JP4235957B2 - 弾球遊技機 - Google Patents
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Description
【産業上の利用分野】
本発明は、弾球遊技機に備えられている図柄表示装置に図柄を表示する技術に関する。
【0002】
【従来の技術】
最近の弾球遊技機の盤面上には、一般的にCRTや液晶表示装置等の図柄表示装置が設けられている。この図柄表示装置には様々な図柄(文字情報を含む)が表示されるので、遊技者は現在の遊技状態等を認識することができる。例えば、図柄表示装置の画面表示をスロットマシーンに模擬し、複数のドラムからなるそれぞれのスロットに数字や果物などの図柄を現す。そして、遊技球が所定の領域を通過(又は入賞)すると、それぞれのドラムを所定期間だけ回転させる。この所定期間経過後、図柄表示装置に停止して表示された数字等の図柄が揃えば、「大当たり」の文字等を表示させる。このような電気的なくじ等を図柄表示装置で実現することにより、単に遊技球を入賞させる楽しみだけでなく、図柄表示装置を見る楽しみを提供することができる。
【0003】
従来の弾球遊技機では、上記のような図柄の表示態様を実現するために、図柄表示装置の表示画面と対応する単一のフレームメモリを備えていた。そして、図柄に対応する情報をフレームメモリに設定する(書き込む)ことによって、図柄表示装置の表示画面に所望の図柄を表示させていた。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、従来の弾球遊技機において、単一のフレームメモリには一つの図柄しか設定することができない。このため、図柄表示装置で多様な図柄を表示させるためには、対応する数(種類)の図柄の情報をあらかじめ用意しておくことが必要になる。また、記憶すべき図柄の数が増加するために、図柄を記憶させるための記憶装置の容量も多く必要になる。したがって、弾球遊技機の製造コストを高くする要因の一つになっていた。本発明はこのような点に鑑みてなされたものであり、その課題は表示に必要な図柄の数を減らすことにより記憶装置の容量を減らし、製造コストを低く抑えることである。また、他の課題は、簡単な表示制御により複数の図柄を合成して複雑な図柄を表示可能にするとともに、その表示に立体感を持たせることである。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本出願の請求項1に記載された発明は、
遊技状態の変化などにより図柄の情報を表示する必要性が生じたことを契機として、図柄表示装置に図柄を表示する弾球遊技機において、
弾球遊技機の全体を制御するメイン制御部と、前記図柄表示装置に表示する図柄を制御する映像制御部と、を備え、
前記メイン制御部には、遊技制御プログラムが記憶された第1ROMと、前記遊技制御プログラムを実行する第1CPUと、各種のデータあるいは入出力信号が記憶される第1RAMと、表示制御データを送るための第1の通信回路と、を備え、
前記遊技制御プログラムを実行する第1CPUには、前記遊技制御プログラムが記憶された第1ROMと、前記各種のデータあるいは入出力信号が記憶される第1RAMと、前記第1の通信回路と、を接続し、
前記映像制御部には、映像制御プログラムが記憶された第2ROMと、表示制御データを受け取るための第2の通信回路と、前記映像制御プログラムを実行する第2CPUと、前記図柄表示装置に図柄を表示させる映像コントローラと、前記図柄表示装置に図柄を表示するためのスプライト面に設定するための図柄の情報を複数種類記憶する第3ROMと、前記映像コントローラによって設定されるスプライト面を記憶する第2RAMと、を備え、
前記映像制御プログラムを実行する第2CPUには、前記映像制御プログラムが記憶された第2ROMと、前記第2の通信回路と、前記映像コントローラと、を接続するとともに、
前記映像コントローラには、前記スプライト面に設定するための図柄の情報を複数種類記憶する第3ROMと、前記スプライト面を複数種類記憶する第2RAMと、が接続され、
前記表示制御データは、遊技状態に応じて表示すべき図柄の情報を含む複数個のデータで構成されたコマンドブロックからなり、
前記映像制御プログラムを実行する第2CPUは、前記メイン制御部から送られた前記表示制御データを第2の通信回路を介して受け取り、受け取った表示制御データの前記コマンドブロックを解析して指令データを前記映像コントローラに送り、
前記映像コントローラは、前記複数種類のスプライト面のうち、少なくとも二つのスプライト面を任意に指定可能なスプライト指定手段と、該スプライト指定手段によって指定されたスプライト面に図柄を設定し、又は同一のスプライト面に図柄の情報を張り合わせる図柄設定処理、及び複数のスプライト面を組み合わせる組合せ処理をそれぞれ実行するスプライト面設定手段と、を備え、
前記映像コントローラは、前記指令データに従って、前記スプライト指定手段によって前記遊技状態に応じて表示すべきスプライト面を選択し、当該スプライト面に設定すべき図柄の情報を前記第3ROMから読みだして前記スプライト面設定手段による図柄設定処理及び組合せ処理を実行して前記第2RAMに記憶させ、当該第2RAMに記憶されたスプライト面を映像コントローラ内のワーク領域に転送して表示優先順位に従って映像合成し、その合成した図柄を前記図柄表示装置に表示させる構成とする。
【0006】
ここで、「図柄」という場合には、例えば果物などの図柄に限らず、文字や記号等のように遊技者や遊技場関係者に伝達するために必要な各種シンボルを含むものとする。
【0007】
【作用】
請求項1の発明によれば、図柄の情報を表示する必要性が生じたことを契機にメイン制御部から送られた表示制御データを映像制御部が受けると、この表示制御データに基づいた指令データを映像コントローラに送る。この指令データを受けた映像コントローラは、遊技状態に応じて表示すべきスプライト面を選択し、当該スプライト面に設定すべき図柄の情報を第3ROMから読みだしてスプライト面設定手段による図柄設定処理及び組合せ処理を実行して第2RAMに記憶させ、当該第2RAMに記憶されたスプライト面を映像コントローラ内のワーク領域に転送して映像合成し、その合成した図柄を図柄表示装置に表示させる。したがって、画像表示装置に図柄を表示させるための処理は、メイン制御部から映像制御部に表示制御データを送るだけでよい。また、表示に必要な図柄の情報は最小限に抑えられるので、この図柄を記憶する記憶装置の容量も低く抑えることが可能になる。
【0008】
【実施例】
以下、本発明の一実施例を図面に基づいて説明する。なお、この実施例において、図1に示す複数のスプライト面12,14,…,1m(すなわち、スプライト面群)には、重ねて表示するときの優先順位があらかじめ定められている順序が付与されているものとする。また、その順序の間における任意の順序が指定可能なスプライト面には、バックグラウンド面を適用する。
【0009】
ここで、複数のスプライト面12,14,…,1mは記憶装置内に構成されており、図柄の情報を記憶した「情報領域」をいう。この情報領域は「仮想領域」とも呼ばれ、任意の大きさ(例えば、ドット数)をなす形状領域である。また、図柄表示装置の表示画面と同一又は一部の形状領域を「表示領域」とする。この表示領域は、任意の時期に、情報領域内外を問わず任意の位置に指定し、配置させることができる。このため、情報領域に設定(書き込み)された図柄の情報のうち、表示領域内にある図柄の情報のみが図柄表示装置に表示される。
【0010】
また、バックグラウンド面は一面を背景色で表示するための画面であって、上記複数のスプライト面12,14,…,1mと同様に記憶装置に構成される情報領域である。また、スプライト面とバックグラウンド面内におけるそれぞれの情報領域と表示領域の大きさ(ドット数)は、あらかじめ定められた大きさであるものとする。
【0011】
図2は、弾球遊技機に設けられているメイン制御部と映像制御部の構成を示すブロック図であって、本発明を実施するために必要な最小限の構成を示す。図において、メイン制御部100は弾球遊技機全体の制御を行うものであって、CPU110、ROM102、RAM104および通信回路112によって構成されている。また、映像制御部200は液晶表示装置300の画面表示を制御するものであって、CPU210、ROM204,212、RAM206、通信回路202、映像コントローラ216およびD/Aコンバータ218によって構成されている。
【0012】
ここで、液晶表示装置300は図柄表示装置の一つであって、弾球遊技機の遊技盤面に備えられている。この液晶表示装置300には、東芝社製のLCDモジュール「TFD40W11」が適切である。なお、図柄表示装置は液晶表示装置300に限らず、CRT、7セグメントLEDおよびLED表示装置(具体的には、矩形領域内にLEDを格子状に配置した図柄表示装置である)等のように、図柄が表示可能な他の図柄表示装置を適用することもできる。
【0013】
まず、メイン制御部100の構成について説明する。CPU110は、ROM102に格納された遊技制御プログラムに従って弾球遊技機の全体を制御する。ROM102にはコストを低く抑えるためにEPROMが使用され、上記遊技制御プログラムの他に、液晶表示装置300に表示させるための図柄を映像制御部200に指令する映像指令プログラム等が格納されている。なお、ROM102はEPROMに限らず、EEPROMやフラッシュRAM等の記憶装置を使用してもよい。また、RAM104にはアクセス速度を速くするためにDRAMが使用され、各種のデータあるいは入出力信号が格納される。なお、このRAM104はDRAMに限らず、SRAMやフラッシュRAM等の記憶装置を使用してもよい。
【0014】
さらに、通信回路112は映像制御部200との間でデータの相互伝送を行う回路であって、CPU110からバス114を介して送られた送信データを通信回線を通じて映像制御部200に送るとともに、映像制御部200から通信回線を通じて送られてきた受信データをバス114を介してCPU110に送る。ここで、送信データは現在の弾球遊技機の遊技状態に応じて送られるデータであって、液晶表示装置300に表示させる図柄等を指定するためのコマンドブロック(詳細は後述する)を含む。なお、上記各構成要素は、いずれもバス114に互いに結合されている。
【0015】
次に、映像制御部200の構成について説明する。CPU210はROM212に格納された映像制御プログラムに従って、メイン制御部100から通信回線を通じて送られてきた送信データ(後述するコマンドブロックを含む)を解析し、必要な指令データをバス214を介して映像コントローラ216に送る。なお、ROM102と同様に、ROM212にはコストを低く抑えるためにEPROMを使用するが、これに限らずEEPROMやフラッシュRAM等の記憶装置を使用してもよい。また、通信回路202は上記通信回路112と同様の動作を行う回路であって、メイン制御部100との間で送受信データの伝送を行う。
【0016】
映像コントローラ216は情報合成手段40の一つであって、複数のスプライト面とバックグラウンド面に格納されている図柄の情報を合成し、液晶表示装置300に表示させるためのコントローラである。この映像コントローラ216には、AmTEC社製の「TFT−GA」が適切である。また、映像コントローラ216の内部には上記の情報合成を行う処理を実現するためのメモリを備えている。そのメモリマップを図3に示し、その説明は後述する。なお、上記映像コントローラ216には、ROM204、RAM206およびD/Aコンバータ218が接続されている。
【0017】
ROM204はROM102等と同様にコストを低く抑えるためにEPROMが使用され、遊技状態等に応じて表示するための図柄の情報であって、複数のスプライト面12,14,…,1mやバックグラウンド面に設定する図柄の情報(動画のための図柄の情報をも含む)が記憶されている。なお、ROM204はEPROMに限らず、EEPROMやフラッシュRAM等の記憶装置を使用してもよい。
【0018】
また、RAM206はスプライト面群情報記憶手段10の具体的な記憶装置であって、高速型のDRAMが使用される。このRAM206には、複数のスプライト面12,14,…,1mやバックグラウンド面の一つ一つの面に対応する情報領域を備えている。ここで、一つのスプライト面は、所定の形状領域(例えば、横方向240ドット×縦方向416ドットの矩形領域)を構成するように、RAM206内にその情報領域が確保されている。このようなスプライト面は、所定面数(例えば、256面)だけ用意されている。また、所定面数についてそれぞれのスプライト面には、液晶表示装置300に重ねて表示するときの順序(すなわち、あらかじめ定められている優先順位)が付与されており、例えば順序「1」が最も高く、数値が大きくになるにつれて低くなるものとする。
【0019】
さらに、D/Aコンバータ218は、映像コントローラ216から合成して送られた図柄の情報(図1に示す合成された情報42に対応し、具体的にはディジタルの映像データ)をアナログ信号に変換して液晶表示装置300に送るための信号変換装置である。なお、上記各構成要素は、ROM204、RAM206およびD/Aコンバータ218を除いていずれもバス214に互いに結合されている。
【0020】
次に、映像コントローラ216の内部に備えられているメモリのメモリマップを図3に示し、これを参照しつつ説明する。図3において、メモリマップ400は、ROM領域402、ワーク領域404、画面モードテーブル領域406、スプライトテーブル領域408、キャラクタテーブル領域410およびパレットテーブル領域412に大きく分けられる。
【0021】
ROM領域402は映像コントローラ216の全体を制御するための映像合成プログラムが格納されている領域である。また、ワーク領域404は、複数のスプライト面やバックグラウンド面の情報に従って映像合成を行うための領域である。上記の映像合成プログラムは映像コントローラ216によって実行され、CPU210からバス214を介して送られた指令データに従って画面モードテーブル領域406に必要なデータを設定したり、ワーク領域404において映像合成のための論理演算を行なったりする。
【0022】
ここで、メモリマップ400に確保された画面モードテーブル領域406、スプライトテーブル領域408、キャラクタテーブル領域410およびパレットテーブル領域412の各領域について、具体的なテーブルの内容を図3と合わせて図4を参照しつつ説明する。図4(A)において、画面モードテーブル領域406には画面モードテーブル406aが設けられており、最終的に映像の情報合成を行う際に必要なデータの指定を行う。この画面モードテーブル406aには、モザイク表示を行うか否かを指定するモザイクスイッチ、バックグラウンド面の色(背景色)の指定、バックグラウンド面内における表示領域の表示開始位置を指定する表示位置座標、バックグラウンド面を何番目のスプライト面の前に置くかを指定するプライオリティの各データを指定する。
【0023】
図4(B)において、スプライトテーブル領域408は所定面数について一のスプライト面ごとにスプライトテーブル408aが設けられており、一のスプライト面ごとの表示処理の指定を行う。このスプライトテーブル408aには、スプライト面の表示/不表示を指定する表示スイッチ、表示する図柄の色を指定(具体的には、後述するパレットテーブル領域412に設けられているパレットテーブル412aの番号で指定)するパレット番号、スプライト面に表示する動画(あるいは図柄)を指定する動画番号、スプライト面内における表示領域の表示開始位置を指定する表示位置座標、他のスプライト面を組み合わせるための組み合わせ枚数の各データを指定する。
【0024】
図4(C)において、キャラクタテーブル領域410は所定面数について一のスプライト面ごとにキャラクタテーブル410aが設けられており、対応するスプライト面に設定する図柄の内容を特定する番号を指定する。このキャラクタテーブル410aには、対応するスプライト面に張りつけて表示する図柄を図柄番号で指定する。
【0025】
図4(D)において、パレットテーブル領域412は所定面数について一のスプライト面ごとにパレットテーブル412aが設けられており、対応するスプライト面に設定する図柄の色を指定する。このパレットテーブル412aには、所定数(例えば、4)の色をカラーコードで指定する。なお、図柄の色は液晶表示装置300で表示可能な色であって、透過して他のスプライト面が見える「透明色」をも含むものとする。
【0026】
ここで、上記画面モードテーブル406a内のプライオリティは、順序が付与されているスプライト面群の間における任意の順序を指定可能にするための具体的な手段である。また、スプライトテーブル408a内の表示スイッチはスプライト面指定手段20を具体化したものであり、表示位置座標は領域指定手段30を具体化したものである。
【0027】
次に、本発明を実現するための処理手順について、図5乃至図16を参照しつつ説明する。ここで、図5,図7および図8の各図は、本発明を実施するための処理手順を示すフローチャートである。これらの処理手順において、図5のステップS10乃至ステップS14については、図2に示すメイン制御部100のROM102に格納された遊技制御プログラムをCPU110が実行することによって実現される。また、図5のステップS20乃至ステップS28については図2に示す映像制御部200のROM212に格納された映像制御プログラムをCPU210が実行することによって実現される。さらに、その他の処理ステップついては図2に示す映像コントローラ216のROM領域402に格納された映像合成プログラムを実行することによって実現される。なお、これらの一連の処理は、新たに合成された図柄の情報を液晶表示装置300に表示するごとに実行され、次回の実行がなされるまで同一の図柄の情報を表示し続けるものとする。
【0028】
図5において、遊技状態の変化などにより液晶表示装置300に図柄の情報を表示する必要性が生ずると、まず映像制御部200に送るコマンドブロックの設定を行う(ステップS10)。このコマンドブロックの具体的な内容について、図6を参照しつつ説明する。図6(A)には、コマンドブロック500の一例を示す。このコマンドブロック500は固定長のデータブロックであり、要素502,504,506,508,…,510,530によって構成されている。なお、コマンドブロック500は固定長に限らず、可変長のデータブロックであってもよい。この場合には、ブロックの長さを一要素の内容として持たせたり、ブロックの最終端を認識できるようなデータ列にする必要がある。
【0029】
要素502,504,506,508,…には、液晶表示装置300の表示画面を所定数(例えば、6)に区分した各々の区画に対応して、表示する図柄の番号を指定する。なお、この区画は表示画面を均一(または不均一)に区分し、表示する領域を要素の順番に対応させ、あらかじめ固定したものである。また、要素530には、要素502,504,506,508,…,510で指定された各データの内容を合計した値、すなわちチェックサムを格納する。この要素530により、メイン制御部100から映像制御部200へコマンドブロック500が正常に伝送されたか否かを検査することができる。
【0030】
要素510に指定する内容はメイン制御部100側の現在の状態を映像制御部200側に伝えるための情報(ステータス)であって、その一例を図6(B)のステータス一覧510に示す。具体的には、要素510に指定するデータ長は8ビットであり、最上位ビット514(D7)には現在の確率状態を示し、中位ビット516(D6〜D4)にはメイン制御部100側の現在の遊技状態512を示し、下位ビット518(D3〜D0)には表示内容520をそれぞれ示す。
【0031】
ここで、図6(B)に示すように、最上位ビット514には、例えば高確率のときは「1」、普通確率のときは「0」を指定する。また、遊技状態512として、電源投入時は「0」、図柄変動時は「1」、図柄変動におけるリーチ時は「2」、大当たり時は「3」、不正発生時は「4」をそれぞれ指定する。さらに、表示内容520には、遊技状態512が図柄変動時における場合、特別図柄の停止時は「0」、特別図柄の変動時は「1」をそれぞれ指定する。このように、要素510はメイン制御部100側の現在の状態を映像制御部200側に伝えることによって、その現在の遊技状態に最適な図柄の内容を表示することを指令することができる。
【0032】
図5に戻り、ステップS10でコマンドブロック500が設定されると、映像制御部200に送信する(ステップS12)。映像制御部200は、このコマンドブロック500を受信すると(ステップS20)、正常に受信したか否かを検査する(ステップS22)。具体的には、実際に送信されたコマンドブロック500における要素502,504,506,508,…,510で指定された各データの内容を合計した値と、要素530に示すチェックサムの値とが一致するか否かで判断する。
【0033】
もし、ステップS22において正常に受信しなかったと判断した場合には(NO)、メイン制御部100にコマンドブロック500を再送するように要求する(ステップS24)。この再送要求を受けると(ステップS14)、メイン制御部100ではコマンドブロック500を再設定した後に(ステップS10)、このコマンドブロック500を再送信する(ステップS12)。
【0034】
一方、ステップS22において正常に受信したと判断した場合(YES)には、送信されてきたコマンドブロック500で指定された内容に従ってデータテーブルの設定を行う(ステップS26)。このデータテーブルの設定は、コマンドブロック500の要素502,504,506,508,…で指定された図柄を適切に表示するために、図4に示す画面モードテーブル406a、スプライトテーブル408a、キャラクタテーブル410aおよびパレットテーブル412aに必要なデータを設定する。
【0035】
その後、画面表示処理を行う(ステップS28)。この画面表示処理の具体的な処理内容について、図7乃至図12を参照しつつ説明する。まず、図7において、上記ステップS26において設定された画面モードテーブル406a、スプライトテーブル408a、キャラクタテーブル410aおよびパレットテーブル412aの内容に従ってスプライト面に図柄の情報を設定する(ステップS40)。この設定は全てのスプライト面の一つ一つについて行われ、その具体的処理は図8を参照しつつ説明する。なお、図8に示す処理手順は、連続表示手段(後述する)を具体化したものである。
【0036】
図8において、まず、設定の対象となるスプライト面が指定されているか否かを検査する(ステップS60)。具体的には、図3に示すスプライトテーブル領域408内にスプライト面ごとに設けられているスプライトテーブル408aについて、このテーブル内の表示スイッチを参照して判断する。このとき、「不表示」が指定されていた場合には(NO)、当該スプライト面について本処理手順を終了する。一方、スプライトテーブル408a内の表示スイッチに「表示」が指定されていた場合(YES)には、スプライト面の指定を行う(ステップS62)。具体的には、対応するスプライト面(すなわち、図2に示すRAM206の一領域)とアクセスできるようにポインタの設定等を行う。
【0037】
次に、図柄の情報を設定するか否かを検査する(ステップS64)。具体的には、図4(C)に示すキャラクタテーブル410a内の動画番号が所定範囲内にあるか否かを判断する。この動画番号は、図9に示す動画テーブル群600における各々の動画テーブルに付された番号である。なお、動画テーブル群600は、図2に示すROM204(あるいは、RAM206)にあらかじめ格納されている。また、以下に示す記号j,k,m,nは、いずれも自然数である。
【0038】
この動画テーブル群600は、k個の動画テーブル610,620,…,6k0によって構成されている。例えば、コマンドブロック500の各要素について、動画番号として「1」が指定された場合には動画テーブル610が対応し、動画番号として「2」が指定された場合には動画テーブル620が対応し、動画番号として「k」が指定された場合には動画テーブル6k0が対応する。
【0039】
また、各動画テーブルは、例えば、動画テーブル610は画面数612とj個の図柄番号614,616,…,61jによって構成されている。同様に、動画テーブル620は画面数622とm個の図柄番号624,626,…,62mによって構成され、動画テーブル6k0は画面数6k2とn個の図柄番号6k4,6k6,…,6knによって構成されている。以下、本明細書において「動画テーブル」という場合には、上記動画テーブル610,620,…,6k0のうちのいずれか一つの動画テーブルをいうものとする。上記の画面数612には動画表示を行うための図柄の数が格納され、図柄番号614,616,…,61jの要素数に対応する。すなわち、画面数612には、値として「j」が格納される。同様に、画面数622には値として「m」が格納され、画面数6k2には値として「n」が格納される。
【0040】
図8に戻り、ステップS64における検査は動画番号が所定範囲にあるか、上記の動画テーブル群600の構成では「1」から「k」までの範囲内にあるか否かで判断する。もし、ステップS64において動画番号として「0」が指定されていた場合には(NO)、図柄を表示するための処理を行わずにステップS68に進む。
【0041】
一方、上記所定範囲内の動画番号が設定されていた場合(YES)には、その動画番号で指定された動画テーブルが図9に示す動画テーブル群600の中から選択される。さらに、選択された動画テーブルについて、最初に指定された図柄番号に対応する図柄の情報をROM204からスプライト面に転送する(ステップS66)。この場合に、転送されるスプライト面は、コマンドブロック500内で指定された要素の順位と要素510の内容によって、いずれかのスプライト面を選択するかがあらかじめ定められている。例えば、電源投入時には、1番目の要素で指定された順序のスプライト面が選択される。この図柄の情報の転送によって、例えば図10(A)のスプライト面700上にある数字「7」のようになる。
【0042】
そして、ステップS62で指定されたスプライト面と同じ画面に、他の図柄を張り合わせるか否かを検査する(ステップS68)。具体的には、上記スプライトテーブル410a内の図柄番号が、ステップS64の場合と同様に所定範囲内にあるか否かを判断する。このとき、図柄番号に所定範囲以外の値が指定されていた場合には(NO)、図柄を張り合わせるための処理を行わずにステップS72に進む。
【0043】
一方、上記所定範囲内の図柄番号が設定されていた場合(YES)には、その図柄番号に対応する図柄の情報をROM204からスプライト面に転送する(ステップS70)。この転送の際には、先にステップS66で設定された図柄上に重ねるようにして転送する。この処理によって、例えば図10(A)のスプライト面700上にある数字「7」に図柄800が重ね合わされる。なお、ステップS70の実行によって、図10(B)に示すように、液晶表示装置300の表示画面302には、スプライトテーブル408a内の表示位置座標P10を基準点とする表示領域750(この表示領域は、あらかじめ定められた大きさの矩形領域である)が表示される。
【0044】
さらに、ステップS62で指定されたスプライト面に、他のスプライト面を組み合わせるか否かを検査する(ステップS72)。具体的には、上記スプライトテーブル408a内の組み合わせ枚数が「0」より大きいか否かで判断する。なお、上記の組み合わせ枚数には、他のスプライト面の表示領域を一のスプライト面の表示領域に重ね合わせる「重ね合わせ枚数」と、タイルのように複数のスプライト面における表示領域を縦横方向に並び合わせる「並び合わせ枚数」がある。ここで、重ね合わせ枚数の指定によって一のスプライト面の表示領域に重ね合わせられた他のスプライト面の表示領域は固定されるため、これらの図柄の相対的な位置も変化しなくなる。また、並び合わせ枚数の指定は、複数のスプライト面における表示領域を図柄表示装置の画面上に並列に配置して表示する方法を具体的に実現するものである。
【0045】
このとき、組み合わせ枚数に「0」より大きな値が指定されていた場合(YES)には、スプライト面の組み合わせ処理を行い(ステップS74)。その後は、組み合わせ枚数に「0」が指定されていた場合(NO)と同様に、次のスプライト面について上記と同様の処理を行うためにステップS60に戻る。この場合、上記のステップS60乃至ステップS74の処理を所定面数のスプライト面ごとに繰り返し(ステップS60)、その後に本処理手順を終了する。
【0046】
ここで、ステップS74におけるスプライト面の組み合わせ処理は、上記組み合わせ枚数(重ね合わせ枚数と並び合わせ枚数)に従って決定される。例えば、重ね合わせ枚数が「2」の場合は、図11(A)に示すように、液晶表示装置300の表示画面302には表示領域752と表示領域754が重ねて表示される。同様に、図12(A),図12(B),図12(C)に示すように、連続的に順序づけされたスプライト面についてそれぞれの表示領域780,782,784があると仮定する。このとき、表示領域780を基準として重ね合わせる場合には、表示画面302(又はその一部)には図12(D)に示すように重ね合わせて表示される。
【0047】
また、並び合わせ枚数が横方向に「2」の場合は、図11(B)に示すように、液晶表示装置300の表示画面302には表示領域756と表示領域758がタイルのように横方向に並べて表示される。同様に、並び合わせ枚数が縦方向に「2」の場合は、表示領域756と表示領域760が縦方向に並べて表示される。さらに、並び合わせ枚数が横方向に「3」が指定され、縦方向に「2」が指定されている場合には図11(C)のように表示される。この場合でも、表示領域762,764,766,768,770,772の各々の表示領域において、重ね合わせ枚数を指定することにより任意の数のスプライト面を重ね合わせて表示することもできる。
【0048】
図7に戻り、ステップS40でスプライト面の設定が終わった後は、バックグラウンド面の設定を行う(ステップS42)。具体的には、図3に示す画面モードテーブル領域406に設けられている画面モードテーブル406aのプライオリティを参照し、バックグラウンド面を何番目のスプライト面の前に置くかを設定する。そして、図3のRAM206に設定された複数のスプライト面やバックグラウンド面を映像コントローラ216内のワーク領域404に転送し、ラスタスキャンにより映像合成を行い、D/Aコンバータ218を通じて液晶表示装置300に送る。こうした手順によって合成された図柄の情報に対応する映像が表示される(ステップS44)。
【0049】
その後、図柄を変動させるか否かを検査する(ステップS46)。具体的には、図6(A)に示すコマンドブロック500の要素510において、図6(B)に示す遊技状態512が図柄変動時の「1」又は図柄変動におけるリーチ時の「2」等が指定されたか否かによって判断する。もし、図柄を変動させないと判断した場合には(NO)、本処理手順を終了する。この場合、液晶表示装置300の表示画面302にはステップS44によって行われた図柄が表示され続ける。
【0050】
一方、ステップS46において図柄を変動させると判断した場合(YES)には、図4(B)に示すスプライトテーブル408a内に指定された動画番号に対応する動画テーブルの次の要素(図柄番号)にポインタを設定する(ステップS48)。なお、この処理ステップを初めて実行する場合には、動画テーブルにおける2番目の図柄番号にポインタを設定する。例えば、図9に示す動画テーブル610では、ポインタを図柄番号616に設定する。あるいは、既に表示した図柄をカウントする表示カウンタの値を初期化(例えば、「0」)する。
【0051】
そして、スプライト面の設定(ステップS50)、バックグラウンドの設定(ステップS52)および画面合成表示(ステップS54)の順に処理が実行される。なお、これらの処理は、順にステップS40,S42,S44と同様であるので、説明を省略する。その後、変動が終わりか否かをチェックする(ステップS56)。具体的には、上記表示カウンタの値が、動画テーブルの画面数を超えたか否かで判断する。あるいは、動画テーブル内の図柄番号を指定するポインタが、動画テーブル内の最終の要素(図柄番号)を超えたか否かで判断する。
【0052】
もし、変動が終わりと判断した場合(YES)には本処理手順を終了し、変動が終わりと判断しない場合(NO)にはステップS48乃至ステップS56を繰り返す。このように、ROM204に格納されている図柄の情報をスプライト面やバックグラウンド面に転送することによって、液晶表示装置300の表示画面302に所望の図柄を表示することができる。また、少しずつ図柄が異なる複数の図柄の情報について連続的に表示を行うことにより動画(すなわち、アニメーション表示)を実現することができる。なお、同じ動画を繰り返して表示する場合には、ステップS54を実行した後、強制的にステップS48に戻すようにすればよい。この場合には、ステップS56が不要になる。この手順を実行すれば、同じ動画の繰り返し表示が可能になり、かつメイン制御部100からの指令も簡単に行える。
【0053】
したがって、複数のスプライト面12,14,…,1mの中から表示に必要なスプライト面をスプライト面指定手段20により指定し、これらのスプライト面を情報合成手段40により情報を合成して図柄表示装置に表示するので、表示に必要な図柄の情報は最小限に抑えられる。同時に、その指定の方法に応じて複雑な組み合わせによる多種多様の表示態様が実現できる。こうして、多様なアニメーション表示を行う場合にも、複数の図柄を合成させたり、スプライト面上で表示領域を移動させたりするだけで簡単に実現できる。また、アニメーション表示に必要な図柄も最小限に抑えられ、その表示のための制御処理も簡単になる。この場合、記憶装置の容量を小さいものにすることができ、表示の制御も簡単に実現できるので、弾球遊技機の製造コストを低く抑えることができる。
【0054】
また、スプライト面指定手段20によって指定されたスプライト面22,…,2nについて、このスプライト面内の表示させたい領域を領域指定手段30により指定する。こうして指定された情報の領域32,…,3nは、情報合成手段40によって合成され、合成された情報42に対応した図柄が図柄表示装置に表示される。このため、スプライト面内に指定する情報の領域を相対的に少しずつ移動させれば、図柄表示装置の画面上で各スプライト面に対応する図柄を相対的にスムーズに移動させることができる。
【0055】
さらに、バックグラウンド面は複数のスプライト面12,14,…,1mの間の任意の順序に指定できるように構成したので、図柄を前景側と背景側との間で(すなわち、図柄を表示画面の法線方向に対して)自在に移動させることができる。したがって、簡単な表示制御により立体感のある図柄を表示できるようになり、しかもより複雑な表示態様が可能になる。
【0056】
上記の実施例では、複数のスプライト画面を組み合わせる態様について説明したが、スプライト画面を組み合わせるだけでなく、他の様々な態様をも実現することができる。他の態様について、図13乃至図16を参照しつつ説明する。
【0057】
まず、表示領域は、図4(B)に示すスプライトテーブル408a内の表示位置座標を基準点とし、あらかじめ定められた大きさをなす矩形領域である。この表示位置座標は、例えば表示領域の左上点であって、その位置を変化させれば上記表示領域内に入る図柄の情報も変化する。このため、図柄表示装置の表示画面に対して相対的に図柄を移動(パニング)させることができる。
【0058】
具体的には、図13に示すように、スプライト面700において表示領域790は、表示位置座標を点P24に位置させると液晶表示装置300の表示画面302の全部(あるいは一部でもよい。以下、同様とする。)には図14(A)のように表示される。同様に、表示位置座標を点P22に位置させると図14(B)のように表示され、表示位置座標を点P20に位置させると図14(C)のように表示される。なお、図13に示す表示領域790は、領域の範囲を分かり易くするために水平方向に僅かながらずらしてあるが、本来はずれていないものである。
【0059】
ここで、上記の例では、表示画面302の全体に表示領域790を表示する態様としたが、図11(C)に示すように表示画面302を所定数に区分した区画(一般に、「ウィンドウ」と呼ばれる。)を設け、その区画の一つに上記表示領域790を表示する態様としてもよい。この区画は不均一(または均一)に区分されたものである。このように複数の区画を設けることによって、それぞれの区画で図柄の動き異ならせることができる。このため、より複雑な表示態様を実現することができる。
【0060】
したがって、点P24から点P20方向へ、すなわち図面上方向に向かって表示位置座標を小刻みに指定し、この表示領域790の表示をメイン制御部100から映像制御部200に指令すれば、スプライト面700上の図柄「7」が上記表示画面302(全部又は一部)の上側から下側へスクロールする態様が実現される。同様に、表示位置座標を点P20から点P24方向へ小刻みに指定すれば、スプライト面700上の図柄「7」が上記表示画面302の下側から上側へスクロールする態様が実現される。この態様は、左右方向や斜め方向についても同様である。このように、あるベクトル方向に向かって表示位置座標を小刻みに指定すれば、そのベクトル方向とは逆方向へ図柄を移動させる態様を実現することができる。このとき、刻み幅を大きくすればスクロールが速くなり、刻み幅を小さくすればスクロールが遅くなる。
【0061】
また、大きさが異なる相似図柄を相異なるスプライト面に設定し、この図柄を液晶表示装置300の表示画面302の全部(あるいは一部)に表示させる際にスプライト面を順番に切り替えて表示するように、メイン制御部100から映像制御部200に指令する。この指令によって、当該相似図形について拡大縮小の連続的なアニメーションを表示させることもできる。この一例を図15に示す。
【0062】
図15は図柄の拡大縮小を示す図である。図において、図15(A),図15(B)および図15(C)のそれぞれに示す相似図形をなす図柄「7」が、相異なるスプライト面に設定されている。したがって、これらの複数のスプライト面は、そのスプライト面ごとに相似な図柄を含んでいることになる。なお、実際には小刻みに拡大縮小率を変えて相似図形をなす図柄を相異なるスプライト面に設定する。この場合、図15(A)から図15(B)を経て図15(C)を表示するようにスプライト面を選択すれば、図柄「7」が次第に大きくなるように表示される。同様に、図15(C)から図15(B)を経て図15(A)を表示するようにスプライト面を選択すれば、図柄「7」が次第に小さくなるように表示される。
【0063】
さらに、傾きが異なる図柄を相異なるスプライト面に設定し、この図柄を液晶表示装置300の表示画面302の全部(あるいは一部)に表示させる際はスプライト面を順番に切り替えて表示するように、メイン制御部100から映像制御部200に指令する。この指令によって、当該図柄について回転の連続的なアニメーションを表示させることもできる。この一例を図16に示す。
【0064】
図16は図柄の回転を示す図である。図において、図16(A),図16(B)および図16(C)のそれぞれに示す同一図形をなす図柄「7」が、傾きを変えて相異なるスプライト面に設定されている。なお、実際には小刻みに傾き(角度)を変えて同一図形をなす図柄を相異なるスプライト面に設定する。この場合、図16(A)から図16(B)を経て図16(C)を表示するようにスプライト面を選択すれば、図柄「7」が左回りに回転するように表示される。同様に、図16(C)から図16(B)を経て図16(A)を表示するようにスプライト面を選択すれば、図柄「7」が右回りに回転するように表示される。
【0065】
なお、上記の説明では、図柄のベクトル方向への移動、図柄の拡大縮小、図柄の回転を個々に指令している。こうした個々の態様に限らず、ベクトル方向への移動と拡大縮小を組み合わせたり、図柄の拡大縮小と回転を組み合わせたり、図柄のベクトル方向への移動と図柄の回転を組み合わせたり、あるいは全ての態様を組み合わせることによって、多種多様の表示態様ができる。この場合、メイン制御部100側の処理は画面表示に必要なスプライト面を選択する指令を映像制御部200に行うだけでよく、前景側に表示された図柄に隠れる部分の図柄等を退避させておくなどの様々な処理が不要になる。このため、図柄表示装置の表示制御処理に必要な負担が大幅に減るので、弾球遊技機の製造コストを低く抑えることができる。
【0066】
以上に説明した他の態様では、複数のスプライト面12,14,…,1mの一つの面ごとに相似な図柄を含む構成にした場合には、表示の際には複数のスプライト面12,14,…,1mをスプライト面指定手段20によって順番に指定する制御を行えば、図柄が表示画面の法線方向に対して移動させることができる。このため、表示される図柄に立体感を持たせることができる。また、合成された情報42に対応した図柄のうち、少なくとも二つを図柄表示装置の画面上で並列に配置して表示するように構成した場合には、図柄表示装置の画面における表示態様が多彩になる。この場合、多彩な表示態様を実現するために必要な図柄は最小限に抑えることができる。
【0067】
以上では弾球遊技機の一実施例について説明したが、この表示制御装置におけるその他の部分の構造、形状、大きさ、材質、個数、配置および動作条件等についても、本実施例に限定されるものでない。例えば、上記実施例では、複数のスプライト面12,14,…,1m(すなわち、スプライト面群)には、重ねて表示するときの優先順位があらかじめ定められている順序が付与されているものとしたが、この順序は任意に指定可能に構成してもよい。また、その順序の間の任意の順序が指定可能なスプライト面にはバックグラウンド面を適用したが、複数のスプライト面12,14,…,1mのうちの少なくとも一つで指定可能に構成してもよい。いずれの構成も、具体的にはスプライトテーブル領域408にその順序を指定する項目を設けることによって実現される。これらの構成によって、前景側に表示させるか背景側に表示させるかを自在に設定することができるので、より複雑で多彩な画面形態を実現することができる。
【0068】
また、スプライト面とバックグラウンド面内におけるそれぞれの表示領域の大きさはあらかじめ定められた大きさとしたが、この表示領域の大きさを任意に指定可能に構成してもよい。具体的には、スプライトテーブル領域408に表示領域の大きさを指定する項目(例えば、矩形領域の場合には縦横の大きさや、対角線の長さ)を設けることによって実現される。さらに、表示領域の形状は矩形に限らず、円形(楕円や扇形を含む)や多角形等のように、弾球遊技機の遊技を表現するための任意形状であってもよい。
【0069】
図4(B)に示すスプライトテーブル408aと図4(C)に示すキャラクタテーブル410aでは、図柄の色を指定するためにテーブル内にパレット番号を指定する要素を含む構成としていた。この構成に代えて、図17に示すスプライトテーブル408bとキャラクタテーブル410bのように、テーブル内にパレット番号を指定する要素を含まない構成としてもよい。この構成では、色指定をする手間がなくなるので、図柄表示装置の表示制御処理に必要な負担をさらに減らすことができる。なお、上記の構成では、一又は二以上のスプライト面(あるいはバックグラウンド面)において、あらかじめ色指定(着色)しておいた図柄が表示できるように構成する必要がある。
【0070】
また、バックグラウンド面は単に背景色を表示するのみ(図7のステップS42)の構成としたが、スプライト面と同様の機能をなす構成としてもよい。この際、スプライト面の場合と同様に、バックグラウンドテーブル領域を図2に示す映像コントローラ216に設ける必要がある。このとき、図3に示すメモリマップに上記バックグラウンドテーブル領域が付加されることになる。また、図7のステップS42の具体的な処理手順を図18に示す。図18はバックグラウンド面の設定を行うための処理手順であって、基本的に図8に示すスプライト面の設定を行う処理手順と同様である。なお、図8を参照しつつ説明することとし、同一の機能の処理についての詳細な説明は省略する。
【0071】
図18において、まず、バックグラウンド面が指定されているか否かを検査する(ステップS80)。もし、バックグラウンドテーブル内の表示スイッチに「不表示」が指定されていた場合(NO)には本処理手順を終了する。一方、バックグラウンドテーブル内の表示スイッチに「表示」が指定されていた場合(YES)には、位置の指定を行う(ステップS82)。すなわち、どのスプライト面の前にバックグラウンド面を置くかを指定する。
【0072】
次に、図柄の情報を設定するか否かを検査し(ステップS84)、設定する場合(YES)には、その動画テーブル内の最初に指定されている図柄番号に対応する図柄をROM204からバックグラウンド面に転送する(ステップS86)。そして、他の図柄を張り合わせるか否かを検査し(ステップS88)、張り合わせる場合(YES)には、その動画番号で指定された動画テーブルの最初に指定された図柄番号に対応する図柄をROM204からバックグラウンド面に転送する(ステップS90)。
【0073】
さらに、ステップS82で指定されたバックグラウンド面に、スプライト面を組み合わせるか否かを検査し(ステップS92)、組み合わせる場合(YES)には、バックグラウンド面の組み合わせ処理を行い(ステップS94)。その後は、組み合わせない場合(NO)と同様に、本処理手順を終了する。こうした処理手順を実行することによって、バックグラウンド面が複数のスプライト面の任意の位置に置けるという特性を利用することで、図柄を前景側と背景側との間で自在に移動させることが容易にできる。
【0074】
その他、スプライト面又はバックグラウンド面の表示領域は、図4(B)に示すスプライトテーブル408a内の組み合わせ枚数(重ね合わせ枚数,並び合わせ枚数)よって表示する構成とした。この構成に限ることなく、図19(A)に示すように複数の表示領域(例えば、表示領域702と表示領域704)を一部だけ重ね合わせてもよく、図19(B)に示すように大きさの異なる表示領域(例えば、表示領域706と表示領域708)については大きな表示領域の内側に小さな表示領域を重ね合わせてもよい。同様に、図19(B)に示すように大きさの異なる表示領域について複数の表示領域(例えば、表示領域710と表示領域712)を一部だけ重ね合わせてもよい。こうした様々の表示態様によって、より複雑な表示態様が可能になるとともに、図柄に立体感を持たせることができるようになる。
【0075】
また、図9に示す動画テーブル群600における各動画テーブルは、画面数と、少なくとも一つの図柄番号とからなる要素群によって構成したが、少なくとも一つの図柄番号とからなる要素群によって構成してもよい。この構成で図7と図8に示す処理手順を実行すれば、上記実施例と同様な効果を得ることができる。同様に、〔画面モードテーブル406a,スプライトテーブル408a,キャラクタテーブル410a,パレットテーブル412a〕のうちの少なくとも一つのテーブルからなる要素群によって、あるいはこれらの各テーブル内の項目の少なくとも一つからなる要素群によって構成してもよい。すなわち、複数の図柄を合成して表示するための情報によって構成してもよい。この複数の図柄を合成して表示するための情報に基づいて図7と図8に示す処理手順を実行すれば、図柄表示装置には指定された複数の図柄が合成されて、しかも動画で表示される。したがって、図柄表示装置に表示される図柄を飛躍的に多彩にすることができる。
【0076】
さらに、図5に示すように、メイン制御部100からコマンドブロックをハンドシェイクにより映像制御部200へ送るように構成した。この構成に代えて、単にメイン制御部100からコマンドブロックを映像制御部200へ送るのみの構成としてもよい。すなわち、コマンドブロックを正常に受信したか否かの検査(ステップS22)、正常に受信されなかった場合の再送要求(ステップS24)、再送を行うための分岐(ステップS14)を省略する。この構成では、ハンドシェイクに必要な時間がなくなるので、より高速に表示処理を行うことができる。なお、ハンドシェイクなしで伝送する場合、コマンドブロック(特に、要素530のチェックサム)には伝送エラーによるデータの誤りを訂正するために、誤り訂正符号(ECC;Error Correcting Code)を含ませるのがより適切である。こうした誤り訂正符号の例としては、巡回ハミング符号(Cyclic Hamming Code)、BCH符号(Bose-Chaudhuri-Hocquenghem Code )、リード・ソロモン符号(Reed-Solomon Code )等がある。
【0077】
以上、本発明の実施例について説明したが、この本発明の実施例には特許請求の範囲に記載した技術的事項以外に、次に示すような各種の技術的事項の実施態様を有する。
(1)図柄表示装置に表示する図柄の内容を特定する要素を、少なくとも二つ格納されたテーブルと、前記テーブルに格納された要素に従って、対応する図柄を連続的に図柄表示装置に表示させる連続表示手段と、を有することを特徴とする請求項1記載の弾球遊技機の表示制御装置。
【0078】
(2)前記要素は、図柄の内容に対応して付された図柄番号を少なくとも一つ含むことを特徴とする上記(1)記載の弾球遊技機の表示制御装置。
【0079】
(3)前記要素は、複数の図柄を合成して表示するための情報を少なくとも一つ含むことを特徴とする上記(1)記載の弾球遊技機の表示制御装置。
【0080】
【発明の効果】
本発明によれば、表示に必要な図柄の情報は最小限に抑えられるので、この図柄を記憶する記憶容量も低く抑えることができる。また、図柄を合成するためには対応するスプライト面を指定するだけでよいので、図柄表示装置の表示制御処理に必要な負担が大幅に減る。このため、弾球遊技機の製造コストを低く抑えることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の弾球遊技機の図柄表示装置の構成を示す概念図である。
【図2】 メイン制御部と映像制御部の構成を示すブロック図である。
【図3】 メモリの構成を示す図である。
【図4】 各種テーブルの構成を示す図である。
【図5】 本発明を実施するための処理手順を示す第1のフローチャートである。
【図6】 コマンドブロックの構成とステータスの内容を示す図である。
【図7】 本発明を実施するための処理手順を示す第2のフローチャートである。
【図8】 本発明を実施するための処理手順を示す第3のフローチャートである。
【図9】 表示画面で動画表示を実現するためのテーブルを示す図である。
【図10】 スプライト面へのキャラクタの張り付けを示す図である。
【図11】 表示領域の組み合わせ態様を示す図である。
【図12】 表示領域の重ね合わせ態様を示す図である。
【図13】 スプライト面における表示領域の設定方法を示す図である。
【図14】 図柄のベクトル移動を示す図である。
【図15】 図柄の拡大縮小を示す図である。
【図16】 図柄の回転移動を示す図である。
【図17】 各種テーブルの他の構成を示す図である。
【図18】 本発明を実施するための他の処理手順を示すフローチャートである。
【図19】 表示領域の他の組み合わせ態様を示す図である。
【符号の説明】
10 スプライト面群情報記憶手段
12,14,…,1m スプライト面
20 スプライト面指定手段
22,…,2n スプライト面
30 領域指定手段
32,…,3n 領域
40 情報合成手段
42 合成された情報
Claims (1)
- 遊技状態の変化などにより図柄の情報を表示する必要性が生じたことを契機として、図柄表示装置に図柄を表示する弾球遊技機において、
弾球遊技機の全体を制御するメイン制御部と、前記図柄表示装置に表示する図柄を制御する映像制御部と、を備え、
前記メイン制御部には、遊技制御プログラムが記憶された第1ROMと、前記遊技制御プログラムを実行する第1CPUと、各種のデータあるいは入出力信号が記憶される第1RAMと、表示制御データを送るための第1の通信回路と、を備え、
前記遊技制御プログラムを実行する第1CPUには、前記遊技制御プログラムが記憶された第1ROMと、前記各種のデータあるいは入出力信号が記憶される第1RAMと、前記第1の通信回路と、を接続し、
前記映像制御部には、映像制御プログラムが記憶された第2ROMと、表示制御データを受け取るための第2の通信回路と、前記映像制御プログラムを実行する第2CPUと、前記図柄表示装置に図柄を表示させる映像コントローラと、前記図柄表示装置に図柄を表示するためのスプライト面に設定するための図柄の情報を複数種類記憶する第3ROMと、前記映像コントローラによって設定されるスプライト面を記憶する第2RAMと、を備え、
前記映像制御プログラムを実行する第2CPUには、前記映像制御プログラムが記憶された第2ROMと、前記第2の通信回路と、前記映像コントローラと、を接続するとともに、
前記映像コントローラには、前記スプライト面に設定するための図柄の情報を複数種類記憶する第3ROMと、前記スプライト面を複数種類記憶する第2RAMと、が接続され、
前記表示制御データは、遊技状態に応じて表示すべき図柄の情報を含む複数個のデータで構成されたコマンドブロックからなり、
前記映像制御プログラムを実行する第2CPUは、前記メイン制御部から送られた前記表示制御データを第2の通信回路を介して受け取り、受け取った表示制御データの前記コマンドブロックを解析して指令データを前記映像コントローラに送り、
前記映像コントローラは、前記複数種類のスプライト面のうち、少なくとも二つのスプライト面を任意に指定可能なスプライト指定手段と、該スプライト指定手段によって指定されたスプライト面に図柄を設定し、又は同一のスプライト面に図柄の情報を張り合わせる図柄設定処理、及び複数のスプライト面を組み合わせる組合せ処理をそれぞれ実行するスプライト面設定手段と、を備え、
前記映像コントローラは、前記指令データに従って、前記スプライト指定手段によって前記遊技状態に応じて表示すべきスプライト面を選択し、当該スプライト面に設定すべき図柄の情報を前記第3ROMから読みだして前記スプライト面設定手段による図柄設定処理及び組合せ処理を実行して前記第2RAMに記憶させ、当該第2RAMに記憶されたスプライト面を映像コントローラ内のワーク領域に転送して表示優先順位に従って映像合成し、その合成した図柄を前記図柄表示装置に表示させることを特徴とする弾球遊技機。
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