JP4010617B2 - 画像復号化装置及び画像復号化方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する分野】
本発明は、MPEG方式等の高能率圧縮符号化方法により圧縮された動画像データを復号する画像復号化装置に関し、特に復号処理に伴う待ち時間を短縮するのに好適の画像復号化装置及び画像復号化方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、画像のディジタル圧縮が検討されている。特に、DCT(離散コサイン変換)を用いた高能率符号化については、各種標準化案が提案されている。DCTは、1フレームを複数のブロック(m画素×水平走査線)に分割し、このブロック単位で映像信号を周波数成分に変換することにより、空間軸方向の冗長度を削減するものである。ところで、テレビジョン信号の動画用の高能率符号化方式として、CCITT(International Telegraph and Telephone Consultative Committee)は周知のようにMPEG(Moving Picture Experts Group)方式を提案した。この方式においては、1フレーム内てDCTによる圧縮(フレーム内圧縮)を行うだけでなく、フレーム間の相関を利用して時間軸方向の冗長度を削減するフレーム間圧縮も採用する。フレーム間圧縮は、一般の動画像が前後のフレームでよく似ているという性質を利用して、前後のフレームの差分を求め差分値を符号化することによって、ビットレートを一層低減させるものである。特に、画像の動きを予測してフレーム間差を求めることにより予測誤差を低減する動き補償フレーム間予測符号化が有効である。
【0003】
この動き補償フレーム間予測符号化においては、現フレームの画像データD(n)と1フレーム前の画像データD(n−1)との間で動きベクトルを求める。前フレームの符号化データを復号して得た画像データを動きベクトルによって動き補償して、動き補償した前フレームの参照画像データD′(n−1)と現フレームの画像データD(n)との間で差分をとり、この差分値(動き予測による誤差成分)を符号化して出力する。
【0004】
また、最近では、上述のMPEG方式を更に、相互運用性、分解能可変性及び拡張性等の面で満足するように改良がなされたMPEG2方式と呼ばれる動画像圧縮方式も提案されており、既にISO/IEC標準13818−2に規格化されている。MPEG2方式は前述したMPEG方式(通称MPEG1という)を包合する動画像圧縮符号化方式である。即ち、コンピュータ・放送・通信の3つの分野で使用されるアプリケーションのすべてを満足するように考慮されている。 MPEG2方式による動画像圧縮符号化については、例えば、「ISO/IEC 13818−2 Draft International Standard」の文献等に記述されている。即ち、この動画像圧縮方式においては、画像間の動き補償予測(MC:Motion Copensation)と8×8画素のDCTを組み合わせたハイブリッド方式の変換とを行い、これにより得られる信号に対して更に量子化及び可変長符号化を施す。MC予測の種類については、過去の画像を参照画像とする前方予測、未来の画像を参照画像とする後方予測、過去及び未来両方の画像を参照画像とする双方向(内挿)予測及び予測を用いないイントラの各モードがある。
【0005】
このMC予測モードは、16×16画素のマクロブック毎に設定可能であるが、符号化(ピクチャ)の種類により使用可能なモードが決められている。このピクチャの種類には、インストラマクロブックのみで構成されるピクチャをIピクチャ、イントラ及び前方予測マクロブックで構成されるPピクチャ及び全てのMC予測モードが許されるBピクチャがあり、即ち3種類のピクチャがある。
【0006】
Iピクチャは予測を用いず、原画像自体をDCT変換し、量子化及び可変長符号化を行うものである。したがって、Iピクチャは単独の符号化データで復号化可能であるのに対し、Pピクチャは入力画像順で過去のすでに符号化されたIまたはPピクチャとのMC予測誤差信号をDCT変換、量子化及び可変長符号化を行う。そしてBピクチャでは、過去及び未来における既に符号化されたIまたはPピクチャとのDCT予測誤差信号をDCT変換、量子化及び可変長符号化を行う。このため、P及びBピクチャの復号はこれに先行してIピクチャより始まる参照画像の復号を行う必要がある。
【0007】
図12はこのようなMPEG方式で圧縮された圧縮画像データを復号する従来の画像復号化装置の一例を示すブロック図であり、図13は該画像圧縮復号化装置に用いられた映像用のMPEGデコーダの具体構成例を示すブロック図である。
【0008】
図12に示すように、画像復号化装置1は入力端子2を備え、入力端子2には、MPEG方式で圧縮されたビットストリームが供給される。該入力端子2を介して入力したビットストリームは、デマルチプレクサ3によって所定のストリームIDの圧縮ビットストリームが選択され、図13に示す構成のMPEGデコーダ4に供給される。MPEGデコーダ4に入力された圧縮ビットストリームは、バッファ4aを介して可変長復号化回路4bに供給されることによって、可変長復号化処理が施され、その後、逆量子化回路4cによって逆量子化処理が施されてIDCT回路4dに供給される。IDCD回路4dは、逆量子化回路4cの出力データに対しIDCT変換処理を施して加算器4eに出力する。その後、フレーム間圧縮された画像データの場合は、予測器4fにより動き補償予測に関する情報がフィードバックされ、つまり加算器4の出力は最終的な画像データが復元されたものとなり、この復元された画像データは、例えば表示画面に表示するための信号処理回路へと出力されるようになっている。尚、上記構成の復号化装置においては、図示はしないが音声やプライベートストリーム用にも、それぞれの圧縮方式に準じた各種デコード回路が設けられるようになっており、各種圧縮データともそれぞれ復号化されて出力されるようになっている。また、図13には映像用のMPEGデコーダの基本的な回路構成を示したが、実際にはいろいろな実現方法があり、これに限定されるものではない。
【0009】
次に、上記構成の画像復号化装置における映像切替時の動作について説明する。
【0010】
上記画像復号化装置においては、選択するストリームを切り替えると、デマルチプレクサ3で選択するストリームID等が切り替えられて、新しく選択されたストリームがMPEGデコーダ4に供給される。MPEGデコーダ4は、上述したようにPピクチャやBピクチャ等のフレーム間圧縮した画像からは復号処理を開始することが不可能であるため、図14に示す表示タイミングチャートのようにIピクチャが供給されるまで待ち、Iピクチャが供給されると、復号を開始することによってその復号されたデータに基づく画像の表示が開始される。通常、Iピクチャは、GOP(GROUP OF PICTURES の略で任意の数の上記タイプのピクチャより構成される階層)の先頭に存在するものであることから、次のGOPの先頭が表示されることになる。
【0011】
したがって、従来の画像復号化装置では、図14に示すように、例えば最初のGOPの4フレーム目となるBピクチャの入力時にビットストリームの切り換えが発生したとすると、この供給された画像データに基づく表示がなされるためには、次のGOPの先頭フレームであるIピクチャが供給されるときまでの期間(平均1/2GOPに相当する期間で0.25秒)待つ必要があり、また、待たずに復号処理を開始したとしても正常に復号されない等の問題点もあった。
【0012】
また、このような問題に鑑み、他の従来技術として特開平8−181926号によって提案されているものもある。この提案では、番組切り換え時に、その復号処理の続行により生じてしまう画像の乱れを防止するために、切り換え前に予め蓄えられていた1フレーム分の画像データに基づく画像を静止画として表示させ、切り換え処理完了後にその静止画の表示を解除することで、少しでも復号処理に伴う待ち時間を効果的に活用するようにしているが、問題解決には至っていないのが現状である。
【0013】
【発明が解決しようとする課題】
上記の如く、従来の画像復号化装置では、選択されたビットストリームに基づく画像が表示されるためには、供給された画像データのGOPの先頭にある単独で復号可能なIピクチャから復号処理を行えば良いが、ビットストリームの切り換え時がそれよりも前のGOP内の他のピクチャが供給された時である場合には、次のGOPのIピクチャが供給されるまでの期間(例えば1/2GOPに相当する期間で0.25秒)待たなければ表示を開始することができず、また、待たずに復号処理を開始したとしても正常に復号されない等の問題点もあった。
【0014】
そこで、本発明は上記問題点に鑑みてなされたもので、ビットストリームの切り換え時に次のGOPのIピクチャが供給されるまで待つことなく即座に復号処理を行うことができることで、復号した画像データに基づく表示開始までの所要時間を短縮することのできる画像復号化装置の提供を目的とする。
【0015】
【課題を解決するための手段】
本発明の画像復号化装置は、入力された複数の映像を含む符号化ビットストリームから任意の映像の符号化ビットストリームを選択する選択手段と、前記選択手段により選択された符号化ビットストリームを通常の復号速度よりも少なくとも2倍速以上の復号速度で復号可能な復号手段と、前記選択手段により選択されていない映像の符号化ビットストリームの少なくとも1GOP分をさかのぼって、この1GOPの先頭のIピクチャから保持する記憶手段と、前記選択手段による選択,前記復号手段による復号及び前記記憶手段における書き込み、読み出しを制御するもので、選択する映像を切り換えた場合には、前記記憶手段に保持された少なくとも1GOP分さかのぼった符号化ビットストリームの前記1GOPの先頭のIピクチャから読み出して前記復号手段に供給して通常の復号速度よりも少なくとも2倍速以上の復号速度で復号させるとともに、この復号したデータの内、前記符号化ビットストリームに含まれる時間情報が現在時刻と一致したときに対応するピクチャの復号したデータを表示手段に出力するように制御する復号制御手段と、を具備したものである。
【0016】
本発明においては、選択手段は、例えばデマルチプレクサであって、入力された複数の映像を含む符号化ビットストリームから任意の映像の符号化ビットストリームを選択して出力する。復号手段は、例えば高速MPEGデコーダであって、前記選択手段により選択された符号化ビットストリームを通常の復号速度よりも少なくとも2倍速以上の復号速度で復号可能なものである。記憶手段は、前記選択手段により選択されていない映像の符号化ビットストリームの少なくとも1GOP分をさかのぼって、この1GOPの先頭のIピクチャから保持する。復号制御手段は、例えばデマルチプレクサや高速MPEGデコーダ記憶手段に含まれて構成され、あるいは装置内部や外部に設けられたCPUとして構成される。この復号制御手段は、前記選択手段による選択,前記復号手段による復号及び前記記憶手段における書き込み、読み出しを制御するもので、選択する映像を切り換えた場合には、前記記憶手段に保持された少なくとも1GOP分さかのぼった符号化ビットストリームの前記1GOPの先頭のIピクチャから読み出して前記復号手段に供給して通常の復号速度よりも少なくとも2倍速以上の復号速度で復号させるとともに、この復号したデータの内、前記符号化ビットストリームに含まれる時間情報が現在時刻と一致したときに対応するピクチャの復号したデータを表示手段に出力するように制御する。これにより、映像を切り換えた場合でも、即座に復号可能なIピクチャより復号することができるため、デコード映像の表示開始までの所要時間を短縮させることが可能となる。
【0017】
本発明の画像復号化方法は、入力された複数の映像を含む符号化ビットストリームから任意の映像の符号化ビットストリームを選択する選択処理と、前記選択処理により選択された符号化ビットストリームを通常の復号速度よりも少なくとも2倍速以上の復号速度で復号可能な復号処理と、前記選択処理により選択されていない映像の符号化ビットストリームの少なくとも1GOP分をさかのぼって、この1GOPの先頭のIピクチャから保持するための記憶処理と、前記選択処理による選択,前記復号処理による復号及び前記記憶処理における書き込み、読み出しを制御するもので、選択する映像を切り換えた場合には、前記記憶処理によって保持された少なくとも1GOP分さかのぼった符号化ビットストリームの前記1GOPの先頭のIピクチャから読み出して前記復号処理を用いて通常の復号速度よりも少なくとも2倍速以上の復号速度で復号させるとともに、この復号したデータの内、前記符号化ビットストリームに含まれる時間情報が現在時刻と一致したときに対応するピクチャの復号したデータを表示処理に出力するように制御する復号制御処理と、を含んだものである。
【0018】
本発明においては、例えばデマルチプレクサや高速MPEGデコーダ記憶手段に含まれたCPU、あるいは装置内部や外部に設けられたCPUによって、その画像復号化方法が実行される。つまり、選択処理によって、入力された複数の映像を含む符号化ビットストリームから任意の映像の符号化ビットストリームを選択し、復号処理によってその選択処理により選択された符号化ビットストリームを通常の復号速度よりも少なくとも2倍速以上の復号速度で復号する。また、CPUは記憶処理によって、前記選択処理により選択されていない映像の符号化ビットストリームの少なくとも1GOP分をさかのぼって、この1GOPの先頭のIピクチャから保持する。このとき、選択する映像を切り換えたとすると、CPUは復号制御処理によって、前記記憶処理によって少なくとも1GOP分さかのぼった符号化ビットストリームの前記1GOPの先頭のIピクチャから読み出して前記復号処理を用いて通常の復号速度よりも少なくとも2倍速以上の復号速度で復号させるとともに、この復号したデータの内、前記符号化ビットストリームに含まれる時間情報が現在時刻と一致したときに対応するピクチャの復号したデータを表示処理に出力するように制御する。これにより、上記発明と同様の効果を得ることが可能となる。
【0019】
【発明の実施の形態】
発明の実施の形態について図面を参照して説明する。
【0020】
図1は本発明に係る画像復号化装置の第1実施形態例を示すブロック図である。
【0021】
本実施形態例においては、従来のデコーダを、復号処理が選択された映像等の圧縮ビットストリームを高速に復号可能なデコーダに代えるとともに、復号処理が選択されていない映像等の圧縮ビットストリームの少なくとも一部(例えば1GOP分)をさかのぼって保持するバッファを設けて構成したことが図12に示す従来の画像復号化装置と異なる点である。
【0022】
具体的には、図1に示すように、画像復号化装置11は入力端子12を備え、入力端子12には、複数の映像をMPEG方式で圧縮したビットストリームが供給される。該入力端子12を介して入力したビットストリームは、デマルチプレクサ13に与える。デマルチプレクサ13は、ストリームID等により選択した符号化ビットストリームのみを高速MPEGデコーダ14に供給する一方、選択していない符号化ビットストリームについては、バッファ15に供給する。
【0023】
高速MPEGデコーダ13としては、図13にて説明した一般的なMPEGデコーダを用いれば良いが、復号処理能力については該復号処理能力が速ければ速いほど効果的である。例えば、高速MPEGデコーダ13として、通常MP@MLと呼ばれるNTSC画像対応のデコーダよりもさらに高速に復号処理が可能な復号処理能力を備えたものが考えられ、また、このNTSC画像対応のデコーダよりも数倍の情報量及び復号処理能力を有し、前記NTSC画像対応のデコーダの上位となるMP@HLと呼ばれるハイビジョン対応(HDという)のデコーダを用いるようにして構成した方が望ましい。これにより、少なくとも圧縮ビットストリームの復号処理に伴う処理時間を高速に行うことが可能となる。
【0024】
上記構成の高速MPEGデコーダ14は、選択された符号化ビットストリームに対して復号処理を施すことによって、入力符号化ビットストリームを最終的に復元した画像データ(復元画像データともいう)を得、得られた復元画像データを、例えば表示画面に表示するための信号処理回路へと出力する。これにより、復号処理がなされるとほぼ同時に図示しない画面上には復元画像データに基づく画像が表示されることにより、復元画像の表示が開始される。
【0025】
一方、デマルチプレクサ13にて選択されていない符号化ビットストリームについてはバッファ15に供給されるが、つまりこれは、バッファ15を用いることで、ビットストリームの切り換え時における復号処理に伴う復号処理時間を短縮させるためである。バッファ15は、例えばFIFO方式のメモリで構成されたものであって、供給された選択されていない符号化ビットストリームを書き込むとともに、この書き込みがバッファ15の容量一杯まで行われた場合には、該バッファ15に新規に供給される符号化ビットストリームで更新するように上書きする。これにより、バッファ15には、選択されていない各ストリームの最新の圧縮ビットストリームが常に約1GOP分保持されることになる。この場合、バッファ15の容量については、各ストリームが1GOP分以上書き込み可能な容量があることが望ましい。また、バッファの容量を気にしなければ全ての符号化ビットストリームを約1GOP分保持していても良い。
【0026】
上記構成によれば、高速MPEGデコーダ14によってデマルチプレクサ13からの符号化ストリームを高速に復号処理を行うことができ、また、バッファ14を用いることにより、選択されていない符号化ビットストリームを約1GOP分さかのぼって保持することが可能となるため、選択する映像を切り換えた場合には、バッファ15に保持された符号化ビットストリームを前記高速MPEGデコーダ14に供給することで、従来生じていた復号処理に伴う待ち時間を大幅に短縮させることが可能となる。
【0027】
尚、バッファ15によるデータ保持については、例えば全ての映像(選択されていない映像及び選択された映像)や、選択されていない映像の一部(例えば100個内の10個等)を記憶保持するように構成しても良く、また、1GOP以下の場合でも、常に直前のIピクチャからさかのぼって記憶保持するように構成しても良い。
【0028】
次に、図1に示す装置の動作を図2を参照しながら詳細に説明する。
【0029】
図2は図1に示す装置の動作を説明するための表示タイミングチャートであり、細い実線で囲むピクチャはデコードはするが表示しないフレームに対応したピクチャを示しており、太い実践で囲むピクチャはデコードして表示するフレームに対応したピクチャを示している。
【0030】
いま、複数映像の入力圧縮データから、表示しようとする映像に基づく任意の圧縮データに切り変えるものとすると、デマルチプレクサ13によって選択するストリームID等が変更される。すると、既に選択されていない各ストリームが1GOP分保持されているバッファ15は、このバッファ15内に保持していた圧縮ビットストリームから新しく選択した映像等の符号化ビットストリームを高速MPEGデコーダ14に高速に供給する。このデコーダに対する選択した符号化ビットストリームの供給は、高速MPEGデコーダ14のみに限らず該デコーダを含む他の各デコーダ(図示)にも供給される。
【0031】
また、高速MPEGデコーダ14を含む各デコーダへのデータの転送中、画像復号化装置11の入力端子12に供給される圧縮ビットストリームについては、バッファ15をFIFOメモリとして利用することによって、高速MPEGデコーダ14等の各デコーダに供給されるまでの期間、一時的に保持される。
【0032】
この場合、バッファ15への入力ビットストリームより、バッファ15からのデマルチプレクサ13を介して高速MPEGデコーダ14等へ出力されるビットストリームの方が伝送速度が速いため、FIFOメモリ(バッファ)15内の保持データは徐々に減っていき、データがなくなると、デマルチプレクサ13から直接高速MPEGデコーダ14等へ圧縮ビットストリームを供給する。
【0033】
尚、高速MPEGデコーダ14に供給される圧縮ビットストリームは、バッファ15に保持されている選択された映像の過去のストリーム全てでも良いが、理想的には最も近いIピクチャ以降の圧縮データが望ましく、通常はバッファ15内の最後のGOPの先頭から供給される。つまり、通常にデコードされて表示が開始されるGOP以前の最も近いGOPのIピクチャから供給されることになる。
【0034】
その後、高速MPEGデコーダ14では、図2に示すように供給された過去の圧縮ビットストリーム(図中に示す最初のGOP内のIピクチャからのフレーム1乃至フレーム11)を表示せずに次々高速にデコードし、圧縮データに含まれる時間情報(いつ表示するか等の時間情報であり、以下、PTSと称す)が、該デコーダとの現在時刻に追いついた時の画面(この場合、フレーム12に相当)から表示を開始する。
【0035】
その後、図中に示すフレーム13以降については、通常にデマルチプレクサ13からの符号化ビットストリームをデコードして、また表示するようにすることでPTSに合致した表示時間に基づきそのデコード映像が継続して表示されることになる。
【0036】
したがって、このように動作することにより、選択する映像を切り換えた際に、次の復号処理可能なGOPのIピクチャを待たずとも、既に保持された圧縮データに対し復号処理を施すことができるため、デコードした映像の表示を即座に表示させることが可能となり、結果として映像切り換え時から表示開始までの所要時間を短縮させることができる。実際には、従来の画像復号化装置では、選択する映像を切り換えると、復号・表示されるまでに平均1/2GOPに相当の約0.25秒かかってしまったが、本発明の装置によれば、高速MPEGデコーダ14の復号化速度が仮に2倍の場合で平均0.125秒、4倍の場合で平均0.06秒に短縮させることができる。
【0037】
尚、本実施形態例においては、高速MPEGデコーダ14に供給する符号化ビットストリームの入力制御を行う構成については、具体的には述べていないが、例えば入力された圧縮符号化データをバッファ15に保持したり、該バッファ15に保持された圧縮符号化データを前記高速MPEGデコーダ14に転送したり、あるいは入力圧縮符号化データをバッファ15に保持せずに直接高速MPEGデコーダ14に出力させたりする制御機能を、前記バッファ15と高速MPEGデコーダ14との少なくとも一方に設けて構成すれば良い。また、他の構成としては、画像復号化装置全体を制御可能なCPU、あるいは新たに該装置内に設けたCPU等の制御手段によって、上記制御を行うように構成しても良い。
【0038】
ところで、前記第1実施形態例では、複数映像の圧縮符号化データの内、任意の映像に切り換えた場合の復号処理・表示処理について説明したが、この映像の切り換え時のタイミングを考慮すると、様々であり、必ずしも前記第1実施形態例のようにデコード・表示するまでの所要時間を短縮させることができない場合がある。つまり、切り換え直後の圧縮ビットストリームが1GOPの最後方近傍に位置するピクチャである場合である。この場合、切り換え発生後には、図12で示した従来の画像復号化装置の方が速く切り変えた画像を出画して表示できることもある。そこで、このように映像の切り換え発生時が変更された場合でも、常にデコード・表示に伴う所要時間を短縮するように復号処理が可能な実施形態例を図3及び図4に示す。
【0039】
図3及図4は本発明に係る画像復号化装置の第2実施形態例を示し、図3は装置に付加された判定回路を含むシステム全体の構成を示すブロック図、図4は図3の装置の動作を説明するための表示タイミングチャートであり、図4(a)は従来方法を示し、図4(b)は前記第1実施形態例による方法を示している。尚、図3に示すシステムは、図1に示す装置と同様な構成要素には同一符号を付して説明を省略し、異なる部分のみを説明する。
【0040】
本実施形態例では、映像の切り換え時が変更された場合に、従来技術と同様にそのままの状態で復号するか、または前記第1実施形態例のように1GOP分さかのぼって復号するか、最初に出画し且つ表示できる方を判定する判定回路20を設け、該判定回路20からの判定結果に基づいて前記第1実施形態例における画像復号化装置11の復号処理を制御するようにしたことが異なる点である。
【0041】
具体的には、図3に示すように、前記第1実施形態例にて用いた画像復号化装置11には、該装置11における復号処理を制御するのに必要な判定を行う判定回路20が設けられている。この判定回路20は、画像復号化装置11による復号処理動作を従来のままにするか、または前記第1実施形態例と同様にバッファ15に保持した圧縮ビットストリームを用いてGOP先頭から高速に復号処理をすべきか、早く出画して表示可能な方を判定し、判定結果を出力する。
【0042】
例えば、判定回路20は、事前に高速な復号処理機能を有する画像復号化回路11のおよその復号速度を認識しており、直前のIピクチャから高速にデコードし続け、デコーダ内の時計にPTSが追いつくまでの時間と、ストリーム切り換え時における1GOP内のフレーム位置から次のIピクチャが供給されるまでの時間とをそれぞれ算出し、これらの算出結果から所要時間の短い方のストリームを復号するように指示信号を出力する。
【0043】
このような指示信号は、例えば画像復号装置11内の復号処理を制御可能なバッファ15,あるいは高速MPEGデコーダ14に供給される。供給されたバッファ15あるいは高速MPEGデコーダ14は、指示信号に基づいて復号処理を行う。つまり、判定回路20からの指示信号が、例えば映像を切り変えた際に従来技術と同様そのままの状態で復号した方が早く出画できるものを示す場合には、バッファ15により保持された圧縮ビットストリームを用いずに選択されたそのままの圧縮ビットストリームを復号するように制御する。この場合、高速MPEGデコーダ14は、通常のデコーダの復号速度に可変することも可能であるため、高速ではなく通常の復号速度で復号処理を行い、画像データを出力する。一方、指示信号が前記第1実施形態例と同様バッファ15に保持した圧縮ビットストリームを用いてGOP先頭から高速に復号した方が早く出画できるものである場合には、高速MPEGデコーダ14に対してバッファ15に保持した圧縮ビットストリームを供給するとともに、高速に復号処理を行うように制御する。
【0044】
したがって、上記構成により、映像の切り換え時が変更された場合でも、切り換えられた映像を早く出画・表示するように復号処理を制御することができることから、常に短時間でのデコード映像の表示が可能となる。
【0045】
本実施形態例において、いま、図4に示すように表示する映像の切り換えが発生したとする。すると、判定回路20は、図4(a)に示す従来方法で復号した場合の切り換え発生時からデコード映像の表示開始時までの所要時間と、図4(b)に示す前記第1実施形態例と同様に復号した場合の切り換え発生時から表示開始時間での所要時間とをそれぞれ算出し、これらの算出結果から切り換えた映像が早く出画できる方を指示する判定結果を画像復号化装置11に与える。
【0046】
図4に示すような所定時刻に映像の切り換えが発生した場合、切り換えられたデコード映像の表示開始までの所要時間が短くなるのは、図4(a)に示す従来方法で復号した方であり、したがって、判定回路20は上述したような従来方法で復号処理を行わせる。これにより、図4(a)に示すように次のGOPのIピクチャより復号されると同時に表示が開始されることから、図4(b)に示す第1実施形態例における復号方法よりも、早くデコード映像を表示させることが可能となる。
【0047】
したがって、本実施形態例によれば、映像の切り換えを任意に行ったとしても、常に切り換えたデコード映像の表示を早くできるように復号処理が制御されるため、デコード映像の表示開始までの所要時間を短縮させることが可能となる。
【0048】
尚、本実施形態例においては、判定回路20は、実際に復号する前にどちらの復号方法が最初に出画できるかを判別できれば良く、また該判定回路20の構成及び方法については、上述したもの以外のものでも何ら問題はない。
【0049】
また、本実施形態例においては、高速MPEGデコーダ14は復号速度が可変可能な機能を有していることについて説明したが、これに限定されることはなく、例えば通常の復号速度の処理機能を有するデコーダを1つの設け、前記高速MPEGデコーダ14とを切り換えて、判定回路20からの判定結果に基づく復号処理を行わせるように構成しても良い。
【0050】
次に、本発明に係る第3実施形態例について図5を参照しながら詳細に説明する。図5は本発明に係る画像復号化装置の第3実施形態例を示し、従来装置と第1実施形態例の装置と判定回路とで構成されるシステム全体の構成を示すブロック図である。尚、図5に示すシステムは、図1,図12に示す装置と同様な構成要素には同一符号を付して説明を省略し、異なる部分のみを説明する。
【0051】
本実施形態例では、前記第1実施形態例にて使用した画像復号化装置11と従来技術としての画像復号化装置1とを並列に接続してそれぞれ複数映像の圧縮データを入力し、それらの出力画像データからどちらの装置が早く出画できるか否かを判定する判定回路21を用いて、双方の装置の何れかの出力データを出力させるように構成したことが前記実施形態例とは異なる点である。
【0052】
つまり、図5に示すように、複数映像の圧縮データは、並列に設けられた前記第1実施形態例にて使用した画像復号化装置11(図1参照)と従来技術としての画像復号化装置1(図12参照)とにそれぞれ供給される。従来の画像復号化装置1は、図14にて説明したように切り換え後に供給されるGOPのIピクチャより復号処理を行い、復号した画像データを判定回路21及び切り換えスイッチ22の入力端aに供給する。一方、第1実施形態例にて使用した画像復号化装置11は、図2に示すように切り換え時からさかのぼって1GOP分の圧縮ビットストリームが保持されたバッファ15からの保持データより復号処理を行い、復号した画像データを判定回路21及び切り換えスイッチ22の入力端bに供給する。
【0053】
判定回路21は、それぞれの出力画像データからどちらのデコーダが早く出画をできるか否かを判定するもので、この判定結果に基づくデコーダの出力を出力させるように切り換えスイッチ22を制御する。したがって、切り換えスイッチ22は、判定回路21からの判定結果に基づく出力画像データを出力するように入力端a,bを切り換えて図示しない表示信号処理回路へと出力する。
【0054】
したがって、本実施形態例によれば、映像を切り換えた場合に、早く出画できるデコーダからの復号画像データを選択して出力することができるため、常に短時間でそのデコード映像の表示を開始させることが可能となる。
【0055】
尚、本実施形態例においては、判定回路21としての具体的な構成例は示していないが、例えば各画像復号化装置のデコード状態を示す情報(例えばフラグ等)を監視することにより判定を行うように構成しても良く、また各画像復号化装置の出力から画像データが出力されてくるのを監視することで判定を行うように構成しても良い。すなわち、画像データが最初に出力されたデコーダを判別する機能を備えるように構成すれば良い。
【0056】
また、判定回路21による判定は、上記のように出力を用いるだけでなく、例えば各復号化装置内部の復号処理状況や、各種フラグ、あるいはモニタ端子等を監視することで判定を行うようにしても良い。
【0057】
ところで、通常のテレビジョン放送信号を受信する受信機器では、選局されたチャンネル以外のチャンネルのテレビジョン信号についても受信されており、選局の有無によってそのテレビジョン信号に基づく映像の表示が決定される。つまり、複数映像の圧縮符号化ストリームを受信する画像復号化装置を有する受信機器でも同様である。そこで、選択されていない映像の圧縮ビットストリーム毎に、従来の画像符号化装置を複数設け、選択時に選択された映像の圧縮ビットストリームを復号処理するデコーダの出力を出力させるように切り換えて制御すれば、短時間に選択されたデコード映像の表示が可能である。このような実施形態例を図6に示す。
【0058】
図6は本発明に係る画像復号化装置の第4実施形態例を示し、高速MPEGデコーダ14を用いずに通常の復号処理能力を有する従来の画像復号化装置を複数設けて構成した場合のシステムの一例を示すブロック図である。
【0059】
本実施形態例では、図12に示す従来の画像復号化装置1とほぼ同一構成の画像復号化装置1a,1b,1c,1dを複数設けてそれぞれ並列に接続し、これらの装置には、前記第3実施形態例と同様に複数映像の圧縮符号化ストリームを供給するとともに、各装置の出力画像データについては切り換えスイッチ23の各入力端a乃至dに供給するように構成し、図示しない切り換え制御部によって切り換えた映像に基づくデコーダからの出力画像データを出力させるようにしたことが前記第3実施形態例とは異なる点である。
【0060】
したがって、図6に示すように、仮に選択されている映像の符号化ビットストリームを復号している装置が画像復号化装置1aであるとすると、他の画像復号化装置1b,1c,1dは、選択されていない映像の符号かビットストリームの復号処理を行い、復号した画像データをそれぞれ対応する切り換えスイッチ23の入力端b,c,dに供給する。この場合、各復号化装置に対する選択していない映像の割り振りは、各復号化装置自信、あるいは図示しない制御手段によって制御するようにしても良い。これにより、切り換えスイッチ23の入力端aを除く他の入力端b,c,dには、選択されていない映像の復号画像データが供給されることになる。
【0061】
切り換えスイッチ23は、上述の各復号化装置、あるいは図示しない制御手段によって、映像の切り換えに対応する復号化装置の復号画像データを出力するように切り換えが制御される。つまり、選択されていない映像については復号処理を施すものの、該切り換えスイッチ23により選択されていないので表示はなされず、選択された映像のみ表示がなされることになる。
【0062】
このような構成により、どの映像の符号化ビットストリームに対しても復号処理が行われていることから、映像を切り換えたとしても、すぐに選択した映像の復号画像データを出力させることができるため、選択した映像の表示を即座に開始させることが可能となる。
【0063】
したがって、本実施形態例によれば、高速MPEGデコーダ14及びバッファ15等を用いずとも、選択されている映像を復号するデコーダと、選択していない映像を復号するデコーダとの複数の従来デコーダを用いることにより、常に短時間でのデコード映像の表示が可能となる。
【0064】
尚、本実施形態例においては、従来の画像復号化装置を4つ設けた場合について説明したが、これに限定されることはなく、それ以上設けて構成するようにしても良い。この場合も同様に動作させることにより、本実施形態例と同様の効果を得ることができる。
【0065】
ところで、本発明では、画像復号化装置による復号処理動作を制御する制御手段を装置内、あるいは装置外に設け、この制御手段によって、映像切り換え時における復号処理動作を制御することも可能である。このような実施形態例を下記に示す。
【0066】
図7は本発明に係る画像復号化装置の第5及び第6実施形態例を示すブロック図であり、図8は第5実施形態例における制御動作を示すフロチャート、図9は第6実施形態例における制御動作を示すフロチャート、図10は第7実施形態例を示し、図5に示す装置に付加されたCPUにおける制御動作を示すフロチャート、図11は第8実施形態例を示し、図6に示す装置に付加されたCPUにおける制御動作を示すフロチャートである。
【0067】
第5及び第6実施形態例にて使用される画像復復号化装置31は、図1に示す画像復号化装置11とほぼ同様に構成されているが、この装置の復号化処理動作を制御するための制御手段としてのCPU32を備えている。この場合、CPU32は、画像復号化装置31内に設けても良く、あるいは装置外部に設けるようにし構成しても良い。また、このCPU32による制御動作を、この復号化装置31を有する機器のシステム全体を制御するCPU(図示せず)を用いて行わせるように構成しても良い。
【0068】
上記CPU32は、例えば前記第1実施形態例にて説明したようにバッファ15に保持された符号化ビットストリームを高速に復号させるか、あるいは従来技術と同様にそのままの符号化ビットストリームを通常の復号速度で復号させるか等の復号処理方法の判定を行うとともに、また判定された復号処理方法を実行させるように制御することが可能である。
【0069】
例えば、CPU32は、デマルチプレクサ13aのストリームID等を指示制御して、入力複数映像の圧縮符号化データからデコードを選択された符号化ビットストリームと選択されていない符号化ビットストリームとに分離させ、選択された符号化ビットストリームについては、高速MPEGデコーダ14に供給して復号処理を行い、復号画像データとして出力させる。また、選択されていない復号化データについいては、各ストリームがそれぞれ1GOP分保持することができる容量を備えたバッファ15aに書き込むように制御する。このとき、CPU32は、バッファ15aの空き容量がなくなると、前記第1実施形態例と同様に古いデータを順次新しいデータに更新するように書き込みを制御する。
【0070】
次に、表示する映像を切り換えるために、復号化ストリームの切り換えが発生した場合のCPUにおける具体的な制御方法について、下記に示す。
【0071】
先ず、第5実施形態例における制御方法を説明する。
【0072】
図8に示すように、CPU32は、ストリームの切り換えが発生したとすると、ステップS1による処理でこれを認識し、処理をステップS2に移行する。
【0073】
ステップS2による処理では、バッファ15aを読み出し制御してバッファ15a内の選択された符号化ビットストリームを高速MPEGデコーダ14に供給することによって、該符号化ビットストリームを高速にデコードする。この場合、CPU32は過去のPTSを持つデータについてはデコードのみを行い、表示はしない次のデータに進む。
【0074】
デコードが進んでいる期間、CPU32は、ステップS3による処理で、高速MPEGデコーダ14の時計(現在時刻)とデコードしているデータのPTSとの比較を行い、該PTSがまだ遅い場合(現在の時間に追いついていない場合)には、処理をステップS2に戻し、PTSがデコーダ14の時計に追いついた場合には、次のステップS4による処理でデコードされた画像データの表示を開始させる。このとき、バッファ15a内の選択された符号化ビットストリームのデータがなくなるため、この時点からCPU32は、次のステップS5による処理で、入力された圧縮ビットストリームをバッファ15aに書き込まずに、直接高速MPEGデコーダ14に供給するように制御して、通常のデコード処理及び表示を行うように制御する。
【0075】
したがって、このように復号処理を制御することにより、映像の切り換えが発生した場合でも、すぐに切り換えた映像を表示することが可能となり、前記第1実施形態例と同様にデコード・表示までの所要時間を短縮させることが可能となる。
【0076】
次に、第6実施形態例における制御方法について説明する。
【0077】
先ず、図9に示すように、CPU32は、ストリームの切り換えが発生したとすると、ステップS1による処理でこれを認識し、続くステップS10による処理で、予め認識しているデコーダの復号速度等の情報及び切り換えが発生した時刻等の情報から出画時間を算出し、処理をステップS11に移行する。
【0078】
すると、ステップS11による処理では、上記の算出結果をもとに、次のGOPのIピクチャからデコードした方が早く出画できるか否かの判定を行い、早くできる場合には、ステップS12による処理でそのままの符号化ビットストリームを通常の復号速度で復号するように高速MPEGデコーダ14を制御して復号を行い、続くステップS13による処理でその復号画像データを出画させる。
【0079】
また、上記ステップS11による判定で、早く出画できない場合には、ステップS14による処理で、バッファ15内に保持された符号化ビットストリムの直前のIピクチャにさかのぼったデータより高速MPEGデコーダ14に供給することによって、該符号化ビットストリームを高速にデコードする。デコードがなされている期間、ステップS15によりPTSがデコーダ14の時計に追いついた場合には、デコードされた画像データの表示を開始させ、その後はステップS16による処理で、入力された圧縮ビットストリームをバッファ15aに書き込まずに、直接高速MPEGデコーダ14に供給するように制御して、通常のデコード処理及び表示を行うように制御する。
【0080】
したがって、このように復号処理を制御することにより、前記実施形態例と同様の効果を得ることが可能となる。
【0081】
尚、上記第5及び第6実施形態例においては、図7に示すCPU32によってデマルチプレクサ13a,バッファ15a及び高速MPEGデコーダ14等の各種制御がなされるように説明したが、これに限定されることはなく、例えば構造的に上記デマルチプレクサ13a,バッファ15a及び高速MPEGデコーダ14等の各種回路を前記CPU内に搭載するように構成し、このCPUによって上記の如く復号化処理を制御するようにしても良い。
【0082】
次に、第7実施形態例における制御方法について説明する。
【0083】
構成としては、例えば図5に示す画像復号化装置を含むシステムに、該装置による復号処理動作を制御するためのCPU(図示せず)が付加されたものである。この場合、このCPUは図5に示す判定回路21における処理動作等を実行するように制御するとともに、2つのデコーダにおける復号処理を制御するようになっている。
【0084】
先ず、図10に示すように、CPUは、ストリームの切り換えが発生したとすると、ステップS1による処理でこれを認識し、続くステップS20による処理で、図5に示す画像復号化装置11のバッファ15を読み出し制御してバッファ15内に保持された符号化ビットストリームから切り換え発生時直前のGOPのIピクチャに対応するピットストリームを読み出し且つ高速MPEGデコーダ14に供給することによって、該符号化ビットストリームを高速にデコードし、切り換えスイッチ22に供給する。
【0085】
また同時に、CPUは次のステップS21による処理で、もう一方の従来の画像復号化装置1(図5参照)に対し、次のGOPのIピクチャからデコードを開始するように制御し、復号画像データを切り換えスイッチ22に供給する。
【0086】
その後、CPUは、次のステップS22による処理で図5に示す判定回路21とほぼ同様に出画判定を行う。つまり、データに含まれるPTSを用いてどちらのデコーダからの出力復号画像データの方が出画を早くできるか否かの判定を行う。この判定で、例えば前記ステップS20による処理で得られた復号出力画像データの方(装置11からの出力)が早く出画できると判定した場合には、ステップS23による処理で前記切り換えスイッチ22を切り換えて、この復号出力画像データを出力し、続くステップS24による処理で出画させる。一方、ステップS21による処理で得られた復号出力画像データの方(装置1からの出力)が早く出画できると判定した場合には、ステップS25による処理でこの復号出力画像データを出力させるように切り換えスイッチ22を制御し、続きステップS25による処理で出画させる。
【0087】
これにより、前記第3実施形態例と同様の効果を得ることが可能となる。
【0088】
次に、第8実施形態例における制御方法について説明する。
【0089】
構成としては、例えば図6に示す画像復号化装置を含むシステムに、これらの装置による復号処理動作を制御するとともに、その出力を選択して出力させるように制御することの可能なCPU(図示せず)が付加されたものである。CPUは、例えば図12に示す従来の画像復号化装置1とほぼ同一構成の画像復号化装置が複数並列に接続され、これらの装置からの出力画像データが供給される切り換えスイッチ23(図6参照)を選択制御する。これにより、切り変えられた映像の復号出力画像を出力させることが可能となり、すぐに表示することができる。
【0090】
具体的には、図10に示すようにCPUは、電源が投入されると制御動作を開始し、ステップS30による処理で全ての画像復号化装置(図6参照)にて複数映像の各符号化ビットストリームをそれぞれデコードさせる。この場合、前記第4実施形態例と同様に、例えば選択されている映像の符号化ビットストリームを復号している装置がある画像復号化装置であるとすると、その他の画像復号化装置は、選択されていない映像の符号かビットストリームの復号処理を行い、復号した画像データをそれぞれ対応する切り換えスイッチ23(図6参照)の入力端に供給する。この場合、CPUは、各復号化装置に対して選択していない映像をそれぞれ復号するように制御する。
【0091】
その後、ストリームの切り換えが発生すると、CPUはステップS31による処理でこれを認識し、続くステップS32による処理で前記切り換えスイッチ23(図6参照)に対し、映像の切り換えに対応する復号化装置の復号画像データを出力するように切り換えを制御する。つまり、CPUは、選択されていない映像については復号処理を施すものの表示はせず、選択された映像のみを表示するように制御する。
【0092】
したがって、このように制御することにより、前記第4実施形態例と同様に選択した映像の表示を即座に開始することが可能となる。
【0093】
尚、本発明の画像復号化方法の第5乃至第8実施形態例においては、該方法を実施するのに必要な構成として、図7に示す構成、あるいは図5及び図6に示示すシステムにCPUを付加した構成等を用いて説明したが、これに限定されることはなく、図8乃至図11に示すアルゴリズムが実行できるような構成であれば良い。また、CPUの制御動作の一例である各フローチャートは、主にストリームの切り換え発生時の動作例を示したものであり、実際に復号化を行う場合には、一般的に用いられている復号化処理動作を行う下位の各種サブルーチン(図示せず)に基づき復号処理動作が行われるようになっている。
【0094】
また、本発明に係る各実施形態例においては、復号化処理を行うデータとして、主に映像の符号化ストリームである場合について説明したが、これに限定されることはなく、例えば、音声やプライベートストリーム等が一緒に含まれた符号化データを復号する場合でも実施可能である。この場合、各図面には記載されていないが、映像以外のデコード回路を設けることも必要である。
【0095】
また、本発明に係る各実施形態例においては、1GOP分さかのぼって保持する場合について説明したが、これに限定されることはなく、例えば直近のIピクチャからさかのぼって保持するように方法でもかまわない。
【0096】
さらに、本発明に係る実施形態例においては、復号化制御の実行に際し、符号化ビットストリーム中に含まれる時間情報などの表示時間情報を用いた場合について説明したが、これに限定されることはなく、この符号化ビットストリーム中に含まれる他の情報、例えばデコード開始時間情報等を用いるようにしても良い。
【0097】
【発明の効果】
以上、述べたように本発明によれば、選択する圧縮符号化ビットストリームを切り換えた際に、従来は次のGOPのIピクチャが供給されるまで切り換え後の復号画像の表示が開始することができなかったが、本発明によればすぐに復号を開始し、表示時間が一致した時点で復号画像の表示を開始することができるため、表示開始までの平均的な所要時間を高速な復号化装置を用いるほど短縮できるという効果を得る。また、短時間に表示できる方法を選択することにより、遅くても従来なみの所要時間で表示開始できるという効果がある。さらに、選択していないストリームも復号し、表示を切り換えることにより、すぐに表示が可能となる効果もある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る画像復号化装置の第1実施形態例を示すブロック図。
【図2】図1に示す装置の動作を説明するための表示タイミングチャート。
【図3】本発明に係る画像復号化装置の第2実施形態例を示すブロック図。
【図4】図2に示す装置の動作を説明するための表示タイミングチャート。
【図5】本発明に係る画像復号化装置の第3実施形態例を示すブロック図。
【図6】本発明に係る画像復号化装置の第4実施形態例を示すブロック図。
【図7】本発明の第5及び第6実施形態例にて使用する画像復号化装置を示すブロック図。
【図8】第5実施形態例の画像復号化方法を説明するためのフローチャート。
【図9】第6実施形態例の画像復号化方法を説明するためのフローチャート。
【図10】第7実施形態例の画像復号化方法を説明するためのフローチャート。
【図11】第8実施形態例の画像復号化方法を説明するためのフローチャート。
【図12】従来の画像復号化装置の一例を示すブロック図。
【図13】図12に示す装置に含まれるMPEGデコーダの構成例を示すブロック図。
【図14】図12に示す従来装置の動作・問題点を説明するための表示タイミングチャート。
【符号の説明】
11,31…画像復号化装置、12…入力端子、13…デマルチプレクサ、
14…高速MPEGデコーダ、15…バッファ、16…出力端子、
20,21…判定回路、22,23…スイッチ手段、32…CPU。
Claims (6)
- 入力された複数の映像を含む符号化ビットストリームから任意の映像の符号化ビットストリームを選択する選択手段と、
前記選択手段により選択された符号化ビットストリームを通常の復号速度よりも少なくとも2倍速以上の復号速度で復号可能な復号手段と、
前記選択手段により選択されていない映像の符号化ビットストリームの少なくとも1GOP分をさかのぼって、この1GOPの先頭のIピクチャから保持する記憶手段と、
前記選択手段による選択,前記復号手段による復号及び前記記憶手段における書き込み、読み出しを制御するもので、選択する映像を切り換えた場合には、前記記憶手段に保持された少なくとも1GOP分さかのぼった符号化ビットストリームの前記1GOPの先頭のIピクチャから読み出して前記復号手段に供給して通常の復号速度よりも少なくとも2倍速以上の復号速度で復号させるとともに、この復号したデータの内、前記符号化ビットストリームに含まれる時間情報が現在時刻と一致したときに対応するピクチャの復号したデータを表示手段に出力するように制御する復号制御手段と、
を具備したことを特徴とする画像復号化装置。 - 前記復号制御手段は、
現在時刻と入力された前記符号化ビットストリームに含まれる時間情報とを比較することで、比較の結果が、前記記憶手段から1GOP分さかのぼった符号化ビットストリームを読み出して復号を行い出画したほうが映像の表示開始時刻が早くなる場合には、前記記憶手段から1GOP分さかのぼった符号化ビットストリームを読み出して復号を行うと判定し、比較の結果が、前記選択手段からの符号化ビットストリームをそのまま復号して出画したほうが映像の表示開始時刻が早くなる場合には、前記選択手段からの符号化ビットストリームをそのまま復号すると判定し、判定結果に基づく復号処理を行うように制御することを特徴とする請求項1に記載の画像復号化装置。 - 前記入力された複数の映像を含む符号化ビットストリームの内、所定の符号化ストリームを選択して復号する他の復号手段と、この他の復号手段の出力と前記復号手段の出力とのどちらか一方に切り換えて出力可能な切り換え手段とを付加して構成されたもので、
前記復号制御手段は、これらの復号手段の出力信号または復号手段による復号が完了し表示可能になった映像を特定する情報を監視することで、前記それぞれの復号手段から得られる最新の表示可能映像の前記情報が、先に現在の時刻に追いついた方が最初に出画できる方の復号手段と判定し、判定結果に基づいて前記切り換え手段を制御することを特徴とする請求項1に記載の画像復号化装置。 - 入力された複数の映像を含む符号化ビットストリームから任意の映像の符号化ビットストリームを選択する選択処理と、
前記選択処理により選択された符号化ビットストリームを通常の復号速度よりも少なくとも2倍速以上の復号速度で復号可能な復号処理と、
前記選択処理により選択されていない映像の符号化ビットストリームの少なくとも1GOP分をさかのぼって、この1GOPの先頭のIピクチャから保持するための記憶処理と、
前記選択処理による選択,前記復号処理による復号及び前記記憶処理における書き込み、読み出しを制御するもので、選択する映像を切り換えた場合には、前記記憶処理によって保持された少なくとも1GOP分さかのぼった符号化ビットストリームの前記1GOPの先頭のIピクチャから読み出して前記復号処理を用いて通常の復号速度よりも少なくとも2倍速以上の復号速度で復号させるとともに、この復号したデータの内、前記符号化ビットストリームに含まれる時間情報が現在時刻と一致したときに対応するピクチャの復号したデータを表示処理に出力するように制御する復号制御処理と、
を含んだことを特徴とする画像復号化方法。 - 前記復号制御処理は、
現在時刻と入力された前記符号化ビットストリームに含まれる時間情報とを比較することで、比較の結果が、前記記憶処理により保持された1GOP分さかのぼった符号化ビットストリームの復号を行い出画したほうが映像の表示開始時刻が早くなる場合には、前記記憶処理により保持された1GOP分さかのぼった符号化ビットストリームの復号を行うと判定し、比較の結果が、前記選択処理からの符号化ビットストリームをそのまま復号して出画したほうが映像の表示開始時刻が早くなる場合には、前記選択処理からの符号化ビットストリームをそのまま復号すると判定し、判定結果に基づく復号処理を行うように制御することを特徴とする請求項4に記載の画像復号化方法。 - 前記入力された複数の映像を含む符号化ビットストリームの内、所定の符号化ストリームを選択して復号する他の復号処理と、この他の復号処理の出力と前記復号処理の出力とのどちらか一方に切り換えて出力可能な切り換え処理とを付加したもので、
前記復号制御処理は、これらの復号処理の出力または復号処理による復号が完了し表示可能になった映像を特定する情報を監視することで、前記それぞれの復号処理から得られる最新の表示可能映像の前記情報が、先に現在の時刻に追いついた方が最初に出画できる方の復号処理と判定し、判定結果に基づいて前記切り換え処理を制御することを特徴とする請求項4に記載の画像復号化方法。
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