JP6039004B2 - 回転ツール - Google Patents
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Description
<摩擦攪拌接合用ツール>
図1は、本発明の摩擦攪拌接合用ツールの概略断面図である。本発明の摩擦攪拌接合用ツール1は、摩擦攪拌接合加工に使用するものであって、図1に示されるように、基材4と、該基材4上に形成された被覆層5とを備え、基材4は、第1硬質相と、第2硬質相と、結合相とを含み、第1硬質相は、WC粒子からなり、第2硬質相は、Ti、Zr、Hf、Nb、Ta、Cr、Mo、およびWからなる群より選ばれた一種以上の金属と、窒素、炭素、硼素、および酸素からなる群より選ばれる一種以上の元素とからなる化合物、または該化合物の固溶体(ただし、WCを除く)からなり、かつ基材に対し、3体積%以上30体積%以下含まれ、結合相は、鉄族金属からなり、かつ基材に対し、8体積%以上28体積%以下含まれ、第1硬質相と第2硬質相との構成比は、体積比率にして、第1硬質相が、第2硬質相よりも大きいことを特徴とする。なお、基材4は、第1硬質相、第2硬質相、および結合相以外に不可避不純物を含んでいてもよい。
本発明の摩擦攪拌接合用ツールに用いられる基材は、第1硬質相と、第2硬質相と、結合相とを含むものであり、該第1硬質相は、WC粒子からなり、該第2硬質相は、Ti、Zr、Hf、Nb、Ta、Cr、Mo、およびWからなる群より選ばれた一種以上の金属と、窒素、炭素、硼素、および酸素からなる群より選ばれる一種以上の元素とからなる化合物、または該化合物の固溶体(ただし、WCを除く)からなり、かつ基材に対し、3体積%以上30体積%以下含まれ、該結合相は、鉄族金属(Co、Ni、Fe)からなり、かつ基材に対し、8体積%以上28体積%以下含まれ、第1硬質相と第2硬質相との構成比は、体積比率にして、第1硬質相が、第2硬質相よりも大きいことを特徴とする。
本発明において、基材に含まれる第1硬質相は、WC粒子からなるものである。かかるWC粒子の平均粒子径は、0.5μm以上10μm以下であることが好ましく、2μm以上であることがより好ましく、さらに好ましくは3μm以上である。WC粒子の平均粒子径が10μmを超えない範囲で大きいほど、破壊靱性を向上させることができ、もって耐熱亀裂性を向上することができる。
本発明において、基材に対し、3体積%以上30体積%以下の第2硬質相を含むことを特徴とする。かかる第2硬質相は、第1硬質相とともに基材に含まれるものであって、WC粒子の熱膨張係数よりも熱膨張係数が大きい組成からなるものである。このような第2硬質相を基材が含むことにより、基材の熱膨張係数を被覆層の熱膨張係数に近づけることができ、もって被覆層が基材から剥離しにくくなる。第2硬質相が3体積%未満であると、被覆層が剥離しやすくなるため好ましくない。一方、30体積%を超えると、基材の耐熱亀裂性が低下するため好ましくない。
本発明において、基材は、上述のように第1硬質相と第2硬質相とを含み、かつ、第1硬質相と第2硬質相との構成比は、体積比率にして、第1硬質相が第2硬質相より大きくなることを特徴とする。すなわち、基材が第1硬質相の体積比率よりも少ない体積比率で第2硬質相を含むことを特徴とする。これにより摩擦攪拌接合用ツールの耐熱亀裂性を向上することができ、もって摩擦攪拌接合用ツールの耐欠損性を向上させることができる。
本発明において、結合相は、第1硬質相同士、第2硬質相同士、または第1硬質相と第2硬質相とを結合するために基材に含むものである。このような結合相は、鉄族金属からなるものであり、かつ基材に対し、8体積%以上28体積%以下含むことを特徴とする。第1硬質相同士を結合する結合相としては、Coを用いることが好ましく、第2硬質相同士を結合する結合相としては、Niを用いることが好ましい。結合相としてCoとNiを用いる場合の各組成比は、任意に変更することができる。なお、結合相として用いる材料は、鉄製金属からなるものであればいかなるものをも用いることができる。すなわち、CoおよびNiのみに限られるものではなく、Feを用いることができる他、第1硬質相または第2硬質相を構成する元素等を固溶していてもよい。なお、結合相は、基材に対し、8体積%以上28体積%以下含むことが好ましく、より好ましくは、10体積%以上20体積%以下含むことである。結合相が8体積%未満であると、強度が不足する場合があるため好ましくなく、28体積%を超えると、第1硬質相および第2硬質相の体積比率が相対的に低下し、硬度、および耐塑性変形性等の諸特性を十分に得られない場合がある。
本発明の摩擦攪拌接合用ツール1の基材4上には、被覆層5が形成されていることを特徴とする。ここでの被覆層5とは、単一組成の1層のみから構成されていてもよいし、互いに組成の異なる2以上の層によって構成されていてもよい。このような被覆層5を備えることにより、耐摩耗性、耐酸化性、靭性、使用済みプローブの識別のための色付性等の諸特性を向上させる作用を付与することができる。また、被覆層5は、基材の全面を覆うようにして形成されていることが好ましいが、基材4の一部が被覆層5により覆われていなかったり、基材4上のいずれかの部分において被覆層5の構成が異なっていてもよい。また、酸化が最も著しい、ショルダー部のみを被覆してもよい。
まず、第1硬質相を構成する材料と、下記の表1に示す第2硬質相を構成する材料と、結合相を構成するCoとを、下記の表1に示す体積比率で混合することにより混合粉末を得た。ここで、第1硬質相を構成する材料としては、表1に示す平均粒子径のWC粒子を用い、結合相を構成する材料としては、平均粒子径が0.5μmのCo粉末を用いた。
上記で作製した各実施例および各比較例の摩擦攪拌接合用ツールのそれぞれについて、下記の表2に示す条件による点接合(FSJ)を模した摩耗試験を3000スポット行なった。
実施例12では、被覆層の組成を酸化開始温度が1130℃のAl0.6Ti0.35Si0.05N層に代えて、厚みを3μmとしたことを除いては、実施例7と同様のものを準備した。実施例13では、被覆層の組成を酸化開始温度が970℃のTi0.5Al0.5N層に代えて、厚みを3μmとしたことを除いては、実施例7と同様のものを準備した。そして、上記の耐摩耗性と同様の評価を行なった。その結果を表4に示す。
Claims (6)
- 摩擦攪拌接合加工に使用する摩擦攪拌接合用ツールであって、
前記摩擦攪拌接合用ツールは、基材と、該基材上に形成された被覆層とを備え、
前記基材は、第1硬質相と、第2硬質相と、結合相とを含み、
前記第1硬質相は、WC粒子からなり、
前記第2硬質相は、Ti、Zr、Hf、V、Nb、Ta、Cr、Mo、およびWからなる群より選ばれた一種以上の金属と、窒素、炭素、硼素、および酸素からなる群より選ばれる一種以上の元素とからなる化合物、または該化合物の固溶体(ただし、WCを除く)からなり、かつ前記基材に対し、3体積%以上30体積%以下含まれ、
前記第2硬質相に占める窒化物および/または炭窒化物の体積比率は、30体積%以上100体積%以下であり、
前記結合相は、鉄族金属からなり、かつ前記基材に対し、8体積%以上28体積%以下含まれ、
前記第1硬質相と前記第2硬質相との構成比は、体積比率にして、前記第1硬質相が、前記第2硬質相よりも大きく、
前記第2硬質相および前記被覆層は、それぞれ7×10-6/℃以上9×10-6/℃以下の熱膨張係数を有する、摩擦攪拌接合用ツール。 - 前記第2硬質相は、Ti、Zr、Hf、V、Nb、Ta、Cr、Mo、およびWからなる群より選ばれた一種以上の金属の炭化物、窒化物、または炭窒化物からなる、請求項1に記載の摩擦攪拌接合用ツール。
- 前記WC粒子の平均粒子径は、3μm以上である、請求項1または2に記載の摩擦攪拌接合用ツール。
- 前記被覆層は、1000℃以上の耐酸化性を有する、請求項1〜3のいずれかに記載の摩擦攪拌接合用ツール。
- 前記被覆層は、物理蒸着法により形成される、請求項1〜4のいずれかに記載の摩擦攪拌接合用ツール。
- 前記摩擦攪拌接合用ツールを用いた摩擦攪拌接合加工が、点接合である、請求項1〜5のいずれかに記載の摩擦攪拌接合用ツール。
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