JP6015243B2 - カルバモイルオキシチオフェン類、それを含む共重合体、及びその共重合体からなる導電性被覆物 - Google Patents

カルバモイルオキシチオフェン類、それを含む共重合体、及びその共重合体からなる導電性被覆物 Download PDF

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Description

本発明は、カルバモイルオキシチオフェン類、それを含む共重合体、及びその共重合体からなる導電性被覆物に関する。
過電流保護素子は、PTC(Positive temperature coefficient)素子とも呼ばれ、過電流の発生時に温度に依存して電気抵抗が増加する特性(PTC特性)を有する素子であり、通常はセラミック系と高分子系に大別される。
過電流保護素子に用いられる導電性高分子としては、例えば、ポリピロール及びポリアニリンが知られている(例えば、特許文献1、特許文献2参照)。
一方、近年、帯電防止剤、コンデンサ、太陽電池、有機EL、キャパシタ、センサ用途に導電性高分子としてポリチオフェン化合物が多く用いられているが、チオフェン誘導体での過電流保護素子の例は少ない。例えば、チオフェン環の3,4−位に炭素数が1〜3のアルキル基と炭素数8〜20以上のアルコキシ基をそれぞれ有するチオフェン重合体が報告されているが、その化合物では抵抗値の温度変化が小さいため、過電流保護素子としては十分ではない(例えば、特許文献3、非特許文献1参照)。
また、チオフェン芳香族スルホン酸エステルとしては、2,5−位にカルボニル基を有するチオフェン−3,4−ビススルホン酸エステル類が農園芸用殺菌剤として知られている(例えば、特許文献4、5参照)。しかしながら、2,5−位が無置換のチオフェン芳香族スルホン酸エステルについては未だ報告されておらず、また、チオフェン芳香族スルホン酸エステルを含む共重合体を用いた過電流保護素子についても未だ報告されていない。
特開2006−24863号公報 特開平8−250016号公報 特開2005−154481号公報 特開昭56−103175号公報 米国特許第4421761号公報
Macromolecules(1992),25,PP.2141
本発明は、上記の背景技術に鑑みてなされたものであり、その目的は、過電流保護素子として利用可能な新規な導電性高分子を提供することである。具体的には、新規なカルバモイルオキシチオフェン類、それを含む共重合体、及びその共重合体からなる導電性被覆物を提供することである。
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意検討を重ねた結果、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は以下に示すとおりの、カルバモイルオキシチオフェン類、それを含む共重合体、及びその共重合体からなる導電性被覆物に関する。
[1]下記一般式(1)又は一般式(2)で表される3,4−ビス(カルバモイルオキシ)チオフェン類。
Figure 0006015243
[上記式(1)中、R、Rは各々独立して、炭素数1〜12のアルキル基を表す。]
Figure 0006015243
[上記式(2)中、R〜Rは各々独立して、水素原子又は炭素数1〜3の炭化水素基を表す。また、RとR、又はRとRはそれぞれ互いに連結して環状構造を形成してもよい。]
[2]一般式(1)において、R、Rが、エチル基であることを特徴とする上記[1]に記載のカルバモイルオキシチオフェン類。
[3]一般式(2)において、R〜Rが各々独立して、水素原子、又は3−メチル基であることを特徴とする上記[1]に記載の3,4−ビス(カルバモイルオキシ)チオフェン類。
[4]一般式(2)において、RとR、又はRとRがそれぞれ互いに連結して隣接するフェニル基とともにナフタレン環を形成することを特徴とするである上記[1]に記載の3,4−ビス(カルバモイルオキシ)チオフェン類。
[5]上記[1]乃至[4]のいずれかに記載の3,4−ビス(カルバモイルオキシ)チオフェン類から誘導される繰り返し単位と、チオフェンモノマーから誘導される繰り返し単位とを含む共重合体。
[6]共重合体中に含まれる、上記[1]乃至[4]のいずれかに記載の3,4−ビス(カルバモイルオキシ)チオフェン類から誘導される繰り返し単位が0.01〜25モル%の範囲であり、チオフェンモノマーから誘導される繰り返し単位が99.99〜75モル%の範囲であることを特徴とする上記[5]に記載の共重合体。
[7]チオフェンモノマーが、下記式(3)で表される3,4−エチレンジオキシチオフェンであることを特徴とする上記[5]又は[6]に記載の共重合体。
Figure 0006015243
[8]上記[1]乃至[4]のいずれかに記載の3,4−ビス(カルバモイルオキシ)チオフェン類とチオフェンモノマーとを酸化重合することを特徴とする上記[5]乃至[7]のいずれかに記載の共重合体の製造方法。
[9]上記[5]乃至[7]のいずれかに記載の共重合体からなる導電性被覆物。
[10]上記[8]の方法で得られた反応液を基材に塗布し乾燥することを特徴とする導電性被覆物の製造方法。
本発明によれば、カルバモイルオキシチオフェン類、それを含む共重合体、及びその共重合体からなる導電性被覆物を提供することができる。
本発明の共重合体は、導電材料として用いることができ、また、温度上昇により抵抗値の増加を示すものである。
以下、本発明を詳細に説明する。
<3,4−ビス(カルバモイルオキシ)チオフェン類>
本発明の3,4−ビス(カルバモイルオキシ)チオフェン類は、上記一般式(1)又は一般式(2)で表される化合物である。
上記一般式(1)において、R、Rは各々独立して、水素原子、炭素数1〜12の炭化水素基を表す。炭素数1〜12のアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、n−ヘキシル基、n−オクチル基、n−デシル基、n−ドデシル基等を挙げることができる。それらの中でも、工業的な入手可能性と経済性から、直鎖状のアルキル基が好ましく、エチル基が特に好ましい。
また、上記一般式(2)において、R〜Rは各々独立して、水素原子又は炭素数1〜3の炭化水素基を表す。また、RとR、又はRとRはそれぞれ互いに連結して環状構造を形成してもよい。炭素数1〜3の炭化水素基としては、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基等のアルキル基、ビニル基、アリル基、プロペニル基等のアルケニル基等を挙げることができる。また、置換基の位置としては、カルバモイル基に対して、モノ置換体では、例えば、2位、3位、4位が挙げられ、ジ置換体では、例えば、2,3位、2,4位、2,5位、2,6位が挙げられる。それらの中でも、工業的な入手可能性と経済性から、水素原子(無置換)、3−メチル基が特に好ましい。
上記な一般式(1)で表される3,4−ビス(カルバモイルオキシ)チオフェン類としては、例えば、3,4−ビス(N−メチルカルバモイルオキシ)チオフェン、3,4−ビス(N−エチルカルバモイルオキシ)チオフェン、3,4−ビス(N−n−プロピルカルバモイルオキシ)チオフェン、3,4−ビス(N−ブチルカルバモイルオキシ)チオフェン、3,4−ビス(N−ヘキシルカルバモイルオキシ)チオフェン、3,4−ビス(N−オクチルカルバモイルオキシ)チオフェン、3,4−ビス(N−デシルカルバモイルオキシ)チオフェン、3,4−ビス(N−ドデシルカルバモイルオキシ)チオフェン、3−(N−メチルカルバモイルオキシ)−4−(N−エチルカルバモイルオキシ)チオフェン、3−(N−メチルカルバモイルオキシ)−4−(N−n−プロピルカルバモイルオキシ)チオフェン、3−(N−メチルカルバモイルオキシ)−4−(N−ブチルカルバモイルオキシ)チオフェン、3−(N−メチルカルバモイルオキシ)−4−(N−ヘキシルカルバモイルオキシ)チオフェン、3−(N−メチルカルバモイルオキシ)−4−(N−オクチルカルバモイルオキシ)チオフェン、3−(N−メチルカルバモイルオキシ)−4−(N−デシルカルバモイルオキシ)チオフェン、3−(N−メチルカルバモイルオキシ)−4−(N−ドデシルカルバモイルオキシ)チオフェン、3−(N−エチルカルバモイルオキシ)−4−(N−n−プロピルカルバモイルオキシ)チオフェン、3−(N−エチルカルバモイルオキシ)−4−(N−ブチルカルバモイルオキシ)チオフェン、3−(N−メチルカルバモイルオキシ)−4−(N−ヘキシルカルバモイルオキシ)チオフェン、3−(N−エチルカルバモイルオキシ)−4−(N−オクチルカルバモイルオキシ)チオフェン、3−(N−エチルカルバモイルオキシ)−4−(N−デシルカルバモイルオキシ)チオフェン、3−(N−エチルカルバモイルオキシ)−4−(N−ドデシルカルバモイルオキシ)チオフェン、3−(N−n−プロピルカルバモイルオキシ)−4−(N−ブチルカルバモイルオキシ)チオフェン、3−(N−n−プロピルカルバモイルオキシ)−4−(N−ヘキシルカルバモイルオキシ)チオフェン、3−(N−n−プロピルカルバモイルオキシ)−4−(N−オクチルカルバモイルオキシ)チオフェン、3−(N−n−プロピルカルバモイルオキシ)−4−(N−デシルカルバモイルオキシ)チオフェン、3−(N−n−プロピルカルバモイルオキシ)−4−(N−ドデシルカルバモイルオキシ)チオフェン、3−(N−ブチルカルバモイルオキシ)−4−(N−ヘキシルカルバモイルオキシ)チオフェン、3−(N−ブチルカルバモイルオキシ)−4−(N−オクチルカルバモイルオキシ)チオフェン、3−(N−ブチルカルバモイルオキシ)−4−(N−デシルカルバモイルオキシ)チオフェン、3−(N−ブチルカルバモイルオキシ)−4−(N−ドデシルカルバモイルオキシ)チオフェン、3−(N−ヘキシルカルバモイルオキシ)−4−(N−オクチルカルバモイルオキシ)チオフェン、3−(N−ヘキシルカルバモイルオキシ)−4−(N−デシルカルバモイルオキシ)チオフェン、3−(N−ヘキシルカルバモイルオキシ)−4−(N−ドデシルカルバモイルオキシ)チオフェン、3−(N−オクチルカルバモイルオキシ)−4−(N−デシルカルバモイルオキシ)チオフェン、3−(N−オクチルカルバモイルオキシ)−4−(N−ドデシルカルバモイルオキシ)チオフェン、3−(N−デシルカルバモイルオキシ)−4−(N−ドデシルカルバモイルオキシ)チオフェン等が挙げられる。
また、上記一般式(2)で表される3,4−ビス(カルバモイルオキシ)チオフェン類としては、例えば、3,4−ビス(N−フェニルカルバモイルオキシ)チオフェン、3,4−ビス(N−p−トリルカルバモイルオキシ)チオフェン、3,4−ビス(N−m−トリルカルバモイルオキシ)チオフェン、3,4−ビス(N−2’,4’−ジメチルフェニルカルバモイルオキシ)チオフェン、3,4−ビス(N−2’,3’−ジメチルフェニルカルバモイルオキシ)チオフェン、3,4−ビス(N−2’,5’−ジメチルフェニルカルバモイルオキシ)チオフェン、3,4−ビス(N−2’,6’−ジメチルフェニルカルバモイルオキシ)チオフェン、3,4−ビス(N−1−ナフチルカルバモイルオキシ)チオフェン、3−(N−フェニルカルバモイルオキシ)−4−(N−p−トリルカルバモイルオキシ)チオフェン、3−(N−フェニルカルバモイルオキシ)−4−(N−m−トリルカルバモイルオキシ)チオフェン、3−(N−フェニルカルバモイルオキシ)−4−(N−2’,3’−ジメチルフェニルカルバモイルオキシ)チオフェン、3−(N−フェニルカルバモイルオキシ)−4−(N−2’,4’−ジメチルフェニルカルバモイルオキシ)チオフェン、3−(N−フェニルカルバモイルオキシ)−4−(N−2’,5’−ジメチルフェニルカルバモイルオキシ)チオフェン、3−(N−フェニルカルバモイルオキシ)−4−(N−2’,6’−ジメチルフェニルカルバモイルオキシ)チオフェン、3−(N−フェニルカルバモイルオキシ)−4−(N−1−ナフチルカルバモイルオキシ)チオフェン、3−(N−p−トリルカルバモイルオキシ)−4−(N−m−トリルカルバモイルオキシ)チオフェン、3−(N−p−トリルカルバモイルオキシ)−4−(N−2’,3’−ジメチルフェニルカルバモイルオキシ)チオフェン、3−(N−p−トリルカルバモイルオキシ)−4−(N−2’,4’−ジメチルフェニルカルバモイルオキシ)チオフェン、3−(N−p−トリルカルバモイルオキシ)−4−(N−2’,5’−ジメチルフェニルカルバモイルオキシ)チオフェン、3−(N−p−トリルカルバモイルオキシ)−4−(N−2’,6’−ジメチルフェニルカルバモイルオキシ)チオフェン、3−(N−p−トリルカルバモイルオキシ)−4−(N−1−ナフチルカルバモイルオキシ)チオフェン、3−(N−m−トリルカルバモイルオキシ)−4−(N−2’,4’−ジメチルフェニルカルバモイルオキシ)チオフェン、3−(N−m−トリルカルバモイルオキシ)−4−(N−2’,5’−ジメチルフェニルカルバモイルオキシ)チオフェン、3−(N−m−トリルカルバモイルオキシ)−4−(N−2’,6’−ジメチルフェニルカルバモイルオキシ)チオフェン、3−(N−m−トリルカルバモイルオキシ)−4−(N−1−ナフチルカルバモイルオキシ)チオフェン、3−(N−2’,3’−ジメチルフェニルカルバモイルオキシ)−4−(N−2’,5’−ジメチルフェニルカルバモイルオキシ)チオフェン、3−(N−2’,4’−ジメチルフェニルカルバモイルオキシ)−4−(N−2’,5’−ジメチルフェニルカルバモイルオキシ)チオフェン、3−(N−2’,4’−ジメチルフェニルカルバモイルオキシ)−4−(N−2’,6’−ジメチルフェニルカルバモイルオキシ)チオフェン、3−(N−2’,4’−ジメチルフェニルカルバモイルオキシ)−4−(N−1−ナフチルカルバモイルオキシ)チオフェン、3−(N−2’,5’−ジメチルフェニルカルバモイルオキシ)−4−(N−2’,6’−ジメチルフェニルカルバモイルオキシ)チオフェン、3−(N−2’,5’−ジメチルフェニルカルバモイルオキシ)−4−(N−1−ナフチルカルバモイルオキシ)チオフェン、3−(N−2’,6’−ジメチルフェニルカルバモイルオキシ)−4−(N−1−ナフチルカルバモイルオキシ)チオフェン等が挙げられる。
これらのうち、効果と工業的な入手可能性から、3,4−ビス(N−エチルカルバモイルオキシ)チオフェン[下記式(4)で表される化合物]、3,4−ビス(N−フェニルカルバモイルオキシ)チオフェン[下記式(5)で表される化合物]、3,4−ビス(N−m−トリルカルバモイルオキシ)チオフェン[下記式(6)で表される化合物)、3,4−ビス(N−1−ナフチルカルバモイルオキシ)チオフェン[下記式(7)で表される化合物]が好ましい。
Figure 0006015243
Figure 0006015243
Figure 0006015243
Figure 0006015243
本発明の3,4−ビス(カルバモイルオキシ)チオフェン類の製造方法としては、特に限定するものではないが、既知の方法に従い合成することができる(例えば、米国特許2453103号明細書、及び特開昭56−103175号公報参照)。
即ち、塩基性不活性溶媒中、原料の3,4−ジヒドロキシ−2,5−ジカルボン酸チオフェンを加温し(脱炭酸反応)、触媒として第三級アミンの存在下、又は不存在下で、下記一般式(8)又は一般式(9)で表されるイソシアネートと反応させる製造方法が好ましい。
Figure 0006015243
[上記式(8)中、Rは、上記式(1)におけるR、Rと同様に、炭素数1〜12のアルキル基を表す。]
Figure 0006015243
[上記式(9)中、R10、R11は各々独立して、上記式(2)におけるR〜Rと同様に、水素原子又は炭素数1〜3の炭化水素基を表す。また、R10とR11はそれぞれ互いに連結して環状構造を形成してもよい。]
この反応において、塩基性不活性溶媒としては、例えば、ピリジン、キノリン、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド等が挙げられる。これらのうち、次のイソシアネートの反応に汎用的な、ピリジン、N,N−ジメチルホルムアミドが特に好ましい。これらの不活性溶媒は、単独で又は2種以上用いることができる。
脱炭酸反応は、50〜120℃の範囲で行うことが好ましい。また加温後、−20〜50℃に冷却することが好ましい。
イソシアネートの使用量は、原料のジヒドロキシ体の2倍モル程度あれば十分であり、2〜5倍モルが好ましい。5倍モルを超えて大過剰に使用することは経済的に不利である。
この反応は、通常、触媒として第三級アミンの存在下で行うが、塩基性不活性溶媒中で無触媒でも反応は進行する場合には触媒は不要である。
第三級アミン触媒としては、例えば、トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリプロピルアミン、トリブチルアミン、N,N−ジメチルシクロヘキシルアミン、N,N−ジシクロヘキシルアミン等が挙げられる。これらのうち、操作性と経済性から、トリエチルアミン、トリプロピルアミン、トリブチルアミンが好ましく、トリエチルアミンが特に好ましい。これらの第三級アミンは、単独で又は2種以上用いることができる。
<共重合体>
本発明の共重合体は、上記した本発明の3,4−ビス(カルバモイルオキシ)チオフェン類から誘導される繰り返し単位と、チオフェンモノマーから誘導される繰り返し単位とを含む。
本発明においてチオフェンモノマーとは、チオフェン環を有する単量体[但し、3,4−ビス(カルバモイルオキシ)チオフェン類を除く]であって、例えば、3,4−エチレンジオキシチオフェン、3,4−メチレンジオキシチオフェン、3−メチルチオフェン、3,4−ジメチルチオフェン、3−エチルチオフェン、3,4−ジエチルチオフェン、3−ブチルチオフェン、3,4−ジブチルチオフェン、3−ヘキシルチオフェン、3−オクチルチオフェン、3−メトキシチオフェン、3,4−ジメトキシチオフェン、3−エトキシチオフェン、3−メチル−4−メトキシチオフェン、3−メチル−4−ブトキシチオフェン、3−メチル−4−オクチルオキシチオフェン、3−メチル−4−ラウリルオキシチオフェン、3−メチル−4−セチルオキシチオフェン、R,S−3,4−(1’−ヒドロキシメチル)エチレンジオキシチオフェン、3,4−エチレンオキシチアチオフェン等が挙げられる。これらのうち、効果と工業的な入手可能性から、上記式(2)で表される3,4−エチレンジオキシチオフェンが特に好ましい。
本発明の共重合体における、本発明の3,4−ビス(カルバモイルオキシ)チオフェン類と、チオフェンモノマーとの混合割合は、特に限定するものではないが、本発明の3,4−ビス(カルバモイルオキシ)チオフェン類が0.01〜25モル%の範囲であり、3,4−エチレンジチオフェンが99.99〜75モル%の範囲であることが好ましく、本発明の3,4−ビス(カルバモイルオキシ)チオフェン類モノマーが0.1〜10モル%の範囲であり、チオフェンモノマーが99.9〜90モル%の範囲であることがさらに好ましく、本発明の3,4−ビス(カルバモイルオキシ)チオフェン類が1〜5モル%であり、チオフェンモノマーが99〜95モル%の範囲であることが特に好ましい。
共重合体の製造方法としては、操作の簡便さから酸化重合することが好ましい。
酸化重合に用いる酸化剤としては、例えば過硫酸塩及び第二鉄塩等の一般的なものを用いることができる。過硫酸塩としては、例えば、過硫酸アンモニウム、過硫酸カリウム、過硫酸ナトリウム等が用いられ、また、第二鉄塩としては、例えば、硫酸第二鉄、塩化第二鉄、トルエンスルホン酸第二鉄等が用いられる。これらの中でも酸化剤としては、酸化剤とドーパントを兼ねたトルエンスルホン酸第二鉄が特に好ましい。
酸化剤の使用量は、本発明の3,4−ビス(カルバモイルオキシ)チオフェン類とチオフェンモノマーとを合わせたチオフェン誘導体の合計1モルに対し、1〜5倍モルの範囲が好ましく、2〜4倍モルの範囲が特に好ましい。
酸化重合に用いられる溶剤は、アルコール類、又は水系溶媒が好ましく、特に好ましくは、炭素数1〜4のアルキルアルコールである。
炭素数1〜4のアルキルアルコールとしては、例えば、メタノール、エタノール、n−プロパノール、2−プロパノール、n−ブタノール、2−ブタノール、tert−ブタノール等が挙げられ、これらは単一で又は水と混合して使用してもよい。
酸化重合において反応温度は、アルコール溶媒を取り扱うことが可能な反応温度であれば特に限定するものではないが、0〜50℃の範囲が好ましく、濃度変化をさせずに反応を進行させるためには、0〜30℃の範囲が特に好ましい。
<導電性被覆物>
本発明の導電性被覆物は、上記した本発明の共重合体からなる。
本発明の導電性被覆物の製造方法としては、特に限定するものではないが、例えば、上記した共重合体の製造方法に従い、本発明の3,4−ビス(カルバモイルオキシ)チオフェン類とチオフェンモノマーとを酸化重合させて共重合体を得、この反応液を基材表面に塗布し、乾燥させることで導電性被覆物を得ることができる。
基材としては、特に限定されるものではないが、例えば、プラスチックシート、プラスチックフィルム、不織布、ガラス板等が挙げられる。
また、塗布方法としては、特に限定するものではないが、例えば、スピンコート、ワイヤーコート、バーコート、ロールコート、ブレートコート、カーテンコート、スクリーン印刷等が挙げられる。
乾燥させる際の加熱条件としては、特に限定されるものではないが、熱劣化の影響を受けない50〜120℃が好ましい。
得られた導電性被覆物は、25℃付近の常温では抵抗値は低く、加熱で抵抗値が増す性質をもち、熱劣化性を有する導電性被覆物として好適に使用される。
本発明を以下の実施例により更に詳細に説明するが、本発明はこれらに限定して解釈されるものではない。なお、本実施例における生成物の収率は、単離収量から推定した。
化合物のH−NMR及び13C−NMRの測定には、Varian社製、Gemini−200を使用した。
化合物のガスクロマトグラフィーの測定には、島津製作所製、GC−14Aを用いた。[測定条件:キャピラリーカラム(J&WScience社製、NB−5)、昇温、検出器FID]。
表面抵抗率の測定には、低抵抗率計(三菱化学社製、ロレススターGP、MCP−T600)を使用し、四探針法で測定した。
スピンコーターは、MIKASA製SPINNER、1H−D2を使用し、オーブンは、増田理化工業社製、定温乾燥器SA460型を用いた。
なお、ガラス基板は、松浪硝子製S1127を使用した。
合成例1 3,4−ジヒドロキシ−2,5−ジカルボン酸チオフェンの合成.
原料の3,4−ジヒドロキシ−2,5−ジカルボン酸チオフェンは、既知の方法に従い合成した(Organic Synthesis Coll.Vol.2,P.576、J.Amer.Chem.Soc.,(1964),Vol.86,P.2014、J.Amer.Chem.Soc.,(1945),Vol.67,P.2217、及び米国特許2453102号明細書参照)。
具体的には、下記反応式の製法で合成した。
Figure 0006015243
a)チオグリコール酸ジエチルの合成.
1リットルの四つ口フラスコに、窒素雰囲気下で、ブロモ酢酸エチル(東京化成品、試薬1級)167.1g(1.0mol)と水339.0gを仕込み、10℃に冷却した。10℃を保ちながら硫化ナトリウム・9水和物(キシダ化学製、特級)132.9g(0.55mol)を水163.2gに溶解したものを1時間で滴下し、更に室温まで撹拌して18時間反応を行った。反応液を酢酸エチル抽出、水洗を行って、無水硫酸マグネシウム(関東化学製、試薬鹿特級)20.3gを加えて脱水後、90℃/16〜20mmHgで濃縮したところ、83.0gの濃縮液を得た。この液は、ガスクロマトグラフィー分析で単一ピークであり、H−NMRを測定したところ、チオグリコール酸ジエチルであることを確認した。
H−NMR(200MHz,CDCl)1.29(6H,t,J=7.2Hz)、3.38(4H,s)、4.20(4H,t,J=7.2Hz)。
b)3,4−ジヒドロキシ−2,5−ジカルボン酸チオフェンジエチルエステルの合成.
1リットルの四つ口フラスコに、窒素雰囲気下で、20%ナトリウムエトキサイド(和光純薬製、試薬1級)82.8g(0.24mol)を仕込み、5℃に冷却した。それに、10℃以下を保ちながら得られたチオグリコール酸ジエチル20.6g(0.10mol)と蓚酸ジエチル(和光純薬製、特級)17.2g(0.12mol)にエタノール18.8gを加えた溶液を1時間で滴下した。更に、1.0時間加熱還流した。反応終了後、反応液を60℃/20mmHg以下で濃縮し、水515.2gを加えて5℃まで冷却し、35%塩酸38.1g(0.37mol)を10℃以下で滴下したところ、白色沈殿を得た。得られた沈殿をろ過し、水に分散させて洗浄ろ過した後、60℃/1mmHgで4時間乾燥したところ、23.8gの白色粉末を得た。また、同様にして、白色粉末44.9gを得た。これらの粉末は、ガスクロマトグラフィー分析で単一ピークであり、H−NMR及び13C−NMRを測定したところ、3,4−ジヒドロキシ−2,5−ジカルボン酸チオフェンジエチルエステルであることを確認した。
H−NMR(200MHz,CDCl)1.38(6H,t,J=6.8Hz)、
4.41(4H,q,J=7.4Hz)、9.36(2H,s)。
13C−NMR(50MHz,CDCl)14.17、61.78、107.12、
151.60、165.51。
c)3,4−ジヒドロキシ−2,5−ジカルボン酸チオフェンの合成.
1リットルの四つ口フラスコに、窒素雰囲気下で、酢酸ナトリウム・3水和物(キシダ化学製、試薬特級)24.4g(0.18mol)と水酸化ナトリウム(キシダ化学製、試薬特級)3.1g(74.8mmol)を仕込み、120℃に加温した。そこに、3,4−ジヒドロキシ−2,5−ジカルボン酸チオフェンジエチルエステル1.3g(5.0mmol)と水5.0gを加え、120℃で1.5時間撹拌し、更に、100℃で3時間反応を継続した。反応終了後、反応液に水62.3gと35%塩酸33.2g(0.32mol)を30℃以下で加え、反応液を酢酸エチル抽出、水洗を行って、無水硫酸マグネシウム(関東化学製、試薬鹿特級)4.3gを加えて脱水後、55℃/20mmHg以下で濃縮したところ、0.7gの褐色の固体を得た。
この固体は、13C−NMRを測定したところ、3,4−ジヒドロキシ−2,5−ジカルボン酸チオフェンであることを確認した。更に、同様の方法で3,4−ジヒドロキシ−2,5−ジカルボン酸チオフェン3.5gを入手した。
13C−NMR(50MHz,CD3OD)109.00、152.23、167.31。
実施例1 上記式(4)で表される3,4−ビス(N−エチルカルバモイルオキシ)チオフェンの合成例.
100mlの四つ口フラスコに、窒素雰囲気下で、3,4−ジヒドロキシ−2,5−ジカルボン酸チオフェン0.5g(2.5mmol)とピリジン4.8gを仕込み、オイルバス中で100℃を保ちながら1時間加温し、脱炭酸反応を行った。次いで、4℃まで冷却してから、エチルイソシアネート(和光純薬製、化学用試薬)0.5g(3.3mmol)を加え、更に、トリエチルアミン0.7g(7.4mmol)を6℃以下に保ちながら30分かけて滴下した。そのまま室温に戻しながら16時間撹拌した後、濃縮、ジエチルエーテル抽出、水洗を行って、55℃/20mmHg以下で濃縮したところ、0.5g(収率、71%)の白色固体を得た。得られた固体は薄層クロマトグラフィー(Merck社製、RF254、トルエン:酢酸エチル=10:1)で主スポットであり、H−NMR及び13C−NMRを測定したところ、3,4−ビス(N−エチルカルバモイルオキシ)チオフェンであることを確認した。
H−NMR(200MHz,CDCl)1.19(6H,t,J=7.2)、3.29(4H,J=7.0)、7.04(2H,s)。
13C−NMR(50MHz,CDCl)15.00、36.18、109.23、138.69、153.03。
実施例2 上記式(5)で表される3,4−ビス(N−フェニルカルバモイルオキシ)チオフェンの合成例.
100mlの四つ口フラスコに、窒素雰囲気下で、3,4−ジヒドロキシ−2,5−ジカルボン酸チオフェン0.5g(2.5mmol)とピリジン5.3gを仕込み、オイルバス中で120℃を保ちながら30分間加温し、脱炭酸反応を行った。次いで、4℃まで冷却してから、フェニルイソシアネート(和光純薬製、試薬特級)1.1g(9.4mmol)を加え、更に、トリエチルアミン0.8g(7.7mmol)を6℃以下に保ちながら30分かけて滴下した。そのまま室温に戻しながら16時間撹拌した後、ジエチルエーテルと酢酸エチルを加えてから、ろ過、濃縮、ジエチルエーテル抽出、水洗を行って、無水硫酸マグネシウム(関東化学製、試薬鹿特級)4.3gを加えて脱水後、55℃/20mmHg以下で濃縮したところ、1.3gの褐色固体を得た。得られた固体をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(和光純薬製、C−300、トルエン:酢酸エチル=20:1)で精製したところ、白色の固体0.3g(収率、36%)を得た。得られた固体は薄層クロマトグラフィー(Merck社製、RF254、n−ヘキサン:酢酸エチル=10:1)で主スポットであり、H−NMR及び13C−NMRを測定したところ、3,4−ビス(N−m−トリルカルバモイルオキシ)チオフェンであることを確認した。
H−NMR(200MHz,CDCl)7.03−7.11(2H,m)、7.14(2H,s)、7.29(4H,m)、7.45(4H,m)。
13C−NMR(50MHz,CDCl)110.97、119.01、123.86、129.02、137.76、138.73、151.44。
実施例3 上記式(6)で表される3,4−ビス(N−m−トリルカルバモイルオキシ)チオフェンの合成例.
100mlの四つ口フラスコに、窒素雰囲気下で、3,4−ジヒドロキシ−2,5−ジカルボン酸チオフェン0.5g(2.5mmol)とピリジン5.0gを仕込み、オイルバス中で120℃を保ちながら30分間加温し、脱炭酸反応を行った。次いで、4℃まで冷却してから、m−トリルイソシアネート(東京化成製、試薬)0.7g(5.0mmol)を6℃以下に保ちながら30分かけて滴下した。そのまま室温に戻しながら16時間撹拌した後、ジエチルエーテルと酢酸エチルを加えてから、ろ過、濃縮、ジエチルエーテル抽出、水洗を行って、無水硫酸マグネシウム(関東化学製、試薬鹿特級)5.5gを加えて脱水後、55℃/20mmHg以下で濃縮したところ、1.0gの黒褐色固体を得た。得られた固体をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(和光純薬製、C−300、トルエン:酢酸エチル=20:1)で精製したところ、白色の固体0.4g(収率、37%)を得た。得られた固体は薄層クロマトグラフィー(Merck社製、RF254、n−ヘキサン:酢酸エチル=10:1)で主スポットであり、H−NMR及び13C−NMRを測定したところ、3,4−ビス(N−m−トリルカルバモイルオキシ)チオフェンであることを確認した。
H−NMR(200MHz,CDCl)2.30(6H,s)、6.92(2H,m)、7.05(2H,s)、7.10−7.25(6H,m)、8.14(2H,bs)。
13C−NMR(50MHz,CDCl)21.43、110.73、115.79、119.39、124.81、128.79、136.73、138.13、138.97、150.23。
実施例4 上記式(7)で表される3,4−ビス(N−1−ナフチルカルバモイルオキシ)チオフェンの合成例.
100mlの四つ口フラスコに、窒素雰囲気下で、3,4−ジヒドロキシ−2,5−ジカルボン酸チオフェン0.5g(2.5mmol)とN,N−ジメチルホルムアミド5.0gを仕込み、オイルバス中で120℃を保ちながら50分間加温し、脱炭酸反応を行った。次いで、10℃まで冷却してから、1−ナフチルイソシアネート(東京化成製、試薬)0.8g(4.9mmol)を加え、そのまま26℃に戻しながら14時間撹拌した後、55℃で1時間加熱撹拌した。反応終了後、酢酸エチルを加えてから、濃縮、酢酸エチル抽出、ろ過、水洗を行って、無水硫酸マグネシウム(関東化学製、試薬鹿特級)6.2gを加えて脱水後、55℃/20mmHg以下で濃縮したところ、1.2gの褐色固体を得た。得られた固体をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(和光純薬製、C−300、トルエン:酢酸エチル=20:1)で精製し、エタノールで再結晶しところ、白色の個体0.1g(収率、10%)を得た。得られた液体は薄層クロマトグラフィー(Merck社製、RF254、n−ヘキサン:酢酸エチル=20:1)で主スポットであり、H−NMR及び13C−NMRを測定したところ、3,4−ビス(N−1−ナフチルカルバモイルオキシ)チオフェンであることを確認した。
H−NMR(200MHz,CDCl−CDOD)7.18(2H,s)、7.43−7.51(6H,m)、7.70−7.87(6H,m)、8.00−8.15(2H,m)。
13C−NMR(50MHz,CDCl−CDOD)111.15、121.50、125.62、126.19、126.37、128.48、132.39、134.24、138.99、162.21。
実施例5 上記式(4)で表される3,4−ビス(N−エチルカルバモイルオキシ)チオフェン5mol%と3,4−エチレンジオキシチオフェン95mol%との共重合体の重合例.
実施例1で得た3,4−ビス(N−エチルカルバモイルオキシ)チオフェン64.5mg(0.25mmol)を、3,4−エチレンジオキシチオフェン(ハイケム社製、99.9%以上)3.6g(25.0mmol)に添加し、3,4−ビス(N−エチルカルバモイルオキシ)チオフェンを5mol%含有する3,4−エチレンジオキシチオフェン液を得た。
次いで、得られた3,4−エチレンジオキシチオフェン液101.1mgを、触媒Clevios C−B40 V2[Heraeus社製、p−トルエンスルホン酸鉄(III)、40%ブタノール溶液]5.0g(8.8mmol)に添加し酸化重合を行い、3,4−エチレンジオキシチオフェンから誘導される繰り返し単位と、3,4−ビス(N−エチルカルバモイルオキシ)チオフェンから誘導される繰り返し単位とを含む共重合体を合成した。
得られた反応液を、硝子基板(26mm×25mm切片)に約0.3g載せ、スピンコートで塗布した(300rpm、60秒)。次いで、塗布基板を120℃以上で焼成、水洗後、100℃で乾燥し、前記共重合体からなる被覆物を得た。
実施例6 上記式(5)で表される3,4−ビス(N−フェニルカルバモイルオキシ)チオフェン5mol%と3,4−エチレンジオキシチオフェン95mol%との共重合体の重合例.
実施例2で得た上記式(5)で表される3,4−ビス(N−フェニルカルバモイルオキシ)チオフェン44.3mg(0.13mmol)を、3,4−エチレンジオキシチオフェン(ハイケム社製、99.9%以上)357.7mg(2.5mmol)に添加し、3,4−ビス(N−フェニルカルバモイルオキシ)チオフェンを5mol%含有する3,4−エチレンジオキシチオフェン液を得た。
次いで、得られた3,4−エチレンジオキシチオフェン液100.2mgを、触媒Clevios C−B40 V2[Heraeus社製、p−トルエンスルホン酸鉄(III)、40%ブタノール溶液]5.0g(8.8mmol)に添加し酸化重合を行い、3,4−エチレンジオキシチオフェンから誘導される繰り返し単位と、3,4−ビス(ドデシルベンゼンスルホニルオキシ)チオフェンから誘導される繰り返し単位とを含む共重合体を合成した。
得られた反応液を、硝子基板(26mm×25mm切片)に約0.3g載せ、スピンコートで塗布した(300rpm、60秒)。次いで、塗布基板を120℃以上で焼成、水洗後、100℃で乾燥し、前記共重合体からなる被覆物を得た。
実施例7 上記式(6)で表される3,4−ビス(N−m−トリルカルバモイルオキシ)チオフェン5mol%と3,4−エチレンジオキシチオフェン95mol%との共重合体の重合例.
実施例3で得た上記式(6)で表される3,4−ビス(N−m−トリルカルバモイルオキシ)チオフェン5.7mg(0.015mmol)を、3,4−エチレンジオキシチオフェン(ハイケム社製、99.9%以上)43.2mg(0.30mmol)に添加し、n−ブタノール53.7mgを加えて、3,4−ビス(N−m−トリルカルバモイルオキシ)チオフェンを5mol%含有する3,4−エチレンジオキシチオフェン液を得た。
次いで、得られた3,4−エチレンジオキシチオフェン液102.6mgを、触媒Clevios C−B40 V2[Heraeus社製、p−トルエンスルホン酸鉄(III)、40%ブタノール溶液]1.3g(2.2mmol)に添加し酸化重合を行い、3,4−エチレンジオキシチオフェンから誘導される繰り返し単位と、3,4−ビス(N−m−トリルカルバモイルオキシ)チオフェンから誘導される繰り返し単位とを含む共重合体を合成した。
得られた反応液を、子基板(26mm×25mm切片)に約0.3g載せ、スピンコートで塗布した(300rpm、60秒)。次いで、塗布基板を120℃以上で焼成、水洗後、100℃で乾燥し、前記共重合体からなる被覆物を得た。
実施例8 上記式(7)で表される3,4−ビス(N−1−ナフチルカルバモイルオキシ)チオフェン5mol%と3,4−エチレンジオキシチオフェン95mol%との共重合体の重合例.
実施例4で得た3,4−ビス(N−1−ナフチルカルバモイルオキシ)チオフェン14.1mg(0.03mmol)を、3,4−エチレンジオキシチオフェン(ハイケム社製、99.9%以上)85.8mg(0.60mmol)に添加し、n−ブタノール102.5mgを加えて加温し超音波処理で溶解して、3,4−ビス(N−1−ナフチルカルバモイルオキシ)チオフェンを5mol%含有する3,4−エチレンジオキシチオフェン液を得た。
次いで、得られた3,4−エチレンジオキシチオフェン液202.4mgを、触媒Clevios C−B40 V2[Heraeus社製、p−トルエンスルホン酸鉄(III)、40%ブタノール溶液]2.5g(4.4mmol)に添加し酸化重合を行い、3,4−エチレンジオキシチオフェンから誘導される繰り返し単位と、3,4−ビス(ドN−1−ナフチルカルバモイルオキシ)チオフェンから誘導される繰り返し単位とを含む共重合体を合成した。
得られた反応液を、硝子基板(26mm×25mm切片)に約0.3g載せ、スピンコートで塗布した(300rpm、60秒)。次いで、塗布基板を120℃以上で焼成、水洗後、100℃で乾燥し、前記共重合体からなる被覆物を得た。
比較例1 上記式(3)で表される3,4−エチレンジオキシチオフェン重合体の重合例.
触媒Clevios C−B40 V2[Heraeus社製、p−トルエンスルホン酸鉄(III)、40%ブタノール溶液]5.0g(8.8mmol)に市販の3,4−エチレンジオキシチオフェン(ハイケム社製、99.9%以上)101.0mg(0.7mmol)を添加し酸化重合を行った。
得られた反応液を、硝子基板(26mm×25mm切片)に約0.3g載せ、スピンコートで塗布した(300rpm、60秒)。次いで、塗布基板を120℃以上で焼成、水洗後、100℃で乾燥し、前記重合体からなる被覆物を得た。
実施例9〜実施例12、比較例2 熱劣化性試験.
実施例5〜実施例8、及び比較例1で得られた被覆物について、加熱前、24時間加熱後、48時間加熱後での表面抵抗率を抵抗率計で測定した。被覆物の加熱はガラス基板ごと大気中で130℃のホットプレートに置いて実施した。測定結果を表1に併せて示す。
Figure 0006015243
表1から明らかなとおり、加熱前における実施例5〜実施例8で得られた被覆物の表面抵抗値は、比較例1で得られた被覆物と同等の低い抵抗値を示した。また、実施例5〜実施例8で得られた被覆物は、比較例1で得られた被覆物と比較して、大きな抵抗値の変化を示した。
すなわち、実施例5〜実施例8で得られた被覆物は、加熱前の室温(25℃付近)では、比較例1で得られた被覆物と同程度の低い抵抗値を示し、大気中、130℃の条件下で48時間以上保った場合には、比較例1で得られた被覆物の2倍以上へ抵抗値が増加するという特徴を示した。
本発明の共重合体は、導電材料として用いることができるとともに、温度上昇により抵抗値の増加を示すため、熱劣化性を有する導電性被覆物を提供することができる。
本発明の共重合体は、過電流保護素子としての利用が期待される。

Claims (6)

  1. 下記一般式(1)又は一般式(2)
    Figure 0006015243
    [上記式(1)中、R 、R は各々独立して、炭素数1〜12のアルキル基を表す。]
    Figure 0006015243
    [上記式(2)中、R 〜R は各々独立して、水素原子又は炭素数1〜3の炭化水素基を表す。また、R とR 、又はR とR はそれぞれ互いに連結して環状構造を形成してもよい。]
    で表される3,4−ビス(カルバモイルオキシ)チオフェン類から誘導される繰り返し単位と、チオフェンモノマーから誘導される繰り返し単位とを含む共重合体。
  2. 共重合体中に含まれる、下記一般式(1)又は一般式(2)
    Figure 0006015243
    [上記式(1)中、R 、R は各々独立して、炭素数1〜12のアルキル基を表す。]
    Figure 0006015243
    [上記式(2)中、R 〜R は各々独立して、水素原子又は炭素数1〜3の炭化水素基を表す。また、R とR 、又はR とR はそれぞれ互いに連結して環状構造を形成してもよい。]
    で表される3,4−ビス(カルバモイルオキシ)チオフェン類から誘導される繰り返し単位が0.01〜25モル%の範囲であり、チオフェンモノマーから誘導される繰り返し単位が99.99〜75モル%の範囲であることを特徴とする請求項に記載の共重合体。
  3. チオフェンモノマーが、下記式(3)で表される3,4−エチレンジオキシチオフェンであることを特徴とする請求項又は請求項に記載の共重合体。
    Figure 0006015243
  4. 下記一般式(1)又は一般式(2)
    Figure 0006015243
    [上記式(1)中、R 、R は各々独立して、炭素数1〜12のアルキル基を表す。]
    Figure 0006015243
    [上記式(2)中、R 〜R は各々独立して、水素原子又は炭素数1〜3の炭化水素基を表す。また、R とR 、又はR とR はそれぞれ互いに連結して環状構造を形成してもよい。]
    で表される3,4−ビス(カルバモイルオキシ)チオフェン類とチオフェンモノマーとを酸化重合することを特徴とする請求項乃至請求項のいずれかに記載の共重合体の製造方法。
  5. 請求項乃至請求項のいずれかに記載の共重合体からなる導電性被覆物。
  6. 請求項に記載の方法で得られた反応液を基材に塗布し乾燥することを特徴とする導電性被覆物の製造方法。
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