JP2019006227A - 補助転舵機能付ハブユニットおよび車両 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】運転者のハンドル操作によって車輪2の転舵角度を変化させるステアリング装置に、懸架装置21のナックル22を介して接続されるハブユニットである。ハブベアリング3を有するハブユニット本体4と、ナックル22と連結されまたはナックル22の一部として構成されたユニット支持部材5とを備える。ハブユニット本体4は、補助転舵軸心A回りに回転自在なように上下2箇所で回転許容支持部品7,7を介してユニット支持部材5に支持され、補助転舵用アクチュエータ6の駆動により補助転舵となる回転が行われる。
【選択図】図1
Description
車両のジオメトリには、(1) 左右輪の切れ角度が同じである「パラレルジオメトリ」、(2) 旋回中心を1か所にするために旋回内輪タイヤ角度を旋回外輪タイヤ角度よりも大きく切る「アッカーマンジオメトリ」が知られている。
走行状況に応じてステアリングジオメトリを可変とした機構に関しては、例えば特許文献1,2が提案されている。特許文献1では、ナックルアームとジョイント位置を相対的に変化させて、ステアリングジオメトリを変化させる。特許文献2では、モータ2個を使い、トー角とキャンバー角の両方を任意の角度に傾けることを可能にしている。また、4輪独立転舵の機構につき、特許文献3で提案されている。
特許文献1では、前述のようにナックルアームとジョイント位置を相対的に変化させてステアリングジオメトリを変化させているが、このような部分で車両のジオメトリを変化させるほどの大きな力を得るモータアクチュエータを備えることは、空間の制約上、非常に困難である。また、この位置での変化によるタイヤ角の変化が小さく、大きな効果を得るためには、大きく変化させる、つまり大きく動かす必要がある。
特許文献2では、モータを2個使っているため、モータ個数の増大によるコスト増が生じるうえ、制御が複雑になる。
特許文献3は、4輪独立転舵の車両にしか適用出来ず、また転舵軸に対しハブベアリングを片持ち支持しているため、剛性が低下し、過大な走行Gの発生によってステアリングジオメトリが変化してしまう可能性がある。
また、転舵軸上に減速機を設けた場合、大きな動力が必要となる。このため、モータを大きくするが、モータを大きくすると車輪の内周部に全体を配置することが困難となる。また、減速比の大きい減速機を設けた場合、応答性が悪化する。
前記車輪の取付用のハブベアリングを有するハブユニット本体と、前記ナックルと連結されまたはナックルの一部として構成されたユニット支持部材と、補助転舵用アクチュエータとを備え、
前記ハブユニット本体は、上下方向に延びる補助転舵軸心回りに回転自在なように上下2箇所でそれぞれ回転許容支持部品を介して前記ユニット支持部材に支持され、前記補助転舵用アクチュエータの駆動により前記補助転舵軸心回りに回転させられる。
この場合に、前記補助転舵用アクチュエータにより、ハブユニット本体が補助転舵軸心回りに自由に回転させることができ、車両の走行状況に応じて、例えばタイヤのトー角を任意に変更することができる。また、旋回走行時に、走行速度に応じて左右輪の舵角差を変えることができる。例えば高速域の旋回においてはパラレルジオメトリとし、低速域ではアッカーマンジオメトリとするなど、走行中にステアリングジオメトリを変化させることができる。このように走行中にタイヤ角度を任意に変更することができるため、車両の運動性能を向上させ、安定・安全に走行することが可能となる。旋回走行時における左右の操舵輪の転舵角度を適切に変えることで、車両の旋回半径を小さくし、小回り性能を向上させることもできる。
キングピン軸でハブユニット本体を補助転舵させるとキャンパー角が大きく変化し、走行抵抗が増す。補助転舵軸心をキングピン軸と別に設定することで、この補助転舵によるキャンパー角の変化を抑え、走行抵抗の増大を抑えることができる。
また、キングピン軸と補助転舵軸が一致する場合は、構成要素部品がハブユニット本体の車体側に配置されるために全体のサイズが大きくなり重くなるが、前記補助転舵軸心が前記懸架装置のキングピン軸と異なる方向であると、装置全体のサイズを抑え、軽量化することができる。
補助転舵軸心が鉛直方向であると、補助転舵によるキャンパー角の変化をより良好に抑え、走行抵抗の増大をさらに抑えることができる。
また、前記補助転舵軸心は、上下方向に延びた軸心であればよく、多少は傾斜していてもよいが、鉛直方向であると、限られたタイヤハウスの空間等において、前記ユニット支持部材の配置空間が確保し易い。
補助転舵による車両の運動性能の向上、走行の安定・安全性向上は、僅かな角度で足り、補助転舵可能角度が±5度以下であっても十分に足りる。補助転舵の角度は補助転舵用アクチュエータの制御により行えるが、前記ストッパが設けられていると、万一、補助転舵機能付ハブユニットが電源系の失陥等で故障した場合にも、直進性が保たれ、旋回時にも大きな影響が生じることが防止される。そのため、ハンドル操作によって安全な場所まで車両を寄せることができる。
回転許容支持部品7は、この実施形態では球面滑り軸受からなり、凹球面座15aを有する回転側部品15と、前記凹球面座15aに任意方向に回転自在に嵌合する球面部16aを軸部16bの先端に有する固定側部品16とで主に構成される。凹球面座15aは、前記軸部16bの外周を覆う蛇腹状で可撓性のブーツ17で覆われている。
上下の各回転許容支持部品7の回転側部品15は、ハブベアリング3の外輪11における外周面の上下2箇所に取付用部として突出して設けられた底付き円筒状等の取付座部19,19にそれぞれ嵌合状態に取付けられている。
回転許容支持部品7の固定側部品16は、ユニット支持部材5に、予圧調整手段48により回転許容支持部品7の予圧調整が可能なように取り付けられている。具体的には、ユニット支持部材5が、ナックル22に固定された支持部材本体5aと、この支持部材本体5aに対して補助転舵軸心Aに沿う方向に位置調整可能な支持部材分割体5bとに分割され、支持部材分割体5bが調整ボルト49の締め付け回転により位置調整可能とされている。この分割構造と調整ボルト49とで前記与圧調整手段48が構成される。
この明細書において、前記「球面滑り軸受」は、球面ブッシュおよびピボット軸受を含む意味である。
減速機28は、ベルト伝達機構等の巻き掛け式伝達機構またはギヤ列等を用いることができ、図2の例ではベルト伝達機構が用いられている。
直動機構29は、滑りねじまたはボールねじ等の送りねじ機構、またはラック・ピニオン機構等用いることができ、この例では台形ねじの滑りねじを用いた送りねじ機構が用いられている。
また、補助転舵用アクチュエータ6は、モータ27を備えていなくてもよい。そのような場合には、補助転舵用アクチュエータ6は、例えば油圧により駆動するアクチュエータであってもよい。
この回転は、運転者のハンドル操作による転舵に付加して、すなわちステアリング装置25によるキングピン軸K(図1)回りのナックル22の回転に付加して、補助的な転舵として行われ、また1輪の独立転舵が行える。左右の車輪2,2の補助転舵の角度を異ならせることで、左右の車輪2,2間のトー角を任意に変更することができる。
この補助転舵機能付ハブユニット1を非転舵輪となる後輪2R(図15)に用いた場合は、低速走行時における最小回転半径の低減を図ることができる。
また、この補助転舵機能付ハブユニット1は、補助転舵軸心A回りの回転自在な支持を上下2箇所でそれぞれ回転許容支持部品7,7により行うため、両端支持となって剛性が確保され、かつ構成が簡単である。
このように、剛性を確保したまま、簡単な構造で、走行状況に応じた補助的な転舵が左右輪独立して行えて、車輪2のトー角を任意に変更することができ、ステアリングジオメトリを変更することができるため、車両10の運動性能を向上させ、走行の安定・安全性の向上と燃費の改善が可能となる。
また、キングピン軸Kと補助転舵軸Aが一致する場合は、構成要素部品がハブユニット本体4の車体側に配置されるために全体のサイズが大きくなり重くなるが、補助転舵軸心Aが懸架装置21のキングピン軸Kと異なる方向であると、装置全体のサイズを抑え、軽量化することができる。
キングピン軸Kと補助転舵軸Aが異なる場合に、両方の軸の延長上とタイヤ9の接地位置が異なっていると、両方が同時に動く場合に滑りが生じ、非効率であるとともに、車両挙動が乱れる恐れがある。そのため、キングピン軸Kの延長線と路面Sとの交点位置PKと、補助転舵軸心Aの延長線と路面Sとの交点位置PAとが互いに近傍に配置されることが望ましい。理想的には上記2点PA、PKは一致することが好ましく、これにより、主な転舵と補助転舵とが同時に行われても、滑りが生じず効率的に主な転舵および補助転舵が行え、安定して車両を操作することができる。
なお、上下の回転許容支持部品7A、7Aのユニット支持部材5Aに対する取り付け構造は互いに同じ構成でよく、例えば、図10における上側の回転許容支持部品7Aのユニット支持部材5Aおよびハブベアリング3の外輪11に対する固定の構造を下側の回転許容支持部品7Aに対して適用しても、また下側の回転許容支持部品7Aの固定の構造を上側の回転許容支持部品7Aの固定に適用してもよい。
この実施形態におけるその他の構成、効果は、第1の実施形態と同様であり、対応部分に同一符号を付してその説明を省略する。
なお、この実施形態では、ドリブンプーリ52と直動機構29のナット55とは、別体として製作されたものを結合しているが、これらドリブンプーリ52とナット55とは、互いに一体に製作された部品の一部であってもよい。
なお、この実施形態では、ドリブンギヤ60と直動機構29のナット55とは、一体に製作されたものとしているが、これらドリブンギヤ60とナット55とは、互いに一体に製作されて相互に結合されたものであってもよい。
2…車輪
3…ハブベアリング
4…ハブユニット本体
5…ユニット支持部材
5A…ユニット支持部材
6…補助転舵用アクチュエータ
6a…直動出力部
7…回転許容支持部品
7A…回転許容支持部品
9…タイヤ
9a…タイヤ接地面
10…車両
10A…車体
11…外輪
12…内輪
13…転動体
12c…ハブフランジ
14…ブレーキ
14a…ブレーキロータ
14b…ブレーキキャリパ
15…回転側部品
16…固定側部品
18…補助転舵力受け部
21…懸架装置
22…ナックル
25…ステアリング装置
26…タイロッド
27…モータ
28…減速機
29…直動機構
35…ストッパ
36…ブレーキキャリパ取付部
48,48A…予圧手段
51…ドライブプーリ
52…ドリブンプーリ
53…ボルト
54…ねじ軸
55…ナット
56…回り止め部
57…ジョイント
57a,57b…ピン
58…ねじ部
59…ドライブギヤ
60…ドリブンギヤ
A…補助転舵軸心
K…キングピン軸
O…回転軸心
PK…交点位置
PA…交点位置
S…路面
θ…補助転舵の角度
Claims (5)
- 運転者のハンドル操作によって車輪の転舵角度を変化させるステアリング装置に、懸架装置のナックルを介して接続されるハブユニットであって、
前記車輪の取付用のハブベアリングを有するハブユニット本体と、前記ナックルと連結されまたはナックルの一部として構成されたユニット支持部材と、補助転舵用アクチュエータとを備え、
前記ハブユニット本体は、上下に延びる補助転舵軸心回りに回転自在なように上下2箇所でそれぞれ回転許容支持部品を介して前記ユニット支持部材に支持され、前記補助転舵用アクチュエータの駆動により前記補助転舵軸心回りに回転させられる、
補助転舵機能付ハブユニット。 - 請求項1に記載の補助転舵機能付ハブユニットにおいて、前記転舵軸心は前記懸架装置のキングピン軸と異なる方向である補助転舵機能付ハブユニット。
- 請求項1または請求項2に記載の補助転舵機能付ハブユニットにおいて、前記転舵軸心は鉛直方向である補助転舵機能付ハブユニット。
- 請求項1ないし請求項3のいずれか1項に記載の補助転舵機能付ハブユニットにおいて、前記ハブユニット本体の前記ナックルに対する補助転舵の角度を規制するストッパを有し、このストッパで規制される前記ハブユニット本体の補助転舵可能角度が±5度以下である補助転舵機能付ハブユニット。
- 請求項1ないし請求項4のいずれか1項に記載の補助転舵機能付ハブユニットを装備した車両。
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