以下、実施するための形態について、概説する。なお、以下の概説に付記した図面参照符号は、専ら理解を助けるための例示であり、図示の態様に限定することを意図するものではない。
一つの好ましい形態に係る差動出力回路は、互いに逆相となる入力信号(図1のIN、INB)をそれぞれ受ける第1および第2のトランジスタ(図1のMN1、MN2)を含む差動対と、第1および第2のトランジスタにそれぞれカスコード接続される、第1および第2のトランジスタと同一の導電型である第3および第4のトランジスタ(図1のMN3、MN4)と、第3および第4のトランジスタのそれぞれのドレインに接続される第1および第2の出力端子(図1のOUTB、OUT)と、第1および第2の出力端子のそれぞれの電位の中間電位を分圧して第3および第4のトランジスタのゲートに供給する分圧回路(図1の10)と、を備える。
以上のような差動出力回路によれば、第1および第2の出力端子のそれぞれの電位の中間電位を分圧して第3および第4のトランジスタのゲートにバイアスとして与える。したがって、トランジスタに適切なバイアスを与えることができ、より低い耐圧のトランジスタを用いて信頼性の高い回路を実現することができる。
差動出力回路において、分圧回路は、第1および第2の出力端子のいずれかの電位が所定の範囲にある場合に分圧比を変更するように構成されるようにしてもよい(図6の10a)。
差動出力回路において、2つの入力信号をそれぞれ第1および第2のトランジスタのそれぞれのゲートに供給する2つのバッファ回路(図1のBUF1、BUF2)と、第1の電源電圧を降圧して第2の電源電圧として2つのバッファ回路に供給する電源供給回路(図1のRG2)と、をさらに備えるようにしてもよい。
差動出力回路において、分圧回路は、第2の電源電圧が所定の範囲にある場合に分圧比を変更するように構成されるようにしてもよい(図7の10b)。
差動出力回路において、差動対を構成する電流源(図7のMN5)は、第1の電源電圧が所定の範囲にある場合に活性化されるようにしてもよい。
差動出力回路において、電流源は、第2の電源電圧が電源供給回路から出力されない場合に非活性化されるようにしてもよい。
差動出力回路において、2つのバッファ回路は、第1および第2のトランジスタのそれぞれのゲートとそれぞれAC結合すること(図9のC1、C2による)で第1および第2のトランジスタのそれぞれのゲートに第2の電源電圧分オフセットされた入力信号を与えるようにしてもよい。
他の好ましい形態に係る半導体装置は、互いに逆相となる入力信号をそれぞれ受ける第1および第2のトランジスタと、第1および第2のトランジスタのソースを共通に接続する電流源と、第1および第2のトランジスタにそれぞれカスコード接続される、第1および第2のトランジスタと同一の導電型である第3および第4のトランジスタと、第3および第4のトランジスタのそれぞれのドレインに接続される第1および第2の出力端子と、第1〜第4のトランジスタを形成する拡散領域の下部に配され、第1および第2の出力端子のそれぞれの電位の中間電位が供給される、第1〜第4のトランジスタと同一の導電型の分離用ウェル(図1、2のDNW1)と、を備える。
以上のような半導体装置によれば、第1および第2の出力端子のそれぞれの電位の中間電位を分圧して分離用ウェルにバイアスとして与える。したがって、トランジスタに適切なバイアスを与えることができ、より低い耐圧のトランジスタを用いて信頼性の高い回路を実現することができる。
半導体装置において、分離用ウェルは、第1および第2のトランジスタを形成する第1のウェル(図4のPW3)と第3および第4のトランジスタを形成する第2のウェル(図4のPW4)とを分離する構造を有するようにしてもよい。
半導体装置において、第1および第2のウェル間に接続される第1の抵抗素子(図4のR10)をさらに含むようにしてもよい。
半導体装置において、第2のウェルと第3および第4のトランジスタのそれぞれのソースとの間に接続される第2および第3の抵抗素子(図4のR11、R12)をさらに含むようにしてもよい。
半導体装置において、中間電位を分圧して第3および第4のトランジスタのゲートに供給する分圧回路をさらに備えるようにしてもよい。
さらに他の好ましい形態に係る差動出力回路は、2つの出力端子(図11のOUT、OUTB)と、2つの出力端子を駆動する、オープンドレインのCML回路(図11の20)と、2つの出力端子のそれぞれの電位の中間電位を一端に受け、複数の縦積のトランジスタを含んで構成される受信検知回路(図11の21)と、2つの出力端子のそれぞれの電位の中間電位を分圧して出力する分圧回路(図11の10d)と、を備え、複数の縦積のトランジスタの内、接地側のトランジスタ(図11のMN8)は、受信検知を行うか否かを制御する検知許可信号をゲートに受けると共にソースから受信検知信号を出力し、他のトランジスタ(図11のMN7)は、分圧回路の出力電圧をゲートに受ける。
以上のような差動出力回路によれば、2つの出力端子のそれぞれの電位の中間電位を分圧して、受信検知回路を構成する複数の縦積のトランジスタ中の接地側のトランジスタ以外のトランジスタのゲートに与える。したがって、トランジスタに適切なバイアスを与えることができ、より低い耐圧のトランジスタを用いて信頼性の高い回路を実現することができる。
差動出力回路において、分圧回路は、2つの出力端子のいずれかの電位が所定の範囲にある場合に分圧比を変更するように構成されてもよい。
別の好ましい形態に係る差動出力回路は、2つの出力端子(図12のOUT、OUTB)と、2つの出力端子を駆動する、オープンドレインのCML回路(図12の20)と、2つの出力端子のそれぞれと接地間に接続され、複数の縦積のトランジスタを含んで構成される2つの静電保護回路(図12の22a、22b)と、2つの出力端子のそれぞれの電位の中間電位を分圧して出力する分圧回路(図12の10d)と、を備え、複数の縦積のトランジスタの内、接地側のトランジスタ(図13のMN22)は、ゲートを接地し、他のトランジスタ(図13のMN23)は、分圧回路の出力電圧を分圧した電位をゲートに受ける。
以上のような差動出力回路によれば、2つの出力端子のそれぞれの電位の中間電位を分圧して、静電保護回路を構成する複数の縦積のトランジスタ中の接地側のトランジスタ以外のトランジスタのゲートに与える。したがって、トランジスタに適切なバイアスを与えることができ、より低い耐圧のトランジスタを用いて信頼性の高い回路を実現することができる。
差動出力回路において、静電保護回路は、出力端子と接地間に接続されるサイリスタ(図13のQ21、Q22)を含み、縦積のトランジスタの内、接地側から最も遠い側のトランジスタのドレイン電圧に基づいてサイリスタの開閉が制御されるようにしてもよい。
差動出力回路において、分圧回路は、2つの出力端子のいずれかの電位が所定の範囲にある場合に分圧比を変更するように構成されるようにしてもよい。
さらに別の好ましい形態に係る差動出力回路は、2つの出力端子(図15のOUT、OUTB)と、2つの出力端子を駆動する、オープンドレインのCML回路と、2つの出力端子間に接続され、終端抵抗(図15のR61、R62)およびスイッチ素子(図15のMP61)の直列回路で構成される終端回路(図15の60)と、2つの出力端子のそれぞれの電位の中間電位を電源とする複数の縦積のトランジスタを含み、複数の縦積のトランジスタの内、接地側のトランジスタ(図15のMN61)は、スイッチ素子の開閉の制御信号をゲートに受け、他のトランジスタ(図15のMN62)は、2つの出力端子のそれぞれの電位の中間電位を分圧した電位をゲートに受け、他のトランジスタの内、接地側から最も遠い側のトランジスタのドレイン電圧に基づいてスイッチ素子の開閉を制御する制御回路(図15の61)と、を備える。
以上のような差動出力回路によれば、2つの出力端子のそれぞれの電位の中間電位を分圧して、制御回路を構成する複数の縦積のトランジスタ中の接地側のトランジスタ以外のトランジスタのゲートに与える。したがって、トランジスタに適切なバイアスを与えることができ、より低い耐圧のトランジスタを用いて信頼性の高い回路を実現することができる。
差動出力回路において、制御回路は、中間電位を取り出して出力する電源供給回路(図15の62)と、一端を電源供給回路の出力に接続し、他端をスイッチ素子の制御端に接続する負荷回路(図15の64)と、負荷回路の一端または他端の電位を分圧して出力する分圧回路(図15の63)と、を備え、複数の縦積のトランジスタは、一端を負荷回路の他端に接続し、他端を接地し、他のトランジスタは、ゲートに分圧回路の出力信号を受けるようにしてもよい。
差動出力回路において、複数の縦積のトランジスタの一端と負荷回路の他端との間に電位差を発生する電位緩和回路(図15の65)をさらに備えるようにしてもよい。
差動出力回路において、スイッチ素子は、バックゲートに中間電位が与えられるMOSトランジスタで構成されるようにしてもよい。
またさらに別の好ましい形態に係る差動出力回路は、互いに逆相となる入力信号をそれぞれ受ける第1および第2のトランジスタ(図23のMN1、MN2)を含む差動対と、第1および第2のトランジスタにそれぞれカスコード接続される、第1および第2のトランジスタと同一の導電型である第3および第4のトランジスタ(図23のMN3、MN4)と、差動対における電流源を構成する、第1および第2のトランジスタと同一の導電型である第5のトランジスタ(図23のMN5)と、第3および第4のトランジスタのそれぞれのドレインに接続される第1および第2の出力端子(図23のOUTB、OUT)と、第1〜第5のトランジスタのそれぞれのゲート・ドレイン間を導通可能に接続される第1〜第5の導通素子(MP72、MP71、MN72、MN71、MP73)と、2つの入力信号をそれぞれ第1および第2のトランジスタのそれぞれのゲートに供給する2つのバッファ回路(図23のBUF1、BUF2)と、第1の電源電圧(図23のVDDM)を降圧して第2の電源電圧(図23のVDDL)として2つのバッファ回路に供給する電源供給回路(図23のRG2)と、を備え、第1〜第5の導通素子は、少なくとも第1の電源電圧が供給されない場合において導通状態とされる。
差動出力回路において、2つの出力端子のそれぞれの電位の中間電位を電源とする複数の縦積のトランジスタを含み、複数の縦積のトランジスタの内、接地側のトランジスタは、第1の電源電圧をゲートに受け、他のトランジスタは、2つの出力端子のそれぞれの電位の中間電位を分圧した電位をゲートに受け、他のトランジスタの内、接地側から最も遠い側のトランジスタのドレイン電圧に基づいて第1および第2の導通素子の導通状態を制御する制御回路(図23の61)をさらに備えるようにしてもよい。
差動出力回路において、第3および第4のトランジスタのそれぞれのゲートと第1の電源電圧との間に接続される第1および第2の抵抗素子(図23のR72、R71)を備え、第1〜第5の導通素子は、第1の電源電圧が供給されない場合にオンとされるMOSトランジスタでそれぞれ構成されるようにしてもよい。
差動出力回路において、第3および第4のトランジスタのそれぞれのゲートと第1の電源電圧との間に接続される第1および第2の抵抗素子(図24のR72、R71)を備え、第3および第4の導通素子は、第1の電源電圧が供給されない場合にオンとされるMOSトランジスタ(図24のMN72、MN71)でそれぞれ構成され、第1、第2、第5の導通素子は、それぞれ抵抗素子(図24のR74、R73、R75)で構成されるようにしてもよい。
以下、より具体的な実施の形態に即し、図面を参照して詳しく説明する。
[実施形態1]
図1は、第1の実施形態に係る差動出力回路の回路図である。図1において、差動出力回路は、レギュレータRG1、RG2、バッファ回路BUF1、BUF2、出力端子OUT、OUTB、電流源I1、NMOSトランジスタMN1〜MN6、抵抗素子R1〜R4を備える。
レギュレータRG1は、電源VDDHの電圧(例えば3.3または2.5V)を降圧して電源VDDM(例えば1.8V)を出力する。レギュレータRG2は、電源VDDMの電圧を降圧して電源VDDL(例えば1.0V)を出力する。
バッファ回路BUF1、BUF2は、電源VDDLで動作し、それぞれ入力信号IN、INBをバッファリングしてそれぞれNMOSトランジスタMN1、MN2のゲートに供給する。ここで、入力信号IN、INBは、互いに逆相となる入力信号である。
NMOSトランジスタMN5、MN6は、カレントミラーを構成し、NMOSトランジスタMN6のドレインに供給される電流源I1の電流と同じ値の電流が、電流源となるNMOSトランジスタMN5に流れる。
NMOSトランジスタMN1、MN2は、ソースを共通にNMOSトランジスタMN5のドレインに接続して、差動対を構成する。
NMOSトランジスタMN3、MN4は、それぞれNMOSトランジスタMN1、MN2とカスケード接続され、それぞれのドレインを出力端子OUTB、OUTに接続する。
抵抗素子R1、R2の直列回路が出力端子OUTB、OUT間に接続される。抵抗素子R1、R2の直列回路の中点のノードN1は、一端が接地された抵抗素子R3、R4の直列回路の他端に接続される。ここで、抵抗素子R3、R4は、分圧回路10を構成する。
抵抗素子R3、R4の直列回路の中点のノードN2は、NMOSトランジスタMN3、MN4のゲートに接続される。
NMOSトランジスタMN1〜MN4のバックゲートは、共通にNMOSトランジスタMN1、MN2のソースに接続される。
NMOSトランジスタMN1〜MN4のバックゲートの下部に配されるN型の分離用ウェル(ディープNウェル)DNW1は、ノードN1に接続される。
次に、以上のような差動出力回路が形成される半導体装置について説明する。図2は、第1の実施形態に係る半導体装置の構成を模式的に示す断面図である。図2において、半導体装置は、P型の基板P−subにP型ウェルPW1およびN型の分離用ウェルDNW1を形成して備える。
NMOSトランジスタMN5のバックゲートとなるP型ウェルPW1内には、NMOSトランジスタMN5のソースおよびドレインとなるそれぞれのN型拡散層が形成され、2つのN型拡散層の間のP型ウェルPW1の上部にはNMOSトランジスタMN5のゲート電極が備えられる。
分離用ウェルDNW1内には、NMOSトランジスタMN1〜MN4のそれぞれのバックゲートとなるP型ウェルPW2が設けられる。P型ウェルPW2内には、NMOSトランジスタMN1、MN2のそれぞれのソースとなるN型拡散層、NMOSトランジスタMN1、MN2のそれぞれのドレインおよびNMOSトランジスタMN3、MN4のそれぞれのソースとなるN型拡散層、NMOSトランジスタMN3、MN4のそれぞれのドレインとなるN型拡散層が形成される。
NMOSトランジスタMN1(MN2)を構成する2つのN型拡散層の間のP型ウェルPW2の上部にはNMOSトランジスタMN1(MN2)のゲート電極が備えられる。NMOSトランジスタMN3(MN4)を構成する2つのN型拡散層の間のP型ウェルPW2の上部にはNMOSトランジスタMN3(MN4)のゲート電極が備えられる。
以上のような構成の差動出力回路において、HDMI(High Definition Multimedia Interface)等を例にとるならば、受信側からの電源供給によって、出力端子OUTB、OUTの電圧が2.7〜3.3Vとなる。また、ノードN1、N2のそれぞれの電位は、3.05V、1.8V程度となる。したがって、NMOSトランジスタMN3、MN4のそれぞれのゲート・ドレイン間電圧は、0.9〜1.5Vとなり、NMOSトランジスタMN1、MN2のそれぞれのゲート・ドレイン間電圧、ソース・ゲート間電圧は、0.9V以下となる。
一方、受信側との間の配線が抜かれたり、受信側の電源が落ちて受信側からの電源供給が断たれたりした場合には、出力端子OUTB、OUT、ノードN1、N2の電圧は0Vとなる。したがって、NMOSトランジスタMN1、MN2のそれぞれのゲート・ドレイン間電圧、ソース・ゲート間電圧は、0.9V以下である。
他方、受信側からの電源供給がなされている状態で電源VDDHが0Vになった場合、ノードN2の電位は、1.8V程度となる。また、電源VDDM、VDDLも0Vであるので、NMOSトランジスタMN1、MN2、MN5は、オフ状態となる。したがって、NMOSトランジスタMN1〜MN5における各電極間の電圧は1.8V未満である。
以上のように、電源の状態の如何に係らずNMOSトランジスタMN1〜MN5における各電極間の電圧は1.8V未満となる。したがって、1.8V未満の低電圧トランジスタを用いることができる。
また、図2を参照するならば、P型ウェルPW2が、NMOSトランジスタMN1〜MN4に共通に配されるために、カスコード接続のための配線が不要である。したがって、配線等に伴う浮遊容量が少なく、高速化に対して有利となる。
[変形例1]
図3は、第1の実施形態に係る差動出力回路の変形例1の回路図である。図3において、図1と同一の符号は同一物を示し、その説明を省略する。NMOSトランジスタMN3、MN4は、バックゲートを共通とし、抵抗素子R10を介してNMOSトランジスタMN1、MN2のバックゲートに接続し、抵抗素子R11、R12をそれぞれ介してNMOSトランジスタMN3、MN4のそれぞれのソースに接続する。
次に、以上のような変形例1の差動出力回路が形成される半導体装置について説明する。図4は、変形例1に係る半導体装置の構成を模式的に示す断面図である。図4において、図2と同一の符号は同一物を示し、その説明を省略する。図4に示す半導体装置は、図2のN型の分離用ウェルDNW1に替えてN型の分離用ウェルDNW2を備える。分離用ウェルDNW2内には、NMOSトランジスタMN1、MN2のそれぞれのバックゲートとなるP型ウェルPW3と、NMOSトランジスタMN3、MN4のそれぞれのバックゲートとなるP型ウェルPW4とが分離して設けられる。
P型ウェルPW3内には、NMOSトランジスタMN1、MN2のそれぞれのソースとなるN型拡散層、NMOSトランジスタMN1、MN2のそれぞれのドレインとなるN型拡散層が形成される。P型ウェルPW4内には、NMOSトランジスタMN3、MN4のそれぞれのソースとなるN型拡散層、NMOSトランジスタMN3、MN4のそれぞれのドレインとなるN型拡散層が形成される。
以上のような構成の差動出力回路において、NMOSトランジスタMN1〜MN5では、ゲート・ソース、ゲート・ドレイン、ゲート・バルク、ソース・ドレインの4端子間は、定常状態では1.8V以下であることが必要となる。一方、拡散層間の電位差は、3.3Vあっても問題はない。このため基板P−subと分離用ウェルDNW2間などには3.3Vの電位がかかる構成となっている。図4に示す構成では、P型ウェルPW3、PW4を分離して設け、別々のバイアス電圧が与えられるような構成となっている。このようにウェルを分離して備えることで、出力端子OUTB、OUTに印加される静電気は分圧され、静電気放電(ESD)耐性が向上する。
[変形例2]
図5は、第1の実施形態に係る差動出力回路の変形例2の回路図である。図5において、図1と同一の符号は同一物を示し、その説明を省略する。抵抗素子R15は、一端を電源VDDMに接続し、他端をNMOSトランジスタMN3、MN4のゲートに接続する。PMOSトランジスタMP2は、ゲートを電源VDDMに接続し、ソースをノードN2に接続し、ドレインおよびバックゲートをNMOSトランジスタMN3、MN4のゲートに接続する。
以上のような構成の差動出力回路において、電源VDDMが1.8Vである場合、NMOSトランジスタMN3、MN4のゲートのバイアスは、抵抗素子R15を介して電源VDDMから与えられる。一方、電源VDDMが落ちた(0V)である場合、PMOSトランジスタMP2がオンし、NMOSトランジスタMN3、MN4のゲートのバイアスは、ノードN2から与えられる。
なお、抵抗素子R15に替えて、図5(b)に示すように、ドレインとゲートを電源VDDMに接続し、ソースをNMOSトランジスタMN3、MN4のゲートに接続するNMOSトランジスタMN10を備えるようにしてもよい。この場合、電源VDDMが1.8Vである場合、NMOSトランジスタMN3、MN4のゲートのバイアスは、オンとなったNMOSトランジスタMN10を介して電源VDDMから与えられる。一方、電源VDDMが落ちた(0V)である場合、NMOSトランジスタMN10は、オフとされる。
また、抵抗素子R15に替えて、図5(c)に示すように、ドレインを電源VDDMに接続し、ソース、ゲートおよびバックゲートをNMOSトランジスタMN3、MN4のゲートに接続するPMOSトランジスタMP10を備えるようにしてもよい。この場合、電源VDDMが1.8Vである場合、NMOSトランジスタMN3、MN4のゲートのバイアスは、オンとなったPMOSトランジスタMP10を介して電源VDDMから与えられる。一方、電源VDDMが落ちた(0V)である場合、PMOSトランジスタMP10は、オフとされる。
このようにNMOSトランジスタMN3、MN4のゲートのバイアスは、ノードN2に固定されないように構成することもできる。
[変形例3]
図6は、第1の実施形態に係る差動出力回路の変形例3の回路図である。図6において、図1と同一の符号は同一物を示し、その説明を省略する。分圧回路10aは、図1に示す分圧回路10に対し、PMOSトランジスタMP3、MP4、抵抗素子R5、R6をさらに備え、図1の抵抗素子R3に替えて直列接続された抵抗素子R3a、R3bを備える。
PMOSトランジスタMP3(MP4)は、ソースおよびバックゲートをノードN1に接続し、ゲートを抵抗素子R5(R6)を介して出力端子OUT(OUTB)に接続し、ドレインを抵抗素子R3a、R3bの接続点に接続する。抵抗素子R5(R6)は、出力端子OUT(OUTB)に外部から印加される可能性がある過大な電圧に対してPMOSトランジスタMP3(MP4)のゲートを保護する役割を果す。
以上のような構成の差動出力回路において、受信側との間の接続ケーブルが不良のため出力端子OUTB、OUTの片側の接続先が断線している場合を想定する。受信側の電源が入っている場合であれば、出力端子OUTB、OUTの一方には最大3.3Vの電圧が発生し、他方は0Vまで落ちた状態となる。この場合、ノードN1の電位は、1.65Vと大きく低下する。したがって、NMOSトランジスタMN3、MN4のゲートに供給するバイアス電圧(ノードN2の電位)が低下することとなる。これを防ぐため、PMOSトランジスタMP3、MP4は、それぞれ出力端子OUTB、OUTに係るどちらかの配線が断線していることを検知してオンとなってノードN2の電位を上げるように動作する。すなわち、PMOSトランジスタMP3、MP4の一方がオンして抵抗素子R3bにおける電圧降下分を0Vとすることで、バイアス電圧(ノードN2の電位)を上昇させる。これにより、片側が断線して出力端子OUTB、OUTの一方の電位が0V付近まで落ちた場合であっても、バイアス電圧を維持して、各トランジスタの耐圧を確保することが可能となる。
[変形例4]
図7は、第1の実施形態に係る差動出力回路の変形例4の回路図である。図7において、図6と同一の符号は同一物を示し、その説明を省略する。分圧回路10bは、図6に示す分圧回路10aに対し、PMOSトランジスタMP5、抵抗素子R7をさらに備え、図6の抵抗素子R4に替えて直列接続された抵抗素子R4a、R4bを備える。また、NMOSトランジスタMN5のゲートとNMOSトランジスタMN6のゲートとの間に切替回路11を備える。
PMOSトランジスタMP5は、ソースおよびバックゲートを抵抗素子R4a、R4bの接続点に接続し、ゲートを抵抗素子R7を介して電源VDDLに接続し、ドレインを接地する。抵抗素子R7は、電源VDDLに生じる可能性の有る過大な電圧に対し、PMOSトランジスタMP5のゲートを保護する役割を果す。
切替回路11は、電源VDDM、VDDLの供給によって動作し、レギュレータイネーブル信号ENのレベルに応じてNMOSトランジスタMN5のゲートを、接地するか、またはNMOSトランジスタMN6のゲートに接続するかを切り替えるスイッチ(SW1)の機能を有する。
次に、切替回路11の詳細について説明する。図8(a)は、切替回路11の回路の例を示す図である。切替回路11は、NMOSトランジスタMN11〜MN21、PMOSトランジスタMP11〜MP20を備える。
NMOSトランジスタMN13およびPMOSトランジスタMP11は、電源VDDLで動作するCMOSインバータ回路を構成し、レギュレータイネーブル信号ENを反転して、NMOSトランジスタMN15およびPMOSトランジスタMP13のゲートに与える。
NMOSトランジスタMN14およびPMOSトランジスタMP12は、電源VDDLで動作するCMOSインバータ回路を構成し、レギュレータイネーブル信号ENと同相の信号をPMOSトランジスタMP15、MP17、MP18のゲートに与える。
PMOSトランジスタMP13は、ソースをPMOSトランジスタMP14を介して電源VDDMに接続し、ドレインをNMOSトランジスタMN15のドレインおよびPMOSトランジスタMP18のゲートに接続する。NMOSトランジスタMN15のソースは接地される。
PMOSトランジスタMP15は、ソースをPMOSトランジスタMP16を介して電源VDDMに接続し、ドレインをNMOSトランジスタMN16のドレインおよびPMOSトランジスタMP14のゲートに接続する。NMOSトランジスタMN16のソースは接地される。
PMOSトランジスタMP17は、ソースをPMOSトランジスタMP18を介して電源VDDMに接続し、ドレインをNMOSトランジスタMN16のドレインに接続する。
NMOSトランジスタMN19、MN18、MN17は、ゲートを共通に電源VDDMに接続し、接地側からNMOSトランジスタMN16のゲートに向けて縦積みに接続される。
NMOSトランジスタMN20およびPMOSトランジスタMP19は、電源VDDMで動作するCMOSインバータ回路を構成し、NMOSトランジスタMN16のドレインの信号を反転して信号PDBとしてNMOSトランジスタMN11のゲートに与える。
NMOSトランジスタMN21およびPMOSトランジスタMP20は、電源VDDMで動作するCMOSインバータ回路を構成し、信号PDBを反転して信号PDとしてNMOSトランジスタMN12のゲートに与える。
NMOSトランジスタMN11は、NMOSトランジスタMN6のドレインおよびゲートとNMOSトランジスタMN5のゲートとの間に接続される。NMOSトランジスタMN12は、NMOSトランジスタMN5のゲートと接地間に接続される。
このような構成の切替回路11は、電源VDDM、VDDLの電圧およびレギュレータイネーブル信号ENのレベルに応じて図8(b)に示すように動作する。すなわち、電源VDDM、VDDLが通常に供給される場合(それぞれ、1.8V、1.0Vの場合)、レギュレータイネーブル信号ENがHレベルならば、信号PD=“L”、信号PDB=“H”となる。したがって、NMOSトランジスタMN11がオン、NMOSトランジスタMN12がオフとなって、NMOSトランジスタMN5のゲートは、NMOSトランジスタMN6のドレインおよびゲートに接続される。すなわち、NMOSトランジスタMN5、MN6で構成されるカレントミラーが活性化される。
また、電源VDDM、VDDLが通常に供給され、レギュレータイネーブル信号ENがLレベルである場合、あるいは、電源VDDMが1.8V、電源VDDLが0Vである場合、信号PD=“H”、信号PDB=“L”となる。したがって、NMOSトランジスタMN11がオフ、NMOSトランジスタMN12がオンとなって、NMOSトランジスタMN5のゲートは、接地される。
さらに、電源VDDM、VDDLが0Vである場合、信号PD=“L”、信号PDB=“L”となる。したがって、NMOSトランジスタMN11、MN12共にオフとなる。
すなわち、差動対を構成する電流源となるNMOSトランジスタMN5は、電源VDDM、VDDLが通常状態にあって、レギュレータイネーブル信号ENがHレベルにある場合に活性化される。レギュレータイネーブル信号ENがLレベルにある場合、あるいは電源VDDLが通常状態にない場合、NMOSトランジスタMN5は、オフ(非活性)状態となる。
以上のような差動出力回路において、レギュレータイネーブル信号ENがLレベルとなって電源VDDLが0Vとなる場合、NMOSトランジスタMN1、MN2、MN5は、オフとなる。さらに、PMOSトランジスタMP5がオンとなって抵抗素子R4aを短絡状態とし、ノードN2の電位を低下させる。したがって、NMOSトランジスタMN1〜MN5の耐圧が満たされることとなる。
[変形例5]
図9は、第1の実施形態に係る差動出力回路の変形例5の回路図である。図9において、図1と同一の符号は同一物を示し、その説明を省略する。図9に示す差動出力回路は、図1に対し、NMOSトランジスタMN1(MN2)のゲートとバッファ回路BUF1(BUF2)の出力との間に容量素子C1(C2)を備える。また、NMOSトランジスタMN1(MN2)のゲートと電源VDDLとの間に抵抗素子R8(R9)を備える。
以上のような構成の差動出力回路によれば、NMOSトランジスタMN1(MN2)のゲートには、バッファ回路BUF1(BUF2)の出力信号が電源VDDLの電圧分オフセットされて供給される。したがって、NMOSトランジスタMN1、MN2のゲートのバイアス電圧が上昇し、NMOSトランジスタMN1〜MN3における動作マージンと耐圧マージンとをより確保しやすくなる。
[変形例6]
図10は、第1の実施形態に係る差動出力回路の変形例6の回路図である。図10において、図9と同一の符号は同一物を示し、その説明を省略する。図10に示す差動出力回路は、レギュレータRG1を廃し、電源VDDMが外部から直接与えられる。このような構成であっても、前述のように各トランジスタの耐圧を確保することが可能となる。
以上、各種変形例を示したが、これらは、機能が相反しない限りにおいて各種組み合わせても良いことは言うまでもない。
以上のような構成の差動出力回路において、NMOSトランジスタMN3、MN4のゲートには、分圧回路10(10a、10b)のノードN2が接続されてバイアスが与えられる。したがって、NMOSトランジスタMN3、MN4に適切なバイアスを与えることができ、より低い耐圧のトランジスタを用いて信頼性の高い回路を実現することができる。
[実施形態2]
次に、差動出力回路に用いられる受信検知回路について説明する。図11は、第2の実施形態に係る差動出力回路の回路図である。図11において、図6と同一の符号は同一物を示し、その説明を省略する。図11に示す差動出力回路は、分圧回路10d、受信検知回路21をさらに備える。CML回路20は、第1の実施形態に係る差動出力回路と同様のオープンドレインのCML(Current Mode Logic)回路であることが好ましいが、CML回路20内のトランジスタの耐圧が所望の条件を満たすならばこれらに限定されるものではない。
分圧回路10dは、図6の分圧回路10aと同じ構成である。ただし、実施形態1で説明したようにCML回路20が分圧回路10aを含む場合、分圧回路10dは、分圧回路10aと別に設けられる。なぜならば、分圧回路10aは、NMOSトランジスタMN3、MN4のバイアス専用に設けられ、ホットプラグ等によって受信側との間のケーブルが抜き挿しされた直後の過渡状態において、追従速度を上げるためにノードの負荷を小さくすることが必要である。したがって、NMOSトランジスタMN3、MN4のバイアス専用に分圧回路10aを設けることが好ましい。
受信検知回路21は、インバータ回路INV1、INV2、2入力のNAND回路NAND1、NMOSトランジスタMN7、MN8、抵抗素子R13、R14を備える。インバータ回路INV1、INV2、NAND回路NAND1には、電源VDDLが与えられる。
NMOSトランジスタMN7は、ドレインを抵抗素子R13を介してノードN1に接続し、ゲートをノードN2に接続し、ソースをNMOSトランジスタMN8のドレインに接続する。
NMOSトランジスタMN8は、インバータ回路INV1によって論理反転される信号RENをゲートに受け、ソースを抵抗素子R14を介して接地する。ここで信号RENは、Lレベルである場合に、出力端子OUT、OUTBに外部から電源が供給されているか否かを検知することを許可する受信検知許可信号である。
NAND回路NAND1は、一方の入力端をインバータ回路INV1の出力端に接続し、他方の入力端をNMOSトランジスタMN8のソースに接続し、出力端からインバータ回路INV2を介して信号RDTを出力する。
このような構成において、信号RENがHレベルである場合、NMOSトランジスタMN8のゲートがLレベルとなってNMOSトランジスタMN8がオフ状態となる。したがって、NAND回路NAND1の2入力はLレベルとなって、信号RDTはLレベルとなる。
また、信号RENがLレベルである場合、NMOSトランジスタMN8のゲートがHレベルとなってNMOSトランジスタMN8がオン状態となる。この状態において出力端子OUT、OUTBに外部から電源が供給される場合には、ノードN2の電位が上昇してNMOSトランジスタMN7がオンし、抵抗素子R14に電流が流れてNMOSトランジスタMN8のソースはHレベルとなる。したがって、信号RDTはHレベルとなる。すなわち、受信検知回路21は、信号RDT=“H”として受信可能状態を出力する。
一方、NMOSトランジスタMN8がオン状態であって出力端子OUT、OUTBに外部から電源が供給されない場合には、NMOSトランジスタMN7がオフし、抵抗素子R11に電流が流れずにNMOSトランジスタMN8のソースはLレベルとなる。したがって、信号RDTはLレベルとなる。すなわち、受信検知回路21は、信号RDT=“L”として受信不可状態を出力する。
以上のような構成の受信検知回路21において、NMOSトランジスタMN7、MN8は、縦積とされ、NMOSトランジスタMN7のゲートには、分圧回路10dのノードN2が接続されてバイアスが与えられる。したがって、NMOSトランジスタMN7に適切なバイアスを与えることができ、より低い耐圧のトランジスタを用いて信頼性の高い回路を実現することができる。
[実施形態3]
次に、差動出力回路に用いられる静電保護回路について説明する。図12は、第3の実施形態に係る差動出力回路の回路図である。図12において、図11と同一の符号は、同一物を示し、その説明を省略する。図12に示す差動出力回路は、静電保護回路22a、22bをさらに備える。静電保護回路22a、22bは、アノードAをそれぞれ出力端子OUT、OUTBに接続し、カソードKを接地し、トリガゲートTGをノードN2に接続する。
次に静電保護回路22a、22bの詳細について説明する。図13は、静電保護回路22a、22bの回路図の例を示す図である。
図13(a)において、静電保護回路は、NMOSトランジスタMN22、MN23を備える。NMOSトランジスタMN23は、ドレインをアノードAに接続し、ゲートをトリガゲートTGに接続し、ソースをNMOSトランジスタMN22を介してカソードKに接続する。NMOSトランジスタMN22は、ドレインをNMOSトランジスタMN21のソースに接続し、ゲートおよびソースをカソードKに接続する。
図13(a)の静電保護回路において、トリガゲートTGにNMOSトランジスタMN22のブレークダウン電圧以上の電圧が印加された場合、NMOSトランジスタMN22、MN23が導通する。すなわち、アノードA、カソードK間が導通し、静電保護回路として機能する。
図13(b)において、図13(a)と同一の符号は、同一物を示し、その説明を省略する。図13(b)の静電保護回路は、図13(a)に対して、さらにダイオードD21、D22、PNPトランジスタQ21、NPNトランジスタQ22を備える。PNPトランジスタQ21は、エミッタをアノードAに接続し、ベースをNMOSトランジスタMN23のドレインおよびNPNトランジスタQ22のコレクタに接続し、コレクタをNPNトランジスタQ22のベースに接続する。NPNトランジスタQ22は、エミッタをカソードKに接続する。ダイオードD21は、トリガゲートTG、カソードK間に逆方向に接続され、ダイオードD22は、アノードA、カソードK間に逆方向に接続される。
図13(b)の静電保護回路において、PNPトランジスタQ21とNPNトランジスタQ22とは、サイリスタ(SCR)を構成する。トリガゲートTGにNMOSトランジスタMN22のブレークダウン電圧以上の電圧が印加された場合、トリガ素子として機能するNMOSトランジスタMN22、MN23が導通する。これによってPNPトランジスタQ21がオンし、NPNトランジスタQ22がオンとなる。すなわち、アノードA、カソードK間が導通し、静電保護回路として機能する。
図13において、NMOSトランジスタMN22、MN23は、縦積とされ、NMOSトランジスタMN23のゲートには、分圧回路10dのノードN2が接続されてバイアスが与えられる。したがって、NMOSトランジスタMN23に適切なバイアスを与えることができ、より低い耐圧のトランジスタを用いて信頼性の高い回路を実現することができる。
[実施形態4]
次に、差動出力回路に用いられる終端回路について説明する。図14は、差動出力回路が用いられる伝送システムの構成を示す図である。図14において、伝送システムは、送信部50、差動伝送路53、受信部54を備える。送信部50は、差動出力回路51、差動終端回路52を備える。受信部54は、抵抗素子R51、R52、差動受信回路55を備える。ここで差動出力回路51は、上述の実施形態1〜3で説明したような差動出力回路である。
差動出力回路51は、差動伝送路53を介して差動受信回路55に接続される。また、差動出力回路51の互いに逆相となる信号を出力する2つの出力端は、差動終端回路52によって終端される。差動受信回路55の互いに逆相となる2つの入力端は、それぞれ抵抗素子R51、R52を介して受信側のRx電源(例えば3.3V)に接続される。
差動出力回路51から出力される差動信号は、差動伝送路53を介して差動受信回路55において受信される。差動出力回路51の出力端には、Rx電源から抵抗素子R51、R52を介して電源が供給される。
次に、差動終端回路52について説明する。図15は、第4の実施形態に係る差動終端回路の回路図である。図15において、差動終端回路は、終端回路60と制御回路61を備える。
終端回路60は、抵抗素子R61、PMOSトランジスタMP61、抵抗素子R62の直列回路で構成され、出力端子OUT、OUTB間に接続される。
制御回路61は、電圧供給回路62、分圧回路63、負荷回路64、電位緩和回路65、NMOSトランジスタMN61、MN62を備える。
電圧供給回路62は、出力端子OUT、OUTB間に接続され、出力端子OUT、OUTBのそれぞれの電位の中間の電位をPMOSトランジスタMP61のバックゲートと分圧回路63および負荷回路64の一端とに与える。
分圧回路63は、出力端子OUT、OUTBのそれぞれの電位の中間の電位を分圧してNMOSトランジスタMN62のゲートに与える。
負荷回路64は、他端をPMOSトランジスタMP61のゲートと電位緩和回路65の一端とに接続する。
電位緩和回路65は、他端をNMOSトランジスタMN62のドレインに接続し、NMOSトランジスタMN62は、ソースをNMOSトランジスタMN61のドレインに接続する。
NMOSトランジスタMN61は、ソースを接地し、終端回路60を活性化するか否かを表す信号CNTをゲートに受ける。
次に、差動終端回路52の具体例について説明する。図16は、差動終端回路52の具体例を示す回路図である。ここで、抵抗素子R61、R62の抵抗値は160Ωであり、電圧供給回路62は、抵抗値が10kΩの2つの抵抗素子の直列接続で構成され、分圧回路63は、抵抗値が250kΩと360kΩの2つの抵抗素子の直列接続で構成され、負荷回路64は、抵抗値が5kΩの抵抗素子で構成され、電位緩和回路65は、抵抗値が5kΩの抵抗素子で構成される。
このような構成の差動終端回路において、出力端子OUT、OUTBのそれぞれの電位を例えば3.3V、2.8Vとする。ここで信号CNTが0Vから1.8Vに変化した場合におけるNMOSトランジスタMN61の各部の電位の変化を図17に示す。
信号CNTが0Vである場合、NMOSトランジスタMN61、MN62がオフとされ、電圧供給回路62は、出力端子OUT、OUTBのそれぞれの電位の中間の電位3.05VをPMOSトランジスタMP61のゲートに与える。PMOSトランジスタMP61は、両端の電位が3.3V、2.8Vであるので、オフとなり、終端回路60としては非活性とされ開放状態(終端されない状態)となる。
この場合、PMOSトランジスタMP61において、ゲート、バックゲート、ソース、ドレインの各電圧は、3.05V、3.05V、3.3V、2.8Vとなり、PMOSトランジスタMP61のゲート酸化膜にかかる電位差を許容内(2V程度以下)とすることができる。
一方、信号CNTが1.8Vである場合、NMOSトランジスタMN61、MN62がオンとなって、PMOSトランジスタMP61のゲート電位が低下する。したがって、PMOSトランジスタMP61は、オンとなり、終端回路60としては短絡状態(終端されている状態)となる。すなわち、終端回路60が活性化され、出力端子OUT、OUTB間は、160Ω+160Ω+PMOSトランジスタMP61のオン抵抗(数Ω)で終端される。
この場合、PMOSトランジスタMP61において、ゲート、バックゲート、ソース、ドレインの各電圧は、2.09V、2.56V、3.3V、2.8Vとなり、PMOSトランジスタMP61のゲート・バックゲート間、ゲート・ドレイン間、ドレイン・ソース間の各電圧は、0.47V、0.957V、0.965Vとなり、電位差を許容内(2V程度以下)とすることができる。
このように動作する差動終端回路において、NMOSトランジスタMN61、MN62は、縦積の構成とされ、NMOSトランジスタMN62のゲートには、2つの出力端子OUT、OUTBのそれぞれの電位の中間電位を分圧回路63によって分圧して得たバイアスが与えられる。したがって、NMOSトランジスタMN62に適切なバイアスを与えることができ、より低い耐圧のトランジスタを用いて信頼性の高い回路を実現することができる。
次に、差動終端回路52の変形例について説明する。
NMOSトランジスタMN62に適切なバイアスを与えることができれば、図18の制御回路61aに示すように、電位緩和回路65を省いて短絡状態としてもよい。
また、図19の制御回路61bに示すように、PMOSトランジスタMP61のバックゲートに中間電位を与えるBG電圧供給回路66を電圧供給回路62から分離して設けるようにしてもよい。この場合、BG電圧供給回路66は、電圧供給回路62と同様の構成を有する。
さらに、図20の制御回路61cに示すように、図19に対し、電位緩和回路65を負荷回路64とNMOSトランジスタMN62との間に挿入してもよい。
また、図21の制御回路61dに示すように、分圧回路63aの一端を負荷回路64の他端に接続するようにしてもよい。
さらに、図22の制御回路61eに示すように、負荷回路64の他端とNMOSトランジスタMN62との間にNMOSトランジスタMN63を挿入し、分圧回路63bによってNMOSトランジスタMN63にゲートバイアスを与えるようにしてもよい。この場合、NMOSトランジスタMN61、MN62、MN63の3つの縦積トランジスタによって構成され、電圧の配分における設計がよりやり易くなる。
以上のような各種の変形例においても、NMOSトランジスタMN62に適切なバイアスを与えることができ、より低い耐圧のトランジスタを用いて信頼性の高い回路を実現することができる。
[実施形態5]
次に、差動出力回路の他の実施形態について説明する。図23は、第5の実施形態に係る差動出力回路の回路図である。図23において、図5と同一の符号は同一物を示し、その説明を省略する。図23に示す差動出力回路は、図5における分圧回路10、PMOSトランジスタMP2、抵抗素子R15を廃し、制御回路61、NMOSトランジスタMN71、MN72、PMOSトランジスタMP71〜MP73、抵抗素子R71、R72を備える。
制御回路61は、実施形態4において説明した回路であって、信号CNTを電源VDDMとし、図15の負荷回路64と電位緩和回路65との接続点をNMOSトランジスタMN71、MN72のそれぞれのゲートに接続する。なお、制御回路61は、実施形態4における制御回路61a〜61eであってもよい。
NMOSトランジスタMN71(MN72)は、ドレインをNMOSトランジスタMN4(MN3)のドレインに接続し、バックゲートおよびソースをNMOSトランジスタMN4(MN3)のゲートに接続する。
抵抗素子R71(R72)は、一端を電源VDDMに接続し、他端をNMOSトランジスタMN4(MN3)のゲートに接続する。
PMOSトランジスタMP71〜MP73は、それぞれのドレインをNMOSトランジスタMN2、MN1、MN5のそれぞれのゲートに接続し、それぞれのバックゲートおよびソースをNMOSトランジスタMN2、MN1、MN5のそれぞれのドレインに接続し、それぞれのゲートを共通に電源VDDMに接続する。
このような構成の差動出力回路において、電源VDDMに通常の電圧(例えば1.8V)が与えられる場合には、PMOSトランジスタMP71〜MP73はオフとされる。また、制御回路61は、信号CNTとして電源VDDM(例えば1.8V)が入力されるので、NMOSトランジスタMN71、MN72は、それぞれのゲートがほぼ接地電位とされ、オフとなる。したがって、NMOSトランジスタMN4(MN3)のゲートには、抵抗素子R71(R72)を介して電源VDDMがバイアスとして与えられる。また、NMOSトランジスタMN1、MN2、MN5は、入力信号IN、INBを増幅する差動対として機能する。すなわち、第1の実施形態と同様のCML回路として機能する。
一方、電源VDDMが落ちた(接地GNDの電位0Vとなった)場合には、PMOSトランジスタMP71〜MP73はオンとされる。また、制御回路61は、信号CNTとして接地電位が入力されるので、NMOSトランジスタMN71、MN72は、それぞれのゲートが出力端子OUT、OUTBの電位の中間電位とされ、オンとなる。したがって、3段縦積みを構成するNMOSトランジスタMN3(MN4)、MN1(MN2)、MN5は、それぞれのゲートにバイアスが与えられて全てオンとなって、出力端子OUT(OUTB)に印加される電圧を3段で分圧する。このような回路によれば、より低い耐圧のトランジスタを用いて信頼性の高い回路を実現することができる。
図24は、第5の実施形態に係る差動出力回路の変形例を示す回路図である。図24において、図23と同一の符号は同一物を示し、その説明を省略する。図24に示す差動出力回路は、図23におけるPMOSトランジスタMP71〜MP73に替えて、それぞれ抵抗素子R73〜R75を備える。
このような構成の差動出力回路において、抵抗素子R73〜R75の抵抗値を充分高くすることで、電源VDDMに通常の電圧(例えば1.8V)が与えられる場合には、図23と同様に機能する。
また、電源VDDMが落ちた(0Vとなった)場合には、NMOSトランジスタMN71、MN72はオンとされる。また、NMOSトランジスタMN1、MN2、MN5は、それぞれ抵抗素子R74、R73、R75を介してそれぞれのゲートにバイアスが与えられる。したがって、3段縦積みを構成するNMOSトランジスタMN3(MN4)、MN1(MN2)、MN5は、オンとなって、図23と同様に機能する。
なお、本実施形態において、第1の実施形態で示したウェルの分離やAC結合など各種変形例が適用可能なことはいうまでもない。
以上説明した各実施形態に係る差動出力回路は、DVI(Digital Visual Interface)、HDMI(High Definition Multimedia Interface)等における高速化、低消費電力化に好適である。
以上、本発明者によってなされた発明を実施の形態に基づき具体的に説明したが、本発明は前記実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能であることはいうまでもない。
なお、前述の特許文献等の各開示を、本書に引用をもって繰り込むものとする。本発明の全開示(請求の範囲を含む)の枠内において、さらにその基本的技術思想に基づいて、実施形態ないし実施例の変更・調整が可能である。また、本発明の請求の範囲の枠内において種々の開示要素(各請求項の各要素、各実施例の各要素、各図面の各要素等を含む)の多様な組み合わせ、ないし、選択が可能である。すなわち、本発明は、請求の範囲を含む全開示、技術的思想にしたがって当業者であればなし得るであろう各種変形、修正を含むことは勿論である。