JP6053565B2 - 端子、端子材とその製造方法およびそれを用いる端子の製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、レーザ溶接された端子、レーザ溶接性に優れた端子材とその製造方法およびそれを用いる端子の製造方法に関する。
近年、自動車の燃費向上のために各構成部品の軽量化が求められている。そのため、自動車内のワイヤーハーネスなどに使用される電線の芯線を、銅もしくは銅合金より軽量の、アルミニウムもしくはアルミニウム合金に置き換えることが進められている。このアルミニウムもしくはアルミニウム合金電線(以下、単に「アルミニウム電線」と言う)の先端に圧着接続される端子は、通常、金属材料が使用されるので、電線の終端接続部ではこれらの接続を適切に行うことが必要となる。
一般に、機械強度やばね性などの観点から、端子は銅または銅合金製である。端子の圧着部では、電線導体のアルミニウムもしくはアルミニウム合金が露出しているため、アルミニウム電線と端子の接続部分に水分等が付着すると、アルミニウム電線のアルミニウムもしくはアルミニウム合金と端子の銅もしくは銅合金とは、異種金属間で電位差が異なるために腐食(電食)し、腐食が進行すると欠損を生じる恐れがあった。また、腐食の進行によって、電線及び端子の接続部に割れや接触不良が生じ、製品寿命が短くなっていた。
これらの問題を防止するためには、アルミニウムもしくはアルミニウム導体(以下、単に「アルミニウム導体」と言う)を外界から遮断することが望ましい。その例として、端子の圧着部全体を樹脂によりモールドする方式(例えば、特許文献1参照。)があり、腐食を確実に防止することができる。また、金属製キャップを電線導体に被せた後に圧着する手法により、アルミニウム導体を外界から遮断する技術(例えば、特許文献2参照)が開示されている。
これに対して本願出願人は、銅合金板材から打ち抜いて成形した端子基材の両端部をレーザ溶接によって突合せ溶接することにより端子の管体かしめ部を形成し、この管体かしめ部内にアルミニウム電線のアルミニウム導体を挿入した上でかしめることによって、前記導体を端子内に収納して電気的導通を取るとともに、異種金属接合である導体と管体かしめ部の接続部分が外部の水分と接触しない構造とすることを提案している。
しかし、銅や銅合金をレーザ溶接しようとする場合、銅や銅合金は、溶接用レーザ光として広く用いられている近赤外レーザ光の反射率が90%以上と高い(レーザ光の吸収性が低い)ためにレーザ溶接の効率が悪く、溶接速度を上げることができなかった(例えば、特許文献3参照)。
この点、特許文献4には、バスバーを構成するそれぞれ銅合金製のパターン部に別体のタブ端子部を当てがって、予めタブ端子部の基材上へSnめっきなどの処理を施しておくことによって銅合金のレーザ光吸収率を高める方法が提案されている。
特開2011−222243号公報 特開2004−207172号公報 特開2011−117048号公報 特開平10−334962
特許文献1に記載された技術では、モールド部が肥大するため、コネクタハウジングのサイズを大きくする必要が生じ、結果としてコネクタが肥大してしまう。そのため、このコネクタを用いた組み電線(例えば、自動車用ワイヤハーネスなど)全体を高密小型に成形することができなかった。また、モールド成形は圧着後に個々の圧着部に対して処理することが必要であり、組み電線製造の工程数が大きく増してしまい、かつ、個々の作業が煩雑である。
また、特許文献2に記載された技術では、圧着前に個々の導体へキャップを装着する工程が煩雑である上に、また、圧着時にワイヤバレルによりキャップを破壊してしまい浸水経路が生じてしまう恐れがあった。
特許文献4では、バスバーを構成するタブ端子部の銅合金基材の表面中央部へSnめっきなどの処理を施しておくことが提案されているものの、端子部材、特にそのプレス打ち抜き端部にそのような処理を施すことについては何ら検討されていない。
そこで、端子の形成する銅合金材に対して、特にその管体かしめ部においてレーザ光の反射率を低くする(レーザ光の吸収性を良くする)処理を行うことで、簡便な溶接方法であるレーザ溶接によって端子の管体構造を効率よく形成する方法が求められていた。
本発明は、レーザ溶接された端子、レーザ溶接性に優れた端子材とその製造方法およびそれを用いる端子の製造方法を提供することを課題とする。
本発明者らは前記課題に鑑み鋭意検討した結果、プレス加工によって打ち抜かれた端子材(いわゆるスケルトン)のプレス加工端面の形状に着目し、少なくともその端面とさらにはその近傍の端部にスズ(Sn)めっきを施した後に管体かしめ部形状に成形することで、当該端子材の管体かしめ部形成時におけるレーザ溶接性を著しく向上させることができることを見い出した。本発明は、この知見に基づいて完成するに至ったものである。
すなわち、上記課題は以下の手段により解決される。
(1)管体の内部空間に挿入される電線導体を圧着接合するための管体かしめ部を有する端子の展開図形状を有する、銅又は銅合金からなる端子材であって、前記端子材が管体かしめ部を形成する管展開部を有してなり、管展開部は、前記管体かしめ部とする際に互いに突き合わされて管体のレーザ溶接部となる端面を備え、突き合わされる前記端面とその周辺部にスズめっき層を有する、端子材。
(2)前記スズめっき層のめっき厚が1〜5μm±0.2μmであることを特徴とする前記(1)記載の端子材。
(3)管体の内部空間に挿入される電線導体を圧着接合するための管体かしめ部を有する端子の展開図形状を有する、銅又は銅合金からなる端子材であって、管体かしめ部を形成する管展開部を有し、該管展開部のそれぞれ端部の端面とその周辺部にスズめっき層を有してなる前記端子材の前記管展開部をそれぞれ湾曲させ、管展開部の端部の端面同士を突き合わせて管体形状に成形する工程、
この突き合わせた部分をレーザ溶接によって端子長手方向に接合し、前記管体かしめ部を形成する工程
をこの順に実施する端子の製造方法。
(4)前記スズめっき層のめっき厚が1〜5μm±0.2μmであることを特徴とする前記(3)記載の端子の製造方法。
(5)銅又は銅合金板材から、管体の内部空間に挿入される電線導体を圧着接合するための管体かしめ部を有する端子の展開図形状に端子材をプレス打ち抜きすることで、前記端子材に、管体かしめ部を形成する管展開部を設ける工程、
前記管展開部の、前記管体かしめ部とする際に互いに突き合わされて管体のレーザ溶接部となる端面とその周辺部にスズめっきを施してスズめっき層を設ける工程
をこの順に有してなる、端子材の製造方法。
(6)前記スズめっき層のめっき厚が1〜5μm±0.2μmであることを特徴とする前記(5)記載の端子材の製造方法。
本発明の端子によれば、前記スズ層がレーザ光の吸収性が高い(レーザ光の反射率が低い)ために効率よくレーザ溶接された溶接部を有してなり、レーザ溶接性に優れて生産性が高いことに加えて、高い接合強度を有するので、例えば自動車のワイヤハーネス用端子などとして好適である。
本発明の端子材によれば、前記スズ層がレーザ光の吸収性が高い(レーザ光の反射率が低い)ために効率よくレーザ溶接を行うことができるので、端子を簡便な方法で効率よく製造するのに好適である。
本発明の端子材の製造方法は、前記端子材を簡便な方法で効率よく製造することができる方法として好適である。
本発明の端子の製造方法は、前記端子を簡便な方法で効率よく製造することができる方法として好適である。
本発明の端子の管体かしめ部の幅方向断面を示した断面図である。 プレス打ち抜き後の端子材の管展開部の端部同士を突き合わせた状態を、その上に設けるSn層とともに示した一部拡大断面図である。 本発明の端子の好ましい一実施形態を示した斜視図である。 本発明の端子の管体かしめ部の長手方向断面を示した断面図である。 本発明の端子を用いて形成される電線の終端接続構造体の一例を示した斜視図である。 本発明の端子の製造中の一状態を模式的に示した斜視図である。 板材を打抜きプレスして作製したメス端子の成形前の端子材(連鎖型)の展開した状態を示した平面図である。 端子材を加工して管体かしめ部を成形した状態を示した斜視図である。
この発明の好ましい一実施形態を図面に基づいて説明する。なお、以下に示す実施形態は一例であり、本発明の範囲において、種々の実施形態をとり得る。
本発明によれば、図1に断面模式図で示すとおり、端子材の管体かしめ部(後述の図3、30)を形成する管展開部(101)の各々の端部(100)(すなわち、管展開部が端子材の基材から管展開部での幅方向に張り出した端部)上にスズ層(102)を設けることによって、レーザ光の吸収性が向上し(レーザ光の反射率が低下されて)、レーザ溶接を効率的に行うことができる。
本発明者らは、銅又は銅合金板材からプレス加工によって打ち抜いた端子材において、その管展開部(101)の端部(100)の端面の形状を検討した。その結果、図2にその一部断面模式図で示すとおり、前記端面の形状は、だれ面(111)、せん断面(112)、破断面(113)、バリ(114)の4つの領域によって構成されていることがわかった。
このように前記端面は複雑な形状を有しているが、その上にSn層(102)を例えばスズめっきを施すことで設けることによって、図2に示したように前記端面の全体を平滑であり、かつ、レーザ光吸収性が高い状態にすることができる。そして、このように前記端面を平滑であり、かつ、レーザ光吸収性が高い状態とすることによって、レーザ光照射時にレーザ光の吸収率を高く(レーザ光の反射率を低く)することによって、効率的にレーザ溶接を行うことができる。
そして、このように管展開部端部を平滑な状態にした場合、レーザ光が効率よく当てられるために溶接性が向上することに加えて、溶接後の接合強度も増加することがわかった。
ここで、銅又は銅合金製の端子材にSn層を設けると、Snはレーザ光の波長領域に対するレーザ光吸収率が高い(レーザ光反射率が低い)ため、レーザ溶接性が向上する。
その作用としては、次のように考えられる。まずSn層のスズがレーザ光のエネルギーによって溶融する。ついで、溶融したスズから熱エネルギーが伝播してその直下の基材の銅(Cu)が溶融する。レーザ光照射後には前記溶融した金属銅が金属スズとともに凝固し、接合が完了する。
この際、Sn層のスズは、レーザ光の照射によって溶融して、基材の銅又は銅合金の銅(Cu)成分とCu−Sn合金やCu−Sn化合物を形成するなどによって、基材の溶接部に取り込まれる。なお、溶融部の外側までSnが付着していても良く、この場合は、Snの一部は基材中に取り込まれずに表面に残留する。
本発明においては、このように溶接しようとする部分であるプレス加工端面を含むように、前記管展開部の端部にSn層を設ける。
また、めっきは、少なくともプレス打ち抜き加工した端子材の管展開部(101)の端面に付着していれば良いが、端子材の全面がめっきされていても良い。この内の、全面にめっきを施す場合は、プレス打ち抜き加工した端子材全体をめっき浴に浸漬してめっきを行う。一方、端面のみにめっきを施す場合は、めっきが不要な部分にマスクをしてからめっき浴に浸漬してめっきを行っても良い。
さらには、かしめ部(30)を形成する管展開部(101)の端部(100)を一旦馬蹄形状(∩状)に中間成形し、馬蹄形の両足に相当する両端部のみをめっき浴に浸漬することで、管展開部の端面とその周囲のみに部分めっきを行うことも可能である。この場合は、めっき完了後に、管展開部の端部が管状になるように再度プレス成形することになる。
ここで、Sn層の形成法には特に制限はなく、例えば、Snの電気めっき処理の他、無電解めっき法、溶融めっき法、蒸着法、イオンプレーティング法、スパッタリング法、化学的気相成長法、等の種々の皮膜形成技術を用いることができる。この内、操作性やコストなどの観点から、Snめっき処理を施してSn層を設けることが好ましい。
以下、このSnの電気めっき処理によるSn層形成について説明する。
Snめっき処理時の条件としては、例えば、電流密度を1〜5A/dmにすることが好ましい。このような低い電流密度でSnめっきを行うことによって、前記プレス打ち抜き端面の凹凸(図2に示した、だれ面(111)、せん断面(112)、破断面(113)、バリ(114)の4つの領域)を一様に平滑な状態とすることができる。ここで、「平滑な状態」とは、例えば図2に模式的に示したように、2つの対向するSnめっき層(102)側の表面が破断面やバリによる凹凸が埋められている状態を言う。
また、スズ電気めっき処理以外の前記他の方法は、それぞれ常法の条件に従って行うことができる。
本発明においては、プレス端面の底部、つまり図2では破断面(113)とバリ(114)との境界部から、Snめっき層の表面、つまり図2では2つの対向するSnめっき層側の表面までのSn層の厚さ、すなわち前記対向方向でのSn層の厚さ(高低差)が5μm以下であることが好ましい。Sn層の厚さは、さらに好ましくは1〜3μmである。
このSn層は、レーザ照射によるレーザ溶接後には、レーザ溶接部(後述の図3中、符号50)において基材の銅合金の表層に溶融されて取り込まれている。
Snめっき層の厚さが薄すぎると、レーザ光を吸収して熱に変換する量が少なくなり、溶接速度が低下する。一方、めっき層の厚さが厚すぎると、めっき層自体を溶かすエネルギーが必要となるため、レーザの出力上げる、もしくは加工時間を延ばす必要がある。その場合、スパッタが飛散する可能性が高くなり、溶接表面の凹凸が激しなり、管構造の内部を汚染してしまい電線圧着時の接触抵抗に悪影響を及ぼすことが考えられる。
本発明では、プレス加工によって銅もしくは銅合金板材もしくは条材から打ち抜かれた端子材であって、まだ、端子形状への成型加工もその後のレーザ溶接処理もされていない展開形状の端子材の所定の位置にSn層を設けることに関する。そして、基材である銅もしくは銅合金材の特定の位置に対して吸収率の高い材料としてSn層を配設することで、銅もしくは銅合金のレーザ溶接性を改善するものである。
ここで、Sn層は、図1や図2に示したように、対向する管展開部の端面のみ(図2に示した、だれ面(111)、せん断面(112)、破断面(113)、バリ(114)の4つの領域からなる面のみ)ではなく、その周辺部にも設けられていてもよい。あるいは、前記対向する管展開部の端面のみ(前記4つの領域からなる面のみ)に設けられていてもよい。
本発明においては、Sn層は、端子材の全体に形成させてもよい。用いられるSn量に応じて製造コストが掛かる点を考慮すると、レーザ溶接に供する部分であるプレス打ち抜き端面にSn層を形成させることが好ましい。例えばスズ電気めっき処理などのSn層形成の作業効率などの観点からは、プレス打ち抜き端面のみにSn層を設けてもよい。さらにはまた、例えば、スズ電気めっき処理の行い易さの観点から、プレス打ち抜き端面とその近傍を含めて具体的には図1に102として模式的に示した領域にSn層を設けてもよい。いずれにしても、管体かしめ部(30)形成部分に形成される端子材の管展開部(101)のそれぞれの端部(100)の端面を含むようにSn層を設ける。本発明においては、この端面にSn層が設けられていればよく、その他の領域、例えば、端子材の管展開部(101)の全体や、ボックス部(20)、トランジション部(40)などを含めて端子材の全体にSn層が形成されていてもよい。
本発明においては、前記プレス打ち抜き端面を平滑化するめっき処理を施した後に、仕上げめっきとして粗化めっき(ポーラスめっきともいう。代表的にはSnめっきである。)を施すことでさらに溶接性を向上させることができる。
ここで、粗化めっきとは、当該めっき後の表面が当該めっき前よりも粗くなるように、例えば、当該粗化めっき処理によって設けられるめっき層の表面が多数の凹部を有していてその凹部のサイズは一個当たり10×10−4mm程度となるように、めっき処理を行うことをいう。
図3は本発明の製造方法で製造される端子の好ましい一実施形態である端子1を示している。この端子1は、雌型端子のボックス部20と、アルミニウム電線が挿入された後、圧着によって電線と端子の基材とを接続する管体かしめ部30を有し、これらのボックス部20と管体かしめ部30とを連絡するトランジション部40を有する。さらに、端子1は管体かしめ部30にレーザ溶接部50(図中、斜線で示す部分)を有する。端子1は、導電性と強度を確保するために基本的に金属材料(銅合金等)の基材で作製されている。また、レーザ溶接部50の形状は特に制限はない。レーザ溶接部50のように管体かしめ部30の長手方向に帯形状に形成するのが好ましい。
端子1や端子材(図5、32a)を構成する基材32の材料は、銅(タフピッチ銅や無酸素銅など)または銅合金であり、好ましくは銅合金である。
端子及び端子材に用いられる銅合金の例としては、例えば、黄銅(例えば、CDA(Copper Development Association)のC2600、C2680)、りん青銅(例えば、CDAのC5210)、コルソン系銅合金(Cu−Ni−Si−(Sn,Zn,Mg,Cr)系銅合金)等が挙げられ、この内、コルソン系銅合金が好ましい。
コルソン系銅合金の例としては、これらに限定されるものではないが、例えば、古河電気工業株式会社製の銅合金FAS−680、FAS−820(いずれも商品名)、三菱伸銅製の銅合金MAX−375、MAX251(いずれも商品名)などを用いることができる。また、CDAのC7025等を用いることもできる。
前記FAS−680の合金組成の一例は、スズ(Sn)を0.15質量%、亜鉛(Zn)を0.5質量%、ニッケル(Ni)を2.3質量%、シリコン(Si)を0.55質量%、及びマグネシウム(Mg)を0.1質量%含有し、残部が銅(Cu)及び不可避不純物である。
また、前記FAS−820の合金組成の一例は、スズ(Sn)を0.15質量%、亜鉛(Zn)を0.5質量%、ニッケル(Ni)を2.3質量%、シリコン(Si)を0.65質量%、マグネシウム(Mg)を0.1質量%、及びクロム(Cr)を0.15質量%含有し、残部が銅(Cu)及び不可避不純物である。
また、他の銅合金組成の例としては、例えば、Cu−Sn−Cr系銅合金、Cu−Sn−Zn−Cr系銅合金、Cu−Sn−P系銅合金、Cu−Sn−P−Ni系銅合金、Cu−Fe−Sn−P系銅合金、Cu−Mg−P系銅合金、Cu−Fe−Zn−P系銅合金などを挙げることができる。
ここで、以上に記載した必須元素以外に不可避不純物を含んでいても良いことは当然である。
端子の基材及び端子材の厚さは、0.08〜0.64mmが好ましい。
レーザ溶接前には、端子1の少なくとも管体かしめ部30の溶接部となる表面には、予めSn層が形成されている。レーザ溶接後は、前述のとおり、該Sn層を構成する金属Snは、レーザ溶接部50に溶融されて例えばCu−Sn合金などとして取り込まれて、見かけ上はレーザ溶接部の表面から該Sn層は消失する。
雌型端子のボックス部20は、例えば雄型端子等の挿入タブの挿入を許容するボックス部である。本発明において、このボックス部の細部の形状は特に限定されない。すなわち、本発明の端子の他の実施形態ではボックス部を有さなくてもよく、例えば、前記ボックス部に替えて雄型端子の挿入タブであっても良い。また他の形態に係る端子の端部であっても良い。本明細書では、本発明の端子を説明するために便宜的に雌型端子の例を示している。どのような接続端部を有する端子であっても、トランジション部40を介し管体かしめ部30を有していれば良い。また、その管体かしめ部30に形成された溶接部50が、管体かしめ部を構成する基材よりも軟らかいことが好ましい。
管体かしめ部30は、端子1と電線(図示せず)とを圧着接合する部位である。その一端はアルミニウム電線等の電線あるいはその導体を挿入することができる電線挿入口(導体挿入口)31を有し、他端はトランジション部40に接続されている。管体かしめ部30は、そのトランジション部40側で、例えばプレス加工等の潰し加工によって管体かしめ部30の対向する2つの管壁(通常は上下の管壁)を潰した上で、例えばレーザ溶接などの溶接加工によって封じることによって閉口されて、この閉口部を底部とし前記電線もしくは導体の挿入口(31)で開口する「缶状」の構造を有している。端子1の基材(銅または銅合金など)とアルミニウム電線との接点に水分が付着すると、両金属の起電力の差からいずれかの金属(合金)が腐食してしまうので、管体かしめ部30は外部より水分等が侵入しないように管体構造となっている。本発明の端子のかしめ部は、管体であれば腐食に対して一定の効果が得られる為、必ずしも長手方向に対して断面が円筒である必要はなく、場合によっては断面が楕円筒や矩形筒の管体であっても良い。また、断面の径が一定である必要はなく、長手方向で断面の半径が変化していても良い。
この端子1を用いれば、管体かしめ部30が管体であることにより、アルミニウム電線と端子1の基材の接点に外部からの水分の付着がなされにくくなっている。
管体かしめ部30では、管体かしめ部を構成する基材とアルミニウム(アルミニウム合金)電線とが機械的な圧着接合されることにより、同時に電気的な接合を確保する。かしめ接合は、基材や電線(芯線)の塑性変形によって接合が行われる。したがって、管体かしめ部30は、かしめ接合をすることができるように肉厚を設計される必要があるが、人力加工や機械加工等で接合を自由に行うことができるので、特に限定されるものではない。
本発明の管体かしめ部30は、板体の基材が突き合わされて構成されており、その突き合わせ部分を接合するレーザ溶接部50を有する。すなわち、レーザ溶接部50は、管体かしめ部30の突き合わせ部分に沿って長手方向に連続的に設けられている。そして、トランジション部40から電線挿入口31にかけて直線状領域として設けられている。
またレーザ溶接部50には、レーザ溶接前にはSn層が形成されていたものであり、このSn層によってレーザ溶接の際のレーザ光の吸収を高めることができる。レーザ溶接後には、前記Sn層のうち一部または全部が溶融して基材の銅(Cu)もしくは銅合金中にとりこまれていることは前述の通りである。
管体かしめ部30の長手方向の断面図の一部を図4に示す。この図ではレーザ溶接部(焼きなまし部)50の表記を省略した。管体かしめ部30は、先述したとおり、好ましくは銅合金からなる基材32により構成されている。また、管体かしめ部の内壁面33には、電線との接触圧を保つための、電線係止溝34aもしくは34bを有していても良い。電線の芯線であるアルミニウム及びアルミニウム合金は、銅合金と比較すると銅の酸化膜より高い絶縁性を持つ酸化膜を表面にもつため、接続に不安がある。そこで、このような溝を設けることで、溝の山によって接圧を大きくすることが行われる。図4において、電線係止溝34aは矩形断面の溝であり、電線係止溝34bは半円形断面の溝である。このような電線係止溝は、管体かしめ部30を形成する前に、基材そのものに加工を施しておくと設けやすい。後述するファイバレーザや機械による切削加工等で設けることができる。なお、管体かしめ部30を形成する前に予めこのような電線係止溝を設けておくと、効率よく生産することができる。
なお、管体かしめ部には電線挿入口31からアルミニウム電線あるいはその導体が挿入されるので、電線係止溝34aや34bはアルミニウム芯線と接触する位置に設けられることが好ましい。アルミニウム電線は、通常アルミニウム芯線(導体)とこれを覆う絶縁被覆とからなっている。そして、電線と端子の電気的接合は、先端の絶縁被覆部を除去(皮むき)したアルミニウム芯線が端子の管体かしめ部と圧着接合されることで行われる。したがって接圧を十分に確保することが、電気的性能の維持につながるので、電線係止溝のような溝が必要となる。このような溝はセレーションとも呼ばれる。
そして、少なくとも一本以上の電線係止溝を管体かしめ部30の内面に設けることによって、端子と電線とが確実に圧着されるので、長期信頼性により優れるものとすることができる。
図5に本発明の端子を用いた電線の終端接続構造体10を示す。終端接続構造体10は、本発明に従って製造する端子1と、アルミニウム電線(60)とが接続された構造を有している。終端接続構造体10は、端子1の管体かしめ部30内にアルミニウム電線60あるいはその導体を挿入し、管体かしめ部30をかしめることで、アルミニウム電線60が管体かしめ部30内に圧着接合されている。圧着の様態は特に限定されないが、図5では、第一の圧着縮径部35および第二の圧着縮径部36からなっている。通常、圧着接合すると、管体かしめ部30は塑性変形を起こして、元の径よりも縮径されることで、電線60との圧着接合をなす。図5に示した例では、第一の圧着縮径部35が、縮径率が一番高くなっている部分である。このように圧着接合を2段階の縮径で行ってもよく、3段階以上の縮径で行ってもよい。
なお、電線60は、絶縁被覆61と図示しないアルミニウムまたはアルミニウム合金電線の芯線とからなっている。電線60は裸線であっても良いが、防食の観点から通常は絶縁被覆された電線を用いる。
本発明の電線の終端接続構造体は、アルミニウム系材料からなる電線と銅系材料からなる端子の基材との異種金属間腐食の防止に寄与する。また、レーザ溶接部50及び熱溶融部は、基材よりも柔らかい焼きなまし部ともすることができるため、電線と端子の圧着箇所のスプリングバックを防ぐことができ、この点からも長期信頼性に優れる。
上記スプリングバックとは、加工部分が元の形状に戻ろうとする現象である。すなわち、電線(図示せず)と圧着接合させた管体かしめ部の変形部分が弾性力等でもとの形状に戻ろうとするため、管体かしめ部30の内面と電線との間に隙間ができてしまう。このようなスプリングバックが端子の圧着部で起こると、電線60と端子1との接点不良を招くことは勿論、間隙に水分の侵入を許しやすくなり腐食の原因となる恐れがある。
本発明に従って製造する端子を用いて電線の終端接続構造体10を製造する場合、管体かしめ部30のレーザ溶接部50を積極的に塑性変形させる圧着接合が好ましい。端子1の管体かしめ部30と電線60とを圧着する場合は、専用の治具やプレス加工機等で行う。このとき、管体かしめ部30の全体を縮径させても良いが、管体かしめ部を凹型のように部分的に強加工して圧着する場合もある。このときは、レーザ溶接部50の塑性変形量が大きくなるように位置を調整すると良い。すなわち、レーザ溶接部50の直上(外側)にプレス加工時の凸部先端があたるように調整すると、レーザ溶接部50の変形量が大きくなる。このようにすると、比較的軟らかいレーザ溶接部50が塑性変形の多くを担うことができるために、スプリングバックの低減に寄与することができる。
次に、端子1の製造方法について説明する。本発明に従って製造する端子1は管体かしめ部30を有し、この管体かしめ部30にレーザ溶接部(前記図3など参照。)を有する端子であるので、この構成を達成し得るならば製造方法は限定されるものではない。
端子1は基材(銅合金など)からなる板材を平面展開した端子形状に打ち抜いて本発明の端子材の形状を得て、この管体かしめ部端面に前記Sn層を設け、その後に、曲げ加工によってボックス部20およびトランジション部40を形成し、曲げ加工等によって湾曲させて突き合わせた管体かしめ部を形成する管展開部をレーザ溶接して管体かしめ部30を形成する。したがって、端子形状に打ち抜かれた端子材は、ボックス部20、トランジション部40および管体かしめ部30を曲げ加工等によって形成できる形状を一体に有している。管体かしめ部30を曲げ加工等によって形成できる端子材の管展開部の形状としては、代表的には矩形であるが、一端が閉塞した管体を形成できる形状であれば特に限定されず、例えば、略扇形状、矩形またはこれらの組み合わせ形状を有していてもよい。ボックス部20およびトランジション部40を形成可能な形状はボックス部20およびトランジション部40の形状に応じて適宜に選択される。加えて、端子材は、少なくとも管体かしめ部を形成する管展開部の表面に前記Sn層が形成されている。このような形状および前記Sn層を有する本発明の端子材は、電線と圧着接合する管体かしめ部となる管展開部を湾曲させてその端部同士を互いに突き合わせて管体に成形し、この突き合わせた部分をレーザ溶接によって接合して管体かしめ部を形成する端子の製造方法に好適に供される。
管体かしめ部30を形成するとき、平面状の管展開部は曲げ加工によって図1にその断面模式図で示すとおりC字型断面となっているので、この開放部分の端面を突き合わせて溶接することによって接合し、管体かしめ部30とする。管体かしめ部30の好ましい製造方法としては、近赤外線レーザ光を発振するファイバレーザ加工機を用いたレーザ溶接にて行う。
通常、銅合金は発振波長が近赤外線領域のレーザ光の吸収効率が悪いため、溶接幅を細くできなかったり、熱影響部(HAZ)の幅を狭くできなかったりする場合がある。そこで、レーザ溶接部50となる基材32の突合せ部の端面に近赤外レーザ光の吸収が銅合金よりもよいSn層を前記端面が平滑になるように形成すること、およびファイバレーザ光のようなエネルギー密度が高いレーザ光を用いることで、上記課題は克服される。また、ファイバレーザ光による溶接によって、管体かしめ部30の突き合わせ部を溶接しながら、レーザ溶接部50を焼きなまし部とすることもできる。このように、一工程で管体かしめ部30の溶接加工と焼きなまし加工を行うことができるので、効率よく端子1を製造することができる。
上記Sn層は、近赤外線レーザ光の反射が銅合金表面よりも少ないため、近赤外線レーザ光の吸収性が良い。分光光度測定法による近赤外光の反射率測定では、本発明に用いるSn層は、60〜80%程度の反射率であり、90%以上の反射率がある純銅または銅合金よりも低くなっている。このように近赤外レーザ光の吸収性が高いSn層を形成した領域に近赤外レーザ光が照射されると、Sn層が溶融して溶融池を形成し、これによりレーザ光の吸収が高まり、その下地の基材表面が溶融し、さらにその溶融領域がレーザ光を吸収して基材の突き合わせ部分を溶融していくことで当該突合せ部の貫通溶接が進行している。
端子1を構成する基材の材料によって変化するため一概に言うことはできないが、前記突合せ部上にSn層が形成された銅合金の基材ならば、近赤外線レーザ光照射によって、表面のSn層がレーザ光を吸収し溶融して溶融池を形成する。さらに、その熱およびレーザ光照射によって光エネルギーが変換された熱エネルギーによって、基材の銅合金が溶融し、突き合わされた部分が接合されて、レーザ溶接部50が形成される。したがって、基材が融点以上に昇温されることでレーザ溶接部50が設けられる。具体的には管体かしめ部30の突き合わせ部をSn層を含めて基材を融点以上沸点以下の温度に上昇させ、必要により所定時間保持してレーザ溶接を施すことで、レーザ溶接部50が形成される。通常、レーザ光は掃引されているので、掃引速度を適宜決定することで、レーザ光照射領域の温度が基材の融点以上になるようにすればよい。好ましくは、レーザ光照射によって基材の銅合金が溶融貫通するように、レーザ光照射条件を調整する。
上記レーザ溶接では近赤外線レーザ光を用いている。近赤外線レーザ光は、発振波長が700nm〜2.5μmであり、好ましくは1000nm〜2000nmの発振波長のレーザ光を用いる。このようなレーザ光としては、イットリビウム(Yt)ドープガラスファイバレーザ光(発振波長1084nm)、エルビウム(Er)ドープガラスファイバレーザ光(発振波長1550nm)等がある。
上記溶接には、近赤外レーザ光を連続発振するファイバレーザ装置を用いるが、これとは異なるレーザ装置を用いた溶接により管体かしめ部30を形成しても良い。例えば、連続発振するYAGレーザ光発振装置、ガラスレーザ光発振装置等やパルス発振するレーザ光発振装置等が挙げられるが、拡がり角の狭さ、レーザ光のビーム径の細さ、レーザ連続発振の安定性等からファイバレーザ発振器を用いることが好ましい。
図6は、本発明の端子1の製造中の一状態を模式的に表した図である。
図6に示すように、近赤外線の波長1084nm±5nmのレーザ光を発振するファイバレーザ溶接装置FLから発せられたレーザ光Lが突き合わせ部37を溶接するように照射され、この突合せ部を貫通溶接することによって、管体かしめ部30が形成される。この溶接時には、レーザ光のエネルギーが熱に変換されることによって、まず突き合わせ部37のSn層が、次いで突合せ部37の基材自体が溶融し、その後、冷却してレーザ溶接部50が設けられる。レーザ溶接部50は被溶接材料の融点以上の加熱処理によって設けることができる。ただし、ファイバレーザ光Lのエネルギーがあまりに高いと、またはエネルギー密度が低いと、熱影響部が必要以上に広範囲で形成されてしまい、極端な場合には管体かしめ部30全体が軟化してしまう。したがって、ファイバレーザ光Lは100〜400Wの出力で溶接するのが好ましい。また、掃引速度を調整することによって、レーザ溶接部50を適切な範囲に設ける。
以下に、本発明を実施例に基づきさらに詳細に説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
以下の銅合金からなる板材(5)を、図7に示すように、その長手方向に連なるよう(連鎖型)に端子を展開した形状にプレス加工によって打ち抜いて、連鎖型の端子材(32a)を形成した。その後、後述のとおり所定の低電流密度でスズめっき処理を施して、前記管展開部(30a)の端面を含む端部にSn層を設けることによってプレス打ち抜き端面の凹凸(すなわち、前記図2に示した、だれ面(111)、せん断面(112)、破断面(113)、バリ(114)の4つの領域)を平滑にした。
その後、図7のように、管体のかしめ部の端面(30S)同士を突き合わせて、レーザ溶接によって突き合わせた部分を全長1cmに渡り貫通溶接することで接合し、管体かしめ部(30)を形成した(図8参照)。また、この溶接により、管体かしめ部中に焼きなまし部も得た。また、各種条件を変化させることで、溶接性と接合強度を評価した。
(実施例1〜6)
端子の基材として、古河電気工業株式会社製の銅合金FAS−680(商品名、厚さ0.25mm、H材)を用いた。
FAS−680の合金組成は、スズ(Sn)を0.15質量%、亜鉛(Zn)を0.5質量%、ニッケル(Ni)を2.3質量%、シリコン(Si)を0.55質量%、およびマグネシウム(Mg)を0.1質量%含有し、残部が銅(Cu)および不可避不純物である。FAS−680の融点は1078℃(液相)、比熱は377J/(kg・K)、熱伝導率は170W/(m・K)、線膨張係数が17.7×10−6/K(20〜300℃)、および導電率40%IACSである。また、引張強さは600〜700N/mm、伸び(引張破断伸び、以下同様。)は15%以上、0.2%耐力は500〜600N/mm、およびビッカース硬さは160〜220Hvである。
前記基材に電解脱脂処理とその後で酸浸漬処理を行った後、Snめっき処理によって、基材の管展開部の端部上にSn層を厚さを変えて形成した。
実験条件は下記の通りである。
<前処理(電解脱脂、酸浸漬)>
(電解脱脂)
処理液:10%水酸化ナトリウム水溶液
処理温度:60℃
陰極電流密度:3.5A/dm
処理時間:30秒
(酸浸漬)
処理液:10%硫酸
処理温度:25℃
浸漬処理時間:30秒
(Snめっき条件)
処理液
硫酸Sn:80g/L、
硫酸:50ml/L、
UTB513Y:5ml/L
処理温度:25℃
電流密度:1〜5A/dm
処理時間:20〜850秒
以上の条件の範囲内で電流密度を設定した後、めっき時間を変化させて、所望の厚さ±0.2μm以内になっているサンプルを各厚さ水準で10個ずつ作成した。
なお、Sn層の厚さは、蛍光X線膜厚計によって、端部上のSn層の平均の厚さを測定した。
(実施例7)
端子の基材として、実施例1において、FAS−680の代わりに古河電気工業株式会社製の銅合金FAS−820(商品名)を用いた以外は実施例1と同様に作製した。
FAS−820の合金組成は、スズ(Sn)を0.15質量%、亜鉛(Zn)を0.5質量%、ニッケル(Ni)を2.3質量%、シリコン(Si)を0.65質量%、マグネシウム(Mg)を0.1質量%、およびクロム(Cr)を0.15質量%含有し、残部が銅(Cu)および不可避不純物である。FAS−820の融点は1078℃(液相)、比熱は377J/(kg・K)、熱伝導率は157W/(m・K)、線膨張係数が17.5×10−6/K(20〜300℃)、および導電率38%IACSである。また、引張強さは730〜830N/mm、伸びは7%以上、0.2%耐力は675〜775N/mm、およびビッカース硬さは220〜260Hvである。
(実施例8)
端子の基材として、実施例1において、FAS−680の代わりに三菱伸銅製の銅合金MAX−375(商品名)を用いた以外は実施例1と同様に作製した。
MAX−375の合金組成は、スズ(Sn)を0.5質量%、亜鉛(Zn)を0.5質量%、ニッケル(Ni)を2.85質量%、およびシリコン(Si)を0.7質量%含有し、残部が銅(Cu)および不可避不純物である。FAS−820の融点は1085℃(液相)、比熱は382J/(kg・K)、熱伝導率は180W/(m・K)、線膨張係数が17.1×10−6/K(20〜300℃)、および導電率40%IACSである。また、引張強さは750〜850N/mm、伸びは6%以上、0.2%耐力は710〜830N/mm、およびビッカース硬さは210〜270Hvである。
(実施例9)
端子の基材として、実施例1において、FAS−680の代わりに三菱伸銅製の銅合金MAX251(商品名)を用いた以外は実施例1と同様に作製した。
MAX251の合金組成は、スズ(Sn)を0.5質量%、亜鉛(Zn)を1質量%、ニッケル(Ni)を2質量%、およびシリコン(Si)を0.5質量%含有し、かつ銅(Cu)を95質量%以上含有し、および残部が不可避不純物である。FAS−820の融点は1085℃(液相)、比熱は382J/(kg・K)、熱伝導率は194W/(m・K)、線膨張係数が17.1×10−6/K(20〜300℃)、および導電率48%IACSである。また、引張強さは500〜600N/mm、伸びは6%以上、0.2%耐力は440〜580N/mm、およびビッカース硬さは140〜200Hvである。
(比較例1)
端子の基材として、Sn層を設けなかった以外は実施例1と同様に作製した。
(参考例1、2)
端子の基材として、実施例1において、Sn層の厚さを7μmとした以外は実施例1と同様に作製した。
前記実施例と同様に、以上の条件の範囲内で電流密度を設定した後、めっき時間を変化させて、所望の厚さ±0.2μm以内になっているサンプルを各厚さ水準で10個ずつ作成した。
レーザ溶接条件は下記の通りである。
(1)レーザ溶接装置:古河電気工業株式会社製 シングルモードファイバレーザ ASF1J221(商品名)
レーザ光の光源:Ybドープガラスファイバレーザ発振器
レーザ光発振波長:1084±5nm
レーザ光最大出力:500W(連続発振)
(2)レーザ光照射条件
レーザ光出力:400W(連続発振)
レーザ光掃引速度:200〜600mm/secで調整
レーザ光掃引距離:10mm
全条件ジャストフォーカスでレーザ光照射(スポット径サイズ:20μm)
レーザ溶接後の溶接部の状態を、「溶接性」と「接合強度」を以下の通り測定、評価した。
「溶接性」は、レーザ光による貫通溶接が可能な速度がどの程度の速度であったかをもって評価した。
レーザ光掃引速度とレーザ光掃引時間の関係から、レーザ光掃引速度が速い場合をレーザ光掃引時間が短い、つまりレーザ溶接にかかるエネルギーが少なくて工業的観点から望ましい、と判断できる。具体的には、レーザ光掃引速度が、500mm/sec以上で貫通溶接できる場合を「◎(良)」と、500mm/sec未満300mm/sec以上で貫通溶接できる場合を「○(可)」と、300mm/secより遅い速度で貫通溶接できる、あるいは、貫通溶接できない場合を「×(劣)」と、それぞれ判断した。
また、「接合強度」は、前記溶接後の端子の管体かしめ部(つまり、溶接部。但し、電線導体とのかしめは行っていない状態。)に対して、引張試験を行って評価を行った。前記溶接部で破断した引張破断強度を測定して評価した。具体的には、引張破断強度が、200MPa以上の場合を「◎(良)」と、200MPa未満100MPa以上の場合を「○(可)」と、100MPaより低い場合を「×(劣)」と、それぞれ判断した。破断強度が100MPaより低いと端子形状にする成形加工に耐えられない。
上記各種試験条件とその評価結果を表1に示す。
Figure 0006053565
表1から明らかなように、各実施例では、いずれも速いレーザ光掃引速度でレーザ溶接が可能であり、溶接性が良好であった。さらに、接合強度が高く、良好な接合状態が得られた。
一方、比較例1では、遅いレーザ光掃引速度でしかレーザ溶接が行うことができず、溶接性に劣った。さらに、接合強度が低く、端子形状にする成形加工では割れが生じてしまう。
また、参考例1と2では、接合強度は高かったものの、溶接時にスパッタが飛散してしまい、適正な溶接ができなかった。
前記実施例における端面部のみにスズめっき層を設けた試験とは別に、端子材の全面にスズめっき層を設けて同様に試験しても、各実施例と同様の結果が得られる。
1 端子
10 終端接続構造体
20 ボックス部
30 管体かしめ部
31 電線挿入口
32 基材
33 管体かしめ部の内壁面
34a,34b 電線係止溝
35 第一の圧着縮径部
36 第二の圧着縮径部
37 突き合わせ部
40 トランジション部
50 溶接部
60 電線
61 絶縁被覆
FL ファイバレーザ溶接装置
L ファイバレーザ光

Claims (6)

  1. 管体の内部空間に挿入される電線導体を圧着接合するための管体かしめ部を有する端子の展開図形状を有する、銅又は銅合金からなる端子材であって、前記端子材が管体かしめ部を形成する管展開部を有してなり、管展開部は、前記管体かしめ部とする際に互いに突き合わされて管体のレーザ溶接部となる端面を備え、突き合わされる前記端面とその周辺部にスズめっき層を有する、端子材。
  2. 前記スズめっき層のめっき厚が1〜5μm±0.2μmであることを特徴とする請求項1記載の端子材。
  3. 管体の内部空間に挿入される電線導体を圧着接合するための管体かしめ部を有する端子の展開図形状を有する、銅又は銅合金からなる端子材であって、管体かしめ部を形成する管展開部を有し、該管展開部のそれぞれ端部の端面とその周辺部にスズめっき層を有してなる前記端子材の前記管展開部をそれぞれ湾曲させ、管展開部の端部の端面同士を突き合わせて管体形状に成形する工程、
    この突き合わせた部分をレーザ溶接によって端子長手方向に接合し、前記管体かしめ部を形成する工程
    をこの順に実施する端子の製造方法。
  4. 前記スズめっき層のめっき厚が1〜5μm±0.2μmであることを特徴とする請求項3記載の端子の製造方法。
  5. 銅又は銅合金板材から、管体の内部空間に挿入される電線導体を圧着接合するための管体かしめ部を有する端子の展開図形状に端子材をプレス打ち抜きすることで、前記端子材に、管体かしめ部を形成する管展開部を設ける工程、
    前記管展開部の、前記管体かしめ部とする際に互いに突き合わされて管体のレーザ溶接部となる端面とその周辺部にスズめっきを施してスズめっき層を設ける工程
    をこの順に有してなる、端子材の製造方法。
  6. 前記スズめっき層のめっき厚が1〜5μm±0.2μmであることを特徴とする請求項5記載の端子材の製造方法。
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