本発明を実施するための形態について図面を参照して説明する。
図1は、本発明の第1の実施形態のホームゲートウェイ装置の構成を示すブロック図である。
尚、実施の形態は例示であり、開示の装置は、以下の実施の形態の構成には限定されない。
第1の実施形態のホームゲートウェイ装置10は、通信制御手段11、緊急通報データ記憶手段13および緊急通報制御手段12を含んで構成される。
通信制御手段11は、回線交換型電話端末20とIP(Internet Protocol)網30との間でVoIP(Voice over IP)電話の通信路設定制御を行う。
緊急通報データ記憶手段13は、緊急事態が発生したことを通知する緊急通報の種別を識別する通報電話番号に対応させて、各種の緊急通報関連データを登録する。
まず、緊急通報関連データは、緊急通報呼を発信する宛先となる緊急連絡先端末40の電話番号と、その応答状況を示す応答フラグを含む。なお、複数の緊急連絡先端末が設定されてよい。さらに、緊急通報関連データとして、着信応答した緊急連絡先端末40に聞かせる、緊急通報の内容をあらかじめ記録した緊急通知音声メッセージおよび通報受信応答の操作を案内する通報受信応答指示音声ガイダンスを含む。通報受信応答とは、緊急通知音声メッセージを聞いた旨を確認通知するための応答である。
緊急通報制御手段12は、回線交換型電話端末20が発信した通報電話番号に対応して登録されている緊急連絡先端末40の電話番号に、通信制御手段11を介して緊急通報呼を発信する。
緊急通報制御手段12は、着信応答した緊急連絡先端末40に対して緊急通知音声メッセージにより緊急事態が発生したことを通知し、通報受信応答指示音声ガイダンスにより緊急通知音声メッセージを聞いた旨の確認通知を求める。
緊急通報制御手段12は、通報受信応答の操作の実行を示す通報受信応答信号を緊急連絡先端末40から受信すると、そのときの回線交換型電話端末20の状況に応じて次の処理のいずれかを実行する。
・緊急連絡先端末40を回線交換型電話端末20に接続する接続処理。
・回線交換型電話端末20が通話中の他の緊急連絡先端末情報を知らせる話中通知処理。
・回線交換型電話端末20と通話を済ませた他の緊急連絡先端末情報を応答フラグにもとづいて知らせる応答状況通知処理。
また、緊急通報制御手段12は、緊急通報呼を発信した宛先の緊急連絡先端末40から、通報受信応答信号を所定時間受信しなかった場合には、緊急通報呼を該緊急連絡先端末に再発信する。
上記のように構成された第1の実施形態のホームゲートウェイ装置10の動作を説明する。
図2は、本発明の第1の実施形態のホームゲートウェイ装置の動作を示すフロー図である。
なお、第1の実施形態のホームゲートウェイ装置が図2に示すフロー図で動作することによって、第1の実施形態の緊急電話の通報方法が実施される。
まず、緊急事態が発生したことを通知する緊急通報の種別を識別する通報電話番号に対応させて、緊急通報関連データを登録する(S101)。
緊急通報関連データには、緊急通報呼を発信する宛先となる緊急連絡先端末の電話番号、該緊急連絡先端末の応答状況を示す応答フラグを含む。さらに、緊急通報関連データとして、緊急事態が発生したことを通知する内容をあらかじめ記録した緊急通知音声メッセージ、および通報受信応答の操作を案内する通報受信応答指示音声ガイダンスを含む。通報受信応答とは、緊急通知音声メッセージを聞いた旨を確認通知するための応答である。
回線交換型電話端末が発信した通報電話番号に対応して登録されている緊急連絡先端末の電話番号に緊急通報呼を発信し、IP網との間にVoIP電話の通信路を設定する(S102)。
緊急通報呼に着信応答した緊急連絡先端末に対して緊急通知音声メッセージおよび通報受信応答指示音声ガイダンスを送信する(S103)。
通報受信応答の操作の実行を示す通報受信応答信号を緊急連絡先端末から所定時間内に受信すると(S104、YES)、回線交換型電話端末の状況に応じて、下記のいずれかの処理を実行する(S105)。
・緊急連絡先端末40を回線交換型電話端末20に接続する接続処理。
・回線交換型電話端末20が通話中の他の緊急連絡先端末情報を知らせる話中通知処理。
・回線交換型電話端末20と通話を済ませた他の緊急連絡先端末情報を前記応答フラグにもとづいて知らせる応答状況通知処理。
一方、緊急通報呼を発信した宛先の緊急連絡先端末から、通報受信応答信号を所定時間受信しなかった場合(S104、NO)には、前記緊急通報呼を該緊急連絡先端末に再発信する(S106)。
このように、本実施形態のホームゲートウェイ装置および緊急電話の通報方法は、汎用的な電話端末のVoIP電話における緊急通報に対して、緊急連絡先が確実に緊急通報に対応することができる構成を備えている。
例えば、回線交換型電話端末に対してはIP網を介したVoIP電話の通信路が設定される。緊急通報呼を受けた緊急連絡先端末は、発生した緊急事態の内容を緊急通知音声メッセージで知ることができる。そして、その内容を聞いた旨を確認通知する通報受信応答を行うことにより、緊急通報呼を発信した回線交換型電話端末と接続されて該緊急通報者との会話を行うことができ、人と人との間で確実な緊急通報の伝達が可能になる。
また、既に他の緊急連絡先端末と通話中で、回線交換型電話端末と接続できる状態にない場合であっても、回線交換型電話端末が通話中の他の緊急連絡先端末情報を知ることができる。または、回線交換型電話端末と通話を済ませた他の緊急連絡先端末情報を知ることができる。このことは、直接通話を行わない場合であっても、緊急通報に即座に対応すべきか否かの判断材料を得ることができる。
さらに、緊急連絡先端末から通報受信応答を所定時間内に受信しなかった場合には、緊急通報呼を該緊急連絡先端末に再発信することもできる。このことは、未応答の緊急連絡先端末があっても、その後に、より多くの緊急連絡先端末への連絡が確実にできるようになる。
次に本発明の第2の実施形態を説明する。
図3は、本発明の第2の実施形態のホームゲートウェイ装置の構成を示すブロック図である。
第2の実施形態のホームゲートウェイ装置100は、VoIP(Voice over Internet Protocol)制御部101、端末制御部102、ルーティング部103およびWAN(Wide Area Network)インターフェース部104を備える。これらの構成は、第1の実施形態のホームゲートウェイ装置10の通信制御手段11に対応する。
また、第2の実施形態のホームゲートウェイ装置100は、通報制御部105および応答管理部106を、第1の実施形態のホームゲートウェイ装置10の緊急通報制御手段12に対応する構成として備える。
そして、第2の実施形態のホームゲートウェイ装置100は、データ記憶部107を、第1の実施形態のホームゲートウェイ装置10の緊急通報データ記憶手段13に対応する構成として備える。
ホームゲートウェイ装置100は、端末制御部102を介して緊急通報発信元電話端末110と接続する。緊急通報発信元電話端末110は、従来の回線交換型電話端末である汎用的な電話端末である。端末制御部102は、収容端末ポートに接続した汎用的な電話端末の発呼検出、宛先電話番号受信、着信時の呼出信号送信、通話路設定、音声信号のアナログ/デジタル変換等のインターフェース機能を有する。
ホームゲートウェイ装置100は、WANインターフェース部104を介してIP網120と接続する。IP網120には、SIP(Session Initiation Protocol)サーバ130、緊急連絡先端末A140および緊急連絡先端末B141が接続されている。
なお、緊急連絡先端末A140および緊急連絡先端末B141は、緊急通報発信元電話端末110が発する緊急通報呼を受信する端末である。後述するように、任意の数の端末を緊急連絡先端末として設定することができる。以降の説明では、緊急連絡先端末A140および緊急連絡先端末B141を、単に緊急連絡先端末と称して説明する。
ホームゲートウェイ装置100は、SIPサーバ130を用いて、汎用的な電話端末である緊急通報発信元電話端末110とIP網120に設置された緊急連絡先端末との間の通信をVoIP電話呼として発着信制御する。ホームゲートウェイ装置100は、VoIP制御部101およびルーティング部103によりVoIP電話の発着信制御を行う。
VoIP制御部101は、SIPサーバ130との間でSIPプロトコル通信を行う機能を備え、緊急連絡先端末との間でのVoIPセッションを確立する。また、VoIP制御部101は、端末制御部102を介して緊急通報発信元電話端末110の通話や音声メッセージ送信等の音声データ通信を可能とする。
ルーティング部103は、IPルーティング処理と各種プロトコルの終端を行うプロトコルスタックを備えており、VoIP制御部101またはWANインターフェース部104から受け取ったIPパケットのルーティング処理を行う。ルーティング部103は、宛先アドレスをもとにルーティング処理を行い、自装置宛の場合はプロトコルスタックにおいてそのパケットが使用しているプロトコルの終端処理を行う。
通報制御部105および応答管理部106は、データ記憶部107に記憶されている緊急通報に関連する電話番号等のデータを参照して、緊急通報に関わる制御を実行する機能ブロックである。
通報制御部105は、緊急連絡先端末に対する緊急通報呼を発信する制御を行い、応答管理部106は、該緊急通報呼に対する緊急連絡先端末からの応答に関わる制御を行う。また、応答管理部106は、緊急通報発信元電話端末110に着信する着信呼に関する制御も行う。
図4は、データ記憶部107に登録される緊急通報関連のデータ例を示す図である。図4を参照してデータ記憶部107に記憶される緊急通報関連データを説明する。
データ記憶部107は、緊急通報したい緊急事態ごとに関連データを記憶する構成となっている。
緊急通報電話番号は、緊急通報する緊急事態を特定するために割り当てられる電話番号であり、図4では緊急通報電話番号1乃至緊急通報電話番号Nが例示されている。
この緊急通報電話番号は、通信網に実際に送信される電話番号ではなく、ホームゲートウェイ装置100の内部処理において処理対象となる緊急事態を特定する目的のみで使用される。したがって、「1」で始まる3桁の特番形式の番号とか、「*」または「♯」に続けてダイヤルされる2桁の番号等を使用すればよい。図4では、緊急通報電話番号1、2乃至NのN種類の緊急事態を登録することができる構成を示している。
なお、ここで、緊急通報したい緊急事態とは、警察、消防等の公共の緊急受付機関に通報する以外に、ユーザが緊急事態と感じる任意の事態を登録してかまわない。例えば、高齢者の独居の生活で遭遇する、第三者の助けを必要とするような各種の事態を緊急事態として登録してかまわない。この場合、救急車を呼ぶほどではないが体調が悪いので掛かり付けの医者や民生委員に対応を依頼するとか、買い物や家事に支障がある状況になったので自治会スタッフや近隣住民に応援を依頼するというような事態が想定できる。
上述した緊急事態を特定する緊急通報電話番号ごとに、緊急事態発生フラグ、緊急通知音声メッセージ、各種の音声ガイダンス、再送周期、再送上限回数、再送カウンターおよび緊急連絡先端末がデータとして登録される。
緊急事態発生フラグは、緊急通報発信元電話端末110から緊急通報呼の発信が要求されたことを識別した際に設定されるフラグである。緊急通報呼の発信要求がない状態とか、緊急連絡先端末による緊急通報への対応が完了したことを識別した際には解除される。たとえば、フラグが1に設定されている場合は、緊急通報が有効な状態を示し、フラグが0になっていれば、緊急事態は解消していることを示す。
緊急通知音声メッセージは、緊急事態が発生したこととその内容を緊急連絡先端末に通知するための任意の音声メッセージであり、予め用意した音声データを用いるか、もしくは事前に録音しておく。
音声ガイダンスは、緊急通報呼の発信を要求した緊急通報発信元電話端末110または緊急通報呼を受信した緊急連絡先端末に対して送信する音声ガイダンスである。この音声ガイダンスは、緊急通報者または緊急通報の受信者が緊急通報処理の過程で次に行うべき端末操作を案内する各種のガイダンスを含む。このガイダンスも、予め用意した音声データを用いるか、もしくは事前に録音しておく。
音声ガイダンスが案内する端末操作の種類としては、一旦送受話器を下すように指示する内容や、特定のプッシュボタンを押下して次に行うべき処理を選択するように指示する内容がある。なお、端末のプッシュボタンを押下することにより、押下したプッシュボタンに対応するDTMF(Dual Tone Multi Frequency)信号がVoIPセッション上を音声データとして転送される。
再送周期は、後述するように、所定時間内に応答がない緊急連絡先端末に対して緊急通報呼を再度発信する再送処理を行う時間周期を示す。
再送上限回数は、所定時間内に応答がない緊急連絡先端末に対して行う再送処理の回数の上限値を示す。再送カウンターは、実施した再送処理の回数を示し、再送処理を行うごとにカウントアップされる。
緊急連絡先端末は、緊急通報呼を発信する宛先となる緊急連絡先端末に関わる情報を登録するフィールドである。図4では、緊急連絡先端末A乃至緊急連絡先端末Xが例示されている。
上述したように、ホームゲートウェイ装置100は、緊急通報発信元電話端末110から送信される緊急通報電話番号を受信することにより緊急通報する緊急事態を特定し、緊急事態毎に登録されている緊急連絡先端末を識別する。緊急事態毎に登録される緊急連絡先端末の数は任意である。そして、緊急連絡先端末毎に電話番号と3種類の応答フラグが登録される。
ここで設定される電話番号は通信網に実際に送信される緊急連絡先端末の宛先電話番号である。
したがって、警察、消防等の公共の緊急受付機関に通報する緊急事態を登録する場合は、例えば緊急連絡先端末Aの電話番号として「110」や「119」を登録する。また、そのような緊急事態が発生したことを知らせたい家族や知人がある場合は、例えば緊急連絡先端末B以降にその電話番号を登録する。また、公共の緊急受付機関に通報する緊急事態以外の場合は、それを知らせたい関係者の電話番号を緊急連絡先端末A乃至Xとして登録する。
応答フラグ0は、緊急連絡先端末が緊急通報呼に着信応答して、VoIPセッションが確立されたことを示す応答フラグである。
応答フラグ1は、VoIPセッション上に転送される緊急通知音声メッセージおよび音声ガイダンスにもとづいて、緊急連絡先端末が後述する通報受信応答したことを示す応答フラグである。
応答フラグ2は、緊急連絡先端末が緊急通報発信元電話端末110との通話を行ったことを示す応答フラグである。後述するように緊急通報発信元電話端末110が呼び返し接続に着信応答し、緊急通報発信元電話端末110と緊急連絡先端末とが通話状態になり、その通話が終了してVoIPセッションが切断された時に応答フラグ2は設定される。
なお、図示していないが、緊急通報発信元電話端末110と通話中の緊急連絡先端末には、対応する緊急連絡先端末フィールドに話中フラグが設定されるものとする。
応答フラグ0乃至2は一度設定されると、緊急事態が解消してリセットされるまで設定されたままとなる。一方、話中フラグは、緊急通報発信元電話端末110と緊急連絡先端末とが通話状態になった時点で設定され、通話が終了してVoIPセッションが切断された時にリセットされる。そして、どの緊急連絡先端末が緊急通報発信元電話端末と現在通話中であるかを、話中フラグを参照することにより識別することができる。
通報制御部105および応答管理部106は、上述したデータ記憶部107に記憶されている緊急通報関連データを参照して、概略、次のような処理を行う。
通報制御部105は、VoIP制御部101から送られてきた宛先電話番号を前述したデータ記憶部107に登録されている緊急通報電話番号と照合し、一致する緊急通報電話番号が登録されている場合に緊急通報処理を実行する。
応答管理部106は、緊急通報処理の発生と終了、および緊急通報呼に対する緊急連絡先端末からの応答状況を管理する。
緊急通報処理を開始した通報制御部105は、識別した緊急通報電話番号を付して、その旨を応答管理部106に通知する。
通報制御部105は、データ記憶部107に登録されている緊急連絡先端末への発信接続を行う前に、緊急通報呼の発信を要求した緊急通報発信元電話端末110に対して、一旦送受話器を置いて、呼び返し接続を待つように指示する音声ガイダンスを送信する。
そして、通報制御部105は、識別した緊急通報電話番号に対応してデータ記憶部107に登録されているすべての緊急連絡先端末に対する発信接続を行う。つまり、通報制御部105は、緊急通報電話番号に対応してデータ記憶部107に登録されているすべての緊急連絡先端末の電話番号をVoIP制御部101に送り、発信接続を要求する。
通報制御部105は、緊急連絡先端末からの応答を2段階で受け取る。最初は、呼処理プロトコルとしての着信応答を受信した場合であり、これはVoIP制御部101から通知される。次の応答は、着信した呼が緊急通報として受信された旨を確認する、アプリケーションとしての通報受信応答を受信した場合である。通報受信応答は緊急連絡先端末におけるプッシュボタン押下により出力されるDTMF信号により伝達され、後述する応答管理部106から通知される。
通報制御部105は、緊急連絡先端末からの着信応答を受け取ると、該緊急連絡先端末に対応する応答フラグ0を1に設定し、緊急通報を伝えるメッセージである緊急通知音声メッセージを送信する。続いて、緊急通知音声メッセージの受信確認を示す通報受信応答の操作を案内する通報受信応答指示音声ガイダンスを送信する。通報受信応答指示音声ガイダンスは、通報受信応答を示すプッシュボタンを押下することを指示する音声ガイダンスである。そして、指示されたプッシュボタンを緊急連絡先端末で押下すると、通報受信応答の操作の実行を示す通報受信応答信号が送信される。
通報制御部105は、通報受信応答指示音声ガイダンスの指示に基づく緊急連絡先端末からの通報受信応答を、応答管理部106を介して受け取ると、該緊急連絡先端末に対応する応答フラグ1を1に設定する。そして、通報制御部105は、通報受信応答を受信した段階で、呼び返しを待っている緊急通報発信元電話端末110に通報受信応答してきた緊急連絡先端末を接続する処理を開始する。
このとき、緊急通報発信元電話端末110が他の緊急連絡先端末と既に接続中(話中)である場合には、通報受信応答してきた緊急連絡先端末にその旨を伝える音声メッセージを送信する。
通報制御部105は、緊急連絡先端末からの着信応答または通報受信応答を所定時間内に受け取れなかった場合、その旨を応答管理部106に通知し、応答管理部106からの指示に応じて緊急通報呼の再発信を行う。
再発信処理は、データ記憶部107における各緊急連絡先端末の通報受信応答を示す応答フラグ1が参照され、応答フラグ1が未応答状態になっている全ての緊急連絡先端末宛に、再度発信接続が行われる。着信応答がない場合は応答フラグ0も設定されないが、当然、応答フラグ1も設定されない。そのため、応答フラグ1が設定されていない緊急連絡先端末は、着信応答がなかった緊急連絡先端末と通報受信応答がなかった緊急連絡先端末の両方を含むことになる。
応答管理部106は、図示しない音声解析部を含み、VoIPセッションに流れる音声データをモニターし、音声データに含まれるDTMF信号を識別して解析する機能を有する。そして、緊急通報発信元電話端末110または緊急連絡先端末が音声ガイダンスに応じて押下したプッシュボタン操作の内容を判定する。
応答管理部106は、緊急連絡先端末から緊急通報発信元電話端末110に着信する着信呼に対する応答制御を行う。これは、緊急事態発生フラグが設定されている状況において、緊急通報発信元電話端末110が話中で直接会話ができなかった緊急連絡先端末が、別途、緊急通報発信元電話端末110に対して接続要求してきた場合の処理を想定する。
応答管理部106は、通報制御部105から緊急通報処理を開始した旨を通知されると、データ記憶部107の通知された緊急通報電話番号に対応する緊急事態発生フラグを1に設定する。
また、緊急通報発信元電話端末110または緊急連絡先端末は、プッシュボタン操作により、後述する緊急通報の完了処理を指示する緊急通報完了要求信号を送信することができる。そして、応答管理部106は、緊急通報発信元電話端末110または緊急連絡先端末が音声ガイダンスに応じて押下したプッシュボタン操作の内容が、緊急通報完了要求であった場合に、緊急事態発生フラグを0に設定変更する。
VoIP制御部101は、緊急通報発信元電話端末110に着信する着信呼があると応答管理部106に通知する。
応答管理部106は、緊急事態発生フラグが1に設定されている状態で、緊急連絡先端末からの着信呼に対して、所望する着信処理を選択する操作を案内する着信処理選択案内音声ガイダンスを送信する。
ここで選択できる着信処理の種別としては、接続処理、応答状況通知処理および緊急通報完了通知処理がある。
緊急連絡先端末が着信処理選択案内音声ガイダンスにもとづいて押下したプッシュボタン操作の内容は、選択した着信処理を示す着信処理選択信号としてDTMF信号のモニター結果により識別される。
着信処理選択信号が接続処理を示す場合は、緊急連絡先端末が緊急通報発信元電話端末110との通話を希望するもので、緊急通報発信元電話端末110を呼び出して緊急連絡先端末と接続する着信接続制御を行う。
着信処理選択信号が応答状況通知処理を示す場合は、緊急連絡先端末が他の緊急連絡先端末が既に応答したか否か知るためで、データ記憶部107の応答フラグ2の設定状況を参照して、他の緊急連絡先端末の応答状況を音声メッセージで通知する。つまり、応答フラグ2が設定されており、緊急通報発信元電話端末110と既に通話を行ったことを示す緊急連絡先端末の電話番号を通知する。
着信処理選択信号が緊急通報完了通知処理を示す場合は、緊急連絡先端末が緊急通報処理の完了を要求するもので、緊急事態発生フラグを0に設定変更する。そして、応答管理部106は、通報制御部105に対して緊急通報完了通知処理の実行を指示する。緊急通報完了通知処理は、後述するように、緊急通報呼を発信したすべての宛先の緊急連絡先端末に対して緊急通報完了通知呼を発信して、該緊急通報完了通知呼に応答した緊急連絡先端末に対して緊急通報完了通知音声メッセージを送信する処理である。
なお、緊急通報完了要求は、緊急通報発信元電話端末110および緊急連絡先端末のいずれからも要求できる。
応答管理部106は、緊急通報の再送管理を行う。
所定時間内に着信応答や通報受信応答がない場合が無応答として識別される。これらの無応答は通報制御部105が識別して、応答管理部106に通知される。
応答管理部106は、再送周期までの時間を計測するためのタイマーを有する。そして、応答管理部106は、通報制御部105から無応答があった旨の通知を受けると、データ記憶部107に登録されている再送回数が再送上限回数に到達していない場合に、データ記憶部107に登録されている再送周期までの時間を計測する。そして、応答管理部106は、タイマーが再送周期に達すると通報制御部105に緊急通報の再送処理を要求する。そして、再送回数のカウント数をカウントアップ更新する。
上述したように構成された第2の実施形態のホームゲートウェイ装置100の動作を、図5乃至11を参照して説明する。
まず、緊急通報発信元電話端末110から緊急通報呼の発信が要求された場合の動作について、図5乃至図7のフロー図と図8および図9のシーケンス図を参照して説明する。
図5は、緊急通報発信元電話端末110から緊急通報呼の発信が要求された場合のホームゲートウェイ装置100の動作を示すフロー図である。図6は、緊急通報呼に対して緊急連絡先端末からの応答があった場合のホームゲートウェイ装置100の動作を示すフロー図である。また、図7は、緊急通報呼に対して緊急連絡先端末から所定時間内に応答がなかった場合のホームゲートウェイ装置100の動作を示すフロー図である。図8は、緊急通報呼の発信が要求された場合の関連装置の動作例を説明するシーケンス図である。そして、図9は、緊急通報完了通知処理の動作例を説明するシーケンス図である。
まず、図5を参照して、緊急通報発信元電話端末110から緊急通報呼の発信が要求された場合の全体的な動作を説明する。なお、必要な箇所は適宜図8を参照する。
緊急事態の通報者は、ホームゲートウェイ装置100に収容されている緊急通報発信元電話端末110から、緊急通報電話番号をダイヤルして緊急通報呼の発信を要求する。
端末制御部102はこの発呼を検出し、通報者がダイヤルした緊急通報電話番号(宛先電話番号)を受信してVoIP制御部101に発信要求する(S201)。
VoIP制御部101は、宛先電話番号が「1」、「*」または「♯」で始まる3桁の番号であることを識別すると、それを緊急通報電話番号であると解釈して該宛先電話番号を通報制御部105に送る。通報制御部105は、データ記憶部107に登録されている緊急通報電話番号と照合する(S202)。
宛先電話番号と一致する緊急通報電話番号が登録されていない場合、通報制御部105は、VoIP制御部101に対して通常発信を行うように要求する(S203、NO)。つまり、緊急通報呼以外の特番(例えば、天気予報、時報、番号案内等)として処理される。
宛先電話番号と一致する緊急通報電話番号が登録されている場合、通報制御部105は、応答管理部106に対して、該緊急通報電話番号とともに緊急通報処理の開始を通知する(S203、YES)。
そして、緊急通報処理の開始を通知された応答管理部106は、緊急通報処理に関わる各種のフラグ等の初期設定を行う(S204)。応答管理部106は、通知された緊急通報電話番号に対応する緊急事態発生フラグを1に設定し、登録されているすべての緊急連絡先端末の応答フラグ0乃至2の値を0に初期設定する。また、応答管理部106は、再送回数を計測するための再送カウンター値を0に設定する。
また、通報制御部105は、緊急通報処理の開始を案内するための音声ガイダンスをデータ記憶部107から取り出し、VoIP制御部101を介して緊急通報発信元電話端末110に送信する。この音声ガイダンスは例えば、次のような内容を含む。
「緊急連絡先に連絡をします。一度受話器を置いて、呼び返しをお待ちください。なお、後刻、緊急連絡先との通話が終了し、緊急通報を終了させる場合には緊急通報完了要求を示すプッシュボタンを押下してください。」
なお、図8を参照すると、ここまでの処理がシーケンスS1101およびS1102で示される。
通報制御部105は、音声ガイダンスにしたがって緊急通報発信元電話端末110の送受話器が置かれたことを示すオンフック信号の検出をVoIP制御部101から通知される。その通知を受けた通報制御部105は、データ記憶部107に登録されているすべての緊急連絡先端末に一斉発信することをVoIP制御部101に指示する。
VoIP制御部101は、通報制御部105から緊急連絡先端末への発信要求を受けると、ルーティング制御部103およびWANインターフェース部104を介して発信処理を行う(S205、図8のS1103)。
VoIP制御部101は、緊急連絡先端末からの着信応答を受け取ると、緊急連絡先端末との間のVoIPセッションを確立し、そのVoIPセッションを通報制御部105に伝達する(S206、YES、図8のS1104)。
一方、通報制御部105は、VoIP制御部101に発信を指示してから、所定時間内にVoIP制御部101からの着信報告を受けなかった場合、つまり緊急連絡先端末からの着信応答がなかった場合、後述する無応答処理を行う(S206、NO)。無応答処理(S400)は、図7を参照して後述する。
着信応答を受けてVoIPセッションが確立されると、通報制御部105は、データ記憶部107に登録されている緊急通知音声メッセージと通報受信応答指示音声ガイダンスを取り出し、緊急連絡先端末に送信する(S207、図8のS1105)。なお、このとき、通報制御部105は、着信応答を示す応答フラグ0を応答状態に設定する。また、通報受信応答指示音声ガイダンスは、前述したように、緊急通知音声メッセージの受信確認を示す通報受信応答の操作を案内する音声ガイダンスである。
緊急通知音声メッセージにより、緊急事態が発生したこととその内容が緊急連絡先端末に伝達される。また、特定のプッシュボタンを押下してこの緊急通報に応答することが通報受信応答指示音声ガイダンスにより指示される。
通報受信応答指示音声ガイダンスにしたがって、特定のプッシュボタンを押下して緊急連絡先端末がこの緊急通報に応答すると、押下したプッシュボタンに対応するDTMF信号が送信され、応答管理部106で検出、識別される(図8のS1106)。つまり、通報受信応答の操作の実行を示す通報受信応答信号が緊急連絡先端末から送信され、通報受信応答として応答管理部106で識別される。
応答管理部106は、DTMF信号が通報受信応答に該当する信号であることを識別すると、通報受信応答を受け取った旨を通報制御部105に通知する(S208、YES)。通報受信応答を受け取ったことにより実行される緊急通報処理(S300)は、図6を参照して後述する。
一方、通報制御部105は、緊急通知音声メッセージと通報受信応答指示音声ガイダンスを送信してから、所定時間内に緊急連絡先端末からの通報受信応答がなかった場合、後述する無応答処理を行う(S208、NO)。
以上が、緊急通報発信元電話端末110から緊急通報の発信が要求された場合の全体的な動作である。
なお、上記のステップS204からS205に至る説明において、緊急通報発信元電話端末110に音声ガイダンスを送信して、一度受話器を置いて呼び返しを待つように指示したが、必ずしもこのように構成しなくてもよい。たとえば、次のような内容の音声ガイダンスであってもよい。
「緊急連絡先に連絡をします。受話器を置かずにそのままでお待ちください。なお、後刻、緊急連絡先との通話が終了し、緊急通報を終了させる場合には緊急通報完了要求を示すプッシュボタンを押下してください。」
つまり、この場合は、そのまま回線を保留させておき、最初に通報受信応答してきた緊急連絡先端末を必ず緊急通報発信元電話端末110に接続させるように構成するものである。そして、この場合、最初に通報受信応答してきた緊急連絡先端末に対しては、後述する図6における、応答してきた緊急連絡先端末を緊急通報発信元電話端末110に接続する制御において、ステップS302の処理は省略される。そして、2番目以降に通報受信応答してきた緊急連絡先端末に対しては、後述する図6で説明した動作が行われる。同様に、最初に通報受信応答してきた緊急連絡先端末に対しては、図8におけるステップS1107とS1108は省略される。
次に、図6を参照して、通報受信応答を受け取ったことにより実行される緊急通報処理(図5のS300)の動作を説明する。なお、必要な箇所は適宜図8を参照する。
応答管理部106は、DTMF信号が通報受信応答信号であることを識別すると、応答してきた緊急連絡先端末に対応する応答フラグ1を応答状態に設定する(S301)。そして、前述のごとく、通報受信応答を受け取った旨を通報制御部105に通知する。
通報受信応答を受け取った通報制御部105は、応答してきた緊急連絡先端末を緊急通報発信元電話端末110に接続する制御を開始する。
まず、通報制御部105は、通報者端末である緊急通報発信元電話端末110が他の緊急連絡先端末と通話中か否かを確認する(S302)。つまり、一斉発信した緊急通報呼に対して先に応答してきた緊急連絡先端末があった場合には、緊急通報発信元電話端末110はその緊急連絡先端末と通話中であることが想定される。
通報制御部105は、データ記憶部107を参照して図示しない話中フラグが設定されている緊急連絡先端末の有無を確認し、話中フラグが設定されている緊急連絡先端末が存在しない場合は接続可能と判断する(S302、空き)。一方、話中フラグが設定されている緊急連絡先端末が存在する場合、通報制御部105は接続不可と判断する(S302、話中)。
緊急通報発信元電話端末110が他の緊急連絡先端末と通話中の場合(S302、話中)、通報制御部105は、話中フラグが設定されている緊急連絡先端末の電話番号を読み出す。そして、通報制御部105は、通報者が当該電話番号の相手と通話中である旨の音声メッセージを通報受信応答してきた緊急連絡先端末に送信し(S303)、その後、VoIPセッションを切断して(S304)処理を終了する。なお、図8を参照すると、上述した緊急通報発信元電話端末110が他の緊急連絡先端末と通話中の場合の処理がシーケンスS1109乃至S1112に示される。
緊急通報発信元電話端末110が他の緊急連絡先端末と通話中でなく空きであった場合(S302、空き)、通報制御部105は、緊急通報発信元電話端末110に着信させる接続要求をVoIP制御部101に指示する(S305、図8のS1107)。
端末制御部102から呼出信号が送出され、緊急通報発信元電話端末110から着信応答があると(S306、あり、図8のS1108)、緊急連絡先端末と緊急通報発信元電話端末110が接続され、両者間での通話が行われる(S307)。この処理はVoIP制御部101により行われ、緊急連絡先端末と緊急通報発信元電話端末110が接続された旨は通報制御部105に通知される。
緊急連絡先端末と緊急通報発信元電話端末110が接続されたことを通知された通報制御部105は、データ記憶部107において、対応する緊急連絡先端末の話中フラグを設定する。
両者間での通話の結果、緊急事態が解消したと通報者が判断し、指示されていたプッシュボタンを押下すると、緊急通報発信元電話端末110から緊急通報の完了処理を指示する緊急通報完了要求信号が送信される(図8のS1113)。この緊急通報完了要求信号(DTMF信号)は、応答管理部106で検出される。緊急通報完了要求信号を受信したことを識別した応答管理部106は、緊急事態発生フラグを解除し、値を0に設定更新する。
なお、通報者が、当該緊急連絡先端末との通話では緊急事態の解消とみなさず、他の緊急連絡先端末とさらに通話を行うことを所望する場合には、指示されていたプッシュボタン押下の操作をしなくてもよい。この場合は、緊急通報完了要求信号は送信されず、緊急事態発生フラグは1に設定されたままの状態となる。
VoIP制御部101は、通話が終了するとVoIPセッションを切断し(S309)、その旨を通報制御部105に通知する。
通報制御部105は、通話が終了したことを知らされると、データ記憶部107において対応する緊急連絡先端末の図示しない話中フラグを解除し、通話完了を示す応答フラグ2を応答状態に設定する(S310)。
そして、通報制御部105は、緊急事態発生フラグが解除されているか否かを確認する(S311)。緊急事態発生フラグが解除されていない場合(S311、NO)は、処理を終了する。一方、緊急事態発生フラグが解除されている場合(S311、YES)は、緊急通報完了通知処理(S312)を行ってから処理を終了させる。緊急通報完了通知処理については、図9のシーケンス図を参照して後述する。
また、ステップS306の処理で、通報者端末である緊急通報発信元電話端末110からの着信応答を、所定時間経過しても受信することができなかった場合(S306、なし)、VoIP制御部101はその旨を通報制御部105に通知する。
この場合、通報制御部105は、データ記憶部107の応答フラグ2を参照して、その時点までに緊急通報発信元電話端末110との通話が完了している緊急連絡先端末を読み出す。そして、通報制御部105は、応答状況として、通話が完了している緊急連絡先端末の電話番号を通知する音声メッセージを、通報受信応答してきた緊急連絡先端末に送信する(S308)。通報制御部105は、該音声メッセージの送信後に、VoIP制御部101に対してVoIPセッションの切断を指示する。
なお、上述したステップS303の処理で、通報制御部105は、緊急通報発信元電話端末110と通話中の緊急連絡先端末の電話番号を通知したが、その時点までに通話が完了している他の緊急連絡先端末情報もあわせて通知するようにしてもよい。
以上が、通報受信応答を受け取ったことにより実行される緊急通報処理(図5のS300)の動作である。
続いて、図7を参照して、緊急連絡先端末からの着信応答や通報受信応答がなかった場合の無応答処理(図5のS400)の動作を説明する。
前述したように、緊急連絡先端末からの着信応答や通報受信応答を所定時間内に受け取れなかったことを通報制御部105が検出する。
通報制御部105は、VoIPセッションが確立されている場合にはVoIP制御部101にVoIPセッションの切断を指示し(S401)、応答管理部106には無応答の旨を通知して再発信処理の要否を問い合わせる。
応答管理部106は、緊急事態発生フラグが1に設定されているか否かを確認する(S402)。緊急事態発生フラグが1に設定されていない場合(S402、NO)は、通常状態における着信側無応答であり、VoIPセッションはすでに切断されているので、これ以上の処理は行わない。
緊急事態発生フラグが1に設定されている場合(S402、YES)、応答管理部106は再送条件に応じて再発信処理の要否を判定する。
データ記憶部107における各緊急連絡先端末の通報受信応答を示す応答フラグ1が参照され、応答管理部106は、未応答状態になっている全ての緊急連絡先端末を特定する(S403)。この場合、通報受信応答を示す応答フラグ1が未応答状態であれば、着信応答を示す応答フラグ0も未応答状態なので、通報受信応答を示す応答フラグ1を参照するだけでよい。
また、応答管理部106は、データ記憶部107に設定されている再送条件を読み出す(S403)。
まず、再送カウンター値がデータ記憶部107に登録されている再送上限回数に到達しているか否かが判定される(S404)。なお、再送カウンターは、応答管理部106が緊急通報電話番号に対応させて保持する構成でもよい。
再送回数を示す再送カウンター値がすでに再送上限回数に到達している場合には、それ以上の再送処理は行わずに処理を終了させる(S404、YES)。
再送回数が再送上限回数に到達していない場合には、データ記憶部107に登録されている再送周期までの時間を計測する(S405)。
そして、応答管理部106は、タイマーが再送周期に達すると、ステップS403で特定した無応答の緊急連絡先端末情報とともに、通報制御部105に緊急通報の再送処理を要求する。通報制御部105は、その要求にもとづいて、指示された緊急連絡先端末に対して再発信処理を行う(S406)。
これ以降の動作は、図5のステップS206以降と同じである。
なお、ステップS403において、未応答状態になっている全ての緊急連絡先端末を特定する処理は応答管理部106が行うことなく、通報制御部105で行ってもよい。つまり、応答管理部106は再送処理の要否を判定し、再送周期に達したことを通報制御部105に通知するだけでもよい。その場合、通報制御部105がデータ記憶部107における各緊急連絡先端末の通報受信応答を示す応答フラグ1を参照して、未応答状態になっている全ての緊急連絡先端末を特定する。
以上が、緊急連絡先端末からの着信応答や通報受信応答がなかった場合の無応答処理(図5のS400)の動作である。
次に、緊急通報完了通知処理(図6のS312)について、図9のシーケンス図を参照して説明する。
緊急通報完了通知とは、緊急通報呼の発信先となったすべての緊急連絡先端末に対して、緊急通報した緊急事態が解消された旨を通知する処理である。
まず、通報制御部105は、緊急通報呼の発信先となったすべての緊急連絡先端末への接続をVoIP制御部101に指示する。VoIP制御部105は、指示に基づき接続要求を送信する(S1201)。
緊急連絡先端末からの着信応答を受信すると(S1202)、VoIP制御部101はVoIPセッションを確立し、着信応答を通報制御部105に通知する。
通報制御部105は、緊急通報の完了を通知する緊急通報完了通知音声メッセージを着信応答した緊急連絡先端末に送信する(S1203)。そして、緊急通報完了通知が終了したVoIPセッションを切断するようにVoIP制御部101に指示する。
他の緊急連絡先端末からの着信応答を受信した場合にも、上記と同様の処理が行われる(S1204、S1205)。
以上の動作により、緊急通報発信元電話端末から緊急通報呼の発信が要求された場合の一連の動作が終了する。
次に、緊急通報発信元電話端末に着信する着信呼があった場合の動作について図10および図11を参照して説明する。
図10は、緊急通報発信元電話端末に着信する着信呼があった場合のホームゲートウェイ装置の動作を示すフロー図である。そして、図11は、緊急連絡先端末から緊急通報発信元電話端末に着信する着信呼があった場合の関連装置間の動作例を説明するシーケンス図である。
この動作は、緊急事態発生フラグが設定されている状況において、緊急通報発信元電話端末110が話中で直接会話ができなかった緊急連絡先端末が、別途、緊急通報発信元電話端末110に対して接続要求してきた場合の処理を想定する。
VoIP制御部101がホームゲートウェイ装置100の収容端末である緊急通報発信元電話端末110宛の着信呼を受けると、応答管理部106にその着信呼の発信元電話番号を含めて通知する(S501)。
応答管理部106は、データ記憶部107の緊急事態発生フラグを参照する。
すべての緊急通報電話番号に対応する緊急事態発生フラグが0であった場合(S502、NO)、応答管理部106はVoIP制御部101に対して通常着信を指示する(S509)。
一方、いずれかの緊急通報電話番号に対応する緊急事態発生フラグが1に設定されていた場合(S502、YES)、応答管理部106は当該呼の発信元電話番号をデータ記憶部107に登録されている緊急連絡先端末の電話番号と照合する(S503)。つまり、発信元電話番号と、緊急事態発生フラグが1に設定されている緊急通報電話番号に対応して登録されている緊急連絡先端末の電話番号とを照合する。
照合の結果、当該呼の発信元電話番号と登録されている緊急連絡先電話端末の電話番号とが一致しなかった場合(S504、NO)、応答管理部106はVoIP制御部101に対して通常着信を指示する(S509)。なお、ここでは通常着信させるように構成したが、緊急事態発生中であることから、緊急連絡先端末以外から着信があった場合に、音声ガイダンスで緊急事態発生中であることを通知して着信を拒否するように構成してもよい。
また、照合の結果、当該呼の発信元電話番号と緊急連絡先電話端末の電話番号とが一致した場合(S504、YES)、応答管理部106はVoIP制御部101に当該着信呼に応答して、VoIPセッションを確立するように指示する。
そして、応答管理部106はそのVoIPセッションを用いて緊急連絡先端末に、所望する着信処理を選択する操作を案内する着信処理選択案内音声ガイダンスを送信する(S505)。
着信処理選択案内音声ガイダンス送信の結果、緊急連絡先端末からは、当該ガイダンスにもとづいて操作されたプッシュボタン押下によるDTMF信号が送信されてくる。このDTMF信号は、緊急連絡先端末において選択した着信処理を示す着信処理選択信号である。そして、応答管理部106は、受信した着信処理選択信号種別に応じた処理を実行する(S506)。
所望する着信処理には、接続処理、応答状況通知処理および緊急通報完了通知処理を含む。
着信処理選択信号種別が接続処理を示す場合、応答管理部106は、当該着信呼を緊急通報発信元電話端末110に着信させる制御をVoIP制御部101に指示する(S509)。
着信処理選択信号種別が応答状況通知処理を示す場合、緊急通報発信元電話端末110と通話を済ませた他の緊急連絡先端末情報を知らせる処理が行われる。この場合、応答管理部106は、データ記憶部107の通話完了を示す応答フラグ2を参照して、その時点までに緊急通報発信元電話端末110との通話が完了している緊急連絡先端末を読み出す。そして、応答管理部106は、応答状況通知として、通話が完了している緊急連絡先端末の電話番号を通知する音声メッセージを、当該着信呼の発信元である緊急連絡先端末に送信する(S507)。
着信処理選択信号種別が緊急通報完了通知処理を示す場合、応答管理部106は、緊急事態発生フラグを解除して設定値を0に変更し、通信制御部105に対して緊急通報完了通知処理を実行するように指示する(S508)。
該指示を受けた通信制御部105は、図9を参照して説明した緊急通報完了通知処理を実行して、緊急通報呼を発信したすべての宛先の緊急連絡先端末に対して緊急通報に関わる処理が完了した旨を通知する。
図11に示す関連装置間の動作例を説明するシーケンス図では、緊急連絡先端末Bからは応答状況通知処理を示すDTMF信号が送信され(S1303)、応答状況通知が返信されている(S1304)。また、緊急連絡先端末Aからは緊急通報完了通知処理を示すDTMF信号が送信され(S1307)、緊急事態発生フラグが解除されている(S1308)。そして、図9を参照して説明した緊急通報完了通知処理が開始される(S1309)。
このように、本実施形態のホームゲートウェイ装置および緊急電話の通報方法は、汎用的な電話端末のVoIP電話における緊急通報に対して、緊急連絡先が確実に緊急通報に対応することができる構成を備えている。
例えば、緊急通報発信元電話端末は汎用的な電話端末であるが、IP網を介したVoIP電話の通信路が設定される。緊急通報呼を受けた緊急連絡先端末は、緊急通知音声メッセージを聞き、その通報受信応答を行えば緊急通報呼を発信した緊急通報発信元電話端末と接続される。そして、緊急通報者との会話を行うことができ、人と人との間で確実な緊急通報の伝達が可能になる。
また、緊急通報呼を受けた緊急連絡先端末は、通報受信応答を行った時点で該緊急通報者との会話ができない状況にあっても、他の緊急連絡先端末が緊急通報者と通話したか否を知ることができる。
さらに、緊急通報呼を受けた緊急連絡先端末は、別途緊急通報発信元電話端末に発呼して、着信処理選択案内音声ガイダンスにもとづく操作を行うことで、この場合も他の緊急連絡先端末が緊急通報者と通話したか否を知ることができる。
このことは、緊急通報発信元電話端末との接続により直接通話を行わない場合であっても、緊急通報に即座に対応すべきか否かの判断材料を得ることができる。
また、緊急連絡先端末から所定時間応答を受信しなかった場合には、緊急通報呼を該緊急連絡先端末に再発信することができる。このことは、未応答の緊急連絡先端末があっても、その後により多くの緊急連絡先端末への連絡ができる。
さらに、緊急通報発信元電話端末または緊急連絡先端末が、緊急事態の解消を通知する緊急通報完了要求を指示する信号を送信すれば、緊急通報完了通知処理が行われて、すべての緊急連絡先端末に緊急事態の解消を通知することができる。
次に、第2の実施形態の変形例を、図12乃至図14を参照して説明する。
図12は、第2の実施形態の変形例のホームゲートウェイ装置の構成を示すブロック図である。
第2の実施形態の変形例のホームゲートウェイ装置150は、複数の汎用的な電話端末を接続する端末収容ポート109を備える構成を有する。例えば、集合住宅の各部屋に電話端末を設置し、ホームゲートウェイ装置150で集約してIP網に接続する形態が想定される。
第2の実施形態の変形例のホームゲートウェイ装置150は、端末収容ポート109を備える構成を有することと、データ記憶部108に登録するデータが、第2の実施形態のホームゲートウェイ装置100と異なる。他の構成は第2の実施形態のホームゲートウェイ装置100と同じなので、他の構成についての説明は省略する。
図12では、収容する汎用的な電話端末として緊急通報発信端末A111、緊急通報発信端末B112および緊急通報発信端末C113を例示しているが、その数は任意である。
端末制御部102は、汎用的な電話端末のオフフックによる発呼を検出し、受信したダイヤル数字と発呼した電話端末の端末収容ポート情報とともにVoIP制御部101に発呼を通知する。端末制御部102は、VoIP制御部101から着呼を指示されると、指示された端末収容ポートに対して呼出信号を送信する。また、端末制御部102は、収容した電話端末のマルチ接続を可能にする構成となっており、各電話端末は独立して電話呼の発着信を行うことができる。
図13は、第2の実施形態の変形例のホームゲートウェイ装置150のデータ記憶部108に登録されるデータ例を示す図である。
第2の実施形態の変形例の場合、ホームゲートウェイ装置150に収容される緊急通報発信端末A111乃至緊急通報発信端末C113のそれぞれが独立して緊急通報呼を発信できる必要がある。そのため、図4を参照して説明した第2の実施形態のホームゲートウェイ装置100のデータ記憶部107に登録されるデータに相当するデータを、緊急通報発信端末A111乃至緊急通報発信端末C113のそれぞれが個別に有する構成になっている。
つまり、データ記憶部108には、緊急通報発信端末A111乃至緊急通報発信端末C113のそれぞれ電話番号と対応して、図4のデータ記憶部107に記憶される緊急通報に関連する電話番号等のデータに相当するデータが登録されている。そのため、データ記憶部108に登録されている各データに関する説明は省略する。
図14は、第2の実施形態の変形例のホームゲートウェイ装置150の動作の一部を示すフロー図である。以降の説明では、緊急通報発信端末A111乃至緊急通報発信端末C113を単に緊急通報発信端末と称して説明する。
第2の実施形態のホームゲートウェイ装置100の動作と異なる点は、発呼した緊急通報発信端末を特定し、その緊急通報発信端末の電話番号と対応して登録されている緊急通報に関連するデータを取り出して処理を行うことである。
緊急通報発信端末の発呼検出およびダイヤル数字(宛先電話番号)の受信が前述のように端末制御部102で行われ、この宛先電話番号と発呼した電話端末の端末収容ポート情報とともにVoIP制御部101に発呼が通知される(S601)。
VoIP制御部101は、通知された発呼電話端末の端末収容ポート情報から緊急通報発信端末電話番号を識別する(S602)。また、VoIP制御部101は、宛先電話番号が緊急通報電話番号を含む特番であることを識別すると、宛先電話番号と識別した緊急通報発信端末電話番号を通報制御部105に送る。
通報制御部105は、データ記憶部108を参照して、緊急通報発信端末電話番号に対応して登録されている緊急通報に関連する電話番号等のデータを読み出し、宛先電話番号が緊急通報電話番号として登録されているか否かを照合する(S603)。
照合の結果、宛先電話番号と一致する緊急通報電話番号が登録されていない場合、通報制御部105は、VoIP制御部101に対して通常発信を行うように要求する(S604、NO)。つまり、緊急通報呼以外の特番(例えば、天気予報、時報、番号案内等)として処理される。
一方、宛先電話番号と一致する緊急通報電話番号が登録されている場合、通報制御部105は、応答管理部106に対して、緊急通報電話番号とともに緊急通報処理の開始を通知する(S604、YES)。そして、第2の実施形態で説明したように、データ記憶部108の緊急事態処理関連フラグが応答管理部106により設定される(S605)。
以降の処理は、第2の実施形態で説明した図5のステップS205以降の処理と同じなので説明を省略する。また、図6乃至図11を参照して説明した内容も第2の実施形態の変形例のホームゲートウェイ装置150に適用される。
なお、第2の実施形態の図6のステップS305において、変形例の場合、通報者端末に対する呼び返し接続をVoIP制御部101に要求する際に、通報制御部105は緊急通報発信端末電話番号を含めた接続要求を行う。これは、VoIP制御部101が接続先の端末収容ポート109を特定できるようにするためである。
また、第2の実施形態で説明したように、緊急通報発信端末からの回線を保留させておき、最初に通報受信応答してきた緊急連絡先端末を必ず緊急通報発信端末に接続させるように構成してもよい。
また、第2の実施形態の図10のステップS501において、変形例の場合、応答管理部106は、受け付けた着信呼の宛先電話番号と一致する緊急通報発信端末電話番号と紐づけられているデータを参照する。つまり、宛先電話番号に相当する緊急通報発信端末電話番号に対応して登録されている緊急通報に関連する電話番号等のデータを読み出してステップS502以降の処理を行う。
このように、第2の実施形態の変形例のホームゲートウェイ装置150は、複数の汎用的な電話端末を収容し、個々の電話端末が独立して登録した緊急通報先端末に緊急通報呼を発信することができる。
次に、第3の実施形態を説明する。
第3の実施形態は、IP網に存在する端末が緊急通報発信元電話端末として機能し、ホームゲートウェイ装置を介して緊急通報呼を発信する構成になっている。例えば、第2の実施形態または第2の実施形態の変形例で説明した、緊急通報発信元電話端末として機能する汎用的な電話端末のユーザが、外出先から緊急通報呼の発信を要求することを想定する。
図15は、本発明の第3の実施形態のホームゲートウェイ装置の構成を示すブロック図である。
第3の実施形態のホームゲートウェイ装置200は、VoIP制御部201、端末制御部202、ルーティング部203およびWANインターフェース部204を通信制御手段として備える。
また、第3の実施形態のホームゲートウェイ装置200は、通報制御部205および着信解析応答管理部206を、緊急通報制御手段として備える。
そして、第3の実施形態のホームゲートウェイ装置200は、データ記憶部207を、緊急通報データ記憶手段として備える。
ホームゲートウェイ装置200は、端末制御部202を介して汎用的な電話端末である収容電話端末250を接続する。端末制御部202は、収容電話端末250の発呼検出、宛先電話番号受信、着信時の呼出信号送信、通話路設定、音声のアナログ/デジタル変換等のインターフェース機能を有する。
ホームゲートウェイ装置200は、WANインターフェース部204を介してIP網220と接続する。
IP網220には、SIPサーバ230、緊急連絡先端末A240、緊急連絡先端末B241および緊急通報発信元電話端末210が接続されている。
緊急通報発信元電話機端末210は、IP網220においてVoIP電話の発着信が可能な電話機端末である。
緊急連絡先端末A240および緊急連絡先端末B241は、緊急通報発信元電話端末210がホームゲートウェイ装置200を介して発信する緊急通報呼を受信する端末である。第2の実施形態と同様に、任意の数の端末を緊急連絡先端末として設定することができ、以降の説明では、単に緊急連絡先端末と称して説明する。
ホームゲートウェイ装置200は、SIPサーバ230を用いて、汎用的な電話端末である収容電話機端末250に対するIP網220に設置された端末との間でのVoIP電話呼の発着信制御を司る。ホームゲートウェイ装置200は、VoIP制御部201およびルーティング部203によりVoIP電話の発着信制御を行う。
また、ホームゲートウェイ装置200は、IP網220に存在する緊急通報発信元電話端末210から発信された、収容電話端末250への着信を要求する着信呼に対し、緊急通報呼に関する処理を含む処理を実行する。
VoIP制御部201は、SIPサーバ230との間でSIPプロトコル通信を行う機能を備え、収容電話端末250に対するVoIP電話の発着信に関わるVoIPセッションを確立する。
ルーティング部203は、IPルーティング処理と各種プロトコルの終端を行うプロトコルスタックを備えており、VoIP制御部201またはWANインターフェース部204から受け取ったIPパケットのルーティング処理を行う。ルーティング部203は、宛先アドレスをもとにルーティング処理を行い、自装置宛の場合はプロトコルスタックにおいてそのパケットが使用しているプロトコルの終端処理を行う。
通報制御部205および着信解析応答管理部206は、データ記憶部207に記憶されている緊急通報に関連する電話番号等のデータを参照して、緊急通報に関わる制御を実行する機能ブロックである。
通報制御部205は、緊急連絡先端末に緊急通報呼を発信する制御を行う。
着信解析応答管理部206は、収容電話端末250に着信する着信呼の制御を行う。そして、その着信呼に緊急通報発信元電話端末210からの緊急通報要求が含まれる場合に、通報制御部205に対して緊急通報呼の発信制御の実行を指示する。
また、着信解析応答管理部206は、その緊急通報呼に対する緊急連絡先端末からの応答に関わる制御を行う。着信解析応答管理部206は、第2の実施形態の応答管理部106と同様に、図示しない音声解析部を含み、VoIPセッションに流れる音声データをモニターし、音声データに含まれるDTMF信号を識別して解析する機能を有する。
図16は、第3の実施形態のホームゲートウェイ装置200のデータ記憶部207に登録されるデータ例を示す図である。
このデータ記憶部207には、収容電話端末250の電話番号と、該電話番号に紐づけられたIP網220に属する緊急通報発信元電話端末210の電話番号と対応させて緊急通報に関連する電話番号等のデータが登録される。つまり、収容電話端末250のユーザは、IP網220において使用する電話端末を緊急通報発信電話端末210として、その電話番号を登録しておくことができる。なお、緊急通報に関連する電話番号等のデータは図4のデータ記憶部107に記憶される緊急通報に関連する電話番号等のデータと同じなので、その説明は省略する。
また、VoIP制御部201は、収容電話端末250の電話番号と端末の端末収容ポート番号を相互に変換する図示しない変換テーブルを備えて収容電話端末250に対する発着信制御を行う。そして、IP網220で使用する電話端末を緊急通報発信元電話端末210として登録してある収容電話端末250に対しては、該変換テーブルにおいて、外部網緊急通報発信元電話端末有のフラグが設定されているものとする。
以上のように構成された第3の実施形態のホームゲートウェイ装置200の動作を説明する。
図17は、収容電話端末250に対して、IP網220に接続されている緊急通報発信元電話端末210から緊急通報要求を含む着信呼があった場合の第3の実施形態のホームゲートウェイ装置200の動作の一部を示すフロー図である。つまり、第3の実施形態における緊急通報は、IP網220に接続されている緊急通報発信元電話端末210から収容電話端末250への着信呼としてトリガーがかかる。
VoIP制御部201は、WANインターフェース部204およびルーティング部203を介してIP網220から受信したパケットに含まれる宛先情報が収容電話端末250の電話番号であった場合、着信接続の制御を開始する。
VoIP制御部201は、宛先情報である収容電話端末電話番号を、呼を接続すべき端末収容ポート番号に変換するために、前述の図示しない変換テーブルを参照する。そして、その変換テーブルにおいて、着信対象となる収容電話端末電話番号に対応して、外部網緊急通報発信元電話端末有のフラグが設定されている場合には、着信接続を保留して、着信解析応答管理部206に処理を渡す。つまり、VoIP制御部201は、IP網220から受信したパケットに含まれる収容電話端末電話番号と発信元情報である発信元電話番号を付して、緊急通報呼の発信要求の可能性がある旨を着信解析応答管理部206に通知する。
着信解析応答管理部206は、VoIP制御部201から通知された収容電話端末250宛の着信呼を受け付けると(S701)、データ記憶部207の緊急通報に関連するデータを参照する。
着信解析応答管理部206は、VoIP制御部201から通知された発信元電話番号を識別し(S702)、それが収容電話端末電話番号に紐づけられて登録されている緊急通報発信元電話端末の電話番号と一致するか否かを判定する(S703)。
発信元電話番号が、登録されている緊急通報発信元電話端末の電話番号と一致する場合は(S703、YES)、緊急通報呼の発信要求の可能性があり、ステップS704以降の処理を実行する。
一方、発信元電話番号が、登録されている緊急通報発信元電話端末の電話番号と一致しない場合(S703、NO)、後述する緊急連絡先端末からの着信と、その他の端末からの着信の場合がある。いずれの場合も、緊急事態発生フラグが設定されていない状態においては、通常の着信接続が行われる。そのため、着信解析応答管理部206は、データ記憶部207の緊急事態発生フラグを参照し(S708)、緊急事態発生フラグが設定されていない場合(S708、NO)には、通常の着信接続を行うことをVoIP制御部201に指示する。
発信元電話番号が、登録されている緊急通報発信元電話端末の電話番号と一致しない場合(S703、NO)で緊急事態発生フラグが設定されている場合(S708、YES)、着信解析応答管理部206は、発信元の端末種別を識別する(S709)。つまり、着信解析応答管理部206は、発信元の端末が、緊急事態発生フラグが設定されている緊急事態の通報先として登録されている緊急連絡先端末に該当するか否かを照合する。
着信解析応答管理部206は、緊急連絡先端末でないその他の端末からの着信を識別すると(S709、NO)、緊急事態の最中なので着信拒否するようにVoIP制御部201に指示する。
一方、発信元が緊急事態の通報先として登録されている緊急連絡先端末の場合(S709、YES)、着信解析応答管理部206は、第2の実施形態で説明した図10のステップS505以降と同様の処理を実行する。この処理については後述する。
発信元電話番号が、登録されている緊急通報発信元電話端末の電話番号と一致する場合(S703、YES)のステップS704以降の処理を説明する。
着信解析応答管理部206は、VoIP制御部201に当該着信呼に応答して、VoIPセッションを確立するように指示する。
着信解析応答管理部206は、緊急通報発信元電話端末210からの着信が、収容電話端末250への通常の着信なのか、それとも緊急通報呼の発信を要求するための着信なのかを識別する。また、緊急通報呼の発信を要求する着信の場合には、その緊急通報の種別を特定する必要もある。
着信解析応答管理部206は、データ記憶部207から問合わせのための音声ガイダンスデータを取り出し、確立したVoIPセッションを用いて緊急通報発信元電話端末210に問合せ音声ガイダンスを送信する(S704)。問合せ音声ガイダンスには、通常着信の場合と緊急通報要求の場合とでそれぞれ異なるプッシュボタンを押下する指示が含まれている。また、緊急通報要求の場合には、所望する緊急通報電話番号も送信するように指示される。
問合せ音声ガイダンスに従ったプッシュボタン押下によりDTMF信号が緊急通報発信元電話端末210から送信され、着信解析応答管理部206はそのDTMF信号を検出し、識別する。
識別したDTMF信号が通常着信を示す場合(S705、NO)、着信解析応答管理部206は通常の着信接続を行うことをVoIP制御部201に指示する。
また、識別したDTMF信号が緊急通報要求を示す場合(S705、YES)、着信解析応答管理部206は、データ記憶部207から別の音声ガイダンスを取り出し、緊急通報発信元電話端末210に音声ガイダンスを送信する(S706)。この音声ガイダンスは例えば、次のような内容を含む。
「緊急連絡先に連絡をします。一度受話器を置いて、呼び返しをお待ちください。なお、後刻、緊急連絡先との通話が終了し、緊急通報を終了させる場合には緊急通報完了要求を示すプッシュボタンを押下してください。」
緊急通報発信元電話端末210が呼の切断を行うと、切断要求メッセージがIP網220を介して送信される。VoIP制御部201はその切断要求メッセージを受信し、VoIPセッションを切断する。VoIPセッションの切断は、VoIP制御部201から着信解析応答管理部206に通知される(S707)。
続いて、着信解析応答管理部206は、第2の実施形態で説明した図5のステップS204と同様の処理を実行する。
つまり、着信解析応答管理部206は、通知された緊急通報電話番号に対応する緊急事態発生フラグを1に設定し、緊急通報処理に関わる各種のフラグ等の初期設定を行う。登録されているすべての緊急連絡先端末の応答フラグ0乃至2、および再送回数を計測するための再送カウンター値が0に初期設定される。
そして、着信解析応答管理部206は、緊急通報発信元電話端末210による緊急通報呼の発信要求であることを示す緊急通報要求情報を出力し、通知された緊急通報電話番号に対応する緊急通報呼の発信を通報制御部205に指示する。
通報制御部205は、緊急通報電話番号に対応してデータ記憶部207に登録されているすべての緊急連絡先端末の電話番号を読み出し、それらの緊急連絡先端末に緊急通報呼を一斉発信するようにVoIP制御部201に指示する。
以降の動作は、図5を参照して説明したステップS205以降の動作と同じなので説明を省略する。
なお、上記のステップS706とS707の説明において、緊急通報発信元電話端末210に音声ガイダンスを送信して、回線を切断して呼び返しを待つように指示したが、必ずしもこのように構成しなくてもよい。たとえば、次のような内容の音声ガイダンスであってもよい。
「緊急連絡先に連絡をします。受話器を置かずにそのままでお待ちください。なお、後刻、緊急連絡先との通話が終了し、緊急通報を終了させる場合には緊急通報完了要求を示すプッシュボタンを押下してください。」
つまり、この場合は、そのまま回線を保留させておき、最初に通報受信応答してきた緊急連絡先端末を必ず緊急通報発信元電話端末210に接続させるように構成するものである。そして、この場合、図17のステップS707の処理が省略されて、上述した図5のステップS204と同様の処理が行われ、ステップS205に進む。さらに、後述する図18におけるステップS803とS804の処理においては、最初に通報受信応答してきた緊急連絡先端末を保留状態になっている緊急通報発信元電話端末210に単に接続するだけの制御でよい。そして、2番目以降に通報受信応答してきた緊急連絡先端末に対しては、図18の後述する動作が行われる。
第3の実施形態における通報受信応答時の緊急通報処理は、図5におけるステップS300(図6に動作説明)とは異なるので、図18を参照して説明する。
図18は、第3の実施形態のホームゲートウェイ装置の緊急通報処理の動作例を示すフロー図である。
着信解析応答管理部206は、緊急連絡先端末から通報受信応答を受信(S801)すると、第2の実施形態で説明したように、応答フラグ1を設定する(S802)。
着信解析応答管理部206は、応答してきた緊急連絡先端末を緊急通報発信元電話端末210に接続する制御を通報制御部205に指示する。
通報制御部205は、緊急通報発信元電話端末210が空き状態であることをデータ記憶部207の話中フラグを参照して確認すると、VoIP制御部201に対して、緊急通報発信元電話端末210への発信接続を指示する。このとき通報制御部205は、緊急通報発信元電話端末210が応答した時に緊急連絡先端末と中継接続するようにVoIP制御部201に対して指示する。
VoIP制御部201は、通報制御部205から緊急通報発信元電話端末210への発信要求を受けると、ルーティング制御部203およびWANインターフェース部204を介して発信処理を行う(S803)。
緊急通報発信元電話端末210から当該呼に対する着信応答を受信すると(S804)、VoIP制御部201は、緊急通報発信元電話端末210に対するVoIPセッションを確立し、緊急連絡先端末に対するVoIPセッションと接続する。つまり、ホームゲートウェイ装置200は、緊急通報発信元電話端末210側の通話音声データと緊急連絡先端末側の通話音声データを互いに転送することにより、通話を中継する(S805)。
緊急連絡先端末と緊急通報発信元電話端末210が接続された旨は通報制御部205に通知される。緊急連絡先端末と緊急通報発信元電話端末210が接続されことを通知された通報制御部205は、データ記憶部207において、対応する緊急連絡先端末の話中フラグを設定する。
なお、その他の動作は、第2の実施形態で説明した図6と同様の動作が行われる。
例えば、話中フラグを参照したときに、緊急通報発信元電話端末210が他の緊急連絡先端末と通話中であることを識別した場合は、他の緊急連絡先端末と通話中である旨の音声メッセージを通報受信応答してきた緊急連絡先端末に送信する。
また、緊急通報発信元電話端末210から緊急通報完了要求が出されて緊急事態発生フラグが解除されている場合は、緊急通報完了通知処理を行ってから処理を終了させる。
緊急通報完了通知処理は、第2の実施形態で図9を参照した説明と同じなので、ここでの説明は省略する。
また、緊急通報呼に対して緊急連絡先端末から所定時間内に応答がなかった場合の再送処理も、第2の実施形態で図7を参照した説明と同じなので、ここでの説明は省略する。
図17に戻り、緊急事態発生フラグが設定中(S708、YES)で、収容電話端末宛の着信呼の発信元が緊急連絡先端末の場合(S709、YES)の動作において、第2の実施形態と異なる接続処理の動作について図10を参照して説明する。
なお、図10のステップS505、S506、S507およびS508の動作は、下記のとおり第2の実施形態と同じ動作である。
ステップS505で、収容電話端末宛の着信呼の発信元である緊急連絡先端末に対して、所望する着信処理を選択する操作を案内する着信処理選択案内音声ガイダンスが送信される。そして、ステップS506で、該音声ガイダンスに基づいて緊急連絡先端末から送信される、選択した着信処理を示す着信処理選択信号の種別に応じた処理が実行される。
応答状況通知処理が選択された場合はステップS507が実行され、緊急通報完了通知処理が選択された場合はステップS508が実行される。
ステップS507の応答状況通知処理は、緊急通報発信元電話端末210と通話を済ませた他の緊急連絡先端末情報を知らせる。そして、ステップS508の緊急通報完了通知処理は、緊急通報呼を発信したすべての宛先の緊急連絡先端末に、緊急通報完了通知呼を発信し、該緊急通報完了通知呼に応答した緊急連絡先端末に緊急通報完了通知音声メッセージを送信する。
第2の実施形態と異なる接続処理の動作は次のように行われる。
着信解析応答管理部206は、接続処理を示す着信処理選択信号(DTMF信号)を受信した場合、当該呼を緊急通報発信元電話端末210に接続する制御を通報制御部205に指示する(S509)。
通報制御部205は、VoIP制御部201に対して、緊急通報発信元電話端末210への発信接続を指示する。このとき通報制御部205は、緊急通報発信元電話端末210が応答した時に緊急連絡先端末と中継接続するようにVoIP制御部201に対して指示する。
VoIP制御部201は、通報制御部205から緊急通報発信元電話端末210への発信要求を受けると、ルーティング制御部203およびWANインターフェース部204を介して発信処理を行う。そして、緊急通報発信元電話端末210から当該呼に対する着信応答を受信すると、VoIP制御部201は、緊急通報発信元電話端末210に対するVoIPセッションを確立し、緊急連絡先端末に対するVoIPセッションと接続する。つまり、ホームゲートウェイ装置は、緊急通報発信元電話端末210と緊急連絡先端末の通話を中継する。
以上に説明したように、第3の実施形態では緊急通報発信元電話端末がIP網に存在し、緊急通報発信元電話端末は、予め定めたホームゲートウェイ装置の収容電話端末に接続要求を行うことにより緊急通報を行うことができる。
図19は、緊急通報発信元電話端末から緊急通報要求呼が発信された場合の関連装置間での第3の実施形態における動作例を示すシーケンス図である。
図19を参照すると、緊急通報発信元電話端末は、予め定めたホームゲートウェイ装置の収容電話端末に接続要求を行うことにより緊急通報のトリガーをかける(S1401)。
ホームゲートウェイ装置は、緊急通報発信元電話端末から予め定めた収容電話端末への着信呼であることを識別すると、問合せ音声ガイダンスを緊急通報発信元電話端末に送信する(S1402)。これは、着信呼が緊急通報呼の発信を要求するものなのか、それとも単に収容電話端末に着信させるものなのかを問い合わせるガイダンスである。
緊急通報呼の発信を要求する場合には、問合せ音声ガイダンスにしたがって緊急通報発信元電話端末から、所望する緊急通報電話番号を含む緊急通報要求信号が送信される(S1403)。この緊急通報要求信号の受信により、ホームゲートウェイ装置は緊急通報処理を開始する。
まず、緊急通報要求のための接続を一旦切断させる。そのため、ホームゲートウェイ装置は、緊急通報発信元電話端末にその旨を通知する音声ガイダンスを送信する(S1404)。
この音声ガイダンスにしたがって緊急通報発信元電話端末との接続が切断されると、ホームゲートウェイ装置は、予め登録してある緊急連絡先端末に接続要求を送信して接続を試みる(S1406)。
緊急連絡先端末から着信応答を受けると(S1407)、ホームゲートウェイ装置は緊急連絡先端末と接続される。そして、ホームゲートウェイ装置は、緊急通報発信元電話端末からの緊急通報である旨を伝える緊急メッセージと、通報の受信を確認する操作を促す音声ガイダンスを緊急連絡先端末に送信する(S1408)。
緊急連絡先端末から通報受信応答が送信され(S1409)、緊急通報発信元電話端末からの緊急通報を認識した旨が確認される。
次に、ホームゲートウェイ装置は、緊急連絡先端末と緊急通報発信元電話端末を接続して通話を行わせるために、緊急通報発信元電話端末への呼び返し接続を発信する(S1410)。
緊急通報発信元電話端末がこの呼び返し接続に応答すると(S1411)、ホームゲートウェイ装置は、緊急連絡先端末と緊急通報発信元電話端末を接続して通話を中継する。つまり、ホームゲートウェイ装置は、緊急通報発信元電話端末側の通話音声データと緊急連絡先端末側の通話音声データを互いに転送する。
なお、図17の説明で述べたように、緊急通報発信元電話端末210に回線を保留するように指示する構成にした場合は、図19のステップS1404とS1405のシーケンスはなくてもよい。また、ステップS1410とS1411のシーケンスは、最初に通報受信応答してきた緊急連絡先端末に対しては適用されず、2番目以降に通報受信応答してきた緊急連絡先端末に対して適用されるシーケンスとなる。
このように、本実施形態のホームゲートウェイ装置および緊急電話の通報方法は、第2の実施形態または第2の実施形態の変形例で説明した汎用的な電話端末のユーザが、外出先からでも緊急通報呼を発信することができるようになる。これにより、緊急連絡先端末が緊急通報により高い確度で対応することができる。