JP5871434B2 - 管端子の製造方法 - Google Patents
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Description
本発明は、上述した従来の技術が有する課題を解消し、管端子を有する電線接続構造体の生産効率の向上を図ることを目的とする。
ここで、プレス時とは、条から管端子の材料をプレスにより打ち抜く加工時、及び、打ち抜きに続いて行われる別の加工時のいずれであってもよい。
また、本発明は、銅または銅合金の条をプレスし、プレス断面同士を突き合わせレーザー溶接して筒状に形成される管端子の製造方法において、前記条表面に錫めっきを施し、錫めっきした前記条をプレスにより打ち抜き、プレス断面に叩き加工を施してプレス断面に錫めっきを回り込ませ、レーザー溶接することを特徴とする。
また、本発明は、銅または銅合金の条をプレスし、プレス断面同士を突き合わせレーザー溶接して筒状に形成される管端子の製造方法において、前記条表面に錫めっきを施し、錫めっきした前記条をプレスにより打ち抜き、プレス断面に錫めっきを施してレーザー溶接し、筒状に形成される前記管端子の一端を封止することを特徴とする。
図1は、本実施形態にかかる電線接続構造体10を示す斜視図であり、図2は、電線接続構造体10の長手方向断面を示した断面図である。
電線接続構造体10は、図1に示すように、管端子11と、この管端子11に圧着結合される電線13とを備える。管端子11は、雌型端子の嵌合部20と電線接続部30とを有し、これらの橋渡しとしてトランジション部40を有する。管端子11は、導電性と強度を確保するために基本的に金属材料(本実施形態では、銅または銅合金)の基材で製造されている。なお、管端子11の基材は、銅または銅合金に限るものではなく、アルミニウムや鋼、またはこれらを主成分とする合金等を用いることもできる。
また、管端子11は、端子としての種々の特性を担保するために、例えば管端子11の一部あるいは全部にスズ、ニッケル、銀めっきまたは金等のめっき処理が施されていても良い。また、めっきのみならず、スズ等のリフロー処理を施しても良い。
なお、芯線を構成する金属材料は、高い導電性を有する金属であればよく、アルミニウムまたはアルミニウム合金の替わりに、銅または銅金属を用いても良い。
管端子11の金属基材(銅または銅合金)とアルミニウム芯線14との接合部に水分が付着すると、両金属の起電力(イオン化傾向)の差からアルミニウム芯線14が腐食する。また、管端子11とアルミニウム芯線14とがアルミニウム同士であっても微妙な合金組成の違いによって、それらの接合部は腐食しやすい。
次に、電線接続部30と嵌合部20とが一体に平面展開した形状に打ち抜かれて形成される場合の、電線接続構造体10の製造工程について説明する。
まず、本実施形態の比較例として、電線接続構造体10の製造工程の各段階を個別に行う場合について、図3を用いて説明する。なお、図3は、電線接続部30をモデル化して示した図である。
端子成形片101は、長手形状の金属板である条150をプレスにより打ち抜いて形成される。条150は、予め、銅(Cu)または銅と銅以外の金属を含む合金(以下、銅合金という)からなる薄板形状の地金に、錫(Sn)めっきが施され、テープ状にされたものである。地金として用いる銅合金は、例えば、銅の他にニッケル(Ni)、ケイ素(Si)、亜鉛(Zn)、錫、マグネシウム(Mg)等を含むものが挙げられる。錫めっきの下地として、ニッケルめっき、錫銅(Sn−Cu)めっき、無光沢錫めっきを施してもよい。即ち、錫めっきにより形成される層は、表面の錫めっき層と地金との間に、ニッケルめっき層、錫銅めっき層、無光沢錫めっき層等を含んでいてもよい。
端子成形片101は、折り曲げ加工により嵌合部20を構成するボックス成形部111、電線接続部30を構成する管状成形部112、トランジション部40を構成するトランジション成形部113、及び、嵌合部20内のスプリングを構成するスプリング成形部114を有し、管状成形部112の末端が連結部164に繋がっている。
ボックス成形部111は複数回の折り曲げ加工により箱形に成形され、嵌合部20となる。また、スプリング成形部114は、ボックス成形部111に対する折り曲げ加工時に嵌合部20内に入り込むように曲げられて、嵌合部20内部で雄側のピン(図示略)を係止するスプリングとなる。
管状成形部112は、図3(A)に示したようにプレス加工により断面C字形状に曲げ加工され、その後に突き合わせ溶接されて電線接続部30となる。従って、図4(B)中で破線で囲んだ管状成形部112の端面が、プレス断面33となる。
これに対し、錫めっき層に含まれる錫は、ファイバーレーザーやYAGレーザーを含むレーザー光の波長域で反射率が低く、高い吸収を示す。
そこで発明者らは、銅または銅合金が露出する溶接対象面に錫を配置することにより、錫がレーザー光を吸収して温度が速やかに上昇するとの知見を得た。この場合の錫は吸光材として機能し、銅または銅合金が露出した面にレーザー光を照射する場合に比べて速やかに温度が上昇する。また、金属材料の波長吸収率は温度依存性を呈するので、溶接対象面の温度が上昇するにつれ、錫のレーザー光の吸収が増大するとともに、銅または銅合金のレーザー光の吸収も増大を続ける。銅または銅合金が融点に達すると、レーザー光の吸収はさらに上昇し、速やかにレーザー加工を進めることができる。従って、溶接対象面に錫を露出させておくことによって、溶接対象面の温度を速やかに上昇させ、より短時間でレーザー溶接加工を実行できる。また、溶接対象面において銅または銅合金の上に錫が重なっていることにより、溶融した錫が母材である銅または銅合金に溶け込む等の作用によって、溶接の進行をより速やかにしている可能性も考えられる。この方法を管端子11の製造方法に適用すれば、図3(B)に示すプレス断面33を溶接する際に、電線接続部30の一端から溶接を開始すると、錫の温度が上昇して速やかに溶解する。さらに、銅または銅合金の地金が溶融した後に温度がさらに上昇して照射位置付近の母材が次々と溶融し、長手方向に速やかにレーザー溶接加工を進めることができ、電線接続部30の他端まで短時間で溶接できる。
レーザー溶接加工の前にプレス断面33に錫を露出させる方法は種々あるが、本実施形態では、端子成形片101の表面にめっき加工されている錫を、溶接されるプレス断面33に回り込ませることで、プレス断面33に錫を露出させる。この方法では、端子成形片101の表面にめっきされる錫を利用することにより、プレス断面33に付着させる錫を新た調達する必要がなく、工数の大幅な増加を伴わないという利点がある。
図5(A)及び(B)には上記第1の方法で形成されたプレス断面33の態様を示す。図5(A)及び(B)では、端子成形片101を構成する銅または銅合金製の地金101Aの上面と下面に、それぞれ、錫めっき層101B、101Cが形成されている。なお、上記のように錫めっき層101B、101Cは地金101Aに比べて非常に薄く形成される層であるが、理解の便宜を図るため、図5(A)及び(B)では錫めっき層101B、101Cの厚みを誇張して大きく示している。実際の端子成形片101の断面には地金101Aに比べて非常に薄い錫めっき層101B、101Cが現れる。また、錫めっき層101B、101Cは、端子成形片101の表面にある錫の層だけでなく、上述した下地めっき層を含んでもよい。
なお、抜き加工時の金型の構成により剪断方向が逆向きになることがあるが、この場合は錫めっき層101Cがダレとなってプレス断面33に現れる。従って、端子成形片101の両面に錫めっき層101B、101Cが形成されている場合は剪断方向の制限はない。また、端子成形片101の一方の面のみ錫めっき層が形成されている場合には、この錫めっき層がダレとなるように剪断方向を決めれば良い。
プレス断面33に、図5(A)及び(B)に示すように錫で覆われた部分が形成されることにより、このプレス断面33をレーザー溶接する際にはレーザーが良好に吸収されることから母材が速やかに高温となって溶融し、速やかに溶接を完了できる。
この第1の方法では、端子成形片101に新たな加工を施すことなく、抜き加工の工程でプレス断面33に錫を露出させることができる。このため、工程や使用する材料を増やすことなく、レーザー溶接の効率を高めることができる。
第1の方法でレーザー溶接を行った後は、図3(A)〜(D)に示す工程が行われて管端子11が製造される。
第2の方法としては、条150から端子成形片101を抜く加工の後、プレス断面33を叩く加工を施して、錫めっき層101Bまたは錫めっき層101Cの錫を回り込ませる方法が挙げられる。この加工は、プレス断面33の上端または下端を叩いてもよいし、プレス断面33の上端または下端からプレス断面33を引っ掻く、または擦るように叩いてもよい。この場合も、錫めっき層101B、101Cのいずれかの層を構成する錫がプレス断面33に付着するので、レーザー溶接を速やかに行えるようになる。この叩く工程を、例えば、図3(A)に示すように管状成形部112を断面C字形状に曲げるプレス加工時に合わせて行うことができ、この場合、工程や使用する材料を増やすことなく、レーザー溶接の効率を高めることができる。さらに、図3(B)〜(D)の工程を行えば、管端子11が製造される。
また、条150のプレス時にプレス断面33にダレ33Bを形成させ、プレス断面33に錫めっきを回り込ませることにより、工程や材料を増やすことなくレーザー溶接加工の効率を高めることができる。
11 管端子
13 電線
20 嵌合部
30 電線接続部
33 プレス断面
33B ダレ
101 端子成形片
101A 地金
101B、101C 錫めっき層
150 条
Claims (5)
- 銅または銅合金の条をプレスし、プレス断面同士を突き合わせレーザー溶接して筒状に形成される管端子の製造方法において、
前記条表面に錫めっきを施し、
錫めっきした前記条のプレス時に、プレス断面においてレーザー溶接でレーザー光が照射される側の反対側からダレを形成させることにより、前記条表面に形成された錫めっきをプレス断面に回り込ませて、レーザー溶接することを特徴とする管端子の製造方法。 - 筒状に形成される前記管端子の一端を封止することを特徴とする請求項1記載の管端子の製造方法。
- 銅または銅合金の条をプレスし、プレス断面同士を突き合わせレーザー溶接して筒状に形成される管端子の製造方法において、
前記条表面に錫めっきを施し、
錫めっきした前記条をプレスにより打ち抜き、プレス断面に叩き加工を施してプレス断面に錫めっきを回り込ませ、レーザー溶接することを特徴とする管端子の製造方法。 - 銅または銅合金の条をプレスし、プレス断面同士を突き合わせレーザー溶接して筒状に形成される管端子の製造方法において、
前記条表面に錫めっきを施し、
錫めっきした前記条をプレスにより打ち抜き、プレス断面に錫めっきを施してレーザー溶接し、
筒状に形成される前記管端子の一端を封止することを特徴とする管端子の製造方法。 - 銅または銅合金の条をプレスし、プレス断面同士を突き合わせレーザー溶接して筒状に形成される管端子の製造方法において、
銅または銅合金からなる地金が露出する前記条をプレスし、
プレス断面を含む表面に錫めっきを施してレーザー溶接し、
筒状に形成される前記管端子の一端を封止することを特徴とする管端子の製造方法。
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