JP6029492B2 - 炭化珪素の製造方法 - Google Patents
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Description
1つ目は、珪砂とコークスを黒鉛電極の周りにおいて通電加熱するアチソン法である。また2つ目は、シランガスやメタンガスの反応によって合成する気相成長法である。さらに3つ目は、シリカ(SiO2)を炭素(C)によって高温で還元するSiO2還元法である。
そこで炭化珪素の製造コストの削減のため、廃シリコンスラッジに炭素を混合して加熱したり(特許文献2)、珪素集積バイオマスの炭化物粉体に高周波を照射したり(特許文献3)、ガラス繊維強化プラスチックを加熱処理する(特許文献4)など、原料の低コスト化を図っている。
しかしながら、これらの技術は炭化珪素を製造するための専用のエネルギーが必要である。
しかしながら、上記本発明の製造方法であれば、シリコン結晶を製造するとともに、その製造での副生成物として炭化珪素を併せて製造することができる。すなわち、シリコン結晶を製造するのに必要なコスト、エネルギーで、シリコン結晶のみならず炭化珪素までも製造することができる。したがって、炭化珪素の製造に要するコスト、エネルギーは、実質上、基本的にはゼロ近くにすることができ、従来よりも極めて低コスト、低エネルギーで炭化珪素を製造できる。
このようにすれば、より生産性高く炭化珪素を製造することができる。
また、一般にチョクラルスキー(CZ)法によるシリコン結晶製造に用いられる炭素部材は高温処理などによって純化処理してあるので高純度であり、形成される炭化珪素も高純度のものにすることができる。
このようにすれば、前記シリコンメルトの表面上を通過してSiOガス等を含む不活性ガスを炭素材ヒーターへ効率よく流すことができるので、炭素材ヒーターの表面において炭化珪素が形成されやすくなる。
このようにすれば、シリコンメルトからのSiOガスの蒸発を促進することができ、炭化珪素の形成を進みやすくすることができる。
また、前記シリコン結晶の製造バッチ終了後または前記炭素材ヒーターのライフ末期に、層状または塊状に形成された前記副次的な炭化珪素を剥がして回収することができる。
これらのようにすれば、効率良く炭化珪素の回収を行うことができる。
このようにすれば、例えば用途別に、所望の特性を有する炭化珪素粉を得ることができる。
このように、本発明の方法で製造した炭化珪素においては、窒素含有量が0.02質量%以下で極めて低く、高純度のものとすることができる。
図2に本発明の炭化珪素の製造方法において使用することができるシリコン結晶製造装置の一例を示す。ここでは、その例としてCZ単結晶引上げ装置を示すが、当然これに限定されるものではなく、シリコン単結晶を製造することができ、かつ副次的に炭素材ヒーターの表面に炭化珪素を形成できるものであれば良い。
また、該炭素材ヒーター5の外側には、熱ロスを抑えるために炭素繊維等で形成された断熱部材(ヒートシールド11)が設けられている。また、ヒートシールド11の内側は、ヒートシールド11の劣化を防止するために薄い黒鉛材(インナーシールド11a)で覆っている。
また、炭素材ヒーター5の上部にはヒートシールド11およびインナーシールド11aからせり出すように、内側がアッパーシールド16aで覆われたアッパーシールド断熱材16が配設されている。これらも黒鉛等の炭素部材から形成されている。
このように、炭素材ヒーター5の周囲には、黒鉛ルツボ4、インナーシールド11a、アッパーシールド16aなどの、他の炭素部材も配置されている。そして、それらの表面には、シリコン単結晶の製造時に副次的に炭化珪素17が形成される。
(工程1:シリコン結晶の製造および炭化珪素の副次的な形成)
まず、内部に炭素材ヒーターを配設したシリコン結晶製造装置を用いて、非酸化性雰囲気下でシリコンメルトからシリコン結晶(ここではシリコン単結晶)を製造する。前述したように、このシリコン結晶製造装置の種類は特に限定されないが、ここでは図2に示すような石英ルツボを有するCZ単結晶引上げ装置1を用いて製造する場合について説明する。
特には、このようなCZ単結晶引上げ装置1を用いるのが好ましい理由について以下に述べる。
まず、不活性ガス(アルゴン(Ar)等)をメインチャンバ内に流し、シリコンメルトの表面上を通過させ、その後に炭素材ヒーターへ導入するようなガス誘導経路を形成させることが好ましい。図2に示すように、引上げチャンバにガス導入口12、メインチャンバの下部にガス流出口13、さらにはガス整流筒14および遮熱部材15、インナーシールド11a、アッパーシールド16aなどを配設することにより、ガス導入口12から導入した不活性ガスをシリコンメルト2の表面近傍にまで流し、さらには炭素材ヒーター5にまで誘導することができる。そして、その後はメインチャンバ6から排出することができる。
このようにすればシリコンメルトの表面から発生したSiOガスを効率よく炭素材ヒーターに運ぶことができ、炭素材ヒーター表面でSiO+2C→SiC+COの反応が進みやすくなる。
更に減圧状態に保つことによりSiOの蒸発が一層促進され、上述の反応(SiO+2C→SiC+CO)によって炭化珪素の形成が一層進みやすくなる。このとき、特には、500hPa以下とすることにより、SiOの蒸発量を効果的に促進することができるし、1hPa以上とすることにより、高真空すぎて石英ルツボの溶出が必要以上に速くなるのを防ぐことができる。
以上のようにして、炭化珪素を炭素材ヒーターの表面及び周辺の炭素部材の表面に形成させ、シリコン単結晶の製造バッチ終了後に回収する。炭化珪素が粉状に形成されている場合は、吸引して回収することができる。
上述のシリコン単結晶製造において、前述したように炉内(メインチャンバ内)で最も高温である炭素材ヒーターの表面には炭化珪素が最も良く形成される。炭素ヒーターの表面や、それ以外にも黒鉛ルツボなど周囲にある炭素部品の表面には、例えば粉状の炭化珪素が形成される。これら粉状の炭化珪素を効率よく回収するには真空掃除機等のようなものにより吸引回収する方法が効率的である。
炉内で最も高温である炭素材ヒーター表面では炭化珪素の反応が最も良く進むので、特に塊状の炭化珪素が形成されやすい。この塊状の炭化珪素は吸引によっては回収しにくいので、塊ごと炭素材ヒーターから剥がして回収することが効率的である。炭素材ヒーターから炭化珪素を剥がす作業は、シリコン単結晶の製造バッチが終了した際に毎回行っても良いし、ある程度塊が大きくなってからまとめて剥がしても良い。
以上の方法で形成、回収された炭化珪素を分類し、粉砕することにより所望の特性を持つ炭化珪素粉にすることができる。分類の仕方や粉砕方法等は、炭化珪素の用途等に応じて適宜決定することができる。
回収された炭化珪素は、例えばCZ単結晶引上げ装置内で生成されたものの場合、この炉内部品は一般に炭素、シリコン、石英からなり、元素としてはC、Si、Oだけである。シリコン原料はもちろん半導体グレードの高純度である。石英ルツボもシリコンメルトと接する内側に純度の高い合成石英材を用いることが多く、高純度が保たれている。炉内部品に多用される炭素部材は高温処理によって純化処理してあり高純度である。炉内にはこのほか不活性ガスがあるだけなので、その他の不純物はきわめて低濃度である。
(実施例1)
図1に示す本発明の炭化珪素の製造方法を実施した。図2に示したCZ単結晶引上げ装置1を用いてシリコン単結晶を育成した。
なお、炭素材ヒーターには黒鉛材で形成した外径約800mmのヒーターを用いた。また、水冷されたメインチャンバより内側には、熱ロスを抑えるために炭素繊維で形成された断熱材(ヒートシールド)を配置し、断熱材の内側は断熱材の劣化を防止するため、薄い黒鉛材(インナーシールド)で覆っている。また、黒鉛ヒーターの上部には、アッパーシールド断熱材およびその表面のアッパーシールドを、ヒートシールドやインナーシールドからせり出すように配置した。
シリコンメルトを収容する容器としては、容器外側が黒鉛ルツボ(内径が約660mm)であり、容器内側には、天然石英の内側に合成石英を形成した石英ルツボからなるルツボを用いた。
そして実際に、シリコン単結晶製造の際、副次的に、黒鉛ヒーター、黒鉛ルツボ、インナーシールド、アッパーシールドなどの黒鉛部材の表面に炭化珪素を形成することができた。
バッチが終了するたびに、この副次的な炭化珪素を真空掃除機によって回収することにより、炭化珪素を得ることができた。
シリコン単結晶の製造と併せて炭化珪素を製造することができるのでコストやエネルギーを低減することができた。
まず、回収された炭化珪素粉を顕微ラマン解析したところ、795cm−1に急峻なピークが見られた。また得られた粉は非常にきれいな黄色をしており、非常に高純度な3C型(β型)の炭化珪素が得られた。
また酸素分析装置(LECO社製、商品名:TC436)を用いて、酸素分析を行ったところ、酸素の含有量は0.1質量%以下、窒素の含有量は0.00質量%であった。従来のように、フェノール樹脂を用いて製造された炭化珪素の窒素含有量は0.2質量%程度であるので、本発明による炭化珪素の窒素含有量が非常に低いことがわかる。元素比は(Si:C=1:1.00)であり、非常に結晶性の良い物であった。
実施例1と同様の製造バッチを繰り返した。これにより黒鉛ヒーターの炭化珪素化が進行し、スリットを形成している黒鉛部分がどんどん減肉し、黒鉛ヒーターとしての性能を満たさなくなるまで炭化珪素の塊を形成した。
そしてヒーターライフの終了した黒鉛ヒーターに堆積していた炭化珪素を黒鉛ヒーターから剥がすことにより回収した。これにより回収された黄緑色の炭化珪素結晶は約3.1kgであった。
この図3から分かるように、本発明の炭化珪素は、6H型など結晶系が混在している市販の炭化珪素粉に比較してピークが鋭く結晶性が良いことがわかる。
更にICP発光分析に供したところ、種々の元素の含有量について表1に示す結果が得られた。表1に示すように、Caが0.1ppm、その他Fe等は0.1ppm未満であり、不純物の割合が極めて少なく、非常に高純度の炭化珪素が得られたことが判る。
まず、得られた炭化珪素粉末100質量部と有機バインダとしてメチルセルロース(商品名:メトローズ、信越化学工業株式会社製)3質量部とを遊星型ボールミルP−4型(登録商標)(フリッチュジャパン株式会社製の粉砕混合機)の容器に入れ、室温にて一時間混合を行った。得られた混合粉に水20質量部を加え、混合物をプラネタリーミキサー(登録商標)(井上製作所株式会社製の混合機)に投入し、室温にて一時間攪拌して坏土を得た。その後、該坏土を105℃で5時間に渡って加熱し水分を蒸発させ、粉末状の原料組成物を得た。
次に、この無機成形物をアルゴンガス雰囲気下で加熱して2000℃まで昇温し、その2000℃において加熱した後に冷却したところ、緑色の炭化珪素成形物を得た。この炭化珪素成形物の寸法は直径108mm×厚さ80mmであり、形状は上記無機成形物とほとんど同じ形状であった。
そして、この炭化珪素成形物を、昇華法を用いた炭化珪素育成用の原料として用いたところ、単結晶を製造することが出来た。
特許文献5に記載の従来の製法によって炭化珪素を製造した。
テトラメチルテトラビニルシクロテトラシロキサン(信越化学工業株式会社製LS−8670)にメチル水素シロキサン(信越化学工業株式会社製KF−99)及び塩化白金酸触媒(塩化白金酸1%溶液)の混合物をトルエンに溶解した溶液に膨張黒鉛を加えて、真空オーブン中100℃で約30分乾燥後、大気中300℃で1時間加熱硬化した。このものをアルゴン気流中で、約300K/hrの昇温速度で1600℃まで昇温して、1時間保持後、約200K/hrの速度で冷却したところ、灰白色を呈する生成物を得た。
また、本来、高純度の3C型(β型)の炭化珪素は黄色であるが、比較例で得られた炭化珪素が灰白色であるということは酸素が残存していることを示唆している。従って実施例1、実施例2のような本発明によって得られた炭化珪素の方が優れた品質であることが明確である。
4…黒鉛ルツボ、 5…炭素材ヒーター、 6…メインチャンバ、
7…引上げチャンバ、 8…引上げワイヤ、 9…種結晶、 10…シリコン単結晶、
11…ヒートシールド、 11a…インナーシールド、 12…ガス導入口、
13…ガス流出口、 14…ガス整流筒、 15…遮熱部材、
16…アッパーシールド断熱材、 16a…アッパーシールド、
17…副次的に形成された炭化珪素。
Claims (8)
- チョクラルスキー法によるシリコン結晶製造装置内に炭素材ヒーターを配設し、非酸化性雰囲気下で前記炭素材ヒーターにより加熱された容器内に収容されたシリコンメルトからシリコン結晶を製造するとき、副次的に、前記炭素材ヒーターの表面に炭化珪素を形成させ、該副次的な炭化珪素を回収することにより炭化珪素を製造することを特徴とする炭化珪素の製造方法。
- 前記シリコン結晶を製造するとき、さらに、前記シリコン結晶製造装置内の他の炭素部材の表面にも炭化珪素を副次的に形成させて回収することを特徴とする請求項1に記載の炭化珪素の製造方法。
- 前記シリコン結晶製造装置内に不活性ガスを流し、前記シリコンメルトを収容する容器として石英ルツボを用いたチョクラルスキー法によって前記シリコン結晶を製造することを特徴とする請求項1または請求項2に記載の炭化珪素の製造方法。
- 前記シリコン結晶製造装置内に不活性ガスを流し、該不活性ガスを、前記シリコンメルトの表面上を通過させた後に前記炭素材ヒーターへ導きながら前記シリコン結晶を製造することを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の炭化珪素の製造方法。
- 前記シリコン結晶を製造するときの前記シリコン結晶製造装置内の炉内圧を1hPa以上500hPa以下とすることを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の炭化珪素の製造方法。
- 前記シリコン結晶の製造バッチ終了後、粉状に形成された前記副次的な炭化珪素を吸引回収することを特徴とする請求項1から請求項5のいずれか一項に記載の炭化珪素の製造方法。
- 前記シリコン結晶の製造バッチ終了後または前記炭素材ヒーターのライフ末期に、層状または塊状に形成された前記副次的な炭化珪素を剥がして回収することを特徴とする請求項1から請求項6のいずれか一項に記載の炭化珪素の製造方法。
- 前記回収した炭化珪素を分類して粉砕することを特徴とする請求項1から請求項7のいずれか一項に記載の炭化珪素の製造方法。
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