JP2018069304A - 溶接用ケーブルジョイントのジョイント部材 - Google Patents

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Abstract

【課題】振動に対しても安定して接続状態を維持する。【解決手段】溶接用ケーブル同士を接続する溶接用ケーブルジョイントのジョイント部材20において、溶接用ケーブルの導体が挿入される導体挿入部21と、他のジョイント部材30との電気的接続を図るためのプラグ部又はソケット部22とを備え、導体挿入部とプラグ部又はソケット部との間に、挿入部81と被挿入部82とからなる着脱可能な嵌合構造80が設けられ、挿入部と被挿入部との相互の対向面の間に、弾性変形により圧接する弾性導体片が複数連接された接触子86が設けられていることを特徴とする。【選択図】図1

Description

本発明は、溶接用ケーブルジョイントのジョイント部材に関する。
アーク溶接装置100の溶接機101とホルダ102との間を接続する溶接用ケーブルは、図17に示すように、溶接機101からの延長線として用いられる導線用ケーブル103と、溶接の手元で使用するホルダ用ケーブル104とから構成されている。
そして、溶接用ケーブルは、溶接機から対象物までの距離が長くなると、導線用ケーブル103とホルダ用ケーブル104の間に溶接用ケーブルジョイント110を介して延長ケーブルが接続される。
溶接用ケーブルジョイントは、導体挿入部が設けられたプラグとソケットを嵌合させることで電気的に接続することができる。
プラグ又はソケットの導体挿入部に対するケーブル導体の接続方式の一つとして、かしめによる接続とねじ止め式とが挙げられる。
かしめによる接続の場合は、ケーブル導体を筒状の導体挿入部に挿入し、その上からかしめて固定する。この方法は、ケーブル導体を導体挿入部に挿入してねじ込みネジにて締め付けるねじ止め式に比べ、電気性能に優れるといった利点がある。
一方、ねじ止め式の場合は、例えば、溶接用ケーブルが何らかの事情で損傷した際には、ネジを緩めてケーブル導体から取り外すことでジョイントを再利用可能という利点がある。かしめによる接続の場合は、導体挿入部が変形しているために再利用が出来ず、プラグ又はソケット部分に問題がなくてもジョイントごと交換しなければならないために不経済である。
上記問題の解決のために、従来は、筒状の導体挿入部の先端にネジ部を設け、導体挿入部にケーブル導体を挿入してかしめた後に、プラグ/ソケットに設けたネジ穴にねじ込む構造が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
この構造によれば、導体挿入部はケーブル導体をかしめて固定するので、高い電気性能を確保することができ、ケーブルを交換する際には、導体挿入部のみを交換すればよく、プラグ/ソケット本体は再利用することができるので経済的である。
一方、溶接用ケーブルの導体として、銅もしくは銅合金から軽量化を目的として、アルミニウムもしくはアルミニウム合金への転換が検討されている。
従来の溶接用ケーブルジョイントは、銅導体との接続を前提に設計されているため、銅や黄銅が材料として使用されている。
これらのケーブルジョイントをアルミニウム導体に取り付ける場合、異種金属接触腐食が問題となる。つまり、その接続箇所に結露が生じるなどして水分が介在すると、局部電池が形成され、アルミニウムが陽イオンとして溶出し、最終的にはアルミニウム導体が損傷して、接触抵抗の増大により発熱に至る虞がある。
また、アルミニウムと銅の熱膨張係数の違いも問題となる。これらの異種材料によるクリープや応力緩和が生じると、アルミニウム導体とその周囲の金属との接触荷重が経時的に減少する。接触荷重が減少すると、アルミニウム導体と周囲の金属との接触領域が減少して接触抵抗が増加し、やがては発熱に至る虞がある。
こうした問題の解決のために、導体接続管をアルミニウム製とし、銅または銅合金製のプラグ/ソケットと、ネジを切った銅または銅合金製の連結杆で接続した溶接用ケーブルジョイントが提案されている(例えば、特許文献2参照)。
この溶接用ケーブルジョイントは、アルミニウム導体と導体接続管との間の異種金属接触腐食やクリープ、応力緩和の問題を解消することができ、且つ、ケーブルを交換する際は導体接続管をプラグ/ソケットから分離すればよいので、プラグ/ソケット部分が廃棄されず経済的にも有利でもある。
実公平01−007585号公報 実公昭51−016867号公報
しかしながら、特許文献1及び2の先行技術は、いずれも、導体接続管とプラグ/ソケットの電気的接続は、ネジ嵌合部によっておこなわれるため、使用中の振動などにより緩むと接続状態が不安定になり、電気的に接触面積を十分に確保出来ない状態となる。このような状態で必要な電流を流そうとすると、接続箇所に発熱が生じるという問題があった。
本発明の目的は、銅導体の溶接用ケーブルとアルミ導体の溶接用ケーブルとを接続し、発熱の発生を抑制する溶接用ケーブルジョイントのジョイント部材を提供することである。
請求項1に記載の発明は、
溶接用ケーブル同士を接続する溶接用ケーブルジョイントのジョイント部材において、
溶接用ケーブルの導体が挿入される導体挿入部と、
他のジョイント部材との電気的接続を図るためのプラグ部又はソケット部とを備え、
前記導体挿入部と前記プラグ部又はソケット部との間に、挿入部と被挿入部とからなる着脱可能な嵌合構造が設けられ、
前記挿入部と前記被挿入部との相互の対向面の間に、弾性変形により圧接する弾性導体片が複数連接された接触子が設けられていることを特徴とする。
請求項2に記載の発明は、請求項1記載の溶接用ケーブルジョイントのジョイント部材において、
前記導体挿入部の材質が銅又は銅合金であることを特徴とする。
請求項3に記載の発明は、請求項1記載の溶接用ケーブルジョイントのジョイント部材において、
前記導体挿入部の材質がアルミニウム又はアルミニウム合金であることを特徴とする。
請求項4に記載の発明は、請求項3記載の溶接用ケーブルジョイントのジョイント部材において、
前記導体挿入部と、材質が銅又は銅合金である前記嵌合構造の前記挿入部又は前記被挿入部との間に、摩擦圧接接合部を備えることを特徴とする。
なお、「請求項3記載の溶接用ケーブルジョイントのジョイント部材の前記導体挿入部と、材質が銅又は銅合金である前記嵌合構造の前記挿入部又は前記被挿入部とを、摩擦圧接により接合することを特徴とする溶接用ケーブルジョイントの製造方法」としてもよい。
請求項5に記載の発明は、請求項3記載の溶接用ケーブルジョイントのジョイント部材において、
前記導体挿入部は、材質が銅又は銅合金である前記嵌合構造の前記挿入部又は前記被挿入部に対して、溶接又はろう付けのいずれかにより接合されていることを特徴とする。
請求項6に記載の発明は、請求項3から5のいずれか一項に記載の溶接用ケーブルジョイントのジョイント部材において、
前記導体挿入部は、その内部表面に、錫若しくは錫合金、ニッケル若しくはニッケル合金又は亜鉛若しくは亜鉛合金のいずれかからなる被覆層が形成されていることを特徴とする。
請求項7に記載の発明は、請求項3から6のいずれか一項に記載の溶接用ケーブルジョイントのジョイント部材において、
前記導体挿入部は、その内側に導電性のコンパウンドが内包されていることを特徴とする。
本発明は、挿入部と被挿入部との相互の対向面の間に、弾性変形により圧接する弾性導体片が複数連接された接触子が設けられているので、ジョイント部材同士の連結した場合に、接触子によりケーブル同士を良好な導通状態で接続することが可能となる。
また、接触子は振動に対しても安定して接続状態を維持するので、振動の緩みによる接続箇所の発熱を効果的に抑制することが可能である。
第一の本実施形態の溶接用ケーブルジョイントの分解斜視図である。 第一の本実施形態の溶接用ケーブルジョイントのケーブル中心線に沿った断面図である。 図3(A)から図3(C)は溶接用ケーブルジョイントによる溶接用ケーブルの接続作業工程を示す斜視図である。 図4(A)から図4(C)は溶接用ケーブルジョイントによる溶接用ケーブルの接続作業工程を示すケーブル中心線に沿った断面図である。 第二の本実施形態の溶接用ケーブルジョイントの分解斜視図である。 第二の本実施形態の溶接用ケーブルジョイントのケーブル中心線に沿った断面図である。 図7(A)から図7(C)は溶接用ケーブルジョイントによる溶接用ケーブルの接続作業工程を示す斜視図である。 図8(A)から図8(C)は溶接用ケーブルジョイントによる溶接用ケーブルの接続作業工程を示すケーブル中心線に沿った断面図である。 第三の本実施形態の溶接用ケーブルジョイントの分解斜視図である。 第三の本実施形態の溶接用ケーブルジョイントのケーブル中心線に沿った断面図である。 第四の本実施形態の溶接用ケーブルジョイントの分解斜視図である。 第四の本実施形態の溶接用ケーブルジョイントのケーブル中心線に沿った断面図である。 第五の本実施形態の溶接用ケーブルジョイントの分解斜視図である。 第五の本実施形態の溶接用ケーブルジョイントのケーブル中心線に沿った断面図である。 第六の本実施形態の溶接用ケーブルジョイントの分解斜視図である。 第六の本実施形態の溶接用ケーブルジョイントのケーブル中心線に沿った断面図である。 アーク溶接装置の全体構成図である。
以下、図面を参照して、本発明に係る溶接用ケーブルに適したジョイント部材の実施形態について詳細に説明する。但し、以下に述べる実施形態には、本発明を実施するために技術的に好ましい種々の限定が付されているが、本発明の範囲を以下の実施形態及び図示例に限定するものではない。
なお、ジョイント部材は、溶接用ケーブルジョイントに溶接用ケーブルを接続する際に使用され、溶接用ケーブルジョイント10は、アーク溶接装置100(図17参照)の溶接機101とホルダ102又はアースクランプ103との間を接続する溶接用ケーブルが二本以上のケーブルから構成される場合に、一方のケーブルと他方のケーブルとに装備される。
以下の説明では、一方のケーブルに装備されるジョイント部材を第一のジョイント部材とし、他方のケーブルに装備されるジョイント部材を第二のジョイント部材とする。
[第一実施形態]
図1は本実施形態の溶接用ケーブルジョイント10の分解斜視図、図2はケーブル中心線に沿った断面図、図3及び図4は溶接用ケーブルの接続作業の工程図である。
この第一の実施形態では、溶接用ケーブルとしての二本の銅ケーブル130を溶接用ケーブルジョイント10により接続する場合を例示する。
溶接用ケーブルジョイント10は、図示のように、一方の銅ケーブル130の導体131が挿入される導体挿入部21とプラグ部22とを有する第一のジョイント部材20と、他方の銅ケーブル130の導体131が挿入される導体挿入部31とソケット部32とを有する第二のジョイント部材30とを備えている。
[銅ケーブル]
銅ケーブル130は、図3及び図4に示すように、銅又は銅合金からなる導体131と、導体131の外周を被覆する絶縁層132とからなり、その接続端部は絶縁層132が除去され、導体131の外周が露出している。
また、導体131は、複数の素線が撚り合わされてなる。溶接用ケーブルは可撓性が要求されるので、導体131の素線は、電力ケーブルの素線と比較して非常に細く、例えば、外径が0.45[mm]である。
このように、銅ケーブル130は、細い素線を撚り合わせた導体を有するいわゆるキャブタイヤケーブルである。
[第二のジョイント部材]
第二のジョイント部材30は、溶接用ケーブルの導体が挿入される導体挿入部31と、第一のジョイント部材20との電気的接続を図るためのソケット部32との二部材から構成され、これらは、導体挿入部31側に設けられた挿入部81とソケット部32側に設けられた被挿入部82とを有する嵌合構造80により着脱可能となっている。
導体挿入部31は、銅又は銅合金(例えば、黄銅)によって挿入部81と共に一体的に形成された略円柱体である。
この導体挿入部31は、ケーブル長手方向(中心線方向)の一端部に開口部33が形成されており、他端部には挿入部81が設けられている。
開口部33は、挿入部81側に向かって形成された内径が均一な有底の円形穴であり、この開口部33の内径は、銅ケーブル130の導体131を挿入することができる大きさに設定されている。
そして、この導体挿入部31は、銅ケーブル130の導体131を直接挿入し、圧縮や圧着等で外周をかしめることで導体131を保持する。
なお、挿入部81については後述する。
ソケット部32は、銅又は銅合金(例えば、黄銅)によって被挿入部82と共に一体的に形成された略円柱体である。
このソケット部32は、ケーブル長手方向(中心線方向)の一端部に縮径開口部36が形成されており、他端部には被挿入部82が形成されている。
縮径開口部36は、ソケット部32の一端部側の端面から被挿入部82側に向かって形成され、内径が深度方向に向かって徐々に縮小する有底穴となっている。この縮径開口部36の内径は、後述する第一のジョイント部材20のプラグ部22が挿入可能な大きさとなっている。
後述する第一のジョイント部材20のプラグ部22は、円錐台形状の突起であり、挿入方向先端部に向かうにつれて縮径しており、ソケット部32は、プラグ部22の長手方向の大部分を挿入することができる。また、挿入時には、ソケット部32の内側表面とプラグ部22の外側表面とが密接するようになっている。
また、ソケット部32の外側表面には、ソケット部32の一端部側の端面からプラグ部22の挿入方向に向かって縮径開口部36まで貫通したスリット37が形成されている。このスリット37は、ソケット部32の一端部側の端面からプラグ部22の挿入方向に沿って一定の長さで直線状に形成されてから、さらに挿入方向に向かう螺旋状に屈曲しており、プラグ部22の外側表面上に形成された突起26をガイドする役割を持っている。
つまり、突起26をスリット37の直線状部分に沿わせながらプラグ部22をソケット部32に挿入し、途中から、スリット37の螺旋状部分に突起26を沿わせることにより、プラグ部22をソケット部32にねじ込むことができる。突起26はスリット37の螺旋状部分を進むことにより、プラグ部22の外側表面をソケット部32の内側表面に圧接させ、なお且つ、逆方向にねじらない限り、プラグ部22が抜ける方向への移動が規制される構造となっている。
[第二のジョイント部材:嵌合構造]
第二のジョイント部材30の嵌合構造80は、前述したように、導体挿入部31の他端部に設けられた挿入部81と、ソケット部32の他端部に設けられた被挿入部82とを備えている。
挿入部81は、導体挿入部31の他端部からケーブル中心線方向に沿って延出された丸棒状の突起であり、その外径は一定である。
また、挿入部81の根元部分には、被挿入部82との連結状態を維持するための雄ネジ部83が形成されている。
被挿入部82は、ソケット部32の他端部の端面から一端部側に向かって形成された有底の円形穴であり、挿入部81を挿入することが可能となっている。
この被挿入部82の開口端部の内側には、雌ネジ部84が形成されており、前述した挿入部81を被挿入部82に挿入したときに、挿入部81の雄ネジ部83を締結することができる。
従って、被挿入部82に挿入部81を挿入し、雄ネジ部83を雌ネジ部84に締結することで、導体挿入部31とソケット部32とを一体的に連結することができる。
また、雄ネジ部83と雌ネジ部84によるネジ構造で連結しているので、着脱可能な構造を実現している。
そして、被挿入部82の内側表面には、周方向に沿って幅広の溝部85が形成されており、当該溝部85には、導体挿入部31とソケット部32との良好な導通状態を実現するための接触子86が装備されている。
この接触子86は、被挿入部82に挿入部81を挿入し、導体挿入部31とソケット部32とを一体的に連結した状態において、互いに対向する対向面である挿入部81の外周面と被挿入部82の溝部85の内周面とを良好に導通させる。
この接触子86は、周方向に沿って並んで連結された複数の弾性導体片から構成されており、各弾性導体片は、例えば、モリブデン鋼のように耐摩耗性と導電性に優れた金属材料から形成されている。
各弾性導体片は、その一端部が対向面である挿入部81の外周面に弾性力をもって当接し、他端部が被挿入部82の溝部85の内周面に弾性力をもって当接するような向きで連結支持されており、個々の弾性導体片が挿入部81の外周面と被挿入部82の溝部85の内周面との間での導通を図っている。
従って、複数の弾性導体片が連接することで、被挿入部82と挿入部81を通じて導体挿入部31とソケット部32との良好な導通を図ると共にその弾性が良好な導通状態を維持する。
上記接触子としては、例えば、マルチラムバンド(登録商標)が好ましい。
[第一のジョイント部材]
第一のジョイント部材20は、銅ケーブル130の導体131が挿入される導体挿入部21と、第二のジョイント部材30との電気的接続を図るためのプラグ部22との二部材から構成され、これらは、導体挿入部21側に設けられた挿入部81とソケット部32側に設けられた被挿入部82とを有する嵌合構造80により着脱可能となっている。
なお、嵌合構造80は、第二のジョイント部材30が備える嵌合構造80と同一なので、同符号を付して重複する説明は省略する。
導体挿入部21は、銅又は銅合金(例えば、黄銅)によって挿入部81と共に一体的に形成された略円柱体である。
この導体挿入部21は、ケーブル長手方向(中心線方向)の一端部に開口部23が形成されており、他端部には挿入部81が設けられている。
開口部23は、挿入部81側に向かって形成された内径が均一な有底の円形穴であり、この開口部23の内径は、銅ケーブル130の導体131を挿入することができる大きさに設定されている。
そして、この導体挿入部21は、銅ケーブル130の導体131を直接挿入し、圧縮や圧着等で外周をかしめることで導体131を保持する。
プラグ部22は、銅又は銅合金(例えば、黄銅)によって被挿入部82と共に一体的に形成された略円柱体である。
プラグ部22は、その中心線方向に沿って突出した円錐台形状の突起であり、前述したように、先端部に向かうにつれて縮径している。
そして、プラグ部22の外側表面には、ボス状の突起26が設けられている。
このプラグ部22をソケット部32に挿入して相互に連結する構造については既に前述した通りである。
[ケーブル接続作業]
上記溶接用ケーブルジョイント10による溶接用ケーブルを構成する銅ケーブル130同士の接続作業について図3(A)〜図3(C)及び図4(A)〜図4(C)の工程図により説明する。
まず、図3(A)及び図4(A)に示すように、それぞれの銅ケーブル130の接続端部の絶縁層132が除去されて導体131が露出した状態とされる。
次に、図3(B)及び図4(B)に示すように、第一のジョイント部材20の導体挿入部21に、一方の銅ケーブル130の導体131が挿入され、導体挿入部21は圧縮や圧着等で外周がかしめられ、導体131が保持される。
同様に、第二のジョイント部材30の導体挿入部31も、他方の銅ケーブル130の導体131が挿入され、かしめにより導体131が保持される。
次に、図3(C)及び図4(C)に示すように、第一のジョイント部材20の導体挿入部21に設けられた挿入部81がプラグ部22に設けられた被挿入部82に挿入され、雄ネジ部83を雌ネジ部84に締結することにより導体挿入部21とプラグ部22が連結される。このとき、挿入部81の外周面と被挿入部82の溝部85の内周面との間に介在する接触子86の複数の弾性導体片が導体挿入部21とプラグ部22との間を良好に導通可能な状態とする。
同様に、第二のジョイント部材30の導体挿入部31に設けられた挿入部81がソケット部32に設けられた被挿入部82に挿入され、雄ネジ部83を雌ネジ部84に締結することにより導体挿入部31とソケット部32が連結される。ここでも、接触子86が導体挿入部31とソケット部32との間を良好に導通可能な状態とする。
そして、第一のジョイント部材20のプラグ部22を第二のジョイント部材30のソケット部32に挿入し、プラグ部22の突起26をソケット部32のスリット37に沿わせるように捻り込み、第一のジョイント部材20と第二のジョイント部材30とを接続する。これにより、一方の銅ケーブル130の導体131と他方の銅ケーブル130の導体131とが電気的に接続される。
なお、溶接用ケーブルジョイント10の第一のジョイント部材20及び第二のジョイント部材30の外周は図示しない絶縁カバーにより被覆してもよい。
これらにより、銅ケーブル130同士の接続作業が完了する。
[第一の実施形態の技術的効果]
上記溶接用ケーブルジョイント10の第一と第二のジョイント部材20,30は、導体挿入部21,31とプラグ部22又はソケット部32との間に、挿入部81と被挿入部82とからなる着脱可能な嵌合構造80が設けられ、挿入部81と被挿入部82の溝部85との相互の対向面の間に接触子86が設けられている。
このため、第一と第二のジョイント部材20,30は、いずれも、導体挿入部21,31とプラグ部22又はソケット部32を連結したときには、接触子86により銅ケーブル130同士を良好な導通状態で接続することが可能となる。
また、接触子86は振動に対しても安定して接続状態を維持するので、振動の緩みによる接続箇所の発熱を効果的に抑制することが可能である。
さらに、銅ケーブル130に交換の必要が生じた場合でも、雄ネジ部83を雌ネジ部84に対して回すことで、導体挿入部21又は31をプラグ部22又はソケット部32から取り外すことができるので、導体挿入部21又は31のみがケーブルと共に交換となり、プラグ部22とソケット部32は再利用できるので、交換時のコストを低減することが可能となる。
また、上記第一と第二のジョイント部材20,30の導体挿入部21,31は、いずれも材質が銅又は銅合金であることから、銅ケーブル130と銅ケーブル130からなる溶接用ケーブルの接続を良好に行うことが可能となる。
[第二の実施形態]
図5は第二の実施形態の溶接用ケーブルジョイント10Aを示す分解斜視図、図6はケーブル中心線に沿った断面図である。
この溶接用ケーブルジョイント10Aについては、前述した溶接用ケーブルジョイント10と異なる点を主に説明し、溶接用ケーブルジョイント10と同一の構成については同符号を付して重複する説明は省略する。
溶接用ケーブルジョイント10Aは、図示のように、アルミケーブル120の導体131が挿入される導体挿入部21Aとプラグ部22とを有する第一のジョイント部材20Aと、銅ケーブル130の導体131が挿入される導体挿入部31とソケット部32とを有する第二のジョイント部材30とを備えている。
[アルミケーブル]
図7及び図8に示すように、アルミケーブル120は、アルミニウム又はアルミニウム合金からなる導体121と、導体121の外周を被覆する絶縁層122とからなり、その接続端部は絶縁層122が除去され、導体121の外周が露出している。
また、導体121は、複数の素線が撚り合わされてなる。これらの素線も銅ケーブル130と同様に、電力ケーブルの素線と比較して非常に細く、例えば、外径が0.45[mm]である。
このように、アルミケーブル120も、細い素線を撚り合わせた導体を有する、いわゆるキャブタイヤケーブルである。
[溶接用ケーブルジョイントの第一のジョイント部材]
溶接用ケーブルジョイント10Aは、アルミケーブル120と銅ケーブル130とを接続するのに好適であり、そのため、第一のジョイント部材20Aはアルミケーブル120の保持に適した構造となっている。
第一のジョイント部材20Aは、図5及び図6に示すように、アルミケーブル120の導体121が挿入される導体挿入部21Aと、第二のジョイント部材30との電気的接続を図るためのプラグ部22との二部材から構成され、これらは、嵌合構造80により着脱可能となっている。
第一のジョイント部材20Aは、プラグ部22及び嵌合構造80は前述した第一のジョイント部材20と同一なので、ここでは、導体挿入部21Aについて主に説明する。
導体挿入部21Aはアルミニウム又はアルミニウム合金によって形成された略円柱体である。
この導体挿入部21Aは、ケーブル長手方向(中心線方向)の一端部に開口部23Aが形成されており、他端部には銅又は銅合金製の挿入部81が設けられている。
開口部23Aは、挿入部81側に向かって形成された内径が均一な有底の円形穴であり、この開口部23Aの内径は、アルミケーブル120の導体121を挿入することができる大きさに設定されている。
そして、この導体挿入部21Aは、アルミケーブル120の導体121を直接挿入し、圧縮や圧着等で外周をかしめることで導体121を保持する。
そして、導体挿入部21Aと嵌合構造80の挿入部81(雄ネジ部83を含む)とは、異種金属であるが、摩擦圧接、ろう付け、溶接等により一体的に接合されている。これらは、接合面が母材と同等の強度が得られる摩擦圧接によって接合することが特に好適である。これにより、導体挿入部21Aと挿入部81との間に摩擦圧接接合部が形成される。
なお、上記導体挿入部21Aと挿入部81の接合作業は、導体挿入部21A及び挿入部81内への水分の侵入を防止することが可能であって、温度、湿度などの品質管理の行き届いた工場等の理想的な環境下で行われる。
また、接合された導体挿入部21Aと挿入部81の境界面は、水分が直接付着しないよう、テープや塗料、グリス等で覆うことが望ましい。前述した絶縁カバーで溶接用ケーブルジョイント10A全体を覆うことも有効である。
また、導体挿入部21Aは、アルミニウム又はアルミニウム合金製であることから、アルミケーブル120の導体121が挿入される際に、その内側表面の酸化皮膜がブラッシングで除去されて導電性のコンパウンドが塗布される。内側表面にめっき(錫合金、ニッケル若しくはニッケル合金又は亜鉛若しくは亜鉛合金のいずれかからなる被覆層)を施していれば、この部分のブラッシングを省略すること出来る。
この時、アルミケーブル120の導体121にもブラッシングを行い、酸化皮膜を除去しておく。
この導電性のコンパウンドは、導電性を有する金属微粒子(例えば、亜鉛微粒子)と粘性を有するグリス(鉱物油性のグリス、シリコーングリスその他のグリス全般又はひまし油)を含んだ混合物からなる。
この導電性のコンパウンドの金属微粒子が、アルミニウム又はアルミニウム合金製の導体挿入部21Aの内側表面及び導体121の各素線の酸化皮膜を破り、導体挿入部21Aと導体121との導通を良好に維持する。
[ケーブル接続作業]
上記溶接用ケーブルジョイント10Aによる溶接用ケーブルを構成する銅ケーブル130同士の接続作業について図7(A)〜図7(C)及び図8(A)〜図8(C)の工程図により説明する。
まず、図7(A)及び図8(A)に示すように、アルミケーブル120と銅ケーブル130の接続端部の絶縁層122,132が除去されて導体121,131が露出した状態とされる。
このとき、絶縁層122から露出したアルミケーブル120の導体121は、各素線の表面の酸化皮膜がブラッシングで除去される。
また、第一のジョイント部材20Aの導体挿入部21Aの内側表面の酸化皮膜がブラッシングで除去され、さらに、導電性のコンパウンドが塗布される。なお、コンパウンドはアルミケーブル120の導体121側に塗布してもよい。
次に、図7(B)及び図8(B)に示すように、第一のジョイント部材20Aの導体挿入部21Aに、アルミケーブル120の導体121が挿入され、導体挿入部21Aは圧縮や圧着等で外周がかしめられ、導体121が保持される。
同様に、第二のジョイント部材30の導体挿入部31も、銅ケーブル130の導体131が挿入され、かしめにより導体131が保持される。
次に、図7(C)及び図8(C)に示すように、第一のジョイント部材20Aの導体挿入部21Aとプラグ部22が嵌合構造80により連結される。
同様に、第二のジョイント部材30の導体挿入部31とソケット部32が嵌合構造80により連結される。
そして、第一のジョイント部材20Aのプラグ部22を第二のジョイント部材30のソケット部32に接続して、アルミケーブル120の導体121と銅ケーブル130の導体131とを電気的に接続する。
この場合も、溶接用ケーブルジョイント10Aの第一のジョイント部材20A及び第二のジョイント部材30の外周は図示しない絶縁カバーにより被覆してもよい。
これらにより、アルミケーブル120と銅ケーブル130の接続作業が完了する。
[第二の実施形態の技術的効果]
上記溶接用ケーブルジョイント10Aは、溶接用ケーブルジョイント10と同様に、アルミケーブル120又は銅ケーブル130に交換の必要が生じた場合でも、嵌合構造80を分離させることで、導体挿入部21A又は31のみがケーブルと共に交換となり、プラグ部22とソケット部32は再利用できるので、交換時のコストを低減することが可能となる。
また、第一のジョイント部材20Aの導体挿入部21Aの材質をアルミニウム又はアルミニウム合金としたので、当該導体挿入部21Aにおいてアルミケーブル120の導体121を保持した場合でも、導体挿入部21Aと導体121との間における異種金属接触腐食と応力緩和/クリープによる発熱の発生を効果的に回避又は抑制することが可能となる。
さらに、導体挿入部21Aは、嵌合構造80の挿入部81と、摩擦圧接、溶接、ろう付けのいずれかにより接合されているので、これらは異種金属からなるが、接合強度を確保しつつ水分の侵入を防ぐことができ、異種金属接触腐食と応力緩和/クリープによる発熱の発生をより効果的に回避又は抑制することが可能となる。
従って、アルミケーブル120と銅ケーブル130とを発熱の発生を抑制して良好な導通状態で接続することが可能となる。
また、この溶接用ケーブルジョイント10Aも、接触子86を利用しているので、振動の緩みによる接続箇所の発熱を効果的に抑制することが可能である。
[第三の実施形態]
図9は第三の実施形態の溶接用ケーブルジョイント10Bを示す分解斜視図、図10はケーブル中心線に沿った断面図である。
この溶接用ケーブルジョイント10Bについては、前述した溶接用ケーブルジョイント10,10Aと異なる点を主に説明し、溶接用ケーブルジョイント10,10Aと同一の構成については同符号を付して重複する説明は省略する。
前述した溶接用ケーブルジョイント10Aは、第一のジョイント部材20Aの導体挿入部21Aの材質をアルミニウム又はアルミニウム合金として、アルミケーブル120と銅ケーブル130の良好な接続を可能としているが、第二のジョイント部材側の導体挿入部の材質をアルミニウム又はアルミニウム合金としてもよい。
即ち、溶接用ケーブルジョイント10Bは、第一のジョイント部材20と第二のジョイント部材30Bとを備え、第二のジョイント部材30Bは、図9及び図10に示すように、アルミケーブル120の導体121が挿入される導体挿入部31Bと、第一のジョイント部材20との電気的接続を図るためのソケット部32との二部材から構成され、これらは、嵌合構造80により着脱可能となっている。
導体挿入部31Bはアルミニウム又はアルミニウム合金によって形成された略円柱体である。
この導体挿入部31Bは、ケーブル長手方向(中心線方向)の一端部に開口部33Bが形成されており、他端部には銅又は銅合金製の挿入部81が設けられている。
開口部33Bは、挿入部81側に向かって形成された内径が均一な有底の円形穴であり、この開口部33Bの内径は、アルミケーブル120の導体121を挿入することができる大きさに設定されている。
そして、この導体挿入部31Bは、アルミケーブル120の導体121を直接挿入し、圧縮や圧着等で外周をかしめることで導体121を保持する。
そして、導体挿入部31Bと嵌合構造80の挿入部81(雄ネジ部83を含む)とは、異種金属であるが、摩擦圧接、ろう付け、溶接等により一体的に接合されている。これらは、接合面が母材と同等の強度が得られる摩擦圧接によって接合することが特に好適である。
なお、上記接合作業も、導体挿入部31B及び挿入部81内への水分の侵入を防止し、温度、湿度などの品質管理の行き届いた工場等の理想的な環境下で行われる。
さらに、接合された導体挿入部31Bと挿入部81の境界面は、水分が直接付着しないよう、テープや塗料、グリス等で覆うことが望ましい。
そして、導体挿入部31Bも、アルミケーブル120の導体121が挿入される際に、その内側表面の酸化皮膜がブラッシングで除去されて前述した導電性のコンパウンドが塗布される。内側表面にめっき(錫合金、ニッケル若しくはニッケル合金又は亜鉛若しくは亜鉛合金のいずれかからなる被覆層)が施されていれば、この部分のブラッシングを省略することが出来る。
このような溶接用ケーブルジョイント10Bも、溶接用ケーブルジョイント10Aと同一の技術的効果を得ることが出来る。
[第四の実施形態]
図11は第四の実施形態の溶接用ケーブルジョイント10Cを示す分解斜視図、図12はケーブル中心線に沿った断面図である。
この溶接用ケーブルジョイント10Cについては、前述した溶接用ケーブルジョイント10と異なる点を主に説明し、溶接用ケーブルジョイント10と同一の構成については同符号を付して重複する説明は省略する。
溶接用ケーブルジョイント10Cは、図示のように、一方の銅ケーブル130の導体131が挿入される導体挿入部21Cとプラグ部22とを有する第一のジョイント部材20Cと、他方の銅ケーブル130の導体131が挿入される導体挿入部31Cとソケット部32とを有する第二のジョイント部材30Cとを備えている。
溶接用ケーブルジョイント10Cは、溶接用ケーブルジョイント10と同様に、銅ケーブル130と銅ケーブル130とを接続するのに好適であり、第一のジョイント部材20C及び第二のジョイント部材30Cの導体挿入部21C,31Cの構造が異なっている。
第一のジョイント部材20Cは、図11及び図12に示すように、一方の銅ケーブル130の導体131が挿入される導体挿入部21Cと、第二のジョイント部材30Cとの電気的接続を図るためのプラグ部22との二部材から構成され、これらは、嵌合構造80により着脱可能となっている。
また、第二のジョイント部材30Cは、他方の銅ケーブル130の導体131が挿入される導体挿入部31Cと、第一のジョイント部材20Cとの電気的接続を図るためのソケット部32との二部材から構成され、これらは、嵌合構造80により着脱可能となっている。
第一のジョイント部材20C及び第二のジョイント部材30Cの導体挿入部21C,31Cは、いずれも、嵌合構造80の挿入部81と共に銅又は銅合金によって一体的に形成された略円柱体である。
そして、これら導体挿入部21C,31Cは、ケーブル長手方向(中心線方向)の一端部に開口部23C,33Cが形成されており、他端部には銅又は銅合金製の挿入部81が設けられている。
開口部23C,33Cは、挿入部81側に向かって形成された内径が均一な有底の円形穴であり、この開口部23C,33Cの内径は、銅ケーブル130の導体131を後述するパイプスリーブを介して挿入することができる大きさに設定されている。
また、導体挿入部21C,31Cには、その外側表面から開口部23C,33Cまで貫通した二つのネジ穴24C,34Cがケーブル中心線方向に二つ並んで形成されている。そして、これらのネジ穴24C,34Cには、二つの止めネジ25C,35Cが個別に螺入される。
これらの止めネジ25C,35Cは、例えば、一端部に六角穴が形成された頭無しネジである。また、各止めネジ25C,35Cは、クロムモリブデン鋼やユニクロめっきを施した鋼といった一般的なネジ材料から形成されている。
上記止めネジ25C,35Cにより銅ケーブル130の導体131を締結して保持する場合には、直接、導体131を導体挿入部21C,31Cに挿入すると、導体131の素線がばらけて良好な導通状態や保持力が得られにくくなるので、導体131は、銅又は銅合金製の円管状のパイプスリーブを介して接続が行われる。
このパイプスリーブは、両端部が開口し、一端部が幾分拡径し、他端部が幾分縮径した形状であり、拡径した端部から導体131が挿入される。また、縮径した端部は導体131が飛び出さないようにストッパーとして機能する。
また、パイプスリーブの外径は、導体挿入部21C,31Cの開口部23C,33Cに挿入可能な大きさとなっている。そして、開口部23C,33Cには、導体131に装着したパイプスリーブを挿入することが可能である。
そして、開口部23C,33Cにパイプスリーブを介して銅ケーブル130の導体131が挿入された状態で各止めネジ25C,35Cを締結すると、その先端部がパイプスリーブ及び銅ケーブル130の導体131を押圧し、これらを開口部23C,33Cの内面に圧接させて電気的な良好な接続状態としつつ導体挿入部21C,31Cから抜けないように保持することができる。
[第四の実施形態の技術的効果]
上記溶接用ケーブルジョイント10Cは、溶接用ケーブルジョイント10と同一の技術的効果を得ることが可能である。
さらに、溶接用ケーブルジョイント10Cは、銅ケーブル130に交換の必要が生じた場合に、導体挿入部21C,31Cの止めネジ25C,35Cを緩めてパイプスリーブと導体131を外すことができるので、第一のジョイント部材20Cや第二のジョイント部材30Cを全体的に再利用できるので、交換時のコストをさらに低減することが可能となる。
[第五の実施形態]
図13は第五の実施形態の溶接用ケーブルジョイント10Dを示す分解斜視図、図14はケーブル中心線に沿った断面図である。
この溶接用ケーブルジョイント10Dについては、前述した溶接用ケーブルジョイント10Cと異なる点を主に説明し、溶接用ケーブルジョイント10Cと同一の構成については同符号を付して重複する説明は省略する。
溶接用ケーブルジョイント10Dは、図示のように、一方のアルミケーブル120の導体121が挿入される導体挿入部21Dとプラグ部22とを有する第一のジョイント部材20Dと、他方の銅ケーブル130の導体131が挿入される導体挿入部31Cとソケット部32とを有する第二のジョイント部材30Cとを備えている。
[溶接用ケーブルジョイントの第一のジョイント部材]
溶接用ケーブルジョイント10Dは、アルミケーブル120と銅ケーブル130とを接続するのに好適であり、そのため、第一のジョイント部材20Dはアルミケーブル120の保持に適した構造となっている。
第一のジョイント部材20Dは、図13及び図14に示すように、アルミケーブル120の導体121が挿入される導体挿入部21Dと、第二のジョイント部材30Cとの電気的接続を図るためのプラグ部22との二部材から構成され、これらは、嵌合構造80により着脱可能となっている。
導体挿入部21Dはアルミニウム又はアルミニウム合金によって形成された略円柱体である。
この導体挿入部21Dは、ケーブル長手方向(中心線方向)の一端部に開口部23Dが形成されており、他端部には銅又は銅合金製の挿入部81が設けられている。
上記導体挿入部21Dと嵌合構造80の挿入部81(雄ネジ部83を含む)とは、異種金属であるが、摩擦圧接、ろう付け、溶接等により一体的に接合されている。この場合も、強度上、摩擦圧接が特に好適である。これにより、導体挿入部21Dと挿入部81との間に摩擦圧接接合部が形成される。
また、上記導体挿入部21Dと挿入部81の接合作業も、導体挿入部21D及び挿入部81内への水分の侵入を防止することが可能であって、温度、湿度などの品質管理の行き届いた工場等の理想的な環境下で行われる。
さらに、接合された導体挿入部21Dと挿入部81の境界面は、水分が直接付着しないよう、テープや塗料、グリス等で覆うことが望ましい。前述した絶縁カバーで溶接用ケーブルジョイント10D全体を覆うことも有効である。
導体挿入部21Dの開口部23Dは、挿入部81側に向かって形成された内径が均一な有底の円形穴であり、この開口部23Dの内径は、アルミケーブル120の導体121をパイプスリーブを装着した状態で挿入することができる大きさに設定されている。
また、導体挿入部21Dにも、その外側表面から開口部23Dまで貫通した二つのネジ穴24Dがケーブル中心線方向に二つ並んで形成され、これらのネジ穴24Dには、二つの止めネジ25Dが個別に螺入される。
これらの止めネジ25Dは、例えば、頭無しネジであり、その材質をアルミニウム又はアルミニウム合金としている。
そして、アルミケーブル120の導体121も、アルミニウム又はアルミニウム合金製の円管状のパイプスリーブを介して接続が行われる。なお、パイプスリーブの形状は前述した銅又は銅合金製のパイプスリーブと同じであり、パイプスリーブの内径は導体121が挿入可能な大きさであり、外径は開口部23Dに挿入可能な大きさとなっている。
そして、開口部23Dにパイプスリーブを介してアルミケーブル120の導体121を挿入する際には、開口部23Dの内側表面と、パイプスリーブの外側表面及び内側表面と、導体121の各素線は、ブラッシングにより酸化皮膜の除去が行われる。内側表面にめっき(錫合金、ニッケル若しくはニッケル合金又は亜鉛若しくは亜鉛合金のいずれかからなる被覆層)が施されていれば、この部分のブラッシングを省略することが出来る。
また、開口部23Dとパイプスリーブの間及びパイプスリーブと導体121との間、導体121の各素線の間には、前述した導電性のコンパウンドが行き渡って内包されるように、予め各所に塗布される。
そして、開口部23Dにパイプスリーブを介してアルミケーブル120の導体121が挿入された状態で各止めネジ25Dを締結すると、その先端部がパイプスリーブ及びアルミケーブル120の導体121を押圧し、これらを開口部23Dの内面に圧接させて電気的な良好な接続状態としつつ導体挿入部21Dから抜けないように保持することができる。
[第五の実施形態の技術的効果]
上記溶接用ケーブルジョイント10Dは、溶接用ケーブルジョイント10Aと同様に、第一のジョイント部材20Dの導体挿入部21Dの材質をアルミニウム又はアルミニウム合金としたので、当該導体挿入部21Dにおいてアルミケーブル120の導体121を保持した場合でも、導体挿入部21Dと導体121との間における異種金属接触腐食と応力緩和/クリープによる発熱の発生を効果的に回避又は抑制することが可能となる。
さらに、導体挿入部21Dは、導体挿入部21Aと同様に、嵌合構造80の挿入部81と、摩擦圧接、溶接、ろう付けのいずれかにより接合されているので、これらの間で異種金属接触腐食と応力緩和/クリープによる発熱の発生をより効果的に回避又は抑制することができ、アルミケーブル120と銅ケーブル130とを発熱の発生を抑制して良好な導通状態で接続することが可能となる。
さらに、第一のジョイント部材20Dも導体挿入部21Dとプラグ部22とを嵌合構造80において接触子86で接続しているので、振動に対しても安定して接続状態が維持され、振動の緩みによる接続箇所の発熱を効果的に抑制することが可能である。
また、溶接用ケーブルジョイント10Dは、溶接用ケーブルジョイント10Cと同様に、アルミケーブル120や銅ケーブル130に交換の必要が生じた場合に、導体121,131を外すことができるので、第一のジョイント部材20Dや第二のジョイント部材30Cが全体的に再利用できるので、交換時のコストをさらに低減することが可能である。
[第六の実施形態]
図15は第六の実施形態の溶接用ケーブルジョイント10Eを示す分解斜視図、図16はケーブル中心線に沿った断面図である。
この溶接用ケーブルジョイント10Eについては、前述した溶接用ケーブルジョイント10,10C,10Dと異なる点を主に説明し、溶接用ケーブルジョイント10,10C,10Dと同一の構成については同符号を付して重複する説明は省略する。
前述した溶接用ケーブルジョイント10Dは、第一のジョイント部材20Dの導体挿入部21Dの材質をアルミニウム又はアルミニウム合金として、アルミケーブル120と銅ケーブル130の良好な接続を可能としているが、第二のジョイント部材側の導体挿入部の材質をアルミニウム又はアルミニウム合金としてもよい。
即ち、溶接用ケーブルジョイント10Eでは、第二のジョイント部材30Eは、図15及び図16に示すように、アルミケーブル120の導体121が挿入される導体挿入部31Eと、第一のジョイント部材20との電気的接続を図るためのソケット部32との二部材から構成され、これらは、嵌合構造80により着脱可能となっている。
導体挿入部31Eはアルミニウム又はアルミニウム合金によって形成された略円柱体である。
この導体挿入部31Eは、ケーブル長手方向(中心線方向)の一端部に開口部33Eが形成されており、他端部には銅又は銅合金製の挿入部81が設けられている。
上記導体挿入部31Eと嵌合構造80の挿入部81(雄ネジ部83を含む)とは、異種金属であるが、摩擦圧接、ろう付け、溶接等により一体的に接合されている。この場合も、強度上、摩擦圧接が特に好適である。これにより、導体挿入部31Eと挿入部81との間に摩擦圧接接合部が形成される。
また、上記導体挿入部31Eと挿入部81の接合作業も、導体挿入部31E及び挿入部81内への水分の侵入を防止することが可能であって、温度、湿度などの品質管理の行き届いた工場等の理想的な環境下で行われる。
さらに、接合された導体挿入部31Eと挿入部81の境界面は、水分が直接付着しないよう、テープや塗料、グリス等で覆うことが望ましい。前述した絶縁カバーで溶接用ケーブルジョイント10E全体を覆うことも有効である。
導体挿入部31Eの開口部33Eは、挿入部81側に向かって形成された内径が均一な有底の円形穴であり、この開口部33Eの内径は、アルミケーブル120の導体121を前述したアルミニウム又はアルミニウム合金製のパイプスリーブを装着した状態で挿入することができる大きさに設定されている。
また、導体挿入部31Eにも、その外側表面から開口部33Eまで貫通した二つのネジ穴34Eがケーブル中心線方向に二つ並んで形成され、これらのネジ穴34Eには、二つのアルミニウム又はアルミニウム合金製の止めネジ35Eが個別に螺入される。
そして、開口部33Eにパイプスリーブを介してアルミケーブル120の導体121を挿入する際には、開口部33Eの内側表面と、パイプスリーブの外側表面及び内側表面と、導体121の各素線は、ブラッシングにより酸化皮膜の除去が行われる。
また、開口部33Eとパイプスリーブの間及びパイプスリーブと導体121との間、導体121の各素線の間には、前述した導電性のコンパウンドが行き渡って内包されるように、予め各所に塗布される。
そして、開口部33Eにパイプスリーブを介してアルミケーブル120の導体121が挿入された状態で各止めネジ35Eを締結すると、その先端部がパイプスリーブ及びアルミケーブル120の導体121を押圧し、これらを開口部33Eの内面に圧接させて電気的な良好な接続状態としつつ導体挿入部31Eから抜けないように保持することができる。
このような溶接用ケーブルジョイント10Eも、溶接用ケーブルジョイント10Dと同一の技術的効果を得ることが出来る。
[導体挿入部及び第一のジョイント部材の表面について]
上述した各溶接用ケーブルジョイント10〜10Eにおいて、材質をアルミニウム又はアルミニウム合金とした導体挿入部21A,31B,21D,31Eの内側表面及びこれらに挿入されるパイプスリーブの外側表面又は内側表面には、錫若しくは錫合金、ニッケル若しくはニッケル合金又は亜鉛若しくは亜鉛合金のいずれかからなる被覆層をメッキで形成しても良い。これにより、被覆層を形成した面において、酸化皮膜の影響を低減することが可能となり、ブラッシングを省略出来る。
また、導体挿入部21A,31B,21D,31Eの内側表面とパイプスリーブの外側表面の両方にメッキを施すと、導電性のコンパウンドを塗布することを省略しても、良好な導電性を確保することが可能となる。
[溶接用ケーブルジョイントを構成する第一のジョイント部材及び第二のジョイント部材の具体的な適用]
銅ケーブル130同士の接続において、プラグ部とソケット部とが嵌合可能であれば、第一のジョイント部材と第二のジョイント部材とで導体131を保持する方式(かしめ式、ネジ止め式等)を一致させなくともよい。
例えば、一方の銅ケーブル130に第一のジョイント部材20を装備し、他方の銅ケーブル130に第二のジョイント部材30Cを装備して、互いに連結してもよい。
また或いは、一方の銅ケーブル130に第一のジョイント部材20Cを装備し、他方の銅ケーブル130に第二のジョイント部材30を装備して、互いに連結してもよい。
また、アルミケーブル120と銅ケーブル130の接続においても同様である。
例えば、一方の銅ケーブル130に第一のジョイント部材20を装備し、他方のアルミケーブル120に第二のジョイント部材30Eを装備して、互いに連結してもよい。
また或いは、一方の銅ケーブル130に第一のジョイント部材20Cを装備し、他方のアルミケーブル120に第二のジョイント部材30Bを装備して、互いに連結してもよい。
また、上記各実施形態の第一のジョイント部材と第二のジョイント部材とを使用して、アルミケーブル120同士を接続することも可能である。
この場合も、プラグ部とソケット部とが嵌合可能であれば、第一のジョイント部材と第二のジョイント部材とで導体121を保持する方式(かしめ式、ネジ止め式等)を一致させなくともよい。
従って、一方のアルミケーブル120には第一のジョイント部材20A又は20Dを装備し、他方のアルミケーブル120には第二のジョイント部材30B又は30Eを装備して、アルミケーブル120同士を連結することができる。
[その他]
上記各溶接用ケーブルジョイント10〜10Eでは、いずれも、導体挿入部に挿入部81が設けられ、プラグ部又はソケット部に被挿入部82が設けられている場合を例示したが、導体挿入部側に被挿入部82が設けられ、プラグ部又はソケット部に挿入部81が設ける構造としても良い。
また、上記各実施形態で示した、プラグ部22とソケット部32については、例示の構造に限定されない。即ち、プラグ部とソケット部は、相互に着脱可能な構造であれば良く、凹凸による嵌合方式以外の構造(例えばネジ式等)でも良い。但し、これらは相互に連結可能な構造であることを必須とする。
更に、銅ケーブル130を溶接用ケーブルとして使用している溶接の現場において、溶接用ケーブルを構成する複数のケーブルの一部をアルミケーブル120に置き換える場合は、既に銅ケーブル130に取り付けられている溶接用ケーブルジョイントのプラグ部又はソケット部が、前述した溶接用ケーブルジョイント10〜10Eのソケット部又はプラグ部と連結可能な構造であれば、溶接用ケーブルジョイント10〜10Eの各構成を用いて、アルミケーブル120への置き換えを容易に行うことができる。
即ち、プラグ部とソケット部とが嵌合可能となるように、形状と寸法とが合致していれば、アルミケーブル120側に第一のジョイント部材20A又は20D又は第二のジョイント部材30B又は30Eを装備して、互いに連結してもよい。
また、その他、具体的な細部構造等についても適宜に変更可能であることは勿論である。
10,10A,10B,10D,10E 溶接用ケーブルジョイント
20,20A,20C,20D ジョイント部材
21,21A,21C,21D 導体挿入部
22 プラグ部
23,23A,23C,23D 開口部
30,30B,30C,30E 第二のジョイント部材
31,31B,31C,31E 導体挿入部
32 ソケット部
33,33B,33C,33E 開口部
80 嵌合構造
81 挿入部
82 被挿入部
83 雄ネジ部
84 雌ネジ部
85 溝部
86 接触子
100 アーク溶接装置
120 アルミケーブル(溶接用ケーブル)
121 導体
122 絶縁層
130 銅ケーブル(溶接用ケーブル)
131 導体
132 絶縁層

Claims (7)

  1. 溶接用ケーブル同士を接続する溶接用ケーブルジョイントのジョイント部材において、
    溶接用ケーブルの導体が挿入される導体挿入部と、
    他のジョイント部材との電気的接続を図るためのプラグ部又はソケット部とを備え、
    前記導体挿入部と前記プラグ部又はソケット部との間に、挿入部と被挿入部とからなる着脱可能な嵌合構造が設けられ、
    前記挿入部と前記被挿入部との相互の対向面の間に、弾性変形により圧接する弾性導体片が複数連接された接触子が設けられていることを特徴とする溶接用ケーブルジョイントのジョイント部材。
  2. 前記導体挿入部の材質が銅又は銅合金であることを特徴とする請求項1記載の溶接用ケーブルジョイントのジョイント部材。
  3. 前記導体挿入部の材質がアルミニウム又はアルミニウム合金であることを特徴とする請求項1記載の溶接用ケーブルジョイントのジョイント部材。
  4. 前記導体挿入部と、材質が銅又は銅合金である前記嵌合構造の前記挿入部又は前記被挿入部との間に、摩擦圧接接合部を備えることを特徴とする請求項3記載の溶接用ケーブルジョイントのジョイント部材。
  5. 前記導体挿入部は、材質が銅又は銅合金である前記嵌合構造の前記挿入部又は前記被挿入部に対して、溶接又はろう付けのいずれかにより接合されていることを特徴とする請求項3記載の溶接用ケーブルジョイントのジョイント部材。
  6. 前記導体挿入部は、その内部表面に、錫若しくは錫合金、ニッケル若しくはニッケル合金又は亜鉛若しくは亜鉛合金のいずれかからなる被覆層が形成されていることを特徴とする請求項3から5のいずれか一項に記載の溶接用ケーブルジョイントのジョイント部材。
  7. 前記導体挿入部は、その内側に導電性のコンパウンドが内包されていることを特徴とする請求項3から6のいずれか一項に記載の溶接用ケーブルジョイントのジョイント部材。
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