JP6053573B2 - Agめっき電極部材の製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、Agめっき電極部材の製造方法に関する。
トランジスタ・インバータ等の各種電子・電気部品の素材として用いられるリードフレームや、電極端子コネクタ部材(以下これらを総称して「電極部材」という。)の基材として純Cu又はCu合金が用いられている。電極部材の表面、つまり、基材の表面には、端子部などの相手電極との接触抵抗を改善させたり、ワイヤボンド性及び半田濡れ性を向上させたりすることを目的として、純Ag又はAg合金からなるAgめっき膜を形成する場合がある。このような構成の電極部材は、Agめっき電極部材などと呼ばれることが多い。
このような構成のAgめっき電極部材は、アセンブリ時に熱の影響を受けることによって、基材のCuがAgめっき膜の表面まで拡散してしまう。Agめっき膜の表面に拡散したCuは大気中の酸素と反応してCu酸化物を形成し、ワイヤボンド性及び半田濡れ性を劣化させる原因となる。
また、電極部材は、Agめっき膜の厚さを厚くすることでAgめっき膜の表面へのCuの拡散を抑制することは可能であるものの、Agめっき膜を厚くすると高コストとなり現実的ではない。そのため、電極部材では、純Cu又はCu合金からなる基材上に純Ni又はNi合金からなるNiめっき膜を形成し、これに続けて連続的にAgめっき膜を形成することにより、Agめっき膜の表面にCuが拡散するのを防止している。しかし、電極部材をこのような態様とすると、Niめっき膜とAgめっき膜の密着性が悪いため実用に耐えないという問題があった。
そのため、電極部材は、かかる構成において、Niめっき膜形成後、この上に薄いCuフラッシュめっき膜を形成し、その上にAgめっき膜を形成することでこれらの密着性を改善しようとしている。しかし、電極部材をこのような態様とすると、Agめっき膜直下にCuフラッシュめっき膜が存在するのでCuが拡散することによる不具合を防止することはできないという問題があった。
このような従来技術の問題を解決するため、例えば、特許文献1〜3に記載の技術が提案されている。
この特許文献1、2には、Cu又はCu合金からなる基材上に形成するAgめっき膜の結晶粒サイズを粗大化させることで、中間のNiめっき膜を形成すること無く基材からAgめっき膜の表面へのCuの拡散を抑制した電子部品材料が記載されている。
また、特許文献3には、Cu合金からなる基材上に、基材からのCuの拡散を防止するNiめっき膜を形成し、その上にAgめっき膜との密着性を確保するためのAuめっき膜を形成し、更にその上にAg合金めっき膜を形成する電子部品材料が記載されている。
特開平5−2940号公報 特開2008−169408号公報 特開2012−124364号公報
特許文献1、2に記載の技術では、Agめっき膜の結晶粒径を粗大化させることで粒界密度を減少させてCuの拡散を抑制しているが、粒界が存在するため、時間の経過と共にCuが徐々に拡散してしまうという問題がある。従って、基材のCuがAgめっき膜の表面まで拡散し、大気中の酸素と反応してCu酸化物を形成し、ワイヤボンド性を劣化させるのを防止することができないという問題がある。
一方、特許文献3に記載の技術では、純Cu又はCu合金からなる基材上にNiめっき膜と、Auめっき膜と、Agめっき膜と、がこの順に形成されているが、Auは非常に高価であるため高コストとなる問題がある。
本発明は、前記状況に鑑みてなされたものであり、Niめっき膜とAgめっき膜の密着性及びワイヤボンド性に優れたAgめっき電極部材の製造方法を提供することを課題とする。
本発明は、純Cu又はCu合金からなる基と、前記基板の少なくとも片面に形成されたNi又はNi合金からなるNiめっき膜と、前記Niめっき膜上に形成された純Ag又はAg合金からなるAgめっき膜と、を備えたAgめっき電極部材を製造するAgめっき電極部材の製造方法であり、Niめっき浴にて前記基板上に前記Niめっき膜を形成するNiめっき膜形成工程と、酸性のAgめっき液で前記Niめっき膜表面に形成されている酸化膜を除去する酸化膜除去工程と、前記酸化膜を除去した後、前記酸性のAgめっき液を用いたAgめっき浴にて前記Niめっき膜上に前記Agめっき膜を形成するAgめっき膜形成工程と、を含むことを特徴とする。
このように、酸化膜除去工程において酸性のめっき液を用いてNiめっき膜表面に形成されている酸化膜を除去するので、Niめっき膜と、当該Niめっき膜上に形成するAgめっき膜と、の密着性を向上させることができる。また、基材とAgめっき膜の間にNiめっき膜を形成するだけでなく、このNiめっき膜とAgめっき膜の間にCuフラッシュめっき膜を形成しないので、Agめっき膜表面にCuが拡散するのを防止することができる。そのため、Agめっき膜の表面にCu酸化物が形成することはなく、結果的にワイヤボンド性に優れたものとすることができる。
本発明は、前記酸性のAgめっき液のpHが4以下であるのが好ましい。このようにすると、Agめっき膜形成時に当該Niめっき膜の表面に形成された酸化膜を確実に除去することができる。そのため、Niめっき膜と、当該Niめっき膜上に形成するAgめっき膜と、の密着性を確実に向上させることができる。
本発明は、前記酸化膜の除去が、前記Niめっき膜を形成した基板を前記酸性のAgめっき液に浸漬して所定時間保持することにより行うのが好ましい。
また、本発明は、前記酸化膜の除去が、前記Niめっき膜を形成した基板を前記酸性のAgめっき液に浸漬して電解除去することにより行うのが好ましい。
これらのようにすると、Agめっき膜形成時に当該Niめっき膜の表面に形成された酸化膜をより確実に除去することができる。そのため、Niめっき膜と、当該Niめっき膜上に形成するAgめっき膜と、の密着性をより確実に向上させることができる。
本発明に係るAgめっき電極部材の製造方法によれば、Niめっき膜とAgめっき膜の密着性及びワイヤボンド性に優れたAgめっき電極部材を製造することができる。
本発明の一実施形態に係るAgめっき電極部材の製造方法の内容を説明するフローチャートである。 本発明の一実施形態に係るAgめっき電極部材の構成を説明する断面概念図である。
以下、図1及び図2を参照して、本発明に係るAgめっき電極部材の製造方法を実施するための形態(実施形態)について詳細に説明する。
[Agめっき電極部材の製造方法]
図1に示すように、本実施形態に係るAgめっき電極部材の製造方法は、Niめっき膜形成工程S1と、酸化膜除去工程S2と、Agめっき膜形成工程S3と、を含み、少なくともこれらの工程をこの順序で行う。
なお、本製造方法は、これらの工程以外の工程を含み得る。例えば、Niめっき膜形成工程S1の前には、めっき膜を成膜するのに先立って行われるめっき前処理工程(図示せず)を行うことができる。めっき前処理工程としては、例えば、脱脂などが挙げられる。脱脂は、例えば、脱脂液への浸漬、電解脱脂、酸溶液への浸漬などの一般的な手法により行うことができる。
また、Agめっき膜形成工程S3の後に行い得る工程としては、例えば、電極としての形態にするための加工工程などがある。
説明の便宜上、製造方法について説明する前に、図2を参照してAgめっき電極部材の主な構成について説明する。なお、図2は、基板の片面にNiめっき膜とAgめっき膜を形成した様子を示している。
(Agめっき電極部材)
図2に示すように、本実施形態に係るAgめっき電極部材1は、基板2と、Niめっき膜3と、Agめっき膜4と、を有している。かかるAgめっき電極部材1は、例えば、トランジスタ・インバータ等の各種電子・電気部品の素材として用いられるリードフレームや、電極端子コネクタの素材などとして利用できる。
(基板)
基板2は、純Cu又はCu合金からなる。ここで、純Cuとは、Cu含有量が99.75質量%以上であるものをいう。純Cuは、0.040質量%以下の含有量であればPを含み得る。純Cuとしては、例えば、JIS H 3100に規定されている合金番号がC1000番台であるものが挙げられる。
また、Cu合金とは、Cuを主成分とし、Pb、Fe、Sn、Zn、Al、Mn、Ni、P、Si、Mg、Cr、Zr、Ti、Sb、等の元素を1種又は2種以上を含有するものをいう。なお、主成分とは、含有量に占める比率が50質量%を超えていることをいう。Cu合金としては、具体的には、JIS H 3100に規定されている合金番号がC2000番台からC6000番台であるものが挙げられる。Cu合金として好適には、例えば、リードフレームなどに用いられるCu−Fe−P系銅合金が挙げられる。
基板2は、Agめっき電極部材1の用途に応じてプレス加工やエッチング加工等を行うことにより任意の形状とすることができる。また、基板2の厚さもAgめっき電極部材1の用途に応じて、圧延等により任意に設定することができる。基板2は、例えば、純Cu又はCu合金を連続鋳造して鋳造板(例えば、薄板鋳塊)を製造し、次に、焼鈍、冷間圧延、中間焼鈍及び時効処理、さらに、仕上げ圧延、研磨等の工程を経て、所定の厚さの素板を製造する。この素板をプレス加工等により所定の形状に成形することにより製造することができる。
(Niめっき膜)
Niめっき膜3は、基板2の少なくとも片面に形成される。つまり、Niめっき膜3は、基板2と後記するAgめっき膜4との間に形成される中間層である。Niめっき膜2は、熱により基板2からCuが当該Niめっき膜3を経由してAgめっき膜4に拡散することを抑制する役割を担っている。これにより、Agめっき電極部材1の表面にCuが到達して変色すること、すなわちCu酸化物が形成されることを防止できる。またこれにより、電極端子の形態で抜き差しする際の摩擦摩耗を低減するのに必要となる平滑な面を得ることができる。
Niめっき膜3の膜厚は、基板2からAgめっき膜4へのCuの拡散を抑制するために0.5μm以上とするのが好ましく、0.8μm以上とするのがより好ましく、1μm以上とするのがさらに好ましい。なお、Niめっき膜3の膜厚の上限は特に限定するものではないが、不必要に厚く形成してもCuの拡散を抑制する効果は飽和するため、Niめっき膜3の膜厚は5μm以下とするのが好ましい。
Niめっき膜3の成分はNi単体に限定されず、例えば、Ni−Co合金、Ni−P合金、Ni−Fe合金等のNi合金で形成されるめっき膜であってもよい。Niめっき膜3は、電気めっき等の公知のめっき方法で形成することができる。
(Agめっき膜)
Agめっき膜4は、Niめっき膜3上に形成される。Agめっき膜4は、Niめっき膜3表面の酸化を抑制し、電極部材へのワイヤボンド性や半田濡れ性を向上させると共に、相手電極との接触抵抗を改善する役割を担っている。
Agめっき膜4の膜厚は、均一な連続膜を得るために0.5μm以上とするのが好ましく、0.7μm以上とするのがより好ましく、1μm以上とするのがさらに好ましい。なお、Agめっき膜4の膜厚の上限は特に限定されるものではないが、不必要に厚く形成するとコスト高となるため好ましくない。
Agめっき膜4の成分はAg単体(純Ag)に限定されず、例えば、Ag−Au合金、Ag−Pd合金、Ag−Bi合金等のAg合金で形成されるめっき膜であってもよい。Agめっき膜4は、電気めっき等の公知のめっき方法で形成することができる。
本実施形態に係るAgめっき電極部材1の主な構成は以上に説明したとおりである。次に、図1に戻って本実施形態に係るAgめっき電極部材の製造方法の説明を続ける。
(Niめっき膜形成工程S1)
Niめっき膜形成工程S1は、Niめっき浴にて基板2上にNiめっき膜3を形成する工程である。Niめっき浴は、例えば、ワット浴、ウッド浴、スルファミン酸浴などの一般的な手法で行うことができる。
Niめっき膜3の形成は、例えば、Ni板を陽極とし、基板2を陰極とし、電流密度5A/dm2、めっき浴温度50℃といった条件で電気めっきすることによって行うことができる。また、光沢剤を添加しためっき浴を用いて光沢Niめっき膜3を形成することもできる。このようにすると表面を平滑にでき、電極端子として用いる場合に、相手電極との摩擦摩耗を低減できるため好ましい。この電気めっきにおいては、電流密度やめっき通板速度(めっき時間)等を調整することによって、所望の膜厚のNiめっき膜3を得ることができる。
また、Niめっき膜3の成膜に際して、予め基板2を脱脂液による脱脂、電解脱脂、及び酸溶液によってめっき前処理することが好ましい。めっき前処理は、例えば、基板2を脱脂液に浸漬して脱脂した後、ステンレス304を陽極とし、基板2を陰極として、直流電圧を印加し、30秒間程度の電解脱脂を行い、さらに、10%硫酸水溶液に10秒程度浸漬することによって行うことができる。なお、基板2の片面のみ及び/又は一部の領域のみにNiめっき膜3を形成する場合は、他方の面及び/又は前記した一部の領域以外をマスキングテープ等でマスキングした後、めっき浴にてNiめっきを行うことで基板2の所望の部位にのみ、Niめっき膜3を形成することができる。
(酸化膜除去工程S2)
酸化膜除去工程S2は、酸性のめっき液でNiめっき膜3表面に形成されている酸化膜を除去する工程である。
一般的に、Niめっき膜3上にAgめっき膜4を形成する場合においては、Niめっき膜3が大気と接触して酸化されるのを防止するため、Niめっき液から基板2を引き上げた後、乾燥等することなく直ちにこれをAgめっき液に浸してAgめっき膜4を成膜している。しかしながら、Agめっき浴に用いられるAgめっき液のpHが酸性であるため、Agめっき液に浸すことによってNiめっき膜3の表面が酸化され、酸化膜(Ni酸化膜)が形成されてしまう。Niめっき膜3とAgめっき膜4の密着性の悪さはこのNi酸化膜が原因であるため、本発明では、本工程によりNiめっき膜3の表面に形成された酸化膜(Ni酸化膜)を除去する。このように、Niめっき膜3の表面のNi酸化膜をすることにより、Niめっき膜3とAgめっき膜4の密着性を高くすることができる。
本工程における酸化膜の除去は前記したように酸性のめっき液(Agめっき液)を用いて行う。pH4以下の水溶液中であればNiイオンの状態が安定するのでpH4以下、好ましくはpH3以下のAgめっき液を用いてNi酸化膜を溶解し、除去するのが好ましい。このようにすると、Ni酸化膜を介在させることなくAgめっき膜4を形成することができる。
酸性のめっき液は、市販の酸性非シアン系電気Agめっき液を用いてもよく、独自に調合して用いてもよい。また、市販の酸性非シアン系電気Agめっき液のpHが4を超える場合は、硫酸水溶液等を添加してpHを4以下に調整して用いてもよい。
酸化膜の除去は、Niめっき膜3を形成した基板2を酸性のめっき液に浸漬して所定時間保持することにより行うことができる。このようにすると、めっき液に基板2を浸漬するという簡便な作業でNi酸化膜を除去することができるので、作業を省力化できる点で好ましい。基板2をめっき液に浸漬する時間は、例えば、60秒などとすることができるが、めっき液の温度などの条件によりNi酸化膜の溶解速度が変化するため適宜調整して行うのが好ましい。
また、酸化膜の除去は、Niめっき膜3を形成した基板2を酸性のめっき液に浸漬して電解除去することにより行うことができる。電解除去は、Niめっき膜3を形成した基板2を陽極とし、純Ag又はAg合金からなるAg板を陰極として短時間通電することにより行うことができる。このようにすると、前記した態様よりも短い時間でNi酸化膜の除去が可能であり、生産性を向上させることができるので好ましい。
(Agめっき膜形成工程S3)
Agめっき膜形成工程S3は、酸化膜を除去した後、酸化膜除去工程S2で使用した酸性のめっき液を用いたAgめっき浴にて、Niめっき膜3上にAgめっき膜4を形成する工程である。つまり、本工程は、酸化膜除去工程S2にて、Agめっき液でNi酸化膜を除去したら、Ni酸化膜を除去した基板2を酸性のめっき液(Agめっき液)から出さずにそのままAgめっき膜4を形成する。
本工程では、Ag(純度99.99%)板を陽極とし、Niめっき膜3を形成した基板2を陰極として通電することにより、Niめっき膜3上にNi酸化膜を介在させることなくAgめっき膜4を形成することができる。そのため、前記したように、Niめっき膜3とAgめっき膜4との密着性を優れたものとすることができる。
以上に説明した製造方法により、基板2上にNiめっき膜3と、Agめっき膜4と、を形成した本実施形態に係るAgめっき電極部材1を製造することができる。製造されたAgめっき電極部材1は、Niめっき膜3とAgめっき膜4の間にNi酸化膜が介在していないので、これらのめっき膜の密着性を高くすることができる。そのため、Agめっき電極部材1がアセンブリ時に熱の影響を受けてもAgめっき膜4の剥離が起こらない。また、Agめっき膜4の下にNiめっき膜3を形成しているので、アセンブリ時に熱の影響を受けても基板2のCuがAgめっき膜4の表面まで拡散することもなく、従来のAgめっき電極部材1のようにNiめっき膜3とAgめっき膜4の間にCuフラッシュめっき膜を形成していないので、Cuフラッシュめっき膜からCuがAgめっき膜4の表面まで拡散することもない。従って、ワイヤボンド性を優れたものとすることができる。
次に、本発明の所望の効果を奏する実施例と、そうでない比較例とにより、本発明の内容について具体的に説明する。
〔試験体の作製〕
〔基材〕
厚さ0.5mmのCu−Fe−P系銅合金板(KLF194H、(株)神戸製鋼所製)を、20×50mmのサイズに切断して、平板の試験基板を作製した。
〔Niめっき膜の形成〕
前記基板にNiめっき膜を形成するにあたり、前記基板に対してめっき前処理を行った。めっき前処理は、基板を脱脂液に浸漬して脱脂した後、ステンレス304を陽極とし、基板を陰極として、直流電圧を印加し、30秒間電解脱脂を行った。そしてこれに続けて10%硫酸水溶液に10秒間浸漬した。次に、下記組成のNiめっき液を用いて基板の表面(全面)にNiめっき膜を形成した。Niめっき膜の形成は、陽極をNi板としたワット浴(液温50℃、電流密度5A/dm2)で行った。なお、今回は、光沢Niめっきを施した。Niめっき膜の膜厚は3〜3.5μmとなるようにした。
〔Niめっき液の組成〕
硫酸Ni:250g/L
塩化Ni: 40g/L
硼酸 : 35g/L
光沢剤 : 3mL/L
歪防止剤:10mL/L
このようにして作製したNiめっき膜を形成した基板を用い、以下のようにして種々のめっき膜を形成し、No.1〜4に係るサンプル(以下、番号に応じてサンプル1〜4という。)を作製した。
〔サンプル1〕
サンプル1は、膜厚3μmのNiめっき膜を形成した基板に、膜厚1.0μmのAgめっき膜(シアン系Agめっき膜)を形成したものである。
サンプル1は次のようにして作製した。まず、基板の表面にNiめっき膜を形成した後、当該基板をNiめっき液から引き上げて水洗し、乾燥させずに速やかに、下記組成のシアン系Agめっき液(液温50℃)に浸漬した。そして、当該基板を陽極とし、Ag(純度99.99%)板を陰極とし、電流密度5A/dm2にて膜厚が1.0μmとなるまで通電してシアン系Agめっき膜を形成した。
(シアン系Agめっき液の組成)
シアン化銀カリウム(I):50g/L
シアン化カリウム :40g/L
炭酸カリウム :35g/L
光沢剤 :3mL/L
〔サンプル2〕
サンプル2は、膜厚3μmのNiめっき膜を形成した基板に、膜厚0.2μmのCuフラッシュめっき膜を形成し、さらにその上に膜厚1.0μmのAgめっき膜(シアン系Agめっき膜)を形成したものである。
サンプル2は次のようにして作製した。まず、基板の表面にNiめっき膜を形成した後、当該基板を下記組成のCuめっき液(液温25℃)に浸漬した。そして、Cu板を陽極をとし、基板を陰極とし、電流密度2A/dm2にて膜厚が0.2μmとなるまで通電してCuフラッシュめっき膜を形成した。
次いで、Cuフラッシュめっき膜を形成した基板をCuめっき液から引き上げて水洗し、乾燥させずに速やかに、サンプル1で用いたのと同じ組成のシアン系Agめっき液(液温50℃)に浸漬した。そして、当該基板を陽極とし、Ag(純度99.99%)板を陰極とし、電流密度5A/dm2にて膜厚が1.0μmとなるまで通電してシアン系Agめっき膜を形成した。
(Cuめっき液の組成)
硫酸Cu : 200g/L
硫酸 : 50g/L
塩素イオン: 30mL/L
〔サンプル3〕
サンプル3は、膜厚3μmのNiめっき膜を形成した基板を酸性のAgめっき液中に所定時間浸漬して保持し、Ni酸化膜の除去を行った後に、膜厚1.0μmのAgめっき膜(酸性非シアン系Agめっき膜)を形成したものである。
サンプル3は次のようにして作製した。まず、基板の表面にNiめっき膜を形成した後、当該基板をNiめっき液から引き上げて水洗し、乾燥させずに速やかに、酸性のAgめっき液(液温40℃)に浸漬した。なお、酸性のAgめっき液は、市販の酸性非シアン無光沢電気Agめっき液(大和化成製ダインシルバーGPE−PL)に硫酸水溶液を加えてpHを3に調整したものを用いた。
前記酸性のAgめっき液中で基板を60秒間浸漬して保持し、その後、Ag(純度99.99%)板を陽極とし、基板を陰極とし、電流密度2A/dm2にて膜厚が1.0μmとなるまで通電して酸性非シアン系Agめっき膜を形成した。
〔サンプル4〕
サンプル4は、膜厚3.5μmのNiめっき膜を形成した基板を所定の条件で通電してNi酸化膜を電解除去した後、膜厚1.0μmのAgめっき膜(酸性非シアン系Agめっき膜)を形成したものである。
サンプル4は次のようにして作製した。まず、基板の表面にNiめっき膜を形成した後、当該基板をNiめっき液から引き上げて水洗し、乾燥させずに速やかに、酸性のAgめっき液(液温40℃)に浸漬した。なお、酸性のAgめっき液はサンプル3と同じものを用いた。
前記酸性のAgめっき液中で、当該基板を陽極とし、Ag(純度99.99%)板を陰極とし、10秒間通電した。その後、このAg板を陽極に切り替えると共に、基板を陰極に切り替え、電流密度2A/dm2にて膜厚が1.0μmとなるまで通電して酸性非シアン系Agめっき膜を形成した。
このようにして作製したサンプル1〜4について、めっき膜の密着性とワイヤボンド性の評価を行った。めっき膜の密着性とワイヤボンド性の評価は次のようにして行った。
〔めっき膜の密着性の評価〕
めっき膜の密着性は熱衝撃試験により評価した。熱衝撃試験とは、温度を350℃に調整した大気オーブン炉内に各サンプルを入れて10分間保持した後にこれを取り出し、室温まで冷却した後に各サンプルのめっき膜表面を目視又は光学顕微鏡で観察し、めっき膜の剥離や膨れの有無を調べるというものである。観察の結果、めっき膜の剥離や膨れが見られなかった場合を良好(○)とし、めっき膜の剥離や膨れが見られた場合を不良(×)と判断した。また、めっき膜の密着性が不良となった場合は、剥離した箇所をSEM/EDXにて観察及び元素分析を行い、剥離箇所の特定を行った。
〔ワイヤボンド性の評価〕
ワイヤボンド性の評価においては、部材アセンブリ時の熱の影響を模擬するため、200℃に保持したホットプレート(アズワン社製デジタルホットプレートHP−1SA)にてサンプル1〜4を3時間加熱した。加熱後、マニュアルボンダ(KUILICKE and SOFFA INDUSTRIES社製、Model 4127)を用いて、線径φ25μmの金(純Au)線(田中貴金属工業社製)をボンディングワイヤとして10箇所ワイヤボンディングした。そして、光学顕微鏡で観察しながら金線の中央をピンセットで掴んで引っ張るという試験を行った。その結果、金線が試料のボンディング箇所から剥離することなく金線を切ることができた場合をワイヤボンド性が良好(OK)とし、少なくとも一方のボンディング箇所から金線が剥離した場合や、金線が試料の表面に圧着せずワイヤボンディングできなかった場合、及びAgめっき膜とその下地膜との間で剥離が起こったものを不良(NG)とした。ワイヤボンド性の評価は、各サンプルについて10箇所測定し、NGが無く、すべて良好に接着できたものを「◎」、NGが0〜1箇所であるものを「○」で表し、これらを合格とした。また、NGが2〜3箇所であるものを「△」、NGが4箇所以上のものを「×」で表し、これらを不合格とした。
各サンプルのめっき膜の密着性及びワイヤボンド性の評価結果を、剥離箇所の特定結果と共に表1に示す。なお、表1中において「−」はめっき膜の密着性が良好であったために、剥離箇所の特定を行わなかったことを示す。
Figure 0006053573
表1に示すように、サンプル1はNi酸化膜を除去することなくNiめっき膜の上にAgめっき膜を形成したので、めっき膜の密着性が不良となった。めっき膜が剥離した箇所をSEM/EDXにて観察及び元素分析を行ったところ、表1に示すようにNiめっき膜とAgめっき膜との間でこれらのめっき膜が剥離していることが確認された。また、ワイヤボンド性の評価もNGの箇所が多かった。ワイヤボンド性の評価でNGとなった原因もめっき膜の剥離であった。つまり、Agめっき膜へのAuワイヤーの接合はなされていたが、Agめっき膜とNiめっき膜間で剥離が起こったため、ワイヤボンド性の評価が不合格となった。
また、サンプル2は、Niめっき膜とAgめっき膜との間にCuフラッシュめっき膜を形成していたので、めっき膜の密着性は良好であったが、ワイヤボンド性の評価が不合格となった。さらに、サンプル2ではワイヤボンド性の評価の際に、めっき膜の表面に若干の変色が確認された。これらは、Niめっき膜とAgめっき膜との間に形成したCuめっき膜から、Agめっき膜の表面にCuが拡散して酸化したことが原因であると考えられた。
一方、サンプル3、4は、Ni酸化膜を除去してから、Niめっき膜の上にAgめっき膜を形成したので、めっき膜の密着性及びワイヤボンド性がともに良好な結果となった。
1 Agめっき電極部材
2 基板
3 Niめっき膜
4 Agめっき膜
S1 Niめっき膜形成工程
S2 酸化膜除去工程
S3 Agめっき膜形成工程

Claims (4)

  1. 純Cu又はCu合金からなる基と、
    前記基板の少なくとも片面に形成されたNi又はNi合金からなるNiめっき膜と、
    前記Niめっき膜上に形成された純Ag又はAg合金からなるAgめっき膜と、
    を備えたAgめっき電極部材を製造するAgめっき電極部材の製造方法であり、
    Niめっき浴にて前記基板上に前記Niめっき膜を形成するNiめっき膜形成工程と、
    酸性のAgめっき液で前記Niめっき膜表面に形成されている酸化膜を除去する酸化膜除去工程と、
    前記酸化膜を除去した後、前記酸性のAgめっき液を用いたAgめっき浴にて前記Niめっき膜上に前記Agめっき膜を形成するAgめっき膜形成工程と、
    を含むことを特徴とするAgめっき電極部材の製造方法。
  2. 前記酸性のAgめっき液のpHが4以下である
    ことを特徴とする請求項1に記載のAgめっき電極部材の製造方法。
  3. 前記酸化膜の除去が、前記Niめっき膜を形成した基板を前記酸性のAgめっき液に浸漬して所定時間保持することにより行う
    ことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のAgめっき電極部材の製造方法。
  4. 前記酸化膜の除去が、前記Niめっき膜を形成した基板を前記酸性のAgめっき液に浸漬して電解除去することにより行う
    ことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のAgめっき電極部材の製造方法。
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