以下に、本発明に係る実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、この実施形態によりこの発明が限定されるものではない。また、下記実施形態における構成要素には、当業者が置換可能かつ容易なもの、あるいは実質的に同一のものが含まれる。
〔実施形態1〕
実施形態1に係るコンバイン1を、図面を参照して説明する。図1は、実施形態1に係るコンバインの概略構成を示す側面図である。図2は、実施形態1に係るコンバインの概略構成を示す平面図である。図3は、図1に示すコンバインの高さ検出装置の構成を示す側面図である。図4は、実施形態1に係るコンバインの高さ検出装置が取り付けられた分草体などの平面図である。図5は、図3に示すコンバインの高さ検出装置のユニット本体が鉛直方向の上側に退避した状態を示す側面図である。図6は、実施形態1に係るコンバインの制御装置の概略構成を示すブロック図である。
なお、以下の説明では、前後方向とは、コンバイン1の前後方向であり、コンバイン1が直進する際の進行方向である。また、車幅方向とは、前後方向に対して水平に直交する方向である。さらに、鉛直方向とは、前後方向と車幅方向とに直交する方向である。これら前後方向、車幅方向および鉛直方向は、互いに直交する。なお、コンバイン1の直進方向に対して、コンバイン1が左旋回する際に内側となる車幅方向左側を左側、コンバイン1が左旋回する際に外側となる車幅方向右側を右側、直進方向前方を前方、直進方向後方を後方という。
図1に示す実施形態1に係るコンバイン1は、図2に示すエンジン30が発生する駆動力によって、自走しながら稲、麦等の穀稈を刈り取り、脱穀可能なコンバインである。コンバイン1は、図1および図2に示すように、機体フレーム10と、運転席20と、エンジン30と、走行装置40と、脱穀装置50と、グレンタンク60と、搬送装置70と、フィードチェーン駆動機構80と、刈取装置90と、高さ検出装置100と、制御装置200(図6参照)と、を含んで構成されている。
機体フレーム10は、コンバイン1の車体の枠状の構造部材を構成する。運転席20は、作業員が着座した状態で、運転操作や刈取操作などを行うための運転座席である。運転席20は、機体フレーム10の鉛直方向の上側に設けられており、キャビン21で覆われている。エンジン30は、コンバイン1で用いる駆動力の発生源であり、燃焼室で燃料を燃焼させることにより燃料のエネルギーを機械的仕事に変換して回転力として出力する熱機関である。エンジン30は、機体フレーム10上の前後方向の前方に搭載されており、運転席20の鉛直方向の下側に搭載されている。
走行装置40は、エンジン30からの駆動力によって、コンバイン1全体を走行させるものである。走行装置40は、機体フレーム10の鉛直方向の下側に設けられている。走行装置40は、クローラ41を備えている。クローラ41は、機体フレーム10の鉛直方向の下側において、車幅方向に間隔をおいて一対設けられている。つまり、走行装置40は、エンジン30から伝達される駆動力によりクローラ41が駆動することで、コンバイン1全体を前後方向に走行させる。
脱穀装置50は、刈取装置90の前後方向の後方で、グレンタンク60の車幅方向の左側に設けられている。脱穀装置50は、その上部に脱穀部51を備え、その下部に選別部52を備えている。脱穀部51は、機体フレーム10の鉛直方向の上側で、搬送装置70の前後方向の後方に設けられている。脱穀部51は、グレンタンク60の車幅方向の左側に設けられている。脱穀部51は、エンジン30からの駆動力により搬送された穀稈を脱穀するものであり、刈取装置90が刈り取った穀稈から穀粒を切り離す装置である。選別部52は、機体フレーム10の鉛直方向の上側で、刈取装置90の前後方向の後方かつグレンタンク60の車幅方向の左側に設けられている。選別部52は、エンジン30からの駆動力により、脱穀部51で脱穀された穀稈の藁等の夾雑物と穀粒とを分離する装置である。なお、脱穀装置50によって穀粒が扱ぎ取られた穀稈(排藁)は、コンバイン1の前後方向の後方に配置された排藁切断装置へ搬送され、排藁切断装置により切断された後、例えば圃場等に放出される。
グレンタンク60は、脱穀装置50の車幅方向の右側に設けられている。グレンタンク60は、脱穀装置50の選別部52が分離した穀粒を一時的に貯蔵するものである。グレンタンク60は、排出オーガー61を備えている。排出オーガー61は、エンジン30からの駆動力により、グレンタンク60内の穀粒を搬送し、グレンタンク60の外部へ穀粒を排出させるものである。
搬送装置70は、刈取装置90の前後方向の後方で、キャビン21の左右方向の左側に設けられている。搬送装置70は、刈取装置90からフィードチェーン駆動機構80に向けて、刈取装置90により刈り取られた穀粒を搬送する装置である。
フィードチェーン駆動機構80は、搬送装置70の前後方向の後方で、グレンタンク60の車幅方向の左側に設けられている。フィードチェーン駆動機構80は、フィードチェーン81を回転駆動して、搬送装置70から脱穀装置50の脱穀部51に向けて、刈取装置90により刈り取られた穀稈を搬送する装置である。
刈取装置90は、機体フレーム10の前部に設けられており、図示しない昇降シリンダにより鉛直方向に沿って昇降自在に設けられている。刈取装置90は、エンジン30からの駆動力により駆動して穀稈を刈り取る装置であって、圃場に植生する穀稈(植生穀稈)を分草し、倒伏している穀稈を引き起し、引き起した穀稈を切断する装置である。刈取装置90は、引起し装置91と、刈刃92と、分草フレーム93、94と、ステー95(図3参照)と、分草体96、97と、を備えている。
引起し装置91は、分草体96、97の前後方向の後方に設けられており、倒伏している穀稈を引き起す装置である。引起し装置91は、引起しラグ91aを備えている。引起しラグ91aは、引起し装置91において、穀稈を引き起すために駆動されるものである。引起しラグ91aは、引起しケース911の車幅方向に突出し、鉛直方向の下側から上側に向けて循環駆動される。
刈刃92は、引起し装置91により引き起された穀稈を切断して刈り取るものである。刈刃92は、支持フレーム5の前後方向の前方で、搬送装置70の鉛直方向の下側に設けられている。
分草フレーム93、94は、その前部で分草体96、97を支持するものであり、分草フレーム93に分草体96が支持され、分草フレーム94に分草体97が支持されている。分草フレーム93、94は、円筒状に形成されている。分草フレーム93、94は、種々の部材を介して機体フレーム10等に連結され固定されている。分草フレーム94は、前後方向において、高さ検出装置100の後述するユニット本体120に対向して配置されている。本実施形態では、分草フレーム94は、前後方向において、前端部がユニット本体120の後部に対向して配置されている。分草フレーム94は、図3および図5に示すように、分草体97を支持するステー95が前後方向の前端部94aに取り付けられている。つまり、分草フレーム94は、ステー95を介して分草体97を支持している。
ステー95は、分草フレーム94の前端部94aからユニット本体120に向かい、後端部120eを車幅方向の左側に迂回してユニット本体120の第1回転軸123と対向するまで延在されている。本実施形態では、ステー95は、車幅方向視において、分草フレーム94から分草体97に向けて、ユニット本体120の少なくとも一部と重なるように延在されている。つまり、ステー95は、分草フレーム94から第1回転軸123と対向するまで延在され、かつ車幅方向視においてユニット本体120の第1回転軸123より前後方向の後方と重なって形成されている。ステー95は、前後方向の後端部95a、前後方向の中央部95b、前後方向の前端部95cで形成されている。後端部95aは、円筒状に形成され、連結部材95dにより分草フレーム94の前端部94aに取り付けられている。中央部95bは、円筒状に形成されている。中央部95bは、図3および図5に示すように、車幅方向視において、後端部95a側から前端部95c側に向けて、前上がり傾斜している。中央部95bは、図4に示すように、鉛直方向視において、高さ検出装置100の後述する第1回転軸123周りにユニット本体120および接地体140が一体に上下回転しても、接地体140と接触しないように車幅方向の左側に迂回して形成されている。つまり、中央部95bは、ユニット本体120の後端部120eを車幅方向の左側に迂回している。前端部95cは、円筒を軸方向に直交する方向に押し潰すことで板状に形成されており、高さ検出装置100の後述するブラケット110の車幅方向の左側の外側面112cに取り付けられている。
なお、本実施形態では、ステー95は、圃場において植生穀稈を刈り取る場合にコンバイン1を左旋回させることが一般的であることから、ユニット本体120の車幅方向の左側に迂回して、ユニット本体120の車幅方向の左側の外側面120dの第1回転軸123と対向するまで延在するものとしている。つまり、右旋回させるコンバイン1であれば、ステー95は、ユニット本体120の車幅方向の右側に迂回し、ユニット本体120の車幅方向の右側の外側面の第1回転軸123と対向するまで延在するものとすることができる。
分草体96、97は、圃場に植立する穀稈(植生穀稈)を、分草体96、97間に分離するものである。分草体96、97は、図2に示すように、車幅方向に間隔をおいて交互に複数設けられ、刈取装置90の下部に取り付けられている。分草体96は、分草フレーム93の前部に配置されている。分草体97は、分草フレーム94の前部に配置されている。分草体97は、図3および図5に示すように、分草体カバー971と、分草体プレート972と、を備えている。
分草体カバー971は、前後方向に延在されており、車幅方向の両端部が中央部よりも鉛直方向の下側に位置する樋状に形成されている。分草体カバー971は、図3に示すように、前後方向の前方側から後方側に向けて鉛直方向の上側に高くなり、前後方向の後端部の上面971aが前後方向に平行となる平坦に形成されている。分草体カバー971は、分草体プレート972の鉛直方向の上側に取り付けられている。分草体カバー971は、図4に示すように、車幅方向の両端部が前後方向の前方側から後方側に向かうにしたがって互いの車幅方向の間隔が広がるV字状部971bと、車幅方向の両端部が互いに前後方向に延在されて平行となる一対の平行部971cと、を有している。
V字状部971bは、分草体カバー971の前後方向の前方に形成されている。V字状部971bは、コンバイン1の前進に伴って、植生穀稈を車幅方向の両端部側に分草する。一対の平行部971cは、分草体カバー971の前後方向の後方に形成されており、後述するブラケット110のユニット取付部112の鉛直方向の上側に形成されている。一対の平行部971cの車幅方向の幅は、後述するユニット本体120の車幅方向の幅よりも大きく形成されている。つまり、一対の平行部971cは、鉛直方向視で、ユニット本体120の前後方向の前方側を分草体カバー971で覆うように形成されている。一対の平行部971cは、コンバイン1の前進に伴って、V字状部971bにより分草体カバー971の車幅方向の両端部側に分草された植生穀稈を前後方向の後方に案内する。
分草体プレート972は、図3および図4に示すように、鉛直方向に平行な平板状に形成されており、前後方向に延在されて形成されている。分草体プレート972は、前後方向の前方側から後方側に向けてしだいに鉛直方向の上側に高くなるように形成されている。分草体プレート972は、鉛直方向の上側に分草体カバー971が取り付けられている。分草体プレート972は、図3および図5に示すように、前後方向の前方側の鉛直方向の下端部が地面Gと対向する下面972aとなっている。分草体プレート972は、前後方向の中央部の鉛直方向の下側に後述するブラケット110が取り付けられている。
高さ検出装置100は、図2に示すように、コンバイン1の刈取装置90の前部に有する分草体97の鉛直方向の下側に設けられており、地面Gに対する刈取装置90の高さ(対地高さ)を検出する装置である。本実施形態では、高さ検出装置100は、図2に示すように、複数の分草体96、97のうち、車幅方向の左側から2番目の分草体97、車幅方向の右側から2番目の分草体97に取り付けられている。高さ検出装置100は、典型的には、車幅方向の両端の分草体96および中央の分草体97を除いて取り付けられていればよい。
高さ検出装置100は、図3および図5に示すように、ブラケット110と、ユニット本体120と、検出手段130と、接地体140と、を含んで構成されている。
ブラケット110は、分草体プレート972に取り付けられている。本実施形態では、ブラケット110は、分草体プレート972に溶接されて固定されている。ブラケット110は、固定部111と、ユニット取付部112と、補強部材113と、を備えている。本実施形態では、ブラケット110は、車幅方向視において、固定部111とユニット取付部112とが連なる前後方向の中央部が鉛直方向の上側に屈曲して、へ字状に形成されている。
固定部111は、鉛直方向視において、車幅方向の中央部を前後方向の前方側に向けて屈曲させたV字状に形成されている。固定部111の前後方向の前端部は、分草体プレート972に溶接されて固定されている。固定部111は、図4に示すように、一対の板状部材111a、111bを備えている。一対の板状部材111a、111bは、鉛直方向視において、板状部材111aと板状部材111bとが連なる前後方向の前端部から前後方向の後方に向かうにしたがって、互いの車幅方向の間隔が広がっている。一対の板状部材111a、111bは、鉛直方向視において、前後方向の先端同士が連なっており、固定部111をV字状に形成している。一対の板状部材111a、111bは、車幅方向視において、前後方向の後方に向かうにしたがって徐々に鉛直方向の上側に向かって設けられている。
ユニット取付部112は、図4に示すように、一対の板状部材111a、111bのうちの一方の板状部材111bから前後方向の後方に向けて、前後方向に沿って直線状に延在する平板状に形成されている。ユニット取付部112は、図3および図5に示すように、固定部111よりも地面Gから離れた高い位置に配置されている。ユニット取付部112の鉛直方向の下面112aは、鉛直方向の上面112bよりも前後方向の後方側に延びている。ユニット取付部112には、ユニット本体120の後述する第1回転軸123が固定されている。ユニット取付部112の外側面112c(車幅方向の左側の側面)は、ブラケット110の外側面に相当する。外側面112cには、ステー95の前端部95cが取り付けられている。
補強部材113は、図4に示すように、一対の板状部材111a、111bによって挟まれる三角形状の平板状に形成されている。補強部材113は、一対の板状部材111a、111bに挟まれた状態で、一対の板状部材111a、111bの鉛直方向の上端部同士を連結している。補強部材113は、分草体プレート972に連結されている。本実施形態では、補強部材113は、その鉛直方向の上面が分草体プレート972に溶接されて固定されている。
ユニット本体120は、図3および図5に示すように、ユニット取付部112に対して、後述する第1回転軸123周りに回転自在に取り付けられている。本実施形態では、ユニット本体120は、図3に示す下降限界位置と図5に示す上昇限界位置とにわたって、ブラケット110に対して第1回転軸123周りに上下回転自在に取り付けられている。ユニット本体120は、下降限界位置から下側回転することが規制され、上昇限界位置から上側回転することが規制されている。ユニット本体120の下面120aには、前後方向の中央部に凹み120bが形成されている。凹み120bは、車幅方向視において、ユニット本体120の下面120aを山形に形成している。ユニット本体120の前端部120fは、図5に示すように、分草体プレート972の前後方向の後端面972bと接触することによって、ユニット本体120が上昇限界位置から上側回転することを規制する。ユニット本体120の鉛直方向上側の上面は、ユニット本体120が上昇限界位置に位置付けられた状態で、分草体カバー971の上面971aよりも鉛直方向の下側に位置する。ユニット本体120の車幅方向の左側の外側面120dは、ユニット本体120が下降限界位置と上昇限界位置とにわたって、車幅方向視において、ステー95の前端部95cと重なる。ユニット本体120の前後方向の後端部120eは、ユニット本体120が下降限界位置に位置付けられた状態で、前後方向視において、ステーの95の中央部95bと重なる。
ユニット本体120は、図3および図4に示すように、ケース体121と、蓋体122と、第1回転軸123と、第2回転軸124と、を備えている。
ケース体121は、金属製の鋳物で構成されており、車幅方向の右側に開口部を有し、車幅方向の幅よりも前後方向の幅が大きくなる扁平な箱状に形成されている。
蓋体122は、図4に示すように、ケース体121の車幅方向の右側の開口部に対応し、ケース体121の形状に対応する平板状に形成されている。蓋体122は、ケース体121の車幅方向の右側に取り付けられることで、ケース体121の車幅方向の右側の開口部を塞ぐ。
第1回転軸123は、図3および図5に示すように、下降限界位置と上昇限界位置とにわたって、ブラケット110に対してユニット本体120を第1回転軸123周りに上下回転自在に回転させるものである。第1回転軸123は、車幅方向と平行な円柱状に形成されている。第1回転軸123は、車幅方向の左側の端部がユニット取付部112、すなわちブラケット110の前後方向の後端部に固定されており、車幅方向の右側がユニット本体120内に回転自在に通されている。つまり、第1回転軸123は、ユニット本体120内に回転自在に通されることで、第1回転軸123周りに回転自在にユニット本体120をブラケット110に取り付ける。第1回転軸123は、付勢手段により、第1回転軸123周りにユニット本体120を上昇限界位置から下降限界位置に向かって回転するように付勢されている。第1回転軸123は、規制手段により、ユニット本体120が下降限界位置よりも鉛直方向の下側に向かって回転することを規制されている。
第2回転軸124は、車幅方向と平行な円柱状に形成されている。第2回転軸124は、車幅方向の左側の端部が接地体140の後述する取付部142に固定されており、車幅方向の右側がユニット本体120内に回転自在に通されている。つまり、第2回転軸124は、ユニット本体120内に回転自在に通されることで、第2回転軸124周りに回転自在に接地体140をユニット本体120に取り付ける。第2回転軸124は、付勢手段により、第2回転軸124周りに接地体140を前後方向の後方に向かって回転するように付勢されている。第2回転軸124は、規制手段により、ユニット本体120が下降限界位置に位置付けられて接地体140の上端部141bと下端部141cとが鉛直方向に並ぶ位置(図3に示す)よりも、下端部141cが前後方向の後方に向かう方向に、接地体140が回転することを規制されている。
検出手段130は、第1回転軸123周りのユニット本体120の回転位置を検出する検出装置であり、例えばロータリーポテンショメータである。検出手段130は、ユニット本体120の第1回転軸123周りの回転位置を検出する。検出手段130は、ケース体121に設けられるセンサーカバー131で覆われている。
接地体140は、図3および図5に示すように、ユニット本体120に対して、第2回転軸124周りに回転自在に取り付けられており、地面Gに接触することが可能である。接地体140は、地面Gに接触する帯状部141と、この帯状部141の縁に連なった取付部142とで形成されている。
帯状部141は、図3に示すように、ユニット本体120が下降限界位置に位置付けられた状態で、中央部141aが上端部141bおよび下端部141cよりも前後方向の前方に位置するように、車幅方向視において、く字状に形成されている。中央部141aは、下端部141cが前後方向の前方に向かう方向に第2回転軸124周りに回転すると、中央部141aが凹み120bに当接(侵入)する。本実施形態では、中央部141aが接地体140の中央部に相当し、上端部141bが接地体140の上端部に相当し、下端部141cが接地体140の下端部に相当する。下端部141cは、水平方向の断面(前後方向の断面)が前後方向の前方に凸となるU字状に形成されている。
取付部142は、図3および図5に示すように、上端部141bの縁に連なっている。取付部142は、第2回転軸124に固定されている。このため、接地体140は、ユニット本体120に対して第2回転軸124周りに上下回転自在である。
制御装置200は、上記の脱穀装置50や刈取装置90などの動作を制御するものであり、高さ検出装置100が検出した回転位置に基づいて刈取装置90の地面Gに対する高さ(刈高さ)を制御するものである。制御装置200には、図6に示すように、刈取装置90と、刈取装置90の車幅方向の左側および右側の分草体97に取り付けられた高さ検出装置100、100と、キャビン21内の運転席20の周囲に設けられた制御目標刈高さ設定手段(以下、単に「ダイヤル」と称する)22と、ダイヤル22と同様に運転席20の周囲に設けられた表示手段23と、がそれぞれ接続されている。本実施形態では、制御装置200は、刈取装置90の刈取モードとして、高刈モードと低刈モードとを切り替えて制御するものであり、作業員がダイヤル22を操作して予め設定する制御目標値(制御目標刈高さ)に応じて、刈取装置90の地面Gに対する刈高さを相対的に高くする高刈モード、または地面Gに対する刈高さを相対的に低くする低刈モードに切り替えて制御する。
ここで、ダイヤル22は、図2に示す運転席20に着座する作業員が回転操作により制御目標値(制御目標刈高さ)を入力するための入力装置であり、刈取装置90の対地高さを一定の高さに保つように制御するための制御目標値(制御目標刈高さ)を設定するための入力装置である。ダイヤル22は、その回転位置に対応する刈高さの設定値(設定刈高さ)を制御装置200へ出力する。表示手段23は、運転席20に着座する作業員に対してコンバイン1の運転状況などを表示する液晶モニタ装置等の表示装置である。本実施形態では、表示手段23は、刈取装置90の自動下降制御が停止された場合、自動下降制御が停止されたことを表示し、刈取装置90の自動下降制御が再開された場合、自動下降制御が再開されたことを表示する。なお、本実施形態では、制御目標値(制御目標刈高さ)は、例えば、刈り取る穀稈や圃場の状況に応じて、ダイヤル22を介して作業員により予め設定される。
上記のように構成されたコンバイン1は、圃場において、エンジン30が発生させる駆動力によって走行装置40が駆動して走行しながら、高さ検出装置100が検出した地面Gに対する高さに基づいて、刈取装置90の対地高さが制御目標値(制御目標刈高さ)に収束するように制御装置200により制御されつつ、分草体96、97により植生穀稈を分草し、引起し装置91により倒伏している植生穀稈を引起して刈刃92で刈り取る。このとき、高さ検出装置100は、車幅方向に分草された植生穀稈が分草体カバー971に沿って前後方向の後方に案内されているので、植生穀稈がユニット本体120と接触しにくい。また、高さ検出装置100は、コンバイン1が左旋回する際には、植生穀稈に対してユニット本体120が車幅方向の左側に向けて移動することになるが、ユニット本体120の車幅方向の左側に配置されたステー95が植生穀稈と接触することにより、植生穀稈がユニット本体120と接触しにくい。
また、高さ検出装置100は、接地体140が地面Gや切株に当接すると、これらの地面Gや切株に押されて、ユニット本体120と接地体140とが一体になって第1回転軸123周りに上側回転する。このとき、高さ検出装置100は、検出手段130が第1回転軸123周りのユニット本体120の回転値を検出し、検出結果(検出値)を制御装置200(図6参照)に出力する。ここで、制御装置200は、検出値に基づいて、刈取装置90の対地高さを制御目標値(制御目標刈高さ)に収束するように、刈取装置90の昇降シリンダの動作を制御して刈取装置90の高さを変更する。
そして、コンバイン1は、圃場において前進と左旋回とを繰り返しつつ刈取装置90で植生穀稈を刈り取り、刈取装置90で刈り取った穀稈を搬送装置70によって脱穀装置50の脱穀部51に搬送し、フィードチェーン駆動機構80が穀稈を前後方向の後方に搬送しながら、脱穀部51にてエンジン30から伝達される駆動力によって穀稈を脱穀する。ここで、脱穀された穀粒等は、選別部52に落下する。次に、コンバイン1は、選別部52にて穀粒を選別し、選別した穀粒をグレンタンク60に一時的に貯蔵する。
以上のように、実施形態1に係るコンバイン1によれば、前後方向においてユニット本体120に対向して配置される分草フレーム94に対して、ステー95を介して分草体97が支持されている。また、コンバイン1によれば、ステー95にブラケット110が取り付けられ、ブラケット110に第1回転軸123が固定されている。また、コンバイン1によれば、ステー95が分草フレーム94から第1回転軸123と対向するまで延在され、かつ車幅方向視においてユニット本体120の第1回転軸123から前後方向の後方と重なって形成されている。つまり、コンバイン1によれば、ステー95とブラケット110とが、車幅方向視においてユニット本体120の外側面120dと重なるので、植生穀稈がユニット本体120に接触する前に、ステー95やブラケット110と接触するようになる。したがって、コンバイン1によれば、植生穀稈がユニット本体120に接触することを抑制することができるという効果を奏する。
また、コンバイン1によれば、鉛直方向の上側へ屈曲させた分草フレーム94で分草体97を支持することに代えて、ユニット本体120を車幅方向に迂回するステー95を介して分草フレーム94で分草体97を支持するので、分草体カバー971を第1回転軸123の鉛直方向の上側まで延在して形成することができる。つまり、コンバイン1によれば、分草体カバー971を分草フレーム94の鉛直方向の上側まで延在させないので、ユニット本体120の鉛直方向の上側の空間が広がる。したがって、コンバイン1によれば、ユニット本体120の上昇限界位置を高くすることができるという効果を奏する。
また、コンバイン1によれば、分草体カバー971を第1回転軸123の鉛直方向の上側まで延在して形成することができるので、分草体カバー971を分草フレーム94の鉛直方向の上側まで延在させた場合よりも、分草体カバー971の鉛直方向の高さを抑えることができる。したがって、コンバイン1によれば、分草体97の鉛直方向の高さを抑えることができるという効果を奏する。
また、コンバイン1によれば、分草体97の鉛直方向の高さを抑えることができるので、植生穀稈を押し倒しにくくなり、雑草等を引っかけにくくなるという効果を奏する。
また、コンバイン1によれば、鉛直方向の上側へ屈曲させた分草フレーム94で分草体97を支持することに代えて、ユニット本体120を車幅方向に迂回するステー95を介して分草フレーム94で分草体97を支持するので、分草フレーム94に泥等が溜まりにくくなるという効果を奏する。
次に、図6から図9を参照して、コンバイン1の制御装置200の構成について詳しく説明する。図7は、実施形態1に係るコンバインの制御装置による加重移動平均処理の一例を示す図表である。図8は、実施形態1に係るコンバインの制御装置による加重移動平均処理の一例を示す図表である。図9は、実施形態1に係るコンバインの制御装置による加重移動平均処理の一例を示す図表である。
制御装置200は、高刈モードでは、予め設定された所定の走行距離を走行する間、または予め設定された所定の走行時間が経過する間に、複数(本実施形態では2つ)の高さ検出装置100が検出した刈高さの検出値のうち、低いほうの検出値に加重をかけて、複数の検出結果の加重移動平均値に基づいて、刈取装置90の刈高さを制御する。さらに、制御装置200は、所定の走行距離を走行する間、または所定の走行時間が経過する間に高さ検出装置100が検出した複数の検出結果のうち、低いほうの検出結果の最新の検出結果側ほど重み付けを重くして加重移動平均値を算出し、最新の検出結果側ほど重み付けを重くした加重移動平均値に基づいて、刈取装置90の刈高さを制御する。また、制御装置200は、複数(本実施形態では2つ)の高さ検出装置100が検出した刈高さの検出値のうち、低いほうの検出値に加重をかけた加重平均値が制御目標刈高さより低い場合、刈取装置90を鉛直方向の上側に上昇させる。
制御装置200は、低刈モードでは、複数(本実施形態では2つ)以上の高さ検出装置100の検出値が制御目標刈高さより低い場合、刈取装置90を鉛直方向の上側に上昇させる。なお、以下の説明では、高さ検出装置100が検出する刈取装置90の地面Gからの高さを「対地高さ」という場合がある。
制御装置200は、図6に示すように、機能概念的に、目標刈高さ設定部201と、モード選択部202と、データ取得部203と、判定部204と、データ選択部205と、重み付け設定部206と、加重移動平均値算出部207と、刈取装置制御部208と、を含んで構成されている。
目標刈高さ設定部201は、ダイヤル22の設定刈高さに基づいて、刈取装置90の対地高さを一定に保つように制御するための制御目標値(制御目標刈高さ)を設定する。
モード選択部202は、ダイヤル22の設定刈高さが所定値よりも高い領域内であれば、高刈モードを選択し、ダイヤル22の設定刈高さが所定値よりも低い領域内であれば、低刈モードを選択する。
データ取得部203は、複数(本実施形態では2つ)の高さ検出装置100から検出結果として、対地高さデータ(検出値)を取得し、取得した対地高さデータ(検出値)を図示しない記憶部に格納する。なお、記憶部に格納された対地高さデータ(検出値)は、例えばイグニッションがOFFにされた際にクリアされる。
判定部204は、低刈モードにおいて、複数(本実施形態では2つ)以上の高さ検出装置100が検出した対地高さデータ(検出値)が制御目標刈高さよりも低い場合、複数以上の高さ検出装置100が制御目標刈高さよりも低い対地高さデータを検出したと判定する。
データ選択部205は、対地高さの加重移動平均値の算出に用いる対地高さデータ(検出値)、すなわち加重移動平均処理を施す対地高さデータ(検出値)を選択するものである。本実施形態では、データ選択部205は、複数(本実施形態では2つ)の高さ検出装置100が検出した検出値のうち、低いほうの検出値を選択する。データ選択部205は、データ取得部203が取得して記憶部に格納した対地高さデータ(検出値)から、加重移動平均値を算出する現時点(算出時点)の直近の、所定の走行距離を走行する間、または所定の走行時間が経過する間の複数の対地高さデータ(検出値)を選択し、これを対地高さの加重移動平均値の算出に用いる対地高さデータ(算出用データ)とする。ここで、所定の走行距離を走行する間、所定の走行時間が経過する間は、要求される加重移動平均値の精度等に応じて予め任意に設定されていればよい。典型的には、所定の走行距離を走行する間、所定の走行時間が経過する間は、少なくとも複数の対地高さデータを取得可能な走行距離、走行時間に応じて設定される。データ選択部205は、走行距離の増大、あるいは時間の経過とともに、算出用データを現時点(算出時点)の直近の、所定の走行距離を走行する間、または所定の走行時間が経過する間の最新のデータに随時更新していく。
重み付け設定部206は、データ選択部205によって選択された算出用データに対して、所定の重み付けを行うものである。本実施形態では、重み付け設定部206は、最新の検出結果側ほど重み付けを重くする。具体的には、重み付け設定部206は、コンバイン1の車速、刈り始めからの走行距離、対地高さの加重移動平均値と制御目標値(制御目標刈高さ)との偏差に基づいて、各対地高さデータに対する重み付けの度合を複数段階に変更する。つまり、重み付け設定部206は、最新の検出結果側ほど重み付けを重くするように構成したうえで、さらに、これらの重み付けを、コンバイン1の車速、刈り始めからの走行距離、対地高さの加重移動平均値と制御目標値(制御目標刈高さ)との偏差等に基づいて変更するようにしている。ここでは、重み付け設定部206は、各対地高さデータに対する重み付けの度合を、図7、図8、図9に示すように、3段階に変更することができる。図7は、最新の対地高さデータに対する重み付けを相対的に重くし、最新の対地高さデータに対してより敏感に対地高さの加重移動平均値を算出する場合の重み付けの例である。図9は、最新の対地高さデータに対する重み付けを相対的に軽くし、最新の対地高さデータに対してより鈍感に対地高さの加重移動平均値を算出する場合の重み付けの例である。図8は、図7の例と図9の例との中間の重み付けの例である。なおここでは、重み付け設定部206は、最新の対地高さデータに対する重み付けの度合を3段階に変更するものとして説明するが、これに限らず、例えば4段階以上に変更できるようにしてもよい。
図7、図8、図9は、移動平均処理区間が600mm、サンプリング単位区間が20mm、加重移動平均処理使用データ数が30個である場合の加重移動平均処理の一例を示している。ここで、移動平均処理区間とは、上述の予め設定された所定の走行距離を走行する間に相当し、加重移動平均処理に用いる複数の対地高さデータを取得するための走行区間距離に相当する。サンプリング単位区間とは、高さ検出装置100により対地高さのデータのサンプリング周期に相当する。加重移動平均処理使用データ数は、加重移動平均処理で用いる対地高さデータの数であり、上記の移動平均処理区間で上記のサンプリング単位区間ごとに対地高さデータをサンプリングした場合に取得される対地高さデータの数に相当する。
また、図7、図8、図9中、「サンプルNo」は、検出された対地高さデータの番号に相当し、随時最新データに更新されていく。ここでは、加重移動平均処理使用データ数が30であるので、「サンプルNo」は、「1」〜「30」となっており、数字が大きくなるほど現時点(算出時点)に近い最新の対地高さデータであることを表している。「対地高さ検出値」は、高さ検出装置100が検出した対地高さデータ(検出結果)に相当する。「対地高さ検出値」は、図7、図8、図9それぞれにおいて、サンプルNo=1〜27では25mm、サンプルNo=28〜30では15mmとなっている。「加重掛け率」は、各対地高さデータに対する重み付けに相当する。また、図7、図8、図9中、最も右の欄は、各サンプルNoにおいて、対地高さ検出値と加重掛け率とを乗算した値(「対地高さ検出値」×「加重掛け率」)となっている。
図7、図8、図9の例では、加重掛け率の合計を「120」に設定した例を示している。ここでは、加重移動平均処理使用データ数が30であるので、平均掛け率は4となる。この平均掛け率である「4」が加重掛け率となっているサンプルNoは、図7の例(敏感)ではサンプルNo=25〜27、図8の例(中間)ではサンプルNo=22〜27、図9の例(鈍感)ではサンプルNo=4〜27となっている。図7の例では、相対的に古い対地高さデータであるサンプルNo=1〜24で平均掛け率より低い加重掛け率となっており、これらの加重掛け率は、「1」となっている。また、図8の例では、相対的に古い対地高さデータであるサンプルNo=1〜21で平均掛け率より低い加重掛け率となっており、これらの加重掛け率は、「2」となっている。また、図9の例では、相対的に古い対地高さデータであるサンプルNo=1〜3で平均掛け率より低い加重掛け率となっており、これらの加重掛け率は、「2」となっている。そして、図7の例では、相対的に新しい対地高さデータであるサンプルNo=28〜30で平均掛け率より高い加重掛け率となっており、サンプルNo=28の加重掛け率は「12」、サンプルNo=29の加重掛け率は「24」、サンプルNo=30の加重掛け率は「48」となっている。また、図8の例では、相対的に新しい対地高さデータであるサンプルNo=28〜30で平均掛け率より高い加重掛け率となっており、サンプルNo=28の加重掛け率は「12」、サンプルNo=29の加重掛け率は「18」、サンプルNo=30の加重掛け率は「24」となっている。また、図9の例では、相対的に新しい対地高さデータであるサンプルNo=28〜30で平均掛け率より高い加重掛け率となっており、サンプルNo=28〜30の加重掛け率は「6」となっている。
上記のような条件のもと、図7の例(敏感)では、加重平均高さ(加重移動平均値)は18mm、図8の例(中間)では、加重平均高さ(加重移動平均値)は20.5mm、図9の例(鈍感)では、加重平均高さ(加重移動平均値)は23.5mmとなる。なお、加重掛け率の合計は、この例よりも多い設定としてもよく、例えば、上記のようにサンプリング単位区間が20mm、加重移動平均処理使用データ数が30個の場合、120〜1200程度が好ましい。この加重掛け率の合計を増加させた場合、例えば、湿田での低速作業などへの適応性が向上することになる。
ここで、重み付け設定部206は、コンバイン1の車速、刈り始めからの走行距離、対地高さの加重移動平均値と制御目標値(制御目標刈高さ)との偏差等に基づいて、重み付けの度合を複数段階に変更する。重み付け設定部206は、例えば、コンバイン1の車速、刈り始めからの走行距離、対地高さの加重移動平均値と制御目標値(制御目標刈高さ)との偏差に対してそれぞれ閾値を設けて、図7(敏感)の重み付け、図8(中間)の重み付け、図9(鈍感)の重み付けを使い分けるようにしてもよく、3つのパラメータを複合した条件付けに応じて使い分けるようにしてもよい。
例えば、重み付け設定部206は、コンバイン1の車速が第1車速閾値よりも低い場合、図7のような敏感側の重み付けとする。重み付け設定部206は、コンバイン1の車速が第1車速閾値以上であり、かつ第2車速閾値(第1車速閾値よりも高速側の閾値)よりも低い場合、図8のような中間の重み付けとする。重み付け設定部206は、コンバイン1の車速が第2車速閾値以上である場合、図9のような鈍感側の重み付けとする。ここで、制御装置200は、例えば、コンバイン1に設けられた車速センサ300(図6参照)による車速の検出結果に基づいてコンバイン1の車速を検出することができる。これにより、制御装置200は、対地高さの加重移動平均値において、車速が低くなるほど、最新側の対地高さデータが及ぼす影響を強くすることができる。
また例えば、重み付け設定部206は、刈り始めからの走行距離が第1距離閾値よりも短い場合、図7のような敏感側の重み付けとする。重み付け設定部206は、刈り始めからの走行距離が第1距離閾値以上であり、かつ第2距離閾値(第1距離閾値よりも長い側の閾値)よりも短い場合、図8のような中間の重み付けとする。重み付け設定部206は、刈り始めからの走行距離が第2距離閾値以上である場合、図9のような鈍感側の重み付けとする。ここで、制御装置200は、例えば、車速センサ300による車速の検出結果に基づいて刈り始めからの走行距離を算出することができる。これにより、制御装置200は、対地高さの加重移動平均値において、刈り始めからの走行距離が短いほど、最新側の対地高さデータが及ぼす影響を強くすることができる。
また例えば、重み付け設定部206は、対地高さの加重移動平均値と制御目標刈高さとの偏差が第1偏差閾値よりも大きい場合、図7のような敏感側の重み付けとする。重み付け設定部206は、上記偏差が第1偏差閾値以下であり、かつ第2偏差閾値(第1偏差閾値よりも小さい側の閾値)よりも大きい場合、図8のような中間の重み付けとする。重み付け設定部206は、上記偏差が第2偏差閾値以下である場合、図9のような鈍感側の重み付けとする。ここで、制御装置200は、例えば、ダイヤル22を介して作業員により設定された制御目標値(制御目標刈高さ)と、加重移動平均値算出部207が算出した対地高さの加重移動平均値とに基づいて、対地高さの加重移動平均値と制御目標刈高さとの偏差を算出することができる。これにより、制御装置200は、対地高さの加重移動平均値と制御目標値(制御目標刈高さ)との偏差が大きいほど、最新側の対地高さデータが及ぼす影響を強くすることができる。
加重移動平均値算出部207は、データ選択部205によって選択された対地高さデータ(算出用データ)、および重み付け設定部206によって設定された重み付けに基づいて、対地高さの加重移動平均値を算出するものである。加重移動平均値算出部207は、走行距離の増大、あるいは時間の経過に伴って随時更新される最新の対地高さデータ(算出用データ)に対して加重移動平均処理を施しながら、対地高さの加重移動平均値を、最新の値に随時更新していく。なお、加重移動平均値算出部207は、複数(本実施形態では2つ)の高さ検出装置100のそれぞれについて対地高さの加重移動平均値を算出してもよく、複数(本実施形態では2つ)の高さ検出装置100の対地高さデータ(検出値)をあわせて、この対地高さの加重移動平均値を算出してもよい。
なお、本実施形態では、加重移動平均値算出部207は、複数(本実施形態では2つ)の高さ検出装置100が検出した検出値のうち、低いほうの検出値に加重をかけた加重平均値も算出する。加重移動平均値算出部207は、走行距離の増大、あるいは時間の経過に伴って随時更新される最新の対地高さデータ(算出用データ)に対して加重平均処理を施しながら、対地高さの加重平均値を、最新の値に随時更新していく。
刈取装置制御部208は、高刈モードにおいて、加重移動平均値算出部207が算出した対地高さの加重移動平均値に基づいて、刈取装置90の高さを制御するものであり、加重移動平均値算出部207が算出した対地高さの加重平均値に基づいて、刈取装置90の鉛直方向の上側への上昇を制御するものである。刈取装置制御部208は、加重移動平均値算出部207が算出した対地高さの加重移動平均値が、作業員がダイヤル22により予め設定する制御目標値(制御目標刈高さ)に収束するように、刈取装置90の昇降シリンダを作動させ、刈取装置90の対地高さを変更する。刈取装置制御部208は、対地高さの加重移動平均値と制御目標刈高さとの偏差が許容範囲内に収まるように刈取装置90の対地高さを制御する。刈取装置制御部208は、加重移動平均値算出部207が算出した対地高さの加重平均値が制御目標値(制御目標刈高さ)より低い場合、刈取装置90の昇降シリンダを作動させ、刈取装置90を鉛直方向の上側へ上昇させる。
また、刈取装置制御部208は、高刈モードにおいて、複数(本実施形態では2つ)の高さ検出装置100のそれぞれについて、対地高さの加重移動平均値が算出される場合には、例えば、それぞれの加重移動平均値の平均に基づいて刈取装置90の対地高さを制御してもよく、いずれか一方の対地高さの加重平均値に基づいて刈取装置90の対地高さを制御してもよい。また、刈取装置制御部208は、複数(本実施形態では2つ)の高さ検出装置100のそれぞれの対地高さデータをあわせて、対地高さの加重移動平均値が算出される場合には、この加重移動平均値に基づいて、刈取装置90の対地高さを制御すればよい。
刈取装置制御部208は、低刈モードにおいて、複数(本実施形態では2つ)以上の高さ検出装置100が検出した複数以上の検出値(複数以上の高さ検出装置100のそれぞれが同時間帯に検出した検出値)が、制御目標値(制御目標刈高さ)より低いと判定部204により判定された場合、刈取装置90の昇降シリンダを作動させ、刈取装置90を鉛直方向の上側へ上昇させる。ここで、高刈モードおよび低刈モードにおいて、刈取装置制御部208が刈取装置90を上側へ上昇させる高さは、刈取装置90が地面Gに突っ込むことを抑制可能な高さであり、例えば数十mm程度の高さである。
次に、図10を参照して、高刈モードおよび低刈モードのそれぞれにおける制御装置200の制御について説明する。図10は、実施形態1に係るコンバインの制御装置による刈取装置の制御に関する一例を示すフローチャートである。
まずは、制御装置200が高刈モードで刈取装置90を制御する場合について説明する。このような場合には、制御装置200は、作業員により設定されるダイヤル22の設定刈高さに基づいて、制御目標値(制御目標刈高さ)を取得する(ステップS1)。
次に、制御装置200は、取得した制御目標値(制御目標刈高さ)に基づいて、刈取モードが低刈モードであるか否か判断する(ステップS2)。このステップS2では、制御装置200は、目標刈高さ設定部201が取得した制御目標値(制御目標刈高さ)が所定値よりも高い領域内であれば高刈モードであると判断し、制御目標値(制御目標刈高さ)が所定値よりも低い領域内であれば低刈モードであると判断する。つまり、ステップS2では、制御装置200は、目標刈高さ設定部201が制御目標値(制御目標刈高さ)を取得した後、モード選択部202が刈取モードを選択することで、低刈モードであるか否か判断する。
次に、制御装置200は、刈取モードが低刈モードではないと判断する(ステップS2:No)と、刈取装置90により植生穀稈を刈り取りながら対地高さを取得する(ステップS6)。このステップS6では、制御装置200は、予め設定された所定の走行距離を走行する間、または予め設定された所定の走行時間が経過する間に、2つの高さ検出装置100が検出した刈高さの検出値(対地高さデータ)を取得する。
次に、制御装置200は、加重移動平均値を算出する(ステップS7)。このステップS7では、制御装置200は、最新の対地高さデータ(検出結果)側ほど重み付けを重くして、この対地高さの加重移動平均値を算出する。また、ステップS7では、制御装置200は、2つの高さ検出装置100が検出した検出値(対地高さデータ)のうち、低いほうの検出値に加重をかけて加重平均値を算出する。
次に、制御装置200は、刈取装置90を制御する(ステップS8)。このステップS8では、制御装置200は、算出した加重移動平均値に基づいて、制御目標値(制御目標刈高さ)に収束するように、刈取装置90の対地高さを制御する。この結果、コンバイン1は、例えば、刈り始め等、凹凸の多い圃場であっても、単純に移動平均値を算出する場合と比較して、対地高さの算出精度を向上することができる。
また、ステップS8では、制御装置200は、2つの高さ検出装置100が検出した対地高さの検出値(対地高さデータ)のうち、低いほうの検出値(対地高さデータ)に加重をかけて加重平均値を算出し、この加重平均値が制御目標値(制御目標刈高さ)より低くなると、刈取装置90を鉛直方向の上側へ上昇させる。この結果、コンバイン1は、低いほうの検出値(対地高さデータ)に加重をかけるので刈取装置90の上昇量が不足せず、かつ一定区間、一定時間に検出される複数の対地高さデータが、刈取装置90の上昇制御に用いる加重平均値に反映されるので、より安定した対地高さの加重平均値を算出することができる。つまり、コンバイン1は、低いほうの検出値(対地高さデータ)の1つの影響をやや鈍らせることで、安定した刈高さに制御することができる。したがって、コンバイン1は、適切に刈取装置90の地面Gからの高さを検出し、刈取装置90を上昇させることができる。
次に、制御装置200が低刈モードで刈取装置90を制御する場合について説明する。このような場合には、制御装置200は、刈取モードが低刈モードであると判断する(ステップS2:Yes)と、刈取装置90により植生穀稈を刈り取りながら対地高さを取得する(ステップS3)。このステップS3では、制御装置200は、2つの高さ検出装置100が検出した刈高さの検出値(対地高さデータ)を取得する。
次に、制御装置200は、2つ以上の高さ検出装置100が制御目標刈高さよりも低い対地高さを検出したか否か判断する(ステップS4)。このステップS4では、制御装置200は、2つ以上の高さ検出装置100が検出した検出値(対地高さデータ)が制御目標値(制御目標刈高さ)よりも低いと、2つ以上の高さ検出装置100が制御目標刈高さよりも低い対地高さを検出したと判断する。つまり、ステップS4では、制御装置200は、2つ以上の高さ検出装置100が検出した2つ以上の検出値(対地高さデータ)が制御目標値(制御目標刈高さ)よりも低いか否か判断する。
次に、制御装置200は、2つ以上の高さ検出装置100が制御目標刈高さよりも低い対地高さを検出したと判断する(ステップS4:Yes)と、刈取装置90を鉛直方向の上側へ上昇させる。この結果、コンバイン1は、2つ以上の高さ検出装置100が制御目標刈高さよりも低い対地高さを検出するまでは刈取装置90を上昇させないので、倒伏圃場のように穀稈を低く刈り取りたい場所において、安定に刈取装置90の対地高さを低く保つことができる。
以上のように、実施形態1に係るコンバイン1によれば、高刈モードにおいて、一定区間、一定時間に検出される複数の対地高さデータが、刈取装置90の対地高さ制御に用いる加重移動平均値に反映されるので、より安定した対地高さの加重移動平均値を算出することができる。したがって、コンバイン1によれば、適切に刈取装置90の地面Gからの高さを検出し、刈取装置90の対地高さを制御することができる。このとき、コンバイン1は、コンバイン1の車速、刈り始めからの走行距離、対地高さの加重移動平均値と制御目標値(制御目標刈高さ)との偏差等に基づいて、各対地高さデータに対する重み付けの度合を複数段階に変更するので、コンバイン1の状況に応じてより適切に刈取装置90の地面Gからの高さを検出し刈取装置90の対地高さを制御することができる。
また、コンバイン1によれば、高刈モードにおいて、2つの高さ検出装置100が検出した2つの検出値のうち、低いほうの検出値に加重をかけるので、刈取装置90を鉛直方向の上側へ上昇させるための上昇量(上昇高さ)の不足がない。また、コンバイン1によれば、高刈モードにおいて、加重平均値に基づいて刈取装置90の鉛直方向の上側への上昇を制御するので、1つの検出値に基づく場合に比べて、1つの検出値の影響をやや鈍らせて、安定した刈高さに制御することができる。
また、コンバイン1によれば、高刈モードにおいて、2つの高さ検出装置100が検出した2つの検出値のうち、低いほうの検出値に加重をかけるので、最終的な算出値が正確になっていく。つまり、コンバイン1によれば、算出値を制御目標値(制御目標刈高さ)に近づけることができる。
また、コンバイン1によれば、低刈モードにおいて、2つ以上の高さ検出装置100が制御目標刈高さよりも低い対地高さを検出すると、刈取装置90を鉛直方向の上側へ上昇させるので、1つ以上の高さ検出装置100が制御目標刈高さよりも低い対地高さを検出した際に刈取装置90を鉛直方向の上側へ上昇させる場合に比べて、ある程度の高さを補償することができる。
〔実施形態2〕
次に、図11から図15を参照して、実施形態2に係るコンバイン1Aについて説明する。図11は、実施形態2に係るコンバインの制御装置の概略構成を示すブロック図である。図12は、実施形態2に係るコンバインの制御装置による刈取装置の制御に関する一例を示すフローチャートである。図13は、実施形態2に係るコンバインの制御装置による刈取装置の制御に関する一例を示すフローチャートである。図14は、実施形態2に係るコンバインの制御装置による刈取装置の制御に関する一例を示すフローチャートである。図15は、実施形態2に係るコンバインの制御装置による刈取装置の制御に関する一例を示すフローチャートである。実施形態2に係るコンバイン1Aは、制御装置200に突込み判定部209が設けられている点で実施形態1に係るコンバイン1とは異なっている。その他、上述した実施形態と共通する構成、作用、効果については、重複した説明はできるだけ省略する(以下で説明する他の実施形態でも同様である。)。
図11に示すコンバイン1Aの制御装置200は、刈取装置90が地面Gに突込んだ際に、刈取装置90を鉛直方向の上側へ上昇させる。本実施形態では、制御装置200は、刈取モードが低刈モードである場合において、刈取装置90の地面Gへの突込みを検出することで、刈取装置90の突込み状態が解消するまで上昇させる。
具体的には、制御装置200は、機能概念的に、目標刈高さ設定部201と、モード選択部202と、データ取得部203と、判定部204と、データ選択部205と、重み付け設定部206と、加重移動平均値算出部207と、刈取装置制御部208と、を含み、さらに突込み判定部209を含んで構成されている。
突込み判定部209は、刈取モードが低刈モードである場合において、複数のうちの1つ以上の高さ検出装置100によって、低刈モードで予め設定される最低対地高さ(例えば図3に示す地面Gに対する下面972aの高さ)よりも低い検出値(突込み状態対地高さデータ)が検出されると、刈取装置90が地面Gに対して突込み状態であると判定する。本実施形態では、このような突込み判定部209の制御を、基本の制御とする。
また、突込み判定部209は、刈取モードが低刈モードである場合において、突込み状態対地高さデータが検出されると、刈取装置90が地面Gに対して突込み状態であると判定し、かつ車速センサ300(図11参照)に基づいて検出されたコンバイン1Aの車速に応じて、刈取装置90の昇降シリンダの油圧バルブ90a(図11参照)の開度を調整する。ここでは、突込み判定部209は、コンバイン1の車速が所定速度以上になると、その所定速度以上の車速が高くなるにつれて、油圧バルブ90aの開度を徐々に大きくする。本実施形態では、このような突込み判定部209の制御を、車速に応じた制御とする。
また、突込み判定部209は、刈取モードが低刈モードである場合において、突込み状態対地高さデータが検出されると、刈取装置90が地面Gに対して突込み状態であると判定し、かつ突込み状態対地高さデータを検出する高さ検出装置100の数に応じて、刈取装置90の昇降シリンダの油圧バルブ90aの開度を調整する。ここでは、突込み判定部209は、突込み状態対地高さデータを検出する高さ検出装置100の数が増えるにつれて、油圧バルブ90aの開度を徐々に大きくする。本実施形態では、このような突込み判定部209の制御を、突込み状態対地高さデータ数に応じた制御とする。なお、突込み判定部209は、突込み状態対地高さデータを検出する高さ検出装置100の突込み量にも応じて、刈取装置90の昇降シリンダの油圧バルブ90aの開度を調整する。
また、突込み判定部209は、刈取モードが低刈モードである場合において、突込み状態対地高さデータが検出されると、刈取装置90が地面Gに対して突込み状態であると判定し、かつ補助引起し装置の重量に応じて、刈取装置90の昇降シリンダの油圧バルブ90aの開度を調整する。ここでは、突込み判定部209は、補助引起し装置の重量が大きければ、油圧バルブ90aの開度も大きくする。本実施形態では、このような突込み判定部209の制御を、補助引起し装置の重量に応じた制御とする。なお、補助引起し装置は、長稈圃場での刈取作業を行う際に、予め刈取装置90に装着されるものであり、前後方向の前方に突出させる引起しラグにより、倒伏長稈を引き起す装置である。
次に、刈取モードが低刈モードである場合において、コンバイン1Aの制御装置200による基本の制御について説明する。制御装置200は、図12に示すように、刈取装置90が地面Gに対して突込み状態であるか否か判断する(ステップS11)。次に、制御装置200は、刈取装置90が地面Gに対して突込み状態であると判断する(ステップS11:Yes)と、刈取装置90の昇降シリンダの油圧バルブ90aの開度を大きくする(ステップS12)。次に、制御装置200は、突込み状態が解消されるように、昇降シリンダを駆動して刈取装置90を鉛直方向の上側へ上昇させる(ステップS13)。このステップS13では、制御装置200は、2つの高さ検出装置100が最低対地高さよりも高い対地高さを検出するまで刈取装置90を鉛直方向の上側へ上昇、あるいは予め設定された所定量(例えば数十mm程度)だけ強制的に刈取装置90を鉛直方向の上側へ上昇させる。この結果、コンバイン1Aは、油圧バルブ90aの開度が通常の開度である場合に比べて、刈取装置90を鉛直方向の上側へ高速で上昇させることができる。
次に、刈取モードが低刈モードである場合において、コンバイン1Aの制御装置200による車速に応じた制御について説明する。制御装置200は、図13に示すように、刈取装置90が地面Gに対して突込み状態であるか否か判断する(ステップS21)。次に、制御装置200は、刈取装置90が地面Gに対して突込み状態であると判断する(ステップS21:Yes)と、コンバイン1の車速が所定速度以上か否か判断する(ステップS22)。次に、制御装置200は、コンバイン1の車速が所定速度以上であると判断する(ステップS22:Yes)と、コンバイン1の車速に応じて油圧バルブ90aの開度を調整する(ステップS23)。次に、制御装置200は、突込み状態が解消されるように、昇降シリンダを駆動して刈取装置90を鉛直方向の上側へ上昇させる(ステップS24)。このステップS24では、制御装置200は、2つの高さ検出装置100が最低対地高さよりも高い対地高さを検出するまで刈取装置90を鉛直方向の上側へ上昇、あるいは予め設定された所定量(例えば数十mm程度)だけ強制的に刈取装置90を鉛直方向の上側へ上昇させる。この結果、コンバイン1Aは、コンバイン1Aの車速が所定速度以上になると、コンバイン1Aの車速が所定速度よりも遅い場合に比べて、刈取装置90を鉛直方向の上側へ高速で上昇させることができる。
次に、刈取モードが低刈モードである場合において、コンバイン1Aの制御装置200による突込み状態対地高さデータ数に応じた制御について説明する。制御装置200は、図14に示すように、刈取装置90が地面Gに対して突込み状態であるか否か判断する(ステップS31)。次に、制御装置200は、刈取装置90が地面Gに対して突込み状態であると判断する(ステップS31:Yes)と、複数の高さ検出装置100が突込み状態対地高さデータを検出したか否か判断する(ステップS32)。次に、制御装置200は、複数の高さ検出装置100が突込み状態対地高さデータを検出したと判断する(ステップS32:Yes)と、突込み状態対地高さデータを検出した高さ検出装置100の検出数に応じて油圧バルブ90aの開度を調整する(ステップS33)。次に、制御装置200は、突込み状態が解消されるように、昇降シリンダを駆動して刈取装置90を鉛直方向の上側へ上昇させる(ステップS34)。このステップS34では、制御装置200は、2つの高さ検出装置100が最低対地高さよりも高い対地高さを検出するまで刈取装置90を鉛直方向の上側へ上昇、あるいは予め設定された所定量(例えば数十mm程度)だけ強制的に刈取装置90を鉛直方向の上側へ上昇させる。この結果、コンバイン1Aは、複数の高さ検出装置100が突込み状態対地高さデータを検出すると、1つの高さ検出装置100が突込み状態対地高さデータを検出した場合に比べて、刈取装置90を鉛直方向の上側へ高速で上昇させることができる。
なお、上記のステップS32において、複数の高さ検出装置100が突込み状態対地高さデータを検出していない、つまり1つの高さ検出装置100のみが突込み状態対地高さデータを検出したと判断する(ステップS32:No)と、図12に示す基本の制御と同様に、油圧バルブ90aの開度を大きくした(ステップS35)後、刈取装置90を鉛直方向の上側へ上昇させる(ステップS34)。
次に、刈取モードが低刈モードである場合において、コンバイン1Aの制御装置200による補助引起し装置の重量に応じた制御について説明する。制御装置200は、図15に示すように、刈取装置90が地面Gに対して突込み状態であるか否か判断する(ステップS41)。次に、制御装置200は、刈取装置90が地面Gに対して突込み状態であると判断する(ステップS41:Yes)と、補助引起し装置を装着しているか否か判断する(ステップS42)。このステップS42では、制御装置200は、図示しない設定手段等を介して作業員により予め設定される装着の有無に基づいて、補助引起し装置を装着しているか否か判断する。次に、制御装置200は、補助引起し装置を装着していると判断する(ステップS42:Yes)と、補助引起し装置の重量に応じて油圧バルブ90aの開度を調整する(ステップS43)。このステップS43では、制御装置200は、図示しない設定手段等を介して作業員により予め設定される重量に基づいて、油圧バルブ90aの開度を調整する。次に、制御装置200は、突込み状態が解消されるように、昇降シリンダを駆動して刈取装置90を鉛直方向の上側へ上昇させる(ステップS44)。このステップS44では、制御装置200は、2つの高さ検出装置100が最低対地高さよりも高い対地高さを検出するまで刈取装置90を鉛直方向の上側へ上昇、あるいは予め設定された所定量(例えば数十mm程度)だけ強制的に刈取装置90を鉛直方向の上側へ上昇させる。この結果、コンバイン1Aは、補助引起し装置を装着していても、未装着状態と同様に、刈取装置90を鉛直方向の上側へ上昇させることができる。
なお、上記のステップS42において、制御装置200が補助引起し装置を装着していないと判断する(ステップS42:No)と、図12に示す基本の制御と同様に、油圧バルブ90aの開度を大きくした(ステップS45)後、刈取装置90を鉛直方向の上側へ上昇させる(ステップS44)。
以上のように、実施形態2に係るコンバイン1Aによれば、刈取装置90の昇降シリンダの油圧バルブ90aの開度を大きくすることで、地面Gに対して刈取装置90が突込み状態となった時に、刈取装置90を速やかに鉛直方向の上側へ上昇させることができる。したがって、コンバイン1Aによれば、刈取装置90の突込み状態を速やかに解消することができるという効果を奏する。
また、コンバイン1Aによれば、コンバイン1Aの車速、突込み状態を検出する高さ検出装置100の数、高さ検出装置100の突込み量、補助引起し装置の重量などに応じて油圧バルブ90aの開度を大きくすることで、地面Gへの刈取装置90の突っ込み時に、刈取装置90の上昇量が不足しないようにすることができるという効果を奏する。
〔実施形態3〕
次に、図16から図19を参照して、実施形態3に係るコンバイン1Bについて説明する。図16は、実施形態3に係るコンバインの制御装置の概略構成を示すブロック図である。図17は、実施形態3に係るコンバインの制御装置による刈取装置の制御に関する一例を示すフローチャートである。図18は、実施形態3に係るコンバインの制御装置による刈取装置の制御に関する一例を示すフローチャートである。図19は、実施形態3に係るコンバインの制御装置による刈取装置の制御に関する一例を示すフローチャートである。実施形態3に係るコンバイン1Bは、制御装置200に浮き上がり判定部210、自動下降制御部211、接地判定部212、強制上昇制御部213、刈取状態検出部214が設けられている点で実施形態1、2とは異なっている。
図16に示すコンバイン1Bの制御装置200は、高さ検出装置100が地面Gから浮き上がった浮遊状態になると、高さ検出装置100が地面Gに接地するように、刈取装置90を自動的に鉛直方向の下側へ下降させる自動下降制御を実施する。また、制御装置200は、ダイヤル22の制御目標値(制御目標刈高さ)が高くなる側へ設定する操作が作業員により行われると、高さ検出装置100の状態(浮遊状態や接地状態)にかかわらず刈取装置90を所定量だけ自動的に鉛直方向の上側へ上昇させる強制上昇制御を実施する。本実施形態では、制御装置200は、刈取モードが低刈モードである場合において、自動下降制御と強制上昇制御とを実施する。
具体的には、制御装置200は、機能概念的に、目標刈高さ設定部201と、モード選択部202と、データ取得部203と、判定部204と、データ選択部205と、重み付け設定部206と、加重移動平均値算出部207と、刈取装置制御部208と、を含み、さらに浮き上がり判定部210と、自動下降制御部211と、接地判定部212と、強制上昇制御部213と、刈取状態検出部214と、を含んで構成されている。
浮き上がり判定部210は、高さ検出装置100の接地体140が地面Gに対して非接触状態になることで、刈取装置90が地面Gに対して浮遊状態であると判定する。
自動下降制御部211は、浮き上がり判定部210により刈取装置90が地面Gに対して浮遊状態であると判定されると、高さ検出装置100の接地体140が地面Gに接地するまで、刈取装置90を鉛直方向の下側へ下降させる。
接地判定部212は、強制上昇制御の実施中(自動下降制御の停止中)に、高さ検出装置100の接地体140が地面Gに接地したことを検出すると、強制上昇制御を終了させ、かつ自動下降制御を再開させる。また、接地判定部212は、自動下降制御の再開について、表示手段23(図16参照)に案内表示する。
強制上昇制御部213は、ダイヤル22の制御目標値(制御目標刈高さ)が高くなる側へ設定されると、高さ検出装置100の浮遊状態や接地状態にかかわらず刈取装置90を所定量だけ強制的に鉛直方向の上側へ上昇させ、自動下降制御を停止させる。また、強制上昇制御部213は、自動下降制御の停止について、表示手段23に案内表示する。
刈取状態検出部214は、刈取装置90の状態が非刈取状態であるか刈取状態であるか検出する。また、刈取状態検出部214は、刈取装置90の状態が非刈取状態であることを検出すると、刈取装置90の駆動、およびフィードチェーン駆動機構80の駆動を停止させる。なお、非刈取状態は、例えば、刈取装置90の対地高さが数百mm程度となる状態であり、植生穀稈の刈り取りを行わない状態である。
次に、コンバイン1Bの制御装置200による基本的な制御について説明する。制御装置200は、図17に示すように、高さ検出装置100の浮き上がりを検出したか否か判断する(ステップS51)。次に、制御装置200は、高さ検出装置100の浮き上がりを検出したと判断する(ステップS51:Yes)と、高さ検出装置100が接地するまで刈取装置90を鉛直方向の下側へ下降させる(ステップS52)。次に、制御装置200は、ダイヤル22が高くなる側へ設定(制御目標刈高さが高くなる側へ設定)されたか否か判断する(ステップS53)。次に、制御装置200は、ダイヤル22が高くなる側へ設定されたと判断する(ステップS53:Yes)と、刈取装置90を所定量だけ鉛直方向の上側へ強制上昇させる(ステップS54)。この結果、コンバイン1Bは、例えば畝間の溝がある麦圃場等のように、高さ検出装置100が溝内に入り込みやすい場合には、自動下降制御により高さ検出装置100が接地するまで刈取装置90を鉛直方向の下側へ下降させると、地面Gに対して刈取装置90が突込み状態となる虞があるが、作業員がダイヤル22を制御目標刈高さが高くなる側へ設定することで、刈取装置90を所定量だけ鉛直方向の上側へ強制上昇させることができる。
次に、コンバイン1Bの制御装置200により、接地を検出する場合の制御について説明する。制御装置200は、図18に示すように、上記の基本的な制御と同様に、高さ検出装置100の浮き上がりを検出する(ステップS61:Yes)と、高さ検出装置100が接地するまで刈取装置90を下降させ(ステップS62)、ダイヤル22が高くなる側へ設定されたと判断する(ステップS63:Yes)と、刈取装置90を所定量だけ鉛直方向の上側へ強制上昇させ(ステップS64)、自動下降制御を停止し、かつ自動下降制御の停止について表示手段23に案内表示する。次に、制御装置200は、高さ検出装置100が接地を検出したか否か判断する(ステップS65)。次に、制御装置200は、高さ検出装置100が接地を検出したと判断する(ステップS65:Yes)と、ステップS61の制御ステップにリターンし、自動下降制御を再開し、かつ自動下降制御の再開について表示手段23に案内表示する。この結果、コンバイン1Bは、接地を検出した後に浮き上がりを検出すると、自動下降制御を再開することができる。
次に、コンバイン1Bの制御装置200により、刈取状態を検出する場合の制御について説明する。制御装置200は、図19に示すように、上記の接地を検出する場合の制御と同様に、高さ検出装置100の浮き上がりを検出する(ステップS71:Yes)と、高さ検出装置100が接地するまで刈取装置90を下降させ(ステップS72)、ダイヤル22が高くなる側へ設定されたと判断する(ステップS73:Yes)と、刈取装置90を所定量だけ鉛直方向の上側へ強制上昇させ(ステップS74)、自動下降制御を停止し、かつ自動下降制御の停止について表示手段23に案内表示する。次に、制御装置200は、刈取装置90の状態が非刈取状態であるか否か判断する(ステップS75)。次に、制御装置200は、刈取装置90の状態が非刈取状態であると判断する(ステップS75:Yes)と、刈取装置90を非刈取高さに鉛直方向の上側へ上昇させる(ステップS76)。次に、制御装置200は、刈取装置90の状態が刈取状態であるか否か判断する(ステップS77)。このステップS77では、制御装置200は、植生穀稈の刈り取りを行うために作業員が非刈取状態にある刈取装置90を鉛直方向の下側に下降させる操作(制御目標刈高さよりも鉛直方向の上側に位置する)を行うと、刈取装置90の状態が非刈取状態から刈取状態になったと判断する。次に、制御装置200は、刈取装置90の状態が刈取状態であると判断する(ステップS77:Yes)と、刈取装置90を制御目標刈高さに鉛直方向の下側へ下降させる(ステップS78)。次に、制御装置200は、ステップS71の制御ステップにリターンし、自動下降制御を再開し、かつ自動下降制御の再開について表示手段23に案内表示する。この結果、コンバイン1Bは、非刈取状態で強制上昇制御により停止された自動下降制御を、刈取状態で再開することができる。
以上のように、実施形態3に係るコンバイン1Bによれば、畝間の溝がある麦圃場等のように、自動下降制御を実施していると高さ検出装置100が溝内に入り込みやすくなる場合であっても、作業員がダイヤル22を制御目標刈高さが高くなる側へ設定することで、強制的に刈取装置90を鉛直方向の上側へ上昇させることができる。したがって、コンバイン1Bによれば、作業員がダイヤル22を制御目標刈高さが高くなる側へ設定することで、刈取装置90の地面Gへの突込みを抑制することができるという効果を奏する。
また、コンバイン1Bによれば、ダイヤル22を上げる操作(ダイヤル22を高くなる側へ設定する操作)しても、刈取装置90が鉛直方向の上側へ上昇しない(ダイヤル22が効かない)ことがないので、作業員が落ち着いて刈取作業を続けることができるという効果を奏する。
また、コンバイン1Bによれば、作業員がダイヤル22を制御目標刈高さが高くなる側へ設定することで、刈取装置90の自動下降制御が停止されるので、この自動下降制御を停止させるための操作を作業員が行わなくてもよい。また、コンバイン1Bによれば、自動下降制御を停止した状態で、高さ検出装置100が接地を検出すると、自動下降制御を再開するので、この自動下降制御を再開させるための操作を作業員が行わなくてもよい。また、コンバイン1Bによれば、刈取装置90の状態が非刈取状態から刈取状態になると、自動下降制御を再開するので、非刈取状態から刈取状態になった際に自動下降制御を再開させるための操作を作業員が行わなくてもよい。したがって、コンバイン1Bによれば、自動下降制御を停止させるための操作、および自動下降制御を再開させるための操作を作業員が行わなくてもよいので、作業員に対して操作性を向上することができるという効果を奏する。
また、コンバイン1Bによれば、自動下降制御の停止、および自動下降制御の再開について表示手段23に案内表示するので、作業員が刈取装置90の自動下降制御の停止および再開を視認することができるという効果を奏する。したがって、コンバイン1Bによれば、作業員に対して操作性が向上するという効果を奏する。
〔実施形態4〕
次に、図20から図22を参照して、実施形態4に係るコンバインの高さ検出装置100Aについて説明する。図20は、実施形態4に係るコンバインの高さ検出装置の構成を示す側面図である。図21は、図20に示すコンバインの高さ検出装置のユニット本体が鉛直方向の上側に退避した状態を示す側面図である。図22は、実施形態4に係るコンバインの高さ検出装置が取り付けられた分草体などの平面図である。実施形態4に係るコンバインの高さ検出装置100Aは、車幅方向視で、ブラケット110のユニット取付部112が分草体カバー971とユニット本体120との隙間を塞ぐように形成されている点で実施形態1とは異なっている。
ユニット取付部112は、図20および図21に示すように、分草体カバー971とユニット本体120との隙間を塞ぐように形成されている。本実施形態では、ユニット取付部112は、図20に示す下降限界位置および図21に示す上昇限界位置において、第2回転軸124よりも前後方向の前方側から、分草体カバー971および分草体プレート972の前後方向の後端部までを車幅方向視で覆うように、台形状に形成されている。ユニット取付部112の鉛直方向の下側の下面112aは、車幅方向視で、図20に示す下降限界位置において、ユニット本体120の鉛直方向の下側の下面120aに沿って形成されている。ユニット取付部112の鉛直方向の上側の上面112bは、車幅方向視で、分草体カバー971の鉛直方向の上側の上面971aと平行となり、この上面971aと連続する平坦に形成されている。つまり、ユニット取付部112の鉛直方向の上側の上面112bと分草体カバー971の鉛直方向の上側の上面971aとは、連続する平坦に形成されている。
また、ユニット本体120は、図21に示す上昇限界位置において、鉛直方向の上側の上面120cが、ユニット取付部112の鉛直方向の上側の上面112bと平行となる。ユニット本体120の上面120cは、ユニット取付部112の上面112bより鉛直方向の下側に位置する。つまり、ユニット本体120の上面120cが、ユニット取付部112の上面112bより鉛直方向の上側に突出しないように、ユニット本体120は、上昇限界位置に位置付けられる。
なお、本実施形態では、ステー95は、図20から図22に示すように、後端部95aが締結部材95e、95fにより分草フレーム94に取り付けられている。また、中央部95bおよび前端部95cは、円筒を車幅方向に押し潰すことで板状に形成されている。中央部95bは、図22に示すように、ユニット本体120を車幅方向の左側に迂回しており、ユニット本体120が下降限界位置から上昇限界位置にわたって第1回転軸123周りに上下回転する際に、接地体140と接触しないように車幅方向の左側に迂回して形成されている。前端部95cは、ユニット取付部112の車幅方向の左側の外側面112cに取り付けられている。
以上のように、実施形態4に係るコンバインによれば、車幅方向視で、ブラケット110が分草体カバー971とユニット本体120との隙間を塞ぐように形成されているので、穀稈がユニット本体120に接触することをさらに抑制することができるという効果を奏する。
また、コンバインによれば、分草体カバー971の上面971aとユニット取付部112の上面112bとが連続する平坦に形成されているので、第1回転軸123の周辺に藁屑等が引っかかることを抑制することができるという効果を奏する。
なお、上述した本発明の実施形態1から4に係るコンバインは、上述した実施形態1から4に限定されず、特許請求の範囲に記載された範囲で種々の変更が可能である。