JP3164671B2 - アリーレンビニレン重合体およびその製造方法 - Google Patents

アリーレンビニレン重合体およびその製造方法

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    • H01ELECTRIC ELEMENTS
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    • H01B1/06Conductors or conductive bodies characterised by the conductive materials; Selection of materials as conductors mainly consisting of other non-metallic substances
    • H01B1/12Conductors or conductive bodies characterised by the conductive materials; Selection of materials as conductors mainly consisting of other non-metallic substances organic substances
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    • H01B1/127Intrinsically conductive polymers comprising five-membered aromatic rings in the main chain, e.g. polypyrroles, polythiophenes
    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C08ORGANIC MACROMOLECULAR COMPOUNDS; THEIR PREPARATION OR CHEMICAL WORKING-UP; COMPOSITIONS BASED THEREON
    • C08GMACROMOLECULAR COMPOUNDS OBTAINED OTHERWISE THAN BY REACTIONS ONLY INVOLVING UNSATURATED CARBON-TO-CARBON BONDS
    • C08G61/00Macromolecular compounds obtained by reactions forming a carbon-to-carbon link in the main chain of the macromolecule
    • C08G61/12Macromolecular compounds containing atoms other than carbon in the main chain of the macromolecule
    • C08G61/122Macromolecular compounds containing atoms other than carbon in the main chain of the macromolecule derived from five- or six-membered heterocyclic compounds, other than imides
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、電気、電子工業の分野
において、加工性要求度の高い電極、センサー、エレク
トロニクス表示素子、光電変換素子、非線形光学素子、
電子写真用感光体ほか、各種導電性材料や耐電防止材料
あるいは光学材料として適した新規アリーレンビニレン
重合体、その前駆体ポリマーおよびそれらの製造方法に
関する。
【0002】
【従来の技術】長いπ共役鎖を有するポリマーはそれら
の導電性、あるいは金属/半導体転移における状態変化
などの特徴を有するために工業的に注目され、多くの研
究がなされてきた。特に、1984年以降、芳香族ポリマー
であるポリチオフェン、ポリ−p−フェニレン、ポリフ
ランなどに加え、ポリアリーレンビニレンが、より高分
子量体で加工性も優れている点で注目されてきた。
【0003】例えば、米国特許第 3,706,677号公報には
ポリフェニレンビニレン、特開昭61-148231 号公報、特
開昭64-79222号公報および特開昭64-79223号公報にはポ
リチエニレンビニレン、ポリフラニレンビニレンおよび
それらの製造方法が開示されている。これらの文献に記
載されたアリーレンビニレン重合体は、チオフェン、フ
ラン等の各々の複素環に隣接するエチレン基に、側鎖と
してスルホニウム塩あるいはアルコキシ基を有する前駆
体ポリマーから側鎖を脱離することにより製造される。
一般にアリーレンビニレン重合体は溶媒に不溶である
が、これらの前駆体は溶媒に可溶であることからフィル
ムや繊維への加工、成型が極めて容易であり、かつ延伸
等による配向性の付与が可能であるといった特徴を有し
ている。
【0004】更に、特開昭61-148231 号公報には置換基
を有するポリアリーレンビニレンが、そして特開平2-50
0195号公報には置換基を有するポリアリーレンビニレン
及びその共重合体が、それぞれ記載されている。しかし
ながら、前者は本質的にはポリチオフェンまたは各種置
換体を有する誘導体に関するものであり、後者は一般的
な極めて広範な誘導体をカバーしており、表現の一部と
してあたかも本発明化合物と類似する化学構造を示して
いるかに見受けられるが、いずれの文献にも本発明化合
物を示唆するような具体的開示は全く認められない。
【0005】次に、ベンゾ[b]チオフェンとベンゾ
[c]チオフェンの違いについて述べる。ベンゾ[b]
チオフェンは、チオフェンより化学的に安定であると同
時に、極めて反応性の低い化合物であるのに対しベンゾ
[c]チオフェンは極めて反応性の高く、化学的にも不
安定な化合物であり、−30℃の窒素下においても、1日
しか安定に存在し得ない。この2つの化合物はヘテロ原
子に関する構造異性体でありながら、反応性に関して化
学的性質が大きく異なっている。詳しくは、An Introdu
ction to the Chemistry of Heterocyclic Compounds(T
hird Edition), R.M.Acheson,(John Wiley & Sons, In
c.,1976) の総説に述べられている。更に、それらの重
合体である、ポリベンゾ[b]チオフェンとポリベンゾ
[c]チオフェンについて述べる。前者はMakromol, Ch
em.,Rapid Commun.,8,325(1987)に、後者はJ.Org.Che
m.,49,3382(1984)に製造方法及び物性についての記載
がある。その電気的性質のうち、エネルギーギャップは
前者がEg= 2.9〜3eVで有り、一方後者はEg=1.1eV
と全く異なる性質を示すことが報告されている。すな
わちベンゾ[b]チオフェンとベンゾ[c]チオフェン
は、単量体及び重合体において明らかに異なる性質を示
すことが知られている。更に、米国特許 4,837,096号公
報において、ベンゾ[b]チオフェン、ベンゾ[b]フ
ラン、ベンゾ[b]ピロール構造を芳香族環として有す
るアリレーンビニレンが例示されているが、これは、本
発明に関するベンゾ[c]チオフェン、ベンゾ[c]フ
ラン、ベンゾ[c]ピロールとは化学構造上全く異なる
化合物であり、また、本発明化合物に関する具体的な開
示は一切認められない。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、より共
役系の長い2環系アリーレンビニレン重合体、たとえば
イソチアナフテン構造を有するアリーレンビニレン重合
体は、これまでに、J.L.Bredasらによってab initio レ
ベルでのモデル化合物として扱われた(SPIE 971巻、 N
onlinear Optical Properties of Organic Materials(1
988)) のみであり、その製造方法に関しては全く知られ
ていない。特にイソベンゾフラン、イソインドール構造
を有する該アリーレンビニレン重合体についてはこれま
で全く示唆されていない。これは、これらの重合体の原
料モノマーである、イソチアナフテン、イソベンゾフラ
ン、イソインドールが、空気中で不安定であるため、こ
れまでに報告されているポリチエニレンビニレン等他の
アリーレンビニレン重合体と類似の製造方法では、合成
できないためである。
【0007】本発明の目的は、実用的価値の高い新規な
アリーレンビニレン重合体と空気中において安定な前駆
体ポリマーを得、そしてこの前駆体ポリマーを経由して
熱処理等を行うことによりアリーレンビニレン重合体を
製造する方法を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明に従えば、一般式
(I):
【0009】
【化7】
【0010】(式中、R1 およびR2 はそれぞれ独立に
H、直鎖もしくは分岐の炭素数1〜20のアルキル基また
はアルコキシ基を表し、XはS、OまたはNR3 であ
り、R3はH、炭素数1〜6の直鎖もしくは分岐のアル
キル基またはフェニル基を表し、nは重合度で5より大
きい値であり、上記R1 およびR2 におけるアルキル基
およびアルコキシ基はカルボニル、エーテル、エステル
またはアミドを含んでいてもよい)で表されるアリーレ
ンビニレン重合体が提供される。ここで、R1 およびR
2 として有用な具体的な置換基の例をあげれば、水素、
アルキル(例えばメチル、エチル、プロピル、ブチル、
ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、ノニル、イ
ソブチル、イソプロピル、ドデシルなど)、アルコキシ
(例えば、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、ブトキ
シ、イソプロポキシ、ペンチルオキシ、オクチルオキシ
など)である。また、R3 として有用な具体的な置換基
の例をあげれば、水素、アルキル(例えば、メチル、エ
チル、プロピル、ブチル、ペンチル、ヘキシル、イソプ
ロピル、イソブチル、イソペンチルなど):フェニルで
ある。
【0011】本発明に従えば、また上記式(I)の重合
体を化学的または電気化学的にドーピングすることによ
って得られる一般式(II):
【0012】
【化8】
【0013】(式中、R1 、R2 、X及びnは上に定義
した通りであり、δは 0.7以下の値であり、Zは陰イオ
ンを表し、qは1または2であり、上記R1 およびR2
におけるアルキル基およびアルコキシ基はカルボニル、
エーテル、エステルまたはアミドを含んでいてもよい)
で表される化学構造を有するドープしたアリーレンビニ
レン重合体が提供される。
【0014】本発明に従えば、また一般式(III ):
【0015】
【化9】
【0016】(式中、R1 、R2 、X及びnは上に定義
した通りであり、YはR4 + 5 - またはOR6
表され、R4 およびR5 は独立にH、炭素数1〜5の直
鎖または分岐のアルキル基を表し、または硫黄原子とと
もに複素鎖式環を形成し、M-は陰イオンであり、R6
はHまたは炭素数1〜10の直鎖または分岐のアルキル基
を表し、上記R1 ,R2 およびR6 におけるアルキル基
およびアルコキシ基はカルボニル、エーテル、エステル
またはアミドを含んでもよく、mは1または2であり、
nは重合度で5より大きい値である)で表される前駆体
ポリマーおよびこれらのポリマーに加熱処理または、加
熱および酸処理を行うことにより前記アリーレンビニレ
ン重合体を製造する方法が提供される。
【0017】本発明に従えば、さらに一般式(IV):
【0018】
【化10】
【0019】(式中、R1 、R2 、X及びmは上に定義
した通りである)で表される化合物にハロゲン化試剤を
反応させて一般式(V):
【0020】
【化11】
【0021】(式中、R1 、R2 、X及びmは上に定義
した通りであり、Wはハロゲンである)で表される化合
物を得、これに硫黄原子を含有する鎖式または環式化合
物を反応させて、一般式(VI):
【0022】
【化12】
【0023】(式中、R1 、R2 、X及びmは上に定義
した通りであり、M- は陰イオンである)で表される化
合物を得、これを塩基の存在下に重合させることにより
前記前駆体ポリマーを製造する方法が提供される。
【0024】本発明の一般式(I)で表されるアリーレ
ンビニレン重合体は複素環と炭素6員環とを含み、2位
にビニレン基を有する2環系アリーレンビニレン構造の
繰り返し単位から成る重合体であり、それぞれの繰り返
し単位はイソチアナフテニレンビニレン、イソベンゾフ
ラニレンビニレン、イソインドリレンビニレン構造を表
す。
【0025】本発明で得られる前記一般式(I)で表さ
れる具体的な化合物には上述の有用基を有するもの、例
えば、ポリ(イソチアナフテニレンビニレン)、ポリ
(5−アルキルイソチアナフテニレンビニレン)(但し
ここで、アルキルとしては例えば、メチル、エチル、プ
ロピル、ブチル、ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、オク
チル、ノニル、デシル、ドデシル、ヘキサデシル、イソ
プロピルなど)、ポリ(5−アルコキシイソチアナフテ
ニレンビニレン)(但しここでアルコキシとしては例え
ば、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、ブトキシ、イソ
プロポキシ、ペンチルオキシ、オクチルオキシなど)、
ポリ(5,6−ジアルキルイソチアナフテニレンビニレ
ン)(但しここでジアルチルとしては例えば、ジメチ
ル、ジエチル、ジプロピルなど)、ポリ(5−エトキシ
カルボニルイソチアナフテンビニレン)、ポリ(イソベ
ンゾフラニレンビニレン)、ポリ(5−アルキルイソベ
ンゾフラニレンビニレン)(但しここでアルキルとして
は例えば、メチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチ
ル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、ノニル、デシル、
ドデシル、ヘキサデシル、イソプロピルなど)、ポリ
(5−アルコキシイソベンゾフラニレンビニレン)(但
しここでアルコキシとしては例えば、メトキシ、エトキ
シ、プロポキシ、ブトキシ、イソプロポキシ、ペンチル
オキシ、オクチルオキシなど)、ポリ(5,6−ジアル
キルイソベンゾフラニレンビニレン)、(但しここでジ
アルキルとしては例えば、ジメチル、ジエチル、ジプロ
ピルなど)、ポリ(5−エトキシカルボニルイソベンゾ
フラニレンビニレン)、ポリ(イソインドリレンビニレ
ン)、ポリ(5−アルキルイソインドニレンビニレン)
(但しここでアルキルとしては例えば、メチル、エチ
ル、プロピル、ブチル、ペンチル、ヘキシル、ヘプチ
ル、オクチル、ノニル、デシル、ドデシル、ヘキサデシ
ル、イソプロピルなど)、ポリ(5−アルコキシイソイ
ンドニレンビニレン)(但しここでアルコキシとしては
例えばメトキシ、エトキシ、プロポキシ、ブトキシ、イ
ソプロポキシ、ペンチルオキシ、オクチルオキシな
ど)、ポリ(5,6−ジアルキルイソインドリレンビニ
レン)(但しここでジアルキルとしては例えば、ジメチ
ル、ジエチル、ジプロピルなど)、ポリ(5−エトキシ
カルボニルイソインドリレンビニレン)、ポリ(N−メ
チル−イソインドリレンビニレン)、ポリ(N−メチル
−5−アルキルイソインドリレンビニレン)(但しここ
でアルキルとしては例えば、メチル、エチル、プロピ
ル、ブチル、ペンチルなど)、ポリ(N−メチル−5,
6−ジアルキルイソインドリレンビニレン)(但しここ
でジアルキルとしては例えば、ジメチル、ジエチルな
ど)、ポリ(N−メチル−5−メトキシイソインドリレ
ンビニレン)、ポリ(N−メチル−5,6−ジメトキシ
イソインドリレンビニレン)、ポリ(N−メチル−5−
エトキシカルボニルイソインドリレンビニレン)、ポリ
(N−フェニル−イソインドリレンビニレン)、ポリ
(N−フェニル−イソインドリレンビニレン)、ポリ
(N−フェニル−5−アルキルイソインドリレンビニレ
ン)(但しここでアルキルとしては例えば、メチル、エ
チル、プロピル、ブチル、ペンチルなど)、ポリ(N−
フェニル−5,6−ジアルキルイソインドリレンビニレ
ン)(但しここでジアルキルとしては例えば、ジメチ
ル、ジエチルなど)、ポリ(N−フェニル−5−メトキ
シイソインドリレンビニレン)、ポリ(N−フェニル−
5,6−ジメトキシイソインドリレンビニレン)、ポリ
(N−フェニル−5−エトキシカルボニルイソインドリ
レンビニレン)などが含まれる。式(I)の重合体の好
ましい分子量は1000〜500,000 、更に好ましくは10,000
〜500,000 の範囲である。
【0026】本発明のアリーレンビニレン重合体は新規
物質であり、既知のアリーレンビニレン重合体と比較し
て、エネルギーギャップが約 1.5eV以下と小さいため
高い導電性を示し、導電性高分子として、特に半導体用
途に好適な化合物であり、またドーピング時の可視光の
吸光度が小さいため、透明導電体としての利用も可能で
ある。
【0027】一般式(I)で表されるアリーレンビニレ
ン重合体は、化学的または電気化学的に酸化することに
より、一般式(II)で表される、両性イオン性のアリー
レンビニレン重合体が得られる。また同様にして一般式
(II)で表される重合体は一般式(I)で表される重合
体に化学的または電気化学的に還元することができる。
このように、一般式(I)および(II)の重合体は酸化
還元反応により可逆的にドーピング、脱ドーピングでき
る。
【0028】ドーピングの方法としては、すでに知られ
ている化学的または電気化学的なドーピング方法であれ
ば、どのような方法でもよく、たとえば、化学的ドーピ
ング方法としてはアリーレンビニレン重合体フィルムに
気相中でよう素等のドーパントを反応させる気相法、電
気化学的ドーピング方法としては、電極間にアリーレン
ビニレン重合体フィルムをはさみ、ドーパントを含有す
る溶液中で印加する方法等が挙げられる。(「導電性高
分子の基礎と応用−合成物性・評価・応用技術」(株)
アイピーシー参照)
【0029】一般式(II)において、Zは、アニオンを
表し、ドーパントとして働くが、PF6 - 、Sb
6 - 、AsF6 - 、SbCl6 - の如きVb族の元素
のハロゲン化物アニオン、BF4 - の如きIII b族元素
のハロゲン化物アニオン、I- (I 3 - ) 、 Br- 、C
- の如きハロゲンアニオン、ClO4 - の如き過塩素
酸アニオン、ルイス酸、プロトン酸、電解質アニオン等
を挙げることができるが、必ずしもこれらに限定される
ものではない。また複数のドーパントを併用して用いて
も良い。δはドーピングレベルを表し、一つの繰り返し
モノマー単位に対し、0〜 0.7の値を示す。qはZで表
されるアニオンの価数を表し、1または2である。
【0030】次に前記アリーレンビニレン重合体の前駆
体となる新規なポリマーについて説明する。前駆体ポリ
マーとしては、一般式(III)で表されるポリマーが挙げ
られる。一般式(III)で表される前駆体ポリマーにおい
て、R1 ,R2 ,Xおよびnは一般式(I)で表される
重合体における定義と同様である。さらに、一般式
(I)で表されるアリーレンビニレン重合体が、ベンゼ
ン環1個とヘテロ環1個が縮合した2環系構造であるの
に対し、一般式(III)で表される前駆体ポリマーではベ
ンゼン環部をメタノ基(m=1)あるいはエタノ基(m
=2)で架橋した構造を有する。ベンゼン環部を架橋す
ることによって、前駆体ポリマーは極めて安定化され、
また、その架橋部を熱処理等によって脱離させることに
より目的とする2環系構造を容易に得ることができる。
YはR4 + 5 - またはOR6 で表され、R4 およ
びR5 はそれぞれ独立にH、炭素数1〜5の直鎖または
分岐のアルキル基を表し、または硫黄原子とともに複素
鎖式環を形成し、R6 はHまたは炭素数1〜10の直鎖
または分岐のアルキル基、M- は陰イオンである。陰イ
オンM- はCl- 、Br- またはI- 等のハロゲン化物
が用いられ、随意にスルホニウム塩の陰イオンメタセシ
スによってBF4 - 、PF6 - 、AsF6 - 、PTS
(パラトルエンスルホン酸イオン)等の陰イオンに置換
することができる。
【0031】この前駆体ポリマーは新規なポリマーであ
り、空気中において安定である。また汎用溶媒に対し易
溶性であり、フィルム、繊維などへの成形が容易であ
る。汎用溶媒の例としては、メタノール、エタノールな
どのアルコール類、クロロホルム、塩化メチレンなどの
ハロゲン化炭化水素、ヘキサンなどの飽和炭化水素、ベ
ンゼン、トルエンなどの芳香族炭化水素、エチルエーテ
ル、THFなどのエーテル類、アセトンなどのケトン
類、酢酸エチル、酢酸ブチルなどのエステル類、ジメチ
ルホルムアミドなどのアミド類のような有機溶媒並びに
水およびこれらの混合溶媒等が挙げられる。
【0032】本発明の一般式(III)で表される前駆体ポ
リマーは一般式(I)で表されるアリーレンビニレン重
合体の繰り返し構造単位内のベンゼン環部を架橋したこ
とにより、空気中でも安定となり、取扱いも極めて容易
になった。更に、一般式(III)で表される前駆体ポリマ
ーは溶媒に可溶であるので、容易に前駆体ポリマー溶液
を得ることが出来、さらに溶液から成形し、または成形
しながら加熱処理等を行なうことにより目的のアリーレ
ンビニレン重合体の成形品を得ることが可能となった。
【0033】次に本発明のアリーレンビニレン重合体の
製造方法について説明する。本発明の反応工程の概略を
図1に示す。以下に、一般式(IV)で表される化合物か
ら一般式(V)で表される化合物を経由し、一般式(V
I)で表わされる化合物を得る工程(工程A)、一般式
(VI)で表される化合物から一般式(III)−aおよび/
または一般式(III)−bで表される化合物を得る工程
(工程B)、一般式(III)−aおよび/または一般式(I
II)−bで表される化合物から一般式(I)で表される
化合物を得る工程(工程C)を順に説明する。
【0034】(工程A)まず一般式(IV)で表される化
合物に芳香族環についたメチル基を円滑にハロゲン化で
きるN−ブロモサクシンイミド(NBS)や、N−クロ
ロサクシンイミド(NCS)、N−アイオドサクシンイ
ミド(NIS)、塩化スルフリル等ハロゲン化試剤を、
例えば 2.0〜2.5 当量加えて加熱還流を行なうことによ
り一般式(V)で表されるビスハロゲノメチル化合物を
得ることができる。反応性がやや低い場合には、反応系
に少量の過酸化物(たとえばBPO(ベンゾイルパーオ
キサイド)、AIBN(アゾビスイソブチロニトリル)
など)を 0.1〜10モル%添加したり、光照射を行なうと
よい。反応に使用する溶媒としては、一般的には四塩化
炭素、クロロホルム、ベンゼンなどが用いられ、反応化
合物濃度が0.01〜0.3mol/リットル程度が適当である。反応
温度は還流温度が好ましく、反応時間は好ましくは20分
〜8時間程度で、反応は乾燥系が望ましく、通常、常圧
で行なわれる。
【0035】次に、これに硫黄を含有する環式または鎖
式化合物、例えば式R4 SR5 (式中R4 、R5 は独立
にHまたは炭素数1〜5の直鎖または分岐状アルキル基
を表し、または硫黄原子とともに複素鎖式環を形成す
る)で表される化合物を加えて加熱還流を行ない、一般
式(VI)で表されるビススルホニウム塩化合物を得るこ
とができる。用いられるスルフィドとしては、例えばメ
チルスルフィド、エチルスルフィド、テトラヒドロチオ
フェンなどがあげられる。この反応は、ハロゲン化で用
いた溶媒と同一の溶媒で行なうことが望ましいが、必要
に応じ、アセトニトリル、ニトロメタン等を用いてもよ
い。反応は室温から、スルフィドの沸点以下、好ましく
は10℃〜60℃、更に好ましくは、30〜50℃で10分〜4
日、好ましくは、4〜8時間、通常、常圧で行なうこと
ができる。また、特に反応性の低い化合物を用いる場合
には、密閉系での高圧下、スルフィドの沸点以上の温度
を用いることも可能である。
【0036】一般式(IV)で表される化合物は公知の方
法、たとえばH.Wynberg, A.J. H.Klunder らによるRecu
eil des Travaux Chimiques des Pay-Bas, 88, 328(196
9)等に記載の方法で製造することができる。この文献で
は、例えば、1,3−ジメチル−4,7−エタノイソチ
アナフテン、1,3−ジメチル−4,7−メタノイソチ
アナフテンに関する方法が開示されており、置換体につ
いても同様な方法で製造できる。
【0037】(工程B)一般式(III)で表される前駆体
ポリマーのうち、Y=R4 + 5 - の化合物を(II
I)−a、Y=OR6 の化合物を(III)−bと表し説明す
る。まず一般式(III)−aで表される化合物は、一般式
(VI) で表されるビススルホニウム塩化合物を塩基の存
在下に重合させることにより得られる。このとき用いら
れる塩基としては、LiOH, KOH, NaOH, RbOH, CsOH, Be
(0H)2, Mg(0H)2, Ca(0H)2, Ba(0H) 2 などの無機系塩基
またはピリジン、トリエチルアミン、アンモニアなどの
有機含窒素強塩基等が挙げられる。
【0038】塩基の使用量は、ビススルホニウム塩化合
物や塩基の種類によって異なるので一概には決められな
いが、一般にはビススルホニウム塩化合物に対して1〜
10倍当量、好ましくは1〜2倍当量の範囲で用いるのが
適当である。
【0039】前駆体ポリマー(III)−aの製造に用いら
れるビススルホニウム塩化合物の濃度は、その化学構造
によっても異なるが、一般には0.01〜2モル/リットル
の範囲、好ましくは0.05〜0.5 モル/リットルの範囲が
適当である。
【0040】前駆体ポリマー(III)−aを製造する重合
反応において、適用される重合温度は、それぞれの重合
方法によって定められるもので、特に限定されるもので
はないが、一般には−80℃〜+ 100℃の温度範囲が望ま
しい。特に、−30℃〜+30℃の温度範囲で行なわれるこ
とが好ましい。圧力は常圧で実施することができる。
【0041】重合時間は、重合方法および重合温度ある
いはビススルホニウム塩化合物の化学構造等によって異
なるので一概には規定できないが、通常は 0.1〜 200時
間で、好ましくは 0.5〜5時間重合するのが望ましい。
【0042】重合反応に用いられる溶媒は、重合温度や
重合時間と同様に、重合反応に用いられる塩基やビスス
ルホニウム塩化合物の化学構造などによって異なるので
一概には規定できないが、ビススルホニウム塩化合物及
び塩基を溶解し、かつ重合を阻害しないならば、如何な
る溶媒であっても良い。たとえば水、アルコール類、テ
トラヒドロフラン(THF)、ジオキサン、ジメチルホ
ルムアミド(DMF)、ジメチルスルフォキシド(DM
SO)、アセトニトリル、ベンゾニトリル等の極性溶媒
や、エーテル、酢酸エチル、酢酸ブチルなどが用いられ
る。さらにはこれらの混合溶媒も使用できる。水又はア
ルコール類の使用が望ましい。
【0043】前駆体ポイマー(III)−aが反応溶媒に可
溶であり、均一系反応液として得られる場合、透析およ
び/またはイオン交換操作によって単離精製することが
できる。さらに、前駆体ポリマー(III)−aが反応溶媒
から析出物として得られる場合には、濾過および/また
は再沈澱操作よって単離精製することができる。
【0044】次に一般式(III)−bで表される化合物を
得るには、使用する溶媒をメタノール等のアルコール類
または他の汎用溶媒とアルコール類との混合溶媒とする
以外は前記一般式(III)−aの製造方法と同様の手順、
反応条件で製造することができる。
【0045】(工程C)前駆体ポリマーである一般式
(III)−a、(III)−bで表される化合物より最終重合
物である一般式(I)で表されるアリーレンビニレン重
合体を得る方法について説明する。
【0046】また本発明の一般式(III)−a及び(III)
−bで表される前駆体ポリマーは、加熱処理などにより
容易にアリーレンビニレン重合体に変換できる。前駆体
ポリマーを成形等行った後あるいは成形を行ないなが
ら、加熱処理し最終重合物を得ることができる。
【0047】前駆体ポリマーである一般式(III)−a、
(III)−bの化合物を熱処理などすることによって架橋
部のアルキレンおよび側鎖部の硫化物またはアルコキシ
基を脱離させることにより、一般式(I)のアリーレン
ビニレン重合体が得られる。
【0048】熱処理条件は、用いられる前駆体ポリマー
により広範囲に変わり得るが、好ましくは、真空下ある
いは不活性ガス雰囲気下において、+50℃以上、分解温
度(約 500℃)以下で架橋部のアルキレンおよび側鎖部
の硫化物またはアルコキシ基が完全に脱離する温度範囲
であればよい。好ましくは+ 100℃〜+ 300℃の温度範
囲である。熱処理時間は、処理温度や前駆体ポリマーの
構造によって異なるので一概には規定できないが、通常
0.5〜 200時間、好ましくは1〜6時間で処理するのが
望ましい。
【0049】また、上記のC工程において、アルコキシ
基を有する一般式(III)−bで表される前駆体ポリマー
の場合、塩酸、酢酸、濃硫酸等の酸触媒を併用して熱処
理を行なうことによって、脱離反応が促進され、より加
熱温度を低下させることが可能である。
【0050】本発明に係る前駆体ポリマー(III)からポ
リアリーレンビニレン重合体(I)を得る過程における
成形工程は次の通りである。
【0051】本発明において、製造される前駆体ポリマ
ー(III)は、溶媒に対し可溶であることを生かして、前
駆体ポリマー溶液からフィルム(例えばスピンキャス
ト)、繊維状成形品、あるいはバルクの成形体を一般の
高分子工業の分野で行なわれている成形、製膜方法で容
易に製造することができる。この成形体を、加熱処理、
ドーピング処理を行なうことにより、任意形状の(I)
あるいは(II)の構造を有するポリマー体を製造するこ
とができる。
【0052】本発明において前駆体ポリマー溶液の製造
に用いられる溶媒は、前駆体ポリマー(III)を溶解する
ものなら如何なるものでもよく、水、あるいはテトラヒ
ドロフラン、ジオキサン等のエーテル類、ジメチルホル
ムアミド、アセトニトリル、ベンゾニトリル等の極性溶
媒、酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル類、クロロホ
ルム、塩化メチレン等の非芳香族性塩素系溶媒、あるい
はそれらの混合溶媒を用いることができる。用いられる
溶液濃度は、成形状態、前駆体ポリマーの化学構造、溶
媒により異なり一概には限定できないが、一般には0.5
〜60重量%の濃度であることが望ましい。
【0053】成型工程は、不活性ガス雰囲気又は真空下
で行なうことが好ましく重合体溶液を適当な媒体、例え
ばガラス板又は臭化ナトリウムディスク上においてフィ
ルムに成形するか、あるいは溶液から直接繊維やバルク
の成形体などにできる。さらにこの段階で延伸等を行な
うことも可能である。
【0054】上述した成形体を、脱離反応に必要な熱処
理を行なうことにより、一般式(I)の成形体、さらに
ドーピングを行なうことにより、一般式(II)の成形体
が得られる。また、延伸等の成形をしながら、熱処理等
を行なうことも可能である。
【0055】熱処理条件は、成形体の形状によって広範
囲に変わり得るが、望ましくは真空下あるいは不活性雰
囲気下において、+70〜500 ℃の温度範囲が好ましく、
+100 〜300 ℃で行なわれるのがより好ましい。熱処理
時間は、0.5 〜200 時間が好ましく、1〜6時間がより
好ましい。
【0056】前駆体ポリマーによっては、塩酸、酢酸、
硫酸等の酸触媒を併用することも望ましい。加熱処理
は、成形後、あるいは延伸成形等を行ないながら行なう
こともできる。
【0057】以上のようにして得られる本発明の重合体
は、電気化学的あるいは化学的手段によってドーピン
グ、脱ドーピング操作ができ、任意に表面抵抗を変化さ
せることができる。また、高い成形加工性を有すること
から、電気電子分野において、加工性要求度の高い電
極、センサーなど幅広い用途で使用できる。
【0058】
【実施例】以下実施例によって、本発明をさらに詳しく
説明するが、本発明の技術的範囲をこれらの実施例に限
定するものでないことは言うまでもない。
【0059】実施例1 スルホニウム塩を含む前駆体ポリマーを経由するポリイ
ソチアナフテニレンビニレンの製造方法
【0060】(a)1,3−ビス(ブロモメチル)−
4,7−エタノイソチアナフテンの製造方法
【0061】公知の方法によって合成された1,3−ジ
メチル−4,7−エタノイソチアナフテン 220mg(1.16
ミリモル) をAr雰囲気下で四塩化炭素20mlに溶解した
後、 420mg(2.36ミリモル)のN−ブロモサクシンイミ
ド(NBS)およびベンゾイルパーオキサイド(BP
O)2mgを加え、加熱還流を12時間続けた。その結果、
透明であった反応液は淡黄色を呈した。本反応精製物は
不安定であるために単離精製することなく、反応混合物
からサクシンイミドの白色析出物を濾過した後、反応混
合物のまま、次の反応に用いた。ただし、反応確認に
は、濾過したものを用いて測定した。
【0062】反応生成物のNMRおよびIRを測定した
結果を以下に示す。1 H−NMR:(CC14 中、TMS基準ppm 、 200MH
z)6.45(q,2H)、4.55(q,4H)、3.91(m,2
H)、1.55(m,4H)13 C−NMR:(CC14 中、TMS基準ppm 、50MHz)
146.2 (1、3−C)、134.5 (5、6−C)、127.9
(8、9−C)、34.7(4、7−C)、25.0(1′、
3′−CH2 )、23.3(10、11−C) IR:(CC14 中、cm-1)3057w、2962s、2871m、
1595w、1435w、1200s、1114w、1079w、1030w、 8
40w、 707s、637w、 564w
【0063】(b)4,7−エタノイソチアナフテニル
−1,3−ビス(メチレンテトラヒドロチオフェニウム
臭化物)の製造方法
【0064】次いで、上記(a)で得られた反応混合物
をAr雰囲気下、クロロホルム10mlと、テトラヒドロチオ
フェン(THT) 407mg(4.62ミリモル)を加え、50℃
で加熱還流を8時間続けた。淡黄色であった反応混合物
液は黄褐色に変化した。反応終了後、反応溶媒を減圧留
去した後、エタノール/アセトンによる再沈澱操作を2
回繰り返し、濾過後、真空乾燥し、73mgを得た(収率12
%)。反応生成物のNMR、IRおよび元素分析を測定
した結果を以下に示す。
【0065】1H−NMR:(D2 O中、DSS基準ppm
、 200MHz)6.70(q,4H)、4.95(s,4H)、4.2
5(m,2H)、3.17(m,8H)、2.42(m,8
H)、1.80(m,4H)13 C−NMR:(D2 O中、DSS基準ppm 、 100MHz)
153.9 (1、3−C)、138.3 (5、6−C)、121.4
(8、9−C)、84.7(1′、3′−C)、41.6、38.1
(THT−C)、31.3(4、7−C)、27.9(10、11−
C) 元素分析値(%): 組成式[C20283 Br2 ] 理論値 C; 45.81、H;5.38、S; 18.34、Br; 3
0.47 実測値 C; 45.38、H;5.51、S; 18.16、Br; 3
0.94
【0066】(c)ポリ[1,3−(4,7−エタノイ
ソチアナフテニル)−1′, 2′−エチレン−1′−テ
トラヒドロチオフェニウム臭化物]の製造方法
【0067】上記(b)で得られたスルホニウム塩化合
物73mgを、水9mlに溶解し、Ar雰囲気下、氷浴により0
℃に冷却したのち、 0.5N 水酸化ナトリウム水溶液5
ml(2.5ミリモル)を加え激しく攪拌した。このとき反
応液は瞬時に黄色から褐色に変化した。3時間攪拌後に
は、黄色の析出物が現れた。これを吸引濾過、真空乾燥
し、粗ポリマー 62mg を得た(収率81%)。
【0068】反応生成物の13C−NMRおよび元素分析
を測定した結果を以下に示す。13 C−NMR:(CDC13 中、TMS基準ppm 、 100
MHz)145、 135、 129、58、40、35、32、26、19 元素分析値(%): 組成式[(C16192 Br)n ] 理論値 C; 54.08、H;5.38、S; 18.04、Br; 2
2.49 実測値 C; 53.72、H;5.14、S; 18.20、Br; 2
1.94
【0069】(d)ポリイソチアナフテンビニレンフィ
ルムの製造方法 上記(c)で得られた前駆体ポリマー5mgをテトラヒド
ロフラン2mlに溶解し、溶液を硝子板上にスピンキャス
トし、前駆体ポリマーフィルムを作製した。本フィルム
を真空下、 220℃で4時間熱処理した。このとき淡黄色
であったフィルムは、濃青色に変化した。その吸収スペ
クトルを図2に示す。又、本物質の熱脱離反応を確認す
るために行った熱重量分析(TGA)の結果を図3に示
す。TGAの結果より明らかに80℃付近、および 210℃
付近において2段階の脱離が起こり、目的とする重合体
の製造が確認できた。また、熱処理反応における赤外吸
収スペクトルを図5に示す。この赤外吸収スペクトルか
らも2段階の脱離と、目的とする重合体の製造が確認で
きた。
【0070】実施例2 メトキシ基を含む前駆体ポリマーを経由するポリイソチ
アナフテニレンビニレンの製造方法
【0071】(a)ポリ[1,3−(4,7−エタノイ
ソチアナフテニル)−1′−メトキシ−1′,2′−エ
チレン]の製造方法
【0072】前記実施例1の(a)、(b)と同様の手
法によって製造した、4,7−エタノイソチアナフテニ
ル−1,3−ビス(メチレンテトラヒドロチオフェニウ
ム臭化物)を水10mlに溶解し、メタノールを2ml加えAr
雰囲気に置換した後、ドライアイス−四塩化炭素浴によ
り−20℃に冷却したところに、 0.5N水酸化ナトリウム
水溶液5ml( 2.5ミリモル)を加え激しく攪拌した。反
応液は瞬時に黄色から褐色に変化した。さらに3時間攪
拌後、反応混合物をゆっくりと室温まで戻し、淡黄色の
析出物を得た。これを吸引濾過、真空乾燥により、粗ポ
リマー45gを得た。(収率65%)反応生成物の13C−N
MRおよび元素分析を測定した結果を以下に示す。13 C−NMR:(CDC13 中、TMS基準ppm 、 100
MHz)146.9、 135.6、 129.4、64.3、57.5、31.6 元素分析値(%): 組成式[(C1314SO)n ] 理論値 C; 71.52、H;6.46、S; 14.69 実測値 C; 71.41、H;6.62、S; 14.73
【0073】(b)ポリイソチアナフテニレンビニレン
フィルムの製造方法 上記(a)で得られた前駆体ポリマー5mgをテトラヒド
ロフラン2mlに溶解し、溶液を硝子板上にスピンキャス
トし、前駆体ポリマーフィルムを作製した。本フィルム
を真空下、 240℃で4時間熱処理した。このとき淡黄色
であったフィルムは濃青色に変化した。又、本物質の熱
脱離反応を確認するために行なった熱重量分析(TG
A)の結果を図4に示す。TGAの結果より明らかに80
℃付近、および 230℃付近において、2段階の脱離が起
こり、目的とする重合体の生成が確認できた。
【0074】実施例3 実施例1に示した方法により、ITOガラス上にポリイ
ソチアナフテンビニレンフィルムを作製した。これを作
用極、また白金線を対極、更に標準カロメル電極を参照
電極として、室温下0.05モル/リットルのLiClO4 - /ア
セトニトリル溶液中で電気化学的に 0.8Vに印加したと
ころ、淡灰色に変化した。
【0075】実施例4 実施例1に示す方法により、ガラス上にポリイソチアナ
フテニレンビニレンフィルムを作製した。このフィルム
を気相中でよう素を作用させたところ、フィルムは黒色
に変化し、室温における伝導度はσ=9×10-7S/cmか
らσ=5×10-1S/cmへと上昇した。
【0076】
【発明の効果】本発明の新規アリーレンビニレン重合体
およびその製造方法は、従来のアリーレンビニレン重合
体およびその製造方法に比べて以下のような利点を有し
ている。
【0077】1)本発明による重合体は、空気中におい
て安定な前駆体ポリマーを経由し、架橋部および側鎖の
脱離を熱処理等の既存の技術を用いることによって製造
できる。
【0078】2)本発明による前駆体ポリマーはいずれ
も汎用溶媒に対し高い溶解性を示し、容易に前駆体ポリ
マー溶液が得られ、その溶液から任意のフィルムや繊維
などに任意に成形できる。
【0079】3)本発明による前駆体ポリマーはいずれ
も成形してから、あるいは成形しながら熱処理等を行な
うことにより延伸等を含む任意の形状に成形することが
できる。
【0080】本発明による重合体は、電気化学的あるい
は化学的手段によってドーピング、脱ドーピング操作が
でき、任意に表面抵抗を変化させることができる。
【0081】本発明で得られる重合体およびその製造方
法は以上のような特徴があり、高い成形加工性を有する
ので、電気電子工業の分野において加工性要求度の高い
電極、センサーなど幅広い用途に使用できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のアリーレンビニレン重合体及びそのド
ープ体の製造反応経路を示す図面である。
【図2】実施例1で製造したポリイソチアナフテニレン
ビニレンフィルムの吸収スペクトルである。
【図3】実施例1における前駆体ポリマーであるポリ
〔1、3−(4,7−エタノイソチアナフテニル)−
1′,2′−エチレン−1′−テトラヒドロチオフェニ
ウム臭化物〕の熱脱離反応を確認するための熱重量分析
結果を示すグラフ図である。
【図4】実施例2における前駆体ポリマーであるポリ
〔1、3−(4,7−エタノイソチアナフテニル)−
1′−メトキシ−1′,2′−エチレン〕の熱脱離反応
を確認するための熱重量分析結果を示すグラフ図であ
る。
【図5】実施例1における前駆体ポリマーであるポリ
〔1,3−(4.7)エタノイソチアナフテニル)−
1′,2′−エチレン−1′−テトラヒドロチオフェニ
ウム臭化物〕の熱脱離反応を確認するための赤外吸収ス
ペクトルであり、チャートを見易くするために各スペク
トルは縦軸方向に平行に移動して示してある。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 平2−242816(JP,A) 米国特許4640748(US,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C08G 61/12 CA(STN) REGISTRY(STN)

Claims (5)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 一般式(I): 【化1】 (式中、R1 およびR2 はそれぞれ独立にH、直鎖もし
    くは分岐の炭素数1〜20のアルキル基またはアルコキシ
    基を表し、XはS、OまたはNR3 であり、R3はH、
    炭素数1〜6の直鎖もしくは分岐のアルキル基またはフ
    ェニル基を表し、nは重合度で5より大きい値であり、
    上記R1 およびR2 におけるアルキル基およびアルコキ
    シ基はカルボニル、エーテル、エステルまたはアミドを
    含んでいてもよい)で表されるアリーレンビニレン重合
    体。
  2. 【請求項2】 請求項1に記載の重合体を化学的または
    電気化学的にドーピングすることにより得られる一般式
    (II): 【化2】 (式中、R1 およびR2 はそれぞれ独立にH、直鎖もし
    くは分岐の炭素数1〜20のアルキル基またはアルコキシ
    基を表し、XはS、OまたはNR3 であり、R3はH、
    炭素数1〜6の直鎖もしくは分岐のアルキル基またはフ
    ェニル基を表し、nは重合度で5より大きい値であり、
    δは 0.7以下の値であり、Zは陰イオンを表し、qは1
    または2であり、上記R1 およびR2 におけるアルキル
    基およびアルコキシ基はカルボニル、エーテル、エステ
    ルまたはアミドを含んでいてもよい)で表されるドープ
    したアリーレンビニレン重合体。
  3. 【請求項3】 一般式(III ): 【化3】 (式中、R1 およびR2 はそれぞれ独立にH、直鎖もし
    くは分岐の炭素数1〜20のアルキル基またはアルコキシ
    基を表し、XはS、OまたはNR3 であり、R3はH、
    炭素数1〜6の直鎖もしくは分岐のアルキル基またはフ
    ェニル基を表し、YはR4 + 5 - またはOR6
    表され、R4 およびR5 は独立に炭素数1〜5の直鎖ま
    たは分岐のアルキル基を表し、または硫黄原子とともに
    複素鎖式環を形成し、M- は陰イオンであり、R6 はH
    または炭素数1〜10の直鎖または分岐のアルキル基を表
    し、上記R1 ,R2 及びR6 におけるアルキル基および
    アルコキシ基はカルボニル、エーテル、エステルまたは
    アミドを含んでもよく、mは1または2であり、nは重
    合度で5より大きい値である)で表される請求項1に記
    載のアリーレンビニレン重合体の前駆体ポリマー。
  4. 【請求項4】 請求項3に記載の前駆体ポリマーから選
    ばれる少なくとも1種のポリマーに加熱処理または加熱
    および酸処理を行うことを特徴とする請求項1に記載の
    アリーレンビニレン重合体の製造方法。
  5. 【請求項5】 一般式(IV): 【化4】 (式中、R1 およびR2 はそれぞれ独立にH、直鎖もし
    くは分岐の炭素数1〜20のアルキル基またはアルコキシ
    基を表し、XはS、OまたはNR3 であり、R3はH、
    炭素数1〜6の直鎖もしくは分岐のアルキル基またはフ
    ェニル基を表し、mは1または2であり、上記R1 およ
    びR2 におけるアルキル基およびアルコキシ基はカルボ
    ニル、エーテル、エステルまたはアミドを含んでいても
    よい)で表される化合物にハロゲン化試剤を反応させ
    て、一般式(V): 【化5】 (式中、R1 、R2 、X及びmは上に定義した通りであ
    り、Wはハロゲンである)で表される化合物を得、これ
    に硫黄原子を含有する鎖式または環式化合物を反応させ
    て、一般式(VI): 【化6】 (式中、R1 、R2 X及びmは上に定義した通りであ
    り、M- は陰イオンであり、nは重合度で5より大きい
    値であり、R4 およびR5 は独立に炭素数1〜5の直鎖
    または分岐のアルキル基を表しまたは硫黄原子と共に複
    素鎖式環を形成し、上記R1 およびR2 におけるアルキ
    ル基およびアルコキシ基はカルボニル、エーテル、エス
    テルまたはアミドを含んでいてもよい)で表される化合
    物を得、これを塩基の存在下に重合させることを特徴と
    する請求項3に記載の前駆体ポリマーの製造方法。
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