JP2019119424A - 空気入りタイヤ - Google Patents
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Abstract
【課題】フィルムのスプライス部での故障の発生を防止し、耐久性を改善することを可能にした空気入りタイヤを提供する。【解決手段】熱可塑性樹脂又は熱可塑性樹脂とエラストマーのブレンド物を含んで構成される熱可塑性エラストマー組成物のフィルムLがタイヤ最内面に配置され、フィルムLのタイヤ周方向の端部同士が重ならずに突き合わされると共に、熱可塑性樹脂又は熱可塑性樹脂とエラストマーのブレンド物を含んで構成される熱可塑性エラストマー組成物のスプライステープTがフィルムLのタイヤ周方向の両端部を跨いで配置されることでフィルムLのスプライス部が形成され、フィルムLの平均厚さGL[mm]と、フィルムLの20%伸長時のモジュラスML[MPa]と、スプライステープTの平均厚さGT[mm]と、スプライステープTの20%伸長時のモジュラスMT[MPa]とが、GT×MT≧1.1×GL×MLの関係を満たす。【選択図】図2
Description
本発明は、空気入りタイヤに関し、更に詳しくは、熱可塑性樹脂又は熱可塑性樹脂とエラストマーのブレンド物を含んでなる熱可塑性エラストマー組成物のフィルムを備えた空気入りタイヤにおいて、そのフィルムのスプライス部での故障の発生を防止し、耐久性を改善することを可能にした空気入りタイヤに関する。
熱可塑性樹脂又は熱可塑性樹脂とエラストマーとからなる熱可塑性エラストマー組成物で形成されたフィルムをインナーライナー層などのタイヤ構成部材として使用することが提案されている。このようなフィルムをタイヤ製造工程に供し、そのタイヤ周方向の端部同士を重ね合わせることでラップスプライス部を形成することが行われている(例えば、特許文献1〜3参照)。しかしながら、ラップスプライス部を形成した場合には、局所的に厚さが厚くなるのでユニフォーミティーが悪化し易いという問題がある。
また、上述のようなフィルムをタイヤ製造工程に供し、そのタイヤ周方向の端部同士を突き合わせ、その突き合せた端部間を跨ぐようにしてスプライステープを貼り付けてスプライス部を形成することが行われている(例えば、特許文献4,5参照)。しかしながら、厚さが厚いフィルムを用いてスプライステープによるスプライス部を形成した場合、厚いフィルムは剛性が高くなるので、スプライス部の故障が発生し易いという問題がある。特に、バス、トラック用等の重荷重用空気入りタイヤでは空気圧が高いのでスプライス部の故障が生じ易くなる。
本発明の目的は、熱可塑性樹脂又は熱可塑性樹脂とエラストマーのブレンド物を含んでなる熱可塑性エラストマー組成物のフィルムを備えた空気入りタイヤにおいて、そのフィルムのスプライス部での故障の発生を防止し、耐久性を改善することを可能にした空気入りタイヤを提供することにある。
上記目的を達成するための空気入りタイヤは、熱可塑性樹脂又は熱可塑性樹脂とエラストマーのブレンド物を含んで構成される熱可塑性エラストマー組成物のフィルムLがタイヤ最内面に配置され、該フィルムLのタイヤ周方向の端部同士が重ならずに突き合わされると共に、熱可塑性樹脂又は熱可塑性樹脂とエラストマーのブレンド物を含んで構成される熱可塑性エラストマー組成物のスプライステープTが前記フィルムLのタイヤ周方向の両端部を跨いで配置されることで前記フィルムLのスプライス部が形成され、前記フィルムLの平均厚さGL[mm]と、前記フィルムLの20%伸長時のモジュラスML[MPa]と、前記スプライステープTの平均厚さGT[mm]と、前記スプライステープTの20%伸長時のモジュラスMT[MPa]とが、GT×MT≧1.1×GL×MLの関係を満たすことを特徴とするものである。
本発明では、熱可塑性樹脂又は熱可塑性樹脂とエラストマーのブレンド物を含んで構成される熱可塑性エラストマー組成物のフィルムLがタイヤ最内面に配置され、フィルムLのタイヤ周方向の端部同士が重ならずに突き合わされると共に、熱可塑性樹脂又は熱可塑性樹脂とエラストマーのブレンド物を含んで構成される熱可塑性エラストマー組成物のスプライステープTがフィルムLのタイヤ周方向の両端部を跨いで配置されることでフィルムLのスプライス部が形成され、フィルムLの平均厚さGL[mm]と、フィルムLの20%伸長時のモジュラスML[MPa]と、スプライステープTの平均厚さGT[mm]と、スプライステープTの20%伸長時のモジュラスMT[MPa]とが、GT×MT≧1.1×GL×MLの関係を満たすことで、スプライス部においてスプライステープTの剛性がフィルムLの剛性より高くなるため、スプライス部における剛性の低下を補完することができる。これにより、スプライス部において十分な剛性を確保することができるので、スプライス部の故障の発生を防止し、耐久性を改善することができる。そのため、バス、トラック用等の重荷重用空気入りタイヤにおいても、スプライス部の故障の発生を防止し、耐久性を効果的に改善することができる。
本発明では、フィルムLの平均厚さGLは0.01mm〜0.50mmであることが好ましい。これにより、成形時の不具合を抑制し、ユニフォーミティーの悪化を防止することができる。
本発明では、フィルムLの平均厚さGL[mm]とタイヤの最大空気圧P[kPa]とはP/20×10-3≦GL≦P/2×10-3の関係を満たすことが好ましい。これにより、スプライス部の故障を効果的に抑制することができる。
本発明では、フィルムLの20%伸長時のモジュラスMLは2.0MPa〜20.0MPaであることが好ましい。これにより、フィルムの成形時における過度な伸びや不均一な膨張を抑制することができる。
本発明では、スプライステープTの平均厚さGTは0.01mm〜1.0mmであることが好ましい。これにより、成形時の不具合を抑制し、ユニフォーミティーの悪化を防止することができる。
本発明では、スプライステープTの20%伸長時のモジュラスMTは2.0MPa〜20.0MPaであることが好ましい。これにより、成形時の不具合を抑制し、ユニフォーミティーの悪化を防止することができる。
本発明では、スプライステープTの幅は10mm以上であることが好ましい。これにより、ユニフォーミティーの悪化を防止することができる。
本発明では、スプライス部において少なくとも2枚のスプライステープTは配置されていることが好ましい。これにより、スプライス部におけるせん断歪みが緩和され、スプライス部での応力集中による耐クラック性を向上させることができる。
本発明では、フィルムL側から数えてn枚目のスプライステープTの平均厚さをGT(n)[mm]とし、n+1枚目のスプライステープTの平均厚さをGT(n+1)[mm]とし、フィルムL側から数えてn枚目のスプライステープTの20%伸長時のモジュラスをMT(n)[MPa]とし、n+1枚目のスプライステープTの20%伸長時のモジュラスをMT(n+1)[MPa]とするとき、GT(n+1)×MT(n+1)≦GT(n)×MT(n)の関係を満たすことが好ましい。これにより、フィルムLに対して複数枚のスプライステープTを貼り付ける際にタイヤ内腔側に向かうにつれて剛性を低下させることができるので、剛性勾配が緩やかになり、歪みの集中によるクラックの発生を抑制することができる。
本発明では、フィルムL側から数えてn枚目のスプライステープTの幅をWT(n)[mm]とし、n+1枚目のスプライステープTの幅をWT(n+1)[mm]とするとき、WT(n+1)≧WT(n)の関係を満たすことが好ましい。これにより、フィルムLに対して複数枚のスプライステープTを貼り付ける際にタイヤ内腔側に向かうにつれて幅が大きくなるので、フィルムLからの空気透過を効果的に抑制することができる。
本発明では、複数枚のスプライステープTのそれぞれの間にゴム層が配置されていることが好ましい。これにより、スプライステープTの層間の歪みを緩和し、スプライス部における皺の発生を防止することができる。
本発明では、フィルムLのタイヤ周方向の両端縁はタイヤ周方向に対して傾斜しており、その傾斜角度θは60°≦θ≦80°の関係を満たすことが好ましい。これにより、タイヤが撓んだ際にフィルムLにかかる歪みが軽減され、耐久性を改善することができる。また、ユニフォーミティーを効果的に改善することができる。
本発明では、フィルムLのタイヤ周方向の両端面はタイヤ径方向に対して同一方向に傾斜しており、その傾斜角度αは20°≦α≦80°の関係を満たすことが好ましい。これにより、タイヤが撓んだ際にフィルムLにかかる歪みが軽減され、耐久性を改善することができる。
本発明において、フィルムL、スプライステープTの20%伸長時のモジュラス[MPa]は、JIS K−6251:2010に準拠して測定されるものである。即ち、加硫済みの空気入りタイヤからフィルム、スプライステープを採取する、或いは、加硫相当の熱履歴を与えたフィルム、スプライステープを作製する。このように採取又は作製したフィルム、スプライステープのそれぞれについて、JIS3号ダンベル型の試験片を打ち抜き、引張速度500mm/分、温度20℃の条件下で引張試験を行い、20%伸長時における引張応力を測定した値である。
以下、本発明の構成について添付の図面を参照しながら詳細に説明する。図1は、本発明の空気入りタイヤの実施形態の一例を示すものである。図2は本発明の空気入りタイヤのフィルムLにおけるスプライス部の実施形態の一例を示すものである。なお、図1,2において、矢印Tcはタイヤ周方向、矢印Twはタイヤ幅方向、Trはタイヤ径方向を示している。図2において、図の上方がタイヤ外側(タイヤ外表面側)であり、下方がタイヤ内腔側を示している。
図1に示す空気入りタイヤには、トレッド部11の左右にサイドウォール部12とビード部13が連接するように設けられている。そのタイヤ内側には、タイヤの骨格たるカーカス層14が、タイヤ幅方向に左右のビード部13間に跨るように設けられており、各ビード部13に配置されたビードコア16の廻りにタイヤ内側から外側へ折り返されている。トレッド部11に対応するカーカス層14の外周側にはスチールコードからなる2層のベルト層15が設けられている。カーカス層14の内側には、インナーライナー層10が配され、そのスプライス部1がタイヤ幅方向に延在している。
図2に示す空気入りタイヤでは、インナーライナー層10としてフィルムLを用い、フィルムLのタイヤ周方向の端部同士は、タイヤ周上の少なくとも1箇所において互いに重ならずに突き合わされている。このようなフィルムLのタイヤ内腔側の面に対して、スプライステープTがフィルムLのタイヤ周方向の両端部を跨いで配置され、フィルムLのスプライス部1が形成されている。フィルムL及びスプライステープTは、熱可塑性樹脂又は熱可塑性樹脂とエラストマーのブレンド物を含んでなる熱可塑性エラストマー組成物から構成される。このようなスプライステープTは、ブチルゴムからなる従来のスプライステープに比して剛性面で優れている。フィルムLのタイヤ外側には、フィルムLとカーカス層14とを接着する機能を有するタイゴム層5が配置されている。
上記空気入りタイヤにおいて、フィルムLの平均厚さGL[mm]と、フィルムLの20%伸長時のモジュラスML[MPa]と、スプライステープTの平均厚さGT[mm]と、スプライステープTの20%伸長時のモジュラスMT[MPa]とは、GT×MT≧1.1×GL×MLの関係を満たす。本発明では、スプライス部1における耐久性が実際のスプライス部において発生する歪みに近いことから、フィルムL及びスプライステープTの20%伸長時のモジュラスを採用している。
フィルムLのスプライス部1を形成する際、フィルムLを1枚使用する場合は、フィルムLのタイヤ周方向の両端部同士がスプライステープTによりスプライスされて環状を成すように形成される。或いは、フィルムLを複数枚使用する場合は、各フィルムLのタイヤ周方向の端部同士がスプライステープTによりスプライスされることで、各フィルムLが繋ぎ合わされ全体で一つの環状を成すように形成される。
上述した空気入りタイヤでは、熱可塑性樹脂又は熱可塑性樹脂とエラストマーのブレンド物を含んで構成される熱可塑性エラストマー組成物のフィルムLがタイヤ最内面に配置され、フィルムLのタイヤ周方向の端部同士が重ならずに突き合わされると共に、熱可塑性樹脂又は熱可塑性樹脂とエラストマーのブレンド物を含んで構成される熱可塑性エラストマー組成物のスプライステープTがフィルムLのタイヤ周方向の両端部を跨いで配置されることでフィルムLのスプライス部が形成され、フィルムLの平均厚さGL[mm]と、フィルムLの20%伸長時のモジュラスML[MPa]と、スプライステープTの平均厚さGT[mm]と、スプライステープTの20%伸長時のモジュラスMT[MPa]とが、GT×MT≧1.1×GL×MLの関係を満たすことで、スプライス部1においてスプライステープTの剛性がフィルムLの剛性より高くなるため、スプライス部1における剛性の低下を補完することができる。これにより、スプライス部1において十分な剛性を確保することができるので、スプライス部1の故障の発生を防止し、耐久性を改善することができる。そのため、バス、トラック用等の重荷重用空気入りタイヤにおいても、スプライス部1の故障の発生を防止し、耐久性を効果的に改善することができる。
上記空気入りタイヤにおいて、フィルムLの平均厚さGL(図2参照)は0.01mm〜0.50mmであると良い。このようにフィルムLの平均厚さGLを適度に設定することで、成形時の不具合を抑制し、ユニフォーミティーの悪化を防止することができる。ここで、フィルムLの平均厚さGLが0.01mmより薄いと成形時にフィルムLが皺になり易く、逆に0.50mmより厚くなるとユニフォーミティーが悪化する傾向がある。
特に、フィルムLの平均厚さGL[mm]とタイヤの最大空気圧P[kPa]とはP/20×10-3≦GL≦P/2×10-3の関係を満たすことが好ましい。このようにフィルムLの平均厚さGLをタイヤの最大空気圧Pに対して適度に設定することで、スプライス部1の故障を効果的に抑制することができる。ここで、フィルムLの平均厚さGLがP/20×10-3よりも薄くなるとフィルムLのエア漏れ性能が悪くなり内部のゴムが酸化劣化しやくなり、逆にP/2×10-3よりも厚くなると走行時に縁石などを乗り越して過度の歪みを受けたときにスプライス部1が故障し易くなる。
また、フィルムLの20%伸長時のモジュラスMLは2.0MPa〜20.0MPaであることが好ましい。このようにフィルムLの20%伸長時のモジュラスMLを適度に設定することで、フィルムLの成形時における過度な伸びや不均一な膨張を抑制することができる。ここで、フィルムLの20%伸長時のモジュラスMLが2.0MPaよりも低いと成形時にフィルムLが過度に伸び、皺になり易くなり、逆に20.0MPaよりも高いと成形時にフィルムLが均一に膨らみにくく、ユニフォーミティーが悪化する傾向がある。
更に、フィルムLのタイヤ周方向の両端面はタイヤ径方向に対して同一方向に傾斜し、その傾斜角度α(図2参照)は20°≦α≦80°の関係を満たすと良い。このようにフィルムLのタイヤ周方向の両端面の傾斜角度αを適度に設定することで、タイヤが撓んだ際にフィルムLにかかる歪みが軽減され、耐久性を改善することができる。ここで、フィルムLの傾斜角度αが20°よりも小さいと成形時に皺になり易い。
上記空気入りタイヤにおいて、スプライステープTの平均厚さGT(図2参照)は0.01mm〜1.0mmであることが好ましい。このようにスプライステープTの平均厚さGTを適度に設定することで、成形時の不具合を抑制し、ユニフォーミティーの悪化を防止することができる。ここで、スプライステープTが0.10mmよりも薄いと成形時に皺になり易く、逆に1.0mmより厚くなるとユニフォーミティーが悪化する傾向がある。
また、スプライステープTの幅WT(図2参照)は10mm以上であることが好ましく、20mm〜40mmであることがより好ましい。このようにスプライステープTの幅WTを適度に設定することで、ユニフォーミティーの悪化を防止することができる。
更に、スプライステープTの20%伸長時のモジュラスMTは2.0MPa〜20.0MPaであることが好ましい。このようにスプライステープTの20%伸長時のモジュラスMTを適度に設定することで成形時の不具合を抑制し、ユニフォーミティーの悪化を防止することができる。ここで、スプライステープTの20%伸長時のモジュラスMTが2.0MPaよりも低いと成形時にスプライステープTが過度に伸び、皺になり易くなり、逆に20.0MPaよりも高いと成形時にスプライステープTが均一に膨らみにくく、ユニフォーミティーが悪化する傾向がある。
図3は本発明の空気入りタイヤのフィルムLにおけるスプライス部の実施形態の変形例を示すものである。図3に示すように、フィルムLに対して複数枚(少なくとも2枚)のスプライステープT1,T2がフィルムLのタイヤ周方向の両端部を跨いで配置され、スプライス部1を形成している。このように複数枚のスプライステープTが配置されることで、スプライス部1におけるせん断歪みが緩和され、スプライス部1での応力集中による耐クラック性を向上させることができる。スプライス部1に複数枚のスプライステープTが配置されている場合、スプライステープTの平均厚さGTは積層されたスプライステープTの平均厚さの合計である。
上記空気入りタイヤにおいて、フィルムL側から数えてn枚目のスプライステープTの平均厚さをGT(n)[mm]とし、フィルムL側から数えてn枚目のスプライステープTの20%伸長時のモジュラスをMT(n)[MPa]とするとき、GT1×MT1+GT2×MT2+・・・GT(n)×MT(n)≧1.1×GL×MLの関係を満たす。
更に、フィルムL側から数えてn+1枚目のスプライステープTの平均厚さをGT(n+1)[mm]とし、フィルムL側から数えてn+1枚目のスプライステープTの20%伸長時のモジュラスをMT(n+1)[MPa]とするとき、GT(n+1)×MT(n+1)≦GT(n)×MT(n)の関係を満たすことが好ましい。より好ましくは、GT(n+1)×MT(n+1)<GT(n)×MT(n)の関係を満たす、即ち、複数枚のスプライステープTにおいて剛性勾配が付いていると良い。上述のような関係を満たすことで、フィルムLに対して複数枚のスプライステープTを貼り付ける際にタイヤ内腔側に向かうにつれて剛性を低下させることができるので、剛性勾配が緩やかになり、歪みの集中によるクラックの発生を抑制することができる。
また、フィルムL側から数えてn枚目のスプライステープTの幅をWT(n)[mm]とし、n+1枚目のスプライステープTの幅をWT(n+1)[mm]とするとき、WT(n+1)≧WT(n)の関係を満たすことが好ましい。特に、WT(n+1)>WT(n)の関係を満たすことがより好ましく、WT(n+1)−WT(n)≧5mmの関係を満たすことが最も好ましい。上述のような関係を満たすことで、フィルムLに対して複数枚のスプライステープTを貼り付ける際にタイヤ内腔側に向かうにつれて幅が大きくなるので、フィルムLからの空気透過を効果的に抑制することができる。
図3に示すように、複数枚のスプライステープTのそれぞれの間にゴム層4が配置されていると良い。このスプライステープTの層間に配置されるゴム層4の厚さは0.05mm〜0.50mmであることが望ましい。このようにスプライステープTの層間にゴム層4が配置されることで、スプライステープTの層間の歪みを緩和し、スプライス部1における皺の発生を防止することができる。
図4は本発明の空気入りタイヤのフィルムLにおけるスプライス部の実施形態の他の変形例を示すものである。図4に示すように、フィルムLに対して1枚のスプライステープTがフィルムLのタイヤ周方向の両端部を跨いで配置され、スプライス部1を形成している。フィルムLには、その両側にフィルムLと加硫接着するゴム層2が積層され、スプライステープTには、その両側にスプライステープTと加硫接着するゴム層3が積層されている。このようにフィルムLがゴム層2との積層構造で構成されると共に、スプライステープTがゴム層3との積層構造で構成されている場合、スプライス部1においてゴム層2とゴム層3とが接合する(ゴム−ゴム同士が加硫接合する)ため、接着力が大きくなる。
図5は本発明の空気入りタイヤのフィルムLにおけるスプライス部の実施形態の他の変形例を示すものである。図5に示すように、フィルムLに対して2枚のスプライステープT1,T2がフィルムLのタイヤ周方向の両端部を跨いで配置され、スプライス部1を形成している。フィルムLには、その両側にフィルムLと加硫接着するゴム層2が積層され、スプライステープT1,T2の各々には、その両側にスプライステープT1,T2と加硫接着するゴム層3が積層されている。スプライステープT2はスプライステープT2をタイヤ周方向に覆っている。このようにスプライステープT1,T2が配置されたスプライス部1の構造では、フィルムLに積層されたゴム層2とスプライステープTに積層された3とが接合して大きな接着力が得られるので、特に耐久性が優れている。
図6は本発明の空気入りタイヤの成形時におけるフィルムLのスプライス部の実施形態の他の変形例を示すものである。図6に示すように、フィルムLのタイヤ周方向の両端縁La及びスプライステープTのタイヤ周方向の両端縁Taはいずれもタイヤ周方向に対して傾斜している。このとき、フィルムLのタイヤ周方向の端縁Laのタイヤ周方向に対する傾斜角度θは60°≦θ≦80°の関係を満たすことが好ましい。このようにフィルムLの傾斜角度θを適度に設定することで、タイヤが撓んだ際にフィルムLにかかる歪みが軽減され、耐久性を改善することができる。また、ユニフォーミティーを効果的に改善することができる。ここで、フィルムLの傾斜角度θが60°よりも小さいと、成形時におけるフィルムLの切断が困難になると共に、皺になり易い。
なお、上述したスプライステープTの幅WTは、スプライステープTのタイヤ周方向の両端縁Taがタイヤ周方向に対して傾斜している場合(図6の実施形態の場合)、スプライステープTのタイヤ周方向の端縁Taの垂線kに沿って測定したときのスプライステープTの幅を幅WTとする。また、上述したフィルムLのタイヤ周方向の両端面の傾斜角度αは、フィルムLのタイヤ周方向の端縁Laに対して直交しかつタイヤ径方向に切り欠いた断面において測定される傾斜角度である。
本発明において、フィルムL及びスプライステープTは、いずれも熱可塑性樹脂のフィルムか、又は熱可塑性樹脂とエラストマーのブレンド物を含んで構成される熱可塑性エラストマー組成物のフィルムである。
フィルムL及びスプライステープTに用いることのできる熱可塑性樹脂としては、例えば、ポリアミド系樹脂〔例えば、ナイロン6(N6)、ナイロン66(N66)、ナイロン46(N46)、ナイロン11(N11)、ナイロン12(N12)、ナイロン610(N610)、ナイロン612(N612)、ナイロン6/66共重合体(N6/66)、ナイロン6/66/610共重合体(N6/66/610)、ナイロンMXD6(MXD6)、ナイロン6T、ナイロン9T、ナイロン6/6T共重合体、ナイロン66/PP共重合体、ナイロン66/PPS共重合体〕及びそれらのN−アルコキシアルキル化物〔例えば、ナイロン6のメトキシメチル化物、ナイロン6/610共重合体のメトキシメチル化物、ナイロン612のメトキシメチル化物、ポリエステル系樹脂〔例えば、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンイソフタレート(PEI)、PET/PEI共重合体、ポリアリレート(PAR)、ポリブチレンナフタレート(PBN)、液晶ポリエステル、ポリオキシアルキレンジイミドジ酸/ポリブチレンテレフタレート共重合体などの芳香族ポリエステル〕、ポリニトリル系樹脂〔例えば、ポリアクリロニトリル(PAN)、ポリメタクリロニトリル、アクリロニトリル/スチレン共重合体(AS)、(メタ)アクリロニトリル/スチレン共重合体、(メタ)アクリロニトリル/スチレン/ブタジエン共重合体〕、ポリメタクリレート系樹脂〔例えば、ポリメタクリル酸メチル(PMMA)、ポリメタクリル酸エチル〕、ポリビニル系樹脂〔例えば、ポリ酢酸ビニル、ポリビニルアルコール(PVA)、ビニルアルコール/エチレン共重合体(EVOH)、ポリ塩化ビニリデン(PVDC)、ポリ塩化ビニル(PVC)、塩化ビニル/塩化ビニリデン共重合体、塩化ビニリデン/メチルアクリレート共重合体、塩化ビニリデン/アクリロニトリル共重合体(ETFE)〕、セルロース系樹脂〔例えば、酢酸セルロース、酢酸酪酸セルロース〕、フッ素系樹脂〔例えば、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、ポリフッ化ビニル(PVF)、ポリクロルフルオロエチレン(PCTFE)、テトラフロロエチレン/エチレン共重合体〕、イミド系樹脂〔例えば、芳香族ポリイミド(PI)〕等を用いることができる。
なかでも、ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂が、物性面や加工性、取扱い性などの点で好ましい。
また、フィルムL及びスプライステープTを構成することができる熱可塑性樹脂とエラストマーのブレンド物(熱可塑性エラストマー組成物)は、熱可塑性樹脂のマトリクス中にエラストマーが不連続相として分散した構造をとる。かかる構造をとることにより、熱可塑性樹脂と同等の成形加工性を得ることができる。熱可塑性エラストマー組成物を構成する熱可塑性樹脂とエラストマーのうち、熱可塑性樹脂については上述のものを使用できる。熱可塑性エラストマー組成物を構成するエラストマーとしては、例えば、ジエン系ゴム及びその水添物〔例えば、天然ゴム(NR)、イソプレンゴム(IR)、エポキシ化天然ゴム、スチレンブタジエンゴム(SBR)、ブタジエンゴム(BR、高シスBR及び低シスBR)、ニトリルゴム(NBR)、水素化NBR、水素化SBR〕、オレフィン系ゴム〔例えば、エチレンプロピレンゴム(EPDM、EPM)、マレイン酸変性エチレンプロピレンゴム(M−EPM)、ブチルゴム(IIR)、イソブチレンと芳香族ビニル又はジエン系モノマー共重合体、アクリルゴム(ACM)、アイオノマー〕、含ハロゲンゴム〔例えば、Br−IIR、CI−IIR、臭素化イソブチレン−p−メチルスチレン共重合体(BIMS)、クロロプレンゴム(CR)、ヒドリンゴム(CHR)、クロロスルホン化ポリエチレンゴム(CSM)、塩素化ポリエチレンゴム(CM)、マレイン酸変性塩素化ポリエチレンゴム(M−CM)〕、シリコンゴム〔例えば、メチルビニルシリコンゴム、ジメチルシリコンゴム、メチルフェニルビニルシリコンゴム〕、含イオウゴム〔例えば、ポリスルフィドゴム〕、フッ素ゴム〔例えば、ビニリデンフルオライド系ゴム、含フッ素ビニルエーテル系ゴム、テトラフルオロエチレン−プロピレン系ゴム、含フッ素シリコン系ゴム、含フッ素ホスファゼン系ゴム〕、熱可塑性エラストマー〔例えば、スチレン系エラストマー、オレフィン系エラストマー、エステル系エラストマー、ウレタン系エラストマー、ボリアミド系エラストマー〕等を好ましく使用することができる。
特に、複数のエラストマーをブレンドするとき、そのうち50重量%以上が、ハロゲン化ブチルゴム又は臭素化イソブチレンパラメチルスチレン共重合ゴム又は無水マレイン酸変性エチレンαオレフィン共重合ゴムであることが、ゴム体積率を増やして低温から高温に至るまで柔軟、高耐久化できる点で好ましい。
また、熱可塑性エラストマー組成物中の熱可塑性樹脂の50重量%以上が、ナイロン11、ナイロン12、ナイロン6、ナイロン66、ナイロン6/66共重合体、ナイロン6/12共重合体、ナイロン6/10共重合体、ナイロン4/6共重合体、ナイロン6/66/12共重合体、芳香族ナイロン、及びエチレン/ビニルアルコール共重合体のいずれかであることが優れた耐久性を得ることができるものであり、好ましい。
また、上述した特定の熱可塑性樹脂及びエラストマーを組合せて熱可塑性エラストマー組成物を調製する際に、両者の相溶性が不足する場合は、第3成分として適当な相溶化剤を用いて相溶化させることができる。熱可塑性樹脂及びエラストマーのブレンド系に相溶化剤を混合することにより、熱可塑性樹脂とエラストマーとの界面張力が低下し、その結果、分散相を形成しているエラストマーの粒子径が微細になることから両成分の特性はより有効に発現されることになる。そのような相溶化剤としては、一般的に熱可塑性樹脂及びエラストマーの両方又は片方の構造を有する共重合体、あるいは熱可塑性樹脂又はエラストマーと反応可能なエポキシ基、カルボニル基、ハロゲン基、アミノ基、オキサゾリン基、水酸基等を有した共重合体の構造をとるものとすることができる。これらはブレンドされる熱可塑性樹脂とエラストマーの種類によって選定すればよいが、通常使用されるものには、スチレン/エチレン・ブチレンブロック共重合体(SEBS)及びそのマレイン酸変性物、EPDM、EPM、EPDM/スチレン又はEPDM/アクリロニトリルグラフト共重合体及びそのマレイン酸変性物、スチレン/マレイン酸共重合体、反応性フェノキシン等を挙げることができる。かかる相溶化剤の配合量には特に限定されないが、好ましくは、ポリマー成分(熱可塑性樹脂とエラストマーとの合計)100重量部に対して、0.5〜10重量部が良い。
熱可塑性エラストマー組成物において、熱可塑性樹脂とエラストマーとの組成比は、特に限定されるものではない。例えば、熱可塑性樹脂のマトリクス中にエラストマーが不連続相として分散した構造をとるように、組成比を適宜決めればよい。熱可塑性樹脂とエラストマーとの組成比は、熱可塑性樹脂/エラストマーの重量比で、好ましくは90/10〜20/80、より好ましくは80/20〜30/70であると良い。
本発明において、熱可塑性樹脂、又は熱可塑性樹脂とエラストマーをブレンドした熱可塑性エラストマー組成物には、例えば、フィルムL及びスプライステープTを構成することに必要な特性を損なわない範囲内で、上述した相溶化剤以外にも、他のポリマーを混合することができる。他のポリマーを混合する目的は、材料の成型加工性を良くするため、耐熱性向上のため、コストダウンのため等があり、これに用いられる材料としては、例えば、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、ポリスチレン(PS)、ABS、SBS、ポリカーボネート(PC)等を例示することができる。
また、一般的にポリマー配合物に配合される充填剤(炭酸カルシウム、酸化チタン、アルミナ等)、カーボンブラック、ホワイトカーボン等の補強剤、軟化剤、可塑剤、加工助剤、顔料、染料、老化防止剤等をフィルムL及びスプライステープTとしての必要特性を損なわない限り、任意に配合することもできる。
また、熱可塑性樹脂とブレンドされるエラストマーは、熱可塑性樹脂との混合の際に、動的に加硫することもできる。動的に加硫する場合の加硫剤、加硫助剤、加硫条件(温度、時間)等は、添加するエラストマーの組成に応じて適宜決定すればよく、特に限定されるものではない。
このように熱可塑性樹脂組成物中のエラストマーが動的加硫をされていることは、得られる熱可塑性エラストマー組成物が加硫エラストマーを含んだものとなるので、外部からの変形に対して抵抗力(弾性)があり、本発明の効果を大きくできることになり好ましい。
加硫剤としては、一般的なゴム加硫剤(架橋剤)を用いることができる。具体的には、イオウ系加硫剤としては粉末イオウ、沈降性イオウ、高分散性イオウ、表面処理イオウ、不溶性イオウ、ジモルフォリンジサルファイド、アルキルフェノールジサルファイド等を例示でき、例えば、0.5〜4phr(本明細書において、「phr」は、エラストマー成分100重量部あたりの重量部をいう。以下、同じ。)程度用いることができる。
また、有機過酸化物系の加硫剤としては、ベンゾイルパーオキサイド、t−ブチルヒドロパーオキサイド、2,4−ジクロロベンゾイルパーオキサイド、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキサン、2,5−ジメチルヘキサン−2,5−ジ(パーオキシルベンゾエート)等が例示され、例えば、1〜20phr程度用いることができる。
更に、フェノール樹脂系の加硫剤としては、アルキルフェノール樹脂の臭素化物や、塩化スズ、クロロプレン等のハロゲンドナーとアルキルフェノール樹脂とを含有する混合架橋系等が例示でき、例えば、1〜20phr程度用いることができる。
その他として、亜鉛華(5phr程度)、酸化マグネシウム(4phr程度)、リサージ(10〜20phr程度)、p−キノンジオキシム、p−ジベンゾイルキノンジオキシム、テトラクロロ−p−ベンゾキノン、ポリ−p−ジニトロソベンゼン(2〜10phr程度)、メチレンジアニリン(0.2〜10phr程度)が例示できる。
また、必要に応じて、加硫促進剤を添加しても良い。加硫促進剤としては、アルデヒド・アンモニア系、グアニジン系、チアゾール系、スルフェンアミド系、チウラム系、ジチオ酸塩系、チオウレア系等の一般的な加硫促進剤を、例えば、0.5〜2phr程度用いることができる。
また、ゴム層2,3,4を構成するゴム材料には、天然ゴム、イソプレンゴム、エポキシ化天然ゴム、スチレンブタジエンゴム、水素化スチレンブタジエンゴム等のジエン系ゴムや、エチレンプロピレンゴム、マレイン酸変性エチレンプロピレンゴムなどのオレフィン系ゴム等を好ましく使用できる。
タイヤサイズ275/70R22.5で、熱可塑性樹脂又は熱可塑性樹脂とエラストマーのブレンド物を含んで構成される熱可塑性エラストマー組成物のフィルムLがタイヤ最内面に配置され、フィルムLのタイヤ周方向の端部同士が重ならずに突き合わされると共に、熱可塑性樹脂又は熱可塑性樹脂とエラストマーのブレンド物を含んで構成される熱可塑性エラストマー組成物のスプライステープTがフィルムLのタイヤ周方向の両端部を跨いで配置されることでフィルムLのスプライス部が形成され、フィルムLの平均厚さGL[mm]と、フィルムLの20%伸長時のモジュラスML[MPa]と、スプライステープTの平均厚さGT[mm]と、スプライステープTの20%伸長時のモジュラスMT[MPa]とが、GT×MT≧1.1×GL×MLの関係を満たし、スプライステープTの枚数、スプライステープTの平均厚さGT、スプライステープTの20%伸長時のモジュラスMT、GT×MT/(GL×ML)、スプライステープTの幅WTを表1のように異ならせた実施例1〜6のタイヤを作製した。
比較のため、フィルムLのタイヤ周方向の端部同士が重ならずに突き合わされ、そのフィルムLに対してスプライステープTを貼り付けていないこと以外は実施例1と同じ構造を有する従来例のタイヤを用意した。また、スプライステープTの平均厚さGTを異ならせたこと以外は実施例1と同じ構造を有する比較例1,2のタイヤを用意した。
なお、各試験タイヤにおいて、フィルムL又はスプライステープTは、ナイロン6/66共重合体(N6/66)と、臭素化イソブチレン−p−メチルスチレン共重合体(BIMS)とを、重量比50/50で含む熱可塑性エラストマー組成物であり、フィルムL又はスプライステープTの両側に積層されたゴム層は、天然ゴムとスチレンブタジエンゴムを主成分とするゴム組成物であることを共通にした。
これら試験タイヤについて、下記試験方法により耐久性を評価し、その結果を表1に併せて示した。表1において、スプライステープTが2枚の場合、欄の上段にフィルムL側から数えて1枚目のスプライステープTの数値を記載し、欄の下段に2枚目のスプライステープTの数値を記載した。
耐久性:
各試験タイヤをリムサイズ22.5×7.50に組み付け、タイヤ内圧で900kPaとなるように空気を充填した。このタイヤを室内ドラム試験機にかけて、JATMAで規定される最大負荷能力の120%の荷重を負荷し、速度50km/hで20,000km走行させた。その後、フィルムLのスプライス部を目視で観察してクラックの発生を確認し、発生した場合はクラックの長さ[mm]を測定した。
各試験タイヤをリムサイズ22.5×7.50に組み付け、タイヤ内圧で900kPaとなるように空気を充填した。このタイヤを室内ドラム試験機にかけて、JATMAで規定される最大負荷能力の120%の荷重を負荷し、速度50km/hで20,000km走行させた。その後、フィルムLのスプライス部を目視で観察してクラックの発生を確認し、発生した場合はクラックの長さ[mm]を測定した。
表1から判るように、実施例1〜6のタイヤは、スプライス部においてクラックの発生を防止することができ、従来例のタイヤに比して耐久性が改善した。また、比較例1,2のタイヤにおいては、本発明で規定するGT×MT/(GL×ML)の数値範囲を満たしていないので、フィルムLのスプライス部においてクラックの発生が確認された。
1 スプライス部
2,3,4 ゴム層
5 タイゴム層
10 インナーライナー層
11 トレッド部
12 サイドウォール部
13 ビード部
14 カーカス層
15 ベルト層
16 ビードコア
L フィルム
T スプライステープ
2,3,4 ゴム層
5 タイゴム層
10 インナーライナー層
11 トレッド部
12 サイドウォール部
13 ビード部
14 カーカス層
15 ベルト層
16 ビードコア
L フィルム
T スプライステープ
Claims (13)
- 熱可塑性樹脂又は熱可塑性樹脂とエラストマーのブレンド物を含んで構成される熱可塑性エラストマー組成物のフィルムLがタイヤ最内面に配置され、該フィルムLのタイヤ周方向の端部同士が重ならずに突き合わされると共に、熱可塑性樹脂又は熱可塑性樹脂とエラストマーのブレンド物を含んで構成される熱可塑性エラストマー組成物のスプライステープTが前記フィルムLのタイヤ周方向の両端部を跨いで配置されることで前記フィルムLのスプライス部が形成され、前記フィルムLの平均厚さGL[mm]と、前記フィルムLの20%伸長時のモジュラスML[MPa]と、前記スプライステープTの平均厚さGT[mm]と、前記スプライステープTの20%伸長時のモジュラスMT[MPa]とが、GT×MT≧1.1×GL×MLの関係を満たすことを特徴とする空気入りタイヤ。
- 前記フィルムLの平均厚さGLが0.01mm〜0.50mmであることを特徴とする請求項1に記載の空気入りタイヤ。
- 前記フィルムLの平均厚さGL[mm]と前記タイヤの最大空気圧P[kPa]とがP/20×10-3≦GL≦P/2×10-3の関係を満たすことを特徴とする請求項1又は2に記載の空気入りタイヤ。
- 前記フィルムLの20%伸長時のモジュラスMLが2.0MPa〜20.0MPaであることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の空気入りタイヤ。
- 前記スプライステープTの平均厚さGTが0.01mm〜1.0mmであることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の空気入りタイヤ。
- 前記スプライステープTの20%伸長時のモジュラスMTが2.0MPa〜20.0MPaであることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の空気入りタイヤ。
- 前記スプライステープTの幅が10mm以上であることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の空気入りタイヤ。
- 前記スプライス部において少なくとも2枚の前記スプライステープTが配置されていることを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載の空気入りタイヤ。
- 前記フィルムL側から数えてn枚目のスプライステープTの平均厚さをGT(n)[mm]とし、n+1枚目のスプライステープTの平均厚さをGT(n+1)[mm]とし、前記フィルムL側から数えてn枚目のスプライステープTの20%伸長時のモジュラスをMT(n)[MPa]とし、n+1枚目のスプライステープTの20%伸長時のモジュラスをMT(n+1)[MPa]とするとき、GT(n+1)×MT(n+1)≦GT(n)×MT(n)の関係を満たすことを特徴とする請求項8に記載の空気入りタイヤ。
- 前記フィルムL側から数えてn枚目のスプライステープTの幅をWT(n)[mm]とし、n+1枚目のスプライステープTの幅をWT(n+1)[mm]とするとき、WT(n+1)≧WT(n)の関係を満たすことを特徴とする請求項8又は9に記載の空気入りタイヤ。
- 複数枚の前記スプライステープTのそれぞれの間にゴム層が配置されていることを特徴とする請求項8〜10のいずれかに記載の空気入りタイヤ。
- 前記フィルムLのタイヤ周方向の両端縁がタイヤ周方向に対して傾斜し、その傾斜角度θが60°≦θ≦80°の関係を満たすことを特徴とする請求項1〜11のいずれかに記載の空気入りタイヤ。
- 前記フィルムLのタイヤ周方向の両端面がタイヤ径方向に対して同一方向に傾斜し、その傾斜角度αが20°≦α≦80°の関係を満たすことを特徴とする請求項1〜12のいずれかに記載の空気入りタイヤ。
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