JP5778198B2 - 端子の製造方法、該製造方法で得られた端子、端子材、電線の終端接続構造体およびその製造方法、並びに端子用の銅または銅合金板材 - Google Patents
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Description
一方、スズめっき処理として、リフロー処理によるスズめっき処理は知られている(例えば、特許文献3、4参照)。
しかも、レーザ溶接の溶接速度を速くできても、ブローホールや割れが発生したり、溶接部の機械強度が低かったり、溶接部の板厚が非溶接部の板厚から変化してしまうこと等の欠陥があった。
(1)電線と圧着接合する管体かしめ部を有する端子の製造方法であって、
銅または銅合金製基材を用意し、
湾曲されて前記管体かしめ部を形成する管展開部を与える領域上に前記基材の最表層としてスズ層またはスズ合金層を形成し、
前記最表層が形成された基材を熱処理に付して、波長1.08μmのレーザ光の反射率が60%以下であるスズの酸化皮膜をスズ層またはスズ合金層の表面に形成させ、
前記熱処理に付した基材を端子の展開形状に打ち抜き、
前記打ち抜いた基材の前記管展開部を湾曲させて互いに突き合わせて管体に成形し、
突き合わせた部分を近赤外線レーザ光照射によるレーザ溶接によって接合して前記管体かしめ部を形成する
各工程をこの順に有してなる、端子の製造方法。
(2)前記熱処理を、温度80〜150℃で1〜100時間の条件(ただし、温度が80℃の場合は熱処理時間を10時間以上とする)で行う、(1)に記載の端子の製造方法。
(5)電線と圧着接合する管体かしめ部となる管展開部を備えた銅または銅合金製基材からなる端子の展開形状を有する端子材であって、波長1.08μmのレーザ光の反射率が60%以下であるスズの酸化皮膜をその表面に有するスズ層またはスズ合金層を、前記管展開部上の端部に最表層として有してなり、前記スズの酸化皮膜の厚さが、カソード還元法における電荷量に換算して50〜200mC/cm 2 である端子材。
(6)前記(4)または(5)に記載の端子材の管体かしめ部となる管展開部が湾曲されて展開端部同士が互いに突き合わせた部分がレーザ溶接で接合されてなる端子。
前記スズの酸化皮膜の厚さが、カソード還元法における電荷量に換算して50〜200mC/cm2である、端子用の銅または銅合金板材。
本発明の端子材の製造方法は、前記端子材を簡便な方法で効率よく製造することができる方法として好適である。
本発明の端子の製造方法は、前記端子を簡便な方法で効率よく製造することができる方法として好適である。
本発明の板材によれば、前記スズ層またはスズ合金層の表面がレーザ光の吸収性が高い(レーザ光の反射率が低い)ために効率よくレーザ溶接を行うことができるので、端子材や端子を簡便な方法で効率よく製造するのに好適である。
本発明の端子材は、波長1.08μmのレーザ光の反射率が60%以下であるスズの酸化皮膜を表面に有するスズ層またはスズ合金層を、管展開部上に、好ましくは少なくともその管展開部の溶接される領域の表面に、最表層として、有する。そして、この波長1.08μmのレーザ光の反射率が60%以下であるスズの酸化皮膜を表面に有するスズ層またはスズ合金層を最表層として設けることによって、端子材(基材)のレーザ光の反射率を低く(つまりレーザ光の吸収率を高く)して、レーザ溶接効率を大きく高めることが可能である。酸化スズにはSnO 2 、SnO等の形態があり、これらが混合した状態もあるが、その組成に関わらず、本発明の条件で酸化スズを生成させることで、レーザ光の反射率が低くなる。
本発明においては、波長1.08μmのレーザ光の反射率は60%以下であるが、現実的には30%〜60%が好ましく、30%〜40%がより好ましい。
<基材>
本発明の端子の基材は、効率よくレーザ溶接することが可能な基材であれば、特に制限されるものではないが、電子部品の端子として使用するのに適した金属材料が好ましい。電子部品の端子および接続構造体を作製するためには、導電性と強度およびばね性を確保するために、銅もしくは銅合金が好ましく、銅合金が特に好ましい。
銅としては、タフピッチ銅や無酸素銅等が挙げられる。
銅合金の例としては、例えば、黄銅(例えば、CDA(Copper Development Association)のC2600、C2680)、リン青銅(例えば、CDAのC5210)、コルソン系銅合金(Cu−Ni−Si−(Sn,Zn,Mg,Cr)系銅合金)等が挙げられ、なかでもコルソン系銅合金が好ましい。
上記FAS−680の合金組成の一例は、スズ(Sn)を0.15質量%、亜鉛(Zn)を0.5質量%、ニッケル(Ni)を2.3質量%、シリコン(Si)を0.55質量%、およびマグネシウム(Mg)を0.1質量%含有し、残部が銅(Cu)および不可避不純物である。上記FAS−820の合金組成の一例は、スズ(Sn)を0.15質量%、亜鉛(Zn)を0.5質量%、ニッケル(Ni)を2.3質量%、シリコン(Si)を0.65質量%、マグネシウム(Mg)を0.1質量%、およびクロム(Cr)を0.15質量%含有し、残部が銅(Cu)および不可避不純物である。
ここで、以上に記載した必須元素以外に不可避不純物を含んでいても良いことは当然である。
以下、前記スズ層またはスズ合金層について、代表として、スズめっき層またはスズ合金めっき層を例に説明する。
本発明では、少なくともレーザ光を照射する側の銅もしくは銅合金の表面もしくはレーザ光照射される領域に、銅や銅合金よりもレーザ光を吸収しやすいスズ層またはスズ合金層を配設し、その表面に前記スズの酸化皮膜を設けることによって、レーザ光の反射率を低下させるものである。
スズ合金の例としては、スズコバルト、スズパラジウム、スズ銅、スズビスマス、スズ銀等が挙げられる。
めっき処理は、常法によって、基材に脱脂および酸洗いをこの順に施した後で行う。
電解脱脂槽、水洗槽、酸洗槽、水洗槽に順次通してめっき前処理を行った。
(電解脱脂処理)
処理液: 10%水酸化ナトリウム水溶液
処理温度: 60℃
陰極電流密度: 3.5 A/dm2
処理時間: 30秒
(酸浸漬処理)
処理液: 10%硫酸水溶液
処理温度: 25℃
浸漬処理時間: 30秒
本発明においては、スズ層またはスズ合金層の表面の近赤外領域のレーザ光の反射率を、波長1.08μmのレーザ光の反射率で60%以下まで低下させることがでる処理方法であれば、どのような方法でも採用することができる。例えば、スズめっき層またはスズ合金めっき層の表面の性状、構成、化学組成を変化させてもよい。代表的には、めっき処理後に、以下に述べる特定の熱処理を行うことによって前記スズの酸化皮膜を得ることができる。
本発明においては、このような厚みのスズ層またはスズ合金層を有する基材を以下の条件で、熱処理することが好ましい。
なお、熱処理の雰囲気は特に限定されるものでなく、酸素加圧下で行うと酸化スズへの酸化反応は促進されるが、酸化されすぎて、微妙な調整が困難である。従って、ゆっくり酸化させる方法が好ましく、常温常圧下〔例えば、25℃、101kPa(1atm)〕であっても良いし、加圧下〔例えば、203kPa(2atm)以上1.01MPa(10atm)以下〕としてもよい。なお、密閉容器を使用することで、高湿度、高温、例えば、相対湿度100%(R.H.)の条件下で行ってもよい。このうち、常圧下であれば、乾燥空気雰囲気下〔例えば、相対湿度30%(R.H.)以下〕とすることが好ましい。一方、加圧下であれば、湿度100%RHのプレッシャークッカー(例えば、温度105℃の高温高湿)内で熱処理を施してもよい。
熱処理時間は、80℃の場合、少なくとも10時間以上の熱処理時間とすることが必要で、100時間以下とすることが好ましい。80℃を超える熱処理温度であれば、1時間を超える熱処理時間であればよく、100時間以下とすることが好ましい。また、100℃〜150℃の範囲であれば、1時間以上の熱処理時間であればよく、好ましくは10時間以上であり、100時間以下とすることが好ましい。
本発明においては、前記形成されるスズの酸化皮膜の厚さが、カソード還元法における電荷量に換算して、50〜200mC/cm2である。
この厚み、すなわちカソード還元法における電荷量に換算されるスズの酸化皮膜は、上記熱処理条件で調製することができる。
図1に示す回路を有する電荷量測定装置を組む。電解セルEは,1000ml容器とし、0.1N(規定)のKCl溶液を満たした。比較電極を、Ag/AgCl電極とし、レコーダー(YOKOGAWA3057)へ接続して、時間ごとの電圧を記録した。定電流電源には、北斗電工製ポテンショスタット・ガルバノスタットHA−151を用い、試料測定面に対し、0.1mA/cm2の電流を通電した。試料は、1cm角を露出させ他をテープでマスクし、露出部をPt対極Cへ正対させた状態でセットし、通電を開始した。通電中の電位を測定すると、図2に示すようなカーブが呈示された。酸化スズが還元反応を進行している間は、一定の電位に滞留する。この滞留時間tと通電電流密度1mA/cm2とを乗じた値が、反応の電荷量であり、還元電気量またはカソード還元量(ミリクーロン/cm2、または、mC/cm2)である。
カソード還元量(mC/cm2)とは、酸化スズを強制的に金属スズに還元させた場合に必要とされる総電気容量である。また、酸化スズが全てSnOであったと仮定し、SnOの比重を用いて換算し、この値を基に、カソード還元量(mC/cm2)の値を1.061倍するとスズの酸化皮膜厚さ(nm)の値が得られる。
本発明では、溶接方法はどのような方法でも構わないが、レーザ溶接方法が好ましく、特に、対向面同士を突き合せてレーザ溶接する突き合わせレーザ溶接方法が好ましい。
なお、基材の打抜きプレスは、任意の各種のポンチとダイが使用でき、必要に応じてクリアランスを調整する。
また、この前記酸化皮膜をその表面に有するスズ層またはスズ合金層は、プレス打ち抜き加工した端子材のかしめ部(30)を形成する管展開部上に、もしくは、管展開部の端部、すなわち管展開部の溶接部(50)を形成する領域とその近傍に、設けられていれば良く、端子材の全面に設けられていても良い。例えば、全面にめっきを施して前記スズの酸化皮膜を表面に有するスズ層またはスズ合金層を設ける場合は、プレス打ち抜き加工した端子材全体をめっき浴に浸漬してめっきを行う。かしめ部(30)を形成する管展開部の端部のみにめっきする場合は、めっきが不要な部分にマスクをしてからめっき浴に浸漬してめっきを行っても良い。
あるいはまた、管展開部のみに例えば板材の相当領域にストライプめっきを施して前記スズの酸化皮膜を表面に有するスズ層またはスズ合金層を設けてもよい。
さらにはまた、管展開部の溶接部(50)を形成する領域とその近傍のみに例えば板材の相当領域にスポットめっきを施して前記スズの酸化皮膜を表面に有するスズ層またはスズ合金層を設けてもよい。
レーザ溶接に用いるレーザ光は、この目的に使用できるのであればどのような波長領域のレーザ光でも構わないが、近赤外領域〜赤外領域が好ましく、近赤外領域がさらに好ましく、近赤外線レーザ光を発振するファイバレーザ加工機を使用するのが特に好ましい。
近赤外線レーザ光は、発振波長が700nm〜2.5μmであり、好ましくは1000nm〜2000nmであり、波長1084nm±5nmのレーザ光の発振波長のレーザ光を用いることが特に好ましい。このようなレーザ光としては、イットリビウム(Yt)ドープガラスファイバレーザ光(発振波長1084nm)、エルビウム(Er)ドープガラスファイバレーザ光(発振波長1550nm)等がある。
本発明の好ましい一実施形態を図面に基づいて説明する。なお、以下に示す実施形態は一例であり、本発明の範囲において、種々の実施形態をとり得る。
そして、少なくとも一本以上の電線係止溝がかしめ部30の内面に設けられることで、端子と電線とが確実に圧着されるので、長期信頼性に優れる。
通常、圧着接合すると、管体かしめ部30は塑性変形を起こして、元の径よりも縮径されることで、電線60との圧着接合をなす。図10に示した例では、第二の強かしめ部30cが、縮径率が一番高くなっている部分である。このように圧着接合を2段階の縮径で行ってもよい。
図5は、端子1に、絶縁被覆61された電線60の絶縁被覆を剥がした(皮むきした)導体(芯線)が挿入された接続構造体10を示す。電線60は、絶縁被覆61と図示しない電線の芯線とからなっている。電線60は裸線であってもよいが、防食の観点から通常は絶縁被覆された電線を用いる。
上記スプリングバックとは、加工部分が元の形状に戻ろうとする現象である。すなわち、電線(図示せず)と圧着接合させた管体かしめ部の変形部分が弾性力等でもとの形状に戻ろうとするため、管体かしめ部30の内面と電線との間に隙間ができてしまう。このようなスプリングバックが端子の圧着部で起こると、電線60と端子1との接点不良を招くことは勿論、間隙に水分の侵入を許しやすくなり腐食の原因となる恐れがある。
本発明の接続構造体で使用する電線は、特に限定されるものではないが、アルミニウム電線が好ましい。アルミニウム電線60は、一般にアルミニウム芯線64とこれを覆う絶縁被覆61とからなっている(図10参照)。本発明では、樹脂被覆されたアルミニウム芯線の導体62を複数束ねた導体群63を絶縁被覆61されたアルミニウム電線が好ましい。
アルミニウム芯線の合金組成には、特に制限はなく、各種の任意のものを用いることができる。
次に、端子1の製造方法について説明する。この端子1は管体かしめ部30を有し、この管体かしめ部30にレーザ溶接部(前記図3参照。)50を有するので、この構成を達成し得るならば製造方法は限定されるものではない。
銅または銅合金からなり、端子材32を打ち抜く基材の少なくとも管体かしめ部30を形成する部分(管展開部30)の上に特定のスズ層またはスズ合金層を設ける。次いで、上述の熱処理に付してスズの酸化皮膜をスズ層またはスズ合金層の表面に形成する。その後に、図7に示されるように、この基材を打ち抜いて、長手方向に連なるよう(連鎖型)に端子1を平面展開した端子形状に加工して作製した複数の端子材32を得る。次いで、曲げ加工によってボックス部20およびトランジション部40を形成する。このようにすると生産効率の点で好ましい。一方、銅または銅合金からなる板材を平面展開した端子形状に打ち抜いて本発明の端子材の形状を得て、このかしめ部を形成する部分の上に前記スズ層またはスズ合金層を設け、次いで、上述の熱処理に付してスズの酸化皮膜をスズ層またはスズ合金層の表面に形成する。その後に、曲げ加工によってボックス部20およびトランジション部40を形成する。このように、めっき処理工程と打ち抜き工程の工程順は適宜選択される。なお、基材としての板材または条材の特定の領域にSn層を設けた後に、個々の端子材32に打ち抜いてもよい。
次いで、曲げ加工等によって湾曲させて突き合わせた管展開部をレーザ溶接して管体かしめ部30を形成する。従って、端子形状に打ち抜かれた端子材は、ボックス部20、トランジション部40および管体かしめ部30を曲げ加工等によって形成できる形状を一体に有している。管体かしめ部30を曲げ加工等によって形成できる管展開部の形状としては、代表的には矩形であるが、一端が閉塞できる形状であれば特に限定されず、例えば、略扇形状、矩形またはこれらの組み合わせ形状を有していてもよい。ボックス部20およびトランジション部40を形成可能な形状はボックス部20およびトランジション部40の形状に応じて適宜に選択される。加えて、端子材は、少なくとも管展開部の表面に前記スズの酸化皮膜を表面に有するスズ層またはスズ合金層が形成されている。このような形状および前記スズの酸化皮膜を表面に有するスズ層またはスズ合金層を最表層として有する本発明の端子材は、電線と圧着接合するかしめ部となる管展開部の部分を湾曲させて突き合わせて管体に成形し、突き合わせた部分を接合してかしめ部を形成する端子の製造方法に好適に供される。
本発明の板材は、前記銅または銅合金からなる基材上に、好ましくはその管体かしめ部上の前記所定の部分に、前記スズの酸化皮膜をその表面に有するスズ層またはスズ合金層を有しているものである。基材の種類、前記スズの酸化皮膜をその表面に有するスズ層またはスズ合金層、これらの詳細および好ましい範囲などは、前述の通りである。
この板材の幅は、前記端子材を、例えばプレス加工に打ち抜くことができる幅であれば特に制限はない。例えば、板材の幅は10mm〜60mm、好ましくは15〜40mmとすることができる。
ここで、本発明の板材はもっと幅狭のいわゆる板材をも包含する意味である。
(1)板試験片の作製
基材として、厚み0.25mmの銅合金(古河電気工業株式会社製、FAS−680(商品名))の板材を使用し、該基材に脱脂および酸洗いをこの順に施し、下記めっき浴にて、浴温度30℃、電流密度5A/dm2の条件でめっきを施し、最表層に、厚さ1μmのスズ層を有する基材(スズめっき基材)を作製した。
処理液:硫酸スズ 80g/リットル、硫酸 50ミリリットル/リットル
処理温度:25℃
電流密度:3A/dm2
めっき時間を調整し、めっき厚が1μmのSnめっき層を形成した。
上記カソード還元法の還元量および波長1.08μmの近赤外レーザ光の反射率は、以下のようにして測定した。
前記図1を参照して説明したカソード還元法による電荷量測定装置により測定した。
日立ハイテク製の分光光度計U−4100、3cm角のサンプルにて、波長1.08μmにおける反射率を測定した。
このようにして得られた各板試験片を打抜きプレスし、図7にプレス打ち抜き直後で成形前の状態を示すメス端子(連鎖型)を作製した。管体かしめ部30の長辺部の長さは8mmである。
図8に示すように、展開状態の管体かしめ部30を円形(筒状)に成形し、管体かしめ部30を作製した。そして、前記図6を参照して説明したように、その突き合わせ部分を、波長約1.08μmのファイバレーザ溶接装置(古河電気工業株式会社製、ASF1J221シリーズ(商品名))を用いて、ジャストフォーカス(集光スポット径が20μm)に設定することにより、出力密度が380MW/cm2となる条件で、掃引速度90〜300mm/秒で、レーザ溶接した。
さらに、図9に示すように、管体かしめ部30のトランジション部40の片端を平らに潰して成形し、レーザ溶接によって封じて、管体かしめ部30をトランジション部40側で片端を封止した端子を作製した。
図10に示すように、電線導体を端子へ挿入し、上/下方向からクリンパ/アンビルにより圧着し、下記表1に記載の試料の接続構造体を作製した。
前記レーザ溶接における溶接性を、掃引速度と板厚の貫通状態から、以下の基準で評価した。
A(優):300mm/秒以上で板厚を貫通した
B(良):100mm/秒以上300mm/秒未満で板厚を貫通した
C(劣):100mm/秒で板厚を貫通できなかったか、あるいは、全く溶接ができなかった
一方、比較例の試料10aと10bでは、いずれも波長1.08μmでの反射率が60%を越えており、この結果、比較例の試料10aと10bは、いずれも溶接性に劣るものであった。
5 銅合金板材
10 接続構造体(終端接続構造体)
20 ボックス部
30 かしめ部
30a 管体かしめ部
30b 第一の強かしめ部
30c 第二の強かしめ部
30S 打ち抜き端面(端面)
31 電線挿入口
32 端子基材(連鎖端子)
33 管体かしめ部の内壁面
34a,34b 電線係止溝
35 圧着部
36 突き合わせ部
40 トランジション部
50 溶接部
60 電線
61 絶縁被覆
62 導体
63 導体群
64 芯線(裸線導体)
FL ファイバレーザ溶接装置
L レーザ光
Claims (9)
- 電線と圧着接合する管体かしめ部を有する端子の製造方法であって、
銅または銅合金製基材を用意し、
湾曲されて前記管体かしめ部を形成する管展開部を与える領域上に前記基材の最表層としてスズ層またはスズ合金層を形成し、
前記最表層が形成された基材を熱処理に付して、波長1.08μmのレーザ光の反射率が60%以下であるスズの酸化皮膜をスズ層またはスズ合金層の表面に形成させ、
前記熱処理に付した基材を端子の展開形状に打ち抜き、
前記打ち抜いた基材の前記管展開部を湾曲させて互いに突き合わせて管体に成形し、
突き合わせた部分を近赤外線レーザ光照射によるレーザ溶接によって接合して前記管体かしめ部を形成する
各工程をこの順に有してなる、端子の製造方法。 - 前記熱処理を、温度80〜150℃で1〜100時間の条件(ただし、温度が80℃の場合は熱処理時間を10時間以上とする)で行う、請求項1に記載の端子の製造方法。
- 請求項1または2に記載の製造方法で製造されてなり、前記スズの酸化皮膜の厚さが、カソード還元法における電荷量に換算して50〜200mC/cm 2 である端子。
- 電線と圧着接合する管体かしめ部となる管展開部を備えた銅または銅合金製基材からなる端子の展開形状を有する端子材であって、波長1.08μmのレーザ光の反射率が60%以下であるスズの酸化皮膜をその表面に有するスズ層またはスズ合金層を、前記管展開部上に最表層として有してなり、前記スズの酸化皮膜の厚さが、カソード還元法における電荷量に換算して50〜200mC/cm 2 である端子材。
- 電線と圧着接合する管体かしめ部となる管展開部を備えた銅または銅合金製基材からなる端子の展開形状を有する端子材であって、波長1.08μmのレーザ光の反射率が60%以下であるスズの酸化皮膜をその表面に有するスズ層またはスズ合金層を、前記管展開部上の端部に最表層として有してなり、前記スズの酸化皮膜の厚さが、カソード還元法における電荷量に換算して50〜200mC/cm 2 である端子材。
- 請求項4または5に記載の端子材の管体かしめ部となる管展開部が湾曲されて展開端部同士が互いに突き合わせた部分がレーザ溶接で接合されてなる端子。
- 請求項3または6に記載の端子と、アルミニウムまたはアルミニウム合金電線とを、前記端子の管体かしめ部において圧着接続する電線の終端接続構造体の製造方法であって、前記管体かしめ部内に前記アルミニウムまたはアルミニウム合金電線を挿入し、前記管体かしめ部をかしめて前記アルミニウムまたはアルミニウム合金電線を前記管体かしめ部内に圧着接続する、電線の終端接続構造体の製造方法。
- 請求項3または6に記載の端子と、アルミニウムまたはアルミニウム合金電線とを、前記端子の管体かしめ部において圧着接続した電線の終端接続構造体。
- 銅または銅合金製基材上に、スズ層またはスズ合金層を有してなり、該スズ層またはスズ合金層の最表面には、波長1.08μmのレーザ光の反射率が60%以下であるスズの酸化皮膜を有し、
前記スズの酸化皮膜の厚さが、カソード還元法における電荷量に換算して50〜200mC/cm2である、端子用の銅または銅合金板材。
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