ぐ観点から粒子径が500μm以上の石英の粗粒を含むものがより好ましい。また、前記石英の粗粒の粒子径は、5mm以下が好ましい。このような粘土としては、例えば、蛙目粘土等が挙げられる。粘土は、1種単独で又は2種以上を適宜組み合わせて配合できる。
混合物中の粘土の含有量は、多孔質セラミックスに求める強度や成形性等を勘案して決定でき、例えば、5〜60質量%が好ましく、5〜50質量%がより好ましく、10〜40質量%がさらに好ましい。粘土の含有量が上記範囲内であれば混合物の成形性を損なわず、かつ円滑に成形できると共に、多孔質セラミックスの強度を充分なものにできる。
本発明におけるフィラーとしては、例えば、溶融温度が900℃以上の高融点ガラスの粒子等の粒子状フィラー;炭素繊維、バサルト繊維、ロックウール等の繊維状フィラーが挙げられ、中でも、高融点ガラスの粒子、繊維状フィラーが好ましく、高融点ガラスの粒子がより好ましい。高融点ガラスの粒子を用いることで、多孔質セラミックスの強度をより向上でき、良好な成形性が得られる。
例えば、高融点ガラスの粒子をフィラーとして含む原料を焼結すると、高融点ガラスの粒子は、部分的に溶融し、フィラー同士で融着したり、前記粘土類や珪藻土等のバインダーとして機能したりし、多孔質セラミックスの強度をより向上することができる。
あるいは、繊維状フィラーは、多孔質セラミックスに取り込まれることで、多孔質セラミックスの強度をより向上させることができる。
混合物中の高融点ガラスの粒子の含有量は、フィラー以外の原料の合計100質量部に対し、10〜40質量部が好ましく、15〜40質量部がより好ましい。高融点ガラスの粒子の含有量が、上記下限値未満であると多孔質セラミックスの強度を充分に向上できないおそれがあり、上記上限値超であると混合物の成形性が損なわれるおそれがある。
混合物中の繊維状フィラーの含有量は、フィラー以外の原料の合計100質量部に対し、0.01〜20質量部が好ましく、0.01〜10質量部がより好ましく、0.05〜5質量部がさらに好ましく、0.1〜2質量部が特に好ましい。繊維状フィラーの含有量が、上記下限値未満では多孔質セラミックスの強度を充分に向上できないおそれがあり、上記上限値超では成形性が損なわれるおそれがある。
混合物は、本発明の効果を阻害しない範囲で、任意成分を含有してもよい。任意成分としては、例えば、マイティ2000WH(商品名、花王株式会社製)等のナフタリン系の流動化剤、メルメントF−10(商品名、昭和電工株式会社製)等のメラミン系の流動化剤、ダーレックススーパー100pH(商品名、グレースケミカルズ株式会社製)等のポリカルボン酸系の流動化剤;銀、銅、亜鉛等の抗菌剤;塩化アンモニウム、塩化亜鉛等の消臭剤;ゼオライト、アパタイト等の吸着剤;金属アルミニウムなどが挙げられる。
混合物に任意成分を配合する場合、任意成分の配合量は、例えば、5〜10質量%の範囲で決定することが好ましい。
また、混合物の流動性の調整等を目的として、適宜、水を配合してもよいが、有機汚泥が好適な配合比で配合されている場合には、混合工程にて水を添加しなくてもよい。
混合工程に用いられる混合装置としては特に限定されず、公知の混合装置を用いることができる。
混合装置としては、例えば、ミックスマラー(東新工業株式会社製)等の混練機や、ニーダー(株式会社モリヤマ製)、混合機(日陶科学株式会社製)等が挙げられる。
混合工程における混合時間は、原料の配合比、混合物の流動性等を勘案して決定することができ、混合物が可塑状態となるような混合時間を決定することが好ましい。混合時間は、例えば、15〜45分の範囲とすることが好ましく、25〜35分の範囲とすることがより好ましい。
混合工程における温度は特に限定されず、原料の配合比や含水率等を勘案して決定することができ、例えば、40〜80℃の範囲とすることが好ましく、50〜60℃の範囲とすることがより好ましい。
成形工程は、混合工程で得られた混合物を任意の形状に成形する工程である。
成形方法としては公知の成形方法を用いることができ、混合物の性状や所望する成形体の形状を勘案して決定することができる。成形方法としては、例えば、成形機を用いて、ペレットなどを含めた板状、粒状又は柱状等の成形体を得る方法、混合物を任意の形状の型枠に充填して成形体を得る方法、あるいは、混合物を押し出し、延伸又は圧延した後、任意の寸法に切断する方法などが挙げられる。互いに平行で、多孔質セラミックスの板状物11の表面に対しても平行な扁平孔を複数形成しやすい観点からは、押し出し、延伸及び圧延の1つ以上を適用することが好ましく、平板状または帯への押し出し、延伸及び圧延の1つ以上を適用することがより好ましい。
成形機としては、真空土練成形機、平板プレス成形機、平板押出し成形機などが挙げられ、中でも真空土練成形機が好ましい。
焼成工程は、成形工程で得られた成形体を乾燥し(乾燥操作)、乾燥した成形体を焼成し(焼成操作)、珪藻土又は粘土等を焼結してセラミックスを得る工程である。
乾燥操作としては特に限定されず、公知の方法を用いることができる。例えば、成形体を自然乾燥してもよいし、50〜220℃の熱風乾燥炉で任意の時間処理して乾燥してもよい。乾燥後の成形体の含水率は特に限定されないが、例えば、5質量%未満が好ましく、1質量%未満がより好ましい。
成形体の含水率は、有機汚泥の含水率と同様に、「産業廃棄物に含まれる金属等の検定方法」、公布日:昭和48年02月17日、環境庁告示13号、第一の表の備考の規定に準じて行われる。
焼成操作としては特に限定されず、公知の方法を用いることができる。例えば、ローラーハースキルン等の連続式焼結炉、シャトルキルン等の回分式焼結炉を用い、任意の温度で焼成する方法が挙げられる。中でも、焼成操作には、生産性の観点から連続式焼結炉を用いることが好ましい。
焼成温度は、混合物の性状等に応じて決定でき、例えば、900℃〜1200℃とされる。焼成温度が上記下限値以上であれば、有機汚泥由来の臭気成分が熱分解され解消されると共に、有機汚泥中の有機物の大部分が揮発して減量する。焼成温度が上記上限値超であると、セラミックスの組織全体のガラス化が進み、成形体が破損したり、気孔が閉塞したりするおそれがある。
焼成工程の後、必要に応じて、任意の大きさ、形状に多孔質セラミックスを切断してもよい。
また、多孔質セラミックスの板状物11の第一の面11aおよび第二の面11bの少なくとも一方を研削する研削加工工程を施すことができる。
研削加工を施す面は、多孔質セラミックスの板状物11の形態等を勘案して決定できる。例えば、多孔質セラミックスの板状物11を製造する場合、多孔質セラミックスの板状物11の第一の面11aおよび第二の面11bの少なくとも一方、好ましくは両方に研削加工を施すことが好ましい。研削加工に用いる用具としては、バーチカルミーリングマシーンPVシリーズ(アミテックス株式会社製)等の切削機、グラインダー、サンドペーパーなどが挙げられる。
研削加工の程度は、多孔質セラミックスの板状物11の性状や大きさ等を勘案して決定され、例えば、多孔質セラミックスの板状物11の表面から0.5〜5mm程度の深さとされる。切削の深さが、上記下限値未満では研削加工を施した効果が得られにくく、上記上限値超では研削加工後の多孔質セラミックスの板状物11の強度が低くなるおそれがある。
研削加工を施すと、多孔質セラミックスは、板状物の状態で、長期にわたって優れた吸水速度、排水速度を維持することができ、素早く雨水や灌水した水を吸収すると共に、過剰な水を排水することができる。また、保持している水の蒸発速度も向上し、用土の温度上昇をより抑制することができる。
(作用効果)
以上説明した第一の実施形態のプランター1は、上述した特定の多孔質セラミックスの板状物11で構成された胴部10aと底部10bとからなる容器10で構成されているので、保水性に優れる。そのため、外気温が高くなると多孔質セラミックス内の水を気化させることで、容器10内に収納された用土の温度上昇を抑制することができる。さらに、用土中の水分を多孔質セラミックスが吸収し気化させることもできるため、プラスチック製や素焼き製のプランターに比べ、より温度上昇を抑制する効果を発揮できる。
よって、本発明の第一の実施形態のプランター1は、高温環境下であっても植物の育成に適している。
また、本発明に用いる多孔質セラミックスは透水性にも優れるので、過剰な水をプランター1内から排水でき、根腐れを抑制することができる。
プランター1は、容器10内に用土を収納し、植物を植栽し、ベランダ、屋上、舗道などの露地、ビニールハウス、温室、室内など任意の場所に設置し、植物を育成することができる。特に、気温の上昇や降下が激しい、コンクリートやアスファルトなどが敷設されたベランダ、屋上、舗道やビニールハウス、温室などで本発明の効果をより発揮することができる。
<第二の実施形態>
図3に示すプランター2は、多孔質セラミックスの角柱状物12を複数積層した積層物を4つ組み合わせて構成された、両端が開口している中空状の胴部10aと、1つの多孔質セラミックスの板状物11で構成された、胴部10aの一端を閉塞する底部10bとからなる容器10で構成されている。
図1に示す第一の実施形態のプランター1の場合、4つの多孔質セラミックスの板状物11で直方体状の容器10の胴部10aを形成し、1つの多孔質セラミックスの板状物11で容器10の底部10bを形成している。また、多孔質セラミックスの板状物11の表面が、容器10の胴部10aの側面や底部10bの底面となっている。
一方、図3に示す第二の実施形態のプランター2の場合、多孔質セラミックスの角柱状物12を複数積層した積層物を4つ組み合わせることで直方体状の容器10の胴部10aを形成し、1つの多孔質セラミックスの板状物11で容器10の底部10bを形成している。また、この例の多孔質セラミックスの角柱状物12は、角柱状になるように多孔質セラミックスの板状物11を厚さ方向に切断したものであり、その切断面12aが容器10の胴部10aの側面となるような向きで、複数の多孔質セラミックスの角柱状物12が積層されている。また、多孔質セラミックスの板状物11の表面が、容器10の底部10bの底面となっている。
多孔質セラミックスの角柱状物12は、長辺S1が15〜100cmであることが好ましく、短辺S2が3〜30cmであることが好ましく、厚さTが1〜10cmであることが好ましい。
多孔質セラミックスの角柱状物12同士は、接着剤、ボルトなどで接合されていてもよいし、金属製等のフレームなどにはめ込んで接合されていてもよい。
容器10の大きさについては、第一の実施形態と同様である。
また、多孔質セラミックスについても、第一の実施形態と同様である。
(作用効果)
以上説明した第二の実施形態のプランター2は、上述した特定の多孔質セラミックスの角柱状物12で構成された胴部10aと、多孔質セラミックスの板状物11で構成された底部10bとからなる容器10で構成されているので、保水性に優れる。そのため、外気温が高くなると多孔質セラミックス内の水を気化させることで、容器10内に収納された用土の温度上昇を抑制することができる。さらに、用土中の水分を多孔質セラミックスが吸収し気化させることもできるため、プラスチック製や素焼き製のプランターに比べ、より温度上昇を抑制する効果を発揮できる。
よって、本発明の第二の実施形態のプランター2は、高温環境下であっても植物の育成に適している。
また、本発明に用いる多孔質セラミックスは透水性にも優れるので、過剰な水をプランター2内から排水でき、根腐れを抑制することができる。
プランター2は、容器10内に用土を収納し、植物を植栽し、ベランダ、屋上、舗道などの露地、ビニールハウス、温室、室内など任意の場所に設置し、植物を育成することができる。特に、気温の上昇や降下が激しい、コンクリートやアスファルトなどが敷設されたベランダ、屋上、舗道やビニールハウス、温室などで本発明の効果をより発揮することができる。
<他の実施形態>
本発明のプランターは、上述したものに限定されない。図1に示すプランター1及び図3に示すプランター2は、直方体状の容器10から構成されているが、容器10の形状は、五角柱や六角中等の多角柱状、円柱状、上方に向かって面積が広くなるような逆テーパー形状や、その反対のテーパー形状などであってもよい。また、胴部10aの側面の形状についても、図1,3に示すような長方形に限定されず、例えば、台形や三角形、5角形や6角形などであってもよい。
また、図1に示すプランター1及び図3に示すプランター2は、胴部10aの全面及び底部10bに多孔質セラミックスの板状物11が用いられているが、胴部10aの少なくとも一部及び/又は底部に多孔質セラミックスが用いられていてもよい。水の透水性および保水性、用土の温度上昇の抑制などによる植物の育成性を考慮すると、胴部10a及び底部10bの少なくとも1面が多孔質セラミックスで形成されていることが好ましく、胴部10aの全面が多孔質セラミックスで形成されているものがより好ましく、底部10bも含めて多孔質セラミックスで形成されているものがさらに好ましい。
また、上述した容器は、いずれも両端が開口している中空状の胴部と、該胴部の一端を閉塞する底部とからなるものであるが、例えば図4に示すプランター3のように、球体の上部を切り取った形状の容器10で構成されていてもよい。
図4に示す容器10は、多孔質セラミックスの半球状物13からなるものであり、該半球状物13は中がくり抜かれている。この例では、容器10の球面の全面に多孔質セラミックスが用いられているが、容器10の球面の少なくとも一部に多孔質セラミックスが用いられていてもよい。水の透水性および保水性、用土の温度上昇の抑制などによる植物の育成性を考慮すると、容器10の球面の全面に多孔質セラミックスが用いられていることが好ましい。
なお、図4に示すような多孔質セラミックスの半球状物13は、例えばサッカーボールのように正五角形と正六角形のパネルを複数組み合わせて球体とし、該球体を半分に切断することで得られる。このとき、複数のパネルの1枚以上に上述した多孔質セラミックスの板状物を用いる。また、多孔質セラミックスの板状物を複数組み合わせて半球に近い形状とし、角を削って表面を滑らかにすることで、多孔質セラミックスの半球状物13を製造してもよい。
また、図1に示すプランター1、図3に示すプランター2及び図4に示すプランター3には、水抜きのための穴が設けられていないが、図1,3に示す容器10の胴部10aや底部10b、図4に示す容器10の球面に、水抜きのための穴を設けてもよい。ただし、本発明に用いる多孔質セラミックスは透水性に優れるので、水抜きのための穴を設ける必要はない。水抜きのための穴を設けなければ、用土の流出を抑制できる。
水抜きのための穴を設ける場合には、穴の上などに玉石等を置いて、用土の流出を防いでもよい。
また、本発明のプランターには、移動性を向上させるため、必要に応じて、車輪や取っ手を取り付けてもよい。また、プランターが設置される床面から浮かせるために脚を設けてもよい。特に、図4に示すプランター3は、設置する際の安定性を高めるために、台座や脚などを設けることが好ましい。
また、意匠性を向上させるために、本発明のプランターを木製やプラスチック製のカバーで覆うことも可能である。ただし、カバーで覆う場合は、用土の温度上昇を抑制する観点から、本発明のプランターとカバーとの間に隙間を設け、プランターを構成する多孔質セラミックスから水が蒸発しやすい環境としておくことが好ましい。
「植物の育成方法」
本発明の植物の育成方法では、上述した本発明のプランターに用土を入れて植物を栽培する。
用土としては、プランターに植える植物が育成できるものであれば特に限定されるものではない。
また、プランターに用土を入れる前に、プランターの底に玉石等を敷いてもよいが、本発明のプランターに用いる多孔質セラミックスは透水性に優れるため、玉石等を敷かなくても植物の根腐れ等を抑制することができる。
本発明のプランターに用土を入れ、植物を植栽することにより、外気温が大きく上昇した場合においても、用土の温度上昇等を抑制することができ、植物に与えられるストレスを抑制し、植物の成長の阻害要因を抑えることができる。また、本発明のプランターは排水性にも優れているため、過剰な水が付与された場合においても、植物の根腐れを抑制することができる。
本発明の植物の育成方法であれば、植物を植栽したプランターを、ベランダ、屋上、舗道などの露地、ビニールハウス、温室、室内など任意の場所に設置し、植物を育成することができる。特に、気温の上昇、降下が激しい、コンクリートやアスファルトなどが敷設されたベランダ、屋上、舗道やビニールハウス、温室などで本発明の効果をより発揮することができる。
以下、実施例を示して本発明を詳細に説明するが、本発明は以下の記載によって限定されるものではない。
以下に、実施例及び比較例で使用した原料と、各種測定・評価方法を示す。
「使用原料」
<有機汚泥>
有機汚泥としては、染色工場(小松精練株式会社)の活性汚泥法による排水処理設備から凝集・脱水工程を経て排出された活性汚泥を用いた。この活性汚泥の有機物含有量(対固形分)は83質量%、含水率は85質量%であった。
<粘度>
粘土としては、蛙目粘土(産地:岐阜県)を用いた。
<スラグ>
発泡剤としては、鋳鉄スラグを用いた。この鋳鉄スラグは、SiO、Al、CaO、Fe、FeO、MgO、MnO、KOおよびNaOを主成分とするダクタイル鋳鉄スラグである。
<珪藻土>
珪藻土としては、能登地区産の耐火煉瓦の原料で、含水率が珪藻土の全体質量に対して5質量%の粉末状の珪藻土を用いた。
「測定・評価方法」
<飽和含水率の測定>
多孔質セラミックスの板状物を水に60分間浸漬し、該板状物の横から水がこぼれないように板状物の面が水平方向になるように水から取り出し、表面の水滴を除去する程度に布に接触させた後、質量(飽和状態質量)を測定し、下記式(1)により求めた。なお、下記式(1)中の「絶乾状態質量」とは、多孔質セラミックスの板状物を120℃で24時間乾燥した後の質量のことである。
飽和含水率(質量%)=[(飽和状態質量−絶乾状態質量)/絶乾状態質量]×100 ・・・(1)
<気孔の確認>
多孔質セラミックスの板状物を厚さ方向に対し垂直に切断し、当該断面から目視で確認できるミリメートルオーダーの扁平な気孔を扁平孔と認定した。
また、多孔質セラミックスの板状物を切断し、電子顕微鏡を用いてナノメートルオーダー及びマイクロメートルオーダーの気孔を確認した。
<気孔同士の連通の有無の確認>
多孔質セラミックスにおける気孔同士の連通の有無の確認は、多孔質セラミックスの板状物を粉砕して粒径が5mm程度の粒状にしたものを水に浸漬し、充分に吸水させた後に潰し、その潰れたものを観察することで確認した。多孔質セラミックスを潰したものに満遍なく水分が分布されている場合、気孔同士が連通していると判断した。多孔質セラミックスを潰したものに満遍なく水分が行き渡っていない場合には、個々の気孔または孔隙が独立しており、気孔同士が連通していないまたは連通が不充分であると判断した。
「実施例1」
<多孔質セラミックスの板状物の製造>
スラグ55質量%と、有機汚泥10質量%と、粘土30質量%と、珪藻土5質量%とをミックスマラー(新東工業株式会社製)にて混合し、可塑状態の混合物を得た(混合工程)。
次いで、得られた混合物を真空土練成形機(高浜工業株式会社製)にて押し出し、圧延成形し、幅60cm、厚さ2cmの帯状の一次成形体を得た。この一次成形体を任意のピッチと幅で切断して、厚さ2cmの略正方形の板状の成形体を得た(成形工程)。
得られた成形体を180℃の熱風乾燥機で0.5時間乾燥し、含水率1質量%以下とした後、連続式焼結炉を用いて、焼成温度1050℃、焼成温度での滞留時間7分間の焼成条件にて焼成し(焼成工程)、多孔質セラミックスを得た。連続式焼結炉としては、ローラーハースキルン(焼結炉の有効長:全長15m、焼結炉を各1.5mのゾーン1〜10に分割)を用いた。
得られた多孔質セラミックスの端部を厚さ方向に切断し、さらに表面を研削し、タテ50cm、ヨコ50cm、厚さ3cmの板状物を得た。
得られた多孔質セラミックスの板状物について気孔及び連通の有無を確認したところ、孔径が10mm超のものを含むミリメートルオーダーの扁平状の扁平孔を複数含み、扁平孔は複数が互いに平行で、かつ板状物の表面に対しても平行に形成されていた。また、ミリメートルオーダーの気孔とマイクロメートルオーダーの気孔とナノメートルオーダーの気孔が混在し、かつこれらが連通しているものであった。
また、得られた多孔質セラミックスの板状物の飽和含水率は50質量%であった。
<プランターの製造>
得られた多孔質セラミックスの板状物を厚さ方向に、それぞれ所望の大きさとなるように切断した、5枚の多孔質セラミックスの板状物を準備した。これらを用い、図1に示すような、胴部10aの全面及び底部10bが多孔質セラミックスの板状物11で構成された、内径でタテLが17cm、ヨコWが44cm、深さDが19cmの容器10を作製し、これをプランター1とした。
多孔質セラミックスの板状物11同士は、接着剤で固定した。また、得られたプランター1には水抜きのための穴は設けなかった。
<植物の育成>
得られたプランター1に、用土としてアイリスオーヤマ株式会社製の「培養土 園芸用」をプランター1の上面から2cm下まで入れ、床面がコンクリートの屋上(屋外)に放置した。
雨が降った直後から、用土の表面から5cm及び10cmの深さの位置の用土の温度と、外気温の測定を24時間にわたり行なった。なお、温度測定を行っている24時間は、雨は降らず、潅水も行なわなかった。
用土の温度と外気温の最高温度及び最低温度を表1に示す。
別途、プランター1に用土としてアイリスオーヤマ株式会社製の「培養土 園芸用」をプランター1の上面から2cm下まで入れ、トレニアの苗を植えた。苗を植えた後、15日経過した後にトレニアの発育状況を観察し、発育が大きく感じられる場合を「○」、発育が小さく感じられる場合を「×」と評価した。
また、トレニアを引き抜くときの力の強さでトレニアの根の張り方を評価した。トレニアを引き抜くのに強い力が必要である場合を「○」、簡単にトレニアを引き抜くことができた場合を「×」と評価した。
これらの結果を表1に示す。
「比較例1」
アップルウェアー株式会社製のプラスチック製プランター(内径:タテ17cm、ヨコ59cm、深さ(底のネットの部分除く)14cm)を用いた以外は、実施例1と同様にして用土の温度と外気温の測定を24時間にわたり行った。
用土の温度と外気温の最高温度及び最低温度を表1に示す。
また、アップルウェアー株式会社製のプラスチック製プランター(内径:タテ17cm、ヨコ59cm、深さ(底のネットの部分除く)14cm)を用いた以外は、実施例1と同様にしてトレニアの苗を植え、発育状況を観察し、トレニアの根の張り方を評価した。
これらの結果を表1に示す。
Figure 2016082882
表1から明らかなように、プラスチック製プランター(比較例1)に比べ、実施例1のプランターでは、用土の温度が最大で6℃も低く、用土の温度上昇を抑制することができた。また、用土の最低温度と最高温度との差が小さく、一日の間での用土の温度変化を抑制できた。
また、実施例1の場合、比較例1よりもトレニアが発育しており、根がしっかりと張っていた。
このように、実施例1のプランターを用いれば、用土の温度の上昇及び1日の温度の変動を抑制することにより、植物が温度で受けるストレスを抑制し、育成が阻害されることを抑制することができることが示された。
「実施例2」
<プランターの製造>
実施例1と同様にして、タテ50cm、ヨコ50cm、厚さ3cmの多孔質セラミックスの板状物を作製した。該板状物を厚さ方向に切断し、長辺21cm、短辺3cm、厚さ3cmの多孔質セラミックスの角柱状物を得た。得られた多孔質セラミックスの角柱状物を用い、切断面(複数の扁平孔が平行に形成されていることが観察される面)が外側から観察できるように複数積層した積層物を4つ組み合わせ、図3に示すような、胴部10aの全面が多孔質セラミックスの角柱状物12で構成された、内径:タテ18cm、ヨコ18cm、深さ27cm(外径:タテ24cm、ヨコ24cm、高さ27cm)であり、両端が開口している中空状の胴部10aを作製した。
別途、実施例1と同様にして多孔質セラミックスを作製し、その端部を厚さ方向に切断し、タテ24cm、ヨコ24cm、厚さ3cmの板状物を得た。得られた多孔質セラミックスの板状物を用いて胴部10aの一端を閉塞し、多孔質セラミックスの板状物11で構成された底部10bを形成して容器10を得た。これをプランター2とした。
多孔質セラミックスの角柱状物12同士、及び多孔質セラミックスの角柱状物12と多孔質セラミックスの板状物11は、それぞれ接着剤で固定した。また、得られたプランター2には水抜きのための穴は設けなかった。
<植物の育成>
得られたプランター2に、用土としてアイリスオーヤマ株式会社製の「培養土 園芸用」をプランター1の上面から2cm下まで入れビニールハウス内に設置した。
用土の表面から10cmの深さの位置の用土の温度と、ビニールハウス内の気温の測定を1週間にわたり行なった。潅水は1日2回午前6時と午後6時に行った。
午前6時〜午後6時までの用土の平均温度、及びビニールハウス内の平均温度を求めた。結果を表2に示す。
「比較例2」
実施例2で製造したプランター2と内径がほぼ同様のプラスチック製プランターを用いた以外は、実施例2と同様にして用土の温度とビニールハウス内の気温の測定を1週間にわたり行った。
午前6時〜午後6時までの用土の平均温度、及びビニールハウス内の平均温度を表2に示す。
Figure 2016082882
表2から明らかなように、プラスチック製プランター(比較例2)に比べ、実施例2のプランターでは、用土の平均温度が低く、用土の温度上昇を抑制することができた。
このように、実施例2のプランターを用いれば、用土の温度の上昇を抑制することにより、植物が温度で受けるストレスを抑制し、育成が阻害されることを抑制することができることが示された。
1、2、3 プランター
10 容器
10a 胴部
10b 底部
11 多孔質セラミックスの板状物
11a 第一の面
11b 第二の面
12 多孔質セラミックスの角柱状物
12a 切断面
13 多孔質セラミックスの半球状物
h 扁平孔
D 深さ
L タテ
W ヨコ
S1 長辺
S2 短辺
T 厚さ

Claims (9)

  1. 上方に開口し、内部に用土が収納される容器で構成されるプランターであって、
    前記容器の少なくとも一部に、飽和含水率が20%以上であり、かつ連通した複数の気孔を有する多孔質セラミックスが用いられ、
    前記気孔は、孔径がミリメートルオーダーかつ扁平状であり、平行に形成された気孔を複数含む、プランター。
  2. 前記気孔は、孔径がナノメートルオーダーの気孔と、孔径がマイクロメートルオーダーの気孔と、孔径がミリメートルオーダーの気孔とを含む、請求項1に記載のプランター。
  3. 前記容器の深さが5cm以上である、請求項1または2に記載のプランター。
  4. 前記容器が、両端が開口している中空状の胴部と、該胴部の一端を閉塞する底部とからなり、該底部に前記多孔質セラミックスが用いられている、請求項1〜3のいずれか一項に記載のプランター。
  5. 前記容器が、両端が開口している中空状の胴部と、該胴部の一端を閉塞する底部とからなり、該胴部の少なくとも一部に前記多孔質セラミックスが用いられている、請求項1〜4のいずれか一項に記載のプランター。
  6. 前記胴部の全面及び底部に前記多孔質セラミックスが用いられている、請求項4または5に記載のプランター。
  7. 前記容器が球体の上部を切り取った形状であり、該容器の球面の少なくとも一部に前記多孔質セラミックスが用いられている、請求項1〜3のいずれか一項に記載のプランター。
  8. 前記容器の球面の全面に前記多孔質セラミックスが用いられている、請求項7に記載のプランター。
  9. 請求項1〜8のいずれか一項に記載のプランターに用土を入れて植物を栽培する、植物の育成方法。
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