以下、本発明のナースコールシステムを適用した実施の形態例について、図面を参照して説明する。
図1は、本発明の実施例によるナースコールシステムの全体構成を示すシステム説明図である。
このナースコールシステムは、病院等の医療・看護施設内(以下、施設内という)に設置されるものであり、ナースコール子機1、スピーカ2、(複数台の)マイク3、音声処理器4、廊下灯5、ナースコール親機6及び制御機7を有している。
ナースコール子機1は、予め定められた個別の子機IDを有しており、施設内における例えば、201号室、202号室、・・・・のような複数の部屋(病室と同意)内の各病床の被看護人(患者と同意)が、例えば、ナースコール親機6が設置されるスタッフステーション等の施設内共用部に在室中である、医師や看護師又は看護助手等の医療・看護従事者(看護人と同意)に対し、通常呼出し、トイレ・風呂介助等の介助呼出し、点滴の終了を知らせる確認呼出し等、ナースコール呼出しに係る呼出種別毎で異なる呼出操作を行うものである。
また、ナースコール子機1によれば、前述のような被看護人によるナースコール呼出しのみならず、被看護人の周囲近傍に居る医療・看護従事者が他の医療・看護従事者を呼出す、すなわち、スタッフ緊急呼出しのための呼出操作を行うこともできる。
ここで、ナースコール子機1は、部屋内の病床数に対応させて任意の台数を設けることができ、このナースコール子機1としては、前述のような呼出操作が行われる呼出操作機能を有する呼出握りボタン等のハンド子機1aと、ハンド子機1aが接続されるプレート子機1bとで構成されるものである。また、プレート子機1bには、前述のような呼出操作機能や、ナースコール呼出し又はスタッフ緊急呼出しを待受状態に復旧させる呼出復旧操作機能等を備えることもでき、このプレート子機1bは、子機ラインL1を経由して廊下灯5に接続、例えば、個別配線で接続されている。なお、プレート子機1b及び廊下灯5間の接続は、図示のような個別配線の接続に限定されるものではなく、例えば、廊下灯5に対してプレート子機1bを順次接続する渡り配線の態様(不図示)も好適とされる。
スピーカ2は、予め定められた個別のスピーカIDを有しており、部屋内の例えば、天井に設置され、スタッフステーション等の施設内共用部に在室中である、ナースコール親機6を用いた医療・看護従事者の音声データを部屋内に出力するものである。このスピーカ2は、例えば、部屋内の病床数やその部屋の大きさに対応させて任意の台数を設けることができる。なお、本実施例によれば、部屋毎に1台ずつのスピーカ2が設けられているものとする。
(複数台の)マイク3は、前述の子機IDに対応して予め定められた個別のマイクIDを有しており、部屋内の例えば、天井に設置され、当該部屋内の音声データ、例えば、被看護人の音声データを集音(入力)するものである。このマイク3は、例えば、部屋内の病床数やその部屋の大きさに対応させて任意に複数台設けることができる。なお、本実施例によれば、部屋毎に2台ずつのマイク(以下、第1、第2のマイクという)3が設けられているものとする。
音声処理器4は、処理器ラインL2を経由して廊下灯5に接続されており、図2(A)のブロック図に示すように、第1、第2のマイク3及びスピーカ2にそれぞれ接続されスピーカ2から第1、第2のマイク3への音響結合により発生するエコー及びハウリングを防止するエコーキャンセラ40と、エコーキャンセラ40からの出力信号をデジタル/アナログ(D/A)変換してスピーカ2に送出するD/A変換回路41と、第1、第2のマイク3にそれぞれ集音(入力)された音声データをアナログ/デジタル変換してエコーキャンセラ40に送出するA/D変換回路(以下、第1、第2のA/D変換回路という)42と、エコーキャンセラ40及び処理器ラインL2間の信号伝送路を形成する処理器I/F43とが備えられている。
ここで、音声処理器4のエコーキャンセラ40によれば、具体的な機能として例えば、ナースコール親機6の後述する親機マイク61bに集音(入力)された医療・看護従事者の送話音声であってスピーカ2から出力される音声データを入力信号として、この入力信号による、第1、第2のマイク3のうち能動とされる当該マイクへの音響結合により発生する信号(エコー信号)の信号レベルと前述の入力信号の信号レベルとの差分を算出し、その差分が最小値の「0」に近づくような例えば、フィルタリング機能を有するパラメータとしての調整値を有しており、このようなフィルタリング機能を用いることで、スピーカ2及び能動とされるマイク3間の伝達特性を推定でき、エコー及びハウリングの発生が防止されるキャンセリング効果を発揮できるものである。このようなキャンセリング効果を有するエコーキャンセラ40としては例えば、特開2007−124162号公報記載の第1のエコーキャンセラが開示されている。
また、音声処理器4のエコーキャンセラ40には、能動とされるマイク3の台数に対応させて当該エコーキャンセラのキャンセリング効果を発揮するパラメータとしての調整値を可変するレジスタ400が備えられている。
廊下灯5は、予め定められた個別の廊下灯IDを有しており、各部屋の出入り口(出入り口近傍)に設置され、ナースコール子機1を用いた被看護人からのナースコール呼出し又は医療・看護従事者からのスタッフ緊急呼出しを、呼出種別毎に異なるパターンで報知(呼出表示、呼出発報)するものである。
ナースコール親機6は、スタッフステーション等の施設内共用部に設置されており、ナースコール子機1を用いた被看護人からのナースコール呼出し又は医療・看護従事者からのスタッフ緊急呼び出しを、呼出種別毎に異なるパターンで報知(呼出表示、呼出発報)するとともに、これを確認した医療・看護従事者が、スピーカ2及び第1、第2のマイク3のうち能動とされる当該マイクを用いた被看護人又は他の医療・看護従事者との間で音声データを送受信して通話を成立させるものである。
なお、ナースコール親機6の構成態様としては、図示のような電子情報出力型の当該親機に限定されず、例えば、PC(パーソナル・コンピュータ)型やボード型の当該親機(不図示)も好適とされる。また、ナースコール親機6には、通常、ナースコール子機1を個別呼出し又は一斉呼出しする機能等も備えられている。
制御機7は、廊下灯ラインL3を経由して廊下灯5、親機ラインL4を経由してナースコール親機6をそれぞれ接続する中継器として例えば、前述のような施設内共用部に設置されている。この制御機7には、前述の子機IDに割当てられてマイクIDが記憶される、例えば、RAM、EEPROM等のID記憶部70と、当該制御機を経由して送受信される音声データについて予め定められた信号処理を行う制御機音声処理部71と、当該制御機の構成各部及びシステム全体を制御するばかりでなく、(部屋毎の)第1、第2のマイク3のうち能動とする当該マイクが有するマイクIDに割当てられた子機IDをID記憶部70から選択するための選択部として、その選択制御機能を有する制御機CPU72とが備えられている。また、ID記憶部70において子機IDに割当てられて記憶されるIDとしては、前述のようなマイクIDのみならず、このマイクID及びスピーカIDをそれぞれ関連付けて記憶させることもできる。なお、制御機7及び廊下灯5間の接続は、図示のような渡り配線の接続に限定されるものではなく、例えば、バス接続の態様(不図示)も好適とされる。
次に、廊下灯5の具体的な構成について図2(B)のブロック図を参照して説明する。同図に示す廊下灯5には、廊下灯表示部50、廊下灯通話部51、廊下灯操作部52、廊下灯CPU53、子機側廊下灯I/F54、処理器側廊下灯I/F55及び制御機側廊下灯I/F56が備えられている。
この廊下灯5において、廊下灯表示部50は、ナースコール子機1を用いた被看護人からのナースコール呼出し又は医療・看護従事者からのスタッフ緊急呼出しがあることを表示(呼出表示)するものであって、例えば、LED、LCD、有機ELディスプレイ等の各種の表示媒体で構成されている。なお、廊下灯表示部50として例えば、LEDを適用するにあたっては、そのLEDを自廊下灯に接続されるナースコール子機1毎に対応、具体的には、前述の子機IDに対応させて設けることができる。
廊下灯通話部51は、廊下灯5の周囲近傍に居る医療・看護従事者が例えば、スタッフステーション内に在室中の医療・看護従事者との間で通話を成立させるための音声データを送受信するものであり、廊下灯マイク51a及び廊下灯スピーカ51bを有している。また、廊下灯スピーカ51bは、前述のようなナースコール呼出しがあることを報知(呼出発報)するための呼出音や音声メッセージ等を出力することもできる。
廊下灯操作部52は、ナースコール子機1を用いた被看護人からのナースコール呼出し又は医療・看護従事者からのスタッフ緊急呼出しを待受状態に復旧させるものである。また、廊下灯CPU53は、当該廊下灯の構成各部を制御するものである。また、子機側廊下灯I/F54は、廊下灯CPU53及び子機ラインL1間の信号伝送路を形成するものである。また、処理器側廊下灯I/F55は、廊下灯CPU53及び処理器ラインL2間の信号伝送路を形成するものである。さらに、制御機側廊下灯I/F56は、廊下灯CPU53及び廊下灯ラインL3間の信号伝送路を形成するものである。
次に、ナースコール親機6の具体的な構成について図2(C)のブロック図を参照して説明する。同図に示すナースコール親機6には、親機表示部60、親機通話部61、親機操作部62、親機CPU63及び親機I/F64が備えられている。
このナースコール親機6において、親機表示部60は、ナースコール子機1を用いた被看護人からのナースコール呼出し又は医療・看護従事者からのスタッフ緊急呼出しがあることを表示(呼出表示)するものであって、例えば、LED、LCD、有機ELディスプレイ等の各種の表示媒体で構成されている。なお、親機表示部60として例えば、LEDを適用するにあたっては、そのLEDをナースコール子機1毎に対応、具体的には、前述の子機IDに対応させて設けることができる。
親機通話部61は、スタッフステーション内に在室中の医療・看護従事者がスピーカ2及び第1、第2のマイク3のうち能動とされた当該マイクを用いた被看護人又は他の医療・看護従事者との間で通話を成立させるための音声データを送受信するものであり、例えば、親機マイク61a及び親機スピーカ61bを有している。また、親機スピーカ61bは、前述のようなナースコール呼出し又はスタッフ緊急呼出しがあることを報知(呼出発報)するための呼出音や音声メッセージ等を出力することもできる。
親機操作部62は、前述のような被看護人からのナースコール呼出し又は他の医療・看護従事者からのスタッフ緊急呼出しにスタッフステーション内に在室中の医療・看護従事者が医療・看護従事者が応答する操作(応答操作)を行うものであり、例えば、親機表示部60の前面に配置されたタッチパネルや所定の操作ボタン(不図示)で構成されている。また、親機操作部62には、(部屋毎の)第1、第2のマイク3のうち能動とする当該マイクが有するマイクIDに割当てられた子機IDを制御機7のID記憶部70から選択するための選択部として、その選択操作機能が備えられている。
親機CPU63は、当該ナースコール親機の構成各部を制御するものである。また、親機I/F64は、親機CPU63及び親機ラインL4間の信号伝送路を形成するものである。
このように構成された本発明の実施例によるナースコールシステムにおいて、以下、具体的な動作について説明する。
図1に示す201号室、202号室、・・・のような複数の部屋内の各病床に居る被看護人のうち、例えば、図4(A)、(B)の画面構成図に示すように、ナースコール親機6の親機表示部60にリスト表示又はフロア病床レイアウト表示されている特定の被看護人、ここでは、201号室内の氏名(氏名データ)が「水野由香」であって被看護人識別ID「0001」を有する被看護人が、スタッフステーション等の施設内共用部に在室中の医療・看護従事者を呼出すために、自病床に設置されたナースコール子機1を構成するハンド子機1aを用いて例えば、ナースコール呼出しのための操作を行うと、このハンド子機1aが接続されたプレート子機1bは、当該操作を検出し、自子機が有する子機ID「1」及びナースコール呼出しを示す呼出種別情報を付加したナースコール呼出信号を生成する。このプレート子機1bで生成されたナースコール呼出信号は、子機ラインL1を経由して、図2(B)に示す、201号室の出入り口に設置された廊下灯5の子機側廊下灯I/F54を経由して廊下灯CPU53に伝送される。
201号室の出入り口に設置された廊下灯5において、廊下灯CPU53は、受信したナースコール呼出信号に付加されている子機ID「1」及び呼出種別情報をもとに、201号室内で子機ID「1」を有するナースコール子機1が病床に設置されている被看護人からのナースコール呼出しがあることを検出し、その旨の呼出報知として例えば、呼出表示について廊下灯表示部50を用いて行うとともに、呼出音や音声メッセージ等を廊下灯通話部51の廊下灯スピーカ51bから出力させることができる。また、この廊下灯CPU53は、受信したナースコール呼出信号に自廊下灯が有する廊下灯ID「201」を付加した後、制御機側廊下灯I/F56、廊下灯ラインL3を経由して制御機7に送出する。
制御機7において、制御機CPU72は、受信したナースコール呼出信号に付加されている子機ID「1」、廊下灯ID「201」及び呼出種別情報をもとに、201号室内で子機ID「1」を有するナースコール子機1が病床に設置されている被看護人からのナースコール呼出しがあることを検出する。また、制御機CPU72は、ナースコール親機6でナースコール呼出しを報知(呼出表示、呼出発報)させる当該信号として、前述の子機ID「1」、廊下灯ID「201」及び呼出種別情報を付加した親機呼出報知信号を生成する。この親機呼出報知信号は、制御機CPU72から親機ラインL4、図2(C)に示すナースコール親機6の親機I/F64を経由して親機CPU63に伝送される。
ナースコール親機6の親機CPU63は、受信した親機呼出報知信号に付加されている子機ID「1」、廊下灯ID「201」及び呼出種別情報をもとに、201号室内で子機ID「1」を有するナースコール子機1が病床に設置されている被看護人からのナースコール呼出しがある旨の呼出音や音声メッセージ等を、親機通話部61の親機スピーカ61bから出力させるとともに、同様なナースコール呼出しがある旨の呼出表示として親機表示部60を制御し、図5(A)、(B)の画面構成図に示すような呼出元である被看護人のリスト及びフロア病床レイアウトのうち少なくとも1つを用いて呼出表示を行うことができる。なお、親機表示部60を用いた被看護人のリスト又はフロア病床レイアウトとしては、診療科目、担当医等の被看護人にかかる各種の関連情報(被看護人関連情報)を併せて表示させることができる。また、同様なリスト及びフロア病床レイアウトは、例えば、親機操作部62を用いて切換操作を行うことにより、親機表示部60への表示内容を切換えることができる。
次に、前述のようなナースコール呼出しに係る所定の報知(呼出表示、呼出発報)を確認したスタッフステーション等の施設内共用部に在室中の医療・看護従事者が、図1、図2(C)に示すナースコール親機6の親機操作部62を用いて応答操作を行うと、この操作を検出した親機CPU63は、親機通話部61を制御して医療・看護従事者により用いられる親機マイク61a及び親機スピーカ61bと、当該親機CPU、親機I/F64を経由して親機ラインL4との間の信号伝送路を形成する。また、親機CPU63は、201号室内に設置された第1、第2のマイク3のうち呼出元として検出した子機ID「1」に予め割当てられているマイク3と、そのマイク3とともに音声処理器4のエコーキャンセラ40に接続されているスピーカ2を指定するための通話機能制御信号を生成する。この通話機能制御信号には、前述の子機ID「1」及び廊下灯ID「201」が付加されており、親機CPU63から親機I/F64、親機ラインL4を経由して制御機7に伝送される。
制御機7において、制御機CPU72は、通話機能制御信号を受信すると制御機音声処理部71を能動とするとともに、受信した通話機能制御信号に付加されている子機ID「1」及び廊下灯「201」のうち子機ID「1」に割当てられたマイクID、ここでは、第1の選択動作として、201号室内に設置された第1、第2のマイク3のうち何れか1台又は2台のマイク3が有する例えば、1台のマイクID「M1」をID記憶部70から読出し、このマイクID「M1」及び前述の廊下灯ID「201」を付加した送話機能指定信号(以下、第1の送話機能指定信号という)を生成する。この第1の送話機能指定信号は、制御機CPU72から廊下灯ラインL4、図2(B)に示す全ての廊下灯5の制御機側廊下灯I/F56を経由して廊下灯CPU53にそれぞれ伝送される。
全ての廊下灯5において、廊下灯CPU53は、受信した第1の送話機能指定信号に付加されている廊下灯ID「201」と自廊下灯IDとを比較する。ここでは、当該廊下灯IDが「201」で一致する201号室の出入り口に設置された廊下灯5の廊下灯CPU53のみ、同様に付加されているマイクID「M1」に該当する第1のマイク3の音声入力機能と、この第1のマイク3とともに音声処理器4のエコーキャンセラ40に接続されているスピーカ2の音声出力機能とをそれぞれ能動とし、さらには、処理器ラインL2に接続された処理器側廊下灯I/F55と廊下灯ラインL3に接続された制御機側廊下灯I/F56との間の信号伝送路を形成する。
また、201号室内の出入り口に設置された廊下灯5の廊下灯CPU53は、能動とされる当該マイクの台数である「1台」に対応して予め定められている調整値となるように音声処理器4のエコーキャンセラ40が有するレジスタ400を制御するためのレジスタ制御信号(以下、第1のレジスタ制御信号という)を生成する。この第1のレジスタ制御信号は、廊下灯CPU53から処理器側廊下灯I/F55、処理器ラインL2、図2(A)に示す、201号室内に設置された音声処理器4の廊下灯側処理器I/F43を経由してエコーキャンセラ40に伝送される。
201号室内に設置された音声処理器4のエコーキャンセラ40は、第1のレジスタ制御信号を受信すると、このエコーキャンセラ40からD/A変換回路41を経由してスピーカ2までの信号伝送路と、第1のマイク3から第1のA/D変換回路42を経由して自エコーキャンセラまでの信号伝送路とをそれぞれ形成するとともに、自エコーキャンセラと処理器I/F43を経由して処理器ラインL2との間の信号伝送路を形成し、このエコーキャンセラ4のレジスタ400は、能動とされる当該マイクの台数である「1台」に対応して予め定められている調整値となるように制御される。具体的には、能動とされる当該マイクが「1台」であって、スピーカ2から第1のマイク3へのエコー成分についてキャンセリング効果を発揮する調整値に可変される。
前述までの制御により、スタッフステーション内に在室中の医療・看護従事者が用いる図1、図2(C)に示すナースコール親機6の親機通話部61を構成する親機マイク61aから親機CPU63、親機I/F64、親機ラインL4、制御機7の制御機音声処理部71、廊下灯ラインL3、図2(B)に示す201号室の出入り口に設置された廊下灯5の制御機側廊下灯I/F56、廊下灯CPU53、処理器側廊下灯I/F55、処理器ラインL2、図2(A)に示す音声処理器4の処理器I/F43、エコーキャンセラ40、D/A変換回路41を経由してスピーカ2までの信号伝送路(以下、下り通話ラインという)と、呼出元の被看護人が用いる第1のマイク3から音声処理器4の第1のA/D変換回路42、エコーキャンセラ40、処理器I/F43、処理器ラインL2、廊下灯5の処理器側廊下灯I/F55、廊下灯CPU53、制御機側廊下灯I/F56、廊下灯ラインL3、制御機7の制御機音声処理部71、親機ラインL4、ナースコール親機6の親機I/F64、親機CPU63を経由して医療・看護従事者が用いるナースコール親機6の親機通話部61を構成する親機スピーカ61bまでの信号伝送路(以下、第1の上り通話ラインという)と、がそれぞれ形成される。
ここで、スタッフステーション内に在室中の医療・看護従事者による音声データが、前述の下り通話ラインを経由して図2(A)に示す音声処理器4のエコーキャンセラ40に入力信号として入力されるにあたり、エコーキャンセラ40のレジスタ400は、この入力信号による第1のマイク3への音響結合により発生する信号(エコー信号)の信号レベルと前述の入力信号の信号レベルとの差分を算出し、その差分が最小値の「0」に近づくようなパラメータとしての調整値を、能動されたマイクの台数である「1台」に対応して可変するため、スピーカ2及び第1のマイク3間の伝達特性を推定することで、エコー及びハウリングの発生が防止されるキャンセリング効果を発揮できる。この効果により、第1の上り通話ラインを経由して第1のマイク3からナースコール親機6の親機通話部61を構成する親機スピーカ61bに伝送されてくる被看護人による音声データは、エコーキャンセラ40で発揮されたキャンセリング効果に起因したエコー及びハウリングの影響がない良好な通話品質が確保されることになる。
次に、前述までの動作によれば、図2(C)に示すナースコール親機6の親機CPU63からの通話機能制御信号を受信した図1に示す制御機7の制御機CPU72の制御として、制御機音声処理部71を能動とするのみならず、第1の選択動作として、201号室内に設置された第1、第2のマイク3のうち何れか1台のマイク3が有する例えば、マイクID「M1」をID記憶部70から読出し、このマイクID「M1」及び前述の廊下灯ID「201」を付加した第1の送話機能指定信号を生成したが、能動とするマイクの台数は「1台」に限定されるものではない。
例えば、制御機7の制御機CPU72は、ナースコール親機6の親機CPU63からの通話機能制御信号を受信したときの別途の制御動作として、制御機音声処理部71を能動とするのみならず、第2の選択動作として、201号室内に設置されている2台のマイク、すなわち、第1、第2のマイク3がそれぞれ有する例えば、マイクID「M1」、「M2」をID記憶部70から読出し、このマイクID「M1」、「M2」及び前述の廊下灯ID「201」を付加した送話機能指定信号(以下、第2の送話機能指定信号という)を生成することができる。この第2の送話機能指定信号は、前述の第1の送話機能指定信号と同様な信号伝送路を経由して図2(B)に示す全ての廊下灯5の廊下灯CPU53にそれぞれ伝送される。
全ての廊下灯5において、廊下灯CPU53は、受信した第2の送話機能指定信号に付加されている廊下灯ID「201」と自廊下灯IDとを比較する。ここでは、当該廊下灯IDが「201」で一致する201号室の出入り口に設置された廊下灯5の廊下灯CPU53のみ、同様に付加されているマイクID「M1」、「M2」にそれぞれ該当する第1、第2のマイク3の音声入力機能と、この第1、第2のマイク3とともに音声処理器4のエコーキャンセラ40に接続されているスピーカ2の音声出力機能とをそれぞれ能動とし、さらには、処理器ラインL2に接続された処理器側廊下灯I/F55と廊下灯ラインL3に接続された制御機側廊下灯I/F56との間の信号伝送路を形成する。
また、201号室の出入り口に設置された廊下灯5の廊下灯CPU53は、能動とされる当該マイクの台数である「2台」に対応して予め定められている調整値となるようにエコーキャンセラ40が有するレジスタ400を制御するレジスタ制御信号(以下、第2のレジスタ制御信号という)を生成する。この第2のレジスタ制御信号は、前述の第1のレジスタ制御信号と同様な信号伝送路を経由して図2(A)に示す音声処理器4のエコーキャンセラ40に伝送される。
201号室内に設置された音声処理器4のエコーキャンセラ40は、第2のレジスタ制御信号を受信すると、このエコーキャンセラ40からD/A変換回路41を経由してスピーカ2までの信号伝送路と、第1のマイク3から第1のA/D変換回路42を経由して自エコーキャンセラまでの信号伝送路及び第2のマイク3から第2のA/D変換回路42を経由して自エコーキャンセラまでの信号伝送路とをそれぞれ形成するとともに、自エコーキャンセラと処理器I/F43を経由して処理器ラインL2との間の信号伝送路を形成し、このエコーキャンセラ4のレジスタ400は、能動とされる当該マイクの台数である「2台」に対応して予め定められている調整値となるように制御される。具体的には、前述のような第1の選択動作時に能動とされる当該マイクの台数である「1台」の場合の、スピーカ2から第1のマイク3へのエコー成分と比較して、スピーカ2から第1、第2のマイク3へそれぞれのエコー成分があるため、エコーキャンセラ40への出力であるエコー成分が増大するため、そのキャンセリング効果を発揮する調整値を大きな値に可変される。
前述までの制御により、スタッフステーション内に在室中の医療・看護従事者が用いる図1、図2(C)に示すナースコール親機6の親機通話部61を構成する親機マイク61aから親機CPU63、親機I/F64、親機ラインL4、制御機7の制御機音声処理部71、廊下灯ラインL3、図2(B)に示す201号室の出入り口に設置された廊下灯5の制御機側廊下灯I/F56、廊下灯CPU53、処理器側廊下灯I/F55、処理器ラインL2、図2(A)に示す音声処理器4の処理器I/F43、エコーキャンセラ40、D/A変換回路41を経由してスピーカ2までの信号伝送路(下り通話ラインという)と、呼出元の被看護人が用いる第1、第2のマイク3から音声処理器4の第1、第2のA/D変換回路42、エコーキャンセラ40、処理器I/F43、処理器ラインL2、廊下灯5の処理器側廊下灯I/F55、廊下灯CPU53、制御機側廊下灯I/F56、廊下灯ラインL3、制御機7の制御機音声処理部71、親機ラインL4、ナースコール親機6の親機I/F64、親機CPU63を経由して医療・看護従事者が用いるナースコール親機6の親機通話部61を構成する親機スピーカ61bまでの信号伝送路(以下、第2の上り通話ラインという)と、がそれぞれ形成される。
ここで、スタッフステーション内に在室中の医療・看護従事者による音声データが、前述の下り通話ラインを経由して図2(A)に示す音声処理器4のエコーキャンセラ40に入力信号として入力されるにあたり、エコーキャンセラ40のレジスタ400は、この入力信号による第1、第2のマイク3への音響結合により発生する信号(エコー信号)の信号レベルと前述の入力信号の信号レベルとの差分を算出し、その差分が最小値の「0」に近づくようなパラメータとしての調整値を、能動されたマイクの台数である「2台」に対応して可変するため、スピーカ2及び第1、第2のマイク3間のそれぞれの伝達特性を推定することで、エコー及びハウリングの発生が防止されるキャンセリング効果を発揮できる。この効果により、第2の上り通話ラインを経由して第1、第2のマイク3からナースコール親機6の親機通話部61を構成する親機スピーカ61bに伝送されてくる被看護人による音声データは、エコーキャンセラ40で発揮されたキャンセリング効果に起因したエコー及びハウリングの影響がない良好な通話品質が確保されることになる。
なお、第1、第2のマイク3にそれぞれ集音(入力)された音声データは、前述の第2の上り通話ラインを伝送されるにあたり、制御機7の制御機音声処理部71で合成処理されるため、ナースコール親機6の親機通話部61を構成する親機スピーカ61bからの出力についても、合成処理された音声データが出力されることになる。
本発明のナースコールシステムにおいては、特定の実施の形態をもって説明してきたが、この形態に限定されるものでなく、本発明の効果を奏する限り、これまで知られた如何なる構成の当該システムであっても採用できるということはいうまでもないことである。
具体的に本発明の実施例においては、図1、図2(A)に示すように、エコーキャンセラ40を有する音声処理器4とスピーカ2とを別途に設けて接続し、エコーキャンセラ40に第1、第2のマイク3を接続させた構成を適用したが、この態様に限定されるものではない。例えば、他の構成・接続例として、図3(A)のシステム構成図及び図3(B)のブロック図に示すように、エコーキャンセラ40を有する音声処理器4をスピーカ2に備え、このエコーキャンセラ40に第1、第2のマイク3を接続させた構成を適用することもできる。したがって、エコーキャンセラ40がスピーカ2と一体で設けられるため、エコーキャンセラ40及びスピーカ2間の配線が不要とされ、配線の省線化が可能となる。
また、本発明の実施例においては、ナースコール親機6を用いた医療・看護従事者の音声データを部屋内に出力するスピーカ2として、部屋毎に1台ずつスピーカ2を適用したが、この台数に限定されるものではない。例えば、部屋の大きさや病床数に対応させて任意に複数台設けることができ、これに対応して、マイク3についても任意に複数台設け、それぞれのスピーカ2に接続することができる。なお、複数台のスピーカ2を適用するにあたっては、各スピーカ2が接続される複数台のエコーキャンセラ40のうち任意の当該エコーキャンセリングが有するキャンセリング効果を発揮させればよい。
また、本発明の実施例においては、被看護人による通話手段として部屋内のスピーカ2及びマイク3を適用したが、この通話手段にのみ限定されるものではない。例えば、ナースコール子機1を構成するプレート子機1bに例えば、子機通話手段としてのマイク及びスピーカ(不図示)を備えることで、何れの通話手段を同時に使用することもできる。
また、本発明の実施例においては、前述のようなID記憶部70を制御機7に備えるばかりでなく、能動とするマイク3が有するマイクIDに割り当てられた子機IDをID記憶部70から選択するための選択機能としての選択部をナースコール親機6の親機操作部62に備えたが、この態様に限定されるものではない。例えば、ID記憶部70については、ナースコール親機6や、制御機7に接続されるオーダリング等のサーバ(不図示)に備えることができ、選択部については、制御機7やサーバ(不図示)に備えることができる。
また、本発明の実施例においては、ナースコール子機1を用いた被看護人からの呼出し(ナースコール呼出し)に医療・看護従事者が応答して通話を成立させる機器としてナースコール親機6を適用したが、このナースコール親機6に限定されるものではない。例えば、施設内を巡回中の医療・看護従事者により携帯される例えば、PHS、スマートフォン等の情報端末も適用し、この情報端末を制御機7により制御させることもできる。
さらに、本発明の実施例においては、廊下灯5及びナースコール親機6を、個別のライン(廊下灯ライン、親機ライン)L3、L4をそれぞれ経由して制御機7に接続させた構成を適用したが、この態様に限定されるものではない。例えば、廊下灯5、ナースコール親機6及び制御機7をそれぞれ、共通バスであるLAN配線に所定の信号分岐機能、例えば、ハブを経由して接続させた構成を適用することもできる。