JP6020835B2 - 含浸チョコレート菓子 - Google Patents

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Description

この発明は、チョコレートを含浸させたチョコレート菓子に関し、特に、菓子本来の食感の中にチョコレートの味わいを入れ込んだチョコレート菓子に関する。
チョコレート市場のトレンドは、チョコレート単独の商品から「チョコレート菓子」へシフトしている。チョコレート菓子とは、チョコレート規格のチョコレート生地が60%未満のチョコレート加工品のことを指し、例えばチョコレートをビスケットやスナックなどの焼き菓子や、パフなどの膨化菓子と組み合わせたものが挙げられる。チョコレート単独ではなく、チョコレート菓子の形態をとることで、食感の軽さや口当たりの良さを実現することができ、消費者に広く受容されている。とはいえ、消費者は単に「軽さ」だけを求めているわけではなく、「チョコレートの味わい」も求めているものと思われる。そのような傾向の中、「含浸チョコレート菓子」が人気を集めている。
含浸チョコレート菓子は、焼き菓子や膨化菓子にチョコレートを含浸させたものである。ただ、この技術をもってしても、菓子本来のサクサク食感である「軽さ」を追求すればチョコレートの味わいは薄まり、一方、チョコレートの味わいを追求すれば菓子の軽さが損なわれてしまうという課題がある。
含浸チョコレート菓子に関する先行技術としては、特許文献1に記載の含浸食品およびその製造方法、特許文献2に記載のチョコレート含有食品の製造方法、および、特許文献3に記載の食品の含浸処理方法等が提案されている。
特許第4673257号公報 特許第3766661号公報 特開2003−174850号公報
従来提案されている、あるいは商品化されている含浸チョコレート菓子に関する技術においては、必ずしも菓子本来の食感(軽さ)とチョコレートの味わいの両立が図れているとはいえず、改善の余地があった。
そこでこの発明は、チョコレートを含浸させた菓子において、菓子にチョコレートが十分に浸透しており、菓子本来の「軽さ(サクサク食感)」と「味わい(チョコレート感)」の両立を実現した構成を提供することを課題とするものである。
上記課題を解決するための請求項1記載の発明は、ョコレートを染み込ませた菓子製品であって、センターキャビティを有するパフと、前記パフに染み込ませたチョコレートとを含み、前記チョコレートは菓子製品全体に占める重量割合が70〜80%であり、前記センターキャビティは、周囲全てが前記パフの内壁面で囲まれた閉空間を形成しており、前記センターキャビティは、前記チョコレートの存在しない空きスペースを有し、前記菓子製品の中心部を切断した切断面において、切断面の外縁で囲まれた切断面全体の面積S1に対する前記センターキャビティの空きスペースの面積S2の比率である中空率(S0=S2/S1)が7〜30%であることを特徴とする含浸チョコレート菓子である
の発明によれば、中空の食品に対して染み込んだチョコレートの重量割合が70〜80%であり、チョコレートは食品に十分に染み込むとともに、中空部(食品の中心の空洞部分)にも部分的に入り込んだ状態となっている。このため、チョコレートの味わいがしっかりと感じられる。また、菓子自体は、中空の食品であるから、真ん中の空洞部分が菓子本来の軽さ(サクサク食感)をひき立てる。よって、軽さ(サクサク食感)と味わい(チョコレート感)との両立を達成した含浸チョコレート菓子とすることができる。
また、この発明によれば、中空率を7〜30%の範囲内とすることにより、チョコレートが染み込んだ状態でも菓子本来の軽さ(サクサク食感)と味わい(チョコレート感)の両立を好適に達成することができる。すなわち、中空率が7%未満の場合、空洞部分にチョコレートがほぼ満ちてしまい、菓子の軽い食感が損なわれてしまう。また、中空率が30%を超えた場合、チョコレートの入り込んでいない空洞部が大きく、チョコレートの味わい(チョコレート感)を感じにくくなってしまう。
さらに、この発明によれば、中空の食品を中空パフとすることにより、チョコレートを良好に染み込ませることができ、サクサク感とチョコレート感の両立を実現した含浸チョコレート菓子とすることができる。
図1は、この発明の一実施形態に係る含浸チョコレート菓子1の説明図であり、(A)は外観図であり、(B)は(A)のB−Bに沿う中心部の切断面図である。(C)は(B)のチョコレートを含浸させる前の状態の図である。 図2は、図1(C)に示す含浸チョコレート菓子(中空菓子)1における中空の食品における空洞部分4の割合、すなわち中空率S0を変えた時のチョコレート含浸後の官能評価の結果(評価結果)を示す図である。 図3は、この発明の一実施形態に係る含浸チョコレート菓子(中空菓子)1のパフ2を、中空シリアルとして製造する場合の製造工程を示すフロー図である。 図4は、中空パフ2に対してチョコレート3を染み込ませるためのチョコレート含浸製造工程のフロー図である。
以下には、図面を参照して、この発明の実施形態について具体的に説明をする。
図1は、この発明の一実施形態に係る含浸チョコレート菓子1の説明図であり、(A)は外観図であり、(B)は(A)のB−Bに沿う中心部の切断面図である。(C)は(B)のチョコレートを含浸させる前の状態の図である。
含浸チョコレート菓子(中空菓子)1は、空洞部分4を有するように膨化成形されたパフ2にチョコレート3を染み込ませたものである。含浸チョコレート菓子1を、図1(A)に示すように、その中心部B−Bで切断した時の切断面は、図1(B)に示すものである。また、図1(C)は、図1(B)のチョコレートを含浸させる前の状態を示すものである。
図1(C)において、切断面の外縁51で囲まれた切断面全体の面積S1に対し、真ん中の空洞部分4の面積S2は、その比率(中空率)S0=(S2/S1)が、7〜30%とされている。より好適には、中空率S0は9〜17%である。
また、含浸チョコレート菓子(中空菓子)1全体の重量をW1、パフ2の重量をW2、染み込ませたチョコレート3の重量をW3とすると、菓子全体の重量W1(=W2+W3)に占めるチョコレート3の重量W3の割合、すなわちW0=(W3/W1)は、70〜80%とされている。
含浸チョコレート菓子(中空菓子)1のチョコレートを含浸させる前のパフ2の中空率S0を7〜30%とし、かつ、染み込ませたチョコレートの重量割合W0を上述の割合としたことにより、図1(B)に示すように、チョコレート3は、パフ2の生地内に一部含浸していない部分を残しながら、十分に染み込んでいるとともに、パフ2の内周面52から空洞部分4にチョコレート3が入り込み、内周面52沿いにチョコレートの堆積した部分が散在し、空洞部分4に一定割合でチョコレート3が溜まった状態となっている。
このバランスにより、チョコレート3の味わいがしっかりと感じられるとともに、チョコレートを染み込ませた後の空洞部分4に残った空間部分が菓子全体のサクサク感をひき立てて菓子本来の軽さを味わえ、軽さとチョコレートの味わいの両立が達成された菓子に仕上がっている。なお、中空率S0の割合を9〜17%とすることで、軽さとチョコレートの味わいのバランスがより一層優れた菓子とすることができる。
表1は、この発明の一実施形態に係る含浸チョコレート菓子(中空菓子)1の官能評価を行った際の書き込み用の評価表を示す。
表1に示す評価表を使用して、含浸チョコレート菓子(中空菓子)1について、パネラー25名による官能評価を行った。
評価項目は、(1)サクサク感、(2)チョコレート感、(3)しっとり感、の3項目とし、各項目について、−3(弱い)〜+3(強い)の7段階尺度で評価を行った。
また、官能評価を対比するために、市販のチョコレート菓子4種類について、同じ官能評価を行った。市販品A、市販品Bは、M社のチョコレート菓子であり、市販品Cおよび市販品Dは、当社のチョコレート菓子である。
官能評価の結果を、(1)サクサク感、(2)チョコレート感、および、(3)しっとり感の3項目につき、平均値で表示し、さらに平均値の差が有意であるか検定を行った結果が、表2、表3および表4である。検定は分散分析後、下位検定としてテューキーの多重比較を行い、検定にはExcel統計ver6.0を使用した。
表2に示すように「サクサク感」の官能評価は、この発明に係る含浸チョコレート菓子(中空菓子)1が、1.5ポイント、市販品Bが2.1ポイント、市販品Dが1.7ポイントとなり、本発明品の含浸チョコレート菓子(中空菓子)1は、市販品A、市販品Cに比べて有意に高い結果となった。また含浸チョコレート菓子(中空菓子)1と市販品B、および含浸チョコレート菓子(中空菓子)1と市販品Dとの間においては、それぞれ有意差は見られなかった。
一方、表3に示すように、「チョコレート感」については、この発明の一実施形態に係る含浸チョコレート菓子(中空菓子)1が、1.8ポイントと最も高く、次いで市販品Cが1.5ポイントを獲得した。また本発明品の含浸チョコレート菓子(中空菓子)1は、市販品Cを除く3つの市販品に比べて有意に高い結果となった。「サクサク感」の評価において高ポイントを獲得した市販品B、Dの「チョコレート感」は、それぞれ、0.8ポイント、−1.1ポイントであり、本発明品の含浸チョコレート菓子(中空菓子)1に比べて有意に低い評価となった。
また、表4に示すように、「しっとり感」については、高ポイントを獲得したものはなく、市販品Aの1.3ポイントを筆頭に、本発明の一実施形態に係る含浸チョコレート菓子(中空菓子)1を含め、いずれも、1ポイント以下であった。「サクサク感」の評価において高ポイントを獲得した市販品B、Dの「しっとり感」は、それぞれ、−0.7ポイント、−1.8ポイントであり、本発明品の含浸チョコレート菓子(中空菓子)1に比べて有意に低い評価となった。
係る官能評価によれば、この発明の一実施形態に係る含浸チョコレート菓子(中空菓子)1は、「サクサク感」および「チョコレート感」の両方を両立した菓子である旨が評価されたと言える。
図2は、図1(C)に示す含浸チョコレート菓子(中空菓子)1における中空の食品における空洞部分4の割合、すなわち中空率S0を変えたときのチョコレート含浸後の官能評価の結果(評価結果)を示す図である。
図2に示すように、中空率S0が30%を超えた場合は、チョコレートが染み込んだ状態でもサクサク感(軽さ)は良好であるが、チョコレートの味わい(チョコレート感)がやや低下する。一方、中空率S0が7%未満の場合は、空洞部分4にチョコレートがほぼ満たされた状態となってしまい、その結果、サクサク感が少なくなることが確認された。
図3は、この発明の一実施形態に係る含浸チョコレート菓子(中空菓子)1のパフ2を、中空シリアルとして製造する場合の製造工程を示すフロー図である。パフ2をシリアルとして製造する工程は、簡単に説明すると次の通りである。
原料となる各種の穀類やグラニュー糖、重曹(具体的な原材料についての一例は後述する)は、ミキサーにてミキシングされ(ステップS1)、2軸エキストルーダーに送り込まれる。ミキシングされた原料は加水されながら、スクリューによって混練されつつ送り出される。エキストルーダーの末端部にはノズルが設置されており、中央部が塞がれ輪状の隙間が空く形となっている。スクリューにより送り出された生地は、圧力がかかりながらノズルより突出されることで膨化しノズル形状によって筒状の形状を成す(ステップS2)。筒状に成型されたパフは、クリッピングロールによって規定の大きさに切断され(ステップS3)、中空のパフの形を成す。その後、ドラム乾燥(ステップS4)、ベルトオーブンでの乾燥工程(ステップS5)を経て、規定の水分量に調整される。乾燥後、シフターによる割れ欠け等の選別工程(ステップS6)、金属混入を防ぐための金属検査(ステップS7)を経て、チョコレート含浸工程に運ばれるために箱詰めされる(ステップS8)。
図4は、中空パフ2に対してチョコレート3を染み込ませるためのチョコレート含浸製造工程のフロー図である。
チョコレート含浸製造工程では、まずパフ2を充填した籠が処理容器内に収容され、密封された後、処理容器内が減圧状態にされる。その圧力差でタンクよりチョコレート3を処理容器内に引き込む(ステップP1)。チョコレート3が十分に充填された後、所定の待ち時間を経て(ステップP2)容器内の圧力を常圧に戻す(ステップP3)。次いで容器内に気体を送り込むことで容器内を加圧状態とし、所定の時間を経てチョコレート3を浸透させる(ステップP4)。これにより、ステップP2の減圧状態からステップP3の常圧に戻るときの圧力差によりパフ2に染み込んだチョコレート3に加えて、更なる量のチョコレート3がパフ2の内部、すなわち空洞部分4にまで染み込むこととなる。容器内の圧力を開放した後(ステップP5)、パフ2に染み込んでいない余剰なチョコレートが回収される(ステップP6)。さらに、パフ2が入った籠が処理容器内で回転することにより、パフ2の表面に付着した余剰なチョコレートが遠心分離される(ステップP7)。その後、減圧状態で遠心分離を行うことで(ステップP8)、ステップP7の常圧遠心分離で取りきれなかったチョコレートを除去できる。そして、遠心分離により生じた余剰なチョコレートは回収され(ステップP9)、チョコレート含浸工程が終了する。次いで、処理容器内のチョコレート3が含浸されたパフ2は、ベルトコンベアにてクーリングトンネルに送り込まれ冷却されることで、チョコレート3が冷却固化される(ステップP10)。その後、不良品の選別工程(ステップP11)、金属混入を防ぐための金属検査(ステップP12)を経て、商品仕様に沿った包材にて包装される(ステップP13)。
上述した一実施形態に係る含浸チョコレート菓子(中空菓子)1の原材料につき、実施例として、原材料の具体的な割合の一例を示す。
表5は、中空パフを作るための原材料の配合比率を示す。
この実施例のパフは、オーツフラワー、コーンフラワー、コーングリッツ、フラワー、グラニュー糖および重曹を混合し、加水しながら混練したもので作られる。
また、表6は、一実施例のチョコレートの原材料の配合比率を示している。
上述した中空パフおよびチョコレートの原材料の配合比率は一例に過ぎず、他の原材料を用いてこの発明に係る含浸チョコレート菓子(中空菓子)を製造できることは言うまでもない。
その他、請求の範囲に記載された事項の範囲で種々の設計変更を施すことが可能である。
この発明によれば、チョコレートの味わいと、菓子(スナック)のサクサク食感(軽さ)とが両立し、2つの食感が十分に感じられる菓子を提供することができ、チョコレート菓子市場を益々活性化することができる。
1 含浸チョコレート菓子(中空菓子)
2 パフ
3 チョコレート
4 空洞部分
51 外縁
52 内周面
S1 切断面全体の面積
S2 空洞部分の面積
S0 中空率
W1 含浸チョコレート菓子全体の重量
W2 パフの重量
W3 チョコレートの重量
W0 菓子全体重量に占めるチョコレート重量の割合

Claims (1)

  1. ョコレートを染み込ませた菓子製品であって、
    センターキャビティを有するパフと、
    前記パフに染み込ませたチョコレートとを含み、
    前記チョコレートは菓子製品全体に占める重量割合が70〜80%であり、
    前記センターキャビティは、周囲全てが前記パフの内壁面で囲まれた閉空間を形成しており、
    前記センターキャビティは、前記チョコレートの存在しない空きスペースを有し、
    前記菓子製品の中心部を切断した切断面において、切断面の外縁で囲まれた切断面全体の面積S1に対する前記センターキャビティの空きスペースの面積S2の比率である中空率(S0=S2/S1)が7〜30%であることを特徴とする含浸チョコレート菓子。
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