JP6674894B2 - チーズソースおよびその製造方法 - Google Patents
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Description
しかし、(1)の方法では、原料チーズの比率が相対的に低下するため、チーズの風味が弱くなり、製品の価値を低下させる場合があり、また、(2)や(3)の方法では、乳化の状態が不安定となって、脂肪の分離を促進する場合があり、安定的な製品の製造を損なう等の問題点があった。
(1)少なくとも、原料チーズ、HLBが0〜2の親油性乳化剤およびHLBが15〜20の親水性乳化剤からなる群から選択される少なくとも1つの乳化剤、並びに水を含有するチーズソース。
(2)チーズソースの水分含有量が、40〜56質量%である前記(1)に記載のチーズソース。
(3)10℃における硬度が0.01〜500gである、又は10℃における粘度が0.01〜750Pa・sである前記(1)または(2)に記載のチーズソース。
(4)原料チーズの全量中において、熟度指数である水溶性窒素と全窒素の質量比が16〜40%である前記(1)〜(3)のいずれか1つに記載のチーズソース。
(5)少なくとも、原料チーズ、HLBが0〜2の親油性乳化剤およびHLBが15〜20の親水性乳化剤からなる群から選択される少なくとも1つの乳化剤、並びに水を混合して混合物を得る混合工程と、この得られた混合物を加熱・乳化する加熱乳化工程とを有するチーズソースの製造方法。
(6)加熱乳化工程後の混合物のpHを5〜6に調整する工程を含む前記(5)に記載のチーズソースの製造方法。
(7)前記混合工程において、モノリン酸一ナトリウム、モノリン酸二ナトリウムおよびモノリン酸三ナトリウムからなる群から選択される少なくとも1つの溶融塩を添加する前記(5)または(6)に記載のチーズソースの製造方法。
(8)チーズソースの水分含有量が、製造されるチーズソースの全量に対して40〜56質量%である前記(5)〜(7)のいずれか1つに記載のチーズソースの製造方法。
(9)原料チーズの全量中において、熟度指数である水溶性窒素と全窒素の質量比が16〜40%である前記(5)〜(8)のいずれか1つに記載のチーズソースの製造方法。
なお、本明細書において、「質量」で表される百分率や部は「重量」で表される百分率や部と同義である。
また、本発明のチーズソースはチーズを主原料とするチーズ含有食品であって、チーズソースは、「乳及び乳製品の成分規格等に関する省令」(乳等省令)で定義されるプロセスチーズに分類される。
また、「主原料」は、全原料中において最も高い割合で存在する原料を意味し、原料チーズがチーズソースの総量に対して60質量%以上を占めることが好ましく、62質量%以上がより好ましく、63質量%以上がさらに好ましい。
超硬質チーズは、MFFBが51%未満のものを指し、例えば、パルメザンチーズやグラナチーズ等が挙げられる。
硬質チーズは、MFFBが約49〜56%のものを指し、例えば、ゴーダチーズ、エダムチーズ、エメンタールチーズ、チェダーチーズ等が挙げられる。
半硬質チーズは、MFFBが約54〜69%のものを指し、例えば、ポールデュサリュ、セントポーリン、ブリックチーズ、ロックフォールチーズ、サムソーチーズ、マリボーチーズ等が挙げられる。
また、再製チーズも使用することができる。再製チーズとは、ナチュラルチーズを既にプロセスチーズ化したものを指す。
なお、本明細書において、水溶性窒素とは、熟成中にタンパク質が酵素によって分解されて生成する、分子量が5,000Da以下のペプチドまたはアミノ酸に含まれる窒素のことである。これらの含有量は、原料チーズ中で、熟成の進行とともに増大する。
熟度(%)=水溶性N/全N(%)=水溶性窒素含有量/全窒素含有量×100
[全窒素含有量]
ケルダール法にて測定する。
[水溶性窒素含有量]
(1) 試料(チーズ)の5gに、約50℃に加温した0.05Mのクエン酸ナトリウム・二水和物溶液を60mlで加え、回転式ホモゲナイザーを用いて8000rpm、約3分間で、ホモジナイズする。
(2) ホモゲナイザーを蒸留水で洗いこみながら100gとする。
(3) スターラーで攪拌しながら、6規定の塩酸溶液でpHを4.40±0.05に調整する。
(4) 東洋ろ紙No.5Aで、ろ過し、ろ液の2mlを取り、ケルダール法により窒素を定量する。この得られた値がチーズの1gあたりの水溶性窒素含有量である。
HLBが0〜2の親油性乳化剤は、脂肪に対して、疎水性カゼインタンパクの周囲を覆うように配位させ、脂肪の安定化と、タンパク質の保護による粘度上昇を抑制するという効果をもたらすと推測される。また、HLBが15〜20の親水性乳化剤は、脂肪とその表面を覆う両親媒性カゼインタンパク質からなる複合体に対して、その表面を乳化剤が覆うことで、他の複合体との接触を阻害し、乳化安定性の向上と粘度の上昇を抑制する効果をもたらすと推測される。
HLBが0〜2の親油性乳化剤としては、例えば、三菱化学フーズ株式会社製「シュガーエステルS−270」(商品名、HLB=2)、同「シュガーエステルS−170」(商品名、HLB=1)、同「シュガーエステルS−070」(商品名、HLB<1)、太陽化学株式会社製「サンソフト818R」(商品名、HLB<1)等が挙げられる。
また、HLBが15〜20の親水性乳化剤としては、例えば、三菱化学フーズ株式会社製「シュガーエステルP−1570」(商品名、HLB=15)、同「シュガーエステルP−1670」(商品名、HLB=16)、同「シュガーエステルS1670」(商品名、HLB=16)、同「モノエステルP」(商品名、HLB=19)等が挙げられる。
水は、製造されるチーズソースの水分含有量が40〜56質量%となるように配合するのが好ましく、より好ましくは42〜54質量%、さらに好ましくは44〜50質量%となるように、その配合量を調整することが好ましい。上記したように、原料チーズには水分が含まれているため、この原料チーズ中の水分を含めたチーズソースの全量に対する水分含有量を上記範囲とする。チーズソースの水分含有量が上記範囲であれば、チーズソースにおける原料チーズの比率を高くすることができるため、チーズの風味を向上させることができる。なお、水の配合量としては、例えば、16〜26質量%程度であることが好ましく、原料チーズの水分含有量を考慮して適宜調整すればよい。
[水分含有量]
(1) ケイ砂15〜20g及び小ガラス棒を入れたアルミ製秤量皿を、102℃に設定した熱風循環式乾燥機で1時間乾燥した後、デシケーター中で約30分間放冷する。
(2) 精密秤で秤量皿の重さを秤量した後、1.5〜2.0gの試料を精秤する。
(3) ホットプレート上で加熱しながらガラス棒で静かにかき混ぜる。
(4) 乾燥してケイ砂がサラサラになったら、秤量皿を102℃に設定した熱風循環式乾燥機で2時間乾燥した後、デシケーター中で約30分間放冷する。
(5) 精密秤で秤量し、次式より水分[%]を求める。
水分[%]=(試料質量−乾燥後質量)÷試料質量×100
pH調整剤は、実際に製造されるチーズソースのpHが好ましくは5〜6、より好ましくは5.2〜5.8、さらに好ましくは5.3〜5.8となるように、その配合量を調整することが好ましい。チーズソースのpHが上記範囲であれば、低粘性で作業特性に富み、かつ乳化安定性に優れる、という効果を奏することができる。
混合工程および加熱乳化工程は、原料チーズを加熱溶融して乳化する公知の装置を用いて実施することができる。このような装置としては、例えば、ケトル型チーズ乳化釜、横型クッカー、高速剪断乳化釜、連続式熱交換機(ショックステリライザー、コンビネーター)等が挙げられる。また、該装置とホモジナイザー、インラインミキサー、コロイドミル等の乳化機を組み合わせることも可能である。
溶融塩としては、リン酸塩、クエン酸塩、酒石酸塩等の通常のプロセスチーズの製造に用いられる溶融塩を用いることができる。溶融塩は、特に限定されないが、例えば、モノリン酸一ナトリウム、モノリン酸二ナトリウム、モノリン酸三ナトリウム、リン酸二ナトリウム、リン酸三ナトリウム、ピロリン酸ナトリウム、ヘキサメタリン酸ナトリウム、トリポリリン酸ナトリウム、テトラメタリン酸ナトリウム、ポリリン酸ナトリウム、リン酸カリウム、リン酸二カリウム、リン酸三カリウム、クエン酸三ナトリウム、酒石酸ナトリウム、酒石酸カルシウム等が挙げられる。溶融塩は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
均質化工程後は、適宜冷却操作を施し、本発明のチーズソースが得られる。
(チーズソース1〜9の作製)
ストロングチェダー(フォンテラ社製)を223g、グラニュラーK(チェダー、フォンテラ社製)を66g、パルメザン(フォンテラ社製)を33gで量り取り、各原料チーズを粉砕装置(株式会社なんつね製「ミートチョッパーMD−22K」)でミンチ状に粉砕し、混合装置内でこれらを均一になるまで混合した。原料チーズの熟度は28%であった。
続いて、原料チーズをケトル型の卓上釜に移し、モノリン酸一ナトリウムを9.4g、表1に示す各種の乳化剤のいずれかを1.7g添加し、さらに、実際に製造されるチーズソースの水分含有量が47質量%となるように、水を加え、乳酸を用いて、溶融後のpHが約5.5となるように調整して、各種の混合物を得た。
上記チーズソース2において、溶融塩としてのモノリン酸一ナトリウムの配合量が、チーズソースの全体の重量に対して1.5%、1.0%となるようにした以外は同様にして、チーズソース10、11を得た。
なお、粘度は、粘度計(リオン株式会社製「ビスコテスター VT−04F」)により測定した。89℃に達温したチーズ乳化物をステンレス製カップ(3号カップ、リオン株式会社製)に9分目まで充填し、粘度計でそれぞれ測定した。ローターには、1号ローター(リオン株式会社製)を使用した。
硬度は、株式会社不動工業製「レオメーター」(プランジャー:φ10mm球、貫入速度:5cm/分、貫入距離:5mm)により測定した。
〔熱水保持後の状態評価〕
専門パネルの5名により、目視にて密封容器内のチーズソースの外観を確認し、下記の基準にて総合的に判断した。5名の評価点の平均点で評価した。
5:脂肪の分離が認められない状態
4:所々に脂肪の斑点が視認できる状態
3:明確に脂肪が分離し、局所的に滲みや黄変が生じている状態
2:激しく脂肪が分離し、組織全体が黄変した状態
1:チーズ組織と脂肪が完全に分離した状態
〔風味評価〕
専門パネルの5名により、チーズソースを試食し、下記基準にて総合的に判断した。5名の評価点の平均点で評価した。
5:チーズ由来の脂肪分解臭が鼻に抜けるように強く生じ、後味に旨味、コク味や甘味が強く感じられる
4:チーズ由来の脂肪分解臭が弱く感じられるが、後味にはっきりと旨味、コク味や甘味が残る
3:チーズ由来の脂肪分解臭、後味の旨味、コク味や甘味が弱い
2:全体として、塩味が際立ち、香り、旨味、コク味や甘味が弱く、スッキリしている
1:チーズの風味が弱く、塩味や加熱臭が強く感じられる
また、表2、図1(a)、図1(b)および図2(a)、図2(b)の結果から明らかなように、チーズソース1〜3、7〜10では、熱水保持後に、脂肪の分離は認められず、チーズソース4〜6に比べて、乳化安定性が優れていた。つまり、HLBが0〜2の親油性乳化剤またはHLBが15〜20の親水性乳化剤を用いることで、脂肪の分離(オイルオフ)を抑制して、乳化安定性に優れたチーズソースを製造できることが分かった。
なお、チーズソース1〜3および7〜11では、チーズ本来の風味および食感が十分に生かされた良好なものが得られた。
チェダー(株式会社明治製)を5.2kg、グラニュラーK(チェダー、フォンテラ社製)を1.5kg、パルメザン(フォンテラ社製)を0.7kgで量り取り、各原料チーズを粉砕装置(株式会社なんつね製「ミートチョッパーMD−22K」)でミンチ状に粉砕し、混合装置内でこれらを均一になるまで混合した。原料チーズの熟度は28%であった。
続いて、上記原料チーズ、モノリン酸一ナトリウムを0.2kg、再製チーズ(原料チーズ中の5質量%となる量)および親油性乳化剤(三菱化学フーズ株式会社製「シュガーエステル P−170」、HLB=1)を表3に示す量(チーズソースの全体に対する質量%)で、該混合装置に入れ、さらに、チーズソースの水分含有量が約47質量%となるように、水を加え、乳酸を用いて、溶融後のpHが約5.5となるように調整して、各種の混合物を得た。
続いて、上記で得られた各種の混合物を、乳化釜(ステファン社製「ステファンクッカー」)を用いて、750rpm、1分間の条件で撹拌した後に、1500rpm、85℃、8分間の条件で加熱溶融して乳化させてチーズソース12、13を得た。
実施例1と同様にして、この溶融直後(80℃)の粘度、10℃冷却時の粘度および10℃冷却時の硬度を測定し、表3に示した。
また、実施例1と同様に、乳化安定性(熱水保持後の状態)と風味を評価し、同じく表3に示した。
ストロングチェダー(フォンテラ社製)を246g、グラニュラーK(チェダー、フォンテラ社製)を70g、パルメザン(フォンテラ社製)を35gで量り取り、各原料チーズを粉砕装置(株式会社なんつね製「ミートチョッパーMD−22K」)でミンチ状に粉砕し、混合装置内でこれらを均一になるまで混合した。原料チーズの熟度は28%であった。
続いて、原料チーズをケトル型の卓上釜に移し、表4に示す各種の溶融塩を9.6gで添加し、さらに、実際に製造されるチーズソースの水分含有量が約47質量%となるように、水を加え、乳酸を用いて、溶融後のpHが約5.5となるように調整して、各種の混合物を得た。
チェダー(株式会社 明治製)を5.2kg、グラニュラーK(フォンテラ社製)を1.5kg、パルメザン(フォンテラ社製)を0.7kgで量り取り、各原料チーズを粉砕装置(株式会社なんつね製「ミートチョッパーMD−22K」)でミンチ状に粉砕し、混合装置内でこれらを均一になるまで混合した。原料チーズの熟度は28%であった。
続いて、上記原料チーズ、モノリン酸一ナトリウムを0.2kg、親油性乳化剤(三菱化学フーズ株式会社製「シュガーエステル P−170」、HLB=1)を0.02kgで、該混合装置に入れ、さらに、チーズソースの水分含有量が約47質量%となるように、水を加えた。乳酸を用いて、溶融後のpHが表5となる様に調整して、各種の混合物を得た。
なお、pHが5.3の場合(チーズソース20)は、低pHによる酸味がわずかに感じられたが問題のない風味であった。以上のことから、pHが5.3〜5.8の範囲であれば、流動性を確保するとともに、風味、物性ともに良好なチーズソースを製造できることがわかった。
上記実施例4で調製したチーズソース19を密閉容器に充填し、冷蔵庫で1晩静置した。その後、水分活性測定用プラスチックシャーレの8分目までサンプリングした。
比較として、プロセスチーズ(株式会社明治製「明治北海道十勝スマートチーズうまみ濃厚チェダーブレンド」)を用い、縦5mm×横5mm×厚み2mm程度に切り出して、水分活性測定用プラスチックシャーレに載せた。
チェダー(株式会社 明治製)を5.2kg、グラニュラーK(フォンテラ社製)を1.5kg、パルメザン(フォンテラ社製)を0.7kgで量り取り、各原料チーズを粉砕装置(株式会社なんつね製「ミートチョッパーMD−22K」)でミンチ状に粉砕し、混合装置内でこれらを均一になるまで混合した。原料チーズの熟度は28%であった。
続いて、上記原料チーズ、モノリン酸一ナトリウムを0.2kg、親油性乳化剤(三菱化学フーズ株式会社製「シュガーエステル P−170」、HLB=1)を0.02kgで、該混合装置に入れ、さらに、チーズソースの水分含有量が約47質量%となるように、水を加えた。乳酸を用いて、溶融後のpHが5.5となる様に調整して、各種の混合物を得た。
〔流動性(硬度)測定装置〕
・株式会社不動工業製「レオメーター」
・プランジャー:φ10mm球、貫入速度:5cm/分、貫入距離:5mm
粘度と硬度の測定結果を図6に示した。
チェダー(株式会社 明治製)を5.2kg、グラニュラーK(フォンテラ社製)を1.5kg、パルメザン(フォンテラ社製)を0.7kgで量り取り、各原料チーズを粉砕装置(株式会社なんつね製「ミートチョッパーMD−22K」)でミンチ状に粉砕し、混合装置内でこれらを均一になるまで混合した。原料チーズの熟度は28%であった。
続いて、上記原料チーズ、モノリン酸一ナトリウムを0.2kg、親油性乳化剤(三菱化学フーズ株式会社製「シュガーエステル P−170」、HLB=1)を0.02kgで、該混合装置に入れ、さらに、チーズソースの水分含有量が約47質量%となるように、水を加えた。乳酸を用いて、溶融後のpHが5.5となる様に調整して、混合物を得た。
得られた乳化物に対し、乳化機(三和エンジニアリング株式会社製「ホモゲナイザー HA4733」)を用いて、0MPa、2MPaおよび5MPaの3水準で、均質化を行って各種チーズソースを得た。均質化を行ったチーズソースを4Lのステンレス製バットに2kgほどサンプリングし、80℃恒温槽で保温しながら20rpmの速度で撹拌保持を行った。1時間おきに粘度を測定し、結果を図7に示した。粘度は、粘度計(リオン株式会社製「ビスコテスター VT−04F」)により測定した。チーズソースをステンレス製カップ(3号カップ、リオン株式会社製)に9分目まで充填し、粘度計で測定した。ローターには、1号ローター(リオン株式会社製)を使用した。
チェダー(株式会社明治製)を5.2kg、グラニュラーK(チェダー、フォンテラ社製)を1.5kg、パルメザン(フォンテラ社製)を0.7kgで量り取り、各原料チーズを粉砕装置(株式会社なんつね製「ミートチョッパーMD−22K」)でミンチ状に粉砕し、混合装置内でこれらを均一になるまで混合した。原料チーズの熟度は28%であった。
続いて、上記原料チーズ、モノリン酸一ナトリウムを0.2kg、親油性乳化剤(三菱化学フーズ株式会社製「シュガーエステル P−170」、HLB=1)を0.02kgで、該混合装置に入れ、さらに、チーズソースの水分含有量が約47質量%となるように、水を加えた。乳酸を用いて、溶融後のpHが5.5となる様に調整して混合物を得た。得られた混合物を、乳化釜(ステファン社製「ステファンクッカー」)を用いて、750rpm、1分間の条件で撹拌した後に、1500rpm、85℃、8分間の条件で加熱溶融して乳化させてチーズソース21を得た。
測定方法は以下の通りである。
測定方法
[PTA可溶性窒素含有量]
(1) 試料(チーズ)の5gに、約50℃に加温した0.05Mのクエン酸ナトリウム・二水和物溶液を60mlで加え、回転式ホモゲナイザーを用いて8000rpm、約3分間で、ホモジナイズする。
(2) ホモゲナイザーを蒸留水で洗いこみながら100gとする。
(3) スターラーで攪拌しながら、6規定の塩酸溶液でpHを4.40±0.05に調整する。
(4) 東洋ろ紙No.5Aで、ろ過し、共栓付試験管にろ液の10mlを取り、25%硫酸の6ml、25%PTAの4mlを添加し、室温で一晩静置する。
(5) 東洋ろ紙No.5Aで、ろ過し、ろ液の4mlを取り、ケルダール法により窒素を定量する。この得られた値がチーズの1gあたりのPTA可溶性窒素画分である。
PTA/全N(%)=PTA可溶性窒素含有量/全窒素含有量×100
PTA可溶性窒素(PTA)と全窒素(全N)の質量比を図8に示す。
Claims (7)
- 少なくとも、原料チーズ、HLBが0〜2の親油性乳化剤およびHLBが15〜20の親水性乳化剤からなる群から選択される少なくとも1つの乳化剤、並びに水を含有するチーズソースであって、
前記原料チーズは、超硬質チーズ、硬質チーズおよび半硬質チーズからなる群から選ばれる少なくとも一種であり、
前記乳化剤は、ショ糖脂肪酸エステルであり、
前記チーズソースの全量に対して、前記原料チーズを60質量%以上、および前記乳化剤を0.05〜0.8質量%の範囲で含有し、
前記チーズソースの水分含有量が、40〜56質量%であるチーズソース。 - 10℃における硬度が0.01〜500gである、又は10℃における粘度が0.01〜750Pa・sである請求項1に記載のチーズソース。
- 原料チーズの全量中において、熟度指数である水溶性窒素と全窒素の質量比が16〜40%である請求項1または請求項2に記載のチーズソース。
- 少なくとも、原料チーズ、HLBが0〜2の親油性乳化剤およびHLBが15〜20の親水性乳化剤からなる群から選択される少なくとも1つの乳化剤、並びに水を混合して混合物を得る混合工程と、この得られた混合物を加熱・乳化する加熱乳化工程とを有するチーズソースの製造方法であって、
前記原料チーズは、超硬質チーズ、硬質チーズおよび半硬質チーズからなる群から選ばれる少なくとも一種であり、
前記乳化剤は、ショ糖脂肪酸エステルであり、
前記チーズソースの全量に対して、前記原料チーズを60質量%以上、および前記乳化剤を0.05〜0.8質量%の範囲で配合し、
前記チーズソースの水分含有量を、製造されるチーズソースの全量に対して40〜56質量%とするチーズソースの製造方法。 - 加熱乳化工程後の混合物のpHを5〜6に調整する工程を含む請求項4に記載のチーズソースの製造方法。
- 前記混合工程において、モノリン酸一ナトリウム、モノリン酸二ナトリウムおよびモノリン酸三ナトリウムからなる群から選択される少なくとも1つの溶融塩を添加する請求項4または請求項5に記載のチーズソースの製造方法。
- 原料チーズの全量中において、熟度指数である水溶性窒素と全窒素の質量比が16〜40%である請求項4〜請求項6のいずれか1項に記載のチーズソースの製造方法。
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