JP6051882B2 - トリム部材及びトノカバー装置 - Google Patents

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Description

本発明は、自動車用のトリム部材及びトノカバー装置に関する。
特許文献1に記載の発明には、トノカバー装置について記載されている。具体的には、リアシートとバックドア間にあるラゲージフロア(荷置き用フロア)における車両前後方向前側において車両幅方向に沿って配置された巻取りケースからカバーシート(トノカバー)を引き出すことによりラゲージフロアを覆う技術が開示されている。
この先行技術では、ラゲージフロアの車両幅方向両側のピラー(トリム部材)にレールが設けられ、カバーシートの先端部に設けられたボードに形成された係合部(カバー係合部)が当該レールに係合可能とされている。レールには横係合形状部及び縦係合形状部が設けられており、横係合形状部に係合部が係合された状態では、ラゲージフロアがカバーシートによって覆われる。一方、縦係合形状部に係合部が係合された状態では、ボードが起立しラゲージフロアに対して荷物を出し入れできるようになっている。
特開2008−184012号公報
しかしながら、この先行技術では、縦係合形状部に係合部が係合された状態(いわゆる開放位置)で、ラゲージフロアから荷物を取り出すとき等にカバーシートやボードに車両上方向へ向かう外力が作用した場合、当該係合部と縦係合係合部との係合状態が解除される可能性がある。このため、係合部に車両上方向へ向かう外力が作用した場合でも当該係合部の係合状態を維持させるには更なる改善の余地がある。
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであって、トノカバーに対して車両上下方向上方側へ向かう外力が作用した場合でもトノカバーに設けられたカバー係合部の係合状態を維持することができるトリム部材及びトノカバー装置を提供することを目的とする。
前記課題を解決するために、請求項1に記載のトリム部材は、車室内における車両前後方向後部に設けられた荷置き用フロアの側壁を成し、前記荷置き用フロアを覆うトノカバーの車両幅方向端部に設けられたカバー係合部を案内するレール部と、前記レール部において前記トノカバーが前記荷置き用フロアを覆う標準位置に設けられ、車両前後方向前方側へ向かって楔状に係合された前記カバー係合部の車両前後方向前方側及び車両上下方向に沿った移動を規制する移動規制機構と、を備え、前記カバー係合部は、車両前後方向前部に設けられた第1先細部から車両前後方向後部へ向かうにつれて徐々に太くなる滴状に形成され、前記移動規制機構は、車両前後方向に沿って設けられ、前記カバー係合部の形状に合わせて車両前後方向前部に形成された第2先細部から車両前後方向後部へ向かうにつれて徐々に車両上下方向に沿った幅が広くなるように形成された楔型係合部を含んで構成されている。
請求項1に記載のトリム部材は、車室内における車両前後方向後部に設けられた荷置き用フロアの側壁を成している。このトリム部材には、荷置き用フロアを覆うトノカバーの車両幅方向端部に設けられたカバー係合部を案内するレール部が設けられている。レール部において、トノカバーが荷置き用フロアを覆う標準位置には移動規制機構が設けられている。この移動規制機構によって、レール部に対してカバー係合部が車両前後方向前方側へ向かって楔状に係合され、車両前後方向前方側への移動が規制されると共に当該カバー係合部は車両上下方向に沿った移動が規制されるようになっている。
また、請求項に記載のトリム部材では、カバー係合部は、車両前後方向前部に設けられた第1先細部から車両前後方向後部へ向かうにつれて徐々に太くなる滴状に形成されており、移動規制機構は、車両前後方向に沿って設けられた楔型係合部を含んで構成されている。この楔型係合部は、カバー係合部の形状に合わせて車両前後方向前部に形成された第2先細部から車両前後方向後部へ向かうにつれて徐々に車両上下方向に沿った幅が広くなるように形成されている。このため、楔型係合部に対してカバー係合部が車両前後方向前方側へ向かって楔状に係合されると、当該カバー係合部は、車両前後方向前方側への移動が規制されると共に車両上下方向に沿った移動が規制される。
請求項に記載のトリム部材は、請求項1に記載のトリム部材において、前記レール部は、前記荷置き用フロアの車両上下方向上方側かつ車両前後方向前側に車両幅方向に沿って配置されトノカバーを巻取る巻取り装置内に前記トノカバーが格納される格納位置と前記標準位置との間を結ぶ第1ガイド部と、前記標準位置よりも車両前後方向前方側かつ車両上下方向上方側に配置され前記荷置き用フロアに対して荷物の出し入れを可能にする開放位置との間を結ぶ第2ガイド部と、を含んで構成されている。
請求項に記載のトリム部材では、レール部は第1ガイド部及び第2ガイド部を含んで構成されている。また、レール部には、トノカバーが荷置き用フロアを覆う標準位置と、トノカバーが巻取り装置内に格納される格納位置と、荷置き用フロアに対して荷物の出し入れを可能にする開放位置と、が設けられている。ここで、第1ガイド部は、格納位置と標準位置との間を結んでおり、第2ガイド部は、標準位置と開放位置との間を結んでいる。
請求項に記載のトリム部材は、請求項に記載のトリム部材において、前記第1ガイド部において前記移動規制機構を構成する楔型係合部の車両前後方向後方側かつ車両上下方向下方側に設けられ、前記カバー係合部が当接して当該カバー係合部の車両前後方向後方側への移動を規制する第1当接部と、前記第2ガイド部において前記楔型係合部の車両前後方向後方側かつ車両上下方向上方側に設けられ、前記カバー係合部が当接して当該カバー係合部の車両前後方向後方側への移動を規制する第2当接部と、前記楔型係合部の車両前後方向後方側に設けられ、車両前後方向前方側へ向かって突出し、前記第1当接部と前記第2当接部とを繋ぐ山部と、を有している。
請求項に記載のトリム部材では、第1ガイド部における楔型係合部の車両前後方向後方側かつ車両上下方向下方側に第1当接部が設けられ、第2ガイド部における楔型係合部の車両前後方向後方側かつ車両上下方向上方側に第2当接部が設けられている。第1当接部及び第2当接部には、カバー係合部がそれぞれ当接可能とされており、第1当接部又は第2当接部にカバー係合部が当接することで、当該カバー係合部の車両前後方向後方側への移動が規制されるようになっている。楔型係合部の車両前後方向後方側には、車両前後方向前方側へ向かって突出する山部が設けられている。この山部によって第1当接部と第2当接部とが繋がれている。
つまり、山部を基準として、カバー係合部が車両上下方向下方側に配置されると、当該カバー係合部は第1当接部に当接して第1ガイド部に沿って移動可能とされる。一方、山部を基準として、カバー係合部が車両上下方向上方側に配置されると、当該カバー係合部は第2当接部に当接して第2ガイド部に沿って移動可能とされる。
すなわち、カバー係合部が楔形係合部に係合された状態で、トノカバーを開放位置へ移動させたい場合はカバー係合部を第2当接部に当接させるように移動させ、トノカバーを格納位置に移動させたい場合はカバー係合部を第1当接部に当接させるように移動させれば良い。
請求項に記載のトリム部材は、請求項に記載のトリム部材において、前記楔型係合部に形成された第2先細部における車両前後方向後方側かつ車両上下方向下方側に前記山部の第1頂部が設けられている。
請求項に記載のトリム部材では、楔型係合部に形成された第2先細部における車両前後方向後方側かつ車両上下方向下方側に山部の第1頂部が設けられているため、楔型係合部にカバー係合部が係合された状態で、山部において車両上下方向上部に位置する第1上傾斜面と当該カバー係合部とは対向することになる。したがって、楔型係合部にカバー係合部が係合された状態で、当該カバー係合部を車両前後方向後方側へ移動させると、カバー係合部は第1上傾斜面に当接し当該第1上傾斜面に沿って第2当接部へ案内される。
請求項に記載のトリム部材は、請求項又は請求項に記載のトリム部材において、前記楔型係合部が、車両前後方向後方側へ向かって突出して山状を成す上壁部と、前記上壁部との間で前記第2先細部を形成すると共に、車両前後方向後方側へ向かって突出して山状を成す下壁部と、を含んで構成され、前記上壁部に設けられ、前記第2当接部の車両前後方向前方側かつ車両上下方向下方側に配置された第2頂部と、前記下壁部に設けられ、前記第1当接部の車両前後方向前方側かつ車両上下方向下方側に配置された第3頂部と、を有している。
請求項に記載のトリム部材では、楔型係合部が上壁部及び下壁部を含んで構成されている。上壁部及び下壁部は、車両前後方向後方側へ向かって突出して山状を成しており、上壁部と下壁部とで第2先細部が形成されている。上壁部の第2頂部は、第2当接部の車両前後方向前方側かつ車両上下方向下方側に配置されている。したがって、カバー係合部が第2当接部に当接された状態で、上壁部において車両上下方向上部に位置する第2上傾斜面と当該カバー係合部とは対向することになる。このため、カバー係合部が第2当接部に当接された状態で、当該カバー係合部を車両前後方向前方側へ移動させると、カバー係合部は上壁部の第2上傾斜面に当接し、当該第2上傾斜面に沿って第2ガイド部内を案内される。
一方、下壁部の第3頂部は、第1当接部の車両前後方向前方側かつ車両上下方向下方側に配置されている。したがって、カバー係合部が第1当接部に当接された状態で、下壁部において車両上下方向上部に位置する第3上傾斜面と当該カバー係合部とは対向する。したがって、カバー係合部が第1当接部に当接された状態で、当該カバー係合部を車両前後方向前方側へ移動させると、カバー係合部は下壁部の第3上傾斜面に当接し、当該第3上傾斜面に沿って楔型係合部内を案内される。
請求項に記載のトノカバー装置は、車室内における車両前後方向後部に設けられた荷置き用フロアを覆うトノカバーと、前記荷置き用フロアの側壁として用いられた請求項1〜請求項の何れか1項に記載のトリム部材に設けられたレール部と、前記トノカバーの車両幅方向端部に設けられ、前記トノカバーを巻き取る巻取り装置から引き出されたトノカバーが前記荷置き用フロアを覆う標準位置に設けられた状態で車両前後方向前方側へ向かって楔状に係合されて車両前後方向前方側及び車両上下方向に沿った移動が規制されるカバー係合部と、を有している。
請求項に記載のトノカバー装置では、車室内における車両前後方向後部に荷置き用フロアを覆うトノカバーが設けられており、荷置き用フロアの側壁として用いられたトリム部材にはレール部が設けられている。トノカバーの車両幅方向端部にはカバー係合部が設けられており、当該カバー係合部は、巻取り装置から引き出されたトノカバーが荷置き用フロアを覆う標準位置において、車両前後方向前方側へ向かって楔状に係合されて車両前後方向前方側及び車両上下方向に沿った移動が規制されるようになっている。
請求項に記載のトノカバー装置は、請求項に記載のトノカバー装置において、前記カバー係合部には、車両前後方向前部に設けられた第1先細部から車両前後方向後部へ向かうにつれて徐々に太くなる滴状に形成された楔部が設けられている。
請求項に記載のトノカバー装置では、カバー係合部の先端部には楔部が設けられており、車両前後方向前部に設けられた第1先細部から車両前後方向後部へ向かうにつれて徐々に太くなる滴状に形成されている。一方、レール部における標準位置には、前述のように、車両前後方向に沿って楔型係合部が形成され、楔部の形状に合わせて車両前後方向前部から車両前後方向後部へ向かうにつれて徐々に車両上下方向に沿った幅が広くなるように形成されている。このため、楔型係合部に対してカバー係合部が車両前後方向前方側へ向かって楔状に係合されると、当該カバー係合部は、車両前後方向前方側への移動が規制されると共に車両上下方向に沿った移動が規制される。
以上説明したように、請求項1記載の発明に係るトリム部材は、トノカバーに対して車両上下方向上方側へ向かう外力が作用した場合でもトノカバーに設けられたカバー係合部の係合状態を維持することができる、という優れた効果を有する。
請求項記載の発明に係るトリム部材は、荷置き用フロアに対して荷物の出し入れする際に、わざわざ格納位置までトノカバーを移動させる必要がないので便利である、という優れた効果を有する。
請求項記載の発明に係るトリム部材は、楔形係合部の位置を基準として、トノカバーの引き出し方向によってカバー係合部を第1ガイド部又は第2ガイド部へ案内することができる、という優れた効果を有する。
請求項記載の発明に係るトリム部材は、楔形係合部の位置を基準として、カバー係合部を車両前後方向後方側へ移動させるだけで、当該カバー係合部を第2当接部へ案内することができる、という優れた効果を有する。
請求項記載の発明に係るトリム部材は、カバー係合部を目的の位置へ案内することができる、という優れた効果を有する。
請求項記載の発明に係るトノカバー装置は、トノカバーに対して車両上下方向上方側へ向かう外力が作用した場合でもトノカバーに設けられたカバー係合部の係合状態を維持することができる、という優れた効果を有する。
請求項記載の発明に係るトノカバー装置は、簡単な構成で、楔型係合部に対して車両前後方向前方側へ向かってカバー係合部を楔状に係合させることができる、という優れた効果を有する。
本実施の形態に係るトノカバー装置を示す側面図である。 本実施の形態に係るトリム部材の要部が拡大された要部拡大側面図である。 図1の3−3線に沿って切断した状態を示すトリム部材の拡大断面図である。 図1の4−4線に沿って切断した状態を示すトリム部材の拡大断面図である。 本実施の形態に係るトノカバー装置を示す斜視図である。
以下、図面を参照しながら、本発明の一実施形態について説明する。なお、図中に適宜記す矢印FRは車両前後方向の前方向を示し、矢印UPは車両上下方向の上方向、矢印OUTは車両幅方向外側をそれぞれ示す。
(トノカバー装置の構成)
図1には、本実施の形態に係るトノカバー10を備えたトノカバー装置11が配設された車両12が示されている。この車両12は2ボックスタイプのミニバンであり、車室14内における車両前後方向後部には、乗員の荷物15が載置される荷置き用フロア16が設けられている。
荷置き用フロア16における車両上下方向上方かつ車両前後方向前部には、トノカバー10を巻き取る巻取り装置18が車両幅方向に沿って配設されており、荷置き用フロア16は、当該荷置き用フロア16に載置された荷物15と共にトノカバー10によって覆われるようになっている。
図5に示されるように、トノカバー10はシート状の部材であり、例えば塩化ビニルレザーや軟質ポリ塩化ビニルなどによって形成されている。巻取り装置18内には、例えば図示はしないがトーションスプリングが配設されており、トノカバー10が引き出されることによって当該トーションスプリングには弾性エネルギが蓄積されるようになっている。つまり、トノカバー10には、車両前後方向前方側へ向かって張力が常時作用している状態となっており、トーションスプリングの復元力によってトノカバー10は巻き取られるようになっている。
また、トノカバー10の先端部には、溶着や縫製などによって樹脂製のボード20がトノカバー10と一体に設けられており、トノカバー10が巻き取られた状態でボード20は車室14内側に露出するようになっている。このボード20を介してトノカバー10が車両前後方向後方側へ向かって引き出される。
トノカバー10の先端部における車両幅方向の端部からは、カバー係合部としての係合ピン22が車両幅方向に沿って突出している。また、ボード20の先端部における車両幅方向の端部からもトノカバー10同様、ガイドピン(図示省略)が車両幅方向に沿って突出している。
一方、図1に示されるように、荷置き用フロア16の側壁24は、トリム部材としてのピラートリム26及びデッキサイドトリム28を含んで構成されており、デッキサイドトリム28の車両上下方向上方側にピラートリム26が設けられている。
図1及び図3に示されるように、デッキサイドトリム28の車両上下方向上端部には、車両幅方向外側へ向かって拡幅された段部30が設けられている。この段部30とピラートリム26の車両上下方向下端部との間で第1ガイド部としてのガイド溝32が車両前後方向に沿って形成されている。このガイド溝32に沿って係合ピン22が移動可能となっており、ガイド溝32の車両前後方向後端側には、後述する標準位置Aが設けられている。
ピラートリム26には、この標準位置Aを基準として車両上下方向上方側へ向かうにつれて車両前後方向前方側へ傾斜する第2ガイド部としてのガイド溝34が設けられており、図1及び図4に示されるように、当該ガイド溝34に沿って係合ピン22が移動可能となっている。このガイド溝34とガイド溝32とは連通されており、ガイド溝34とガイド溝32とでレール部36が構成されている。つまり、係合ピン22は当該レール部36内を移動可能とされている。
図1に示す巻取り装置18によってトノカバー10が巻取られた状態(格納位置B)で係合ピン22は、ガイド溝32の車両前後方向前端側に設けられた係止部(図示省略)に係止されるようになっている。また、荷置き用フロア16がトノカバー10によって覆われた状態(図5の実線で示される状態)では、係合ピン22は標準位置Aにおいて、後述する移動規制機構としての楔型係合部40に係止される。さらに、係合ピン22がガイド溝34の車両前後方向前端側に設けられた係止部(図示省略)に係止された状態では、荷置き用フロア16の車両前後方向後方側が開放され(図5の2点鎖線で示される状態)、荷置き用フロア16に対して荷物15の取り出しが可能となる(開放位置C)。
ここで、図2にはレール部36における標準位置Aが拡大された状態を示す側面図が示されている。係合ピン22には楔部38が設けられており、楔部38は車両前後方向前部に設けられた第1先細部としての先細部38Aから車両前後方向後部へ向かうにつれて徐々に太くなる滴状に形成されている。
一方、レール部36における標準位置Aには、係合ピン22が係合される楔型係合部40が設けられている。この楔型係合部40は車両前後方向に沿って設けられており、車両前後方向後方側へ向かって突出し山状を成す上壁部48及び下壁部50を含んで構成されている。楔型係合部40には、上壁部48及び下壁部50の根元部において、係合ピン22の形状に合わせて車両前後方向前部に形成された第2先細部としての先細部40Aが設けられており、当該先細部40Aから車両前後方向後部へ向かうにつれて徐々に車両上下方向に沿った幅が広くなるように形成されている。
レール部36において、楔型係合部40の車両前後方向後方側には、車両前後方向前方側へ向かって山部42が突出している。楔型係合部40の車両前後方向後方側かつ車両上下方向上方側には、ガイド溝34の車両前後方向後端部かつ当該山部42の根元部に配置されて第2当接部としての当接部44が設けられている。また、楔型係合部40の車両前後方向後方側かつ車両上下方向下方側には、ガイド溝32の車両前後方向後端部かつ当該山部42の根元部に配置されて第1当接部としての当接部46が設けられている。
さらに、楔型係合部40における先細部40Aの車両前後方向後方側かつ車両上下方向下方側には、山部42の第1頂部としての頂部42Aが設けられている。このため、楔型係合部40に係合ピン22が係合された状態((1)の状態)で、山部42を構成する車両上下方向上部に位置する第1上傾斜面としての上傾斜面42Bと当該係合ピン22とは対向するようになっている。
また、楔型係合部40の一部を構成する上壁部48における第2頂部としての頂部48Aは、当接部44の車両前後方向前方側かつ車両上下方向下方側に設けられている。このため、係合ピン22が当接部44に当接された状態((2)の状態)で、上壁部48を構成する車両上下方向上部に位置する第2上傾斜面としての上傾斜面48Bと当該係合ピン22とは対向するようになっている。
さらに、楔型係合部40の一部を構成する下壁部50における第3頂部としての頂部50Aは、当接部46の車両前後方向前方側かつ車両上下方向下方側に設けられている。このため、係合ピン22が当接部46に当接された状態((3)の状態)で、下壁部50を構成する車両上下方向下部に位置する第3上傾斜面としての上傾斜面50Bと当該係合ピン22とは対向するようになっている。なお、下壁部50の上傾斜面50Bと山部42の頂部42Aとの間には、係合ピン22が通過可能な隙間tが設けられている。
(トノカバー装置の作用・効果)
図1に示されるように、レール部36はガイド溝32及びガイド溝34を含んで構成されている。また、レール部36には、トノカバー10が荷置き用フロア16を覆う標準位置Aと、トノカバー10が巻取り装置18内に格納される格納位置Bと、荷置き用フロア16に対して荷物15の出し入れを可能にする開放位置Cと、が設けられている。レール部36はガイド溝32及びガイド溝34を含んで構成されており、ガイド溝32は、格納位置Bと標準位置Aとの間を結び、ガイド溝34は、標準位置Aと開放位置Cとの間を結んでいる。
巻取り装置18によってトノカバー10が巻取られた状態となる格納位置Bでは、トノカバー10の車両幅方向両端部に設けられた係合ピン22はガイド溝32の車両前後方向前端側に形成された係止部(図示省略)に係止されるようになっている。この状態から、トノカバー10を車両前後方向後方側へ向かって引き出すと、係合ピン22はガイド溝32に沿って移動する。
図2に示されるように、ガイド溝32の車両前後方向後端部には当接部46が設けられているため、トノカバー10を車両前後方向後方側へ向かって引き出すと、当該当接部46に係合ピン22が当接して係合ピン22の車両前後方向後方側への移動が規制される((3)の状態)。
楔型係合部40の一部を構成する下壁部50の頂部50Aは、当接部46の車両前後方向前方側かつ車両上下方向下方側に配置され、係合ピン22が当接部46に当接された状態で、下壁部50の上傾斜面50Bと当該係合ピン22とは対向している。一方、トノカバー10には車両前後方向前方側へ向かって張力が常時作用している。
このため、係合ピン22が当接部46に当接した状態でトノカバー10を引き出す力を緩めると、係合ピン22は下壁部50の上傾斜面50Bに当接する。そして、この上傾斜面50Bに沿って係合ピン22は楔型係合部40側へ案内され、当該係合ピン22が楔型係合部40に係合される((1)の状態)。この状態がトノカバー10の標準位置Aであり、荷置き用フロア16がトノカバー10によって覆われた状態となる。
ここで、本実施形態では、図2に示されるように、係合ピン22には楔部38が設けられ、当該楔部38は車両前後方向前部に設けられた先細部38Aから車両前後方向後部へ向かうにつれて徐々に太くなる滴状に形成されている。一方、レール部36における標準位置Aには、係合ピン22が係合される楔型係合部40が設けられている。この楔型係合部40は、車両前後方向に沿って設けられており、当該係合ピン22の形状に合わせて車両前後方向前部に設けられた先細部40Aから車両前後方向後部へ向かうにつれて徐々に車両上下方向に沿った幅が広くなるように形成されている。
これにより、係合ピン22が楔型係合部40に対して車両前後方向前方側へ向かって楔状に係合され、係合ピン22が楔型係合部40に係合された状態((1)の状態)で、当該係合ピン22は車両前後方向前方側への移動が規制されると共に、車両上下方向に沿った移動が規制されるようになっている。
したがって、トノカバー10に車両上下方向上方側へ向かう外力が作用した場合でもトノカバー10に設けられた係合ピン22の係合状態を維持することができる。特にトノカバー10には車両前後方向前方側へ向かって張力が常時作用しているため、係合ピン22が楔型係合部40に対して車両前後方向前方側へ向かって楔状に係合される係合力は増大する。
このように、係合ピン22が楔型係合部40に対して車両前後方向前方側へ向かって楔状に係合されることで、係合ピン22は楔型係合部40を構成する上壁部48及び下壁部50によって支持されることになるため、異音の発生が防止される。
また、本実施形態では、楔型係合部40の先細部40Aにおける車両前後方向後方側かつ車両上下方向下方側に山部42の頂部42Aが設けられている。このため、楔型係合部40に係合ピン22が係合された状態で、山部42の上傾斜面42Bと係合ピン22とは対向している。
したがって、楔型係合部40に係合ピン22が係合された状態で、トノカバー10を車両前後方向後方側へ向かってさらに引き出すと、係合ピン22は山部42の上傾斜面42Bに当接し、当該係合ピン22は上傾斜面42Bに沿って当接部44側へ案内される。
係合ピン22が当接部44に当接すると、係合ピン22は車両前後方向後方側への移動が規制される((2)の状態)。この状態では、楔型係合部40の一部を構成する上壁部48の頂部48Aは、当接部44の車両前後方向前方側かつ車両上下方向下方側に配置され、上壁部48の上傾斜面48Bと当該係合ピン22とは対向している。
このため、係合ピン22が当接部44に当接した状態でトノカバー10を引き出す力を緩めると、係合ピン22は上壁部48の上傾斜面48Bに当接する。この上傾斜面48Bによって係合ピン22はガイド溝34内へ案内される((4)の状態)。
そして、図1に示されるように、係合ピン22がガイド溝34の車両前後方向前端部へ移動すると、当該ガイド溝34に形成された係止部(図示省略)に係止される(開放位置C)。この状態で、荷置き用フロア16に対して荷物15の出し入れが可能となり、当該荷物15の出し入れする際に、わざわざ格納位置Bまでトノカバー10を移動させる必要がないので便利である。
一方、図2に示されるように、係合ピン22が楔型係合部40に係合された状態((1)の状態)から、トノカバー10を車両前後方向後方側かつ車両上下方向下方側へ向かってさらに引き出すと、係合ピン22は楔型係合部40における下壁部50の上傾斜面50Bに沿って案内され、当接部46の車両上下方向下方に当接する((5)の状態)。これにより係合ピン22はガイド溝32内へ案内される((6)の状態)。
そして、図1に示されるように、係合ピン22がガイド溝32の車両前後方向前端部へ移動すると、当該ガイド溝32に形成された係止部(図示省略)に係止される(格納位置B)。この状態で、トノカバー10は巻取り装置18によって巻取られた状態となり、荷置き用フロア16は露出する。
図2に示されるように、レール部36において、楔型係合部40の車両前後方向後方側には、車両前後方向前方側へ向かって山部42が突出している。楔型係合部40の車両前後方向後方側かつ車両上下方向上方側には、ガイド溝34の車両前後方向後端部かつ当該山部42の根元部に配置されて当接部44が設けられている。また、楔型係合部40の車両前後方向後方側かつ車両上下方向下方側には、ガイド溝32の車両前後方向後端部かつ当該山部42の根元部に配置されて当接部46が設けられている。
つまり、山部42を基準として、係合ピン22が車両上下方向上方側に配置されると、当該係合ピン22は当接部44に当接((2)の状態)してガイド溝34に沿って移動可能とされる。一方、山部42を基準として、係合ピン22が車両上下方向下方側に配置されると、当該係合ピン22は当接部46の車両上下方向下方に当接((5)の状態)してガイド溝32に沿って移動可能とされる((6)の状態)。なお、ガイド溝32及びガイド溝34の車両前後方向後端部は、ガイド溝32と当接部46及び、ガイド溝34と当接部44との間を係合ピン22がスムーズに移動できるように円弧状に形成されている。
すなわち、トノカバー10の標準位置Aにおいて係合ピン22が楔型係合部40に係合された状態((1)の状態)で、トノカバー10(図1参照)を開放位置C(図1参照)へ移動させたい場合は、当該トノカバー10を車両前後方向後方側へ向かって引き出す。これにより、係合ピン22が当接部44に当接((2)の状態)し、当該係合ピン22をガイド溝34へ案内することができる。
また、トノカバー10の標準位置Aにおいて係合ピン22が楔型係合部40に係合された状態((1)の状態)で、トノカバー10を格納位置B(図1参照)に移動させたい場合は、当該トノカバー10を車両前後方向後方側かつ車両上下方向下方側へ向かって引き出す。これにより、係合ピン22が当接部46の車両上下方向下方に当接((5)の状態)し、当該係合ピン22をガイド溝32へ案内することができる。
(実施形態の補足説明)
なお、本実施形態では、係合ピン22に楔部38が設けられていると説明したが、これは、係合ピン22自体が楔部38とされても良いし、係合ピン22の先端部に楔部38が形成されていても良いという意味である。
また、本実施形態では、楔部38は先細部38Aから車両前後方向後部へ向かうにつれて徐々に太くなる滴状に形成されているが、レール部36における楔型係合部40に対して楔状に係合することができれば良いため、この形状に限るものではない。例えば、車両側面視で三角形状を成していても良い。また、楔型係合部40についてもこの形状に限るものではない。さらに、当接部44、46及び山部42についても係合ピン22を目的とする位置へ案内することができれば良いため、この形状に限るものではない。
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明は、上記に限定されるものでなく、上記以外にも、その主旨を逸脱しない範囲内において種々変形して実施可能であることは勿論である。
10 トノカバー
11 トノカバー装置
12 車両
14 車室
16 荷置き用フロア
18 巻取り装置
22 係合ピン
24 側壁
26 ピラートリム(トリム部材)
28 デッキサイドトリム(トリム部材)
32 ガイド溝(第1ガイド部、レール部)
34 ガイド溝(第2ガイド部、レール部)
36 レール部
38A 先細部(第1先細部)
38 楔部
40A 先細部(第2先細部、楔型係合部)
40 楔型係合部(移動規制機構)
42 山部
42A 頂部(第1頂部)
44 当接部(第2当接部)
46 当接部(第1当接部)
48 上壁部(楔型係合部)
48A 頂部(第2頂部)
50 下壁部(楔型係合部)
50A 頂部(第3頂部)
A 標準位置
B 格納位置
C 開放位置

Claims (7)

  1. 車室内における車両前後方向後部に設けられた荷置き用フロアの側壁を成し、前記荷置き用フロアを覆うトノカバーの車両幅方向端部に設けられたカバー係合部を案内するレール部と、
    前記レール部において前記トノカバーが前記荷置き用フロアを覆う標準位置に設けられ、車両前後方向前方側へ向かって楔状に係合された前記カバー係合部の車両前後方向前方側及び車両上下方向に沿った移動を規制する移動規制機構と、
    備え、
    前記カバー係合部は、車両前後方向前部に設けられた第1先細部から車両前後方向後部へ向かうにつれて徐々に太くなる滴状に形成され、
    前記移動規制機構は、車両前後方向に沿って設けられ、前記カバー係合部の形状に合わせて車両前後方向前部に形成された第2先細部から車両前後方向後部へ向かうにつれて徐々に車両上下方向に沿った幅が広くなるように形成された楔型係合部を含んで構成されているトリム部材。
  2. 前記レール部は、
    前記荷置き用フロアの車両上下方向上方側かつ車両前後方向前側に車両幅方向に沿って配置されトノカバーを巻き取る巻取り装置内に前記トノカバーが格納される格納位置と前記標準位置との間を結ぶ第1ガイド部と、
    前記標準位置よりも車両前後方向前方側かつ車両上下方向上方側に配置され前記荷置き用フロアに対して荷物の出し入れを可能にする開放位置との間を結ぶ第2ガイド部と、
    を含んで構成されている請求項1に記載のトリム部材。
  3. 前記第1ガイド部において前記移動規制機構を構成する楔型係合部の車両前後方向後方側かつ車両上下方向下方側に設けられ、前記カバー係合部が当接して当該カバー係合部の車両前後方向後方側への移動を規制する第1当接部と、
    前記第2ガイド部において前記楔型係合部の車両前後方向後方側かつ車両上下方向上方側に設けられ、前記カバー係合部が当接して当該カバー係合部の車両前後方向後方側への移動を規制する第2当接部と、
    前記楔型係合部の車両前後方向後方側に設けられ、車両前後方向前方側へ向かって突出し、前記第1当接部と前記第2当接部とを繋ぐ山部と、
    を有する請求項2に記載のトリム部材。
  4. 前記楔型係合部に形成された第2先細部における車両前後方向後方側かつ車両上下方向下方側に前記山部の第1頂部が設けられている請求項3に記載のトリム部材。
  5. 前記楔型係合部が、
    車両前後方向後方側へ向かって突出して山状を成す上壁部と、
    前記上壁部との間で前記第2先細部を形成すると共に、車両前後方向後方側へ向かって突出して山状を成す下壁部と、
    を含んで構成され、
    前記上壁部に設けられ、前記第2当接部の車両前後方向前方側かつ車両上下方向下方側に配置された第2頂部と、
    前記下壁部に設けられ、前記第1当接部の車両前後方向前方側かつ車両上下方向下方側に配置された第3頂部と、
    を有する請求項3又は請求項4に記載のトリム部材。
  6. 車室内における車両前後方向後部に設けられた荷置き用フロアを覆うトノカバーと、
    前記荷置き用フロアの側壁として用いられた請求項1〜請求項5の何れか1項に記載のトリム部材に設けられたレール部と、
    前記トノカバーの車両幅方向端部に設けられ、前記トノカバーを巻き取る巻取り装置から引き出されたトノカバーが前記荷置き用フロアを覆う標準位置において、前記レール部に対して車両前後方向前方側へ向かって楔状に係合されて車両前後方向前方側及び車両上下方向に沿った移動が規制されるカバー係合部と、
    を有するトノカバー装置。
  7. 前記カバー係合部には、車両前後方向前部に設けられた第1先細部から車両前後方向後部へ向かうにつれて徐々に太くなる滴状に形成された楔部が設けられている請求項6に記載のトノカバー装置。
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