以下、本発明に係る遊技機の一実施形態について、図面を参照して説明する。まず、図1および図2を参照して、本実施形態に係るパチンコ機1の機械的構成について説明する。
図1に示すように、パチンコ機1の上半分の部分には遊技盤2が設けられている。遊技盤2は略正方形であり(図2参照)、透明なガラス板を保持した前面枠13によって前面を保護されている。遊技盤2の下部には上皿5が設けられている。上皿5は、発射機に遊技球を供給し、且つ賞品球を受ける。上皿5の上面には操作ボタン9が設けられている。上皿5の直下には、賞品球を受ける下皿6が設けられている。下皿6の右横には、遊技球の発射を調整する発射ハンドル7が設けられている。前面枠13の上部の左右の角には、スピーカ48がそれぞれ設けられている。
図2に示すように、遊技盤2の前面には、ガイドレール3で囲まれた略円形の遊技領域4が形成されている。遊技領域4の略中央には、各種演出を実行する演出装置8が設けられている。演出装置8の左方には普通図柄始動ゲート12が設けられている。演出装置8の下方には特別図柄始動電動役物15が配設されており、その下方には大入賞口16が設けられている。特別図柄始動電動役物15は開閉部材を備え、開閉部材が開放されると遊技球の入賞が容易になる。大入賞口16も開閉部材を備え、開閉部材が開放された場合にのみ、遊技球は大入賞口16に入賞できる。
演出装置8について説明する。図2に示すように、演出装置8は、液晶表示装置(LCD)からなる表示画面28を中央に備える。表示画面28には様々な映像が表示されるが、特に大当たり判定の結果を遊技者に報知するために、横並びに3つのデモ図柄表示部が設けられている。パチンコ機1は、3つのデモ図柄表示部に表示されるデモ図柄を変動させた後に、大当たり判定の結果を示すデモ図柄の組み合わせを確定表示させる演出(以下、「報知演出」という。)を行うことで、大当たり判定の結果を遊技者に報知する。表示画面28の右方には可動役物30が設けられている。可動役物30は、可動部を可動させることで各種演出を行う。可動役物30の下方には、大当たり判定の結果および保留球数を表示する表示部24が設けられている。
表示画面28について説明する。表示画面28による映像の表示は、演出制御基板43(図3および図4参照)によって制御される。表示画面28では、複数の画素がマトリクス状に形成されて液晶パネルが形成されると共に、スイッチング素子として機能するTFT(Thin Film Transistor)が各画素に対応して配設されている。また、表示画面28には、画像を液晶パネルに表示させるためのゲートドライバ及びソースドライバが設けられている。ゲートドライバは、各TFTのオン・オフを切り替える。ソースドライバは、TFTのオン・オフに同期して、後述する描画データ(RGBデータ)に基づいたソース電圧をそれぞれの画素へ印加する。この操作を全ての画素に対して一巡させることで、1フレームの画像が表示される。所定のフレームレートに従って、複数のフレームを連続して次々と表示させることで、映像(動画像)が表示される。
図3を参照して、パチンコ機1の電気的構成について説明する。パチンコ機1の制御部40は、主基板41、サブ制御基板58、ランプドライバ基板46、演出制御基板43、払出制御基板45、および中継基板47を主に備える。
主基板41は、パチンコ機1の主制御を司る。主基板41の主基板CPUユニット50には、各種の演算処理を行うCPU51と、データを一時的に記憶するRAM52と、制御プログラム等を記憶したROM53とが設けられている。主基板CPUユニット50には、割込信号発生回路57が接続されている。主基板41は、割込信号発生回路57から割込信号が入力される毎にプログラムを実行する。主基板41は、I/Oインタフェイス54を介してサブ制御基板58、払出制御基板45、中継基板47、出力ポート55、および始動口スイッチ70に接続されている。出力ポート55は、図示外の遊技場管理用コンピュータにパチンコ機1の情報を出力する。始動口スイッチ70は、特別図柄始動電動役物15に入賞した遊技球を検出する。
サブ制御基板58は、CPU581、RAM582、およびROM583を備え、ランプドライバ基板46、演出制御基板43、スピーカ48、および操作ボタン9に接続している。サブ制御基板58は、主基板41から送信されるコマンドに従って、演出等の総合的な制御を行う。ランプドライバ基板46は可動役物30等の動作を制御する。演出制御基板43は、表示制御ユニット60等を備え、サブ制御基板58から受信するコマンドに従って表示画面28の表示を制御する。表示制御ユニット60の詳細については、図4を参照して後述する。払出制御基板45は、CPU45a等を備える。払出制御基板45は、主基板41から送信されるコマンドに応じて賞品球払出装置49の動作を制御し、所定数の遊技球を払い出させる。
中継基板47には、普通図柄作動スイッチ71、大入賞口開閉ソレノイド72、電動役物開閉ソレノイド73、大入賞口スイッチ75、および表示部24が接続されている。普通図柄作動スイッチ71は、普通図柄始動ゲート12を通過した遊技球を検出する。大入賞口開閉ソレノイド72は、大当たり遊技中に大入賞口16の開閉部材を開閉する。電動役物開閉ソレノイド73は、普通当たり遊技中に特別図柄始動電動役物15の開閉部材を開閉する。大入賞口スイッチ75は、大入賞口16に入賞した遊技球を検出する。
電源基板42は、主基板41および遊技球発射装置37に接続されており、各基板および遊技球発射装置37に直流の安定化した電力を供給する。遊技球発射装置37は、一定間隔(本実施形態では0.6秒)毎に1個ずつ遊技球を遊技領域4へ発射する。
パチンコ機1における遊技制御の概要について説明する。普通図柄作動スイッチ71によって、普通図柄始動ゲート12を遊技球が通過したことが検出されると、主基板41のCPU51は普通当たり判定を実行する。普通当たり判定の結果は、表示部24に表示される。普通当たりとなると、CPU51は、電動役物開閉ソレノイド73によって特別図柄始動電動役物15を所定時間開放させる。
始動口スイッチ70によって、特別図柄始動電動役物15への遊技球の入賞が検出されると、主基板51のCPU51は大当たり判定を実行する。CPU51は、大当たり判定の結果に応じて、複数の変動パターンのうちの1つを決定する。変動パターンとは、大当たり判定による判定結果を遊技者に報知する際に用いられるデモ図柄の変動のパターン(演出パターン)である。この変動パターンによって、表示部24に表示される特別図柄の変動時間(デモ図柄の変動時間に等しい)と、特別図柄の変動に同期して表示画面28、可動役物30、スピーカ48等によって実行される報知演出のパターンとが決定される。報知演出とは、複数のデモ図柄を変動させた後に、大当たり判定の結果を示すデモ図柄の組合せを確定表示させる演出である。CPU51は、決定した変動パターンを指定するコマンドを、サブ制御基板58に送信する。大当たり判定の結果は、サブ制御基板58等によって制御される報知演出と、表示部24に表示される特別図柄とによって遊技者に報知される。大当たりとなると、CPU51は、大入賞口開閉ソレノイド72によって大入賞口16を所定のパターンで開放する。
サブ制御基板58は、主基板41から受信したコマンドに応じて、報知演出等の各種演出を制御する。特に、サブ制御基板58のCPU581は、主基板41によって変動パターンが指定されると、指定された変動パターンに応じた報知演出の映像の開始、映像の変更、映像の終了等を指示するコマンドを演出制御基板43に送信する。また、CPU581は、操作ボタン9が操作されると、操作ボタン9が操作されたことを示すコマンドを演出制御基板43に送信する。演出制御基板43は、サブ制御基板58から受信したコマンドに基づいて、表示画面28における映像の表示を制御する。なお、サブ制御基板58のCPU581は、表示画面28に表示される映像に同期するように、可動役物30およびスピーカ48の動作を制御する。
図4を参照して、演出制御基板43の電気的構成について説明する。演出制御基板43は、表示制御ユニット60、画像表示プロセッサ(Video Display Processor、以下「VDP」という)31、VRAM32、およびCGROM33を備える。表示制御ユニット60は、表示制御CPU61、表示制御RAM62、表示制御ROM63、および発振器64を備える。
表示制御ユニット60の各構成要素について説明する。表示制御CPU61は、サブ制御基板58に接続されており、表示画面28の表示を制御するための各種コマンドをサブ制御基板58から受信する。受信したコマンドに基づいて、表示画面28に表示させる映像を選定し、選定した映像を表示させるためのコマンドをVDP31に送信する。表示制御RAM62には、VDP31に送信するためのコマンド等の各種データが一時的に記憶される。表示制御ROM63には、表示画面28の表示を制御するための表示制御プログラム、初期値等が記憶されている。発振器64は、表示画面28における画像表示に必要なドットクロック周波数を発振する。
VDP31、VRAM32、およびCGROM33について説明する。CGROM33には、複数の映像データが記憶されている。映像データとは、一連の映像を構成する複数の画像を表示させるための画像データである。VDP31は、表示制御CPU61から送信されたコマンドによって指定されている映像の映像データをCGROM33から取得し、取得した映像データに基づいて描画データを作成する。VDP31は、作成した描画データを参照して、表示画面28に画像信号を出力することで、表示画面28に画像を表示させる。VRAM32には、展開用バッファ38およびフレームバッファ39が設けられている。展開用バッファ38には、VDP31によって作成された描画データが展開されて一時的に記憶される。フレームバッファ39には、表示画面28の表示制御において参照される描画データ(表示用描画データ)が一時的に記憶される。
図5を参照して、映像を表示させるためのデータの流れについて説明する。前述したように、VDP31は、映像データに基づいて描画データを作成する。作成された描画データは、VRAM32の展開用バッファ38に展開されて一時的に記憶される。VDP31は、展開用バッファ38に記憶された描画データに対し、合成、拡大縮小、回転等の処理を行うことができる。例えば、背景の描画データに、デモ図柄、キャラクタ等の描画データを合成することができる。画像の一部の拡大、画像全体の縮小を行うこともできる。画像平面を三次元座標系において回転させることで、新たな描画データを作成することもできる。次いで、展開用バッファ38に展開された描画データのうち、表示画面28における画像表示に用いられる描画データが、表示用描画データとしてフレームバッファ39に記憶される。VDP31は、フレームバッファ39に記憶された表示用描画データを参照して、表示画面28における画像の表示を制御する。
以下、VDP31が実行する処理の詳細について説明する。前述したように、VDP31は、表示制御CPU61から受信したコマンドによって指定された映像を表示画面28に表示させる。映像には、報知演出の映像、大当たり遊技中の映像、遊技が行われていない場合のデモ映像等が設けられている。本発明は、いずれの映像を表示させる場合にも適用できるが、以下では、報知演出の映像のうち、演出モード切替演出の映像、および、遊技説明演出の映像を表示させる場合の処理について説明する。
図6を参照して、VDP31が実行する演出モード切替処理について説明する。演出モード切替処理では、報知演出の1つである演出モード切替演出の映像(以下、「演出モード切替映像」という)の表示が制御される。詳細には、演出モード切替演出では、報知演出が実行されている途中で、遊技者による操作ボタン9の操作に応じて演出モードが切り替えられる。なお、演出モードとは、報知演出の種別を決定するためのモードである。演出モードが変化すると、報知演出中に登場するキャラクタ、背景、予告演出の種類、リーチ演出の種類等が変化する。VDP31は、演出モード切替映像の表示開始を指示するコマンドを表示制御CPU61から受信すると、VDP31内の記憶装置に記憶されたプログラムに従って、図6に示す演出モード切替処理を実行する。
まず、映像の表示開始以後の経過時間の計測が開始される(S1)。経過時間は、経過時間カウンタによって計測される。次いで、再生する映像の映像データが、CGROM33から取得される。取得された映像データにおいて、映像の開始時点の映像データの特定(頭出し)が行われる(S2)。S2で取得される映像データは、その時点で実行されている演出モードの映像データのうち、演出モード切替映像を表示させるために記憶されている映像データである。
開始時点の映像データから順に表示対象とされ、表示対象の映像データに基づいて描画データが作成される(S3)。描画データは、所定のフレームレートに従って順次作成される。作成された描画データは、VRAM32の展開用バッファ38(図4および図5参照)に展開される。なお、S3では、作成された描画データの合成、拡大縮小、回転等の処理が行われる。作成された描画データが、表示用描画データとしてフレームバッファ39に移動される。フレームバッファ39の表示用描画データが参照されることで、1枚の画像が表示画面28に表示される(S4)。
演出モードを切り替えることが可能な時間帯であるか否かが、経過時間カウンタの値によって判断される(S5)。切替可能な時間帯は、実行する演出モード切替演出に応じて予め定められている。なお、本実施形態では、切替可能な時間帯には、操作ボタン9を操作することで演出モードを切り替えることが可能である旨の映像が表示される。しかし、この映像は表示しなくてもよい。切替可能な時間帯でなければ(S5:NO)、処理はS3へ戻り、次のフレームを表示させる処理が行われる(S3、S4)。切替可能な時間帯であれば(S5:YES)、切替可能な時間帯が終了したか否かが判断される(S6)。終了していなければ(S6:NO)、操作ボタン9が操作されたか否かが判断される(S7)。操作ボタン9が操作されていなければ(S7:NO)、処理はS3へ戻る。操作ボタン9が操作されることなく、切替可能な時間帯が終了すると(S6:YES)、演出モードは切り替えられずに、主基板41において決定されている変動パターンに応じて以後の映像が表示される(S17)。演出モード切替処理は終了する。
切替可能な時間帯に操作ボタン9が操作されると(S7:YES)、途中再生する映像の映像データがCGROM33から取得され、取得された映像データの頭出しが行われる(S10)。S10で取得される途中再生映像の映像データは、切り替え後の演出モードに属する映像データのうち、表示中の映像と同じ表示時間で完結する映像の映像データである。次いで、途中再生する映像の映像データに、計測されていた経過時間が引き継がれる(S11)。頭出しされた時点から、S11で引き継がれた経過時間までの描画データが、途中再生する映像の映像データに基づいて、フレームレートよりも高速で展開用バッファ38に作成される(S12)。経過時間までの描画データの作成が完了するまで(S13:NO)、S12およびS13の処理が繰り返される。
経過時間までの描画データの作成が完了すると(S13:YES)、描画データを作成する間隔がフレームレートに戻されて、合成、拡大縮小、回転等の処理が行われる(S15)。作成された描画データがフレームバッファ39に移動され、フレームバッファ39の表示用描画データが参照されて画像が表示される(S16)。その結果、操作ボタン9が操作されることを契機として、映像が途中再生される。つまり、演出モードが切り替えられる。以後は、変動パターンに応じて映像が表示されて(S17)、演出モード切替処理は終了する。
図7を参照して、演出モードを切り替えるアルゴリズムについて、具体例を挙げて説明する。図7に示す例では、演出モードAにおいて演出Xを実行する映像<1>の映像データと、演出モードBにおいて演出Xを実行する映像<2>の映像データとが、CGROM33に記憶されている。2つの映像の表示時間は同一である。演出Xを実行する変動パターンが主基板41によって決定された場合、実行中の演出モードが演出モードAであれば、映像<1>が表示(再生)される。一方で、同一の変動パターンが決定された場合でも、実行中の演出モードが演出モードBであれば、映像<1>ではなく映像<2>が表示される。映像<1>および映像<2>では共に、デモ図柄の高速変動が所定時間実行された後に、リーチ演出の1つである演出Xが実行される。その後、大当たり判定の結果を示すデモ図柄の組み合わせが確定表示される。なお、デモ図柄を高速変動させる時間帯の一部が、演出モードを切替可能な時間帯に設定されている。
図7では、最初に映像<1>が再生され、且つ、切替可能な時間帯で操作ボタン9が操作された場合を例示する。この場合、操作ボタン9が操作されるまでは映像<1>が再生され、映像<2>の描画データは作成されていない。よって、2つの映像の描画データが並行して作成されているわけではない。操作ボタン9が操作されると、映像<1>の経過時間が映像<2>のに引き継がれる。その結果、映像<2>の開始時点から経過時間までの描画データが、高速で作成される。描画データが高速で作成されている間は、映像<2>は再生されない。経過時間までの描画データの作成が完了すると、以後は映像<2>のみが再生されて、演出モードが切り替わる。従って、VDP31は、通常の映像表示開始時と同様に映像<2>の頭出しを行った上で、映像<2>を途中再生することができる。パチンコ機1は、2つの映像の描画データを並行して作成しておかなくても、操作ボタン9が操作されたタイミングで映像を切り替えることができる。映像を切り替えるタイミングを限定する必要がない。映像<2>の映像データを分割して記憶しておく必要もない。
図8および図9を参照して、VDP31が実行する遊技説明表示処理について説明する。遊技説明表示処理では、遊技説明を表示させる演出における映像の表示制御が行われる。これにより、報知演出が実行されている途中で、遊技者による操作ボタン9の操作に応じて遊技説明用の映像が表示される。遊技説明を表示させることが可能な報知演出の表示指示が、表示制御CPU61からVDP31に対して行われると、VDP31は、VDP31内の記憶装置に記憶されたプログラムに従って、図8に示す遊技説明表示処理を実行する。
まず、映像の表示開始以後の経過時間の計測が開始される(S21)。再生する報知演出用の映像データが、CGROM33から取得される。取得された映像データの頭出しが行われる(S22)。頭出しされた映像データから順に表示対象とされ、表示対象の映像データに基づいて描画データが作成される(S23)。描画データは、所定のフレームレートで順次作成されて、VRAM32の展開用バッファ38(図4および図5参照)に展開される。作成された描画データがフレームバッファ39に移動され、フレームバッファ39の表示用描画データによって表示画面28に1枚の画像が表示される(S24)。
遊技説明の表示を開始させることが可能な時間帯(以下、「開始可能時間帯」という)が終了したか否かが、計測されている経過時間によって判断される(S25)。開始可能時間帯は、適切な時間帯を予め設定しておけばよい。本実施形態では、デモ図柄の高速変動中に開始可能時間帯が設定されている。なお、本実施形態では、開始可能時間帯には、操作ボタン9を操作することで遊技説明を表示させることができる旨の映像が表示される。しかし、この映像は表示しなくてもよい。
開始可能時間帯が終了していなければ(S25:NO)、操作ボタン9が操作されたか否かが判断される(S26)。操作ボタン9が操作されていなければ(S26:NO)、処理はS23へ戻り、次のフレームを表示させる処理が行われる(S23、S24)。操作ボタン9が操作されることなく、開始可能時間帯が終了すると(S25:YES)、遊技説明は表示されずに、主基板41において決定されている変動パターンに応じて以後の映像が表示される(S28)。遊技説明表示処理は終了する。
開始可能時間帯に操作ボタン9が操作されると(S26:YES)、説明表示中処理が行われる(S27)。説明表示中処理では、表示画面28において遊技説明を追加表示させるための処理が行われる。以後は、変動パターンに応じて映像が表示されて(S28)、演出モード切替処理は終了する。
図9を参照して、説明表示中処理について説明する。説明表示中処理が開始されると、途中再生させる遊技説明用の映像データがCGROM33から取得され、取得された映像データの頭出しが行われる(S31)。その時点で計測されている表示中の報知演出の経過時間が、途中再生させる遊技説明用の映像データにも共有される(S32)。遊技説明用の映像データに基づいて、頭出しされた時点から経過時間までの描画データが、フレームレートよりも高速で展開用バッファ38に作成される(S33)。経過時間までの描画データの作成が完了するまで(S34:NO)、S33およびS34の処理が繰り返される。
経過時間までの描画データの作成が完了すると(S34:YES)、フレームレート、および計測されている経過時間に従って、途中まで表示されていた報知演出の映像の描画データが作成される(S37)。高速で作成された以後における遊技説明の映像の描画データが、フレームレートに従って作成される(S38)。報知演出の映像の描画データと、遊技説明の映像の描画データとが合成される(S39)。合成された描画データがフレームバッファ39に移動され、フレームバッファ39の表示用描画データによって表示画面28に1枚の画像が表示される(S40)。その結果、報知演出の映像(デモ図柄を高速変動させる映像)に、遊技説明の映像が追加表示される。
遊技説明の終了タイミングが到来したか否かが判断される。終了タイミングは予め設定されている。終了タイミングが到来していなければ(S41:NO)、処理はS37へ戻り、報知演出の映像と遊技説明の映像の表示が継続される(S37〜S40)。遊技説明の終了タイミングが到来すると(S41:YES)、遊技説明の映像の描画データを作成する処理が終了する(S43)。報知演出の映像の描画データが継続して作成され(S44)、作成された報知演出の描画データに基づいて、報知演出の映像のみが表示画面28に表示される(S45)。処理は遊技説明表示処理(図8参照)へ戻り、以後の処理へ移行する(S28)。
図10および図11を参照して、デモ図柄の変動を表示させながら遊技説明を追加表示させるアルゴリズムについて、具体例を挙げて説明する。図10に示す例では、報知演出の映像<3>の映像データと、遊技説明の映像<4>の映像データとが、CGROM33に記憶されている。報知演出の映像<3>では、前述した映像<1>および映像<2>(図7参照)と同様に、デモ図柄の高速変動が所定時間実行された後に、リーチ演出の1つである演出Xが実行される。その後、大当たり判定の結果を示すデモ図柄の組み合わせが確定表示される。デモ図柄を高速変動させる時間帯の一部が、遊技説明の開始可能時間帯に設定されている。遊技説明の映像<4>は、図11に示す合成映像における遊技説明映像82である。図11で例示した遊技説明映像82では、画面の左半分に遊技内容の説明が表示され、画面の右下にキャラクタが表示される。しかし、遊技説明映像の表示内容を変更できることは言うまでもない。遊技説明の映像<4>の表示時間は、報知演出の映像<3>の表示時間よりも短い時間に設定されている。
図7では、映像<3>の表示中における開始可能時間帯で操作ボタン9が操作された場合を例示する。この場合、操作ボタン9が操作されるまでは映像<3>の描画データのみが作成され、映像<4>の描画データは作成されていない。よって、2つの映像の描画データが並行して作成されているわけではない。操作ボタン9が操作されると、映像<1>の経過時間(タイマー)が映像<4>でも共有される。その結果、映像<4>の開始時点から経過時点までの描画データが、フレームレートよりも高速で作成される。描画データが高速で作成されている間は、映像<4>は再生されない。経過時間までの描画データの作成が完了すると、図11に示すように、映像<3>であるデモ図柄変動映像81と、映像<4>である遊技説明映像82とが、1つの映像(画像)に合成される。合成された映像が、表示画面28で再生される。従って、VDP31は、映像の頭出しを行わずに途中再生する複雑な制御を行うことなく、映像<4>を容易に途中再生することができる。2つの映像が予め合成された映像データをCGROM33に記憶しておく必要が無いため、CGROM33の記憶容量は圧迫されず、パチンコ機1の開発も容易である。さらに、パチンコ機1は、2つの映像の描画データを並行して作成しておかなくても、操作ボタン9が操作されたタイミングで、映像<3>に映像<4>を追加して再生させることができる。
以上説明したように、本実施形態のパチンコ機1は、映像の再生中に他の映像を途中再生させるタイミングが到来すると、途中再生させる映像の開始から途中再生タイミング(つまり、経過時間カウンタによって計測されている時点)までの描画データを、フレームレートよりも高速で作成(早送り)する。従って、頭出しをせずに映像を途中再生するための複雑な制御が不要であり、途中再生タイミングの前後に分けて映像データを記憶しておく必要も無い。複数の映像の各々の描画データを並行して作成しておく必要も無い。さらに、途中再生タイミングを予め設定しておかなくてもよい。よって、パチンコ機1は、処理負担の増大、CGROM33の記憶容量の圧迫等を生じさせることなく、映像を再生している途中で他の映像を自由に途中から再生させることができる。
本実施形態のパチンコ機1は、操作ボタン9が操作されたタイミングで、再生中の映像とは異なる映像を途中再生させる。よって、パチンコ機1は、処理負担の増大等を生じさせることなく、遊技者が所望するタイミングで容易に映像を途中再生させることができる。
パチンコ機1は、遊技説明表示処理(図8および図9参照)において、再生していた映像の描画データをフレームレートで作成することを継続しつつ、途中再生させる映像の描画データを作成する。作成した2種類の描画データを参照し、再生していた映像に途中再生させる映像を追加して表示画面28に表示させる。従って、パチンコ機1は、映像の表示中に他の映像を追加するための映像データを予め記憶することなく、表示中の映像の映像データと、追加する映像の映像データとを用いて、映像を追加する演出を容易に行うことができる。
パチンコ機1は、演出モード切替処理(図6参照)において、再生していた映像の描画データの参照を中止し、途中再生させる映像の描画データを参照して表示画面28に映像を表示させることができる。よって、パチンコ機1は、再生している映像を容易に他の映像に切り替えることができる。
本実施形態において、表示画面28が本発明の「表示手段」に相当する。図6のS4,S16、図8のS24、および図9のS40,S45で所定のフレームレートで表示画面28に画像を表示させるVDP31が、本発明の「表示制御手段」として機能する。CGROM33が本発明の「映像データ記憶手段」に相当する。VRAM32が「描画データ記憶手段」に相当する。図6のS3,S12,S15、図8のS23、および図9のS33,S37,S38,S43,S44で描画データを作成するVDP31が「描画データ作成手段」として機能する。図6のS12,S15、および図9のS33,S38で、途中再生させる映像の描画データを作成するVDP31が、本発明の「途中再生データ作成手段」として機能する。操作ボタン9が「操作手段」に相当する。
本発明は、以上詳述した実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々の変更が可能であることは勿論である。上記実施形態では、演出モードを切り替える場面と、遊技説明を追加して再生させる場面とを例示した。しかし、本発明が他の場面にも適用できることは言うまでも無い。例えば、実行されているリーチ演出を途中で切り替える場面でも適用できる。大当たり遊技中の映像に大当たり履歴等の映像を追加表示させる場面でも適用できる。
上記実施形態のパチンコ機1は、操作ボタン9が操作されたタイミングで映像を途中再生することができる。よって、処理負担の増大等を生じさせることなく、遊技者が所望するタイミングで容易に映像を途中再生させることができる。しかし、途中再生のタイミングが予め定められている場合に本発明を適用することも可能である。この場合でも、本発明を適用することで、記憶すべき映像データのデータ量の削減、VDP31の処理負担の低下等の効果を奏することができる。
上記実施形態のパチンコ機1は、映像を途中再生させる場合、途中再生させる映像の開始から、計測されている経過時間までの描画データを高速で作成する。ここで、操作ボタン9が操作されたタイミング(途中再生タイミング)から、高速の描画データの作成が完了するまでの間に、一定の時間を要する場合もある。つまり、本発明における「途中再生させる映像の開始から途中再生タイミングまで」とは、上記実施形態では、途中再生タイミング(上記実施形態では操作ボタン9が操作された瞬間)までを厳密に言うものではなく、高速の描画データの作成が完了して途中再生が可能な状態となるタイミングを意味する。以上のように、途中再生タイミングは、操作ボタン9が操作された瞬間から多少ずれてもよい。
操作ボタン9の代わりに、トラックボール等の他の操作手段を使用できることは言うまでもない。また、本実施形態の表示画面28は、TFTによって制御される液晶表示装置である。しかし、プラズマディスプレイ等の他の表示装置を使用する場合でも、本発明は適用できる。
上記実施形態では、1つの映像の再生中に、他の1つの映像を途中再生する場合を例示した。しかし、3種類以上の映像を用いて本発明を実現することも可能である。例えば、2つ以上の映像が同時に再生されている途中で、他の1つの映像を途中再生し、映像の切り替えまたは追加を行うことも可能である。映像の再生中に、他の2つ以上の映像を途中再生させることも可能である。