JP6035852B2 - 車両用懸架装置 - Google Patents
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Description
特に本発明の車両用懸架装置の場合には、このうちのアッパアームが、フレームと、伸縮機構と、電動モータと、減速機構と、1対のリンク腕とを備える。
このうちのフレームは、前記車体に対し直接、揺動不能に支持固定されている。
又、前記伸縮機構は、1対のねじ軸と1対のねじナットとを備える(1対の送りねじ機構を備える)。このうちの1対のねじ軸は、外周面に互いに逆方向の雄ねじを形成しており、前記車体の前後方向に同一直線上に配置されている。又、前記1対のねじナットは、内周面に互いに逆方向の雌ねじを形成したもので、前記各ねじ軸の周囲にそれぞれ係合している。そして、これら1対のねじナットと1対のねじ軸とのうち、何れか一方の1対の部材を、前記フレームに対し軸方向への移動のみ可能に支持すると共に、何れか他方の1対の部材を、このフレームに対し回転のみ可能に支持している。
又、前記電動モータは、前記フレームに支持されており、両方向(正方向及び逆方向)に回転可能である。
又、前記減速機構は、前記電動モータの動力を、前記伸縮機構を構成する前記他方の1対の部材に伝達する。
又、前記1対のリンク腕は、それぞれの基端部を前記伸縮機構を構成する前記一方の1対の部材のそれぞれの先端部に対し、直接若しくは他の部材を介して、少なくとも前記車体の上下方向の軸回りに回動可能に連結すると共に、それぞれの先端部を前記上部継手に対し、前記車体の上下方向の軸回りに回動可能に連結している。この為に例えば、前記1対のリンク腕の先端部を、前記上部継手の一部若しくはこの上部継手に取り付けられる部材に連結する。
そして、本発明の車両用懸架装置は、前記電動モータにより、前記減速機構を介して、前記伸縮機構を構成する前記他方の1対の部材を回転駆動する事で、この伸縮機構を構成する前記一方の1対の部材を軸方向に関して互いに反対方向に進退させる。これにより、前記両リンク腕の開き角度を変化させ、前記車体の幅方向に関するこれら両リンク腕の長さを変化させる(アッパアームの全長を変化させる)事で、車輪のキャンバ角を変更する。
又、本発明の車両用懸架装置の場合には、追加的に、前記1対のリンク腕のそれぞれの基端部を、前記伸縮機構を構成する前記一方の1対の部材(請求項2に記載した発明の場合には1対のねじナット、請求項3に記載した発明の場合には1対のねじ軸)のそれぞれの先端部に対し、ボールジョイントを介して、上下方向に揺動可能に連結する構成を備える。
尚、この様な請求項3に記載した発明を実施する場合に例えば、ウォームの条数を1条とし、ウォーム歯の捩れ角の大きさを規制する事で、ウォームホールの回転がウォームに伝達されない(逆作動しない)様にする、或いは、電動モータ自体にブレーキ作用を持たせる事で、車輪から1対のリンク腕に加わる力により、アッパアームの全長が変化しない様にする。
滑りねじ式の送りねじ機構を構成する場合には、ねじナットの内周面に形成された雌ねじを、ねじ軸の外周面に形成された雄ねじに摺動可能に係合させる。
又、この様な滑りねじ式の送りねじ機構を構成するねじ軸としては、例えばステンレス鋼製のねじ軸を使用でき、同じくねじナットとしては、ポリフェニレンサルファイド、ポリアミド66、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)等の合成樹脂製のねじナット、或いは、黄銅(真鍮)製のねじナットを使用できる。
一方、ボールねじ式の送りねじ機構を構成する場合には、ねじナットの内周面に形成された外径側ボールねじ溝と、ねじ軸の外周面に形成された内径側ボールねじ溝とを、それぞれ複数個のボールを介して係合させる。
即ち、本発明の車両用懸架装置の場合には、アッパアーム自体に、このアッパアームの全長(車体の幅方向に関するリンク腕の長さ)を可変にする為の構造を集約している。この為、ロアアーム等のその他の部材に関しては、従来構造の場合と同様のものを使用できる。又、車体側(例えばエンジンルーム)にも、前述した従来構造の第2例の場合の様な油圧ポンプ等の部材を設置する必要がない。更に、前記アッパアームは、送りねじ機構による伸縮機構と、電動モータと、減速機構と、リンク機構とを組み合わせた簡易な構成により、その全長を変更できる。従って、本発明によれば、車両の走行状況に応じてキャンバ角を適宜変更できる車両用懸架装置を簡易な構造で実現できて、装置全体としての小型化・軽量化を図れる。この為、本発明の車両用懸架装置によれば、車両の旋回性能、直進性能の更なる向上を図れるだけでなく、バネ下荷重の増大を十分に抑える事ができて、乗り心地性や走行安定性を中心とする、車両の走行性能の向上も図れる。
又、キャンバ角の制御(アッパアームの全長制御)を電動モータの通電制御により行える為、油圧式に行う場合に比べて制御性や応答性に優れると共に、エンジンの動力損失も生じなくて済む。更に、本発明によれば、左右の車輪のキャンバ角を、それぞれ独立して制御できる。
又、本発明によれば、フレームを車体に対して上下方向に揺動可能に支持する必要がなくなる為、車体に対するアッパアームの支持構造を簡易にできる。
又、前述した様に、リード角を5.7度よりも小さくした場合には、送りねじ機構での逆作動を有効に防止できる。この為、キャンバ角を変更する駆動時にのみ電力(エネルギ)を消費し、キャンバ角を変更せずに姿勢を一定に保持している状態では電力を消費しなくて済む。従って、省エネルギ化を図れる。
又、ウォームホイールを合成樹脂製とした場合には、ウォームホイールの軽量化を図れ、懸架装置の更なる軽量化を図れる。
更に、ウォームを第二の減速機を介して電動モータにより回転駆動すれば、電動モータの小型化を図れ、懸架装置の更なる小型化・軽量化を図れる。
これに対して、ボールねじ式の送りねじ機構を採用した場合には、滑りねじ式の送りねじ機構を採用した場合に比べて、前記伸縮機構を構成する前記他方の1対の部材を回転駆動する為のトルクを低減できる。この為、電動モータを小型化できて、懸架装置の小型化・軽量化を図れる。又、前記伸縮機構を構成する前記一方の1対の部材の位置決め精度の向上を図れ、キャンバ角の制御を精度良く行える。
図1〜3は、本発明に関する参考例を示している。本参考例の特徴は、ダブルウィシュボーン式の車両用懸架装置に関して、アッパアーム4b自体に、このアッパアーム4bの全長を可変にする為の構造を集約する事で、車両の走行状況に応じてキャンバ角γを適宜変更可能とした点にある。ロアアーム5等のその他の部材に関しては、前記図7に示した従来構造の第1例の場合と同じである。従って、以下、本参考例の特徴部分である前記アッパアーム4bの構造を中心に説明する。
図4〜6は、本発明の実施の形態の第1例を示している。本例の場合には、アッパアーム4cを、フレーム12aと、1対の送りねじ機構13c、13dから成る伸縮機構33aと、電動モータ24aと、歯車式減速機34と、リンク機構15aとから構成している。ロアアーム等、前記アッパアーム4c以外のその他の部分の構成に就いては、前述した参考例の場合と同じである。従って、以下、本例の特徴部分である前記アッパアーム4cの構造を中心に説明する。
その他の構成及び作用・効果に就いては、前記参考例の場合と同様である。
2 軸受ユニット
3 ナックル
4、4a、4b、4c アッパアーム
5、5a ロアアーム
6 アッパボールジョイント
7 ロアボールジョイント
8 ショックアブソーバ
9 油圧シリンダ
10 油圧シリンダ
11 車体
12、12a フレーム
13a、13b、13c、13d 送りねじ機構
14 ウォーム減速機
15、15a リンク機構
16 取付部
17 ボルト
18 ナット
19 ブッシュ
20a、20b、20c、20d ねじ軸
21a、21b、21c、21d ねじナット
22 ウォームホイール
23 ウォーム
24、24a 電動モータ
25 歯車式減速機
26 ウォーム軸
27 ウォーム歯
28 ねじ
29a、29b、29c、29d リンク腕
30、30a 連結部材
31 収容部
32a、32b ジョイント部材
33、33a 伸縮機構
34 歯車式減速機
35 フレーム本体
36 収納部
37 取付部
38 把持部
39 ボルト
40 ねじ軸体
41 転がり軸受
42 ガイド筒
43 フランジ部
44 取付フランジ部
45 ボルト
46 回り止め凹溝
47 回り止め凸部
48 ボールジョイント
49 ソケット部
50 出力軸
51a 第一カウンタ軸
51b 第二カウンタ軸
52a 第一小はすば歯車
52b 第二小はすば歯車
53a 第一大はすば歯車
53b 第二大はすば歯車
54 ボールスタッド
55 ナット
56 ボール部
Claims (4)
- 先端部が各方向の揺動変位を許容する上部継手を介してナックルの上部に連結されると共に、基端部が車体に対し支持されるアッパアームと、先端部が各方向の揺動変位を許容する下部継手を介して前記ナックルの下部に連結されると共に、基端部が前記車体に対し揺動可能に支持されるロアアームとを備えた車両用懸架装置に於いて、
前記アッパアームが、フレームと、伸縮機構と、電動モータと、減速機構と、1対のリンク腕とを備えており、
前記フレームが、前記車体に対し直接揺動不能に支持固定されており、
前記伸縮機構が、この車体の前後方向に同一直線上に配置され、それぞれの外周面に互いに逆方向の雄ねじが形成された1対のねじ軸と、これら各ねじ軸の周囲にそれぞれ係合し、それぞれの内周面に互いに逆方向の雌ねじが形成された1対のねじナットとを備え、これら1対のねじナットと前記1対のねじ軸とのうち、何れか一方の1対の部材を、前記フレームに対し軸方向への移動のみ可能に支持すると共に、何れか他方の1対の部材を、このフレームに対し回転のみ可能に支持しており、
前記電動モータが、前記フレームに支持され、両方向に回転可能であり、
前記減速機構が、この電動モータの動力を、前記伸縮機構を構成する前記他方の1対の部材に伝達するものであり、
前記1対のリンク腕が、それぞれの基端部を、前記伸縮機構を構成する前記一方の1対の部材のそれぞれの先端部に対し、ボールジョイントを介して上下方向に揺動可能に且つ前記車体の上下方向の軸回りに回動可能に連結すると共に、それぞれの先端部を前記上部継手に対し、前記車体の上下方向の軸回りに回動可能に連結しており、
前記電動モータにより、前記減速機構を介して、前記伸縮機構を構成する前記他方の1対の部材を回転駆動する事で、この伸縮機構を構成する前記一方の1対の部材を軸方向に関して互いに反対方向に進退させ、前記両リンク腕の開き角度を変化させる事により、前記車体の幅方向に関するこれら両リンク腕の長さを変化させる事を特徴とする車両用懸架装置。 - フレームに対し軸方向への移動のみ可能に支持された一方の1対の部材が、1対のねじナットであり、前記フレームに対し回転のみ可能に支持された他方の1対の部材が、1対のねじ軸であり、
これら両ねじ軸は一体に構成されており、
これら両ねじ軸の外周面にそれぞれ多条の雄ねじが形成されており、前記両ねじナットの内周面にそれぞれ多条の雌ねじが形成されており、
減速機構が、複数のはすば歯車を備えた歯車式減速機であり、このうちの最終歯車が、一体に構成された前記両ねじ軸の軸方向中央部に支持固定されている、
請求項1に記載した車両用懸架装置。 - フレームに対し軸方向への移動のみ可能に支持された一方の1対の部材が、1対のねじ軸であり、前記フレームに対し回転のみ可能に支持された他方の1対の部材が、1対のねじナットであり、
減速機構が、ウォームとウォームホイールとを互いに噛合させて成るウォーム減速機であり、このうちのウォームホイールが、前記両ねじナットに対し、同期した回転を自在として組み合わされている、
請求項1に記載した車両用懸架装置。 - 伸縮機構を構成する一方の1対の部材或いはこれら1対の部材に固定された部材と、フレームとの間に、これら1対の部材の軸方向変位を許容しつつ相対回転を阻止する為の回り止め機構が設けられている、請求項1〜3のうちの何れか1項に記載した車両用懸架装置。
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