JP2014164936A - 端子およびその製造方法 - Google Patents

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昭頼 橘
Tatsuya Nakatsugawa
達也 中津川
Yoshiaki Kobayashi
良聡 小林
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Abstract

【課題】レーザ溶接性の向上と、電線抜けの防止とを実現した筒状圧着部を有する端子およびその製造方法を提供する。
【解決手段】本発明の端子は、電線と圧着接合する筒状圧着部30を有し、前記筒状圧着部30は、金属基材1から構成され、該金属基材1上の、少なくとも片面の、一部もしくは全面に、Snめっき皮膜2を有し、該Snめっき皮膜2は、マクロな表面粗さ3としての算術平均粗さRaが0.020μm以上であり、かつミクロな表面粗さ4としての表面粗さSaが30nm以上、100nm以下であることを特徴とする.
【選択図】図2

Description

本発明は、端子、特に、筒状圧着部を有する自動車用の端子及びその製造方法に関するものである。
従来、自動車用組み電線、いわゆるワイヤハーネスにおける電線接続部では、電線導体を端子に圧着する接続形式が一般的である。通常、組み電線には銅電線が用いられるが、軽量化目的でアルミニウム電線が使われることがある。圧着部は、一般に、電線導体が露出する構造であり、電線導体としてアルミニウムを用いた場合には、導体のアルミニウムが圧着部から露出するため、導体のアルミニウムが腐食を起こし、電気の導通を確保できなくなる恐れがあった。
これを防止するためにはアルミニウム導体を環境から遮断することが考えられる。例えばアルミ表面が空気などに触れないように覆ってしまうことが望ましい。腐食を防止するという観点では、アルミニウム導体を外界から遮断する方式として、圧着部全体を樹脂によりモールドする手法が検討されてきた(例えば、特許文献1)。しかしながら、モールド部の肥大に応じて、コネクタハウジングのサイズを上げる必要があり、それにより、コネクタが肥大化してしまうため、組み電線全体を高密小型に形成させることができなかった。また、モールド成形は、圧着後に個々の圧着部に対して処理されるため、組み電線製造の工程が増大し、作業が煩雑である等の欠点があった。
そこで、金属缶(中間キャップ)を電線導体に被せた後に圧着することにより、アルミニウム導体を外界から遮断する手法が検討された(例えば、特許文献2)。しかしながら、圧着前に個々の導体へ缶を装着する工程が煩雑であること、また、圧着時、ワイヤバレルにより缶を破壊してしまい浸水経路が生じてしまうこと等の欠点がある。
特開2011−222243号公報 特開2004−207172号公報
圧着部を肥大化させずに電線導体を外界から遮断する従来の手段としては、例えば、筒状に曲げ加工した金属板の両端をレーザ溶接することにより、一端が密閉された筒状圧着部を形成し、この端子の筒状圧着部に電線導体を挿入して圧着する構造を採用することが有用である。これにより、金属基材から構成される端子の圧着部でアルミニウム電線を密閉する筒状構造を有する接続構造体を形成することができ、アルミニウム電線と端子内面との間に外界から水分を浸入しにくくすることが可能である。
筒状圧着部のレーザ溶接は、レーザ照射出力は低いほど、また、レーザ照射時間は短いほど、溶接に必要なエネルギー量を少なくすることができ、作業の高効率化およびコストの削減を図ることができ、これに伴って、レーザ溶接性を向上させることができる点から好ましいとされている。
また、上記筒状圧着部に電線導体を挿入して圧着する場合において、例えば、電線導体としてアルミニウムを用いると、アルミニウム電線は、表面に絶縁性を有する薄くて硬い酸化被膜が形成されやすいため、圧着の際、筒状圧着部の内面との接触圧によって酸化被膜を突き破れなければ、良好な電気導通が得られず、加えて、圧着後の電線抜けも生じやすいという問題が生じうる。
そこで、本発明は、上記の従来技術の問題点に鑑み、レーザ溶接性の向上と、圧着後の電線抜けの防止とを実現した筒状圧着部を有する端子およびその製造方法を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記課題の解決のため鋭意検討を進めた結果、筒状圧着部を構成する金属基材の表面に形成したSnめっき皮膜の、マクロな表面粗さとミクロな表面粗さを最適化することで、レーザ溶接性が向上し、かつ圧着後における電線抜けも有効に防止できることを見出した。本発明は、この知見に基づきなされるに至った。
すなわち、本発明の要旨構成は、以下の通りである。
(1)電線と圧着接合する筒状圧着部を有する端子であって、前記筒状圧着部は、金属基材から構成され、該金属基材上の、少なくとも片面の、一部もしくは全面に、Snめっき皮膜を有し、該Snめっき皮膜は、マクロな表面粗さとしての算術平均粗さRaが0.020μm以上であり、かつミクロなの表面粗さとしての表面粗さSaが30nm以上、100nm以下であることを特徴とする端子。
(2)前記金属基材が、銅または銅合金からなることを特徴とする上記(1)に記載の端子。
(3)前記電線が、アルミニウムまたはアルミニウム合金からなることを特徴とする上記(1)または(2)に記載の端子。
(4)電線と圧着接合する筒状圧着部を有する端子の製造方法において、所定の粗度をもつ圧延ロールで圧延加工を施してマクロな表面粗さを調整した金属基材上の、少なくとも片面の、一部もしくは全面に、電析によりSnめっき皮膜を形成し、次いで、該Snめっき皮膜の表面を、ミクロな表面粗さの調整のために研磨し、その後、筒状に変形させた前記金属基材の両端をレーザ溶接することで、前記筒状圧着部を形成し、該筒状圧着部のSnめっき皮膜は、マクロな表面粗さとしての算術平均粗さRaが0.020μm以上であり、かつミクロな表面粗さとしての表面粗さSaが30nm以上、100nm以下であることを特徴とする端子の製造方法。
(5)前記算術平均粗さRaは、0.1μm以下であることを特徴とする上記(4)に記載の端子の製造方法。
(6)前記ミクロな表面粗さは、コロイダルシリカを含有する懸濁液を用いた研磨によって調整することを特徴とする上記(4)または(5)に記載の端子の製造方法。
(7)前記筒状圧着部をレーザ溶接する際に用いるレーザの波長が、1000nm以上であることを特徴とする上記(4)、(5)または(6)に記載の端子の製造方法。
本発明によれば、レーザ溶接性の向上と、圧着後の電線抜けの防止とを実現した筒状圧着部を有する端子およびその製造方法の提供が可能になった。
本発明の端子の好ましい一実施形態を示した斜視図である。 本発明のSnめっき皮膜形成した金属基材の表面形状の好ましい一実施形態を示した簡略図である。
次に、本発明に従う端子の好ましい実施形態を、図面を参照しながら以下で説明する。なお、以下に示す実施形態は一例であり、本発明の範囲において、種々の実施形態をとり得る。
図1は、本発明の端子の好ましい一実施形態である端子100を示したものである。この端子100は、雌型端子のコネクタ部20と、筒状圧着部30と、これらを連結するトランジション部40とで主に構成されている。端子100は、導電性と強度を確保するために基本的に金属基材で製造されている。
雌型端子のコネクタ部20は、例えば雄型端子等の挿入タブの挿入を許容し電気接続する部分である。本発明において、このコネクタ部の形状は特に限定されず、雄型端子の挿入タブであってもよい。
筒状圧着部30は、端子100と電線(図示せず)とを圧着接合する部位である。その一端は、電線挿入口31を有し、他端はトランジション部40に接続されている。筒状圧着部30のトランジション部40側の端部は、開口していてもよいが、圧着部内に水分が浸入して端子金属と電線導体との異種金属間腐食が生じるのを防止する点で閉口していることが好ましい。
金属基材の少なくとも片面の、一部もしくは全面は、Snめっき皮膜を有している。Snめっき皮膜は、安定した低接触抵抗と優れた耐食性を有し、軟らかく、めっきの均一電着が優れていることから金属基材上に形成することが好ましい。なお、Snめっき皮膜は、通常の電気めっき法により金属基材の表面にSnを析出させる方法により形成すればよく、その析出条件は、特に限定されない。Snめっき厚は、その後の研磨処理により所望なミクロな表面粗さを形成させやすくするため、0.8μm以上〜1.2μm以下であることが好ましい。
金属基材上のSnめっき皮膜は、0.020μm以上のマクロな表面粗さとしての算術平均粗さRaを有している。マクロな表面粗さ、すなわち、算術平均粗さRaを0.020μm以上とすることで、金属基材上のSnめっき皮膜表面のうねり(マクロな凹凸)が大きくなり、それにより、照射したレーザがめっき表面で反射されにくくなって吸収率が増大する結果、レーザ溶接性を向上させることができる。
さらに、金属基材上のSnめっき皮膜は、30nm以上、100nm以下のミクロな表面粗さとしての表面粗さSaを有している。ミクロな表面粗さ、すなわち、表面粗さSaを30nm以上とすることで、Snめっき皮膜の表面に微小凹凸がある程度大きくなるように形成され、電線に対する金属基材の表面の実質接触面積が増加する。しかしながら、ミクロな表面粗さとしての表面粗さSaが100nmを超えると、微小凹凸が大きくなりすぎ、電線に対する金属基材の表面の実質接触面積が減少するようになり、電線圧着後の引張強度が低下する傾向があることから、ミクロな表面粗さとしての表面粗さSaは100nm以下とするべきである。
このように、ミクロな表面粗さを適正に調整することにより、電線圧着後の引張強度を高めることができ、その結果、良好な電気導通を確保するとともに電線抜けを防止することができる。
つまり、本発明は、マクロな表面粗さおよびミクロな表面粗さの2つの表面粗さを制御することで、レーザ溶接性を向上させつつ、圧着後の電線抜けを防止することが可能である。ここで、本発明におけるマクロな表面粗さとは、触針式表面粗さ計による測定から得られる表面粗さであり、具体的には、金属基材の表面自体の微小なうねりを数値化したものである。本発明におけるマクロな表面粗さとしての算術平均粗さRaを、0.020μm以上とし、好ましくは0.030μm以上、より好ましくは0.040μm以上に調整することで、レーザ溶接性をより向上させることができる。しかしながら、マクロな表面粗さを大きくし過ぎると、金属基材の表面自体のうねりが大きくなり、加工性に影響を及ぼすため、マクロな表面粗さとしての算術平均粗さRaは、0.1μm以下が好ましく、0.05μm以下がより好ましい。なお、本発明における算術平均粗さRaは、JIS B 0601−2001の規定に準拠して測定した。
また、本発明における表面粗さSaは、原子間力顕微鏡(Atomic Force Microscope:AFM)により試料表面を走査し、ナノスケールの表面形状を計測することで得られる表面粗さであり、具体的には、金属基材の表面に形成されたマクロなうねりをベースラインとした微小凹凸の程度を数値化したものである(図2参照)。それ故、金属基材表面のうねりの程度が、ナノスケールの表面形状の計測に大きく影響を及ぼすことはない。本発明では、表面粗さSaを、30nm以上、好ましくは50nm以上、より好ましくは90nm以上に調整することで、圧着後の引張強度を増大させることができる。なお、本発明における表面粗さSaは、ISO25178の規定に準拠して測定した。
また、本発明において、金属基材は特に限定されるものではないが、主に自動車用の端子としての導電性の観点から、銅または銅合金からなる金属基材が好ましい。
さらに、本発明の端子に圧着される電線としては、特に限定されるものではないが、主に自動車の軽量化に伴う各構成部品の軽量化の観点から、アルミニウムまたはアルミニウム合金からなる電線を用いることが好ましい。
次に、本発明に従う端子の製造方法の一例を説明する。本発明の端子の製造方法は、まず、所定の粗度をもつ圧延ロールで圧延加工を施してマクロな表面粗さを調整した金属基材上の、少なくとも片面の、一部もしくは全面に、電析によりSnめっき皮膜を形成し、次いで、Snめっき皮膜の表面を、ミクロな表面粗さの調整のために研磨し、その後、筒状に変形させた金属基材の両端をレーザ溶接することで、筒状圧着部を形成する。このとき、Snめっき皮膜は、マクロな表面粗さとして、0.020μm以上の算術平均粗さRaおよびミクロな表面粗さとして、30nm以上、100nm以下の表面粗さSaを有している。
図2は、本発明の好ましい一実施形態であるSnめっき皮膜2を形成した後の金属基材1の表面形状を示している。金属基材1を、所定の粗度を有するロールを用いて圧延加工することにより、その表面のマクロな表面粗さ3を調整する。このマクロな表面粗さ3は、金属基材1の圧延加工の際のロール粗度と相関しており、ロール粗度を小さくするほどマクロな表面粗さ3を平滑にすることができ、一方、ロール粗度を大きくするほどマクロな表面粗さ3を粗くすることができる。その後、圧延加工された金属基材1の少なくとも片面の一部あるいは全部、特にレーザ溶接する金属基材1の外面部分と、圧着部内で電線と接触する金属基材1の内面部分に少なくともSnめっきを施し、好ましくは金属基材1の両面にSnめっきを施す。Snめっき処理後、金属基材1上に形成したSnめっき皮膜の表面を所定の時間研磨し、Snめっき皮膜2の表面のミクロな表面粗さ4を調整する。このミクロな表面粗さ4は、Snめっき後の研磨処理と相関しており、例えば、研磨時間を短くするほどミクロな表面粗さ4を構成する微小凹凸を粗くすることができ、一方、研磨時間を長くするほどミクロな表面粗さ4を構成する微小凹凸を小さく平滑にすることができる。
筒状圧着部30は、ミクロな表面粗さが調整されたSnめっき皮膜を有する金属基材を筒状に変形し、その変形させた金属基材の両端をレーザ溶接することで形成される。ここで、レーザの種類は特に限定されるものではなく、例えば、COレーザ、YAGレーザ、半導体レーザ、ファイバーレーザ、ディスクレーザなどを使用してもよい。その中でも、ファイバーレーザは極細のビーム径を実現できるため、小さな部品の加工に対して好適である。また、発信効率が高いため、溶接に要する処理時間を短くすることが可能となり、その結果、防食処理にかかる加工コストの増加を抑えることができる。特に、貫通溶接が必要な場合にレーザ溶接の時間短縮の効果は顕著である。
本発明の端子100の筒状圧着部30の形状は、トランジション40側の端部が密閉された筒状溶接管形状であることが、圧着後の筒状圧着部30内に水分が浸入することを抑制できる点で好ましい。特に、この筒状圧着部30の形状は、銅もしくは銅合金からなる金属基材と、アルミニウムもしくはアルミニウム合金からなる電線とで接続構造体を形成する場合には、異種金属間腐食が生じやすくなるため、その防止の観点からも好適である。場合によっては、筒状圧着部30の形状は、楕円状溶接管形状や矩形状溶接管形状であっても良い。また、筒状圧着部30の管の内径または外径は一定である必要はなく、長手方向で管の内径または外径が変化していてもよい。
筒状圧着部30を構成する金属基材と電線挿入口31に挿入された電線とを機械的に圧着接合することにより、電気的な接合が確保された端子を製造することができる。なお、筒状圧着部30を構成する金属基材と電線挿入口31に挿入された電線との圧着接合は、専用の治具やプレス加工機械等で実施することができる。
また、本発明において、研磨の種類は特に限定されるものではなく、研磨器具、研磨機などを用いた機械的な研磨であっても、化学研磨、電解研磨などの非機械的な研磨であってもよい。その中でも、化学機械研磨が好ましく、特に、金属基材のマクロな表面粗さにほとんど影響を与えない、コロイダルシリカを含有する懸濁液を用いた研磨が好ましい。
また、本発明におけるレーザ波長は、金属基材を溶接しうる波長の範囲であれば、特に限定されるものではないが、マクロな表面粗さである算術平均粗さRa(0.020μm以上)に対応させて、レーザの吸収効率が高くなる波長範囲に設定することが好ましく、例えば、0.5μm(500nm)〜12.0μmの範囲、好ましくは0.8μm(800nm)〜2.0μm(2000nm)の範囲、より好ましくは1.0μm(1000nm)〜1.2μm(1200nm)の範囲である。一般に、X線などの短波長はエネルギーが高いため、物質に対して吸収されやすいものの、テレビの電波などの長波長はエネルギーが低いため、波長を吸収させるための物質の形状をパラボナアンテナなどのように形状を調節して波長を吸収させる。それ故、1000nm付近の近赤外領域では特異な吸収端が存在しないため、金属基材の形状、すなわち金属基材の表面の粗さと吸収波長との双方の対応を調節することで金属基材へのレーザ光の吸収率を上げることが可能になる。
なお、上述したところは本発明の実施形態の例を示したに過ぎず、特許請求の範囲において変更することは可能である。
次に、本発明の実施例を説明するが、本発明は下記実施例に限定されるものではない。
金属基材として、銅合金(古河電気工業株式会社製、商品名:FAS−680、厚さ0.25mm、H材)基材を用いた。FAS−680の合金組成は、ニッケル(Ni)を2.0〜2.8質量%、シリコン(Si)を0.45〜0.6質量%、亜鉛(Zn)を0.4〜0.55質量%、スズ(Sn)を0.1〜0.25質量%およびマグネシウム(Mg)を0.05〜0.2質量%含有し、残部が銅(Cu)および不可避的不純物である。
前記金属基材を、圧延時においてロール粗度の調整が可能であるロールを用いて圧延加工し、該金属基材のマクロな表面粗さとしての算術平均粗さRaを調整した。なお、実際の条製品ではある程度ばらつきが生じるため、条件を振って作成した条の中から所望とする粗さに制御されているものを選択した。試験において、ロールの表面粗さRzが小さい順に、マクロな表面粗さが、ぞれぞれ、Ra≒0.01μm、0.02μm、0.03μm、0.04μmとなるように対応する粗度を有するロールを使用して、金属基材のマクロな表面粗さとしての算術平均粗さRaを調整した。使用したロールの表面粗さRz(JIS B 0601−2001の規定に準拠)および得られた金属基材の算術平均粗さRaを表1に示す。
次いで、前記金属基材のそれぞれに電気Snめっき処理を、下記に示す処理液およびめっき条件で施し、各金属基材上の両面に、約1μmの厚さのSnめっき皮膜を形成させた。
(Snめっき条件)
処理液:
硫酸Sn:80g/リットル、
硫酸:50ミリリットル/リットル、
UTB513Y(石原薬品株式会社):5ミリリットル/リットル
処理温度:25℃
電流密度:5A/dm
処理時間:20〜30秒
Snめっき皮膜が形成された、マクロな表面粗さとしての算術平均粗さRaが異なる各金属基材に、コロイダルシリカを含有する懸濁液による研磨を表1に示す時間で施すことにより、所望とするミクロな表面粗さとしての表面粗さSaを得た。ここで、表1中の研磨時間において、0秒は研磨していないことを意味しており、該コロイダルシリカを含有する懸濁液として、丸本ストルアス株式会社製のOP−S懸濁液(OPSIF−5リットル入り)を使用した。
マクロな表面粗さとしての算術平均粗さRaは、株式会社小坂研究所製の触針式表面粗さ計(型番:SE−30H)を使用して測定した。その際、測定距離は4mm、針の速度は0.8mm/sであった。
ミクロな表面粗さとしての表面粗さSaは、Nanosurf社製のAFM(型番:Mobile S)を使用して測定した。その際、視野角は、6.16μm×6.16μmであった。
上記研磨後のもしくは研磨されていないSnめっき皮膜が形成された各金属基材を筒状に変形させ、その両端をレーザ溶接することで、端子の筒状圧着部を形成した。レーザとして、古河電気工業株式会社製のファイバーレーザ(型番:ASF1J23、レーザ波長:1084nm)を使用した。レーザ光出力を400Wに固定し、貫通溶接可能な速度でレーザ溶接性を評価した。その際、掃引距離は9mm、スポットサイズは0.02mmであった。ここで、速度と時間の関係から、速度が速い=時間が短い=レーザ溶接に必要なエネルギー量が少ないと考えることができる。評価基準は、以下の通りである。
◎:500mm/sec以上で貫通溶接
○:400mm/sec以上、500mm/sec未満で貫通溶接
△:300mm/sec以上、400mm/sec未満で貫通溶接
×:300mm/secより遅い。
さらに、電線を上記の筒状圧着部に挿入し、金属基材からなる筒状圧着部と電線との接続構造体を圧着した後、引張試験により電線が引き抜ける強度を評価した。評価基準は、以下の通りであり、「◎」および「○」の評価であれば、圧着後の電線抜けが生じない引張強さであると判断することができる。
◎:150MPa以上
○:140MPa以上、150MPa未満
×:140MPaより低い。
ここで、上記電線の芯線としては、古河電気工業株式会社製のアルミ合金MSAl(線、線径0.43mm)を用いた。MSAlの合金組成は、鉄(Fe)を約0.2%、銅(Cu)を約0.
2%、マグネシウム(Mg)を約0.1%、シリコン(Si)を約0.04%含有し、残部がア
ルミニウム(Al)および不可避不純物である。該MSAlを用いて、2.5sq、19本撚り
の電線にした。
なお、端子のコネクタ部およびトランジション部は、機械的なプレスによる所定の型を用いた打ち抜き加工、曲げ加工によって所望とする形に変形させ、端子を製造した。
表1から明らかなように、Snめっき皮膜された各金属基材のマクロな表面粗さとしての算術平均粗さRaを大きくするほどレーザ溶接性を向上させることが可能であり、特に、算術平均粗さRaを0.020μm以上に調節することで、300mm/sec以上の速度で貫通溶接可能なレーザ溶接性が得られることがわかる。また、Snめっき皮膜された各金属基材のミクロな表面粗さとしての表面粗さSaについては、研磨時間を長くしすぎると、引張強さは140MPaより低くなり、一方、研磨を全くしない場合にも、引張強さは140MPaより低くなるとの結果が得られた。このことから、ミクロな表面粗さとしての表面粗さSaを、30nm以上、100nm以下に調整することで、140MPa以上の引張強さが得られ、圧着後の電線抜けの防止を図れることがわかる。
本発明によれば、レーザ溶接性の向上と、圧着後の電線抜けの防止とを実現した筒状圧着部を有する端子およびその製造方法の提供が可能になった。
1 金属基材
2 Snめっき皮膜
3 マクロな表面粗さ
4 ミクロな表面粗さ
20 雌型端子のコネクタ部
30 筒状圧着部
31 電線挿入口
40 トランジション部
100 端子

Claims (7)

  1. 電線と圧着接合する筒状圧着部を有する端子であって、
    前記筒状圧着部は、金属基材から構成され、
    該金属基材上の、少なくとも片面の、一部もしくは全面に、Snめっき皮膜を有し、
    該Snめっき皮膜は、マクロな表面粗さとしての算術平均粗さRaが0.020μm以上であり、かつミクロな表面粗さとしての表面粗さSaが30nm以上、100nm以下であることを特徴とする端子。
  2. 前記金属基材が、銅または銅合金からなることを特徴とする請求項1に記載の端子。
  3. 前記電線が、アルミニウムまたはアルミニウム合金からなることを特徴とする請求項1または2に記載の端子。
  4. 電線と圧着接合する筒状圧着部を有する端子の製造方法において、
    所定の粗度をもつ圧延ロールで圧延加工を施してマクロな表面粗さを調整した金属基材上の、少なくとも片面の、一部もしくは全面に、電析によりSnめっき皮膜を形成し、次いで、該Snめっき皮膜の表面を、ミクロな表面粗さの調整のために研磨し、その後、筒状に変形させた前記金属基材の両端をレーザ溶接することで、前記筒状圧着部を形成し、該筒状圧着部のSnめっき皮膜は、マクロな表面粗さとしての算術平均粗さRaが0.020μm以上であり、かつミクロな表面粗さとしての表面粗さSaが30nm以上、100nm以下であることを特徴とする端子の製造方法。
  5. 前記算術平均粗さRaは、0.1μm以下であることを特徴とする、請求項4に記載の端子の製造方法。
  6. 前記ミクロな表面粗さは、コロイダルシリカを含有する懸濁液を用いた研磨によって調整することを特徴とする請求項4または5に記載の端子の製造方法。
  7. 前記筒状圧着部をレーザ溶接する際に用いるレーザの波長が、1000nm以上であることを特徴とする請求項4、5または6に記載の端子の製造方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2018069304A (ja) * 2016-11-01 2018-05-10 古河電気工業株式会社 溶接用ケーブルジョイントのジョイント部材

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