JP6863409B2 - 銅合金板、めっき皮膜付銅合金板及びこれらの製造方法 - Google Patents
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Description
そして、この銅合金板の更なる低摩擦係数化(低挿入力化)を狙って、特許文献4に開示のものも提案している。特許文献4では、0.2〜1.2質量%のMgと0.001〜0.2質量%のPを含み、残部がCuおよび不可避不純物である組成を有する銅合金板を母材2とし、表面から前記母材2にかけて、厚みが0.3〜0.8μmのSn相6、厚みが0.3〜0.8μmのSn−Cu合金相7、厚みが0〜0.3μmのCu相8の順で構成されたリフロー処理後のめっき皮膜層5を有し、前記Sn相6のMg濃度(A)と前記母材2のMg濃度(B)との比(A/B)が0.005〜0.05であり、前記めっき皮膜層5と前記母材2との間の厚みが0.2〜0.6μmの境界面層4におけるMg濃度(C)と前記母材2のMg濃度(B)との比(C/B)が0.1〜0.3であるCu−Mg−P系銅合金Snめっき板を開示している。
このような知見の下、本発明は、銅合金板の表層部のMg濃度を適切に制御することにより、表面の酸化を抑制するとともに、めっき皮膜を形成した場合でもめっき皮膜中のMg濃度を低減させ、はんだ濡れ性の向上及び密着性の向上を図ったものである。
表面の酸化防止及びめっき皮膜へのMg拡散抑制の点からは、表面のMg濃度は、板厚中心部におけるMg濃度の30%以下(ただし、表面におけるMg濃度が0.1質量%以上の場合を除く)が好ましい。また、表層部と内部とでMg濃度が急激に変化しているため、表層部が薄く、銅合金の優れた機械的特性は維持される。
表層部において、表面からのMgの濃度勾配が1.8質量%/μm未満であると、上記のMg拡散を抑制する特性は飽和する一方で、相当の深さとなるまで所望のMg濃度にならず、Mg含有銅合金板としての特性が損なわれる。一方、Mgの濃度勾配が50質量%/μmを超えていると、板厚方向の中心部よりMg濃度の低い表層部が薄くなり過ぎて、Mgの拡散を抑制する効果が乏しくなる。
このめっき皮膜付銅合金板は、銅合金板の表面のMg濃度が低いことから、酸化Mgが少ないので、めっき皮膜の密着性に優れており、また、めっき皮膜中に拡散するMgも低減することができ、はんだ濡れ性に優れている。
めっき皮膜中のMgの平均濃度が銅合金板の板厚方向の中心部におけるMg濃度の10%を超えると、Mgの表面拡散による接触抵抗に及ぼす影響が大きくなる。
この製造方法では、Mg含有銅合金中のMgをまず表面部に拡散させて濃化させた後、その濃化した表面部を除去しているので、除去した後に形成される表層部は、Mg濃度が低く、酸化膜の発生も少ないので、はんだ濡れ性に優れる。
リフロー処理時のピーク加熱温度が230℃未満若しくは加熱時間が0.5秒未満ではリフロー処理そのものが行われない。加熱温度が330℃若しくは加熱時間が30秒を超えていると過剰加熱によりMgのめっき皮膜表面への拡散が進行し、はんだ濡れ性が低下する。
この実施形態のめっき皮膜付銅合金板1は、Mg及びPを含有する銅合金板10の表面に、Cu層21、Sn−Cu合金層22及びSn層23が順に積層されてなるめっき皮膜20が形成されている。
[銅合金板]
銅合金板10は、板厚方向の中心部において、0.3質量%以上1.2質量%以下のMgと、0.001質量%以上0.2質量%以下のPとを含み、残部がCuおよび不可避不純物からなる。
ここで、Mgは、Cuの素地に固溶して導電性を損なうことなく強度を向上させ、Pは、溶解鋳造時に脱酸作用があり、Mg成分と共存した状態で強度を向上させる。これらMg及びPは上記範囲で含有することにより、その特性を有効に発揮することができる。
この場合、Mgの含有量は、板厚の中心部では前述した0.3質量%以上1.2質量%以下であるが、表面のMg濃度は板厚の中心部のMg濃度の30%以下(0%以上)とされる。また、Mgの含有量は、表面から板厚の中心に向かって1.8質量%/μm以上50質量%/μm以下の濃度勾配が生じている。
表面の酸化防止及びめっき皮膜20へのMg拡散抑制の点からは、表面にMgが含有していなければよい(板厚の中心部のMg濃度の0%)が、板厚方向の中心部の30%以下であれば、Mg含有銅合金としての特性が表面でもある程度付与されるので好ましい。この表面におけるより好ましいMg濃度は、板厚方向の中心部に対して20%以下、さらに好ましくは15%以下である。
なお、この濃度勾配が生じている部分において、表面から板厚方向の中心部におけるMg濃度の90%となる厚さまでの範囲を表層部11とする。この表層部11は、厚さが0.6μm以下であり、好ましくは0.5μm以下、より好ましくは0.45μm以下である。この表層部11に対して、表層部11より内側の部分を母材内部12とする。
銅合金板10には、更に、0.0002〜0.0013質量%のCと0.0002〜0.001質量%の酸素を含有していてもよい。
Cは、純銅に対して非常に入りにくい元素であるが、微量に含まれることにより、Mgを含む酸化物が大きく成長するのを抑制する作用がある。しかし、その含有量が0.0002質量%未満ではその効果が十分でなく、一方、0.0013質量%を越えて含有すると、固溶限度を越えて結晶粒界に析出し、粒界割れを発生させて脆化し、曲げ加工中に割れが発生することがあるので好ましくない。より好ましい範囲は、0.0003〜0.0010質量%である。
更に、銅合金板に、0.001〜0.03質量%のZrを含有していてもよい。
Zrは、0.001〜0.03質量%の添加により、引張強さ及びばね限界値の向上に寄与し、その添加範囲外では、効果は望めない。
めっき皮膜20は、銅合金板10から表面にかけて、厚さが0μm〜1μmのCu層21、厚さが0.1μm〜1.5μmのSn−Cu合金層22、厚さが0.1μm〜3.0μmのSn層23の順で構成されている。
Cu層21の厚さが1μmを超えると、加熱時に、めっき皮膜層内部に発生する熱応力が高くなり、めっき皮膜20の剥離が生じるおそれがある。このCu層21は存在しない場合もある。
Sn−Cu合金層22は、硬質であり、その厚さが0.1μm未満では、コネクタとしての使用時の挿入力の低減効果が薄れて強度が低下し、厚さが1.5μmを超えると、加熱時に、めっき皮膜20に発生する熱応力が高くなり、めっき皮膜20の剥離が生じるおそれがある。
Sn層23の厚さが0.1μm未満では、はんだ濡れ性が低下し、厚さが3.0μmを超えると、加熱した際にめっき皮膜20内部に発生する熱応力が高くなるおそれがある。
めっき皮膜20中のMgの平均濃度は、銅合金板10の板厚方向の中心部におけるMg濃度の10%を超えると、めっき皮膜中のMgが表面に拡散してはんだ濡れ性を低減させるおそれがある。めっき皮膜20中のMgの平均濃度は、銅合金板10の板厚方向の中心部におけるMg濃度の5%以下がより好ましく、3%以下がさらに好ましい。
以上のように構成されるめっき皮膜付銅合金板1を製造する方法について説明する。
このめっき皮膜付銅合金板1は、成分組成が0.3〜1.2質量%のMgと0.001〜0.2質量%のPを含み、残部がCuおよび不可避不純物である組成を有する銅合金母材を製造し(銅合金用母材製造工程)、得られた銅合金母材に表面処理を施した(表面処理工程)後、めっき処理し(めっき処理工程)、リフロー処理する(リフロー処理工程)ことにより、製造される。
(銅合金母材製造工程)
銅合金母材は、上記の成分範囲に調合した材料を溶解鋳造により銅合金鋳塊を作製し、この銅合金鋳塊を熱間圧延、冷間圧延、連続焼鈍、仕上げ冷間圧延をこの順序で含む工程を経て製造される。本実施例では、板厚を0.2mmとした。
得られた銅合金母材に表面処理を施す。この表面処理は、銅合金母材中のMgを表面部に拡散させて濃化するMg濃化処理と、Mgが濃化した表面部を除去する表面部除去処理とを有する。
Mg濃化処理としては、銅合金母材を酸素やオゾン等の酸化性雰囲気下で所定温度に所定時間加熱する。この場合の加熱温度、加熱時間は、100℃以上で再結晶が生じない時間内で実施すればよく、その中から、設備制約や経済性等を勘案した任意の温度で実施すればよい。例えば、300℃で1分、250℃で2時間、あるいは200℃で5時間など、低温であれば長時間、高温であれば短時間であればよい。酸化性雰囲気の酸化性物質濃度はたとえばオゾンであれば5〜4000ppmであればよく、望ましくは10〜2000ppm、さらに望ましくは20〜1000ppmであればよい。オゾンを使用せず酸素を使用する場合は、オゾンのみを使用した場合に対し2倍以上の雰囲気濃度が望ましい。オゾン等酸化性物質と酸素を混合して使用してもよい。なお、Mg濃化処理の前に、機械研磨などによるひずみや空孔の導入など、Mgの拡散を促進させるための処理を実施してもよい。
次に、この銅合金板10の表面にめっき皮膜20を形成する。
銅合金板10の表面に脱脂、酸洗等の処理をすることによって、汚れおよび自然酸化膜を除去した後、その上に、Cuめっきを施してCuめっき層を形成し、次に、Cuめっき層の表面にSnめっきを施してSnめっき層を形成した後に、リフロー処理することにより、銅合金板10の表面から順に、Cu層21、Sn−Cu合金層22、Sn層23が形成される。なお、上記Cuめっき及びSnめっきは、それぞれ純銅及び純錫のめっきとすることが望ましいが、本発明の作用効果を損なわない範囲であれば、それぞれ他の元素を含んだCu合金めっき及びSn合金めっきとしても良い。
各めっき層は、めっき皮膜を電流密度0.1A/dm2以上60A/dm2以下の電解めっきで形成する。電解めっき時の電流密度が0.1A/dm2未満であると成膜速度が遅く経済的でない。電流密度が60A/dm2を超えていると拡散限界電流密度を超え、欠陥の無い皮膜を形成できない。
Cu又はCu合金めっき条件の一例を表1に、Sn又はSn合金めっき条件の一例を表2に示す。
次に、これらのめっき層を形成した銅合金板10に対し、加熱ピーク温度230℃以上330℃以下で、その加熱ピーク温度に0.5秒以上30秒以下保持した後、60℃以下の温度となるまで冷却するリフロー処理を施す。
このリフロー処理を施すことにより、銅合金板の表面から、厚さが0μm〜1μmのCu層21、厚さが0.1μm〜1.5μmのSn−Cu合金層22、厚さが0.1μm〜3.0μmのSn層23の順で構成されためっき皮膜20が形成される。なお、このリフロー処理において、Cuめっき層のCuの全部がSnめっき層のSnと合金化して、Cu層21としては形成されない場合もある。
そして、表面に酸化Mgが生じにくいので、はんだ濡れ性にも優れたものとなる。
0.3質量%以上1.2質量%以下のMgと、0.001質量%以上0.2質量%以下のPとを含み、残部がCuおよび不可避不純物からなる鋳塊を用意し、常法により熱間圧延、中間焼鈍、冷間圧延等を経て、板状の銅合金母材を作製した。
次に、この銅合金母材に対して、酸化性雰囲気下で加熱温度200〜300℃、加熱時間1分〜5時間の範囲内で種々条件を変えて加熱することによりMg濃化処理を施した後、表面部除去処理を行うことにより、表層部に種々のMg濃度勾配を有する銅合金板を作製した。
表面部除去処理は、物理研磨であればバフ研磨、化学研磨であれば硫酸と過酸化水素混合水溶液にポリオキシエチレンドデシルエーテルを添加した研磨液に浸漬、電解研磨であればリン酸水溶液に対極としてSUS304を使用して通電することで研磨することを実施した。
比較例として、銅合金母材に対するMg濃化処理及び表面部除去処理を施さなかったものも作製した。
そして、これらの銅合金板の表面及び板厚方向の各部におけるMg濃度を測定した。
この銅合金板に対するMg濃度の測定は、板厚方向のMg濃度についてはX線光電子分光法(XPS)における深さ方向の濃度プロファイルより測定した。XPSの測定条件は下記の通りである。
(測定条件)
前処理:アセトン溶剤中に浸漬し、超音波洗浄機を用いて38kHz 5分間 前処理を行う。
装置:ULVAC PHI X線光電子分光分析装置
PHI5000 VersaProbe
スパッタリングレート:100Å/min
スパッタリング時間:100分
なお、上記のXPSにおける深さはSiO2換算深さであるため、別途断面方向からのTEM−EDXにより測定したデータと比較することで、XPS深さ方向濃度プロファイルにおけるSiO2換算深さを実深さに換算した。母材板厚方向中心部のMg濃度は、表面からMg濃度が増加している表層部領域までを十分に除去したMg濃度の安定している領域より、中心を含む部分を採取し、高周波誘導結合プラズマ発光分光分析法(ICP−AES)にて測定した。
リフロー処理は、めっき層を230℃以上330℃以下の範囲内の温度に加熱後、60℃以下の温度となるまで冷却した。
このめっき皮膜に対するMg濃度の測定は、上記の銅合金板の場合と同様、XPSによる表面からの深さ方向の濃度プロファイルから求めた。
(フラックス塗布)
フラックス:25%ロジン−エタノール、フラックス温度:室温、フラックス深さ:8mm、フラックス浸漬時間:5秒、たれ切り方法:ろ紙にエッジを5秒当ててフラックスを除去し、装置に固定して30秒保持
(はんだ付け)
はんだ組成:千住金属工業株式会社製 Sn−3.0%Ag−0.5%Cu、はんだ温度
:240℃、はんだ浸漬速さ:10±2.5mm/秒、はんだ浸漬深さ:2mm、はんだ浸漬時間:10秒
得られた荷重/時間曲線より、浸漬開始から表面張力による浮力がゼロ(即ちはんだと試料の接触角が90°)になるまでの時間をゼロクロス時間(秒)とした。はんだ濡れ性は、ゼロクロス時間が2秒未満であったものをA、2秒以上4秒未満であったものをB、4秒以上であったものをCとした。
表面硬度はめっき皮膜を形成していない裸材(銅合金板)をビッカース硬度計を用いて、荷重0.5gfと10gfにおける硬度を測定し、荷重0.5gfで計測した硬度が、荷重10gfで計測した硬度の80%以上であったものをA、80%未満であったものをCとした。
表3及び表4に、裸材(銅合金板)における評価結果を、表5及び表6に、Cuめっき及びSnめっきした後リフロー処理したリフローSnめっき材における評価結果を示す。いずれの表においても、バルクMg濃度は板厚中心部におけるMg濃度、表面Mg濃度は表面部除去処理を行った段階での銅合金板表面のMg濃度で単位は質量%、対バルク濃度比は表面Mg濃度のバルクMg濃度に対する比率で単位は%、表層部厚さは銅合金板の表面からMg濃度が板厚中心部濃度の90%に初めて達するまでの厚さで単位はμm、濃度勾配は表層部におけるMg濃度の勾配で単位は質量%/μmであり、この表層部厚さ及び濃度勾配はXPSによるMg成分の深さ方向濃度プロファイルから算出される。図2はそのプロファイルの一例であり、表4のバルクMg濃度が0.7質量%、濃度勾配が6.3質量%/μmのサンプルに関するものである。この例を含め、表3及び表4の各試料では、表面Mg濃度がいずれも実質0%となるように調整した。一方、表5及び表6の各試料では、種々の表面Mg濃度の銅合金板にめっき皮膜を形成した。濃度勾配は、プロファイルにおける表面の濃度と、板厚中心部濃度の90%に初めて達する点を結んだ直線の勾配を意味する。すなわち、深さ方向濃度プロファイルにおいて、表面から板厚中心部濃度の90%に初めて達する点までのMg濃度変化が、局所的な変動はあっても概ね一定勾配の直線とみなせる場合、そのプロファイルの勾配を濃度勾配とする。なお、表5及び表6においてCuめっき層の厚さの単位はμmであり、Cuめっき層の厚さが「0」とあるのは、Cuめっきは施さないで、Snめっき処理のみ行った例である。Snめっき層の厚さは1μmとした。
実施例1と同様の方法でバルクMg濃度1.2質量%の材料に対して種々の濃度勾配を有する材料を作製したのち、実施例1と同様の方法でめっきし、めっき材を作製した。作製しためっき材のSnめっき層中のMg濃度およびはんだ濡れ性を確認した。Snめっき層中のMg濃度は実施例1と同様の条件でXPSにて測定した。結果を表7に示す。
実施例1と同様の方法で、バルクMg濃度0.3質量%、濃度勾配1.8質量%/μmの試料を作製した。作製の際には、前記表面部除去処理における表面部除去量を変量させることで、濃度勾配は同じであるが、表面Mg濃度の異なる試料とした。作製した試料に実施例1と同様の方法でめっきを行いめっき材を作製し、めっき材のめっき密着性およびはんだ濡れ性を測定した。結果を表8に示す。
実施例1と同様の方法で、銅合金板の板厚中心部のMg濃度(バルクMg濃度)1.2質量%で表層部に各種Mg濃度勾配をもち、表面Mg濃度が0質量%に調整された銅合金板(裸材)を作製したのち、各種金属めっき層を1層のみ形成した。本実施例はめっきのみを実施し、リフローは行わなかった。めっき層の金属種はSn、Cu、Zn、Ni、Au、Ag、Pdとした。めっき電流密度はすべて3A/dm2でめっき皮膜の厚さは1μmとした。なお、各種めっき浴は一般的に使用される酸性、中性、アルカリ性浴のいずれを使用してもよい。本実施例ではSn、Cu、Zn、Ni、Pdは酸性浴を、Au、Agはアルカリ性浴を使用した。
上記手順で作製した試料のはんだ濡れ性、めっき被膜の密着性を評価した。評価方法および判定方法は実施例1と同様である。
その評価結果を表9に示す。
なお、実施例では1層のみのめっき皮膜であるが、実施形態を制限するものではなく、コスト低減や特性のさらなる向上等を目的として加熱等の処理により各種金属を合金化することや、多層のめっき皮膜構造としてもよい。例えば、上記のCuめっきとSnめっきの組合せにおいて、何らかの特性上の都合によりリフロー処理を実施できない場合、純錫めっきでは下地の銅(銅合金板又はCuめっき層)との間で経時的に意図せざる合金層を形成することがあり、その合金層に起因するめっき内部応力等の要因によりウイスカが発生する恐れがある。その場合、ウイスカ抑制のために表層Snめっき層をSnとCuやAgなどとの合金めっき層にすることもできる。また、銅合金板の銅がめっき層(たとえば錫)に拡散し、合金形成することを防止するために、拡散を抑制する中間層(たとえば電解ニッケルめっき層)を形成することもできる。
10 銅合金板
11 表層部
12 母材内部
20 めっき皮膜
21 Cu層
22 Sn−Cu合金層
23 Sn層
Claims (8)
- 板厚方向の中心部において、0.3質量%以上1.2質量%以下のMgと、0.001質量%以上0.2質量%以下のPとを含み、残部がCuおよび不可避不純物からなる銅合金板であって、表面におけるMg濃度が板厚中心部におけるMg濃度の30%以下(ただし、表面におけるMg濃度が0.1質量%以上の場合を除く)であり、該表面から前記板厚中心部におけるMg濃度の90%となるまでの深さの表層部は、前記表面から板厚方向の中心に向かって1.8質量%/μm以上50質量%/μm以下の濃度勾配でMg濃度が増加していることを特徴とする銅合金板。
- 前記表層部の厚さは、0.6μm以下であることを特徴とする請求項1に記載の銅合金板。
- 請求項1又は請求項2に記載した銅合金板の前記銅合金板の前記表層部の上にめっき皮膜が形成されていることを特徴とするめっき皮膜付銅合金板。
- 前記めっき皮膜中のMgの平均濃度は前記銅合金板の板厚方向の中心部におけるMg濃度の10%以下であることを特徴とする請求項3記載のめっき皮膜付銅合金板。
- 前記めっき皮膜が、錫、銅、亜鉛、ニッケル、金、銀、パラジウムおよびそれらの合金のうちから選ばれる1つ以上の層からなることを特徴とする請求項3又は請求項4に記載のめっき皮膜付銅合金板。
- 請求項1又は請求項2に記載の銅合金板を製造する方法であって、Mgを表面に拡散させて濃化させるMg濃化処理と、Mgが濃化した表面部を除去して前記表層部を形成する表面部除去処理とを有することを特徴とする銅合金板の製造方法。
- 請求項3から請求項5のいずれか一項に記載のめっき皮膜付銅合金板を製造する方法であって、前記めっき皮膜を電流密度0.1A/dm2以上60A/dm2以下の電解めっきで形成することを特徴とするめっき皮膜付銅合金板の製造方法。
- 前記めっき皮膜に錫を含んでおり、前記電解めっき後、加熱ピーク温度が230℃以上330℃以下、前記加熱ピーク温度での加熱時間が0.5秒以上30秒以下でリフロー処理することを特徴とする請求項7記載のめっき皮膜付銅合金板の製造方法。
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