JP6571413B2 - ディスプレイ用ガラス板の製造方法、及び、ガラス板製造装置 - Google Patents
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(1)ディスプレイ用ガラス板の製造方法であって、
成形されたガラス板に対し熱処理を行う熱処理工程と、
前記熱処理中に複数の前記ガラス板を、互いに間隔をあけて、前記ガラス板の一端を保持しながら搬送する搬送工程と、を備え、
搬送される前記ガラス板の下方に、前記搬送工程において前記ガラス板から離脱して落下したガラス片を受ける受け部が、前記ガラス板の搬送方向にわたって配置され、
前記製造方法は、前記受け部に落下したガラス片を検知する検知工程をさらに備え、
前記検知工程では、搬送される前記ガラス板と前記受け部との上下方向間の高さ位置で、前記搬送方向の一方の側からレーザ光を照射し、前記搬送方向の他方の側で受光されたレーザ光の強度に基づいて、前記受け部に落下した前記ガラス片を検知し、
前記高さ位置は、前記検知工程において、前記受け部に落下した前記ガラス片のうち、搬送される前記ガラス板と接触しうるガラス片は検知され、搬送される前記ガラス板と接触しないガラス片は検知されないよう調整されており、
前記搬送工程では、前記検知工程において前記ガラス片が検知されると、前記搬送を停止することを特徴とするディスプレイ用ガラス板の製造方法。
成形されたガラス板に対し熱処理を行う熱処理装置と、
前記熱処理中に複数の前記ガラス板を、互いに間隔をあけて、前記ガラス板の一端を保持しながら搬送する搬送装置と、を備え、
搬送される前記ガラス板の下方に、搬送される前記ガラス板から離脱して落下したガラス片を受ける受け部が、前記ガラス板の搬送方向にわたって配置され、
前記ディスプレイ用ガラス板製造装置は、さらに、前記受け部に落下したガラス片を検知する検知装置を備え、
前記検知装置は、搬送される前記ガラス板と前記受け部との上下方向間の高さ位置で、前記搬送方向の一方の側からレーザ光を照射し、前記搬送方向の他方の側で受光されたレーザ光の強度に基づいて、前記受け部に落下した前記ガラス片を検知し、
前記高さ位置は、前記検知装置が、前記受け部に落下した前記ガラス片のうち、搬送される前記ガラス板と接触しうるガラス片を検知し、搬送される前記ガラス板と接触しないガラス片を検知しないよう調整されており、
前記搬送装置は、前記検知装置が前記ガラス片を検知すると、前記搬送を停止することを特徴とするディスプレイ用ガラス板製造装置。
本実施形態のディスプレイ用ガラス板の製造方法は、成形されたガラス板に対し熱処理を行う熱処理工程と、熱処理中に複数のガラス板を、互いに間隔をあけて、ガラス板の一端を保持しながら搬送する搬送工程と、搬送工程においてガラス板から離脱して落下したガラス片を検知する検知工程と、を備える。そして、搬送工程では、検知工程においてガラス片が検知されると、搬送を停止する。この方法では、ガラス板から離脱したガラス片が検知されると、ガラス板の搬送が停止される。このため、後続して搬送されるガラス板がガラス片と接触するのを回避し、他のガラス板が損傷を受けることを未然に防ぐことができる。
図1は、本実施形態のガラス板の製造方法の工程の一例を示す図である。
ガラス板の製造方法は、成形工程(S1)と、徐冷工程(S2)と、採板工程(S3)と、熱処理工程(S4)と、切断工程(S5)と、端面加工工程(S6)と、洗浄工程(S7)と、検査工程(S8)と、梱包工程(S9)と、を備える。
徐冷工程(S2)では、成形されて搬送されるシートガラスの内部歪および反りが生じないよう、徐冷装置において冷却する。
採板工程(S3)では、徐冷されたシートガラスを所定の長さごとに切断して複数のガラス板を得る。ガラス板は、矩形形状に採板されることが好ましく、サイズは、特に制限されないが、例えば、縦長さおよび横長さがそれぞれ500mm〜3500mmである。ガラス板の板厚は、例えば、0.1〜1.1mmである。
熱処理工程(S4)では、後述する熱処理炉を用いてガラス板の熱処理を行う。なお、熱処理炉を用いて、ガラス板を搬送する搬送工程、および、ガラス板から離脱して落下したガラス片を検知する検知工程が、熱処理工程(S4)と並行して行われる。
切断工程(S5)では、搬送されたガラス板を所定のサイズに切断して複数のガラス基板を得る。ガラス基板は、矩形形状に切断されることが好ましく、サイズは、特に制限されないが、例えば、縦長さおよび横長さがそれぞれ500mm〜3500mmである。
端面加工工程(S6)では、ガラス基板に対し、端面の研削、研磨およびコーナーカットを含む端面加工を行う。
洗浄工程(S7)では、ガラス基板を洗浄する。
検査工程(S8)では、洗浄されたガラス基板に対し、表面に傷、塵、汚れがないか、あるいは、気泡、異物等の内部欠陥がないか、光学的検査を行う。
梱包工程(S9)では、検査の結果、所望の品質に適合するガラス基板を梱包する。梱包されたガラス基板は納入先業者に出荷される。
本実施形態のガラス板製造装置は、上記説明した成形工程(S1)〜採板工程(S3)の各工程を行う装置として、成形装置、徐冷装置、切断装置を備えている。このうち、成形装置は、オーバーフローダウンドロー法による成形が行われる場合、熔融ガラスを成形するための成形体を有している。ガラス板製造装置は、さらに、後述する、熱処理工程を行う熱処理ユニット(熱処理装置)、搬送工程を行う搬送ユニット(搬送装置)、検知工程を行う検知ユニット(検知装置)、を備えている。
本実施形態で製造されるガラス板は、ディスプレイに用いられるディスプレイ用ガラス板であり、例えば、フラットパネルディスプレイ(FPD)用ガラス板、曲面ディスプレイ用ガラス板である。また、本実施形態で製造されるガラス板は、例えば、IGZO(インジウム、ガリウム、亜鉛、酸素)等の酸化物半導体を使用した酸化物半導体ディスプレイ用ガラス板、LTPS(低温ポリシリコン)半導体を使用したLTPSディスプレイ用ガラス板である。また、本実施形態で製造されるガラス板は、例えば、液晶ディスプレイ用ガラス板、有機ELディスプレイ用ガラス板である。
本実施形態で製造されるガラス板は、熱収縮率は10ppm以下であることが、ディスプレイに用いられる点から好ましく、熱収縮率は6ppm以下であることがより好ましく、3ppm以下であることがより好ましく、2ppm以下であることがより好ましい。ガラス板の熱収縮率を2ppm以下にすることにより、ガラス板の面内の熱収縮のばらつきを2ppm以下にすることができる。
ガラス板の歪点は、高精細なディスプレイ用ガラス板とするために、600℃〜760℃であることが好ましい。例えば、歪点は、661℃である。
このようなガラス板は、高精細なディスプレイに用いられる、LTPS(低温ポリシリコン)・TFTディスプレイ用ガラス基板、あるいは、酸化物半導体・TFTディスプレイ用ガラス基板、を作製するのに特に好適である。
SiO2 55〜80モル%、
Al2O3 8〜20モル%、
B2O3 0〜12モル%、
RO 0〜17モル%(ROはMgO、CaO、SrO及びBaOの合量)。
ROのうち、MgOが0〜10モル%、CaOが0〜15モル%、SrOが0〜10%、BaOが0〜10%であることが好ましい。
また、上記ガラス組成のガラス基板におけるアルカリ金属酸化物の含有率は、0モル%以上0.4モル%以下であってもよい。
また、ガラス中で価数変動する金属の酸化物(酸化スズ、酸化鉄)を合計で0.05〜1.5モル%含み、As2O3、Sb2O3及びPbOを実質的に含まないということは必須ではなく任意である。
ここで、熱処理工程(S4)、搬送工程、および検知工程を、これらの工程で用いられる熱処理炉を説明しながら説明する。図2に、熱処理炉1の内部構造を示す。
熱処理炉1は、ガラス板Gが搬入されるよう開口された入口3と、炉1内を通過したガラス板Gが搬出されるよう開口された出口5と、入口3と出口5とを炉1内で接続するように延びる搬送路7と、を有している。ガラス板Gの搬送方向は、図2において左方から右方に向かう方向であり、矢印Aで示す方向である。なお、図2では、便宜のため、入口3と出口5の間の熱処理炉1の部分を省略している。
ガラス板Gは、出口5において、図示されない他の吸着機構によって、主表面が吸着され支持されながら、主表面が上下方向を向くよう寝かせられる(倒される)。寝かせられたガラス板Gは、熱処理炉1の下流側において、主表面が上下方向を向いた状態で搬送される。
搬送路7は、搬送方向に3つに分けてなる3つの区間を有しており、ガラス板Gが3つの区間を搬送されることで、ガラス板Gに対し、昇温、キープ、降温の各熱処理が順に行われる。3つの区間は、温度、ガラス板Gが搬送される時間等の熱処理条件は異なるが、装置構成は同様である。なお、図2には、昇温区間7a、降温区間7cの各一部が示され、後で参照する図3には、キープ区間7bの一部が示される。
熱処理ユニットは、熱処理工程を行うためのものであり、搬送されるガラス板Gの上方および下方のそれぞれに搬送方向に並ぶよう配置された複数のファン付きヒータ31と、複数のヒータ33と、を有している。ファン付きヒータ31およびヒータ33は、搬送されるガラス板Gに、予め設計された温度プロファイルが形成されるよう、図示しない制御装置によって制御される。
搬送ユニットは、搬送工程を行うためのものであり、搬送されるガラス板Gの搬送方向の両側に掛け渡された2本のチェーンベルト(搬送ベルト)21と、チェーンベルト21とともに搬送方向に移動する複数のバー23と、バー23に取り付けられた複数のクランプ25と、駆動機構(図示せず)と、制御装置(図示せず)と、を有している。
ベルト27としてメッシュベルトを用いた場合は、メッシュベルトの開孔を通過しうる比較的サイズの小さいガラス片やガラス屑に関しては、開孔を通過させて熱処理炉1の床面2に落下させ、比較的サイズの大きいガラス片Pのみを排出ベルト27上に受けることができる。これにより、後続するガラス板Gと接触する可能性の高い比較的サイズの大きいガラス片Pのみをベルト27上に残し、後続するガラス板Gと接触する可能性の低い比較的サイズの小さいガラス片が検知ユニットによって頻繁に検知されてしまうのを回避できる。また、メッシュベルトを用いることによって、熱処理工程において送風されるダウンフローの熱風をメッシュベルトを通過させて下方に流すことができ、熱風の下方向への流れを安定させることができる。
ベルト27は、ガラス板Gから離脱したガラス片Pをより確実に受け止める観点からは、搬送されるガラス板Gの幅方向長さよりも長い横幅(図2の紙面奥行方向の長さ)を有していることが好ましい。なお、熱処理炉1の底部は、ベルト27の代わりに、駆動されない板状部材によって構成されてもよい。この場合、駆動されない板状部材が受け部として機能する。
ガラス板Gを吊り下げたバー23は、搬送路7の下流側の端に配置されたアンロード機構9によって、チェーンベルト21から取り外され、熱処理炉1の出口5において、抜き取り機構6によってガラス板Gはクランプ25から抜き取られる。
検知ユニットは、レーザ光Lを搬送方向に照射するレーザ光照射部41と、レーザ光照射部41から照射されたレーザ光Lを受光する受光部43と、を有している。図2において、レーザ光照射部41および受光部43は、便宜のため四角形状で示す。
例えば、レーザ光照射部41は、ガラス板Gの幅方向に沿って配置された複数のレーザ光源を有していてもよい。この場合、受光部43には、各レーザ光源から照射されたレーザ光を受光デバイスに収束させるためのレンズを含む光学系がレーザ光の光路上に配置されてもよく、レーザ光源から照射されたレーザ光のそれぞれを受光する複数の受光デバイスが備えられてもよい。この場合、複数のレーザ光源、および、1または複数のデバイスのそれぞれは、ガラス板Gの幅方向の全域にわたって配置されることが好ましい。
また、例えば、レーザ光照射部41は、レーザ光を平面方向(図2の上下方向と直交する方向)に拡げてシート状のレーザ光を照射するよう、レーザ光の光路上に複数のシリンドリカルレンズを含む光学系をさらに有していてもよい。この場合、受光部43には、シート状のレーザ光を受光デバイスに収束させるためのレンズを含む光学系が、レーザ光の光路上に配置される。
また、例えば、レーザ光照射部41は、搬送方向に照射されたレーザ光を、図2の紙面奥行方向にスキャンするよう構成され、受光部43は、スキャンされたレーザ光を受光できるよう構成されていてもよい。
特に、液晶ディスプレイ用ガラス板は、近年の液晶ディスプレイの大型化に伴って比較的サイズが大きくなっているために、ガラス板Gの端部に傷や割れが生じることよって、よりサイズの小さいガラス板と比べて歩留まり率は悪化しやすい。本実施形態の方法では、ガラス片Pが落下した場合にガラス板Gの搬送が停止されるため、後続するガラス板が損傷を受けるのを未然に防ぐことができるので、歩留まり率の悪化を抑えることができる。
3 入口
5 出口
7 搬送路
21 チェーンベルト(搬送ベルト)
23 バー
25 クランプ
27 ベルト
31 ファン付きヒータ
33 ヒータ
41 レーザ光照射部
43 受光部
G ガラス板
P ガラス片
Claims (5)
- ディスプレイ用ガラス板の製造方法であって、
成形されたガラス板に対し熱処理を行う熱処理工程と、
前記熱処理中に複数の前記ガラス板を、互いに間隔をあけて、前記ガラス板の一端を保持しながら搬送する搬送工程と、を備え、
搬送される前記ガラス板の下方に、前記搬送工程において前記ガラス板から離脱して落下したガラス片を受ける受け部が、前記ガラス板の搬送方向にわたって配置され、
前記製造方法は、前記受け部に落下したガラス片を検知する検知工程をさらに備え、
前記検知工程では、搬送される前記ガラス板と前記受け部との上下方向間の高さ位置で、前記搬送方向の一方の側からレーザ光を照射し、前記搬送方向の他方の側で受光されたレーザ光の強度に基づいて、前記受け部に落下した前記ガラス片を検知し、
前記高さ位置は、前記検知工程において、前記受け部に落下した前記ガラス片のうち、搬送される前記ガラス板と接触しうるガラス片は検知され、搬送される前記ガラス板と接触しないガラス片は検知されないよう調整されており、
前記搬送工程では、前記検知工程において前記ガラス片が検知されると、前記搬送を停止することを特徴とするディスプレイ用ガラス板の製造方法。 - 前記搬送工程において、前記ガラス板は、前記ガラス板の搬送方向にわたって吊り下げられた状態で搬送される、請求項1に記載のディスプレイ用ガラス板の製造方法。
- 前記搬送工程において、前記ガラス板を搬送方向に搬送する搬送ベルトに取り付けられたクランプによって前記ガラス板の上端部が把持されることによって、前記ガラス板は前記搬送ベルトに吊り下げられている、請求項2に記載のディスプレイ用ガラス板の製造方法。
- 前記熱処理は、隣り合う前記ガラス板間の隙間に加熱された気体を送風することで行われる、請求項1から3のいずれか1項に記載のディスプレイ用ガラス板の製造方法。
- ディスプレイ用ガラス板製造装置であって、
成形されたガラス板に対し熱処理を行う熱処理装置と、
前記熱処理中に複数の前記ガラス板を、互いに間隔をあけて、前記ガラス板の一端を保持しながら搬送する搬送装置と、を備え、
搬送される前記ガラス板の下方に、搬送される前記ガラス板から離脱して落下したガラス片を受ける受け部が、前記ガラス板の搬送方向にわたって配置され、
前記ディスプレイ用ガラス板製造装置は、さらに、前記受け部に落下したガラス片を検知する検知装置を備え、
前記検知装置は、搬送される前記ガラス板と前記受け部との上下方向間の高さ位置で、前記搬送方向の一方の側からレーザ光を照射し、前記搬送方向の他方の側で受光されたレーザ光の強度に基づいて、前記受け部に落下した前記ガラス片を検知し、
前記高さ位置は、前記検知装置が、前記受け部に落下した前記ガラス片のうち、搬送される前記ガラス板と接触しうるガラス片を検知し、搬送される前記ガラス板と接触しないガラス片を検知しないよう調整されており、
前記搬送装置は、前記検知装置が前記ガラス片を検知すると、前記搬送を停止することを特徴とするディスプレイ用ガラス板製造装置。
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