JPH10284667A - 耐食性、耐酸化性に優れる電気電子機器用部品材料、及びその製造方法 - Google Patents

耐食性、耐酸化性に優れる電気電子機器用部品材料、及びその製造方法

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JPH10284667A
JPH10284667A JP9086999A JP8699997A JPH10284667A JP H10284667 A JPH10284667 A JP H10284667A JP 9086999 A JP9086999 A JP 9086999A JP 8699997 A JP8699997 A JP 8699997A JP H10284667 A JPH10284667 A JP H10284667A
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plating
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Toshio Tani
俊夫 谷
Mitsuo Mori
森  光男
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Furukawa Electric Co Ltd
Furukawa Precision Engineering Co Ltd
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Furukawa Electric Co Ltd
Furukawa Precision Engineering Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 Cu又はCu合金、Fe合金基材にNiなど
のバリア被膜を形成し、さらにその上層に様々な特性を
有する貴金属や白金族元素を被覆した被膜構成の電気電
子機器用部品材料において、耐食性や加熱工程後のはん
だ濡れ性などの劣化問題を解決する。 【解決手段】 CuもしくはCu合金基材、又はFe合
金基材から成る電気電子機器用部品材料表面の一部及至
全面に、少なくとも1層の、且つ、合計の厚さが0.1
μm以上である、Ni又はNi合金被膜と、少なくとも
1層の、且つ、合計の厚さが0.01μm以上1μm以
下の、貴金属又は白金族金属、及至はこれらの合金被膜
を有する電気電子機器用部品材料において、基材バリア
としてのNi又はNi合金被膜中のCu又はFeの定量
分析値が1.0wt%以下である耐食性、耐酸化性に優
れる電気電子機器用部品材料。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、電気電子機器に用
いられる部品又は材料とその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】各種電気電子機器にはFe系材料やCu
又はCu合金材料が広く使用されている。その代表的用
途が個別半導体や集積回路パッケージ用のリード線やリ
ードピン、リードフレームなどのリード材料であり、さ
らにはソケット類やコネクタ、スイッチ類の端子や接点
バネ等々の導電材料用途である。これらは導電性や熱伝
導性、機械的強度や加工性、耐食性、或は経済性など、
何れもCu系やFe−Ni系合金の優れた特性を利用し
たものである。また、最近の半導体集積回路、回路形成
技術、部品実装技術の発展はめざましく、これらに多用
される材料、特に半導体パッケージ用リード材料用途の
Cu合金材料において種々の合金開発がなされ、これが
端子、接点バネなどのコンタクト材料用途にも応用され
るようになっている。そして、これらの多くが部品材料
の信頼性を向上させるために、めっきを始めとする種々
の表面処理が施されて使用されている。
【0003】例えば、前述の用途のうち、多くの必要特
性と厳しい信頼性を要求されるIC用リードフレームを
例として以下に説明する。その1例の断面図を図1に、
平面図を図2に示すと、フレームのタブ部1に素子(例
えばSiチップ)2がエポキシなどの接着剤や半田又は
Au−Siなどの金属ろうなどの接着層3を介してダイ
ボンドされる。そして、素子上の電極パッド4とフレー
ムのインナーリード端部5とは、Auなどの金属細線6
を介してワイヤボンディングされる。さらにこれらはエ
ポキシなどの樹脂7により封止モールドされ、フレーム
のアウターリード部8の多くはSn又はSn−Pbめっ
きされた後に曲げなどの加工をうけてパッケージが作ら
れている。
【0004】例えばこのリードフレームの材料として
は、基材として古くからのコバール合金(Fe−Ni−
Co系)や42アロイに代表されるFe−Ni系合金に
加え、最近では各種特性を向上させた様々なCu合金材
料が多用されている。Fe−Ni系合金は熱伝導性、導
電率には劣るものの、機械的強度が高い上に熱膨張率が
シリコンチップや封止材料に近く、他方、Cu系材料は
熱、電気の良導体でもあり、従来劣っていた強度も近年
飛躍的に改善されている。特にCu系材料は、半導体パ
ッケージや配線材料、接合部品の高密度化、小型化に伴
って、さらに高強度、高導電性のリードフレームやコン
タクト材料が要求される様になり、これに対応して銅マ
トリックス中に合金元素を微細に析出させて、強度と導
電率の向上を図った析出硬化型の銅合金も種々開発され
用いられている。これら銅合金の一例を以下に示す。
【0005】Cu−Sn系(例えば4Sn−0.01
P,6Sn−0.1P,8Sn−0.1P,3.5Sn
−0.2Cr−0.1P),Cu−Zn系(例10Z
n),Cu−Fe系(例2.4Fe−0.3Zn−0.
04P,1.5Fe−0.6Sn−0.8Co−0.1
P,1Fe−0.5Sn−0.5Zn−0.02P,
0.1Fe−0.03P),Cu−Co系(例0.3C
o−0.1P),Cu−Ni−Sn系(例9.5Ni−
2.3Sn,0.1Ni−2.5Sn−0.1P),C
u−Zr系(例0.15Zr),Cu−Sn−Cr系
(例0.25Sn−0.25Cr−0.2Zn,0.1
5Sn−0.1Cr),Cu−Be系(例1.7Be−
0.3Co,0.5Be−2.5Co),Cu−Ni−
Si系(例3Ni−0.6Si−0.52Zn),Cu
−Sn−Ti−Ni系(例2Sn−0.25Ti−1.
5Ni−0.5Zn)等。
【0006】ところで電気電子機器に用いられるこれら
の部品材料は、前述の導電率、強度などの1次特性のほ
かに、主に表面性状に関係する多くの2次特性−例え
ば、耐酸化性、ボンディング性、半田付け性、接点特
性、モールド性、耐食性など−を必要とするため、多く
は全面又は一部を表面処理したり、めっきなどの表面被
膜を形成した後に用いられている。これらの表面特性
は、電気電子部品製品の製造工程や最終性能に、大きな
影響を及ぼす重要な特性であることから、従来より様々
な改良提案もなされて来ている。その主なものはめっき
による被膜形成であり、リードフレームに関する一部を
以下に示した。
【0007】フレーム加工品にCuめっきを施して密着
性を向上させる方法(特開昭59−58833)、Sn
又はSn合金めっきを行って耐食性、Agめっき性、半
田付け性、ボンディング性を高める方法(特開昭59−
175754、特開昭63−187654)、Agめっ
き性と半田付け性を向上するための表面処理方法(特開
平01−301900)、フレーム成形品にCu−Zn
合金めっきを施してモールド封止性、半田付け性を向上
させる方法(特開昭60−1853、特開昭62−20
4558)、フレーム材に、Cu−Sn合金めっきを施
して封止性、半田付け性を向上させる方法(特開昭60
−24045、特開昭62−204558)、Cu帯板
にNi−Sn合金を施して樹脂封止性を向上させる方法
(特開昭60−262449)、フレーム材にストライ
プNiめっきを施した後ストライプCuめっきを施し
て、後のAgめっき層密着性を向上させる方法(特開昭
61−42161)、フレーム材にCuめっきを施した
後Cu酸化膜を形成してレジン封止性を向上させる方法
(特開昭61−139050)、Cu合金条基材にCu
めっきを施した後圧延加工して密着性を向上させたり製
造工程を合理化する方法(特開昭61−201762、
特開昭62−9658、特開昭63−107054)、
フレーム材にNi合金めっき、Sn合金めっき、Cu合
金めっきを順次施して後のAgめっき層、半田層の密着
性を向上する方法(特開昭62−14452)、Cu−
Sn系合金基板にNi−Co合金めっきして後のAgメ
ッキ密着性を向上する方法(特開昭62−7059
6)、フレーム全体にPb−Sn系合金めっきを施して
Cuの直接ボンディングを可能にする方法(特開昭62
−105457)、フレーム材にNiめっき、Ni−P
系めっきを施して半田耐熱性を改善する方法(特開昭6
3−69240)、Niめっき後Cuめっきを施して半
田耐熱性を向上する方法(特開昭63−24936
1)、フレーム材料にCu−Ag合金めっきを施して金
線の直接ボンディングを可能とする方法(特開平01−
17841、特開平01−257357)、フレーム材
にNi−Zn合金めっきを施して樹脂密着性を向上する
方法(特開平01−245551)、外装貴金属めっき
をPdとする場合の下地めっきをNi(特開昭59−1
68659)、Sn−Co(特開平03−22594
7)、Sn−Ni(特開平03−102857)、Zn
−Cu(特開平05−36878)とする方法、などの
種々の方法であり、さらにはこれらの多層化、複合化を
図った種々の被膜形成方法が提案されている。このほか
に、Cu酸化皮膜を形成して主にレジン密着性、ワイヤ
ー接合性を向上する方法(特開平03−62961)、
或は逆に酸化皮膜等を除去してダイレクトボンディング
性を向上させる方法(特開平03−68788)なども
ある。
【0008】但し、従来実用化されているリードフレー
ム製品の表面形態の多くは以下の様に収束される。即
ち、ワイヤボンディングされるインナーリード部やダイ
パッド部上への部分Agめっき、又は下地Cuめっきを
介しての部分Agめっき、或は全面Niめっきなどであ
る。他方、貴金属めっきを省いたり、基材上に直接Au
細線でワイヤボンディングを行う方法も、ごく一部の簡
単なトランジスタ等で用いられているものの、信頼性に
乏しく広くは用いられていない。そして、めっきの有無
に関らず、樹脂モールド後のアウターリード部には、半
田付けのためにSn又はSn−Pbめっきが施される。
【0009】ところで、最近実用化され始めたリードフ
レームに、特公昭63−49382や特開平4−115
558に示される、リードフレーム全面へ下地Ni又は
Ni合金めっきを介してPdめっきしたもの、或はその
後さらにAuめっきを施したものが有る。これらはボン
ディング性と共に半田付けもそのまま可能であるため
に、アウターリード部へ予めSn−Pbめっきなどを施
す必要も無い等、多くの利点が有り、今後様々な半導体
パッケージへ適用されることが期待される。また、リー
ドフレーム用途以外にも、ダイオードやトランジスタの
個別半導体、IC、コンデンサ、抵抗、水晶振動子など
の気密端子用リード線や接点端子を始めとするコンタク
ト材料において、Niめっきを施した後、AgやAu、
或はPd、Pd合金などのめっき皮膜を形成したCu又
はCu合金やFe系合金から成る部材も用いられ、これ
らも貴金属めっきリードフレームと同様に、今後さらに
普及していく傾向にある。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、Cu又
はCu合金やFe系合金基材上へのNi又はNi合金被
膜と、さらにその上層への貴金属又は白金族金属層、及
至はこれらの合金層被膜の被膜構成は、各被膜元素間の
電極電位差が大きくなり過ぎることを原因とする腐食を
起こし易くする。例えば、リード部材やコンタクト部材
が用いられる、半導体やコネクタ、スイッチなどのパッ
ケージされた部品においても、内部へ徐々に浸透して来
る水分や微量アニオンが存在しており、基材に対するバ
リア被膜とはいえ、Ni又はNi合金被膜の通常避け得
ないピンホールを通して、基材成分のCuやFeが上層
の貴金属との大きな電極電位差を駆動力として酸化、並
びに腐食反応を起こしてしまう。そのため腐食試験を行
うとひどい場合には緑青や赤さびの生成を伴うなど、耐
食性劣化という大きな問題が派生して来た。特に前述の
ような、AgめっきからPdめっき、及至はPdめっき
後Au薄層めっきへの移行は、基材−最外層貴金属元素
間の電極電位差がさらに広がることになるため、益々耐
食性低下が大きな問題となって来ている。従来用いられ
ている下地Niめっき後Auめっきされるコンタクト部
材での耐食性、特に暴露雰囲気によるガス腐食劣化など
も依然大きな問題となっている。他方、基材バリア被膜
のピンホールの多少、大小は、素材に大きく左右され
る。通常様々な表面欠陥を有するのが素材であり、また
通常のめっき前処理では除去できない酸化物や元素の残
留があるために、このような箇所ではめっき欠陥が発生
し易くなる。
【0011】昨今の高強度、高導電性を目的とした基材
マトリックス中に様々な合金元素を析出させた材料を用
いた場合には、めっき欠陥要因はさらに多くなる。前述
のFe−Ni、Fe−Ni−Co合金や様々なCu合金
では、製造工程中の熱処理や大気酸化、内部酸化によっ
て、添加金属の酸化物が表層にも生成しており、さらに
析出型合金の場合には表層又は母材マトリックス中に多
数の微細な晶出物、析出物として金属間化合物や酸化
物、元素が分散析出してもいる。これら酸化物や晶出、
析出物は難溶性のものが多いために、表面処理に際して
は障害となる。これらの表面への残留は部品材料表面の
清浄化と酸化膜除去を難しくし、また、めっきなど表面
被膜形成の場合にはピンホールや不めっき、突起上電着
などの被膜欠陥原因となり易く、耐食性を大きく損なう
結果となる。
【0012】さらにはまた、バリア被膜のピンホールの
存在は、貴金属との基材電食をもたらすだけでなく、パ
ッケージング工程などにおけるダイボンディング後ポス
トキュアやモールド後の熱履歴により基材元素を酸化さ
せるという弊害をも生じさせる。基材酸化物はボンディ
ング性、モールド性、特に半田付け性を大きく劣化させ
るために、パッケージング工程の加熱条件が制約される
という問題に繋がる。貴金属を被膜しないバリア被膜だ
けの構成では、特別な場合を除き、例え通常のピンホー
ルを有する被膜でも腐食は軽微に止まるか、或は実際上
あまり問題にはならない。そしてまた、これらは基材元
素が腐食するものであり、そのバリア被膜であるべきN
i又はNi合金被膜にピンホール等の被膜欠陥が無けれ
ば、貴金属被膜によっても電位差腐食は容易には起こり
得ないものと考えることも出来るので、そこで、めっき
被膜を必要以上にまで厚くしてピンホール等の防止を図
らなければならないという問題もあった。また、このよ
うな背景、考えのもとで、極力ピンホールを無くす様に
充分配慮しためっき前処理を施したり、或はバリア被膜
を厚くしても、さらに貴金属乃至白金族元素を被覆した
被膜構成では、容易に耐食性、耐酸化性が向上しないと
いう不可解な現象が起きるという問題もあった。このよ
うに従来から用いられて来た、特に電気電子機器用途の
Cu又はCu合金やFe系合金から成る基材にNi又は
Ni合金バリア被膜を形成し、さらにその上層に貴金属
や白金族元素の被覆を施した部品材料には、特に耐食性
や耐酸化性に劣るという問題点があった。今後多様化さ
れる傾向に有る貴金属乃至白金族元素の性質と、部品材
料やその最終製品の使用環境の広がり(例えば、電子部
品工場の林立する東南アジア地域を始めとする高湿度、
高Cl雰囲気、強酸性雨の高腐食環境)から考えて、こ
の電気電子機器部品材料の問題点の解決が切望されてい
る。
【0013】
【課題を解決するための手段】本発明は、電気電子機器
用部品材料の品質、性能に対する要請に鑑みて成された
ものであり、電気電子機器用途に多用される耐食性、耐
酸化性に優れる貴金属乃至白金族金属被覆Ni又はNi
合金被膜を少なくとも各1層を表層に有する、Cu又は
Cu合金、乃至はFe系合金から成る部品材料、及びそ
の製造法を提供するものである。 (1)CuもしくはCu合金基材、又はFe合金基材か
ら成る電気電子機器用部品材料表面の一部及至全面に、
少なくとも1層の、且つ、合計の厚さが0.1μm以上
である、Ni又はNi合金被膜と、少なくとも1層の、
且つ、合計の厚さが0.01μm以上1μm以下の、貴
金属又は白金族金属、及至はこれらの合金被膜を有する
電気電子機器用部品材料において、基材バリアとしての
Ni又はNi合金被膜中のCuの定量分析値が1.0w
t%以下であることを特徴とする耐食性、耐酸化性に優
れる電気電子機器用部品材料。 (2)CuもしくはCu合金基材、又はFe合金基材か
ら成る電気電子機器用部品材料表面の一部及至全面に、
少なくとも1層の、且つ、合計の厚さが0.1μm以上
である、Ni又はNi合金被膜と、少なくとも1層の、
且つ、合計の厚さが0.01μm以上1μm以下の、貴
金属又は白金族金属、及至はこれらの合金被膜を有する
電気電子機器用部品材料において、基材バリアとしての
Ni又はNi合金被膜中のFeの定量分析値が1.0w
t%以下であることを特徴とする耐食性、耐酸化性に優
れる電気電子機器用部品材料。 (3)前記貴金属がAu、Ag、Pdのうちから選ばれ
る少なくとも1種であることを特徴とする請求項1又は
2に記載の耐食性、耐酸化性に優れる電気電子機器用部
品材料。 (4)CuもしくはCu合金基材、又はFe合金基材か
ら成る電気電子機器用部品材料表面の一部及至全面に、
少なくとも1層のNi又はNi合金めっき被膜と、少な
くとも1層の貴金属もしくは白金族金属、又はこれらの
合金めっき被膜を形成する方法において、前記Ni又は
Ni合金めっきを、めっき液中の含まれる銅イオン(C
2+、Cu+ )濃度が1ppm以下であるNiめっき液
を用いて行うことを特徴とする耐食性、耐酸化性に優れ
る電気電子機器用部品材料の製造方法。 (5)CuもしくはCu合金基材、又はFe合金基材か
ら成る電気電子機器用部品材料表面の一部及至全面に、
少なくとも1層のNi又はNi合金めっき被膜と、少な
くとも1層の貴金属もしくは白金族金属、又はこれらの
合金めっき被膜を形成する方法において、前記Ni又は
Ni合金めっきを、めっき液中の含まれる鉄イオン(F
2+、Fe3+)濃度が1.5ppm以下であるNiめっ
き液を用いて行うことを特徴とする耐食性、耐酸化性に
優れる電気電子機器用部品材料の製造方法。 (6)前記Ni又はNi合金めっきを、めっき液温が1
0℃〜45℃の範囲内にて行うことを特徴とする請求項
4又は5に記載の耐食性に優れる電気電子機器用部品材
料の製造方法。 (7)前記Ni又はNi合金めっきを、カソード電流密
度が15A/dm2 〜40A/dm2 の範囲内にて行う
ことを特徴とする請求項4〜6のいずれか1項に記載の
耐食性、耐酸化性に優れる電気電子機器用部品材料の製
造方法。 (8)前記Ni又はNi合金めっきを、めっき液のNi
濃度が10g/dm3 〜50g/dm3 の範囲内にて行
うことを特徴とする請求項4〜7のいずれか1項に記載
の耐食性、耐酸化性に優れる電気電子機器用部品材料の
製造方法。 (9)前記Ni又はNi合金めっき、並びに貴金属又は
白金族金属及至はこれらの合金めっきに先立って、ア
ルカリカソード脱脂処理、基材表層溶解処理、アル
カリアノード処理、酸洗処理、の各工程を→→
→の順番に少なくとも各1回ずつ実施する前処理を行
うことを特徴とする請求項4〜8のいずれか1項に記載
の耐食性、耐酸化性に優れる電気電子機器用部品材料の
製造方法。 (10)前記基材表層溶解処理に用いる処理液が、酸と
過酸化物を含有するか、酸と可溶性フッ化物を含有する
か、或は酸と過酸化物と可溶性フッ化物を含有するか、
の何れかであることを特徴とする請求項9に記載の耐食
性、耐酸化性に優れる電気電子機器用部品材料の製造方
法。 (11)前記貴金属もしくは白金族金属がAu、Ag、
Pdのうちの少なくとも1種であることを特徴とする請
求項4〜10のいずれか1項に記載の耐食性、耐酸化性
に優れる電気電子機器用部品材料の製造方法。 以下、説明において上記(1)〜(11)項の各発明
を、それぞれ、本発明の第1〜11発明と称する。
【0014】
【発明の実施の形態】本発明において基材としてはCu
もしくはCu合金、Fe−Ni合金、又はFe−Ni−
Co合金、ステンレスなどのFe系合金が用いられる。
この発明の基材表面乃至基材表層に形成される少なくと
も1層のNi又はNi合金のうち、Ni合金には、Ni
−Co、Ni−Pd、Ni−P、Ni−Bなどの合金が
用いられる。また、基材上に形成されたNi又はNi合
金被膜上層にさらに少なくとも1層被覆される貴金属又
は白金族金属、乃至はこれらの合金被膜には、例えばA
u、Pt、Ir、Pd、Ag、Rh、Ru、Os、Au
−Ag、Pd−Au、Pd−Ag、Pd−Niなどが適
用されるが、これらは各々の用途の電気電子部品や製造
工程において必要とされる、前出の表面特性を満たす元
素やその合金が任意に用いられる。但し、前出のように
現状、好ましくはAg、Au、或はPd、Pd合金が用
いられている。
【0015】Ni又はNi合金被膜の合計の厚さを0.
1μm以上とするのは、0.1μm未満では厚さが薄過
ぎて基材を全面覆うことが出来ずにピンホールが多くて
基材バリア被膜として機能することが出来ないためであ
る。その被膜厚さの合計の上限は特には設けるものでは
なく、用途部品のコストと性能との兼合いから決めれば
良いが、通常厚くとも3〜5μm程度、曲げ加工される
用途にはせいぜい1〜2μmに止めることが望ましい。
さらには貴金属又は白金族金属、乃至はこれらの合金被
膜の合計の厚さを0.01〜1μmと限定する理由は、
下限は0.01μm未満では例えば、ワイヤボンディン
グ性、半田付け性、接点特性などの電気電子機器用途特
性を満たさないためであり、上限の1μmを越える厚さ
ではコストが上昇して好ましくない点に加え、貴金属乃
至白金族元素によっては被膜の割れや下地Ni又はNi
合金皮膜からの剥離を生ずるようになるためである。
【0016】第1〜第3発明の電気電子機器用部品材料
において、Ni又はNi合金被膜中のCu又はFeの含
有量を1.0wt%以下とするのは、基材バリアのため
の被膜でありながら易腐食元素のCu又はFeを含有す
ることは、Ni又はNi合金被膜のピンホールによる耐
食性劣化に言及する前の問題として回避する必要がある
ためである。通常被膜の厚さを厚くするとピンホールが
減少して耐食性が向上するものであるが、Ni又はNi
合金被膜中に微量とは言え、一定量以上のCu、Feを
含有している場合には却って耐食性を落としていること
が判明した。EPMAのZAF法による定量分析で被膜
中に1.0wt%を越える量のCu又はFeが含有され
ている場合には、この傾向が顕著になり被膜の厚さを増
すにつれて却って著しく腐食し易くなる。これは被膜に
含有されるCu又はFeの総量が増えるためである。C
u又はFeの含有量は、1.0wt%以下が好ましい。
EPMA(Electron Probe x−ray
Micro Analyzer)におけるZAF補正
法による定量分析とは、100%に近い純度の元素との
特性X線強度の比を測定し、これにマトリックスの原子
番号補正、自己吸収補正、二次X線の蛍光励起補正など
の各補正を行うことによって合金中の含有元素の濃度を
決定する、電子線を用いた周知の定量分析方法である。
本発明においてCu又はFeの定量分析値を1.0wt
%以下とするNi又はNi合金被膜は、Ni又はNi合
金被膜が複数層存在する場合は、実質的に基材バリアた
る層(通常、最下層の基材の上の被膜)がその条件を満
たせば良いが、全てのNi又はNi合金被膜がその条件
を満足するのが好ましい。第1発明において、Ni又は
Ni合金被膜中のCu定量分析値が1.0wt%である
場合はFeの含有量は定量分析限界値以下である。第2
発明においてNi又はNi合金被膜中のFe定量分析値
が1.0wt%である場合はCuの含有量は定量分析限
界値以下である。第1〜第3発明においてNi又はNi
合金被膜中のCuとFeの含有量の合計は、定量分析値
で1.0wt%以下である。Cu又はCu合金基材を用
いる場合にはCuを、Fe合金基材を用いる場合には、
Feを含有し易くなるが、新しく建浴調製後のめっき液
にも不純物としてCuイオンやFeイオンも含有されて
いる場合が多いので、いずれの基材を用いてもNi又は
Ni合金被膜中へのCuとFeの両方の含有の可能性が
ある。本発明に係る電気電子機器用部品材料の具体的な
構造は、その用途などにより異なるが被膜が部品や材料
表面の一部分を、例えば矩形状の様なスポットやストラ
イプ状などに被覆したものや露出全表面を被覆したもの
であり、好ましくは基材バリアの役目を果たすNi又は
Ni合金被膜は全面に有する構造が望ましい。Cuもし
くはCu合金基材又はFe合金基材上の、Ni又はNi
合金被膜と貴金属又は白金族金属、乃至はこれらの合金
被膜の積層数は、通常2〜3であり、その積層状態(順
序)は例えば、3層では基材側/Ni又はNi合金被膜
/貴金属又は白金族/貴金属又は白金族/最外層側であ
るが、これに制限されるものはない。
【0017】第4発明の製造方法は、少なくとも1層を
有するNi又はNi合金めっき被膜を、めっき液中に含
まれる銅イオン(Cu2+、Cu+ )濃度が1ppm以下
であるNi又はNi合金めっき液を用いて行う被膜形成
方法であり、これはNi又はNi合金めっき液中含有銅
イオンが1ppmを越えると電析Ni被膜中へのCuの
共析量が増大して飛躍的に耐食性を劣化させるためであ
る。この傾向は密度の高いパターンを有するリードフレ
ームのような部材ではさらに強くなる。従って、めっき
液へ不可避的に混入して来る銅イオン濃度と、電析被膜
中のCu含有量を限定する必要がある。特にCu又はC
u合金基材を用いる場合には、多量のCu基材をめっき
処理し続けると次第にめっき液中へCuが不可避的に溶
解蓄積して来る。CuはNiよりも標準電極電位が貴で
あり、一般にこの様な場合にはCuの優先的な析出が起
こる。また、めっきの電流密度を始めとするめっき条件
にもよるが、その溶存濃度が高くなるにつれてめっき時
にNi又はNi合金中に共析して来るCu量は飛躍的に
増大して来る。耐食性や耐酸化性はそれぞれの部品材料
によって要求レベルが異なるが、リードフレームの様な
要求品質の厳しい部材では、一般にNi又はNi合金め
っき液中の不純物(Cu)濃度が1ppmを越えると、
前記の電析Ni被膜中の銅の共析量が多くなって耐食
性、耐酸化性を大きく劣化させて、その許容レベルを下
回ってしまう。従って、めっき液の貯液層などの循環ラ
インの何れかにおいて、例えば0.2A/dm2 程度の
低カソード電流密度で弱電解することによりCuイオン
を除去して、1ppm以下の一定限度以下に保つ必要が
ある。キレート樹脂への通液による吸着除去等々、その
他の除去方法も有効であるが、弱電解法では、Zn、P
b、Feなどその他の多くの金属不純物イオンも同時に
除去出来る利点も有り望ましい。
【0018】第5発明の製造方法は、少なくとも1層を
有するNi又はNi合金めっき被膜を、めっき液中に含
まれる鉄イオン(Fe2+、Fe3+)濃度が1.5ppm
以下であるNi又はNi合金めっき液を用いて行う被膜
形成方法であり、これはNi又はNi合金めっき液中の
含有Feイオンが1.5ppmを越えると電析Ni被膜
中へのFeの共析量が増大して耐食性を劣化させるため
である。この傾向は密度の高いパターンを有するリード
フレームのような部材ではさらに強くなる。従って、め
っき液へ不可避的に混入して来る鉄イオン濃度と、電析
被膜中のFe含有量を限定する必要がある。特にFe系
合金基材を用いる場合には、多量のFe系合金基材をめ
っき処理し続けると次第にめっき液中へFeが不可避的
に溶解蓄積して来るので必須となる。FeはNiよりも
標準電極電位が卑であるが、NiとFeが共存するよう
な鉄族の場合には、一般の場合とは異なり卑なFeから
優先的に析出が起こる。また、めっきの電流密度を始め
とするめっき条件にもよるが、その溶存濃度が高くなる
につれて、めっき時にNi又はNi合金中に共析して来
るFe量は飛躍的に増大して来る。耐食性や耐酸化性は
それぞれの部品材料によって要求レベルが異なるが、リ
ードフレームの様な要求品質の厳しい部材では、一般に
FeのNi又はNi合金めっき液中の不純物濃度が1.
5ppmを越えると、前記の電析Ni被膜中のFeの共
析量が多くなって耐食性、耐酸化性を大きく劣化させ
て、その許容レベルを下回ってしまう。従って、前記銅
イオンの場合と同様にめっき液の貯液層などの循環ライ
ンの何れかにおいて、例えば0.2A/dm2 程度の低
カソード電流密度で弱電解することにより鉄イオンを除
去して、1.5ppm以下の一定限度以下に保つ必要が
ある。キレート樹脂への通液による吸着や酸化と高pH
処理による除去等々、その他の除去方法も有効である
が、弱電解法では、Cn、Sn、Zn、Pbなどその他
の多くの有害金属不純物イオンも同時に除去できる利点
も有り望ましい。Feイオン、Cuイオン両者共含む場
合は、Fe量×2/3+Cu量≦1ppmにする必要が
ある。
【0019】第6発明の製造方法においてNi又はNi
合金めっき液の温度を10〜45℃に、また第7発明に
てNi又はNi合金めっきにおけるカソード電流密度を
15〜40A/dm2 に、さらに第8発明にてNi又は
Ni合金めっき液の濃度を10〜50g/dm3 に、そ
れぞれさらに限定するのは、Cu又はFeの共析が最小
限に抑られた上に、これらのめっき条件による電析Ni
又はNi合金被膜を有するとさらに耐食性が良好になる
ためである。これらのめっき条件は被膜をより平滑に電
析させ得る傾向が有り、基材をより均一に被覆してピン
ホールの生成を抑止する。めっき液の温度は低い方が耐
食性に優れる傾向にあるが、電流密度が高い場合には余
りに液温が低いとヤケ状の電着となってしまい、却って
基材の均一被覆性を落とすので10℃を下限とし、上限
は被膜の平滑被覆性の落とさない温度として45℃とす
る。電流密度範囲は、低過ぎると耐食性が劣り、高過ぎ
ると電流集中が勝る結果、却ってピンホールやめっき欠
陥が発生する理由から限定した。Ni又はNi合金金属
の合計濃度範囲の限定は、低金属濃度ほど、より平滑で
ピンホールの少ない耐食性に優れるめっき被膜が得られ
る傾向にあることから、50g/dm3 を上限とし、低
濃度が良好とは言え、めっき設備によっては金属イオン
補給の観点からはある程度の濃度維持が必要であること
から下限を10g/dm3 に限定する。また、その他の
めっき液の条件として耐食性をさらに向上させるには、
被膜をアタックしたり基材元素の直接の腐食原因であ
る、Clイオンを含有しないNiめっき液を使用するの
が望ましい。しかし、めっき液成分として添加せずとも
不純物としてもClは混入してくるため、Clイオン1
00ppm以下として管理したNiめっき液を用いる。
【0020】第9及び第10発明は、めっきに先立って
行う前処理に関する方法であって、前記Ni又はNi合
金めっき、並びに貴金属又は貴金属合金めっきに先立っ
て、アルカリソード脱脂処理、基材表層溶解処理、
アルカリアノード処理、酸洗処理、の各工程を→
→→の順番に少なくとも各1回ずつ実施するめっ
きの前処理方法であり、さらに、基材表層溶解処理に
用いる処理液が、酸と過酸化物を含有するか、酸と可溶
性フッ化物を含有するか、或は酸と過酸化物と可溶性フ
ッ化物を含有するか、の何れかであることを限定しため
っきの前処理方法である。一般的には、例えば、のア
ルカリ脱脂液での浸漬処理、或はカソードやアノードに
分極した電解脱脂を行った後に酸洗処理を行うが、これ
らの一連の処理をめっき工程の前に施すとさらに耐食性
に優れるめっき被膜が得られる。のアルカリカソード
脱脂処理は、水酸化ナトリウム、炭酸ナトリウム、メタ
ケイ酸ナトリウム、リン酸三ナトリウムなどの水溶液に
界面活性剤等の添加剤を加えた、公知のアルカリ系脱脂
液を用いて、カソード側に保持して電解脱脂を行うもの
である。
【0021】の基材表層溶解処理は、1)硫酸や硝酸
などの酸に、過酸化水素、オゾンなどの過酸化物を加え
た水溶液、或は、2)酸に、フッ化水素水や酸性又は中
性フッ化アンモニウム、酸性又は中性フッ化ナトリウ
ム、酸性又は中性フッ化カリウムなどの可溶性フッ化物
を加えた水溶液、さらには3)酸と過酸化物に、さらに
これらの可溶性フッ化物を添加した水溶液が、それぞれ
使用される基材の種類、合金組成によって選択される。
但し、酸と過酸化物を含有する場合には、その含有比を
酸/過酸化物≧0.5(モル比)とするのが好ましい。
酸は表面酸化皮膜を溶解する作用を有し、過酸化物は酸
素イオンを遊離して基材を酸化させる作用を有し、酸と
共存して基材表層を溶解する。また、可溶性フッ化物に
はフッ素イオンを遊離して析出物をも分解して溶解させ
る作用が有る。酸と過酸化物の含有モル比が0.5未満
の様な酸に対する過酸化物の濃度が極端に高い場合に
は、基材表面を溶解するのではなく、却って表面を酸化
皮膜が生成するまでに酸化してしまうことがある。通常
は室温に近い温度で浸漬処理される。例えば、通常の銅
又は銅合金の場合には、1)、2)、3)の何れの水溶
液も用いることが出来るが、42アロイや4〜10wt
%程度の高Sn含有Cu合金、或は前述した元素や金属
間化合物などを析出させて機械的性能を改善させたCu
合金などは、3)の様な可溶性フッ化物を含有して、析
出物を分解、溶解し得る水溶液を使用する方が良い。特
に、Ni2 SiやFex Pなどの難溶性の析出物を含有
した、Cu−Ni−Si系のコルソン合金やCu−Fe
−P系合金はフッ化物を含有した酸−過酸化物系水溶液
を用いた方が良い。これら過酸化水素などの分解防止、
安定剤として公知の脂肪族アルコールを添加しても何ら
差し支えない。これらは市販もされており、CPB40
やCPE1000(三菱瓦斯化学(株))、或はアクタ
ン70を添加したメルポリッシュカパー60(メルテッ
クス(株))などを用いても良い。
【0022】のアルカリアノード処理というのは、例
えば、前出のアルカリ脱脂液と同類のアルカリ水溶液
中で基材をアノード側に分極して処理することをいう。
これにより表面に露出している難溶性の元素や合金、或
はこれらの酸化物をアノード溶解させたり、アノード溶
出し難いものでもマトリックスのCuやFe、Niほか
の固溶成分のアノード溶出によって、或は酸素ガスを発
生させて、析出化合物を物理的に表層から脱落させる作
用を有し、後のめっき工程でピンホール等のめっき欠陥
の原因になる表面残留物質を極力除くことが出来る。前
記析出元素の例としてはCrが代表的であり、析出化合
物としてはBe−Cu,Zr−Cu,Fe−P,Ti−
Ni,Ti−Ni−Sn,Ni−Si,Ni−Snの各
系の化合物などがある。しかしながら、アルカリアノー
ド処理を行うと、基材表面のマトリックスと、場合によ
って表面に残留している析出元素や金属間化合物が酸化
するために、その後めっき前に酸化膜を溶解除去して表
面を活性化する必要があるので、アノード処理後酸洗処
理を行う。Cu系合金には通常硫酸水溶液が、Fe系合
金には塩酸水溶液や硫酸水溶液など、何れも酸化皮膜を
溶解するだけの、非酸化性の酸の希薄水溶液が用いら
れ、通常室温前後の液温条件にて浸漬処理される。
【0023】尚、これら〜の処理の順序は、→
→→の順番に実施する必要がある。但し、この間や
前後に他の処理を行うことは可能でもあるが、最終的に
めっき前にこの順に少なくとも各1回の処理が実施され
ていれば良い。例えば、(1)必ずめっき前には酸洗
工程を入れる必要があり、(2)基材表面溶解処理を行
った後には必ずアルカリアノード処理を少なくとも1
回実施した後酸洗を実施する必要があり、さらには
アノード処理を行った後には基材溶解処理を行わずに
次の酸洗処理するか、又はアノード処理後再び基
材溶解処理をする場合には酸洗前に必ず再びアルカ
リアノード処理を行わなければならない。これら一連の
前処理を実施すると、Cu又はFeの被膜中への共析量
とは無関係に、前述したピンホールのさらに少ないNi
又はNi合金被膜は得られ、貴金属被膜後に耐食性に更
に優れる結果が得られる。尚、何れの処理の後にも水洗
処理は必要であり、さらにはめっき直前には脱イオン水
洗浄してめっき液の汚染防止を図ることが望ましい。第
3発明と第11発明では、前記貴金属又は白金族金属、
及至はこれらの合金の主元素がAu、Ag、Pdのうち
の少なくとも1種であり、これらは基材バリアとしての
Ni又はNi合金上に被膜した場合にも、電極電位が高
いために特に耐食性、加熱時の耐酸化性が問題となり易
い。しかしながら、本発明による表層被膜構成、及び被
膜形成、製造方法によれば、優れた耐食性能、耐酸化性
能を備えた電気電子機器用途部品材料が可能となる。
【0024】
【実施例】以下に本発明を実施例によりさらに詳細に説
明する。 実施例1 次に挙げる厚さ0.25mmのCu合金とFe合金の板
を、幅34mm、長さ172mmの28pinのフレー
ム8連のリードフレームにエッチング加工したものを耐
食性評価用基材として用いた。また、幅10mm、長さ
60mmの板形状をはんだ濡れ性試験用基材とした。但
し、リード線の評価として、0.5mmΦ、長さ150
mmのAg入りCu線も両試験用に基材として用いた。
Cu−2.3wt%Fe−0.1wt%Zn−0.1w
t%P(Cu−Fe系),Cu−2wt%Sn−0.1
wt%Fe−0.03wt%P(Cu−Sn−Fe
系),Cu−2.5wt%Ni−0.6wt%Si−
0.5wt%Zn(Cu−Ni−Si系),Cu−8w
t%Sn−0.2wt%P(Cu−Sn−P系),62
wt%Cu−17wt%Ni−21wt%Zn(Cu−
Ni−Zn系),Fe−42wt%Ni(Fe−Ni
系),Cu−0.03wt%Ag(Cu−Ag系/
線)。めっき前処理として次の様な処理を組み合わせて
行った。アルカリカソード脱脂:クリーナ160(メ
ルテックス(株))6wt%水溶液、60℃でカソード
電流密度3A/dm2 での電解脱脂、基材表面溶解処
理:溶解処理液として、1)10wt%硫酸と3wt%
過酸化水素を含有した水溶液、2)10wt%硫酸と1
wt%酸性フッ化アンモニウムを含有した水溶液、3)
10wt%硫酸と3wt%過酸化水素、1wt%酸性フ
ッ化アンモニウムを含有した水溶液、の3種類を適宜用
いた。表面溶解処理をする場合、Cu−Ni−Si系合
金に3)液をCu−高Sn−P系には2)液を用い、そ
の他は1)液を用いて室温にて30秒浸漬処理した。
アルカリアノード処理:の液を別途建浴し、60℃で
アノード電流密度4A/dm2 でアノード処理した。
酸洗処理:10wt%硫酸水溶液に室温で30秒浸漬処
理した。用いた工程は、→、→→→、の2
通りで各処理後には水洗を行い、めっき前には脱イオン
水洗浄を行った。続いて、基材バリア被膜のNi又はN
i合金被膜を、次に挙げる各めっき液を用いて、液温4
0℃、カソード電流密度20A/dm2 の条件にて行っ
た。尚、めっき液中のCu2+の量は新建浴直後の液につ
いての原子吸光法による定量分析値をもとに、スルファ
ミン酸Cuによって添加調整した。この時の、めっき液
中の鉄イオンの濃度は0.3ppmであった(被膜中
0.3wt%未満であった。)。また各被膜形成条件に
おけるNi又はNi合金電析被膜中に含まれるCu量
は、基材上にめっきした約5μm厚さの被膜を、EPM
AのZAF補正法による定量分析n=5を行うことから
求めた。分析条件は、EPMA−2300((株)島津
製作所)、加速電圧10kV、試料電流10-7Aで行
い、標準試料には99.99%純度を用いた。
【0025】Niめっき液:Ni(NH2 SO32
4H2 O 160g/dm3 、H3BO3 30g/d
3 、40℃ Ni−Co合金めっき液:Ni(NH2 SO32 ・4
2 O 160g/dm3 、Co(NH2 SO32
4H2 O 10g/dm3 、H3 BO3 30g/dm
3 、40℃ Ni−P合金めっき液:NiSO4 ・6H2 O 175
g/dm3 、H3 PO4 50g/dm3 、H3 PO3
1g/dm3 、75℃ Ni−B合金めっき液:NiSO4 ・6H2 O 175
g/dm3 、(CH33 N・BH3 50g/dm
3 、65℃ Ni−Pd合金めっき液:パラブライト−TN20(日
本高純度化学(株))、40℃ 貴金属又は白金族金属、或はその合金被膜は、次に挙げ
るめっき液を用いて行った。 Pdめっき液:パラブライト−SST−L(日本高純度
化学(株))、60℃、3A/dm2 Auめっき液:アフタープレーティング(日本高純度化
学(株))、50℃、1A/dm2 Agめっき液:KAg(CN)2 50g/dm3 、K
CN 70g/dm3、KOH 10g/dm3 、KC
3 20g/dm3 、25℃ 3A/dm2 Pd−Auめっき液:AURUNA549(デグサジャ
パン(株))、55℃0.5A/dm2 Pd−Agめっき液:パラブライト−SST−WABP
(日本高純度化学(株))、65℃、2A/dm2 Pd−Niめっき液:PdNi466(デグサジャパン
(株))、45℃、10A/dm2 Ptめっき液:プラタネックスIII LS(日本エレクト
ロプレーティング・エンジニヤーズ)、75℃、2A/
dm2 Irめっき液:イリデックス100(日本エレクトロプ
レーティング・エンジニヤーズ)、85℃、0.15A
/dm2 Rhめっき液:ローデックス(日本エレクトロプレーテ
ィング・エンジニヤーズ)、50℃、1.3A/dm2 Ruめっき液:ルテネックス(日本エレクトロプレーテ
ィング・エンジニヤーズ)、60℃、1A/dm2
【0026】以上の基本的なめっき処理工程をもと作成
した本発明例(No.1〜42)、従来例(No.43
〜55)の供試材(各n=2)の各種条件を表1、2及
び3に示した(なお、表中の組成を示す%はwt%を示
す。以下同様。)。従来例のうち、No.53〜55に
Agめっき部材を比較評価したが、密着性保持のために
公知のシアン化Cuとシアン化Na含有液によるCuス
トライク下地めっきを行った。尚、No.40とNo.
47はNi→Pd−Ni合金→Ni→Pdの4層の被膜
構成、No.41とNo.48はNi→Pd→Pd−N
i合金→Pd→Auの5層構成であり、各被膜の厚さは
蛍光X線で測定してめっき時間を調整した。フレーム形
状試料をJISZ 2371に基づいた塩水噴霧試験を
Cu合金について24時間、Fe合金については6時間
実施した。そして、目視外観により相対的に(優)◎→
○→△→×(劣)4段階評価した。また、板状のめっき
試料を335℃のホットプレート上にて45秒加熱保持
したものを、放冷後に半分の長さに切断したものの端部
がめっきされている側を、230℃、Sn−Pb共晶は
んだ、RMAタイプフラックス、動的濡れ性試験機 W
ET−3000(レスカ(株))を用いて、メニスコグ
ラフ法により濡れ時間(ゼロクロス時間)を測定して比
較評価した。これらの試験結果を表1、2及び3に示し
た。
【0027】
【表1】
【0028】
【表2】
【0029】
【表3】
【0030】実施例2 次に、基材バリア被膜のめっき条件の相違による耐食性
を試験評価した。実施例1のNo.3とNo.11の条
件を基本として、液温、電流密度、Ni濃度のそれぞれ
の条件を変化させて、実施例1のフレーム形状部材をn
=2で1μm厚さのNiめっき、その後0.1μm厚さ
のPdめっきをした。これらを実施例1同様塩水噴霧試
験を行い、外観評価と共に実態顕微鏡観察による微視的
評価も行った。めっき条件と評価結果を表4に示した。
微視的評価は表4の下に示すように相対的な6段階とし
た。
【0031】
【表4】
【0032】実施例1の評価結果(表1、2及び3)か
ら、本発明例のNo.1〜No.42は、従来例No.
43〜No.52の、Ni又はNi合金めっき液のCu
2+不純物量と、Ni又はNi合金めっき被膜中のCu含
有量の相違を除く、前処理条件とめっき被膜構成が同一
の条件における比較から、それらのCuの含有量の低い
条件のものが、特に耐食性に優れることが判る。例え
ば、No.3とNo.43、No.8とNo.44、N
o.11とNo.45、No.16とNo.46、N
o.40とNo.47、No.41とNo.48、N
o.42とNo.49、No.31とNo.50、N
o.24とNo.51、No.25とNo.52、の比
較で判り、はんだ濡れ性も同様にCu含有量の少ない供
試材に優れている。また、従来例よりも優れることもは
っきり判る。また、これらは合金種や、線、フレームの
形状によらない。前処理では、カソード脱脂後表面を溶
解し、さらにアノード処理、酸洗活性化の工程の方が優
れていることも判明した。例えば、No.1〜8とN
o.9〜16、No.17とNo.18、No.22と
No.23、No.25とNo.26の比較から、或は
従来例のNo.43とNo.45、No.44とNo.
46の比較からも理解出来る。また、この際用いた基材
表面溶解処理液成分による特性の差までは見出せない
が、Cu含有量の少ない条件では何れも良好である。ま
た、表4に示される実施例2の結果からは、外観評価で
はすべて良好な耐食性評価結果を示しているが、良好な
中でも微視的な評価からは、それぞれの中にもさらに優
劣の評価を示している。即ち、Cuの含有量の少ない条
件では、Niめっき条件によってさらに良好な耐食性特
性を得ることが可能で、それは液温、カソード電流密
度、さらにはNi濃度の限定条件から得られることがわ
かる。
【0033】実施例3 次に挙げる厚さ0.25mmのCu合金とFe合金の板
を、幅34mm、長さ172mmの28pinのフレー
ム8連のリードフレームにエッチング加工したものを耐
食性評価用基材として用いた。また、一部の被覆条件を
除いて、幅10mm、長さ60mmの板形状をはんだ濡
れ性試験用基材とした。但し、リード線評価として、
0.5mmΦ、長さ150mmのAg入りCu線も両試
験用に基材として用いた。Cu−2.3wt%Fe−
0.1wt%Zn−0.1wt%P(Cu−Fe系),
Cu−2wt%Sn−0.1wt%Fe−0.03wt
%P(Cu−Sn−Fe系),Cu−2.5wt%Ni
−0.6wt%Si−0.5wt%Zn(Cu−Ni−
Si系),Cu−8wt%Sn−0.2wt%P(Cu
−Sn−P系),62wt%Cu−17wt%Ni−2
1wt%Zn(Cu−Ni−Zn系),Fe−42wt
%Ni(Fe−Ni系),Cu−0.03wt%Ag
(Cu−Ag系/線)。めっき前処理として次の様な処
理を組み合わせて行った。アルカリカソード脱脂:ク
リーナ160(メルテックス(株))6wt%水溶液、
60℃でカソード電流密度3A/dm2 での電解脱脂、
基材表面溶解処理:溶解処理液として、1)10wt
%硫酸と3wt%過酸化水素を含有した水溶液、2)1
0wt%硫酸と1wt%酸性フッ化アンモニウムを含有
した水溶液、3)10wt%硫酸と3wt%過酸化水
素、1wt%酸性フッ化アンモニウムを含有した水溶
液、の3種類を適宜用いた。表面溶解処理をする場合、
Cu−Ni−Si系合金に3)液をCu−高Sn−P系
には2)液を用い、その他は1)液を用いて室温にて3
0秒浸漬処理した。アルカリアノード処理:の液を
別途建浴し、60℃でアノード電流密度4A/dm2
アノード処理した。酸洗処理:10wt%硫酸水溶液
に室温で30秒浸漬処理した。用いた工程は、→、
→→→、の2通りで各処理後には水洗を行い、
めっき前には脱イオン水洗浄を行った。続いて、基材バ
リア被膜のNi又はNi合金被膜を、次に挙げる各めっ
き液を用いて、液温40℃、カソード電流密度20A/
dm2 の条件にて行った。尚、めっき液中のFeイオン
の量は新建浴直後の液についての原子吸光法による定量
分析値をもとに、スルファミン酸第一鉄[Fe(NH2
SO32 ・5H2 O]によって添加調整した。このと
きの、めっき液中の銅イオンの濃度は0.1ppmであ
った(被膜中0.3wt%未満であった。)。また、各
被膜形成条件におけるNi又はNi合金電析被膜中に含
まれるFe量は、基材上にめっきした約5μm厚さの被
膜を、EPMAのZAF補正法による定量分析n=5を
行うことから求めた。分析条件は、EPMA−2300
((株)島津製作所)、加速電圧10kV、試料電流1
-7Aで行い、標準試料には99.99%純度を用い
た。
【0034】Niめっき液:Ni(NH2 SO32
4H2 O 160g/dm3 、H3BO3 30g/d
3 、40℃ Ni−Co合金めっき液:Ni(NH2 SO32 ・4
2 O 160g/dm3 、Co(NH2 SO32
4H2 O 10g/dm3 、H3 BO3 30g/dm
3 、40℃ Ni−P合金めっき液:NiSO4 ・6H2 O 175
g/dm3 、H3 PO4 50g/dm3 、H3 PO3
1g/dm3 、75℃ Ni−B合金めっき液:NiSO4 ・6H2 O 175
g/dm3 、(CH33 N・BH3 50g/dm
3 、65℃ Ni−Pd合金めっき液:パラブライト−TN20(日
本高純度化学(株))、40℃ 貴金属又は白金族金属、或はその合金被膜は、次に挙げ
るめっき液を用いて行った。 Pdめっき液:パラブライト−SST−L(日本高純度
化学(株))、60℃、3A/dm2 Auめっき液:アフタープレーティング(日本高純度化
学(株))、50℃、1A/dm2 Agめっき液:KAg(CN)2 50g/dm3 、K
CN 70g/dm3、KOH 10g/dm3 、KC
3 20g/dm3 、25℃、3A/dm2 Pd−Auめっき液:AURUNA549(デグサジャ
パン(株))、55℃0.5A/dm2 Pd−Agめっき液:パラブライト−SST−WABP
(日本高純度化学(株))、65℃、2A/dm2 Pd−Niめっき液:PdNi466(デグサジャパン
(株))、45℃、10A/dm2 Ptめっき液:プラタネックスIII LS(日本エレクト
ロプレーティング・エンジニヤーズ)、75℃、2A/
dm2 Irめっき液:イリデックス100(日本エレクトロプ
レーティング・エンジニヤーズ)、85℃、0.15A
/dm2 Rhめっき液:ローデックス(日本エレクトロプレーテ
ィング・エンジニヤーズ)、50℃、1.3A/dm2 Ruめっき液:ルテネックス(日本エレクトロプレーテ
ィング・エンジニヤーズ)、60℃、1A/dm2
【0035】以上の基本的なめっき処理工程をもとに作
成した本発明例(No.1〜42)、従来例(No.4
3〜55)の供試材(各n=2)の各種条件を表5、6
及び7に示した。No.53〜55にAgめっき部材を
比較評価したが、密着性保持のために公知のシアン化C
uとシアン化Na含有液によるCuストライク下地めっ
きを行った。尚、No.40とNo.47はNi→Pd
−Ni合金→Ni→Pdの4層の被膜構成、No.41
とNo.48はNi→Pd→Pd−Ni合金→Pd→A
uの5層構成であり、各被膜の厚さは蛍光X線で測定し
てめっき時間を調整した。フレーム形状試料をJISZ
2371に基づいた塩水噴霧試験をCu合金について
24時間、Fe合金については6時間実施した。そし
て、目視外観により相対的に(優)◎→○→△→×
(劣)4段階評価した。また、一部を除いて作製した、
板状のめっき試料を335℃のホットプレート上にて4
5秒加熱保持したものを、放冷後に半分の長さに切断し
たものの端部がめっきされている側を、230℃、Sn
−Pb共晶はんだ、RMAタイプフラックス、動的濡れ
性試験機WET−3000(レスカ(株))を用いて、
メニスコグラフ法により濡れ時間(ゼロクロス時間)を
測定して比較評価した。この試験結果を表5、6及び7
に示した。
【0036】
【表5】
【0037】
【表6】
【0038】
【表7】
【0039】実施例4 次に、基材バリア被膜のめっき条件の相違による耐食性
を試験評価した。実施例3のNo.3とNo.11の条
件を基本として、液温、電流密度、Ni濃度のそれぞれ
の条件を変化させて、実施例3のフレーム形状部材をn
=2で1μm厚さのNiめっき、その後0.1μm厚さ
のPdめっきをした。これらを実施例1同様塩水噴霧試
験を行い、外観評価と共に実態顕微鏡観察による微視的
腐食評価も行った。めっき条件と評価結果を表8に示し
た。微視的評価は表8の下に示すように相対的な6段階
とした。
【0040】
【表8】
【0041】実施例3の評価結果(表5、6及び7)か
ら、本発明例のNo.1〜No.42は、従来例No.
43〜No.52の、Ni又はNi合金めっき液のFe
イオンの不純物量と、Ni又はNi合金めっき被膜中の
Fe含有量の相違を除く、前処理条件とめっき被膜構成
が同一の条件における比較から、それらのFeの含有量
の低い条件のものが、特に耐食性に優れることが判る。
例えば、No.3とNo.43、No.8とNo.4
4、No.11とNo.45、No.16とNo.4
6、No.40とNo.47、No.41とNo.4
8、No.42とNo.49、No.31とNo.5
0、No.24とNo.51、No.25とNo.5
2、の比較で判り、はんだ濡れ性も同様にFe含有量の
少ない供試材に優れている。また、従来例との比較にお
いては、標準電極電位差の大きい貴金属や白金属被覆処
理にもかかわらず、同等以上の特性を有することが判
る。また、これらは合金種や、線、フレームの形状によ
らない。前処理では、カソード脱脂後表面を溶解し、さ
らにアノード処理、酸洗活性化の工程の方が優れている
ことも判明した。例えば、No.1〜8とNo.9〜1
6、No.17とNo.18、No.22とNo.2
3、No.25とNo.26、の比較から、或は従来例
のNo.43とNo.45、No.44とNo.46の
比較からも理解出来る。また、この際用いた基材表面溶
解処理液成分による特性の差までは見出せないが、Fe
含有量の少ない条件では何れも良好である。また、表8
に示される実施例4の結果からは、外観評価ではすべて
良好な耐食性評価結果を示しているが、良好な中でも微
視的な評価からは、それぞれの中にもさらに優劣の評価
を示している。すなわち、Feの含有量の少ない条件で
は、Niめっき条件によってさらに良好な耐食性特性を
得ることが可能で、それは液温、カソード電流密度、さ
らにはNi濃度の限定条件から得られることがわかる。
【0042】
【発明の効果】以上に詳述したように、本発明の電気電
子機器用部品材料と、その製造方法によれば、今後の使
用が拡大する傾向に有る、Cu又はCu合金、Fe合金
基材にNiなどのバリア被膜を形成し、さらにその上層
に様々な特性を有する貴金属や白金族元素を被覆した被
膜構成の部材において、優れた特性の一方で大きな問題
となる、耐食性や加熱工程後のはんだ濡れ性などの劣化
問題を解決することが可能になり、特性向上のみならず
経済性の点でも有利な新規部材を益々広く適用すること
ができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】一般に使用されているリードフレームによるパ
ッケージの一例の断面図
【図2】一般に使用されているリードフレームの一例の
平面図
【符号の説明】
1 タブ部 2 素子 3 接着層 4 電極パッド 5 インナーリード端部 6 金属細線 7 樹脂 8 アウターリード部

Claims (11)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 CuもしくはCu合金基材、又はFe合
    金基材から成る電気電子機器用部品材料表面の一部及至
    全面に、少なくとも1層の、且つ、合計の厚さが0.1
    μm以上である、Ni又はNi合金被膜と、少なくとも
    1層の、且つ、合計の厚さが0.01μm以上1μm以
    下の、貴金属又は白金族金属、及至はこれらの合金被膜
    を有する電気電子機器用部品材料において、基材バリア
    としてのNi又はNi合金被膜中のCuの定量分析値が
    1.0wt%以下であることを特徴とする耐食性、耐酸
    化性に優れる電気電子機器用部品材料。
  2. 【請求項2】 CuもしくはCu合金基材、又はFe合
    金基材から成る電気電子機器用部品材料表面の一部及至
    全面に、少なくとも1層の、且つ、合計の厚さが0.1
    μm以上である、Ni又はNi合金被膜と、少なくとも
    1層の、且つ、合計の厚さが0.01μm以上1μm以
    下の、貴金属又は白金族金属、及至はこれらの合金被膜
    を有する電気電子機器用部品材料において、基材バリア
    としてのNi又はNi合金被膜中のFeの定量分析値が
    1.0wt%以下であることを特徴とする耐食性、耐酸
    化性に優れる電気電子機器用部品材料。
  3. 【請求項3】 前記貴金属又は白金族金属がAu、A
    g、Pdのうちから選ばれる少なくとも1種であること
    を特徴とする請求項1又は2に記載の耐食性、耐酸化性
    に優れる電気電子機器用部品材料。
  4. 【請求項4】 CuもしくはCu合金基材、又はFe合
    金基材から成る電気電子機器用部品材料表面の一部及至
    全面に、少なくとも1層のNi又はNi合金めっき被膜
    と、少なくとも1層の貴金属もしくは白金族金属、又は
    これらの合金めっき被膜を形成する方法において、前記
    Ni又はNi合金めっきを、めっき液中の含まれる銅イ
    オン濃度が1ppm以下であるNiめっき液を用いて行
    うことを特徴とする耐食性、耐酸化性に優れる電気電子
    機器用部品材料の製造方法。
  5. 【請求項5】 CuもしくはCu合金基材、又はFe合
    金基材から成る電気電子機器用部品材料表面の一部及至
    全面に、少なくとも1層のNi又はNi合金めっき被膜
    と、少なくとも1層の貴金属もしくは白金族金属、又は
    これらの合金めっき被膜を形成する方法において、前記
    Ni又はNi合金めっきを、めっき液中の含まれる鉄イ
    オン濃度が1.5ppm以下であるNiめっき液を用い
    て行うことを特徴とする耐食性、耐酸化性に優れる電気
    電子機器用部品材料の製造方法。
  6. 【請求項6】 前記Ni又はNi合金めっきを、めっき
    液温が10℃〜45℃の範囲内にて行うことを特徴とす
    る請求項4又は5に記載の耐食性に優れる電気電子機器
    用部品材料の製造方法。
  7. 【請求項7】 前記Ni又はNi合金めっきを、カソー
    ド電流密度が15A/dm2 〜40A/dm2 の範囲内
    にて行うことを特徴とする請求項4〜6のいずれか1項
    に記載の耐食性、耐酸化性に優れる電気電子機器用部品
    材料の製造方法。
  8. 【請求項8】 前記Ni又はNi合金めっきを、めっき
    液のNi濃度が10g/dm3 〜50g/dm3 の範囲
    内にて行うことを特徴とする請求項4〜7のいずれか1
    項に記載の耐食性、耐酸化性に優れる電気電子機器用部
    品材料の製造方法。
  9. 【請求項9】 前記Ni又はNi合金めっき、並びに貴
    金属又は白金族金属及至はこれらの合金めっきに先立っ
    て、アルカリカソード脱脂処理、基材表層溶解処
    理、アルカリアノード処理、酸洗処理、の各工程を
    →→→の順番に少なくとも各1回ずつ実施する
    前処理を行うことを特徴とする請求項4〜8のいずれか
    1項に記載の耐食性、耐酸化性に優れる電気電子機器用
    部品材料の製造方法。
  10. 【請求項10】 前記基材表層溶解処理に用いる処理液
    が、酸と過酸化物を含有するか、酸と可溶性フッ化物を
    含有するか、或は酸と過酸化物と可溶性フッ化物を含有
    するか、の何れかであることを特徴とする請求項9に記
    載の耐食性、耐酸化性に優れる電気電子機器用部品材料
    の製造方法。
  11. 【請求項11】 前記貴金属もしくは白金族金属がA
    u、Ag、Pdのうちの少なくとも1種であることを特
    徴とする請求項4〜10のいずれか1項に記載の耐食
    性、耐酸化性に優れる電気電子機器用部品材料の製造方
    法。
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