JP6027756B2 - 光モジュール - Google Patents
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Description
θ=V×H×L
Vはベルデ定数でファラディ回転子の材料及び測定波長で決まる定数であり、Hは磁束密度、Lはファラディ回転子の長さである。この式から解るように、ある一定の大きさのベルデ定数を持つ回転子において、所望のファラディ回転角を得ようとすると、ファラディ回転子に印加する磁界が大きいほど回転子長を短くすることができ、回転子長が長いほど磁束密度を小さくすることできる。
ファラディ回転子用の材料として特定の組成を有する酸化物が開示されている(特許文献1)。
本発明が解決しようとする他の課題は、ファラディ効果が大きく高消光比のファラディ回転子を使用し、かつ、小さな外形のマグネットと組み合わせた光モジュールを提供することである。本発明の他の課題は、以下の説明から明らかになるであろう。
<1>波長1.06μmにおけるベルデ定数が0.27min/(Oe・cm)以上のファラディ回転子と、前記ファラディ回転子の外周に配置される第1の中空マグネット並びに第1の中空マグネットを光軸上で挟んで配置された第2及び第3の中空マグネットユニットと、を備え、第2及び第3の中空マグネットユニットは、光軸に対し90度方向に等分割された2以上のマグネットから構成され、前記ファラディ回転子に印加される磁束密度B(Oe)は下記式(1)の範囲内にあり、前記ファラディ回転子が配置されるサンプル長L(cm)は下記式(2)の範囲内にあり、前記ファラディ回転子の外径D(cm)は下記式(3)の範囲内にあることを特徴とする光モジュール、
0.5×104≦B≦1.5×104 (1)
0.70≦L≦1.10 (2)
0.20≦D≦0.60 (3)
<2>前記ファラディ回転子が、下記式(I)で表される酸化物を99重量%以上含有する、<1>に記載の光モジュール、
(TbxR1-x)2O3 (I)
(式(I)中、xは、0.5≦x≦1.0であり、Rは、スカンジウム、イットリウム、Tb以外のランタノイド元素群よりなる集合から選択された少なくとも1つの元素を含む。)
<3>前記酸化物が単結晶である、<2>に記載の光モジュール、
<4>前記酸化物がセラミックスである、<2>に記載の光モジュール、
<5>前記ファラディ回転子は円筒形状であり、1dB以下の挿入損失と25dB以上の消光比を有する、<1>〜<4>のいずれか1つに記載の光モジュール、
<6>第1の中空マグネット、並びに、第2及び第3の中空マグネットユニットが、ネオジム−鉄−ボロン(NdFeB)系磁石からなる、<1>〜<5>のいずれか1つに記載の光モジュール、
<7>第1の中空マグネットの磁界極性を光軸方向とし、第2及び第3の中空マグネットユニットの磁界極性を光軸法線方向において互いに反対とした、<1>〜<6>のいずれか1つに記載の光モジュール、
<8>第1の中空マグネット、第2の中空マグネットユニット及び第3の中空マグネットユニットが炭素鋼筐体の内部に搭載された、<1>〜<7>のいずれか1つに記載の光モジュール、
<9>粗加工のファラディ回転子の外周面に1.0mm以上の外周研削加工を施す工程を含むことを特徴とする、<1>〜<8>のいずれか1つに記載の光モジュールの製造方法、
<10>粗加工のファラディ回転子の両端面に片面0.5mm以上の端面研磨加工を施す工程を含む、<9>に記載の光モジュールの製造方法。
本発明に使用するファラディ回転子は、TGG結晶のような従来の回転子と比べて、2倍以上のベルデ定数を有するので、サンプル長の短いファラディ回転子とすることができた。このファラディ回転子に磁束密度の大きいマグネット材及び磁気回路を用いることにより、光モジュールの小型化を可能とした。このために、ファラディ回転子を組み込むデバイス内の空間的寸法の自由度を大きくすることができた。また、ファラディ回転子のサンプル長を1/2程度に短くできるので、高出力レーザにより懸念されるファラディ回転子の光損傷を減少させることができる。
また、育成・成型した円筒形の粗加工ファラディ回転子に、外周研削加工することにより、外周の残留歪を除去し高消光比で低損失のファラディ回転子とすることができた。このファラディ回転子を上記マグネットに組み込むことにより、高消光比で低損失の光モジュールを構成することを可能とした。
0.5×104≦B≦1.5×104 (1)
0.70≦L≦1.10 (2)
0.20≦D≦0.60 (3)
以下に本発明を詳細に説明する。
なお、当業者は、本発明の光モジュールを上記以外の波長帯域のレーザ光に設計変更することができる。
図1は、本発明の光モジュールの構成例を示す断面模式図である。
図1において、ファラディ回転子1の形状は、外周研削加工が容易であることから、円筒状であることが好ましい。以下に円筒状のファラディ回転子を例にとり説明する。
このファラディ回転子1の外周には、第1の中空マグネット2並びに第1の中空マグネットを光軸上で挟んで、第2の中空マグネットユニット3及び第3の中空マグネットユニット4が配置されている。ファラディ回転子1が円筒状の場合、第1の中空マグネット2並びに第2の中空マグネットユニット3及び第3の中空マグネットユニット4はいずれも中空円筒状であることが好ましく、ファラディ回転子1の中心軸及び第1の中空マグネット2の中空部と二つの中空マグネットユニット3,4中空部の中心軸は同軸であることが好ましい。また、ファラディ回転子1の外径と、第1の中空マグネット2の中空部の内径と、二つの中空マグネットユニット3,4の中空部の内径はほぼ同じであり、光モジュールを組み立てた後にファラディ回転子1を第1の中空マグネット2の中心に配置する。
図2は、2つの中空マグネットユニット3,4の一実施形態を示す断面模式図である。両中空マグネットユニット共に、円筒マグネットを90度に4分割した4個のマグネットの集合体となっている。4分割したマグネットユニット(集合体)は、加工適性に優れるので好ましい。この4分割マグネットユニットの態様の他に、180度に2分割された2個のマグネットの集合体や、120度に3分割された3個のマグネットの集合体でもよい。
図2に示す実施形態において、円筒マグネットを4分割したマグネットは、その磁界極性は外周方向となっている。この場合、各々のマグネットは相互に反磁力を持ち合わせるので、組み合わせたマグネットユニットの外周外径と筐体6の内径をマグネットユニットが挿入できるようにほぼ一致させると、各々の反磁力のみで筐体6の内部に固定することができる。この固定法を利用すれば、第2の中空マグネットユニット3と第3の中空マグネットユニット4を両側の押さえとして、第1の中空マグネット2を隙間無く固定することができるので、構成するマグネット全体の固定が接着剤等を必要としない信頼性の高い実装とすることができる。
また、ファラディ回転子の波長1.06μmでのベルデ定数は、製造の容易性の観点から、0.36min/(Oe・cm)以下であることが好ましい。
具体的には、所定の厚さの酸化物を切り出し、鏡面研磨仕上げを行い、磁束密度の大きさが既知の永久磁石にファラディ回転子をセットし、波長1.06μmにおけるベルデを測定する。また、測定条件は25±10℃とし、大気中で測定を行う。
0.70≦L≦1.10 (2)
0.20≦D≦0.60 (3)
サンプル長Lが1.10cmを超えると、光モジュールの小型化が難しくなり、0.70cm未満であると所望のファラディ回転角を得るための磁束密度の大きさが大きくなり光モジュールの小型化が難しくなる。また、外径Dが0.60cmを超えると、マグネット外形を大きくする必要があり、同じく光モジュールの小型化が難しくなり、0.20cm未満であると、外周研削等の加工に難があり実用に不適である。
ここで、サンプル長とは、ファラディ回転子の光軸長上の長さを意味し。図1中に符号Lで示す。
ここで、両端面の研磨加工は、片面0.5mm以上0.8mm以下の範囲内であることが好ましい。研磨加工の方法は、当業者に公知の方法を使用することができ、例えば、平面研削加工機による粗研磨後、コロイダルシリカ等の研磨剤による片面研磨が含まれる。
また、外周面の外周研削加工は、外周面の半径について1.0mm以上1.6mm以下であることが好ましい。外周研削加工を施す方法も、当業者に公知の方法を使用することができ、例えば、センタレス加工機による砥石研削が含まれる。
(TbxR1-x)2O3 (I)
(式(I)中、xは、0.5≦x≦1.0であり、Rは、スカンジウム、イットリウム、Tb以外のランタノイド元素群よりなる集合から選択された少なくとも1つの元素を含み、好ましくは、スカンジウム、イットリウム、Tb以外のランタノイド元素群よりなる集合から選択された元素よりなる。)
上記の酸化物の含有量は、99.9重量%以上であることが好ましく、99.99重量%以上であることがより好ましい。
これらの中でも、原料が入手容易であるという観点から、Rとしては、イットリウム、ガドリニウム及びルテチウムが好ましく、より好ましくはイットリウムである。
xは、0.5以上1.0未満であることが好ましく、0.5以上0.8以下であることがより好ましく、0.5以上0.75以下であることがさらに好ましい。xが上記範囲内であると高いベルデ定数が得られ、さらに、透明性に優れるので好ましい。特にxが0.8以下であると、結晶育成後の冷却中のクラックの発生が抑制され、結晶の白濁が抑制されるので好ましい。
また、前記式(I)で表される酸化物は、固溶体であることが好ましい。
なお、本実施形態において、「固溶体」とは、原料粉末である酸化テルビウムの結晶層の格子点にあるテルビウムが、全く不規則に別種の元素(例えば、イットリウム等)と置換している状態を意味する。したがって、単結晶、多結晶、及び、焼結により作製された多結晶であるセラミックス等を包含するものである。
これらの中でも、前記式(I)で表される酸化物は、単結晶又はセラミックスであることが好ましく、単結晶であることがより好ましい。
本発明の光モジュールに用いることができるファラディ回転子は、アルカリ土類金属、第13族元素、第14族元素、第4族元素、第5族元素(V,Nb,Taなど)、第6族元素(Mo,Wなど)、第17族元素(F,Cl,Brなど)のうち1つまたは2つ以上の元素の酸化物を0.0001重量%以上1.0重量%未満含有することが好ましい。
これらの酸化物の含有量は、本発明の酸化物に対して、0.000001重量%以上1.0重量%未満であることが好ましく、0.00001〜0.1重量%であることがより好ましく、0.0001〜0.01重量%であることがさらに好ましい。
アルカリ土類金属の酸化物として具体的には、酸化マグネシウム、酸化ストロンチウム、酸化バリウムが例示され、13族元素の酸化物としては、酸化アルミニウム(アルミナ)、酸化ガリウムが例示され、14族元素の酸化物としては酸化ケイ素、酸化ゲルマニウム、酸化スズが例示され、4族元素の酸化物としては、酸化チタン、酸化ジルコニウム、酸化ハフニウムが例示される。
単結晶作製の際に添加する、ドーパントとしては、アルカリ土類金属の酸化物が好適であり、酸化マグネシウム、酸化ストロンチウム、酸化バリウム等が好ましい。これらの酸化物は、ファラディ回転子全体に対して、0.000001重量%以上1.0重量%未満含有することが好ましく、0.00001〜0.1重量%含有することがより好ましく、0.0001〜0.01重量%含有することがさらに好ましい。
アルカリ土類金属の酸化物の含有量は、ファラディ回転子全体の0.00001〜1.0重量%であることが好ましく、0.0001〜0.1重量%であることがより好ましく、0.0001〜0.01重量%であることがさらに好ましい。
本発明に用いることができるファラディ回転子は、前記式(I)で表される酸化物の単結晶を用いることができる。
酸化物結晶を作製する方法しては、特に限定されないが、フローティングゾーンメルト法、マイクロ引下げ法、引上げ法、スカルメルト法、及び、ブリッジマン法が例示される。これらの各方法については、「バルク単結晶の最新技術と応用開発」(福田承生監修、シーエムシー出版、2006年3月)、「結晶成長ハンドブック」(「日本結晶成長学会「結晶成長ハンドブック」編集委員会編、共立出版株式会社、1995年9月」に詳しい。
酸化物単結晶の作製においては、上述したように、安定に結晶化させる目的で、アルカリ土類金属の酸化物(例えば、マグネシウム、カルシウム、ストロンチウム、バリウム)を0.001〜0.01重量%ドーピングすることも好ましい。
以下、代表的な製造方法について詳述する。
フローティングゾーンメルト法にて酸化物単結晶を作製する一実施態様を記載する。
フローティングゾーンメルト法による単結晶の製造方法としては、例えば、特開昭62−271385号公報及び特開2010−285299号公報を参照することができる。
先ず原料として、高純度(好ましくは99.9重量%以上)の粉末原料(Tb2O3及びR2O3並びにその他の成分)を用意し、これを混合して、混合粉末を調製する。Rは、スカンジウム、イットリウム、ランタン、ユウロピウム、ガドリニウム、及び、ルテチウムよりなる群から選択されることが好ましい。
製造に供する混合粉末及びその成形体の調製については後述する。
酸化物単結晶の作製方法として、別の方法である、マイクロ引下げ法にて単結晶を作製する場合について以下に説明する。なお、マイクロ引下げ法については、特開2001−226196号公報及び特開2010−285299号公報を参照することができる。
先ず原料粉末を所望のモル比となるように、秤量する。装置に仕込む際に、上記粉末原料は十分に混合され、また、乾燥又は焼結されていればよく、公知の方法を適宜採用すればよい。混合粉末の調製方法については後述する。
前記式(I)で表される酸化物は、波長1.06μmにおいて透明性が高く、かつ熱歪などの異方性が無ければ、多結晶であるセラミックス(本発明において、透明セラミックスともいう。)でもよい。なお、本発明において透明セラミックスとは、波長1.06μm、サンプル長0.3cmでの透過率が70%以上であるセラミックスを意味する。
単結晶を製造する場合は、融液状態になるよう、高温まで昇温しなくてはならず、酸化テルビウムは融点が約2,600℃、酸化イットリウムでは融点が約2,300℃であり、それら2つの固溶体の場合は、それらの中間温度まで昇温する必要があり、非常に高温まで昇温する必要がある。したがって、坩堝の中で溶融して単結晶を作製する場合は、坩堝の選定が、レニウム、タングステン、又はそれらの合金等と、非常に限られてしまう。
一方、透明セラミックスの場合は、その融点まで昇温する必要がなく、加圧焼結すれば、融点以下で、透明化することができる。焼結時に、焼結助剤を入れて、焼結密度を上げて、緻密化させることも可能である。
以下、透明セラミックスの作製方法として、熱間等方圧加圧(HIP(Hot Isostatic Pressing)法を使用して透明セラミックスを作製する場合の一例について説明する。
先ず原料粉末(Tb2O3、R2O3及びその他の成分)の混合粉末を調製する。なお、混合粉末の調製方法については後述する。得られた混合粉末に、溶媒、結合剤、可塑剤、潤滑剤等を添加し、湿式混合してスラリー状とする。なお、このとき上述した焼結助剤を所定量、好ましくは原料全体の0.00001〜1.0重量%、より好ましくは0.0001〜0.1重量%、さらに好ましくは0.001〜0.01重量%添加することも好ましい。得られたスラリーをスプレードライヤーで処理して、乾燥させ、その後、成形する。成形は一段階で行ってもよく、多段階で行ってもよい。また、成形後、加熱(好ましくは400〜600℃)により脱脂処理を行うことも好ましい。
また、上記の焼成の後、さらに透明性を上げるため、熱間等方圧加圧(HIP)法で処理を行う。処理温度は、前記焼成温度よりも高いことが好ましく、1,600〜2,000℃であることが好ましく、1,700〜1,900℃であることがより好ましく、1,750〜1,850℃であることがさらに好ましい。処理圧力は、10〜1,000MPaであることが好ましく、20〜500MPaであることがより好ましく、40〜200MPaであることがさらに好ましい。処理時間は特に限定されないが、50時間以下が好ましく、25時間以下がより好ましく、10時間以下がさらに好ましい。また、15分以上が好ましく、30分以上がより好ましく、1時間以上がさらに好ましい。
例えば、混合粉末及びその成形体(焼結体を含む)について所望のモル比となるように秤量し、前記の方法等により前記式(I)で表される酸化物の単結晶及び透明セラミックスを製造することができる。
粉末材料(Tb2O3、R2O3、及び、その他の成分)は、高純度のものを使用することが好ましく、純度99.9重量%以上であることが好ましく、99.99重量%以上であることがより好ましく、99.999重量%以上であることがさらに好ましい。なお、前記R2O3中のRは式(I)におけるRと同義であり、好ましい範囲も同様である。
なお、酸化テルビウムとしてはTb2O3に限定されるものではなく、Tb4O7を使用することもできるが、得られる酸化物の結晶性に優れることから、Tb2O3を使用することが好ましい。
具体的には、ボールミル等で乾式混合した後、混合粉末を不活性ガス雰囲気下で焼成する方法が例示できる。焼成温度及び焼成時間は特に限定されないが、焼成温度は600〜2,000℃であることが好ましく、800〜1,800℃であることがより好ましく、1,000〜1,800℃であることがさらに好ましい。不活性ガス雰囲気としては、希ガス雰囲気、窒素ガス雰囲気等の不活性ガス雰囲気下が挙げられるが、アルゴン雰囲気下で焼成することが好ましい。また、焼成時間は特に限定されず、混合粉末の含水量や焼成温度に応じて適宜選択すればよいが、1〜100時間であることが好ましく、より好ましくは5〜50時間であり、さらに好ましくは10〜30時間である。また、焼成を行う場合には、焼成後にさらにボールミル等で粉砕混合することも好ましい。
具体的には、高純度(例えば99.9重量%以上)の原料粉末を用意し、Tb2O3:R2O3が所望のモル比になるように、秤量する。これらの原料粉末を濃度1mol/l硝酸水溶液として溶解し、それに濃度1mol/lの硫酸アンモニウム水溶液を混合し、さらに超純水を加えて、濃度を調整し、得られた水溶液を撹拌しながら、濃度0.5mol/lの炭酸水素アンモニウム水溶液を、一定の滴下速度でpH8になるまで滴下し、撹拌しながら室温で数日間放置し、その後、ろ過と超純水での洗浄を行って、150℃で数日間乾燥する方法が例示できる。得られた混合粉末を、アルミナ坩堝に入れて、窒素雰囲気もしくはアルゴン雰囲気などの不活性雰囲気で、好ましくは800〜1,500℃、より好ましくは1,000〜1,400℃、さらに好ましくは1,100〜1,200℃にて、好ましくは0.5〜10時間、より好ましくは1〜7時間、さらに好ましくは2〜4時間仮焼きを行う。ここで、不活性雰囲気にするのは、酸化テルビウムの価数が変化しないようにするためである。
粉末材料の成形方法としては、例えば、十分に乾式混合した粉末原料を、成形器により加圧成形する方法が例示できる。
また、粉末材料に有機バインダーを加えて、スラリー状にし、これを成形した後、焼成して焼結体とし、これを原料成形体として使用することもできる。焼結温度は、600〜2,000℃であることが好ましく、800〜1,800℃であることがより好ましく、1,000〜1,800℃であることがさらに好ましい。焼結雰囲気は、希ガス又は不活性ガス雰囲気であることが好ましく、アルゴン雰囲気であることがさらに好ましい。焼結時間は特に限定されないが、1〜100時間であることが好ましく、5〜50時間であることがより好ましく、10〜30時間であることがさらに好ましい。
具体的な成形体の製造方法としては、原料粉末に溶媒、結合剤(バインダー)、可塑剤、潤滑剤等を加えて湿式混合してスラリー状とする方法が例示できる。このとき、焼結助剤を所定量添加してもよい。成形体の製造方法としては特に限定されないが、例えば得られたスラリーをスプレードライヤーで処理して乾燥球状体を得る方法が例示される。
前記スラリーに使用する溶媒としては特に限定されないが、取扱いの容易さから、水又は低級アルコールが好ましく、水、メタノール、エタノールが好ましく例示され、特にメタノールが好ましい。また、結合剤として公知の結合剤から適宜選択すればよく特に限定されないが、ポリビニルアルコールが例示される。
可塑剤、潤滑剤についても特に限定されず、公知の可塑剤、潤滑剤から適宜選択すればよい。可塑剤の具体例としては、ポリエチレングリコールが例示され、潤滑剤の具体例としては、ステアリン酸が例示される。
前記乾燥球状体を、成形後、脱脂を行うことが好ましい。成形方法としては特に限定されず、公知の成形方法から適宜選択すればよい。また、成形は一段階で行ってもよく、多段階で行ってもよい。
脱脂は、加熱により行うことが好ましい。加熱温度は400〜600℃であることが好ましい。また、脱脂を行う際には、400℃までの加熱は大気中で行い、それより高い温度は、不活性雰囲気下で加熱を行うことが好ましい。
なお、挿入損失及び消光比等の光学特性は、定法に従い、波長1.06μmにおいて測定する。なお、測定条件は25±10℃とし、大気中で測定を行う。
透過率は、波長1.06μmの光を厚さLcmのファラディ回転子に透過させた時の光の強度により測定される。すなわち、透過率は以下の式で表される。
透過率=I/Io×100
(上記式中、Iは透過光強度(厚さLcmの試料を透過した光の強度)、Ioは入射光強度を表す。)
なお、得られる酸化物の透過率が均一ではなく、測定箇所によって透過率に変動がある場合には、任意の10点の平均透過率をもって、該酸化物の透過率とする。
第1の中空マグネット並びに第2及び第3の中空マグネットユニットは、いずれも、可能な限り小型な永久磁石とすることが好ましく、かつ大きな磁場強度を得るために、ネオジム−鉄−ボロン(NdFeB)系磁石を使用することが好ましい。
この場合、前記平板複屈折結晶の光学軸は光軸に対しほぼ45度方向であり、厚みが1.0cm以上であることが好ましい。この場合厚みの1/10であるφ1.0mmのビーム径にまで対応することができる。
本発明の光モジュールを有する光アイソレータは、産業用レーザの分野で加工或いはマーキング用途等に用いられ、高出力レーザと共に好適に使用される。
図1に示す構成の光モジュールを製作した。
ファラディ回転子としては、波長1.06μmにおいてベルデ定数が0.27min/(Oe・cm)以上となる、テルビウム・イットリウム酸化物をサンプル長0.7〜1.1cmとして使用した。ファラディ回転子の外周には、ネオジム−鉄−ボロン(NdFeB)系マグネットからなる中空マグネットを配置した。その中空マグネット両側には、磁界極性が反対であり、且つ光軸に対し90度方向に4つに等分割された中空マグネットユニットを配置し、分割された各々のマグネットの磁界極性は光軸法線方向とした磁気回路を構成した。また、マグネット及びマグネットユニットの外側には、炭素鋼筐体を配置した。
前出式(I)において、Tb含有率x(0.5〜1.0)とベルデ定数の対応を検討した。実施例2として、x=0.5である(Tb0.5Y0.5)2O3なる組成の酸化物を同重量%含むセラミックスを使用する以外は、実施例1と全く同様に実施した。
また、実施例3として、x=1.0であるTb2O3酸化物を同重量%含むセラミックスを使用する以外は、実施例1と全く同様に実施した。
これらの組成を有するセラミックスのベルデ定数を測定した。その結果、x=0.5で0.27min/(Oe・cm)、x=1.0で0.43min/(Oe・cm)の大きさのベルデ定数であることがわかった。また、実施例2及び3において消光比はいずれも43dBであった。
ここで、前述したサンプル長が1.05cmである場合に、実施例1のベルデ定数(0.30min/(Oe・cm))値よりファラディ回転角が45度となる磁束密度を算出すると、必要とする磁束密度は約8,500Oe(=0.85[T])となることがわかる。
図4に示すように、比較例1としてTGG結晶(ベルデ定数0.135min/(Oe・cm))をファラディ回転子とした光アイソレータを作製した。
このTGG結晶に印加する磁束密度を算出すると、サンプル長1.05cmにおいて必要とする磁束密度は約19,000Oe(=1.9T)、同様に磁束密度の下限値を示すサンプル長2.00cmにおいては約10,000Oe(=1.0T)となることがわかる。
よって、本発明の光アイソレータにおいては、サンプル長に対する磁束密度の関係が、実施例1〜3で示される関係にあり、いずれも前出<1>中の式(1)及び式(2)を満たす範囲内にある(図4の斜線部参照)。
TGG結晶に使用するマグネットと比較して、本発明の光モジュールでは、ファラディ回転子のサンプル長及び印加する磁束密度を小さくできるので、マグネットの外径を小さくすることができ、この結果光モジュールの小型化が実現できる。光モジュールの製品形状の小型化の他に、光モジュールから外部に漏洩する磁場の低減も図ることができる。
図5中、Z(cm)は、ファラディ回転子が配置される中心軸からの距離を示しており、0cmは中心軸上の中央(配置されるファラディ回転子の真ん中)を示している。すなわち、ファラディ回転子のサンプル長が1.0cmの場合には、ファラディ回転子の端点は、Z=±0.5cmにあたり、同様に、ファラディ回転子のサンプル長が0.70cmの場合には、ファラディ回転子の端点はZ=±0.35cmにあたる。
図5のシミュレーションの結果、光軸方向(Z)に対し、安定した磁束密度が得られることが分かった。
式(1)、式(2)を満たす上限の磁束密度は実施例2におけるサンプル長0.70cmの磁束密度分布、下限の磁束密度は実施例3におけるサンプル長1.10cmの磁束密度分布を示しており、各々マグネット形状は内径φ0.4cm、外径φ1.4(下限値)〜φ2.4cm(上限値)となった。
以上の内容より、本発明の光モジュールは、使用する各々の部品及びその構成が1μm帯のハイパワー光に対して耐性を持ち、十分に小型化された高消光比の光モジュールとして作用することを示している。
2 第1の中空マグネット
3 第2の中空マグネットユニット
4 第3の中空マグネットユニット
5 外部ホルダ
6 筐体
L サンプル長
Claims (6)
- 波長1.06μmにおけるベルデ定数が0.27min/(Oe・cm)以上の円筒形ファラディ回転子と、
前記ファラディ回転子の外周に配置される第1の中空マグネット並びに第1の中空マグネットを光軸上で挟んで配置された第2及び第3の中空マグネットユニットと、を備え、
第2及び第3の中空マグネットユニットは、光軸に対し90度方向に等分割された2以上のマグネットから構成され、
前記ファラディ回転子に印加される磁束密度B(Oe)は下記式(1)の範囲内にあり、
前記ファラディ回転子が配置されるサンプル長L(cm)は下記式(2)の範囲内にあり、
前記ファラディ回転子の外径D(cm)は下記式(3)の範囲内にあり、
前記ファラディ回転子は1dB以下の挿入損失と25dB以上の消光比とを有し、
かつ、前記ファラディ回転子が、下記式(I)で表される酸化物を99重量%以上含有するセラミックスである光モジュールの製造方法であって、
成型した円筒形の粗加工ファラディ回転子の外周面に1.0mm以上1.6mm以下の外周研削加工を施し、円筒形ファラディ回転子とする工程を含む
光モジュールの製造方法。
0.5×104≦B≦1.5×104 (1)
0.70≦L≦1.10 (2)
0.20≦D≦0.60 (3)
(TbxR1-x)2O3 (I)
(式(I)中、xは、0.5≦x≦0.75であり、Rは、イットリウム、ガドリニウム及びルテチウムよりなる群から選ばれた少なくとも1つの元素を含む。) - 式(I)中、Rはイットリウムである、請求項1に記載の光モジュールの製造方法。
- 第1の中空マグネット、並びに、第2及び第3の中空マグネットユニットが、ネオジム−鉄−ボロン(NdFeB)系磁石からなる、請求項1又は2に記載の光モジュールの製造方法。
- 第1の中空マグネットの磁界極性を光軸方向とし、第2及び第3の中空マグネットユニットの磁界極性を光軸法線方向において互いに反対とした、請求項1〜3のいずれか1つに記載の光モジュールの製造方法。
- 第1の中空マグネット、第2の中空マグネットユニット及び第3の中空マグネットユニットが炭素鋼筐体の内部に搭載された、請求項1〜4のいずれか1つに記載の光モジュールの製造方法。
- 前記粗加工のファラディ回転子の両端面に片面0.5mm以上の端面研磨加工を施す工程を含む、請求項1〜5のいずれか1つに記載の光モジュールの製造方法。
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