JP6031613B2 - シートガラスの製造方法及びシートガラス製造装置 - Google Patents
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Description
具体的には、ガラスは、酸化物基準のモルパーセントで表して、70〜74.5%のSiO2、10.5〜13.5%のAl2O3、0〜2.5%のB2O3、3〜7%のMgO、3〜7%のCaO、0〜4%のSrO、1.5〜6%のBaO、0〜0.3%のSnO2、0〜0.3%のCeO2、0〜0.5%のAs2O3、0〜0.5%のSb2O3、0.01〜0.08%のFe2O3、およびF+Cl+Brを含み、RO/Al2O3≦1.7および0.2≦MgO/RO≦0.45であり、ROは、MgO、BaO、SrOおよびCaOの合計である。
当該製造方法及び装置は、以下の形態を含む。
加熱処理を施して表面に薄膜を形成するためのディスプレイ用ガラス基板に用いられるシートガラスの製造方法であって、
熔融ガラスから成形したシートガラスであって、前記シートガラスの幅方向の両端部の領域である側部と、前記側部よりも前記シートガラスの幅方向内側にあり、前記シートガラスの幅方向の中心部を含む領域である中央領域と、を含むシートガラスを少なくとも前記中心部の温度が徐冷点から歪点より100℃低い温度になるまで、前記中央領域を平均冷却速度0.5〜5.0℃/秒で徐冷することで得た熱収縮率が35ppm以下のシートガラスを再加熱して所定温度で熱処理した後に徐冷することで、前記熱収縮率を10ppm以下に低減させる再徐冷工程、を備え、
前記所定温度は、前記薄膜を形成する前記加熱処理の温度よりも250℃高い温度以下の温度である、ことを特徴とするシートガラスの製造方法。ただし、前記熱収縮率とは、昇降温速度を10℃/分とし、450℃で1時間温度を保持して熱処理が施された後のガラスの熱収縮量を用いて、次式にて求められる値である。
熱収縮率(ppm)=(熱処理後のガラスサンプルの熱収縮量/熱処理前のガラスサンプルの長さ)×106
熔融ガラスをシートガラスに成形する成形工程と、
成形したシートガラスは、前記シートガラスの幅方向の両端部の領域である側部と、前記側部よりも前記シートガラスの幅方向内側にあり、前記シートガラスの幅方向の中心部を含む領域である中央領域と、を含み、少なくとも前記中心部の温度が徐冷点から歪点より100℃低い温度になるまで、前記中央領域を平均冷却速度0.5〜5.0℃/秒で徐冷することで、熱収縮率が35ppm以下のシートガラスをつくる冷却工程と、
前記徐冷したシートガラスを再加熱した後に徐冷する熱処理を施して、前記熱収縮率を10ppm以下に低減させる再徐冷工程と、を備え、
前記熱処理は、シートガラスの歪点より70℃低い温度以下の温度で行なう、ことを特徴とするシートガラスの製造方法。
熔融ガラスから成形したシートガラスであって、前記シートガラスの幅方向の両端部の領域である側部と、前記側部よりも前記シートガラスの幅方向内側にあり、前記シートガラスの幅方向の中心部を含む領域である中央領域と、を含み、少なくとも前記中心部の温度が徐冷点から歪点より100℃低い温度になるまで、前記中央領域を平均冷却速度0.5〜5.0℃/秒で徐冷することで得た熱収縮率が35ppm以下のシートガラスを再加熱した後に徐冷する熱処理を施して、前記熱収縮率を10ppm以下に低減させる再徐冷工程、を備え、
前記熱処理は、シートガラスの歪点より70℃低い温度以下の温度で行なう、ことを特徴とするシートガラスの製造方法。
成形した前記シートガラスは、前記シートガラスの幅方向の両端部の領域である側部と、前記側部よりも前記シートガラスの幅方向内側にあり、前記シートガラスの幅方向の中心部を含む領域である中央領域と、を含み、
前記熱収縮率が35ppm以下のシートガラスは、少なくとも、
前記中心部の温度が徐冷点になるまで、前記中央領域を第1の平均冷却速度で冷却する第1冷却工程と、
前記中心部の温度が前記徐冷点から歪点になるまで、前記中央領域を第2の平均冷却速度で冷却する第2冷却工程と、
前記中心部の温度が前記歪点から、前記歪点より100℃低い温度になるまで、前記中央領域を第3の平均冷却速度で冷却する第3冷却工程と、を含む冷却工程を行うことで得、
前記第3の平均冷却速度は、前記第2の平均冷却速度より遅い、第1の形態〜第3の形態のいずれか1つの形態に記載のシートガラスの製造方法。
徐冷した前記シートガラスを所定のサイズに切断する切断工程を備え、
前記再徐冷工程は、前記切断工程の後に行われる、第1の形態〜第4の形態のいずれか1つの形態に記載のシートガラスの製造方法。
さらに、徐冷したシートガラスを所定のサイズに切断する切断工程を備え、
所定のサイズに切断したシートガラスを複数枚積層して前記熱処理を行う、第1の形態〜第5の形態のいずれか1つの形態に記載のシートガラスの製造方法。
さらに、徐冷したシートガラスを所定のサイズに切断する切断工程を備え、
所定のサイズに切断して得られた複数のシートガラスを枚様式で前記熱処理を行う、第1の形態〜第5の形態のいずれか1つの形態に記載のシートガラスの製造方法。
前記シートガラスの歪点は、600℃〜720℃である、第1の形態〜第7の形態のいずれか1つの形態に記載のシートガラスの製造方法。
前記再徐冷工程は、
前記熱処理を行う所定温度までシートガラスを加熱する加熱工程と、
所定温度で熱処理を行う熱処理工程と、
前記熱処理後にシートガラスを徐冷する降温工程と、を備え、 前記降温工程は、前記シートガラスの中心部の温度が前記所定温度から前記所定温度の温度よりも100℃低い温度となるまでの降温速度を第1降温速度とし、前記シートガラスの中心部の温度が前記所定温度よりも100℃低い温度未満から前記所定温度よりも300℃低い温度となるまでの降温速度を第2降温速度とした場合に、第1降温速度よりも第2降温速度は速い、第1の形態〜第8の形態のいずれか1つの形態に記載のシートガラスの製造方法。
熔融ガラスから成形したシートガラスを徐冷することで得た熱収縮率が35ppm以下のシートガラスを再加熱した後に徐冷する熱処理を施して、前記熱収縮率を10ppm以下に低減させる再徐冷工程、を備え、
前記熱処理は、シートガラスの歪点より70℃低い温度以下の温度で行なう、ことを特徴とするシートガラスの製造方法。
前記シートガラスは、液晶ディスプレイ用ガラス基板、有機EL(Electro-Luminescence)ディスプレイ用ガラス基板、あるいはLTPS(Low Temperature Poly-silicon)薄膜半導体を用いたディプレイ用ガラス基板として用いられる、第1の形態〜第10の形態のいずれか1つの形態に記載のシートガラスの製造方法。
熔融ガラスをシートガラスに成形する成形体と、
成形したシートガラスであって、前記シートガラスの幅方向の両端部の領域である側部と、前記側部よりも前記シートガラスの幅方向内側にあり、前記シートガラスの幅方向の中心部を含む領域である中央領域と、を含み、少なくとも前記中心部の温度が徐冷点から歪点より100℃低い温度になるまで、前記中央領域を平均冷却速度0.5〜5.0℃/秒で徐冷することで、熱収縮率が35ppm以下のシートガラスをつくる冷却装置と、
前記徐冷したシートガラスを再加熱した後に徐冷する熱処理を施して、前記熱収縮率を10ppm以下に低減させる再徐冷装置と、を備え、
前記熱処理は、シートガラスの歪点より70℃低い温度以下の温度で行なう、ことを特徴とするシートガラス製造装置。
(第13の形態)
前記冷却装置は、
前記中心部の温度が徐冷点になるまで、前記中央領域を第1の平均冷却速度で冷却する第1冷却機構と、
前記中心部の温度が前記徐冷点から歪点になるまで、前記中央領域を第2の平均冷却速度で冷却する第2冷却機構と、
前記中心部の温度が前記歪点から、前記歪点より100℃低い温度になるまで、前記中央領域を前記第2の平均冷却速度より遅い第3の平均冷却速度で冷却する第3冷却機構と、を含む、第12の形態に記載のシートガラス製造装置。
加熱処理を施して表面に薄膜を形成するために用いられるディスプレイ用ガラス基板の製造装置であって、
オーバーフローダウンドロー法によって成形したシートガラスであって、前記シートガラスの幅方向の両端部の領域である側部と、前記側部よりも前記シートガラスの幅方向内側にあり、前記シートガラスの幅方向の中心部を含む領域である中央領域と、を含み、少なくとも前記中心部の温度が徐冷点から歪点より100℃低い温度になるまで、前記中央領域を平均冷却速度0.5〜5.0℃/秒で徐冷することで得た熱収縮率が35ppm以下のシートガラスを再加熱して所定温度で熱処理した後に徐冷することで、前記熱収縮率を10ppm以下に低減させる再徐冷装置、を備え、
前記所定温度は、前記薄膜を形成する前記加熱処理の温度よりも250℃高い温度以下の温度である、ことを特徴とするシートガラス製造装置。
シートガラスから所定のサイズの長方形の試験片に切りだし、長辺両端部間の長さを計測する。次に、切り出した試験片を短辺中央部で半分に切断し、2つのガラスサンプルを得る。2つのガラスサンプルの一方の端から同じ距離の位置にケガキ線を入れる。このうちの一方のガラスサンプルを、室温(20℃)から10℃/分の昇温速度で昇温して450℃に昇温した後、450℃で1時間放置し、その後、10℃/分で室温まで降温する。その後、加熱した一方のガラスサンプルと加熱しなかった他方のガラスサンプルの一方の端を位置あわせして、2つのケガキ線の位置ずれ距離を測定し、この位置ずれ距離を熱収縮量とする。熱収縮量は、レーザー顕微鏡等で測定される。この熱収縮量と、熱処理前のガラスサンプルの長さ用いて、以下の式により熱収縮率を求める。このガラスサンプルの熱収縮率をシートガラスの熱収縮率とする。
熱収縮率(ppm)=(熱収縮量)/(熱処理前のガラスサンプルの長さ)×106
本実施形態のシートガラスの製造方法は、熔融ガラスから成形したシートガラスを徐冷する冷却工程を行なうことで、熱収縮率が35ppm以下、好ましくは30ppm以下のシートガラスをつくる。この後、徐冷したシートガラスにさらに徐冷したシートガラスを再加熱した後に徐冷する熱処理を施して、熱収縮率を10ppm以下に低減させる再徐冷工程を行なう。この再徐冷工程は、シートガラスの歪点より70℃低い温度以下の温度で行なわれる。以降、シートガラスの歪点より70℃低い温度を、シートガラスの歪点[℃]−70[℃]と表す。
本明細書では、半導体薄膜等の薄膜が形成される前のガラス板をシートガラスといい、薄膜が表面に形成されたガラス板をガラス基板という。このため、シートガラスは、薄膜形成前の素板である。
このため、シートガラスの冷却工程を調整して熱収縮率を低くしたシートガラスを有効に用いて効率よく再徐冷工程を行うことにより、熱収縮率を低下させる(10ppm以下にする)ことが好ましい。本実施形態は、冷却したシートガラスをさらに、例えばシートガラスの歪点[℃]−70[℃]以下の温度で熱処理する再徐冷工程を備える。シートガラスの歪点[℃]−70[℃]以下の温度の熱処理では、シートガラスの冷却工程中の熱履歴に起因して低下した熱収縮率を生かしつつ、ガラスが現時点で有する熱収縮率から熱処理によって熱収縮率が低下する。このため、冷却したシートガラスの35ppm以下の熱収縮率を有効利用して、本実施形態の再徐冷工程により、効率よく低下させて10ppm以下にすることができる。また、熱処理の温度をシートガラスの歪点[℃]−70[℃]以下の温度とするので、従来に比べて熱処理の昇温時間を短くすることができ、再徐冷工程の時間短縮が可能となる。したがって、熱収縮率を極めて低くしたシートガラスの生産効率を向上することができる。また、再徐冷工程で生じうる上述したシートガラスの歪や反りの悪化を抑制することができる。
上述したように、冷却工程を調整することにより熱収縮率を低くするとともに、再徐冷工程を行なうので、失透温度を高くしたガラス組成を用いる必要がなくなる。このため、失透が生じ難く、高精細なディスプレイのパネルに用いることが可能な、熱収縮率の低いシートガラスを作製することができる。以下、本実施形態のシートガラスの製造方法について詳細に説明する。
本実施形態のシートガラスの製造方法では、オーバーフローダウンドロー法を用いてシートガラスが製造される。以下、図面を参照しながら、シートガラスの製造方法について説明する。
シートガラスの製造方法は、図1に示すように、主として、熔融工程S1と、清澄工程S2と、成形工程S3と、冷却工程S4と、切断工程5と、再徐冷工程6と、を含む。
〜1630℃となるように加熱される。熔融ガラスFGは、上流パイプ23を通って清澄装置12に送られる。
清澄工程S2は、熔融ガラスFG中の気泡の除去を行う工程である。清澄装置12内で気泡が除去された熔融ガラスFGは、その後、下流パイプ24を通って、成形装置40へと送られる。
成形工程S3は、熔融ガラスFGをシート状のガラス(シートガラス)SGに成形する工程である。具体的に、熔融ガラスFGは、成形装置40に含まれる成形体41(図3参照)に連続的に供給された後、成形体41からオーバーフローする。オーバーフローした熔融ガラスFGは、成形体41の表面に沿って流下する。熔融ガラスFGは、その後、成形体41の下端部41a(図3参照)で合流してシートガラスSGへと成形される。
冷却工程S4は、シートガラスSGを徐冷する工程である。ガラスシートは、冷却工程S4を経て室温に近い温度へと冷却される。なお、冷却工程S4における、冷却の状態に応じて、シートガラスSGの厚み(板厚)、シートガラスSGの反り量、およびシートガラスSGの平面歪、シートガラスSGの熱収縮率の値が決まる。
切断工程S5は、室温に近い温度になったシートガラスSGを、切断装置90において所定のサイズに切断する工程である。
再徐冷工程S6は、徐冷し切断したシートガラスSGを再加熱した後に徐冷する熱処理を施して、熱収縮率を10ppm以下に低減させる工程である。再徐冷工程S6は、シートガラスSGを所定のサイズに切断した後、複数枚のシートガラスSGを積層したシートガラスSGの積層体をまとめて熱処理するオフライン工程である。本実施形態では、シートガラスSGの積層体を熱処理する形態であるが、後述するように、切断してサイズのそろえられたシートガラスSGを枚様式で熱処理をする形態であってもよい。
図3および図4に、成形装置40の概略構成を示す。図3は、成形装置40の断面図である。図4は、成形装置40の側面図である。
成形装置40は、シートガラスSGが通過する通路と、通路を取り囲む空間とを有する。通路を取り囲む空間は、例えば、成形体室20、第1冷却室30、および第2冷却室80で構成されている。第1冷却室30、第2冷却室80、及びそれぞれの冷却室に設けられるヒータ等の各装置が、成形したシートガラスを徐冷することで、熱収縮率が35ppm以下のシートガラスをつくる冷却装置を構成している。
また、成形体41は、第1端部に流入口42を有する(図4参照)。成形体41の上面には、溝43が形成されている。流入口42は、上述の下流パイプ24と接続されており、清澄装置12から流れ出た熔融ガラスFGは、流入口42から溝43に流し込まれる。成形体41の溝43に流し込まれた熔融ガラスFGは、成形体41の一対の頂部41b,41bからオーバーフローし、成形体41の一対の側面(表面)41c,41cを沿いながら流下する。その後、熔融ガラスFGは、成形体41の下端部41aで合流してシートガラスSGになる。
冷却ローラ51は、駆動モータにより回転駆動される。冷却ローラ51は、シートガラスSGの側部R,Lを冷却すると共に、シートガラスSGを下方に引き下げる機能も有する。
第2冷却室80では、シートガラスSGが、室温付近の温度まで冷却されてもよい。なお、第2冷却室80の内部は、断熱部材80bによって、複数の空間に区分けされていてもよい。複数の断熱部材80bは、複数の引下げローラ81a〜81gのそれぞれの間で、シートガラスSGの厚み方向の両側に配置される。これにより、シートガラスSGの温度管理を、より精度よく行うことができる。
ヒータ82a〜82gは、第2冷却室80の内部に設けられ、第2冷却室80の内部空間の温度を調整する。具体的に、ヒータ82a〜82gは、シートガラスSGの流れ方向およびシートガラスSGの幅方向に複数配置される。例えば、幅方向に配置されるヒータは、シートガラスSGの中央領域CAと、シートガラスSGの側部R,Lとをそれぞれ温度制御する。ヒータ82a〜82gは、後述する制御装置91によって出力が制御される。これにより、第2冷却室80内部を通過するシートガラスSGの近傍の雰囲気温度が制御される。ヒータ82a〜82gによって第2冷却室80内の雰囲気温度が制御されることによって、シートガラスSGの温度制御が行われる。
高精細ディスプレイの製造過程の熱処理工程において発生するシートガラスの熱収縮を効率的に低減するためには、全冷却工程S41〜S44の平均冷却速度のうち、第3冷却工程S43の冷却速度(第3の平均冷却速度)が最も低いことが好ましい。つまり、第3冷却工程S43の平均冷却速度(第3の平均冷却速度)は、第2冷却工程S42の平均冷却速度(第2の平均冷却速度)より低いことが好ましい。また、シートガラスの生産効率を低下させないためにも、全冷却工程S41〜S44の冷却速度のうち、第1冷却工程S41の冷却速度(第1の平均冷却速度)が最も高いことが好ましい。また、第4冷却工程S44における平均冷却速度(第4の平均冷却速度)は、第1の平均冷却速度より低く、かつ、第2の平均冷却速度より高いことが好ましい。すなわち、全冷却工程S41〜S44の平均冷却速度に関して、第1の平均冷却速度>第4の平均冷却速度>第2の平均冷却速度>第3の平均冷却速度の関係式が成り立つことが好ましい。これにより、生産効率を低下させることなく、高精細ディスプレイの製造過程の熱処理工程におけるシートガラスの熱収縮を低減したシートガラスを製造することができる。
第1温度プロファイルTP1は、第1冷却室30内の冷却ローラ51および温度調整ユニット60を制御することにより実現される。シートガラスSGの側部R,Lの温度は、中央領域CAの温度よりも所定温度(例えば、200℃〜250℃)低い温度に冷却する。
第3温度プロファイルTP3は、中央領域CAの中心部Cの温度が最も高く、側部R,Lの温度が最も低い。また、第3温度プロファイルTP3では、中心部Cから側部R,Lに向かって温度が徐々に低くなる。なお、第1温度プロファイルTP1および第3温度プロファイルTP3は、第1冷却室30内の温度調整ユニット60を制御することにより実現される。
なお、第5温度プロファイルTP5は、第2冷却室80内のヒータ82bを制御することにより実現される。
第1冷却工程S41における中央領域CAの第1の平均冷却速度は、5.0℃/秒〜50℃/秒である。第1の平均冷却速度が、5.0℃/秒より低いと、生産性が悪くなる。第1の平均冷却速度が、50℃/秒を超えると、シートガラスSGに割れが発生する場合がある。また、シートガラスSGの反り量および板厚偏差が悪くなる。好ましくは、中央領域CAの第1の平均冷却速度は、8.0℃/秒〜16.5℃/秒である。また、第1冷却工程S41における第1の側部冷却速度は、5.5℃/秒〜52.0℃/秒である。好ましくは、第1の側部冷却速度は、8.3℃/秒〜17.5℃/秒である。
第2冷却工程S42では、第6温度プロファイルTP6に基づいて、シートガラスSGの温度管理が行われる。以下、第2冷却工程S42で実行される温度プロファイルTP6と、第2冷却工程S42の冷却速度(第2の平均冷却速度)とを説明する。
ここで、均一とは、側部R,L周辺の雰囲気温度と中央領域CA周辺の雰囲気温度とが、所定の温度域に含まれることをいう。所定の温度域とは、基準温度±5℃の間の温度範囲である。基準温度は、シートガラスSGの幅方向の平均温度である。
なお、第6温度プロファイルTP6は、第2冷却室80内のヒータ82cを制御することにより実現される。また、第6温度プロファイルTP6は、歪点を含む所定の温度領域で実現される。所定の温度領域とは、「(徐冷点+歪点)/2」から「歪点[℃]−25[℃]」までの領域である。第6温度プロファイルTP6は、歪点を含む範囲の少なくとも一点(流れ方向における一箇所)において実現される。
第2冷却工程S42におけるシートガラスSGの中央領域CAの温度の平均冷却速度(第2の平均冷却速度)は、5.0℃/秒以下であることが好ましく、0.8℃/秒〜5.0℃/秒であることがより好ましい。第2の平均冷却速度が、0.8℃/秒よりも小さいと、生産性が悪くなりやすい。また、第2の平均冷却速度が、5.0℃/秒を超えると、シートガラスSGの精密な温度制御が困難となり、シートガラスSGの熱収縮率が大きくなりやすい。また、シートガラスSGの反りおよび歪が大きくなりやすい。
第4冷却工程S44では、第7温度プロファイルTP7〜第9温度プロファイルTP10に基づいて、シートガラスSGの温度管理が行われる。
第7温度プロファイルTP7〜第9温度プロファイルTP9は、中央領域CAの中心部Cの温度が最も低く、側部R,Lの温度が最も高い。また、第7温度プロファイルTP7〜第9温度プロファイルTP10では、中心部Cから側部R,Lに向かって温度が徐々に高くなる。すなわち、第7温度プロファイルTP7〜第9温度プロファイルTP9は、下に凸を有するなだらかな放物線を形成する。
また、第7温度プロファイルTP7〜第9温度プロファイルTP9における中心部Cと側部R,Lとの間の温度差は、シートガラスSGの流れ方向に沿って、徐々に大きくなっている。すなわち、第9温度プロファイルTP9は、第7温度プロファイルTP7よりも大きな放物線となる。第7温度プロファイルTP7〜第9温度プロファイルTP9でも、中心部Cが側部R,Lよりも早く冷却される。
なお、第7温度プロファイルTP7〜第9温度プロファイルTP9は、第2冷却室80内のヒータ82d〜82gを制御することにより実現される。
また、第4冷却工程S44では、シートガラスSGの流れ方向の下流側に向かうにつれて、シートガラスSGの側部R,Lの雰囲気温度の冷却速度と中央領域CAの雰囲気温度の冷却速度との差を大きくする。
第4冷却工程S44における第4の平均冷却速度は、1.5℃/秒〜20℃/秒であることが好ましい。第4の平均冷却速度が、1.5℃/秒よりも低いと、生産性が悪くなる。また、第4の平均冷却速度が、20℃/秒を超えると、シートガラスSGに割れが発生する場合もあり、シートガラスSGの反りも悪くなる。好ましくは、第4の平均冷却速度は、2.0℃/秒〜15℃/秒である。また、第4冷却工程S44における第4の側部冷却速度は、1.3℃/秒〜13℃/秒である。好ましくは、第4の側部冷却速度は、1.5℃/秒〜8.0℃/秒である。
なお、シートガラスSGの中心部Cの温度が徐冷点〜歪点の温度範囲で行う第2の冷却工程、及びシートガラスSGの中心部Cの温度が歪点[℃]〜歪点[℃]−100[℃]の温度範囲で行う第3の冷却工程を1つの冷却工程としたときの中心部Cの平均冷却速度、すなわち、徐冷点〜歪点[℃]−100[℃]の温度変化を、この温度変化に要した時間で割った値は、0.5〜5.0℃/秒であることが、シートガラスSGの熱収縮率を35ppm以下にする上で好ましい。すなわち、冷却工程では、中心部Cの温度が徐冷点から(シートガラスSGの歪点[℃]−100[℃])になるまで、中央領域CAを平均冷却速度0.5〜5.0℃/秒で冷却することが好ましい。これにより、シートガラスSGの熱収縮率を35ppm以下にすることができる。
速度比が0.2未満であると、生産性が悪くなりやすい。速度比は、0.3以上0.8未満であることがより好ましく、0.4以上0.6未満であることがさらに好ましい。
また、第2の平均冷却速度は、第3の平均冷却速度の次に上記熱収縮率に影響を及ぼし易い。本実施形態では、徐冷点から歪点までの範囲でのシートガラスSGの冷却を行う第2冷却工程S42における第2の平均冷却速度を、第1冷却工程S41及び第4冷却工程S44の各平均冷却速度よりも低くすることが好ましい。これにより、熱収縮率を低減することができる。
図6は、本実施形態の第1の形態の再徐冷工程の熱処理を説明する図である。第1の形態の再徐冷工程S6では、切断工程S5において所定のサイズに切断した複数のシートガラスSGを積層したシートガラスSGの積層体210(以下、積層体210という)をパレット220に載せた状態で、シートガラスSGの熱処理をする。
基台部221、載置部222および背面板223は、例えば鋼鉄等の金属からなり、溶接等により一体に形成されている。
基台221は略長方形の板状であり、端面にフォークリフトの爪を挿入するための開口221aが設けられている。
載置部222は基台221の上部に固定されており、載置部222の上部にシートガラスSGの積層体210が載せられる。ここで、載置部222の上面は完全に水平である必要はない。例えば、図6に示すように、シートガラスSGを斜めに立てかける場合、シートガラスSGの立てかけ角度に応じて載置部222の上面を傾斜させておいてもよい。
背面板223は略長方形の板状であり、基台221の上部において、載置部222の後端に載置部222とほぼ垂直に固定されている。背面板223は載置部222の上部に載せられる積層体210の積層方向の後端部を支持する。ここで、背面板223は完全に垂直である必要はない。例えば、図2に示すように、シートガラスSGを斜めに立てかける場合、シートガラスSGの立てかけ角度に応じて背面板223を傾斜させておいてもよい。
パレット220及びパレット220を熱処理のために入れる熱処理室とこの熱処理室に設けられる熱源が、徐冷したシートガラスを再加熱した後に徐冷する熱処理を施して、熱収縮率を10ppm以下に低減させる再徐冷装置を構成する。
シート体212は、シートガラスSG同士の間に挟まれる。積層体210では、シート体212、シートガラスSG、シート体212、シートガラスSG、・・・シート体212の順番に積まれる。シート体212は積層されるシートガラスSG同士の密着を防ぐ役割を果たす。シート体212には、積層体210を熱処理する際の温度に耐えうる耐熱性を有する材料を用いることができる。シート体212は、シートガラスSGよりも高い熱伝導率を有することが、後述する熱処理において、複数のシートガラスSGの熱処理の程度を揃えることができる点から好ましい。
熱処理では、雰囲気の温度を室温から設定された昇温速度で昇温させ、雰囲気の温度を設定された最高温度にする。最高温度は設定された時間維持される。その後、設定された降温速度で、雰囲気の温度を室温付近まで降温させる。したがって、熱処理の最高温度は、設定された時間維持されるので、積層体210のシートガラスSGの温度も最高温度となっている。この最高温度は、歪点[℃]−70[℃]以下である。さらには、この最高温度は、(シートガラスSGの歪点[℃]−300[℃])〜(シートガラスSGの歪点[℃]−100[℃])であることが好ましく、(シートガラスSGの歪点[℃]−250[℃])〜(シートガラスSGの歪点[℃]−130[℃])であることがより好ましい。最高温度は、例えば、560℃以下であることが好ましく、360℃〜560℃であることがより好ましく、410℃〜530℃であることがよりいっそう好ましい。
また、上記最高温度の維持時間は、4〜120時間であることが好ましく、8〜24時間であることがより好ましい。
また、成形し、徐冷したシートガラスSGを、別の場所に搬送して再徐冷工程S6を行なってもよい。この場合、搬送前の場所において熔融ガラスから成形したシートガラスSGを徐冷することで熱収縮率が35ppm以下のシートガラスSGを得る。このシートガラスSGを、搬送先の別の場所において、再加熱した後に徐冷する熱処理を施して、熱収縮率を10ppm以下に低減させる。このとき、熱処理は、シートガラスの歪点より70℃低い温度以下の温度で行なう。
図7は、本実施形態の第1の形態と異なる第2の形態における再徐冷工程の熱処理の温度履歴の一例を示す図である。第2の形態では、シートガラスを一枚ずつ熱処理する枚様式の再徐冷工程である。図7に示す温度履歴を用いて熱処理を行うことが好ましい。この場合においても、熱処理は、所定温度で行われる。所定温度は、例えば、シートガラスの歪点より70℃低い温度以下の温度である。枚様式の再徐冷工程は、後述するように、1枚のシートガラスを支持部材に支持した状態で熱収縮をしてもよいし、一枚のシートガラスを搬送しながら熱処理をしてもよい。 温度履歴とは、図示されない熱処理室内における熱処理によって変化するシートガラスの中心位置における温度の履歴を示すものである。図中に示す温度はTm1<Tm2<Tm3<Tm4であり、Tm1=室温(例えば、25℃)、Tm2=第2中間温度(例えば、200℃)、Tm3=第1中間温度(例えば、400℃)、Tm4=熱処理温度(例えば、500℃)である。
時間t0〜時間t1における加熱工程、時間t1〜時間t2の維持工程、時間t2〜t5の第1〜第3降温工程における速度、時間の好ましい範囲を以下に示す。Tm4は、例えば、歪点より70℃低い温度以下である。
(1)加熱工程:t1−t0=5分〜20分、Tm4−Tm1=400℃〜600℃、昇温速度S1=(Tm4−Tm1)/(t1−t0)=20℃/分〜120℃/分、
(2)維持工程:t2−t1=5分〜120分、Tm4−Tm4=0、速度S2=(Tm4−Tm4)/(t2−t1)=0℃/分、
(3)第1降温工程:t3−t2=15分〜100分、Tm4−Tm3=50℃〜150℃、降温速度S3(第1降温速度)=(Tm4−Tm3)/(t3−t2)=0.5℃/分〜10℃/分
(4)第2降温工程:t4−t3=10分〜15分、Tm3−Tm2=150℃〜250℃、降温速度S4(第2降温速度)は、(Tm3−Tm2)/(t4−t3)=10℃/分〜25℃/分、
(5)第3降温工程:t5−t4=15分〜100分、Tm2−Tm1=50℃〜150℃、降温速度S5(第1降温速度)=(Tm2−Tm1)/(t5−t4)=0.5℃/分〜10℃/分。
ここで、室温は、25℃に限定されず、例えば、0℃〜50℃、あるいは0℃〜30℃である。また、熱処理温度は、500℃に限定されず、歪点より70℃低い温度以下の温度であって、400℃〜600℃の任意の温度であり、第1中間温度は、400℃に限定されず、熱処理温度−(50℃〜150℃)の任意の温度である。第2中間温度は、150℃〜250℃の範囲の温度であり、200℃と固定してもよい。また、昇温速度・降温速度は、シートガラス全体を昇温・降温する平均速度である。
なお、シートガラスSGに失透を生じさせずに生産性を高めるためには、失透温度は1180℃以下であることが好ましく、1100℃〜1180℃であることが好ましい。
なお、ガラス原料の未熔解やシートガラスSGに失透を生じさせずにより生産性を高めるためには、歪点が600℃〜720℃であることが好ましく、650℃〜680℃であることがより好ましい。また、徐冷点が680℃〜800℃であることが好ましく、730℃〜760℃であることがより好ましい。
SiO2 50〜70%、
B2O3 0〜18%、
Al2O3 10〜25%、
MgO 0〜10%、
CaO 0〜20%、
SrO 0〜20%、
BaO 0〜10%、
RO 5〜20%
(ただしRはMg、Ca、SrおよびBaから選ばれる少なくとも1種である)、
R’2O 0%〜2.0%
(ただしR’はLi、NaおよびKから選ばれる少なくとも1種である)
を含む。
溶融ガラス中で価数変動する金属の酸化物の合計含有率は特に制限されないが、例えば、0.05〜1.5%含んでもよい。また、As2O3、Sb2O3およびPbOを実質的に含まないことが好ましい。
ディスプレイ用ガラス基板としては、無アルカリガラス、または、アルカリ微量含有ガラスが用いられる。ディスプレイ用ガラス基板は、高温時における粘性が高い。例えば、102.5ポアズの粘性を有する熔融ガラスの温度は、1500℃以上である。なお、無アルカリガラスは、アルカリ金属酸化物(R2O)を実質的に含まない組成のガラスである。アルカリ金属酸化物を実施的に含まないとは、原料等から混入する不純物を除き、ガラス原料としてアルカリ金属酸化物を添加しない組成のガラスであり、例えば、アルカリ金属酸化物の含有量は0.1質量%未満である。なお、アルカリ微量含有ガラスは、成分として、0.1質量%〜0.5質量%のR’2Oを含み、好ましくは、0.2質量%〜0.5質量%のR’2Oを含む。ここで、R’は、Li、NaおよびKから選択される少なくとも1種であり、R’2Oは、Li2O、Na2O、K2Oの含有量の合計である。
また、本実施形態で製造されるシートガラスSGの板厚は、0.005mm〜0.8mmであり、好ましくは0.01mm〜0.5mm、より好ましくは0.01mm〜0.2mmである。
成形工程S3後の冷却工程S4において、シートガラスSGの熱収縮率を十分に低減しようとする場合、第2冷却室80(徐冷炉)を長くしてシートガラスSGを極めてゆっくり冷却する必要がある。シートガラスSGの成形としてフュージョン(オーバーフローダウンドロー法)を選択する場合、鉛直方向に延びる第2冷却室80の経路を長くして、成形直後の徐冷の速度を極めて遅くすると、成形工程S3〜切断工程S5、あるいは、さらに後工程の巻き取り梱包の工程まで、帯状に連続して延びるシートガラスSGの長さは長くなり、これに伴って、成形体41〜切断装置90(あるいは巻き取り梱包を行なう装置)までのシートガラスSGの総重量は重くなる。このようにシートガラスSGの総重量が重くなると、成形体41の下端でフュージョンした直後のシートガラスSGの移動速度(落下速度)は、下流側のシートガラスSGの重量の影響で速くなる。ここで、フュージョン直後のシートガラスSGの温度は高く、引き伸ばせる程度に粘性が低い(例えば、軟化点以上)。このため、シートガラスSGが局所的に引き伸ばされ易くなり板厚品質等を悪化させる。
また、フュージョン直後にシートガラス両側部を急冷して固化させた(粘度を高くした)場合、粘度の低いシートガラスSGの中央領域でのみシートガラスSGが引き延ばされ、厚さが部分的に薄くなりすぎるという問題も生じる。
さらに、シートガラスSGが幅方向に縮まないようにフュージョン直後にシートガラスSGの両側部を急冷して固化しようとしても、シートガラスSGの移動速度(落下速度)が速くなり、十分に冷却できない。このため、シートガラスSGが幅方向に縮むと、ガラス板厚が不均一になるという問題が生じる。
その他、上述したようにシートガラスSGの長さが長くなると、シートガラスSGに振動が生じやすくなり、ヒータ82a〜82gとの間の距離が変動してシートガラスSGの温度制御の精度が低下するという問題が生じる。さらに、シートガラスSGの重量が重くなると、成形体41にかかるシートガラスSGの総荷重が大きくなるので、成形体41の変形(セルクリープ)の問題が顕著となり、シートガラスSGの幅方向の板厚にバラツキが生じるという問題が顕著となる。
これに対して、本実施形態では、第2冷却室80(徐冷炉)の経路を長くしてシートガラスSGを極めてゆっくり冷却する必要がないので、本実施形態は、上記問題が発生することを防止でき、熱収縮の小さいシートガラスSGを製造することができる。
なお、シートガラスは、高精細ディプレイ用ガラス基板として、例えば液晶ディスプレイ用ガラス基板、有機EL(Electro-Luminescence)ディスプレイ用ガラス基板、あるいはLTPS(Low Temperature Poly-silicon)薄膜半導体を用いたディプレイ用ガラス基板として用いることが好ましい。
SiO260.7%、B2O3 11.5%、Al2O3 17%、MgO 2%、CaO 5.6%、SrO 3%、SnO2 0.2%のガラス組成(質量%表示)となるようにガラス原料を調合して、図1に示す工程を経てシートガラスSGを得た。上記ガラス組成における歪点は660℃である。再徐冷工程S6の熱処理の最高温度を、シートガラスの歪点[℃]−210[℃]、すなわち、450℃とし、最高温度の維持時間を24時間とした。また、再徐冷工程S6では、100枚のシートガラスSGを積層した積層体に対して熱処理を施した。
SiO260.7%、B2O3 11.5%、Al2O3 17%、MgO 2%、CaO 5.6%、SrO 3%、SnO2 0.2%のガラス組成(質量%表示)となるようにガラス原料を調合して、図1に示す工程を経てシートガラスSGを得た。上記ガラス組成における歪点は660℃である。また、ディスプレイパネル製造工程における薄膜形成温度は450℃であった。再徐冷工程S6の熱処理の最高温度を、薄膜形成温度よりも50℃高い温度、すなわち、500℃とし、最高温度の維持時間を10分とした。また、再徐冷工程S6は、一枚ずつ熱処理する枚様式であった。なお、熱処理を行う熱処理温度から熱処理温度よりも100℃低い温度までのシートガラスの中心位置における降温速度を第1降温速度とし、熱処理温度よりも200℃低い温度未満から熱処理温度よりも300℃低い温度までのシートガラスの中心位置における降温速度を第2降温速度とした場合、第1降温速度が0.5℃/分であり、第2降温速度は10℃/分であった。再徐冷工程S6前のシートガラスSGの平均熱収縮率は18ppmであったのに対し、再徐冷工程S6後のシートガラスSGの平均熱収縮率は5ppmであった。また、シートガラスSGの面内における熱収縮の位置によるばらつきは3ppm以下であった。
また、第1降温速度を3℃/分、第2降温速度を13℃/分に変更した以外は上記方法と同じように製造した再徐冷工程S6後のシートガラスSGの平均熱収縮率は6ppmであった。また、シートガラスSGの面内における熱収縮の位置にょるばらつきは3ppm以下であった。
さらに、第1降温速度を9.5℃/分、第2降温速度を24℃/分に変更した以外は上記方法と同じように製造した再徐冷工程S6後のシートガラスSGの平均熱収縮率は8ppmであった。また、シートガラスSGの面内における熱収縮の位置によるばらつきは3ppm以下であった。
他方、第1降温速度を10℃/分、第2降温速度を5℃/分に変更した以外は上記方法と同じように製造した再徐冷工程S6後のシートガラスSGの平均熱収縮率は17ppmであった(比較例)。
これら実施例の熱収縮率は、高精細ディスプレイパネルに用いるガラス基板に要求される熱収縮率を満足する。また、シートガラスSGでは失透は生じなかった。これより、本実施形態の効果は明らかである。
12 清澄装置
40 成形装置
41 成形体
51 冷却ローラ
60 温度調整ユニット
81a〜81g 引下げローラ
82a〜82g ヒータ
90 切断装置
100 シートガラス製造装置210 積層体
212 シート体
220 パレット
221 基台部
222 載置部
223 背面板
Claims (10)
- 加熱処理を施して表面に薄膜を形成するためのディスプレイ用ガラス基板に用いられるシートガラスの製造方法であって、
熔融ガラスから成形したシートガラスであって、前記シートガラスの幅方向の両端部の領域である側部と、前記側部よりも前記シートガラスの幅方向内側にあり、前記シートガラスの幅方向の中心部を含む領域である中央領域と、を含むシートガラスを少なくとも前記中心部の温度が徐冷点から歪点より100℃低い温度になるまで、前記中央領域を平均冷却速度0.5〜5.0℃/秒で徐冷することで得た熱収縮率が35ppm以下のシートガラスを再加熱して所定温度で熱処理した後に徐冷することで、前記熱収縮率を10ppm以下に低減させる再徐冷工程、を備え、
前記所定温度は、前記薄膜を形成する前記加熱処理の温度よりも250℃高い温度以下の温度である、ことを特徴とするシートガラスの製造方法。ただし、前記熱収縮率とは、昇降温速度を10℃/分とし、450℃で1時間温度を保持して熱処理が施された後のガラスの熱収縮量を用いて、次式にて求められる値である。
熱収縮率(ppm)=(熱処理後のガラスサンプルの熱収縮量/熱処理前のガラスサンプルの長さ)×106 - 熔融ガラスをシートガラスに成形する成形工程と、
成形したシートガラスは、前記シートガラスの幅方向の両端部の領域である側部と、前記側部よりも前記シートガラスの幅方向内側にあり、前記シートガラスの幅方向の中心部を含む領域である中央領域と、を含み、少なくとも前記中心部の温度が徐冷点から歪点より100℃低い温度になるまで、前記中央領域を平均冷却速度0.5〜5.0℃/秒で徐冷することで、熱収縮率が35ppm以下のシートガラスをつくる冷却工程と、
前記徐冷したシートガラスを再加熱した後に徐冷する熱処理を施して、前記熱収縮率を10ppm以下に低減させる再徐冷工程と、を備え、
前記熱処理は、シートガラスの歪点より70℃低い温度以下の温度で行なう、ことを特徴とするシートガラスの製造方法。(ただし、前記熱収縮率とは、昇降温速度を10℃/分とし、450℃で1時間温度を保持して熱処理が施された後のシートガラスのガラスサンプルの熱収縮量を用いて、次式にて求められる値である。
熱収縮率(ppm)={熱処理後のガラスサンプルの熱収縮量/熱処理前のガラスサンプルの長さ}×106) - 熔融ガラスから成形したシートガラスであって、前記シートガラスの幅方向の両端部の領域である側部と、前記側部よりも前記シートガラスの幅方向内側にあり、前記シートガラスの幅方向の中心部を含む領域である中央領域と、を含み、少なくとも前記中心部の温度が徐冷点から歪点より100℃低い温度になるまで、前記中央領域を平均冷却速度0.5〜5.0℃/秒で徐冷することで得た熱収縮率が35ppm以下のシートガラスを再加熱した後に徐冷する熱処理を施して、前記熱収縮率を10ppm以下に低減させる再徐冷工程、を備え、
前記熱処理は、シートガラスの歪点より70℃低い温度以下の温度で行なう、ことを特徴とするシートガラスの製造方法。ただし、前記熱収縮率とは、昇降温速度を10℃/分とし、450℃で1時間温度を保持して熱処理が施された後のシートガラスのガラスサンプルの熱収縮量を用いて、次式にて求められる値である。
熱収縮率(ppm)={熱処理後のガラスサンプルの熱収縮量/熱処理前のガラスサンプルの長さ}×106 - 前記熱収縮率が35ppm以下のシートガラスは、少なくとも、
前記中心部の温度が徐冷点になるまで、前記中央領域を第1の平均冷却速度で冷却する第1冷却工程と、
前記中心部の温度が前記徐冷点から歪点になるまで、前記中央領域を第2の平均冷却速度で冷却する第2冷却工程と、
前記中心部の温度が前記歪点から、前記歪点より100℃低い温度になるまで、前記中央領域を第3の平均冷却速度で冷却する第3冷却工程と、を含む冷却工程を行うことで得、
前記第3の平均冷却速度は、前記第2の平均冷却速度より遅い、請求項1〜3のいずれか1項に記載のシートガラスの製造方法。 - 徐冷した前記シートガラスを所定のサイズに切断する切断工程を備え、
前記再徐冷工程は、前記切断工程の後に行われる、請求項1〜4のいずれか1項に記載のシートガラスの製造方法。 - 前記シートガラスの歪点は、600℃〜720℃である、請求項1〜5のいずれか1項に記載のシートガラスの製造方法。
- 前記再徐冷工程は、
前記熱処理を行う所定温度までシートガラスを加熱する加熱工程と、
所定温度で熱処理を行う熱処理工程と、
前記熱処理後にシートガラスを徐冷する降温工程と、を備え、
前記降温工程は、前記シートガラスの中心部の温度が前記所定温度から前記所定温度の温度よりも100℃低い温度となるまでの降温速度を第1降温速度とし、前記シートガラスの中心部の温度が前記所定温度よりも100℃低い温度未満から前記所定温度よりも300℃低い温度となるまでの降温速度を第2降温速度とした場合に、第1降温速度よりも第2降温速度は速い、請求項1〜6のいずれか1項に記載のシートガラスの製造方法。 - 熔融ガラスをシートガラスに成形する成形体と、
成形したシートガラスであって、前記シートガラスの幅方向の両端部の領域である側部と、前記側部よりも前記シートガラスの幅方向内側にあり、前記シートガラスの幅方向の中心部を含む領域である中央領域と、を含み、少なくとも前記中心部の温度が徐冷点から歪点より100℃低い温度になるまで、前記中央領域を平均冷却速度0.5〜5.0℃/秒で徐冷することで、熱収縮率が35ppm以下のシートガラスをつくる冷却装置と、
前記徐冷したシートガラスを再加熱した後に徐冷する熱処理を施して、前記熱収縮率を10ppm以下に低減させる再徐冷装置と、を備え、
前記熱処理は、シートガラスの歪点より70℃低い温度以下の温度で行なう、ことを特徴とするシートガラス製造装置。 - 前記冷却装置は、
前記中心部の温度が徐冷点になるまで、前記中央領域を第1の平均冷却速度で冷却する第1冷却機構と、
前記中心部の温度が前記徐冷点から歪点になるまで、前記中央領域を第2の平均冷却速度で冷却する第2冷却機構と、
前記中心部の温度が前記歪点から、前記歪点より100℃低い温度になるまで、前記中央領域を前記第2の平均冷却速度より遅い第3の平均冷却速度で冷却する第3冷却機構と、を含む、請求項8に記載のシートガラス製造装置。 - 加熱処理を施して表面に薄膜を形成するために用いられるディスプレイ用ガラス基板の製造装置であって、
オーバーフローダウンドロー法によって成形したシートガラスであって、前記シートガラスの幅方向の両端部の領域である側部と、前記側部よりも前記シートガラスの幅方向内側にあり、前記シートガラスの幅方向の中心部を含む領域である中央領域と、を含み、少なくとも前記中心部の温度が徐冷点から歪点より100℃低い温度になるまで、前記中央領域を平均冷却速度0.5〜5.0℃/秒で徐冷することで得た熱収縮率が35ppm以下のシートガラスを再加熱して所定温度で熱処理した後に徐冷することで、前記熱収縮率を10ppm以下に低減させる再徐冷装置、を備え、
前記所定温度は、前記薄膜を形成する前記加熱処理の温度よりも250℃高い温度以下の温度である、ことを特徴とするシートガラス製造装置。ただし、前記熱収縮率とは、昇降温速度を10℃/分とし、450℃で1時間温度を保持して熱処理が施された後のガラスの熱収縮量を用いて、次式にて求められる値である。
熱収縮率(ppm)=(熱処理後のガラスサンプルの熱収縮量/熱処理前のガラスサンプルの長さ)×106
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