JP6039953B2 - プロセスチーズ類およびその製造方法 - Google Patents
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Description
なお、本発明において「プロセスチーズ類」とは、プロセスチーズ、チーズフードなど、乳等省令(昭和26年12月27日厚生省令第52号)や、公正競争規約の成分規格において規定されたものの他、乳等を主要原料とする食品などの当該技術分野における通常の意味を有する範囲のものを全て包含する。
ナチュラルチーズにはないプロセスチーズ類の特徴としては、充填容器にあわせて様々な形状の製品が製造できることが挙げられる。また、近年では、加熱溶融性、糸曳き性、耐熱性などの機能性を付与した様々なプロセスチーズ類が提供されており、中でも耐熱性は様々な調理や業務用加工食品にプロセスチーズ類を使用する上で、重要な機能の一つである。
プロセスチーズ類に耐熱性を付与する方法としては、原料ナチュラルチーズに溶融塩およびアルブミンを添加して加熱乳化する方法(特許文献1)、原料ナチュラルチーズにグルコマンナンを添加して加熱乳化する方法(特許文献2)や原料ナチュラルチーズに卵白を添加する方法(特許文献3)などが開示されている。
また、原料ナチュラルチーズに溶融塩を添加して90〜120℃に加熱溶融し、乳化後のチーズを高温で保持する方法(特許文献4)、乳化後のチーズにマイクロ波を連続的に照射する方法(特許文献5)や乳化後のチーズを成形・包装した後、熱処理を行う方法(特許文献6)などが開示されている。
このように、従来技術で製造されたプロセスチーズ類は、耐熱性を有しても風味の低下や卵アレルギー、組織が硬くなるという問題や、通常の加熱乳化以外の工程が必要となり生産効率が悪いという問題がある。
(1) pH6.0に調整した濃度1.0%水溶液の濁度が2.0以上である縮合リン酸塩を配合することを特徴とするプロセスチーズ類。
(2) 前記縮合リン酸塩を原料ナチュラルチーズに対して0.5〜5.0重量%配合することを特徴とする(1)に記載のプロセスチーズ類。
(3) 一辺10mmのダイス状に成形し、121℃ 15分 オートクレーブ処理した時の耐熱性が80%以上であることを特徴とする上記(1)または(2)に記載のプロセスチーズ類。なお、耐熱性は以下の式に従って算出した。
耐熱性 [%] =(加熱後のプロセスチーズ類の高さ[mm]/加熱前のプロセスチーズ類の高さ[mm])× 100
(4) pH6.0に調整した濃度1.0%水溶液の濁度が2.0以上である縮合リン酸塩を配合することを特徴とするプロセスチーズ類の製造方法。
(5) 前記縮合リン酸塩を原料ナチュラルチーズに対して0.5〜5.0重量%配合することを特徴とする上記(4)に記載のプロセスチーズ類の製造方法。
(6) pH6.0に調整した濃度1.0%水溶液の濁度が2.0以上である縮合リン酸塩を配合することにより優れた耐熱性を有するプロセスチーズ類の製造方法。
本発明のプロセスチーズ類の原料として用いるナチュラルチーズは、チェダーチーズ、ゴーダチーズ、エダムチーズ、エメンタールチーズ、パルメザンチーズ、カマンベールチーズ、ブルーチーズ、クリームチーズ、カッテージチーズなどを例示することができるが、特に限定されるものではない。原料ナチュラルチーズの種類、熟度に関しても、最終的に得られるプロセスチーズ類において必要な物性、風味などを得られるような設計を行えば良く、特に限定されるものではない。また、2種類以上の原料ナチュラルチーズを混合して使用しても良い。
また、pH6.0に調整した濃度1.0%水溶液の濁度が2.0以上である縮合リン酸塩と、プロセスチーズ類の製造に用いられている濁度2.0未満の一般的な溶融塩を併用することや、pH6.0に調整した濃度1.0%水溶液の濁度が2.0以上である縮合リン酸塩を併用することもできる。
耐熱性 [%] =(加熱後のプロセスチーズ類の高さ[mm]/加熱前のプロセスチーズ類の高さ[mm])× 100
チェダーチーズ(ニュージーランド産)1.5kgとゴーダチーズ(オーストラリア産)1.5kgを破砕・混合した。前記混合チーズ3.0kgをケトル型乳化機(ニチラク機械社製)に投入した。水分が43%になるように加水し、表1に示した溶融塩JOHA Cを60g加えた。また、この混合物にpH調整剤として重曹を加えた。乳化機の撹拌羽根の回転数を150rpmとし、ジャケットに蒸気を吹き込みながら加温して、プロセスチーズの温度が85℃に達した時点で加温と撹拌を停止後、サンプリングして冷却することによりプロセスチーズを作製した(比較品1)。なお、得られたプロセスチーズのpHは6.0であった。
チェダーチーズ(ニュージーランド産)1.5kgとゴーダチーズ(オーストラリア産)1.5kgを破砕・混合した。前記混合チーズ3.0kgをケトル型乳化機(ニチラク機械社製)に投入した。水分が43%になるように加水し、表1に示した溶融塩JOHA Cを60g加えた。また、この混合物にpH調整剤として重曹を加えた。乳化機の撹拌羽根の回転数を150rpmとし、ジャケットに蒸気を吹き込みながら加温して、プロセスチーズの温度が85℃に達したら温度を保持しながら粘度が最高値に達するまで撹拌を継続した。最高粘度に到達した時点で加温と撹拌を停止後、サンプリングして冷却することによりプロセスチーズを作製した(比較品2)。なお、得られたプロセスチーズのpHは5.8であった。
チェダーチーズ(ニュージーランド産)1.5kgとゴーダチーズ(オーストラリア産)1.5kgを破砕・混合した。前記混合チーズ3.0kgをステファン型乳化機(ニチラク機械社製)に投入した。水分が43%になるように加水し、表1に示した溶融塩JOHA Cを60g加えた。また、この混合物にpH調整剤として重曹を加えた。乳化機の撹拌羽根の回転数を1,500rpmとし、ジャケットに蒸気を吹き込みながら加温して、プロセスチーズの温度が85℃に達した時点で加温と撹拌を停止後、サンプリングして冷却することによりプロセスチーズを作製した(比較品3)。なお、得られたプロセスチーズのpHは5.9であった。
チェダーチーズ(ニュージーランド産)1.5kgとゴーダチーズ(オーストラリア産)1.5kgを破砕・混合した。前記混合チーズ3.0kgをケトル型乳化機(ニチラク機械社製)に投入した。水分が43%になるように加水し、表1に示した溶融塩JOHA Cを60g加え、この混合物にpH調整剤として重曹を加えたものを混錬し、サーモシリンダー式乳化機(岩井機械工業社製)に投入した。乳化機の撹拌羽根の回転数を300rpmとし、ジャケットに蒸気を吹き込みながら加温して、プロセスチーズの温度が85℃に達した時点で加温と撹拌を停止後、サンプリングして冷却することによりプロセスチーズを作製した(比較品4)。なお、得られたプロセスチーズのpHは5.9であった。
チェダーチーズ(ニュージーランド産)1.5kgとゴーダチーズ(オーストラリア産)1.5kgを破砕・混合した。前記混合チーズ3.0kgをケトル型乳化機(ニチラク機械社製)に投入した。水分が43%になるように加水し、表1に示した溶融塩JOHA SEを60g加えた。また、この混合物にpH調整剤として重曹を加えた。乳化機の撹拌羽根の回転数を150rpmとし、ジャケットに蒸気を吹き込みながら加温して、プロセスチーズの温度が85℃に達した時点で加温と撹拌を停止後、サンプリングして冷却することによりプロセスチーズを作製した(比較品5)。なお、得られたプロセスチーズのpHは5.8であった。
チェダーチーズ(ニュージーランド産)1.5kgとゴーダチーズ(オーストラリア産)1.5kgを破砕・混合した。前記混合チーズ3.0kgをケトル型乳化機(ニチラク機械社製)に投入した。水分が43%になるように加水し、表1に示した溶融塩JOHA Cを60g加え、卵白を20g加えた。また、この混合物にpH調整剤として重曹を加えた。乳化機の撹拌羽根の回転数を150rpmとし、ジャケットに蒸気を吹き込みながら加温して、プロセスチーズの温度が85℃に達した時点で加温と撹拌を停止後、サンプリングして冷却することによりプロセスチーズを作製した(比較品6)。なお、得られたプロセスチーズのpHは6.1であった。
耐熱性、pH、風味及び組織の評価結果を表4に示した。これらの結果から明らかなように、実施品1、2、3は高い耐熱性を示した。また、風味への影響もなく、良好な風味を有し、軟らかい組織であった。これらの結果から、pH6.0に調整した濃度1.0%水溶液の濁度が2.0以上である縮合リン酸塩を用いることにより、優れた耐熱性と、良好な風味および軟らかい組織を併せ持つチーズが得られることが明らかとなった。
実施例4で作製したプロセスチーズの耐熱性、pH、風味および組織の評価を行った。
Claims (4)
- pH6.0に調整した濃度1.0%の水溶液の濁度が2.0以上である縮合リン酸塩を、原料ナチュラルチーズに対して0.5〜5.0重量%配合することを特徴とするプロセスチーズ類。
- 一辺10mmのダイス状に成形し、121℃ 15分 オートクレーブ処理した時の耐熱性が80%以上であることを特徴とする請求項1に記載のプロセスチーズ類。なお、耐熱性は以下の式に従って算出した。
耐熱性 [%] =(加熱後のプロセスチーズ類の高さ[mm]/加熱前のプロセスチーズ類の高さ[mm])× 100 - pH6.0に調整した濃度1.0%水溶液の濁度が2.0以上である縮合リン酸塩を、原料ナチュラルチーズに対して0.5〜5.0重量%配合することを特徴とするプロセスチーズ類の製造方法。
- pH6.0に調整した濃度1.0%水溶液の濁度が2.0以上である縮合リン酸塩を、原料ナチュラルチーズに対して0.5〜5.0重量%配合することにより優れた耐熱性を有するプロセスチーズ類の製造方法。
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