JP6027607B2 - プテロスチルベンの抗不安効果 - Google Patents

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Description

本発明は、ブドウ類および一部のスノキ属(Vaccinium)ベリー類にみられるレスベラトロールの類似体であるプテロスチルベンを治療有効量含む医薬組成物を投与することにより不安を治療、軽減または予防する方法に関する。
関連技術の説明
不安障害は社会環境や一次および二次医療でよくみられ、慢性の臨床状態に至る場合が多い(Nuttら,2002.Int.J.Neuropsychopharmacol.5:315−325)。不安障害は精神障害のうちで最もよくみられる種類の障害であり、その発症率は18.1%、生涯有病率は28.8%である(Kesslerら,2005.Arch.Gen.Psychiatry 62:617−627;Ohayon,M.M.2006.J.Psychiatr.Res.40:475−476)。抗不安薬は数千年にわたりヒトによって使用されてきている。ベンゾジアゼピン群の薬物は即効性で効果が高く、最もよく処方される抗不安薬である(Bandelowら,2008.World J.Biol.Psychiatry 9:248−312;Baldwinら,2005.J.Psychopharmacol.19:567−596;RudolphおよびMohler.2006.Curr.Opin.Pharmacol.6:18−23)。しかし長期間使用すると、鎮静、耐性の発現、乱用傾向および離脱症状などの副作用を連想されている(Nuttら,上記;Bandelowら,上記;Baldwinら,上記)。現在、ほとんどの不安障害には一次治療として選択的セロトニン再取り込み阻害物質群の抗うつ薬が使用されている。しかし、このグループにも欠点がある。特に治療効果の発現に時間がかかるため、抗不安効果がみられるまで数週間の治療が必要となる(Nuttら,上記;Bandelowら,上記;Baldwinら,上記)。したがって、治療効果が迅速に発現し有害作用のない抗不安化合物が依然必要とされている。
これまで多数の天然化合物から有用な薬理学的手段(Furukawaら,1993.J.Biol.Chem.268:26026−26031)のほか創薬のための潜在的な治療薬リード(Liu,J.1993.Trends Pharmacol.Sci.14:182−188)が得られている。スチルベンはα,β−ジフェニルエチレンコア構造を有する植物性化学物質のグループである。ブドウ類、ピーナッツ類およびスノキ属(Vaccinium)ベリー類を含めた類縁関係のない多数の属の植物でスチルベンが報告されている(Chongら,2009.Plant Sci.177:143−155)。レスベラトロールは広く研究されているスチルベンであり、数多くの生体系で抗酸化作用、抗炎症作用、化学予防作用および抗老化作用を示すことが報告されている(Aggarwalら,2004.Anticancer Res.24:2783−2840;BaurおよびSinclair.2006.Nat.Rev.Drug Disco.5:493−506;Bishayee,A.2009.Cancer Prev.Res.2:409−418)。最近、ブルーベリーやディアベリーなどの一部のスノキ属(Vaccinium)ベリー類にみられる天然のレスベラトロール類似体プテロスチルベン(Rimandoら,2004.J.Agric.Food Chem.52:4713−4719)が、レスベラトロールにみられるような様々な作用があるとして大いに注目を集めている。プテロスチルベンには鎮痛性、抗糖尿病性、抗酸化性、抗炎症性、脂質低下性および癌化学予防性がある(Amarnath SateeshおよびPari,2006.J.Pharm.Pharmacol.58:1483−1490;Remsbergら,2008.Phytotherapy Res.22:169−179;Rimandoら,2002.J.Agric.Food Chem.50:3453−3457;Rimandoら,2005.J.Agric.Food Chem.53:3403−3407)。プテロスチルベンはほかにも、結腸癌の発現(Paulら,2009.Cancer Prev.Res.2:650−657)、浸潤および転移(Panら,2009.Carcinogenesis 30:1234−1242)に対して、また高齢ラットの認知障害の改善(Josephら,2008.J.Agric.Food Chem.56:10544−10551)において、有意な効果を示す。しかし、プテロスチルベンの抗不安性は未だ検討されていない。
スチルベンを含めた多くの天然化合物が、異なるシグナル伝達経路に関与する誘導型一酸化窒素合成酵素(iNOS)、シクロオキシゲナーゼ−2(COX−2)およびp38マイトジェン活性化プロテインキナーゼ(MAPK)などのタンパク質キナーゼと相互作用する(Paulら,2009,上記)。MAPKファミリーのメンバーであり、細胞外シグナルにより調節されるキナーゼ1/2(ERK1/2)は、ニューロンを含めた多くの細胞型の転写調節に重要な役割を果たすことが明らかにされている(HetmanおよびGozdz,2004.Eur.J.Biochem.271:2050−2055)。ERKシグナル伝達経路がストレスへの曝露(Gerritsら,2006.Neuroscience 142:1293−1302)を含めた様々な刺激下で活性化される(Davis,R.J.1993.J.Biol.Chem.268:14553−14556;Hetman and Gozdz,supra)ことを示す証拠が集まりつつある。さらに、海馬および外側扁桃体のERKシグナル伝達経路が不安に何らかの役割を果たすと考えられている(Paulら,2007.Biol.Psychiatry 61:1049−1061;Tronsonら,2007.Neuropsychopharmacol.l33:1570−1583)。この考えは、不安時にリン酸化ERKの濃度が有意に上昇したという知見によって一層強固なものとなる。したがって、ERKシグナル伝達経路が不安において重要な役割を果たしている可能性が考えられ、それを阻害すれば抗不安効果が得られる可能性がある(Ailingら,2008.J.Psychiatr.Res.43:55−63)。
そこで、不安におけるシグナル伝達経路の役割と、不安の治療に使用できる薬剤の必要性とを考慮し、不安の阻害剤としてのプテロスチルベンの効果を明らかにすることを本研究の目的とした。
本発明者らは、不安の阻害剤としてのプテロスチルベンの特性を検討し、プテロスチルベンが抗不安剤として使用可能であることを明らかにした。
この発見に基づき、本発明の1つの目的は、治療有効量のプテロスチルベン、その薬学的に許容される塩またはその異性体を投与することにより、必要とする対象の不安を治療、軽減または予防する方法を提供することである。
このほか本発明の一部は、プテロスチルベンを含有する医薬組成物を含むキットおよびその使用のための指示である。
以下の記載から本発明の他の目的および利点が容易にわかるであろう。
プテロスチルベンの化学構造を示す図である。 高架式十字迷路(EPM)試験での行動に対するプテロスチルベン経口投与の効果を示す図である。EPMで5分間試験を実施する60分前、雄性Swiss Websterマウスに溶媒を注射によりまたはプテロスチルベン(1〜10mg/kg)を強制経口投与により投与した。開放アーム(図2A)および閉鎖アーム(図2B)(それぞれOAおよびEA)での移動距離の百分率および滞在時間の百分率ならびに各アームへの侵入回数を測定した。各カラムは平均±SEMを表す。1つの用量当たりn=6〜10。溶媒対照との比較で*p<0.05、**p<0.01(一元配置ANOVAの後にDunnett検定)。 高架式十字迷路試験での行動に対するジアゼパム腹腔内(i.p)投与の効果を示す図である。EPMで5分間試験を実施する30分前、雄性Swiss Websterマウスに溶媒またはジアゼパム(0.5〜2mg/kg)をi.p.投与した。開放アーム(図3A)および閉鎖アーム(図2B)(それぞれOAおよびEA)での移動距離の百分率および滞在時間の百分率ならびに各アームへの侵入回数を測定した。各カラムは平均±SEMを表す。1つの用量当たりn=6〜10。溶媒対照との比較で**p<0.01(一元配置ANOVAの後にDunnett検定)。 マウス自発運動量に対するプテロスチルベン経口投与の効果を示す図である。高架式十字迷路で5分間試験を実施する60分前、雄性Swiss Websterマウスに溶媒を注射によりまたはプテロスチルベン(1〜10mg/kg)を強制経口投与により投与した。1チャンバ当たりの遮断の総数で自発運動量を評価した。各カラムは平均±SEMを表す。1つの用量当たりn=8〜10。 海馬のERK1/2リン酸化に対するプテロスチルベン経口投与の効果を示す図である。図5Aは、EPM試験直後に屠殺したマウスのリン酸化ERK1/2濃度に関する代表的なデータを示す。図5Bは、訓練直後に屠殺したマウスのERK1/2リン酸化の変化に関する濃度測定分析の結果を示す。数値は少なくとも3個体の平均±SEMとして表されている。溶媒対照との比較で*p<0.05、**p<0.01(一元配置ANOVAの後にDunnett検定)。 海馬のAktリン酸化に対するプテロスチルベン経口投与の効果を示す図である。高架式十字迷路試験直後に屠殺したマウスのリン酸化ERK1/2濃度に関する代表的なデータである。リン酸化Aktに特異的な抗体(Ser473)で検出を実施した後、抗β−アクチン抗体でブロットの再検出を実施した。
発明の詳細な説明
レスベラトロールと同様に、プテロスチルベンには数多くの薬理活性がある。本発明者らによる本研究は、プテロスチルベンに関して報告されている一連の健康上有益な特性を加えるものであり、ここで本発明者らは、プテロスチルベンの抗不安効果を初めて明らかにする。本研究では、典型的な不安の動物モデル、すなわち不安寛解評価の行動モデルである高架式十字迷路(EPM)によりプテロスチルベンの抗不安薬様効果を検討した。EPM試験は、新規な抗不安薬を評価するのに最も広く有効性が認められている試験の1つであると考えられている(Pellowら,1985.J.Neurosci.Methods 14:149−167;Hogg,S.1996.Pharmacol.Biochem.Behav.54:21−30)。本研究では、最もよく用いられる抗不安化合物であるジアゼパムを陽性対照として用いた。EPMは、げっ歯類が新奇環境を探索する意欲と高く開けた場所に対する不安との間で葛藤を示すことを考慮したものであり、多くの研究者に採用され、広く用いられている不安のモデルである(Pellowら,上記;Hogg,上記)。高架式十字迷路モデルにおける通常のげっ歯類の探索行動は迷路の閉鎖アームの方を好んで選択するものであり、不安を誘発する開放アームを嫌悪することがEPMモデルの基礎であると提唱されている(Pellowら,上記;Ohl,F.2003.Clin.Neruosci.Res.3:233−238)。抗不安化合物の投与により開放アームに対する自然な嫌悪が減少し、開放アームの探索が促進されるという証拠が数多く得られている(Pellowら,上記;Hogg,上記)。
本発明者らの研究ではほかにも、化合物をマウスに経口投与した後の血漿および組織中のプテロスチルベン濃度を決定した。血清中のプテロスチルベン濃度が用量とともに上昇し、それに対応して海馬のプテロスチルベン濃度の上昇が観察された(実験5を参照)。さらにタンパク質キナーゼ調節に対する効果を検討し、プテロスチルベン作用の基礎となる機序を明らかにすることを目的として、マウス海馬のリン酸化ERK1/2の変化を測定した。
プテロスチルベンは1mg/kgおよび2mg/kgの用量で不安寛解作用を示した。すなわち、重要な決定因子であり、不安と相関があると考えられる開放アームでの滞在時間(PTOA)のパーセントおよび開放アームへの侵入回数(NEOA)が、定められた低用量において増加した(実施例2を参照)。またプテロスチルベンは、1mg/kgおよび2mg/kgの両用量で開放アームでの移動距離(TDOA)のパーセントを増加させることができた。しかし、高用量(5mg/kgおよび10mg/kg)では抗不安効果は全くみられず、逆に高用量では開放アームに対する嫌悪が増加する傾向がみられた、すなわち、高用量では不安がみられた。ほかにも1mg/kgおよび2mg/kgのプテロスチルベンによる治療時に閉鎖アームでの移動距離(TDEA)のパーセントおよび閉鎖アームでの滞在時間(PTEA)のパーセントが減少したという結果により、プテロスチルベン抗不安作用がさらに裏付けられた。また、プテロスチルベンの抗不安作用はジアゼパムのものときわめて類似していた。2mg/kgのプテロスチルベンは、少なくともEPMでは2mg/kgのジアゼパムと同等の効果を示した。したがって、ジアゼパムを陽性対照として使用することにより、EPM行動パラダイムにおけるプテロスチルベンの抗不安薬としての可能性が確認される。NEOAおよびPTOAと関係なく変化し、自発運動量のより純粋な尺度となる閉鎖アームへの侵入回数(NEEA)は、この実験で使用した用量の全範囲にわたって変化することはなかった。プテロスチルベンの親分子であるレスベラトロールは3mg/kgおよび20mg/kgの用量で試験したところ、抗不安効果を全く示さなかったことに言及しておく価値がある(Patisaulら,2009.Hormones and Behavior 55:319−328)。
動物の自発運動量を評価して、低用量(1mg/kgおよび2mg/kg)でのプテロスチルベンの抗不安作用が動物の運動活性に対する化合物の抑制作用の二次的結果でないことを示した。同様に高用量(5mg/kgおよび10mg/kg)で抗不安効果がみられないのは運動障害によるものではなかった。したがって、いかなる刺激作用および抑制作用も記録されず、このことは、観察された抗不安効果が偽陽性である可能性がきわめて低いことを示唆している。
本発明者らはEPMおよび自発運動試験に加え、不安に何らかの役割を果たしているタンパク質の発現を調べることにより、観察されたプテロスチルベンの抗不安薬様作用を説明し得る分子基質に焦点を当てた。ウエスタンブロット試験で得られた結果から、EPMで抗不安効果を示した低用量(1mg/kgおよび2mg/kg)のプテロスチルベンで処置したマウスの海馬ではリン酸化ERK1濃度が著明に減少することがわかった。同用量ではこのほか、ERK2のリン酸化状態のわずかな減少が観察された。高用量(5mg/kgおよび10mg/kg)ではERK1/2のリン酸化状態を変化させることができなかったという結果が、同用量でEPMにおいて化合物の抗不安効果が観察されなかったという結果と一致しているのは重要なことである。さらに、Aktファミリー(Akt1、Akt2およびAkt3)の3つの遺伝子がセリン/トレオニン特異的タンパク質キナーゼファミリー(EC2.7.11.1)のメンバーである酵素をコードしているが、本発明者らの分析では、マウス海馬にリン酸化Aktの濃度の変化は全くみられなかった。したがって、本発明者らの結果は、プテロスチルベンの抗不安作用とそれがマウス海馬のERK活性を減少させる能力との間には相関関係があることを示唆している。他の研究では、プテロスチルベンがRAW264.7細胞内でのERK1/2の活性化を阻止することが示されている(Panら,2008.J.Agric.Food Chem.56:7502−7509)。本発明者らの研究は、特定の低用量のプテロスチルベンがERK1/2の活性化をダウンレギュレートすることを初めてin vivoで示したものである。
不安時には海馬および前頭前皮質(PFC)を含めた脳の様々な領域のpERK濃度が上昇し、それを阻害すれば抗不安薬様作用が得られる可能性があることを示す最近の報告がある(Ailingら,上記;Martinezら,2009.Pharmacol.Biochem.Behav.92:291−296)。この事実は、緑茶ポリフェノール化合物であるエピガロカテキン−3−ガラートをマウスに急性投与した後に抗不安薬様作用が観察されたこと(Vignesら,2006.Brain Res.1110:102−115)、さらにこの化合物がERK1/2のリン酸化状態を減少させることができるという事実(Chungら,2001.FASEB J.15:2022−2024;Sahら,2004.J.Biol.Chem.279:12755−12762)に一致する。さらに、pERK1/2の持続的な核内蓄積が、有害な結果をもたらす事象として記載されたことが報告されている(Colucci−D’Amatoら,2002.Bioessays 25:1085−1095)。辺縁系構造に環状17β−エストラジオールを投与することにより慢性ストレス後のpERK1/2シグナル伝達の増加が阻止されたという報告があるが、これは同薬剤の投与が反復するストレスの有害な結果を防ぐものと考えられる(Gerritsら,上記)。さらに有望なことに、MEK阻害物質を用いてERK経路を阻害することによっても、様々な器官の損傷に対する治療効果が得られている(Otaniら,2007.J.Clin.Neurosci.14:42−48)。
脳内にはMAPキナーゼのリン酸化を変化させ得るNMDA、GABAのような受容体およびイオンチャネルが各種存在する。NMDA受容体によるMAPキナーゼの活性化を示した研究がよく報告されている(Xiaら,1996.J.Neurosci.16:5425−5436;Orbanら,1999.Trends Neurosci.22:38−44)。ほかにもERK/MAPK経路をGABA受容体機能の負のモジュレーターとして意味付ける研究もある(Bell−Hornerら,2006.J.Neurobiol.66:1467−1474)。ERK1/2リン酸化の減少がNMDA受容体の遮断またはGABA受容体の活性化により仲介されるかどうかは、本発明者らの現在進行中の研究の対象となっている。
高用量のプテロスチルベンが自発運動量を有意に変化させることも、有意な減少をもたらすこともなかったことを考えると、EPM試験で高用量の化合物が抗不安薬様作用を示さなかった理由に関する議論が生じるであろう。EPMが純粋に行動パラダイムであるというわけではないが、げっ歯類が新奇環境(ここでは新奇環境をEPMとする)を探索するとき、少なくとも部分的には作業記憶バッファーの容量が関与してくる。動物がEPMの開放アームおよび閉鎖アームの位置を認識するには、ほかにも空間学習が重要であり、その空間情報の取得は海馬の機能に依存する(OltonおよびPapas.1979.Neuropsychologia 17:669−682)。したがって、最初のEPM実験により、同じ迷路のセッションでのその後のマウスの行動が時間とともに修正された可能性がある。また高用量のプテロスチルベン(10mg/kg)がラットの認知能力、特に空間記憶を向上させた可能性も考えられる(Josephら,上記)。実際、本発明者らの研究では、用量10mg/kgでのプテロスチルベン濃度が1.1217ng/海馬(表2)であるという結果が得られており、この値はJosephら(上記)により報告されているものとほぼ同じある。したがって、高用量(5mg/kgおよび10mg/kg)のプテロスチルベンが記憶経路にも同時に作用し、マウスの作業記憶バッファーの容量を増加させることにより、最初にEPMのアームを経験しただけでも、ストレスを誘発し嫌悪される開放アームに対するマウスの探索行動を制限させたのであろうと推測するのが妥当である。この考えは、増加されたpERK濃度が作業記憶バッファーの増大に何らかの役割を果たした可能性を示唆する、高用量のプテロスチルベンの方が低用量のプテロスチルベンよりも海馬のリン酸化ERK濃度を上昇させたという知見により、一層強固なものとなる。
本発明者らが得た結果は、ブルーベリーの1成分であるプテロスチルベンが、マウスを用いた高架式十字迷路で抗不安薬様作用を示すことを初めて実証したものである。また、高用量のプテロスチルベンではEPMおよび自発運動量監視室における鎮静傾向は全くみられず、このことは、この化合物の副作用プロファイルが好ましいものであること示唆している。この化合物の抗不安作用は、動物海馬のERK1/2リン酸化のダウンレギュレーションを伴うものであった。しかし、プテロスチルベンがERKリン酸化をダウンレギュレートする機序をさらに理解するためには、今後も研究が必要であろう。
したがって、本発明の化合物は、必要とする対象の不安を治療、軽減または予防するのに有用である。特定の実施形態では、本発明の化合物は、不安障害、例えば広場恐怖症の有無を問わないパニック障害、パニック障害の病歴がみられない広場恐怖症、動物その他に対する恐怖症(社会恐怖症を含む)、強迫性障害および全般的なまたは物質による不安障害など;外傷後ストレス障害および急性ストレス障害を含めたストレス障害;睡眠障害;記憶障害;神経症;痙攣性疾患、例えば癲癇、発作、痙攣または小児の熱性痙攣;片頭痛;気分障害;抑うつ障害または双極性障害、例えばうつ病、単一エピソード大うつ病性障害または反復性大うつ病性障害、気分変調性障害、双極性障害、双極性I型躁病、双極性II型躁病および循環病、統合失調症を含めた精神病性障害;脳虚血により生じる神経変性;注意欠陥多動障害;疼痛および侵害受容、例えば神経障害性疼痛;急性、遅延性および先行性の嘔吐を含めた嘔吐、特に化学療法または放射線療法により誘発される嘔吐;動揺病、手術後の術後悪心嘔吐;神経性食欲不振症および神経性大食症を含めた摂食障害;月経前症候群;神経痛、例えば三叉神経痛;(例えば対麻痺患者の)筋肉の攣縮または痙攣;アルコール離脱症状を含めた物質乱用または物質依存症による影響;アルツハイマー病などの認知障害;脳虚血、脳卒中、頭部外傷;耳鳴:ならびに(例えば、時差ぼけまたは交代勤務による影響を受けた対象の)概日リズムの障害の治療、予防または軽減に有用であると考えられる。
本発明によるプテロスチルベンまたはプテロスチルベンの薬学的に許容される塩を含有する組成物を、化合物を配合および混合する従来の方法により調製することができる。このほか組成物は、好ましくは賦形剤を、最も好ましくは医薬品賦形剤を含む。賦形剤を含有しプテロスチルベンを組み込んだ組成物を、当該技術分野で公知の方法により調製することができる。例えば、プテロスチルベンを一般的な従来の担体、結合剤、希釈剤および賦形剤とともに、経口投与のための錠剤、カプセル剤、散剤、懸濁剤、液剤ならびに静脈内投与、真皮内投与、筋肉内投与および皮下投与を含めた非経口投与のための液剤に、また普通で伝統的な担体、バインダー、希釈液及び賦形剤を持つ経皮適用するためのパッチに塗布する液剤に製剤化することができる。
治療で使用する本発明の化合物を未加工の化合物の形態で投与してもよいが、活性成分を、任意選択で生理的に許容される塩の形態で、1つ以上の補助剤、賦形剤、担体、緩衝剤、希釈剤および/または他の通常の医薬品助剤とともに医薬組成物に導入するのが好ましい。
好ましい実施形態では、本発明は、本発明の化合物またはその薬学的に許容される塩もしくは誘導体を1つ以上の薬学的に許容される担体ならびに任意選択で当該技術分野で公知であり使用されている他の治療成分および/または予防成分とともに含む、医薬組成物を提供する。担体(1つまたは複数)は、製剤の他の成分との適合性があり、かつ製剤の被投与者に対して無害であるという意味で「許容される」ものでなければならない。
本発明の医薬組成物は、経口、経直腸、経気管支、経鼻、経肺、局所(バッカルおよび舌下)、経皮、経膣もしくは非経口(皮膚、皮下、筋肉内、腹腔内、静脈内、動脈内、脳内、眼内への注射もしくは注入を含む)の各投与に適した医薬組成物または散剤および液体エアロゾル投与を含めた吸入もしくは吹送による投与に適した医薬組成物または徐放システムによる投与に適した医薬組成物であり得る。徐放システムの適切な例としては、本発明の化合物を含有する固体疎水性ポリマーの半透性マトリックスが挙げられ、このようなマトリックスは成形品、例えばフィルムまたはマイクロカプセルの形態であり得る。
したがって、本発明の化合物を従来の補助剤、担体または希釈剤とともに、医薬組成物およびその単位用量の形態にし得る。このような形態としては、固体、特に錠剤、充填カプセル剤、粉末およびペレットの形態ならびに液体、特に経口使用のための水溶液もしくは非水溶液、懸濁剤、乳剤、エリキシル剤およびそれを充填したカプセル剤または経直腸投与のための坐剤および非経口使用のための滅菌注射用液剤が挙げられる。このような医薬組成物およびその単位投与剤形は従来の成分を従来の割合で、追加の活性な化合物もしくは成分の有無に関係なく含むものであり得、またこのような単位投与剤形は、採用を意図する1日用量範囲に応じて任意の適切な有効量の活性成分を含有し得る。
本発明の化合物を様々な経口および非経口剤形で投与することができる。当業者には、以下に挙げる剤形が活性成分として本発明の化合物または本発明の化合物の薬学的に許容される塩を含み得ることが明らかであろう。
本発明の化合物から医薬組成物を調製するにあたって、薬学的に許容される担体は固体または液体であり得る。固体形態の製剤としては、散剤、錠剤、丸剤、カプセル剤、カシェ剤、坐剤および分散性顆粒剤が挙げられる。固体担体は、希釈剤、着香剤、可溶化剤、滑沢剤、懸濁化剤、結合剤、保存剤、錠剤崩壊剤または封入材料としても働き得る1つ以上の物質であり得る。
散剤では、担体は微粉化した固体であり、微粉化した活性成分と混合された状態にある。錠剤では、活性成分は必要な結合能を有する担体と適切な割合で混合されて、所望の形状および大きさに圧縮されている。
散剤および錠剤は、活性化合物を5または10%〜約70%含有するのが好ましい。適切な担体としては、炭酸マグネシウム、ステアリン酸マグネシウム、タルク、糖、ラクトース、ペクチン、デキストリン、デンプン、ゼラチン、トラガント、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、低融点ロウ、カカオ脂などが挙げられる。「製剤」という用語は、活性成分を担体としての封入材料とともに製剤化し、活性成分が担体を含むか含まないかに関係なく担体に取り囲まれ、担体を伴ったカプセルにしたものを包含するものとする。同様にカシェ剤およびトローチ剤も包含される。錠剤、散剤、カプセル剤、丸剤、カシェ剤およびトローチ剤を経口投与に適した固体形態として用いることができる。
液体製剤としては、液剤、懸濁剤および乳剤、例えば水または水−プロピレングリコール液剤が挙げられる。例えば、非経口注射用液体製剤をポリエチレングリコール水溶液の液剤として製剤化することができる。したがって、本発明による化合物を非経口投与(例えば注射、例えばボーラス注射または持続注入によるもの)用に製剤化してよく、またアンプル、予め充填されたシリンジ、少量の注入液の単位用量形態または保存剤を添加した複数用量容器で提供してよい。組成物は、油性溶媒または水性溶媒中の懸濁剤、液剤または乳剤などの形態であってよく、また懸濁化剤、安定化剤および/または分散剤などの製剤用物質を含有してよい。あるいは、活性成分は、滅菌固体の無菌単離または溶液の凍結乾燥により得られ、使用前に適切な溶媒、例えば滅菌無発熱物質水を用いて構成される粉末形態であり得る。
活性成分を水に溶かし、必要に応じて適切な着色剤、香味剤、安定化剤および増粘剤を加えることにより、経口使用に適した水溶液を調製することができる。微粉化した活性成分を粘稠性材料、例えば天然もしくは合成のゴム、樹脂、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウムまたは他のよく知られた懸濁化剤などとともに水に分散させることにより、経口使用に適した水性懸濁液を作製することができる。
表皮への局所投与には、本発明の化合物を軟膏剤、クリーム剤もしくはローション剤または経皮パッチとして製剤化し得る。軟膏剤およびクリーム剤を、例えば、水性または油性の基剤に適切な増粘剤および/またはゲル化剤を添加して製剤化し得る。ローション剤は水性または油性の基剤を用いて製剤化され得るが、一般には、1つ以上の乳化剤、安定化剤、分散剤、懸濁化剤、増粘剤または着色剤も含有する。
口腔内への局所投与に適した組成物としては、風味を付けた基剤、通常はショ糖とアラビアゴムまたはトラガント中に活性物質を含むトローチ剤;ゼラチンとグリセリンまたはショ糖とアラビアゴムなどの不活性な基剤中に活性成分を含む香錠剤;ならびに適切な液体担体中に活性成分を含む口腔洗浄剤が挙げられる。
液剤または懸濁剤は、従来の手段により、例えばドロッパ、ピペットまたはスプレーを用いて鼻腔に直接適用される。組成物は単一用量または複数用量の形態で提供され得る。鼻腔内組成物を含めた気道に投与するための組成物では、化合物は一般に、粒子径が、例えば約5ミクロン以下の小さいものとなる。このような粒子径は当該技術分野で公知の手段、例えば微粒子化により得られる。
医薬製剤は単位投与剤形であることが好ましい。このような形態では、製剤が適切な量の活性成分を含有する単位用量に分割されている。単位投与剤形は、各包装に個別の分量の製剤が含まれるように包装された製剤、例えば包装された錠剤、カプセル剤およびバイアルまたはアンプルに入った散剤などであり得る。また単位投与剤形はカプセル剤、錠剤、カシェ剤またはトローチ剤であってもよく、あるいは単位投与剤は適当な数の包装形態の上記のいずれかであってもよい。
経口投与用の錠剤、カプセル剤およびトローチ剤ならびに静脈内投与および持続注入用の液剤は好ましい組成物である。鼻腔または気道に適用する液剤または懸濁剤は好ましい組成物である。表皮に局所投与するための経皮パッチは好ましいものである。
Remington’s Pharmaceutical Sciences(Maack Publishin社、Easton、PA)の最新版に製剤化および投与の技術がさらに詳細に記載されている。
別の態様では、本発明は、必要とする対象の不安を治療、予防または軽減する方法を提供し、この方法は、ヒトを含めたこのような対象に有効量の本発明のプテロスチルベンを投与することを含む。
治療有効量は、症状または状態を改善する活性成分の量を指す。治療効果および毒性、例えばED50およびLD50は、細胞培養物または実験動物を用いた標準的な薬理学的方法により決定され得る。治療効果と毒性作用の用量比が治療指数であり、LD50/ED50の比で表され得る。大きい治療指数を示す医薬組成物が好ましい。
本発明に従って使用される化合物の用量は化合物および治療される状態によって異なる。年齢、除脂肪体重、全体重、体表面積および受療患者の臨床状態;ならびに治療を実施する臨床医または開業医の経験および判断が用量の選択に影響を及ぼす因子である。他の因子としては、投与経路、患者の既往歴、疾患過程の重症度および特定の化合物の効力が挙げられる。用量は、許容されない毒性を患者に惹き起こすことなく、治療の対象となる疾患の症状および徴候を改善するのに十分な量であるべきである。用量を本発明の特定の状況になるまで用量漸増により変化させて、所望の治療効果をもたらし得る。
体表面積(BSA)による正規化法を用いることにより、動物試験から得られた薬物用量がヒト試験のもの(ヒト等価用量、HED)へ適切に換算される。動物用量とヒト用量の間の相互関係(体表1平方メートル当たりのミリグラム数に基づくもの)がReagan−Shawらにより記載されている(2007.FASEB J.22:659−661)。BSA(mg/m2)への正規化により用量を動物用量からヒト用量に変換するための式は、
HED=動物用量(mg/kg)×動物Km/ヒトKm
であり、上式中、体重(kg)をBSA(m2)で除した係数Kmは、動物試験で用いる用量mg/kgをmg/m2に換算するために用いられる。動物の係数Kmは3であり、ヒトの係数Kmは37である。FDAガイドラインのデータに基づき数種類の動物種で計算された係数Kmが表(表1、Reagan−Shawら,上記)に挙げられている。
プテロスチルベンは、必要とする対象の不安を治療、軽減または予防するのに十分な量で組成物中に存在する。最も好ましい実施形態では、プテロスチルベンは、それのみで不安を治療、軽減または予防するのに十分な量で組成物中に存在する。活性成分を1日当たり1用量または複数用量で投与する。ある場合には、最小0.0405mg/kg(経口)のヒト等価用量(HED)で、あるいは60kgのヒト患者に約3mg/日(経口)〜約15mg/日(経口)の用量で十分な結果を得ることができる。プテロスチルベンの半減期が約2時間であることを考慮に入れると、前記ヒト患者では適切な範囲を約10mg/日(経口)〜約100mg/日(経口)とすることができる。
現時点で、ヒト患者では適切な用量の範囲が、通常と同じく、正確な投与様式や投与時の形態、投与の対象となる適応症、投与する対象および投与する対象の体重と体表面積、さらには担当する医師または獣医の選好と経験に応じて1日10〜100mgになると考えられる。疾患を治療するための当該技術分野で公知の化合物と併用して投与する場合、投与レジメンを減らしてよい。
実施例
ここまで本発明を概略的に説明してきたが、特定の具体例を参照することにより本発明がさらに理解されるであろう。ただし、これらの具体例は本発明を詳細に説明するために記載されるものであり、請求項により定められる本発明の範囲を限定することを意図するものではない。
実施例1
プテロスチルベン
既に記載されている通りにプテロスチルベンを合成した(Josephら,上記)。簡潔に述べれば、3,5−ジメトキシベンズアルデヒドと4−ヒドロキシフェニル酢酸を無水酢酸/トリエチルアミン中で濃縮することによりプテロスチルベンを合成した。反応混合物を窒素雰囲気下で加熱し(150℃)、攪拌し続けた。20時間後、反応を停止させて室温まで冷却し、濃塩酸(5mL)を加えた。沈殿が形成されると、これをクロロホルム50mLに溶かしてから10%水酸化ナトリウム水溶液で抽出した。水性抽出物を濃塩酸でpH1に酸性化し、少なくとも6時間攪拌した後、中間生成物であるα−[(3,5−ジメトキシフェニル)メチレン]−4−ヒドロキシ−(αZ)−ベンゼン酢酸の沈殿を得た。この中間生成物をキノリン10mL中、銅1.0gとともに加熱した(200℃、6時間、窒素下)。反応混合物を室温まで冷却し、ろ過した。ろ液に5N塩酸(25mL)を加え、1時間加熱した後、クロロホルムで抽出した。不純物を含んだプテロスチルベンを含有するクロロホルム抽出物を、HPFCシステム(Biotage社、Charlottesville、VA)でシリカゲルカラムおよび酢酸エチル:ヘキサンの溶媒系(15:85〜100%酢酸エチルの直線勾配)を用いたフラッシュクロマトグラフィーにより精製した。純粋なプテロスチルベンを含有する画分を合わせて真空下で濃縮した。プテロスチルベンをヘキサン中で再結晶させ、その構造を分光分析データ(UV、質量分析法および核磁気共鳴分光測定法)(図1)から確認した。
プテロスチルベンを用量が1〜10mg/kg体重となるようにクレモフォールとエタノールと生理食塩水(1:1:18)の混合物に溶かした。行動試験の1時間前に体積10mL/kgを経口投与した。
実施例2
マウスを用いた高架式十字迷路行動試験におけるプテロスチルベンの効果
試験時の体重が24〜30gの8週齢雄性Swiss Websterマウス(Harlan社、IN、USA)を全試験に用いた。動物を5匹ずつのグループで飼育し、食餌および水を自由摂取させ、1日12時間:12時間の光周期の下で維持した。全マウスを無作為に選択して各処置群に割り付けた。飼育、取扱いおよび実験の方法は、ミシシッピ大学の動物管理使用委員会(Institutional Animal Care and Use Committee)(IACUC)に承認され、米国国立衛生研究所の「実験動物の管理と使用に関する指針」(Guide for Care and Use of Laboratory Animals)の規定を遵守するものであった。
高架式十字迷路(EPM)試験では、EPM装置は共通の中央プラットフォーム(5×5cm)から伸びる2本の開放アーム(30×5cm)と2本の閉鎖アーム(30×5cm、壁の高さ15cm)で構成されていた。その配置は、互いに反対側に置かれた同様のアームによりプラスの記号の形状をなすものであった。装置は床上50cmの高さに設置された。
プテロスチルベンまたはジアゼパムによる処置前、動物(n=6〜10/グループ)をEPMの部屋で30分間馴化させた。プテロスチルベンは経口投与し、ジアゼパムは腹腔内(i.p.)に投与した。それぞれ強制経口投与およびi.p.によるプテロスチルベンまたはジアゼパムの投与が完了した後、EPM試験の前にマウスを同じ部屋にそれぞれ60分間および30分間滞在させた。その後、装置の中央にマウスを1匹ずつ開放アームの方に向けて置き、5分間自由に探索させた。開放アームでの移動距離(TDOA)、閉鎖アームでの移動距離(TDEA);開放アームでの滞在時間(PTOA)、閉鎖アームでの滞在時間(PTEA)、開放アームへの侵入回数(NEOA)および閉鎖アームへの侵入回数(NEEA)を測定した。すなわち、開放アームおよび閉鎖アーム両方での移動距離およびそこに滞在した時間の百分率ならびに開放アームおよび閉鎖アームへの侵入回数を、コンピュータによるビデオ追跡システム(San Diego Instruments社、CA、USA)を用いて定量化した。各試験後、迷路をガラス洗浄剤できれいに拭いてから乾燥させた。マウスの肢が4本ともアーム内に入ったときにアームへの侵入を記録した。開放アームに滞在した時間の百分率および開放アームへの侵入回数は、不安の重要な決定因子および純粋な尺度であると考えられる(Hogg,上記)。
ここで本発明者らは、プテロスチルベン(図1)がEPMにおいて用量依存的に抗不安薬様作用を示したことを初めて示す。抗不安作用は用量1mg/kgの化合物で現れ、2mg/kgで最大に達した後、用量が5mg/kgおよび10mg/kgで減少した。対照(0mg/kg)と比較したところ、プテロスチルベンでは抗不安薬様作用と相関する全パラメーターに有意な増加が認められた:開放アームでの移動距離(TDOA)(%)[(4,43)=3.056、p<0.05]、開放アームでの滞在時間(PTOA)(%)[F(4,43)=2.657、p<0.05]および開放アームへの侵入回数(NEOA)[F(4,43)=4.257、p<0.01](図2A)。プテロスチルベンではこのほか、閉鎖アームでの移動距離(TDEA)(%)、閉鎖アームでの滞在時間(PTEA)(%)および閉鎖アームへの侵入回数(NEEA)のような不安と相関する閉鎖アームのパラメーターに減少傾向が認められた(図2B)。したがって、2mg/kgの用量で最大の抗不安作用が得られたことになる。最大用量10mg/kgでは効果は認められなかった。
従来の方法では、動物がアームへの入口を横切ったときにアームへの出入りをカウントする(Hogg,上記)。本発明者らの実験では、マウスの肢が4本ともアーム内に入ったときにアームへの侵入を記録した。したがって、マウスが迷路の開放区間でも閉鎖区間でもない中央の四角いゾーンにいることが可能となる。本発明者らが記録する際には、中央のゾーンを開放アームおよび閉鎖アームの両方から分離されているものと見なしたため、純粋な抗不安効果をより正確に示す結果が得られた。
実施例3
マウスを用いた自発運動量行動試験におけるプテロスチルベンの効果
自発運動量を測定するために、成体Swiss Websterマウス(n=8〜10/グループ)にプテロスチルベンを強制経口投与により投与した。次いで、各マウスを運動チャンバ内に置き、プレキシガラスの囲いに30分間馴化させた。30分間の馴化時間の後、自動活動監視システム(San Diego Instruments社、CA、USA)を用いて自発運動量を30分間の測定した。1チャンバ当たり16セルの光線を遮断した総数で運動量を表した。
自発運動量に対する効果を明らかにするため、本発明者らは、1〜10mg/kgの範囲の用量でプテロスチルベンによる処置を実施した後、マウスの自発運動量を測定した(図3)。一元配置ANOVA分析では、自発運動量に対する薬物処置の有意な効果は示されなかった。事後比較では、自発運動量が最大抗不安薬量のプテロスチルベンによる影響を受けないことが示された。最大用量でもマウスの自発運動量に対する効果は全く認められなかった。
実施例4
ウエスタンブロット分析:血液および組織
EPMセッション後、顎下静脈穿刺により各マウスからヘパリン処置した採血バイアルに血液検体を採取した。次いでマウスを屠殺し、迅速に脳を摘出した。氷上で脳の前頭前皮質(PFC)と海馬を切り取って、直ちに液体窒素中で凍結させ、次の処理まで−80℃で保管した。血液検体を4℃、2000rpmで20分間遠心分離し、血漿を上清として得た。この血漿試料を使用時まで−80℃で保管した。
マウス脳の海馬のウエスタンブロット分析を、既に記載されている方法(Al Rahimら,2009.Biochemistry 48:7713−7721)にわずかな修正を加えて実施した。簡潔に述べれば、凍結した海馬を氷冷ホモジナイゼーション緩衝液[50mMトリス−HCl(pH7.5)、150mM NaCl、5mM EDTA、1%NP−40、0.5mM DTTおよび緩衝液1mL当たり10μlのHalt Protease & Phosphates Inhibitor Cocktail(Thermo Scientific社、IL、USA)]中でホモジナイズした。ホモジネートを4℃、12,000gで10分間遠心分離した。上清を収集して試料緩衝液を加え、95℃で5分間煮沸した。このようにして、調製試料をウエスタンブロット実験用に準備した。等量のタンパク質(30μg)をSDS−ポリアクリルアミドゲル電気泳動(ゲル12%)にかけ、ブロットした膜を室温で1時間、脱脂乳5%を含有するTBST緩衝液中でブロックした。次いで、膜を抗ホスホ−ERK(Thr202/Tyr204、Cell signaling Technologies社、USA)抗体とインキュベートした。別のゲルで同じ試料を泳動し、膜を抗β−アクチン抗体(Cell signaling Technologies社、USA)とインキュベートした。抗ホスホ−Akt(Ser473、Cell signaling Technologies社、USA)抗体を用い、次いで抗β−アクチン抗体(Cell signaling Technologies社、USA)で再検出を実施することにより、海馬のホスホ−Aktの発現レベルを確認した。結合した抗体を西洋ワサビペルオキシダーゼ結合抗ウサギ抗体(Cell signaling Technologies社、USA)で検出し、VersaDocイメージングシステム(Bio−Rad社、USA)を用いて撮像した。Quantity One 1−D Analysis Software(Bio−Rad社、USA)を用いて関連する免疫反応性のバンドを定量化した。ERK活性化を評価するため、ホスホ−ERK濃度をβ−アクチン濃度に正規化した。
不安時にpERKの濃度が有意に増加すること、およびERKシグナル伝達経路の阻害が不安寛解の導入に何らかの役割を果たしている可能性があること(Ailingら,2008)を考慮し、次に、海馬から得たホモジネート中のERK1/2のリン酸化状態を明らかにした。ウエスタンブロット分析では、1mg/kgおよび2mg/kgのプテロスチルベンで処置したマウスの海馬ホモジネート中のERK1[F(4,15)=12.49、p<0.001]およびERK2[F(4,15)=3.024、p<0.05]はともにリン酸化が減少していることがわかった(図4Aおよび4B)。EPMで抗不安薬様作用が全くみられなかった5mg/kgおよび10mg/kgの用量では、ERKのリン酸化に対する有意な効果は認められなかった。また、ERK1リン酸化の減少の方がERK2リン酸化の減少よりもはるかに著明であったことも言及に値する。プテロスチルベン処置マウスの前頭前皮質にはERKリン酸化の有意な変化は認められなかった(データ不掲載)。
上で述べた効果がプテロスチルベンの中枢作用による他のキナーゼのリン酸化状態の無差別な減少の結果であるのかを明らかにするため、海馬のリン酸化Akt濃度を測定した。ERKのリン酸化が著明に減少したのとは対照的に、1〜10mg/kgの化合物で処置したマウスの海馬にAktのリン酸化状態の変化はほとんどみられなかった(図5)。
実施例5
ガスクロマトグラフィー質量分析法(GC−MS)による血漿、海馬およびPFC中のプテロスチルベンの分析
血漿を−80℃で保管し、抽出前に氷上で解凍した。公開されている方法に従って、血漿をβ−グルクロニダーゼで処理して、グルクロン酸抱合されたプテロスチルベンをすべて加水分解した(Remsbergら,上記)。簡潔に述べれば、血漿(各個体から得られたもの)50μLをエッペンドルフチューブに移し、β−グルクロニダーゼ溶液(5000U/mLリン酸カリウム緩衝液、75mM、37℃でpH6.8)60μLを加えた。混合物をボルテックスで混ぜ合わせ後、750rpmで20時間、振盪しながら37℃でインキュベートした。そののち、氷冷したHPLCグレードのアセトニトリルを加えてボルテックスで混ぜ合わせ、4℃、5000rpmで5分間遠心分離した。上清を収集し、窒素流下で乾燥させた。乾燥した上清をGC−MS分析に用いた。
海馬組織を抽出時まで−80℃で保管した。2〜3個体の海馬(左右)を合わせてエッペンドルフチューブに入れ、1つの試料として処理した。このチューブにリン酸緩衝液(0.2M NaH2PO4:0.2M Na2HPO4)200μLを加え、組織を2分間、手動でホモジナイズした。アリコート100μlにβ−グルクロニダーゼ(5000U/mLリン酸カリウム緩衝液)50μLを加えた。混合物をボルテックスで混ぜ合わせ、振盪(750rpm)しながらインキュベートした(37℃で20時間)。次いで、試料を遠心分離した(4℃、7000gで15分間)。上清を収集し、酢酸エチルで分配した(200μL、2回)。酢酸エチル層を合わせて窒素流下で乾燥させ、GC−MS分析に用いた。海馬と同じ方法で前頭前皮質(PFC)の抽出を実施し、3個体のPFC組織を合わせ、1つの試料として処理した。
窒素乾燥させた試料(血漿および脳組織の抽出物)をN,O−ビス[トリメチルシリル]トリフルオロアセトアミドとジメチルホルムアミドの1:1混合物(Pierce Biotechnology社、Rockford、IL)30μLで処理し、70℃で40分間加熱した。J&W DB−5キャピラリーカラム(内径0.25mm、膜厚0.25μmおよび長さ30m;Agilent Technologies社、Foster City、CA)を装着したJEOL GCMate IIInstrument(JEOL USA社、Peabody、MA)を用いて、誘導体化された試料のプテロスチルベン濃度を分析した。GCの温度プログラムは、190℃で開始し、20℃/分の速度で240℃まで上昇させ、次いで2.5℃/分で280℃まで上昇させ、最後に30℃/分の速度で300℃まで上昇させてから、この温度で0.5分間保持するものであった。キャリヤガスは流速1mL/分の超高純度ヘリウムであった。注入口、GC−MS接続部およびイオン化チャンバをそれぞれ250℃、230℃および230℃に保った。注入体積は2μLであった(スプリットレス注入)。選択陽イオンモニタリングモード(m/z328、313および297);電子衝撃70eVで質量スペクトルを得た。GC−MS分析を二重反復で実施した。プテロスチルベンの保持時間は10.2分であった。既に構造と純度が特徴付けられているプテロスチルベンの合成試料の外部標準を用いて、プテロスチルベンを定量した。
用量1mg/kgでのプテロスチルベンの血漿中濃度は10.08±6.67ng/mLであり、用量に応じて増加し、10mg/kgでは130.26±40.25ng/mLに達することがわかった(表1)。用量1mg/kgでの海馬組織のプテロスチルベン濃度は検出可能であったが、定量下限未満であった(0.0840ng)。2mg/kg、5mg/kgおよび10mg/kgの用量での濃度は定量可能であり、0.2627〜1.1217ng/海馬であった(表2)。前頭前皮質組織では投与したいずれの用量でも、ごくわずかな濃度のプテロスチルベン(定量不可能)が検出された。
本明細書で言及されている刊行物および特許はすべて、各刊行物または特許が参照により組み込まれることが具体的に個別に明示された場合と同様に、参照により本明細書に組み込まれるものとする。
上述の詳細な説明は単に説明を目的としたものであり、本発明の趣旨と範囲から逸脱することなく、そこに修正および変形を施し得ることが理解される。

Claims (10)

  1. 必要とする対象の不安を治療、軽減または予防するための、プテロスチルベンを含む医薬組成物または機能性食品組成物(nutraceutical composition)。
  2. 前記対象が、悲惨な出来事、環境の変化及び旅行からなる群から選ばれる条件による不安に苦しむ哺乳動物である、請求項1に記載の医薬組成物又は機能性食品組成物。
  3. 前記対象が睡眠障害、肥満症及びうつ病からなる群から選ばれる状態による不安に苦しむヒトである、請求項1に記載の医薬組成物又は機能性食品組成物。
  4. 前記対象がアルツハイマー病、パーキンソン病、ハンチントン舞踏病、糖尿病および癌からなる群から選ばれる疾患の副作用としての不安に苦しむヒトである、請求項1に記載の医薬組成物又は機能性食品組成物。
  5. 前記組成物が、治療有効量のプテロスチルベンを含有し、前記量が前記哺乳動物の体重および体表面積に基づく総量である、請求項1〜4のいずれか1項に記載の医薬組成物又は機能性食品組成物。
  6. 前記量が10mg/日〜100mg/日の総量である、請求項5に記載の医薬組成物又は機能性食品組成物。
  7. 前記機能性食品組成物が食品もしくは飲料または食品もしくは飲料の補助組成物である、請求項1〜6のいずれか1項に記載の医薬組成物又は機能性食品組成物。
  8. 前記量が10mg/日〜100mg/日の量で存在する、請求項7に記載の医薬組成物又は機能性食品組成物。
  9. 不安を治療、軽減または予防するためのキットであって、請求項1に記載の有効量のプテロスチルベンを含む組成物と、前記組成物を収納する容器と含むキット。
  10. 不安を治療、軽減または予防するための医薬組成物または機能性食品組成物を製造するためのプテロスチルベンの使用。
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