JP6050433B1 - 空気入りタイヤ - Google Patents

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Abstract

【課題】ドライグリップ性能、耐摩耗性がバランス良く改善される空気入りタイヤを提供する。【解決手段】スチレンブタジエンゴムと、平均繊維長10μm〜10mmのセルロース短繊維と、窒素吸着比表面積100m2/g以上のシリカ及び/又は窒素吸着比表面積70m2/g以上のカーボンブラックとを含み、ゴム成分100質量%中の前記スチレンブタジエンゴムの含有量が60質量%以上、前記ゴム成分100質量部に対する前記セルロース短繊維の含有量が0.1〜20質量部、前記シリカ及び前記カーボンブラックの合計量が60質量部以上である走行時路面接触部材用ゴム組成物を用いて作製された走行時路面接触部材を有する空気入りタイヤに関する。【選択図】なし

Description

本発明は、空気入りタイヤに関する。
近年、木材由来のセルロースについて、ゴムとの混合性の改善目的のため、微細化、マスターバッチ化、高純度天然ゴムマスターバッチ化、水酸基の変性、複数種の混合、分散剤や樹脂による被覆等、種々の手法が検討されており、例えば、タイヤのトレッド、ベーストレッド、サイドウォール、ビードエイペックス等に、セルロース繊維をミクロ分散させ、その補強効果、異方性物性を利用した応用事例が提案されている。
トレッド、特にスタッドレスタイヤのトレッドに、セルロース繊維を配合する場合、繊維構造の水酸基特有の吸水性を利用して氷上の路面とトレッド表面間に発生する水分を除去すること、繊維表面を樹脂や有機物分散剤で被覆して親油化し、排水性を付与して氷上の水を除去すること、等が行われている。また、補強性に着目し、トレッド以外の部材に用いて微小歪への応力を高め、操縦安定性を向上させること、ミクロ繊維を天然ゴムや高純度化天然ゴムのラテックスに取り込ませてマスターバッチ化して繊維を親油化し、ゴム中の分散性を高めること、等の工夫もなされている。
しかしながら、スタッドレスタイヤのトレッドの短繊維に親油処理を施しても、ゴムが吸水軟化することで、パターンの剛性低下、更には転動時の路面との実接触面積の低下、グリップ低下の問題が生じる。また、繊維を親油化せず、パウダー状でゴムに練り込むと、数mm長さの繊維塊が露出し、ゴムの破壊性低下、耐摩耗性低下、等を引き起こす。
ドライグリップ性能は、競技用タイヤ(レース用タイヤ)、高性能タイヤにおいて非常に重要な性能であり、高グリップ樹脂、高スチレン量のスチレンブタジエンゴム、液状スチレンブタジエン共重合体等、盛んに検討されているが、充分に満足できるものではない。加えて、激しいコーナリングを伴うドライ走行後のタイヤの摩耗表面には、進行方向とほぼ90度方向に横滑りしたような摩耗アブレージョンが見られ、コーナリング走行時にタイヤを横滑りさせて走行していることが伺えるため、このような走行における耐摩耗性も必要である。更に、ドライグリップ性能は、操縦安定性や耐摩耗性と背反性能であり、一般にバランス良く改善することが困難である。
特許文献1には、ゴムラテックス、ミクロフィブリル化植物繊維、カチオン系高分子を所定量混合して得られたマスターバッチを用いて作製したゴム組成物が開示されているが、ドライグリップ性能、特にサイドフォース発生が大きい走行でのドライグリップ性能や、耐摩耗性を改善する点について未だ改善の余地がある。
特開2014−47328号公報
本発明は、前記課題を解決し、ドライグリップ性能(特にサイドフォース発生が大きい走行でのドライグリップ性能)、耐摩耗性がバランス良く改善される空気入りタイヤを提供することを目的とする。
本発明は、スチレンブタジエンゴムと、平均繊維長10μm〜10mmのセルロース短繊維と、窒素吸着比表面積100m/g以上のシリカ及び/又は窒素吸着比表面積70m/g以上のカーボンブラックとを含み、ゴム成分100質量%中の前記スチレンブタジエンゴムの含有量が60質量%以上、前記ゴム成分100質量部に対する前記セルロース短繊維の含有量が0.1〜20質量部、前記シリカ及び前記カーボンブラックの合計量が60質量部以上である走行時路面接触部材用ゴム組成物を用いて作製された走行時路面接触部材を有する空気入りタイヤに関する。
前記カーボンブラックの窒素吸着比表面積は、150m/g以上であることが好ましい。
前記スチレンブタジエンゴムの重量平均分子量は、100万以上であることが好ましい。
前記走行時路面接触部材用ゴム組成物は、前記セルロース短繊維及びスチレンブタジエンゴムを含むマスターバッチを用いて作製されたものであることが好ましい。
更に前記マスターバッチは、カーボンブラックを含むことが好ましい。
前記空気入りタイヤは、単層又は多層構造トレッドの少なくとも1つのトレッド層が前記走行時路面接触部材で構成されていることが好ましい。
前記空気入りタイヤにおいて、前記走行時路面接触部材の路面設置域は、前記セルロース短繊維が周方向基準で30〜90度に配向した部位を有していることが好ましい。
また、前記走行時路面接触部材中の前記セルロース短繊維の方向と、隣接する内側配合に含まれる前記セルロース短繊維の方向とが、10〜90度の範囲で交差していることが好ましい。
本発明によれば、スチレンブタジエンゴムと、平均繊維長10μm〜10mmのセルロース短繊維と、窒素吸着比表面積100m/g以上のシリカ及び/又は窒素吸着比表面積70m/g以上のカーボンブラックとを含み、ゴム成分100質量%中の前記スチレンブタジエンゴムの含有量が60質量%以上、前記ゴム成分100質量部に対する前記セルロース短繊維の含有量が0.1〜20質量部、前記シリカ及び前記カーボンブラックの合計量が60質量部以上である走行時路面接触部材用ゴム組成物を用いて作製された走行時路面接触部材を有する空気入りタイヤであるので、ドライグリップ性能(特にサイドフォース発生が大きい走行でのドライグリップ性能)、耐摩耗性がバランス良く改善される。
本発明の空気入りタイヤは、スチレンブタジエンゴムと、特定平均繊維長のセルロース短繊維と、特定窒素吸着比表面積のシリカ及び/又はカーボンブラックとを所定量含む走行時路面接触部材用ゴム組成物を用いて作製された走行時路面接触部材を有するものである。これらの成分を含む走行時路面接触部材を形成することで、良好な耐摩耗性を維持又は改善しつつ、ドライグリップ性能、特にサイドフォース発生が激しい走行条件でのドライグリップ性能(サイドグリップ力)が改善され、これらの性能がバランス良く改善される。また、直進グリップ力や路面追従性(接地感)も維持できる。
このような改善効果が得られる理由は明確ではないが、以下のように推察される。
天然木材由来セルロースは、nm単位の微細な毛羽が束なって、cm単位の長繊維を形成し、走行中、繊維束に垂直方向圧縮が発生し、一部に微細な毛羽が発生する。そして、この毛羽が、路面のミクロ凹凸を埋める形で、路面とゴムの近接接触が実現し、物理吸引力が生じ、これにより、サイドフォース発生が激しい走行条件でも、非常に優れたドライグリップ性能が発揮される。つまり、ヤモリの手足の微細な毛が、壁面の凹凸を捉えるメカニズムと同様の作用によりドライグリップ性能の改善が得られるのである。このような作用効果が生じるには、毛羽が発生する走行モードであることが環境因子として必須であり、アブレージョン山谷ピッチが1mm以上有るような摩耗痕を残すモードが望ましい。すなわち、摩耗を想定する走行時路面接触部材の摩耗速度が、このようなモードの場合、繊維を引張りモードで活用でき更に、走行時路面接触部材の表面では前述の毛羽が発生しやすい。
すなわち、引張発生時にセルロース短繊維が引張力を負担し、抗力が得られること、短繊維の平均繊維長が10μm〜10mm、配合量が0.1〜20質量部であること、により、路面追従性が大きく悪化せず、路面と走行時路面接触部材のミクロ吸着性が向上する。従って、良好な耐摩耗性を維持又は改善しつつ、ドライグリップ性能が改善される。
走行時路面接触部材用ゴム組成物におけるスチレンブタジエンゴム(SBR)としては、特に限定されず、乳化重合SBR(E−SBR)、溶液重合SBR(S−SBR)などが挙げられ、油展されていても、油展されていなくてもよい。なかでも、グリップ性能の観点から、油展かつ高分子量のSBRが好ましい。また、フィラーとの相互作用力を高めた末端変性S−SBRや、主鎖変性S−SBR等の変性SBRも好適に使用可能である。これらSBRは、1種を用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
変性SBRとしては、スチレン及びブタジエンの共重合体で、第1級アミノ基やアルコキシシリル基を有するものも好ましい。第1級アミノ基は、重合開始末端、重合終了末端、重合体主鎖、側鎖のいずれに結合していてもよいが、重合体末端からエネルギー消失を抑制してヒステリシスロス特性を改良し得る点から、重合開始末端又は重合終了末端に導入されていることが好ましい。
変性SBRのなかでも、特に溶液重合のスチレンブタジエンゴム(S−SBR)の重合末端(活性末端)を下記式で表される化合物により変性したもの(変性S−SBR(特開2010−111753号公報に記載の変性SBR))が好適に用いられる。これにより、シリカとポリマー鎖の結合を強め、ドライグリップ性能等をより向上できる。
Figure 0006050433
(式中、R11、R12及びR13は、同一若しくは異なって、アルキル基、アルコキシ基(好ましくは炭素数1〜8、より好ましくは炭素数1〜6、更に好ましくは炭素数1〜4のアルコキシ基)、シリルオキシ基、アセタール基、カルボキシル基(−COOH)、メルカプト基(−SH)又はこれらの誘導体を表す。R14及びR15は、同一若しくは異なって、水素原子又はアルキル基(好ましくは炭素数1〜4のアルキル基)を表す。nは整数(好ましくは1〜5、より好ましくは2〜4、更に好ましくは3)を表す。)
11、R12及びR13としては、アルコキシ基が望ましく、R14及びR15としては、アルキル基が望ましい。これにより、優れたドライグリップ性能、耐摩耗性を得ることができる。
上記式で表される化合物の具体例としては、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルジメチルメトキシシラン、3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、2−ジメチルアミノエチルトリメトキシシラン、3−ジエチルアミノプロピルトリメトキシシラン、3−(N,N−ジメチルアミノ)プロピルトリメトキシシラン等が挙げられる。これらは、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
上記式で表される化合物(変性剤)によるスチレンブタジエンゴムの変性方法としては、特公平6−53768号公報、特公平6−57767号公報、特表2003−514078号公報などに記載されている方法など、従来公知の手法を用いることができる。例えば、スチレンブタジエンゴムと変性剤とを接触させればよく、アニオン重合によりスチレンブタジエンゴムを合成した後、該重合体ゴム溶液中に変性剤を所定量添加し、スチレンブタジエンゴムの重合末端(活性末端)と変性剤とを反応させる方法、スチレンブタジエンゴム溶液中に変性剤を添加して反応させる方法などが挙げられる。
SBRのスチレン含量は、好ましくは15質量%以上、より好ましくは18質量%以上、更に好ましくは20質量%以上、特に好ましくは30質量%以上である。また、該スチレン含量は、好ましくは60質量%以下、より好ましくは55質量%以下、更に好ましくは50質量%以下、特に好ましくは45質量%以下である。15質量%未満であると、ドライグリップ性能が不充分になるおそれがある。他方、60質量%を超えると、スチレン基の配置が隣接、或いは、偏りが生じやすくなり、粘弾性の温度依存性が増大し、温度変化に対する性能変化が大きくなってしまい、ウェットグリップ性能、ドライグリップ性能が良好に得られない傾向がある。
なお、本明細書において、スチレン含量は、H−NMR測定により算出される。
SBRのビニル含量は、好ましくは10質量%以上、より好ましくは15質量%以上、更に好ましくは20質量%以上、特に好ましくは25質量%以上である。10質量%未満であると、充分なドライグリップ性能が得られないおそれがある。該ビニル含量は、好ましくは90質量%以下、より好ましくは80質量%以下、更に好ましくは70質量%以下、特に好ましくは60質量%以下である。90質量%を超えると、ゴム強度が低下したりして、性能が安定しない場合がある。
なお、本明細書において、ビニル含量(1,2−結合ブタジエン単位量)は、赤外吸収スペクトル分析法によって測定できる。
SBRはまた、ガラス転移温度(Tg)が−45℃以上であることが好ましく、−40℃以上であることがより好ましい。該Tgは、10℃以下であることが好ましく、5℃以下であることがより好ましく、0℃以下であることが更に好ましい。
なお、本明細書において、ガラス転移温度は、JIS K7121に従い、昇温速度10℃/分の条件で示差走査熱量測定(DSC)を行って測定される値である。
SBRは、重量平均分子量(Mw)が好ましくは20万以上、より好ましくは25万以上、更に好ましくは30万以上である。競技用、或いは、高性能タイヤでは、100万以上の油展ポリマーが特に好ましい。また、該Mwは、好ましくは200万以下、より好ましくは180万以下である。Mwが20万以上のSBRを用いることにより、高いドライグリップ性、耐摩耗性を発揮することができる。Mwが200万を超えると、フィラー分散が困難となり、従い耐摩耗性が悪化するおそれがある。
なお、本明細書において、重量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)(東ソー(株)製GPC−8000シリーズ、検出器:示差屈折計、カラム:東ソー(株)製のTSKGEL SUPERMALTPORE HZ−M)による測定値を基に標準ポリスチレン換算により求めることができる。
ゴム成分100質量%中のSBRの含有量は、60質量%以上、好ましくは70質量%以上、更に好ましくは80質量%以上であり、100質量%でもよい。60質量%未満であると、ドライグリップ性能が充分にならない傾向がある。
SBR以外のゴム成分としては、天然ゴム(NR)、高純度NR(UPNR)、脱タンパク質NR(DPNR)、エポキシ化NR(ENR)、イソプレンゴム(IR)などのイソプレン系ゴム、スチレンブタジエンゴム(SBR)、ブタジエンゴム(BR)、スチレンイソプレンブタジエンゴム(SIBR)、クロロプレンゴム(CR)、アクリロニトリルブタジエンゴム(NBR)等が挙げられる。これらの中でも、NR、BRが好ましい。BRは、希土類元素系触媒を用いて合成されたBRが好適で、希土類元素系触媒としてネオジム(Nd)含有化合物等のランタン系列希土類元素化合物を用いて合成されたBRが挙げられる。
セルロース短繊維としては、例えば、木材、竹、麻、ジュート、ケナフ、農作物残廃物、布、再生パルプ、古紙、バクテリアセルロース、ホヤセルロース等の天然物に由来するものが挙げられる。セルロース短繊維の製造方法としては特に限定されないが、例えば、上記天然物を水酸化ナトリウム等の薬品で化学処理した後、リファイナー、二軸混錬機(二軸押出機)、二軸混錬押出機、高圧ホモジナイザー、媒体撹拌ミル、石臼、グラインダー、振動ミル、サンドグラインダー等により機械的に磨砕ないし叩解する方法が挙げられる。
前記セルロース短繊維の平均繊維長は、10μm以上、好ましくは100μm以上、より好ましくは500μm以上、更に好ましくは1mm以上である。該平均繊維長は、10mm以下、好ましくは5mm以下、より好ましくは3mm以下、更に好ましくは2mm以下である。上記範囲内にすると、良好な異方性が得られ、ドライグリップ性能が改善されると共に、良好な耐摩耗性も得られる。10μm未満では、製造中やゴム練り中に糸キレが発生しやくなる傾向がある。また、80μm未満の場合、路面の超ミクロピッチ以下であり、かつゴムのE*が高くなり過ぎ、路面追従性が悪化するおそれがある。10mmを超えると、加硫中にゴム流れ不良が生じ、表面に異物として露見したり、ゴム欠けのおそれがある。また、8mmを超えると、スキー板のようにゴムが滑るおそれがある。
前記セルロース短繊維の平均繊維径は、好ましくは1〜1000μm、より好ましくは2〜500μm、更に好ましくは3〜100μm、特に好ましくは4〜40μmである。上記範囲内であると、ドライグリップ性能、耐摩耗性がバランス良く改善される。
なお、前記セルロース短繊維の平均繊維長(数平均繊維長)、平均繊維径(数平均繊維径)は、公知の方法で測定できる。例えば、数平均繊維径及び数平均繊維長は、マイカ切片上に固定したセルロース短繊維を走査型プローブ顕微鏡(日立ハイテクサイエンス社製)で観察(3000nm×3000nm)し、繊維50本分の繊維幅を測定して数平均繊維径を算出できる。数平均繊維長は、得られた観察画像から画像解析ソフトWinROOF(三谷商事社製)を用いて算出できる。
前記ゴム成分100質量部に対する前記セルロース短繊維の含有量は、0.1〜20質量部であるが、これにより、E*異方性が適度で、良好な運動性能が得られる。下限は、好ましくは0.3質量部以上、より好ましくは1.0質量部以上である。0.1質量部未満であると、添加による効果が得られないおそれがある。また、上限は、好ましくは10質量部以下、より好ましくは5質量部以下である。20質量部を超えると、短繊維が相互作用し合って3方向で硬くなり、異方性が却って低下するおそれがある。
走行時路面接触部材用ゴム組成物は、所定窒素吸着比表面積のシリカ及び/又はカーボンブラックを含む。これにより、優れたドライグリップ性能、耐摩耗性が得られる。
前記シリカの窒素吸着比表面積(NSA)は、100m/g以上、好ましくは150m/g以上、より好ましくは170m/g以上である。100m/g未満では、充分なドライグリップ性能、耐摩耗性が得られないおそれがある。該NSAは、好ましくは300m/g以下、より好ましくは250m/g以下である。300m/gを超えると、低燃費性が悪化する傾向がある。
なお、シリカのNSAは、ASTM D3037−93に準じてBET法で測定される値である。
前記カーボンブラックの窒素吸着比表面積(NSA)は、70m/g以上、好ましくは120m/g以上、より好ましくは150m/g以上である。70m/g未満では、充分なドライグリップ性能、耐摩耗性が得られないおそれがある。該NSAは、好ましくは300m/g以下、より好ましくは250m/g以下である。300m/gを超えると、低燃費性が悪化する傾向がある。
なお、カーボンブラックのNSAは、JIS K 6217−2:2001によって求められる。
前記シリカ及び前記カーボンブラックの合計含有量は、ゴム成分100質量部に対して、60質量部以上、好ましくは80質量部以上、より好ましくは100質量部以上、更に好ましくは110質量部以上である。60質量部未満では、充分なドライグリップ性能、耐摩耗性が得られないおそれがある。また、該合計含有量は、好ましくは200質量部以下、より好ましくは170質量部以下、更に好ましくは140質量部以下である。200質量部を超えると、低燃費性、乗り心地性が悪化するおそれがある。
なお、シリカ、カーボンブラックのいずれかを配合する場合も、シリカの含有量、カーボンブラックの含有量を上記合計含有量に調整することが好適である。
走行時路面接触部材用ゴム組成物は、アルキルフェノール系樹脂を含有することが好ましい。これにより、良好な耐摩耗性を確保しつつ、ドライグリップ性能を向上できる。
上記アルキルフェノール系樹脂としては、特に限定されず、アルキルフェノールと、ホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、フルフラールなどのアルデヒド類とを酸又はアルカリ触媒で反応させることにより得られるアルキルフェノールアルデヒド縮合樹脂;アルキルフェノールと、アセチレンなどのアルキンとを反応させて得られるアルキルフェノールアルキン縮合樹脂;これらの樹脂を、カシューオイル、トールオイル、アマニ油、各種動植物油、不飽和脂肪酸、ロジン、アルキルベンゼン樹脂、アニリン、メラミンなどの化合物を用いて変性した変性アルキルフェノール樹脂;等が挙げられる。なかでも、本発明の効果の観点から、アルキルフェノールアルキン縮合樹脂が好ましく、アルキルフェノールアセチレン縮合樹脂が特に好ましい。
なお、上記アルキルフェノール系樹脂を構成するアルキルフェノールとしては、クレゾール、キシレノール、t−ブチルフェノール、オクチルフェノール、ノニルフェノール等が挙げられる。なかでも、t−ブチルフェノール等の分枝状アルキル基を有するフェノールが好ましく、t−ブチルフェノールが特に好ましい。
上記アルキルフェノール系樹脂のTgは、好ましくは60℃以上、より好ましくは65℃以上、更に好ましくは80℃以上である。また、該Tgは、好ましくは110℃以下であり、より好ましくは105℃以下、更に好ましくは100℃以下である。上記範囲内では、ドライグリップ性能の向上効果は得られつつ、良好な耐摩耗性が得られる。
上記アルキルフェノール樹脂の軟化点は、80℃以上が好ましく、100℃以上がより好ましく、120℃以上が更に好ましい。また、180℃以下が好ましく、160℃以下がより好ましく、150℃以下が更に好ましい。上記範囲内では、ドライグリップ性能の向上効果は得られつつ、良好な耐摩耗性が得られる。
なお、本明細書において、軟化点は、JIS K6220−1:2001に規定される軟化点を環球式軟化点測定装置で測定し、球が降下した温度である。
上記アルキルフェノール系樹脂の含有量は、ゴム成分100質量部に対して、好ましくは1質量部以上、より好ましくは10質量部以上、更に好ましくは15質量部以上である。また、該含有量は、好ましくは100質量部以下、より好ましくは70質量部以下、更に好ましくは60質量部以下である。1質量部未満であると、充分な粘着効果が得られず、ドライグリップ性能の向上が得られないおそれがあり、100質量部を超えると、耐摩耗性が悪化するおそれがある。
走行時路面接触部材用ゴム組成物は、テルペン芳香族樹脂、若しくは、水素添加テルペン芳香族樹脂を含有することが好ましい。これにより、良好な耐摩耗性を確保しつつ、ドライグリップ性能を向上できる。なかでも、テルペン芳香族樹脂の二重結合を水素添加して得られ、二重結合の水素添加率が20〜100%であり、水酸基価が20mgKOH/g以下である水素添加テルペン芳香族樹脂が好適である。
上記水素添加テルペン芳香族樹脂における「テルペン芳香族樹脂」とは、芳香族化合物とテルペン化合物とを、通常用いられる方法により共重合して得られる化合物である。具体的には、例えば、トルエンなどの有機溶媒中に、BFなどの触媒存在下、各原料を任意の順序で滴下し、所定の温度で所定の時間、反応させることにより製造できる。
なお、芳香族化合物とテルペン化合物との共重合割合は、水素添加テルペン芳香族樹脂が後述する物性を有するものとなるように適宜設定できる。また、水素添加テルペン芳香族樹脂が後述する物性を有するものとなる限り、上記テルペン芳香族樹脂は、芳香族化合物及びテルペン化合物以外の共重合単位、例えばインデン等、を含んでいてもよい。
上記芳香族化合物としては、芳香環を有する化合物であれば特に限定されないが、例えば、フェノール、アルキルフェノール、アルコキシフェノール、不飽和炭化水素基含有フェノールなどのフェノール化合物;ナフトール、アルキルナフトール、アルコキシナフトール、不飽和炭化水素基含有ナフトールなどのナフトール化合物;スチレン、アルキルスチレン、アルコキシスチレン、不飽和炭化水素基含有スチレンなどのスチレン誘導体などが挙げられる。なかでも、スチレン誘導体が好ましい。ここで、上記化合物中の、アルキル基やアルコキシ基の炭素数としては、1〜20が好ましく、1〜12がより好ましい。また、上記化合物中の、不飽和炭化水素基の炭素数としては、2〜20が好ましく、2〜12がより好ましい。
なお、上記芳香族化合物は、芳香環上に置換基を1つ有していてもよいし、2つ以上有していてもよく、芳香環上の置換基が2つ以上の場合、それらの置換位置は、o位、m位、p位のいずれであってもよい。更に芳香環上に置換基を有するスチレン誘導体においては、該置換基の置換位置はスチレン由来のビニル基に対してo位であってもよいし、m位、又はp位であってもよい。
これら芳香族化合物は、単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
上記アルキルフェノールの具体例としては、例えば、メチルフェノール、エチルフェノール、ブチルフェノール、t−ブチルフェノール、オクチルフェノール、ノニルフェノール、デシルフェノール、ジノニルフェノールなどが挙げられる。これらは、o位、m位、p位のいずれが置換されたものであってもよい。なかでも、t−ブチルフェノールが好ましく、p−t−ブチルフェノールがより好ましい。
上記アルキルナフトールの具体例としては、上記アルキルフェノールのフェノール部分をナフトールに置き換えた化合物が挙げられる。
上記アルキルスチレンの具体例としては、上記アルキルフェノールのフェノール部分をスチレンに置き換えた化合物が挙げられる。
上記アルコキシフェノールの具体例としては、上記アルキルフェノールのアルキル基を対応するアルコキシ基で置き換えた化合物が挙げられる。同様に、上記アルコキシナフトールの具体例としては、上記アルキルナフトールのアルキル基を対応するアルコキシ基で置き換えた化合物が挙げられる。また、上記アルコキシスチレンの具体例としては、上記アルキルスチレンのアルキル基を対応するアルコキシ基で置き換えた化合物が挙げられる。
上記不飽和炭化水素基含有フェノールとしては、1分子中に少なくとも1個のヒドロキシフェニル基を含み、かつフェニル基の水素原子のうちの少なくとも1個が不飽和炭化水素基で置換された化合物が挙げられる。当該不飽和炭化水素基における不飽和結合としては、二重結合、三重結合が挙げられる。
上記不飽和炭化水素基としては、炭素数2〜20のアルケニル基が挙げられる。
上記不飽和炭化水素基含有フェノールの具体例としては、イソプロペニルフェノール、ブテニルフェノールなどが挙げられる。上記不飽和炭化水素基含有ナフトール、上記不飽和炭化水素基含有スチレンについても同様である。
上記テルペン化合物は、(Cの組成で表される炭化水素、及びその含酸素誘導体であり、モノテルペン(C1016)、セスキテルペン(C1524)、ジテルペン(C2032)などに分類されるテルペンを基本骨格とする化合物である。当該テルペン化合物は特に限定されないが、環状不飽和炭化水素であることが好ましく、また、水酸基を持たない化合物であることが好ましい。
上記テルペン化合物の具体例としては、α−ピネン、β−ピネン、3−カレン(δ−3−カレン)、ジペンテン、リモネン、ミルセン、アロオシメン、オシメン、α−フェランドレン、α−テルピネン、γ−テルピネン、テルピノレン、1,8−シネオール、1,4−シネオール、α−テルピネオール、β−テルピネオール、γ−テルピネオールなどが挙げられる。なかでも、グリップ性能、耐摩耗性をバランスよく改善できる点から、α−ピネン、β−ピネン、3−カレン(δ−3−カレン)、ジペンテン、リモネンが好ましく、α−ピネン、リモネンがより好ましい。ここでリモネンとは、d体、l体、d/l体のいずれをも含むものであってよい。
これらテルペン化合物は、単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
上記テルペン芳香族樹脂について、例えば、スチレン誘導体と、ジペンテン及び/又はピネンとを共重合して得られる化合物としては、下記式(I)で表される化合物が挙げられる。
Figure 0006050433
上記式(I)中、Rは、芳香環上の置換基を表し、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数1〜20のアルコキシ基、炭素数2〜20の不飽和炭化水素基である。なお、置換基Rの置換数は1〜5のいずれであってもよく、また、置換数が2以上の場合、置換基は互いに同一であってもよいし、異なっていてもよく、それらの置換位置も特に制限されない。mは、0.2〜20である。nは、2〜10である。
上記テルペン芳香族樹脂の具体例としては、例えば、YSレジンTO125、YSレジンTO115、YSレジンTO105、YSレジンTO85、YSポリスターUH115(以上、ヤスハラケミカル(株)製)などが挙げられる。
本発明における水素添加テルペン芳香族樹脂は、上述のテルペン芳香族樹脂の二重結合を、通常用いられる方法により水素添加することにより、製造できる。該水素添加は、例えば、パラジウム、ルテニウム、ロジウム、ニッケルなどの貴金属自体又はそれらを活性炭素、活性アルミナ、珪藻土などの担体上に担持したものを触媒として接触水素還元することにより、実施することができる。
上記触媒の使用量としては、原料であるテルペン芳香族樹脂100質量%に対して、0.1〜50質量%が好ましく、0.2〜40質量%がより好ましい。当該触媒量が0.1質量%未満では水素添加反応が遅くなる傾向がある一方、50質量%を超えると残留不純物としてフィラー分散、ポリマー分散を阻害する原因となり、充分なドライグリップ性能が得られなくなるおそれがある。当該水素添加反応の際の水素圧は、通常、5〜200kg/cmであり、好ましくは50〜100kg/cmである。5kg/cm未満では、水素添加反応の反応速度が遅くなる傾向がある一方、200kg/cmを超えると反応設備の破損や、保守維持が困難となり、製造効率が悪い。また、水素添加反応の際の反応温度は、通常、10〜200℃であり、好ましくは20〜150℃である。反応温度が10℃未満では水素添加反応が遅くなる傾向がある一方、200℃を超えると反応設備の破損や、保守維持が困難となり、製造効率が悪い。
なお、上記水素添加テルペン芳香族樹脂としては、市販されているものも用いることができ、例えば、YSポリスターM80、YSポリスターM105、YSポリスターM115、YSポリスターM125(以上、ヤスハラケミカル(株)製)などを使用できる。
上述のようにして得られる本発明における水素添加テルペン芳香族樹脂は、二重結合が水素添加されたものである。
上記水素添加テルペン芳香族樹脂において、二重結合の水素添加率は、20〜100%であり、とりわけ、50%以上であることが好ましく、70%以上であることがより好ましい。当該水素添加率が20%未満では、グリップ性能(特に、ドライグリップ性能)、耐摩耗性が充分とはならない傾向がある。
なお、該水素添加率(水添率)は、H−NMR(プロトンNMR)による二重結合由来ピークの各積分値から、下記式により、算出される値である。本明細書において、水素添加率(水添率)とは、二重結合の水素添加率を意味する。
(水添率〔%〕)={(A−B)/A}×100
A:水素添加前の二重結合のピークの積分値
B:水素添加後の二重結合のピークの積分値
例えば、上記テルペン芳香族樹脂として、スチレン誘導体とリモネンとを共重合して得られる上記式(I)で表される化合物を用いた場合、水素添加率が100%のときには、下記式(II)で表される水素添加テルペン芳香族樹脂が得られることとなる。他方、水素添加率が20%以上100%未満のときには、例えば、下記式(II)−1で表される樹脂(スチレン基が残っている)と、下記式(II)で表される樹脂との混合物になる。また、下記式(III)で表される水素添加テルペン芳香族樹脂も得られる。
Figure 0006050433
上記式(II)、(II)−1中、Rは、シクロヘキサン環上の置換基を表し、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数1〜20のアルコキシ基、炭素数2〜20の不飽和炭化水素基である。なお、置換基Rの置換数は1〜5のいずれであってもよく、また、置換数が2以上の場合、置換基は互いに同一であってもよいし、異なっていてもよく、それらの置換位置も特に制限されない。mは、0.2〜20である。nは、2〜10である。
Figure 0006050433
上記式(III)中、Rは、芳香環上の置換基を表し、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数1〜20のアルコキシ基、炭素数2〜20の不飽和炭化水素基である。R′は、シクロヘキサン環上の置換基を表し、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数1〜20のアルコキシ基、炭素数2〜20の不飽和炭化水素基である。なお、置換基R、R′の置換数は1〜5のいずれであってもよく、また、置換数が2以上の場合、置換基は互いに同一であってもよいし、異なっていてもよく、それらの置換位置も特に制限されない。m′+m″は、0.2〜20である。n′+n″は、2〜10である。なお、繰り返し単位の結合順序は、特に制限されず、ブロックであってもよいし、交互であってもよいし、ランダムであってもよい。
また、上記水素添加テルペン芳香族樹脂の好ましい形態としては、例えば、シクロヘキシル基を有する上記式(II)で表される繰り返し単位を含む樹脂(ただし、構造中、上記式(I)で表される繰り返し単位及び下記式(IV)で表される繰り返し単位からなる群より選択される少なくとも1種の繰り返し単位を含んでいてもよい。)と規定することもできる。なお、繰り返し単位の結合順序は、特に制限されず、ブロックであってもよいし、交互であってもよいし、ランダムであってもよい。
Figure 0006050433
上記式(IV)中、m、nは、繰り返し単位数を表す。mは0.2〜20、nは2〜10であることが好ましい。
上記水素添加テルペン芳香族樹脂の水酸基価(すなわち、フェノール基の含有量を表す)は、20mgKOH/g以下であり、10mgKOH/g以下が好ましく、5mgKOH/g以下がより好ましく、1mgKOH/g以下が更に好ましく、0.1mgKOH/g以下がより更に好ましい。とりわけ、0mgKOH/gであることが好ましい。水酸基価が20mgKOH/gを超えると、当該樹脂の自己凝集性が高くなり、ゴムやフィラーとの親和性が低下し、充分なグリップ性能が得られないおそれがある。
なお、上記水素添加テルペン芳香族樹脂の水酸基価は、水素添加テルペン芳香族樹脂1gをアセチル化するとき、水酸基と結合した酢酸を中和するのに要する水酸化カリウムの量をミリグラム数で表したものであり、電位差滴定法(JIS K0070:1992)により測定した値である。
上記水素添加テルペン芳香族樹脂の軟化点は、80℃以上が好ましく、90℃以上がより好ましく、100℃以上が更に好ましく、114℃以上がより更に好ましく、116℃以上が特に好ましく、120℃以上が最も好ましい。また、180℃以下が好ましく、170℃以下がより好ましく、165℃以下が更に好ましく、160℃以下が特に好ましく、135℃以下が最も好ましい。上記水素添加テルペン芳香族樹脂の軟化点が、80℃未満であると、水素添加テルペン芳香族樹脂のゴム中での分散は良いがグリップ性能が低下する傾向がある。一方、180℃を超えると、水素添加テルペン芳香族樹脂の分散が困難となるため、充分なグリップ性能が発現せず、また、良好な耐摩耗性が得られない傾向がある。
上記水素添加テルペン芳香族樹脂はまた、ガラス転移温度(Tg)が20℃以上であることが好ましく、30℃以上であることがより好ましく、40℃以上であることが更に好ましい。該Tgは、100℃以下であることが好ましく、90℃以下であることがより好ましく、80℃以下であることが更に好ましい。
上記水素添加テルペン芳香族樹脂の重量平均分子量(Mw)は、特に限定されないが、300〜3000が好ましく、500〜2000がより好ましい。Mwが300未満であれば、粘着層のG′(硬さ)が低く、充分なグリップ性能が得られない傾向がある一方、3000を超えると、ゴム硬度が高くなり、充分なグリップ性能、耐摩耗性が得られない傾向がある。
上記水素添加テルペン芳香族樹脂の含有量は、ゴム成分100質量部に対して、好ましくは1質量部以上、より好ましくは5質量部以上、更に好ましくは7質量部以上である。また、該含有量は、好ましくは100質量部以下、より好ましくは80質量部以下、更に好ましくは60質量部以下である。1質量部未満であると、充分な粘着効果が得られず、ドライグリップ性能の向上が得られないおそれがあり、100質量部を超えると、グリップ性能が向上しないばかりか、耐摩耗性が悪化するおそれがある。
走行時路面接触部材用ゴム組成物には、前記成分以外にも、従来ゴム工業で使用される配合剤、例えば、オイル、亜鉛華、ステアリン酸、各種老化防止剤、硫黄、加硫促進剤などを適宜配合できる。
走行時路面接触部材用ゴム組成物は、従来公知の方法で製造でき、バンバリーミキサー、オープンロールなどのゴム混練装置を用いて硫黄及び加硫促進剤以外の成分を混練りした後(ベース練り工程)、得られた混練物、硫黄及び加硫促進剤を混練りし(仕上げ練り工程)、その後加硫する方法などにより製造できる。
なかでも、前記セルロース短繊維及び前記ゴム成分を含むマスターバッチを用いて走行時路面接触部材用ゴム組成物を製造することが好ましい。これにより、良好な耐摩耗性を維持又は改善しつつ、ドライグリップ性能、特にサイドフォース発生が激しい走行条件でのドライグリップ性能を顕著に改善できる。
マスターバッチ中のゴム成分は、前述のものが挙げられ、なかでも、芳香族環を有し、カーボンブラックと馴染みが良いという点から、SBRが好ましく、E−SBRがより好ましい。また、同様に良好な効果が得られる点から、マスターバッチは、カーボンブラックを含むことが好ましい。カーボンブラックは特に限定されず、前述と同様のものを使用できる。SBR、カーボンブラック、前記セルロース短繊維を含むマスターバッチは、SBRを主成分とする走行時路面接触部材配合において該短繊維を分散させる点で好適であり、繊維分散度、E*も安定する。
マスターバッチは、公知の方法で調製でき、例えば、界面活性剤を含むポリマー分散液(SBR、NR等のゴムの分散液)に、前記セルロース短繊維、必要に応じてカーボンブラック等のフィラー、オイル等の軟化剤、等の成分を添加、混合し、次いで、脱水、乾燥することにより、調製できる。該分散液の調製や、混合、脱水、乾燥は、公知の方法で実施できる。
前記マスターバッチにおいて、前記ゴム成分、セルロース短繊維、フィラー、軟化剤等の配合比率は特に限定されず、混合性等を考慮して適宜選択すれば良い。例えば、SBR、前記セルロース短繊維、カーボンブラックを含むマスターバッチの場合、SBR100質量部に対して、前記セルロース短繊維を100〜1500質量部、カーボンブラックを10〜100質量部混合することが好ましい。また、高スチレン量SBRを使用し、高グリップ性能を確保する点から、マスターバッチ100質量%中の前記セルロース短繊維の含有量は50質量%以上が好ましく、65質量%以上がより好ましい。
そして、得られたマスターバッチと、硫黄及び加硫促進剤以外の成分とを混練りするベース練り工程1、該工程1で得られた混練物、硫黄及び加硫促進剤を混練りする仕上げ練り工程2を含む製法により、未加硫走行時路面接触部材用ゴム組成物が得られ、これを加硫することで加硫走行時路面接触部材用ゴム組成物を製造できる。
更に、本発明の空気入りタイヤは、通常の方法により製造できる。例えば、上記走行時路面接触部材用ゴム組成物を未加硫の段階で走行時路面接触部材の形状に合わせて押し出し加工し、タイヤ成形機上で成形し、他のタイヤ部材とともに貼り合わせ、未加硫タイヤを形成できる。この未加硫タイヤを加硫機中で加熱加圧してタイヤを製造できる。
本発明の空気入りタイヤにおいて、走行時路面接触部材の路面設置域は、前記セルロース短繊維が周方向基準で30〜90度に配向した部位を有していることが好ましい。つまり、走行時路面接触部材表面中の路面設置箇所に存在する前記セルロース短繊維の少なくとも一部が、タイヤの周方向(走行方向)に対して、30〜90度配向しているタイヤが好適である。
これにより、タイヤの接地中心付近で、前記セルロース短繊維がサイドフォースに抗すること、繊維束が圧縮で解け、毛羽ができること、により、良好な耐摩耗性を維持又は改善しつつ、サイドフォース発生が激しい走行条件でのドライグリップ性能を顕著に改善できる。なお、走行時路面接触部材全幅(トレッド全幅)に渡って、繊維に角度を付けることが必須ではなく、接地圧が高いクラウン付近だけ繊維入り配合を使うことでも有効である。
また、走行時路面接触部材中の前記セルロース短繊維の方向と、隣接する内側配合に含まれる前記セルロース短繊維の方向とが、10〜90度の範囲で交差していることが好ましい。このように、走行時路面接触部材の繊維に対して、内層の繊維を所定角度に配向させることで、前述の作用が顕著に得られ、同様の効果が非常に効果的に得られる。
なお、走行時路面接触部材とは、走行時に路面と接触する部材であり、単層構造トレッドの場合はその部材、多層構造のトレッドの場合は、走行初期に路面に接触するトレッド表層、走行中期に路面と接触する該トレッド表層の内面に隣接する第2トレッド層、走行後期に路面と接触する該第2トレッド層の内面に隣接する第3トレッド層等、である。例えば、キャップトレッド層及びベーストレッド層からなる2層構造トレッドで、走行初期にキャップトレッド層、走行中期や後期にベーストレッド層が路面に接触する場合、走行時路面接触部材とは、路面接触時のキャップトレッド層、ベーストレッド層である。
このような走行時路面接触部材は、未加硫走行時路面接触部材用ゴム組成物(練りゴム)を、押し出し機を用いて、厚み約2mm、シート幅約1Mで押し出し、得られたシートを走行時路面接触部材(トレッド幅)毎に切断し、タイヤ径方向に(例えば、前記30〜90度に配向するように)、前記セルロース短繊維が配列するように、土台の生トレッド(ベーストレッド等)に貼り付けることが望ましい。径方向の繊維は、接地面内でも、直進時には圧縮変形を受けず、旋回時の捻り変形の際、引っ張りを受け持ち、繊維の引張りにより、サイドトラクションが向上する。トレッドの土台として用いられるベーストレッド等は、前記セルロース短繊維入りの配合でも、繊維無しの配合でも良い。前記セルロース短繊維入り配合なら、繊維は周方向に並び、補強するので、直線トラクション・ブレーキ性も併せて向上できる。
以下に、実施例及び比較例で使用した各種薬品について、まとめて説明する。
<NR>
TSR20
<SBR>
変性SBR:以下で調製方法により調製(油展37.5部、スチレン量41%、ビニル量40%、Tg−29℃、重量平均分子量119万)
NS522:日本ゼオン社製、油展37.5部、スチレン量39%、ビニル量40%、Tg−34℃、重量平均分子量84万
NS612:日本ゼオン社製、非油展、スチレン量15%、ビニル量30%、Tg−65℃、重量平均分子量78万
(変性SBRの調製方法)
(1)末端変性剤の作製
窒素雰囲気下、250mlメスフラスコに3−(N,N−ジメチルアミノ)プロピルトリメトキシシラン(アヅマックス(株)製)を20.8g入れ、さらに無水ヘキサン(関東化学(株)製)を加え、全量を250mlにして作製した。
(2)変性SBRの調製
充分に窒素置換した30L耐圧容器にn−ヘキサンを18L、スチレン(関東化学(株)製)を800g、ブタジエンを1200g、テトラメチルエチレンジアミンを1.1mmol加え、40℃に昇温した。次に、1.6Mブチルリチウム(関東化学(株)製)を1.8mL加えた後、50℃に昇温させ3時間撹拌した。次に上記末端変性剤を4.1mL追加し30分間撹拌を行った。反応溶液にメタノール15mL及び2,6−tert−ブチル−p−クレゾール(大内新興化学工業(株)製)0.1gを添加後、TDAE1200g添加し10分間撹拌を行った。その後、スチームストリッピング処理によって重合体溶液から凝集体を回収した。得られた凝集体を24時間減圧乾燥させ、変性SBRを得た。結合スチレン量は41質量%、Mwは119万、ビニル含量は40モル%であった。
<BR>
CB24:ランクセス社製、Nd系触媒を用いて合成したハイシスBR
<アラミド短繊維>
AFP−40:Lanxess製、平均繊維長1.5mm、繊維量40質量%、EPDM60質量%
<セルロース短繊維>
Santweb DX(SBR MB1):Lanxess製、平均繊維長1.5mm、平均繊維径5〜15μm、繊維量73質量%、オイル14質量%、E−SBR9質量%、カーボンブラック4質量%
SBR MB2:平均繊維長100μm、平均繊維径5〜15μm、繊維量73質量%、オイル14質量%、E−SBR9質量%、カーボンブラック4質量%(以下の製法で調製)
SBR MB3:平均繊維長5μm、平均繊維径5〜15μm、繊維量73質量%、オイル14質量%、E−SBR9質量%、カーボンブラック4質量%(以下の製法で調製)
SBR MB4:平均繊維長12mm、平均繊維径5〜15μm、繊維量73質量%、オイル14質量%、E−SBR9質量%、カーボンブラック4質量%(以下の製法で調製)
NRマスターバッチ1(NR MB1):NR100質量部/セルロース短繊維20質量部(平均繊維長100μm)/凝集剤0.5質量部(以下の製法で調製)
NRマスターバッチ2(NR MB2)::NR100質量部/セルロース短繊維20質量部(平均繊維長60μm)/凝集剤0.5質量部(以下の製法で調製)
NRマスターバッチ3(NR MB3):NR100質量部/セルロース短繊維20質量部(平均繊維長5μm)/凝集剤0.5質量部(以下の製法で調製)
〔SBR MB2〜4の製造〕
E−SBR製造工程中、モノマー重合後の界面活性剤を含む懸濁液状態に、機械粉砕したセルロース繊維(mm長さ)を、カーボンブラック、オイルと同時に投入・撹拌した後、凝固、脱水・乾燥し、SBR、セルロース短繊維、カーボンブラック、オイルを含む試作品1〜3(マスターバッチ)をそれぞれ作製した。
なお、セルロース短繊維の数平均繊維径及び数平均繊維長は、前述のとおり、走査型プローブ顕微鏡(日立ハイテクサイエンス社製)を用いて測定した。
〔NR MB1〜3の製造〕
(セルロース短繊維溶液の調製)
ミクロフィブリル化植物繊維を200倍(質量比)の水で希釈後、ホモジナイザーを用いて撹拌し、ミクロフィブリル化植物繊維の含有量(以下、溶液濃度ともいう)が0.5〜2.5質量%のミクロフィブリル化植物繊維溶液を得た。このとき、撹拌時間やホモジナイザーの種類を変更し、ミクロフィブリル化植物繊維のほぐれ具合を調整した。上記により、平均繊維長100μm、60μm、5μmのミクロフィブリル化植物繊維溶液(セルロース短繊維溶液)をそれぞれ調製した。
(セルロース短繊維溶液の分析)
セルロース短繊維溶液中のセルロース短繊維の平均繊維長(体積平均長(以下、繊維長ともいう))は、レーザー回折/散乱式粒度分布測定装置((株)堀場製作所製のLA−910)を用いて常温(23℃)で測定した。
(NRマスターバッチの作製)
天然ゴムラテックスの固形分濃度(DRC)を30%(w/v)に調整した後、天然ゴムラテックス1000gに対し、界面活性剤10gとNaOH20gを加え、室温で48時間ケン化反応を行い、ケン化天然ゴムラテックスを得た。
次に、ケン化天然ゴムラテックスに老化防止剤5gを加えた。
次に、ケン化天然ゴムラテックスと、ミクロフィブリル化植物繊維溶液(セルロース短繊維溶液)とが、乾燥時に、100/20(質量比率)になるように計量、調整後、撹拌装置を用いて、300rpmの条件で、2時間(平均繊維長100μmのミクロフィブリル化植物繊維溶液の場合)、4時間(平均繊維長60μmのミクロフィブリル化植物繊維溶液の場合)、又は、10時間(平均繊維長5μmのミクロフィブリル化植物繊維溶液の場合)撹拌した。
次に、撹拌後の混合物に対し、凝集剤を0.5質量部(/NR100質量部)加え、撹拌装置を用いて、300rpmで2分間撹拌した。
次に、撹拌装置を用いて、300rpm、30〜35℃の条件で撹拌しながら凝固剤を段階的に加え、pHを4〜7に調整し、凝固物を得た。撹拌時間は1時間とした。得られた凝固物は、水1000mlで繰り返し洗浄した。
次に、数時間風乾させた凝固物を更に40℃で12時間真空乾燥し、上記質量比率のNRマスターバッチ1〜3(NR MB1〜3)を得た。
使用材料は、以下のとおり。
天然ゴムラテックス:Muhibbah LATEKS社から入手したフィールドラテックスを使用
ネオファイバー:王子製袋(株)製のネオファイバー(ミクロフィブリル化植物繊維)
界面活性剤:花王(株)製のEmal−E(ポリオキシエチレンラウリルエーテル硫酸ナトリウム)
NaOH:和光純薬工業(株)製のNaOH
老化防止剤:Eliokem社製のWingstay L(t−ブチル化したp−クレゾールとジシクロペンタジエンの縮合物)
凝集剤:MTアクアポリマー(株)製のC−303H(強カチオン)
凝固剤:和光純薬工業(株)製の1%硫酸
<カーボンブラック>
HP180:オリオンエンジニアドカーボンズ製(NSA:175m/g)
HP160:オリオンエンジニアドカーボンズ製(NSA:153m/g)
EB201:オリオンエンジニアリング(旧Evonik)製の試作品(NSA:推定240m/g)
N110:キャボットジャパン製のショウブラックN110(NSA:142m/g)
<シリカ>
U9000:エボニックデグッサ社製のULTRASIL U9000(NSA::230m/g)
<水酸化アルミニウム>
ATH#C:住友化学(株)製(NSA:7.0m/g、平均粒子径:0.8μm)
ATH#B:住友化学(株)製(NSA:15m/g、平均粒子径:0.6μm)
<可塑剤>
TOP:大八化学社製、トリス(2−エチルヘキシル)ホスフェート(凝固温度−70℃以下、引火点204℃、SP値8.1、Mw435)
TDAEオイル:H&R社製のVivatec500
<レジン>
Koresin:BASF社製のアルキルフェノール樹脂(p−t−ブチルフェノール及びアセチレンの縮合樹脂)、Mw:400、OH価:320mgKOH/g、軟化点:145℃、Tg:98℃)
M125:ヤスハラケミカル(株)製のYSポリスターM125(テルペン系樹脂、水添芳香族変性テルペン、軟化点:125℃、Tg:69℃、SP値:8.52)
<酸化亜鉛>
亜鉛華2種:東邦亜鉛社製の銀嶺R
<シランカップリング剤>
NXT:モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ社製((CO)Si−C−S−CO−C15
<老化防止剤>
Wax:日本精鑞社製のOzoace0355
6PPD:住友化学社製のアンチゲン6C(N−(1,3−ジメチルブチル)−N’−フェニル−p−フェニレンジアミン)
TMQ:大内新興化学社製のノクラック224(2,2,4−トリメチル−1,2−ジヒドロキノリン重合体)
<加硫剤>
ステアリン酸:日油社製のステアリン酸「椿」
5%オイル含有粉末硫黄:細井化学工業社製のHK−200−5
TBBS:大内新興化学工業社製のノクセラーNS−G(N−tert−ブチル−2−ベンゾチアゾリルスルフェンアミド)
TBZTD:フレキシス社製、Perkacit TBZTD(テトラベンジルチウラムジスルフィド)
(実施例及び比較例)
表1〜4に示す配合内容及び混練条件に従い、4Lバンバリーミキサーを用いて、まず、硫黄及び加硫促進剤以外の薬品全量を5分間、排出温度150℃にて混練り(ベース練り)した。次に、得られた混練り物に硫黄及び加硫促進剤を添加し、オープンロールを用いて、4分間練り込み(仕上げ練り)、未加硫ゴム組成物を得た。この際のゴム最高温度は95℃とした。
得られた未加硫ゴム組成物をトレッドの形状に成形し、タイヤ成型機上で他のタイヤ部材とともに、繊維配向角度を調整して貼り合わせ、160℃の条件下で20分間プレス加硫し、試験用タイヤ(タイヤサイズ:215/45R17サマー、競技用タイヤ)を得た。
得られた試験用タイヤを使用して、下記の評価を行った。評価結果を表1〜4に示す。
(ドライグリップ性能)
上記試験用タイヤを排気量2000ccの国産FR車に装着し、岡山国際サーキット、ロングラン500km走行を行った。
走行モード:8の字急旋回を含む、20km走行でトレッド主溝が1mm削れる程度のシビアハンドリング。
走行における、操舵時のコントロールの安定性(特にサイドグリップ力)をテストドライバーが評価し、比較例1を100として指数表示をした。指数が大きいほど、ドライグリップ性能に優れることを示す。ドライグリップ性能の目標は107以上である。
(耐摩耗性)
上記試験用タイヤを排気量2000ccの国産FR車に装着し、岡山国際サーキット、ロングラン500km走行を行った。
走行モード:8の字急旋回を含む、20km走行でトレッド主溝が1mm削れる程度のシビアハンドリング。
走行後にタイヤトレッドゴムの残溝量を計測し(新品時8.0mm)、耐摩耗性として評価した。主溝の平均残溝量が多いほど、耐摩耗性に優れる。比較例1の残溝量を100として指数表示した。指数が大きいほど、耐摩耗性に優れることを示す。耐摩耗性の目標は95以上である。
Figure 0006050433
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表1〜3から、SBR、所定繊維長のセルロース短繊維、所定窒素吸着比表面積のシリカ及び/又はカーボンブラックを所定量含み、かつ該短繊維を周方向に対して所定角度に配向させた走行時路面接触部材を有する競技用タイヤが、良好な耐摩耗性を維持又は改善しつつ、サイドグリップ力が顕著に改善され、これらの性能がバランス良く改善されることが明らかとなった。特に、SBR、前記セルロース短繊維、カーボンブラックを含むマスターバッチを用いて走行時路面接触部材を作製した場合、優れた性能が得られた。
実施例1と同一配合で、配向角度が違う実施例16〜18は、ドライグリップ性能が、90度、60度、30度、0度の順で優れていた。実施例1に更に水酸化アルミニウムを添加した実施例19、20は、ドライグリップ性能が優れていた。
更に表4により、前記セルロース短繊維を含むキャップトレッド、前記セルロース繊維を含むベーストレッドを、それぞれの部材に含まれる短繊維を所定角度で交差するようにして作製した競技用タイヤは、非常に大きい耐摩耗性、サイドグリップ力の改善効果が得られた。

Claims (8)

  1. スチレンブタジエンゴムと、平均繊維長10μm〜10mmのセルロース短繊維と、窒素吸着比表面積100m/g以上のシリカ及び/又は窒素吸着比表面積70m/g以上のカーボンブラックとを含み、
    ゴム成分100質量%中の前記スチレンブタジエンゴムの含有量が60質量%以上、
    前記ゴム成分100質量部に対する前記セルロース短繊維の含有量が0.1〜20質量部、前記シリカ及び前記カーボンブラックの合計量が60質量部以上である走行時路面接触部材用ゴム組成物を用いて作製された走行時路面接触部材を有する空気入りタイヤ。
  2. 前記カーボンブラックの窒素吸着比表面積が150m/g以上である請求項1記載の空気入りタイヤ。
  3. 前記スチレンブタジエンゴムの重量平均分子量が100万以上である請求項1又は2記載の空気入りタイヤ。
  4. 単層又は多層構造トレッドの少なくとも1つのトレッド層が、前記走行時路面接触部材で構成されている請求項1〜のいずれかに記載の空気入りタイヤ。
  5. 前記走行時路面接触部材の路面設置域は、前記セルロース短繊維が周方向基準で30〜90度に配向した部位を有している請求項1〜のいずれかに記載の空気入りタイヤ。
  6. 前記走行時路面接触部材中の前記セルロース短繊維の方向と、隣接する内側配合に含まれる前記セルロース短繊維の方向とが、10〜90度の範囲で交差している請求項1〜のいずれかに記載の空気入りタイヤ。
  7. 前記セルロース短繊維及びスチレンブタジエンゴムを含むマスターバッチを用いて前記走行時路面接触部材用ゴム組成物を作製する工程を含む請求項1〜6のいずれかに記載の空気入りタイヤの製造方法。
  8. 前記マスターバッチがカーボンブラックを含む請求項7記載の空気入りタイヤの製造方法。
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