JP5910344B2 - 車両用懸架装置 - Google Patents

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本発明は、車両の走行状況に応じてキャンバ角を適宜変更できる、ダブルウィッシュボーン式の車両用懸架装置の改良に関する。
乗用車等の車両用の懸架装置(サスペンション装置)として、従来から各種構造のものが知られている。その中でも、近年では、設計の自由度が高く、路面追従性に優れたダブルウィッシュボーン式の懸架装置が、特許文献1、2や非特許文献1等に記載され、広く知られると共に、高級車やスポーツカーを始めとして多くの車種で採用されている。図8は、このうちの非特許文献1に記載された、ダブルウィッシュボーン式の懸架装置の従来構造の1例を示している。
車輪(タイヤ)1を軸受ユニット2を介して回転自在に支持するナックル3は、懸架装置を構成するアッパアーム4とロアアーム5とにより、図示しない車体に対し揺動可能に支持されている。このうちのアッパアーム4は、略A字形(所謂A型フレーム)で、その先端部(車体への取付状態で車体の幅方向に関して外側の端部、図8の右下側の端部)を、アッパボールジョイント6を介して、前記ナックル3の上端部に連結している。又、前記アッパアーム4の基端部(車体への取付状態で車体の幅方向に関して中央側の端部、図8の左上側の端部)は、図示しない車体に対し、揺動可能に支持(枢支)されている。
一方、前記ロアアーム5は、略A字形(所謂A型フレーム)で、その先端部をロアボールジョイント7を介して前記ナックル3の下端部に連結している。又、前記ロアアーム5の基端部は、図示しない車体に対し、揺動可能に支持(枢支)されている。又、前記ロアアーム5は、その上端部を車体に対し固定したショックアブソーバ8の下端部を揺動可能に支持している。
この様な従来構造のダブルウィッシュボーン式の懸架装置の場合、前記アッパアーム4と前記ロアアーム5とで全長が異なるものを使用する(一般的にはロアアームをアッパアームよりも長くする)事で、キャンバ角を所定の角度(一定角度)に設定する事が行われている。但し、車両の旋回性能、延いては直進性能の更なる向上を図る面からは、キャンバ角の大きさを、車両の走行状況に応じて適宜変更できる様にする事が望ましい。この理由は、キャンバ角を変更する事により、スリップ角が一定である場合にも、車両を旋回運動させる為のタイヤ横力の大きさを調整できる為である。
この様な事情に鑑みて、本発明者等は先に、図9〜12に示した様な、キャンバ角γを変更できるダブルウィッシュボーン式の車両用懸架装置を発明した(特願2012−107531)。先ず、この先発明に係る構造とその作用に就いて説明する。この先発明に係る車両用懸架装置は、アッパアーム4a自体に、このアッパアーム4aの全長を可変にする為の構造を集約し、ロアアーム5等、アッパアーム4a以外のその他の部分の構成に就いては、上述した従来構造の場合と同様の構成を採用している。
前記アッパアーム4aは、フレーム9と、伸縮機構10と、電動モータ11と、歯車式減速機12と、リンク機構13とから構成されている。このうちのフレーム9は、フレーム本体14と、ギヤハウジング部15とを備える。このフレーム本体14は、略U字形で、車体の前後方向(図9の表裏方向、図12の左右方向)に配設されており、その中間部に、車体の幅方向内側に向けて突出した1対の取付部16、16が設けられている。又、前記フレーム本体14の両端部で、車体の幅方向に関して前記両取付部16、16とは反対側(幅方向外側)には、1対の把持部17、17が設けられている。前記ギヤハウジング部15は、車体の前後方向に関してこれら両把持部17、17の間部分に、前記フレーム本体14に連続した(支持された)状態で設けられている。この様な構成を有する前記フレーム9は、前記各取付部16、16をそれぞれ上下方向に挿通したボルト18、18により、車体に対し揺動不能に支持固定されている。
前記伸縮機構10は、車体の前後方向に配設された1対の送りねじ機構19a、19bから構成されている。これら両送りねじ機構19a(19b)はそれぞれ、滑り式の送りねじ機構である1組のねじ軸20a(20b)とねじナット21a(21b)とから成る。これら両ねじ軸20a、20bの外周面には、互いに逆方向の2条の台形雄ねじが形成されており、そのピッチはこれら両ねじ軸20a、20b同士で同じである。又、これら両ねじ軸20a、20bは、車体の前後方向に同一直線上(同軸上)に配置された状態で一体に形成されており(基端部同士を連結した如き形状としており)、一本のねじ軸体22を構成している。そして、このねじ軸体22の軸方向中間部を、前記フレーム9のギヤハウジング部15の内側に、1対の転がり軸受23、23により回転のみ可能に支持している。一方、前記両ねじナット21a、21bは、それぞれの内周面に互いに逆方向の2条の台形雌ねじが形成されており、前記両ねじ軸20a、20bの周囲(ねじ軸体22の軸方向両側部分の周囲)にそれぞれ係合(螺合)している。
又、前記両ねじ軸20a、20bに形成した雄ねじのリード角、及び、前記両ねじナット21a、21bに形成した雌ねじのリード角を、摩擦角よりも小さい範囲で可能な限り大きくしている。これにより、前記両ねじナット21a、21bの軸方向移動によって前記ねじ軸体22(両ねじ軸20a、20b)が回転する(逆作動する)のを防止しつつ、前記伸縮機構10の作動速度を確保している。
前記両ねじナット21a、21bの先端部には、その内側に前記ねじ軸体22の軸方向両端部を挿入可能な、中空筒状のガイド筒24、24を相対回転不能に固定すると共に、これら両ガイド筒24、24を、前記フレーム9を構成する1対の把持部17、17により、このフレーム9に対する軸方向への移動のみ可能に支持している。具体的には、前記両把持部17、17の内側に前記両ガイド筒24、24を挿入した状態で、これら両ガイド筒24、24の外周面に形成した1対の回り止め凹溝25、25に、前記両把持部17、17の内周面に形成した回り止め凸部26を係合させている。この様な回り止め機構により、前記両ねじナット21a、21b及び前記両ガイド筒24、24の軸方向変位を許容しつつ、前記フレーム9に対する相対回転を阻止して、これら両ねじナット21a、21b及び両ガイド筒24、24を、前記フレーム9に対し軸方向への移動のみ可能に支持している。又、これら前記各ガイド筒24、24の先端部には、ボールジョイント27、27を構成するソケット部28、28をねじ止め固定している。
前記電動モータ11は、通電状態の切り換えにより、その出力軸29を正転、逆転の何れの方向にも回転可能であり、この出力軸29を前記ねじ軸体22と平行に配置した状態で、前記フレーム9を構成するギヤハウジング部15に対し、複数本のねじにより支持固定されている。
前記電動モータ11と前記伸縮機構10との間には、複数のはすば歯車(円筒歯車)を備えた前記歯車式減速機12が設けられている。この歯車式減速機12は、前記ギヤハウジング部15の内側に設けられており、前記電動モータ11の動力(トルク)を増大して、前記伸縮機構10を構成する前記両ねじ軸20a、20b(ねじ軸体22)に伝達する。又、前記歯車式減速機12は、第一、第二カウンタ軸30、31と、第一、第二小はすば歯車32、33と、第一、第二大はすば歯車34、35とを備える。前記第一カウンタ軸30と前記第二カウンタ軸31とは、前記ギヤハウジング部15内に互いに平行に且つ回転自在に支持されている。このうちの第一カウンタ軸30は、前記電動モータ11の出力軸29に外嵌固定されており、その中間部外周面に前記第一小はすば歯車32が直接形成されている。又、前記第二カウンタ軸31には、その中間部外周面に、この第一小はすば歯車32よりも大径の前記第一大はすば歯車34が相対回転不能に支持固定されており、この第一大はすば歯車34から軸方向に外れた位置に、この第一大はすば歯車34よりも小径の前記第二小はすば歯車33が直接形成されている。そして、このうちの第一大はすば歯車34を前記第一小はすば歯車32に噛合させると共に、前記第二小はすば歯車33を、この第二小はすば歯車33よりも大径で前記ねじ軸体22の軸方向中央部(両ねじ軸20a、20bの連結部相当部)の外周面に相対回転不能に支持固定された、最終歯車である前記第二大はすば歯車35に噛合させている。
前記リンク機構13は、1対のリンク腕36a、36bと、連結部材37とから成る。このうちの両リンク腕36a、36bは、鉄系合金、アルミニウム系合金、マグネシウム系合金等の鍛造品等で、略L字形に構成されている。又、前記連結部材37は、アッパボールジョイント6を構成するボールスタッド38とナット39とから成る。そして、前記両リンク腕36a、36bの基端部を、前記両ガイド筒24、24の先端部に固定された前記両ボールジョイント27、27の他端部に固定している。これにより、前記両リンク腕36a、36bの基端部を、前記両ねじナット21a、21bの先端部に対し、前記両ガイド筒24、24及び前記両ボールジョイント27、27を介して、車体の上下方向(図9、12の上下方向)に向いた軸回りの回動だけでなく、この車体の上下方向の揺動を可能に連結している。又、前記両リンク腕36a、36bの先端部を、前記連結部材37を用いて、車体の上下方向に向いた軸回りに回動可能に連結している。この様な構成により、前記両ボールジョイント27、27のボール部40、40の中心(球心)を通る中心軸を、前記アッパアーム4a(リンク腕36a、36b)の揺動中心Oとしている。
又、軸受ユニット2内に配置した図示しないエンコーダと荷重センサとを利用して、車輪1に加わるタイヤ横力(アキシアル荷重)を測定する様にしている。そして、測定したタイヤ横力を、図示しない制御器に送り、制御器中の比較判定手段により、現在の車両の走行状況下でのタイヤ横力の過不足を判定する。そして、この結果に基づいて、前記電動モータ11への通電(通電方向、通電量)を制御する。
即ち、前記電動モータ11により、前記歯車式減速機12を構成する第一カウンタ軸30を、正方向或いは逆方向に所定の回転数(回転角度)だけ回転駆動する。これにより、前記第一小はすば歯車32と、前記第一大はすば歯車34と、前記第二小はすば歯車33と、前記第二大はすば歯車35とを介して、前記ねじ軸体22(ねじ軸20a、20b)を回転させる。そして、前記両ねじナット21a、21bを軸方向に関して互いに反対方向(車体の前後方向)に所定量だけ進退させる。これにより、前記両リンク腕36a、36bの開き角度を変化させて、車体の幅方向に関するこれら両リンク腕36a、36bの長さを所定量だけ変化させる(アッパアーム4aの全長を変化させる)。具体的には、前記両ねじナット21a、21bを互いに近付ける様に前記電動モータ11を駆動した場合には、前記両リンク腕36a、36bの開き角度が小さくなる。この為、車体の幅方向に関するこれら両リンク腕36a、36bの長さが大きくなり、前記アッパアーム4aの全長が長くなる。この結果、このアッパアーム4aの揺動中心Oから前記アッパボールジョイント6の中心Pまでの距離が大きくなり、キャンバ角γが変化する(ポジティブキャンバの場合にはキャンバ角は更に大きくなり、ネガティブキャンバの場合にはキャンバ角は小さくなる)。
これに対して、前記両ねじナット21a、21bを互いに遠ざける様に前記電動モータ11を駆動した場合には、前記両リンク腕36a、36bの開き角度が大きくなる。これにより、車体の幅方向に関するこれら両リンク腕36a、36bの長さが小さくなり、前記アッパアーム4aの全長が短くなる。この結果、このアッパアーム4aの揺動中心Oから前記アッパボールジョイント6の中心Pまでの距離が小さくなり、キャンバ角γが変化する(ポジティブキャンバの場合にはキャンバ角は小さくなり、ネガティブキャンバの場合にはキャンバ角は更に大きくなる)。
先発明に係る車両用懸架装置は、上述の様な構成を有し、上述の様に動作する事で、車両の走行状況に応じてキャンバ角を適宜変更できる。この為、発生するタイヤ横力の大きさを調整できて、車両の旋回性能、直進性能の更なる向上を図れる。しかも、アッパアーム自体4aに、このアッパアーム4aの全長を可変にする為の構造を集約できる為、例えばエンジンルーム等の車体側に、このアッパアーム4aの全長を可変にする為の駆動部材を設置する必要がない。又、このアッパアーム4aは、前記伸縮機構10と、前記電動モータ11と、前記歯車式減速機12と、前記リンク機構13とを組み合わせただけの簡易な構成により、その全長を変更できる。従って、先発明によれば、車両の旋回性能、直進性能の更なる向上を図れるだけでなく、バネ下荷重の増大を十分に抑える事ができて、乗り心地性や走行安定性を中心とする、車両の走行性能の向上も図れる。
但し、上述の様な先発明に係る車両用懸架装置は、次の様な面で未だ改良の余地がある。即ち、先発明の車両用懸架装置の場合、伸縮機構10(送りねじ機構19a、19b)が逆作動する事を防止している。従って、キャンバ角を変更する駆動時にのみ電力(エネルギ)を消費し、キャンバ角を変更せずに姿勢を一定に保持している間は電力を消費しなくて済み、省エネルギ化の面では有利になる。但し、その反面、キャンバ角を変更する為には、電動モータ11を必ず回転駆動する必要がある。従って、例えば、車両点検や車両調整時に於いて、エンジンを始動しない状態でキャンバ角を変更したい場合、又は、電動モータ11やモータコントローラが故障等した場合に、キャンバ角を変更できない事態が生じてしまう。
この様な事態の解決方法を探るべく、電動モータ11が故障した場合を例に挙げて、具体的に検討する。電動モータ11が故障した場合、キャンバ角を変更する事はできなくなるが、この場合にも、運転者はステアリングホイールを操作できなくなる(トー角を変化させられなくなる)わけではないので、直ちに車両の走行が不能になる事はない(走行を続ける事は可能である)。但し、キャンバ角が大きく変化している状態で、このキャンバ角の変更が不能になった場合には、走行安定性が損なわれるので、運転者の疲労が著しくなる。特に、左右両輪のキャンバ角が互いに異なる状態でこのキャンバ角の変更が不能になると、ステアリングホイールが常に操作された様な状態になる為、運転者の疲労がより著しくなる。そうしてみると、この様に大きく変化したキャンバ角を、前述した従来構造の様な、キャンバ角を変更できない車両用懸架装置(図8参照)と同程度の大きさに調整する事さえできれば、調整後の車両はキャンバ角を変更する機能を備えない車両と同視する事ができる為、運転者の疲労を特に著しくする事なく、車両を走行させる事が十分可能になる。つまり、電動モータ11が故障した場合には、車両を安全な場所に一旦停止させ、キャンバ角を手動で適切な角度に調節する事さえできれば、故障した電動モータ11を修理・交換するまでの間、車両を安定した状態で運転する事が可能になる。
以上の検討から明らかな通り、先発明に係る車両用懸架装置を実施する場合には、電動モータを動作させられない状況下でも、キャンバ角を手動で変更できる手段を別途備える事が望ましい。
尚、本発明を実施する場合に関連する技術を記載した刊行物として他に、車輪に加わる荷重を測定可能とする、転がり軸受ユニットの荷重測定装置を記載した、特許文献3が存在する。
特開平5−58126号公報 特開平8−72517号公報 特開2005−98771号公報
細川武志著、「クルマのメカ&仕組み図鑑」、株式会社グランプリ出版、2003年1月10日、p.207
本発明は、上述の様な事情に鑑みて、車輪のキャンバ角を、電動モータを利用して変更できるだけでなく、手動操作によっても変更できる、ダブルウィッシュボーン式の車両用懸架装置を実現すべく発明したものである。
本発明の車両用懸架装置は、前述した先発明に係るダブルウィッシュボーン式の車両用懸架装置と同様に、先端部がアッパボールジョイント、アッパカルダン継手等の各方向の揺動変位を許容する上部継手を介してナックルの上部に連結されると共に、基端部が車体に対し支持されるアッパアームと、先端部がロアボールジョイント、ロアカルダン継手等の各方向の揺動変位を許容する下部継手を介して前記ナックルの下部に連結されると共に、基端部が前記車体に対し揺動可能に支持されるロアアームとを備える。
又、前記アッパアームは、フレームと、伸縮機構と、電動モータと、減速機構と、1対のリンク腕とを備える。
このうちのフレームは、前記車体に対し支持されている。
又、前記伸縮機構は、1対のねじ軸と1対のねじナットとを備える(1対の送りねじ機構を備える)。このうちの1対のねじ軸は、外周面に互いに逆方向の雄ねじを形成しており、前記車体の前後方向に同一直線上に配置されている。又、前記1対のねじナットは、内周面に互いに逆方向の雌ねじを形成したもので、前記各ねじ軸の周囲にそれぞれ係合している。そして、これら1対のねじナットと1対のねじ軸とのうち、何れか一方の1対の部材を、前記フレームに対し軸方向への移動のみ可能に支持すると共に、他方の1対の部材を、このフレームに対し回転のみ可能に支持している。
又、前記電動モータは、前記フレームに支持されており、両方向(正方向及び逆方向)に回転可能である。
又、前記減速機構は、前記フレームを構成するギヤハウジング部の内側に配置されており、前記電動モータの動力を、前記伸縮機構を構成する前記他方の1対の部材に伝達する。
又、前記1対のリンク腕は、それぞれの基端部を前記伸縮機構を構成する前記一方の1対の部材のそれぞれの先端部に対し、直接若しくは他の部材を介して、少なくとも前記車体の上下方向の軸回りに回動可能に連結すると共に、それぞれの先端部を前記上部継手に対し、前記車体の上下方向の軸回りに回動可能に連結している。この為に例えば、前記1対のリンク腕の先端部を、前記上部継手の一部若しくはこの上部継手に取り付けられる部材に連結する。
そして、本発明の車両用懸架装置は、前記電動モータにより、前記減速機構を介して、前記伸縮機構を構成する前記他方の1対の部材を回転駆動する事で、この伸縮機構を構成する前記一方の1対の部材を軸方向に関して互いに反対方向に進退させる。
これにより、前記両リンク腕の開き角度を変化させ、前記車体の幅方向に関するこれら両リンク腕の長さを変化させる(アッパアームの全長を変化させる)事で、車輪のキャンバ角を変更する。
更に、本発明の車両用懸架装置の場合には、前記伸縮機構と前記減速機構とのうちの何れか一方を、逆作動不能に構成している。
又、前記減速機構を収納した前記ギヤハウジング部に、取り外し可能な蓋部を設けている。そして、この蓋部を取り外す事により、前記減速機構を構成する軸に、手動操作用の工具を接続可能とし、この工具をこの減速機構を構成する軸に接続した状態で回転させる事で、前記電動モータによらずに、前記車体の幅方向に関する前記両リンク腕の長さを変更可能(キャンバ角を変更可能)としている。
尚、前記伸縮機構と前記減速機構とを逆作動不能に構成するには、例えば次の様な構成を採用できる。先ず、伸縮機構を逆作動(一方の1対の部材の直線運動を他方の1対の部材の回転運動に変換)不能に構成するには、例えば、伸縮機構を構成する1対の送りねじ機構を滑りねじ式とし、ねじ軸の外周面に形成する雄ねじ、及び、ねじナットの内周面に形成する雌ねじのリード角を、摩擦角よりも小さい範囲で可能な限り大きくする。
これに対し、減速機構を逆作動(伸縮機構側から電動モータ側への回転力の伝達)不能に構成するには、例えば、減速機構を、ウォームとウォームホイールとを互いに噛合させて成るウォーム減速機とし、ウォームの条数を1条として、ウォーム歯の捩れ角の大きさを規制する。
本発明を実施する場合には、例えば請求項2に記載した発明の様に、前記減速機構を構成する軸の端部及び前記蓋部の一部に、前記手動操作用の工具とそれぞれ係合可能な同形状の係合部を形成する。
又、本発明を実施する場合には、例えば請求項3に記載した発明の様に、前記フレームに対し軸方向への移動のみ可能に支持された一方の1対の部材を1対のねじナットとし、前記フレームに対し回転のみ可能に支持された他方の1対の部材を1対のねじ軸とする。又、これら両ねじ軸を一体に構成する。又、これら両ねじ軸の外周面に、それぞれ多条の雄ねじを形成し、前記両ねじナットの内周面に、それぞれ多条の雌ねじを形成する。更に、前記減速機構を、複数のはすば歯車(円筒歯車)を備えた歯車式減速機とする。そして、このうちの最終歯車を、一体に構成された前記両ねじ軸の軸方向中央部(連結部相当部)の外周面に支持固定する。又、前記電動モータの出力軸に連結された軸を、前記手動操作用の工具が接続される軸とする。
又、上述の様な請求項3に記載した発明を実施する場合には、例えば、前記各ねじナットの内周面に形成された雌ねじを、前記各ねじ軸の外周面に形成された雄ねじに摺動可能に係合させて、滑りねじ式の送りねじ機構を構成する。又、この場合のリード角を5.7度よりも小さい値として、これら送りねじ機構(伸縮機構)を逆作動不能に構成する。
更には、前記各ねじ軸の外周面に形成された雄ねじ及び前記各ねじナットの内周面に形成された雌ねじの条数を、それぞれ2条とする。
或いは、上述の様な本発明を実施する場合に、例えば、前記フレームに対し軸方向への移動のみ可能に支持された一方の1対の部材を1対のねじ軸とし、前記フレームに対し回転のみ可能に支持された他方の1対の部材を1対のねじナットとする。更に、前記減速機構を、ウォームとウォームホイールとを互いに噛合させて成るウォーム減速機とし、このうちのウォームホイールを、前記両ねじナットに対し、同期した回転を自在として組み合わせる。
尚、この様な構成を採用する場合には、ウォーム(ウォーム軸)を、前記手動操作用の工具が接続される軸とする。
又、前記ウォームホイールを、ポリアミド66、ポリアミド樹脂の一種であるMCナイロン(登録商標)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)等の合成樹脂製とする。この場合には、合成樹脂中にガラス繊維や炭素繊維等を充填して、ウォームホイールの強度、剛性を向上させる事もできる。
更には、前記ウォームを、前記電動モータにより第二の減速機構(例えば歯車式減速機)を介して回転駆動する事もできる。
更に、本発明を実施する場合には、例えば、前記フレームを前記車体に対し揺動不能に支持固定する。又、前記1対のリンク腕のそれぞれの基端部を、前記伸縮機構を構成する前記一方の1対の部材のそれぞれの先端部に対し、ボールジョイントを介して、上下方向に揺動可能に連結する。
或いは、前記フレームを前記車体に対し上下方向に揺動可能に支持する。又、前記1対のリンク腕のそれぞれの基端部を、前記伸縮機構を構成する前記一方の1対の部材のそれぞれの先端部に対し、前記車体の上下方向の軸回りの回動のみ可能に連結する。
尚、本発明を実施する場合に、前記各ねじ軸と前記各ねじナットとで構成される送りねじ機構としては、滑りねじ式の送りねじ機構を採用する事もできるし、ボールねじ式の送りねじ機構を採用する事もできる。但し、ボールねじ式の送りねじ機構を採用する場合には、逆効率が高くなり、逆作動し易くなる為、この場合には、前記減速機構を逆作動不能に構成する。
滑りねじ式の送りねじ機構を構成する場合には、ねじナットの内周面に形成された雌ねじを、ねじ軸の外周面に形成された雄ねじに摺動可能に係合させる。この様なねじ軸としては、例えばステンレス鋼製のねじ軸を使用でき、同じくねじナットとしては、ポリフェニレンサルファイド、ポリアミド66、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)等の合成樹脂製のねじナット、或いは、黄銅(真鍮)製のねじナットを使用できる。
一方、ボールねじ式の送りねじ機構を構成する場合には、ねじナットの内周面に形成された外径側ボールねじ溝と、ねじ軸の外周面に形成された内径側ボールねじ溝とを、それぞれ複数個のボールを介して係合させる。
上述の様に構成する本発明の車両用懸架装置によれば、車輪のキャンバ角を、電動モータを利用して変更できるだけでなく、手動操作によっても変更できる。
即ち、本発明の車両用懸架装置の場合には、ギヤハウジング部に設けられた蓋部を取り外す事により、手動操作用の工具を用いて、減速機構を構成する軸を所定方向に所定量だけ回転させる事ができる。この為、電動モータによらずに、伸縮機構を伸縮させると共に、1対のリンク腕の開き角度を変化させて、車体の幅方向に関するこれら両リンク腕の長さを変更する事が可能になる。この結果、キャンバ角を所望の角度に変更する事が可能になる。そして、この様な本発明の車両用懸架装置によれば、エンジンを始動しない状態でキャンバ角を変更したい場合や、電動モータやモータコントローラが故障等した場合にも、キャンバ角を変更できる為、故障時等に於ける車両の走行安定性並びに利便性の向上を図れる。
又、本発明の車両用懸架装置によれば、前述した先発明に係る車両用懸架装置と同様、車両の走行状況に応じてキャンバ角を適宜変更できる車両用懸架装置を簡易な構造で実現でき、装置全体としての小型・軽量化を図れる。
即ち、本発明の車両用懸架装置の場合には、アッパアーム自体に、このアッパアームの全長(車体の幅方向に関するリンク腕の長さ)を可変にする為の構造を集約している。この為、ロアアーム等のその他の部材に関しては、従来構造の場合と同様のものを使用できる。又、車体側(例えばエンジンルーム)にも、アッパアームの全長を可変にする為の、油圧ポンプ等の駆動部材を設置する必要がない。更に、前記アッパアームは、送りねじ機構による伸縮機構と、電動モータと、減速機構と、リンク機構とを組み合わせた簡易な構成により、その全長を変更できる。従って、本発明によれば、車両の走行状況に応じてキャンバ角を適宜変更できる車両用懸架装置を簡易な構造で実現できて、装置全体としての小型・軽量化を図れる。この為、本発明の車両用懸架装置によれば、車両の旋回性能、直進性能の更なる向上を図れるだけでなく、バネ下荷重の増大を十分に抑える事ができて、乗り心地性や走行安定性を中心とする、車両の走行性能の向上も図れる。
又、キャンバ角の制御(アッパアームの全長制御)を電動モータの通電制御により行える為、例えば油圧式に行う場合に比べて制御性や応答性に優れると共に、エンジンの動力損失も生じなくて済む。更に、本発明によれば、左右の車輪のキャンバ角を、それぞれ独立して制御できる。
又、請求項2に記載した発明によれば、前記蓋部の取り外し作業(及び取り付け作業)と、前記減速機構を構成する軸の回転作業との両方の作業を、前記手動操作用の工具のみを用いて行う事ができる。この為、工具の製造、管理の容易化と、手動によりキャンバ角の変更する際の作業効率向上とを図れる。
本発明の実施の形態の1例の車両用懸架装置のうち、アッパアームのみを取り出し、手動操作用の工具を第一カウンタ軸に接続した状態を示す、車両の下方且つ幅方向内方から見た斜視図。 同じく車両の上方且つ幅方向内方から見た斜視図。 同じく図1からフレーム本体及びリンク腕を省略し、手動操作用の工具を接続する以前の状態を示す斜視図。 同じく図3の左側面図。 同じく図4のA−A断面図。 同じく手動操作用の工具を第一カウンタ軸に接続した状態を示す、図5のB部に相当する拡大断面図。 同じく手動操作用の工具を取り出して示す斜視図。 従来構造の車両用懸架装置を模式的に示す斜視図。 先発明に係る車両用懸架装置により車輪を車体に対して懸架した状態を模式的に示す正面図。 同じくアッパアームのみを取り出して、車両の上方且つ幅方向外方から見た斜視図。 同じく車両の下方且つ幅方向外方から見た斜視図。 同じく図5に相当する断面図。
図1〜7は、総ての請求項に対応する、本発明の実施の形態の1例を示している。本例の特徴は、ダブルウィッシュボーン式の車両用懸架装置に関して、アッパアーム4bを構成するギヤハウジング部15a及び歯車式変速機12aの構造を工夫する事により、車輪1(図8、9参照)のキャンバ角を手動操作によっても変更可能とした点にある。前記アッパアーム4bの全長を電動モータ11を利用して可変に構成している点を含め、その他の部分の構造及び作用に就いては、前述した先発明に係る車両用懸架装置の場合と同様である。従って、以下、本例の特徴部分並びに先に説明しなかった部分を中心に説明する。
本例の場合、前記アッパアーム4bを、フレーム9aと、伸縮機構10と、前記電動モータ11と、前記歯車式減速機12aと、リンク機構13とから構成している。そして、前述した先発明に係る構造の場合と同様、このうちの伸縮機構10と歯車式減速機12aとのうちの伸縮機構10のみを、逆作動不能に構成している。
具体的には、前記伸縮機構10を逆作動不能に構成する為に、この伸縮機構10を構成する送りねじ機構19a、19bを、それぞれ滑り式の送りねじ機構とすべく、1組のねじ軸20a(20b)とねじナット21a(21b)とから構成している。又、これら両ねじ軸20a、20bに形成した雄ねじ(2条の台形雄ねじ)、及び、前記両ねじナット21a、21bに形成した雌ねじ(2条の台形雌ねじ)のリード角を、摩擦角よりも小さい範囲で可能な限り大きくしている。具体的には、リード角の大きさを、台形ねじの場合に摩擦係数μと摩擦角θとの間に成り立つ、tan θ=μの関係式を利用して設定している。本例の場合、前記両ねじ軸20a、20bの外周面と前記両ねじナット21a、21bの内周面とをグリース潤滑している為、ねじ表面の最小摩擦係数(μ)が0.1以上となり、これに対応する摩擦角(θ)が5.7度となる。従って、リード角を、5.7度よりも小さい値(例えば5.5度や5.0度等)に設定している。
又、本例の場合にも、前記フレーム9aを、略U字形のフレーム本体14と、前記ギヤハウジング部15aとから構成し、車体に対し揺動不能に支持固定している。このうちのギヤハウジング部15aは、車体の前後方向に関して前記フレーム本体14の中央部分(両把持部17、17の間部分)に、このフレーム本体14に連続した状態で設けられている。この様なギヤハウジング部15aの内側には、特許請求の範囲に記載した減速機構に相当する前記歯車式減速機12aを収納している。特に本例の場合には、前記ギヤハウジング部15aのうちで、この歯車式減速機12aを構成する第一カウンタ軸30aの先端部に対向する部分に、取り外し可能な蓋部41を設けている。具体的には、図5に示す様に、前記ギヤハウジング部15aのうちで、前記第一カウンタ軸30aの先端部に対向する部分に、後述する手動操作用の工具42(のうちの工具本体部48)を挿入可能な内径寸法を有し、その内周面に雌ねじを形成したねじ孔43を形成している。そして、このねじ孔43内に、先半部外周面に雄ねじを形成した前記蓋部41を螺合固定している。又、本例の場合、この蓋部41の頭部(取付状態での外側半部)に、前記工具42と係合可能な断面六角形状の係合凹部44を形成している。前記蓋部41は、通常、前記ギヤハウジング部15aに固定されて前記ねじ孔43を塞いでおり、後述する様に、手動操作によりキャンバ角を変更する必要が生じた場合にのみ、前記ギヤハウジング部15aから取り外される。
前記歯車式減速機12aを構成する第一カウンタ軸30aは、中空筒状で、その基半部内周面に雌スプライン溝45が形成されており、先半部内周面に、前記工具42の先端部と係合可能な、前記蓋部41に形成された係合凹部44と同形状(断面六角形状)の係合孔46が形成されている。この様な構成を有する前記第一カウンタ軸30aは、前記雌スプライン溝45を、前記電動モータ11を構成する出力軸29の先端部外周面に形成した雄スプライン部47にスプライン係合させて、この出力軸29に対し相対回転不能に連結されている。尚、前記係合凹部44及び前記係合孔46が、特許請求の範囲に記載した係合部にそれぞれ相当する。又、前記歯車式減速機12aの前記第一カウンタ軸30a以外の構成に就いては、先発明に係る構造の場合と同様である。
前記手動操作用の工具42は、全体形状を略T字形に構成されており、六角レンチの如き六角柱状の工具本体部48と、この工具本体部48の基端部に設けられたハンドル部49とを備えている。そして、このうちの工具本体部48の先端部が、前記蓋部41の係合凹部44及び前記第一カウンタ軸30aの係合孔46と、それぞれ係合可能である。この様な構成を有する工具42は、キャンバ角を電動モータ11により変更する場合には不要であり、電動モータ11によらずに手動操作により変更する場合にのみ必要になる。この為、前記工具42は、通常、車両の何れかの部分(例えばトランクやダッシュボードに設けられた工具箱等)に保管しておく。尚、手動操作用の工具42は、キャンバ角を変更する為の専用品である必要はなく、一般的な六角レンチの如く、その他の用途を有する汎用品でも良い。
以上の様な構成を有する本例の車両用懸架装置によれば、車輪1(図8、9参照)のキャンバ角を、電動モータ11を利用して変更できるだけでなく、手動操作によっても変更できる。
即ち、本例の場合には、前記ギヤハウジング部15aに設けられた蓋部41を取り外す事により、前記手動操作用の工具42を用いて、前記第一カウンタ軸30aを所定方向に所定量だけ回転させる事ができる。この為、前記電動モータ11によらずに、前記伸縮機構10(送りねじ機構9a、19b)を伸縮させると共に、前記リンク機構13を構成する1対のリンク腕36a、36bの開き角度を変化させて、車体の幅方向に関するこれら両リンク腕36a、36bの長さを変更する事が可能になる。この結果、キャンバ角を所望の角度に変更する事が可能になる。
キャンバ角を変更する作業は、具体的には次の様にして行う。先ず、前記手動操作用の工具42のうちの工具本体部48の先端部を、前記蓋部41の係合凹部44に係合させた後、この工具42を回転させる。これにより、この蓋部41を前記ギヤハウジング部15aから取り外す。次いで、露出したねじ孔43内に、前記工具本体部48の先端部を挿入し、この先端部を前記第一カウンタ軸30aに形成された係合孔46に係合させる(挿入する)。この様にして、前記工具42をこの第一カウンタ軸30aに接続したならば、手動操作により、この工具42を回転させて、この第一カウンタ軸30を所定方向に所定量だけ回転させる。これにより、前記歯車式減速機12a(第一小はすば歯車32、第一大はすば歯車34、第二小はすば歯車33及び第二大はすば歯車35)を介して、前記伸縮機構10を伸縮させると共に、前記両リンク腕36a、36bの開き角度を変化させて、車体の幅方向に関するこれら両リンク腕36a、36bの長さを変更させる。本例の場合には、この様な作業により、キャンバ角を所望の角度まで変更できる。尚、キャンバ角を所望の角度に調整した後は、前記手動操作用の工具39を用いて、前記蓋部41を前記ギヤハウジング部15aに取り付けておく。
以上の様に、本例の車両用懸架装置によれば、エンジンを始動しない状態でキャンバ角を変更したい場合や、電動モータ11やモータコントローラが故障等した場合にも、キャンバ角を変更できる。この為、例えば、車両の走行中に電動モータ11が故障した場合にも、車両を安全な場所に一旦停止させ、キャンバ角を手動で適切な角度(例えばキャンバ角を変更できない車両用懸架装置と同程度の大きさ)に調節する事が可能になる。この為、故障した電動モータ11を修理・交換するまでの間、車両を安定した状態で運転する事が可能になる。又、車両点検時や車両調整時に、エンジンを始動せずに、キャンバ角を変更する事も可能になる。従って、本例の車両用懸架装置によれば、車両の走行安定性並びに利便性の更なる向上を図れる。
又、本例の場合には、前記蓋部41に形成した係合凹部44と、前記第一カウンタ軸30aに形成した係合孔46との断面形状を同形状としている為、前記蓋部41の取り外し作業(及び取り付け作業)と、前記第一カウンタ軸30aの回転作業との両方の作業を、前記手動操作用の工具42のみを用いて行う事ができる。この為、工具の製造及び管理の手間の軽減を図れると共に、キャンバ角の変更する際の作業効率を良好にできる。
又、本例の場合には、前記手動操作用の工具42を接続する軸を、前記電動モータ11の出力軸29に連結される第一カウンタ軸30aとしている為、大きな減速比を有する前記歯車式減速機12aを介して、前記伸縮機構10を伸縮させる事ができる。従って、前記第一カウンタ軸30aを回転させるのに要する力は小さく済む。この為、前記手動操作用の工具42を容易に操作する事ができる。
電動モータ11を利用してキャンバ角を適宜変更できる点等を含め、その他の構成及び作用効果に就いては、前述した先発明に係る車両用懸架装置の場合と同様である。
実施の形態の1例では、手動操作用の工具の工具本体部の断面形状を六角形状とし、蓋部に形成する係合凹部及び第一カウンタ軸に形成する係合孔の断面形状を六角形状とした場合に就いて説明した。但し、工具本体部、係合凹部及び係合孔の断面形状は、六角形状に限定されず、三角形状や四角形状等の多角形状を採用できる他、スプライン形状を採用する事もできる。要するに、互いに係合した状態で回転力を伝達できる形状であれば良い。又、ギヤハウジング部に対する蓋部の取付構造としては、ねじによる取付構造に限定されない。例えば、蓋部を合成樹脂製とし、この蓋部をギヤハウジング部に形成した通孔内に圧入する事で、このギヤハウジング部に取り外し可能に装着しても良い。
又、本発明を実施する場合に、手動操作用の工具により回転可能とする減速機構を構成する軸は、実施の形態の1例の場合の様な、歯車式減速機を構成する第一カウンタ軸に限定されない。例えば、特許請求の範囲に記載した減速機構として、歯車式減速機を採用した場合には、第一カウンタ軸以外のその他の軸(例えば第二カウンタ軸)とする事もできる。又、前記減速機構としてウォーム減速機を採用した場合には、外周面にウォーム歯を形成したウォーム(ウォーム軸)とする事もできる。更に、本発明を実施する場合に、フレームに対し軸方向への移動のみ可能に支持する一方の1対の部材を1対のねじ軸とし、このフレームに対し回転のみ可能に支持する他方の1対の部材を1対のねじナットとする事もできる。この場合には、前記両ねじ軸の支持剛性並びに伸縮量を確保する為に、前記両ねじナットの軸方向寸法を十分に大きくする事が好ましい。
更に本発明を実施する場合に、フレームに対し軸方向への移動のみ可能に支持する一方の1対の部材を1対のねじ軸とし、このフレームに対し回転のみ可能に支持する他方の1対の部材の1対のねじナットとする事もできる。この場合には、前記両ねじ軸の支持剛性並びに伸縮量を確保する為に、前記両ねじナットの軸方向寸法を十分に大きくする事が好ましい。
1 車輪(タイヤ)
2 軸受ユニット
3 ナックル
4、4a、4b アッパアーム
5 ロアアーム
6 アッパボールジョイント
7 ロアボールジョイント
8 ショックアブソーバ
9、9a フレーム
10 伸縮機構
11 電動モータ
12、12a 歯車式減速機
13 リンク機構
14 フレーム本体
15、15a ギヤハウジング部
16 取付部
17 把持部
18 ボルト
19a、19b 送りねじ機構
20a、20b ねじ軸
21a、21b ねじナット
22 ねじ軸体
23 転がり軸受
24 ガイド筒
25 回り止め凹溝
26 回り止め凸部
27 ボールジョイント
28 ソケット部
29 出力軸
30、30a 第一カウンタ軸
31 第二カウンタ軸
32 第一小はすば歯車
33 第二小はすば歯車
34 第一大はすば歯車
35 第二大はすば歯車
36a、36b リンク腕
37 連結部材
38 ボールスタッド
39 ナット
40 ボール部
41 蓋部
42 工具
43 ねじ孔
44 係合凹部
45 雌スプライン溝
46 係合孔
47 雄スプライン溝
48 工具本体部
49 ハンドル部

Claims (3)

  1. 先端部が各方向の揺動変位を許容する上部継手を介してナックルの上部に連結されると共に、基端部が車体に対し支持されるアッパアームと、先端部が各方向の揺動変位を許容する下部継手を介して前記ナックルの下部に連結されると共に、基端部が前記車体に対し揺動可能に支持されるロアアームとを備え、
    前記アッパアームが、
    前記車体に対し支持されるフレームと、
    この車体の前後方向に同一直線上に配置され、それぞれの外周面に互いに逆方向の雄ねじが形成された1対のねじ軸と、これら各ねじ軸の周囲にそれぞれ係合し、それぞれの内周面に互いに逆方向の雌ねじが形成された1対のねじナットとを備え、これら1対のねじナットと前記1対のねじ軸とのうち、何れか一方の1対の部材を、前記フレームに対し軸方向への移動のみ可能に支持すると共に、他方の1対の部材を、このフレームに対し回転のみ可能に支持した伸縮機構と、
    前記フレームに支持され、両方向に回転可能な電動モータと、
    このフレームを構成するギヤハウジング部の内側に配置され、前記電動モータの動力を、前記伸縮機構を構成する前記他方の1対の部材に伝達する減速機構と、
    それぞれの基端部を、前記伸縮機構を構成する前記一方の1対の部材のそれぞれの先端部に対し、少なくとも前記車体の上下方向の軸回りに回動可能に連結すると共に、それぞれの先端部を前記上部継手に対し、前記車体の上下方向の軸回りに回動可能に連結した1対のリンク腕とを備えたものであり、
    前記電動モータにより、前記減速機構を介して、前記伸縮機構を構成する前記他方の1対の部材を回転駆動する事で、この伸縮機構を構成する前記一方の1対の部材を軸方向に関して互いに反対方向に進退させ、前記両リンク腕の開き角度を変化させる事により、前記車体の幅方向に関するこれら両リンク腕の長さを変化させる機能を備え、
    更に、前記伸縮機構と前記減速機構とのうちの少なくとも一方が逆作動不能に構成されており、このうちの減速機構を収納した前記ギヤハウジング部に取り外し可能な蓋部が設けられており、この蓋部を取り外す事により、前記減速機構を構成する軸に手動操作用の工具が接続可能となり、この工具をこの減速機構を構成する軸に接続した状態で回転させる事で、前記電動モータによらずに、前記車体の幅方向に関する前記両リンク腕の長さを変更可能とした車両用懸架装置。
  2. 減速機構を構成する軸の端部及び蓋部の一部に、手動操作用の工具とそれぞれ係合可能な同形状の係合部が形成されている、請求項1に記載した車両用懸架装置。
  3. フレームに対し軸方向への移動のみ可能に支持された一方の1対の部材が、1対のねじナットであり、前記フレームに対し回転のみ可能に支持された他方の1対の部材が、1対のねじ軸であり、
    これら両ねじ軸は一体に構成されており、
    これら両ねじ軸の外周面にそれぞれ多条の雄ねじが形成されており、前記両ねじナットの内周面にそれぞれ多条の雌ねじが形成されており、
    減速機構が、複数のはすば歯車を備えた歯車式減速機であり、このうちの最終歯車が、一体に構成された前記両ねじ軸の軸方向中央部に支持固定されており、電動モータの出力軸に連結された軸が、手動操作用の工具が接続される軸である、
    請求項1〜2のうちの何れか1項に記載した車両用懸架装置。
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