JP5428411B2 - 静電荷像現像用トナー、静電荷像現像剤、画像形成方法及び画像形成装置 - Google Patents

静電荷像現像用トナー、静電荷像現像剤、画像形成方法及び画像形成装置 Download PDF

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Description

本発明は、静電荷像現像用トナー、静電荷像現像剤、画像形成方法及び画像形成装置に関する。
ランダムな単量体連鎖を有する付加重合型樹脂、重縮合型樹脂を結着樹脂として使用した静電荷像現像用トナーでは、圧力よりも、加熱による定着促進が主体であった。
電子写真方式によるプリント、コピー技術において、昨今、より低エネルギー化を目的として、これまでの熱エネルギー主体の定着方式から圧力による定着(圧力定着)を利用する取り組みがなされている(特許文献1〜4参照)。
特許文献1には、粒子径が約0.5ないし約1,000ミクロンの範囲にありかつその集塊温度が少なくとも約37.8℃であるトナー粒子からなり、着色剤と、接着性のある軟質の固体ポリマーの核材料と、磁性粒子とをポリマーからなる殻材料でカプセル被覆してなる、静電複写磁性トナー材料が開示されている。
また、特許文献2には、ビス脂肪酸アミド類を30〜70重量部含有する組成物を、結着剤成分として含むことを特徴とする圧力定着トナーが開示されている。
特許文献3には、密度0.94g/cm3以上のポリエチレンとC12〜C99の炭素連鎖を有する長鎖化合物とを含有するトナー材料を溶融状態で噴霧して微粒化したことを特徴とするトナーが開示されている。
特許文献4には、芯材と該芯材を被覆するための外壁とを有するマイクロカプセル型トナーにおいて、該芯材が重量平均分子量/数平均分子量の値が3.5〜20のビニル系重合体を主成分として含有することを特徴とするマイクロカプセル型トナーが開示されている。
一方、被転写体として厚紙を使用する場合には、用紙に消費される熱エネルギーが大きくなるため、定着ロールの温度変動が発生しやすく、用紙内、用紙間における温度が不均一となり、画像光沢性の不均一が生じるなどの問題があった。特に、高速定着で顕著であり、画質品位の低下が問題となっていた。
常温又は低温度加熱により定着でき、かつ特にグラフィック・アーツ領域の厚紙を使用した場合にも画像光沢の均一性が得られ、かつ消費エネルギーの低減された静電荷像現像用トナーが求められていた。
特開昭49−17739号公報 特開昭58−86557号公報 特開昭57−201246号公報 特開昭61−56355号公報
本発明が解決しようとする課題は、最低定着温度が低くても、高画質で信頼性の高い画像を与えることができる静電荷像現像用トナーを提供することである。
本発明は、下記の<1>〜<6>に記載の手段により解決された。
<1>低Tgブロック及び高Tgブロックを有するブロック共重合体を結着樹脂として含み、フローテスター印加圧力10MPaにおいて粘度が104Pa・sになるときの温度T(10MPa)と、フローテスター印加圧力1MPaにおいて粘度が104Pa・sになるときの温度T(1MPa)とが、20℃≦T(1MPa)−T(10MPa)の関係を満たすことを特徴とする静電荷像現像用トナー、
<2>前記ブロック共重合体が、低Tgの脂肪族ポリエステルブロック及び高Tgの脂肪族ポリエステルブロックよりなる、前記<1>に記載の静電荷像現像用トナー、
<3>前記低Tgの脂肪族ポリエステルブロックが環状エステル化合物を開環重合して得た脂肪族ポリエステルであり、前記高Tgの脂肪族ポリエステルブロックが環状エステル化合物を開環重合して得た脂肪族ポリエステルである、前記<2>に記載の静電荷像現像用トナー、
<4>前記<1>〜<3>いずれか1つに記載の静電荷像現像用トナーとキャリアとを含むことを特徴とする静電荷像現像剤、
<5>潜像保持体表面に静電潜像を形成する静電潜像形成工程、前記潜像保持体表面に形成された静電潜像をトナー又は前記トナーとキャリアとを含む静電荷像現像剤により現像してトナー像を形成する現像工程、前記潜像保持体表面に形成されたトナー像を被転写体表面に転写する転写工程、及び、前記被転写体表面に転写されたトナー像を加圧して定着する定着工程を含み、前記トナーが前記<1>〜<3>いずれか1つに記載の静電荷像現像用トナー又は前記現像剤が前記<4>に記載の静電荷像現像剤であり、前記定着工程の定着圧力が1〜10MPaであることを特徴とする画像形成方法、
<6>潜像保持体、前記潜像保持体を帯電させる帯電手段、帯電した前記潜像保持体を露光して前記潜像保持体上に静電潜像を形成させる露光手段、現像剤により前記静電潜像を現像してトナー像を形成させる現像手段、前記トナー像を前記潜像保持体から被転写体に転写する転写手段、及び、前記被転写体表面に転写された前記トナー像を加圧又は加熱加圧して定着する定着手段を有し、前記定着手段における加圧又は加熱加圧の圧力が1〜10MPaであり、前記トナーが前記<1>〜<3>いずれか1つに記載の静電荷像現像用トナー又は前記静電荷像現像剤が前記<4>に記載の静電荷像現像剤であることを特徴とする画像形成装置。
前記<1>に記載の実施形態によれば、最低定着温度が低くても、高画質で信頼性の高い画像を与えることができる静電荷像現像用トナーを提供することができた。
前記<2>に記載の実施形態によれば、最低定着温度がより低く、生分解性に優れた静電荷像現像用トナーを提供することができた。
前記<3>に記載の実施形態によれば、環状エステル化合物を用いることにより、ブロック構造が精密に制御できるため、圧力流動の応答性が高く、光沢が均一な定着画像を得られる静電荷像現像用トナーを提供することができた。
前記<4>に記載の実施形態によれば、最低定着温度が低く、高画質で信頼性の高い静電荷像現像剤を提供することができた。
前記<5>に記載の実施形態によれば、最低定着温度が低く、高画質で信頼性の高い画像形成方法を提供することができた。
前記<6>に記載の実施形態によれば、最低定着温度が低く、高画質で信頼性の高い画像形成装置を提供することができた。
I.静電荷像現像用トナー
本実施形態の静電荷像現像用トナーは、低Tgブロック及び高Tgブロックを有するブロック共重合体を結着樹脂として含み、フローテスター印加圧力10MPaにおいて粘度が104Pa・sになるときの温度T(10MPa)と、フローテスター印加圧力1MPaにおいて粘度が104Pa・sになるときの温度T(1MPa)とが、20℃≦T(1MPa)−T(10MPa)の関係を満たすことを特徴とする。本実施形態においては、前記ブロック共重合体が、低Tgの脂肪族ポリエステルブロック及び高Tgの脂肪族ポリエステルブロックよりなることが好ましい。以下、本実施形態の静電荷像現像用トナーについて説明する。
低Tgブロック(以下、「低Tg樹脂」ともいう。)と高Tgブロック(以下、「高Tg樹脂」ともいう。)とがブロック共重合体を形成している場合、そのような樹脂は圧力に対して可塑挙動を示し、一定以上の加圧下においては、常温領域でも流動性を示す。また、若干の加熱下であればこのような可塑化流動挙動は促進され、より低圧の加圧下でも定着に必要な樹脂流動性を得ることができると考えられる。
静電荷像現像用トナーが、フローテスター印加圧力10MPaにおいて粘度が104Pa・sになるときの温度T(10MPa)と、フローテスター印加圧力1MPaにおいて粘度が104Pa・sになるときの温度T(1MPa)とが、20℃≦T(1MPa)−T(10MPa)の関係を満たす場合、定着温度の低温化に寄与する。
本実施形態においては、低Tgブロックと高Tgブロックとを含むブロック共重合体を使用することにより、一定以上の加圧下での流動性を付与することができ、それ以下の圧力においては、極めて固体的に振る舞わせることができる。従って、加圧定着時以外の現像、転写、クリーニング工程等における信頼性の向上を図ることができる。
特に、加圧により可塑化流動挙動が得られるため、定着時に温度変動が発生しやすい厚紙への定着に好適に使用することができる。これまでは、高速定着が困難であり、定着速度を落としたり、高い加熱温度設定を行わないと困難であった厚紙への定着も、薄紙への定着と同様の定着速度や温度設定で行うことが可能である。
T(1MPa)−T(10MPa)の値は20℃以上である。即ち、低TgブロックのTgは、高TgブロックのTgより20℃以上低いことが重要であり、30℃以上低いことが好ましい。高TgブロックのTgと低TgブロックのTgとのTg差が20℃未満になると圧力可塑化挙動が十分観測されず、定着時(特に厚紙定着時)の定着温度や定着圧力が高くせざるを得ず、特に定着圧力の増加は用紙カールなど被記録媒体へのダメージを招く。
また、低Tgブロックは、結晶性樹脂又は非結晶性樹脂のいずれでもよいが、結晶性樹脂である場合には、その結晶融点が40〜150℃であることが好ましく、50〜120℃であることがより好ましく、特に50〜90℃であることが好ましい。結晶融点が上記範囲内であると、得られるトナーの耐ブロッキング性が良好であり、また低温においても良好な溶融流動性が得られ、定着性が良好であるので好ましい。
結晶性樹脂の融点は、示差走査熱量測定法(DSC)に従い、例えば「DSC−20」(セイコーインスツル(株)製)によって測定でき、具体的には、試料約10mgを一定の昇温速度(10℃/min)で室温から150℃まで毎分10℃の昇温速度で測定を行った時のJIS K−7121:87に示す入力補償示差走査熱量測定の融解ピーク温度として求めることができる。なお、結晶性樹脂には、複数の融解ピークを示す場合があるが、本実施形態においては、最大のピークをもって融点とみなす。
なお、「結晶性」とは、示差走査熱量測定(DSC)において、階段状の吸熱変化ではなく、明確な吸熱ピークを有することを示し、具体的には、昇温速度10℃/minで測定した際の吸熱ピークの半値幅が15℃以内であることを意味する。一方、吸熱ピークの半値幅が15℃を越える樹脂や、明確な吸熱ピークが認められない樹脂は、非結晶性(非晶質)であることを意味する。
また、前記低TgブロックのTgは、0℃以下であることが好ましく、−100〜0℃であることがより好ましい。上記範囲内であると定着性が良好である。
高TgブロックのTgは、45〜120℃であることが好ましく、50〜100℃の範囲にあることがより好ましい。高Tg樹脂のTgが45℃以上であると、トナーとしての保管性に優れ、輸送時やプリンターなどの機内においてケーキングや、連続プリント時などに感光体へのフィルミングが発生しにくく、また、画質欠陥も起こりにくい。また、高TgブロックのTgが120℃以下であると、定着時(特に厚紙定着時)の定着温度が適度であり、カールなど被記録体へのダメージを生じにくい。また、高温度域での結着樹脂自体の凝集力が良好で、定着の際にホットオフセットが生じにくい。また、高TgブロックのTgが、80℃以下であると十分な溶融が得られ、最低定着温度の上昇が起こらないため好ましい。
ここで、低Tgブロック及び高Tgブロックのガラス転移点は、ASTM D3418−82に規定された方法(DSC法)で測定した値のことをいう。また、本実施形態におけるガラス転移点の測定は、例えば、示差走査熱量測定法(DSC)に従い、例えば、「DSC−20」(セイコーインスツル(株)製)によって測定でき、具体的には、試料約10mgを一定の昇温速度(10℃/min)で加熱し、ベースラインと吸熱ピークの傾線との交点よりガラス転移点を得ることができる。
フローテスター印加圧力1MPaにおいて粘度が104Pa・sになる温度T(1MPa)が100℃以上であることが好ましく、100〜140℃であることがより好ましい。
フローテスター印加圧力10MPaにおいて粘度が104Pa・sになる温度T(10MPa)が80℃以下であることが好ましく、40〜80℃であることがより好ましい。
(ブロック共重合体)
本実施形態におけるブロック共重合体は、低Tgブロック及び高Tgブロックとして、少なくとも二つのTgの異なるポリエステルブロックを有するブロック共重合体であることが好ましい。
結着樹脂として、前記ブロック共重合体を含む静電荷像現像用トナーは、圧力に対して可塑挙動を示し、一定以上の加圧下においては、常温領域でも流動性を示す。また、若干の加熱下であればこのような可塑化流動挙動は促進され、より低圧の加圧下でも定着に必要な樹脂流動性を得ることができると考えられる。
高Tg及び低Tgのポリエステルブロックを含むブロック共重合体は、いずれの方法により得てもよい。具体的には、高Tgのポリエステル樹脂(1)と低Tgのポリエステル樹脂(2)を混合して、高分子化反応により得る方法、高Tgのポリエステル樹脂(1)に低Tgのポリエステル樹脂(2)を形成する単量体を混合して重合する方法又はその逆の方法などを使用することができる。これらの中でも高Tgのポリエステル樹脂(1)に低Tgのポリエステル樹脂(2)を形成する単量体を混合して重合する方法又はその逆の方法が好ましい。
本実施形態に好ましく使用することができるポリエステルブロックは、例えば、脂肪族、脂環族、芳香族の多価カルボン酸又はそれらのアルキルエステルと、多価アルコール又はそれらのエステル化合物、ヒドロキシカルボン酸、環状エステル化合物などの重縮合単量体を用い、水系媒体中での直接エステル化反応、エステル交換反応等により重縮合を行い作製することができる。
本実施形態においては、前記ブロック共重合体が、低Tgの脂肪族ポリエステルブロック及び高Tgの脂肪族ポリエステルブロックよりなることが好ましく、芳香族基を含まないことが好ましい。
また、前記低Tgの脂肪族ポリエステルブロックが環状エステル化合物(以下、「低Tg用環状エステル化合物」ともいう。)を開環重合して得た脂肪族ポリエステルであり、前記高Tgの脂肪族ポリエステルブロックが環状エステル化合物(以下、「高Tg用環状エステル化合物」ともいう。)を開環重合して得た脂肪族ポリエステルであることが好ましい。
かかる環状エステル化合物を使用して得た脂肪族ポリエステル樹脂は、生分解性に優れるため、かかる生分解性ポリエステル樹脂を結着樹脂として使用することにより環境負荷の少ない静電荷像現像用トナーを提供することができる。以下、本実施形態に好ましく用いることができる高Tgブロック及び低Tgブロックについて説明する。
(高Tgブロック)
高Tgブロックは、以下に詳述する高Tg用環状エステル化合物を開環重合して得た脂肪族ポリエステルであることが好ましい。
前記高Tg用環状エステル化合物としては、α−ヒドロキシカルボン酸の二分子間環状エステル化合物(以下、「環状二量体」ともいう。)が好ましい。
二分子間環状エステル化合物を形成するα−ヒドロキシカルボン酸としては、例えば、グリコール酸、L−及び/又はD−乳酸、α−ヒドロキシ酪酸、α−ヒドロキシイソ酪酸、α−ヒドロキシ吉草酸、α−ヒドロキシカプロン酸、α−ヒドロキシイソカプロン酸、α−ヒドロキシヘプタン酸、α−ヒドロキシオクタン酸、α−ヒドロキシデカン酸、α−ヒドロキシミリスチン酸、α−ヒドロキシステアリン酸及びこれらの低級アルキルエステルなどが挙げられ、中でもL−及び/又はD−乳酸が好ましい。
これらの高Tg用環状エステル化合物は、それぞれ単独で、あるいは2種以上を組み合わせて使用することができる。2種以上の高Tg用環状エステル化合物を使用することにより、任意の脂肪族コポリエステルを得ることができる。
高Tg用環状エステル化合物は、所望により、共重合可能なその他のコモノマーと共重合させることができる。他のコモノマーとしては、例えば、トリメチレンカーボネート、1,3−ジオキサンなどの環状モノマー、前述のα−ヒドロキシカルボン酸、シュウ酸エチレン、脂肪族ジオールと脂肪族ジカルボン酸との等モル混合物などが挙げられるが、本実施形態においては、グリコール酸の環状二量体であるグリコリド、L−又はD−乳酸の環状二量体であるL−又はD−ラクチド及びこれらの混合物が好ましく、L−又はD−ラクチドを単独で用いたものがより好ましい。
グリコリド及びラクチドの製造方法は、特に限定されないが、例えばグリコリドの場合には、グリコール酸オリゴマーを熱解重合することにより得ることができる。グリコール酸オリゴマーの解重合法として、例えば、米国特許第2,668,162号明細書に記載の溶融解重合法、特開2000−119269号公報に記載の固相解重合法、特開平9−328481号公報に記載の溶液解重合法などを採用することができる。K.ChujoらのDie Makromolekulare Cheme,100(1967),262−266に報告されているクロロ酢酸塩の環状縮合物として得られるグリコリドも用いることができる。
二分子間環状エステル化合物に由来するモノマー単位は、低Tgブロック中に50〜100重量%含まれていることが好ましく、80〜100重量%含まれていることがより好ましく、100重量%含まれていることがさらに好ましい。
(低Tgブロック)
低Tgブロックは、以下に詳述する低Tg用環状エステル化合物を開環重合して得た脂肪族ポリエステルであることが好ましい。低Tg用環状エステル化合物としては、式(I)で表される高Tg用環状エステル化合物がより好ましい。
Figure 0005428411
(式(I)で表される高Tg用環状エステル化合物は環員数3〜10の環状エステル化合物を表し、R1はそれぞれ独立に環を形成する炭素原子に結合したアルキル基又はアルコキシ基を表し、Xはメチレン基又は酸素原子を表し、nは0〜5の整数を表し、2以上のR1が互いに結合して環を形成していてもよい。)
式(I)で表される高Tg用環状エステル化合物は、環員数3〜10の環状エステル化合物を表し、その環員数は3〜8が好ましく、4〜7がより好ましい。
式(I)で表される高Tg用環状エステル化合物中にn個含まれるR1は、それぞれ独立にアルキル基又はアルコキシ基を表す。前記アルキル基又は前記アルコキシ基に含まれるアルキル基は、直鎖、分岐若しくは環状構造を有していてもよい炭素数10以下のアルキル基であることが好ましく、炭素数1〜5のアルキル基であることがより好ましい。2以上のR1が互いに結合して環を形成する場合には、式(I)で表される高Tg用環状エステル化合物の環を形成する炭素原子のうち、同一の炭素原子上に結合した2つのR1が結合して環を形成することが好ましく、酸素原子を1又は2個含む環状エーテルを形成することがより好ましく、環員数3〜8の環状エーテルを形成することがさらに好ましい。
nは0〜5の整数を表す。
また、Xはメチレン基又は酸素原子を表す。
Xがメチレン基である場合には、nは0〜3の整数であることが好ましく、2つのR1が結合して前記環状エーテルを形成することがより好ましい。
Xが酸素原子である場合には、nは0〜3の整数であることが好ましく、0であることがより好ましい。
本実施形態に用いることができる式(I)で表される高Tg用環状エステル化合物としては、1,4−ジオキサン−2−オン、1,4−ジオキセパン−2−オン、1,5−ジオキセパン−2−オン、5−エチレンケタール−ε−カプロラクトン、β−プロピオラクトン、β−ブチロラクトン、ピバロラクトン、γ−ブチロラクトン、δ−バレロラクトン、β−メチル−δ−バレロラクトン、ε−カプロラクトン等が挙げられ、中でも1,5−ジオキセパン−2−オン、5−エチレンケタール−ε−カプロラクトンが好ましい。
式(I)で表される低Tg用環状エステル化合物は、所望により、共重合可能なその他のコモノマーと共重合させることができる。他のコモノマーとしては、例えば、前記二分子間環状エステル化合物及びラクトン類、トリメチレンカーボネート、1,3−ジオキサンなどの環状モノマー、前述のα−ヒドロキシカルボン酸、シュウ酸エチレン、並びに、脂肪族ジオールと脂肪族ジカルボン酸との等モル混合物などが挙げられるが、本実施形態においては、前記二分子間環状エステル化合物及びラクトン類が好ましく、ラクトン類がより好ましい。
式(I)で表される低Tg用環状エステル化合物に由来するモノマー単位は、低Tgブロック中50〜100重量%含まれていることが好ましく、80〜100重量%含まれていることがより好ましく、90〜100重量%が含まれていることがさらに好ましい。上記範囲内であると、圧力流動性が良好であるため好ましい。
(触媒)
本発明で使用する触媒は、前記の如き各種環状エステルの開環重合触媒として使用されているものであればよく、特に限定されない。このような触媒としては、例えば、スズ(Sn)、チタン(Ti)、アルミニウム(Al)、アンチモン(Sb)、ジルコニウム(Zr)、亜鉛(Zn)など金属化合物の酸化物、塩化物、カルボン酸塩、アルコキシドなどが挙げられる。
より具体的には、例えば、ハロゲン化スズ(例えば、二塩化スズ、四塩化スズなど)、有機カルボン酸スズ(例えば、オクタン酸スズ、オクチル酸スズ)などのスズ系化合物;アルコキシチタネートなどのチタン系化合物;アルコキシアルミニウムなどのアルミニウム系化合物;ジルコニウムアセチルアセトンなどのジルコニウム系化合物;ハロゲン化アンチモンなどを挙げることができるが、これらに限定されるものではない。中でも本実施形態においては、有機カルボン酸スズが好ましく、オクタン酸スズがより好ましい。
また、特開2007−114635号公報に記載された触媒も本実施形態における触媒として使用することができる。具体的には以下の通りのものを用いることができる。
硫黄酸触媒としては、例えばドデシルベンゼンスルホン酸、イソプロピルベンゼンスルホン酸、しょうのうスルホン酸などのアルキルベンゼンスルホン酸、アルキルスルホン酸、アルキルジスルホン酸、アルキルフェノールスルホン酸、アルキルナフタリンスルホン酸、アルキルテトラリンスルホン酸、アルキルアリルスルホン酸、石油スルホン酸、アルキルベンゾイミダゾールスルホン酸、高級アルコールエーテルスルホン酸、アルキルジフェニルスルホン酸、モノブチルフェニルフェノール硫酸、ジブチルフェニルフェノール硫酸、ドデシル硫酸などの高級脂肪酸硫酸エステル、高級アルコール硫酸エステル、高級アルコールエーテル硫酸エステル、高級脂肪酸アミドアルキロール硫酸エステル、高級脂肪酸アミドアルキル化硫酸エステル、ナフテニルアルコール硫酸、硫酸化脂肪、スルホ琥珀酸エステル、スルホン化高級脂肪酸、樹脂酸アルコール硫酸、及びこれらすべての塩化合物などが使用できるが、これらに限定されない。またこれらの触媒は、構造中に官能基を有していてもよい。これらの触媒は必要に応じて複数を組み合わせることもできる。好ましく使用される硫黄酸触媒としては、アルキルベンゼンスルホン酸が例示でき、これらの中でも特にドデシルベンゼンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸、しょうのうスルホン酸等が好ましい。
金属触媒としては以下のものを挙げることができるが、これに限定されるものではない。例えば、有機スズ化合物、有機チタン化合物、有機ハロゲン化スズ化合物、希土類金属触媒を挙げられる。
希土類含有触媒としては具体的には、スカンジウム(Sc)、イットリウム(Y)、ランタノイド元素として、ランタン(La)、セリウム(Ce)、プラセオジウム(Pr)、ネオジウム(Nd)、サマリウム(Sm)、ユウロピウム(Eu)、ガドリニウム(Gd)、テルビウム(Tb)、ジスプロシウム(Dy)、ホルミウム(Ho)、エルビウム(Er)、ツリウム(Tm)、イッテルビウム(Yb)、ルテチウム(Lu)などを含むものが有効である。これらは、特にアルキルベンゼンスルホン酸塩、アルキル硫酸エステル塩、トリフラート構造を有するものが有効であり、前記トリフラートとしては、構造式では、X(OSO2CF33が例示できる。ここでXは、希土類元素であり、これらの中でも、Xは、スカンジウム(Sc)、イットリウム(Y)、イッテルビウム(Yb)、サマリウム(Sm)などであることが好ましい。また、ランタノイドトリフラートについては、有機合成化学協会誌、第53巻第5号、p44−54)に詳しい。
触媒として金属触媒を使用する場合には、得られる樹脂中の触媒由来の金属含有量を100ppm以下とすることが好ましく、75ppm以下とすることがより好ましく、50ppm以下とすることがさらに好ましい。したがって、金属触媒は使用しないか、又は金属触媒を使用する場合であっても、極少量使用することが好ましい。
加水分解酵素型触媒としてはエステル合成反応を触媒するものであれば特に制限はない。本発明における加水分解酵素としては、例えば、カルボキシエステラーゼ、リパーゼ、ホスホリパーゼ、アセチルエステラーゼ、ペクチンエステラーゼ、コレステロールエステラーゼ、タンナーゼ、モノアシルグリセロールリパーゼ、ラクトナーゼ、リポプロテインリパーゼ等のEC(酵素番号)3.1群(丸尾・田宮監修「酵素ハンドブック」朝倉書店、(1982)、等参照)に分類されるエステラーゼ、グルコシダーゼ、ガラクトシダーゼ、グルクロニダーゼ、キシロシダーゼ等のグリコシル化合物に作用するEC3.2群に分類される加水分解酵素、エポキシドヒドラーゼ等のEC3.3群に分類される加水分解酵素、アミノペプチダーゼ、キモトリプシン、トリプシン、プラスミン、ズブチリシン等のペプチド結合に作用するEC3.4群に分類される加水分解酵素、フロレチンヒドラーゼ等のEC3.7群に分類される加水分解酵素等を挙げることができる。
上記のエステラーゼのうち、グリセロールエステルを加水分解し脂肪酸を遊離する酵素を特にリパーゼと呼ぶが、リパーゼは有機溶媒中での安定性が高く、収率良くエステル合成反応を触媒し、さらに安価に入手できることなどの利点がある。したがって、本発明においても、収率やコストの面からリパーゼを用いることが望ましい。
リパーゼには種々の起源のものを使用できるが、好ましいものとして、シュードモナス(Pseudomonas)属、アルカリゲネス(Alcaligenes)属、アクロモバクター(Achromobacter)属、カンジダ(Candida)属、アスペルギルス(Aspergillus)属、リゾプス(Rhizopus)属、ムコール(Mucor)属等の微生物から得られるリパーゼ、植物種子から得られるリパーゼ、動物組織から得られるリパーゼ、さらに、パンクレアチン、ステアプシン等を挙げることができる。このうち、シュードモナス属、カンジダ属、アスペルギルス属の微生物由来のリパーゼを用いることが望ましい。
塩基性触媒としては、一般の有機塩基化合物、含窒素塩基性化合物、テトラブチルホスホニウムヒドロキシドなどのテトラアルキル又はアリールホスホニウムヒドロキシドを挙げることができるがこれに限定されない。有機塩基化合物としては、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド、テトラエチルアンモニウムヒドロキシド等のアンモニウムヒドロキシド類、含窒素塩基性化合物としては、トリエチルアミン、ジベンジルメチルアミン等のアミン類、ピリジン、メチルピリジン、メトキシピリジン、キノリン、イミダゾールなど、さらにナトリウム、カリウム、リチウム、セシウム等のアルカリ金属類及びカルシウム、マグネシウム、バリウム等のアルカリ土類金属類の水酸化物、ハイドライド、アミドや、アルカリ、アルカリ土類金属と酸との塩、たとえば炭酸塩、燐酸塩、ほう酸塩、カルボン酸塩、フェノール性水酸基との塩を挙げることができる。また、アルコール性水酸基との化合物やアセチルアセトンとのキレート化合物等を挙げることができるが、これらに限定されるものではない。
硫黄を含まないブレンステッド酸触媒としては、各種脂肪酸、高級アルキルリン酸エステル、樹脂酸、ナフテン酸、ニオブ酸が例示できるが、これらに限定されるものではない。
本実施形態においては、上記触媒のうちの1つ又は2つ以上を併用してもよい。
触媒の使用量は、環状エステル化合物全量に対して0.001〜1.0重量%が好ましく、0.01〜0.5重量%がより好ましい。
ブロック共重合体を形成する工程が、高Tgのポリエステル樹脂(1)及び低Tgのポリエステル樹脂(2)を構成する単量体に、触媒として有機カルボン酸スズを添加し、150℃以下にて加熱することにより得られたものであることが好ましい。反応温度は、70〜150℃であることが好ましく、より好ましくは、80〜140℃である。反応温度が70℃以上であると、単量体の溶解性、触媒活性度の低下に起因する反応性の低下が生じず、分子量の伸長が抑制されることがないので好ましい。また、反応温度が150℃以下であると、低エネルギーで製造することができるので好ましい。
なお、本実施形態においては、特開2007−114635号公報に記載されたポリエステル単量体、結晶性ポリエステル、非結晶性ポリエステルも高Tgブロック又は低Tgブロックを、本実施形態におけるブロック共重合体を製造する材料として使用することもできる。
ブロック共重合体における低Tgブロックと高Tgブロックとの重量比は、低Tgブロック/高Tgブロック=1/20〜20/1であることが好ましく、1/10〜10/1であることがより好ましい。さらには、1/9〜5/5であることがさらに好ましい。上記範囲内であると、トナーを作製した場合のブロック共重合体としての機械的強度が十分であり、さらに低温定着性に優れるので好ましい。さらに、加圧下における流動挙動に優れるので好ましい。
また、本実施形態において、ブロック共重合体のガラス転移温度は、50〜80℃であることが好ましく、50〜65℃であることがより好ましい。ブロック共重合体のガラス転移温度が上記範囲内であると、トナーのケーキ化などが発生しにくく保管性が良好である。
また、ブロック共重合体の融点は50〜100℃であることが好ましく、50〜80℃であることがより好ましい。ブロック共重合体の融点が上記範囲内であると、厚紙などに対する定着性と帯電性、感光体へのフィルミング耐久性などが両立しやすくなる。尚、ブロック共重合体において、融点及びガラス転移温度が明確に観察されない場合がある。
低Tg樹脂の重量平均分子量は1,000〜100,000であることが好ましく、1,500〜10,000であることがより好ましい。上記の数値の範囲内であると、低温定着性に優れる。
また、高Tg樹脂の重量平均分子量は、1,000〜200,000であることが好ましく、1,500〜150,000であることがより好ましい。上記の数値の範囲内であると、低温定着性に優れる。
本実施形態において、ブロック共重合体の重量平均分子量は、5,000〜500,000であることが好ましく、5,000〜50,000であることがより好ましい。
また本実施形態に用いることができるブロック共重合体は、単量体の選択、架橋剤の添加などによって一部枝分かれや架橋などを有していてもよい。
なお、重量平均分子量Mw及び数平均分子量Mnの値は、公知の種々の方法により求めることができ、測定方法の相異によって若干の差異があるが、本実施形態においては下記の測定法によって求めることが好ましい。すなわち、ゲル・パーミュエーション・クロマトグラフィ(GPC)によって以下に記す条件で重量平均分子量Mw及び数平均分子量Mnを測定する。温度40℃において、溶媒(テトラヒドロフラン)を毎分1.2mlの流速で流し、濃度0.2g/20mlのテトラヒドロフラン試料溶液を試料重量として3mg注入し測定を行う。試料の分子量測定にあたっては、当該試料の有する分子量が数種の単分散ポリスチレン標準試料により、作製された検量線の分子量の対数とカウント数が直線となる範囲内に包含される測定条件を選択する。
なお、測定結果の信頼性は、上述の測定条件で行ったNBS706ポリスチレン標準試料が、重量平均分子量Mw=28.8×104数平均分子量Mn=13.7×104となることにより確認することができる。
また、用いるGPCのカラムとしては、前記条件を満足するものであるならばいかなるカラムを採用してもよい。具体的には、例えばTSK−GEL、GMH(東ソー(株)製)等を用いることができる。
なお、溶媒及び測定温度は上記に記載した条件に限定されるものではなく、適当な条件に変更してもよい。
低Tgブロック及び高Tgブロックとして好適なポリエステル樹脂は上記環状エステル化合物を常法に従って開環重合させることによって製造することができる。この開環重合は、バルク重合、乳化重合、懸濁重合等の水中重合、溶液重合、界面重合等一般の重縮合法で実施することが可能であるが、好適にはバルク重合が用いられる。また大気圧下で反応が可能であるが、得られるポリエステル分子の高分子量化等を目的とした場合、減圧、窒素気流下等の一般的な条件を用いることができる。
ブロック共重合体の製造は、例えば高Tgブロックとなる上記高Tg用環状エステル化合物、及び、必要に応じて触媒を入れ、温度計、撹拌器、流下式コンデンサーを備えた反応容器に配合し、不活性ガス(窒素ガス等)の存在下で加熱し、所定の分子量に達した時点で反応を停止させ、冷却し、さらに低Tg樹脂の原料となる上記低Tg用環状エステル化合物を添加して加熱し、所定の分子量に達した時点で反応を停止させ、冷却し、目的とする反応物を取得することによって製造することができる。
(静電荷像現像用トナーの製造方法)
本実施形態の静電荷像現像用トナーは、低Tgブロック及び高Tgブロックを有するブロック共重合体を乳化分散する分散工程、分散したブロック共重合体よりなる樹脂粒子を凝集して凝集粒子を得る凝集工程、並びに、前記凝集粒子を加熱して融合する融合工程を含むことが好ましい。
本実施形態の静電荷像現像用トナーの製造方法において、低Tgブロック及び高Tgブロックを有するブロック共重合体樹脂粒子を含む分散液に、必要に応じ、離型剤粒子、着色剤粒子を含む粒子(着色剤が前記重縮合工程等において樹脂中に予め添加されている場合は、それ自体が着色粒子)や他の樹脂粒子、又は、それらの分散液等を添加してもよい。
本実施形態の静電荷像現像用トナーの製造方法は、前記分散液中の前記ブロック共重合体樹脂粒子、離型剤粒子及びその他の添加した粒子を凝集(会合)させる既知の凝集法を用いて凝集(会合)させることにより、トナー粒子径及び粒径分布を調整することが可能である。詳細には、樹脂粒子分散液及び離型剤粒子分散液を、着色剤粒子分散液等と混合し、さらに凝集剤を添加しヘテロ凝集を生じさせることによりトナー径の凝集粒子を形成し、その後、樹脂粒子のガラス転移点以上、又は、融点以上の温度に加熱して前記凝集粒子を融合合一し、洗浄、乾燥することにより得られる。この製法は加熱温度条件を選択することでトナー形状を不定形から球形まで制御できる。
(分散工程)
本実施形態の静電荷像現像用トナーは、低Tgブロック及び高Tgブロックを有するブロック共重合体を乳化分散する分散工程を含むことが好ましい。
ブロック共重合体樹脂粒子分散液を得るためには、ブロック共重合体を水系媒体中に分散するいずれの方法により分散することもでき、例えば機械的シェアや超音波などを使用して乳化分散することができる。
樹脂粒子分散液は、界面活性剤や、高分子分散剤、無機分散剤などの添加物を含んでいてもよく、上記の乳化分散の際に必要に応じて界面活性剤や高分子分散剤、無機分散剤などを水系媒体中に添加することも可能である。
尚、本実施形態において、水系媒体としては、例えば、蒸留水、イオン交換水等の水や、エタノール、メタノール等のアルコール類などが挙げられる。これらの中でも、エタノールや水であることが好ましく、蒸留水及びイオン交換水等の水が特に好ましい。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
また、水系媒体には、水混和性の有機溶媒を含んでいてもよい。水混和性の有機溶媒としては、例えば、アセトンや酢酸アルキルエステル等が挙げられる。
本実施形態で用いることができる界面活性剤としては、例えば、硫酸エステル塩系、スルホン酸塩系、リン酸エステル系等のアニオン界面活性剤;アミン塩型、4級アンモニウム塩型等のカチオン界面活性剤;ポリエチレングリコール系、アルキルフェノールエチレンオキサイド付加物系、多価アルコール系等の非イオン系界面活性剤などが挙げられる。これらの中でもアニオン界面活性剤、カチオン系界面活性剤が好ましい。
前記界面活性剤は、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。前記非イオン系界面活性剤は、前記アニオン界面活性剤又はカチオン系界面活性剤と併用することが好ましい。
アニオン界面活性剤としては、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、アルキルナフタレンスルホン酸ナトリウム、アリールアルキルポリエーテルスルホン酸ナトリウム、3,3’−ジスルホンジフェニル尿素−4,4’−ジアゾ−ビス−アミノ−8−ナフトール−6−スルホン酸ナトリウム、オルト−カルボキシベンゼン−アゾ−ジメチルアニリン、2,2’,5,5’−テトラメチル−トリフェニルメタン−4,4’−ジアゾ−ビス−β−ナフトール−6−スルホン酸ナトリウム、ジアルキルスルホコハク酸ナトリウム、ドデシル硫酸ナトリウム、テトラデシル硫酸ナトリウム、ペンタデシル硫酸ナトリウム、オクチル硫酸ナトリウム、オレイン酸ナトリウム、ラウリン酸ナトリウム、カプリン酸ナトリウム、カプリル酸ナトリウム、カプロン酸ナトリウム、ステアリン酸カリウム、オレイン酸カルシウム等などが挙げられる。
カチオン界面活性剤としては、アルキルベンゼンジメチルアンモニウムクロライド、アルキルトリメチルアンモニウムクロライド、ジステアリルアンモニウムクロライドなどが挙げられる。
非イオン系界面活性剤としては、ポリエチレンオキサイド、ポリプロピレンオキサイド、ポリプロピレンオキサイドとポリエチレンオキサイドの組み合わせ、ポリエチレングリコールと高級脂肪酸とのエステル、アルキルフェノールポリエチレンオキサイド、高級脂肪酸とポリエチレングリコールのエステル、高級脂肪酸とポリプロピレンオキサイドのエステル、ソルビタンエステル等を挙げることができる。
また高分子分散剤としては、ポリカルボン酸ナトリウム、ポリビニルアルコール、無機分散剤としては、炭酸カルシウムなどを例示することができるが、これらはなんら本実施形態を制限するものではない。
さらに、通常、水系媒体中での単量体エマルション粒子のOstwald Ripening現象を防ぐためにしばしば、ヘプタノールやオクタノールに代表される高級アルコール類、ヘキサデカンに代表される高級脂肪族炭化水素類を安定助剤として配合することも可能である。
(凝集工程)
本実施形態の静電荷像現像用トナーの製造方法は、分散したブロック共重合体よりなる樹脂粒子を凝集して凝集粒子を得る凝集工程を含むことが好ましい。
本実施形態の前記凝集工程においては、ブロック共重合体樹脂粒子分散液以外の樹脂粒子分散液とブロック共重合体樹脂粒子分散液を混合し、凝集以降の工程を実施することも可能である。その際、ブロック共重合体樹脂粒子分散液を予め凝集し第一の凝集粒子形成後、さらにブロック共重合体樹脂粒子分散液又は別の樹脂粒子分散液を添加し第一の粒子表面に第二のシェル層を形成する等、粒子を多層化することも可能である。また、当然前記の一例と逆の順序で多層粒子を作製することも可能である。
また、例えば、凝集工程において、ブロック共重合体を含む樹脂粒子分散液、着色剤粒子分散液を予め凝集し、第一の凝集粒子形成後、さらにブロック共重合体を含む樹脂粒子分散液又は別の樹脂粒子分散液を添加して第一の粒子表面に第二のシェル層を形成することも可能である。この例示においては着色剤分散液を別に調製しているが当然、本実施形態におけるブロック共重合体に予め着色剤が配合されてもよい。
凝集剤としては、界面活性剤のほか、無機塩、2価以上の金属塩を好適に用いることができる。特に、金属塩を用いる場合、凝集性制御及びトナー帯電性などの特性において好ましい。凝集に用いる金属塩化合物としては、一般の無機金属化合物又はその重合体を樹脂粒子分散液中に溶解して得られるが、無機金属塩を構成する金属元素は周期律表(長周期律表)における2A、3A、4A、5A、6A、7A、8、1B、2B、3B族(2〜13族)に属する2価以上の電荷を有するものであり、樹脂粒子の凝集系においてイオンの形で溶解するものであればよい。好ましい無機金属塩を具体的に挙げると、塩化カルシウム、硝酸カルシウム、塩化バリウム、塩化マグネシウム、塩化亜鉛、塩化アルミニウム、硫酸アルミニウムなどの金属塩、及び、ポリ塩化アルミニウム、ポリ水酸化アルミニウム、多硫化カルシウム等の無機金属塩重合体などである。その中でも特に、アルミニウム塩及びその重合体が好適である。一般的に、よりシャープな粒度分布を得るためには、無機金属塩の価数が1価より2価、2価より3価以上であることが好ましく、また、同じ価数であっても重合タイプの無機金属塩重合体の方がより適している。
また、本実施形態において、ブロック共重合体樹脂粒子分散液以外も、従来から知られる乳化重合などを用いて作製された付加重合系樹脂粒子分散液を併せて用いることができる。本実施形態で用いることのできる付加重合系樹脂粒子分散液中の樹脂粒子のメジアン径は、本実施形態の樹脂粒子分散液と同様に0.02〜2.0μmであることが好ましい。
これらの付加重合系樹脂粒子分散液を作製するための付加重合系単量体の例としては、スチレン、パラクロルスチレンなどのスチレン類、ビニルナフタレン、塩化ビニル、臭化ビニル、弗化ビニル、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、安息香酸ビニル、酪酸ビニルなどのビニルエステル類、例えばアクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸イソブチル、アクリル酸ドデシル、アクリル酸n−オクチル、アクリル酸2−クロルエチル、アクリル酸フェニル、α−クロルアクリル酸メチル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸ブチルなどのメチレン脂肪族カルボン酸エステル類、アクリロニトリル、メタクリルロニトリル、アクリルアミド、例えばビニルメチルエーテル、ビニルエチルエーテル、ビニルイソブチルエーテルなどのビニルエーテル類、例えばN−ビニルピロール、N−ビニルカルバゾール、N−ビニルインドール、N−ビニルピロリドンなどのN−ビニル化合物などの含N極性基を有する単量体やメタクリル酸、アクリル酸、桂皮酸、カルボキシエチルアクリレートなどのビニルカルボン酸類などビニル系モノマーの単独重合体及び共重合体など、さらには各種ワックス類もあわせて使用可能である。
付加重合系単量体の場合は、イオン性界面活性剤などを用いて乳化重合を実施して樹脂粒子分散液を作製することができ、その他の樹脂の場合は油性で水への溶解度の比較的低い溶剤に溶解するものであれば、樹脂をそれらの溶剤に溶かし、イオン性の界面活性剤や高分子電解質とともにホモジナイザーなどの分散機により水系媒体中に粒子状に分散し、その後加熱又は減圧して溶剤を蒸散することにより、樹脂粒子分散液を得ることができる。
本実施形態においては、必要に応じて、本実施形態の結果に影響を与えない範囲で公知の添加剤を、1種又は複数を組み合わせて配合することができる。例えば、難燃剤、難燃助剤、光沢剤、防水剤、撥水剤、磁性体、無機充填剤(表面改質剤)、離型剤、酸化防止剤、可塑剤、界面活性剤、分散剤、滑剤、充填剤、体質顔料、結着剤、帯電制御剤等である。これらの添加物は、塗布剤を製造するいずれにおいても配合することができる。
なお、本実施形態においてトナーを作製するに当たり、重縮合樹脂粒子を水系媒体中で重縮合する際に、予め着色剤やワックスなどの定着助剤、その他帯電助剤など通常トナーに必要な成分を水系媒体中に予め混合し、重縮合と共に重縮合樹脂粒子中に配合させることも可能である。
本実施形態に用いることができる着色剤としては、例えば、次のようなものが挙げられる。
黒色顔料としては、カーボンブラック、酸化銅、二酸化マンガン、アニリンブラック、活性炭、非磁性フェライト、マグネタイト等を挙げることができる。
黄色顔料としては、黄鉛、亜鉛黄、黄色酸化鉄、カドミウムイエロー、クロムイエロー、ハンザイエロー、ハンザイエロー10G、ベンジジンイエローG、ベンジジンイエローGR、スレンイエロー、キノリンイエロー、パーメネントイエローNCG等を挙げることができる。
橙色顔料としては、赤色黄鉛、モリブデンオレンジ、パーマネントオレンジGTR、ピラゾロンオレンジ、バルカンオレンジ、ベンジジンオレンジG、インダスレンブリリアントオレンジRK、インダスレンブリリアントオレンジGK等を挙げることができる。
赤色顔料としては、ベンガラ、カドミウムレッド、鉛丹、硫化水銀、ウオッチヤングレッド、パーマネントレッド4R、リソールレッド、ブリリアンカーミン3B、ブリリアンカーミン6B、デイポンオイルレッド、ピラゾロンレッド、ローダミンBレーキ、レーキレッドC、ローズベンガル、エオキシンレッド、アリザリンレーキ等を挙げることができる。
青色顔料としては、紺青、コバルトブルー、アルカリブルーレーキ、ビクトリアブルーレーキ、ファストスカイブルー、インダスレンブルーBC、アニリンブルー、ウルトラマリンブルー、カルコオイルブルー、メチレンブルークロライド、フタロシアニンブルー、フタロシアニングリーン、マラカイトグリーンオクサレレートなどを挙げることができる。
紫色顔料としては、マンガン紫、ファストバイオレットB、メチルバイオレットレーキ等を挙げることができる。
緑色顔料としては、酸化クロム、クロムグリーン、ピグメントグリーン、マラカイトグリーンレーキ、ファイナルイエローグリーンG等を挙げることができる。
白色顔料としては、亜鉛華、酸化チタン、アンチモン白、硫化亜鉛等をあげることができる。
体質顔料としては、バライト粉、炭酸バリウム、クレー、シリカ、ホワイトカーボン、タルク、アルミナホワイト等を挙げることができる。
また、染料としては、塩基性、酸性、分散、直接染料等の各種染料、例えば、ニグロシン、メチレンブルー、ローズベンガル、キノリンイエロー、ウルトラマリンブルー等があげられる。
また、これらの着色剤は単独若しくは混合して使用される。これらの着色剤は、任意の方法、例えば、回転せん断型ホモジナイザーやメディアを有するボールミル、サンドミル、アトライター等のメディア式分散機、高圧対向衝突式の分散機等や、ダイノミルなどの一般的な分散方法を用いて着色剤粒子の分散液を調製することができる。
また、これらの着色剤は極性を有する界面活性剤を用いて、ホモジナイザーによって水系に分散することもでき、また、その他の微粒子成分と共に混合溶媒中に一度に添加してもよいし、分割して多段階で添加してもよい。
本実施形態の着色剤は、色相角、彩度、明度、耐候性、OHP透過性、トナー中での分散性の観点から選択される。
そして、着色剤は、トナー構成固体分総重量に対して4〜15重量%の範囲で添加することができる。
黒色着色剤として磁性体を用いる場合は、他の着色剤とは異なり、12〜240重量%添加することができる。
前記の着色剤の配合量は、定着時の発色性を確保するための必要量である。また、トナー中の着色剤粒子の中心径(メジアン径)は100〜330nmにすることにより、OHP透明性及び発色性を確保することができる。
なお、着色剤粒子の中心径は、例えばレーザー回析式粒度分布測定装置((株)堀場製作所製、LA−920)で測定した。
本実施形態で用いることができる離型剤の具体例としては、例えば、各種エステルワックス、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブテン等の低分子量ポリオレフィン類、加熱により軟化点を示すシリコーン類、オレイン酸アミド、エルカ酸アミド、リシノール酸アミド、ステアリン酸アミド等のような脂肪酸アミド類や、カルナウバワックス、ライスワックス、キャンデリラワックス、木ロウ、ホホバ油等のような植物系ワックス、ミツロウのような動物系ワックス、モンタンワックス、オゾケライト、セレシン、パラフィンワックス、マイクロクリスタリンワックス、マイクロクリスタリンワックス、フィッシャートロプシュワックス等のような鉱物系・石油系ワックス、及びそれらの変性物などを挙げることができる。これらのワックス類は、室温付近では、トルエンなど溶剤にはほとんど溶解しないか、溶解しても極めて微量である。
これらのワックス類は、水中にイオン性界面活性剤や高分子酸や高分子塩基などの高分子電解質とともに分散し、融点以上に加熱するとともに、強い剪断付与能力を有するホモジナイザーや圧力吐出型分散機(ゴーリンホモジナイザー、ゴーリン社製)で粒子状に分散させ、1μm以下の粒子の分散液を作製することができる。
これらの離型剤は、トナー構成固体分総重量に対して5〜25重量%の範囲で添加することが、オイルレス定着システムにおける定着画像の剥離性を確保する上で望ましい。
なお、得られた離形剤粒子分散液の粒子径は、例えばレーザー回析式粒度分布測定装置((株)堀場製作所製、LA−920)で測定した。また、離型剤を使用するときには、樹脂粒子、着色剤粒子及び離型剤粒子を凝集した後に、さらに樹脂粒子分散液を追加して凝集粒子表面に樹脂粒子を付着することが帯電性、耐久性を確保する観点から望ましい。
磁性体としては、具体的には、磁場中で磁化される物質を用いるが、鉄、コバルト、ニッケルなどの強磁性の粉末、もしくはフェライト、マグネタイト等の化合物が使用される。
本実施形態において水系媒体中でトナーを得るときには、磁性体の水相移行性に注意を払う必要があり、好ましくは予め磁性体の表面を改質し、例えば疎水化処理等を施しておくことが好ましい。
帯電制御剤として4級アンモニウム塩化合物、ニグロシン系化合物、アルミ、鉄、クロムなどの錯体からなる染料やトリフェニルメタン系顔料など通常使用される種々の帯電制御剤を使用することができるが、凝集や合一時の安定性に影響するイオン強度の制御と廃水汚染減少の点から水に溶解しにくい材料が好適である。
重縮合、顔料分散、樹脂粒子製造や分散、離型剤分散、凝集、又はその安定化などに用いる界面活性剤の例としては、硫酸エステル塩系、スルホン酸塩系、リン酸エステル系、せっけん系等のアニオン界面活性剤、アミン塩型、4級アンモニウム塩型等のカチオン系界面活性剤、またポリエチレングリコール系、アルキルフェノールエチレンオキサイド付加物系、多価アルコール系等の非イオン性界面活性剤を併用することも効果的であり、分散のため手段としては、回転せん断型ホモジナイザーやメデイアを有するボールミル、サンドミル、ダイノミルなどの一般的なものが使用可能である。
難燃剤、難燃助剤としては、すでに汎用されている臭素系難燃剤や、三酸化アンチモン、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム、ポリリン酸アンモニウムを例示できるがこれらに限定されるものではない。
凝集粒子の融合工程を終了した後、任意の洗浄工程、固液分離工程、乾燥工程を経て所望のトナー粒子を得るが、洗浄工程は帯電性を考慮すると、イオン交換水で十分に置換洗浄することが望ましい。また、固液分離工程には特に制限はないが、生産性の点から吸引濾過、加圧濾過等が好適である。さらに、乾燥工程も特に制限はないが、生産性の点から凍結乾燥、フラッシュジェット乾燥、流動乾燥、振動型流動乾燥等が好ましく用いられる。
さらに本実施形態のトナーは、流動性付与やクリーニング性向上等の目的で無機粒子を混合、又は、樹脂粒子表面へ添加して用いることが好ましい。
本実施形態に用いることができる無機粒子としては、一次粒子径が5nm〜2μmであり、好ましくは5nm〜500nmである粒子である。またBET法による比表面積は20〜500m2/gであることが好ましい。トナーに混合される割合は0.01〜5重量%であり、好ましくは0.01〜2.0重量%である。
このような無機粒子としては例えば、シリカ粉末、アルミナ、酸化チタン、チタン酸バリウム、チタン酸マグネシウム、チタン酸カルシウム、チタン酸ストロンチウム、酸化亜鉛、ケイ砂、クレー、雲母、ケイ灰石、ケイソウ土、酸化クロム、酸化セリウム、ベンガラ、三酸化アンチモン、酸化マグネシウム、酸化ジルコニウム、硫酸バリウム、炭酸バリウム、炭酸カルシウム、炭化硅素、窒化硅素などが挙げられるが、シリカ粉末が特に好ましい。
ここでいうシリカ粉末はSi−O−Si結合を有する粉末であり、乾式法及び湿式法で製造されたもののいずれも含まれる。また、無水二酸化ケイ素の他、ケイ酸アルミニウム、ケイ酸ナトリウム、ケイ酸カリウム、ケイ酸マグネシウム、ケイ酸亜鉛などいずれでもよいが、SiO2を85重量%以上含むものが好ましい。
これらシリカ粉末の具体例としては種々の市販のシリカがあるが、表面に疎水性基を有するものが好ましく、例えばAEROSIL R−972、R−974、R−805、R−812(以上アエロジル社製)、タラックス500(タルコ社製)等を挙げることができる。その他シランカップリング剤、チタンカップリング剤、シリコンオイル、側鎖にアミンを有するシリコンオイル等で処理されたシリカ粉末などが使用可能である。
本実施形態のトナーの累積体積平均粒径D50は3.0〜9.0μmの範囲、好ましくは3.0〜6.0μmの範囲が適当である。D50が3.0μm以上であると、付着力が適度であり、現像性に優れるため好ましい。また、D50が9.0μm以下であると、画像の解像性が良好であるため好ましい。
また、本実施形態のトナーの体積平均粒度分布指標GSDvは1.30以下であることが好ましい。GSDvが1.30以下であると解像性が良好で、トナー飛散やカブリ等の画像欠陥が起こりにくいため好ましい。
本実施形態のトナーの累積体積平均粒径D50や平均粒度分布指標は、例えば、コールターカウンターTA−II(ベックマン・コールター(株)製)、マルチサイザーII(ベックマン・コールター(株)製)等の測定器で測定される粒度分布を基にして分割された粒度範囲(チャネル)に対して体積、数をそれぞれ小径側から累積分布を描いて、累積16%となる粒径を体積D16v、数D16P、累積50%となる粒径を体積D50v、数D50P、累積84%となる粒径を体積D84v、数D84Pと定義する。これらを用いて、体積平均粒度分布指標(GSDv)は(D84v/D16V1/2、数平均粒度分布指標(GSDp)は(D84P/D16P1/2として算出される。
本実施形態のトナーの形状係数SF1は、画像形成性の点より100〜140の範囲であることが好ましく、110〜135の範囲であることがより好ましい。本実施形態の形状係数SF1は、主に顕微鏡画像又は走査電子顕微鏡画像を画像解析装置によって解析することによって数値化でき、例えば、次のような方法で求められる。まず、スライドグラス上に散布したトナーの光学顕微鏡像をビデオカメラを通じてルーゼックス画像解析装置に取り込み、50個以上のトナーについて、トナー粒子の絶対最大長、トナー粒子の投影面積を測定し、SF1を下記の式にて求めることができる。
Figure 0005428411
ここでML:粒子の絶対最大長、A:粒子の投影面積
これらは、主に顕微鏡画像又は走査電子顕微鏡画像をルーゼックス画像解析装置によって取り込み、解析することによって数値化される。
II.静電荷像現像剤
本実施形態の静電荷像現像用トナーは、静電荷像現像剤として使用することができる。この現像剤は、この静電荷像現像用トナーを含有することの他は特に制限はなく、目的に応じて適宜の成分組成をとることができる。静電荷像現像用トナーを、単独で用いると一成分系の静電荷像現像剤として調製され、また、キャリアと組み合わせて用いると二成分系の静電荷像現像剤として調製される。
一成分系現像剤として、現像スリーブ又は帯電部材と摩擦帯電して、帯電トナーを形成して、静電潜像に応じて現像する方法も適用できる。
キャリアとしては、特に限定されないが、通常、鉄粉、フェライト、酸化鉄粉、ニッケル等の磁性体粒子;磁性体粒子を芯材としてその表面をスチレン系樹脂、ビニル系樹脂、エチレン系樹脂、ロジン系樹脂、ポリエステル系樹脂、メラミン系樹脂などの樹脂やステアリン酸等のワックスで被覆し、樹脂被覆層を形成させてなる樹脂被覆キャリア;結着樹脂中に磁性体粒子を分散させてなる磁性体分散型キャリア等が挙げられる。中でも、樹脂被覆キャリアは、トナーの帯電性やキャリア全体の抵抗を樹脂被覆層の構成により制御可能となるため特に好ましい。
二成分系の静電荷像現像剤における本実施形態のトナーとキャリアとの混合割合は、通常、キャリア100重量部に対して、トナー2〜10重量部である。また、現像剤の調製方法は、特に限定されないが、例えば、Vブレンダー等で混合する方法等が挙げられる。
III.画像形成方法及び画像形成装置
本実施形態の静電荷像現像用トナー及び本実施形態の静電荷像現像剤は、通常の静電荷像現像方式(電子写真方式)の画像形成方法に使用することができるが、特に本実施形態の画像形成方法及び画像形成装置に好ましく用いることができる。
本実施形態の画像形成方法は、潜像保持体表面に静電潜像を形成する静電潜像形成工程、前記潜像保持体表面に形成された静電潜像をトナー又は前記トナーとキャリアとを含む静電荷像現像剤により現像してトナー像を形成する現像工程、前記潜像保持体表面に形成されたトナー像を被転写体表面に転写する転写工程、及び、前記被転写体表面に転写されたトナー像を加圧又は加熱加圧して定着する定着工程を含み、前記トナーが本実施形態の静電荷像現像用トナーであり、又は、前記静電荷像現像剤が本実施形態の静電荷像現像剤であり、前記定着工程の定着圧力が1〜10MPaであることを特徴とする。
また、本実施形態の画像形成装置は、潜像保持体、前記潜像保持体を帯電させる帯電手段、帯電した前記潜像保持体を露光して前記潜像保持体上に静電潜像を形成させる露光手段、現像剤により前記静電潜像を現像してトナー像を形成させる現像手段、前記トナー像を前記潜像保持体から被転写体に転写する転写手段、及び、前記被転写体表面に転写された前記トナー像を加圧又は加熱加圧して定着する定着手段を有し、前記定着手段における加圧又は加熱加圧の圧力が1〜10MPaであり、前記トナーが本実施形態の静電荷像現像用トナー又は前記静電荷像現像剤が本実施形態の静電荷像現像剤であることを特徴とする。
前記転写工程又は前記転写手段において、中間転写体を用いて2回以上転写する転写工程又は転写手段を設けてもよい。
定着工程を除く前記各工程は、それ自体一般的な工程であり、例えば、特開昭56−40868号公報、特開昭49−91231号公報等に記載されている。なお、本実施形態の画像形成方法は、それ自体公知のコピー機、ファクシミリ機等の画像形成装置を用いて実施することができる。
前記静電潜像形成工程は、潜像保持体表面に静電潜像を形成する工程である。
前記現像工程は、現像剤担体上の現像剤層により前記静電潜像を現像してトナー画像を形成する工程である。前記現像剤層としては、前記本実施形態の静電荷像現像用トナーを含有する本実施形態の静電荷像現像剤を含んでいれば特に制限はない。
前記転写工程は、前記トナー画像を被転写体上に転写する工程である。
前記定着工程は、紙等の被転写体上のトナー像をロール又は加熱ロールの温度を一定温度に設定した加熱ロール定着器等により加圧又は加熱加圧することにより定着して複写画像を形成する工程である。
被転写体上のトナー像を加圧又は加熱加圧して定着する定着工程における定着圧力は1〜10MPaである。定着圧力が1MPa未満であると、十分な定着性が達成されず画像強度が実用上不十分という問題がある。また、定着圧力が10MPaを超えると、紙しわ、紙のびなどにより画質特性を低下させるという問題がある。定着圧力は2〜5MPaが好ましい。上記範囲内であると、優れた定着性及び画質特性を両立可能である。
定着工程において、加熱加圧により画像を定着する場合には、加熱温度は40℃以上120℃以下が好ましく、45℃以上100℃未満がより好ましく、50℃以上70℃未満がさらに好ましい。
本実施形態の画像形成工程は、さらにクリーニング工程を含むことが好ましい。前記クリーニング工程は、潜像保持体上に残留する静電荷像現像用トナーや静電荷像現像剤等を除去する工程である。
本実施形態の画像形成方法においては、さらにリサイクル工程をも含む態様が好ましい。前記リサイクル工程は、前記クリーニング工程において回収した静電荷像現像用トナーを現像剤層に移す工程である。このリサイクル工程を含む態様の画像形成方法は、トナーリサイクルシステムタイプのコピー機、ファクシミリ機等の画像形成装置を用いて実施することができる。また、クリーニング工程を省略し、現像と同時にトナーを回収する態様のリサイクルシステムにも適用することができる。
以下、本発明を実施例で詳細に説明するが、本発明を何ら限定するものではない。以下、特に断りのない限り「部」は「重量部」を、「%」は「重量%」を意味する。
<ガラス転移温度、融点の測定>
示差走査熱量計(DSC)により測定を行った。具体的には、(株)島津製作所製DSC50を使用して測定した。
試料:3〜15mg、好ましくは5〜10mg
測定法:試料をアルミパン中に入れ、リファレンスとして空のアルミパンを用いた。
温度曲線:昇温I(−60℃〜180℃、昇温速度10℃/min)
降温I(180℃〜10℃、降温速度10℃/min)
昇温II(10℃〜180℃、昇温速度10℃/min)
上記温度曲線において昇温IIで測定される吸熱曲線から、ガラス転移温度を測定する。ここで、ガラス転移温度とは、吸熱ピークの曲線の微分値が極大となる温度の中で、最低の温度における曲線の接線とベースラインとの交点の温度をいう。融点は、昇温Iにおける融解吸収ピークの最大値を測定値とする。
分散液中の粒子の中心径は、(株)堀場製作所製LA−920を使用して測定した。また、得られたトナーのD50及びGSDvは、コールターカウンターTAII(ベックマン・コールター(株)社製)、マルチサイザーII(ベックマン・コールター(株)製)等の測定器で測定した。
尚、本実施例のトナーは、下記の樹脂粒子分散液、着色剤粒子分散液、離型剤粒子分散液をそれぞれ調製し、これらを所定の割合で混合し、撹拌しながら金属塩の重合体を添加し、イオン的に中和させて凝集粒子を形成した。次いで、無機水酸化物を添加して系内のpHを弱酸性から中性に調整した後、前記樹脂粒子のガラス転移点以上の温度に加熱して融合合一した。反応終了後、十分な洗浄、固液分離、乾燥の工程を経て所望のトナーを得た。以下、それぞれの調製方法を説明する。
(樹脂粒子分散液の調製)
<樹脂粒子分散液(1)の調製>
三口フラスコに、温度計、コンデンサー、撹拌装置を具備し、これにトルエン15重量部に低Tgブロックの原料としてポリエステルモノマー1,5−ジオキセパン−2−オンを5重量部加え、これに、重合触媒としてジオクチル酸錫を0.15重量部、エタノールを0.025重量部加え、窒素雰囲気下で、110℃で24時間の重合反応を行い、分子量が22,000となった時点で反応を停止し、放置冷却後、高Tgブロックの原料としてL−ラクチドを21重量部加え、同様に窒素雰囲気下で80℃で72時間の反応を行い、低Tg(−40℃)成分/高Tg(65℃)成分からなる重量平均分子量40,000のブロック共重合体を得た。このブロック共重合体をメタノールにて洗浄し乾燥して取り出した。
この樹脂100重量部に界面活性剤としてソフト型ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム0.5重量部を加え、さらにイオン交換水300重量部を加え、80℃に加熱しながら丸型ガラス製フラスコ中でホモジナイザー(IKA社製、ウルトラタラックスT50)で十分に混合・分散した。
樹脂粒子の中心径が200nm、固形分量が20%の樹脂粒子分散液(1)を得た。
(着色剤粒子分散液の調製)
<着色剤粒子分散液(P1)の調製>
サイアン顔料(大日精化工業(株)製、銅フタロシアニン C.I.Pigment Blue15:3) 50重量部
アニオン性界面活性剤(第一工業製薬(株)製、ネオゲンR) 5重量部
イオン交換水 200重量部
前記成分を混合溶解し、ホモジナイザー(IKA社製、ウルトラタラックス)5分と超音波バスにより10分間分散し、中心径190nm、固形分量21.5%のサイアン着色剤粒子分散液(P1)を得た。
(離型剤粒子分散液の調製)
<離型剤粒子分散液(W1)の調製>
ドデシル硫酸 30重量部
イオン交換水 852重量部
上記成分を混合し、ドデシル硫酸水溶液を調製した。
パルミチン酸 188重量部
ペンタエリスリトール 25重量部
上記成分を混合し、250℃に加熱し融解した後、上記のドデシル硫酸水溶液に投入し、ホモジナイザー(IKA社製、ウルトラタラックス)で5分間乳化した後、さらに超音波バス中で15分乳化後、乳化物を撹拌しながらフラスコ中で70℃に維持し、15時間保持した。これにより粒子の中心径が200nm、融点が72℃、固形分量が20%の離型剤粒子分散液(W1)を得た。
(実施例1)
<トナー粒子(1)の調製>
樹脂粒子分散液(1) 315重量部(樹脂63重量部)
着色剤粒子分散液(P1) 40重量部(顔料8.6重量部)
離型剤粒子分散液(W1) 40重量部(離型剤8重量部)
ポリ塩化アルミニウム 0.15重量部
イオン交換水 300重量部
上記配合に従って、成分を丸型ステンレス製フラスコ中でホモジナイザー(IKA社製、ウルトラタラックスT50)で十分に混合・分散した後、加熱用オイルバスでフラスコを撹拌しながら42℃まで加熱し、42℃で60分間保持した後、樹脂粒子分散液(1)を105重量部(樹脂21重量部)追加して緩やかに撹拌した。
その後、0.5モル/リットルの水酸化ナトリウム水溶液で系内のpHを6.0に調整した後、撹拌を継続しながら95℃まで加熱した。95℃までの昇温の間、通常の場合、系内のpHは、5.0以下まで低下するが、ここでは水酸化ナトリウム水溶液を追加滴下し、pHが5.5以下とならない様に保持した。
反応終了後、冷却し、濾過し、イオン交換水で十分に洗浄した後、ヌッチェ式吸引濾過で固液分離した。そして、40℃のイオン交換水3リットル中に再分散し、15分、300rpmで撹拌、洗浄した。この洗浄操作を5回繰り返し、ヌッチェ式吸引濾過で固液分離し、次いで、真空乾燥を12時間行いトナー粒子(1)を得た。
このトナー粒子の粒径をコールターカウンターで測定したところ、累積体積平均粒径D50が5.0μm、体積平均粒度分布指標GSDvが1.23であった。また、ルーゼックスによる形状観察より求めたトナー粒子の形状係数SF1は130のポテト形状であった。
<外添トナー(1)及び現像剤(1)の調製>
上記トナー粒子50重量部に対し、疎水性シリカ(キャボット社製、TS720)1.5重量部を添加し、サンプルミルで混合して外添トナー(1)を得た。
そして、ポリメチルメタクリレート(綜研化学(株)製、Mw75,000)を1%被覆した平均粒径50μmのフェライトキャリアを用い、トナー濃度が5%になるように前記の外添トナーを秤量し、両者をボールミルで5分間撹拌・混合して現像剤(1)を調製した。
<トナーの評価>
(株)島津製作所製フローテスターCFT−500A型で10MPa、1MPaの圧力下での104Pa・sになるときの温度がそれぞれ、40℃、110℃であり、70℃の温度差が観測された。上記現像剤を使用し、富士ゼロックス(株)製のDocuCentreColor f450の改造機において、最大定着圧力が、3MPa(30kgf/cm2)となるように2ロール型の定着機を改造した。
転写用紙として富士ゼロックス(株)指定の厚紙コート紙であるミラーコートプラチナ紙(256g/m2)を使用し、プロセススピードを180mm/secに調整してトナーの定着性を調べたところ、オイルレス定着性は良好であり、最低定着温度(この温度は、画像の布摺擦により、画像の汚染で判定)は50℃以下で、画像は充分な定着性を示すとともに、光沢の均一性も良好であった。現像性、転写性とも良好であり、画像欠陥もなく高品質で良好な画像(○)を示した。
定着温度100℃においてもホットオフセットの発生は見られなかった。また、上記改造機において、実験室環境で5万枚の連続プリント試験を行ったが、初期の良好な画質を最後まで維持した(連続試験維持性 ○)。
尚、トナー(現像剤)の評価は、以下の基準で行った。
a.最低定着温度
最低定着温度は、定着画像をガーゼ布で摺擦して、定着像の欠損が発生しない加熱ロールの最低温度とした。
○:最低定着温度が70℃以下である
×:最低定着温度が70℃を超える
b.画像品質
画像品質は、細線を定着した部分の細線再現性と、非定着部分のかぶりをルーペで測定し、以下のように判定した。
○ ・・・ 細線再現性にむらがなく、かぶりも全くない
△ ・・・ 細線再現性にわずかにむらがある
× ・・・ 細線再現性にむらがある
○及び△を合格とした。
c.ホットオフセット発生温度
オフセット発生温度の測定は、上記の複写機にて定着処理を行い、次いで白紙の転写紙を同様の条件下で定着器に送って、これにトナー汚れが生ずるか否かを目視観察する操作を、定着器の設定温度を変化させながら繰り返し、トナーによる汚れが発生した最低の設定温度をもってオフセット発生温度とした。
d.連続試験維持性
実験室条件下(23℃、55%RH)での5万枚の連続プリント試験を行い、以下のように判定した。
○ ・・・ 初期の良好な画質を最後まで維持した
△ ・・・ 若干の画質劣化がみられた
× ・・・ 明らかな画質劣化が発生した
<樹脂粒子分散液(2)の調製>
三口フラスコに、温度計、コンデンサー、撹拌装置を具備し、これにトルエン15重量部にポリ(ε−カプロラクトン−r−5−エチレンケタールε−カプロラクトン)(共重合比1/1のランダム共重合体、重量平均分子量25,000)を15重量部加え、これに、重合触媒としてジオクチル酸錫を0.15重量部、エタノールを0.025重量部加え、窒素雰囲気下で、110℃で24時間の重合反応を行い、放置冷却後、L−ラクチドを21重量部加え、同様に窒素雰囲気下で、80℃で72時間の反応を行い、低Tg(−50℃)成分/高Tg(65℃)成分からなる重量平均分子量100,000のブロック共重合体を得た。このブロック共重合体をメタノールにて洗浄し乾燥して取り出した。
この樹脂100重量部に界面活性剤としてソフト型ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム0.5重量部を加え、さらにイオン交換水300重量部を加え、80℃に加熱しながら丸型ガラス製フラスコ中でホモジナイザー(IKA社製、ウルトラタラックスT50)で十分に混合・分散した。樹脂粒子の中心径が220nm、固形分量が20%の樹脂粒子分散液(2)を得た。
(実施例2)
樹脂粒子分散液(1)の代わりに樹脂粒子分散液(2)を用いた以外は、実施例1と同様にして累積体積平均粒径D50が5.8μm、体積平均粒度分布指標GSDvが1.25、ルーゼックスによる形状観察より求めたトナー粒子の形状係数SF1は135のポテト形状のトナーを得た。また、実施例1と同様に外添トナーを作製し評価を実施した。
(株)島津製作所製フローテスターCFT−500A型で10MPa、1MPaの圧力下での104Pa・sになるときの温度がそれぞれ、35℃、110℃であり、75℃の温度差が観測された。また、実施例1と同様に富士ゼロックス(株)製のDocuCentreColor f450の改造機にて評価をしたところ、以下の結果を得た。
転写用紙として富士ゼロックス(株)指定の厚紙コート紙であるミラーコートプラチナ紙(256g/m2)を使用し、プロセススピードを180mm/secに調整してトナーの定着性を調べたところ、オイルレス定着性は良好であり、最低定着温度(この温度は、画像の布摺擦により、画像の汚染で判定)は約45℃で、画像は充分な定着性を示すとともに、光沢の均一性も良好であった。現像性、転写性とも良好であったが、若干の画質劣化がみられた(△)。
定着温度100℃においてもホットオフセットの発生は見られなかった。
また、上記改造機において、実験室環境で5万枚の連続プリント試験を行ったが、初期の画質を最後まで維持した。(連続試験維持性 ○)
(比較例)
樹脂粒子分散液(1)の代わりに下記の樹脂粒子分散液(3)を用いた以外はすべて実施例1と同様にしてトナーを作製し評価した。
<樹脂粒子分散液(3)の調製>
1,4−シクロヘキサンジカルボン酸 175重量部
ビスフェノールAエチレンオキサイド(EO)2モル付加物 310重量部
ドデシルベンゼンスルホン酸 0.5重量部
上記材料を混合し、撹拌機を備えたリアクターに投入し、窒素雰囲気下155℃で5時間重縮合を実施したところ、均一透明な非結晶性ポリエステル樹脂を得た。GPCによる重量平均分子量は10,000、ガラス転移温度(オンセット)は54℃であった。
ε−カプロラクトン 90重量部
ドデシルベンゼンスルホン酸 0.2重量部
上記材料を混合し、撹拌機を備えたリアクターに投入し、窒素雰囲気下95℃で5時間重縮合を実施したところ、均一透明な結晶性ポリエステルオリゴマーを得た。GPCによる重量平均分子量は8,000、結晶融点は60℃であった。ガラス転移温度は、−60℃であった。
さらに、上記樹脂2種を100℃にて混合して、撹拌機を備えたリアクターにて5時間加熱することにより、ブロック共重合体を形成した。ブロック共重合体としてのDSCによるガラス転移温度(オンセット)は53℃であり、融点は60℃近傍に小さく観測された。また、GPCによる重量平均分子量は140,000であった。
この樹脂100重量部に界面活性剤としてソフト型ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム0.5重量部を加え、さらにイオン交換水300重量部を加え、80℃に加熱しながら丸型ガラス製フラスコ中でホモジナイザー(IKA社製、ウルトラタラックスT50)で十分に混合・分散した。
その後、さらに0.5モル/リットルの水酸化ナトリウム水溶液で系内のpHを5.0に調整した後、ホモジナイザーによる撹拌を継続しながら90℃まで加熱してブロック共重合体樹脂の乳化分散液を得た。樹脂粒子の中心径が220nm、固形分量が20%の樹脂粒子分散液(3)を得た。
<比較例トナー粒子の調製>
樹脂粒子分散液(3) 315重量部(樹脂63重量部)
着色剤粒子分散液(P1) 40重量部(顔料8.6重量部)
離型剤粒子分散液(W1) 40重量部(離型剤8重量部)
ポリ塩化アルミニウム 0.15重量部
イオン交換水 300重量部
上記配合に従って、成分を丸型ステンレス製フラスコ中でホモジナイザー(IKA社製、ウルトラタラックスT50)で十分に混合・分散した後、加熱用オイルバスでフラスコを撹拌しながら42℃まで加熱し、42℃で60分間保持した後、樹脂粒子分散液(3)を105重量部(樹脂21重量部)追加して緩やかに撹拌した。
その後、0.5モル/リットルの水酸化ナトリウム水溶液で系内のpHを6.0に調整した後、撹拌を継続しながら95℃まで加熱した。95℃までの昇温の間、通常の場合、系内のpHは、5.0以下まで低下するが、ここでは水酸化ナトリウム水溶液を追加滴下し、pHが5.5以下とならない様に保持した。
反応終了後、冷却し、濾過し、イオン交換水で十分に洗浄した後、ヌッチェ式吸引濾過で固液分離した。そして、40℃のイオン交換水3リットル中に再分散し、15分、300rpmで撹拌、洗浄した。この洗浄操作を5回繰り返し、ヌッチェ式吸引濾過で固液分離し、次いで、真空乾燥を12時間行いトナー粒子(3)を得た。
このトナー粒子(3)の粒径をコールターカウンターで測定したところ、累積体積平均粒径D50が5.5μm、体積平均粒度分布指標GSDvが1.25であった。また、ルーゼックスによる形状観察より求めたトナー粒子の形状係数SF1は133のポテト形状であった。
<比較例外添トナー及び現像剤の調製>
上記トナー粒子(3)50重量部に対し、疎水性シリカ(キャボット社製、TS720)1.5重量部を添加し、サンプルミルで混合して外添トナーを得た。そして、ポリメチルメタアクリレート(綜研化学(株)製、Mw75,000)を1%被覆した平均粒径50μmのフェライトキャリアを用い、トナー濃度が5%になるように前記の外添トナーを秤量し、両者をボールミルで5分間撹拌・混合して現像剤(3)を調製した。
<トナーの評価>
(株)島津製作所製フローテスターCFT−500A型で10MPa、1MPaの圧力下での104Pa・sになるときの温度がそれぞれ、140℃、155℃であり、15℃の温度差が観測された。
上記現像剤を使用し、富士ゼロックス(株)製のDocuCentreColor f450の改造機において、最大定着圧力が、3MPa(30kgf/cm2)となるように2ロール型の定着機を改造した。
転写用紙として富士ゼロックス(株)指定の厚紙コート紙であるミラーコートプラチナ紙(256g/m2)を使用し、プロセススピードを180mm/secに調整してトナーの定着性を調べたところ、オイルレス定着性は良好であり、最低定着温度(この温度は、画像の布摺擦により、画像の汚染で判定)は100℃以上で、画像は充分な定着性を示すとともに、光沢の均一性も良好であった。現像性、転写性とも良好であり、画像欠陥もなく高品質で良好な画像(○)を示した。
定着温度200℃においてもホットオフセットの発生は見られなかった。また、上記改造機において、実験室環境で5万枚の連続プリント試験を行ったが、初期の良好な画質を最後まで維持した。(連続試験維持性 ○)
Figure 0005428411

Claims (4)

  1. 低Tgブロック及び高Tgブロックを有するブロック共重合体を結着樹脂として含み、
    前記ブロック共重合体が、低Tgの脂肪族ポリエステルブロック及び高Tgの脂肪族ポリエステルブロックよりなり、
    前記低Tgの脂肪族ポリエステルブロックが環状エステル化合物を開環重合して得た脂肪族ポリエステルであり、前記高Tgの脂肪族ポリエステルブロックが環状エステル化合物を開環重合して得た脂肪族ポリエステルであり、
    フローテスター印加圧力10MPaにおいて粘度が104Pa・sになるときの温度T(10MPa)と、フローテスター印加圧力1MPaにおいて粘度が104Pa・sになるときの温度T(1MPa)とが、
    20℃≦T(1MPa)−T(10MPa)
    の関係を満たすことを特徴とする
    静電荷像現像用トナー。
  2. 請求項1に記載の静電荷像現像用トナーとキャリアとを含むことを特徴とする静電荷像現像剤。
  3. 潜像保持体表面に静電潜像を形成する静電潜像形成工程、
    前記潜像保持体表面に形成された静電潜像をトナー又は前記トナーとキャリアとを含む静電荷像現像剤により現像してトナー像を形成する現像工程、
    前記潜像保持体表面に形成されたトナー像を被転写体表面に転写する転写工程、及び、
    前記被転写体表面に転写されたトナー像を加圧して定着する定着工程を含み、
    前記トナーが請求項1に記載の静電荷像現像用トナー又は前記静電荷像現像剤が請求項に記載の静電荷像現像剤であり、
    前記定着工程の定着圧力が1〜10MPaであることを特徴とする
    画像形成方法。
  4. 潜像保持体、
    前記潜像保持体を帯電させる帯電手段、
    帯電した前記潜像保持体を露光して前記潜像保持体上に静電潜像を形成させる露光手段、
    現像剤により前記静電潜像を現像してトナー像を形成させる現像手段、
    前記トナー像を前記潜像保持体から被転写体に転写する転写手段、及び、
    前記被転写体表面に転写された前記トナー像を加圧又は加熱加圧して定着する定着手段を有し、
    前記定着手段における加圧又は加熱加圧の圧力が1〜10MPaであり、
    前記トナーが請求項1に記載の静電荷像現像用トナー又は前記現像剤が請求項に記載の静電荷像現像剤であることを特徴とする、
    画像形成装置。
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