JP6031466B2 - 空気入りタイヤと空気入りタイヤの製造方法 - Google Patents

空気入りタイヤと空気入りタイヤの製造方法 Download PDF

Info

Publication number
JP6031466B2
JP6031466B2 JP2014077772A JP2014077772A JP6031466B2 JP 6031466 B2 JP6031466 B2 JP 6031466B2 JP 2014077772 A JP2014077772 A JP 2014077772A JP 2014077772 A JP2014077772 A JP 2014077772A JP 6031466 B2 JP6031466 B2 JP 6031466B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
sheet
thermoplastic resin
elastomer
resin composition
pneumatic tire
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Fee Related
Application number
JP2014077772A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2015199375A (ja
Inventor
秀樹 瀬戸
秀樹 瀬戸
橋村 嘉章
嘉章 橋村
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Yokohama Rubber Co Ltd
Original Assignee
Yokohama Rubber Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Yokohama Rubber Co Ltd filed Critical Yokohama Rubber Co Ltd
Priority to JP2014077772A priority Critical patent/JP6031466B2/ja
Priority to CN201580008830.1A priority patent/CN106029401A/zh
Priority to US15/301,934 priority patent/US20170182844A1/en
Priority to DE112015001627.9T priority patent/DE112015001627T5/de
Priority to PCT/JP2015/060599 priority patent/WO2015152399A1/ja
Publication of JP2015199375A publication Critical patent/JP2015199375A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP6031466B2 publication Critical patent/JP6031466B2/ja
Expired - Fee Related legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Classifications

    • BPERFORMING OPERATIONS; TRANSPORTING
    • B60VEHICLES IN GENERAL
    • B60CVEHICLE TYRES; TYRE INFLATION; TYRE CHANGING; CONNECTING VALVES TO INFLATABLE ELASTIC BODIES IN GENERAL; DEVICES OR ARRANGEMENTS RELATED TO TYRES
    • B60C5/00Inflatable pneumatic tyres or inner tubes
    • B60C5/12Inflatable pneumatic tyres or inner tubes without separate inflatable inserts, e.g. tubeless tyres with transverse section open to the rim
    • B60C5/14Inflatable pneumatic tyres or inner tubes without separate inflatable inserts, e.g. tubeless tyres with transverse section open to the rim with impervious liner or coating on the inner wall of the tyre
    • BPERFORMING OPERATIONS; TRANSPORTING
    • B29WORKING OF PLASTICS; WORKING OF SUBSTANCES IN A PLASTIC STATE IN GENERAL
    • B29DPRODUCING PARTICULAR ARTICLES FROM PLASTICS OR FROM SUBSTANCES IN A PLASTIC STATE
    • B29D30/00Producing pneumatic or solid tyres or parts thereof
    • B29D30/06Pneumatic tyres or parts thereof (e.g. produced by casting, moulding, compression moulding, injection moulding, centrifugal casting)
    • B29D30/0681Parts of pneumatic tyres; accessories, auxiliary operations
    • BPERFORMING OPERATIONS; TRANSPORTING
    • B29WORKING OF PLASTICS; WORKING OF SUBSTANCES IN A PLASTIC STATE IN GENERAL
    • B29DPRODUCING PARTICULAR ARTICLES FROM PLASTICS OR FROM SUBSTANCES IN A PLASTIC STATE
    • B29D30/00Producing pneumatic or solid tyres or parts thereof
    • B29D30/06Pneumatic tyres or parts thereof (e.g. produced by casting, moulding, compression moulding, injection moulding, centrifugal casting)
    • B29D30/08Building tyres
    • B29D30/20Building tyres by the flat-tyre method, i.e. building on cylindrical drums
    • B29D30/30Applying the layers; Guiding or stretching the layers during application
    • B29D30/3007Applying the layers; Guiding or stretching the layers during application by feeding a sheet perpendicular to the drum axis and joining the ends to form an annular element
    • BPERFORMING OPERATIONS; TRANSPORTING
    • B29WORKING OF PLASTICS; WORKING OF SUBSTANCES IN A PLASTIC STATE IN GENERAL
    • B29DPRODUCING PARTICULAR ARTICLES FROM PLASTICS OR FROM SUBSTANCES IN A PLASTIC STATE
    • B29D30/00Producing pneumatic or solid tyres or parts thereof
    • B29D30/06Pneumatic tyres or parts thereof (e.g. produced by casting, moulding, compression moulding, injection moulding, centrifugal casting)
    • B29D30/0681Parts of pneumatic tyres; accessories, auxiliary operations
    • B29D2030/0682Inner liners
    • BPERFORMING OPERATIONS; TRANSPORTING
    • B29WORKING OF PLASTICS; WORKING OF SUBSTANCES IN A PLASTIC STATE IN GENERAL
    • B29KINDEXING SCHEME ASSOCIATED WITH SUBCLASSES B29B, B29C OR B29D, RELATING TO MOULDING MATERIALS OR TO MATERIALS FOR MOULDS, REINFORCEMENTS, FILLERS OR PREFORMED PARTS, e.g. INSERTS
    • B29K2101/00Use of unspecified macromolecular compounds as moulding material
    • B29K2101/12Thermoplastic materials
    • BPERFORMING OPERATIONS; TRANSPORTING
    • B60VEHICLES IN GENERAL
    • B60CVEHICLE TYRES; TYRE INFLATION; TYRE CHANGING; CONNECTING VALVES TO INFLATABLE ELASTIC BODIES IN GENERAL; DEVICES OR ARRANGEMENTS RELATED TO TYRES
    • B60C5/00Inflatable pneumatic tyres or inner tubes
    • B60C5/12Inflatable pneumatic tyres or inner tubes without separate inflatable inserts, e.g. tubeless tyres with transverse section open to the rim
    • B60C5/14Inflatable pneumatic tyres or inner tubes without separate inflatable inserts, e.g. tubeless tyres with transverse section open to the rim with impervious liner or coating on the inner wall of the tyre
    • B60C2005/147Inflatable pneumatic tyres or inner tubes without separate inflatable inserts, e.g. tubeless tyres with transverse section open to the rim with impervious liner or coating on the inner wall of the tyre characterised by the joint or splice

Landscapes

  • Engineering & Computer Science (AREA)
  • Mechanical Engineering (AREA)
  • Tires In General (AREA)
  • Tyre Moulding (AREA)
  • Laminated Bodies (AREA)

Description

本発明は、空気入りタイヤと空気入りタイヤの製造方法に関する。
さらに詳しくは、熱可塑性樹脂または熱可塑性樹脂とエラストマーのブレンド物からなる熱可塑性樹脂組成物シートと、エラストマーシートとを積層してなるシート積層体の端部が、該シート積層体の他端と重ね合わされて成形されたラップスプライス部を有する空気入りタイヤにおいて、該空気入りタイヤの走行を開始した後、該スプライス部分付近においてクラックが発生することがなく、耐久性に優れた空気入りタイヤとそのような特性を有する空気入りタイヤを製造する方法に関する。
近年、熱可塑性樹脂または熱可塑性樹脂とエラストマーのブレンド物からなる熱可塑性樹脂組成物シートと、エラストマーシートとを積層してなるシート積層体を空気入りタイヤのタイヤ構造部材として使用することが検討されている。
例えば、熱可塑性樹脂または熱可塑性樹脂とエラストマーのブレンド物からなる熱可塑性樹脂組成物シートと、エラストマーシートとを積層してなるシート積層体を、空気入りタイヤのインナーライナー層や、適宜箇所の補強部材に使用することが検討されている。
このような熱可塑性樹脂または熱可塑性樹脂とエラストマーのブレンド物からなる熱可塑性樹脂組成物シートと、エラストマーシートとを積層してなるシート積層体をタイヤ構造部材として用いるためには、該シート積層体をタイヤ成形ドラムに巻き付けて、端部をラップスプライスしてタイヤの加硫工程に供するという製造手法がとられる。
具体的には、熱可塑性樹脂または熱可塑性樹脂とエラストマーのブレンド物からなる熱可塑性樹脂組成物シートをなしているフィルムをインナーライナーに使用する場合、該熱可塑性樹脂組成物シートであるフィルムと、エラストマーシートとして、該フィルムと加硫接着されるタイゴムシートを使用して、それらを積層した積層体シートをタイヤ成形ドラムに巻き付けて、端部をラップスプライスしてタイヤの加硫工程に供して、ラップスプライスされているインナーライナー層を有する空気入りタイヤを製造するという手法がとられる。こうした製造手法(全周にわたり設置する場合、端部をラップスプライスして設置すること)は、インナーライナー層に使用する場合だけに限らず、タイヤの適宜箇所の補強層として使用するときもほぼ同様である。
しかし、そうして製造されたタイヤの走行を開始した後、熱可塑性樹脂または熱可塑性樹脂とエラストマーのブレンド物からなる熱可塑性樹脂組成物シートと、該熱可塑性樹脂組成物シートと加硫接着されたエラストマーシートが剥離してしまう場合があった。あるいは、加硫成形時においてインフレーションを受けた際に、ラップスプライス部の接合状態が剥がれ等を生ずることにより解けてしまい、スプライスによる接合部がオープン(開口)してしまうことがあった。
これを、熱可塑性樹脂組成物シート2であるフィルムと、エラストマーシート3のシート積層体1を、インナーライナー層に使用した例を、図5、図6で説明すると、図5(a)に示したように、熱可塑性樹脂または熱可塑性樹脂とエラストマーのブレンド物からなる熱可塑性樹脂組成物シート2と、エラストマーシート3とからなるシート積層体1は、タイヤサイズに応じて定まる所要サイズ(長さ)に形成されて、タイヤ成形ドラム(図示せず)上にて、その両端部にラップスプライス部Sを設けて環状を成すようにして重ね合わされ(オーバーラップされ)、ラップスプライスされる。エラストマーシート3はタイゴム層をなすものである。なお、該シート積層体1は、1枚の使用のときは、その両端部がラップスプライスされて環状を成すように形成され、あるいは複数枚の使用のときは、それら相互の端部同士がラップスプライスされて繋ぎ合わされ全体で一つの環状を成すように形成される場合がある。
そして、更にタイヤの製造に必要なパーツ材(図示せず)が巻かれ、ブラダーで加硫成形される。加硫成形後においては、図5(b)にモデル図で示したように、熱可塑性樹脂または熱可塑性樹脂とエラストマーのブレンド物からなる熱可塑性樹脂組成物シート2がインナーライナー層10を成し、ラップスプライス部S付近では、該熱可塑性樹脂組成物シート2が、内腔側に露出している部分と、タイヤ外周側でエラストマーシート3(タイゴム層)の中に埋設している部分とで、エラストマーシート3′(タイゴム層)を介して重なっていて、該ラップスプライス部Sが形成されている。図5上、上の方がタイヤ内腔側であり、下の方がタイヤ外周側であり、X−X方向がタイヤ周方向である。
すなわち、該熱可塑性樹脂組成物シート2のタイヤ周方向端部がタイヤ幅方向にわたってエラストマーシート3′(タイゴム層)を介して重なっているスプライス部Sを有し、該ラップスプライス部Sはタイヤ幅方向E−Eにわたって存在して空気入りタイヤTが形成されている(図6)。
そして、上述した熱可塑性樹脂組成物シート2と、該熱可塑性樹脂組成物シート2と加硫接着されたエラストマーシート3(タイゴム層)とが、走行開始後あるいは加硫成形中〜成形直後までの間で剥離を起こしたり、接合部がオープン(開口)してしまう現象は、特に、図5(b)で示した熱可塑性樹脂組成物シート2が露出していてかつその先端部付近4などにおいて発生し、まずクラックが発生する。そして、該熱可塑性樹脂組成物シート2の剥離やスプライス接合部のオープンなどに進展していく。
このようなクラック発生、接合部のオープンなどを防止するために、シート積層体1は、その端部付近の形態においてさまざまな検討がされてきている(特許文献1−3)。
特開平10−129208号公報 特開平11−5261号公報 特開2009−241855号公報
上述したように、熱可塑性樹脂組成物シート2と、該熱可塑性樹脂組成物シート2と加硫接着されたエラストマーシート3(タイゴム層)とが、走行開始後あるいは加硫成形中〜成形直後までの間などで剥離を起こしたり、接合部がオープン(開口)してしまう現象は、特に、図5(b)で示した熱可塑性樹脂組成物シート2が露出していてかつその先端部付近4などにおいて発生し、まずクラックや亀裂が発生する。そして、それが該熱可塑性樹脂組成物シート2の剥離や接合部のオープンなどに進展していく。
しかし、上述した従来技術によるものは、クラックの発生、剥離の発生に一定の効果をもたらすものの、いまだ改善が要請されるものであった。
本発明の目的は、上述したような点に鑑み、熱可塑性樹脂または熱可塑性樹脂とエラストマーのブレンド物からなる熱可塑性樹脂組成物シートと、エラストマーシートとを積層してなるシート積層体の端部が、該シート積層体の他端と重ね合わされて成形されたラップスプライス部を有する空気入りタイヤにおいて、走行開始後あるいは加硫成形中〜成形直後までの間などで、それらシートが剥離を起こしたり、シートの接合部がオープン(開口)してしまう現象等を生じない、耐久性に優れた空気入りタイヤとその製造方法を提供することにある。
上述した目的を達成する本発明の空気入りタイヤは、以下の(1)の構成を有する。
(1)熱可塑性樹脂または熱可塑性樹脂とエラストマーのブレンド物からなる熱可塑性樹脂組成物シートエラストマーシートとを積層してなるシート積層体が前記熱可塑性樹脂組成物シートをタイヤ内腔側として配設されており、前記シート積層体の端部該シート積層体の他端と重ね合わされて成形されたラップスプライス部を有する空気入りタイヤにおいて、
(a)前記シート積層体、前記熱可塑性樹脂組成物シートと該熱可塑性樹脂組成物シートよりもタイヤ周方向での幅が広いエラストマーシートを貼り合わせてなるシート積層体であり
かつ、
(b)前記シート積層体の両端部においてそれぞれ前記エラストマーシートの幅の超過部分前記熱可塑性樹脂組成物シート側に折り返されており、該折り返された箇所前記シート積層体の端部として該シート積層体の他端と重ね合わされている
ことを特徴とする空気入りタイヤ。
かかる本発明の空気入りタイヤにおいて、更に、以下の(2)〜(4)のいずれかの構成を有することが好ましい。
(2)前記エラストマーシートの厚さが、0.1mm以上1mm以下であることを特徴とする上記(1)記載の空気入りタイヤ。
(3)前記エラストマーシートの折り返し幅が、3mm以上80mm以下であることを特徴とする上記(1)または(2)記載の空気入りタイヤ。
(4)前記重ね合わせ部分において、前記熱可塑性樹脂組成物シートのラップ長さLが5mm以上25mm以下であることを特徴とする上記(1)〜(3)のいずれかに記載の空気入りタイヤ。
また、上述した目的を達成する本発明の空気入りタイヤの製造方法は、以下の(5)の構成を有する。
(5)熱可塑性樹脂または熱可塑性樹脂とエラストマーのブレンド物からなる熱可塑性樹脂組成物シートエラストマーシートとを積層してなるシート積層体を前記熱可塑性樹脂組成物シートがタイヤ内腔側となるように環状に成形し、前記シート積層体の端部を該シート積層体の他端と重ね合わせてラップスプライス部を成形する工程を含むタイヤの製造方法において、前記熱可塑性樹脂組成物シート該熱可塑性樹脂組成物シートよりもタイヤ周方向での幅が広いエラストマーシートを貼り合わせてシート積層体とし、さらに、前記シート積層体の両端部においてそれぞれ前記エラストマーシートの幅の超過部分を熱可塑性樹脂組成物シート側に折り返し、該折り返した箇所前記シート積層体の端部として該シート積層体の他端と重ね合わせて加硫成形工程に供することを特徴とする空気入りタイヤの製造方法。
また、かかる本発明の空気入りタイヤの製造方法において、更に、以下の(6)〜(9)のいずれかの構成を有することが好ましい。
(6)前記エラストマーシートの厚さが、0.1mm以上1mm以下であることを特徴とする上記(5)記載の空気入りタイヤの製造方法。
(7)前記エラストマーシートの折り返し幅が、3mm以上80mm以下であることを特徴とする上記(5)または(6)記載の空気入りタイヤの製造方法。
(8)前記重ね合わせ部分において、前記熱可塑性樹脂組成物シートのラップ長さLが5mm以上25mm以下であることを特徴とする上記(5)〜(7)のいずれかに記載の空気入りタイヤの製造方法。
(9)前記エラストマーシートの幅の超過部分を、熱可塑性樹脂組成物シート側に折り返しするに際して、該エラストマーシートの温度を40℃以上120℃以下の温度条件下で行うことを特徴とする上記(5)〜(8)のいずれかに記載の空気入りタイヤの製造方法。
請求項1にかかる本発明の空気入りタイヤによれば、熱可塑性樹脂または熱可塑性樹脂とエラストマーのブレンド物からなる熱可塑性樹脂組成物シートと、エラストマーシートとを積層してなるシート積層体の端部が、該シート積層体の他端と重ね合わされて成形されたラップスプライス部を有する空気入りタイヤにおいて、走行開始後あるいは加硫成形中〜成形直後までの間などで、それらシートが剥離を起こしたり、シートの接合部がオープン(開口)してしまう現象などを生ずることのない、耐久性に優れた空気入りタイヤが提供される。
特に、請求項2〜4のいずれかにかかる本発明によれば、請求項1にかかる本発明の効果をより明確に有した空気入りタイヤが提供される。
また、請求項5にかかる本発明の空気入りタイヤの製造方法によれば、熱可塑性樹脂または熱可塑性樹脂とエラストマーのブレンド物からなる熱可塑性樹脂組成物シートと、エラストマーシートとを積層してなるシート積層体の端部が、該シート積層体の他端と重ね合わされて成形されたラップスプライス部を有する空気入りタイヤにおいて、走行開始後あるいは加硫成形中〜成形直後までの間などで、それらシートが剥離を起こしたり、シートの接合部がオープン(開口)してしまう現象等を生ずることのない、耐久性に優れた空気入りタイヤを製造する方法を提供することができる。
特に、請求項6〜8のいずれかにかかる本発明の空気入りタイヤの製造方法によれば、請求項5にかかる本発明の効果をより明確に有する空気入りタイヤの製造方法が提供される。
図1(a)本発明により得られる空気入りタイヤのスプライス部の構造の例を説明するものであり、図1(b)はその参考例を説明するものであり、いずれも図5(a)に対応した加硫成形前のスプライス部構造例をモデル的に説明する側面図である。 図2(a)〜(d)は、本発明の空気入りタイヤとその製造方法の1実施態様例を説明するモデル図である。 図3(a)〜(d)は、本発明の空気入りタイヤとその製造方法の参考例を説明するモデル図である。 図4は、本発明の空気入りタイヤとその製造方法を実施する場合の製造工程の1例として、エラストマーシートの幅の超過部分を、熱可塑性樹脂組成物シート側に折り返すことを機械的に行う場合の一手法の例をモデル的に示したものである。 図5(a)、(b)は、従来技術の問題点を説明するものであり、(a)は、熱可塑性樹脂または熱可塑性樹脂とエラストマーのブレンド物からなる熱可塑性樹脂組成物シート2と、エラストマーシート3とからなり、所定サイズ(長さ)を有するシート積層体を、タイヤ成形ドラム(図示せず)上にて、その両端部にスプライス部Sを設けて環状を成すようにして重ね合わせた状態を示し、(b)は、(a)に示した状態でタイヤを加硫成形した後の状態を示したモデル図である。 本発明にかかる空気入りタイヤの形態の1例を示した一部破砕斜視図であり、本発明にかかる、熱可塑性樹脂組成物シートとエラストマーシートからなるシート積層体をインナーライナー層の形成に使用したときのラップスプライス部のタイヤ内における位置関係を説明するものである。
以下、更に詳しく本発明の空気入りタイヤと空気入りタイヤの製造方法について、説明する。
本発明の空気入りタイヤは、熱可塑性樹脂または熱可塑性樹脂とエラストマーのブレンド物からなる熱可塑性樹脂組成物シート2と、エラストマーシート3とを積層してなるシート積層体の端部が、該シート積層体の他端と重ね合わされて成形されたラップスプライス部を有する空気入りタイヤにおいて、
(a)前記シート積層体1として、前記熱可塑性樹脂組成物シート2と該熱可塑性樹脂組成物シート2よりもタイヤ周方向での幅が広いエラストマーシート3を貼り合わせたシート積層体1を用いて、
かつ、
(b)前記シート積層体1の両端部においてそれぞれ前記エラストマーシート3の幅の超過部分を、前記熱可塑性樹脂組成物シート2側に折り返し、該折り返した箇所を前記シート積層体1の端部として他端と重ね合わされて成形されてなることを特徴とするものである。
図1(a)は、かかる本発明の空気入りタイヤにおいて実現されるラップスプライス部を示した側面図であり、シート積層体1として、熱可塑性樹脂組成物シート2と該熱可塑性樹脂組成物シート2よりもタイヤ周方向での幅が広いエラストマーシート3を貼り合わせたシート積層体を用いるにあたり、シート積層体1の両端部においてそれぞれエラストマーシート3の幅の超過部分を、熱可塑性樹脂組成物シート2側に折り返し、その折り返した箇所5を前記シート積層体1の端部として他端と重ね合わせて成形(加硫成形)を行う。
このようにしてラップスプライスして加硫成形を行えば、図1の(a)に示したように、スプライスされる接合面が、エラストマーシート3どうしとなるものであり、同一材料としての加硫成形/加硫接合となり、その結果、他材料との接合の場合と比較して、接合強度(スプライス強度)を大きくすることができる。また、熱可塑性樹脂組成物シート2の両先端部(図1(a)の場合)、または片方の先端部(図1(b)の場合)が、エラストマーシート3内に完全に包埋される構造となるので、エラストマーシート3どうしの接合の強さと相俟って、スプライス部付近でのクラックや亀裂の発生が非常に少なく、接合部が開口する等の問題の発生を大幅に抑制することができる。
図1の(a)は、折り返した箇所5を前記シート積層体1の両端部に設けた場合、同(b)は片一方の端部にのみ設けた場合を示しており、それぞれの場合で折り返し部を形成する手順例を、図2(a)〜(d)では両端部に設ける場合、図3(a)〜(d)では片端部に設ける場合について説明する。
まず、図2(a)、図3(a)に示したように、熱可塑性樹脂組成物シート2と、該熱可塑性樹脂組成物シート2よりもタイヤ周方向での幅が広いエラストマーシート3を貼り合わせてシート積層体1とし、さらに、少なくとも片側のエラストマーシート3の幅の超過部分を熱可塑性樹脂組成物シート2側に折り返し(図2(b)、図3(b)の矢印)、該折り返した箇所5を形成する(図2(b)、図3(b))。さらに、製造するタイヤ幅に合わせて図2(c)、図3(c)に示したように切断し、さらに、図2(d)、図3(d)に示したように、環状になるようにかつ熱可塑性樹脂組成物シート2側が環状の中心側(タイヤ内腔側)になるようにして撓めて(矢印方向)、シート積層体2の端部どうしをラップスプライスするのである。このようにして、図1(a)、(b)に示したようなスプライス構造を実現でき、前述した効果を得ることができる。
図4は、本発明の空気入りタイヤとその製造方法を実施する場合の製造工程の1例として、エラストマーシート3の幅の超過部分を、熱可塑性樹脂組成物シート2側に折り返すことを、エラストマーシート3の圧延工程中において機械的に行う場合の一手法の例をモデル的に示したものである。6は送りローラ、7は積層押さえローラ、8は折り返し部押さえローラである。
エラストマーシート3の厚さTは、特に限定されるものではないが、0.1mm以上1mm以下であることが実際的で好ましい。1mmを超えるほどに厚すぎると、折り返しずらくなり、精度良くかつ効率よく折り返すことが難しくなる。0.1mm未満の薄さになると、シワになりやすく工程の管理がむずかしくなるので好ましくない。該エラストマーシートの厚さは、より好ましくは0.5mm以上0.7mm以下である。
エラストマーシート3の折り返し幅W(図2、図3)は、3mm以上80mm以下であることが好ましい。折り返し幅が3mm未満などと短いと、本発明の効果が乏しくなり、スプライス部がオープン化しやすくなり、また、80mmを超えるほどに長いと、折り返し時にシワになりやすく好ましくない。ただし、適宜に、タイヤ寸法などに応じて、折り返し部分の形態は、熱可塑性樹脂組成物シート2の全体を完全にあるいはほぼ完全に包み込むような長さまで、折り返しをする構造としてもよい。
また、重ね合わせ部分において、熱可塑性樹脂組成物シート2のラップ長さL(図1(a)、(b))が5mm以上25mm以下であることが好ましい。ラップ長さLが5mm未満などと短い場合には、スプライスのオープン化が発生しやすくなるので好ましくなく、また、該ラップ長さLが25mmよりも大きな場合には、ユニフォミティが低下する方向であるので好ましくない。該熱可塑性樹脂組成物シートのラップ長さLは、より好ましくは5mm以上15mm以下である。
上述した本発明の空気入りタイヤを製造する方法は、熱可塑性樹脂または熱可塑性樹脂とエラストマーのブレンド物からなる熱可塑性樹脂組成物シート2と、エラストマーシート3とを積層してなるシート積層体1の端部を他端と重ね合わせて成形する工程を含むタイヤの製造方法において、前記熱可塑性樹脂組成物シート2と、該熱可塑性樹脂組成物シートよりもタイヤ周方向での幅が広いエラストマーシート3を貼り合わせてシート積層体1とし、さらに、前記シート積層体1の両端部においてそれぞれ前記エラストマーシート3の幅の超過部分を熱可塑性樹脂組成物シート2側に折り返し、該折り返した箇所を、前記シート積層体1の端部として他端と重ね合わせて加硫成形工程に供することを特徴とする方法である。
この方法を実施するに際し、好ましいエラストマーシート3の厚さT、好ましいエラストマーシート3の折り返し幅W、好ましい熱可塑性樹脂組成物シート2のラップ長さなどは、上述したと同一である。
特に限定はされないが、本発明で使用される熱可塑性樹脂組成物シート2は厚さで30〜300μmのものを使用することが好ましい。
また、エラストマーシート3の幅の超過部分を、熱可塑性樹脂組成物シート側に折り返しするに際して、該エラストマーシート3の温度を40℃以上120℃以下の温度条件下で行うことが好ましい。特に、エラストマーシート3の温度を40℃以上で折りたたむことにより、熱可塑性樹脂組成物シート2とエラストマーシート3の密着性が向上し、加硫成形工程中などでも、より剥がれにくくなる。120℃よりも高い高温度で折りたたむ場合には、タイヤ加硫成形の以前に、該エラストマーシートの加硫が進んでしまうことがあり、密着性の上では好ましくない方向であり、注意すべきである。本発明者らの知見によれば、より好ましくは、該エラストマーシート3の温度を60℃以上90℃以下の温度条件下で折りたたみを行うことである。
図6は、本発明にかかる空気入りタイヤの形態の1例を示した一部破砕斜視図である。
空気入りタイヤTは、トレッド部11の左右にサイドウォール部12とビード部13を連接するように設けている。そのタイヤ内側には、タイヤの骨格たるカーカス層14が、タイヤ幅方向に左右のビード13、13間に跨るように設けられている。トレッド部11に対応するカーカス層4の外周側にはスチールコードからなる2層のベルト層15が設けられている。矢印Eはタイヤ幅方向を示し、矢印Xはタイヤ周方向を示している。カーカス層14の内側には、インナーライナー層10が配され、そのスプライス部Sがタイヤ幅方向に延びて存在している。
本発明にかかる空気入りタイヤでは、タイヤ内周面上でこのスプライス部S付近で従来は生じやすかったクラックや、剥離の発生、接合部の開口の発生が抑制されて耐久性が著しく向上する。
本発明で「熱可塑性樹脂組成物シート」とは、代表的には、「熱可塑性樹脂」からなるフィルム状のシートか、あるいは「熱可塑性樹脂を主成分として維持しつつ、該樹脂にエラストマーをブレンドしたブレンド物」からなるフィルムのシートの2者を総称していう。後者の場合であっても主成分は熱可塑性樹脂とするものであり、熱可塑性樹脂を主成分とするフィルムは、ゴム100%のシートなどと比較して、一般に剛性が大きいという特質を有するのである。それ故に、上述した本発明の構成として、該シートのスプライス部付近を保護することが、空気入りタイヤの寿命を長くする上で重要なものである。
以下に、本発明で、該熱可塑性樹脂組成物シート2に用いることのできる熱可塑性樹脂、エラストマーについて説明する。
本発明で該熱可塑性樹脂組成物シート2に用いることのできる熱可塑性樹脂としては、例えば、ポリアミド系樹脂〔例えば、ナイロン6(N6)、ナイロン66(N66)、ナイロン46(N46)、ナイロン11(N11)、ナイロン12(N12)、ナイロン610(N610)、ナイロン612(N612)、ナイロン6/66共重合体(N6/66)、ナイロン6/66/610共重合体(N6/66/610)、ナイロンMXD6(MXD6)、ナイロン6T、ナイロン9T、ナイロン6/6T共重合体、ナイロン66/PP共重合体、ナイロン66/PPS共重合体〕及びそれらのN−アルコキシアルキル化物、例えば、ナイロン6のメトキシメチル化物、ナイロン6/610共重合体のメトキシメチル化物、ナイロン612のメトキシメチル化物、ポリエステル系樹脂〔例えば、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンイソフタレート(PEI)、PET/PEI共重合体、ポリアリレート(PAR)、ポリブチレンナフタレート(PBN)、液晶ポリエステル、ポリオキシアルキレンジイミドジ酸/ポリブチレンテレフタレート共重合体などの芳香族ポリエステル〕、ポリニトリル系樹脂〔例えば、ポリアクリロニトリル(PAN)、ポリメタクリロニトリル、アクリロニトリル/スチレン共重合体(AS)、(メタ)アクリロニトリル/スチレン共重合体、(メタ)アクリロニトリル/スチレン/ブタジエン共重合体〕、ポリメタクリレート系樹脂〔例えば、ポリメタクリル酸メチル(PMMA)、ポリメタクリル酸エチル〕、ポリビニル系樹脂〔例えば、ポリ酢酸ビニル、ポリビニルアルコール(PVA)、ビニルアルコール/エチレン共重合体(EVOH)、ポリ塩化ビニリデン(PVDC)、ポリ塩化ビニル(PVC)、塩化ビニル/塩化ビニリデン共重合体、塩化ビニリデン/メチルアクリレート共重合体、塩化ビニリデン/アクリロニトリル共重合体(ETFE)〕、セルロース系樹脂〔例えば、酢酸セルロース、酢酸酪酸セルロース〕、フッ素系樹脂〔例えば、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、ポリフッ化ビニル(PVF)、ポリクロルフルオロエチレン(PCTFE)、テトラフロロエチレン/エチレン共重合体〕、イミド系樹脂〔例えば、芳香族ポリイミド(PI)〕等を好ましく用いることができる。
また、本発明において、熱可塑性樹脂組成物シート2に用いることのできる、ブレンド物を構成する熱可塑性樹脂とエラストマーは、熱可塑性樹脂については上述のものを使用できる。該ブレンド物を構成するエラストマーとしては、例えば、ジエン系ゴム及びその水添物〔例えば、天然ゴム(NR)、イソプレンゴム(IR)、エポキシ化天然ゴム、スチレンブタジエンゴム(SBR)、ブタジエンゴム(BR、高シスBR及び低シスBR)、ニトリルゴム(NBR)、水素化NBR、水素化SBR〕、オレフィン系ゴム〔例えば、エチレンプロピレンゴム(EPDM、EPM)、マレイン酸変性エチレンプロピレンゴム(M−EPM)、ブチルゴム(IIR)、イソブチレンと芳香族ビニル又はジエン系モノマー共重合体、アクリルゴム(ACM)、アイオノマー〕、含ハロゲンゴム〔例えば、Br−IIR、CI−IIR、臭素化イソブチレン−p−メチルスチレン共重合体(BIMS)、クロロプレンゴム(CR)、ヒドリンゴム(CHR)、クロロスルホン化ポリエチレンゴム(CSM)、塩素化ポリエチレンゴム(CM)、マレイン酸変性塩素化ポリエチレンゴム(M−CM)〕、シリコンゴム〔例えば、メチルビニルシリコンゴム、ジメチルシリコンゴム、メチルフェニルビニルシリコンゴム〕、含イオウゴム〔例えば、ポリスルフィドゴム〕、フッ素ゴム〔例えば、ビニリデンフルオライド系ゴム、含フッ素ビニルエーテル系ゴム、テトラフルオロエチレン−プロピレン系ゴム、含フッ素シリコン系ゴム、含フッ素ホスファゼン系ゴム〕、熱可塑性エラストマー〔例えば、スチレン系エラストマー、オレフィン系エラストマー、エステル系エラストマー、ウレタン系エラストマー、ポリアミド系エラストマー〕等を好ましく使用することができる。
特に、該エラストマーの50重量%以上が、ハロゲン化ブチルゴムまたは臭素化イソブチレンパラメチルスチレン共重合ゴムまたは無水マレイン酸変性エチレンαオレフィン共重合ゴムであることが、ゴム体積率を増やして低温から高温に至るまで柔軟、高耐久化できる点で好ましい。
また、該ブレンド物中の熱可塑性樹脂の50重量%以上が、ナイロン11、ナイロン12、ナイロン6、ナイロン6、ナイロン66、ナイロン6/66共重合体、ナイロン6/12共重合体、ナイロン6/10共重合体、ナイロン4/6共重合体、ナイロン6/66/12共重合体、芳香族ナイロン、およびエチレン/ビニルアルコール共重合体のいずれかであることが、空気透過防止性と耐久性を両立できる点で好ましい。
また、前記した特定の熱可塑性樹脂と前記した特定のエラストマーとの組合せでブレンドをしてブレンド物を得るに際して、相溶性が異なる場合は、第3成分として適当な相溶化剤を用いて両者を相溶化させることができる。ブレンド系に相溶化剤を混合することにより、熱可塑性樹脂とエラストマーとの界面張力が低下し、その結果、分散相を形成しているエラストマーの粒子径が微細になることから両成分の特性はより有効に発現されることになる。そのような相溶化剤としては、一般的に熱可塑性樹脂およびエラストマーの両方または片方の構造を有する共重合体、あるいは熱可塑性樹脂またはエラストマーと反応可能なエポキシ基、カルボニル基、ハロゲン基、アミノ基、オキサゾリン基、水酸基等を有した共重合体の構造をとるものとすることができる。これらはブレンドされる熱可塑性樹脂とエラストマーの種類によって選定すればよいが、通常使用されるものには、スチレン/エチレン・ブチレンブロック共重合体(SEBS)及びそのマレイン酸変性物、EPDM、EPM、EPDM/スチレン又はEPDM/アクリロニトリルグラフト共重合体及びそのマレイン酸変性物、スチレン/マレイン酸共重合体、反応性フェノキシン等を挙げることができる。かかる相溶化剤の配合量には特に限定されないが、好ましくは、ポリマー成分(熱可塑性樹脂とエラストマーとの合計)100重量部に対して、0.5〜10重量部がよい。
熱可塑性樹脂とエラストマーがブレンドされたブレンド物において、特定の熱可塑性樹脂とエラストマーとの組成比は、特に限定されるものではなく、熱可塑性樹脂のマトリクス中にエラストマーが不連続相として分散した構造をとるように適宜決めればよく、好ましい範囲は重量比90/10〜30/70である。
本発明において、熱可塑性樹脂、または熱可塑性樹脂とエラストマーをブレンドしたブレンド物には、例えば、インナーライナーとしての必要特性を損なわない範囲、あるいは、補強材としての必要特性を個なわない範囲で、相溶化剤などの他のポリマーを混合することができる。他のポリマーを混合する目的は、熱可塑性樹脂とエラストマーとの相溶性を改良するため、材料の成型加工性を良くするため、耐熱性向上のため、コストダウンのため等があり、これに用いられる材料としては、例えば、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、ポリスチレン(PS)、ABS、SBS、ポリカーボネート(PC)等を例示することができる。
また、一般的にポリマー配合物に配合される充填剤(炭酸カルシウム、酸化チタン、アルミナ等)、カーボンブラック、ホワイトカーボン等の補強剤、軟化剤、可塑剤、加工助剤、顔料、染料、老化防止剤等を、インナーライナーあるいは補強剤としての必要特性を損なわない限り任意に配合することもできる。熱可塑性樹脂とエラストマーのブレンド物は、熱可塑性樹脂のマトリクス中にエラストマーが不連続相として分散した構造をとる。かかる構造をとることにより、インナーライナーあるいは補強材に十分な柔軟性と連続相としての樹脂層の効果により、十分な空気透過防止性を併せ付与することができると共に、エラストマーの多少によらず、成形に際し、熱可塑性樹脂と同等の成形加工性を得ることができるものである。
また、熱可塑性樹脂とブレンドされるエラストマーは、熱可塑性樹脂との混合の際に、動的に加硫することもできる。動的に加硫する場合の加硫剤、加硫助剤、加硫条件(温度、時間)等は、添加するエラストマーの組成に応じて適宜決定すればよく、特に限定されるものではない。
このように熱可塑性樹脂組成物中のエラストマーが動的加硫をされていることは、得られる樹脂フィルムシートが加硫エラストマーを含んだシートとなるので、外部からの変形に対して抵抗力(弾性)があり、本発明の効果を大きくできることになり好ましい。
加硫剤としては、一般的なゴム加硫剤(架橋剤)を用いることができる。具体的には、イオウ系加硫剤としては粉末イオウ、沈降性イオウ、高分散性イオウ、表面処理イオウ、不溶性イオウ、ジモルフォリンジサルファイド、アルキルフェノールジサルファイド等を例示でき、例えば、0.5〜4phr〔本明細書において、「phr」は、エラストマー成分100重量部あたりの重量部をいう。以下、同じ。〕程度用いることができる。
また、有機過酸化物系の加硫剤としては、ベンゾイルパーオキサイド、t−ブチルヒドロパーオキサイド、2,4−ジクロロベンゾイルパーオキサイド、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキサン、2,5−ジメチルヘキサン−2,5−ジ(パーオキシルベンゾエート)等が例示され、例えば、1〜20phr程度用いることができる。
更に、フェノール樹脂系の加硫剤としては、アルキルフェノール樹脂の臭素化物や、塩化スズ、クロロプレン等のハロゲンドナーとアルキルフェノール樹脂とを含有する混合架橋系等が例示でき、例えば、1〜20phr程度用いることができる。
その他として、亜鉛華(5phr程度)、酸化マグネシウム(4phr程度) 、リサージ(10〜20phr程度)、p−キノンジオキシム、p−ジベンゾイルキノンジオキシム、テトラクロロ−p−ベンゾキノン、ポリ−p−ジニトロソベンゼン(2〜10phr程度)、メチレンジアニリン(0.2〜10phr程度)が例示できる。
また、必要に応じて、加硫促進剤を添加してもよい。加硫促進剤としては、アルデヒド・アンモニア系、グアニジン系、チアゾール系、スルフェンアミド系、チウラム系、ジチオ酸塩系、チオウレア系等の一般的な加硫促進剤を、例えば、0.5〜2phr程度用いることができる。
具体的には、アルデヒド・アンモニア系加硫促進剤としては、ヘキサメチレンテトラミン等、グアジニン系加硫促進剤としては、ジフェニルグアジニン等、チアゾール系加硫促進剤としては、ジベンゾチアジルジサルファイド(DM)、2−メルカプトベンゾチアゾール及びそのZn塩、シクロヘキシルアミン塩等、スルフェンアミド系加硫促進剤としては、シクロヘキシルベンゾチアジルスルフェンアマイド(CBS)、N−オキシジエチレンベンゾチアジル−2−スルフェンアマイド、N−t−ブチル−2−ベンゾチアゾールスルフェンアマイド、2−(チモルポリニルジチオ)ベンゾチアゾール等、チウラム系加硫促進剤としては、テトラメチルチウラムジサルファイド(TMTD)、テトラエチルチウラムジサルファイド、テトラメチルチウラムモノサルファイド(TMTM)、ジペンタメチレンチウラムテトラサルファイド等、ジチオ酸塩系加硫促進剤としては、Zn−ジメチルジチオカーバメート、Zn−ジエチルジチオカーバメート、Zn−ジ−n−ブチルジチオカーバメート、Zn−エチルフェニルジチオカーバメート、Te−ジエチルジチオカーバメート、Cu−ジメチルジチオカーバメート、Fe−ジメチルジチオカーバメート、ピペコリンピペコリルジチオカーバメート等、チオウレア系加硫促進剤としては、エチレンチオウレア、ジエチルチオウレア等を挙げることができる。また、加硫促進助剤としては、一般的なゴム用助剤を併せて用いることができ、例えば、亜鉛華(5phr程度)、ステアリン酸やオレイン酸及びこれらのZn塩(2〜4phr程度)等が使用できる。
本発明で使用されるエラストマーシート3は、従来からタイゴムとして使用されている天然ゴム、イソブレンゴム、スチレンブタジエンゴム、ブタジエンゴムおよびブチルゴムのいずれか1種または複数種をポリマー中の主成分とするものを使用することが好ましい。さらに、エラストマーシート3は、接着性ゴムからなることが製造工程上好ましく、その場合、熱可塑性樹脂または熱可塑性樹脂とエラストマーのブレンド物からなる熱可塑性樹脂組成物シート2と、該エラストマーシート3とを接着層を介さずに直接積層させたものでも、ほとんど一体物として扱うことができるので好ましい。
また、前述のとおり、エラストマーシート3の幅の超過部分を、熱可塑性樹脂組成物シート側に折り返しするに際しては、該エラストマーシート3の温度を40℃以上120℃以下の温度条件下で行うことが好ましく、特に、エラストマーシート3の温度を40℃以上で折りたたむことによって、熱可塑性樹脂組成物シート2とエラストマーシート3の密着性が向上するので、加硫成形工程中などでもより剥がれにくくなり好ましい。
以下、実施例などにより、本発明について具体的に説明する。
参考例1〜6、実施例1〜6、比較例1
試験タイヤとして、ベルト2層、カーカス1層のタイヤ構造を有するタイヤサイズ195/65R15 91H(15x6J)の試験タイヤを、参考例1〜6、実施例1〜6、比較例1ごとに各5本ずつを製造した。
評価は、各試験タイヤにおいて、インナーライナーを形成する熱可塑性樹脂組成物シート2(厚さ130μm)として表1に記載の組成のもの、タイゴムであるエラストマーシート3(厚さ0.7mm)として表2に記載の組成のものを、それぞれ共通に用いて加硫成形を行い、その加硫成形工程においてスプライス部が剥がれずに成形できるか、否かを判定して評価した。それぞれにおいて、熱可塑性樹脂組成物シートのラップ長さLは10mmとした。
Figure 0006031466
Figure 0006031466
各試験タイヤは、表3、表4に示したとおりに、折り返しの有無、折り返しは片側か両側か、折り返しの幅、折り返し加工時のエラストマーシートの温度、エラストマーシートの厚さなどを変更し、それぞれ目視で、以下の評価基準に従い評価判定した。
評価結果は、表3、表4に示したとおりである。
Figure 0006031466
Figure 0006031466
(1)スプライス部の耐オープン性の評価:
参考例1〜6、実施例1〜6、比較例1ごとに、各5本ずつ製造した試験タイヤについて、以下の評価基準に従い、3段階評価を行った。
(a)優秀……3本がスプライス部で剥がれが認められないもの、
(b)良い……寸法が1mm×1mm以下の剥がれが、1本でもあったもの(他は剥がれが認められない)
(c)不良……寸法が1mm×1mmよりも大きな剥がれが、1本でもあったもの(他は剥がれが認められない)、
1:シート積層体
2:熱可塑性樹脂組成物シート
3、3′:エラストマーシート(タイゴム層)
4:熱可塑性樹脂組成物シートの先端部付近
5:エラストマーシート3の折り返した箇所
6:送りローラ
7:積層押さえローラ
8:折り返し部押さえローラ
10:インナーライナー層
11:トレッド部
12:サイドウォール部
13:ビード
14:カーカス層
15:ベルト層
16:ビードフィラー
T:空気入りタイヤ
L:ラップスプライス部における熱可塑性樹脂組成物シート2の周方向のラップ長さ
S:ラップスプライス部
E−E:タイヤ幅方向
X−X:タイヤ周方向

Claims (9)

  1. 熱可塑性樹脂または熱可塑性樹脂とエラストマーのブレンド物からなる熱可塑性樹脂組成物シートエラストマーシートとを積層してなるシート積層体が前記熱可塑性樹脂組成物シートをタイヤ内腔側として配設されており、前記シート積層体の端部該シート積層体の他端と重ね合わされて成形されたラップスプライス部を有する空気入りタイヤにおいて、
    (a)前記シート積層体、前記熱可塑性樹脂組成物シートと該熱可塑性樹脂組成物シートよりもタイヤ周方向での幅が広いエラストマーシートを貼り合わせてなるシート積層体であり
    かつ、
    (b)前記シート積層体の両端部においてそれぞれ前記エラストマーシートの幅の超過部分前記熱可塑性樹脂組成物シート側に折り返されており、該折り返された箇所前記シート積層体の端部として該シート積層体の他端と重ね合わされている
    ことを特徴とする空気入りタイヤ。
  2. 前記エラストマーシートの厚さTが、0.1mm以上1mm以下であることを特徴とする請求項1記載の空気入りタイヤ。
  3. 前記エラストマーシートの折り返し幅Wが、3mm以上80mm以下であることを特徴とする請求項1または2記載の空気入りタイヤ。
  4. 前記重ね合わせ部分において、前記熱可塑性樹脂組成物シートのラップ長さLが5mm以上25mm以下であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の空気入りタイヤ。
  5. 熱可塑性樹脂または熱可塑性樹脂とエラストマーのブレンド物からなる熱可塑性樹脂組成物シートエラストマーシートとを積層してなるシート積層体を前記熱可塑性樹脂組成物シートがタイヤ内腔側となるように環状に成形し、前記シート積層体の端部を該シート積層体の他端と重ね合わせてラップスプライス部を成形する工程を含むタイヤの製造方法において、前記熱可塑性樹脂組成物シート該熱可塑性樹脂組成物シートよりもタイヤ周方向での幅が広いエラストマーシートを貼り合わせてシート積層体とし、さらに、前記シート積層体の両端部においてそれぞれ前記エラストマーシートの幅の超過部分を熱可塑性樹脂組成物シート側に折り返し、該折り返した箇所前記シート積層体の端部として該シート積層体の他端と重ね合わせて加硫成形工程に供することを特徴とする空気入りタイヤの製造方法。
  6. 前記エラストマーシートの厚さTが、0.1mm以上1mm以下であることを特徴とする請求項5記載の空気入りタイヤの製造方法。
  7. 前記エラストマーシートの折り返し幅Wが、3mm以上80mm以下であることを特徴とする請求項5または6記載の空気入りタイヤの製造方法。
  8. 前記重ね合わせ部分において、前記熱可塑性樹脂組成物シートのラップ長さLが5mm以上25mm以下であることを特徴とする請求項5〜7のいずれかに記載の空気入りタイヤの製造方法。
  9. 前記エラストマーシートの幅の超過部分を、熱可塑性樹脂組成物シート側に折り返しするに際して、該エラストマーシートの温度を40℃以上120℃以下の温度条件下で行うことを特徴とする請求項5〜8のいずれかに記載の空気入りタイヤの製造方法。
JP2014077772A 2014-04-04 2014-04-04 空気入りタイヤと空気入りタイヤの製造方法 Expired - Fee Related JP6031466B2 (ja)

Priority Applications (5)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2014077772A JP6031466B2 (ja) 2014-04-04 2014-04-04 空気入りタイヤと空気入りタイヤの製造方法
CN201580008830.1A CN106029401A (zh) 2014-04-04 2015-04-03 充气轮胎和充气轮胎的制造方法
US15/301,934 US20170182844A1 (en) 2014-04-04 2015-04-03 Pneumatic Tire, and Method of Manufacturing Pneumatic Tire
DE112015001627.9T DE112015001627T5 (de) 2014-04-04 2015-04-03 Luftreifen und Verfahren zum Herstellen eines Luftreifens
PCT/JP2015/060599 WO2015152399A1 (ja) 2014-04-04 2015-04-03 空気入りタイヤと空気入りタイヤの製造方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2014077772A JP6031466B2 (ja) 2014-04-04 2014-04-04 空気入りタイヤと空気入りタイヤの製造方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2015199375A JP2015199375A (ja) 2015-11-12
JP6031466B2 true JP6031466B2 (ja) 2016-11-24

Family

ID=54240706

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2014077772A Expired - Fee Related JP6031466B2 (ja) 2014-04-04 2014-04-04 空気入りタイヤと空気入りタイヤの製造方法

Country Status (5)

Country Link
US (1) US20170182844A1 (ja)
JP (1) JP6031466B2 (ja)
CN (1) CN106029401A (ja)
DE (1) DE112015001627T5 (ja)
WO (1) WO2015152399A1 (ja)

Family Cites Families (7)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP5126061B2 (ja) * 2006-09-05 2013-01-23 横浜ゴム株式会社 空気入りタイヤ
JP2010167829A (ja) * 2009-01-20 2010-08-05 Yokohama Rubber Co Ltd:The 空気入りタイヤ及びその製造方法
JP2012006499A (ja) * 2010-06-25 2012-01-12 Yokohama Rubber Co Ltd:The 空気入りタイヤ及びその製造方法
JP5707168B2 (ja) * 2011-02-22 2015-04-22 株式会社ブリヂストン 未加硫タイヤ及び空気入りタイヤ
JP6134471B2 (ja) * 2011-02-22 2017-05-24 株式会社ブリヂストン 未加硫タイヤの製造方法及び空気入りタイヤの製造方法
JP5810646B2 (ja) * 2011-06-09 2015-11-11 横浜ゴム株式会社 空気入りタイヤ
JP5146591B1 (ja) * 2011-12-22 2013-02-20 横浜ゴム株式会社 空気入りタイヤの製造方法

Also Published As

Publication number Publication date
CN106029401A (zh) 2016-10-12
US20170182844A1 (en) 2017-06-29
JP2015199375A (ja) 2015-11-12
WO2015152399A1 (ja) 2015-10-08
DE112015001627T5 (de) 2017-02-09

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP5287281B2 (ja) 空気入りタイヤの製造方法及び空気入りタイヤ
JP2010168033A (ja) 空気入りタイヤ及びその製造方法
JP2010162826A (ja) 空気入りタイヤの製造方法及び空気入りタイヤ
WO2016060128A1 (ja) 空気入りタイヤ
JP5982827B2 (ja) 空気入りタイヤおよび空気入りタイヤの製造方法
JP5354057B2 (ja) 空気入りタイヤ
JP5887868B2 (ja) 空気入りタイヤの製造方法
JP6065924B2 (ja) 空気入りタイヤ
JP5887869B2 (ja) 空気入りタイヤ
JP6265134B2 (ja) 空気入りタイヤ
JP6031466B2 (ja) 空気入りタイヤと空気入りタイヤの製造方法
JP7091664B2 (ja) 空気入りタイヤ
JP6233449B2 (ja) 空気入りタイヤ
WO2016063785A1 (ja) 空気入りタイヤ
JP5321025B2 (ja) 空気入りタイヤ
JP6331649B2 (ja) 空気入りタイヤの製造方法
JP6019628B2 (ja) 空気入りタイヤ
JP2018122497A (ja) 空気入りタイヤの製造方法および空気入りタイヤ
JP2009279809A (ja) 空気入りタイヤの製造方法
JP5999104B2 (ja) 空気入りタイヤ
WO2014087942A1 (ja) 空気入りタイヤ
JP2019119424A (ja) 空気入りタイヤ
JP2019119423A (ja) 空気入りタイヤ
JP2017218027A (ja) 空気入りタイヤ

Legal Events

Date Code Title Description
A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20150810

A02 Decision of refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02

Effective date: 20151215

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20160223

A911 Transfer to examiner for re-examination before appeal (zenchi)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A911

Effective date: 20160304

A912 Re-examination (zenchi) completed and case transferred to appeal board

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A912

Effective date: 20160408

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20161024

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 6031466

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees