JP6020156B2 - トナー、現像剤、及び画像形成装置 - Google Patents

トナー、現像剤、及び画像形成装置 Download PDF

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Description

本発明は、トナー、現像剤、及び画像形成装置に関する。
従来より、電子写真装置、静電記録装置等において、電気的又は磁気的潜像は、トナーによって顕像化されている。例えば、電子写真法では、感光体上に静電荷像(潜像)を形成し、次いで、トナーを用いて該潜像を現像して、トナー画像を形成している。トナー画像は、通常、紙等の転写材上に転写され、次いで、加熱等の方法で定着させている。
このようなトナーの構成成分の70%以上を占めるバインダーレジンに関しては、そのほとんどが石油資源を原料としており、石油資源の将来枯渇への問題、石油資源を大量消費することによる二酸化炭素を大気中へ排出することによる温暖化問題が懸念されている。そこで、大気中の二酸化炭素を取り込んで成長する植物を原料とする環境循環型高分子をトナーバインダーとして使用できれば、それによって生じる二酸化炭素は環境中で循環するだけとなり、地球温暖化の抑制と石油資源の枯渇の問題を同時に満たす可能性がある。このことから植物資源を原料とするポリマー(バイオマス)に注目が集まっている。
このような植物由来の樹脂をトナーバインダーに用いる試みとしては、例えば、特許文献1では、ポリ乳酸を結着樹脂として使用することが提案されている。このポリ乳酸は植物資源を原料とするポリマーとして汎用で入手しやすく、乳酸モノマーの脱水縮合、もしくは乳酸環状ラクチドの開環重合によって合成される(特許文献2及び3参照)。しかし、ポリ乳酸をそのままトナーに用いると、ポリエステル樹脂に比べてエステル基濃度が高く、エステル結合を介する分子鎖が炭素原子(N=1)のみであることから、トナーに必要な物性をポリ乳酸のみで達成することは困難である。
この点を解決するため、(1)ポリ乳酸とそれ以外の第2の樹脂を混合すること、又は(2)ポリ乳酸を共重合化することにより、トナーに必要な物性、及び熱特性を確保することが考えられる。熱特性を改良するため、例えば、特許文献4では、ポリ乳酸系樹脂に低分子量成分として、テルペンフェノール共重合体を含有することが提案されている。しかし、この提案は、低温定着性とホットフセット性を同時に満足するものでなく、実用化するには至っていない。また、ポリ乳酸系樹脂は、トナーに汎用に用いられるポリエステル樹脂及びスチレン−アクリル共重合体との相溶性や分散性が極めて悪く、他の樹脂を併用した場合には保存性、帯電性、流動性といったトナーの重要な特性を担う最表面の組成を制御することが非常に困難になる。
一方、共重合化によって前記課題の解決を試みた例としては、ポリ乳酸のD/L比率を規定したポリ乳酸骨格以外のポリエステル樹脂とのブロック共重合樹脂が提案されている(特許文献5参照)。電子写真方式の画像形成装置における消費電力の約半分以上は、熱定着方式においてトナーを加熱することに消費されているため、低消費電力の定着装置だけでなく、低温定着できるトナーへの市場要求は近年更に高まっている。この要求に対して、前記特許文献5のトナーでは満足できる特性が得られず、植物資源を原料とするポリマーといえども、更に低温定着性への改善が望まれている。
また、トナー特性において低温定着性と耐熱保存性は二律背反の関係にあり、低温定着性を達成するために熱特性を下げると、それに伴って耐熱保存性が悪化してしまうという問題がある。例えば、特許文献6では、トナーの結着樹脂として低分子量ポリエステル樹脂と併用して、プレポリマーを伸長させた高分子量ポリエステル樹脂を用いている。低分子量ポリエステル樹脂が低温定着性に寄与し、高分子量ポリエステル樹脂が耐ホットオフセット性、耐熱保存性に寄与すると考えられるが、実際は高分子量ポリエステルがトナーの紙への定着を阻害してしまい、充分な低温定着性が得られていない。このようにトナーの結着樹脂として低分子量樹脂と高分子量樹脂を単に併用しただけではトナーの低温定着性と耐熱保存性を両立させることは困難である。
また、低温定着性を達成するために熱特性を下げることは、耐熱保存性の悪化だけではなく、樹脂硬度の低下にも繋がると考えられる。樹脂硬度が低下すると、静置状態の長期保存時だけでなく、連続印刷時などにおいては印刷機内部での機械的な負荷として攪拌、圧縮などの力学的な負荷がトナーに加わるため、画質に影響を及ぼす。
したがって、低温定着性及び耐熱保存性に優れ、連続印刷時にトナー性能の低下が少ない、ポリ乳酸骨格を有する結着樹脂を用いたトナー及びその関連技術は、未だ得られておらず更なる改良、開発が望まれているのが現状である。
本発明は、従来における前記諸問題を解決し、以下の目的を達成することを課題とする。即ち、本発明は、低温定着性、及び耐熱保存性に優れ、連続印刷時にトナー飛散及び地汚れの生じない高画質画像が得られるトナーを提供することを目的とする。
前記課題を解決するための手段としては、以下の通りである。即ち、
本発明のトナーは、少なくとも結着樹脂及び着色剤を含有してなり、
前記結着樹脂が、昇温速度5℃/分での示差走査熱量測定におけるガラス転移温度Tg1及びTg2の2つを有し、前記ガラス転移温度Tg1が−20℃〜20℃であり、前記ガラス転移温度Tg2が35℃〜65℃であり、
前記結着樹脂がポリエステル骨格と、末端に含環骨格分子とを有し、かつヒドロキシカルボン酸が脱水縮合された構成単位を繰返し構造に有するポリエステル骨格Aと、ヒドロキシカルボン酸が脱水縮合された構成単位を繰り返し構造に含まない骨格Bとをブロック共重合させてなることを特徴とする。
本発明によると、従来における前記諸問題を解決し、前記目的を達成することができ、低温定着性、及び耐熱保存性に優れ、連続印刷時にトナー飛散及び地汚れの生じない高画質画像が得られるトナーを提供することができる。
図1は、本発明に用いられる結着樹脂の2nd Heatingのサーモグラムと、そのときのTg1、Tg2、h1、及びh2を示すグラフである。 図2は、本発明に用いられる結着樹脂のタッピングモードAFMによる位相像である。 図3は、図2の位相像中の位相差の最大値と位相差の最小値の中間値を境界として二値化処理をした二値化像である。 図4は、本発明に用いられるプロセスカートリッジの一例を示す概略説明図である。 図5は、本発明の画像形成装置一の例を示す概略説明図である。 図6は、本発明の画像形成装置の他の一例を示す概略説明図である。 図7は、本発明のタンデム型カラー画像形成装置の一例を示す概略説明図である。 図8は、図7に示す画像形成装置における一部拡大概略説明図である。
(トナー)
本発明のトナーは、少なくとも結着樹脂及び着色剤を含有してなり、更に必要に応じてその他の成分を含有してなる。
<結着樹脂>
前記結着樹脂は、昇温速度5℃/分での示差走査熱量測定におけるガラス転移温度Tg1及びTg2の2つを有し、前記ガラス転移温度Tg1が−20℃〜20℃であり、前記ガラス転移温度Tg2が35℃〜65℃であり、
前記結着樹脂は、ポリエステル骨格と、末端に含環骨格分子とを有し、かつヒドロキシカルボン酸が脱水縮合された構成単位を繰返し構造に有するポリエステル骨格Aと、ヒドロキシカルボン酸が脱水縮合された構成単位を繰り返し構造に含まない骨格Bとをブロック共重合させてなる。
前記結着樹脂は、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、ガラス転移温度Tg1におけるベースライン間の熱流量の差h1と、ガラス転移温度Tg2におけるベースライン間の熱流量の差h2との比h1/h2が1.0未満であることが好ましい。
タッピングモード原子間力顕微鏡によって観察される結着樹脂の位相像を、該位相像における位相差の最大値と最小値との中間の境界値で二値化処理した二値化像において、前記境界値より位相差が大きい部位からなる第1の位相差像と、前記境界値より位相差が小さい部位からなる第2の位相差像とを有し、
前記第1の位相差像が前記第2の位相差像中に分散されてなり、前記第1の位相差像の平均径が100nm未満であることが好ましい。
加熱によって被定着体へトナーを定着させるためには、その設定温度で結着樹脂が接着しうる状態を発現させる必要がある。このためにはアモルファスである結着樹脂は少なくともガラス状態からゴム状態へ転移し、一定の流動性や粘着性を発現させないといけない。しかし、より低い温度で定着させるためには結着樹脂のガラス転移温度は実使用温度よりも低くせざるを得ず、保管中にトナー粒子が融着するブロッキングが起こりやすかった。この反面、実使用温度域におけるブロッキングを防ぐためには少なくとも前記実使用温度以上のガラス転移温度にする必要があり、低温定着性とはトレードオフの関係にならざるを得なかった。
本発明においては、前記結着樹脂を、トナーの低温定着性を発現しうる位相差の大きい像として現れる構造(低Tgのユニット;第1の位相差像)を、トナーの耐熱保存性に有効に働く位相差の小さい像として現れる構造(高Tgユニット;第2の位相差像)の相中に微細な構造を持って分散させる構造とすることで、前記低温定着性と耐熱保存性のトレードオフの関係を解消できる。
前記分散状態を実現しうる結着樹脂の構造としては、ポリエステル骨格と、末端に含環骨格分子とを有し、かつヒドロキシカルボン酸が脱水縮合された構成単位を繰返し構造に有するポリエステル骨格Aと、ヒドロキシカルボン酸が脱水縮合された構成単位を繰り返し構造に含まない骨格Bとを、ブロック共重合させてなる構造が、微細でかつ明確な位相差の大きい像として現れる構造の分散相を得る上で有効である。
<<ヒドロキシカルボン酸が脱水縮合された構成単位を繰返し構造に有するポリエステル骨格A>>
前記ヒドロキシカルボン酸が脱水縮合された構成単位を繰返し構造に有するポリエステル骨格Aは、ヒドロキシカルボン酸が(共)重合した骨格(「ポリヒドロキシカルボン酸骨格」と称することもある)のことをいう。前記ポリエステル骨格Aを形成する方法としては、例えば、(1)ヒドロキシカルボン酸を直接脱水縮合する方法、(2)対応する環状エステルを開環重合する方法などが挙げられる。これらの中でも、重合されるポリヒドロキシカルボン酸の分子量を大きくするという観点から、環状エステルを開環重合する方法が特に好ましい。
前記ポリエステル骨格Aの原料となるモノマーとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、トナーの透明性と熱特性の観点から、脂肪族ヒドロキシカルボン酸が好ましく、炭素数2〜6のヒドロキシカルボン酸がより好ましい。
前記炭素数2〜6のヒドロキシカルボン酸としては、例えば、乳酸、グリコール酸、3−ヒドロキシ酪酸、4−ヒドロキシ酪酸などが挙げられる。これらの中でも、適切なガラス転移温度を示し、樹脂の透明性、着色剤との親和性の観点から、乳酸が特に好ましい。
前記ポリエステル骨格Aの原料としては、前記ヒドロキシカルボン酸以外に、ヒドロキシカルボン酸の環状エステルを用いることも可能であり、その場合には重合して得られる樹脂のポリヒドロキシカルボン酸骨格は、環状エステルを構成するヒドロキシカルボン酸が重合した骨格となる。例えば、ラクチド(乳酸ラクチド)を用いて得られる樹脂のポリヒドロキシカルボン酸骨格は、乳酸が重合した骨格になる。
前記ヒドロキシカルボン酸が脱水縮合された構成単位を繰返し構造に有するポリエステル骨格Aは、ポリ乳酸骨格であることが好ましい。ポリ乳酸は、乳酸がエステル結合により結合したポリマーであり、近年、環境に優しい生分解性プラスティックとして注目を集めている。即ち、自然界には、エステル結合を切断する酵素(エステラーゼ)が広く分布していることから、ポリ乳酸は環境中でこのような酵素により徐々に分解されて、単量体である乳酸に変換され、最終的には二酸化炭素と水になる。
前記ポリ乳酸の製造方法は、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、(1)原料となるとうもろこし等の澱粉を発酵し、乳酸を得た後、乳酸モノマーから直接脱水縮合する方法、(2)乳酸から環状二量体ラクチドを経て、触媒の存在下で開環重合によって合成する方法などが挙げられる。これらの中でも、分子量の制御を開始剤量で制御できること、及び反応を短時間で完結できることなど、生産性の観点から開環重合法が好ましい。
前記開始剤としては、特に制限はなく、100℃、20mmHg以下の減圧乾燥や200℃程度の重合加熱を行っても揮散しないアルコール成分であれば、官能基数を問わず従来公知のいずれをも使用することができる。
前記ヒドロキシカルボン酸が脱水縮合された構成単位を繰返し構造に有するポリヒドロキシカルボン酸は、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、下記数式1で表される、モノマー成分換算での光学純度X(%)は、80%以下が好ましい。前記光学純度Xが80%を超えると、結晶性が高くなり、低温で溶融し難いため、低温定着性が低下することがある。
<数式1>
X(%)=|X(L体)−X(D体)|
ただし、前記数式1中、X(L体)は、乳酸モノマー換算でのL体比率(%)、X(D体)は、乳酸モノマー換算でのD体比率(%)を表す。
ここで、前記光学純度X(%)の測定方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ポリエステル骨格を有する高分子乃至トナーを純水と1Nの水酸化ナトリウム及びイソプロピルアルコールの混合溶媒に添加し、70℃で加熱攪拌して加水分解する。次いで、ろ過して液中の固形分を除去した後硫酸を加えて中和して、ポリエステル樹脂から分解されたL−乳酸及び/又はD−乳酸を含有する水性溶液を得る。該水性溶液を、キラル配位子交換型のカラム(SUMICHIRAL OA−5000、株式会社住化分析センター製)を用いた高速液体クロマトグラフ(HPLC)で測定し、L−乳酸由来のピーク面積S(L)とD−乳酸由来のピーク面積S(D)を算出する。前記ピーク面積から光学純度Xを、次のようにして求めることができる。
X(L体)%=100×S(L)/(S(L)+S(D))
X(D体)%=100×S(D)/(S(L)+S(D))
光学純度X%=|X(L体)−X(D体)|
なお、当然のことながら、原料で用いているL体、D体は光学異性体であり、光学異性体は、光学特性以外の物理的性質及び化学的性質は同じであるため、重合に用いた場合その反応性は等しく、モノマーの成分比と重合体におけるモノマーの成分比は同じとなる。
前記光学純度が80%以下であると、溶剤溶解性、樹脂の透明性が向上するため好ましい。
ポリヒドロキシカルボン酸骨格を形成するモノマーのX(D体)、X(L体)は、ポリヒドロキシカルボン酸骨格を形成する際に用いたモノマーのD体、L体の比率と等しくなる。したがって、結着樹脂のポリヒドロキシカルボン酸骨格のモノマー成分換算での光学純度X(%)を制御するにはモノマーとしてL体とD体のモノマーを適量併用しラセミ体を得ることで達成できる。
前記結着樹脂における前記ポリエステル骨格Aの質量比率は、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、50質量%以上75質量%以下が好ましく、60質量%以上75質量%以下がより好ましい。
<<ヒドロキシカルボン酸が脱水縮合された構成単位を繰り返し構造に含まない骨格B>>
前記ヒドロキシカルボン酸が脱水縮合された構成単位を繰り返し構造に含まない骨格Bとしては、少なくとも20℃以下のガラス転移温度を有することが重要である。
これによって結着樹脂のガラス転移温度Tg1を20℃以下にすることができ、ポリエステル骨格Aを主成分とする外相に骨格Bを主成分とする内相が分散した構造をとることができる。更に、前記ヒドロキシカルボン酸が脱水縮合された構成単位を繰り返し構造に含まない骨格Bは、少なくとも2つのヒドロキシル基を有する化合物から形成され、例えば、前記化合物を開始剤としてラクチドを開環重合して前記結着樹脂とすることができる。前記骨格Bを形成するために、このような2つ以上のヒドロキシル基を有する化合物を用いることで、着色剤との親和性を向上させる効果を示すとともに、両末端にポリエステル骨格A由来の高Tgユニットを配置することで、前述のような骨格B由来の低Tgユニットが内部に分散しやすい結着樹脂の骨格を構築することができる。
前記骨格Bとしては、ヒドロキシカルボン酸が脱水縮合された構成単位を繰り返し構造に含まなければ特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ポリエーテル、ポリカーボネート、ポリエステル、ヒドロキシル基を有するビニル樹脂、末端にヒドロキシル基を有するシリコーン樹脂などが挙げられる。これらの中でも、着色剤との親和性の観点からポリエステル骨格が特に好ましい。
前記骨格Bを構成するポリエステル骨格としては、下記一般式(1)で表される少なくとも1種のポリオールと、下記一般式(2)で表される少なくとも1種のポリカルボン酸とをポリエステル化したものとを開環付加重合することで得ることができる。
A−(OH) ・・・ 一般式(1)
ただし、前記一般式(1)中、Aは炭素数1〜20のアルキル基、炭素数1〜20のアルキレン基、置換基を有していてもよい芳香族基又はヘテロ環芳香族基を表す。mは2〜4の整数を表す。
B−(COOH) ・・・ 一般式(2)
ただし、前記一般式(2)式中、Bは炭素数1〜20のアルキル基、炭素数1〜20のアルキレン基、置換基を有していてもよい芳香族基又はヘテロ環芳香族基を表す。nは2〜4の整数を表す。
前記一般式(1)で表されるポリオールとしては、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、1,2−プロピレングリコール、1,3−プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、1,4−ブテンジオール、1,5−ペンタンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、ジプロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコール、ソルビトール、1,2,3,6−ヘキサンテトロール、1,4−ソルビタン、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール、トリペンタエリスリトール、1,2,4−ブタントリオール、1,2,5−ペンタントリオール、グリセロール、2−メチルプロパントリオール、2−メチル−1,2,4−ブタントリオール、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、1,3,5−トリヒドロキシメチルベンゼン、ビスフェノールA、ビスフェノールA酸化エチレン付加物、ビスフェノールA酸化プロピレン付加物、水素化ビスフェノールA、水素化ビスフェノールA酸化エチレン付加物、水素化ビスフェノールA酸化プロピレン付加物、などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記一般式(2)で表されるポリカルボン酸としては、例えば、マレイン酸、フマル酸、シトラコン酸、イタコン酸、グルタコン酸、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、コハク酸、アジピン酸、セバチン酸、アゼライン酸、マロン酸、n−ドデセニルコハク酸、イソオクチルコハク酸、イソドデセニルコハク酸、n−ドデシルコハク酸、イソドデシルコハク酸、n−オクテニルコハク酸、n−オクチルコハク酸、イソオクテニルコハク酸、イソオクチルコハク酸、1,2,4−ベンゼントリカルボン酸、2,5,7−ナフタレントリカルボン酸、1,2,4−ナフタレントリカルボン酸、1,2,4−ブタントリカルボン酸、1,2,5−ヘキサントリカルボン酸、1,3−ジカルボキシル−2−メチル−2−メチレンカルボキシプロパン、1,2,4−シクロヘキサントリカルボン酸、テトラ(メチレンカルボキシル)メタン、1,2,7,8−オクタンテトラカルボン酸、ピロメリット酸、エンポール三量体酸、シクロヘキサンジカルボン酸、シクロヘキセンジカルボン酸、ブタンテトラカルボン酸、ジフェニルスルホンテトラカルボン酸、トリメリット酸、などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記骨格Bを構成するポリエステル骨格のうち、酸成分として三価以上の多価カルボン酸が1.5mol%以上含有することが好ましい。前記三価以上の多価カルボン酸としてはトリメリット酸が好ましい。前記三価以上の多価カルボン酸を導入することで適度な分岐乃至架橋構造を付与することが可能であり、分岐構造によって実質的な分子鎖を短くすることができる。これによって内相に分散する骨格Bの平均径を小さく制御することが可能となり、タッピングモード原子間力顕微鏡(AFM)によって観察される位相差の大きい像(第1の位相差像)として現れる構造の分散相における平均径を小さく制御することが可能となる。前記三価以上の多価カルボン酸の含有量が、1.5mol%未満であると、分岐が不十分となり、前記第1の位相差像の平均径が必要以上に大きくなりやすく、前記位相差の大きい像として現れる構造の分散相における平均径が大きくなりやすくなり、耐熱保存性に悪影響を及ぼす場合がある。また、前記三価以上の多価カルボン酸の含有量の上限は3mol%であることが好ましい。前記含有量が、3mol%を超えると、分岐乃至架橋構造が複雑化することで樹脂の分子量が増大したり、溶剤溶解性が悪化することがある。
前記骨格Bとしては、特定の数平均分子量と質量比率であることが好ましく、前記結着樹脂における骨格Bの質量比率は、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、25質量%以上50質量%以下が好ましく、25質量%以上40質量%以下がより好ましい。
前記骨格Bの数平均分子量Mn(B)は、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、3,000以上5,000以下が好ましく、3,000以上4,000以下がより好ましい。
前記数平均分子量は、例えば、GPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー)により測定することができる。
前記質量比率が25%未満であったり、前記骨格Bの数平均分子量Mnが3,000未満であると、前記位相差が大きな像(第1の位相差像)の平均径が小さくなりすぎて、ガラス転移温度が2箇所に確認され難くなり、所望の低温定着性が得られないことがある。一方、前記質量比率が50質量%を超えたり、前記骨格Bの数平均分子量が5,000を超えると、前記位相差が大きな像(第1の位相差像)の平均径が大きくなりすぎて長期保存に伴うトナー同士のブロッキングが発生しやすくなる。
<<含環骨格分子>>
前記含環骨格分子としては、環構造を含み、単官能性であれば特に制限なく、目的に応じて適宜選択することができる。
前記含環骨格分子とは、前記ポリエステル骨格A、又は後述する連結成分と反応する前の化合物を意味する。また、前記含環骨格分子が単官能性であるとは、前記ポリエステル骨格A、又は後述する連結成分との反応性を有する官能基を1つのみ有していることをいう。
前記環構造としては、例えば、単環脂肪族環構造、単環芳香族環構造、単環複素環構造、2以上の環構造を含む多環構造などが挙げられる。これらの環構造は、置換基により置換されていてもよく、前記置換基としては、例えば、水酸基、アミノ基、アルキル基、ハロゲン原子、シアノ基などが挙げられる。これらの中でも、多環構造、置換基を有する多環構造が特に好ましい。
前記単環脂肪族環構造としては、例えば、シクロペンタン、シクロへキサンなどが挙げられる。前記単環芳香族環構造としては、例えば、ベンゼン、トルエン、キシレンなどが挙げられる。前記単環複素環構造としては、例えば、ピリジン、フラン、チオフェンなどが挙げられる。
前記多環構造としては、例えば、ナフタレン、アントラセン等の多環芳香族化合物;キノリン、ベンゾフラン、アクリジン等の多環芳香族ヘテロ環化合物;デヒドロアビエチン酸骨格、ステロイド骨格などが挙げられる。これらの中でも、天然物由来である観点から、ステロイド骨格の一種であるコレステロールが特に好ましい。
前記結着樹脂は、前記含環骨格分子を末端に有している。
前記含環骨格分子を結着樹脂の末端に導入する方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、後述する結着樹脂の合成方法などが挙げられる。
前記結着樹脂の末端に含環骨格分子を有していることは、例えば、結着樹脂の核磁気共鳴(NMR)を測定することで芳香環に結合したプロトンピークのシグナルの有無により確認することができる。
本発明においては、前記ヒドロキシカルボン酸が脱水縮合された構成単位を繰返し構造に有するポリエステル骨格Aと、前記ヒドロキシカルボン酸が脱水縮合された構成単位を繰り返し構造に含まない骨格Bとをブロック共重合させて結着樹脂を合成する。
前記結着樹脂の合成方法としては、例えば、(1)含環骨格分子を開始剤として使用してポリエステル骨格Aとなる前駆体を合成したのち、前記前駆体と、ヒドロキシカルボン酸が脱水縮合された構成単位を繰り返し構造に含まない骨格Bを形成するための化合物とを反応させる手法、(2)ヒドロキシカルボン酸が脱水縮合された構成単位を繰り返し構造に含まない骨格Bを形成するための化合物を開始剤として使用し、ラクチドを開環重合する又は後述する連結成分を介して得られたヒドロキシカルボン酸の(共)重合体と、前記骨格Bを形成するための化合物を反応させたのち、更に、含環骨格分子を反応させる手法などが挙げられる。
−連結成分−
前記連結成分としては、例えば、イソシアネート系化合物、ジグリシジルエーテル系化合物、酸無水物系化合物、脂肪族カルボン酸又はその酸クロライド、などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記イソシアネート系化合物としては、例えば、トリレンジイソシアネート、トリジンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、ナフチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、リジンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、メチレンビスシクロヘキシルジイソシアネート、などが挙げられる。
前記ジグリシジルエーテル系化合物としては、例えば、レゾルシノールジグリシジルエーテル、ネオペンチルグリコールジグリシジルエーテル、ヘキサンジオールジグリシジルエーテル、水素添加ビスフェノールAジグリシジルエーテル、ジグリシジルテレフタル酸、ジグリシジルイソフタル酸、エチレングリコールジグリシジルエーテル、ジエチレングリコールジグリシジルエーテル、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル、ポリプロピレングリコールジグリシジルエーテル、などが挙げられる。
前記酸無水物系化合物としては、例えば、ナフタレンテトラカルボン酸無水物、ジオキソテトラヒドロフラニルメチルシクロヘキセンジカルボン酸無水物、無水ピロメリット酸、オキシジフタル酸無水物、ビフェニルテトラカルボン酸無水物、ベンゾフェノンテトラカルボン酸無水物、ジフェニルスルホンテトラカルボン酸無水物、テトラフルオロイソプロピリデンジフタル酸無水物、ターフェニルテトラカルボン酸無水物、シクロブタンテトラカルボン酸無水物、カルボキシメチルシクロペンタントリカルボン酸無水物、などが挙げられる。
前記脂肪族カルボン酸又はその酸クロライドとしては、例えば、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、シクロヘキサンジカルボン酸、又はこれらの酸クロライド、などが挙げられる。
前記連結成分がイソシアネート系化合物の場合には、イソシアネート基がポリヒドロキシカルボン酸骨格のヒドロキシ基と反応してウレタン結合を形成するため好ましい。これらの中でも、反応性が高く、取り扱いが容易である点から、ジイソシアネートがより好ましく、反応性が高く、ガラス転移温度(Tg)の低下を防ぐ効果が高い観点から、芳香族系ジイソシアネートが特に好ましく、イソホロンジイソシアネート(略称:IPDI)が反応性、安全性の面から最も好ましい。
本発明においては、各種重合反応を促進するために、アミン化合物、スズ化合物、チタン化合物等のエステル化触媒、ウレタン化触媒を使用してもよい。ただし、ウレタン化触媒は、樹脂中では分解触媒としても作用するおそれがあるので、全く使用しないか使用量を減らすことが好ましい。
なお、樹脂重合過程、及び/又は、重合後に、必要に応じて公知の熱安定剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、難燃剤、非反応性加水分解防止剤、耐光性改良剤、ワックス、滑剤、帯電制御剤、有機可塑剤、他の生分解性熱可塑性樹脂、その他に、着色剤、艶消し剤などの各種添加剤を適宜加えてもよい。
前記結着樹脂の数平均分子量Mnは、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、20,000以下が好ましく、8,000〜15,000がより好ましい。前記数平均分子量が、20,000を超えると、定着性が損なわれると共に、溶剤への溶解性も低下することがある。
前記結着樹脂の重量平均分子量は、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、8,000〜40,000が好ましい。
前記数平均分子量及び重量平均分子量は、例えば、GPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー)により測定することができる。
<<結着樹脂のガラス転移温度>>
前記結着樹脂のガラス転移温度は、示差走査熱量計(DSC)の吸熱チャートから求めることができる。前記示差走査熱量計としては、例えば、TAインスツルメンツ社製、Q2000などが挙げられる。
前記結着樹脂のガラス転移温度は、前記結着樹脂5mg〜10mgをアルミニウム製の簡易密閉パンに充填したものを以下の測定フローに供することで求めることができる。
1st Heating:30℃〜220℃、5℃/min.、220℃到達後1分間保持
冷却:温度制御なしで−60℃までクエンチ、−60℃到達後1分間保持
2nd Heating:−60℃〜180℃、5℃/min.
前記結着樹脂のガラス転移温度は、2nd HeatingのサーモグラムにおいてASTM D3418/82で定義されるミッドポイント法を採用して値を読み取り、ガラス転移温度とする。このとき、観察される低温側のガラス転移温度をTg1、高温側のガラス転移温度をTg2と定義する。なお、ガラス転移温度の特定には、一次微分を行ったDrDSCチャートを併記することで変曲点を求めて判断することが好ましい。
前記2nd Heatingのサーモグラムにおけるガラス転移温度Tg1におけるベースライン間の熱流量の差をh1と、ガラス転移温度Tg2におけるベースライン間の熱流量の差をh2と定義し、これらの差h1、h2は、各ガラス転移温度における低温側のオンセットポイントと高温側のエンドセットポイントの差から求めることができる。
前記オンセットポイント及びエンドセットポイントは、例えば、JIS K 7121、ASTM 3418などに準じた方法により求めることができる。
ここで、本発明における代表的な結着樹脂の2nd Heatingのサーモグラムと、そのときのTg1、Tg2、h1、及びh2の定義を図1に示した。
−ガラス転移温度Tg1及びTg2−
前記結着樹脂の低温側のガラス転移温度Tg1は、−20℃〜20℃である。前記Tg1が、−20℃より低いと、保管時のトナーブロッキング性が悪化することがあり、20℃を超えると、外側で保護する高Tg部位との熱特性差が小さくなり、低温定着性が損なわれることがある。
前記結着樹脂の高温側のガラス転移温度Tg2は、35℃〜65℃であり、45℃〜60℃が好ましい。前記Tg2が、35℃より低いと、低温定着性に優れる低Tg部位に対する保護機能が作用せず、トナーブロッキングが発生することがあり、65℃を超えると、内包された低Tgユニットの定着時の染み出しを阻害することで定着性能が大きく悪化することがある。
−ベースラインの差h1及びh2の比h1/h2−
前記結着樹脂は、ガラス転移温度Tg1におけるベースライン間の差h1と、ガラス転移温度Tg2におけるベースライン間の差h2との比h1/h2は、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、1.0未満が好ましい。前記のような低Tgのユニットが分散された構造においては、Tg1、Tg2が必ずしも骨格B、及びポリエステル骨格Aのそれぞれのガラス転移温度に対応するわけではなく、部分相溶や微細な(ミクロ)相分離構造をとることによって結着樹脂内部のモルフォロジーが決定される。その際に観察されるガラス転移温度は骨格B及びポリエステル骨格Aのそれぞれのガラス転移温度の間に2箇所現れる。また、そのときのベースラインの比h1/h2も前記理由によって仕込みの質量比で必ずしも決定されるものではない。前記ベースライン比h1/h2は、最終的に生成した結着樹脂における低Tgユニットと高Tgユニットとの実質的な比を表すものであり、その比h1/h2が1.0未満であることが好ましい。前記比h1/h2が、1.0以上になると、低Tgユニットの比率が多くなることで、トナーのブロッキング性が悪化したり、極端な例だと低Tgユニットの相中に高Tgユニットが分散するような、相分離構造の逆転が引き起こされることがある。
<<原子間力顕微鏡(AFM)によるタッピングモードによる位相像>>
前記トナーにおいて、前記結着樹脂は、低温定着性に優れるTg1を有するユニットが保存性に優れるTg2を有するユニットによって微細に分散され制御された構造を有することが特徴であり、その分散状態は原子間力顕微鏡(AFM)によるタッピングモードによる位相差像によって確認される。
原子間力顕微鏡におけるタッピングモードとは、Surface Science Letters,290,668(1993)に記載されている方法であり、該タッピングモードでは、例えば、Polymer,35,5778(1994)、Macromolecules,28,6773(1995)等に説明が記載されているように、カンチレバーを振動させながら、試料表面の形状を測定する。このとき、試料表面の粘弾性的性質により、カンチレバーを振動元であるドライブと、実際の振動との間に位相差が生じる。この位相差をマッピングしたものが位相像である。軟質部分は位相の遅れが大きく、硬質部分は位相の遅れが小さく観察される。
前記結着樹脂の低いTgを有するユニットはより軟質、即ち、位相差が大きくなり、高いTgを有するユニットは硬質であり位相差が小さい像(第2の位相差像)として観察される。このとき、硬質である低位相差の像が外相であり、軟質である高位相差の像(第1の位相差像)が内相で微分散された構造であることが好ましい。言い換えれば、タッピングモード原子間力顕微鏡によって観察される結着樹脂の位相像を、該位相像における位相差の最大値と最小値との中間の境界値で二値化処理した二値化像において、前記境界値より位相差が大きい部位からなる第1の位相差像と、前記境界値より位相差が小さい部位からなる第2の位相差像とを有し、前記第1の位相差像が前記第2の位相差像中に分散されてなることが好ましい。
より具体的には、前記位相像において、位相差の小さい部位を濃色、位相差の大きい部位を淡色のコントラストとなるよう撮影し、その後位相差像中の位相差の最大値と位相差の最小値の中間値を境界とした二値化処理を行った二値化画像(白黒画像)において、白色部位である第1の位相差像が黒色となる第2の位相差像中に分散されてなることが好ましい。
前記位相像を得るためのサンプルとしては、例えば、ウルトラミクロトーム(ULTRACUT UCT、ライカ社製)を用いて以下の条件で結着樹脂のブロックを切断して切片を出したものを用いることで観察できる。
・切削厚み:60nm
・切削速度:0.4mm/sec
・ダイヤモンドナイフ(Ultra Sonic 35°)使用
前記AFM位相像を得るための代表的な装置としては、例えば、アサイラムテクノロジー社製のMFP−3Dにて、カンチレバーとしてOMCL−AC240TS−C3を用いて以下の測定条件にて観察することができる。
・target amplitude:0.5V
・target percent:−5%
・amplitude setpoint:315mV
・scan rate:1Hz
・scan points:256×256
・scan angle:0°
−第1の位相差像の平均径−
前記第1の位相差像(即ち、軟質、低Tgユニット)の径は、前記位相像中、径の大きいものから順に30点選んだ第1の位相差像の最大フェレ径の平均値を平均径と定義する。ただし、明らかに画像ノイズとして判断される、乃至画像ノイズか位相差像かの判別が難しい微小径画像については、平均径の算出からは除外する。具体的には、観測された位相像中、最大径をもつ第1の位相差像に対し、同一画像上に存在する面積比100分の1以下の第1の位相差像は平均径の計算には使用しないものとする。
前記最大フェレ径とは、位相差像を2本の平行線で挟んだ際に、最大となる平行線間距離のことである。
前記平均径の具体的な測定方法としては、タッピングモードAFMにより得られた位相像の二値化像を作成して行うことができる。
前記二値化像は、上述したように、位相差の小さい部位を濃色、位相差の大きい部位を淡色のコントラストとなるよう位相像を撮影し、その後、位相像中の位相差の最大値と位相差の最小値との中間値を境界とした二値化処理を行うことで得られる。
前記第1の位相差像(即ち、軟質、低Tgユニット)の平均径は、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、100nm未満であることが好ましい。
前記平均径は、100nm未満が好ましく、20nm以上がより好ましく、30nm以上70nm以下が更に好ましい。前記平均径が、100nm以上になると、保管時にトナーブロッキングが生じやすくなりやすく、20nm未満であると、低温定着性が悪化する場合がある。
ここで、図2に本発明における代表的な結着樹脂の位相像を示した。図2中、明るい領域は位相差が大きな像(第1の位相差像)であり、暗い領域は位相差が小さな像(第2の位相差像)に相当する。また、図2の位相像中の位相差の最大値と位相差の最小値の中間値を境界として二値化処理をした、二値化像を図3に示す。
<着色剤>
前記着色剤としては、特に制限はなく、公知の染料及び顔料の中から目的に応じて適宜選択することができ、例えば、カーボンブラック、ニグロシン染料、鉄黒、ナフトールイエローS、ハンザイエロー(10G、5G、G)、カドミュウムイエロー、黄色酸化鉄、黄土、黄鉛、チタン黄、ポリアゾイエロー、オイルイエロー、ハンザイエロー(GR、A、RN、R)、ピグメントイエローL、ベンジジンイエロー(G、GR)、パーマネントイエロー(NCG)、バルカンファストイエロー(5G、R)、タートラジンレーキ、キノリンイエローレーキ、アンスラザンイエローBGL、イソインドリノンイエロー、ベンガラ、鉛丹、鉛朱、カドミュウムレッド、カドミュウムマーキュリレッド、アンチモン朱、パーマネントレッド4R、パラレッド、ファイセーレッド、パラクロルオルトニトロアニリンレッド、リソールファストスカーレットG、ブリリアントファストスカーレット、ブリリアントカーンミンBS、パーマネントレッド(F2R、F4R、FRL、FRLL、F4RH)、ファストスカーレットVD、ベルカンファストルビンB、ブリリアントスカーレットG、リソールルビンGX、パーマネントレッドF5R、ブリリアントカーミン6B、ピグメントスカーレット3B、ボルドー5B、トルイジンマルーン、パーマネントボルドーF2K、ヘリオボルドーBL、ボルドー10B、ボンマルーンライト、ボンマルーンメジアム、エオシンレーキ、ローダミンレーキB、ローダミンレーキY、アリザリンレーキ、チオインジゴレッドB、チオインジゴマルーン、オイルレッド、キナクリドンレッド、ピラゾロンレッド、ポリアゾレッド、クロームバーミリオン、ベンジジンオレンジ、ペリノンオレンジ、オイルオンジ、コバルトブルー、セルリアンブルー、アルカリブルーレーキ、ピーコックブルーレーキ、ビクトリアブルーレーキ、無金属フタロシアニンブルー、フタロシアニンブルー、ファストスカイブルー、インダンスレンブルー(RS、BC)、インジゴ、群青、紺青、アントラキノンブルー、ファストバイオレットB、メチルバイオレットレーキ、コバルト紫、マンガン紫、ジオキサンバイオレット、アントラキノンバイオレット、クロムグリーン、ジンクグリーン、酸化クロム、ピリジアン、エメラルドグリーン、ピグメントグリーンB、ナフトールグリーンB、グリーンゴールド、アシッドグリーンレーキ、マラカイトグリーンレーキ、フタロシアニングリーン、アントラキノングリーン、酸化チタン、亜鉛華、リトボン、などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記着色剤の前記トナーにおける含有量は、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、1質量%〜15質量%が好ましく、3質量%〜10質量%がより好ましい。前記含有量が、1質量%未満であると、トナーの着色力の低下が見られ、15質量%を超えると、トナー中での顔料の分散不良が起こり、着色力の低下、及びトナーの電気特性の低下を招くことがある。
前記着色剤は、樹脂と複合化されたマスターバッチとして使用してもよい。該樹脂としては、特に制限はなく、目的に応じて公知のものの中から適宜選択することができ、例えば、ポリエステル、スチレン又はその置換体の重合体、スチレン系共重合体、ポリメチルメタクリレート、ポリブチルメタクリレート、ポリ塩化ビニル、ポリ酢酸ビニル、ポリエチレン、ポリプロピレン、エポキシ樹脂、エポキシポリオール樹脂、ポリウレタン、ポリアミド、ポリビニルブチラール、ポリアクリル酸樹脂、ロジン、変性ロジン、テルペン樹脂、脂肪族炭化水素樹脂、脂環族炭化水素樹脂、芳香族系石油樹脂、塩素化パラフィン、パラフィンワックス、などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記スチレン又はその置換体の重合体としては、例えば、ポリエステル樹脂、ポリスチレン、ポリp−クロロスチレン、ポリビニルトルエン、などが挙げられる。前記スチレン系共重合体としては、例えば、スチレン−p−クロロスチレン共重合体、スチレン−プロピレン共重合体、スチレン−ビニルトルエン共重合体、スチレン−ビニルナフタリン共重合体、スチレン−アクリル酸メチル共重合体、スチレン−アクリル酸エチル共重合体、スチレン−アクリル酸ブチル共重合体、スチレン−アクリル酸オクチル共重合体、スチレン−メタクリル酸メチル共重合体、スチレン−メタクリル酸エチル共重合体、スチレン−メタクリル酸ブチル共重合体、スチレン−α−クロルメタクリル酸メチル共重合体、スチレン−アクリロニトリル共重合体、スチレン−ビニルメチルケトン共重合体、スチレン−ブタジエン共重合体、スチレン−イソプレン共重合体、スチレン−アクリロニトリル−インデン共重合体、スチレン−マレイン酸共重合体、スチレン−マレイン酸エステル共重合体、などが挙げられる。
前記マスターバッチは、前記マスターバッチ用樹脂と、前記着色剤とを高せん断力をかけて混合又は混練させて製造することができる。この際、着色剤と樹脂の相互作用を高めるために、有機溶剤を添加することが好ましい。また、いわゆるフラッシング法も着色剤のウエットケーキをそのまま用いることができ、乾燥する必要がない点で好適である。このフラッシング法は、着色剤の水を含んだ水性ペーストを樹脂と有機溶剤とともに混合又は混練し、着色剤を樹脂側に移行させて水分及び有機溶剤成分を除去する方法である。前記混合又は混練には、例えば、三本ロールミル等の高せん断分散装置が好適に用いられる。
<その他の成分>
前記その他の成分としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、離型剤、帯電制御剤、無機微粒子、流動性向上剤、クリーニング性向上剤、磁性材料などが挙げられる。
−離型剤−
前記離型剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、融点が50℃〜120℃の低融点の離型剤が好ましい。前記低融点の離型剤は、前記樹脂と分散されることにより、離型剤として効果的に定着ローラとトナー界面との間で働き、これによりオイルレス(定着ローラにオイル等の離型剤を塗布しない)でもホットオフセット性が良好である。
前記離型剤としては、例えば、ロウ類、ワックス類等が好適なものとして挙げられる。
前記ロウ類及びワックス類としては、例えば、カルナウバワックス、綿ロウ、木ロウ、ライスワックス等の植物系ワックス;ミツロウ、ラノリン等の動物系ワックス;オゾケライト、セルシン等の鉱物系ワックス;パラフィン、マイクロクリスタリン、ペトロラタム等の石油ワックス;などの天然ワックスが挙げられる。また、これら天然ワックスの他、フィッシャー・トロプシュワックス、ポリエチレンワックス等の合成炭化水素ワックス;エステル、ケトン、エーテル等の合成ワックス;などが挙げられる。更に、12−ヒドロキシステアリン酸アミド、ステアリン酸アミド、無水フタル酸イミド、塩素化炭化水素等の脂肪酸アミド;低分子量の結晶性高分子樹脂である、ポリ−n−ステアリルメタクリレート、ポリ−n−ラウリルメタクリレート等のポリアクリレートのホモ重合体あるいは共重合体(例えば、n−ステアリルアクリレート−エチルメタクリレートの共重合体等);側鎖に長いアルキル基を有する結晶性高分子、などを用いてもよい。これらは1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
前記離型剤の融点としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、50℃〜120℃が好ましく、60℃〜90℃がより好ましい。前記融点が、50℃未満であると、ワックスが耐熱保存性に悪影響を与えることがあり、120℃を超えると、低温での定着時にコールドオフセットを起こし易いことがある。
前記離型剤の溶融粘度としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、前記離型剤の融点より20℃高い温度での測定値として、5cps〜1,000cpsが好ましく、10cps〜100cpsがより好ましい。前記溶融粘度が、5cps未満であると、離型性が低下することがあり、1,000cpsを超えると、耐ホットオフセット性、低温定着性への向上効果が得られなくなることがある。
前記離型剤の前記トナーにおける含有量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、40質量%以下が好ましく、3質量%〜30質量%がより好ましい。前記含有量が、40質量%を超えると、トナーの流動性が悪化することがある。
−帯電制御剤−
前記帯電制御剤としては、特に制限はなく、公知のもの中から目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ニグロシン系染料、トリフェニルメタン系染料、クロム含有金属錯体染料、モリブデン酸キレート顔料、ローダミン系染料、アルコキシ系アミン、4級アンモニウム塩(フッ素変性4級アンモニウム塩を含む)、アルキルアミド、燐の単体又はその化合物、タングステンの単体又はその化合物、フッ素系活性剤、サリチル酸の金属塩、サリチル酸誘導体の金属塩、など挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記帯電制御剤は、市販品を使用してもよく、該市販品としては、例えば、ニグロシン系染料のボントロン03、第四級アンモニウム塩のボントロンP−51、含金属アゾ染料のボントロンS−34、オキシナフトエ酸系金属錯体のE−82、サリチル酸系金属錯体のE−84、フェノール系縮合物のE−89(いずれも、オリエント化学工業株式会社製);第四級アンモニウム塩モリブデン錯体のTP−302、TP−415(いずれも、保土谷化学工業株式会社製);第四級アンモニウム塩のコピーチャージPSY VP2038、トリフェニルメタン誘導体のコピーブルーPR、第四級アンモニウム塩のコピーチャージ NEG VP2036、コピーチャージ NX VP434(いずれも、ヘキスト社製);LRA−901、ホウ素錯体であるLR−147(日本カーリット株式会社製);銅フタロシアニン、ペリレン、キナクリドン、アゾ系顔料、その他スルホン酸基、カルボキシル基、四級アンモニウム塩等の官能基を有する高分子系の化合物、などが挙げられる。
前記帯電制御剤の前記トナーにおける含有量としては、前記樹脂の種類、添加剤の有無、分散方法等により異なり、一概に規定することができないが、例えば、前記結着樹脂100質量部に対して、0.1質量部〜10質量部が好ましく、0.2質量部〜5質量部がより好ましい。前記含有量が、0.1質量部未満であると、帯電制御性が得られないことがあり、10質量部を超えると、トナーの帯電性が大きくなりすぎ、主帯電制御剤の効果を減退させて、現像ローラとの静電的吸引力が増大し、現像剤の流動性低下や画像濃度の低下を招くことがある。
−無機微粒子−
前記無機微粒子は、トナー粒子に流動性、現像性、帯電性等を付与するための外添剤として使用することができる。
前記無機微粒子としては、特に制限はなく、目的に応じて公知のものの中から適宜選択することができ、例えば、シリカ、アルミナ、酸化チタン、チタン酸バリウム、チタン酸マグネシウム、チタン酸カルシウム、チタン酸ストロンチウム、酸化亜鉛、酸化スズ、ケイ砂、クレー、雲母、ケイ灰石、ケイソウ土、酸化クロム、酸化セリウム、ペンガラ、三酸化アンチモン、酸化マグネシウム、酸化ジルコニウム、硫酸バリウム、炭酸バリウム、炭酸カルシウム、炭化ケイ素、窒化ケイ素、などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記無機微粒子の一次粒子径としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、5nm〜2μmが好ましく、5nm〜500nmがより好ましい。
前記無機微粒子の前記トナーにおける含有量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、0.01質量%〜5.0質量%が好ましく、0.01質量%〜2.0質量%がより好ましい。
−流動性向上剤−
前記流動性向上剤は、表面処理を行って、疎水性を上げ、高湿度下においても流動特性や帯電特性の悪化を防止可能なものを意味し、例えば、シランカップリング剤、シリル化剤、フッ化アルキル基を有するシランカップリング剤、有機チタネート系カップリング剤、アルミニウム系のカップリング剤、シリコーンオイル、変性シリコーンオイル、などが挙げられる。前記シリカ、前記酸化チタンは、このような流動性向上剤により表面処理行い、疎水性シリカ、疎水性酸化チタンとして使用するのが特に好ましい。
−クリーニング性向上剤−
前記クリーニング性向上剤は、感光体、一次転写媒体に残存する転写後の現像剤を除去するために前記トナーに添加され、例えば、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸等の脂肪酸金属塩、ポリメチルメタクリレート微粒子、ポリスチレン微粒子等のソープフリー乳化重合により製造されたポリマー微粒子、などが挙げられる。前記ポリマー微粒子の体積平均粒径は、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、0.01μm〜1μmが好ましい。
−磁性材料−
前記磁性材料としては、特に制限はなく、目的に応じて公知のものの中から適宜選択することができ、例えば、鉄粉、マグネタイト、フェライト、などが挙げられる。これらの中でも、色調の点で白色のものが好ましい。
<トナーの製造方法>
以下、本発明で用いられるトナーの製造方法について説明する。ここでは、好ましい製造方法について示すが、これに限るものではない。
前記トナー製造方法としては、トナー材料の溶解乃至分散液を水系媒体中に乳化乃至分散させて乳化乃至分散液を調製した後トナーを造粒することによるものが好ましく、以下の工程(1)〜(6)よりなることが好ましい。
(1)トナー材料の溶解乃至分散液の調製
前記トナー材料の溶解乃至分散液は前記トナー材料を有機溶剤に溶解乃至分散させてなる。
前記トナー材料としては、トナーを形成可能である限り特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。例えば、前記結着樹脂を少なくとも含み、更に必要に応じて、離型剤、着色剤、帯電制御剤等の前記その他の成分を含んでなる。
前記トナー材料の溶解乃至分散液は、前記トナー材料を前記有機溶剤に溶解乃至分散させて調製することで得られる。なお、前記有機溶剤は、トナーの造粒時乃至造粒後に除去される。
前記有機溶剤としては、前記トナー材料を溶解乃至分散可能な溶媒であれば特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、除去の容易性の点で沸点が150℃未満の揮発性のものが好ましく、例えば、トルエン、キシレン、ベンゼン、四塩化炭素、塩化メチレン、1,2−ジクロロエタン、1,1,2−トリクロロエタン、トリクロロエチレン、クロロホルム、モノクロロベンゼン、ジクロロエチリデン、酢酸メチル、酢酸エチル、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、エステル系溶剤が好ましく、酢酸エチルが特に好ましい。
前記有機溶剤の使用量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、前記トナー材料100質量部に対して、40質量部〜300質量部が好ましく、60質量部〜140質量部がより好ましく、80質量部〜120質量部が更に好ましい。
(2)水系媒体の調製
前記水系媒体としては、特に制限はなく、公知のものの中から適宜選択することができ、例えば、水、該水と混和可能な溶剤、これらの混合物、などが挙げられるが、これらの中でも、水が特に好ましい。
前記水と混和可能な溶剤としては、前記水と混和可能であれば特に制限はなく、例えば、アルコール、ジメチルホルムアミド、テトラヒドロフラン、セルソルブ類、低級ケトン類、などが挙げられる。
前記アルコールとしては、例えば、メタノール、イソプロパノール、エチレングリコール等が挙げられる。前記低級ケトン類としては、例えば、アセトン、メチルエチルケトン等が挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記水系媒体の調製は、例えば、樹脂微粒子を前記水系媒体に分散させることにより行うことができる。前記樹脂微粒子の該水系媒体中の添加量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、0.5質量%〜10質量%が好ましい。
前記樹脂微粒子としては、水系媒体中で水性分散液を形成しうる樹脂であれば特に制限はなく、公知の樹脂の中から目的に応じて適宜選択することができ、熱可塑性樹脂であってもよいし、熱硬化性樹脂でもよく、例えば、ビニル樹脂、ポリウレタン樹脂、エポキシ樹脂、ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂、ポリイミド樹脂、ケイ素樹脂、フェノール樹脂、メラミン樹脂、ユリア樹脂、アニリン樹脂、アイオノマー樹脂、ポリカーボネート樹脂、などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。これらの中でも微細な球状の樹脂粒子の水性分散液が得られ易い点で、ビニル樹脂、ポリウレタン樹脂、エポキシ樹脂及びポリエステル樹脂から選択される少なくとも1種で形成されていることが好ましい。
なお、前記ビニル樹脂は、ビニルモノマーを単独重合又は共重合したポリマーであり、例えば、スチレン−(メタ)アクリル酸エステル樹脂、スチレン−ブタジエン共重合体、(メタ)アクリル酸−アクリル酸エステル重合体、スチレン−アクリロニトリル共重合体、スチレン−無水マレイン酸共重合体、スチレン−(メタ)アクリル酸共重合体、などが挙げられる。
また、前記樹脂微粒子としては、少なくとも2つの不飽和基を有する単量体を含んでなる共重合体を用いることもできる。
前記少なくとも2つの不飽和基を持つ単量体としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、メタクリル酸エチレンオキサイド付加物硫酸エステルのナトリウム塩(「エレミノールRS−30」、三洋化成工業株式会社製)、ジビニルベンゼン、1,6−ヘキサンジオールアクリレート、などが挙げられる。
前記樹脂微粒子は、目的に応じて適宜選択した公知の方法に従って重合させることにより得ることができるが、該樹脂微粒子の水性分散液として得るのが好ましい。該樹脂微粒子の水性分散液の調製方法としては、例えば、(i)前記ビニル樹脂の場合、ビニルモノマーを出発原料として、懸濁重合法、乳化重合法、シード重合法及び分散重合法から選択されるいずれかの重合反応により、直接、樹脂微粒子の水性分散液を製造する方法、(ii)前記ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、エポキシ樹脂等の重付加乃至縮合系樹脂の場合、前駆体(モノマー、オリゴマー等)又はその溶剤溶液を適当な分散剤の存在下、水性媒体中に分散させた後、加熱、又は硬化剤を添加して硬化させて、樹脂微粒子の水性分散体を製造する方法、(iii)前記ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、エポキシ樹脂等の重付加乃至縮合系樹脂の場合、前駆体(モノマー、オリゴマー等)又はその溶剤溶液(液体であることが好ましい。加熱により液状化してもよい)中に適当な乳化剤を溶解させた後、水を加えて転相乳化する方法、(iv)予め重合反応(付加重合、開環重合、重付加、付加縮合、縮合重合等いずれの重合反応様式であってもよい)により調製した樹脂を機械回転式又はジェット式等の微粉砕機を用いて粉砕し、次いで、分級することによって樹脂微粒子を得た後、適当な分散剤存在下、水中に分散させる方法、(v)予め重合反応(付加重合、開環重合、重付加、付加縮合、縮合重合等いずれの重合反応様式であってもよい)により調製した樹脂を溶剤に溶解した樹脂溶液を霧状に噴霧することにより樹脂微粒子を得た後、該樹脂微粒子を適当な分散剤存在下、水中に分散させる方法、(vi)予め重合反応(付加重合、開環重合、重付加、付加縮合、縮合重合等いずれの重合反応様式であってもよい)により調製した樹脂を溶剤に溶解した樹脂溶液に貧溶剤を添加するか、又は予め溶剤に加熱溶解した樹脂溶液を冷却することにより樹脂微粒子を析出させ、次に溶剤を除去して樹脂粒子を得た後、該樹脂粒子を適当な分散剤存在下、水中に分散させる方法、(vii)予め重合反応(付加重合、開環重合、重付加、付加縮合、縮合重合等いずれの重合反応様式であってもよい)により調製した樹脂を溶剤に溶解した樹脂溶液を、適当な分散剤存在下、水性媒体中に分散させた後、加熱又は減圧等によって溶剤を除去する方法、(viii)予め重合反応(付加重合、開環重合、重付加、付加縮合、縮合重合等いずれの重合反応様式であってもよい)により調製した樹脂を溶剤に溶解した樹脂溶液中に適当な乳化剤を溶解させた後、水を加えて転相乳化する方法、などが好適な調製方法として挙げられる。
また、前記水系媒体においては、必要に応じて、後述の乳化乃至分散時における、前記溶解乃至分散液の油滴を安定化させ、所望の形状を得つつ粒度分布をシャープにする観点から、分散剤を用いることが好ましい。
前記分散剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、界面活性剤、難水溶性の無機化合物分散剤、高分子系保護コロイド、などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、界面活性剤が好ましい。
前記界面活性剤としては、例えば、陰イオン界面活性剤、陽イオン界面活性剤、非イオン界面活性剤、両性界面活性剤、などが挙げられる。
前記陰イオン界面活性剤としては、例えば、アルキルベンゼンスルホン酸塩、α−オレフィンスルホン酸塩、リン酸エステル、フルオロアルキル基を有するアニオン性界面活性剤等が挙げられ、フルオロアルキル基を有するものが好適に挙げられる。前記フルオロアルキル基を有するアニオン性界面活性剤としては、例えば、炭素数2〜10のフルオロアルキルカルボン酸又はその金属塩、パーフルオロオクタンスルホニルグルタミン酸ジナトリウム、3−[オメガ−フルオロアルキル(炭素数6〜11)オキシ]−1−アルキル(炭素数3〜4)スルホン酸ナトリウム、3−[オメガ−フルオロアルカノイル(炭素数6〜8)−N−エチルアミノ]−1−プロパンスルホン酸ナトリウム、フルオロアルキル(炭素数11〜20)カルボン酸又はその金属塩、パーフルオロアルキルカルボン酸(炭素数7〜13)又はその金属塩、パーフルオロアルキル(炭素数4〜12)スルホン酸又はその金属塩、パーフルオロオクタンスルホン酸ジエタノールアミド、N−プロピル−N−(2−ヒドロキシエチル)パーフルオロオクタンスルホンアミド、パーフルオロアルキル(炭素数6〜10)スルホンアミドプロピルトリメチルアンモニウム塩、パーフルオロアルキル(炭素数6〜10)−N−エチルスルホニルグリシン塩、モノパーフルオロアルキル(炭素数6〜16)エチルリン酸エステル等が挙げられる。該フルオロアルキル基を有する界面活性剤の市販品としては、例えば、サーフロンS−111、S−112、S−113(旭硝子株式会社製);フロラードFC−93、FC−95、FC−98、FC−129(住友3M株式会社製);ユニダインDS−101、DS−102(ダイキン工業株式会社製);メガファックF−110、F−120、F−113、F−191、F−812、F−833(DIC株式会社製);エクトップEF−102、103、104、105、112、123A、123B、306A、501、201、204(トーケムプロダクツ社製);フタージェントF−100、F150(ネオス社製)、などが挙げられる。
前記陽イオン界面活性剤としては、例えば、アミン塩型界面活性剤、四級アンモニウム塩型の陽イオン界面活性剤、フルオロアルキル基を有する陽イオン界面活性剤などが挙げられる。前記アミン塩型界面活性剤としては、例えば、アルキルアミン塩、アミノアルコール脂肪酸誘導体、ポリアミン脂肪酸誘導体、イミダゾリンなどが挙げられる。前記四級アンモニウム塩型の陽イオン界面活性剤としては、例えば、アルキルトリメチルアンモニム塩、ジアルキルジメチルアンモニウム塩、アルキルジメチルベンジルアンモニウム塩、ピリジニウム塩、アルキルイソキノリニウム塩、塩化ベンゼトニウムなどが挙げられる。前記フルオロアルキル基を有する陽イオン界面活性剤としては、例えばフルオロアルキル基を有する脂肪族一級、二級又は三級アミン酸、パーフルオロアルキル(炭素数6〜10個)スルホンアミドプロピルトリメチルアンモニウム塩等の脂肪族四級アンモニウム塩、ベンザルコニウム塩、塩化ベンゼトニウム、ピリジニウム塩、イミダゾリニウム塩などが挙げられる。
前記カチオン界面活性剤の市販品としては、例えば、サーフロンS−121(旭硝子株式会社製);フロラードFC−135(住友3M株式会社製);ユニダインDS−202(ダイキン工業株式会社製)、メガファックF−150、F−824(DIC株式会社製);エクトップEF−132(トーケムプロダクツ社製);フタージェントF−300(ネオス社製)などが挙げられる。
前記非イオン界面活性剤としては、例えば、脂肪酸アミド誘導体、多価アルコール誘導体、などが挙げられる。
前記両性界面活性剤としては、例えば、アラニン、ドデシルジ(アミノエチル)グリシン、ジ(オクチルアミノエチル)グリシン、N−アルキル−N,N−ジメチルアンモニウムべタイン、などが挙げられる。
前記難水溶性の無機化合物分散剤としては、例えば、リン酸三カルシウム、炭酸カルシウム、酸化チタン、コロイダルシリカ、ヒドロキシアパタイト、などが挙げられる。
前記高分子系保護コロイドとしては、例えば、酸類、水酸基を含有する(メタ)アクリル系単量体、ビニルアルコール又はビニルアルコールとのエーテル類、ビニルアルコールとカルボキシル基を含有する化合物のエステル類、アミド化合物又はこれらのメチロール化合物、クロライド類、窒素原子若しくはその複素環を有するもの等のホモポリマー又は共重合体、ポリオキシエチレン系、セルロース類、などが挙げられる。
前記酸類としては、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、α−シアノアクリル酸、α−シアノメタクリル酸、イタコン酸、クロトン酸、フマル酸、マレイン酸、無水マレイン酸、などが挙げられる。
前記水酸基を含有する(メタ)アクリル系単量体としては、例えば、アクリル酸β−ヒドロキシエチル、メタクリル酸β−ヒドロキシエチル、アクリル酸β−ヒドロキシプロビル、メタクリル酸β−ヒドロキシプロピル、アクリル酸γ−ヒドロキシプロピル、メタクリル酸γ−ヒドロキシプロピル、アクリル酸3−クロロ2−ヒドロキシプロビル、メタクリル酸3−クロロ−2−ヒドロキシプロピル、ジエチレングリコールモノアクリル酸エステル、ジエチレングリコールモノメタクリル酸エステル、グリセリンモノアクリル酸エステル、グリセリンモノメタクリル酸エステル、N−メチロールアクリルアミド、N−メチロールメタクリルアミド、などが挙げられる。
前記ビニルアルコール又はビニルアルコールとのエーテル類としては、例えば、ビニルメチルエーテル、ビニルエチルエーテル、ビニルプロピルエーテル、などが挙げられる。
前記ビニルアルコールとカルボキシル基を含有する化合物のエステル類としては、例えば、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、酪酸ビニル、などが挙げられる。
前記アミド化合物又はこれらのメチロール化合物としては、例えば、アクリルアミド、メタクリルアミド、ジアセトンアクリルアミド酸、又はこれらのメチロール化合物、などが挙げられる。前記クロライド類としては、例えば、アクリル酸クロライド、メタクリル酸クロライド、などが挙げられる。
前記窒素原子若しくはその複素環を有するもの等ホモポリマー又は共重合体としては、例えば、ビニルビリジン、ビニルピロリドン、ビニルイミダゾール、エチレンイミン、などが挙げられる。
前記ポリオキシエチレン系としては、例えば、ポリオキシエチレン、ポリオキシプロピレン、ポリオキシエチレンアルキルアミン、ポリオキシプロピレンアルキルアミン、ポリオキシエチレンアルキルアミド、ポリオキシプロピレンアルキルアミド、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンラウリルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンステアリルフェニルエステル、ポリオキシエチレンノニルフェニルエステル、などが挙げられる。
前記セルロース類としては、例えば、メチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、などが挙げられる。
前記分散液の調製においては、必要に応じて分散安定剤を用いることができる。
該分散安定剤としては、例えば、リン酸カルシウム塩等の酸、アルカリに溶解可能なものなどが挙げられる。
また、前記溶解乃至分散液の結着樹脂として活性水素基含有化合物と反応可能な変性ポリエステル(プレポリマー)を含む場合においては、前記水系媒体中に、例えば、ジブチルチンラウレート、ジオクチルチンラウレートなどの該反応における触媒を用いることもできる。
(3)乳化乃至分散
前記トナー材料の溶解乃至分散液の前記水系媒体中への乳化乃至分散は、前記トナー材料の溶解乃至分散液を前記水系媒体中で攪拌しながら分散させるのが好ましい。該分散の方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ホモジナイザー(IKA社製)、ポリトロン(キネマティカ社製)、TKオートホモミキサー(特殊機化工業株式会社製)等のバッチ式乳化機;エバラマイルダー(荏原製作所製)、TKフィルミックス、TKパイプラインホモミキサー(特殊機化工業株式会社製)、コロイドミル(神鋼パンテック株式会社製)、スラッシャー、トリゴナル湿式微粉砕機(三井三池化工機株式会社製)、キャピトロン(ユーロテック社製)、ファインフローミル(太平洋機工株式会社製)等の連続式乳化機;マイクロフルイダイザー(みずほ工業株式会社製)、ナノマイザー(ナノマイザー社製)、APVガウリン(ガウリン社製)等の高圧乳化機;膜乳化機(冷化工業株式会社製)等の膜乳化機;バイブロミキサー(冷化工業株式会社製)等の振動式乳化機;超音波ホモジナイザー(ブランソン社製)等の超音波乳化機、などが挙げられる。これらの中でも、粒径の均一化の観点から、APVガウリン、ホモジナイザー、TKオートホモミキサー、エバラマイルダー、TKフィルミックス、TKパイプラインホモミキサーが特に好ましい。
(4)溶剤の除去
前記乳化乃至分散により得られた乳化スラリーから、前記有機溶剤を除去する。
前記有機溶剤の除去は、(1)反応系全体を徐々に昇温させて、前記油滴中の前記有機溶剤を完全に蒸発除去する方法、(2)乳化分散体を乾燥雰囲気中に噴霧して、油滴中の非水溶性有機溶剤を完全に除去してトナー微粒子を形成し、併せて水系分散剤を蒸発除去する方法、などが挙げられる。
(5)洗浄、乾燥分級等
前記有機溶剤の除去が行われると、トナー粒子が形成される。該トナー粒子に対し、洗浄、乾燥等を行うことができ、更にその後、所望により分級等を行うことができる。該分級は、例えば、液中でサイクロン、デカンター、遠心分離等により、微粒子部分を取り除くことにより行うことができ、乾燥後に粉体として取得した後に分級操作を行ってもよい。なお、分散安定剤として前記水系媒体にリン酸カルシウム塩などの酸又はアルカリに溶解可能なものを用いた場合には、塩酸などの酸によって該分散安定剤を溶解し、水洗いする法によりトナー粒子から除去することができる。
(6)帯電制御剤、離型剤等の外添
こうして、得られたトナー粒子を、必要に応じて、シリカ微粒子や酸化チタン微粒子等の無機微粒子である離型剤、帯電制御剤等の粒子と共に混合したり、更に機械的衝撃力を印加することにより、該トナー粒子の表面から該離型剤等の粒子が脱離するのを防止することができる。
前記機械的衝撃力を印加する方法としては、例えば、高速で回転する羽根によって混合物に衝撃力を加える方法、高速気流中に混合物を投入し加速させて粒子同士又は複合化した粒子を適当な衝突板に衝突させる方法などが挙げられる。この方法に用いる装置としては、例えば、オングミル(ホソカワミクロン株式会社製)、I式ミル(日本ニューマチック株式会社製)を改造して粉砕エアー圧力を下げた装置、ハイブリダイゼイションシステム(奈良機械製作所製)、クリプトロンシステム(川崎重工業株式会社製)、自動乳鉢、などが挙げられる。
本発明のトナーは、その形状、大きさ等の諸物性については、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、以下のような、体積平均粒径(Dv)、体積平均粒径(Dv)/個数平均粒径(Dn)、針入度、低温定着性、オフセット未発生温度、などを有していることが好ましい。
前記トナーの体積平均粒径(Dv)としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、3μm〜8μmが好ましい。前記体積平均粒径が、3μm未満であると、二成分現像剤では現像装置における長期の撹拌においてキャリアの表面にトナーが融着し、キャリアの帯電能力を低下させることがあり、また、一成分現像剤では、現像ローラへのトナーのフィルミングや、トナーを薄層化するため、ブレード等の部材へのトナー融着が発生し易くなることがあり、8μmを超えると、高解像で高画質の画像を得ることが難しくなり、現像剤中のトナーの収支が行われた場合にトナーの粒子径の変動が大きくなることがある。
前記トナーにおける体積平均粒径(Dv)と個数平均粒径(Dn)との比(Dv/Dn)としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、1.00〜1.25がより好ましい。
前記体積平均粒径と個数平均粒径との比(Dv/Dn)が、1.00未満であると、二成分現像剤では現像装置における長期の撹拌においてキャリアの表面にトナーが融着し、キャリアの帯電能力を低下させたり、クリーニング性を悪化させることがあり、また、一成分現像剤では、現像ローラへのトナーのフィルミングや、トナーを薄層化するため、ブレード等の部材へのトナー融着が発生し易くなることがあり、1.30を超えると、高解像で高画質の画像を得ることが難しくなり、現像剤中のトナーの収支が行われた場合にトナーの粒子径の変動が大きくなることがある。
前記体積平均粒径と個数平均粒径との比(Dv/Dn)が、1.00〜1.25であると、保存安定性、低温定着性、及び耐ホットオフセット性のいずれにも優れ、特に、フルカラー複写機に使用した場合に画像の光沢性に優れる。二成分現像剤では長期にわたるトナーの収支が行われても、現像剤中のトナー粒子径の変動が少なく、現像装置における長期の攪拌においても、良好で安定した現像性が得られ、一成分現像剤ではトナーの収支が行われても、トナーの粒子径の変動が少なくなるとともに、現像ローラへのトナーのフィルミングやトナーを薄層化するブレード等への部材へのトナーの融着がなく、現像装置の長期使用(攪拌)においても、良好で安定した現像性が得られるため、高画質の画像を得ることができる。
前記体積平均粒径、及び、前記体積平均粒径と個数平均粒子径との比(Dv/Dn)は、例えば、ベックマン・コールター社製の粒度測定器「マルチサイザーII」を用いて測定することができる。
前記針入度としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、針入度試験(JIS K2235−1991)で測定した針入度が、15mm以上であることが好ましく、25mm以上がより好ましい。
前記針入度が、15mm未満であると、耐熱保存性が悪化することがある。
前記針入度は、JIS K2235−1991に従って測定することができ、具体的には、50mLのガラス容器にトナーを充填し、50℃の恒温槽に20時間放置する。このトナーを室温まで冷却し、針入度試験を行うことにより針入度を測定することができる。なお、前記針入度の値が大きいほど、前記耐熱保存性が優れることを示している。
前記低温定着性としては、定着温度低下とオフセット未発生とを両立させる観点からは、定着下限温度が低くなるほど好ましく、また、オフセット未発生温度が高くなるほど好ましく、定着温度低下とオフセット未発生とを両立させ得る温度領域としては、前記定着下限温度が130℃未満であり、前記オフセット未発生温度が180℃以上である。
前記定着下限温度は、例えば、画像形成装置を用い、記録媒体をセットし、複写テストを行い、得られた定着画像をパットで擦った後の画像濃度の残存率が70%以上となる定着ロール温度を定着下限温度としたものである。
前記オフセット未発生温度は、例えば、画像形成装置を用いて、記録媒体をセットし、イエロー、マゼンタ、シアン、及びブラックの各単色、及び中間色としてレッド、ブルー、及びグリーンのベタ画像を各単色で現像されるように調整し、定着ベルトの温度が可変となるように調整して、オフセットの発生しない温度を測定することにより求めることができる。
本発明のトナーの着色としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、ブラックトナー、シアントナー、マゼンタトナー及びイエロートナーから選択される少なくとも1種とすることができ、各色のトナーは前記着色剤の種類を適宜選択することにより得ることができる。
(現像剤)
本発明の現像剤は、本発明の前記トナーを少なくとも含有してなり、キャリア等の適宜選択したその他の成分を含有してなる。該現像剤としては、一成分現像剤であってもよいし、二成分現像剤であってもよいが、近年の情報処理速度の向上に対応した高速プリンタ等に使用する場合には、寿命向上等の点で前記二成分現像剤が好ましい。
本発明の前記トナーを用いた前記一成分現像剤の場合、トナーの収支が行われても、トナーの粒子径の変動が少なく、現像ローラへのトナーのフィルミングや、トナーを薄層化する為のブレード等の部材へのトナーの融着がなく、現像装置の長期の使用(撹拌)においても、良好で安定した現像性及び画像が得られる。また、本発明の前記トナーを用いた前記二成分現像剤の場合、長期にわたるトナーの収支が行われても、現像剤中のトナー粒子径の変動が少なく、現像装置における長期の撹拌においても、良好で安定した現像性が得られる。
前記キャリアとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、芯材と、該芯材を被覆する樹脂層とを有するものが好ましい。
前記芯材の材料としては、特に制限はなく、公知のものの中から適宜選択することができるが、例えば、50emu/g〜90emu/gのマンガン−ストロンチウム(Mn−Sr)系材料、マンガン−マグネシウム(Mn−Mg)系材料等が好ましく、画像濃度の確保の点では、鉄粉(100emu/g以上)、マグネタイト(75emu/g〜120emu/g)等の高磁化材料が好ましい。また、トナーが穂立ち状態となっている感光体への当りを弱くでき高画質化に有利である点で、銅−ジンク(Cu−Zn)系(30emu〜80emu/g)等の弱磁化材料が好ましい。これらは、1種単独で使用してもよい、2種以上を併用してもよい。
前記芯材の粒径としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、体積平均粒径で、10μm〜150μmが好ましく、20μm〜80μmがより好ましい。
前記体積平均粒径が、10μm未満であると、キャリア粒子の分布において、微粉系が多くなり、1粒子当たりの磁化が低くなってキャリア飛散を生じることがあり、150μmを超えると、比表面積が低下し、トナーの飛散が生じることがあり、ベタ部分の多いフルカラーでは、特にベタ部の再現が悪くなることがある。
前記樹脂層の材料としては、特に制限はなく、公知の樹脂の中から目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、アミノ系樹脂、ポリビニル系樹脂、ポリスチレン系樹脂、ハロゲン化オレフィン樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリフッ化ビニル樹脂、ポリフッ化ビニリデン樹脂、ポリトリフルオロエチレン樹脂、ポリヘキサフルオロプロピレン樹脂、弗化ビニリデンとアクリル単量体との共重合体、フッ化ビニリデンとフッ化ビニルとの共重合体、テトラフルオロエチレンとフッ化ビニリデンと非フッ化単量体とのターポリマー等のフルオロターポリマー、シリコーン樹脂、などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記アミノ系樹脂としては、例えば、尿素−ホルムアルデヒド樹脂、メラミン樹脂、ベンゾグアナミン樹脂、ユリア樹脂、ポリアミド樹脂、エポキシ樹脂、などが挙げられる。前記ポリビニル系樹脂としては、例えば、アクリル樹脂、ポリメチルメタクリレート樹脂、ポリアクリロニトリル樹脂、ポリ酢酸ビニル樹脂、ポリビニルアルコール樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、などが挙げられる。前記ポリスチレン系樹脂としては、例えば、ポリスチレン樹脂、スチレン−アクリル共重合樹脂、などが挙げられる。前記ハロゲン化オレフィン樹脂としては、例えば、ポリ塩化ビニル、などが挙げられる。前記ポリエステル系樹脂としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート樹脂、ポリブチレンテレフタレート樹脂、などが挙げられる。
前記樹脂層には、特に制限はなく、必要に応じて導電粉等を含有させてもよく、該導電粉としては、例えば、金属粉、カーボンブラック、酸化チタン、酸化錫、酸化亜鉛、等が挙げられる。これらの導電粉の平均粒子径としては、1μm以下が好ましい。前記平均粒子径が1μmを超えると、電気抵抗の制御が困難になることがある。
前記樹脂層は、例えば、前記シリコーン樹脂等を溶剤に溶解させて塗布溶液を調製した後、該塗布溶液を前記芯材の表面に公知の塗布方法により均一に塗布し、乾燥した後、焼付を行うことにより形成することができる。前記塗布方法としては、例えば、浸漬法、スプレー法、ハケ塗り法、等が挙げられる。
前記溶剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、トルエン、キシレン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、セルソルブチルアセテート、などが挙げられる。
前記焼付としては、特に制限はなく、外部加熱方式であってもよいし、内部加熱方式であってもよく、例えば、固定式電気炉、流動式電気炉、ロータリー式電気炉、バーナー炉等を用いる方法、マイクロウエーブを用いる方法、などが挙げられる。
前記樹脂層の前記キャリアにおける量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、0.01質量%〜5.0質量%が好ましい。前記量が、0.01質量%未満であると、前記芯材の表面に均一な前記樹脂層を形成することができないことがあり、5.0質量%を超えると、前記樹脂層が厚くなり過ぎてキャリア同士の造粒が発生し、均一なキャリア粒子が得られないことがある。
前記現像剤が前記二成分現像剤である場合、前記キャリアの該二成分現像剤における含有量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、90質量%〜98質量%が好ましく、93質量%〜97質量%がより好ましい。
<プロセスカートリッジ>
本発明で用いられるプロセスカートリッジは、静電潜像を担持する静電潜像担持体と、該静電潜像担持体上に担持された静電潜像を、トナーを用いて現像し可視像を形成する現像手段とを、少なくとも有してなり、更に必要に応じて適宜選択したその他の手段を有してなる。
前記現像手段としては、本発明の前記現像剤を収容する現像剤収容器と、該現像剤収容器内に収容された現像剤を担持しかつ搬送する現像剤担持体とを、少なくとも有してなり、更に、担持させるトナー層厚を規制するための層厚規制部材等を有していてもよい。
前記プロセスカートリッジは、各種電子写真方式の画像形成装置に着脱可能に備えさせることができ、後述する本発明で用いる画像形成装置に着脱可能に備えさせるのが好ましい。
ここで、前記プロセスカートリッジは、例えば、図4に示すように、静電潜像担持体101を内蔵し、帯電手段102、現像手段104、転写手段108、クリーニング手段107を含み、更に必要に応じてその他の手段を有してなる。図4中、103は露光手段による露光、105は記録媒体をそれぞれ示す。
次に、図4に示すプロセスカートリッジによる画像形成プロセスについて示すと、静電潜像担持体101は、矢印方向に回転しながら、帯電手段102による帯電、露光手段(不図示)による露光103により、その表面に露光像に対応する静電潜像が形成される。この静電潜像は、現像手段104で現像され、得られた可視像は転写手段108により、記録媒体105に転写され、プリントアウトされる。次いで、像転写後の静電潜像担持体表面は、クリーニング手段107によりクリーニングされ、更に除電手段(不図示)により除電されて、再び、以上の操作を繰り返すものである。
(画像形成方法及び画像形成装置)
本発明で用いられる画像形成方法は、静電潜像形成工程と、現像工程と、転写工程と、定着工程とを少なくとも含み、更に必要に応じて適宜選択したその他の工程、例えば、除電工程、クリーニング工程、リサイクル工程、制御工程等を含む。
本発明の画像形成装置は、静電潜像担持体と、静電潜像形成手段と、現像手段と、転写手段と、定着手段とを少なくとも有してなり、更に必要に応じて適宜選択したその他の手段、例えば、除電手段、クリーニング手段、リサイクル手段、制御手段等を有してなる。
前記静電潜像形成工程は、静電潜像担持体上に静電潜像を形成する工程であり、帯電工程と露光工程を含む。
前記静電潜像担持体(「電子写真感光体」、「感光体」、「像担持体」と称することがある)としては、その材質、形状、構造、大きさ、等について特に制限はなく、公知のものの中から適宜選択することができるが、その形状としてはドラム状が好適に挙げられ、その材質としては、例えば、アモルファスシリコン、セレン等の無機感光体、ポリシラン、フタロポリメチン等の有機感光体(OPC)、などが挙げられる。これらの中でも、長寿命性の点でアモルファスシリコン等が好ましい。
前記静電潜像の形成は、例えば前記静電潜像担持体の表面を一様に帯電させた後、像様に露光することにより行うことができ、前記静電潜像形成手段により行うことができる。
前記静電潜像形成手段は、例えば前記静電潜像担持体の表面を一様に帯電させる帯電器と、前記静電潜像担持体の表面を像様に露光する露光器とを少なくとも備える。
前記帯電は、例えば、前記帯電器を用いて前記静電潜像担持体の表面に電圧を印加することにより行うことができる。
前記帯電器としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、導電性又は半導電性のロール、ブラシ、フィルム、ゴムブレード等を備えたそれ自体公知の接触帯電器、コロトロン、スコロトロン等のコロナ放電を利用した非接触帯電器、などが挙げられる。
また、前記帯電器としては、静電潜像担持体に接触乃至非接触状態で配置され、直流及び交流電圧を重畳印加することによって静電潜像担持体表面を帯電するものが好ましい。
また、前記帯電器が、静電潜像担持体にギャップテープを介して非接触に近接配置された帯電ローラであり、該帯電ローラに直流並びに交流電圧を重畳印加することによって静電潜像担持体表面を帯電するものが好ましい。
前記露光は、例えば、前記露光器を用いて前記静電潜像担持体の表面を像様に露光することにより行うことができる。
前記露光器としては、前記帯電器により帯電された前記静電潜像担持体の表面に、形成すべき像様に露光を行うことができる限り特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、複写光学系、ロッドレンズアレイ系、レーザー光学系、液晶シャッタ光学系などの各種露光器が挙げられる。
なお、本発明においては、前記静電潜像担持体の裏面側から像様に露光を行う光背面方式を採用してもよい。
−現像工程及び現像手段−
前記現像工程は、前記静電潜像を、本発明の前記トナー又は現像剤を用いて現像して可視像を形成する工程である。
前記可視像の形成は、例えば、前記静電潜像を本発明の前記トナー乃至現像剤を用いて現像することにより行うことができ、前記現像手段により行うことができる。
前記現像手段は、例えば、本発明の前記トナー乃至現像剤を用いて現像することができる限り、特に制限はなく、公知のものの中から適宜選択することができ、例えば、本発明の前記トナー乃至現像剤を収容し、前記静電潜像に該現像剤を接触又は非接触的に付与可能な現像器を少なくとも有するものが好適に挙げられる。
前記現像器は、乾式現像方式のものであってもよいし、湿式現像方式のものであってもよく、また、単色用現像器であってもよいし、多色用現像器であってもよく、例えば、前記現像剤を摩擦攪拌させて帯電させる攪拌器と、回転可能なマグネットローラとを有してなるもの、などが好適に挙げられる。
前記現像器内では、例えば、前記トナーと前記キャリアとが混合攪拌され、その際の摩擦により該トナーが帯電し、回転するマグネットローラの表面に穂立ち状態で保持され、磁気ブラシが形成される。該マグネットローラは、前記静電潜像担持体近傍に配置されているため、該マグネットローラの表面に形成された前記磁気ブラシを構成する前記トナーの一部は、電気的な吸引力によって該静電潜像担持体の表面に移動する。その結果、前記静電潜像が該トナーにより現像されて該静電潜像担持体の表面に該トナーによる可視像が形成される。
−転写工程及び転写手段−
前記転写工程は、前記可視像を記録媒体に転写する工程であるが、中間転写体を用い、該中間転写体上に可視像を一次転写した後、該可視像を前記記録媒体上に二次転写する態様が好ましく、前記トナーとして二色以上、好ましくはフルカラートナーを用い、可視像を中間転写体上に転写して複合転写像を形成する第1次転写工程と、該複合転写像を記録媒体上に転写する第2次転写工程とを含む態様がより好ましい。
前記転写は、例えば、前記可視像を転写帯電器を用いて前記静電潜像担持体を帯電することにより行うことができ、前記転写手段により行うことができる。前記転写手段としては、可視像を中間転写体上に転写して複合転写像を形成する第1次転写手段と、該複合転写像を記録媒体上に転写する第2次転写手段とを有する態様が好ましい。
なお、前記中間転写体としては、特に制限はなく、目的に応じて公知の転写体の中から適宜選択することができ、例えば、転写ベルト等が好適に挙げられる。
前記転写手段(前記第1次転写手段、前記第2次転写手段)は、前記静電潜像担持体上に形成された前記可視像を前記記録媒体側へ剥離帯電させる転写器を少なくとも有するのが好ましい。前記転写手段は、1つであってもよいし、2つ以上であってもよい。
前記転写器としては、コロナ放電によるコロナ転写器、転写ベルト、転写ローラ、圧力転写ローラ、粘着転写器などが挙げられる。
なお、前記記録媒体としては、特に制限はなく、公知の記録媒体(記録紙)の中から適宜選択することができる。
前記定着工程は、記録媒体に転写された可視像を定着手段を用いて定着させる工程であり、各色のトナーに対し前記記録媒体に転写する毎に行ってもよいし、各色のトナーに対しこれを積層した状態で一度に同時に行ってもよい。
前記定着装置としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、公知の加熱加圧手段が好適である。前記加熱加圧手段としては、加熱ローラと加圧ローラとの組合せ、加熱ローラと加圧ローラと無端ベルトとの組合せなどが挙げられる。
前記定着装置が、発熱体を具備する加熱体と、該加熱体と接触するフィルムと、該フィルムを介して前記加熱体と圧接する加圧部材とを有し、前記フィルムと前記加圧部材の間に未定着画像を形成させた記録媒体を通過させて加熱定着する手段であることが好ましい。前記加熱加圧手段における加熱は、通常、80℃〜200℃が好ましい。
なお、本発明においては、目的に応じて、前記定着工程及び定着手段と共にあるいはこれらに代えて、例えば、公知の光定着器を用いてもよい。
前記除電工程は、前記静電潜像担持体に対し除電バイアスを印加して除電を行う工程であり、除電手段により好適に行うことができる。
前記除電手段としては、特に制限はなく、前記静電潜像担持体に対し除電バイアスを印加することができればよく、公知の除電器の中から適宜選択することができ、例えば、除電ランプ等が好適に挙げられる。
前記クリーニング工程は、前記静電潜像担持体上に残留する前記トナーを除去する工程であり、クリーニング手段により好適に行うことができる。
前記クリーニング手段としては、特に制限はなく、前記静電潜像担持体上に残留する前記電子写真トナーを除去することができればよく、公知のクリーナの中から適宜選択することができ、例えば、磁気ブラシクリーナ、静電ブラシクリーナ、磁気ローラクリーナ、ブレードクリーナ、ブラシクリーナ、ウエブクリーナ、などが好適に挙げられる。
前記リサイクル工程は、前記クリーニング工程により除去した前記トナーを前記現像手段にリサイクルさせる工程であり、リサイクル手段により好適に行うことができる。
前記リサイクル手段としては、特に制限はなく、公知の搬送手段などが挙げられる。
前記制御工程は、前記各工程を制御する工程であり、制御手段により好適に行うことができる。
前記制御手段としては、前記各手段の動きを制御することができる限り特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、シークエンサー、コンピュータ等の機器が挙げられる。
本発明の画像形成装置により本発明で用いられる画像形成方法を実施する一の態様について、図5を参照しながら説明する。図5に示す画像形成装置100は、前記静電潜像担持体としての感光体ドラム10(以下、「感光体10」と称することもある)と、前記帯電手段としての帯電ローラ20と、前記露光手段としての露光装置30と、前記現像手段としての現像装置40と、中間転写体50と、クリーニングブレードを有する前記クリーニング手段としてのクリーニング装置60と、前記除電手段としての除電ランプ70とを備える。
中間転写体50は無端ベルトであり、その内側に配置されこれを張架する3個のローラ51によって、図中矢印方向に移動可能に設計されている。3個のローラ51の一部は、中間転写体50へ所定の転写バイアス(一次転写バイアス)を印加可能な転写バイアスローラとしても機能する。中間転写体50には、その近傍に中間転写体用クリーニングブレード90が配置されており、また、記録媒体95に可視像(トナー像)を転写(二次転写)するための転写バイアスを印加可能な前記転写手段としての転写ローラ80が対向して配置されている。中間転写体50の周囲には、この中間転写体50上の可視像に電荷を付与するためのコロナ帯電器58が、該中間転写体50の回転方向において、感光体10と中間転写体50との接触部と、中間転写体50と記録媒体95との接触部との間に配置されている。
現像装置40は、現像剤担持体としての現像ベルト41と、この現像ベルト41の周囲に併設したブラック現像ユニット45K、イエロー現像ユニット45Y、マゼンタ現像ユニット45M、及びシアン現像ユニット45Cとから構成されている。なお、ブラック現像ユニット45Kは、現像剤収容部42Kと現像剤供給ローラ43Kと現像ローラ44Kとを備えている。イエロー現像ユニット45Yは、現像剤収容部42Yと現像剤供給ローラ43Yと現像ローラ44Yとを備えている。マゼンタ現像ユニット45Mは、現像剤収容部42Mと現像剤供給ローラ43Mと現像ローラ44Mとを備えている。シアン現像ユニット45Cは、現像剤収容部42Cと現像剤供給ローラ43Cと現像ローラ44Cとを備えている。また、現像ベルト41は、無端ベルトであり、複数のベルトローラにより回転可能に張架され、一部が静電潜像担持体10と接触している。
図5に示す画像形成装置100において、例えば、帯電ローラ20が感光体ドラム10を一様に帯電させる。露光装置30が感光ドラム10上に像様に露光を行い、静電潜像を形成する。感光ドラム10上に形成された静電潜像を、現像装置40からトナーを供給して現像して可視像(トナー像)を形成する。該可視像(トナー像)が、ローラ51から印加された電圧により中間転写体50上に転写(一次転写)され、更に記録媒体95上に転写(二次転写)される。その結果、記録媒体95上には転写像が形成される。なお、感光体10上の残存トナーは、クリーニング装置60により除去され、感光体10における帯電は除電ランプ70により一旦、除去される。
本発明の画像形成装置により本発明で用いられる画像形成方法を実施する他の態様について、図6を参照しながら説明する。図6に示す画像形成装置100は、図5に示す画像形成装置100において、現像ベルト41を備えてなく、感光体10の周囲に、ブラック現像ユニット45K、イエロー現像ユニット45Y、マゼンタ現像ユニット45M及びシアン現像ユニット45Cが直接対向して配置されていること以外は、図5に示す画像形成装置100と同様の構成を有し、同様の作用効果を示す。なお、図6においては、図5におけるものと同じものは同符号で示した。
本発明の画像形成装置により本発明で用いられる画像形成方法を実施する他の態様について、図7を参照しながら説明する。図7に示すタンデム画像形成装置は、タンデム型カラー画像形成装置である。このタンデム画像形成装置は、複写装置本体150と、給紙テーブル200と、スキャナ300と、原稿自動搬送装置(ADF)400とを備えている。
複写装置本体150には、無端ベルト状の中間転写体50が中央部に設けられている。そして、中間転写体50は、支持ローラ14、15及び16に張架され、図7中、時計回りに回転可能とされている。支持ローラ15の近傍には、中間転写体50上の残留トナーを除去するための中間転写体クリーニング装置17が配置されている。支持ローラ14と支持ローラ15とにより張架された中間転写体50には、その搬送方向に沿って、イエロー、シアン、マゼンタ、ブラックの4つの画像形成手段18が対向して並置されたタンデム型現像器120が配置されている。タンデム型現像器120の近傍には、露光装置21が配置されている。中間転写体50における、タンデム型現像器120が配置された側とは反対側には、二次転写装置22が配置されている。二次転写装置22においては、無端ベルトである二次転写ベルト24が一対のローラ23に張架されており、二次転写ベルト24上を搬送される記録媒体と中間転写体50とは互いに接触可能である。二次転写装置22の近傍には定着装置25が配置されている。定着装置25は、無端ベルトである定着ベルト26と、これに押圧されて配置された加圧ローラ27とを備えている。
なお、タンデム画像形成装置においては、二次転写装置22及び定着装置25の近傍に、記録媒体の両面に画像形成を行うために該記録媒体を反転させるためのシート反転装置28が配置されている。
次に、タンデム型現像器120を用いたフルカラー画像の形成(カラーコピー)について説明する。即ち、先ず、原稿自動搬送装置(ADF)400の原稿台130上に原稿をセットするか、あるいは原稿自動搬送装置400を開いてスキャナ300のコンタクトガラス32上に原稿をセットし、原稿自動搬送装置400を閉じる。
スタートスイッチ(不図示)を押すと、原稿自動搬送装置400に原稿をセットした時は、原稿が搬送されてコンタクトガラス32上へと移動された後で、一方、コンタクトガラス32上に原稿をセットした時は直ちに、スキャナ300が駆動し、第1走行体33及び第2走行体34が走行する。このとき、第1走行体33により、光源からの光が照射されると共に原稿面からの反射光を第2走行体34におけるミラーで反射し、結像レンズ35を通して読取りセンサ36で受光されてカラー原稿(カラー画像)が読み取られ、ブラック、イエロー、マゼンタ及びシアンの画像情報とされる。
そして、ブラック、イエロー、マゼンタ、及びシアンの各画像情報は、タンデム型現像器120における各画像形成手段18(ブラック用画像形成手段、イエロー用画像形成手段、マゼンタ用画像形成手段、及びシアン用画像形成手段)にそれぞれ伝達され、各画像形成手段において、ブラック、イエロー、マゼンタ、及びシアンの各トナー画像が形成される。即ち、タンデム型現像器120における各画像形成手段18(ブラック用画像形成手段、イエロー用画像形成手段、マゼンタ用画像形成手段及びシアン用画像形成手段)は、図8に示すように、それぞれ、静電潜像担持体10(ブラック用静電潜像担持体10K、イエロー用静電潜像担持体10Y、マゼンタ用静電潜像担持体10M、及びシアン用静電潜像担持体10C)と、該静電潜像担持体10を一様に帯電させる帯電装置160と、各カラー画像情報に基づいて各カラー画像対応画像様に前記静電潜像担持体を露光(図8中、L)し、該静電潜像担持体上に各カラー画像に対応する静電潜像を形成する露光装置と、該静電潜像を各カラートナー(ブラックトナー、イエロートナー、マゼンタトナー、及びシアントナー)を用いて現像して各カラートナーによるトナー画像を形成する現像装置61と、該トナー画像を中間転写体50上に転写させるための転写帯電器62と、クリーニング装置63と、除電器64とを備えており、それぞれのカラーの画像情報に基づいて各単色の画像(ブラック画像、イエロー画像、マゼンタ画像、及びシアン画像)を形成可能である。こうして形成された該ブラック画像、該イエロー画像、該マゼンタ画像及び該シアン画像は、支持ローラ14、15及び16により回転移動される中間転写体50上にそれぞれ、ブラック用静電潜像担持体10K上に形成されたブラック画像、イエロー用静電潜像担持体10Y上に形成されたイエロー画像、マゼンタ用静電潜像担持体10M上に形成されたマゼンタ画像及びシアン用静電潜像担持体10C上に形成されたシアン画像が、順次転写(一次転写)される。そして、中間転写体50上に前記ブラック画像、前記イエロー画像、マゼンタ画像、及びシアン画像が重ね合わされて合成カラー画像(カラー転写像)が形成される。
一方、給紙テーブル200においては、給紙ローラ142の1つを選択的に回転させ、ペーパーバンク143に多段に備える給紙カセット144の1つからシート(記録紙)を繰り出し、分離ローラ145で1枚ずつ分離して給紙路146に送出し、搬送ローラ147で搬送して複写機本体150内の給紙路148に導き、レジストローラ49に突き当てて止める。あるいは、給紙ローラ142を回転して手差しトレイ54上のシート(記録紙)を繰り出し、分離ローラ145で1枚ずつ分離して手差し給紙路153に入れ、同じくレジストローラ49に突き当てて止める。なお、レジストローラ49は、一般には接地されて使用されるが、シートの紙粉除去のためにバイアスが印加された状態で使用されてもよい。そして、中間転写体50上に合成された合成カラー画像(カラー転写像)にタイミングを合わせてレジストローラ49を回転させ、中間転写体50と二次転写装置22との間にシート(記録紙)を送出させ、二次転写装置22により該合成カラー画像(カラー転写像)を該シート(記録紙)上に転写(二次転写)することにより、該シート(記録紙)上にカラー画像が転写され形成される。なお、画像転写後の中間転写体50上の残留トナーは、中間転写体クリーニング装置17によりクリーニングされる。
カラー画像が転写され形成された前記シート(記録紙)は、二次転写装置22により搬送されて、定着装置25へと送出され、定着装置25において、熱と圧力とにより前記合成カラー画像(カラー転写像)が該シート(記録紙)上に定着される。その後、該シート(記録紙)は、切換爪55で切り換えて排出ローラ56により排出され、排紙トレイ57上にスタックされ、あるいは、切換爪55で切り換えてシート反転装置28により反転されて再び転写位置へと導き、裏面にも画像を記録した後、排出ローラ56により排出され、排紙トレイ57上にスタックされる。
以下、本発明の実施例を説明するが、本発明は、これらの実施例に何ら限定されるものではない。実施例及び比較例で用いた成分の各物性値の測定方法について、以下に示す。
<分子量の測定>
・装置:GPC(東ソー株式会社製)
・検出器:RI
・測定温度:40℃、
・移動相:テトラヒドロフラン
・流量:0.45mL/min.
分子量Mn及びMwは、分子量既知のポリスチレン試料によって作成した検量線を標準としてGPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー)にて測定される数平均分子量、及び重量平均分子量である。
<結着樹脂のガラス転移温度(Tg)の測定>
・装置:DSC(TAインスツルメンツ社製、Q2000)
・試料5mg〜10mgをアルミニウム製の簡易密閉パンに充填したものを以下の測定フローに供した。
・1st Heating:30℃〜220℃、5℃/min.、220℃到達後1分間保持
・冷却:温度制御なしで−60℃までクエンチ、−60℃到達後1分間保持
・2nd Heating:−60℃〜180℃、5℃/min.
ガラス転移温度(Tg)は、2nd HeatingのサーモグラムにおいてASTM D3418/82に記載される方法に基づいてミッドポイント法によるガラス転移温度を求めて評価を行った。このとき、観察される低温側のガラス転移温度をTg1、高温側のガラス転移温度をTg2とした。
前記2nd Heatingのサーモグラムにおける2箇所のガラス転移温度にともなうベースラインの熱流量の差をそれぞれh1、h2と定義し、各ガラス転移温度における低温側のオンセットポイントと高温側のエンドセットポイントの差から、h1及びh2を求め、比(h1/h2)を算出した。
<結着樹脂の第1の位相差像の平均径の測定>
・装置:AFM(アサイラムテクノロジー社製、MFP−3D)
・カンチレバー:OMCL−AC240TS−C3
・target amplitude:0.5V
・target percent:−5%
・amplitude setpoint:315mV
・scan rate:1Hz
・scan points:256×256
・scan angle:0°
結着樹脂をウルトラミクロトーム(ULTRACUT UCT、ライカ社製)を用いて以下の条件で結着樹脂のブロックを切断して切片を出したものを用いて観察した。
・切削厚み:60nm
・切削速度:0.4mm/sec
・ダイヤモンドナイフ(Ultra Sonic 35°)使用
タッピングモード原子間力顕微鏡によって観察される結着樹脂の位相像において、前記第1の位相差像(即ち、軟質、低Tgユニット)の平均径は、位相差が大きい部分(即ち軟質、低Tgユニット)の分散径を任意に30点選び、最大フェレ径の平均値を平均径として算出した。
<結着樹脂の末端に含環骨格分子の有無の測定>
結着樹脂の末端に含環骨格分子の有無は、H−NMR(日本電子株式会社製、JOEL JNM400 FT NMR SYSTEM)を用いて測定した。トナーの1質量%重クロロホルム溶液を、試料管(WILMAD社製、高精度NMR試料管)に入れ、トナー中の二重結合由来の芳香環由来のピークを確認した。
(樹脂前駆体の合成例1)
−樹脂前駆体1の合成−
フラスコ中に、L−ラクチド85.0質量部、D−ラクチド15.0質量部、及び開始剤としてコレステロール6質量部を投入し、内温を徐々に昇温し減圧条件下で脱水処理を行った。次いで、Nパージ下で更に昇温し、目視下で系が均一化したことを確認した後、2−エチルヘキサン酸スズ0.03質量部を系に投入して重合反応を行った。この際、系の内温が190℃を超えないように制御した。2時間の反応時間経過後、系を再び流出ラインに切り替え、減圧条件下で未反応のラクチドを除去し、重合反応を完結させ、樹脂前駆体1を得た。
得られた樹脂前駆体1の数平均分子量(Mn)を表1に示す。
(樹脂前駆体の合成例2〜7)
−樹脂前駆体2〜7の合成−
樹脂前駆体の合成例1において、表1に示す使用する開始剤の種類及び量に変えた以外は、樹脂前駆体の合成例1と同様にして、樹脂前駆体2〜7を合成した。
得られた樹脂前駆体2〜7の数平均分子量(Mn)を表1に示す。
表1中の化合物Q、化合物Rは下記に示すものである。
(ポリエステルbの合成例1)
−ポリエステルb(1)の合成−
冷却管、撹拌機、及び窒素導入管の付いた300mLの反応容器中に、アルコール成分及び酸成分を表2に示す比率で試薬全体の質量が250gとなるように加えた。その際、重合触媒として、チタンテトライソプロポキシド(1,000ppm対樹脂成分)も合わせて投入した。窒素気下中、4時間程度で200℃まで昇温し、次いで、2時間かけて230℃に昇温し、流出成分がなくなるまで反応を行った。その後更に、10mmHg〜15mmHgの減圧で5時間反応し、「ポリエステルb(1)」を得た。
得られた「ポリエステルb(1)」の数平均分子量Mn及びガラス転移温度Tgを表3に記載した。
(ポリエステルbの合成例2〜8)
−ポリエステルb(2)〜(8)の合成−
ポリエステルb(1)の合成例1において、アルコール成分及び酸成分を表2に示す種類及び比率に変更した以外は、ポリエステルb(1)の合成例1と同様にして、「ポリエステルb(2)〜(8)」を得た。
得られた「ポリエステルb(2)〜(8)」の数平均分子量(Mn)及びガラス転移温度(Tg)を表3に記載した。
(ポリエステルbの合成例9)
−ポリエステルb(9)の合成−
冷却管、攪拌機、及び窒素導入管の付いた反応槽内に、1,2−プロピレングリコール43.8質量部、テレフタル酸ジメチルエステル44.8質量部、アジピン酸11.2質量部、及び縮合触媒としてテトラブトキシチタネート0.2質量部を入れ、窒素気流下にて180℃にて8時間、次いで、230℃にて4時間反応させた。更に5mmHg〜20mmHgの減圧下で反応させた後、軟化点が150℃になった時点で取り出した。取り出した樹脂を冷却後、粉砕して「ポリエステルb(9)」を得た。
得られた「ポリエステルb(9)」の数平均分子量(Mn)及びガラス転移温度(Tg)を表3に記載した。
(結着樹脂の合成例1)
−結着樹脂1の合成−
フラスコ中に、骨格Bの原料としてのポリエステルb(1)を22.2質量部投入し、内温を徐々に昇温した。目視下で系の均一化を確認した後、減圧下で脱水処理を行った。その後、酢酸エチルを加えて50質量%とし、2−エチルヘキサン酸スズ0.20質量部、及びイソホロンジイソシアネート3質量部を加えた後、系の温度を80℃に保ち、反応させた。その後、樹脂前駆体として樹脂前駆体3を77.8質量部加えて反応させ、「結着樹脂1」を得た。
得られた「結着樹脂1」の数平均分子量(Mn)、重量平均分子量(Mw)、ガラス転移温度(Tg1、Tg2)、比(h1/h2)、位相像における位相差の最大値、位相像における位相差の最小値、第1の位相差像の平均径、及び末端の含環骨格分子の有無を表5−1及び表5−2に記載した。
(結着樹脂の合成例2〜13、16〜18)
−結着樹脂2〜13、16〜18の合成−
結着樹脂の合成例1において、樹脂前駆体、及び骨格B(ポリエステルb)を表4に示す種類及び配合量(質量部)に変更した以外は、結着樹脂の合成例1と同様にして、「結着樹脂2〜13、16〜18」を合成した。
得られた「結着樹脂2〜13、16〜18」の数平均分子量(Mn)、重量平均分子量(Mw)、ガラス転移温度(Tg1、Tg2)、比(h1/h2)、位相像における位相差の最大値、位相像における位相差の最小値、第1の位相差像の平均径、及び末端の含環骨格分子の有無を表5−1及び表5−2に記載した。
(結着樹脂の合成例14)
−結着樹脂14の合成−
温度計、及び攪拌機の付いたオートクレーブ反応槽内に、開始剤としてラウリルアルコール1.3質量部、L−ラクチド50質量部、及びD−ラクチド48.7質量部を投入し、更にテレフタル酸チタンを外割で1質量%入れ、窒素置換後160℃で6時間重合し、「結着樹脂14」を合成した。
得られた「結着樹脂14」の数平均分子量(Mn)、重量平均分子量(Mw)、ガラス転移温度(Tg1、Tg2)、比(h1/h2)、位相像における位相差の最大値、位相像における位相差の最小値、第1の位相差像の平均径、及び末端に含環骨格分子の有無を表5−1及び表5−2に記載した。
(結着樹脂の合成例15)
−結着樹脂15の合成−
温度計、及び攪拌機の付いたオートクレーブ反応槽内に、開始剤として前記「ポリエステルb(1)」、L−ラクチド59.5質量部、及びD−ラクチド10.5質量部投入し、更にテレフタル酸チタンを外割で1質量%入れ、窒素置換後160℃で6時間重合し、「結着樹脂15」を合成した。
得られた「結着樹脂15」の数平均分子量(Mn)、重量平均分子量(Mw)、ガラス転移温度(Tg1、Tg2)、比(h1/h2)、位相像における位相差の最大値、位相像における位相差の最小値、第1の位相差像の平均径、及び末端に含環骨格分子の有無を表5−1及び表5−2に記載した。
*デスモフェン1200(住友バイエルンウレタン社製、ポリエステルポリオール)
(実施例1)
<トナー1の作製>
−樹脂粒子の水性分散液の製造−
攪拌棒、及び温度計をセットした反応容器に、水600質量部、スチレン120質量部、メタクリル酸100質量部、アクリル酸ブチル45質量部、アルキルアリルスルホコハク酸ナトリウム塩(エレミノールJS−2、三洋化成工業株式会社製)10質量部、及び過硫酸アンモニウム1質量部を仕込み、400回転/分間で20分間攪拌したところ、白色の乳濁液が得られた。これを加熱して、系内温度75℃まで昇温し6時間反応させた。
更に1質量%過硫酸アンモニウム水溶液30質量部を加え、75℃で6時間熟成してビニル樹脂(スチレン−メタクリル酸−メタクリル酸ブチル−アルキルアリルスルホコハク酸ナトリウム塩の共重合体)の水性分散液である微粒子分散液を得た。
得られた微粒子分散液を電気泳動光散乱光度計(ELS−800、大塚電子株式会社製)で測定したところ、体積平均粒径は0.08μmであった。
微粒子分散液の一部を乾燥して樹脂分を単離し、該樹脂分のフローテスター測定により求めたガラス転移温度は74℃であった。
−水系媒体の調製−
イオン交換水300質量部、微粒子分散液300質量部、及びドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム0.2質量部を混合撹拌し、均一に溶解させて水系媒体を調製した。
−マスターバッチの作製−
水1,000質量部、及びカーボンブラック(Printex35、デグサ社製、DBP吸油量42mL/100g、pH:9.5)530質量部、及び1,200質量部の結着樹脂1を、ヘンシェルミキサー(三井鉱山株式会社製)を用いて混合した。
二本ロールを用いて、得られた混合物を150℃で30分間混練した後、圧延冷却し、パルペライザー(ホソカワミクロン株式会社製)で粉砕して、マスターバッチを作製した。
−トナー1の作製−
反応容器内に結着樹脂1を100質量部、及び酢酸エチル100質量部を加えて攪拌して、樹脂溶液1を調製した。
次に、樹脂溶液1にカルナウバワックス(分子量1,800、酸価2.7mgKOH/g、針入度1.7mm(40℃))5質量部、及び前記作製したマスターバッチ5質量部を仕込み、ビーズミルのウルトラビスコミル(アイメックス社製)を用いて、送液速度1kg/時間、ディスク周速度6m/秒間で、粒径が0.5mmジルコニアビーズを80体積%充填した条件で3パスし、トナー材料液を得た。
次に、容器内に水系媒体150質量部を入れ、TK式ホモミキサー(特殊機化工業株式会社製)を用いて、12,000rpmで攪拌しながら、トナー材料液100質量部を添加し、10分間混合して乳化スラリーを得た。
更に、攪拌機、及び温度計をセットしたコルベンに、乳化スラリー100質量部を仕込み、攪拌周速20m/分間で攪拌しながら、30℃で10時間脱溶剤し、分散スラリーを得た。
次に、得られた分散スラリー100質量部を減圧濾過し、得られた濾過ケーキにイオン交換水100質量部を添加し、TK式ホモミキサーを用いて、12,000rpmで10分間混合した後、濾過した。
得られた濾過ケーキにイオン交換水300質量部を添加し、TK式ホモミキサーを用いて、12,000rpmで10分間混合した後、濾過する操作を2回行った。得られた濾過ケーキに10質量%水酸化ナトリウム水溶液20質量部を添加し、TK式ホモミキサーを用いて、12,000rpmで30分間混合した後、減圧濾過した。得られた濾過ケーキにイオン交換水300質量部を添加し、TK式ホモミキサーを用いて、12,000rpmで10分間混合した後、濾過した。得られた濾過ケーキにイオン交換水300質量部を添加し、TK式ホモミキサーを用いて、12,000rpmで10分間混合した後、濾過する操作を2回行った。得られた濾過ケーキに10質量%塩酸20質量部を添加し、TK式ホモミキサーを用いて、12,000rpmで10分間混合した後、フッ素系第四級アンモニウム塩化合物(フタージェントF−310、ネオス社製)を、フッ素系四級アンモニウム塩がトナーの固形分100質量部に対して0.1質量部相当になるよう5質量%メタノール溶液を添加し、10分間攪拌した後、濾過した。得られた濾過ケーキにイオン交換水300質量部を添加し、TK式ホモミキサーを用いて、12,000rpmで10分間混合した後、濾過する操作を2回行い、濾過ケーキを得た。
循風乾燥機を用いて、得られた濾過ケーキを40℃で36時間乾燥し、目開きが75μmのメッシュで篩い、トナー母体粒子1を作製した。
次に、トナー母体粒子1の100質量部に対し、疎水性シリカ(キャボット社製、TS720)を1.5質量部添加し、ヘンシェルミキサーにて3,000rpmで5分間ブレンドして、トナー1を得た。
(実施例2〜10)
−トナー2〜10の作製−
実施例1において、結着樹脂1を前記合成した結着樹脂2〜9、16に代えた以外は、実施例1と同様にして、実施例2〜10のトナー2〜10を作製した。
(比較例1〜8)
−トナー11〜18の作製−
実施例1において、結着樹脂1を前記合成した結着樹脂10〜15、17、18に代えた以外は、実施例1と同様にして、比較例1〜8のトナー11〜18を作製した。
−キャリアの作製−
トルエン100質量部に、シリコーン樹脂(東レ・ダウコーニングシリコーン社製、SR2411)100質量部、γ−(2−アミノエチル)アミノプロピルトリメトキシシラン5質量部、及びカーボンブラック10質量部を添加し、ホモミキサーで20分間分散させて、コート層形成液を調製した。該コート層形成液を、流動床型コーティング装置を用い、平均粒径50μmの球状マグネタイト1,000質量部の表面にコーティングして磁性キャリアを作製した。
−現像剤の作製−
実施例1〜10及び比較例1〜8の各トナー5質量部と前記キャリア95質量部とをボールミルで混合し、実施例1〜10及び比較例1〜8の各二成分現像剤を製造した。
次に、得られた各現像剤について、以下のようにして、耐熱保存性、低温定着性、トナー飛散性、及び地汚れを測定した。結果を表5−3に示す。
<耐熱保存性(針入度)>
50mLのガラス容器に各トナーを充填し、50℃の恒温槽に24時間放置した後、24℃に冷却し、針入度試験(JIS K2235−1991)により針入度(mm)を測定し、下記基準に基づいて評価した。なお、前記針入度の値が大きいほど耐熱保存性が優れていることを示し、針入度が5mm未満の場合には、使用上問題が発生する可能性が高い。
〔評価基準〕
◎:針入度が25mm以上
○:針入度が15mm以上25mm未満
△:針入度が5mm以上15mm未満
×:針入度が5mm未満
<低温定着性(定着下限温度)>
定着ローラとしてテフロン(登録商標)ローラを使用した複写機(MF−200、株式会社リコー製)の定着部を定着ローラの温度を変えられるように改造した装置を用いて、各現像剤を前記装置にセットし、通紙及び厚紙の転写紙(株式会社リコー製のタイプ6200及びNBSリコー社製の複写印刷用紙<135>)にベタ画像で、0.85±0.1mg/cmのトナー付着量で低温定着性を評価した。定着ローラの温度を変化させて定着試験を行い、定着下限温度は、得られた定着画像をパットで擦った後の画像濃度の残存率が70%以上となる定着ローラの温度をもって定着下限温度とし、下記基準で評価した。
〔評価基準〕
◎:定着下限温度が120℃未満
○:定着下限温度が120℃以上130℃未満
△:定着下限温度が130℃以上140℃未満
×:定着下限温度が140℃以上
<トナー飛散性>
画像面積率7%のチャートを、タンデム型カラー画像形成装置(imagio Neo 450、株式会社リコー製)を用いて3万枚連続出力した際の機内のトナー汚染の程度を目視にて、下記基準により4段階で評価した。△以上が実用可能である。
〔評価基準〕
◎:機内のトナー汚染がまったくなく、優良な状態である。
○:機内のトナー汚染がなく、良好な状態である。
△:機内のトナー汚染があるが、実使用可能なレベルである。
×:機内のトナー汚染がひどく、実使用不可能なレベルである。
<地汚れ>
画像面積率7%のチャートを、タンデム型カラー画像形成装置(imagio Neo450、株式会社リコー製)を用いて3万枚連続出力した際の画像背景部の地汚れの程度を目視により、下記基準により評価した。△以上が実用可能である。
〔評価基準〕
○:画像背景部に地汚れの発生がない。
△:画像背景部に地汚れがやや発生している。
×:画像背景部に地汚れが発生している。
表5−1から表5−3の結果から、結着樹脂の昇温速度5℃/分での示差走査熱量(DSC)測定においてガラス転移温度がTg1及びTg2の2箇所に所定の温度帯で観察され、タッピングモード原子間力顕微鏡(AFM)によって観察される結着樹脂の位相像(第1の位相差像)における平均径が100nm未満であり、末端に含環骨格分子を導入した結着樹脂を用いた実施例1〜9のトナーは、いずれも良好な低温定着性と幅広い定着可能な温度領域、及び耐熱保存性が高い次元で両立され、また長時間の連続印刷時における機械的ストレス下でも良好な印刷画像が得られることが確認できた。
これに対して、比較例1は、ガラス転移温度Tg2が低く、耐熱保存性が悪化した。
また、比較例2は、ガラス転移温度Tg1が低く、低温定着性には有効であったものの、耐熱保存性が悪化した。
また、比較例3は、開始剤として用いた前記骨格BのTgは十分に低いものの、合成された結着樹脂がDSC測定、タッピングモードAFMの結果から低Tgユニットが内部で分散された構造をとらず、良好な低温定着性が発現しないことが確認された。
また、比較例4は、開始剤として用いた前記骨格BのTgが高く、タッピングモードAFMによる結着樹脂の軟質及び硬質部位が共存するような分散構造を有さなかった。その結果、低温定着性を実現し得なかった。
また、比較例5は、片末端から開環重合させることで得たポリ乳酸樹脂を用いたので、相分離構造を有する骨格は得られず、定着下限温度、耐熱保存性、トナー飛散性、及び地汚れのいずれも所望の特性を得ることはできなかった。
また、比較例6は、第1の位相差像の平均径が100nm未満であり、低温定着性及び耐熱保存性のいずれも良好な結果を示したが、結着樹脂が末端に含環骨格性分子を有さないため、トナーとしての機械的強度が実施例のトナーと比較して弱くなり、トナー飛散性及び地汚れにおいては所望の特性を得ることができなかった。
本発明の態様としては、以下のとおりである。
<1> 少なくとも結着樹脂及び着色剤を含有してなり、
前記結着樹脂が、昇温速度5℃/分での示差走査熱量測定におけるガラス転移温度Tg1及びTg2の2つを有し、前記ガラス転移温度Tg1が−20℃〜20℃であり、前記ガラス転移温度Tg2が35℃〜65℃であり、
前記結着樹脂がポリエステル骨格と、末端に含環骨格分子とを有し、かつヒドロキシカルボン酸が脱水縮合された構成単位を繰返し構造に有するポリエステル骨格Aと、ヒドロキシカルボン酸が脱水縮合された構成単位を繰り返し構造に含まない骨格Bとをブロック共重合させてなることを特徴とするトナーである。
<2> ガラス転移温度Tg1におけるベースライン間の熱流量の差h1と、ガラス転移温度Tg2におけるベースライン間の熱流量の差h2との比h1/h2が1.0未満である前記<1>に記載のトナーである。
<3> タッピングモード原子間力顕微鏡によって観察される結着樹脂の位相像を、該位相像における位相差の最大値と位相差の最小値との中間の境界値で二値化処理した二値化像において、前記境界値より位相差が大きい部位からなる第1の位相差像と、前記境界値より位相差が小さい部位からなる第2の位相差像とを有し、
前記第1の位相差像が前記第2の位相差像中に分散されてなり、前記第1の位相差像の平均径が100nm未満である前記<1>から<2>のいずれかに記載のトナーである。
<4> ヒドロキシカルボン酸が脱水縮合された構成単位を繰り返し構造に含まない骨格Bが、ヒドロキシカルボン酸が脱水縮合された構成単位を繰り返し構造に含まないポリエステルである前記<1>から<3>のいずれかに記載のトナーである。
<5> ヒドロキシカルボン酸が脱水縮合された構成単位を繰り返し構造に含まないポリエステルが分岐構造を有する前記<4>に記載のトナーである。
<6> 結着樹脂における骨格Bの質量比率が25質量%以上50質量%以下である前記<1>から<5>のいずれかに記載のトナーである。
<7> 結着樹脂の数平均分子量Mnが20,000以下である前記<1>から<6>のいずれかに記載のトナーである。
<8> 結着樹脂における骨格Bの数平均分子量が3,000以上5,000以下である前記<1>から<7>のいずれかに記載のトナーである。
<9> 前記<1>から<8>のいずれかに記載のトナーと、キャリアとを含むことを特徴とする現像剤である。
<10> 静電潜像担持体と、該静電潜像担持体上に静電潜像を形成する静電潜像形成手段と、前記静電潜像をトナーを用いて現像して可視像を形成する現像手段と、前記可視像を記録媒体に転写する転写手段と、前記記録媒体に転写された転写像を定着させる定着手段とを少なくとも有する画像形成装置であって、
前記トナーが、前記<1>から<8>のいずれかに記載のトナーであることを特徴とする画像形成装置である。
10 感光体(感光体ドラム)
10K ブラック用静電潜像担持体
10Y イエロー用静電潜像担持体
10M マゼンタ用静電潜像担持体
10C シアン用静電潜像担持体
14 支持ローラ
15 支持ローラ
16 支持ローラ
17 中間転写クリーニング装置
18 画像形成手段
20 帯電ローラ
21 露光装置
22 二次転写装置
23 ローラ
24 二次転写ベルト
25 定着装置
26 定着ベルト
27 加圧ローラ
28 シート反転装置
30 露光装置
32 コンタクトガラス
33 第1走行体
34 第2走行体
35 結像レンズ
36 読取りセンサ
40 現像装置
41 現像ベルト
42K 現像剤収容部
42Y 現像剤収容部
42M 現像剤収容部
42C 現像剤収容部
43K 現像剤供給ローラ
43Y 現像剤供給ローラ
43M 現像剤供給ローラ
43C 現像剤供給ローラ
44K 現像ローラ
44Y 現像ローラ
44M 現像ローラ
44C 現像ローラ
45K ブラック用現像ユニット
45Y イエロー用現像ユニット
45M マゼンタ用現像ユニット
45C シアン用現像ユニット
49 レジストローラ
50 中間転写体
51 ローラ
52 コロナ帯電器
53 定電流源
55 切換爪
56 排出ローラ
57 排紙トレイ
58 分離ローラ
60 クリーニング装置
61 現像器
62 転写帯電器
63 感光体クリーニング装置
64 除電器
70 除電ランプ
80 転写ローラ
90 クリーニングブレード
95 記録媒体
100 画像形成装置
120 タンデム型現像器
130 原稿台
142 給紙ローラ
143 ペーパーバンク
144 給紙カセット
145 分離ローラ
146 給紙路
147 搬送ローラ
148 給紙路
150 複写装置本体
200 給紙テーブル
300 スキャナ
400 原稿自動搬送装置(ADF)
特許第2909873号公報 特許第3347406号公報 特開昭59−96123号公報 特許第3785011号公報 特開2008−262179号公報 特開2004−310018号公報

Claims (10)

  1. 少なくとも結着樹脂及び着色剤を含有してなり、
    前記結着樹脂が、昇温速度5℃/分での示差走査熱量測定におけるガラス転移温度Tg1及びTg2の2つを有し、前記ガラス転移温度Tg1が−20℃〜20℃であり、前記ガラス転移温度Tg2が35℃〜65℃であり、
    前記結着樹脂がポリエステル骨格と、末端に含環骨格分子とを有し、かつヒドロキシカルボン酸が脱水縮合された構成単位を繰返し構造に有するポリエステル骨格Aと、ヒドロキシカルボン酸が脱水縮合された構成単位を繰り返し構造に含まない骨格Bとをブロック共重合させてなることを特徴とするトナー。
  2. ガラス転移温度Tg1におけるベースライン間の熱流量の差h1と、ガラス転移温度Tg2におけるベースライン間の熱流量の差h2との比h1/h2が1.0未満である請求項1に記載のトナー。
  3. タッピングモード原子間力顕微鏡によって観察される結着樹脂の位相像を、該位相像における位相差の最大値と位相差の最小値との中間の境界値で二値化処理した二値化像において、前記境界値より位相差が大きい部位からなる第1の位相差像と、前記境界値より位相差が小さい部位からなる第2の位相差像とを有し、
    前記第1の位相差像が前記第2の位相差像中に分散されてなり、前記第1の位相差像の平均径が100nm未満である請求項1から2のいずれかに記載のトナー。
  4. ヒドロキシカルボン酸が脱水縮合された構成単位を繰り返し構造に含まない骨格Bが、ヒドロキシカルボン酸が脱水縮合された構成単位を繰り返し構造に含まないポリエステルである請求項1から3のいずれかに記載のトナー。
  5. ヒドロキシカルボン酸が脱水縮合された構成単位を繰り返し構造に含まないポリエステルが分岐構造を有する請求項4に記載のトナー。
  6. 結着樹脂における骨格Bの質量比率が25質量%以上50質量%以下である請求項1から5のいずれかに記載のトナー。
  7. 結着樹脂の数平均分子量Mnが20,000以下である請求項1から6のいずれかに記載のトナー。
  8. 結着樹脂における骨格Bの数平均分子量が3,000以上5,000以下である請求項1から7のいずれかに記載のトナー。
  9. 請求項1から8のいずれかに記載のトナーと、キャリアとを含むことを特徴とする現像剤。
  10. 静電潜像担持体と、該静電潜像担持体上に静電潜像を形成する静電潜像形成手段と、前記静電潜像をトナーを用いて現像して可視像を形成する現像手段と、前記可視像を記録媒体に転写する転写手段と、前記記録媒体に転写された転写像を定着させる定着手段とを少なくとも有する画像形成装置であって、
    前記トナーが、請求項1から8のいずれかに記載のトナーであることを特徴とする画像形成装置。
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