以下、本発明に係る遊技機の一実施形態について、図面を参照して説明する。まず、図1および図2を参照して、本実施形態に係るパチンコ機1の機械的構成について説明する。
図1に示すように、パチンコ機1の上半分の部分には遊技盤2が設けられている。遊技盤2は略正方形であり(図2参照)、透明なガラス板を保持した前面枠13によって前面を保護されている。遊技盤2の下部には上皿5が設けられている。上皿5は、発射機に遊技球を供給し、且つ賞品球を受ける。上皿5の上面には操作ボタン9が設けられている。上皿5の直下には、賞品球を受ける下皿6が設けられている。下皿6の右横には、遊技球の発射を調整する発射ハンドル7が設けられている。前面枠13の上部の左右の角には、スピーカ48がそれぞれ設けられている。
図2に示すように、遊技盤2の前面には、ガイドレール3で囲まれた略円形の遊技領域4が形成されている。遊技領域4の略中央には、各種演出を実行する演出装置8が設けられている。演出装置8の左方には普通図柄始動ゲート12が設けられている。演出装置8の下方には特別図柄始動電動役物15が配設されており、その下方には大入賞口16が設けられている。特別図柄始動電動役物15は開閉部材を備え、開閉部材が開放されると遊技球の入賞が容易になる。大入賞口16も開閉部材を備え、開閉部材が開放された場合にのみ、遊技球は大入賞口16に入賞できる。
演出装置8について説明する。図2に示すように、演出装置8は、液晶表示装置(LCD)からなる表示画面28を中央に備える。表示画面28には様々な映像が表示されるが、特に大当たり判定の結果を遊技者に報知するために、横並びに3つのデモ図柄表示部が設けられている。パチンコ機1は、3つのデモ図柄表示部に表示されるデモ図柄を変動させた後に、大当たり判定の結果を示すデモ図柄の組み合わせを確定表示させる演出(以下、「報知演出」という。)を行うことで、大当たり判定の結果を遊技者に報知する。表示画面28の右方には可動役物30が設けられている。可動役物30は、可動部を可動させることで各種演出を行う。可動役物30の下方には、大当たり判定の結果および保留球数を表示する表示部24が設けられている。
表示画面28について説明する。表示画面28による映像の表示は、演出制御基板43(図3および図4参照)によって制御される。表示画面28では、複数の画素がマトリクス状に形成されて液晶パネルが形成されると共に、スイッチング素子として機能するTFT(Thin Film Transistor)が各画素に対応して配設されている。また、表示画面28には、画像を液晶パネルに表示させるためのゲートドライバ及びソースドライバが設けられている。ゲートドライバは、各TFTのオン・オフを切り替える。ソースドライバは、TFTのオン・オフに同期して、後述する描画データ(RGBデータ)に基づいたソース電圧をそれぞれの画素へ印加する。この操作を全ての画素に対して一巡させることで、1フレームの画像が表示される。所定のフレームレートに従って、複数のフレームを連続して次々と表示させることで、映像(動画像)が表示される。
図3を参照して、パチンコ機1の電気的構成について説明する。パチンコ機1の制御部40は、主基板41、サブ制御基板58、ランプドライバ基板46、演出制御基板43、払出制御基板45、および中継基板47を主に備える。
主基板41は、パチンコ機1の主制御を司る。主基板41の主基板CPUユニット50には、各種の演算処理を行うCPU51と、データを一時的に記憶するRAM52と、制御プログラム等を記憶したROM53とが設けられている。主基板CPUユニット50には、割込信号発生回路57が接続されている。主基板41は、割込信号発生回路57から割込信号が入力される毎にプログラムを実行する。主基板41は、I/Oインタフェイス54を介してサブ制御基板58、払出制御基板45、中継基板47、出力ポート55、および始動口スイッチ70に接続されている。出力ポート55は、図示外の遊技場管理用コンピュータにパチンコ機1の情報を出力する。始動口スイッチ70は、特別図柄始動電動役物15に入賞した遊技球を検出する。
サブ制御基板58は、CPU581、RAM582、およびROM583を備え、ランプドライバ基板46、演出制御基板43、スピーカ48、および操作ボタン9に接続している。サブ制御基板58は、主基板41から送信されるコマンドに従って、演出等の総合的な制御を行う。ランプドライバ基板46は可動役物30等の動作を制御する。演出制御基板43は、表示制御ユニット60等を備え、サブ制御基板58から受信するコマンドに従って表示画面28の表示を制御する。表示制御ユニット60の詳細については、図4を参照して後述する。払出制御基板45は、CPU45a等を備える。払出制御基板45は、主基板41から送信されるコマンドに応じて賞品球払出装置49の動作を制御し、所定数の遊技球を払い出させる。
中継基板47には、普通図柄作動スイッチ71、大入賞口開閉ソレノイド72、電動役物開閉ソレノイド73、大入賞口スイッチ75、および表示部24が接続されている。普通図柄作動スイッチ71は、普通図柄始動ゲート12を通過した遊技球を検出する。大入賞口開閉ソレノイド72は、大当たり遊技中に大入賞口16の開閉部材を開閉する。電動役物開閉ソレノイド73は、普通当たり遊技中に特別図柄始動電動役物15の開閉部材を開閉する。大入賞口スイッチ75は、大入賞口16に入賞した遊技球を検出する。
電源基板42は、主基板41および遊技球発射装置37に接続されており、各基板および遊技球発射装置37に直流の安定化した電力を供給する。遊技球発射装置37は、一定間隔(本実施形態では0.6秒)毎に1個ずつ遊技球を遊技領域4へ発射する。
パチンコ機1における遊技制御の概要について説明する。普通図柄作動スイッチ71によって、普通図柄始動ゲート12を遊技球が通過したことが検出されると、主基板41のCPU51は普通当たり判定を実行する。普通当たり判定の結果は、表示部24に表示される。普通当たりとなると、CPU51は、電動役物開閉ソレノイド73によって特別図柄始動電動役物15を所定時間開放させる。
始動口スイッチ70によって、特別図柄始動電動役物15への遊技球の入賞が検出されると、主基板51のCPU51は大当たり判定を実行する。CPU51は、大当たり判定の結果に応じて、複数の変動パターンのうちの1つを決定する。変動パターンとは、大当たり判定による判定結果を遊技者に報知する際に用いられるデモ図柄の変動のパターン(演出パターン)である。この変動パターンによって、表示部24に表示される特別図柄の変動時間(デモ図柄の変動時間に等しい)と、特別図柄の変動に同期して表示画面28、可動役物30、スピーカ48等によって実行される報知演出のパターンとが決定される。報知演出とは、複数のデモ図柄を変動させた後に、大当たり判定の結果を示すデモ図柄の組合せを確定表示させる演出である。CPU51は、決定した変動パターンを指定するコマンドを、サブ制御基板58に送信する。大当たり判定の結果は、サブ制御基板58等によって制御される報知演出と、表示部24に表示される特別図柄とによって遊技者に報知される。大当たりとなると、CPU51は、大入賞口開閉ソレノイド72によって大入賞口16を所定のパターンで開放する。
サブ制御基板58は、主基板41から受信したコマンドに応じて、報知演出等の各種演出を制御する。特に、サブ制御基板58のCPU581は、主基板41によって変動パターンが指定されると、指定された変動パターンに応じた報知演出の映像の開始、映像の変更、映像の終了等を指示するコマンドを演出制御基板43に送信する。演出制御基板43は、サブ制御基板58から受信したコマンドに基づいて、表示画面28における映像の表示を制御する。なお、サブ制御基板58のCPU581は、表示画面28に表示される映像に同期するように、可動役物30およびスピーカ48の動作を制御する。
図4を参照して、演出制御基板43の電気的構成について説明する。演出制御基板43は、表示制御ユニット60、画像表示プロセッサ(Video Display Processor、以下「VDP」という)31、VRAM32、およびCGROM33を備える。表示制御ユニット60は、表示制御CPU61、表示制御RAM62、表示制御ROM63、および発振器64を備える。
表示制御ユニット60の各構成要素について説明する。表示制御CPU61は、サブ制御基板58に接続されており、表示画面28の表示を制御するための各種コマンドをサブ制御基板58から受信する。受信したコマンドに基づいて、表示画面28に表示させる映像を選定し、選定した映像を表示させるためのコマンドをVDP31に送信する。表示制御RAM62には、VDP31に送信するためのコマンド等の各種データが一時的に記憶される。表示制御ROM63には、表示画面28の表示を制御するための表示制御プログラム、初期値等が記憶されている。発振器64は、表示画面28における画像表示に必要なドットクロック周波数を発振する。
VDP31、VRAM32、およびCGROM33について説明する。CGROM33には、複数の映像データが記憶されている。映像データとは、一連の映像を構成する複数の画像を表示させるための画像データである。VDP31は、表示制御CPU61から送信されたコマンドによって指定されている映像の映像データをCGROM33から取得し、取得した映像データに基づいて描画データを作成する。VDP31は、作成した描画データを参照して、表示画面28に画像信号を出力することで、表示画面28に画像を表示させる。VRAM32には、展開用バッファ38およびフレームバッファ39が設けられている。展開用バッファ38には、VDP31によって作成された描画データが展開されて一時的に記憶される。フレームバッファ39には、表示画面28の表示制御において参照される描画データ(表示用描画データ)が一時的に記憶される。
図5を参照して、映像を表示させるためのデータの流れについて説明する。前述したように、VDP31は、映像データに基づいて描画データを作成する。作成された描画データは、VRAM32の展開用バッファ38に展開されて一時的に記憶される。展開用バッファ38に展開された描画データのうち、表示画面28における画像表示に用いられる描画データが、表示用描画データとしてフレームバッファ39に記憶される。VDP31は、フレームバッファ39に記憶された表示用描画データを参照して、表示画面28における画像の表示を制御する。
VDP31は、画像の表示に用いられた表示用描画データを、画像の表示後も引き続き再記憶描画データとして記憶することもできる。VDP31は、映像データに基づいて作成した描画データである新規作成描画データ、および再記憶描画データの少なくとも一方を引き継いで、表示用描画データを作成することができる。詳細には、新規作成描画データおよび再記憶描画データの少なくとも一方に対し、合成、拡大縮小、回転、切り取り等の処理を行うことで、表示用描画データを作成することができる。これにより、VDP31は、CGROM33に記憶させる映像データ(画像データの集合)のデータ量を増加させることなく、表示画面28に表示させる映像を容易に多様化することができる。
以下、VDP31が実行する処理の詳細について説明する。前述したように、VDP31は、表示制御CPU61から受信したコマンドによって指定された映像を表示画面28に表示させる。映像には、報知演出の映像、大当たり遊技中の映像、遊技が行われていない場合のデモ映像等が設けられている。本発明は、いずれの映像を表示させる場合にも適用できるが、以下では、報知演出の映像のうち、吸い込み演出の映像、回転演出の映像、および映像同期演出の映像を表示させる場合の処理について説明する。
図6および図7を参照して、VDP31が実行する吸い込み演出制御処理について説明する。吸い込み演出制御処理では、報知演出の一部において実行される吸い込み演出の映像の表示が制御される。VDP31は、吸い込み演出の映像の表示開始を指示するコマンドを表示制御CPU61から受信すると、VDP31内の記憶装置に記憶されたプログラムに従って、図6に示す吸い込み演出制御処理を実行する。
まず、表示制御CPU61から指定された映像(画像)の画像データがCGROM33から取得される。取得された画像データに基づいて新規記憶描画データXが作成され、展開用バッファ38に展開される(S1)。新規記憶描画データXは、吸い込み演出の初期段階の映像を表示させるための元となる描画データである。図7に示す例では、新規記憶描画データXが示す画像80Aは、女性が長方形の看板を持っている画像である。以下では、画像80Aの画像領域のうち、女性が持っている看板の領域を、特定領域81という。
周期Tnに、初期値であるT1が設定される(S2)。縮小率Snに、初期値であるS1が設定される(S3)。ここで、周期Tnとは、特定領域81を連続的に縮小して複数の表示用描画データを作成する一連の処理(S6〜S8、またはS17〜S19参照。以下、「連続縮小データ作成処理」という。)の周期である。VDP31は、1回の周期Tnが到来する毎に再記憶描画データを記憶し、記憶した再記憶描画データを用いて、連続縮小データ作成処理を再度実行する。縮小率Snとは、連続縮小データ作成処理を実行する際に、前回のフレーム用に作成された表示用描画データの特定領域81が、今回のフレーム用に作成される表示用描画データにおいて縮小される率である。縮小率Snが大きい程、特定領域81は短時間で縮小される。本実施形態では、縮小率Snが大きい程、周期Tnは短くなる。
S1で作成された新規記憶描画データXの特定領域81全体を表示する表示用描画データが作成され、展開用バッファ38に展開される(S4)。S4で作成された表示用描画データによって表示される画像は、図7に示す画像A1(つまり、看板全体の画像)となる。作成された表示用描画データがフレームバッファ39に移動され、フレームバッファ39の表示用描画データが参照されることで1枚の画像が表示画面28に表示される(S6)。
周期Tnが到来したか否かが判断される(S7)。到来していなければ(S7:NO)、新規記憶描画データXに基づいて、特定領域81を前回から縮小率Snで縮小した表示用描画データが、フレームレートに従って作成される(S8)。本実施形態におけるS8の処理では、特定領域81の中心位置が画像領域全体の中心に固定された状態で、複数の表示用描画データが連続して作成される。従って、図7に示す例では、画像A2、画像A3、画像A4の順に連続して特定領域81が縮小される。その結果、特定領域81に表示された看板が、画像領域の中心に徐々に吸い込まれるように見える。特定領域81が中心に吸い込まれる程、看板を持っている女性を表示する領域が広くなる。S8で作成された表示用描画データがフレームバッファ39に移動され、表示画面28に画像が表示される(S6)。周期Tnが到来するまで、S6〜S8の処理(連続縮小データ作成処理)が繰り返されて、フレームレートに従って画像が連続して表示される。
周期Tnが到来すると(S7:YES)、最新の(つまり、最後に作成された)表示用描画データが、再記憶描画データとして展開用バッファ38に一時的に記憶される(S11)。CGROM33から取得された画像データに基づいて、新規記憶描画データYが作成されて、展開用バッファ38に展開される(S12)。本実施形態では、新規記憶描画データYは、S1で作成された新規記憶描画データXと同一である。しかし、異なるデータが作成されてもよい。
周期Tnが、前回の連続縮小データ作成処理で設定されていた周期よりも短い周期T(n+1)に更新される(S13)。縮小率Snが、前回の連続縮小データ作成処理で設定されていた縮小率よりも大きい縮小率S(n+1)に更新される(S14)。
S12で作成された新規記憶描画データYの特定領域81に、S11で記憶された再記憶描画データの画像が合成されて、新たな画像80Bの描画データが作成される(S15)。図7に示すように、本実施形態の画像80Bでは、女性が持っている看板に、前回の連続縮小データ作成処理において最後に表示された画像A4が表示される。S15で作成された画像80Bの特定領域81全体を表示する表示用描画データが作成され、展開用バッファ38に展開される(S16)。S16で作成された表示用描画データによって表示される画像は、図7に示す画像B1となる。作成された表示用描画データがフレームバッファ39に移動され、フレームバッファ39の表示用描画データが参照されることで1枚の画像が表示画面28に表示される(S17)。
周期Tnが到来したか否かが判断される(S18)。到来していなければ(S18:NO)、S15で合成された画像80Bの描画データに基づいて、特定領域81を前回から縮小率Snで縮小した表示用描画データが、フレームレートに従って作成される(S19)。S19でも、前述したS8と同様に、特定領域81の中心位置が特定の位置に固定された状態で、複数の表示用描画データが作成される。従って、図7に示す例では、画像B2、画像B3、画像B4の順に連続して特定領域81が縮小される。ここで、縮小率Snの値は、連続縮小データ作成処理が実行される毎に大きくなる。周期Tnは、連続縮小データ作成処理が実行される毎に短くなる。従って、画像が奥に吸い込まれていくスピードが徐々に速くなる。S19の処理が終了すると、作成された表示用描画データがフレームバッファ39に移動され、表示画面28に画像が表示される(S17)。周期Tnが到来するまで、S17〜S19の処理(連続縮小データ作成処理)が繰り返されて、フレームレートに従って画像が連続して表示される。
周期Tnが到来すると(S18:YES)、吸い込み演出の終了タイミングであるか否かが判断される(S20)。終了タイミングは予め設定されている。終了タイミングが到来していなければ(S20:NO)、処理はS11へ戻り、再記憶描画データが記憶されて、連続縮小データが繰り返される(S11〜S19)。吸い込み演出の終了タイミングが到来すると(S20:YES)、処理は終了する。
図8および図9を参照して、VDP31が実行する回転演出制御処理について説明する。回転演出制御処理では、報知演出の一部において実行される回転演出の映像の表示が制御される。VDP31は、回転演出の映像の表示開始を指示するコマンドを表示制御CPU61から受信すると、VDP31内の記憶装置に記憶されたプログラムに従って、図8に示す回転演出制御処理を実行する。
まず、連続して表示させる複数のフレーム(画像)の順番を示すフレームカウンタNの値に、初期値である「1」がセットされる(S21)。表示制御CPU61から指定された映像データ(複数の画像データ)が、CGROM33から取得される(S22)。取得された映像データのN番目の画像データに基づいて、新規記憶描画データNが作成され、展開用バッファ38に展開される(S24)。図8に示す例では、新規記憶描画データN(N=1)が示す画像82Aは、左右に横並びに3つのデモ図柄が表示される画像である。
S24で作成された新規記憶描画データNの画像平面が、必要に応じて三次元座標上で回転されて、新たな描画データが展開される(S25)。画像平面の回転方向および回転量は、フレームカウンタNの値に応じて予め定められている。詳細には、1つの映像データに対して、各フレームの回転方向および回転量が複数パターン定められている。例えば、右回りに回転させる場合の回転方向および回転量と、左回りに回転させる場合の回転方向および回転量とが、予め別々に定められている。従って、パチンコ機1は、1つの映像データを用いて、様々なパターンで画像を回転させることができる。よって、CGROM33に記憶する映像データのデータ量を大幅に削減しつつ、映像を容易に多様化することができる。
S25で展開された新たな描画データから、回転させた画像平面を含む表示用描画データが作成され、展開用バッファ38に展開される(S26)。表示用描画データがフレームバッファ39に移動され、フレームバッファ39の表示用描画データが参照されることで、1枚の画像が表示画面28にフレームレートで表示される(S27)。
回転演出の終了タイミングであるか否かが判断される(S28)。終了タイミングでなければ(S28:NO)、フレームカウンタNの値に「1」が加算される(S29)。次いで、回転の途中で映像を切り替える映像切替演出を実行するか否かが判断される(S30)。映像切替演出を実行するか否かは、表示制御CPU61によって予め指定されている。実行しない場合には(S30:NO)、処理はそのままS24へ戻り、次のフレームの処理が行われる(S24〜S27)。
映像切替演出を実行する場合(S30:YES)、回転を行わない状態を基準として、三次元座標上の少なくともいずれかの方向(つまり、X軸方向を回転軸とした回転方向、Y軸方向を回転軸とした回転方向、および、Z軸方向を回転軸とした回転方向の少なくともいずれかの方向)の回転角度が90度に達したか否かが判断される(S31)。いずれの方向の回転角度も90度に達していなければ(S31:NO)、処理はそのままS24へ戻る。少なくともいずれかの方向の回転角度が90度に達した場合(S31:YES)、画像が一瞬見えない状態となる。この場合、フレームカウンタNの値が初期値である「1」に戻されて(S32)、切替後の映像の映像データがCGROM33から取得される(S33)。処理はS24へ戻り、切替後の映像が回転しながら表示される(S24〜S27)。これにより、映像を回転させながら切り替える特殊な演出を実行することができる。なお、映像切替後の回転方向は、映像切替前の回転方向と同じであってもよいし、映像の切り替えを契機として回転方向を変化(例えば、反転)させてもよい。回転方向を反転させない場合には、切替前に映像を表示させていた面と反対側の面に切替後の映像を表示させることで、画像の切替を円滑に行うことができる。また、VDP31は、1回の回転演出中に映像を複数回切り替えることも可能である。回転演出の終了タイミングが到来すると(S28:YES)、処理は終了する。
図9に示すように、VDP31は、回転演出制御処理を行うことで、画像82A、画像82B、画像82Cのように画像平面を回転させて表示させることができる。パチンコ機1は、画像平面が回転する映像データを予めCGROM33に記憶しておく必要が無い。なお、図9では、画像が回転する様子を分かりやすくするために、画像82A、画像82B、画像82Cで表示されている画像を全て同一とした。しかし、VDP31は、動画を表示させながら画像平面を回転させることができる。また、1つの映像データに対し、画像平面の回転方向および回転角度のパターンが複数定められているので、CGROM33の記憶容量が圧迫されることなく多種の演出を実行できる。また、VDP31は、画像を90度以上回転させた際に、表示していた映像とは別の映像を表示させることもできる。この場合、画像平面の回転を利用して、表示している映像を容易且つ円滑に切り替えることができる。
図10および図11を参照して、VDP31が実行する映像同期演出制御処理について説明する。映像同期演出制御処理では、報知演出の一部において実行される映像同期演出の映像の表示が制御される。映像同期演出では、表示画面28内に複数の映像が表示され、表示された複数の映像が同期する。VDP31は、映像同期演出の映像の表示開始を指示するコマンドを表示制御CPU61から受信すると、VDP31内の記憶装置に記憶されたプログラムに従って、図10に示す映像同期演出制御処理を実行する。
まず、連続して表示させる複数のフレームの順番を示すフレームカウンタNの値に、初期値である「1」がセットされる(S41)。表示制御CPU61から指定された映像データが、CGROM33から取得される(S42)。取得された映像データのN番目の画像データに基づいて、新規記憶描画データNが作成され、展開用バッファ38に展開される(S43)。図11に示す例では、新規記憶描画データNが示す画像は、パソコンを操作している人物を背後から撮影した画像であり、人物とパソコンのモニタとが表示される。
次いで、S43で作成された新規記憶描画データNの画像が、画像領域内の領域R1および領域R2の各々にセットされて、表示用描画データが作成される(S44)。図11に示す例では、領域R1が画像領域全体である。領域R2は、パソコンのモニタの表示領域に一致する。その結果、領域R1に表示された人物が、パソコンを操作している自分の後姿をモニタで確認している映像となる。表示用描画データが展開用バッファ38からフレームバッファ39に移動され、フレームバッファ39の表示用描画データが参照されることで、1枚の画像が表示画面28にフレームレートで表示される(S45)。
映像同期演出の終了タイミングであるか否かが判断される(S46)。終了タイミングでなければ(S46:NO)、フレームカウンタNの値に「1」が加算されて(S47)、次のフレームを表示させるための処理が行われる(S43〜S45)。S43〜S45の処理が繰り返されることで、領域R1の映像と領域R2の映像とが同期する。領域R1用の描画データと、領域R2用の描画データとを並行して展開用バッファ38に展開する必要が無いため、VDP31は、処理負担を増加させることなく、複数の領域の映像を同期させる特殊な演出を実行することができる。映像同期演出の終了タイミングが到来すると(S46:YES)、処理は終了する。
以上説明したように、本実施形態のパチンコ機1は、画像の表示制御で参照され得る描画データを用いて、連続した複数フレーム分の表示用描画データを作成し、作成した表示用描画データを参照して画像を表示させる。つまり、パチンコ機1は、1つの画像データから作成された描画データの加工、利用等を行って新たな描画データを作成し、表示画面28の表示を制御することができる。従って、パチンコ機1は、CGROM33に記憶させる画像データのデータ量を増加させることなく、表示画面28に表示させる映像を容易に多様化することができる。
パチンコ機1は、吸い込み演出制御処理(図6および図7参照)を行うことで、CGROM33に記憶する画像データの種類を増加させることなく、画像が縮小されておくに吸い込まれていくように見える斬新な演出を実行することができる。よって、記憶容量の圧迫等を生じさせることなく、従来の遊技機では困難であった全く新しい特殊演出を行うことができる。
吸い込み演出制御処理では、図7に示すように、表示用描画データの画像(B1〜B4)の領域全体に対する、記憶描画データ(詳細には、再記憶描画データ)の画像領域(つまり、特定領域81)の中心位置を固定して、連続的な縮小が行われる。その結果、画像が画面内の同一の位置に吸い込まれていくように見える。よって、遊技者の注目をより強く惹き付けることができる。
吸い込み演出制御処理では、連続縮小データ作成処理(S17〜S19)を繰り返し実行する毎に、特定領域81の縮小率Snが増加される。その結果、画像が奥に吸い込まれていくスピードが徐々に速くなる。よって、パチンコ機1は、遊技者の緊張感を高めて、演出に集中させることができる。
パチンコ機1は、回転演出制御処理(図8および図9参照)において、記憶描画データの画像平面を三次元座標系において回転させて、連続した複数の表示用描画データをフレームレートで作成する。従って、三次元座標系における角度が異なる複数の画像データがCGROM33に記憶されていなくても、画像データから描画データを一旦作成し、作成した描画データの画像平面の角度を変えることで、様々な角度で映像を表示させることができる。よって、CGROM33に記憶させる画像データを増加させることなく、表示画面28に表示させる画像を容易に多様化することができる。
回転演出制御処理では、回転を行わない状態を基準とした画像平面の回転角度が、少なくともいずれかの方向で90度に達した場合に、表示させる画像を切り替えることができる。回転角度が90度に達すると、画像は見えない状態となる。よって、パチンコ機1は、回転角度が90度に達した際に画像を切り替えることで、画像を回転させながら円滑に切り替える特殊な演出を実行することができ、遊技者の興趣を強く惹き付けることができる。
パチンコ機1は、映像同期演出制御処理(図10および図11参照)において、記憶描画データ(詳細には、新規記憶描画データN)の画像を画像領域内に複数含む表示用描画データを、フレームレートで連続して作成する。その結果、表示画面28の表示領域内に、同一の映像を複数表示させることができる。よって、CGROM33に記憶させる画像データのデータ量を増加させることなく、映像を容易に多様化することができる。
本実施形態において、表示画面28が本発明の「表示手段」に相当する。図6のS6,S17、図8のS27、および図10のS45で所定のフレームレートで表示画面28に画像を表示させるVDP31が、本発明の「表示制御手段」として機能する。図6のS1,S4,S8,S12,S15,S16,S19、図8のS24,S25,S26、および図10のS43,S44で描画データを作成するVDP31が、本発明の「描画データ作成手段」として機能する。VRAM32が「描画データ記憶手段」に相当する。図6のS1,S4,S8,S11,S12,S15,S16,S19、図8のS24,S25,S26、および図10のS43,S44で描画データをVRAM32に展開、記憶させるVDP31が、本発明の「記憶制御手段」として機能する。図6のS15,S16,S19、図8のS25,S26,および図10のS44で表示用描画データを作成するVDP31が、本発明の「引継ぎ描画データ作成手段」として機能する。
図6のS15,S16,S19で表示用描画データを作成するVDP31が「連続縮小描画データ作成手段」として機能する。図8のS24および図10のS43で新規記憶描画データNを作成するVDP31が「記憶用描画データ作成手段」として機能する。図8のS30〜S33で画像を切り替えるVDP31が「画像切替手段」として機能する。
本発明は以上詳述した実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々の変更が可能であることは勿論である。上記実施形態の吸い込み演出制御処理(図6参照)では、周期Tnが到来する毎に、最新の表示用描画データが再記憶描画データとして記憶され(S11)、記憶された新たな再記憶描画データに基づいて表示用描画データが作成される(S15〜S19)。しかし、VDP31は、周期Tnが到来した後も、最新の表示用描画データを記憶せずに、過去のS11の処理で記憶した再記憶描画データを繰り返し使用してもよい。この場合、VDP31は、再記憶描画データの記憶回数を減少させて処理負担を軽減しつつ吸い込み演出を実行することができる。
上記実施形態の吸い込み演出制御処理では、特定領域81の中心位置を固定された状態で連続的な縮小が行われる。その結果、画像が同一の位置に吸い込まれる演出を実行することができる。しかし、特定領域81の中心位置を固定しない場合でも、本発明は実現することができる。つまり、VDP31は、特定領域81の中心位置を移動させながら連続的な縮小を行ってもよい。また、上記実施形態の吸い込み演出制御処理では、特定領域81の縮小率Snが徐々に増加するため、遊技者の緊張感を高めることができる。しかし、縮小率Snを一定とすることも可能であり、縮小率Snを徐々に減少させることも可能である。縮小率Snを徐々に減少させる場合、遊技者は、画像の表示内容を把握することが徐々に容易になる。また、上記実施形態では、表示用描画データがそのまま再記憶描画データとして一時的に記憶される。しかし、表示用描画データをそのまま再記憶描画データとして記憶する必要は無い。例えば、表示用描画データにおける画像に含まれていた保留球数の表示等を消去して、再記憶描画データとして記憶してもよい。
上記実施形態の回転演出制御処理(図8参照)では、予め定められた画像平面の回転方向および回転角度のパターンに従って、画像平面が回転される。しかし、VDP31は、回転演出制御処理を実行する毎に回転方向および回転角度を決定してもよい。この場合、パチンコ機1は、遊技者が予測できない演出を行い、遊技者の興趣を惹き付けることができる。また、回転演出制御処理では、複数の画像データの集合である映像データの各々に基づいて、複数の画像が連続して表示される。しかし、同一の画像データに基づいて回転演出制御処理を実行することも可能である。映像を切り替える処理(S30〜S33)を実行せずに本発明を実現することも可能である。
上記実施形態の映像同期演出制御処理(図10参照)では、領域R1の中に領域R2が含まれている。しかし、領域R1と領域R2は重複していなくてもよい。領域の配置および大きさは適宜設定することができる。また、領域の数は2つに限られず、3つ以上の領域に同一の画像をセットしてもよい。また、図8に示す回転演出制御処理と、図10に示す映像同期演出制御処理とを同時に実行することも可能である。例えば、回転演出制御処理におけるS25の処理において、領域R1に表示する画像を右に回転させると共に領域R2に表示する画像を左に回転させることもできる。このように、回転演出制御処理と映像同期演出制御処理とを同時に実行することで、画像平面の角度のみが異なる複数の画像を、表示領域内に容易に表示させることができる。