JP6031613B2 - シートガラスの製造方法及びシートガラス製造装置 - Google Patents

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Description

本発明は、シートガラスをつくるシートガラスの製造方法及びシートガラス製造装置に関する。
近年、ディスプレイパネルの分野では、画質の向上のために画素の高精細化が進展している。この高精細化の進展に伴って、ディスプレイパネルのガラス基板に用いるシートガラスにも寸法精度が高いことが望まれている。例えば、シートガラスをディスプレイのガラス基板として用いる場合、このシートガラスに、ディスプレイパネルの作製のために、a−Si・TFT(Amorphous Silicon Thin Film Transistor)ではなく、低温ポリシリコン(Low-temperature Poly Silicon、以下、LTPSという)・TFTや酸化物半導体を形成する場合、a−Si・TFTと比較して、より高温の熱処理が行われる。このため、熱処理によるシートガラスの熱収縮が大きくなり、その結果、シートガラス上に形成されたTFT回路の位置ズレが生じることがないように、ディスプレイパネルに用いるシートガラスは、熱収縮率が低いことが望まれている。
一般に、シートガラスの熱収縮率は、ガラスの歪点や徐冷点が高いほど小さくなる。このため、無アルカリのボロアルミノシリケートガラスであって、徐冷点を高くすることで良好な寸法安定性を実現したガラス組成物が知られている(特許文献1)。
具体的には、ガラスは、酸化物基準のモルパーセントで表して、70〜74.5%のSiO2、10.5〜13.5%のAl23、0〜2.5%のB23、3〜7%のMgO、3〜7%のCaO、0〜4%のSrO、1.5〜6%のBaO、0〜0.3%のSnO2、0〜0.3%のCeO2、0〜0.5%のAs23、0〜0.5%のSb23、0.01〜0.08%のFe23、およびF+Cl+Brを含み、RO/Al23≦1.7および0.2≦MgO/RO≦0.45であり、ROは、MgO、BaO、SrOおよびCaOの合計である。
特表2014−503465号公報
しかし、熱収縮率の低減のために、ガラスの歪点や徐冷点が高くなるようにガラス組成を変更すると、ガラス原料の熔融温度が高くなり、失透温度が高くなる傾向にある。このため、シートガラスを作製することは難しくなり、歩留りは低下する。特に、成形時の熔融ガラスの温度がフロート法等に比べて低いフュージョン法(オーバーフローダウンドロー法)では、上記失透の問題が大きくなる。
そこで、本発明は、上記シートガラスの作製を困難にすることなく、高精細なディスプレイのパネルに用いることが可能な、熱収縮率の低いシートガラスを作製する、シートガラスの製造方法及びシートガラス製造装置を提供することを目的とする。
本発明の態様は、シートガラスの製造方法及びシートガラス製造装置を含む。
当該製造方法及び装置は、以下の形態を含む。
(第1の形態)
加熱処理を施して表面に薄膜を形成するためのディスプレイ用ガラス基板に用いられるシートガラスの製造方法であって、
熔融ガラスから成形したシートガラスであって、前記シートガラスの幅方向の両端部の領域である側部と、前記側部よりも前記シートガラスの幅方向内側にあり、前記シートガラスの幅方向の中心部を含む領域である中央領域と、を含むシートガラスを少なくとも前記中心部の温度が徐冷点から歪点より100℃低い温度になるまで、前記中央領域を平均冷却速度0.5〜5.0℃/秒で徐冷することで得た熱収縮率が35ppm以下のシートガラスを再加熱して所定温度で熱処理した後に徐冷することで、前記熱収縮率を10ppm以下に低減させる再徐冷工程、を備え、
前記所定温度は、前記薄膜を形成する前記加熱処理の温度よりも250℃高い温度以下の温度である、ことを特徴とするシートガラスの製造方法。ただし、前記熱収縮率とは、昇降温速度を10℃/分とし、450℃で1時間温度を保持して熱処理が施された後のガラスの熱収縮量を用いて、次式にて求められる値である。
熱収縮率(ppm)=(熱処理後のガラスサンプルの熱収縮量/熱処理前のガラスサンプルの長さ)×106
(第2の形態)
熔融ガラスをシートガラスに成形する成形工程と、
成形したシートガラスは、前記シートガラスの幅方向の両端部の領域である側部と、前記側部よりも前記シートガラスの幅方向内側にあり、前記シートガラスの幅方向の中心部を含む領域である中央領域と、を含み、少なくとも前記中心部の温度が徐冷点から歪点より100℃低い温度になるまで、前記中央領域を平均冷却速度0.5〜5.0℃/秒で徐冷することで、熱収縮率が35ppm以下のシートガラスをつくる冷却工程と、
前記徐冷したシートガラスを再加熱した後に徐冷する熱処理を施して、前記熱収縮率を10ppm以下に低減させる再徐冷工程と、を備え、
前記熱処理は、シートガラスの歪点より70℃低い温度以下の温度で行なう、ことを特徴とするシートガラスの製造方法。
(第3の形態)
熔融ガラスから成形したシートガラスであって、前記シートガラスの幅方向の両端部の領域である側部と、前記側部よりも前記シートガラスの幅方向内側にあり、前記シートガラスの幅方向の中心部を含む領域である中央領域と、を含み、少なくとも前記中心部の温度が徐冷点から歪点より100℃低い温度になるまで、前記中央領域を平均冷却速度0.5〜5.0℃/秒で徐冷することで得た熱収縮率が35ppm以下のシートガラスを再加熱した後に徐冷する熱処理を施して、前記熱収縮率を10ppm以下に低減させる再徐冷工程、を備え、
前記熱処理は、シートガラスの歪点より70℃低い温度以下の温度で行なう、ことを特徴とするシートガラスの製造方法。
(第4の形態)
成形した前記シートガラスは、前記シートガラスの幅方向の両端部の領域である側部と、前記側部よりも前記シートガラスの幅方向内側にあり、前記シートガラスの幅方向の中心部を含む領域である中央領域と、を含み、
前記熱収縮率が35ppm以下のシートガラスは、少なくとも、
前記中心部の温度が徐冷点になるまで、前記中央領域を第1の平均冷却速度で冷却する第1冷却工程と、
前記中心部の温度が前記徐冷点から歪点になるまで、前記中央領域を第2の平均冷却速度で冷却する第2冷却工程と、
前記中心部の温度が前記歪点から、前記歪点より100℃低い温度になるまで、前記中央領域を第3の平均冷却速度で冷却する第3冷却工程と、を含む冷却工程を行うことで得、
前記第3の平均冷却速度は、前記第2の平均冷却速度より遅い、第1の形態〜第3の形態のいずれか1つの形態に記載のシートガラスの製造方法。
(第5の形態)
徐冷した前記シートガラスを所定のサイズに切断する切断工程を備え、
前記再徐冷工程は、前記切断工程の後に行われる、第1の形態〜第4の形態のいずれか1つの形態に記載のシートガラスの製造方法。
(第6の形態)
さらに、徐冷したシートガラスを所定のサイズに切断する切断工程を備え、
所定のサイズに切断したシートガラスを複数枚積層して前記熱処理を行う、第1の形態〜第5の形態のいずれか1つの形態に記載のシートガラスの製造方法。
(第7の形態)
さらに、徐冷したシートガラスを所定のサイズに切断する切断工程を備え、
所定のサイズに切断して得られた複数のシートガラスを枚様式で前記熱処理を行う、第1の形態〜第5の形態のいずれか1つの形態に記載のシートガラスの製造方法。
(第8の形態)
前記シートガラスの歪点は、600℃〜720℃である、第1の形態〜第7の形態のいずれか1つの形態に記載のシートガラスの製造方法。
(第9の形態)
前記再徐冷工程は、
前記熱処理を行う所定温度までシートガラスを加熱する加熱工程と、
所定温度で熱処理を行う熱処理工程と、
前記熱処理後にシートガラスを徐冷する降温工程と、を備え、 前記降温工程は、前記シートガラスの中心部の温度が前記所定温度から前記所定温度の温度よりも100℃低い温度となるまでの降温速度を第1降温速度とし、前記シートガラスの中心部の温度が前記所定温度よりも100℃低い温度未満から前記所定温度よりも300℃低い温度となるまでの降温速度を第2降温速度とした場合に、第1降温速度よりも第2降温速度は速い、第1の形態〜第8の形態のいずれか1つの形態に記載のシートガラスの製造方法。
(第10の形態)
熔融ガラスから成形したシートガラスを徐冷することで得た熱収縮率が35ppm以下のシートガラスを再加熱した後に徐冷する熱処理を施して、前記熱収縮率を10ppm以下に低減させる再徐冷工程、を備え、
前記熱処理は、シートガラスの歪点より70℃低い温度以下の温度で行なう、ことを特徴とするシートガラスの製造方法。
(第11の形態)
前記シートガラスは、液晶ディスプレイ用ガラス基板、有機EL(Electro-Luminescence)ディスプレイ用ガラス基板、あるいはLTPS(Low Temperature Poly-silicon)薄膜半導体を用いたディプレイ用ガラス基板として用いられる、第1の形態〜第10の形態のいずれか1つの形態に記載のシートガラスの製造方法。
(第12の形態)
熔融ガラスをシートガラスに成形する成形体と、
成形したシートガラスであって、前記シートガラスの幅方向の両端部の領域である側部と、前記側部よりも前記シートガラスの幅方向内側にあり、前記シートガラスの幅方向の中心部を含む領域である中央領域と、を含み、少なくとも前記中心部の温度が徐冷点から歪点より100℃低い温度になるまで、前記中央領域を平均冷却速度0.5〜5.0℃/秒で徐冷することで、熱収縮率が35ppm以下のシートガラスをつくる冷却装置と、
前記徐冷したシートガラスを再加熱した後に徐冷する熱処理を施して、前記熱収縮率を10ppm以下に低減させる再徐冷装置と、を備え、
前記熱処理は、シートガラスの歪点より70℃低い温度以下の温度で行なう、ことを特徴とするシートガラス製造装置。
(第13の形態)
前記冷却装置は、
前記中心部の温度が徐冷点になるまで、前記中央領域を第1の平均冷却速度で冷却する第1冷却機構と、
前記中心部の温度が前記徐冷点から歪点になるまで、前記中央領域を第2の平均冷却速度で冷却する第2冷却機構と、
前記中心部の温度が前記歪点から、前記歪点より100℃低い温度になるまで、前記中央領域を前記第2の平均冷却速度より遅い第3の平均冷却速度で冷却する第3冷却機構と、を含む、第12の形態に記載のシートガラス製造装置。
(第14の形態)
加熱処理を施して表面に薄膜を形成するために用いられるディスプレイ用ガラス基板の製造装置であって、
オーバーフローダウンドロー法によって成形したシートガラスであって、前記シートガラスの幅方向の両端部の領域である側部と、前記側部よりも前記シートガラスの幅方向内側にあり、前記シートガラスの幅方向の中心部を含む領域である中央領域と、を含み、少なくとも前記中心部の温度が徐冷点から歪点より100℃低い温度になるまで、前記中央領域を平均冷却速度0.5〜5.0℃/秒で徐冷することで得た熱収縮率が35ppm以下のシートガラスを再加熱して所定温度で熱処理した後に徐冷することで、前記熱収縮率を10ppm以下に低減させる再徐冷装置、を備え、
前記所定温度は、前記薄膜を形成する前記加熱処理の温度よりも250℃高い温度以下の温度である、ことを特徴とするシートガラス製造装置。
なお、熱収縮率は、以下の方法で測定される。
シートガラスから所定のサイズの長方形の試験片に切りだし、長辺両端部間の長さを計測する。次に、切り出した試験片を短辺中央部で半分に切断し、2つのガラスサンプルを得る。2つのガラスサンプルの一方の端から同じ距離の位置にケガキ線を入れる。このうちの一方のガラスサンプルを、室温(20℃)から10℃/分の昇温速度で昇温して450℃に昇温した後、450℃で1時間放置し、その後、10℃/分で室温まで降温する。その後、加熱した一方のガラスサンプルと加熱しなかった他方のガラスサンプルの一方の端を位置あわせして、2つのケガキ線の位置ずれ距離を測定し、この位置ずれ距離を熱収縮量とする。熱収縮量は、レーザー顕微鏡等で測定される。この熱収縮量と、熱処理前のガラスサンプルの長さ用いて、以下の式により熱収縮率を求める。このガラスサンプルの熱収縮率をシートガラスの熱収縮率とする。
熱収縮率(ppm)=(熱収縮量)/(熱処理前のガラスサンプルの長さ)×10
上述のシートガラスの製造方法及びシートガラス製造装置によれば、歩留りを低下させることなく、シートガラスの作製を困難にすることなく、高精細なディスプレイのパネルに用いることが可能な、熱収縮率の低いシートガラスを作製することができる。
本実施形態に係るシートガラスの製造方法のフローチャートである。 シートガラスの製造方法で用いられるシートガラス製造装置を示す模式図である。 成形装置の概略の概略図(断面図)である。 成形装置の概略の概略図(側面図)である。 シートガラスの所定の高さ位置における温度プロファイルを示す図である。 シートガラスの製造方法で行う再徐冷工程の熱処理を説明する図である。 本実施形態における再徐冷工程の熱処理の温度履歴の一例を示す図である。 図6に示す熱処理とは異なる形態の例を説明する図である。
(シートガラスの製造方法の概要)
本実施形態のシートガラスの製造方法は、熔融ガラスから成形したシートガラスを徐冷する冷却工程を行なうことで、熱収縮率が35ppm以下、好ましくは30ppm以下のシートガラスをつくる。この後、徐冷したシートガラスにさらに徐冷したシートガラスを再加熱した後に徐冷する熱処理を施して、熱収縮率を10ppm以下に低減させる再徐冷工程を行なう。この再徐冷工程は、シートガラスの歪点より70℃低い温度以下の温度で行なわれる。以降、シートガラスの歪点より70℃低い温度を、シートガラスの歪点[℃]−70[℃]と表す。
本明細書では、半導体薄膜等の薄膜が形成される前のガラス板をシートガラスといい、薄膜が表面に形成されたガラス板をガラス基板という。このため、シートガラスは、薄膜形成前の素板である。
本実施形態では、シートガラスの冷却工程において、熱収縮率が35ppm以下になるようにシートガラスを冷却するとともに、シートガラスが成形工程で失透しない程度の失透温度を有するガラスとなるようにガラス組成が選択される。しかし、このようなガラス組成を有するシートガラスの熱収縮率は、高精細ディスプレイ用のガラス基板に要求される熱収縮率を満足しない。このため、本実施形態では、シートガラスの歪点[℃]−70[℃]以下の温度で再徐冷工程を行う。
従来の再徐冷工程では、シートガラスを徐冷点あるいは歪点以上まで加熱して熱処理をするので、熱処理後のシートガラスの熱収縮率は、高精細ディスプレイ用ガラス基板に要求される熱収縮率を満足する程度に低下する。しかし、上記再徐冷工程は長時間を要するので、シートガラスの生産効率は低下する。また、従来の再徐冷工程では、シートガラスは、例えば、シートガラスの歪点から徐冷点となる温度の範囲まで再加熱されるので、冷却工程中、シートガラスの平均冷却速度を調整して熱収縮率を35ppm以下にする処理は無駄になる。また、再徐冷工程において、シートガラスの歪点から徐冷点となる温度の範囲まで再加熱し、その後徐冷する場合、シートガラスの面内温度を効率的に、かつ、均一に冷却することが難しく、結果的にシートガラスの歪や反りが悪化してしまうという問題があった。
このため、シートガラスの冷却工程を調整して熱収縮率を低くしたシートガラスを有効に用いて効率よく再徐冷工程を行うことにより、熱収縮率を低下させる(10ppm以下にする)ことが好ましい。本実施形態は、冷却したシートガラスをさらに、例えばシートガラスの歪点[℃]−70[℃]以下の温度で熱処理する再徐冷工程を備える。シートガラスの歪点[℃]−70[℃]以下の温度の熱処理では、シートガラスの冷却工程中の熱履歴に起因して低下した熱収縮率を生かしつつ、ガラスが現時点で有する熱収縮率から熱処理によって熱収縮率が低下する。このため、冷却したシートガラスの35ppm以下の熱収縮率を有効利用して、本実施形態の再徐冷工程により、効率よく低下させて10ppm以下にすることができる。また、熱処理の温度をシートガラスの歪点[℃]−70[℃]以下の温度とするので、従来に比べて熱処理の昇温時間を短くすることができ、再徐冷工程の時間短縮が可能となる。したがって、熱収縮率を極めて低くしたシートガラスの生産効率を向上することができる。また、再徐冷工程で生じうる上述したシートガラスの歪や反りの悪化を抑制することができる。
上述したように、冷却工程を調整することにより熱収縮率を低くするとともに、再徐冷工程を行なうので、失透温度を高くしたガラス組成を用いる必要がなくなる。このため、失透が生じ難く、高精細なディスプレイのパネルに用いることが可能な、熱収縮率の低いシートガラスを作製することができる。以下、本実施形態のシートガラスの製造方法について詳細に説明する。
(シートガラスの製造方法及びシートガラス製造装置)
本実施形態のシートガラスの製造方法では、オーバーフローダウンドロー法を用いてシートガラスが製造される。以下、図面を参照しながら、シートガラスの製造方法について説明する。
図1および図2を参照して、シートガラスの製造方法に含まれる複数の工程およびシートガラスの製造方法を行うシートガラス製造装置100を説明する。図1は、本実施形態のシートガラスの製造方法のフローチャートであり、図2は、シートガラスの製造方法を行なうシートガラス製造装置を示す模式図である。
シートガラスの製造方法は、図1に示すように、主として、熔融工程S1と、清澄工程S2と、成形工程S3と、冷却工程S4と、切断工程5と、再徐冷工程6と、を含む。
熔融工程S1は、ガラスの原料が熔融される工程である。ガラスの原料は、所望のガラス組成になるように調合された後、熔融装置11に投入される。ガラスの原料は、熔融装置11で熔融されて、熔融ガラスFGになる。熔融温度は、ガラスの種類に応じて調整される。本実施形態では、熔融工程S1における熔融ガラスFGの最高温度が1500℃
〜1630℃となるように加熱される。熔融ガラスFGは、上流パイプ23を通って清澄装置12に送られる。
清澄工程S2は、熔融ガラスFG中の気泡の除去を行う工程である。清澄装置12内で気泡が除去された熔融ガラスFGは、その後、下流パイプ24を通って、成形装置40へと送られる。
成形工程S3は、熔融ガラスFGをシート状のガラス(シートガラス)SGに成形する工程である。具体的に、熔融ガラスFGは、成形装置40に含まれる成形体41(図3参照)に連続的に供給された後、成形体41からオーバーフローする。オーバーフローした熔融ガラスFGは、成形体41の表面に沿って流下する。熔融ガラスFGは、その後、成形体41の下端部41a(図3参照)で合流してシートガラスSGへと成形される。
冷却工程S4は、シートガラスSGを徐冷する工程である。ガラスシートは、冷却工程S4を経て室温に近い温度へと冷却される。なお、冷却工程S4における、冷却の状態に応じて、シートガラスSGの厚み(板厚)、シートガラスSGの反り量、およびシートガラスSGの平面歪、シートガラスSGの熱収縮率の値が決まる。
切断工程S5は、室温に近い温度になったシートガラスSGを、切断装置90において所定のサイズに切断する工程である。
再徐冷工程S6は、徐冷し切断したシートガラスSGを再加熱した後に徐冷する熱処理を施して、熱収縮率を10ppm以下に低減させる工程である。再徐冷工程S6は、シートガラスSGを所定のサイズに切断した後、複数枚のシートガラスSGを積層したシートガラスSGの積層体をまとめて熱処理するオフライン工程である。本実施形態では、シートガラスSGの積層体を熱処理する形態であるが、後述するように、切断してサイズのそろえられたシートガラスSGを枚様式で熱処理をする形態であってもよい。
なお、切断工程S5で所定のサイズに切断されたシートガラスSG(ガラス板PG)は、再徐冷工程に供される。これにより、熱収縮率が10ppm以下のシートガラスSGが得られる。その後、端面加工等の工程を経て、最終製品のシートガラスとなる。最終製品のシートガラスは、梱包された後、パネルメーカー等に出荷される。パネルメーカーは、ディスプレイ用のガラス基板として、シートガラスの表面に素子を形成して、ディスプレイを製造する。
以下、図3〜図5を参照して、シートガラス製造装置100に含まれる成形装置40の構成を説明する。なお、本実施形態において、シートガラスSGの幅方向とは、シートガラスSGの表面の面内方向であって、シートガラスSGが流下する方向(流れ方向)に直交する方向、すなわち、水平方向を意味する。
図3および図4に、成形装置40の概略構成を示す。図3は、成形装置40の断面図である。図4は、成形装置40の側面図である。
成形装置40は、シートガラスSGが通過する通路と、通路を取り囲む空間とを有する。通路を取り囲む空間は、例えば、成形体室20、第1冷却室30、および第2冷却室80で構成されている。第1冷却室30、第2冷却室80、及びそれぞれの冷却室に設けられるヒータ等の各装置が、成形したシートガラスを徐冷することで、熱収縮率が35ppm以下のシートガラスをつくる冷却装置を構成している。
成形体室20は、前述の清澄装置12から送られる熔融ガラスFGがシートガラスSGに成形される空間である。成形体室20内には、成形体41が設けられる。成形体41は、熔融ガラスFGをオーバーフローさせることによって、熔融ガラスFGをシート状のガラス(シートガラスSG)へと成形する。図3に示すように、成形体41は、断面形状で略五角形の形状(楔形に類似する形状)を有する。略五角形の先端は、成形体41の下端部41aに相当する。
また、成形体41は、第1端部に流入口42を有する(図4参照)。成形体41の上面には、溝43が形成されている。流入口42は、上述の下流パイプ24と接続されており、清澄装置12から流れ出た熔融ガラスFGは、流入口42から溝43に流し込まれる。成形体41の溝43に流し込まれた熔融ガラスFGは、成形体41の一対の頂部41b,41bからオーバーフローし、成形体41の一対の側面(表面)41c,41cを沿いながら流下する。その後、熔融ガラスFGは、成形体41の下端部41aで合流してシートガラスSGになる。
成形体室20のシートガラスSGの下流側の壁は、仕切り部材50となっている。仕切り部材50は、成形体室20から第1冷却室30への熱の移動を遮断する断熱材である。仕切り部材50は、熔融ガラスFGの合流ポイントの上側雰囲気および下側雰囲気を仕切ることにより、仕切り部材50の上側から下側への熱の移動を遮断する。
第1冷却室30は、成形体室20の下方に配置され、シートガラスSGの厚みおよび反り量を調整するための空間である。第1冷却室30では、後述する第1冷却工程S41の一部が実行される。第1冷却室30では、シートガラスSGの中心部Cの温度が徐冷点より高い状態のシートガラスSGが冷却される。シートガラスSGの中心部Cは、シートガラスSGの幅方向の中心部である。第1冷却室30では、シートガラスSGの中心部Cの温度は、第1温度領域および第2温度領域にある。第1温度領域は、シートガラスSGの中心部Cの温度が軟化点より高い温度から軟化点近傍になるまでの温度領域である。また、第2温度領域とは、シートガラスSGの中心部Cの温度が軟化点近傍から徐冷点近傍になるまでの温度領域である。シートガラスSGは、第1冷却室30内を通過した後、後述の第2冷却室80内を通過する。
第1冷却室30には、冷却ローラ51と温度調整ユニット60が設けられている。冷却ローラ51は、第1冷却室30内に、仕切り部材50の直下に配置されている。また、冷却ローラ51は、シートガラスSGの厚み方向両側、且つ、シートガラスSGの幅方向両側に配置される。シートガラスSGの厚み方向両側に配置された冷却ローラ51は対で動作する。冷却ローラ51に接触したシートガラスSGの側部R,Lの粘度は、所定値(具体的には、109.0poise)以上である。ここで、シートガラスSGの側部R,Lとは、シートガラスSGの幅方向の両端部の領域であり、具体的には、シートガラスSGの幅方向の縁からシートガラスSGの中心部Cに向かって、シートガラスSGの幅方向200mm以内の範囲をいう。
冷却ローラ51は、駆動モータにより回転駆動される。冷却ローラ51は、シートガラスSGの側部R,Lを冷却すると共に、シートガラスSGを下方に引き下げる機能も有する。
温度調整ユニット60は、第1冷却室30内に設けられ、シートガラスSGを徐冷点近傍まで冷却するユニットである。温度調整ユニット60は、仕切り部材50の下方であって、第2冷却室80の天板80aの上方に配置される。 温度調整ユニット60は、シートガラスSGの中心部Cの温度が徐冷点近傍になるまで、シートガラスSGを冷却する。
第2冷却室80は、成形体室20の下方に配置され、シートガラスSGの反り、熱収縮率、および歪値を調整するための空間である。第2冷却室80には、引下げローラ81a〜81gと、ヒータ82a〜82gと、が設けられている。第2冷却室80では、後述する第1冷却工程S41の一部、第2冷却工程S42、第3冷却工程S43、及び第4冷却工程S44が実行される。第2冷却室80では、第1冷却室30内を通過したシートガラスSGが、中心部Cの温度が徐冷点、歪点を経て、少なくとも歪点より200℃低い温度近傍まで冷却される。第3冷却工程S43は、中心部Cの温度が歪点から歪点より100℃低い温度近傍までの温度領域における冷却を行なう工程であり、第4冷却工程S44は、歪点より100℃低い温度近傍から、歪点より200℃低い温度近傍まで冷却する工程である。
第2冷却室80では、シートガラスSGが、室温付近の温度まで冷却されてもよい。なお、第2冷却室80の内部は、断熱部材80bによって、複数の空間に区分けされていてもよい。複数の断熱部材80bは、複数の引下げローラ81a〜81gのそれぞれの間で、シートガラスSGの厚み方向の両側に配置される。これにより、シートガラスSGの温度管理を、より精度よく行うことができる。
引下げローラ81a〜81gは、第1冷却室30内を通過したシートガラスSGを、シートガラスSGの流れ方向へ引き下げる。
ヒータ82a〜82gは、第2冷却室80の内部に設けられ、第2冷却室80の内部空間の温度を調整する。具体的に、ヒータ82a〜82gは、シートガラスSGの流れ方向およびシートガラスSGの幅方向に複数配置される。例えば、幅方向に配置されるヒータは、シートガラスSGの中央領域CAと、シートガラスSGの側部R,Lとをそれぞれ温度制御する。ヒータ82a〜82gは、後述する制御装置91によって出力が制御される。これにより、第2冷却室80内部を通過するシートガラスSGの近傍の雰囲気温度が制御される。ヒータ82a〜82gによって第2冷却室80内の雰囲気温度が制御されることによって、シートガラスSGの温度制御が行われる。
なお、シートガラスSGの近傍には、雰囲気温度を検出する図示されない雰囲気温度検出手段(本実施形態では、熱電対)が設けられていてもよい。例えば、複数の熱電対が、シートガラスSGの流れ方向およびシートガラスSGの幅方向に配置される。例えば、熱電対は、シートガラスSGの中心部Cの温度と、シートガラスSGの側部R,Lの温度とをそれぞれ検出する。ヒータ82a〜82gの出力は、熱電対によって検出される雰囲気温度に基づいて制御される。
第2冷却室80のシートガラスSGの流れ方向の下流側には、切断装置90が設けられている。切断装置90は、第2冷却室80内で室温付近の温度まで冷却されたシートガラスSGを、所定のサイズに切断する。これにより、シートガラスSGは、例えば所定のディスプレイに適したシートガラスになる。なお、切断装置は、必ずしも第2冷却室80の直下に設けられていなくてもよい。
本実施形態のシートガラスの製造方法では、冷却工程S4は、複数の冷却工程S41,S42,S43,S44からなる。具体的には、シートガラスSGの流れ方向に沿って、第1冷却工程S41、第2冷却工程S42、第3冷却工程S43、および第4冷却工程S44が順に実行される。第1冷却工程S41、第2冷却工程S42、第3冷却工程S43、および第4冷却工程S44を下記のように温度プロファイルあるいは平均冷却速度を管理することにより、第1冷却工程S41では、主にシートガラスSGの反りを低減することができ、第2冷却工程S42では、主にシートガラスSGの内部歪及び熱収縮率を低減することができ、第3冷却工程S43では、主にシートガラスSGの熱収縮率を低くすることができ、第4冷却工程S44では、主にシートガラスSGの反りを低減することができる。
シートガラスSGの温度は、シートガラスSGの雰囲気温度を制御することにより、管理される。なお、シートガラスSGの温度は、シートガラスSGの温度の実測値を用いてもよく、また、ヒータ82a〜82gによって制御されるシートガラスSGの雰囲気温度に基づいてシミュレーションにより算出された値を用いてもよい。 各冷却工程S41〜S44では、所定の平均冷却速度で、シートガラスSGを冷却することにより、シートガラスSGの流れ方向の温度管理を行っている。ここで、所定の平均冷却速度とは、各冷却工程S41〜S44に応じた冷却速度であり、平均冷却速度は、シートガラスSGの中央領域CAの温度変化の量をこの温度変化に要する時間で割った値である。以下、特に断らずに平均冷却速度という場合には、原則として、シートガラスSGの中央領域CAにおける平均の冷却速度を指す。中央領域CAは、板厚を均一にする対象の部分を含む領域であり、中心部Cを含み、シートガラスSGの両側部R,LよりシートガラスSGの幅方向内側の領域であって、シートガラスSGの幅方向の幅のうちシートガラスSGの幅方向の中心から幅の半分の例えば85%以内の範囲の領域である。中心部Cとは、シートガラスSGの幅方向の中心位置をいう。
高精細ディスプレイの製造過程の熱処理工程において発生するシートガラスの熱収縮を効率的に低減するためには、全冷却工程S41〜S44の平均冷却速度のうち、第3冷却工程S43の冷却速度(第3の平均冷却速度)が最も低いことが好ましい。つまり、第3冷却工程S43の平均冷却速度(第3の平均冷却速度)は、第2冷却工程S42の平均冷却速度(第2の平均冷却速度)より低いことが好ましい。また、シートガラスの生産効率を低下させないためにも、全冷却工程S41〜S44の冷却速度のうち、第1冷却工程S41の冷却速度(第1の平均冷却速度)が最も高いことが好ましい。また、第4冷却工程S44における平均冷却速度(第4の平均冷却速度)は、第1の平均冷却速度より低く、かつ、第2の平均冷却速度より高いことが好ましい。すなわち、全冷却工程S41〜S44の平均冷却速度に関して、第1の平均冷却速度>第4の平均冷却速度>第2の平均冷却速度>第3の平均冷却速度の関係式が成り立つことが好ましい。これにより、生産効率を低下させることなく、高精細ディスプレイの製造過程の熱処理工程におけるシートガラスの熱収縮を低減したシートガラスを製造することができる。
図5は、シートガラスSGの所定の高さ位置における幅方向の温度プロファイルT1、T3、T5,T6,T7,T9を示す。この他に、温度プロファイルT2,T4,T8を用いてもよい。図5では、温度プロファイルT2,T4,T8は省略されている。以下において、シートガラスSGの側部R,Lを、単に、側部R,Lと記載する。
第1冷却工程S41は、成形体41の直下で合流した熔融ガラスを、中心部Cの温度が徐冷点になるまで冷却する工程である。徐冷点は、粘度が1013ポアズ(1ポアズ=0.1Pa・秒)となるときの温度である。具体的に、第1冷却工程S41では、例えば、中心部Cの温度が1100℃〜1300℃のシートガラスSGを、中心部Cの温度が徐冷点になるまで冷却する。ここで「徐冷点になるまで冷却する」における徐冷点とは、徐冷点近傍を含む。徐冷点近傍は、例えば徐冷点[℃]±15[℃]の間の温度範囲、すなわち、徐冷点[℃]+15[℃]〜徐冷点[℃]−15[℃]の温度範囲であってもよい。 第1冷却工程S41では、第1温度プロファイルTP1、第3温度プロファイルTP3、第5温度プロファイルTP5に基づいて、シートガラスSGの温度管理が行われる。以下、第1冷却工程S41で実行される各温度プロファイルTP1、第3温度プロファイルTP3、第5温度プロファイルTP5と、第1冷却工程S41の冷却速度(第1の平均冷却速度)とを詳細に説明する。
第1温度プロファイルTP1は、シートガラスSGの最も上流側で実現される温度分布である(図5参照)。第1温度プロファイルTP1は、シートガラスSGの中央領域CAの温度が均一であり、シートガラスSGの側部R,Lは、シートガラスSGの中央領域CAの温度よりも低くなり、上に凸を有する分布である。ここで、中央領域CAの温度が均一であるとは、中央領域CAの温度が、所定の温度域に含まれることをいう。所定の温度域とは、基準温度[℃]±20[℃]の間の範囲である。基準温度は、中央領域CAの幅方向の平均温度である。
第1温度プロファイルTP1は、第1冷却室30内の冷却ローラ51および温度調整ユニット60を制御することにより実現される。シートガラスSGの側部R,Lの温度は、中央領域CAの温度よりも所定温度(例えば、200℃〜250℃)低い温度に冷却する。
第3温度プロファイルTP3は、第1温度プロファイルTP1の後に実現される温度分布である(図5参照)。
第3温度プロファイルTP3は、中央領域CAの中心部Cの温度が最も高く、側部R,Lの温度が最も低い。また、第3温度プロファイルTP3では、中心部Cから側部R,Lに向かって温度が徐々に低くなる。なお、第1温度プロファイルTP1および第3温度プロファイルTP3は、第1冷却室30内の温度調整ユニット60を制御することにより実現される。
第5温度プロファイルTP5は、第3温度プロファイルTP3の後に実現される温度分布である(図5参照)。第5温度プロファイルTP5もまた、中心部Cの温度が最も高く、側部R,Lの温度が最も低い。また、第5温度プロファイルTP5も、中心部Cから側部R,Lに向かって温度が徐々に低くなり、上に凸を有するなだらかな放物線を形成する。
なお、第5温度プロファイルTP5は、第2冷却室80内のヒータ82bを制御することにより実現される。
第1冷却工程S41では、中央領域CAの雰囲気温度よりも、側部R,Lの雰囲気温度を高い平均冷却速度で冷却している。すなわち、中央領域CAの平均冷却速度(第1の平均冷却速度)と比較して、側部R,Lの平均冷却速度(第1の側部冷却速度)が高い。
第1冷却工程S41における中央領域CAの第1の平均冷却速度は、5.0℃/秒〜50℃/秒である。第1の平均冷却速度が、5.0℃/秒より低いと、生産性が悪くなる。第1の平均冷却速度が、50℃/秒を超えると、シートガラスSGに割れが発生する場合がある。また、シートガラスSGの反り量および板厚偏差が悪くなる。好ましくは、中央領域CAの第1の平均冷却速度は、8.0℃/秒〜16.5℃/秒である。また、第1冷却工程S41における第1の側部冷却速度は、5.5℃/秒〜52.0℃/秒である。好ましくは、第1の側部冷却速度は、8.3℃/秒〜17.5℃/秒である。
第2冷却工程S42は、第1冷却工程S41後のシートガラスSGを、中心部Cの温度が歪点になるまで冷却する工程である。ここで、歪点は、粘度が1014.5ポアズとなる温度である。ここで「歪点になるまで冷却する」における歪点とは、歪点近傍を含む。ここで歪点近傍は、例えば歪点±25℃の間の温度範囲、あるいは歪点±15℃の間の温度範囲であってもよい。
第2冷却工程S42では、第6温度プロファイルTP6に基づいて、シートガラスSGの温度管理が行われる。以下、第2冷却工程S42で実行される温度プロファイルTP6と、第2冷却工程S42の冷却速度(第2の平均冷却速度)とを説明する。
第6温度プロファイルTP6は、シートガラスSGの幅方向の雰囲気温度(幅方向の側部R,Lから中心部Cにかけての雰囲気温度)が均一である。言い換えると、第6温度プロファイルTP6は、シートガラスSGの幅方向において、側部R,L周辺の雰囲気温度と中心部C周辺の雰囲気温度との温度差が最も小さく、側部R,L周辺の雰囲気温度と中心部C周辺の雰囲気温度とが、同程度になる温度プロファイルである。
ここで、均一とは、側部R,L周辺の雰囲気温度と中央領域CA周辺の雰囲気温度とが、所定の温度域に含まれることをいう。所定の温度域とは、基準温度±5℃の間の温度範囲である。基準温度は、シートガラスSGの幅方向の平均温度である。
なお、第6温度プロファイルTP6は、第2冷却室80内のヒータ82cを制御することにより実現される。また、第6温度プロファイルTP6は、歪点を含む所定の温度領域で実現される。所定の温度領域とは、「(徐冷点+歪点)/2」から「歪点[℃]−25[℃]」までの領域である。第6温度プロファイルTP6は、歪点を含む範囲の少なくとも一点(流れ方向における一箇所)において実現される。
第2冷却工程S42では、シートガラスSGの幅方向の雰囲気温度がほぼ一定になるように、シートガラスSGの中央領域CAの雰囲気温度と、側部R,Lの雰囲気温度とを制御している。すなわち、側部R,Lの平均冷却速度(第2の側部冷却速度)と比較して、中央領域CAの平均冷却速度(第2の平均冷却速度)が若干高い。
第2冷却工程S42におけるシートガラスSGの中央領域CAの温度の平均冷却速度(第2の平均冷却速度)は、5.0℃/秒以下であることが好ましく、0.8℃/秒〜5.0℃/秒であることがより好ましい。第2の平均冷却速度が、0.8℃/秒よりも小さいと、生産性が悪くなりやすい。また、第2の平均冷却速度が、5.0℃/秒を超えると、シートガラスSGの精密な温度制御が困難となり、シートガラスSGの熱収縮率が大きくなりやすい。また、シートガラスSGの反りおよび歪が大きくなりやすい。
第3冷却工程S43は、第2冷却工程S42後のシートガラスSGを、歪点より100℃低い温度、すなわち歪点[℃]−100[℃]になるまで冷却する工程である。ここで「(歪点[℃]−100[℃])になるまで冷却する」における(歪点[℃]−100[℃])とは、(歪点[℃]−100[℃])の近傍を含む。(歪点[℃]−100[℃])の近傍は、例えば(歪点[℃]−100[℃])±15[℃]の間の温度範囲であってもよい。第3冷却工程S43においても、第2冷却工程S42と同様に、第6温度プロファイルTP6に基づいて、シートガラスSGの温度管理が行われる。 第3冷却工程S43におけるシートガラスSGの中央領域CAの温度の平均冷却速度(第3の平均冷却速度)は第2の平均冷却速度より低く、5℃/秒以下であることが好ましい。第3の平均冷却速度を第2の平均冷却速度より低くすることにより、ディスプレイのパネル製造工程におけるシートガラスの熱処理時(例えば、450℃〜600℃)に生じる熱収縮を低くすることができる。また、第3の平均冷却速度が5℃/秒を超えると、シートガラスSGに割れが発生する場合もあり、シートガラスSGの反りも悪くなる。より好ましくは、第3の平均冷却速度は、0.5℃/秒〜4.0℃/秒である。
第4冷却工程S44は、歪点[℃]−100[℃]近傍、例えば((歪点[℃]−100[℃])±15[℃]の間の温度範囲)の温度になったシートガラスSGを、歪点[℃]−200℃近傍の温度まで冷却する工程である。ここで、歪点[℃]−200℃近傍の温度とは、例えば(歪点[℃]−200[℃])±15[℃]の間の温度範囲内の温度であってもよい。
第4冷却工程S44では、第7温度プロファイルTP7〜第9温度プロファイルTP10に基づいて、シートガラスSGの温度管理が行われる。
第7温度プロファイルTP7〜第9温度プロファイルTP9は、第6温度プロファイルTP6の後に実現される温度分布である(図5参照)。具体的に、上流側で第7温度プロファイルTP7が実現され、下流側で第9温度プロファイルTP9が実現される。
第7温度プロファイルTP7〜第9温度プロファイルTP9は、中央領域CAの中心部Cの温度が最も低く、側部R,Lの温度が最も高い。また、第7温度プロファイルTP7〜第9温度プロファイルTP10では、中心部Cから側部R,Lに向かって温度が徐々に高くなる。すなわち、第7温度プロファイルTP7〜第9温度プロファイルTP9は、下に凸を有するなだらかな放物線を形成する。
また、第7温度プロファイルTP7〜第9温度プロファイルTP9における中心部Cと側部R,Lとの間の温度差は、シートガラスSGの流れ方向に沿って、徐々に大きくなっている。すなわち、第9温度プロファイルTP9は、第7温度プロファイルTP7よりも大きな放物線となる。第7温度プロファイルTP7〜第9温度プロファイルTP9でも、中心部Cが側部R,Lよりも早く冷却される。
なお、第7温度プロファイルTP7〜第9温度プロファイルTP9は、第2冷却室80内のヒータ82d〜82gを制御することにより実現される。
第4冷却工程S44では、中央領域CAの雰囲気温度を、側部R,Lの雰囲気温度よりも早い速度で冷却している。すなわち、側部R,Lの平均冷却速度(第4の側部冷却速度)と比較して、中央領域CAの平均冷却速度(第4の平均冷却速度)が高い。
また、第4冷却工程S44では、シートガラスSGの流れ方向の下流側に向かうにつれて、シートガラスSGの側部R,Lの雰囲気温度の冷却速度と中央領域CAの雰囲気温度の冷却速度との差を大きくする。
第4冷却工程S44における第4の平均冷却速度は、1.5℃/秒〜20℃/秒であることが好ましい。第4の平均冷却速度が、1.5℃/秒よりも低いと、生産性が悪くなる。また、第4の平均冷却速度が、20℃/秒を超えると、シートガラスSGに割れが発生する場合もあり、シートガラスSGの反りも悪くなる。好ましくは、第4の平均冷却速度は、2.0℃/秒〜15℃/秒である。また、第4冷却工程S44における第4の側部冷却速度は、1.3℃/秒〜13℃/秒である。好ましくは、第4の側部冷却速度は、1.5℃/秒〜8.0℃/秒である。
シートガラスSGの流れ方向の冷却速度は、シートガラスSGの450℃〜600℃という温度域の熱処理時に生じる熱収縮率に影響を与える。特に、第3冷却工程S43の平均冷却速度が上記熱収縮率に与える影響が大きい。そのため、4つの冷却工程S41〜S44の内、第3冷却工程S43の平均冷却速度を最も低くすることで、シートガラスSGの上記熱収縮率を効果的に小さくすることができる。これにより、シートガラスSGの生産量を向上させることができると共に、35ppm以下の熱収縮率を有するシートガラスSGを得ることができる。
なお、シートガラスSGの中心部Cの温度が徐冷点〜歪点の温度範囲で行う第2の冷却工程、及びシートガラスSGの中心部Cの温度が歪点[℃]〜歪点[℃]−100[℃]の温度範囲で行う第3の冷却工程を1つの冷却工程としたときの中心部Cの平均冷却速度、すなわち、徐冷点〜歪点[℃]−100[℃]の温度変化を、この温度変化に要した時間で割った値は、0.5〜5.0℃/秒であることが、シートガラスSGの熱収縮率を35ppm以下にする上で好ましい。すなわち、冷却工程では、中心部Cの温度が徐冷点から(シートガラスSGの歪点[℃]−100[℃])になるまで、中央領域CAを平均冷却速度0.5〜5.0℃/秒で冷却することが好ましい。これにより、シートガラスSGの熱収縮率を35ppm以下にすることができる。
さらに、第2の平均冷却速度と第3の平均冷却速度の速度比(第3の平均冷却速度/第2の平均冷却速度)は、0.2以上1未満であることが好ましい。
速度比が0.2未満であると、生産性が悪くなりやすい。速度比は、0.3以上0.8未満であることがより好ましく、0.4以上0.6未満であることがさらに好ましい。
また、第2の平均冷却速度は、第3の平均冷却速度の次に上記熱収縮率に影響を及ぼし易い。本実施形態では、徐冷点から歪点までの範囲でのシートガラスSGの冷却を行う第2冷却工程S42における第2の平均冷却速度を、第1冷却工程S41及び第4冷却工程S44の各平均冷却速度よりも低くすることが好ましい。これにより、熱収縮率を低減することができる。
以上のようなシートガラスの製造方法により得られたシートガラスSGの熱収縮率を、35ppm以下、例えば8〜35ppmとすることができる。また、例えば、熱収縮率を8〜30ppmとすることが好ましく、10〜25ppmとすることがより好ましい。しかし、この熱収縮率は、高精細ディスプレイ用ガラス基板に要求される熱収縮率を十分に満足しない。このため、シートガラスSGは、冷却工程S4後、再徐冷工程に供される。再徐冷工程は、シートガラスの製造を行なう製造ラインから離れた場所に搬送して行なうことができるし、製造されたシートガラスを回収して、その場所で、行うこともできる。また、再徐冷工程は、シートガラスの製造後、直ちに行うこともできるし、所定期間保管した後、行うこともできる。
(再徐冷工程の第1の形態)
図6は、本実施形態の第1の形態の再徐冷工程の熱処理を説明する図である。第1の形態の再徐冷工程S6では、切断工程S5において所定のサイズに切断した複数のシートガラスSGを積層したシートガラスSGの積層体210(以下、積層体210という)をパレット220に載せた状態で、シートガラスSGの熱処理をする。
パレット220は、基台部221と、載置部222と、背面板223と、を備える。
基台部221、載置部222および背面板223は、例えば鋼鉄等の金属からなり、溶接等により一体に形成されている。
基台221は略長方形の板状であり、端面にフォークリフトの爪を挿入するための開口221aが設けられている。
載置部222は基台221の上部に固定されており、載置部222の上部にシートガラスSGの積層体210が載せられる。ここで、載置部222の上面は完全に水平である必要はない。例えば、図6に示すように、シートガラスSGを斜めに立てかける場合、シートガラスSGの立てかけ角度に応じて載置部222の上面を傾斜させておいてもよい。
背面板223は略長方形の板状であり、基台221の上部において、載置部222の後端に載置部222とほぼ垂直に固定されている。背面板223は載置部222の上部に載せられる積層体210の積層方向の後端部を支持する。ここで、背面板223は完全に垂直である必要はない。例えば、図2に示すように、シートガラスSGを斜めに立てかける場合、シートガラスSGの立てかけ角度に応じて背面板223を傾斜させておいてもよい。
パレット220及びパレット220を熱処理のために入れる熱処理室とこの熱処理室に設けられる熱源が、徐冷したシートガラスを再加熱した後に徐冷する熱処理を施して、熱収縮率を10ppm以下に低減させる再徐冷装置を構成する。
積層体210は、複数のシートガラスSGと、複数のシート体212と、を有する。
シート体212は、シートガラスSG同士の間に挟まれる。積層体210では、シート体212、シートガラスSG、シート体212、シートガラスSG、・・・シート体212の順番に積まれる。シート体212は積層されるシートガラスSG同士の密着を防ぐ役割を果たす。シート体212には、積層体210を熱処理する際の温度に耐えうる耐熱性を有する材料を用いることができる。シート体212は、シートガラスSGよりも高い熱伝導率を有することが、後述する熱処理において、複数のシートガラスSGの熱処理の程度を揃えることができる点から好ましい。
パレット220に載せられた積層体210は、パレット220に載せられた状態で、熱処理される。具体的には、パレット220に載せられた積層体210を熱処理室に入れて、雰囲気を加熱する。これにより、シートガラスSGの熱収縮率を、冷却工程S4で冷却されたシートガラスSGの熱収縮率よりも低くして、10ppm以下にする。このような熱処理は、シートガラスSGの歪点[℃]−70[℃]以下の温度で行なわれる。このような温度による熱処理により、シートガラスSGが現時点で有する35ppm以下の熱収縮率を、熱処理によってさらに低下させる。
熱処理では、雰囲気の温度を室温から設定された昇温速度で昇温させ、雰囲気の温度を設定された最高温度にする。最高温度は設定された時間維持される。その後、設定された降温速度で、雰囲気の温度を室温付近まで降温させる。したがって、熱処理の最高温度は、設定された時間維持されるので、積層体210のシートガラスSGの温度も最高温度となっている。この最高温度は、歪点[℃]−70[℃]以下である。さらには、この最高温度は、(シートガラスSGの歪点[℃]−300[℃])〜(シートガラスSGの歪点[℃]−100[℃])であることが好ましく、(シートガラスSGの歪点[℃]−250[℃])〜(シートガラスSGの歪点[℃]−130[℃])であることがより好ましい。最高温度は、例えば、560℃以下であることが好ましく、360℃〜560℃であることがより好ましく、410℃〜530℃であることがよりいっそう好ましい。
シートガラスを積層して再徐冷を行う場合、生産性を保ちつつ、シートガラスの熱収縮率を十分に低減させるためには、上記熱処理の上記昇温速度は、0.2℃/分〜10℃/分であることが好ましく、0.3℃/分〜5℃/分であることがより好ましい。また、生産性を保ちつつ、シートガラスの熱収縮率を十分に低減させるために、上記降温速度は、0.05℃/分〜2℃/分であることが好ましく、0.1℃/分〜1.5℃/分であることがより好ましい。なお、熱収縮率に与える影響がより大きい降温速度を昇温速度よりも遅くすることが好ましい。
また、上記最高温度の維持時間は、4〜120時間であることが好ましく、8〜24時間であることがより好ましい。
第1の形態では、徐冷したシートガラスSGを所定のサイズに切断する切断工程を備え、再徐冷工程は、切断工程の後に行われる。このとき、所定のサイズに切断した複数枚のシートガラスSGを積層して形成される積層体を熱処理するが、所定のサイズに切断したシートガラスSGを積層せずに1枚ずつ再徐冷工程を施してもよい。
また、成形し、徐冷したシートガラスSGを、別の場所に搬送して再徐冷工程S6を行なってもよい。この場合、搬送前の場所において熔融ガラスから成形したシートガラスSGを徐冷することで熱収縮率が35ppm以下のシートガラスSGを得る。このシートガラスSGを、搬送先の別の場所において、再加熱した後に徐冷する熱処理を施して、熱収縮率を10ppm以下に低減させる。このとき、熱処理は、シートガラスの歪点より70℃低い温度以下の温度で行なう。
(再徐冷工程の第2の形態)
図7は、本実施形態の第1の形態と異なる第2の形態における再徐冷工程の熱処理の温度履歴の一例を示す図である。第2の形態では、シートガラスを一枚ずつ熱処理する枚様式の再徐冷工程である。図7に示す温度履歴を用いて熱処理を行うことが好ましい。この場合においても、熱処理は、所定温度で行われる。所定温度は、例えば、シートガラスの歪点より70℃低い温度以下の温度である。枚様式の再徐冷工程は、後述するように、1枚のシートガラスを支持部材に支持した状態で熱収縮をしてもよいし、一枚のシートガラスを搬送しながら熱処理をしてもよい。 温度履歴とは、図示されない熱処理室内における熱処理によって変化するシートガラスの中心位置における温度の履歴を示すものである。図中に示す温度はTm1<Tm2<Tm3<Tm4であり、Tm1=室温(例えば、25℃)、Tm2=第2中間温度(例えば、200℃)、Tm3=第1中間温度(例えば、400℃)、Tm4=熱処理温度(例えば、500℃)である。
時間t0〜時間t1における加熱工程、時間t1〜時間t2の維持工程、時間t2〜t5の第1〜第3降温工程における速度、時間の好ましい範囲を以下に示す。Tm4は、例えば、歪点より70℃低い温度以下である。
(1)加熱工程:t1−t0=5分〜20分、Tm4−Tm1=400℃〜600℃、昇温速度S1=(Tm4−Tm1)/(t1−t0)=20℃/分〜120℃/分、
(2)維持工程:t2−t1=5分〜120分、Tm4−Tm4=0、速度S2=(Tm4−Tm4)/(t2−t1)=0℃/分、
(3)第1降温工程:t3−t2=15分〜100分、Tm4−Tm3=50℃〜150℃、降温速度S3(第1降温速度)=(Tm4−Tm3)/(t3−t2)=0.5℃/分〜10℃/分
(4)第2降温工程:t4−t3=10分〜15分、Tm3−Tm2=150℃〜250℃、降温速度S4(第2降温速度)は、(Tm3−Tm2)/(t4−t3)=10℃/分〜25℃/分、
(5)第3降温工程:t5−t4=15分〜100分、Tm2−Tm1=50℃〜150℃、降温速度S5(第1降温速度)=(Tm2−Tm1)/(t5−t4)=0.5℃/分〜10℃/分。
ここで、室温は、25℃に限定されず、例えば、0℃〜50℃、あるいは0℃〜30℃である。また、熱処理温度は、500℃に限定されず、歪点より70℃低い温度以下の温度であって、400℃〜600℃の任意の温度であり、第1中間温度は、400℃に限定されず、熱処理温度−(50℃〜150℃)の任意の温度である。第2中間温度は、150℃〜250℃の範囲の温度であり、200℃と固定してもよい。また、昇温速度・降温速度は、シートガラス全体を昇温・降温する平均速度である。
この場合、図7に示されるように、熱処理では、歪点より70℃低い温度以下の温度であって、400℃〜600℃の範囲にある所定温度、すなわち熱処理温度になるまでシートガラスを加熱し、熱処理温度を維持する熱処理工程と、0.5℃/分以上から10℃/分未満の第1降温速度で、熱処理温度から熱処理温度より50℃〜150℃低い中間温度になるまでシートガラスを冷却した後、10℃/分以上から25℃/分未満の第2降温速度でシートガラスを徐冷する降温工程と、を含むことが好ましい。このとき、第2降温速度でシートガラスを冷却した後、さらに第3降温速度で室温になるまでシートガラスをさらに冷却することが好ましい。つまり、第1降温速度は、第2降温速度よりも遅いことが好ましい。
あるいは、再徐冷工程における熱処理温度は、ガラス基板表面に形成される薄膜を形成する際の加熱処理の温度よりも250℃高い温度以下であることが好ましく、加熱処理の温度よりも150℃高い温度以下であることがより好ましく、加熱処理の温度よりも80℃高い温度以下であることがさらに好ましい。また、再徐冷工程における熱処理温度は、薄膜を形成する際の加熱処理の温度よりも100℃低い温度以上であることが好ましく、薄膜を形成する際の加熱処理の温度よりも高いことがより好ましい。
また、熱処理を行う熱処理温度から、熱処理温度よりも100℃低い温度までのシートガラスの中心位置における降温速度を第1降温速度とし、熱処理温度よりも100℃低い温度未満から熱処理温度よりも300℃低い温度までのシートガラスの中心位置における降温速度を第2降温速度とした場合に、第1降温速度よりも第2降温速度を速くすることが好ましい。あるいは、熱処理を行う熱処理温度から、熱処理温度よりも50℃低い温度までのシートガラスの中心位置における降温速度を第1降温速度とし、熱処理温度よりも50℃低い温度未満から熱処理温度よりも150℃低い温度までのシートガラスの中心位置における降温速度を第2降温速度とした場合に、第1降温速度よりも第2降温速度を速くすることが好ましい。
第1降温速度の好ましい範囲は0.5℃/分以上15℃/分以下であり、0.5℃/分以上10℃/分以下であることが好ましい。他方、第2降温速度の好ましい範囲は、8℃/分以上50℃/分以下であり、10℃/分以上20℃/分以下であることが好ましい。
枚様式の再徐冷工程S6は、シートガラスを熱処理室内に設けられた支持部材によってシートガラスの下方から支持した状態で、シートガラスの熱処理を行ってもよいし、図8に示すように熱処理を行なってもよい。図8は、図6に示す熱処理とは異なる枚様式の形態の例を説明する図である。図8に示すように、所定のサイズに切断された複数のシートガラスSGが、搬送方向に間隔をあけるように吊り下げられており、2本のチェーンベルト(搬送ベルト)21によって、一方向に搬送されてもよい。
このような第1、第2の形態の再徐冷工程S6により、シートガラスSGの熱収縮率を10ppm以下、好ましくは5ppm以下、より好ましくは4ppm以下、さらに好ましくは3ppm以下に低下させることができる。なお、より生産効率を高めという観点からは、再徐冷工程S6により、シートガラスSGの熱収縮率を、0.1〜10ppmに範囲にすることが好ましく、0.5〜9ppmの範囲にすることがより好ましく、1〜7ppmの範囲にすることがさらに好ましい。本実施形態では、シートガラスSGの製造方法において、冷却工程S4における平均冷却速度を調整することにより熱収縮率を低減し、さらに、再徐冷工程S6で熱収縮率を低減するが、このときの冷却工程S4及び再徐冷工程S6における熱収縮率の低減幅について、生産効率を確保しつつ、熱収縮率を低減することができる点から、再徐冷工程S6における熱収縮率の低減幅は、冷却工程S4における熱収縮率の低減幅に比べて大きいことが好ましい。冷却工程S4における低減幅が大きくなると、冷却時間を長くする必要があり生産効率が低下する。冷却工程S4及び再徐冷工程S6における熱収縮率の全低減幅を100%としたとき、冷却工程S4は、5〜30%であることが好ましく、10〜25%であることがより好ましい。再徐冷工程S6は、70〜95%であることが好ましく、70〜95%であることがより好ましい。冷却工程S4における低減幅が上記範囲を超えて大きくなると、冷却時間を長くする必要があり生産効率が低下する。 また、第1、第2の形態の再徐冷工程S6により、シートガラスSGにおける面内における熱収縮率の位置によるばらつきは、例えば、3ppm以下にすることができる。シートガラスSGにおける面内の熱収縮率の位置によるばらつきは、2ppm以下が好ましく、1ppm以下がより好ましい。
本実施形態では、シートガラスSGの失透温度は、1200℃以下であることが、シートガラスSGに失透させない点から好ましい。失透温度を1200℃以下となるようにガラス組成を調整すると、失透温度が1200℃超であるガラス組成と比較してガラスの歪点や徐冷点は低くなる傾向にあるので、熱収縮率が大きくなり易い。このように、熱収縮率が大きくなり易いガラス組成であっても、上述した冷却工程S4の平均冷却速度の調整により、熱収縮率を35ppm以下にすることができ、再徐冷工程S6のシートガラスSGの熱収縮率を10ppm以下にすることができる。
なお、シートガラスSGに失透を生じさせずに生産性を高めるためには、失透温度は1180℃以下であることが好ましく、1100℃〜1180℃であることが好ましい。
また、シートガラスSGの歪点(ガラスの粘度が1014.5poiseに相当するときのガラスの温度)は、熱収縮率を低下させるためには、高いほどよい。しかし、シートガラスSGの歪点が高くなるようにガラス組成を調整すると、熔融温度や失透温度が高くなる傾向にある。つまり、シートガラスSGの歪点を高くすると、ガラス原料の未熔解やシートガラスSGの失透という問題が生じやすくなる。そのため、シートガラスSGのガラスの歪点は、600℃〜720℃であってもよく、600℃〜680℃であってもよい。また、シートガラスSGの徐冷点(ガラスの粘度が1013poiseに相当するときのガラスの温度)は、680℃〜800℃であってもよく680℃〜760℃であってもよい。歪点が600℃〜720℃であるガラス(好ましくは600℃〜680℃)であるガラス、あるいは徐冷点が680℃〜800℃(好ましくは680℃〜760℃)であるガラスは、歪点が720℃(好ましくは680℃)を超えるガラス、あるいは徐冷点が800℃(好ましくは760℃)を超えるガラスに比べて、熱収縮率は大きくなりやすい。しかし、歪点が600℃〜720℃(好ましくは600℃〜680℃)であっても、あるいは徐冷点が680℃〜800℃(好ましくは680℃〜760℃)であっても、上述した冷却工程S4の平均冷却速度の調整等により、熱収縮率を35ppm以下にすることができ、再徐冷工程S6のシートガラスSGの熱収縮率を10ppm以下にすることができる。
なお、ガラス原料の未熔解やシートガラスSGに失透を生じさせずにより生産性を高めるためには、歪点が600℃〜720℃であることが好ましく、650℃〜680℃であることがより好ましい。また、徐冷点が680℃〜800℃であることが好ましく、730℃〜760℃であることがより好ましい。
また、シートガラスSGの密度は、例えば2.62g/cm以下であってもよく、2.49g/cm以下であることが好ましく、2.46g/cm以下であることがより好ましく、2.43g/cm以下であることがさらに好ましい。シートガラスSGのガラスの、50℃から300℃までの線熱膨張係数は、42×10−7/℃以下であってもよく、28×10−7〜39×10−7/℃であることが好ましく、28×10−7〜37×10−7/℃であることがより好ましく、30×10−7〜35×10−7/℃であることがさらに好ましい。
このような特性を有するシートガラスSGのガラス組成として、例えば以下のガラス組成が質量%表示で例示される。
SiO 50〜70%、
0〜18%、
Al 10〜25%、
MgO 0〜10%、
CaO 0〜20%、
SrO 0〜20%、
BaO 0〜10%、
RO 5〜20%
(ただしRはMg、Ca、SrおよびBaから選ばれる少なくとも1種である)、
R’O 0%〜2.0%
(ただしR’はLi、NaおよびKから選ばれる少なくとも1種である)
を含む。
溶融ガラス中で価数変動する金属の酸化物の合計含有率は特に制限されないが、例えば、0.05〜1.5%含んでもよい。また、As、SbおよびPbOを実質的に含まないことが好ましい。
以上のように、本実施形態では、冷却工程S4によって熱収縮率を低くするとともに、再徐冷工程S6を行って熱収縮率をさらに低くするので、熱収縮率を低くするために失透温度を高くするガラス組成を用いる必要がなくなる。特に、本実施形態のようにオーバーフローダウンドロー法でシートガラスSGを成形する場合、シートガラスSGに失透が生じ易いため、失透温度を高くするガラス組成を用いることは好ましくない。この点でも、本実施形態は有効である。このように、本実施形態は、失透が生じ難く、高精細ディスプレイのパネルに用いることが可能な、熱収縮率の低いシートガラスを作製することができる。
本実施形態のシートガラスの製造方法によって製造されるシートガラスSGは、ガラス表面に薄膜が形成されるディスプレイ用ガラス基板に好適であり、液晶ディスプレイ、プラズマディスプレイ、有機ELディスプレイ等のディスプレイ用ガラス基板として特に適している。ここで、薄膜とは、例えばTFTやカラーフィルタである。また、ディスプレイ用ガラス基板を用いるディスプレイには、ディスプレイ表面がフラットなフラットパネルディスプレイの他、有機ELディスプレイ、液晶ディスプレイであって、ディスプレイ表面が湾曲した曲面ディスプレイが含まれる。ガラス基板は、高精細ディプレイ用ガラス基板として、例えば液晶ディスプレイ用ガラス基板、有機EL(Electro-Luminescence)ディスプレイ用ガラス基板、LTPS(Low Temperature Poly-silicon)薄膜半導体、あるいはIGZO(Indium,Gallium,Zinc,Oxide)等の酸化物半導体を用いたディプレイ用ガラス基板として用いることが好ましい。
ディスプレイ用ガラス基板としては、無アルカリガラス、または、アルカリ微量含有ガラスが用いられる。ディスプレイ用ガラス基板は、高温時における粘性が高い。例えば、102.5ポアズの粘性を有する熔融ガラスの温度は、1500℃以上である。なお、無アルカリガラスは、アルカリ金属酸化物(R2O)を実質的に含まない組成のガラスである。アルカリ金属酸化物を実施的に含まないとは、原料等から混入する不純物を除き、ガラス原料としてアルカリ金属酸化物を添加しない組成のガラスであり、例えば、アルカリ金属酸化物の含有量は0.1質量%未満である。なお、アルカリ微量含有ガラスは、成分として、0.1質量%〜0.5質量%のR’2Oを含み、好ましくは、0.2質量%〜0.5質量%のR’2Oを含む。ここで、R’は、Li、NaおよびKから選択される少なくとも1種であり、R’2Oは、Li2O、Na2O、K2Oの含有量の合計である。
また、本実施形態で製造されるシートガラスSGの板厚は、0.005mm〜0.8mmであり、好ましくは0.01mm〜0.5mm、より好ましくは0.01mm〜0.2mmである。
本実施形態では、成形工程後のシートガラスSGの徐冷(冷却)を遅い冷却速度で行うことで、シートガラスSGの熱収縮率は低減するが、更に再徐冷工程を行うことにより、シートガラスSGの板厚品質等の悪化を効率よく防止することができる。以下、この点を説明する。
成形工程S3後の冷却工程S4において、シートガラスSGの熱収縮率を十分に低減しようとする場合、第2冷却室80(徐冷炉)を長くしてシートガラスSGを極めてゆっくり冷却する必要がある。シートガラスSGの成形としてフュージョン(オーバーフローダウンドロー法)を選択する場合、鉛直方向に延びる第2冷却室80の経路を長くして、成形直後の徐冷の速度を極めて遅くすると、成形工程S3〜切断工程S5、あるいは、さらに後工程の巻き取り梱包の工程まで、帯状に連続して延びるシートガラスSGの長さは長くなり、これに伴って、成形体41〜切断装置90(あるいは巻き取り梱包を行なう装置)までのシートガラスSGの総重量は重くなる。このようにシートガラスSGの総重量が重くなると、成形体41の下端でフュージョンした直後のシートガラスSGの移動速度(落下速度)は、下流側のシートガラスSGの重量の影響で速くなる。ここで、フュージョン直後のシートガラスSGの温度は高く、引き伸ばせる程度に粘性が低い(例えば、軟化点以上)。このため、シートガラスSGが局所的に引き伸ばされ易くなり板厚品質等を悪化させる。
また、フュージョン直後にシートガラス両側部を急冷して固化させた(粘度を高くした)場合、粘度の低いシートガラスSGの中央領域でのみシートガラスSGが引き延ばされ、厚さが部分的に薄くなりすぎるという問題も生じる。
さらに、シートガラスSGが幅方向に縮まないようにフュージョン直後にシートガラスSGの両側部を急冷して固化しようとしても、シートガラスSGの移動速度(落下速度)が速くなり、十分に冷却できない。このため、シートガラスSGが幅方向に縮むと、ガラス板厚が不均一になるという問題が生じる。
その他、上述したようにシートガラスSGの長さが長くなると、シートガラスSGに振動が生じやすくなり、ヒータ82a〜82gとの間の距離が変動してシートガラスSGの温度制御の精度が低下するという問題が生じる。さらに、シートガラスSGの重量が重くなると、成形体41にかかるシートガラスSGの総荷重が大きくなるので、成形体41の変形(セルクリープ)の問題が顕著となり、シートガラスSGの幅方向の板厚にバラツキが生じるという問題が顕著となる。
これに対して、本実施形態では、第2冷却室80(徐冷炉)の経路を長くしてシートガラスSGを極めてゆっくり冷却する必要がないので、本実施形態は、上記問題が発生することを防止でき、熱収縮の小さいシートガラスSGを製造することができる。
さらに、第2冷却室80を含む成形装置40の構成を変更することなく、成形工程S3後の冷却工程S4におけるシートガラスSGの冷却速度等を変更することは難しい。つまり、冷却工程S4では、予め設定された熱処理は行えるものの、例えば、求められる熱収縮率が変化した場合等において、冷却工程S4で冷却速度を含む徐冷の条件を変更することは難しく、熱処理の自由度は低い。本実施形態では、冷却工程S4の他に再徐冷工程S6を別途備えるので、シートガラスSGに施す熱処理の自由度が高くなる。
なお、シートガラスは、高精細ディプレイ用ガラス基板として、例えば液晶ディスプレイ用ガラス基板、有機EL(Electro-Luminescence)ディスプレイ用ガラス基板、あるいはLTPS(Low Temperature Poly-silicon)薄膜半導体を用いたディプレイ用ガラス基板として用いることが好ましい。
(実施例1)
SiO60.7%、B 11.5%、Al 17%、MgO 2%、CaO 5.6%、SrO 3%、SnO 0.2%のガラス組成(質量%表示)となるようにガラス原料を調合して、図1に示す工程を経てシートガラスSGを得た。上記ガラス組成における歪点は660℃である。再徐冷工程S6の熱処理の最高温度を、シートガラスの歪点[℃]−210[℃]、すなわち、450℃とし、最高温度の維持時間を24時間とした。また、再徐冷工程S6では、100枚のシートガラスSGを積層した積層体に対して熱処理を施した。
再徐冷工程S6前のシートガラスSGの熱収縮率は18ppmであった。再徐冷工程S6後のシートガラスSGの熱収縮率は2ppmであった。この熱収縮率は、高精細ディスプレイパネルに用いるガラス基板に要求される熱収縮率を満足する。また、シートガラスSGでは失透は生じなかった。これより、本実施形態の効果は明らかである。
(実施例2)
SiO60.7%、B 11.5%、Al 17%、MgO 2%、CaO 5.6%、SrO 3%、SnO 0.2%のガラス組成(質量%表示)となるようにガラス原料を調合して、図1に示す工程を経てシートガラスSGを得た。上記ガラス組成における歪点は660℃である。また、ディスプレイパネル製造工程における薄膜形成温度は450℃であった。再徐冷工程S6の熱処理の最高温度を、薄膜形成温度よりも50℃高い温度、すなわち、500℃とし、最高温度の維持時間を10分とした。また、再徐冷工程S6は、一枚ずつ熱処理する枚様式であった。なお、熱処理を行う熱処理温度から熱処理温度よりも100℃低い温度までのシートガラスの中心位置における降温速度を第1降温速度とし、熱処理温度よりも200℃低い温度未満から熱処理温度よりも300℃低い温度までのシートガラスの中心位置における降温速度を第2降温速度とした場合、第1降温速度が0.5℃/分であり、第2降温速度は10℃/分であった。再徐冷工程S6前のシートガラスSGの平均熱収縮率は18ppmであったのに対し、再徐冷工程S6後のシートガラスSGの平均熱収縮率は5ppmであった。また、シートガラスSGの面内における熱収縮の位置によるばらつきは3ppm以下であった。
また、第1降温速度を3℃/分、第2降温速度を13℃/分に変更した以外は上記方法と同じように製造した再徐冷工程S6後のシートガラスSGの平均熱収縮率は6ppmであった。また、シートガラスSGの面内における熱収縮の位置にょるばらつきは3ppm以下であった。
さらに、第1降温速度を9.5℃/分、第2降温速度を24℃/分に変更した以外は上記方法と同じように製造した再徐冷工程S6後のシートガラスSGの平均熱収縮率は8ppmであった。また、シートガラスSGの面内における熱収縮の位置によるばらつきは3ppm以下であった。
他方、第1降温速度を10℃/分、第2降温速度を5℃/分に変更した以外は上記方法と同じように製造した再徐冷工程S6後のシートガラスSGの平均熱収縮率は17ppmであった(比較例)。
これら実施例の熱収縮率は、高精細ディスプレイパネルに用いるガラス基板に要求される熱収縮率を満足する。また、シートガラスSGでは失透は生じなかった。これより、本実施形態の効果は明らかである。
以上、本発明のシートガラスの製造方法及びシートガラス製造装置について詳細に説明したが、本発明は上記実施形態に限定されず、本発明の主旨を逸脱しない範囲において、種々の改良や変更をしてもよいのはもちろんである。
11 熔融装置
12 清澄装置
40 成形装置
41 成形体
51 冷却ローラ
60 温度調整ユニット
81a〜81g 引下げローラ
82a〜82g ヒータ
90 切断装置
100 シートガラス製造装置210 積層体
212 シート体
220 パレット
221 基台部
222 載置部
223 背面板

Claims (10)

  1. 加熱処理を施して表面に薄膜を形成するためのディスプレイ用ガラス基板に用いられるシートガラスの製造方法であって、
    熔融ガラスから成形したシートガラスであって、前記シートガラスの幅方向の両端部の領域である側部と、前記側部よりも前記シートガラスの幅方向内側にあり、前記シートガラスの幅方向の中心部を含む領域である中央領域と、を含むシートガラスを少なくとも前記中心部の温度が徐冷点から歪点より100℃低い温度になるまで、前記中央領域を平均冷却速度0.5〜5.0℃/秒で徐冷することで得た熱収縮率が35ppm以下のシートガラスを再加熱して所定温度で熱処理した後に徐冷することで、前記熱収縮率を10ppm以下に低減させる再徐冷工程、を備え、
    前記所定温度は、前記薄膜を形成する前記加熱処理の温度よりも250℃高い温度以下の温度である、ことを特徴とするシートガラスの製造方法。ただし、前記熱収縮率とは、昇降温速度を10℃/分とし、450℃で1時間温度を保持して熱処理が施された後のガラスの熱収縮量を用いて、次式にて求められる値である。
    熱収縮率(ppm)=(熱処理後のガラスサンプルの熱収縮量/熱処理前のガラスサンプルの長さ)×106
  2. 熔融ガラスをシートガラスに成形する成形工程と、
    成形したシートガラスは、前記シートガラスの幅方向の両端部の領域である側部と、前記側部よりも前記シートガラスの幅方向内側にあり、前記シートガラスの幅方向の中心部を含む領域である中央領域と、を含み、少なくとも前記中心部の温度が徐冷点から歪点より100℃低い温度になるまで、前記中央領域を平均冷却速度0.5〜5.0℃/秒で徐冷することで、熱収縮率が35ppm以下のシートガラスをつくる冷却工程と、
    前記徐冷したシートガラスを再加熱した後に徐冷する熱処理を施して、前記熱収縮率を10ppm以下に低減させる再徐冷工程と、を備え、
    前記熱処理は、シートガラスの歪点より70℃低い温度以下の温度で行なう、ことを特徴とするシートガラスの製造方法。(ただし、前記熱収縮率とは、昇降温速度を10℃/分とし、450℃で1時間温度を保持して熱処理が施された後のシートガラスのガラスサンプルの熱収縮量を用いて、次式にて求められる値である。
    熱収縮率(ppm)={熱処理後のガラスサンプルの熱収縮量/熱処理前のガラスサンプルの長さ}×106
  3. 熔融ガラスから成形したシートガラスであって、前記シートガラスの幅方向の両端部の領域である側部と、前記側部よりも前記シートガラスの幅方向内側にあり、前記シートガラスの幅方向の中心部を含む領域である中央領域と、を含み、少なくとも前記中心部の温度が徐冷点から歪点より100℃低い温度になるまで、前記中央領域を平均冷却速度0.5〜5.0℃/秒で徐冷することで得た熱収縮率が35ppm以下のシートガラスを再加熱した後に徐冷する熱処理を施して、前記熱収縮率を10ppm以下に低減させる再徐冷工程、を備え、
    前記熱処理は、シートガラスの歪点より70℃低い温度以下の温度で行なう、ことを特徴とするシートガラスの製造方法。ただし、前記熱収縮率とは、昇降温速度を10℃/分とし、450℃で1時間温度を保持して熱処理が施された後のシートガラスのガラスサンプルの熱収縮量を用いて、次式にて求められる値である。
    熱収縮率(ppm)={熱処理後のガラスサンプルの熱収縮量/熱処理前のガラスサンプルの長さ}×106
  4. 前記熱収縮率が35ppm以下のシートガラスは、少なくとも、
    前記中心部の温度が徐冷点になるまで、前記中央領域を第1の平均冷却速度で冷却する第1冷却工程と、
    前記中心部の温度が前記徐冷点から歪点になるまで、前記中央領域を第2の平均冷却速度で冷却する第2冷却工程と、
    前記中心部の温度が前記歪点から、前記歪点より100℃低い温度になるまで、前記中央領域を第3の平均冷却速度で冷却する第3冷却工程と、を含む冷却工程を行うことで得、
    前記第3の平均冷却速度は、前記第2の平均冷却速度より遅い、請求項1〜3のいずれか1項に記載のシートガラスの製造方法。
  5. 徐冷した前記シートガラスを所定のサイズに切断する切断工程を備え、
    前記再徐冷工程は、前記切断工程の後に行われる、請求項1〜4のいずれか1項に記載のシートガラスの製造方法。
  6. 前記シートガラスの歪点は、600℃〜720℃である、請求項1〜5のいずれか1項に記載のシートガラスの製造方法。
  7. 前記再徐冷工程は、
    前記熱処理を行う所定温度までシートガラスを加熱する加熱工程と、
    所定温度で熱処理を行う熱処理工程と、
    前記熱処理後にシートガラスを徐冷する降温工程と、を備え、
    前記降温工程は、前記シートガラスの中心部の温度が前記所定温度から前記所定温度の温度よりも100℃低い温度となるまでの降温速度を第1降温速度とし、前記シートガラスの中心部の温度が前記所定温度よりも100℃低い温度未満から前記所定温度よりも300℃低い温度となるまでの降温速度を第2降温速度とした場合に、第1降温速度よりも第2降温速度は速い、請求項1〜6のいずれか1項に記載のシートガラスの製造方法。
  8. 熔融ガラスをシートガラスに成形する成形体と、
    成形したシートガラスであって、前記シートガラスの幅方向の両端部の領域である側部と、前記側部よりも前記シートガラスの幅方向内側にあり、前記シートガラスの幅方向の中心部を含む領域である中央領域と、を含み、少なくとも前記中心部の温度が徐冷点から歪点より100℃低い温度になるまで、前記中央領域を平均冷却速度0.5〜5.0℃/秒で徐冷することで、熱収縮率が35ppm以下のシートガラスをつくる冷却装置と、
    前記徐冷したシートガラスを再加熱した後に徐冷する熱処理を施して、前記熱収縮率を10ppm以下に低減させる再徐冷装置と、を備え、
    前記熱処理は、シートガラスの歪点より70℃低い温度以下の温度で行なう、ことを特徴とするシートガラス製造装置。
  9. 前記冷却装置は、
    前記中心部の温度が徐冷点になるまで、前記中央領域を第1の平均冷却速度で冷却する第1冷却機構と、
    前記中心部の温度が前記徐冷点から歪点になるまで、前記中央領域を第2の平均冷却速度で冷却する第2冷却機構と、
    前記中心部の温度が前記歪点から、前記歪点より100℃低い温度になるまで、前記中央領域を前記第2の平均冷却速度より遅い第3の平均冷却速度で冷却する第3冷却機構と、を含む、請求項8に記載のシートガラス製造装置。
  10. 加熱処理を施して表面に薄膜を形成するために用いられるディスプレイ用ガラス基板の製造装置であって、
    オーバーフローダウンドロー法によって成形したシートガラスであって、前記シートガラスの幅方向の両端部の領域である側部と、前記側部よりも前記シートガラスの幅方向内側にあり、前記シートガラスの幅方向の中心部を含む領域である中央領域と、を含み、少なくとも前記中心部の温度が徐冷点から歪点より100℃低い温度になるまで、前記中央領域を平均冷却速度0.5〜5.0℃/秒で徐冷することで得た熱収縮率が35ppm以下のシートガラスを再加熱して所定温度で熱処理した後に徐冷することで、前記熱収縮率を10ppm以下に低減させる再徐冷装置、を備え、
    前記所定温度は、前記薄膜を形成する前記加熱処理の温度よりも250℃高い温度以下の温度である、ことを特徴とするシートガラス製造装置。ただし、前記熱収縮率とは、昇降温速度を10℃/分とし、450℃で1時間温度を保持して熱処理が施された後のガラスの熱収縮量を用いて、次式にて求められる値である。
    熱収縮率(ppm)=(熱処理後のガラスサンプルの熱収縮量/熱処理前のガラスサンプルの長さ)×106
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