JP2018048035A - ファラデー素子の製造方法、及びファラデー素子 - Google Patents

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宣夫 中村
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【課題】高い消光比を実現できる角柱形状のファラデー素子を低コストで効率的に得ることができるファラデー素子の製造方法の提供。【解決手段】常磁性体を焼結して透明焼結体を得る焼結工程と、得られた透明焼結体から複数の角柱形状の焼結体片1bを切り出して複数のファラデー素子を得る切出工程とを含み、焼結工程では、例えば、常磁性体を熱間等方加圧焼結法により焼結することによって透明焼結体1aを得ることができ、また、常磁性体としては、テルビウムを含む酸化物であることが好ましいファラデー素子の製造方法。【選択図】図1

Description

本発明は、光アイソレータ等の磁気光学デバイスに用いられるファラデー素子の製造方法、及びファラデー素子に関する。
従来、光アイソレータは、波長1.3μm〜1.6μmのレーザーを適用する光通信システム分野において多く使用されていたが、近年、波長1μm付近の加工用ファイバーレーザーや波長405nmのブルーレイ等、波長1.3μm〜1.6μmより短い波長のレーザーを適用する分野においても使用されるようになってきている。
適用波長が1μmより短い光アイソレータのファラデー回転子に用いられるファラデー素子としては、一般的にチョクラルスキー法で育成されるテルビウム・ガリウム・ガーネット(以下、「TGG」ともいう)等の常磁性体単結晶が使用されている。チョクラルスキー法による単結晶の製造方法は、例えば、特許文献1や特許文献2に開示されている。
また、常磁性体単結晶からなるファラデー素子は、例えば、以下に示す方法で加工されるのが一般的である。なお、本明細書において、直径xmm、長さ(高さ)ymmの円筒形状は、「φxmm×Lymm」(x、yは任意の数値)と表記する。
すなわち、図7に示すように、φxmm×Lymmの円筒形状のファラデー素子を作製する場合、先ず、チョクラルスキー法により育成されたφ50mmの単結晶インゴット10からφ50mm×L(y+α)mmのウェハ10aを切り出す。αは通常0.1mm〜0.2mmである。そして、ウェハ10aの上下面を光学研磨加工してymmの長さ(高さ)にする。次に、研磨面に無反射コーティングをつけ、超音波円筒打ち貫き機により、φxmm×Lymmの円筒形状のファラデー素子10bを得る。
特開2013−56785号公報 特開2014−97926号公報
しかしながら、常磁性体単結晶は、ベルデ定数が小さく、つまりファラデー効果が小さいため、光アイソレータで必要とされるファラデー回転角45°の実現のためには、強力な大型の磁気回路と、偏光が通過する単結晶の長さLが必要となる。そのため、常磁性体単結晶をファラデー素子として用いる光アイソレータは、希土類・鉄ガーネットを使う光アイソレータと比較して極めて高価なものとなっていた。
常磁性体単結晶をファラデー素子として用いる光アイソレータに対する最も強い市場からの要求は、価格ダウン(コストダウン)である。常磁性体単結晶からなるファラデー素子のコストは、大きく分けて、単結晶育成コストと、ファラデー素子として円筒形状にしていく加工コストとからなる。単結晶育成コストは、ファラデー素子として使用する結晶が大きいほどコストアップにつながることは言うまでもない。また、加工コストについては、上述したような超音波円筒打ち貫き機による加工の場合、運転費用が高く、ファラデー素子の製造コストの約3割を占めていた。さらに、例えばφ50mmのウェハ10aからφ3mmのファラデー素子10bを打ち貫こうとした場合、打ち抜き機の刃の厚みによる打ち貫きしろも考慮すると、ファラデー素子10bは60本〜70本程度しか採ることができない。これは、φ50mmのウェハ10aの約半分を損失することになり、歩留まりは50%程度と極めて低い。
上述した低い歩留りの問題点を改善する手段として、例えば図8に示すように、ウェハ11aから角柱形状のファラデー素子11bを切り出す方法が考えられる。角柱形状にファラデー素子11bを切り出す加工装置としては、ワイヤーソーやダイシング装置を適用できるため、円筒形状にファラデー素子を打ち貫く加工に比べて加工コストを約半分に抑えることが可能となる。さらに、角柱形状にファラデー素子を切り出す加工によれば、ファラデー素子11bの採れ数も円筒状にファラデー素子を打ち貫く加工に比べ大幅に増大し、歩留まりが向上する。
ところで、一般的にファイバーレーザー用光アイソレータでは、偏波面無依存が要求されるため、複屈折結晶を偏光素子として使用する必要がある。この場合、常光と異常光とが分かれてファラデー素子を通過するため、それら2つ光線の進行を妨げることがないようなファラデー素子の大きさが必要となる。
例えば、φ3mmの円筒型ファラデー素子を四角柱形状のファラデー素子で置き換える場合、光学面である正方形の対角線を常光と異常光との分離方向とすれば、その対角線が3mm確保されていればよく、すなわち、一辺が2.2mm程度の正方形を光学面として持つ四角柱形状でよいことになる(以下、一辺がzmmの正方形の形状は、「□zmm」(zは任意の数値)と表記する)。よって、φ50mm×Lymmのウェハ11aから□2.2mm×Lymmの四角柱のファラデー素子11bを切り出す場合には、加工装置の刃の切りしろを考慮しても、150本〜180本の採れ数となり大幅に増大する。
しかしながら、TGGをはじめとする常磁性体単結晶を四角形に加工すると、著しく消光比が低下することがわかった。これは、円形(円筒形状)加工を行う場合では現われなかった現象である。
対向する偏光子を直交ニコルの状態にして、その間に四角柱形状の常磁性体単結晶からなるファラデー素子を挿入して偏光観察をすると、図9の偏光写真に示されるように、正方形の4つの頂点から中心部に向かって、消光状態が悪い、すなわち光が漏れてくる部分が発生していることがわかった。また、漏れ光は、角部で強くなり、内部に行くに従って消光していくことがわかった。このことは、常磁性体単結晶は極めて応力に敏感であり、例えば指でつまむだけでも消光比が低下するものであるため、四角形状に加工することで角部に加工歪が集中し、それによる応力が内部に伝搬したと考えられる。消光比の低下が生じていない部分、すなわち光アイソレータとして実用可能な30dB以上の消光比が得られる部分で3mmを確保しようとすると、一辺が6mm以上必要となる。すると、角柱形状のファラデー素子の採れ数が円筒形状のファラデー素子の採れ数の半分程度になり、歩留まりが円筒形状のファラデー素子に比べてさらに低下してしまう。このように、四角柱形状の常磁性体単結晶からなるファラデー素子は、その加工コストは抑えられるものの、歩留まりの低下で大きなコスト低減効果は得られない。
本発明は、このような実情に鑑みて提案されたものであり、高い消光比を実現できる角柱形状のファラデー素子を低コストで効率的に得られるファラデー素子の製造方法を提供することを目的とする。
本発明者は、上述した課題を解決するために鋭意検討を重ねた。その結果、常磁性体を焼結することによって得られた透明焼結体を用いて、その透明焼結体から複数の角柱形状の焼結体片を切り出すことにより、高い消光比を示すファラデー素子を高い歩留まりで得ることができることを見出し、本発明を完成するに至った。より具体的には、本発明は以下のようなものを提供する。
(1)本発明の第1の発明は、常磁性体を焼結して透明焼結体を得る焼結工程と、前記透明焼結体から複数の角柱形状の焼結体片を切り出して複数のファラデー素子を得る切出工程とを含む、ファラデー素子の製造方法である。
(2)本発明の第2の発明は、第1の発明において、前記焼結工程は、前記常磁性体を熱間等方加圧焼結法により焼結する、ファラデー素子の製造方法である。
(3)本発明の第3の発明は、第1又は第2の発明において、前記常磁性体は、テルビウムを含む酸化物である、ファラデー素子の製造方法である。
(4)本発明の第4の発明は、常磁性体からなる透明焼結体により構成され、角柱形状の焼結体片である、ファラデー素子である。
(5)本発明の第5の発明は、第4の発明において、前記常磁性体は、テルビウムを含む酸化物である、ファラデー素子である。
(6)本発明の第6の発明は、第4又は第5の発明において、消光比が40以上である、ファラデー素子である。
本発明によれば、高い消光比を実現できる角柱形状のファラデー素子を、低コストで効率的に得ることができるファラデー素子の製造方法を提供することができる。
ファラデー素子の加工方法を説明する斜視図である。 消光比の測定装置の概略構成を示す模式図である。 ファラデー素子の光学面及びビーム通過位置を示す平面図である。 実施例1のファラデー素子において、焼結体片を採取する箇所を示す平面図である。 実施例1の焼結体片(ファラデー素子)の偏光写真である。 比較例1のファラデー素子の光学面及びビーム通過位置を示す平面図である。 単結晶から円筒形状のファラデー素子を加工する方法を説明するための斜視図である。 単結晶から角柱形状のファラデー素子を加工する方法を説明するための斜視図である。 単結晶から加工した角柱形状のファラデー素子の偏光写真である。
以下、本発明の具体的な実施形態(以下、「本実施の形態」という)について詳細に説明する。なお、本発明は、以下の実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を変更しない範囲で種々の変更が可能である。
<1.ファラデー素子の製造方法>
本実施の形態に係るファラデー素子の製造方法は、光アイソレータ等の磁気光学デバイスに用いられるファラデー素子を製造するための方法である。具体的に、このファラデー素子の製造方法は、常磁性体を焼結して透明焼結体を得る焼結工程と、透明焼結体から複数の角柱形状の焼結体片を切り出して複数のファラデー素子を得る切出工程とを有する。なお、図1は、常磁性体を焼結して得られた透明焼結体1aから、複数の角柱形状の焼結体片1bを切り出したときの様子を模式的に示すものである。
このような製造方法によれば、高い消光比を実現できるファラデー素子を、低コストで効率的に得ることができる。
高い消光比を実現できる理由は、以下のように考えられる。すなわち、本実施の形態に係る製造方法により製造されるファラデー素子は、常磁性体を焼結することによって得られた透明焼結体の焼結体片であるため、角柱形状の焼結体片に切り出す際に応力が焼結体片の角部にかかっても、その応力が角部に局所的(常磁性体の粒子内)に止まり、角部から内部に向けて伝搬することが抑えることができると考えられる。このことは、従来のような単結晶から切り出した結晶体片からなるものでは、結晶の成長により応力が伝搬しやすい性質となるのに対して、焼結体片からなるものでは、常磁性体が粒子の状態で連結されているため、応力が伝搬されにくくなると考えられる。このようなことから、焼結体片の消光比の低下は、結晶体片に比べて極めて小さくなり、したがって、高い消光比を有するファラデー素子となる。
また、複数の角柱状の焼結体片を切り出す切出工程では、複数の円筒形状の焼結体片を切り出す工程に比べ、加工コストも低く、採れ数も多くなるため歩留まりが向上し、低コストで効率的にファラデー素子を製造することができる。
[常磁性体について]
常磁性体としては、ファラデー効果を有する常磁性体であれば特に制限されないが、テルビウム・ガリウム・ガーネット(TGG:TbGa12)、テルビウム・アルミニウム・ガーネット(TAG:TbAl12)、テルビウム・スカンジウム・アルミニウム・ガーネット(TSAG:TbScAl12)、ネオジム・ガリウム・ガーネット(NGG:NdGa12)、サマリウム・ガリウム・ガーネット(SGG:SmGa12)、ガドリウム・ガリウム・ガーネット(GGG:GdGa12)イットリウム・鉄・ガーネット(YIG:YFe12)等が挙げられる。これらの中でも、波長400nm〜1.6μmの広範囲で光損失が少ない、テルビウムを含む酸化物が好ましく、テルビウム・ガリウム・ガーネット(TGG)がより好ましい。
[焼結工程ついて]
焼結工程では、常磁性体を焼結して透明焼結体1aを得る。
この透明焼結体1aの形状は、特に制限されないが、均一な密度を得る点から、図1に示すように円筒形状であることが好ましい。また、その大きさとしては、焼結法等に応じて適宜設定すればよいが、例えば、透明焼結体1aの直径としては50mm〜100mmで形成されることが好ましく、高さとしては、ファラデー素子に必要な高さと光学研磨加工に必要な高さとがあればよく、15mm〜20mmで形成されることが好ましい。
焼結方法は、特に制限されないが、高温加圧法、熱間等方圧加圧焼結法、放電プラズマ焼結法の少なくともいずれかを用いて焼成することが好ましい。これらの焼結方法によれば、短時間で焼成できるために、粒子の粒成長を抑えて粒子の均一化を図ることができ、次工程の切出工程での切り出しによる消光比の低下をより効果的に抑制することができる。上述した焼結方法の中でも、特に、高い圧力下で等方的に負荷をかけて焼結できることから、熱間等方圧加圧焼結法が好ましい。なお、以下に、高温加圧法、熱間等方圧加圧焼結法、放電プラズマ焼結法について具体的に説明するが、これらの方法に限定されない。
(1)高温加圧焼結法(Hot Pressing)
高温加圧焼結法は、常磁性体からなる媒体に高温で圧力をかけながら焼結する方法である。一般に、型(ダイス)に、粉末状の媒体を充填し、押し棒等により上下から一軸方向に圧力を加えて焼結させる。
(2)熱間等方圧加圧焼結法(Hot Isostatic Pressing)
熱間等方圧加圧焼結法(HIP法)は、高温加圧焼結法よりも高い圧力を等方的にかけて焼結する方法である。このHIP法には、ある程度高密度化させた常磁性体からなる媒体に高温・高圧のガス中で均等な圧力を加えて、媒体を加圧焼結させるカプセルフリーHIP法と、媒体を充填して気密封止させたカプセル容器自体に高温・高圧のガス中で均等な圧力を加えて、媒体を加圧焼結するカプセルHIP法とがあるが、いずれの方法であってもよい。このようなHIP法による焼結では、上述した高温加圧焼結法等と比較して媒体の形状に制約がなく、高い圧力下で等方的に負荷をかけて焼結することができる。
(3)放電プラズマ焼結法(Spark Plasma Sintering)
放電プラズマ焼結法(SPS法)は、パルス(Pulse)型の直流電流で高磁性体からなる媒体の粉末間の隙間に発生する高温プラズマを利用して加圧焼結する方法である。SPS法では、焼結初期において、過量の電流により粒子間にプラズマが生成され、これにより自発的に熱が発生し、この熱によって粒子間の接触部位にNeckが生成されると電流によるジュール加熱につながる。そして、焼結がある程度進行すると、プラズマはこれ以上発生しないが、パルス形態で加えられる電流によって、より緻密になる。このようなSPS法では、自発的な熱の発生を利用することから、他の焼結法に比べて低い温度で焼結が可能であるという利点がある。
[切出工程]
切出工程は、透明焼結体1aから複数の角柱形状の焼結体片1bを切り出して複数のファラデー素子を得る工程である。
具体的に、切出工程では、図1に示すように、例えば円筒形状の透明焼結体1aに対して、ワイヤーソーやダイシング装置等の切断装置を用いて直線状の切り出し線となるように切断して角柱形状の焼結体片1bを切り出す。このような装置による加工コストは、円筒打ち抜き機等を用いる加工コストに比べて低く、コストの点でもメリットが大きい。また、切り出し線が直線状であることから、切り出し線が円弧状となる場合に比べて、採れ数が多くなり、歩留まりが大きく向上する。
図1に示すように、焼結体片1bからなるファラデー素子の光学面の形状は、例えば正方形とすることができるが、これに制限されず、六角形、八角形等の多角形状であってよい。ただし、消光比の低下抑制、加工の簡便性等の点から、光学面の形状としては正方形であることが好ましい。なお、例えば光学面の形状が正方形であるファラデー素子を得る場合、直径50mm〜100mm程度の透明焼結体1aから、一辺2.2mm〜4.4m角柱形状の焼結体片(ファラデー素子)を切り出すとすると、150本〜180本程度の焼結体片を切り出すことができる。
また、この切出工程では、上述したように、焼結体片を切り出す際の応力が角柱形状の焼結体片の角部にかかっても、その応力が角部に局所的(常磁性体の粒子内)に止まるようになるため、その角部から内部に向けて応力の伝搬を抑えることができる。これにより、切出工程により得られた焼結体片1bの消光比の低下は極めて小さくなり、高い消光比を有するファラデー素子を得ることができる。
<2.ファラデー素子>
本実施の形態のファラデー素子は、常磁性体からなる透明焼結体1により構成され、角柱形状の焼結体片1bである。
上述したように、焼結体片1bであるファラデー素子は、切り出し工程により角部に応力がかかっても、その応力が局所的に止まり内部に伝搬しづらく、消光比の低下が極めて小さく、高い消光比を実現できる。具体的に、本実施の形態に係るファラデー素子の消光比は、40以上である。
ここで、消光比とは、例えば図2に構成を示すように、グラントムソンプリズム3a、3bをクロスニコルの状態に配置し、その間に焼結体片1bを挿入したときの光の損失をいう。
具体的に、図2に示すように、消光比を測定するための測定装置は、波長1064nmのレーザー光Lを出射する光源2と、光源2からのレーザー光Lを検出する光検出器4とを備え、その光源2と光検出器4との間に、グラントムソンプリズム3a、3bと、測定対象となる焼結体片1bとが配置される。2つのグラントムソンプリズム3a、3bは直交ニコルの配置にされ、レーザー光Lのビーム径としては一般的に光アイソレータで用いられる0.6mmとする。また、焼結体片1bにおける測定箇所は、例えば図3に示すように、偏波面無依存型光アイソレータを想定して、ビームが透過する光学面のビーム通過位置1c、1dの2箇所とし、その2箇所の平均値を消光比とする。
また、角柱形状の焼結体片1bであるファラデー素子は、円柱形状の焼結体片を切り出す場合に比べ、加工コストが低く、採れ数も多くなり、歩留まりが上がって低コスト化を図ることが可能である。
なお、常磁性体としては、上述したように、ファラデー効果を有する常磁性体であれば特に制限されず、波長400nm〜1.6μmの広範囲で光損失が少ない、テルビウムを含む酸化物が好ましく、テルビウム・ガリウム・ガーネット(TGG)がより好ましい。
以下、本発明の実施例を示してさらに詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に何ら限定されるものではない。
[実施例1]
図1に示したように、先ず、高温等方圧加圧焼結法によってφ50mm×L15mmのTGG透明焼結体1aを作製し、その透明焼結体1aの対向するφ50mmの2つの面を光学研磨して高さ14.5mmとした。次に、透明焼結体1aをダイシングソーにより切断・分割し、□2.2mm×L14.5mmの四角柱形状の焼結体片1bを複数切り出した。
なお、図4に示すように、測定用の焼結体片1bとして、透明焼結体1aのうち、中心部A、端部C、中心部Aと端部Cとの間の中間部Bの3箇所から焼結体片1bを切り出し、それぞれの消光比を測定した。
3個所から採取された焼結体片1bを、光学測定装置(図2参照)に挿入し消光比を測定した。なお、光源2からのレーザー光Lの波長は1064nmとし、レーザー光のビーム径は0.6mmとした。また、測定箇所は、図3に示すように、焼結体片1bのビームが透過する光学面のビーム通過位置1c、1dの2箇所で消光比を測定した。また、図5に、この焼結体片1bの偏光写真を示す。
[比較例1]
比較例1として、チョクラルスキー法で育成したφ50mmのTGG単結晶からなるインゴット10からウェハ10aを作製し、これを超音波円筒打ち貫きにより切断・分断して、φ3mm×L14.5mmの円筒形状のファラデー素子10bを複数作製した(図7参照)。このうち、実施例1と同様に、測定用ファラデー素子10bとして、ウェハ10aの中心部A、中間部B、端部Cの3箇所から採取されたファラデー素子を選択して、図6に示すビーム通過位置10c、10dにおける消光比を測定した。
[比較例2]
比較例2として、チョクラルスキー法で育成したφ50mmのTGG単結晶からなるインゴットからウェハ11aを作製し、超音波円筒打ち貫きにより切断・分断して、φ3mm×L14.5mmの円筒形状のファラデー素子11bを複数作製した(図8参照)。このうち、実施例1と同様に、測定用ファラデー素子11bとして、ウェハ11aの中心部A、中間部B、端部Cの3箇所から採取されたファラデー素子を選択して、実施例1と同様に、ビーム通過位置の消光比を測定した。また、図9に、このファラデー素子の偏光写真を示す。なお、比較例2で使用したインゴットは、比較例1で使用したインゴットと同一である。
下記表1に、実施例1及び比較例1、2の消光比の測定結果を示す。なお、表中の消光比の単位は、「dB」である。また、表1中における「ビーム通過位置c」、「ビーム通過位置d」とは、図3における消光比の測定位置「1c」、「1d」、図6における消光比の測定位置「10c」、「10d」を示す。
図5及び表2の結果から、実施例1の焼結体片1bからなるファラデー素子においては、採取箇所、測定箇所にかかわらず、いずれも消光比は40dB以上と高い値を示すことが確認された。
これに対し、比較例1のファラデー素子10bでは、すべてが実用可能な30dB以上であったものの、実施例に比べると低い消光比であった。また、比較例2のファラデー素子11bでは、すべてが使用困難な20dB以下であった。また、図9に示すように、比較例2のファラデー素子11bにおいては、角形の4つの頂点から中心部に向かって消光状態が悪いことが確認された。
ここで、比較例1のファラデー素子10bと比較例2のファラデー素子11bとにおいて、同一のTGG単結晶からなるインゴットから採取したにもかかわらず、このような大きな有意差が生じた理由は、次のように考えられる。すなわち、比較例1のファラデー素子10bは、円筒形状であるため加工歪が分散したのに対して、比較例2のファラデー素子11bは、角柱形状であるため角部に加工歪が集中したためと考えられる。
また、実施例1の焼結体片1bからなるファラデー素子が、比較例1のファラデー素子11bよりも高い消光比を呈した理由は、以下の2つが考えられる。すなわち、(i)比較例1のファラデー素子10bでは、円筒形状ではあり加工歪が分散したとはいえ、焼結体ほど加工歪が局所的(粒内)に止まらず微小ではあるが内部へ伝搬し、(ii)ガーネット系単結晶、特に常磁性体ガーネット系単結晶では、結晶内部の僅かな格子定数差による歪でも消光比を低下させ、つまり、加工歪が無くても結晶内部の歪で結晶全体の消光比を低下させたためであると考えられる。
このような結果から、常磁性体を焼結して透明焼結体とし、その透明焼結体から複数の角柱形状の焼結体片を切り出してファラデー素子とすることで、角柱形状であっても高い消光比を実現することができることが確認された。
1a 透明焼結体
1b 焼結体片
1c、1d ビーム通過位置
2 光源
3 グラントムソンプリズム
4 光検出器

Claims (6)

  1. 常磁性体を焼結して透明焼結体を得る焼結工程と、
    前記透明焼結体から複数の角柱形状の焼結体片を切り出して複数のファラデー素子を得る切出工程と、を含む
    ファラデー素子の製造方法。
  2. 前記焼結工程は、前記常磁性体を熱間等方加圧焼結法により焼結する
    請求項1に記載のファラデー素子の製造方法。
  3. 前記常磁性体は、テルビウムを含む酸化物である
    請求項1又は2に記載のファラデー素子の製造方法。
  4. 常磁性体からなる透明焼結体により構成され、
    角柱形状の焼結体片である
    ファラデー素子。
  5. 前記常磁性体は、テルビウムを含む酸化物である
    請求項4に記載のファラデー素子。
  6. 消光比が40以上である
    請求項4又は5に記載のファラデー素子。
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