JP4566082B2 - 先めっき電気配線接続用銅合金板 - Google Patents

先めっき電気配線接続用銅合金板 Download PDF

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Description

本発明は、例えば自動車の電気配線接続箱(Junction Box、Junction Block、あるいは略称JB、リレーボックス、あるいは略称RB)用バスバーなどの電気配線接続用銅合金板、特に導電率、耐力に優れ、電気化学マイグレーションに対する抑制効果を有する先めっき電気配線接続用銅合金板に関する。
この種の電気配線接続箱は、水分介在による電気化学マイグレーション防止が求められている。具体的にはJBあるいはRBにおいて、平面上に配置されたバスバーと称する通電用銅合金板の絶縁性低下防止である。
これらの銅合金板は、耐食性向上及び電気接点部の低接触抵抗維持のために、すずあるいはすず合金めっきなどの表面被覆が行われている(例えば下記特許文献1参照)。これらの表面被覆において、主に生産性向上による低コスト化のため、先めっきが多用されている。
このような電気配線接続箱では、正負両極の電位を持ったバスバーが隣り合う回路配置を取らざるを得ない。近年は特に小型化要請によりバスバー間隔を狭める傾向にあり、さらには使用電圧の高電圧化検討(14Vから42Vへの昇圧)が行われていることから、バスバー素材そのものの電気化学的マイグレーション抑制が特に重要である。
通常、平面配置されたバスバー間には、リブと称するバスバー板厚よりも高さがわずかに高いナイロン等樹脂性の絶縁隔壁が設けられているが、電気化学的マイグレーション現象は、この絶縁隔壁の有無に関係なく発生する。これがいわゆる絶縁隔壁の絶縁抵抗低下を引き起こすトラッキング現象とは異なる点である。絶縁隔壁の有無に関わらず、隣り合ったバスバー間に表面張力などで水滴が付着すると、そこを通して電気化学的マイグレーション現象が発生し、高電位側バスバーからバスバー金属成分が溶出する。
バスバー金属成分の溶出は特に上述の最外層にすず又はすず合金めっきを施したバスバーで顕著である。なぜなら、先めっき銅合金板からプレス打ち抜きされたバスバーの切断面は、素材(母材)が剥き出しで、すずめっきと銅合金の間に大きな接触電位差が生じている状態であり、高電位側バスバーにおいてはめっきを施さない状態よりもさらに溶出が進行しやすいからである。従って、バスバー用母材においては、すずめっきが施されても金属成分が溶出しにくい性質と、すずめっき自体の長期信頼性を保証する性能が必要とされている。ここで、すずめっきの長期信頼性とは、すずめっきが合金化しにくく接触信頼性が低下しにくいことを意味する。
なお、電気配線接続箱のバスバー用銅合金板に関し、従来の技術としては下記特許文献2がある。ただし、特許文献2は、すずめっきなどの表面被覆が施されていないバスバー間に絶縁隔壁を持つ構成での絶縁抵抗低下、すなわち耐トラッキング性を向上させた銅合金を開示したもので、すずめっきを施したバスバーの電気化学的マイグレーションの抑制やすずめっきの長期信頼性については開示していない。
特開2004−68026号公報 特開2003−321720号公報
従って、本発明は、最外層にすず又はすず合金めっきを施した先めっき電気配線接続用銅合金板において、異種金属接触電位差による銅成分の溶出を抑制し、電気化学的マイグレーション発生に対する抑制効果の高い銅合金板を得ることを目的とする。また同時に、すずめっきの長期信頼性と、バスパー等の電気配線接続用銅合金板として求められる高い導電率及び耐力を有する銅合金板を得ることを目的とする。
本発明に係る先めっき電気配線接続用銅合金板は、Fe:1.7〜2.3%、Si:0.02〜0.2%、Sn:0.1%未満、P:0.01%未満、Ni:0.03%以下、Mn:0.03%以下、Zn:1〜4%及びMg:0.01〜0.4%、さらに残部がCu及び不可避不純物からなる銅合金の圧延を受けた面の最外層に、断面から観察した厚さが0.5μm以上の厚さのすず又はすず合金めっき層を有する。この銅合金は、Bi、As、Sb及びSがそれぞれ個部に0.003%以下、かつこれらの合計が0.005%以下、O含有量が10ppm以下、H含有量が20ppm以下に制限される。
前記銅合金は、必要に応じて、さらにPb:0.0005〜0.015%又は/及びAl:1%以下を含有する。
本発明に係る先めっき電気配線接続用銅合金板は、電気化学的マイグレーションを抑制できる。また、すずめっきの長期信頼性、高い導電率及び強度(耐力)など、JBバスバー材、特に従来よりも高電圧化されたJB用のバスバー材として必要とされる特性を兼ね備え、自動車用等の電気配線接続用銅合金板として好適である。
さらに、本発明に係る先めっき電気配線接続用銅合金は、すず又はすず合金による全面めっきを必要とせず、従来通りの先すずめっき工程をそのまま用いることができる利点があり、低コストで生産性よくJBバスバーを製造できる利点がある。
本発明に係る銅合金は電気化学的マイグレーションによる銅成分溶出を起こしにくい合金である。以下、銅合金の組成限定理由を説明する。
Fe;
Feは微細に析出して合金表面においては母材の銅と局部電池を成し、この合金の銅成分溶出を抑制する。しかし、2.3%を越えて含有すると粗大なFe粒子が晶出又は析出し、合金表面全面に均一に生じていた局部電池バランスが崩れ局所的な電位集中による銅溶出加速が生じる。一方、1.7%を下回ると鋳造時の鋳塊組織が微細化せず、粗大な粒界に熱間圧延時の外部せん断応力が集中し、容易に熱延割れが発生してしまう。従って、Fe添加量は1.7〜2.3%とする。望ましくは1.8〜2.2%で、この範囲では安定して微細鋳造組織が得られ、電気化学的マイグレーションによる銅溶出が抑制される。
Si、P;
Siは脱酸材として添加する。脱酸材としてはPが用いられることが多いが、本合金系を0.01%を越えるPが残留するようにP脱酸すると、微細なFe−P析出物が発生して焼鈍時の再結晶を抑制する。均一な再結晶組織が得られないと銅合金の局部電池集中が局所的に起こり、銅の溶出量が増加する。そのためP残留量は0.01%未満にする必要があり、Siで追加脱酸する。Siは再結晶を抑制するFe化合物を形成しない。追加脱酸のためには、Siが0.02%以上残留するまで添加する必要がある。しかしながら、0.2%を越えて残留するようになると、導電率が50%IACSを下回るようになり、通電電流容量の制約が大きくなる。従って、Si残留量は0.02〜0.2%とする。望ましくは0.03〜0.1%で、この範囲で適正脱酸及び均一再結晶組織が得られる。
Zn、Mg;
銅合金中に添加された固溶Znは銅よりも電気化学的に卑な電位にあるため、銅成分の溶出防止に効果がある。一方、同じくMgに関しても同様な効果がある。しかしながら、十分なFe添加で銅溶出が抑制された本合金では、Zn及びMgをそれぞれ単独で添加しても、Fe添加で得られた効果を越える抑制効果は発揮できない。しかしながら、Fe、Mg、Znを同時に添加すると、銅成分溶出抑制に相乗の効果を発揮する。このうち、Znの適正添加量は1〜4%である。1%を下回るとFe、Mgを共添してあっても十分な銅溶出抑制効果が得られず、4%を越えて添加されると導電率が50%IACSを下回り、通電電流許容量に制約を生じる。望ましくはZn:2〜3%である。Mgの適正添加量は0.01〜0.4%である。0.01%を下回るとFe、Znを共添してあっても十分な銅溶出抑制効果が得られず、0.4%を越えて添加されると導電率が50%IACSを下回り、通電電流許容量に制約を生じる。望ましくはMg:0.1〜0.3%である。本合金系に対してはMgとZnは前述の添加量範囲で必ず共添しなければならない。
Sn;
本合金はFe析出やMg、Znの固溶元素により、強度を確保する合金系であるが、Snの追加添加によりさらに強度(耐力)を向上させることができる。これはバスバーの回路幅低減、つまり小型化と使用材料削減に効果がある。しかしながら、Snが0.1%を越えて添加されると導電率が50%IACSを下回る。従って、Sn添加量は0.1%未満とする。この範囲で導電率50%IACS以上を保ってかつ強度向上に効果がある。
Ni;
Niは不可避不純物として混入し、あるいは上記銅合金において粒界を強化し熱間圧延時の割れを防止する効果があるため、必要に応じて添加される。しかし、0.03%を越えると効果が飽和し導電率の低下を引き起こす。従って、含有量は0.03%以下とする
Mn;
Mnは不可避不純物として混入し、あるいは上記銅合金において粒界を強化し熱間圧延時の割れを防止する効果があるため、必要に応じて添加される。しかし、0.03%を越えると効果が飽和し導電率の低下を引き起こす。従って、含有量は0.03%以下とする
Pb;
Pbは不可避不純物として混入し、あるいは切削性及びプレス打ち抜き性向上のために必要に応じて添加される。Pbは最終製品板の各特性に影響を与えないが、0.015%を越えて添加されると、粒界に偏析して熱間圧延時に割れが発生する。一方、0.0005%未満では上記作用が得られない。従って、Pbの含有量は0.015%以下とし、上記作用を必要とする場合は0.0005%以上含有させる。
Al;
Alは本合金系の銅溶出抑制に最も効果のある元素であり、追加添加することによって、さらに銅溶出抑制効果を強化できる。しかしながら、導電率低下に与える影響が大きく、さらにはSnめっき剥離も引き起こす可能性があるために、その添加量上限は1%である。1%を越えると導電率が50%IACSを下回り、かつすずめっきの剥離を生じる。従って、総量1%以下に規制する。望ましくは0.6%以下である。
Bi〜H;
これらの元素は不可避不純物として混入する。Bi、As、Sb及びSは粒界に偏析し熱間圧延時に割れを発生させるため、それぞれ個別に0.003%以下、合計で0.005%以下に制限することが望ましい。一方、O、Hが多いと鋳塊にブローホールが発生し、またOが多いと溶湯中に酸化物が大量に発生して湯流れを阻害するため、O含有量は10ppm以下、H含有量は20ppm以下に制限することが望ましい。
続いて、本発明に係る先めっき電気配線接続用銅合金板のすず又はすず合金めっきについて説明する。
すず又はすず合金めっきは低コストで電気接点の低接触抵抗維持を可能にする唯一のめっきである。また、高電圧が印可されるバスバーの場合、表面を被覆するすずめっきがなければ、高電位側バスバーにおいて銅成分の溶出が全面で発生し始めるために、短絡状態へと転移しやすくなる。従って、本銅合金板にすず又はすず合金めっきは必須である。
一方、銅合金板の全面がすずめっきで覆われていれば、銅成分の溶出は抑制されるが、バスバーは低コスト化の面から先めっき材をプレス打ち抜きして作製されるのが通常であり、プレス切断面は素材が剥き出しになる。ここはすず層と素材が異種金属接触を起こす部分で最も溶出が進行しやすく、さらには最も電極間が狭く溶出銅の再析出による短絡が生じやすい。そのため、通常のJBに多用される黄銅(C2600)ですら、溶出・再析出した水酸化銅化合物がバスバー間を短絡し発煙状態に至る場合がある。
従って、短絡(リーク)現象を抑制するには、電気化学的マイグレーションによる銅成分溶出を起こしにくい銅合金(本発明に係る銅合金)と、すず又はすず合金めっきを組み合わせる必要がある。また、接点の低接触抵抗を維持しかつバスバー全面での銅成分の溶出を防止するには、すず又はすず合金めっきは断面から測定して0.5μm以上の厚さが必要である。なお、すず合金めっきとしては、すず−銀合金めっき、すず−銅合金めっきなどを用いることができる。
また、本発明に係る銅合金板は、バスパー等の電気配線接続用銅合金板として求められる高い導電率、すずめっきの長期信頼性及び耐力を有している。以下、これらの特性について説明する。
導電率;
導電率は、通電電流許容値の指標である。通電経路として使用されるバスバー用銅合金にはある程度以上の導電性が必要である。JBとして多用される黄銅(C2600)は導電率27%IACSであるが、JBの小型化要請に応えるためにはC2600に対し、約2倍の導電率50%IACSが必要であることがわかっている。
すずめっきの長期信頼性;
母材の銅の拡散により最外層のすずめっきが全面、硬質で脆い銅−すず合金層に変化してしまう場合がある。表面の軟質なすずが消失すると接触抵抗が増大して接触信頼性が低下する。そのため、組成を適正化して、すずめっきの銅−すず合金化を抑制する必要がある。Mg、Zn、Alなどは銅溶出防止に効果のある元素であるが、同時に下地めっきを施さずに直接母材にすず又はすず合金めっきを施した場合は、すずめっき中への銅拡散を促進する効果を有している。これらの元素以外の固溶元素、Sn、Si、Ni、Mnなども合金化を促進する元素である。導電率50%IACSを下回るまでこれら元素の固溶量を増大させるとすずめっきが合金化してしまい、低接触抵抗を維持するすずめっきの長期信頼性が確保できない。
なお、すず又はすず合金めっき層の下地に、必要に応じてニッケルめっき下地又は銅めっき下地を施すこともできる。これにより最外層のすず又はすず合金めっきが合金化しにくく、さらに接触信頼性が向上する。
耐力;
耐力は、メス端子接続用のバスバーオスタブ立ち上げ部の首部強度の指標である。バスバーの本来の目的は通電経路であり、フラットな形状を維持できる最低限の強度だけあれば良いことになるが、実際には外部接続のため、回路端部を平面配置したバスバーに対し垂直に立ち上げ、オス型端子タブとして使用する。このタブは板厚が代表的なもので0.64あるいは0.8mmであり、表面には低接触抵抗確保用の軟質なすずめっきが施してあるために、メス型端子を挿入する際、大きな抵抗力を受ける。またメスコネクタを嵌合する際に組み立て作業者がこじって挿入する場合もあり、いずれも耐力350N/mm以上はないと、オスタブ首部折れが生じる可能性がある。耐力350N/mm以上でこのような変形に対する十分な耐性が確保できることがわかっている。
表1〜4に示した組成の銅合金をクリプトル炉において、大気中で木炭被覆下に溶解、鋳造した。ここで鋳造可否を判断した。
次いで鋳塊を800〜970℃で30分保持後、加工率60%の熱間圧延を施し、厚さ18mmの板材を作製した。ここで熱間圧延で割れが発生していないか目視及び蛍光探傷法で判定した。なお、蛍光探傷法は、これら試験材全面にマークテック株式会社製浸透探傷用蛍光染料スーパーグローDN−2800IIを塗布、水洗・乾燥し、同じく現像剤のスーパーグローDN−600Sをスプレーして、現像後、この試験材に紫外線光を照射することによって行った。
Figure 0004566082
Figure 0004566082
Figure 0004566082
Figure 0004566082
次いで、この熱延材を次工程の面削機に導入し、この面削機のフライス刃の焼き付き有無を判断した。このときのフライス刃は台金をクロモリ系鋼とし、フライス刃の部分はタングステンカーバイトの超硬チップを銀ロウにて台金にロウ付けしてあり、刃の周速は6m/秒、切削量は1.5mm/一面である。切削油は用いず冷却用エタノールを滴下した。幅200mm×厚さ18mm×長さ180mmの寸法の熱延材を各合金毎に20個準備し、それらが全て厚さ15mmになるまで両面面削後、フライス刃の表面をSEM観察し、表面の焼き付き状況を調査した。刃表面に切り屑の溶着痕跡があれば、焼き付きがあったものと判断した。
以上の判断基準から本発明の製造可否を確認した。その結果を表5に示す。
No.24は鋳造可能であったが、Fe添加量が不足しており、鋳造組織の微細化効果が発揮されず、熱間圧延で割れが発生した。
No.36は鋳造可能であったが、Pb含有量が過剰で、低融点Pbが鋳造組織の粒界に偏析したため、熱間圧延で割れが発生した。
No.37は鋳造及び熱間圧延が可能であったが、Pb添加量が不足しており、熱延材面削時にフライス刃の焼き付きが発生したため、その後の工程を断念した。
No.38,39,40,41はそれぞれ個別にBi、As、Sb、Sが過剰であり、またNo.42はこれら不純物の総量が過剰であったために、鋳造は可能であったが、熱間圧延で割れが発生した。
No.26はSi添加量不足による脱酸不足で、No.43はO含有量が過剰で、溶湯中の各種添加元素の酸化物が多くなり、溶湯流動性が劣化、鋳造を断念した。
No.44は鋳造は可能であったが、H含有量が過剰で、鋳塊内部にブローホールを生じたため、熱間圧延以後の工程を断念した。
これに対し、本発明に規定する組成の範囲内のNo.1〜22(3,5,13,17〜19は欠番,以下同じ)と、範囲外のNo.23〜48のうちNo.23,25,27〜35,45〜48は、鋳塊健全性、熱延性が良好で容易に熱間圧延材が得られ、また、フライス刃の焼き付きが発生せず、その寿命延長が可能である。
Figure 0004566082
続いて、No.1〜22及びNo.23,25,27〜34、45〜48の熱延板を板厚1.28mmまで冷間圧延し、木炭シールで包んだ圧延材を電気炉中で540℃×2時間の条件で中間焼鈍した。次いでこの板材の酸化スケールを除去後、最終圧延で製品板厚0.64mmにした。さらに400℃の歪み取り焼鈍(仕上げ焼鈍)を硝石炉中浸漬20秒にて実施した。最後に付着した硝石及び酸化スケールを除去して最終製品とした。なお、いずれの板材も冷間圧延性は良好で最終製品板厚まで容易に作製できた。
上記の最終板厚0.64mmtのサンプルについて、電気すずめっきを施した。具体的には、硫酸第一錫40g/lit、硫酸100g/lit、クレゾールスルフォン酸30g/lit、ホルマリン5mlit/lit、分散剤20g/lit、光沢剤10mlit/litからなる錫めっき浴(20℃)で、電流密度2.5A/dmにてすずめっきを施した。めっき後サンプルを切り出し、断面をミクロトームで切断し、SEM撮影することによって断面から見たすずめっき厚さを測定した。各サンプルのすずめっき厚さを表6に示す。
続いて、各サンプルについて、下記要領にて、引張強度、耐力、導電率を測定し、銅溶出抑制効果、電気化学マイグレーション現象による短絡発生の有無、及びすずめっきの長期信頼性の検証を行った。その結果を表6に示す。
Figure 0004566082
[引張強さ、耐力]
JIS5号引張試験片を機械加工にて作製し、島津製作所製万能試験機UH−10Bで引張試験を実施して測定した。ここで耐力とはJIS Z2241で規定されている永久伸び0.2%に相当する引張強さである。
No.1〜22はいずれも耐力350N/mm以上が確保されている。
[導電率]
JIS H0505に規定されている非鉄金属導電率測定方法に準拠して、横川電機製ダブルブリッジ5752を用いた四端子法で行った。
No.1〜No.22はいずれも導電率50%IACS以上が確保されているが、No.25はSi添加量が過剰なため、No.27はZn添加量が過剰なため、No.29はMg添加量が過剰なため、No.31はSn添加量が過剰なため、No.34はNi添加量が過剰なため、No.35はMn添加量が過剰なため、No.45はAl添加量が過剰なため、導電率が50%IACSに達していない。
[銅溶出抑制効果]
バスバー用銅合金の圧延された面は両面ともすず又はすず合金めっきで被覆されプレス切断面は銅合金が剥き出しになっている状態では、めっき層と銅合金の間に異種金属接触電位差が生じている。正負両電位がかかっている二本のバスバー間に水分が介在し、この電位差を助長する方向に電流が流れた場合、高電位側のめっき−銅合金接触面から銅合金溶出が始まる。このような状態で介在水分の濃縮が起こるような状態(たとえば絶縁抵抗低下による自己発熱や高温環境による乾燥)になると、介在水分の電気伝導度が急速に上昇するとともに溶出金属が再析出し、ついには絶縁されていたバスバー間に短絡電流(リーク電流)が流れ始める。従って、水中浸漬した際のバスバーのめっき−銅合金接触面からどれだけ銅合金が消失したかを測定すれば、銅溶出抑制効果の検証が可能である。
具体的には、各サンプルから切断して得た厚さ0.64mm、幅6.0mm、長さ120mmの試験片(バスバー相当)2本を、プレス切断面が1.2mmの距離を隔てて平行に向かい合う様に同一平面上(MCナイロン樹脂板上)に配置する。2本の試験片間中央に1mm幅、高さ0.66mm、長さ100mmの棒状Mcナイロンを配置し、2本の試験片との間隔がそれぞれ0.1mm空くように設置する。試験片2本の両端とMCナイロン樹脂板両端を幅10mmのテフロン(登録商標)テープを巻き付けることによって固定する。2本の試験片に定電圧電源(菊水PAD55−35L)を接続し、2本の試験片間に直流42ボルトを印可する。この状態でMCナイロン樹脂板付き試験片を1リットルビーカーに貯めた50ppmNaCl水溶液中に浸漬する。5分間浸漬後、引き上げて大気中で5分間放置する。この5分浸漬・5分引き上げ乾燥を1サイクルとして10サイクル繰り返したのち、定電圧電源プラス側に接続した試験片を取り外し、6mm幅×0.64mm厚の面が観察面になるように樹脂埋め込みし鏡面研磨し、すずめっき層と母材の界面に発生したえぐれの深さを測定した。その結果を表6にあわせて示す。えぐれの深さが0.2mmを越える場合、銅溶出の抑制効果がないものとした。
表6に示すように、No.1〜No.22はいずれもえぐれ深さが0.2mm以下であった。これに対し、No.23はFe添加量が過剰なため、粗大なFe析出物・晶出物が発生し、不均一で局所的な銅溶出が促進され、母材断面は深くえぐれた。No.30はMg添加量不足、No.33はZn添加量不足で、銅溶出が抑制できなかった。No.46は再結晶が阻害され、不均一で局所的な銅溶出が促進され母材断面は深くえぐれた。
[電気化学マイグレーション現象による短絡発生の有無]
隣り合って配置されたバスバーに正負電位が印可され、そのバスバー間に水分が介在した場合は、上述のようにアノード側から主に銅成分が溶出し、介在水分が蒸発し濃縮する機会に再析出する。この銅、銅水酸化物及び銅酸化物の再析出物の架橋により、バスバー間に短絡電流(リーク電流)が流れ始める。従って、結露などを想定した介在水を与え、さらに乾燥させるサイクルを繰り返したとき、バスバー間にリーク電流が流れるか確認すれば、電気化学的マイグレーションによる短絡発生の有無が検証できる。
具体的には、各サンプルから切断して得た厚さ0.64mm、幅6.0mm、長さ140mmの試験片(バスバー相当)2本を一方の端部から20mmのところでR=0.3mmの90度曲げを行い、「く」の字型に加工する。この2本の試験片を折り曲げた20mmの部分が飛び出すように長さ100mmのMCナイロン樹脂板に固定する。固定する際には2本の試験片の長さ100mmの辺の部分が平行に1.2mmの間隔を開けて向かい合うように固定する。2本の試験片間中央に1mm幅、高さ0.66mm、長さ100mmの棒状Mcナイロンを配置し、2本の試験片との間隔がそれぞれ0.1mm空くように設置する。2本の試験片を固定したMCナイロン樹脂板両端に幅10mmのテフロン(登録商標)テープを巻き付けることによって固定する。2本の試験片に定電圧電源(菊水PAD55−35L)を接続し、2本の試験片間に直流42ボルトを印可する。この状態で飛び出した折り曲げ20mm長さの部分が水平になるように保持し、MCナイロン樹脂板付き試験片を1リットルビーカーに貯めた50ppmNaCl水溶液中に垂直に浸漬する。1秒間浸漬後、引き上げて大気中で5分間放置する。この1秒浸漬・5分引き上げ乾燥を1サイクルとして20サイクル繰り返し、この20サイクル中で試験片間に流れるリーク電流をペンレコーダで連続的に記録した。そのリーク電流(最大リーク電流値)を表6にあわせて示す。20サイクル中、リーク電流(最大リーク電流値)が0.5Aを越えると、電気化学的マイグレーションによるリーク電流を抑制する効果がないことがわかっている。
表6に示すように、No.1〜22はいずれも最大リーク電流値が0.5A以下であった。一方、No.28はZn添加量が不足しているため、銅溶出、最大リーク電流値とも規定値を満たすことはできなかった。同じくNo.30はMg添加量が不足しているため、銅溶出、最大リーク電流値とも規定値を満たすことはできなかった。No.32はMgが添加されていないため、Znの大量固溶により銅溶出は抑制されているが、最大リーク電流値は規定値を超えた。
また、No.47は銅合金は本発明の規定範囲内であるが、すずめっき厚さが薄いため、銅溶出のバリアとしての働きが弱く、異種金属接触面の銅母材えぐれ、すなわち断面における銅溶出量は抑制されているが、圧延面からの溶出を止められず、最大リーク電流値が高くなり不適であった。No.48はめっきを施さない場合であるが、やはり銅溶出は抑制できず、結果的にバスバー間の短絡現象を引き起こし、最大リーク電流値が大きくなった。
[すずめっきの長期信頼性]
バスバーオスタブなどの接点部の接触信頼性を長期にわたって確保するためには、その使用環境温度や自己発熱、自動車であればさらにエンジン・排気系発熱等にさらされても最外層のすず成分が合金化せず、純すず成分が最表面に残存していなくてはならない。これを再現する加熱促進試験を行った結果、どの程度純すず成分が最表面に残存しているか、定量化すればすず又はすず合金めっきの長期信頼性が評価できる。
具体的には、各サンプルから切断して得た厚さ0.64mm、幅100mm、長さ100mmの試験片を150℃の大気循環オーブンに500時間さらし、拡散を促進させる。これらの試験片表面を低倍率SEM(倍率50倍)で組成像撮影する。銅−すず合金層部分は組成像撮影でより黒く撮影され、白色に撮影される純すず成分とは明瞭に区別される。撮影区画20mm×20mmに対し、黒い部分(銅−すず合金層)が占める割合が50%を超えた場合は、合金層が最表面まで成長してきて接触抵抗が確保できない状態であることが分かっている。実施例に対し、黒色部分面積が50%を越えない場合を○(合格)、50%を越えた場合を×(不合格)として、すずめっきの長期信頼性を判定した。
表6に示すように、No.1〜22はいずれも○で、すずめっきの長期信頼性が確保できる。一方、No.25,27,29,31,33,35,45はそれぞれSi、Zn、Mg、Sn、Ni、Mn、Alが過剰で導電率も50%IACSを下回り、すずめっきの長期信頼性が確保できない。

Claims (3)

  1. Fe:1.7〜2.3%(質量%、以下同じ)、Si:0.02〜0.2%、Sn:0.1%未満、P:0.01%未満、Ni:0.03%以下、Mn:0.03%以下、Zn:1〜4%及びMg:0.01〜0.4%、さらに残部がCu及び不可避不純物からなり、不可避不純物のうちBi、As、Sb及びSがそれぞれ個部に0.003%以下、かつこれらの合計が0.005%以下であり、O含有量が10ppm以下、かつH含有量が20ppm以下である銅合金の圧延を受けた面の最外層に、断面から観察した厚さが0.5μm以上の厚さのすず又はすず合金めっき層を有する先めっき電気配線接続用銅合金板。
  2. 前記銅合金は、さらにPb:0.0005〜0.015%を含有することを特徴とする請求項1に記載された先めっき電気配線接続用銅合金板。
  3. 前記銅合金は、さらにAlを1%以下含有することを特徴とする請求項1又は2に記載された先めっき電気配線接続用銅合金板。
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