以下、図を参照しながら、この発明のシステム、装置の一実施の形態について説明する。以下に説明する実施の形態においては、この発明による電話システムを、例えば会社のオフィスなどに構築されるビジネスホンシステム(ボタン電話システム)に適用した場合を例にして説明する。
[電話システムの構成例]
図1は、この実施の形態の電話システムの構成例を説明するための図である。図1に示すように、SIPサーバ1に対して、LAN(Local Area Network)2を通じて、複数のIP電話端末3A(1)、3A(2)、…、3B(1)、3B(2)、…、3C(1)、3C(2)、…が接続されることにより、ビジネスホンシステムが構成される。また、SIPサーバ1は、広域ネットワーク4にも接続されている。広域ネットワーク4は、公衆交換電話網、携帯電話網、IP電話網などを含むものである。
SIPサーバ1は、この発明による電話制御装置が適用されたものであり、自機に接続された(配下の)電話端末の呼制御を行う。なお、呼制御は、電話をかけたり、電話を受けたりして、通話回線(電話回線)を接続して通話を可能にしたり、通話回線を切断したりするなど、通話を可能にするための種々の制御を意味する。IP電話端末3A(1)、3A(2)、…、3B(1)、3B(2)、…、3C(1)、3C(2)、…のそれぞれは、この発明による電話端末が適用されたものであり、相手先の電話端末との間に接続される通話回線を通じて通話を行う機能を実現する。
すなわち、IP電話端末3A(1)、3A(2)、…、3B(1)、3B(2)、…、3C(1)、3C(2)、…のそれぞれは、SIPサーバ1を介して、広域ネットワーク4に接続されている電話端末5や携帯電話端末(図示せず)などと外線通話を行える。また、IP電話端末3A(1)、3A(2)、…、3B(1)、3B(2)、…、3C(1)、3C(2)、…のそれぞれは、SIPサーバ1を介して、LAN2に接続されている他のIP電話端末と内線通話を行うことができる。なお、電話端末5は、単独で広域ネットワーク4に接続されている場合もあれば、他のビジネスホンシステムの電話端末として広域ネットワーク4に接続される場合もある。
また、この実施の形態の電話システムにおいて、IP電話端末3A(1)、3A(2)、…と、IP電話端末3B(1)、3B(2)、…と、IP電話端末3C(1)、3C(2)、…とは、離れた場所に設置されている場合を想定している。例えば、IP電話端末3A(1)、3A(2)、…は、3階の総務部に設置され、IP電話端末3B(1)、3B(2)、…は、2階の営業部に設置され、IP電話端末3C(1)、3C(2)、…は、1階の製造部に設置されているといった具合である。
[転送機能、代理応答機能、保留機能、パーク保留機能]
この実施の形態の電話システムにおいては、転送機能、代理応答機能、保留機能、パーク保留機能を用いて、かかってきた電話を最初の着信先の電話端末とは異なる電話端末(新たな接続先)に引き継ぐことができる。
<転送機能の概要>
例えば、IP電話端末3A(1)からIP電話端末3B(1)に内線電話をかけたが、IP電話端末3B(1)の使用者では要件に答えられず、IP電話端末3C(1)の使用者に電話を引き継ぎたい(廻したい)とする。この場合、IP電話端末3B(1)の使用者は、自分が使用するIP電話端末3B(1)の「転送ボタン」を操作し、IP電話端末3A(1)との間に接続した通話回線を保留状態にする。この後、電話端末3C(1)の内線番号をダイヤルし、電話端末3C(1)に内線電話をかける。
これに応じて、転送相手先が電話端末3C(1)をオフフック操作することにより、呼び出しに応答すれば、IP電話端末3B(1)とIP電話端末3C(1)との間に通話回線が接続される。この場合に、IP電話端末3B(1)の使用者は、IP電話端末3C(1)の使用者に電話を引き継ぎたい旨を接続された通話回線を通じて伝える。IP電話端末3C(1)の使用者が、了承すれば、例えばIP電話端末3B(1)の使用者が、オンフックするなどの所定の転送実行を指示する操作を行う。
これにより、IP電話端末3B(1)とIP電話端末3C(1)との間に接続された通話回線が解放される。更に、保留状態にあったIP電話端末3A(1)との間の通話回線が、IP電話端末3A(1)とIP電話端末3C(1)との間に接続されて通話が可能にされる。このように、転送機能を用いることによって、自分にかかってきた電話を、目的とする転送相手先(新たな接続先)に引き継ぐことが可能になる。なお、ここでは、内線電話を転送する場合を例に説明したが、外線電話を転送する場合にも同様にして行うことができる。
<代理応答機能の概要>
例えば、IP電話端末3A(1)からIP電話端末3B(1)に電話をかけたが、IP電話端末3B(1)の使用者が不在であったとする。この場合には、近くにあるIP電話端末3B(2)の使用者が、例えば、IP電話端末3B(2)の受話器を取り上げ(オフフックし)、「代理応答ボタン」を押下操作するといった代理応答操作を行う。これにより、IP電話端末3A(1)からIP電話端末3B(1)にかかってきている電話に、IP電話端末3B(2)を通じて応答することができる。なお、ここでは、かかってきた内線電話に代理応答する場合を例に説明したが、かかってきた外線電話に代理応答する場合にも同様にして行うことができる。
<保留・パーク保留機能の概要>
例えば、IP電話端末3A(1)からIP電話端末3B(1)に内線電話をかけたが、IP電話端末3B(1)の使用者では要件に答えられず、IP電話端末3C(1)の使用者に電話を引き継ぎたい(廻したい)とする。この場合、IP電話端末3B(1)の使用者は、自分が使用するIP電話端末3B(1)の「保留ボタン」を操作し、IP電話端末3A(1)との間に接続した通話回線を保留状態にする。この後、電話端末3C(1)の内線番号をダイヤルし、電話端末3C(1)に内線電話をかける。
これに応じて、転送相手先が電話端末3C(1)をオフフック操作することにより、呼び出しに応答すれば、IP電話端末3B(1)とIP電話端末3C(1)との間に通話回線が接続される。この場合に、IP電話端末3B(1)の使用者は、IP電話端末3C(1)の使用者に、「内線ボタン1」を押して、IP電話端末3A(1)からの内線に出てほしいことを伝える。IP電話端末3C(1)の使用者が、了承すれば、IP電話端末3B(1)の使用者は、オンフックしてIP電話端末3C(1)との間の通話回線を切断する。
一方、IP電話端末3C(1)の使用者は、「内線ボタン1」を押下操作することにより、保留状態にあったIP電話端末3A(1)との間の通話回線が、IP電話端末3A(1)とIP電話端末3C(1)との間に接続されて通話が可能にされる。このように、保留機能を用いることによって、相手先において、この例の場合には「内線ボタン1」を押下操作して電話を引き継ぐといった操作が加わるが、自分にかかってきた電話を、目的とする相手先に引き継ぐことが可能になる。なお、ここでは、内線電話を保留して他の電話端末に引き継ぐ場合を例に説明したが、外線電話を保留して他の電話端末に引き継ぐ場合にも同様にして行うことができる。
上述したように、通常の保留機能は、内線電話の場合には接続された通話回線を内線ボタンに対応付けて保留状態にし、外線電話の場合には接続された通話回線を外線ボタンに対応付けて保留状態にする。このため、保留された通話回線を引き継ぐ場合には、保留が対応付けられている内線ボタンや外線ボタンを押下することにより行う。これに対して、パーク保留機能の場合には、予めIP電話端末に用意されている「パーク保留ボタン」に接続された通話回線を対応付けて保留状態にし、「パーク保留ボタン」を押下操作することによって保留していた通話回線を引き継ぐことができるようにする。
このように、保留機能とパーク保留機能とでは、保留状態にした通話回線を対応付けておく「操作ボタン」が異なっている。なお、パーク保留機能の場合には、「パーク保留ボタン」を備えたIP電話端末であればパーク保留にした通話回線を引き継ぐことができるというメリットがある。電話システムの構成の仕方によっては、例えば、営業部や製造部では、代表電話番号への着信には応答しないようにすることがある。この場合には、代表電話番号に対応した外線ボタンが、営業部や製造部のIP電話端末には設けられない。従って、代表電話番号への着信を保留機能では営業部や製造部のIP電話端末に引き継げないが、パーク保留機能を用いることにより、引き継ぎが可能になる。
この実施の形態の電話システムにおいては、転送機能、代理応答機能、保留機能、パーク保留機能が用いられて、最初の着信先のIP電話端末とは異なるIP電話端末に通話回線が引き継がれた場合であっても、着信履歴を適切に残すことができるようにしている。これにより、通話回線が引き継がれた場合であっても、着信履歴を利用した履歴発信機能が利用できるようにされる。従って、実際に通話を行った使用者が、自分が用いたIP電話端末を用いて、実際に通話を行った相手先と再度のコンタクトを確実かつ容易に取ることができるようにしている。
以下においては、まず、この実施の形態の電話システムで用いられるSIPサーバ1と、IP電話端末3A(1)、3A(2)、…、3B(1)、3B(2)、…、3C(1)、3C(2)、…の構成例について説明する。その後に、電話システムの総合的な動作、SIPサーバ1で行われる処理、IP電話端末3A(1)、3A(2)、…、3B(1)、3B(2)、…、3C(1)、3C(2)、…のそれぞれで行われる処理について説明する。
なお、この実施の形態において、IP電話端末3A(1)、3A(2)、…、3B(1)、3B(2)、…、3C(1)、3C(2)、…のそれぞれは、基本的に同様の構成を有し、同様の機能を実現するものである。このため、構成例の説明においては、IP電話端末3A(1)、3A(2)、…、3B(1)、3B(2)、…、3C(1)、3C(2)、…を総称してIP電話端末3と記載する。
[SIPサーバ1の構成例]
図2は、実施の形態の電話制御装置であるSIPサーバ1の構成例を説明するためのブロック図である。接続端101Tは、広域ネットワーク4への接続端を構成する。通信I/F(Interface)101は、広域ネットワーク4を通じての通信処理を行う部分である。すなわち、通信I/F101は、広域ネットワーク4を介して送信されて来る自機宛ての信号を、自機において処理可能な形式の信号に変換してこれを取り込む。また、通信I/F101は、自機から目的とする相手先に送信する信号を、送信用の形式の信号に変換してこれを広域ネットワーク4に送出して相手先に送信する。
制御部102は、図示しないがCPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)、不揮発性メモリなどを備えたマイクロプロセッサであり、SIPサーバ1の各部を制御する。また、制御部102は、パケット化されて送受される制御データや音声データなどの種々のデータの分解処理/生成処理も行うことができるものである。記憶装置103は、例えば、HDD(Hard Disk Drive)やSSD(Solid State Drive)などの、記録媒体とそのドライバとからなる装置部であり、種々のデータの記録、変更、削除、読み出しなどを行う。記憶装置103は、必要となるデータやプログラムを記憶保持する他、種々の処理において生じる中間データを一時記憶する作業領域としても用いられる。
アドレス管理DB104は、HDDやSSDなどの記録装置部に作成され、自機に収容されたIP電話端末3についてのアドレス情報やその他の管理情報を記憶保持する。図3は、SIPサーバ1のアドレス管理DB104の格納データの例を説明するための図である。図3に示すように、アドレス管理DB104には、SIPサーバ1に収容されるIP電話端末3ごとに、「内線番号」、「IP(Internet Protocol)アドレス」、「ポート番号」、「その他」の各情報が記憶保持される。
「内線番号」は、SIPサーバ1に収容される全てのIP電話端末3に割り当てられる内線電話用の番号である。IPアドレスは、インターネットに接続可能な機器に対して、例えばDHCP(Dynamic Host Configuration Protocol)サーバなどにより付与され、インターネットに接続可能な機器のそれぞれを一意に特定できる情報である。この実施の形態において、SIPサーバ1に収容されるIP電話端末3のそれぞれには、IPアドレスが割り当てられている。
ポート番号は、IP電話端末3のそれぞれが用いるポートの番号である。「その他」としては、例えば、IP電話端末3のMACアドレス(Media Access Control address)、URL(Uniform Resource Locator)など、必要となる種々の情報を付加することが可能である。アドレス管理DB104の格納データにより、SIPサーバ1は、自機に収容するようにされたIP電話端末3のそれぞれを把握することができる。
接続端105Tは、LAN2への接続端を構成する。LANI/F(Interface)105は、SIPサーバ1と、LAN2を通じてSIPサーバ1に収容されるIP電話端末3のそれぞれとの間の通信を可能にする。従って、SIPサーバ1からIP電話端末3への信号は、LANI/F105において送信用の形式の信号に変換されて、IP電話端末3に送信される。また、IP電話端末3からの信号は、LANI/F105において自機において処理可能な形式の信号に変換されて取り込まれる。
呼制御部106は、制御部102の制御の下、アドレス管理DB104の管理情報を用い、配下のIP電話端末3の発信、着信、応答、切断等の呼制御を行う。呼制御部106は、図2に示すように、発信制御部1061と、着信制御部1062とを備えている。呼制御部106は、配下の電話端末3から発信(発信要求)を受け付けると、発信制御部1061が機能して、指示された相手先を呼び出すようにし、当該相手先が応答してきたら通話回線を接続して通話を可能にする。
また、呼制御部106は、自機宛ての着信(相手先からの発信通知)を受け付けた場合には、着信制御部1062が機能して、配下のIP電話端末3に着信通知を行う。これにより、IP電話端末3では、呼び出し音が放音され、着信の発生が通知される。IP電話端末3において、着信に応答する操作(オフフック操作)がされると、着信制御部1062は、これを検知して、着信に応答し、オフフックがされた配下のIP電話端末3との間に通話回線を接続して通話を可能にする。
なお、この実施の形態のSIPサーバ1において、接続した通話回線を保留にしたり、転送したり、解放したりする処理は、配下の電話端末3からの要求に応じて、制御部102の制御の下に処理される。また、着信通知後に代理応答機能が用いるようにされた場合にも、配下の電話端末3からの要求に応じて、制御部102の制御の下に処理される。この他、制御部102は、配下の電話端末3が備えるLED(Light Emitting Diode)の点灯/消灯制御やディスプレイへの表示制御なども行う。
図2に示したSIPサーバ1において、制御メッセージ生成部107と、接続先変更操作判別部108が、この実施の形態の電話システムにおいて、着信履歴を適切に形成して保持できるようにするための主要部となる。制御メッセージ生成部107は、制御対象の電話端末に対する制御メッセージ情報を形成し、これを提供する処理を行う。制御対象の電話端末は、電話をかけてきた外線電話端末をも含むが、主には、自機の配下のIP電話端末3である。
図4は、SIPサーバ1から送信される制御メッセージ情報の例を説明するための図である。制御メッセージ生成部107で生成されて、SIPサーバ1から配下のIP電話端末3に提供される制御メッセージ情報は、図4に示すように、「指示・通知メッセージ」と、「通知先情報」と、「接続先情報」とからなる。「指示・通知メッセージ」は、当該制御メッセージ情報が、応答通知なのか、保留通知なのか、転送指示なのか、接続指示なのかといった、当該制御メッセージ情報の内容を示す情報となる。「通知先情報」は、当該制御メッセージ情報の通知先(提供先)を特定する情報であり、内線番号、IPアドレス、ポート番号などからなる情報である。
「接続先情報」は、この発明により、新たに通知されることになった情報である。例えば、上述した転送機能、代理応答機能、保留機能、パーク保留機能が用いられて、最初の着信先とは異なるIP電話端末3が新たな接続先となったとする。この場合に、転送指示や接続指示を出して、通話回線を接続する場合に、新たな接続先となったIP電話端末3に対しては、発信元の内線番号や外線番号を「接続先情報」とする制御メッセージ情報を形成して提供する。一方、発信元に対しては、新たな接続先の内線番号を、「接続先情報」とする制御メッセージ情報を形成して提供する。
これにより、新たな接続先となったIP電話端末3においては、発信元の内線番号や外線番号を着信履歴として残すことによって、従来は不可能であった転送先から発信元への履歴発信機能を用いた再発信ができるようになる。従って、転送先から発信元への再度のアクセスが確実かつ簡単に行えるようになる。また、発信元のIP電話端末3においては、通知された新たな接続先の内線番号を、例えば着信履歴として保持する。これにより、発信元のIP電話端末3においては、従来は不可能であった転送先などの新たな接続先に対する履歴発信機能を用いた再発信ができるようになる。従って、発信元から転送先への再度のアクセスが確実かつ簡単に行えるようになる。
なお、発信元が外線電話端末である場合には、接続先指示を通知してもよいが、これを利用することできない外線電話端末であることが一般的である。そこで、発信元の外線電話端末に対しては、従来通り、通話回線の接続するための応答通知を送信し、新たな接続先の内線番号を通知しないようにすることもできる。
接続先変更操作判別部108は、配下のIP電話端末3からの要求が、転送機能、代理応答機能、保留機能、パーク保留機能といった機能が用いられて、最初の着信先とは異なるIP電話端末3を新たな接続先とするものか否かを判別する処理を行う。接続先変更操作判別部108において、配下のIP電話端末3からの要求が、転送機能、代理応答機能、保留機能、パーク保留機能といった機能が用いられて、最初の着信先とは異なるIP電話端末3を新たな接続先とするものであると判別されたとする。
この場合には、制御部102の制御の下、制御メッセージ生成部107において、図4を用いて説明したように、接続先情報を含む制御メッセージ情報が生成されて、通話回線を接続する電話端末に送信されることになる。このように、この実施の形態のSIPサーバ1は、図4を用いて説明した、新たな情報である接続先情報を付加した制御メッセージ情報を生成し、通話回線を接続する電話端末に提供して、通話回線を接続する。また、当該制御メッセージ情報に応じて、着信履歴も適切に残すことができるようにしたものである。
[電話端末3の構成例]
図5は、実施の形態のIP電話端末3の構成例を説明するためのブロック図である。接続端301Tは、LAN2への接続端を構成する。LANI/F301は、LAN2を通じたSIPサーバ1との接続を実現する。すなわち、LANI/F301は、自機宛てに送信されてきた信号を、自機において処理可能な形式の信号に変換して自機に取り込む処理を行う。また、LANI/F301は、自機から送信する信号を、送信用の信号に変換し、これを送出する処理を行う。この実施の形態の電話端末3は、接続端301T及びLANI/F301を通じてSIPサーバ1に対して有線接続されている。
制御部302は、図示しないが、CPU、ROM、RAM、不揮発性メモリなどがCPUバスを通じて接続されて形成されたマイクロプロセッサである。制御部302は、IP電話端末3の各部を制御する。また、制御部302は、パケット化されて送受される制御データや音声データなどの種々のデータの分解処理/生成処理も行う。記憶装置303は、例えば、半導体メモリとそのドライバとからなる装置部であり、種々のデータの記録、変更、削除、読み出しなどを行う。記憶装置303は、必要となるデータやプログラムを記憶保持する他、種々の処理において生じる中間データを一時記憶する作業領域としても用いられる。
操作部304は、使用者からの操作入力を受け付けて、受け付けた情報を制御部302に提供する。操作部304には、テンキー、転送ボタン、代理応答ボタン、保留ボタン、パーク保留ボタン、外線ボタン、内線ボタンなど種々の操作ボタンや機能の割り付けが可能な複数のフレキシブルキーなどが設けられている。発信履歴メモリ305は、半導体メモリとそのドライバとからなる装置部であり、自機から発信操作を行った場合に、発信操作日時と電話をかけた相手先の内線番号又は外線番号からなる発信履歴を記憶保持する。着信履歴メモリ306は、半導体メモリとそのドライバとからなる装置部であり、自機に着信が発生した場合に、着信日時と発信元の内線番号又は外線番号からなる着信履歴を記憶保持する。
ディスプレイ307は、ディスプレイコントローラを備え、制御部302の制御の下、種々の情報をディスプレイ307の表示画面に表示する処理を行う。表示される情報には、入力した相手先の電話番号、発信元の電話番号、ガイダンスメッセージ、警告メッセージなど、種々の情報がある。放音部308及びスピーカ309は、制御部302の制御の下、着信時において着信音を放音させるものである。放音部308は、その他にも、例えば、誤操作の場合の警告音をスピーカ309から放音するようにしたり、種々の音声メッセージなどをスピーカ309から放音したりすることもできるものである。
ハンドセット311は、スピーカ(受話器)とマイクロホン(送話器)とを備えたものである。IP電話端末3においては、ハンドセット311がIP電話端末3の筐体の定位置に置かれているときにはオンフック状態となり、IP電話端末3の筐体の定位置から取り上げるとオフフック状態となるようにされている。IP電話端末3においては、オンフック/オフフックの状態を制御部302が把握できる構成が整えられている。
コーデック310は、制御部302においてパケット分解された音声データの供給を受けて、これを圧縮伸長してアナログ音声信号に変換し、オフフック状態のハンドセット311のスピーカに供給する。これにより、相手先からの音声がハンドセット311のスピーカから放音される。また、コーデック310は、オフフック状態のハンドセット311のマイクロホンにより収音されたアナログ音声信号をデジタル信号に変換し、これをデータ圧縮して制御部302に供給する。制御部302は、コーデック310からの音声データをパケット化して、これをLANI/F301及び接続端301Tを通じて相手先に送信する。
要求形成部312は、制御部302の制御の下、操作部304を通じて受け付けた使用者からの指示入力に応じて、SIPサーバ1に送信する要求(要求情報)を形成する。要求形成部312は、形成した要求を、LANI/F301及び接続端301Tを通じてLAN2に送出し、SIPサーバ1に提供する。
図6は、IP電話端末3からSIPサーバ1に送信される要求の例について説明するための図である。すなわち、図6は、IP電話端末3の要求形成部312において形成されてSIPサーバ1に送信される要求の具体例を説明するための図である。IP電話端末3の要求形成部312で形成される要求は、簡単には、図6(A)に示すように、「要求内容」、「要求元情報」、「必要情報」からなる。
図6(A)において、「要求内容」は、IP電話端末3からSIPサーバ1に要求する内容を示す情報である。「要求元情報」は、内線番号やIPアドレスといった、当該要求の送信元をSIPサーバ1において特定可能な識別情報であり、この実施の形態では内線番号である。「必要情報」は、要求内容に応じてSIPサーバ1に通知する必要が生じた情報である。
発信要求の場合には、図6(B)に示すように、「要求内容」が「発信」となり、「要求元情報」が当該要求を生成したIP電話端末の「内線番号(例えば「101」)」となり、必要情報が電話をかける相手先の「相手先番号(例えば「201」)」となる。なお、実際には、「要求内容」は、その要求内容を示すコード情報である。また、図6(B)に示した例の場合、「相手先番号」は内線番号の場合を示しており、もちろん、外線番号の場合もある。
また、着信通知がされて、当該着信に応答する場合の着信応答要求の場合には、図6(C)に示すように、「要求内容」が「着信応答」となり、「要求元情報」が当該要求を生成したIP電話端末の「内線番号」である例えば「101」となる。また、転送要求の場合には、図6(D)に示すように、「要求内容」が「転送」となり、「要求元情報」が当該要求を生成したIP電話端末の「内線番号」である例えば「101」となる。
同様に、保留要求の場合には、図6(E)に示すように、「要求内容」が「保留」となり、「要求元情報」が当該要求を生成したIP電話端末の「内線番号」である例えば「101」となる。また、代理応答要求の場合には、図6(F)に示すように、「要求内容」が「代理応答」となり、「要求元情報」が当該要求を生成したIP電話端末の「内線番号」である例えば「101」となる。このように、SIPサーバ1に接続されているIP電話端末3は、使用者からの指示入力に応じて、種々の要求を要求形成部312で形成し、LAN2を通じてSIPサーバ1に送信できる。
履歴情報形成部313は、自機から発信する場合には、制御部302の制御の下、発信時の日時情報と、電話をかける相手先の内線番号又は外線番号からなる発信履歴を形成し、これを発信履歴メモリ305に記録する。日時情報は、現在年月日、現在曜日、現在時刻を提供する時計回路から取得する。また、履歴情報形成部313は、SIPサーバ1から自機宛ての着信通知が到来した場合には、制御部302の制御の下、着信時の日時情報と、発信元の内線番号又は外線番号からなる着信履歴を形成し、これを着信履歴メモリ306に記録する。着信時の日時情報は、時計回路314から取得でき、発信元の内線番号又は外線番号は、着信通知に含まれているものを用いることができる。
さらに、履歴情報形成部313は、SIPサーバ1から接続先情報を含む転送指示や接続指示などの制御メッセージ情報を受信した場合には、受信時の日時情報と、接続先情報とからなる着信履歴を形成し、これを着信履歴メモリ306に記録する処理も行う。従来は、電話をかけたときに形成される発信履歴と、電話がかかってきたとき(着信が発生したとき)に形成される着信履歴とを保持することは可能であった。しかし、転送機能、代理応答機能、保留機能、パーク保留機能などが用いられて、最初の着信先から他のIP電話端末3に通話回線が引き継がれた場合、この引き継がれた事実は残らなかった。
そこで、SIPサーバ1から接続先情報を含む転送指示や接続指示を受信した場合に、着信履歴を形成して残すことにより、最初の着信先から通話回線を引き継いだIP電話端末3にもその履歴を残すことができるようにしている。更に、内線電話の場合には、発信元のIP電話端末3にも、最初の着信先から通話回線が他のIP電話端末3に引き継がれた履歴を残すことができるようにしている。
[最初の着信先から通話回線が引き継がれる場合の処理]
次に、上述した構成のSIPサーバ1とIP電話端末3とにより構成される電話システムにおいて、最初の着信先から通話回線が引き継がれる事象が発生する場合の処理について、具体的に説明する。以下においては、最初の着信先から通話回線が引き継がれる事象が発生する場合の例として、転送機能が用いられる場合と、代理応答機能が用いられる場合と、保留機能(パーク保留機能)が用いられる場合の3つの場合について説明する。
<転送機能利用時の処理>
図7は、転送機能が利用される場合の処理を説明するためのシーケンス図である。また、図8は、転送機能が利用される場合のSIPサーバ1での情報把握と制御処理について説明するための図である。ここでは、例えば、オフィスの3階の総務部のIP電話端末3A(1)からオフィスの2階の営業部のIP電話端末3B(1)に内線電話をかけ、これがオフィスの1階の製造部のIP電話端末3C(1)に転送される場合を例にして説明する。
まず、IP電話端末3A(1)からIP電話端末3B(1)の内線番号を入力して発信すると(ステップS1)、IP電話端末3A(1)には、IP電話端末3B(1)へ発信を行ったことを示す発信履歴(図では「発歴」と記載。)が記憶される(ステップS2)。IP電話端末3A(1)からの発信要求を受け付けたSIPサーバ1は、IP電話端末3B(1)に着信を通知する(ステップS3)。IP電話端末3B(1)では、着信音を放音するなどの処理を行うと共に、電話端末3A(1)から着信があったことを示す着信履歴(図では「着歴」と記載。)を記憶する(ステップS4)。
この後、IP電話端末3B(1)の使用者がオフフック操作するなどの応答操作を行うと、これがSIPサーバ1に通知される(ステップS5)。SIPサーバ1は、IP電話端末3B(1)から応答があったことを発信元のIP電話端末3A(1)に通知して(ステップS6)、発信元のIP電話端末3A(1)と着信先のIP電話端末3B(1)との間に通話回線を接続し、通話が可能になる(ステップS7)。
この通話により、IP電話端末3B(1)の使用者は、自分では対応できず、IP電話端末3C(1)の使用者に対応してもらった方がよいと判断したとする。この場合、IP電話端末3A(1)の使用者に対し、IP電話端末3C(1)の使用者に電話を転送する旨を伝え、了承を得る。この後、IP電話端末3B(1)の使用者は、IP電話端末3B(1)の転送ボタンを押下操作する(ステップS8)。これにより、転送要求がIP電話端末3B(1)からSIPサーバ1に通知される(ステップS9)。SIPサーバ1は、IP電話端末3A(1)に保留通知を行い(ステップS10)、IP電話端末3A(1)との間に接続した通話回線を保留状態にする(ステップS11)。この場合、IP電話端末3A(1)には、保留音が提供され、IP電話端末3A(1)の使用者は、保留状態にあることを認識できる。
この後、IP電話端末3B(1)の使用者は、IP電話端末3C(1)の内線番号を入力して発信すると(ステップS12)、IP電話端末3B(1)には、IP電話端末3C(1)に発信したことを示す発信履歴が記憶される(ステップS13)。SIPサーバ1がIP電話端末3C(1)に着信を通知する(ステップS14)。IP電話端末3C(1)では、着信音を放音して着信のあることを使用者に通知するようにすると共に、IP電話端末3B(1)から着信があったことを示す着信履歴が記憶される(ステップS15)。IP電話端末3C(1)の使用者が、オフフック操作するなどの応答操作を行うと、これがSIPサーバ1に通知される(ステップS16)。SIPサーバ1は、応答があったことを発信元のIP電話端末3B(1)に通知し(ステップS17)、IP電話端末3B(1)とIP電話端末3C(1)との間に新たな通話回線を接続し、通話が可能にされる(ステップS18)。
ステップS18の通話により、IP電話端末3C(1)の使用者が、IP電話端末3A(1)の使用者と通話を行うことを了承したとする。この場合には、IP電話端末3B(1)の使用者はオンフック操作を行うなどの所定の転送実行操作を行うことにより、転送実行要求がSIPサーバ1に送信される(ステップS19)。この場合、SIPサーバ1は、電話端末Bと電話端末Cとの間の通話回線を解放する。
SIPサーバ1は、通話回線を接続するIP電話端末3A(1)とIP電話端末3C(1)とのそれぞれに送信する、接続先情報を付加した転送指示(制御メッセージ情報)を生成する(ステップS20)。ステップS20で生成されるIP電話端末3A(1)用の制御メッセージ情報は、「指示・通知メッセージ」が「転送指示」で、「通知先情報」が「IP電話端末3A(1)」で、「接続先情報」が「IP電話端末3C(1)」となるものである。一方、ステップS20で生成されるIP電話端末3C(1)用のメッセージ情報は、「指示・通知メッセージ」が「転送指示」で、「通知先情報」が「IP電話端末3C(1)」で、「接続先情報」が「IP電話端末3A(1)」となるものである。
SIPサーバ1は、ステップS20で生成したIP電話端末3A(1)用のメッセージ情報を、IP電話端末3A(1)に送信する(ステップS21)。これにより、IP電話端末3A(1)においては、SIPサーバ1からの制御メッセージ情報に基づき、IP電話端末3C(1)からの着信があった旨の履歴(着信履歴)を形成して記憶保持できる(ステップS22)。この場合、元々の発信元であるIP電話端末3A(1)において、IP電話端末3C(1)からの着信履歴を形成して保持するのは、IP電話端末3C(1)は、IP電話端末3A(1)から電話をかけた相手先ではなく、転送された相手先であるためである。
更に、SIPサーバ1は、ステップS20で生成したIP電話端末3C(1)用のメッセージ情報を、IP電話端末3C(1)に送信する(ステップS23)。これにより、IP電話端末3C(1)においては、SIPサーバ1からのメッセージ情報に基づき、IP電話端末3A(1)からの着信があった旨の履歴(着信履歴)を形成して記憶保持できる(ステップS24)。この場合、IP電話端末3B(1)からの転送であるが、形式的には、IP電話端末3A(1)からの着信と見做せるため、着信履歴を形成して記憶保持する。この後、IP電話端末3A(1)とIP電話端末3C(1)との間に通話回線が接続されて(ステップS25)、通話が可能にされる。
このように、SIPサーバ1が、図4を用いて説明したように、接続先情報を含む転送指示メッセージを形成し、発信元のIP電話端末3A(1)と、転送先のIP電話端末3C(1)に送信する。これにより、発信元のIP電話端末3A(1)と転送先のIP電話端末3C(1)との間に通話回線が接続される。すなわち、IP電話端末3A(1)が、IP電話端末3B(1)にかけた電話を、IP電話端末3C(1)に転送して、IP電話端末3C(1)に引き継ぐことができる。しかも、接続先情報を含む転送指示メッセージが発信元のIP電話端末3A(1)と、転送先のIP電話端末3C(1)に送信されるので、接続先情報に基づき、着信履歴を形成し、これを記憶保持することができる。
この場合、図7を用いて説明した処理の状況は、図8に示すように、SIPサーバ1において管理されている。図8に示すように、まず、IP電話端末3A(1)からIP電話端末3B(1)に電話がかけられている(図8のNo.1)。このIP電話端末3B(1)への着信に応答操作がされて通話回線が接続され、IP電話端末3B(1)において転送機能が用いられて(図8のNo.2)、IP電話端末3A(1)との間に接続された通話回線が保留状態になっている(図8のNo.3)。
この後、IP電話端末3B(1)からIP電話端末3C(1)に内線電話がかけられて(図8のNo.4)、IP電話端末3B(1)とIP電話端末3C(1)との間に通話回線が接続されて、通話が可能になっている(図8のNo.5)。この通話により、実際には、転送の合意がなされ、IP電話端末3B(1)において、転送機能の実行指示操作が行われている(図8のNo.6)。
この図8に示した処理の状況から、SIPサーバ1においては、IP電話端末3A(1)との間に接続された通話回線が転送機能により保留状態にされていることが把握されている。一方、転送機能の実行元のIP電話端末3B(1)は、IP電話端末3(C)に内線電話をかけた後に、転送実行操作を行っており、SIPサーバ1においては、転送先はIP電話端末3C(1)であることが把握されている。このため、図7のステップS20で説明したように、SIPサーバ1は、通話回線が保留状態になっているIP電話端末3A(1)と、転送先であるIP電話端末3C(1)に対して、転送指示となる制御メッセージ情報を生成する。
この生成した制御メッセージ情報を、IP電話端末3A(1)とIP電話端末3C(1)に送信して、IP電話端末3A(1)とIP電話端末3C(1)との間に通話回線を接続し、通話が可能となる(図8のNo.7)。しかも、発信元のIP電話端末3A(1)と、転送先のIP電話端末3C(1)とのそれぞれに、通話回線の実際の接続状況に合致した着信履歴を残すことができる。
<代理応答機能利用時の処理>
図9は、代理応答機能が利用される場合の処理を説明するためのシーケンス図である。また、図10は、代理応答機能が利用される場合のSIPサーバでの情報把握と制御処理について説明するための図である。ここでは、例えば、オフィスの3階の総務部のIP電話端末3A(1)からオフィスの2階の営業部のIP電話端末3B(1)に内線電話をかけ、これをIP電話端末3B(1)の近傍にあるIP電話端末3B(2)を用いて代理応答する場合を例にして説明する。
まず、IP電話端末3A(1)からIP電話端末3B(1)の内線番号を入力して発信すると(ステップS31)、IP電話端末3A(1)には、IP電話端末3B(1)に発信したことを示す発信履歴が記憶される(ステップS32)。IP電話端末3A(1)からの発信要求を受け付けたSIPサーバ1は、IP電話端末3B(1)に着信を通知する(ステップS33)。IP電話端末3B(1)では、着信音を放音するなどの処理を行うと共に、電話端末3A(1)から着信があったことを示す着信履歴(図では「着歴」と記載。)を記憶する(ステップS34)。ここまでの処理は、図7に示したステップS1~ステップS4の処理と同様である。
この場合に、IP電話端末3B(1)の使用者が不在であるために、IP電話端末3B(2)の使用者がIP電話端末3B(2)の代理応答ボタンを押下操作し(ステップS35)、IP電話端末3B(1)への着信に代わりに応答するようにしたとする。この場合、IP電話端末3B(2)からは代理応答要求が、SIPサーバ1に送信される(ステップS36)。
SIPサーバ1は、受信した代理応答要求に応じて、通話回線を接続するため、発信元のIP電話端末3A(1)と代理応答先のIP電話端末3B(2)とのそれぞれに送信する、接続先情報を付加した制御メッセージ情報を生成する(ステップS37)。ステップS37で生成されるIP電話端末3A(1)用のメッセージ情報は、「指示・通知メッセージ」が「応答通知」で、「通知先情報」が「IP電話端末3A(1)」で、「接続先情報」が「IP電話端末3B(2)」となるものである。一方、ステップS37で生成されるIP電話端末3B(2)用のメッセージ情報は、「指示・通知メッセージ」が「応答通知」で、「通知先情報」が「IP電話端末3B(2)」で、「接続先情報」が「IP電話端末3A(1)」となるものである。
SIPサーバ1は、ステップS37で生成したIP電話端末3A(1)用のメッセージ情報を、IP電話端末3A(1)に送信する(ステップS38)。これにより、IP電話端末3A(1)においては、SIPサーバ1からのメッセージ情報に基づき、IP電話端末3B(2)からの着信があった旨の履歴(着信履歴)を形成して記憶保持できる(ステップS39)。この場合、元々の発信元であるIP電話端末3A(1)において、IP電話端末3B(2)からの着信履歴を形成して保持するのは、IP電話端末3B(2)は、IP電話端末3A(1)から電話をかけた相手先ではないからである。すなわち、IP電話端末3B(2)は、代理応答により通話の相手先となったものであり、電話をかけた相手先とは区別するためである。
更に、SIPサーバ1は、ステップS33で生成したIP電話端末3B(2)用のメッセージ情報を、IP電話端末3B(2)に送信する(ステップS40)。これにより、IP電話端末3B(2)においては、SIPサーバ1からのメッセージ情報に基づき、IP電話端末3A(1)からの着信があった旨の履歴(着信履歴)を形成して記憶保持できる(ステップS41)。この場合、IP電話端末3B(1)への着信の代理応答であるが、形式的には、IP電話端末3A(1)からの着信と見做せるため、着信履歴を形成して記憶保持する。この後、IP電話端末3A(1)とIP電話端末3B(2)との間に通話回線が接続されて(ステップS42)、通話が可能にされる。
このように、SIPサーバ1が、図4を用いて説明したように、接続先情報を含む応答通知の制御メッセージ情報を形成し、発信元のIP電話端末3A(1)と、代理応答先のIP電話端末3B(2)に送信する。これにより、発信元のIP電話端末3A(1)と代理応答先のIP電話端末3B(2)との間に通話回線が接続される。すなわち、IP電話端末3A(1)が、IP電話端末3B(1)にかけた電話を、IP電話端末3B(2)が代理応答することができる。また、接続先情報を含む応答通知の制御メッセージ情報が発信元のIP電話端末3A(1)と、代理応答先のIP電話端末3B(2)に送信されるので、接続先情報に基づき、着信履歴を形成し、これを記憶保持することができる。
この場合、図9を用いて説明した処理の状況は、図10に示すように、SIPサーバ1において管理されている。図10に示すように、まず、IP電話端末3A(1)からIP電話端末3B(1)に電話がかけられている(図10のNo.1)。このIP電話端末3B(1)への着信について、IP電話端末3B(2)を通じて代理応答操作がされている(図10のNo.2)。
この図10に示した処理の状況から、SIPサーバ1においては、IP電話端末3A(1)からIP電話端末3B(1)にかけられて、IP電話端末3B(1)に発生した着信が、IP電話端末3B(2)により代理応答されたことが把握されている。このため、図9のステップS37で説明したように、発信元のIP電話端末3A(1)と、代理応答先のIP電話端末3B(2)に対して、応答通知となる制御メッセージ情報を形成して送信する。これにより、IP電話端末3A(1)とIP電話端末3B(2)との間に通話回線を接続し、通話が可能となる(図10のNo.3)。しかも、発信元のIP電話端末3A(1)と、代理応答先のIP電話端末3B(2)とのそれぞれに、通話回線の実際の接続状況に合致した着信履歴を残すことができる。
<保留・パーク保留機能利用時の処理>
次に、保留・パーク保留機能利用時の処理について説明する。なお、保留機能を用いる場合と、パーク保留機能を用いる場合とでは、操作される操作ボタンが異なるだけで、ほぼ同様の処理となるため、ここでは、保留機能を用いた場合を例にして説明する。図11は、保留機能が利用される場合の処理を説明するためのシーケンス図である。また、図12は、保留機能が利用される場合のSIPサーバでの情報把握と制御処理について説明するための図である。
ここでは、例えば、3階の総務部のIP電話端末3A(1)から2階の営業部のIP電話端末3B(1)に内線電話をかけ、これが1階の製造部のIP電話端末3C(1)に保留機能を用いて引き継ぐようにする場合を例にして説明する。従って、シチュエーションとしては、図7、図8を用いて説明した転送機能利用時と同様であり、図11のステップS1からステップS18までの処理は、図7に示したステップS1~ステップS18までの処理とほぼ同様の処理となる。
すなわち、IP電話端末3A(1)からIP電話端末3B(1)に発信すると(ステップS1)、IP電話端末3A(1)には、発信履歴が記憶される(ステップS2)。IP電話端末3A(1)からの発信要求を受け付けたSIPサーバ1は、IP電話端末3B(1)に着信を通知する(ステップS3)。IP電話端末3B(1)では、着信音を放音するなどの処理を行うと共に、着信履歴を記憶する(ステップS4)。
この後、IP電話端末3B(1)の使用者が応答操作を行うと、これがSIPサーバ1に通知される(ステップS5)。SIPサーバ1は、IP電話端末3B(1)から応答があったことを発信元のIP電話端末3A(1)に通知して(ステップS6)、発信元のIP電話端末3A(1)と着信先のIP電話端末3B(1)との間に通話回線を接続し、通話が可能になる(ステップS7)。
この通話により、IP電話端末3B(1)の使用者は、自分では対応できず、IP電話端末3C(1)の使用者に対応してもらった方がよいと考え、IP電話端末3A(1)の使用者に対し、IP電話端末3C(1)の使用者に電話を引き継ぐ(廻す)ことを伝える。この後、IP電話端末3B(1)の使用者は、IP電話端末3B(1)の保留ボタンを押下操作する(ステップS8A)。これにより、保留要求がIP電話端末3B(1)からSIPサーバ1に通知される(ステップS9A)。SIPサーバ1は、IP電話端末3A(1)に保留通知を行い(ステップS10)、IP電話端末3A(1)との間に接続した通話回線を保留状態にする(ステップS11)。この場合、IP電話端末3A(1)には、保留音が提供され、IP電話端末3A(1)の使用者は、保留状態にあることを認識できる。
この後、IP電話端末3B(1)の使用者は、IP電話端末3C(1)の内線番号を入力して発信すると(ステップS12)、IP電話端末3B(1)には、発信履歴が記憶される(ステップS13)。SIPサーバ1がIP電話端末3C(1)に着信を通知する(ステップS14)。IP電話端末3C(1)では、着信音を放音して着信のあることを使用者に通知するようにすると共に、着信履歴が記憶される(ステップS15)。IP電話端末3C(1)の使用者が、オフフック操作するなどの応答操作を行うと、これがSIPサーバ1に通知される(ステップS16)。SIPサーバ1は、応答があったことを発信元のIP電話端末3B(1)に通知し(ステップS17)、IP電話端末3B(1)とIP電話端末3C(1)との間に新たな通話回線を接続し、通話が可能にされる(ステップS18)。
ステップS18の通話においては、例えば、「内線ボタン1」にかかってきている(保留されている)、IP電話端末3A(1)からの電話に出てほしいことなどが、IP電話端末3B(1)の使用者からIP電話端末3C(1)の使用者に通知される。ステップS18の通話により、IP電話端末3C(1)の使用者が、IP電話端末3A(1)の使用者と通話を行うことを了承したとする。この例では、IP電話端末3B(1)の使用者がオンフック操作を行うことにより、IP電話端末3B(1)からオンフック操作が行われたことがSIPサーバ1に通知される(ステップS51)。これに応じて、SIPサーバ1は、IP電話端末3C(1)に切断通知を送信し(ステップS52)、ステップS18で接続されたIP電話端末3B(1)とIP電話端末3C(1)との間の通話回線を解放する。
この後、IP電話端末3C(1)の使用者は、ステップS18の通話により、IP電話端末3B(1)の使用者から通知された、IP電話端末3A(1)との間に接続した通話回線が保留されている、例えば「内線ボタン1」を押下操作する。これにより、接続操作されたことの通知が、SIPサーバ1に送信される(ステップS53)。SIPサーバ1は、通話回線を接続するIP電話端末3A(1)とIP電話端末3C(1)とのそれぞれに送信する、接続先情報を付加した制御メッセージ情報(接続指示)を生成する(ステップS54)。
ステップS54で生成されるIP電話端末3A(1)用の制御メッセージ情報は、「指示・通知メッセージ」が「接続指示」で、「通知先情報」が「IP電話端末3A(1)」で、「接続先情報」が「IP電話端末3C(1)」となるものである。一方、ステップS54で生成されるIP電話端末3C(1)用の制御メッセージ情報は、「指示・通知メッセージ」が「接続指示」で、「通知先情報」が「IP電話端末3C(1)」で、「接続先情報」が「IP電話端末3A(1)」となるものである。
SIPサーバ1は、ステップS54で生成したIP電話端末3A(1)用の制御メッセージ情報を、IP電話端末3A(1)に送信する(ステップS55)。これにより、IP電話端末3A(1)においては、SIPサーバ1からの制御メッセージ情報に基づき、IP電話端末3C(1)からの着信があった旨の履歴(着信履歴)を形成して記憶保持できる(ステップS56)。この場合、元々の発信元であるIP電話端末3A(1)において、IP電話端末3C(1)からの着信履歴を形成して保持するのは、IP電話端末3C(1)は、IP電話端末3A(1)から電話をかけた相手先ではなく、転送された相手先であるためである。
更に、SIPサーバ1は、ステップS54で生成したIP電話端末3C(1)用の制御メッセージ情報を、IP電話端末3C(1)に送信する(ステップS57)。これにより、IP電話端末3C(1)においては、SIPサーバ1からのメッセージ情報に基づき、IP電話端末3A(1)からの着信があった旨の履歴(着信履歴)を形成して記憶保持できる(ステップS58)。この場合、IP電話端末3B(1)からの通話回線の引き継ぎであるが、形式的には、IP電話端末3A(1)からの着信と見做せるため、着信履歴を形成して記憶保持する。この後、IP電話端末3A(1)とIP電話端末3C(1)との間に通話回線が接続されて(ステップS59)、通話が可能にされる。
このように、SIPサーバ1が、図4を用いて説明したように、接続先情報を含む接続指示である制御メッセージ情報を形成し、発信元のIP電話端末3A(1)と、引き継ぎ先のIP電話端末3C(1)に送信する。これにより、発信元のIP電話端末3A(1)と転送先のIP電話端末3C(1)との間に通話回線が接続される。すなわち、IP電話端末3A(1)が、IP電話端末3B(1)にかけた電話を、保留機能を用いて引き継ぐように依頼し、IP電話端末3C(1)に引き継ぐことができる。しかも、接続先情報を含む接続指示である制御メッセージ情報が発信元のIP電話端末3A(1)と、転送先のIP電話端末3C(1)に送信されるので、接続先情報に基づき、着信履歴を形成し、これを記憶保持することができる。
この場合、図11を用いて説明した処理の状況は、図12に示すように、SIPサーバ1において管理されている。図12に示すように、まず、IP電話端末3A(1)からIP電話端末3B(1)に電話がかけられている(図12のNo.1)。このIP電話端末3B(1)への着信に応答操作がされて通話回線が接続され、IP電話端末3B(1)において保留機能が用いられて(図12のNo.2)、IP電話端末3A(1)との間に接続された通話回線が保留状態になっている(図12のNo.3)。
この後、IP電話端末3B(1)からIP電話端末3C(1)に内線電話がかけられて(図12のNo.4)、IP電話端末3B(1)とIP電話端末3C(1)との間に通話回線が接続されて、通話が可能になっている(図12のNo.5)。この通話により、実際には、通話回線の引き継ぎの合意がなされ、IP電話端末3B(1)から、通話回線の切断操作が行われている(図12のNo.6)。この後、更に、IP電話端末3C(1)において、内線ボタンが押下操作されて、これがSIPサーバ1に通知される(図12のNo.7)。
この図12に示した処理の状況から、SIPサーバ1においては、IP電話端末3A(1)との間に接続された通話回線が、保留機能により保留状態にされていることが把握されている。一方、保留機能の実行元のIP電話端末3B(1)は、IP電話端末3(C)に内線電話をかけた後に、IP電話端末3C(1)が、接続操作を行っており、SIPサーバ1では、引き継ぎ先はIP電話端末3C(1)であることが把握されている。このため、図11のステップS54で説明したように、通話回線が保留状態になっているIP電話端末3A(1)と、引き継ぎ先であるIP電話端末3C(1)に対して、接続指示となる制御メッセージ情報を形成する。
この形成した制御メッセージ情報を、IP電話端末3A(1)とIP電話端末3C(1)に送信して、両IP電話端末間に通話回線を接続し、通話が可能となる(図12のNo.7)。しかも、発信元のIP電話端末3A(1)と、引き継ぎ先のIP電話端末3C(1)とのそれぞれに、通話回線の実際の接続状況に合致した着信履歴を残すことができる。
なお、パーク保留機能が用いられる場合には、図11のステップS8Aで行われる保留ボタンの押下操作が、パーク保留ボタンの押下操作になり、ステップS9Aで行われるSIPサーバ1への保留要求の送信が、パーク保留要求の送信になる。そして、ステップS53で行われる接続操作が、内線ボタンの押下操作ではない。この場合には、ステップS8AにおいてIP電話端末3B(1)で操作されたパーク保留ボタンに対応するパーク保留ボタンが、IP電話端末3C(1)で操作され、これが接続操作としてSIPサーバ1に通知される。このように、パーク保留機能が用いられる場合には、操作される操作ボタンが異なるだけで、保留機能が用いられる場合とほぼ同様に処理が行われることになる。
[SIPサーバ1の処理のまとめ]
図13は、上述した電話システムのSIPサーバ1で実行される処理を説明するためのフローチャートである。図13に示す処理は、SIPサーバ1に電源が投入されている状態にあるときには、制御部102において、常時、実行されている処理である。制御部102は、接続端101T及び通信I/F101や接続端105T及びLANI/F105を通じて、自機宛ての要求を受信するようにし(ステップS101)、自機宛ての要求を受信したか否かを判別する(ステップS102)。ステップS102の判別処理において、自機宛ての要求を受信していないと判別したときには、制御部102は、ステップS101からの処理を繰り返し、自機宛ての要求の到来を待つ。
ステップS102の判別処理において、自機宛ての要求を受信したと判別したとする。この場合、制御部102は、接続先変更操作判別部108を制御し、受信した要求の内容を確認し(ステップS103)、受信した要求は、接続先の変更を含む要求か否かを判別する(ステップS104)。具体的に、ステップS104の判別処理は、以下の4つの要求かを判別する。すなわち、受信した要求が、転送要求後の転送実行要求か、代理応答要求か、保留要求後に保留操作を行った電話端末とは異なる電話端末からの接続要求か、パーク保留要求後にパーク保留操作を行った電話端末とは異なる電話端末からの接続要求かを判別する。
ステップS104の判別処理において、受信した要求は、接続先の変更を含む要求であると判別したとする。この場合、制御部102は、制御メッセージ生成部107を制御し、通話の相手先のそれぞれに対する、接続先情報を含む制御メッセージ情報を生成する(ステップS105)。制御部102は、ステップS105において、制御メッセージ生成部107が生成した制御メッセージ情報を、通話の相手先のそれぞれに送信する(ステップS106)。なお、通話の相手先のそれぞれは、上述した例の場合には、発信元の電話端末と、当該発信元との間に接続した、あるいは、接続される通話回線を引き継ぐ、最初の着信先とは別のIP電話端末とのそれぞれを意味する。
また、ステップS104の判別処理において、受信した要求は、接続先の変更を含む要求ではないと判別したとする。この場合、制御部102は、制御メッセージ生成部107を制御し、接続先情報を含まない通常の制御メッセージ情報を生成する(ステップS107)。具体的には、電話をかける相手先の電話番号は含むが、接続先情報は含まない通常の発信要求、発信元の電話番号は含むが接続先情報は含まない通常の着信通知などが生成される。制御部102は、ステップS107において、制御メッセージ生成部107が生成した制御メッセージ情報を、目的とする相手先に送信する(ステップS108)。ステップS106とステップS108の処理の後においては、制御部102は、ステップS101からの処理を繰り返すようにする。
このようにして、この実施の形態の電話システムのSIPサーバ1は、図7~図12を用いて説明した、通話回線の引き継ぎを伴う処理を行うことができると共に、通話回線の接続事実に即して、着信履歴を残すようにすることができるようにされる。
[電話端末3の処理のまとめ]
図14は、上述した電話システムのIP電話端末3で実行される処理を説明するためのフローチャートである。図14に示す処理は、IP電話端末3に電源が投入されている状態にあるときには、制御部302において、常時、実行されている処理である。制御部302は、操作部304を通じて使用者からの指示入力を受け付けるようにし(ステップS201)、指示入力を受け付けたか否かを判別する(ステップS202)。
ステップS202の判別処理において、使用者からの指示入力を受け付けたと判別したときには、制御部302は、要求形成部312を制御し、指示入力に応じた要求を形成し(ステップS203)、これをSIPサーバ1に送信する(ステップS204)。制御部302は、送信した要求は発信要求か否か判別し(ステップS205)、発信要求であると判別したときには、履歴情報形成部313を制御して、発信履歴を形成し、これを発信履歴メモリ305に追加する処理を行う(ステップS206)。
ステップS206の処理の後と、ステップS202の判別処理において、使用者からの指示入力を受け付けていないと判別したときと、ステップS205の判別処理で、送信した要求は発信要求ではないと判別したときには、ステップS207からの処理を行う。すなわち、SIPサーバ1からの制御メッセージ情報を受信するようにし(ステップS207)、制御メッセージ情報を受信したか否かを判別する(ステップS208)。ステップS208の判別処理において、SIPサーバ1からの制御メッセージ情報を受信したと判別した場合には、当該受信した制御メッセージ情報に応じた処理を実行する(ステップS209)。
この後、制御部302は、受信したSIPサーバ1からのメッセージ情報は、接続先情報を含むものか否かを判別する(ステップS210)。ステップS210の判別処理において、受信したSIPサーバ1からのメッセージ情報が、接続先情報を含むものであると判別したとする。この場合、制御部302は、履歴情報形成部313を制御して、着信履歴を形成し、これを着信履歴メモリ306に追加する処理を行う(ステップS211)。
ステップS211の処理の後においては、ステップS201からの処理を繰り返す。また、ステップS208の判別処理において、SIPサーバ1からのメッセージ情報を受信していないと判別した場合においても、ステップS201からの処理を繰り返す。同様に、ステップS210の判別処理において、受信したSIPサーバ1からのメッセージ情報が、接続先情報を含むものではない判別した場合にも、ステップS201からの処理を繰り返す。
これにより、従来の電話端末と同様に、自機からの発信時には発信履歴を形成して記憶し、自機への着信時には着信履歴を形成して記憶することができる。更に、着信後において、最初の着信先と異なるIP電話端末3に通話回線が引き継がれる場合には、発信元と引き継ぎ先の両方において、着信履歴を形成して、これを記憶することができる。
[実施の形態の効果]
上述した実施の形態の電話システムにおいては、通話回線の接続の事実に基づいて、通話の履歴を適切に残し、これを利用可能にすることができる。すなわち、最初の着信先と異なるIP電話端末3に通話回線が引き継がれた場合には、新たな接続先には、発信元を接続先とする着信履歴を蓄積でき、発信元には、新たな接続先を相手先とする着信履歴が蓄積できる。
従って、転送機能、代理応答機能、保留機能、パーク保留機能などが用いられて、通話回線の引き継ぎが行われた場合において、通話回線の接続の事実に即して、その履歴を着信履歴として残すことができる。この着信履歴が蓄積されることにより、履歴発信機能の利用が可能になり、発信したり、着信を受けたりした場合だけでなく、転送等が行われた場合でも、通話を行った相手先に対して、再度、電話をかけることが容易に行えるようになる。
[変形例]
なお、上述した実施の形態では、転送等による通話回線の引き継ぎは、1回だけ行われる場合について説明したが、これに限るものではない。通話回線の引き継ぎが複数回行われる場合もある。この場合には、実際の通話回線の接続状況に応じて、新たな接続先と発信元に対して、着信履歴を形成して蓄積するようにできる。但し、例えば、最初に内線電話をかけた相手先に転送を断られた場合のように、保留状態の通話回線の引き継ぎがされなかった場合には、新たな着信履歴の蓄積を行う必要はない。
また、上述した実施の形態では、新たな接続先のIP電話端末と発信元のIP電話端末とに新たに着信履歴が蓄積されることを説明したが、これに限るものではない。発信元のIP電話端末においては、発信履歴として新たな接続先を相手先とする履歴情報を残すようにしてもよい。
また、新たな接続先のIP電話端末と発信元のIP電話端末においては、接続先情報を含む制御メッセージ情報が送信されてきたときには、新たに転送等履歴情報を形成し、これを保持するようにしてもよい。この場合の転送等履歴は、少なくとも転送等が行われた日時と、新たな接続先情報とからなるものである。
また、上述した実施の形態では、発信履歴、着信履歴は、各IP電話端末3において記憶保持するものとして説明したが、これに限るものではない。例えば、SIPサーバ1において、IP電話端末3ごとに、発信履歴、着信履歴を蓄積する構成とすることもできる。この場合には、各IP電話端末3において形成した発信履歴、着信履歴をSIPサーバ1が蓄積する構成とすることができる。また、SIPサーバ1において、転送指示の制御メッセージ情報や接続指示の制御メッセージ情報が生成されたタイミングで、着信履歴などを形成し、これをIP電話端末3ごとに蓄積する構成とすることもできる。
また、上述した実施の形態では、内線電話をかけて、転送機能、代理応答機能、保留機能、パーク保留機能を用いて、通話回線を引き継ぐようにする場合を例にして説明したが、内線電話をかける場合に限るものではない。かかってきた外線電話により接続した通話回線を、引き継ぐ場合にも、同様にして処理することができる。
また、上述した実施の形態では、SIPサーバ1にこの発明による電話制御装置を適用し、IP電話端末3にこの発明による電話端末を適用したが、これに限るものではない。上述した実施の形態のSIPサーバ1とIP電話端末3との間で行ったように、情報の送受が可能であれば、PBX(Private Branch eXchange)などの主装置とボタン電話端末とで構成される電話システムにも、この発明を適用できる。
[その他]
なお、上述の実施の形態の説明からも分かるように、請求項の電話制御装置の着信制御手段の機能は、実施の形態のSIPサーバ1(以下、単にSIPサーバ1と記載する。)の着信制御部1062が実現している。また、請求項の判別手段の機能は、SIPサーバ1の接続先変更操作判別部108が実現している。また、請求項の電話制御装置の制御メッセージ生成手段の機能は、SIPサーバ1の制御メッセージ生成部107が実現している。
また、請求項の電話端末の要求形成手段の機能は、実施の形態のIP電話端末3(以下、単にIP電話端末3と記載する。)の要求形成部312が実現する。また、請求項の受信手段の機能は、接続端301T及びLANI/F301が実現している。また、制御手段の機能は、IP電話端末3の制御部302が実現している。また、請求項の電話端末の履歴情報形成手段の機能は、IP電話端末3の履歴情報形成部313が実現している。
また、図13のフローチャートに示す処理を実行するプログラムを形成し、これを電話制御装置に搭載して実行可能にしておくことにより、この発明の電話制御装置を実現できる。また、図14のフローチャートに示す処理を実行するプログラムを形成し、これを電話端末に搭載して実行可能にしておくことにより、この発明の電話端末を実現できる。