JP6438643B2 - 電極部材およびその製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、トランジスタ・インバータ等の各種電子・電気部品に用いられるリードフレームや、電極端子コネクタとして用いられる電極部材およびその製造方法に関するものである。
トランジスタ・インバータ等の各種電子・電気部品に用いられるリードフレームや、電極端子コネクタには、CuまたはCu合金からなる基板(以下、適宜、Cu基板または基板という)が用いられている。
特に、端子部における接触抵抗の改善や、ワイヤボンドの密着性および半田濡れ性の向上のために、Cu基板上にAgめっき膜が形成されたものが多く用いられている。
しかし、上記のようなAgめっき膜が形成されたCu基板からなる電極部材は、アセンブリ時に熱の影響を受けることによって、基板のCuが表面に拡散し(以下、適宜、Cuの表面拡散という)、大気中の酸素と反応しCu酸化物として析出することがある。その結果、Agめっき膜の表面にCu酸化物層が形成されることとなり、このCu酸化物層が、電極部材の接触抵抗を低下させたり、後工程におけるワイヤボンドの密着性および半田濡れ性を低下させたりしてしまう虞があった。つまり、このCu酸化物層が電極部材の耐熱性を低下させる原因となっていた。
このような問題を解決するために、例えば、特許文献1および2では、基板の表面にNiおよびAu、Pt、Pdを含む拡散防止層を形成させることによって、Cuの表面拡散を抑制し、耐熱性を向上させるという方法が開示されている。
特開2012−124364号公報 特開2005−264261号公報
しかしながら、特許文献1および2に開示された技術は、高価なAuやPt、Pdを含む層を拡散防止層として用いる必要があるため、当該拡散防止層を厚く形成させるのは実用化の観点および経済性を考慮すると非現実的である。結果として、特許文献1および2に開示された技術では、拡散防止層を厚く形成させることができないことから、Cuの表面拡散を十分に抑制することができない。
そこで、本発明は、基板のCuの表面拡散を十分に抑制することにより、耐熱性に優れた電極部材およびその製造方法を提供することを課題とする。
前記課題を解決するため、本発明者らは鋭意研究を行った結果、Cu基板に形成されたAgめっき膜の結晶の配向性を適切に制御することで、Cuの表面拡散を抑制することができ、耐熱性に優れた電極部材を製造することが可能であるとの知見を得た。
すなわち、本発明に係る電極部材は、CuまたはCu合金からなる基板と、前記基板の少なくとも片面側に形成された膜厚が0.1〜10.0μmのAgめっき膜と、を備え、前記基板と前記Agめっき膜とが接している電極部材であって、前記Agめっき膜について、X線としてCu−Kα線を用いて2θ/θ法により測定したX線回折パターンのAg(111)面由来のピーク最大強度I111と、Ag(200)面由来のピーク最大強度I200と、が下記式(1)を満足することを特徴とする。なお、式(1)とはI111/I200≦3.0である。
この電極部材によって、Cuの表面拡散を抑制するメカニズムの詳細については不明であるが、基板上に形成されたAgめっき膜の結晶配向性を制御することによって、Agめっき膜中のCuが拡散する経路(以下、適宜、Cuの拡散経路という)を低減させることができ、結果的にCuの表面拡散を抑制できるものと推定する。
そして、この電極部材は、所定の結晶配向性を有するAgめっき膜として、I111/I200≦3.0を満たす膜を基板上に形成させることにより、Agめっき膜中におけるCuの拡散経路を低減させることができ、結果的にCuの表面拡散を抑制することができる。
そして、この電極部材は、基板上に形成させるAgめっき膜の膜厚が0.1μm以上であることから、Cuの表面拡散を抑制する効果を確保することができる。また、当該Agめっき膜は、Cuの拡散経路の高い低減効果を有することから、膜厚が10.0μm以下であっても、十分にCuの表面拡散を抑制する効果を確保することができる。その結果、高価なAgの使用量を抑えることが可能となり、電極部材全体のコスト上昇を抑制することができる。
また、本発明に係る電極部材は、CuまたはCu合金からなる基板と、前記基板の少なくとも片面側に形成された膜厚が0.1〜10.0μmのAgめっき膜と、を備えるとともに、前記基板と前記Agめっき膜との間において、前記基板側に膜厚が0.5μm以上のNiめっき膜を備え、前記Agめっき膜側に膜厚が0.1μm以上1.0μm未満のCuフラッシュめっき膜を備え、前記Cuフラッシュめっき膜と前記Agめっき膜とが接している電極部材であって、前記Agめっき膜について、X線としてCu−Kα線を用いて2θ/θ法により測定したX線回折パターンのAg(111)面由来のピーク最大強度I111と、Ag(200)面由来のピーク最大強度I200と、が下記式(1)を満足することを特徴とする。なお、式(1)とはI111/I200≦3.0である。
この電極部材によれば、基板とAgめっき膜との間にNiめっき膜を備えることにより、当該Niめっき膜がバリア層としての役割を果たすこととなり、Cuの表面拡散をさらに抑制することができる。また、この電極部材によれば、Niめっき膜とAgめっき膜との間にCuフラッシュめっき膜を備えることにより、当該Cuフラッシュめっき膜がNiめっき膜とAgめっき膜との密着性を向上させることができる。
本発明に係る電極部材の製造方法は、CuまたはCu合金からなる基板に対してAgめっき膜を形成するAgめっき膜形成工程と、前記Agめっき膜形成工程の後に、80℃以上、300℃未満の加熱処理を施す加熱処理工程と、を含むことを特徴とする。
この電極部材の製造方法によれば、Agめっき膜形成工程の後に、所定温度の加熱処理を施す加熱処理工程を含むことにより、Agめっき膜の結晶配向性を制御でき、Cuの表面拡散を抑制することが可能な電極部材を製造することができる。
また、本発明に係る電極部材の製造方法は、CuまたはCu合金からなる基板に対してNiめっき膜を形成するNiめっき膜形成工程と、前記Niめっき膜形成工程の後に、前記Niめっき膜に対してCuフラッシュめっき膜を形成するCuフラッシュめっき膜形成工程と、前記Cuフラッシュめっき膜形成工程の後に、前記Cuフラッシュめっき膜に対してAgめっき膜を形成するAgめっき膜形成工程と、前記Agめっき膜形成工程の後に、80℃以上、300℃未満の加熱処理を施す加熱処理工程と、を含むことを特徴とする。
この電極部材の製造方法によれば、Niめっき膜形成工程と、Cuフラッシュめっき膜形成工程と、を含むことにより、Cuの表面拡散をさらに抑制することが可能であるとともに、Niめっき膜とAgめっき膜との密着性が向上した電極部材を製造することができる。
本発明に係る電極部材によれば、所定のX線回折強度の条件を満たすAgめっき膜を基板上に備えていることから、Cuの表面拡散を抑制することができ、Agめっき膜の表面にCu酸化物層が形成されるといった事態を回避することができる。その結果、本発明に係る電極部材は、当該Cu酸化物層が原因となる耐熱性の低下を回避することができるため、優れた耐熱性を有することとなる。
また、本発明に係る電極部材によれば、所定のX線回折強度の条件を満たすAgめっき膜を基板上に備えていることから、当該Agめっき膜を必要以上に厚く形成させる必要がなくなるため、電極部材全体のコスト上昇を抑制することができる。
本発明に係る電極部材の製造方法によれば、Agめっき膜形成工程の後に、加熱処理工程を含むことにより、Agめっき膜の結晶配向性を制御でき、Cuの表面拡散を抑制することが可能な電極部材を製造することができる。つまり、本発明に係る電極部材の製造方法によれば、Cu酸化物層が原因となる耐熱性の低下を回避することができるとともに、優れた耐熱性を有する電極部材を製造することができる。
本発明の実施形態に係る電極部材の模式図であって、(a)は、第1実施形態に係る電極部材の断面図、(b)は、第2実施形態に係る電極部材の断面図である。 本発明の実施形態に係る電極部材の製造方法のフローチャートであって、(a)は、第1実施形態に係る電極部材の製造方法のフローチャート、(b)は、第2実施形態に係る電極部材の製造方法のフローチャートである。 本発明の実施例2に係る電極部材のX線回折パターンである。 本発明の比較例1に係る電極部材のX線回折パターンである。
以下、本発明に係る電極部材およびその製造方法を実施するための形態について、詳細に説明する。
[第1実施形態に係る電極部材]
まず、本発明の第1実施形態に係る電極部材について、図1(a)を参照して説明する。
電極部材1aは、基板11と、基板11上に形成されたAgめっき膜12と、を備える。なお、図1(a)では、Agめっき膜12は基板11の片面側のみに形成されているが、基板11の両面側にそれぞれ形成されていてもよい。
なお、電極部材1aとは、トランジスタ・インバータ等の各種電子・電気部品に用いられるリードフレームや、電極端子コネクタをはじめとした、複数の部材を電気的に接続する部材である。
(基板)
基板11は、電極部材1aの主要部材であり、Cu(銅)またはCu合金からなる。そして、基板11の形状および板厚については、特に限定されず、電極部材1aが適用されるリードフレーム等の形状に応じて、適宜、決定すればよい。
基板11のCu合金としては、Cuを主成分とし(95質量%以上)、Ni、Si、Fe、Zn、Sn、Mg、P、Cr、Mn、Zr、Ti、Sb等の元素の1種または2種以上を含有する合金、例えばCu−Fe−P系銅合金を用いることができる。
(Agめっき膜)
Agめっき膜12は、基板11の表面の酸化を防ぐとともに、電極部材1aへのワイヤボンディング接着強度を向上させ、かつ、界面における接触抵抗を下げる役割を果たす膜である。さらに、Agめっき膜12は、基板11のCuが電極部材1aの表面に拡散することを防止する膜でもある。
(Agめっき膜:膜厚)
Agめっき膜12中を拡散するCuが表面に到達するまでの時間は、Agめっき膜12の膜厚の二乗にほぼ比例するため、膜厚を厚くしたほうが、Cuの表面拡散を抑制することができ、結果として耐熱性が向上する。この効果を確保するために、Agめっき膜12の膜厚は、0.1μm以上であることが好ましく、0.5μm以上であることがさらに好ましい。
一方、Agめっき膜12を厚膜化することは、電極部材1aのコスト上昇につながるため、望ましくない。また、一定の厚さを超えると、Cuの表面拡散の抑制および耐熱性の向上という効果が飽和する。これらの観点から、Agめっき膜12の膜厚は、10.0μm以下であることが好ましく、8.0μm以下であることがさらに好ましく、より好ましくは5.0μm以下である。
(Agめっき膜:結晶配向性)
Agめっき膜12は、X線回折法による結晶配向性の解析において、(111)面のX線回折強度I111と、(200)面のX線回折強度I200と、の関係が、I111/I200≦3.0を満たす必要がある、つまり、I111/I200が3.0以下となる必要がある。
111/I200が3.0を超えると、Agめっき膜12におけるCuの拡散経路の低減効果が不十分となり、Cuの表面拡散が起こりやすくなってしまう。その結果、電極部材1aの表面に拡散したCuが、大気中の酸素と反応しCu酸化物層を形成させてしまう。そして、このCu酸化物層が電極部材1aの接触抵抗を低下させたり、後工程におけるワイヤボンドの密着性および半田濡れ性を低下させたりする、つまり、電極部材1aの耐熱性を低下させてしまう。
耐熱性の向上という効果を確実なものとするため、Agめっき膜12のI111/I200は、2.0以下が好ましく、1.0以下がより好ましい。
なお、X線回折強度は、公知のX線回折装置を用いるとともに、X線としてCu−Kα線を用いて、Agめっき膜12のX線回折パターンを2θ/θ法により測定すればよい。そして、得られたX線回折パターンを解析し、Ag(111)面由来のピーク(2θ=38.3°付近)最大強度(cps単位)と、Ag(200)面由来のピーク(2θ=44.5°付近)最大強度をそれぞれI111、I200とし、ピーク強度比I111/I200を算出すればよい。
[第2実施形態に係る電極部材]
次に、本発明の第2実施形態に係る電極部材について、図1(b)を参照して説明する。
電極部材1bは、基板11と、基板11上に形成されたNiめっき膜13と、Niめっき膜13上に形成されたCuフラッシュめっき膜14と、Cuフラッシュめっき膜14上に形成されたAgめっき膜12と、を備える。なお、図1(b)では、各めっき膜13、14、12は、基板11の片面側のみに形成されているが、基板11の両面側にそれぞれ形成されていてもよい。
なお、電極部材1aと同じ構成である基板11およびAgめっき膜12については説明を省略する。
(Niめっき膜)
Niめっき膜13は、基板11から表面へのCu拡散を抑制するバリア層としての役割を有する膜である。
なお、Niめっき膜13は、基板11からのCuの表面拡散を抑制できればよいため、成分はNi単体に限定されず、例えば、Ni−Co合金、Ni−P合金、Ni−Fe合金等のNi合金で形成されるめっき膜であってもよい。
ここで、Niめっき膜13の膜厚(下限)は、0.5μm以上であることが好ましい。Niめっき膜の厚さが0.5μm未満であると、膜が局部的に薄すぎたり、不連続になったりして基板11からのCuの表面拡散を抑制する効果が失われる虞がある。なお、Niめっき膜13に起因するCuの表面拡散の抑制という効果を確実なものとするため、Niめっき膜13の厚さは、1.0μm以上であることがさらに好ましい。
一方、Niめっき膜13の膜厚(上限)は、10.0μm未満であることが好ましい。Niめっき膜13の膜厚は、基板11からのCuの表面拡散を抑制する観点では厚いほど好ましいが、不必要にNiめっき層13を厚くしても、Cuの表面拡散を抑制する効果は飽和するとともに、Niめっき処理にかかる時間が増え、生産性を低下させる虞があるからである。
(Cuフラッシュめっき膜)
Cuフラッシュめっき膜14は、Niめっき膜13とAgめっき膜12との密着性を改善する役割を有する膜である。
なお、Cuフラッシュめっき膜14は、Niめっき膜13とAgめっき膜12との密着性を確保できれば、成分はCu単体に限定されず、例えば、Cu−Zn合金、Cu−Sn合金等のCu合金で形成されるめっき膜であってもよい。
ここで、Cuフラッシュめっき膜14の膜厚(下限)は、0.1μm以上であることが好ましい。Cuフラッシュめっき膜14の膜厚が0.1μm未満であると、膜が不連続になって下地のNiめっき膜13が露出してしまい、Niめっき膜13とAgめっき膜14との密着性に不良をきたす虞がある。なお、この密着性を確実なものとするため、Cuフラッシュめっき膜14の膜厚は、0.2μm以上であることがさらに好ましい。
一方、Cuフラッシュめっき膜14の膜厚(上限)は、1.0μm未満であることが好ましい。Cuフラッシュめっき膜14の膜厚が1.0μm以上であると、Agめっき層12を拡散して表面に到達するCuの量が多くなり、耐熱性に影響を与えるからである。なお、耐熱性への悪影響を確実に回避するために、Cuフラッシュめっき膜14の膜厚は、0.5μm未満であることがより好ましい。
次に、第1実施形態および第2実施形態に係る電極部材の製造方法を説明する。
[第1実施形態に係る電極部材の製造方法]
本発明の第1実施形態に係る電極部材の製造方法について、図2(a)を参照して説明する。
本発明の第1実施形態に係る電極部材の製造方法は、Agめっき膜形成工程S1と、加熱処理工程S2と、を含むことを特徴とする。
以下、前記各工程を中心に説明する。
(Agめっき膜形成工程)
Agめっき膜形成工程S1では、基板の表面にAgめっき膜を形成する。このAgめっき膜形成工程S1におけるめっき膜の形成については、電気めっき等の公知のめっき方法を用いればよい。
なお、このAgめっき膜形成工程S1のめっきの対象となる基板は、CuまたはCu合金からなる金属鋳塊を圧延等により所望の厚さの素板(圧延板)とし、この素板をプレス加工やエッチング加工等により所望の形状に成形することによって準備することができる。
(加熱処理工程)
加熱処理工程S2では、Agめっき膜形成工程S1後の電極部材に対し、加熱処理を施す。この加熱処理工程S2によって、Agめっき膜12を再結晶により粗大化させ、結晶配向性を制御することができる。
加熱処理工程S2の加熱処理温度(上限)は、300℃未満である。加熱処理温度が300℃以上になると、Cuの拡散が速くなり、Cuの表面拡散を誘引してしまう虞があるからである。
一方、加熱処理工程S2の加熱処理温度(下限)は、80℃以上である。加熱処理温度が80℃未満であると、Agめっき膜が所望の結晶配向とはならず、その結果、Cuの表面拡散の抑制の効果を十分に確保することができなくなるからである。
なお、加熱処理温度については、80℃以上200℃未満が好ましく、100℃以上150℃未満がより好ましい。
また、加熱処理工程S2の加熱処理時間は、1分以上300分未満であることが好ましい。加熱処理時間が1分未満であると結晶配向性の制御を十分に行うことができず、所望のAgめっき膜が所望の結晶配向とはならず、その結果、Cuの表面拡散の抑制の効果を十分に確保することができなくなるからである。一方、加熱処理時間が300分以上であるとCuの表面拡散を誘引してしまう虞があるからである。
なお、加熱処理時間については、5分以上120分未満であることが好ましく、10分以上60分未満であることがより好ましい。
加熱処理工程S2の加熱処理については大気中で行うことも可能であるが、Cuの表面拡散および酸化を抑制する観点からは、Ar雰囲気中や真空中などの非酸化性雰囲気での熱処理を行うことがより望ましい。
なお、加熱処理工程S2において、より効果的にAgめっき膜の結晶配向性を制御する目的で、Agめっき膜形成工程S1の後であって加熱処理工程S2の前に、加工処理工程を実施してもよい。この加工処理工程は、具体的には、Agめっき膜形成後の電極部材に対してスキンパス圧延を行うなどの方法によって、Agめっき膜に応力を付与することにより、後の加熱処理工程S2におけるAgの再結晶を促進し、より低温・短時間での処理が可能となる。
[第2実施形態に係る電極部材の製造方法]
本発明の第2実施形態に係る電極部材の製造方法について、図2(b)を参照して説明する。
本発明の第2実施形態に係る電極部材の製造方法は、Niめっき膜形成工程S11と、Cuフラッシュめっき膜形成工程S12と、Agめっき膜形成工程S13と、加熱処理工程S14と、を含むことを特徴とする。
なお、Agめっき膜形成工程S13および加熱処理工程S14は、第1実施形態に係る電極部材の製造方法において説明したAgめっき膜形成工程S1および加熱処理工程S2と同じ構成であるため説明を省略する。
(Niめっき膜形成工程、Cuフラッシュめっき膜形成工程)
Niめっき膜形成工程S11では、基板の表面にNiめっき膜を形成する。そして、Cuフラッシュめっき膜形成工程S12では、Niめっき膜が形成された基板にCuフラッシュめっき膜を形成する。
このNiめっき膜形成工程S11およびCuフラッシュめっき膜形成工程S12におけるめっき膜の形成については、電気めっき等の公知のめっき方法を用いればよい。
本発明に係る電極部材の製造方法は、以上説明したとおりであるが、本発明を行うにあたり、前記各工程に悪影響を与えない範囲において、前記各工程の間あるいは前後に、他の工程を含めてもよい。例えば、Agめっき膜形成工程S1の前やNiめっき膜形成工程S11の前に、基板表面を洗浄する脱脂工程を含めてもよい。また、加熱処理工程S2(S14)の後に、所望の形状に加工(曲げ加工、穴抜き加工等)する加工工程を含めてもよい。
なお、前記各工程において、明示していない条件については、従来公知の条件を用いればよく、前記各工程での処理によって得られる効果を奏する限りにおいて、その条件を適宜変更できることは言うまでもない。
次に、本発明に係る接続部品用アルミニウム合金板およびその製造方法について、本発明の要件を満たす実施例と本発明の要件を満たさない比較例とを比較して具体的に説明する。
[試料作製]
下記の方法により、図1(a)に示す第1実施形態に係る電極部材1aに対応する試料と、図1(b)に示す第2実施形態に係る電極部材1bに対応する試料と、を作製した。
(基板の作製)
厚さ0.1mmのCu−Fe−P系銅合金板(KLF194H、株式会社神戸製鋼所製)を、プレス加工して、所定の形状の基板を作製した。
作製した基板を、めっき前処理として脱脂液に浸漬させて、対極としてステンレス304を用い、基板側がマイナスとなるようにして直流電圧を印加して30秒間電解脱脂を行った。その後、10%硫酸水溶液に10秒間浸漬させた。
(Niめっき膜の形成)
次に、対極としてNi板を用い、電流密度:5A/dmで、下記成分、液温50℃のワット浴により、基板の表面(全面)に、表2に示す膜厚のNiめっき膜を形成させた。
なお、Niめっき膜の膜厚は、ダミー基板へのめっきにより算出したNiのめっき速度に基づいて、めっき時間を調整することで制御した。
Niめっき浴成分
硫酸Ni:250g/L
塩化Ni: 40g/L
硼酸 : 35g/L
添加剤B: 3ml/L
添加剤C:10ml/L
(Cuフラッシュめっき膜の形成)
次に、対極としてCu板を用い、電流密度:5A/dmで、下記成分、液温25℃の硫酸銅めっき浴により、前記Niめっき形成処理後の基板の表面(全面)に、表2に示す膜厚のCuフラッシュめっき膜を形成させた。
なお、Cuフラッシュめっき膜の膜厚は、ダミー基板へのめっきにより算出したCuのめっき速度に基づいて、めっき時間を調整することで制御した。
Cuフラッシュめっき浴成分
硫酸銅 :200g/L
硫酸 : 50g/L
塩素イオン: 30mL/L
(Agめっき膜の形成)
次に、対極としてAg(純度99.99%)板を用い、電流密度:5A/dmで、下記成分、液温50℃のシアン浴により、表1および表2に示す膜厚のAgめっき膜を形成させた。
なお、Agめっき膜の膜厚は、ダミー基板へのめっきにより算出したAgのめっき速度に基づいて、めっき時間を調整することで制御した。
Agめっき浴成分
シアン化銀カリウム(I):50g/L
シアン化カリウム :40g/L
炭酸カリウム :35g/L
添加剤A :3ml/L
なお、図1(a)に示す第1実施形態に係る電極部材1aに対応する試料の作製については、上記のNiめっき膜の形成およびCuフラッシュめっき膜の形成という工程を実施していない。
(加熱処理工程:結晶配向調整処理)
上記方法によって作製した試料に対し、アズワン(株)製定温乾燥機OF−450を用い、大気中にて表1および2に示す条件での加熱処理を行い、Agめっき膜の結晶配向性を調整する処理を行った。
(XRD測定)
上記方法によって作製した試料に対し、(株)リガク製X線回折装置SmartLabを用いるとともに、X線としてCu−Kα線を用いてAgめっき膜のX線回折パターンを2θ/θ法により測定した。得られた回折パターンを解析し、Ag(111)面由来のピーク(2θ=38.3°付近)最大強度(cps単位)と、Ag(200)面由来のピーク(2θ=44.5°付近)最大強度をそれぞれI111、I200とし、ピーク強度比I111/I200を算出した。
なお、例として、X線回折装置により測定した一部の試料の結果を、図3(実施例2の結果)および図4(比較例1の結果)に示す。
(ワイヤボンド性評価)
上記方法によって作製した試料に対し、電極部材のアセンブリ時の熱の影響を模擬する目的で、200℃に保持したホットプレート(アズワン(株)製デジタルホットプレートHP−1SA)上で3時間の加熱を行った。
その後、マニュアルボンダ(KULICKE and SOFFA INDUSTRIES社製、Model 4127)を用いて、線径φ25μmの金(純Au)線(田中貴金属工業製)をボンディングワイヤとしてワイヤボンディングした。そして、光学顕微鏡で観察しながら金線の中央をピンセットで掴んで引っ張ることにより試験を行った。その結果、金線が試料のボンディング箇所から剥離することなく金線を切ることができた場合をワイヤボンディング性が良好(OK)であると評価した。また、少なくとも一方のボンディング箇所から金線が剥離した場合、金線が試料の表面に圧着せずワイヤボンディングできなかったもの、およびAgめっきと下地との間で剥離が起こったものを不良(NG)であると評価した。
ワイヤボンド性評価試験は、各試料について10箇所で測定し、NGが無く、すべて良好に接着できたものを「◎」、NGが1箇所であるものを「○」、3箇所以下であるものを「△」とし、NGが4箇所以上のものを「×」とした。
表1に、第1実施形態に係る電極部材に対応する試料の作製条件、結晶配向性測定結果、ワイヤボンド性(WB性)評価結果を示す。
なお、本願の規定から外れる数値には*印を施した。
Figure 0006438643
No.1から5は、結晶の配向性を示す指標I111/I200が、本願の規定の範囲内であるため、いずれもワイヤボンド性に優れていた。つまり、アセンブリ時の熱の影響を受け難く、優れた耐熱性を発揮するものであることがわかった。
一方、No.6および7は、I111/I200が、本願の規定の範囲から外れていたため、ワイヤボンド性に問題があることがわかった。
表2に、第2実施形態に係る電極部材に対応する試料の作製条件、結晶配向性測定結果、ワイヤボンド性評価結果を示す。
なお、本願の規定から外れる数値には*印を施した。
Figure 0006438643
No.8から12は、結晶の配向性を示す指標I111/I200が、本願の規定の範囲内であるため、いずれもワイヤボンド性に優れていた。つまり、アセンブリ時の熱の影響を受け難く、優れた耐熱性を発揮するものであることがわかった。
No.13については、結晶の配向性は本願の規定範囲内であるが、めっき層の構成が本願の規定の範囲から外れていたため(密着性改善層としてのCuめっき層が存在しなかった)ため、Agめっき層と下地のNiめっき層との間で剥離が起こり、ワイヤボンド性に問題があることがわかった。
No.14および15は、I111/I200が、本願の規定の範囲から外れていたため、ワイヤボンド性に問題があることがわかった。
1a 第1実施形態に係る電極部材(電極部材)
1b 第2実施形態に係る電極部材(電極部材)
11 基板
12 Agめっき膜
13 Niめっき膜
14 Cuフラッシュめっき膜
S1、S13 Agめっき膜形成工程
S2、S14 加熱処理工程
S11 Niめっき膜形成工程
S12 Cuフラッシュめっき膜形成工程

Claims (2)

  1. CuまたはCu合金からなる基板と、前記基板の少なくとも片面側に形成された膜厚が0.1〜10.0μmのAgめっき膜と、を備えるとともに、前記基板と前記Agめっき膜との間において、前記基板側に膜厚が0.5μm以上のNiめっき膜を備え、前記Agめっき膜側に膜厚が0.1μm以上1.0μm未満のCuフラッシュめっき膜を備え、前記Cuフラッシュめっき膜と前記Agめっき膜とが接している電極部材であって、
    前記Agめっき膜について、X線としてCu−Kα線を用いて2θ/θ法により測定したX線回折パターンのAg(111)面由来のピーク最大強度I111と、Ag(200)面由来のピーク最大強度I200と、が下記式(1)を満足することを特徴とする電極部材。

    111/I200≦3.0 ・・・(1)
  2. 請求項に記載の電極部材の製造方法であって、
    CuまたはCu合金からなる基板に対してNiめっき膜を形成するNiめっき膜形成工程と、
    前記Niめっき膜形成工程の後に、前記Niめっき膜に対してCuフラッシュめっき膜を形成するCuフラッシュめっき膜形成工程と、
    前記Cuフラッシュめっき膜形成工程の後に、前記Cuフラッシュめっき膜に対してAgめっき膜を形成するAgめっき膜形成工程と、
    前記Agめっき膜形成工程の後に、80℃以上、300℃未満の加熱処理を施す加熱処理工程と、
    を含むことを特徴とする電極部材の製造方法。
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