JP6571416B2 - ガラス基板の製造方法、及び、ガラス基板の製造装置 - Google Patents
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Description
ガラス基板を搬送しながら熱処理炉で熱処理する熱処理工程と、ガラス基板を搬送して該熱処理炉にガラス基板を導入する導入工程とを含み、
前記熱処理工程および前記導入工程では、複数のガラス基板それぞれの主表面が搬送方向を向くように一端が保持されて順次搬送され、
前記導入工程は、ガラス基板それぞれの搬送速度を加速させて搬送速度V1にする加速搬入工程と、前記加速搬入工程で得られたガラス基板それぞれの搬送速度V1を減速させて搬送速度V2にしながらガラス基板の振れ幅を低減する振れ防止工程とからなり、
前記振れ防止工程において、隣接するガラス基板間の間隔を、前記熱処理炉におけるガラス基板の最大振れ幅より大となるように設定し、振れ幅が一定の範囲に収まる状態になるまでガラス基板を搬送し、その後、熱処理工程に導入する。
ガラス基板を熱処理炉で熱処理する熱処理工程と、該熱処理炉にガラス基板を導入する導入工程とを含み、
前記熱処理工程および前記導入工程には、複数のガラス基板が一端を保持されて順次搬送され、
前記導入工程は、加速搬入工程と、振れ防止工程とからなり、
前記加速搬入工程における搬送速度V1を振れ防止工程における搬送速度V2より大とし、
前記振れ防止工程において、隣接するガラス基板間の間隔を、前記熱処理炉におけるガラス基板の最大振れ幅より大となるように設定し、振れ幅が一定の範囲に収まる状態になるまでガラス基板を搬送し、その後、前記熱処理工程に導入し、
前記加速搬入工程では、加速度a=(重力加速度g)×(揺れ防止工程におけるガラス基板の間隔D)/(ガラス基板の鉛直方向の長さL)で前記搬送速度V1まで加速させ、
さらに、前記揺れ防止工程において、加速時間よりも長い時間で搬送させて前記搬送速度V2まで減速する。
前記熱処理装置は、ガラス基板を前記熱処理炉に導入する導入機構を備え、
前記熱処理炉および前記導入機構には、複数のガラス基板をそれぞれの主表面が搬送方向を向くように複数のガラス基板の一端を一枚ずつ保持して順次搬送する保持手段が設けられ、
前記導入機構は、ガラス基板の搬送速度を加速させる加速搬入手段と、前記加速搬入手段で得られたガラス基板の搬送速度を減速させながらガラス基板の振れ幅を低減する揺れ防止手段とを備える。
前記熱処理装置は、ガラス基板を前記熱処理炉に導入する導入機構を備え、
前記熱処理炉および前記導入機構には複数のガラス基板を一枚ずつ保持して順次搬送する保持手段が設けられ、
前記導入機構は、加速搬入手段と、揺れ防止手段とを備え、
前記導入機構は、離間して隣接するガラス基板の間に圧縮エアーを緩衝材として供給する緩衝材供給手段をさらに備える。
以下、本発明のガラス基板の製造装置およびガラス基板の製造方法について説明する。
本実施形態において製造されるガラス基板は、特に制限されないが、例えば縦寸法及び横寸法のそれぞれが、500mm〜3500mm、1500mm〜3500mm、1800〜3500mm、2000mm〜3500mmなどが挙げられ、2000mm〜3500mmであることが好ましい。
ガラス基板の厚さは、例えば、0.1〜1.1(mm)が挙げられ、より好ましくは0.75mm以下の極めて薄い矩形形状の板で、例えば、0.55mm以下、さらには0.45mm以下の厚さがより好ましい。ガラス基板の厚さの下限値としては、0.15mm以上が好ましく、0.25mm以上がより好ましい。
まず、熔融されたガラスが、例えばフュージョン法あるいはフロート法等の公知の方法により、所定の厚さの帯状ガラスであるシートガラスが成形される(ステップS1)。
次に、成形されたシートガラスが所定の長さの素板であるガラス基板に採板される(ステップS2)。採板により得られたガラス基板は、搬送機構により、ピンチング保持されつつ、熱処理工程に誘導され搬送される(ステップS3)。次に、この搬送されたガラス基板に対し熱処理を行なう(ステップS4)。
このステップS3の処理およびステップS4の処理が、本実施形態のオフラインアニール工程である。オフラインアニール工程ついては後述する。
SiO2 55〜80モル%、
Al2O3 8〜20モル%、
B2O3 0〜12モル%、
RO 0〜17モル%(ROはMgO、CaO、SrO及びBaOの合量)。
ROのうち、MgOが0〜10モル%、CaOが0〜15モル%、SrOが0〜10%、BaOが0〜10%であることが好ましい。
また、上記ガラス組成のガラス基板におけるアルカリ金属酸化物の含有率は、0モル%以上0.4モル%以下であってもよい。
また、ガラス中で価数変動する金属の酸化物(酸化スズ、酸化鉄)を合計で0.05〜1.5モル%含み、As2O3、Sb2O3及びPbOを実質的に含まないということは必須ではなく任意である。
本実施形態のオフラインアニール工程の熱処理について詳細に説明する。
前述のとおり、本実施形態のオフラインアニール工程は、採板により得られたガラス基板を搬送機構によりピンチング保持してから、熱処理へ誘導し搬送する(ステップS3)、及び、この搬送されたガラス基板に対し熱処理を行なう(ステップS4)、を含む。
ステップS3の搬送機構を説明する。ステップS2で採板されたガラス基板は、受渡装置により、ガラス基板の平面が鉛直方向(Z方向)になるように支持される。受渡装置はガラス基板の平面が鉛直方向に制御するための姿勢制御機構を備えている。
方向が調整されたガラス基板は、その平面が鉛直方向に支持された状態で、ガラス基板の上縁が保持部に固定され吊り下げられる。保持部に固定されたガラス基板は、次工程の熱処理工程の入口側まで搬入手段により誘導され、熱処理炉の入口に導入される。
次のガラス基板の受け渡しのため、受渡装置は採板工程(ステップS2)に備えられた所定の位置へ戻る。これにより連続的にガラス基板の受け渡しを行う。
さらに、この導入プロセスは、ガラス基板の搬送を速度V1(搬送速度V1)まで加速させる加速搬入工程と、速度V1を調整して(たとえば減速して)速度V2(搬送速度V2)を得て熱処理炉にガラス基板を導入する揺れ防止工程と、からなる(図1)。
加速度a=(重力加速度g)×(揺れ防止工程におけるガラス基板の間隔D)/(ガラス基板の鉛直方向の長さL)
上記式において、「揺れ防止工程におけるガラス基板の間隔D」は、「熱処理における隣り合う2枚のガラス基板11の対向する主表面間の距離」を指し、
「ガラス基板の鉛直方向の長さL」とは、「熱処理に施すガラス基板の平面の鉛直方向の長さ」であり、さらに、
上記式の「重力加速度g」は約9.8m/s2とする。
(1)熱処理においてガラス基板11に予め設計された温度プロファイルが形成されるよう、熱処理の制御として、制御装置により発熱装置の温度、風力、風向き等の制御、さらに炉40内の温度分布がほぼ一様となるように発熱量、発熱時間の制御、を決定して、これらの制御内容に基づいて、熱処理に適合するガラス基板11どうしの距離を特定する。
(2)熱処理の制御内容が決定されると、炉40内の風速などの環境条件が特定され、熱処理炉40内におけるガラス基板の最大振れ幅が特定される。
(3)その他の要素として、搬送方向に対し反対向きの風圧(搬送速度に関係する)、ガラス基板11の保持部の大きさ(例えば、進行方向の長さサイズ)、熱処理炉40内のスペース、要求される生産スピード、ガラスのヤング率、熱流の循環による加熱方式を採用する場合の流体が妨げられない間隔、など、制約的な要素を考慮し、熱処理におけるガラス基板どうしの距離が最適に調整される。
間隔Gが狭いほど、生産性は高くなるが、熱風の熱がガラス基板によって奪われやすくなる。後述するように、本実施形態の製造方法では、ガラス基板の面内での熱収縮率のバラつきを低減できることから、ガラス基板の間隔が狭い場合にも好適である。
すなわち、揺れ防止工程の搬送時間は、搬送で生じた揺れ幅が一定の範囲に収まるように決められる。例えば、揺れ防止工程の搬送時間は、加速搬入工程の搬送時間(加速時間)よりも長く設定することができる。
ステップS3の導入機構における加速手段の搬送と、揺れ防止手段の搬送は、導入機構による導入プロセスの搬送速度をV1からV2へ滑らかに制御するためには、連続した一つの手段で搬送するのがより好ましい。
ステップS3の導入機構は、さらに、緩衝材供給手段を備えるのがより好ましい。緩衝材として、ガラス基板11のパーティクル付着防止という観点から、圧縮エアーが好ましい。
ステップS4の熱処理について説明する。本実施形態の熱処理工程(ステップ4)は、例えば、ダウンドロー法により成形されたシートガラスを温度管理された状態で冷却する第1徐冷工程を経て得られたガラス基板を、再度加熱し、所定の温度まで昇温させた後、再度冷却する第2徐冷工程を行う処理である。
熱処理装置101は、主に、熱処理炉40と駆動部102とを備える。熱処理炉40は、ガラス基板11の熱処理が行われる熱処理空間40aを内部に有する。駆動部102は、熱処理炉40内の熱処理空間40aをガラス基板の搬送方向に走行し設置される。駆動部102がガラス基板11を吊り下げて熱処理空間40aを走行し、ガラス基板11が熱処理される。
クランプの種類は、特に制限されないが、例えば、バネ力によってガラス基板11の両主表面を挟むバネクランプを採用することができる。1つの保持部112(例えば、保持バーなど)に取り付けられるクランプの数は、1つであってもよいが、搬送中のガラス基板の姿勢をより安定させるために、2つ以上であることが好ましい。2つ以上のクランプが保持部112に取り付けられている場合、クランプは、保持部に対し幅方向にスライドできるよう構成されていることが好ましい。金属材料で構成された保持部は、ガラス基板11よりも熱膨張率が高く幅方向に延びやすい。このため、クランプが保持部112に対して幅方向に移動することで、保持部(保持バーなど)が熱膨張してもガラス基板11上端部に撓みや変形が生じるのを防止することができる。
ガラス基板11の間隔Gは、狭いほど、生産性は高くなるが、熱風の熱がガラス基板によって奪われやすくなる。本実施形態の製造方法では、後述するようにガラス基板の面内での熱収縮率のバラつきを低減できることから、ガラス基板の間隔が狭い場合にも好適である。
また、熱処理空間40aにおいて熱流を循環させてガラス基板11を加熱する方式を採用する場合、熱流の流れが妨げられないように、ガラス基板11の間隔を定めることができる。
本実施形態では、ガラス基板の間隔Gは、10mm〜300mmの範囲であればよく、生産効率の観点から、好ましくは200mm以下、より好ましくは150mm以下、更により好ましいのは100mm以下である。ガラス基板の間隔Gの下限値として、50mm以上が好ましい。
ガラス基板11の上面と下面との間で熱履歴に差が生じると、上面と下面とで熱収縮率が異なり、引っ張りと圧縮応力が生じるために反りが発生する。このため、ガラス基板11の上面と下面の温度変化の差をなくす、つまり、熱履歴の差を小さくする。
熱処理炉40では、ファン付きヒータを制御して、炉内の雰囲気温度が、熱処理温度になるよう処理する。ここで、熱処理温度とは、高精細ディスプレイに用いるLTPS、IGZOから構成される半導体層をガラス基板11に形成する形成温度であり、具体的には400℃〜600℃の範囲の温度である。高精細ディスプレイを製造する際のガラス基板Gの加工処理温度は、ガラスの歪点(1014.5ポワズの粘度に相当する温度、例えば661℃)より低い温度である。この加工処理温度より低い温度領域において、ガラス基板の熱収縮率が大きいと、ガラス基板は高精細ディスプレイを製造するためのガラス基板として適さない。このため、高精細ディスプレイを製造するガラス基板の加工処理温度と等しい温度領域である400℃〜600℃の範囲の熱処理温度において、ガラス基板11を熱処理し、熱処理温度以下の温度領域において、熱収縮率が0〜15ppm、好ましくは0〜10ppm、より好ましくは0〜6ppm、さらに好ましくは0〜3ppmとなるようにする。
なお、歪点はガラスの種類によって異なるが、ガラス基板11は、熱収縮を小さくするために、歪点が高いガラス組成を有することが好ましく、ガラス基板11のガラスの歪点は、600℃以上であることが好ましく、より好ましくは655℃以上であり、例えば661℃が挙げられ、更に690℃以上であることがより好ましい。
歪点が661℃である場合、熱処理温度は、歪点(661℃)−(60℃〜260℃)=601℃〜401℃であることが好ましい。しかし、ガラス基板11の熱収縮率を小さくして、ガラス基板11を高精細ディスプレイ用ガラス基板として用いるためには、上記の温度範囲に限定されない。例えば、熱処理温度は、400℃〜550℃でもよい。
熱処理空間40aは、主として、昇温空間、維持空間および降温空間から構成される。駆動部102によって搬送されるガラス基板11は、熱処理工程において、昇温空間40a、維持空間40aおよび降温空間40aを順に通過する。
加熱工程、維持工程、冷却工程における速度、時間の範囲を以下に示す。
(1)加熱工程:t1−0=10分〜60分、Tm1−室温=400℃〜600℃、昇温速度S1は、(Tm1−室温)/(t1−0)=6.7℃/分〜60℃/分。
(2)維持工程:t2−t1=60分〜150分、Tm1−Tm1=0、速度S2=(Tm1−Tm1)/(t2−t1)=0℃/分、
(3)第1冷却工程:t3−t2=60分〜120分、Tm1−Tm2=50℃〜150℃、第1降温速度S3=(Tm1−Tm2)/(t3−t2)=0.8℃/分〜2.5℃/分
(4)第2冷却工程:t4−t3>t3−t2、Tm2−室温=350℃〜450℃、第2降温速度S4は、(Tm2−室温)/(t4−t3)>第1降温速度S3。
ここで、室温は、25℃に限定されず、例えば、0℃〜30℃である。また、熱処理温度は、500℃に限定されず、400℃〜600℃の任意の温度であり、中間温度は、400℃に限定されず、熱処理温度−(50℃〜150℃)の任意の温度である。また、昇温速度・降温速度は、ガラス基板G全体を昇温・降温する平均速度である。
13 緩衝吸収材
14 圧縮エアー
40 熱処理装置
40a 熱処理空間
101 熱処理装置
102 駆動部
112 保持部
Claims (5)
- ガラス基板をアニールするガラス基板の製造方法において、
ガラス基板を搬送しながら熱処理炉で熱処理する熱処理工程と、ガラス基板を搬送して該熱処理炉にガラス基板を導入する導入工程とを含み、
前記熱処理工程および前記導入工程では、複数のガラス基板それぞれの主表面が搬送方向を向くように一端が保持されて順次搬送され、
前記導入工程は、ガラス基板それぞれの搬送速度を加速させて搬送速度V1にする加速搬入工程と、前記加速搬入工程で得られたガラス基板それぞれの搬送速度V1を減速させて搬送速度V2にしながらガラス基板の振れ幅を低減する振れ防止工程とからなり、
前記振れ防止工程において、隣接するガラス基板間の間隔を、前記熱処理炉におけるガラス基板の最大振れ幅より大となるように設定し、振れ幅が一定の範囲に収まる状態になるまでガラス基板を搬送し、その後、熱処理工程に導入する、ことを特徴とするガラス基板の製造方法。 - ガラス基板をアニールするガラス基板の製造方法において、
ガラス基板を熱処理炉で熱処理する熱処理工程と、該熱処理炉にガラス基板を導入する導入工程とを含み、
前記熱処理工程および前記導入工程には、複数のガラス基板の一端が保持されて複数のガラス基板が順次搬送され、
前記導入工程は、加速搬入工程と、振れ防止工程とからなり、
前記加速搬入工程における搬送速度V1を振れ防止工程における搬送速度V2より大とし、
前記振れ防止工程において、隣接するガラス基板間の間隔を、前記熱処理炉におけるガラス基板の最大振れ幅より大となるように設定し、振れ幅が一定の範囲に収まる状態になるまでガラス基板を搬送し、その後、前記熱処理工程に導入し、
前記加速搬入工程では、加速度a=(重力加速度g)×(揺れ防止工程におけるガラス基板の間隔D)/(ガラス基板の鉛直方向の長さL)で前記搬送速度V1まで加速させ、
さらに、前記揺れ防止工程において、加速時間よりも長い時間で搬送させて前記搬送速度V2まで減速する、ことを特徴とするガラス基板の製造方法。 - ガラス基板のアニール工程を行う熱処理炉を備えた熱処理装置を含むガラス基板の製造装置であって、
前記熱処理装置は、ガラス基板を前記熱処理炉に導入する導入機構を備え、
前記熱処理炉および前記導入機構は、複数のガラス基板それぞれの主表面が搬送方向を向くように複数のガラス基板の一端を一枚ずつ保持して順次搬送する保持手段が設けられ、
前記導入機構は、ガラス基板の搬送速度を加速させる加速搬入手段と、前記加速搬入手段で得られたガラス基板の搬送速度を減速させながらガラス基板の振れ幅を低減する揺れ防止手段とを備える、ことを特徴とするガラス基板の製造装置。 - 前記導入機構は、離間して隣接するガラス基板の間に緩衝材を供給する緩衝材供給手段をさらに備える、請求項3に記載のガラス基板の製造装置。
- ガラス基板のアニール工程を行う熱処理炉を備えた熱処理装置を含むガラス基板の製造装置であって、
前記熱処理装置は、ガラス基板を前記熱処理炉に導入する導入機構を備え、
前記熱処理炉および前記導入機構には複数のガラス基板を一枚ずつ保持して順次搬送する保持手段が設けられ、
前記導入機構は、加速搬入手段と、揺れ防止手段とを備え、
前記導入機構は、離間して隣接するガラス基板の間に圧縮エアーを緩衝材として供給する緩衝材供給手段をさらに備える、ことを特徴とするガラス基板の製造装置。
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