JP2014164943A - 圧着端子の製造方法 - Google Patents

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昭頼 橘
Kengo Mitose
賢悟 水戸瀬
Kyota Suzai
京太 須齋
Masato Sakata
正人 坂田
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Abstract

【課題】母材の機械的強度の低下や応力緩和特性の劣化を抑制して、筒状圧着部と電線の密着性を向上することができる圧着端子の製造方法を提供する。
【解決手段】端子原板に曲げ加工を施して、突き合わせ部47及び重ね合わせ部48を有する圧着部用筒状体46を成形し、該筒状体の突き合わせ部47及び重ね合わせ部48をろう付けして、筒状圧着部50を形成する。
【選択図】図2

Description

本発明は、外部との電気的な接続を可能とする圧着端子の製造方法に関し、特に、電線に取り付けられる銅あるいは銅合金製の圧着端子の製造方法に関する。
従来、車両分野において、燃費向上の観点から、自動車を構成する各種部品の軽量化が求められている。特に、自動車にて使用されるワイヤーハーネス(組み電線)は、自動車内でエンジンに次ぐ重量を有する部品とされることから、軽量化を図るべく、一部の電線では当該ワイヤーハーネスに用いられる電線の導体(芯線)材料を、銅からアルミニウム、あるいはアルミニウム合金に変更することが進められている。アルミニウムまたはアルミニウム合金電線の先端部に接続される圧着端子としては、通常、銅あるいは銅合金製のものが使用される。よって、上記材料で形成される導体と端子の接続部分では、露出したアルミニウムが異種金属腐食を起こし、導体が欠損してしまう恐れがあるため、アルミニウム導体を外界から遮断するといった対策を講じる必要がある。
そこで、圧着部全体を樹脂によりモールドする方法があるが(特許文献1)、モールド部が肥大してしまい、コネクタハウジングのサイズを上げる必要が生じる結果、コネクタが肥大してしまうこととなり、ワイヤーハーネス全体を小型化・高密度化することが難しい。
また、モールド成形する方法では、電線圧着後に個々の圧着部に対して処理するため,ワイヤーハーネスの製造工程が大幅に増加したり、作業が煩雑になったりするという問題がある。
このような問題を解消するべく、金属製キャップを電線導体先端に被せた後に圧着することで、アルミニウム導体を密閉状態にする技術や(特許文献2)、圧着端子と金属製キャップを別部品とせず、端子条の一部で電線を覆って密閉状態にする技術が提案されている(特許文献3)。
特開2011−222243号公報 特開2004−207172号公報 特開2012−84471号公報 特開2012−028076号公報
ここで、アルミニウム導体を含む電線を被覆した状態で圧着するための筒状部材を製造する場合、プレス加工された金属条の一部を筒状に曲げ、その両端の突き合わせ部あるいは重ね合わせ部をレーザなどで溶接する方法が、成形性、生産性の両点において優れている。しかしながら、レーザ溶接を行うと、端子原板が溶融してナゲット(溶融凝固部)やHAZ(熱影響部)が形成されるために、母材が軟化し、意図した以上に強度が低下してしまう場合がある。特に、母材を黄銅とした場合、母材中に含まれるZnの蒸発や酸化などが生じる結果、ボイド(空洞)が形成される等の不具合が生じることがある。
なお、レーザ溶接を行わない技術として、端子と電線をろう付けにより接続して、端子と電線の電気的な接続を良好とするものが提案されているが(特許文献4)、上記課題については言及されていない。
本発明の目的は、母材の機械的強度の低下や応力緩和特性の劣化を抑制して、筒状圧着部と電線の密着性を向上することができる圧着端子の製造方法を提供することにある。
上記目的を達成するために、本発明に係る圧着端子の製造方法は、外部端子と電気的に接続されるコネクタ部と、前記コネクタ部と一体的又は別体で連結され、電線と圧着される筒状圧着部とを備える圧着端子の製造方法であって、端子原板に曲げ加工を施して、突き合わせ部または重ね合わせ部を有する筒状体を成形する工程と、前記筒状体の突き合わせ部または重ね合わせ部をろう付けして、筒状圧着部を形成する工程とを有することを特徴とする。
前記ろう付けにおいて、りん銅ろうにて、前記突き合わせ部または前記重ね合わせ部をろう付けするのが好ましい。
前記ろう付けにおいて、軟ろうにて前記重ね合わせ部をろう付けすると共に、前記軟ろうより融点の高い硬ろうにて前記突き合わせ部をろう付けするのが好ましい。
さらに、前記硬ろうがりん銅ろうであるのが好ましい。
また、上記製造方法は、前記曲げ加工の前に、前記端子原板の両外縁部を面取りする工程を更に有し、前記曲げ加工において、前記端子原板の両外縁部を突き合わせることで、前記突き合わせ部に開先を形成し、前記ろう付けにおいて、前記開先にろう材を載置して、前記突き合わせ部をろう付けするのが好ましい。
また、前記端子原板は、黄銅又はコルソン合金からなるものであってもよい。
本発明によれば、端子原板に曲げ加工を施して、突き合わせ部または重ね合わせ部を有する筒状体を成形し、該筒状体の突き合わせ部または重ね合わせ部をろう付けして、筒状圧着部を形成するので、母材の溶融を最小限に抑えることができ、筒状圧着部にナゲットやHAZが形成されにくい。したがって、導体圧着後に筒状圧着部に割れ等が生じにくくなり、筒状圧着部と電線の密着性を向上することが可能となる。
また、ろう付けにおいて、りん銅ろうにて突き合わせ部または重ね合わせ部をろう付けするので、硬ろうでろう付することで、筒状圧着部の機械的特性を向上することができる。
また、ろう付けにおいて、軟ろうにて前記重ね合わせ部をろう付けすると共に、前記軟ろうより融点の高い硬ろうにて前記突き合わせ部をろう付けするので、圧縮率の大きい突き合わせ部の機械的特性を向上すると共に、圧縮率の小さい重ね合わせ部を低コストで且つ容易に接合することができる。
さらに、上記曲げ加工の前に、端子原板の両外縁部を面取りし、当該曲げ加工において、端子原板の両外縁部を突き合わせることで、突き合わせ部に開先を形成し、上記ろう付けにおいて、開先にろう材を載置して突き合わせ部をろう付けするので、ろう付後の筒状圧着部の機械的強度をより高くすることができる。
さらに、端子原板が黄銅又はコルソン合金からなる場合、突き合わせ部をろう付けするので、母材の溶融を最小限に抑えることができ、Zn,Mgなどの蒸発によって形成されるボイドの生成を大幅に抑制することができる。したがって、強固な接合を実現しつつ、信頼性の高い筒状圧着部を形成することができる。
本発明の実施形態に係る圧着端子の構成を概略的に示す斜視図である。 図1の圧着端子の製造方法を示すフローチャートである。 (a)〜(d)は、図1の圧着端子の製造方法を説明する平面図である。 図2におけるろう付け工程を説明するための斜視図である。 (a)は、図4の線A−Aに沿う断面図であり、(b)は突き合わせ部に形成される開先を示す部分拡大断面図、(c)は、図4の線B−Bに沿う断面図である。 (a)および(b)は、図5(b)の開先の変形例を示す部分拡大断面図である。
以下、本発明の実施形態を図面を参照しながら詳細に説明する。
図1は、本実施形態に係る製造方法にて作製される圧着端子の構成を概略的に示す図である。なお、図1における圧着端子は、その一例を示すものであり、本発明に係る圧着端子の構成は、図1のものに限られないものとする。
本発明の圧着端子1は、外部端子2と電気的に接続されるコネクタ部10と、該コネクタ部とトランジション部20を介して一体的に設けられ、電線3と圧着される筒状圧着部30とを備えている。圧着端子1は、例えば、銅あるいは銅合金で一体形成され、アルミニウムあるいはアルミニウム合金製の導体(芯線)を有する電線3に取り付けられる。本実施形態では、コネクタ部10と筒状圧着部30とが一体成形されるが、コネクタ部と筒状圧着部を別体で成形し、これらを連結することで圧着端子を作製してもよい。
コネクタ部10は、雌型端子であり、雄型端子である外部端子2が挿入口11に挿入されてコネクタ部内で係止されることで、コネクタ部10が外部端子2と導通する。なお、本実施形態ではコネクタ部10が雌型端子であるが、コネクタ部が雄型端子で、外部端子2が雌型端子であってもよい。また、コネクタ部は、外部端子と係止あるいは嵌合して電気的に接続し得るものであれば、いかなる形状を有していてもよい。
筒状圧着部30は、トランジション部20側が閉塞された筒部材であって、電線3が挿入される挿入口31と、電線3の絶縁被覆と圧着される被覆圧着部32と、挿入口31側からトランジション部20側に向かって縮径する縮径部33と、電線3の導体と圧着される導体圧着部34とを有している。この筒状圧着部30では、導体が露出した電線端部を挿入口31に挿入した状態で筒状圧着部30を加締めることで、筒状圧着部30が塑性変形して電線3の絶縁被覆および導体と圧着され、これにより、筒状圧着部30と電線3の導体とが電気的に接続される。
なお、本願では図示しないが、筒状圧着部30内に、電線の接続のための溝や突起(セレーション)が設けられていてもよい。これにより、アルミニウムなどの金属導体の酸化皮膜が破壊され、接触抵抗を低減することができる。
図2は、図1の圧着端子の製造方法を示すフローチャートであり、図3(a)〜(d)は、図1の圧着端子の製造方法を説明する平面図である。
先ず、銅合金、アルミ合金、鋼などの金属からなる板材を圧延して、所定厚さ、例えば0.25mmの金属条41を作製する(ステップS21)。このとき、圧延方向(RD方)は、金属条の長手方向と略同一となっている(図3(a))。
この金属条41を、プレス加工(1次プレス)にて、複数の圧着端子が平面展開した状態となるように、繰り返し形状で打ち抜く(ステップS22)。本プレス加工では、各被処理体を両端で支持するいわゆる両持ち型の被処理体が作製され、送り孔42cが等間隔で形成されたキャリア部42a,42bの間に、コネクタ部用板状体43と、圧着部用板状体44が並んで形成されている(図3(b))。このとき、繰り返し形状の構成単位となる板状部位(端子原板)は、例えばRD方向に関して所定ピッチで配列されており、後に形成される筒状圧着部の長手方向が圧延垂直方向(TD方向)となるように打ち抜かれる。
次に、繰り返し形状の構成単位となる各板状部位に曲げ加工を施して(2次プレス)、コネクタ部45と、圧着部用筒状体46とを形成する(ステップS23)。このとき、圧着部用筒状体46の上部には、その断面が隙間の空いていない略C型の突き合わせ部47と、各板状部位の両外縁部が厚み方向に重なる重ね合わせ部48とが形成されている(図3(c))。この突き合わせ部47および重ね合わせ部48は、TD方向に延設している。また、本曲げ加工時に、キャリア部42aが本体から切り離される。
その後、突き合わせ部47および重ね合わせ部48を、図中の矢印A方向に沿ってろう付けする(図2(d)、ステップS24)。このろう付は、抵抗ろう付けで実施されるのが好ましいが、高周波ろう付などの他のろう付け方法でも実施することができる。これにより、突き合わせ部47および重ね合わせ部48がろうによって融着し、筒状圧着部50が形成される。
本実施形態におけるろう付けは、具体的には以下の方法により実行される。
図4は、図2のステップS24で実行されるろう付け工程を説明するための図であり、図5(a)は、図4の線A−Aに沿う断面図であり、図5(b)は突き合わせ部の拡大断面図、図5(c)は、図4の線B−Bに沿う断面図である。
図4において、図2のステップS23にて曲げ加工が行われると、例えば圧着部用筒状体46の挿入口49側に突き合わせ部47が形成され(図5(a))、コネクタ部45側に重ね合わせ部48がそれぞれ形成される(図5(c))。ただし、圧着部用筒状体46の挿入口49側を重ね合わせ部としても良いし、コネクタ部45側を突合せ部としても良。このとき、各板状部位の両外縁部51,51の端面51a,51aが当接することで境界部52が形成され、突き合わせ部47に開先53(溝部)が形成される(図5(b))。本実施形態では、両外縁部51,51は、共にC面取り加工されており、テーパ面51b,51bを有している。母材の板厚が0.25mmの場合、C面取り加工の寸法は、板厚方向長さaが0.05mm、幅方向長さbが0.1mmであり、開先53の幅方向断面形状は略二等辺三角形である。
この開先53に、ろう材、例えばろうペースト55を載置し、スポット径20μm程のピンポイント照射が可能なファイバレーザにて溶融させることにより、境界部52がろう材の進入によって封止される。突き合わせ部47に開先53を設けると、濡れ性が向上すると共に、ろう材の境界部52への進入を促進することができ、ろう付後の筒状圧着部50の機械的強度が最も高くなる点で有利である。このとき、レーザ条件として、ろうペースト55の温度が800〜850℃程度となるようにレーザ出力および掃引速度を制御する。
重ね合わせ部48は、その深さ方向に関して、各板状部位の両外縁部51,51の重ね合わせ領域56を有している。この重ね合わせ領域における境界部57が、上記と同様のレーザ条件にて、ろう材の進入によって封止される。
上記工程で使用されるろう材としては、耐熱性、耐食性を有する銅ろう、銀ろう、アルミニウムろう、りん銅ろう、ニッケルろう、金ろう、パラジウムろう、マグネシウムろうなどを使用することができる。これらのろう材のうち、耐熱性、強度、親和性に優れるという点で、りん銅ろう(ろう付け温度:735〜845℃)が好ましく、りん銅ろうのなかでも銀入りりん銅ろうが特に好ましい。
また、上記ろう付けにおいて、所定融点を有する軟ろうにて重ね合わせ部48をろう付けすると共に、融点450℃以下である軟ろうより融点の高い硬ろう、例えばりん銅ろうにて突き合わせ部47をろう付けするのが好ましい。これにより、圧縮率の大きい突き合わせ部47の機械的特性を向上すると共に、圧縮率の小さい重ね合わせ部48を低コストで且つ容易に接合することができる。
本実施形態において、圧着端子1は、上述のように銅あるいは銅合金で一体形成されるが、具体的には、黄銅又はコルソン合金で一体成形されてもよい。ここで、母材が銅又は銅合金である場合、レーザ溶接すると、ナゲットやHAZが形成されるために、母材が軟化し、強度が低下してしまう場合がある。また、母材が、加熱によって蒸発しやすい金属を含有する合金である場合、上記突き合わせ部および重ね合わせ部にレーザ溶接を施すと、母材からZnやMgが蒸発して、溶接部にボイドが発生する原因となることがある。この現象は、Znの組成比率が高い(約30%)の黄銅や、少量(1%未満)のZn,Mgを含有するコルソン合金などで顕著に現れる。本実施形態のろう付けであれば、母材がZnやMgを含有する合金であっても、母材からのZnやMgの蒸発を抑えることができるため、強固な接合を実現しつつ、信頼性の高い筒状圧着部を形成することができる。
上述したように、本実施形態によれば、端子原板に曲げ加工を施して、突き合わせ部47及び重ね合わせ部48を有する圧着部用筒状体46を成形し、該筒状体の突き合わせ部47及び重ね合わせ部48をろう付けして、筒状圧着部50を形成するので、母材の溶融を最小限に抑えることができ、筒状圧着部50にナゲットやHAZが形成されにくい。したがって、導体圧着後に筒状圧着部50に割れ等が生じることがなく、母材の機械的強度の低下や応力緩和特性の劣化を抑制して、筒状圧着部50と電線3の密着性を向上することが可能となる。特に、母材が黄銅の場合には、ろう付け時に母材からのZnの蒸発を大幅に抑制することができ、信頼性の高い筒状圧着部50を形成することができる。
なお、上記実施形態では、突き合わせ部47及び重ね合わせ部48の双方を有する圧着部用筒状体46を成形し、該筒状体の突き合わせ部47及び重ね合わせ部48をろう付けするが、これに限らず、突き合わせ部及び重ね合わせ部のいずれか一方を有する圧着部用筒状体を成形し、当該突き合わせ部及び重ね合わせ部のいずれか一方をろう付けしてもよい。
また、上記実施形態では圧着端子1が銅又は銅合金からなるが、銅又は銅合金(端子原板)上に、Snめっき又はSn合金めっきからなるめっき層が形成されてもよく、また、めっき層形成後にリフロー処理が施されてもよい。Snめっきは、例えば電気めっきや無電解めっきを用いて形成することができる。これにより、更に信頼性の高い筒状圧着部50を形成することができる。
また、上記実施形態では、開先53の断面形状は略二等辺三角形であるが、他の形状を有していてもよい。例えば、図6(a)に示すように、各板状部位の両外縁部61,61が、所定曲率を有する曲面61b,61bを有していてもよい。この場合、開先63の断面形状は略半円である。また、図6(b)に示すように、各板状部位の両外縁部71,71は、側面71a,71aおよび底面71b,71bを有していてもよい。この場合、開先73の断面形状は略矩形である。上記のような形状の開先が設けられた場合でも、境界部62や境界部72がろう材の進入によって封止されるため、信頼性の高い筒状圧着部を形成することができる。
以上、上記実施形態に係る圧着端子の製造方法について述べたが、本発明は記述の実施形態に限定されるものではなく、本発明の技術思想に基づいて各種の変形および変更が可能である。
以下、本発明の実施例を説明する。
(実施例)
先ず、実施例1〜3として、コルソン合金「FAS−680」(古河電気工業社製)の金属条を使用し、所定の1次プレス、2次プレスを施して、厚さ0.25mmの圧着部用筒状体を形成した。1次プレスの際、繰り返し形状の構成単位となる各板状部位(端子原板)の両外縁部にC面取り加工を施し、板厚方向長さ0.05mm、幅方向長さ0.1mmで面取りした。そして2次プレスの際、上記両外縁部を突き合わせて圧着部用筒状体を形成し、、突き合わせ部に幅0.2mm、深さ0.05mmのV字型開先を形成した。そして、該筒状体の突き合わせ部を、スポット径20μmのファイバレーザを用いて、りん銅ろうペースト(JIS, BCuP-2)でろう付けした。ろう付けの際のレーザ条件は、加熱温度が800℃〜850℃程度となるように、実施例1〜3のレーザ出力をそれぞれ200W、300W、400Wとした。この突き合わせ接合では、掃引速度を150mm/secとした。
また、実施例4〜6として、コルソン合金「FAS−680」にSnめっきを形成したこと以外は実施例1〜3と同様の方法にて、突き合わせ部をろう付けした。
また、実施例7として、コルソン合金「FAS−820」(古河電気工業社製)の金属条を使用し、上記と同様の方法にて突き合わせ部を形成し、レーザ出力300Wにて各部をろう付けした。
実施例8として、コルソン合金「MAX375」(三菱マテリアル社製)の金属条を使用し、上記と同様の方法にて突き合わせ部を形成し、レーザ出力300Wにて各部をろう付けした。
実施例9として、黄銅「C2600」(JIS)の金属条を使用し、上記と同様の方法にて突き合わせ部を形成し、レーザ出力300Wにて各部をろう付けした。
実施例10として、黄銅「C2680」(JIS)の金属条を使用し、上記と同様の方法にて突き合わせ部を形成し、レーザ出力300Wにて各部をろう付けした。
また、実施例11〜20として、2次プレスの際、筒状体に重ね合わせ部を形成したこと以外は、実施例1〜10と同様の方法にて、当該重ね合わせ部をろう付けした。この重ね合わせ接合では、掃引速度90mm/secとした。
(比較例)
比較例1として、FAS−680の金属条を使用し、上記と同様の方法にて突き合わせ部を形成し、実施例1とは異なるレーザ出力500Wにて、当該突き合わせ部をろう付けした。このときの掃引速度は、150mm/secとした。
比較例2として、FAS−680の金属条を使用し、上記方法に準じて、筒状体に重ね合わせ部を形成し、実施例1とは異なるレーザ出力500Wにて、各部をろう付けした。このときの掃引速度は、90mm/secとした。
上記のように作製した実施例1〜20および比較例1〜2について、筒状圧着部に電線圧着を行った後、ろう付け部の接合性を評価した。接合性が非常に良好である場合を「◎」、接合性が良好である場合を「○」、接合性が良好でない場合を「×」とした。結果を表1に示す。

表1の結果から、母材をコルソン合金あるいは黄銅とし、レーザ出力200〜400W、突き合わせ接合の場合には掃引速度150mm/sec、重ね合わせ接合の場合には掃引速度90mm/secで接合し、突き合わせ部または重ね合わせ部をりん銅ろうペーストでろう付けすれば、導体圧着後に筒状圧着部に割れが生じないことが分かった。
一方、同コルソン合金で、レーザ出力500W、突き合わせ接合の場合には掃引速度150mm/sec、重ね合わせ接合の場合には掃引速度90mm/secで接合し、りん銅ろうペーストでろう付けすると、ろう付け部にボイドが発生して、導体圧着後に筒状圧着部に割れが生じた。
1 圧着端子
2 外部端子
3 電線
10 コネクタ部
20 トランジション部
30 筒状圧着部
11 挿入口
31 挿入口
32 被覆圧着部
33 縮径部
34 導体圧着部
41 金属条
42a,42b キャリア部
42c 送り孔
43 コネクタ部用板状体
44 圧着部用板状体
45 コネクタ部
46 圧着部用筒状体
47 突き合わせ部
48 重ね合わせ部
49 挿入口
50 筒状圧着部
51,51 両外縁部
51a,51a 端面
51b,51b テーパ面
52 境界部
53 開先
55 ろうペースト
56 重ね合わせ領域
61,61 両外縁部
61b,61b テーパ面
62 境界部
63 開先
71,71 両外縁部
71a,71a 側面
71b,71b 底面
72 境界部
73 開先

Claims (6)

  1. 外部端子と電気的に接続されるコネクタ部と、前記コネクタ部と一体的又は別体で連結され、電線と圧着される筒状圧着部とを備える圧着端子の製造方法であって、
    端子原板に曲げ加工を施して、突き合わせ部または重ね合わせ部を有する筒状体を成形する工程と、
    前記筒状体の突き合わせ部または重ね合わせ部をろう付けして、筒状圧着部を形成する工程と、を有することを特徴とする圧着端子の製造方法。
  2. 前記ろう付けにおいて、りん銅ろうにて、前記突き合わせ部または前記重ね合わせ部をろう付けする、請求項1記載の圧着端子の製造方法。
  3. 前記ろう付けにおいて、軟ろうにて前記重ね合わせ部をろう付けすると共に、前記軟ろうより融点の高い硬ろうにて前記突き合わせ部をろう付けする、請求項1記載の圧着端子の製造方法。
  4. 前記硬ろうがりん銅ろうである、請求項3記載の圧着端子の製造方法。
  5. 前記曲げ加工の前に、前記端子原板の両外縁部を面取りする工程を更に有し、
    前記曲げ加工において、前記端子原板の両外縁部を突き合わせることで、前記突き合わせ部に開先を形成し、
    前記ろう付けにおいて、前記開先にろう材を載置して、前記突き合わせ部をろう付けする、請求項1記載の圧着端子の製造方法。
  6. 前記端子原板が、黄銅又はコルソン合金からなる、請求項1乃至5のいずれか1項に記載の圧着端子の製造方法。
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