JP6530651B2 - ガラス基板の製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、ガラス基板の熱処理工程を含むガラス基板の製造方法に関する。
近年、ディスプレイパネルの分野では、画質の向上のために画素の高精細化が進展している。この高精細化の進展に伴って、ディスプレイパネルに用いるガラス基板にも寸法精度が高いことが望まれている。例えば、ディスプレイパネルの製造工程中に、ガラス基板が高温で熱処理されても寸法が変化しにくいように、熱収縮の小さいガラス基板が求められている。
一般に、ガラス基板の熱収縮率は、ガラスの歪点が高いほど小さくなる。このため、熱収縮率を抑制するために、歪点が高くなるようにガラス組成を変更する方法が知られている(特許文献1)。しかし、歪点が高くなるようにガラス組成を変更すると、熔解温度が高くなる傾向にあり、ガラス基板の製造が難しくなるという問題がある。
特表2014−503465
ガラス基板製造の困難性を招くことなく、ガラス基板の熱収縮を低減させる方法として、フュージョン法等により成形したシートガラスを切断することで得たガラス基板をオフラインにおいて熱処理(オフラインアニール処理)する方法がある。オフラインアニール処理において、加熱した気体(熱風)によりガラス基板を熱処理する方法があるが、ガラス基板の温度を昇温・降温させる際に、昇温速度・降温速度を速くするとガラス基板の熱収縮率が低減せず、ガラス基板の面方向(面内)で温度差が生じ、面方向(面内)で熱収縮率がばらついてしまい、昇温速度・降温速度を遅くするとガラス基板の生産効率が低下するという問題があった。
そこで、本発明は、ガラス基板の生産効率を高めつつ、ガラス基板の面方向での熱収縮率のばらつきを低減することができるガラス基板の製造方法を提供することを目的とする。
本発明の一態様は、ディスプレイ用のガラス基板を400℃〜600℃の範囲にある熱処理温度で熱処理する熱処理工程を含むガラス基板の製造方法であって、
前記熱処理工程は、
互いに隣接する前記ガラス基板を距離的に所定間隔あけた平行状態を維持し、所定間隔をあけて配置された複数の前記ガラス基板の間の隙間に加熱された気体を送風しながら前記ガラス基板の平面方向の周囲から加熱及び冷却する熱処理炉に搬送する搬送工程と、
前記ガラス基板の熱収縮率の絶対値が10ppm以下になるよう前記ガラス基板の温度を前記熱処理温度維持する維持時間を設定する維持工程と、
前記ガラス基板の熱収縮率の絶対値が10ppm以下になるよう、前記ガラス基板を搬送しながら前記ガラス基板の温度が前記熱処理温度から前記熱処理温度より50℃から150℃より低い中間温度になるまで前記ガラス基板を冷却する冷却時間を、60分〜120分の時間範囲内で設定して前記ガラス基板を冷却する冷却工程と、を備える、
ことを特徴とする。

前記ガラス基板には、IGZO、LTPSから構成される半導体層が形成される、ことが好ましい。
前記ガラス基板の歪点は655℃以上である、ことが好ましい。
上述のガラス基板の製造方法によれば、ガラス基板の生産効率を高めつつ、ガラス基板の面方向での熱収縮率のばらつきを低減することができる。
本実施形態のガラス基板の製造方法の流れを示すフローチャートである。 本実施形態の熱処理工程で用いられる熱処理炉の内部構造を説明する図である。 本実施形態の熱処理工程を説明する図である。 本実施形態の熱処理工程でクランプに把持されたガラス基板を側方から見て示す図である。 ガラス基板の温度履歴を示す図である。 熱処理温度で維持する維持時間とガラス基板の熱収縮率の絶対値との関係を示した図である。 冷却時間とガラス基板の熱収縮率の絶対値との関係を示した図である。 加熱時間とガラス基板の熱収縮率の絶対値との関係を示した図である。
以下、本発明のガラス基板の製造方法について詳細に説明する。
図1は、本実施形態のガラス基板の製造方法の流れを示すフローチャートである。製造されるガラス基板は、特に制限されないが、例えば縦寸法及び横寸法のそれぞれが500mm〜3500mmであることが好ましい。ガラス基板の厚さは、0.1mm〜1.1mm、より好ましくは0.75mm以下の極めて薄い矩形形状の板であることが好ましい。
まず、熔融されたガラスが、例えばフュージョン法あるいはフロート法等の公知の方法により、所定の厚さの帯状ガラスであるシートガラスが成形される(ステップS1)。
次に、成形されたシートガラスが所定の長さの素板であるガラス基板に採板される(ステップS2)。採板により得られたガラス基板は、搬送機構によりピンチング保持されつつ、熱処理炉に搬送され(ステップS3)、次工程のアニーリング(熱処理)工程(ステップS4)までレールに誘導されて搬送される。次に、この搬送されたガラス基板に対して熱処理を行なう(ステップS4)。このステップS3の処理およびステップS4の処理が本実施形態のアニーリング工程である。アニーリング工程の詳細については後述する。
熱処理後のガラス基板は切断工程に搬送され、製品のサイズに切断され、ガラス基板が得られる(ステップS5)。得られたガラス基板には、端面の研削、研磨およびコーナカットを含む端面加工が行われた後、ガラス基板は洗浄される(ステップS6)。洗浄されたガラス基板はキズ、塵、汚れあるいは光学欠陥を含む傷が無いか、光学的検査が行われる(ステップS7)。検査により品質の適合したガラス基板は、ガラス基板を保護する紙と交互に積層された積層体としてパレットに積載されて梱包される(ステップS8)。梱包されたガラス基板は納入先業者に出荷される。
このようなガラス基板として、以下のガラス組成のガラス基板が例示される。つまり、以下のガラス組成のガラス基板が製造されるように、熔融ガラスの原料が調合される。
SiO2 55〜80モル%、
Al23 8〜20モル%、
23 0〜12モル%、
RO 0〜17モル%(ROはMgO、CaO、SrO及びBaOの合量)。
SiO2は60〜75モル%、さらには、63〜72モル%であることが、熱収縮率を小さくするという観点から好ましい。
ROのうち、MgOが0〜10モル%、CaOが0〜15モル%、SrOが0〜10%、BaOが0〜10%であることが好ましい。
また、SiO2、Al23、B23、及びROを少なくとも含み、モル比((2×SiO2)+Al23)/((2×B23)+RO)は4.5以上であるガラスであってもよい。また、MgO、CaO、SrO、及びBaOの少なくともいずれか含み、モル比(BaO+SrO)/ROは0.1以上であることが好ましい。
また、モル%表示のB23の含有率の2倍とモル%表示のROの含有率の合計は、30モル%以下、好ましくは10〜30モル%であることが好ましい。
また、上記ガラス組成のガラス基板におけるアルカリ金属酸化物の含有率は、0モル%以上0.4モル%以下であってもよい。
また、ガラス中で価数変動する金属の酸化物(酸化スズ、酸化鉄)を合計で0.05〜1.5モル%含み、As、Sb及びPbOを実質的に含まないということは必須ではなく任意である。
本実施形態で製造されるガラス基板は、フラットパネルディスプレイ用ガラス基板、例えば、液晶ディスプレイ用ガラス基板あるいは、有機ELディスプレイ用のガラス基板として好適である。さらに、本実施形態で製造されるガラス基板は、高精細ディスプレイに用いるLTPS(Low-temperature poly silicon)・IGZO(Indium-Gallium-Zinc-Oxide)・TFTディスプレイ用ガラス基板として特に好適である。
本実施形態における熔融ガラスからシートガラスを成形する方法として、フロート法やフュージョン法等が用いられるが、本実施形態のガラス基板のオフラインにおける熱処理を含むガラス基板の製造方法では、フュージョン法(オーバーダウンドロー法)において製造ライン上の徐冷装置を長くすることが困難である点から、フュージョン法に適している。本実施形態の熱処理により熱収縮率を低減する前のガラス基板の熱収縮率は、500℃、10分で熱処理した場合において、80ppm以下であり、より好ましくは40ppm〜60ppmである。
(熱処理炉の構成)
本実施形態の熱処理工程(S4)は、図2に示す熱処理炉を用いて行われる。図2は、熱処理炉1の内部構造を説明する図である。搬送工程も、熱処理炉1を用いて行われる。
熱処理炉1は、ガラス基板Gが搬入されるよう開口された入口3と、炉1内を通過したガラス基板Gが搬出されるよう開口された出口5と、入口3と出口5とを炉1内で接続するように延びる搬送路7と、を有している。ガラス基板Gの搬送方向は、図2において左方から右方に向かう方向であり、矢印Aで示す方向である。なお、図2では、便宜のため、入口3と出口5の間の熱処理炉1の部分を省略している。
ガラス基板Gは、熱処理炉1の上流側を、主表面が上下方向を向いた状態で搬送され、入口3において、図示されない吸着機構によって、主表面が吸着され支持されながら、主表面が搬送方向を向くよう立てられる。
ガラス基板Gは、出口5において、図示されない他の吸着機構によって、主表面が吸着され支持されながら、主表面が上下方向を向くよう寝かせられる(倒される)。寝かせられたガラス基板Gは、熱処理炉1の下流側において、主表面が上下方向を向いた状態で搬送される。
搬送路7は、搬送方向に3つに分けてなる3つの区間を有しており、ガラス基板Gが3つの区間を搬送されることで、ガラス基板Gに対し、昇温、キープ、降温の各熱処理が順に行われる。3つの区間は、温度、ガラス基板Gが搬送される時間等の熱処理条件は異なるが、装置構成は同様である。なお、図2には、昇温区間7a、降温区間7cの各一部が示され、後で参照する図3には、キープ区間7bの一部が示される。
熱処理炉1は、搬送路7上で複数のガラス基板Gを搬送する搬送ユニットと、搬送されるガラス基板Gに対し熱処理を行う熱処理ユニットと、を備える。
(a)搬送ユニット
搬送ユニットは、搬送工程を行うためのものであり、搬送されるガラス基板Gの搬送方向の両側に掛け渡された2本のチェーンベルト(搬送ベルト)21(図3参照)と、チェーンベルト21とともに搬送方向に移動する複数のバー23と、バー23に取り付けられた複数のクランプ25と、駆動機構(図示せず)と、を有している。
チェーンベルト21は、例えば、搬送方向の両端のそれぞれにおいて複数のローラに架け渡され、図2に示されるように駆動される。なお、図2には、便宜のため、搬送方向の上流側の複数のローラのうちの一部のローラのみを示す。チェーンベルト21は、図3に示すように、搬送されるガラス基板Gの幅方向の両端のそれぞれと対応するよう1本ずつ設けられ(図3参照)、搬送工程の間、駆動機構によって駆動される。駆動機構は、チェーンベルト21の搬送方向の両端が掛け渡される軸、および、軸を回転駆動させるためのモータを有しており、不図示の操作装置を操作することによって駆動および駆動停止される。図3は、本実施形態の搬送工程を説明する図である。図3では、チェーンベルト21のうちの搬送方向に移動する部分を示し、搬送方向と反対方向に移動する部分を省略している。また、図3では、説明の便宜のため、クランプ25の図示を省略し、バー23およびガラス基板Gを、互いに間隔をあけた状態で示している。
バー23は、例えば金属を材質とする板状部材である。バー23は、搬送工程(S4)において、長手方向の両端が、搬送方向に移動するチェーンベルト21の部分に載置され、チェーンベルト21に追従するように搬送方向に移動する。バー23には、クランプ25が取り付けられており、熱処理炉1の入口3において、把持機構4によってガラス基板Gがクランプ25に把持されることでガラス基板Gはバー23に吊り下げられる。図4に、バー23およびクランプ25をより詳細に示す。図4は、クランプ25に把持されたガラス基板Gを側方から見て示す図である。ガラス基板Gを吊り下げたバー23は、搬送路7においてガラス基板Gを所定の間隔(ピッチ)で搬送するために、搬送路7の上流側の端に配置されたロード機構8によって、1本ずつ、互いに間隔をあけてチェーンベルト21に載置される。これによって、ガラス基板Gは、バー23を介してチェーンベルト21に吊り下げられた状態で搬送(縦吊り搬送)される。ガラス基板Gの間隔は、狭いほど、生産性は高くなるが、熱風の熱がガラス基板Gによって奪われやすくなる。本実施形態の製造方法では、後述するようにガラス基板Gの面内での熱収縮率のバラつきを低減できることから、ガラス基板Gの間隔が狭い場合にも好適である。ガラス基板Gの間隔は、生産性およびガラス基板同士の接触防止の観点から、ガラス基板Gの間隔は、20〜200mmであることが好ましく、さらに好ましくは50mm〜150mmである。なお、図2および図4では、説明の便宜のため、複数のガラス基板Gの間隔を詰めて示す。
ガラス基板Gを吊り下げたバー23は、搬送路7の下流側の端に配置されたアンロード機構9によって、チェーンベルト21から取り外され、熱処理炉1の出口5において、抜き取り機構6によってガラス基板Gはクランプ25から抜き取られる。
クランプ25は、ガラス基板Gの上端部を把持する部材である。クランプ25は、特に制限されないが、例えば、バネ力によってガラス基板Gの両主表面を挟むバネクランプを採用することができる。1つのバー23に取り付けられるクランプ25の数は、1つであってもよいが、搬送中のガラス基板Gの姿勢をより安定させるために、2つ以上であることが好ましい。2つ以上のクランプ25がバー23に取り付けられている場合、クランプ25は、バー23に対し幅方向にスライドできるよう構成されていることが好ましい。金属材料で構成されたバー23は、ガラス基板Gよりも熱膨張率が高く幅方向に延びやすい。このため、クランプ25がバー23に対して幅方向に移動することで、バー23が熱膨張してもガラス基板Gの上端部に撓みや変形が生じるのを防止することができる。
(b)熱処理ユニット
熱処理ユニットは、熱処理工程(S4)を行うためのものであり、搬送されるガラス基板Gの上方および下方のそれぞれに搬送方向に並ぶよう配置された複数のファン付きヒータ31を有している。ファン付きヒータ31は、搬送されるガラス基板Gに、予め設計された温度プロファイルが形成されるよう、図示しない制御装置によって制御される。
ファン付きヒータ31は、ヒータで加熱された気体をファンで送風するよう、ヒータとファンが互いに隣接して配置された一体の装置であり、熱処理炉1内では、ヒータに対してファンを下方にして配置される。ファン付きヒータ31のヒータには、例えば、バーナーヒータ、電気ヒータが用いられる。ファンは、熱処理工程の間、ヒータで加熱された空気を、図3に示されるように下方に向けて送風するよう駆動される。図3において、熱風が流れる向きを太い矢印で示す。熱処理炉1内の雰囲気中に粉塵が浮遊している場合であっても、このようなダウンフローの熱風によって大きな粉塵(例えば、最大長さが、数μm以上、0.5μm以上)は炉1の底部に運ばれて堆積する。また、小さな粉塵(例えば、最大長さ0.5μm未満)はフィルタ(図示せず)によって除去される。このため、粉塵が雰囲気中を浮遊し続けてガラス基板Gの表面に付着するのを抑えることができる。なお、フィルタは、熱風にさらされるため、耐熱性を有するフィルタが好ましい。フィルタは、例えば、後述するベルト27の下方、ファン付きヒータ31の上方に配置される。また、ダウンフローの熱風は、熱処理炉1内を循環する空気流を形成できる点で好ましい。熱風は、ガラス基板G間を下方に流れた後、熱処理炉1の底部に沿って熱処理炉1の図示されない側壁まで流れて、側壁に沿って上昇し、さらに熱処理炉1の天井に沿って流れることで、搬送路7の周りを循環する。
ファン付きヒータ31は、発熱する領域の横方向(図2の紙面奥行き方向)長さが、搬送されるガラス基板Gの幅方向長さより長いことが好ましい。また、搬送方向に隣り合うファン付きヒータ31の間隔は、搬送方向にわたって熱風の温度にムラが生じないよう調整される。
次に、ステップS4の熱処理について説明する。
ステップS3の処理で搬送されたガラス基板Gに対して、製造ラインから外れたオフラインで熱処理が行われる。切断装置により幅方向の端部(耳部)の切断された板状のガラス基板Gは必要に応じて表面等に付着した切断屑(パーティクル、カレット等)の除去が行われた後、図3に示すように、ガラス基板Gは、熱処理炉1の上流側を、複数の搬送ローラによって主表面が上下方向を向いた状態で搬送され、入口3において、図示されない吸着機構によって、主表面が吸着され支持されながら、主表面が搬送方向を向くよう立てられる。ガラス基板Gは、搬送機構により垂下されつつ熱処理炉1の入口側の所定位置まで搬送されてくる。熱処理炉1では、ファン付きヒータ31を制御して、炉内の雰囲気温度が、熱処理温度になるよう処理する。ここで、熱処理温度とは、高精細ディスプレイに用いるLTPS、IGZOから構成される半導体層をガラス基板Gに形成する形成温度であり、具体的には400℃〜600℃の範囲の温度である。高精細ディスプレイを製造する際のガラス基板Gの加工処理温度は、ガラスの歪点(1014.5ポワズの粘度に相当する温度、例えば661℃)より低い温度である。この加工処理温度より低い温度領域において、ガラス基板の熱収縮率が大きいと、ガラス基板は高精細ディスプレイを製造するためのガラス基板として適さない。このため、高精細ディスプレイを製造するガラス基板の加工処理温度と等しい温度領域である400℃〜600℃の範囲の熱処理温度において、ガラス基板Gを熱処理し、熱処理温度以下の温度領域において、熱収縮率が0〜15ppm、好ましくは0〜10ppm、より好ましくは0〜6ppm、さらに好ましくは0〜3ppmとなるようにする。
なお、歪点はガラスの種類によって異なるが、ガラス基板Gは、熱収縮を小さくするために、歪点が高いガラス組成を有することが好ましく、ガラス基板Gのガラスの歪点は、600℃以上であることが好ましく、より好ましくは655℃以上であり、例えば661℃である。
ガラス基板Gは、熱処理炉内に搬送されると、昇温区間(加熱区間)7aにおいて室温(例えば、25℃)から熱処理温度になるよう加熱される。図5は、ガラス基板Gの熱履歴を示す図である。ガラス基板Gは、昇温区間7a内で搬送されながら、室温から400℃〜600℃の範囲の熱処理温度Tm1になるまで加熱される。ガラス基板Gの温度を熱処理温度になるまで加熱する工程が、加熱工程である。昇温区間7aでは、例えば、6.7℃/分以上〜60℃/分以下の昇温速度S1、加熱時間10分〜60分で加熱する。
次に、ガラス基板Gは、搬送されながら維持区間7bに入り、維持区間7bにおいて400℃〜600℃の範囲の熱処理温度Tm1が維持される。加熱工程を経た後、維持工程では、ガラス基板Gの温度を熱処理温度Tm1で、維持時間60分〜150分維持する。ガラス基板Gの温度を熱処理温度Tm1のまま維持し続ける工程が、維持工程である。維持工程では、ガラス基板Gの温度が400℃〜600℃の範囲で変化してもよく、ガラス基板Gの温度が一定でなくてもよい。
次に、ガラス基板Gは、搬送されながら降温区間(冷却区間)7cに入り、降温区間7cにおいて中間温度Tm2を経て室温まで冷却される。ガラス基板Gの温度を、熱処理温度Tm1から中間温度Tm2、中間温度Tm2から室温まで冷却する工程が、冷却工程である。降温区間では、熱処理温度Tm1から熱処理温度Tm1より50℃〜150℃低い中間温度Tm2(例えば、400℃)になるまでの区間と、中間温度Tm2から室温になるまでの区間とで、ガラス基板Gの降温速度を変化させて冷却する。具体的には、熱処理温度Tm1から中間温度Tm2までの降温区間では、0.8℃/分以上〜2.5℃/分以下の第1降温速度S3、冷却時間60分〜120分で冷却する。中間温度Tm2から常温までの降温区間では、第1降温速度S3より速い第2降温速度S4で冷却する。第2降温速度S4は、第1降温速度S3より速い速度であれば任意である。降温区間においては、熱処理温度Tm1から中間温度Tm2までの第1降温速度を、中間温度Tm2から常温までの第2降温速度より速くすることにより、ガラス基板Gの生産効率性を高めつつ、ガラス基板Gの熱収縮率を低減することができる。
図中に示す温度は室温(常温)<Tm2<Tm1であり、Tm1=熱処理温度(例えば、500℃)、Tm2=中間温度(例えば、400℃)である。
加熱工程、維持工程、冷却工程における速度、時間の範囲を以下に示す。
(1)加熱工程:t1−0=10分〜60分、Tm1−室温=400℃〜600℃、昇温速度S1は、(Tm1−室温)/(t1−0)=6.7℃/分〜60℃/分。
(2)維持工程:t2−t1=60分〜150分、Tm1−Tm1=0、速度S2=(Tm1−Tm1)/(t2−t1)=0℃/分、
(3)第1冷却工程:t3−t2=60分〜120分、Tm1−Tm2=50℃〜150℃、第1降温速度S3=(Tm1−Tm2)/(t3−t2)=0.8℃/分〜2.5℃/分
(4)第2冷却工程:t4−t3>t3−t2、Tm2−室温=350℃〜450℃、第2降温速度S4は、(Tm2−室温)/(t4−t3)>第1降温速度S3。
ここで、室温は、25℃に限定されず、例えば、0℃〜30℃である。また、熱処理温度は、500℃に限定されず、400℃〜600℃の任意の温度であり、中間温度は、400℃に限定されず、熱処理温度−(50℃〜150℃)の任意の温度である。また、昇温速度・降温速度は、ガラス基板G全体を昇温・降温する平均速度である。
熱処理炉500内において、ガラス基板Gの平面方向の周囲(図2では、上方)からの熱風加熱によりガラス基板Gが加熱されると、ガラス基板Gにおいて、ファン付きヒータ31に近い風上側部分とファン付きヒータ31から遠い風下側部分とでは、温度のずれが生じる。このため、ガラス基板Gの熱収縮率の絶対値が小さくなるように、熱処理温度で維持する維持時間を、60分〜150分、より好ましくは、90分〜120分にする。熱処理温度で維持する時間を一定時間以上にすることにより、ガラス基板Gに加えられる熱量が多くなり、ガラス基板Gが熱収縮し、熱収縮率の絶対値が小さくなる。ガラス基板Gの熱収縮率の絶対値を小さくすることにより、ガラス基板Gの面方向の熱収縮率のばらつきを抑制することができる。図6は、熱処理温度で維持する維持時間とガラス基板の熱収縮率の絶対値との関係を示した図である。ここでは、維持工程以外では、昇温工程の時間を10分、降温工程を経ずに、熱処理温度から冷却している。同図に示すように、維持時間が60分を過ぎるとガラス基板Gの熱収縮率の絶対値は3ppm以下になり、維持時間が120分を過ぎるとガラス基板Gの熱収縮率の絶対値は1ppm以下になる。ガラス基板Gの熱収縮率の絶対値を3ppm以下にすることにより、面方向の熱収縮のばらつきは3ppm以下になり、ガラス基板Gの熱収縮率の絶対値を1ppm以下にすることにより、面方向の熱収縮のばらつきは1ppm以下になる。維持時間を60分以上、90分以上、120分以上にすることにより、面方向の熱収縮のばらつきを3ppm以下、2ppm以下、1ppm以下にすることができる。維持時間を120分以上にすることにより、ガラス基板Gの熱収縮率の絶対値を1ppm以下にすることができるが、維持時間が150分であっても、維持時間が120分と比べて、ガラス基板Gの熱収縮率の絶対値はほとんど変化しない。維持時間が150分より長くすると、熱処理効率が悪くなり、ガラス基板Gの生産効率が低下する。このため、熱処理温度で維持する維持時間を、60分〜150分、より好ましくは、90分〜120分にすることにより、ガラス基板Gの生産効率を高めつつ、ガラス基板Gの熱収縮率の絶対値を小さくして、面方向(面内)の熱収縮のばらつきを抑制することができる。
次に、ガラス基板Gを熱処理温度から中間温度まで冷却する冷却時間とガラス基板Gの熱収縮率の絶対値との関係を示す。図7は、冷却時間とガラス基板の熱収縮率の絶対値との関係を示した図である。ここでは、降温工程以外では、昇温工程の時間を10分、維持工程を経ずに、熱処理温度から冷却している。同図に示すように、冷却時間が60分を過ぎるとガラス基板Gの熱収縮率の絶対値は1ppm以下になり、冷却時間が90分を過ぎるとガラス基板Gの熱収縮率の絶対値はほぼ0ppmになる。冷却時間を60分以上にすることにより、ガラス基板Gの熱収縮率の絶対値は1ppm以下になり、面方向の熱収縮のばらつきを1ppm以下にすることができる。冷却時間が120分であっても、冷却時間が90分と比べて、ガラス基板Gの熱収縮率の絶対値はほとんど変化しない。冷却時間が120分より長くすると、熱処理効率が悪くなり、ガラス基板Gの生産効率が低下する。このため、熱処理温度から中間温度まで冷却する冷却時間を、60分〜120分、より好ましくは、約90分にすることにより、ガラス基板Gの生産効率を高めつつ、ガラス基板Gの熱収縮率の絶対値を小さくして、面方向の熱収縮のばらつきを抑制することができる。
次に、ガラス基板Gを室温(常温)から熱処理温度まで加熱する加熱時間とガラス基板Gの熱収縮率の絶対値との関係を示す。図8は、加熱時間とガラス基板の熱収縮率の絶対値との関係を示した図である。ここでは、昇温工程以外では、維持工程、降温工程を経ずに、熱処理温度から冷却している。同図に示すように、加熱時間が10分、30分、60分のいずれであっても、ガラス基板Gの熱収縮率の絶対値はほとんど変化しない。ガラス基板Gの熱収縮率の絶対値は、加熱時間によってほとんど変化しないため、加熱時間が短いほど、ガラス基板Gの生産効率は高くなる。室温から熱処理温度まで加熱する加熱工程では、ガラス基板Gの温度を熱処理温度まで高めることができれば、加熱時間は任意であり、例えば、加熱時間を、60分以下、より好ましくは、10分〜30分にすることにより、ガラス基板Gの生産効率を高めることができる。
このような熱処理により、高精細液晶ディスプレイを製造するのに好適な熱収縮率を有するガラス基板を製造することができる。また、ガラス基板の熱収縮率を0〜15ppmとすることができる。ガラス基板Gの熱収縮率は、0〜10ppmとすることが好ましく、0〜6ppmとすることがより好ましい。このような熱収縮率が、ガラス基板のガラス組成と、熱処理の温度と熱処理時間を調整することにより達成することができる。また、ガラス基板の熱収縮に対して影響が小さい温度領域においては、処理時間を短くし、昇温速度・降温速度を速めることにより、ガラス基板の生産効率を高めることができる。
以上、本発明のガラス基板の製造方法について詳細に説明したが、本発明は上記実施形態及び実施例等に限定されず、本発明の主旨を逸脱しない範囲において、種々の改良や変更をしてもよいのはもちろんである。
1 熱処理炉
3 入口
5 出口
7 搬送路
21 チェーンベルト(搬送ベルト)
23 バー
25 クランプ
27 ベルト
31 ファン付きヒータ
G ガラス基板

Claims (3)

  1. ディスプレイ用のガラス基板を400℃〜600℃の範囲にある熱処理温度で熱処理する熱処理工程を含むガラス基板の製造方法であって、
    前記熱処理工程は、
    互いに隣接する前記ガラス基板を距離的に所定間隔あけた平行状態を維持し、所定間隔をあけて配置された複数の前記ガラス基板の間の隙間に加熱された気体を送風しながら前記ガラス基板の平面方向の周囲から加熱及び冷却する熱処理炉に搬送する搬送工程と、
    前記ガラス基板の熱収縮率の絶対値が10ppm以下になるよう前記ガラス基板の温度を前記熱処理温度維持する維持時間を設定する維持工程と、
    前記ガラス基板の熱収縮率の絶対値が10ppm以下になるよう、前記ガラス基板を搬送しながら前記ガラス基板の温度が前記熱処理温度から前記熱処理温度より50℃から150℃より低い中間温度になるまで前記ガラス基板を冷却する冷却時間を、60分〜120分の時間範囲内で設定して前記ガラス基板を冷却する冷却工程と、を備える、
    ことを特徴とするガラス基板の製造方法。
  2. 前記ガラス基板には、IGZO、LTPSから構成される半導体層が形成される、
    ことを特徴とする請求項1に記載のガラス基板の製造方法。
  3. 前記ガラス基板の歪点は655℃以上である、
    ことを特徴とする請求項1又は2に記載のガラス基板の製造方法。
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